2019年12月20日 第7回一類感染症に関する検討会 議事録

健康局結核感染症課

日時

令和元年12月20日(金)16:00~18:00

場所

共用第9会議室(20階)

議題

(1)「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(第2版)」の改訂について
(2)エボラ出血熱の治療薬等について
(3)その他

議事

 
○田中国際感染症対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「一類感染症に関する検討会」を開催いたします。
初めに、日下課長より御挨拶をさせていただく予定としておりましたが、公務のため到着がおくれており、当該検討会の最後に御挨拶をさせていただきたいと思います。
続いて、本日の構成員の先生方の出席状況を御報告させていただきます。本日は、中坪構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、本日、参考人といたしまして、栗山参考人、小町谷参考人に御出席をいただいております。
それでは、続きまして、事務局より資料等の確認をさせていただきます。
机上に、議事次第、配付資料一覧、座席図、構成員名簿、それから、資料1-1から1-4、資料2、参考資料1を御用意しております。不足の資料等がございましたら、挙手をお願いいたします。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
以降の議事運営につきましては、西條座長にお願いをいたします。
○西條座長 それでは、皆さん、こんにちは。
「一類感染症に関する検討会」の第7回の会議を開催したいと思います。
まず、議事の確認をさせていただきます。
本日の議事ですけれども、議題1「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(第2版)の改訂について」、議題2「エボラ出血熱の治療薬等について」の2項目があります。
構成員の皆様におかれましては、円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと思います。
それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
議題1「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(第2版)の改訂について」、資料1-1から1-4について事務局から説明をお願いいたします。
○田中国際感染症対策室長 それでは、お手元に資料1-1を御準備いただければと思います。
まず、「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(第2版)」というものが今、皆様に公表させていただいているものでございますが、これを今般改訂させていただきたいということで、まとめの紙を作成しております。
まず、経緯でございますが、平成30年8月から現在に至るまで、コンゴ民主共和国においてエボラ出血熱の流行が継続しており、本年8月には、エボラ出血熱の疑似症患者が発生した。エボラ出血熱を含む一類感染症の患者または疑似症患者の今後の発生に備え、症例に関する情報の公表について一定の基準を設けるとともに、患者及び検体の搬送について自治体間の具体的な連携方法を示すことが求められている。
また、従来個別にガイドラインを定めていた天然痘に係る対応について、ほかの一類感染症に係る対応とあわせて取りまとめることにより、緊急時の対応を一元的に管理することとしたい。
改訂の内容でございますが、まずは現状の「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(第二版)」について、主に以下の内容を盛り込むとともに、その名称を「一類感染症への行政対応の手引き」と改める。
マル1として、一類感染症の患者及び疑似症患者に係る情報の公表について。一類感染症に関する検討会(第5回)における「公衆衛生上特に重要である感染症の国内初症例が発生した場合の情報の公表に係る基本方針について」に係る議論を踏まえつつ、一類感染症に係る患者情報等の公表基準についてまとめる。
その次が、新たに患者・検体の搬送にかかわる自治体間の連携について。都道府県を超えて患者を搬送する場合、必要に応じて、入院先の医療機関の所在地を管轄する保健所が検体の搬送を行うこととする。また、検体の検査費用については、当該検査を実施または依頼する保健所の負担とすることとする。
マル3、天然痘に係る対応について。「天然痘対応指針(第5版)等のホームページ掲載について」に規定されている内容について基本方針を記載する。
大きなものとしては、主にこの3つについて改訂をさせていただきたいと思っております。
マル1の情報の公表については、資料1-3をごらんください。この手引きの中には、基本方針に基づいて対応することとさせていただいております。この基本方針について、続いて説明をさせていただきます。
まず、この基本方針の趣旨でございますが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく一類感染症が国内で発生した場合は、厚生労働省が当該感染症の発生状況等に関する情報を公表するところ、当該情報を公表する際の基本的な考え方を取りまとめることとする。なお、同時期において同一の感染症の発生数が著しく増加した場合等の対応については、この限りではない。
基本方針。公表の目的について。感染症の蔓延を防止し、感染症による健康リスクが個人や社会に与える影響を最小限にするためには、感染症の発生状況等に関する情報を積極的に公表する必要がある。なお、当該情報の公表に当たっては、感染者等に対して不当な差別及び偏見が生じないよう、個人情報の保護に留意しなければならない。
公表する情報について。原則として、以下の情報を公表することとする。詳細は別添のとおりとございます。別添が、こちらの細かな字のございます公表基準というものになっております。
(1)感染症に関する基本的な情報。これは感染症の種類によってその特徴が異なることから、病原体の潜伏期間や感染経路、主な感染源等、当該感染症に関する基本的な情報を提供する。
(2)感染源との接触歴にかかわる情報。感染者の推定感染地域及び感染源との接触の有無等に関する情報を提供する。
(3)感染者の行動歴等の情報。感染者が他者に当該感染症を感染させる可能性がある時期の行動歴等の情報については、感染症の蔓延防止のために必要な範囲で公表する必要がある。他方、他者に当該感染症を感染させる可能性がない時期の行動歴等については、感染症の蔓延防止に資するものではないことから、公表する必要はない。したがって、感染者が他者に当該感染症を感染させる可能性がある時期の行動歴等については、以下のとおり公表を行うこととする。また、公表に当たっては、公表による社会的な影響についても十分配慮し、誤った情報が広がることのないように丁寧な説明を求めることとする。
この行動歴については2つのケースを考えております。マル1として、感染者に接触した可能性のある者を把握できている場合。この場合には、公衆衛生上の対策に関する情報について公表することとしたい。感染者に接触した可能性のある者を把握できていない場合。当該感染症の感染経路(接触感染、飛沫感染または空気感染等)等に鑑みて、感染者と接触した可能性のある者を把握するため及び感染症を蔓延させないための適切な行動等を個人がとれるようにするために必要な情報を公表することとする。また、その際には誤った情報が広がることのないように、感染者の症状、他者へ感染させる可能性がある接触の有無等の正確な情報を発信することとするとしております。
その内容をこちらの公表基準というパワーポイントのほうで具体的に書いてございます。今、申し上げた3つの基本方針について詳細を書いてあります。例えば、感染症の基本情報というのは病原体、潜伏期間、致死率、他者への感染経路、主な感染源、他者に感染させ得る時期、こういった基本的な情報を公表するということ。それから、感染者の情報は公表する情報と公表しない情報に分けておりますが、公表する情報は左側に書いてございます。例えば入院した医療機関の都道府県は公表しますが、医療機関名は公表しません。居住地、年代、性別などは公表しますが、当然、氏名等は公表しないということでございます。
また、先ほど2つのケースに分けてという行動歴については、下の四角のところに書いてございますが、他者に感染させる可能性がある時期以降の旅程は基本的に出すと。それから、他者に感染させる可能性がある時期以降に感染者に接触した可能性のある者も把握できている場合、これは先ほどのマル1に当たる部分でございますが、こちらに書いてあるような情報を提供する。それから、接触した可能性のある者を把握できていない場合には、こちらに例示として出しておりますが、関する情報を皆様に公表させていただく。
右側に公表しない情報というのもまとめておりまして、例えば他者に感染させ得る時期以前の旅程や行動歴は公表しないなど、こちらのほうに記載をしております。
また、資料1-3にお戻りいただきまして、公表時期については、原則として、疑似症患者が発生した段階(国立感染症研究所に検体が到着した時点)で、速やかに厚生労働省ホームページの掲載、記者会見等を通じて公表を行う。公表の際には、公表内容について事前に自治体や関係省庁等と情報共有を行う。ただし、疑似症患者のうち、他者に感染させる可能性がある時期の患者(疑似症患者を含む)の体液等及び患者が発生している地域において感染を媒介する生物等との接触歴がない者については、感染症にかかっている蓋然性が低いため、疑似症患者が発生した段階ではなく、国立感染症研究所の検査により当該感染症にかかっていることが確定した段階で公表を行うこととする。これが新しく今回皆様に御議論いただきたい公表時期の考え方でございます。
その公表時期については、わかりやすいようにして資料1-4ということで書いてございますが、ちょっと書き方が悪いのですが、疑似症患者が発生した段階、括弧と書いてございますが、申しわけございません。こちらのほうの修正のミスでございます。疑似症患者が発生し、国立感染症研究所に検体が到着した時点ということで、これはイコールではないということを御理解いただきたいと思います。
今申し上げた内容について、資料1-2の「一類感染症への行政対応の手引き」のどこに先ほど申し上げた主な改訂の3つが書いてあるかということを簡単に御説明させていただきたいと思います。
まず、公表基準については、幾つか場所がございまして、39ページにウイルス性出血熱の「疑似症患者及び患者に関する情報公開」というところで、この基本方針に沿って対応するということが記載をされております。ほかの、ペストについては59ページ、ウイルス性出血熱への行政対応の手引きを参照するとさせていただいております。また、天然痘については88ページ、第一部ウイルス性出血熱への行政対応の手引きに準じるが、天然痘は自然界に存在しないため、発生時は状況に応じて、公表内容を決定し、情報提供を行うものとするというふうに追記をさせていただいております。こちらが先ほどの改訂内容のマル1、情報の公表についてにかかわる部分でございます。
また、マル2、自治体間の連携についてでございますが、28ページをごらんいただきたいと思います。こちらに「検体材料の輸送」というところがございまして、この中で輸送について書いてございますが、一番下のところです。「都道府県を超えて患者を搬送した場合等において、患者の入院勧告をおこなった保健所による検体の搬送が困難な場合には、当該保健所から入院先の医療機関の所在地を管轄する保健所や検体の搬送を依頼してもよい。検体の検査費用に関しては、患者の入院勧告をおこなった保健所の負担となる」ということを新たに追記させていただいております。
それから、天然痘に係る対応については、天然痘について63ページ以降、第三部として手引きを新たにつけ加えておりますが、一番最初のところに「通常の一類感染症患者への対応とは極めて異なる状況下での対応となる可能性が高いことに留意する」ということで、全体の一番最初の部分に、自然界にはない病気であること、そういったことを勘案した文章を入れております。
あとは、今まで使われておりました天然痘対応指針の中の行政にかかわる部分について、主に記載をさせていただいております。
以上が資料の説明になります。
○西條座長 それでは、ただいまの説明につきまして御意見、質問等がございましたら、皆さんのほうから挙手して質問とコメントをお願いします。ございますか。
まず、資料1-1、公表に当たって感染症に関する基本的な情報と公表する内容、それから公表しない内容と、第5回、前々回のときからいろいろと議論をしてきたのですけれども、今回の案では最終案として提案されております。この点について、特に公衆衛生上、患者さんの行動歴とか、またそのルートとかの公表のあり方でいろいろ議論があったと思いますけれども、何かありますか。
松井先生、この点で以前意見があったと思いますけれども、今回の提案についてどうお考えでしょうか。
○松井構成員 大きな方針について追加のコメントはございません。
ちょっと細かいことなのですがエボラ出血熱の公表基準で例を出しておられるところの一番下、感染者の感染予防対策の有無で、エボラに対して括弧でマスクを着用というのが書いてあるのは、西條先生、いかがでしょうか。
以上です。
○田中国際感染症対策室長 こちらは一般的な例示。
○松井構成員 エボラの参考資料1の一番下から2段目です。
○田中国際感染症対策室長 ごめんなさい。エボラのほうに書いてありますか。済みません。参考資料1ですね。承知しました。マスクは関係ないでしょうということですね。マスク着用は削除させていただくということでよろしいでしょうか。
○加藤結核感染症課長補佐 接触感染なので、標準的な感染予防策という形で手袋、マスクという形で書かせてもらおうとは思っていたのですけれども。
○松井構成員 これは感染者さんですよね。患者さんですよね。
○加藤結核感染症課長補佐 そうですね。
○松井構成員 患者さんがマスクをしていたかどうかということですね。
○加藤結核感染症課長補佐 そうです。感染者のです。
○田中国際感染症対策室長 感染者がマスクをしていたかどうかということです。
○加藤結核感染症課長補佐 感染者のほうですね。
○西條座長 足立先生。
○足立構成員 エボラ出血熱に関しては、血液、体液、体液の中でも嘔吐物、下痢便ということになっていますので、気道分泌物を介しての感染が主な感染経路と考えられているわけではないですから、マスクというのはちょっと本質からはずれるかなと思いますので、感染予防対策の有無、まででもよろしいのかなという気はいたします。
○西條座長 そのほかコメント、質問等はありますか。
齋藤先生。
○齋藤構成員 おおむね公表内容の方針について異議はないのですけれども、感染者の行動歴について、不特定多数に接触した可能性があるとして行動歴などを示す際に、ここで例示されているのはバスの中とかコンビニとか、ただ場所を淡々と、こういうところに行ったというのを説明して終わるのではなくて、その場その場に応じて公衆へのリスクの状況というのは異なっていると思いますので、その部分も含めて丁寧に説明するという方針であってほしいと思っております。
以上です。
○西條座長 ありがとうございます。
情報公開のあり方において、何かさらに質問、コメント等はございませんか。
○足立構成員 ちょっと確認させてください。同じく参考資料1の下側の感染者の行動歴で一番下の赤のところです。他者に感染させる可能性がある時期以降でというところで、公共交通機関だけではなくて、例えば、最初に受診した医療機関で捕捉されるとは限りませんから、2番目、3番目に受診した医療機関で初めて疑いとわかって届け出が出たときに、それ以前に受診した医療機関の情報を出すのかどうかというのは結構大事なポイントになってくるのではないかと思います。その点について事務局のお考えをお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○田中国際感染症対策室長 同じ公表基準の医療機関への受診・入院後の状況の一番右の赤で点線が引かれているところがあるのですけれども、基本的に医療機関名は公表しないとなっているのですが、これは医療機関での行動に基づき感染症拡大のリスクが生じ、不特定多数の者に迅速な注意喚起が必要な場合には公表を行う場合もあるとなってございまして、ここで言う医療機関はどちらかというと入院した医療機関を想定している部分はあるのですが、先生がおっしゃったように第1、第2の医療機関の場所で何か感染拡大のリスクが生じているようなことがあれば、そちらのほうは公表を行う場合もあるという考え方でございます。
○西條座長 よろしいですか。そのほかありませんでしょうか。
私のほうからコメントがありまして、どうしても議論がエボラ出血熱を中心にというか、イメージを描いて議論することが多いのですけれども、実際に流行地以外でウイルス性出血熱で患者さんが多いのは、輸入事例としてはラッサ熱ですね。ラッサ熱は動物に触れたとかそういったエビデンスがないまま感染していることが普通なので、特に流行地は西アフリカということですけれども、ですから、一類感染症全般ということであれば一くくりにもできないので、内規のような形で、考えられる一類感染症のそれぞれの病気に合わせて公表の基準といいますか、そういったところは整理しておく必要があるかなと思っています。
どうしてもエボラ出血熱だと患者さんに触れたとか、その流行地で生活していて患者さんに触れるということが感染源になるのですけれども、特にラッサ熱についてはしっかりと、少し区別して対応できるようにする必要があるというのが一つ意見です。
そのほか皆さんのほうからありますか。
それでは、もう一つ、座長で意見を言って申しわけないのですけれども、天然痘を今回、一類感染症に対応を加えたのですけれども、実際にはナイジェリアとかでヒトのサル痘ウイルスの患者さんが多くなってきています。それから、ヨーロッパではワクチニアウイルス、牛痘ウイルス感染症ですか。ワクチンを打っていない世代がふえてきて、一方、そういった天然痘と鑑別を要する類似疾患がふえてきている現状を踏まえて、鑑別診断のこととかそういった情報も、手引きの中に入れるかどうかというのはこれからの検討ですけれども、我々の間ではそういった議論をしていく必要があるということも考えておく必要があると。この2点、私のほうからコメントをしたいと思います。
以上です。
そのほか、皆さんのほうからコメント等はありますでしょうか。よろしいですか。
また何かこの案件につきまして意見等ありましたら、後からでもいいのでよろしくお願いします。
○田中国際感染症対策室長 事務局のほうから確認をさせていただきたいのですが、こちらは行政の手引きということで、自治体の関係者などが速やかに行動をしやすいようにするための手引きでございます。今、西條先生のほうからお話がございましたけれども、例えば鑑別診断とか治療とか、そういったものをこの手引きに入れるのがよいのか、そこは御議論をぜひいただきたいなと思っているところでございます。天然痘の部分、写真などがかなりたくさん入っておりますし、治療についてとか予防接種などについてもほかの疾患では考えられないような別の内容がかなり入っているのは事実でございまして、その部分について手引きに入れるのがよいのかを含めて、ぜひ御議論をいただければと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
先ほど私のほうから2つコメントをしたのですけれども、まず第1点目の公表の基準のところで、ラッサ熱については、この手引きの中に書き加えて明記する必要があるか、または内規のような形でそれをしっかりと準備しておくのがいいのか。この点、皆さんのほうで御意見ありますでしょうか。
行政対応の手引きということであるので、公表の基準とかそういったことは一類感染症全体の対応なのですけれども、対応する立場において、一番最初に患者さんを見つけるところにおいて、先ほど僕が言ったのはそのときに重要な情報なので、患者さんが出た、または蓋然性の高い方がいる、そういったことがわかった段階での公表のあり方においては現状のままでいいのかなというふうに思います。
資料の中で、媒介動物との接触歴等という言葉があって、それはエボラのこととかに引っ張られそうなので、ラッサ熱は本当にいつ感染したかわからないということから、今、確認させていただいたところです。
○足立構成員 医療機関の立場からすると、いつ、どのタイミングで疑似症を報告として上げるかというのは常に悩ましいところでありまして、エボラに関しては厚生労働省のほうで割と疑う、あるいは疑わないの明確な基準をつくっていただいていますけれども、ラッサ熱について、あるいはクリミア・コンゴもそうかなと思いますけれども、疑わしい度合いというのはかなりグレーというか、丁寧な問診、疫学的な状況、それから臨床医の判断ですね。その辺を組み合わせた濃淡のある、グレーなところもある疑わしさということになると思うのです。ですので、現状ではいきなり疑似症を上げてそれを受理していただくというよりは、感染研なり国立国際医療センターの専門家に相談した上で、そもそも疑似症届を出すかどうかを判断するという内情になっているとは思いますので、現状はそれが一番妥当な運用の仕方なのかなという気はいたします。
○西條座長 ありがとうございます。
○加藤結核感染症課長補佐 事務局ですけれども、先ほどの資料1-3、一類感染症が国内で発生した場合における基本方針という形で大きな考え方をこちらでは書いておりますので、先ほど西條先生もおっしゃっておりましたように、ラッサ熱が出た場合に関して、参考資料1で何を出すのかに関しては、専門家の先生とも相談した上でしっかりと、どこまで出すかということを考えておりますので、基本方針についてはあくまで基本という形で考えております。
○西條座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
○齋藤構成員 この一類感染症のような、まずふだん目にしない感染症に対してどういった形で準備をまとめて、どこまで準備しておくかというのは非常に難しいところであると思います。ふだんから疑似症の細かな基準を決めておけるわけではないので、ある程度、幅広にとれる基準を平時には示しておいて、1例、2例であればケース・バイ・ケースで評価しながら対応していく、ということになるかと思います。
ただ、2014年の西アフリカのような事態でかなり人数がふえてきたりとか、特殊なリスクが高い状況が発生するようであれば、そのときに具体的な通知をフレキシブルに、タイムリーに出して対応していく。それが基本的な手順になるのかなと、それでやっていくしかないのかなと思っております。
この行政対応の手引きですけれども、作成当初の考え方としては、いろいろな形で通知が個別に出されているものに対して、一類感染症対策として必要なものは、どの部分はどの通知に書いてあるのかというのを一目でわかるようなガイド文書としてまとめるというコンセプトでつくっていたかと思います。ですので、手引きというのが重たく何から何まで、一から十まで書いてあるという性質のものではなくて、ある程度の項目を示し、基本となる文章はどこに書かれているかを示し、そこに新たに通知とかが出てくれば、この手引きの中で、現在は一番新しい通知はこれですよと示していく。そういう体制づくりになっていく、基本的な考え方になるのではないかと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
事務局のほうでは今の議論の中で大分整理されてきておりますか。よろしいですか。
○田中国際感染症対策室長 齋藤先生からも御指摘いただいた点については、基本方針の中にも、著しく発生数がふえた場合にはこの限りではないということで、ケース・バイ・ケースというようなニュアンスは含まれているかなと思っています。
また、行政の対応の手引きについては、今、御意見いただいたとおり、天然痘も含めて通知などを御案内するというもののきっかけになるようなものを目指したいと思います。
○西條座長 それでは、第2点目ですね。私が提案したのですけれども、ヒトのサル痘ウイルス感染症です。今流行しているのは死亡率も相当高くて、それから輸入感染事例もふえているのです。イギリスであったり、シンガポールで患者さんが出たり、西アフリカ、特にナイジェリアからの輸入感染事例が多いのですけれども、こういった内容が鑑別診断としては一番重要になるかなと思っているのですけれども、その点について行政の手引きに、今後改訂するときに加えることというのは非常に重要かなと思ったのですけれども、これについて皆さんの御意見はいかがでしょうか。
それでは、大曲先生、何か御意見ありますか。
○大曲構成員 うまくまとめ切れていないですけれども、たしかUKで出ていますね。そのときの話を関係者に伺うことがあったのですけれども、やはり当初念頭に上がったのは天然痘の話でして、かなり社会も緊張しましたし、対応は少し混乱したとは言いませんけれども、天然痘の対応を想定しながらの対応なので、かなり大変だったということは聞いていました。
ということで、思ったのは、とはいっても天然痘と思いながらもサル痘といったようなものは、ほかの疾患のことも十分あり得るということで、天然痘が想定されるような事例が発生した場合、ほかに何を想定して動けばいいのかといったことを、その臨床像も含めて具体的に挙げておくということは一つ大事だと思いました。
もう一つは、かっちりとした手引きに落とし込むような行政文書に入れるかどうか、僕はどちらかというと入れないほうがいいのかなと思うのですが、そういう事例があったときにどのように動くべきかというか、難しいですが、ガイダンスではないですけれども、そういったようなものは参考資料的にあってもいいのではないかと。それを見て我々が、なるほど、こういう事例があったらこのようなことが起こり得るので、こうやって動けばいいのではなかろうかというイメージを持つことができますので、少なくともそういったものはあったほうがいいだろうと思います。
それから、今の僕の感覚では、ここに落とし込むほどかっちりとは決めないほうがいいのではないかと思っておりました。
○西條座長 ありがとうございます。
そのほか御意見ありますか。
○足立構成員 済みません。発言が多くて申しわけないのですが、水疱形成性の感染症ですと、臨床像からすると、水痘みたいに見えるけれども、実は検査でそうではない。そうしたらほかに何を考えたらいいのかという、臨床は恐らくそこから疑いを持つことをスタートするのではないかと思うのです。水痘に一見似ているけれどもそうではないとなった場合に、どこでサル痘、天然痘を含めたほかの重大なウイルス感染症の検査あるいはその報告、疑似症届け出を上げるのかを何で判断したらいいのか。重症度で判断するのか、患者さんがどんどん重症化して亡くなって、そういう事態になって有事対応といいますか、サル痘、天然痘、その他を考えるほうにかじを切っていくのか、あるいは疫学状況、複数発生していたらそこで考えるのか、それとも天然痘であればバイオテロ情報があれば考えるし、なければとりあえずは想定しないでおくのか。何でもって一線を一旦越えて取り扱うのかという、そこの判断をどこに置くのかが医療機関側としては届け出を出すか出さないかの一つの分かれ目になっていくのかなと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
そのほか質問等ありますか。
齋藤先生。
○齋藤構成員 たびたび済みません。一応今の案の中で、73ページの「想定すべき国内発生状況」、あるいは4の「感染症法に基づく届出基準」というところに書き込む余地があるのかなという気はしています。恐らく、73ページの2の「想定すべき国内発生状況」というところの中に、現時点では自然界にはないものなので、ただ、こうこうこういう似ている疾患が出ている状況はありますよと。そういうのを慎重に鑑別した上でというような注意書きがあってもいいのかなと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
僕の提案したサル痘ウイルス感染症の取り扱いについては大分集約されてきたかなと。齋藤先生の御意見も足立先生の御意見もありますので、そこは改訂の余地があるかなということでまとめさせていただきたいと思います。
そのほか全体を通じて、資料1-2、公表基準等、何か質問、御意見ありますか。
それでは、この部分を議論してきましたけれども、齋藤先生、全体を通じて、例えば天然痘に関する部分等について、何かコメント等はございますでしょうか。
○齋藤構成員 ありがとうございます。
今回、天然痘もこの中に入って、一類感染症という形でまとまるのは非常にいい方向性なのではないかというふうに思っています。
天然痘対応指針(第5版)という形で一回まとまったものがありますので、それをどう生かしていくのか、あるいは全て行政対応の手引きに統合していくのかというところはちょっと考えるところがあるのかなと思いますが、バイオテロを念頭に置いたような対応もまざってくることは考えられるので、それは天然痘対応指針をつくったときから10年以上たってかなり状況が変わってきているので、そのあたりは慎重に、まだ検討する余地があるかなと思っています。
ただ、公衆衛生対応の基本の部分については大きく変わっているところではないと思いますので、それは手引きの中に入れ込んでいけるのではないかと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
ただいまの御意見について何か意見等ありますでしょうか。
事務局のほうからは何かお考えはありますか。
○田中国際感染症対策室長 御意見ありがとうございました。
天然痘の対応指針はかなり細かい内容が含まれておりまして、今回の行政の手引きに全てがもちろん入っているわけではございません。先生方の御意見を踏まえると、治療やかなり細かい鑑別診断などについては、参考資料みたいな形で別途、手引きとは違う形でお示しをするのが妥当かなと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
○西條座長 皆さん、今の意見についていかがですか。
賛成ということでまとめさせていただきます。
○田中国際感染症対策室長 では、非常に時間がかかって、かなり昔のものなので、先生方の御協力をいただいて適切なものに変えたいと思いますので、また先生方、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
○西條座長 どうぞ。
○松井構成員 一類感染症の行政対応の手引きの天然痘部分でちょっと確認したいことがあるのですけれども、レベルIからレベルIIIというふうに定義がされているのですが、これはどういう仕組みで決めることになっているのかということが書き込まれていないのが1点気になったのと、あと、レベルIIを飛ばしてレベルIIIになった場合に、レベルIIでカバーすべき対象者への対応をどうするか。I、II、IIIとリニアに進んでいくシナリオを前提に書かれているところが、今読んでいて気になりました。
あと、レベルIIIになった場合に、疑似症の定義を別途作成するのかどうかというところあたりも書き込まれていないのかなと思いました。
以上です。
○西條座長 ありがとうございます。
ただいまの意見について、皆さんのほうからも何かありますでしょうか。意見に対する質問とコメント。
○田中国際感染症対策室長 この天然痘の対応指針の中にあるのは、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会大規模感染症事前対応専門委員会の報告書を抜粋したというふうになっております。そのときにリスクの考え方については議論があったということで、79ページの下に抜粋一部改変ということで出典を書かせていただいておりますけれども、こちらのレベルについての考え方をもう少し追記するということでしょうか。
○松井構成員 誰が決めるかということです。
○足立構成員 疑似症の症例定義については、現行の痘瘡の症例定義がなかなか、医師が疑った場合に届け出ると、端的に言うとそういう書き方になっていますので、余り客観的に天然痘らしさを絞り込めるふうにはなっていないのが実情だと思うのです。ですので、一類感染症、疑似症届け出というインパクトを考えると、なかなか届け出しづらいのが実情ではないかと思います。
もしかすると天然痘が疑われる患者さんが発生した場合に、あるいは国内でこういったケースが実は1例だけではなくて2例、3例あったという場合に、疑似症サーベイランスのほうを使ってそれで届け出るというのももしかするとありなのかなと思うのですが、発熱、発疹、重症度ですね。それで届け出ることにはなっていますので、それで実は天然痘がキャッチされるというシナリオもあり得るのかなという気はいたします。
○西條座長 ありがとうございます。
事務局のほうでこの基本方針のレベルI、II、III、平常時はレベルIなのですが、これを規定する主体がどこかということだと思うのですけれども、何かお考えはありますか。結核感染症課ですかね。
○田中国際感染症対策室長 一応、厚生労働省健康危機管理調整会議というものがございまして、部局横断的な組織でございますので、海外でのテロの蓋然性が高いと判断されるに至った場合などはこちらのほうで情報共有をさせていただいておりますので、こちらで基本方針などのレベルを議論することは可能かと思います。
○西條座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
齋藤先生。
○齋藤構成員 天然痘対応指針をつくった際に、一類感染症に関する対応のいわゆる基本的な型というのは全くなかった状況でして、天然痘は2001年のアメリカでのテロの後を受けて、一類感染症の中でここだけは整備されたという状況だったかと思います。そのため、天然痘の技術委員会とか、天然痘個別にいろいろなものを立てることになっているのですが、今となっては一類感染症に関してかなりいろいろなものが定まってきているので、現在あるものを準用していくというのが一番すっきりした形になるのではないかと思うので、そこは対応指針と一番齟齬が出てくる部分なので、検討が必要なのではないかと感じます。
○田中国際感染症対策室長 御指摘のところは、74ページの厚生労働省天然痘技術委員会等を現状の体制に改めるというような御指摘ということでよろしいでしょうか。
○西條座長 齋藤先生。
○齋藤構成員 今、一類感染症のこの検討会もありますし、治療に関する委員会もありますし、その枠の中で、例えば今であればできるのではないかというのもありますし、そういう現在ある枠組みをうまく使うのがよいのではないかと思います。
○田中国際感染症対策室長 ありがとうございます。
○西條座長 この点も大分整理されてきたと思います。
柏樹先生、お願いします。
○柏樹構成員 この天然痘の部分でございますけれども、以前、私が関西空港検疫所にいたときに大阪府、大阪市と共同で天然痘の訓練を実施しましたが、行政側として割と重要だというか、その流れを理解しておかないといけないなと思ったのは、予防接種の会場をどのような流れで設営するかということですね。そこはこの中に一言あってもいいかなと。実際に起きたときにどのように予防接種会場を設営して、どういう流れでやっていくかというところは、多分、検疫所もそうですけれども、保健所の方々もなれていないというか、ふだんはやっていないところだと思いますので、そういう情報がこの中にあってもいいなというのは思いました。
○西條座長 ありがとうございます。
先生が今発言された内容も含めて幾つか調整が必要なところもあったり、それから鑑別診断のところもありますので、この件につきましてはしっかりと座長も含めて事務局とも相談して、そして改訂していくということにしたいと思います。
どうぞ。
○齋藤構成員 あと、この天然痘対応指針がつくられたときの状況というのは、今よりも一段蓋然性が高い状況でつくられている。これは都道府県にも天然痘の行動計画をつくってもらっているような状況下です。だから、高い蓋然性を認識して、一歩先に動いている状況なのです。なので、地方自治体の対策本部とかを立てるようにと書いてありますけれども、そこは今とリスク認識が違う状況下での文書だということは考えておいていただきたいと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
それでは、この件につきましては、ここまでとさせていただきます。
それから、資料1-3、一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針です。これは個人情報とか人権とかそういった側面に配慮する必要がある、こういった内容であります。
本日は、小町谷参考人と栗山参考人にこの会議に出席していただいております。小町谷参考人のほうから御意見、コメント等はありますでしょうか。
○小町谷参考人 小町谷です。
基本的には個人情報の保護については行政機関の場合は行政機関個人情報保護法、民間の場合は個人情報保護法と両方法律があって、それで動いていると。自治体は自治体でまた個人情報保護条例がありますので、この3つを考えながら動くわけなのですけれども、どの法律あるいは条例もこうした公表については法令に根拠のある場合にはそちらに譲ることになっていて、例外的に提供することができるという解除条件がついていますので、この感染症法はその法令の根拠に当たると理解しております。ですから、基本的には感染症法の16条でよろしいのでしょうか。個人情報の保護に配慮するという規定の意味がこの基本方針に反映していればいいということになろうかと思います。
個人情報の保護に配慮するというのは、基本的にはかなり特殊な地域に行かれる方なので、戻ってきたときに個人が特定される可能性がかなり高い。つまり、その方の周辺の方はその方の行動を知っているので、公表されたときには多分この人だということがわかる。そうするとやはり、どうしても個人の特定性は否定できないと思います。それを前提として、個人が特定されるとしてもそれが必要最小限の情報になっているかどうかということが重要だと思われますので、今ここに書かれている公表基準はそれを満たしているものではないかと思います。
その前提となる問題、ちょっと違う角度の問題なのですけれども、不当な差別が起きたり偏見が生じるというのは、まず、病気に対する誤解、また、誤った情報というのが今はインターネットでいろいろあるものですから、そういったことが生じないようにするというのも公表するときに非常に重要な問題だと思われます。そうでないと、エボラ出血熱であれば接触感染なのですよというふうにきちんと言わないと、例えば同じ電車に乗っていたら、私は同じ電車に乗っていたと思うのだけれどもということでわっとパニックになる方が出ないようにするということも重要なので、どのようになると感染が起きますよということと、こういうことであれば一定の程度は大丈夫ですよということがわかるような情報の公表のされ方をすればよろしいのかなと感じました。
以上です。
○西條座長 ありがとうございます。
続いて、栗山参考人のほうからコメントをいただきたいと思います。
○栗山参考人 アラジーポットの栗山と申します。
今の話を伺っていて、全くそのとおり、それから、これを読んでいて、よく安心・安全のための情報とつなげて使われるのですけれども、この公表は安心のための公表ではなく、安全のための公表だと、その差をきっちりとつけて公表していただきたい。そういう意味では適切な公表の基準ではないかなと思いました。
今、法律的ないろいろなお話をしてくださって、一番最後におっしゃったのは、やはり正しい情報をきちんと出していただくことによって、余計な不安を感じることなく、安全にきちんと対応できる。安心して、それによって暮らせるということだと思いました。
済みません。私、子供の会をしておりますので、ちょっと一言、もしかしたら余計なことなのかもしれない。ここで検討されていることとは違うのかもしれないのですけれども、その安全のための公表の中に、親が特殊なところに行っていてこういう病気にかかって、その後のお子様の学校とかの対応というか、周りの子供とかその親が正しい情報以外のことで右往左往する、あるいはその子に余計なプレッシャーとかいじめがかからないようにということでも御配慮をいただきたいなというふうに思います。
済みません。最後に余計なことを言ってしまったかもしれませんが、安全のための公表で十分な配慮をいただいているのかなというふうに思いました。
○西條座長 ありがとうございます。
小町谷参考人、栗山参考人、本当にありがとうございます。
それでは、ここの部分につきましては議論も大分進んできまして、幾つか改訂するべきところもありますけれども、その方向性を踏まえて最終案に向けて活動していきたいと思っています。
そろそろ意見も出尽くしたようなので、この改訂の内容、公表基準について、基本的に本日お示しした内容を当検討会の方向性とすることで御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西條座長 ありがとうございます。
それでは、次に、患者・検体の搬送に係る自治体間の連携について、本日御議論いただいた内容を当検討会の方向性とすることも御了承いただけますでしょうか。
議論のところでは余り問題点にはならなかったのですけれども、もし、先ほど他県から別の県に患者さんが移送されるとか、その場合の検体の移送、その責任のあり方とか費用のあり方とか説明があったのですけれども、意見は余り出なかったのですが、こちらのほうもこの検討会の方向性とすることでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西條座長 ありがとうございます。
最後に、天然痘に関する部分です。これは非常に議論が行われたのですけれども、この議論を踏まえて当検討会の方向性とすることにつきましても御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西條座長 ありがとうございます。
行政の手引きについては、本日いただいた意見を踏まえて事務局で修正していただき、細かい表現等については私、座長に一任していただくことでよろしいかということを確認させていただきたいのですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西條座長 必要に応じて、もちろん委員の皆さんにもメールで確認していただくこともありますので、その際には御協力をよろしくお願いします。
それでは、本検討会としてのこの項目に基づいて、事務局において公表基準、自治体間の連携方法、天然痘に関する記載を加えた上で、一類感染症への行政対応の手引きの修正をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、この議論、意見も出尽くしてきたところなので、まとめに入りたいと思いますが、まず、改訂の内容のうち、公表基準については、検討の結果、先ほど事務局から説明されたとおり、それぞれのステージにおいて公表のあり方を決定したということです。
それから、患者・検体の搬送に係る自治体間の連携についても、先ほど事務局から説明されたとおりの内容ということにしたいと思います。
それから、天然痘に係る対応につきましては、先ほどの議論を踏まえて事務局に手引きを改訂していただき、そして、再度検討会で議論したいと思います。
それでは、議題2「エボラ出血熱の治療薬等について」の議案について議論したいと思います。
まず、資料2を事務局から説明していただきたく思います。よろしくお願いします。
○田中国際感染症対策室長 資料2「エボラ治療薬に関するWHO主導の研究について」をごらんいただきたいと思います。WHOの専門家が推奨している4剤、こちらに出ている4つのお薬について、投与後28日目の死亡率を投与薬剤ごとに比較をしたランダム化比較試験が行われた結果が取りまとまっております。対象者としては、コンゴ民主共和国、こちらに書いてある地域のエボラ治療センターにおいて検査診断された全年齢の男女。期間は2018年11月20日から2019年8月9日、参加人数は681人で、結果は右側の2剤においてほかの薬剤よりもすぐれた治療効果が認められた。ここでいう治療効果は死亡率の低下ということでございますが、こういったエビデンスが西アフリカでエボラが出たときよりも大分治験が集積されてきているということで、現在のWHOの研究についての結果を今回、お示しさせていただいております。
右側の2剤については有効性が確認できるということで、一番右側のmAb114については現在、FDAで申請を行っているところという情報がございましたので、まず先生方に御報告をさせていただきたいと思っております。
また、おめくりいただきまして、エボラワクチンについて。これも2種類推奨されるワクチンがございますが、左側のワクチンについては、EMAで承認をされております遺伝子組換えの生ワクチン、ザイール株対象のウイルスということでございますが、こちらも有効性が大分確認できるようになったという状況でございます。本日こちらをお示しさせていただいたのは、日本にもエボラウイルスの輸入が既にされていることは御承知のとおりと存じますが、そういった状況の中で、まだコンゴ民主共和国の中ではPHEICが継続している状況と。そのような中で、こういった治療薬もしくはワクチンを日本としても使えるような体制をとることが必要ではないかと事務局では考えておりまして、これについては皆様、専門家の御意見をぜひいただきたいということで、こちらの資料を御用意しております。皆様の御意見をいただければと思います。
○西條座長 ありがとうございます。
まず、エボラ治療薬、WHO主導の研究についての資料ですね。Zmapp、REGN-EB3、mAb114、これはモノクローナル抗体製剤です。それから、Remdesivirはケミカルな物質でウイルスの増殖を抑える薬剤ということで、この4つとも静注薬ということです。
今の説明につきまして、皆さんのほうから質問、コメント等はございますでしょうか。
事務局に確認なのですけれども、これは「New England Journal of Medicine」の内容で、出典はそこということでよろしいですか。
○田中国際感染症対策室長 海外での承認状況などはこちらには出ておりませんが、スタディー全体の内容としてはこちらの論文をもとにしているものでございます。
○西條座長 ありがとうございます。
質問等、ございませんか。
エボラ出血熱の流行があって、ちょっとコメントが長くなりますが、そもそもウイルス感染症に対して抗ウイルス薬とか治療薬があるというのはむしろ逆に本当に少なくて、そういった中でエボラ出血熱の治療薬が開発されていると、これは非常にすばらしいことかなと思っています。皆さんのほうからコメント等はありますか。
釜萢先生、何かありますか。
○釜萢構成員 こういう新法あるいは薬剤の開発が行われたというのは、座長がおっしゃるように大変画期的なことだと思います。
それで、我が国においてこの薬剤あるいはワクチンが使えるようになるという方向をぜひ模索すべきだと思うのです。一方で、現在非常に流行している地域があって、そちらにまず優先しなければならないだろうと思うのですけれども、我が国にこれを導入する場合には、どのような手続とか工夫が必要なのかというところが、もし事務局から御説明いただければ教えていただきたいと思います。
○西條座長 それでは、事務局からよろしくお願いします。
○田中国際感染症対策室長 御質問ありがとうございました。
釜萢委員御指摘のとおり、エボラのワクチンにつきましては、やはり今、流行地域があるということで、そちらでの使用を優先するというと聞いております。また、その後もそういったところ、流行地に適切に配分されるようなことを目指しているということで、ワクチンについてはなかなか日本を含め、いろいろな国に譲渡するのは難しいというようなことは聞いているところでございます。こちらは日本での販売元のほうからそういった御意見を聞いているところでございます。
一方、治療薬につきましても、現状どういう形で日本に入れられるかということを今、模索しているところでございまして、なかなか未承認薬であるということも含めて、手続などは我々としてもいろいろな国に当たっているところでございます。
使用については、やはり未承認薬であるということもあり、研究ベースで万が一患者が出た場合には研究のデータを収集するということもございますので、そういった形で投与するということを考えているところではございます。
○西條座長 ありがとうございます。
そのほかコメント等ございますか。
大曲先生、いかがですか。
○大曲構成員 ありがとうございます。
現場の人間としての発言なのですけれども、1つはやはり、私たちは特定の病床を持っていまして対応しておりますし、一種の指定医療機関でも疑似症、あるいは本当に起これば対応する必要があるスタッフがいるわけでして、また、場合によっては海外への派遣ですね。JDRを含めた派遣もあり得るわけでして、彼らに対して説明できるような十分な備えというのは要ると思います。
そういう意味では、まずワクチンのほうからいきますと、少なくともEMAで承認されたものが一つありますので、これを、今御説明いただいたようにもちろん流行地に持っていくのが最優先でありますので、そういう状況はありますけれども、流通の状況がもうちょっと変わってきたようなところで何とか日本に入れていただいて、枠組みは研究ということで今お話がありましたけれども、そういう形でいいですので、なるだけというか、できれば本当に早く打てるようにしていただければと思います。それが1つです。
治療に関しても基本的には一緒です。ただ、治療はやはり、一つは今、FDAで申請中ということではありますけれども、まだ世界でどこでも承認されてはいませんので、もっとハードルが高いということはあるかと思います。ただ、万が一でも日本で感染例を治療するということは起こり得る話でありますので、そのときにできるだけのことはすべきだろうと。そういう意味では、大変とは思いますが、このように海外でも未承認だけれども、そういったお薬を何らかの形で入手して、日本国内で研究のような形で投与する。当然、安全性に関してはしっかりデータをとるといったことは大事だと思います。
もう一つは、現実的な意味での話なのですけれども、もちろん、ワクチンにしても治療薬にしても、日本に物が入ってくれば一番いいとは思います。ただ、そこはいろいろなことが絡んできますので、現実的にはなかなか予想しがたいところがあると思います。その中でも、余り想定したくはありませんが、病原体を扱っていらっしゃるときに針刺しをされたですとか、JDRで派遣された者が暴露した、あるいは発症したなどということがあったときに、実際に治療できる手段というものは、やはり何とか手元に置いておきたいというところは、正直、現場の人間としてはあります。
そういう意味では、大分位置づけが変わってきてはいますけれども、前回のエボラの流行でも議論になったファビピラビルの使用に関しては、オプションの一つとして考えておく必要はあるだろうと思っています。
○西條座長 ありがとうございます。
そのほかコメントありますか。きょうはエボラ治療薬に関するテーマなのですけれども、一類感染症の手引きというのを広く見ると、先ほどのファビピラビルはほとんどの一類感染症の病原体の増殖を抑制するという特徴のある薬でもあるかなと思います。
あと、少しだけ説明しますと、ワクチンのほうです。これはVSVという偶蹄類のウイルスなのですね。このウイルスにエボラウイルスの膜タンパク質を発現させている。それから、右側のJohnson & Johnsonのは、アデノウイルスというウイルスにエボラウイルスの膜タンパク質の遺伝子を入れたもので1回投与して、それから、非常に安全な天然痘ワクチンがあるのですけれども、これはMVAといいますが、これも遺伝子の中にエボラウイルスの膜タンパク質の遺伝子を入れたもの。これは別のウイルスベクターのもの、まず、アデノウイルスのベクターのワクチンを打って、その後、天然痘ワクチン由来のエボラワクチンを打つという方法のものです。
事務局から、エボラ出血熱に関するWHO主導の研究について御説明がありましたけれども、全体を通じて何か意見、コメント等はありますでしょうか。よろしいですか。
それでは、「エボラ出血熱の治療薬等について」という項目について説明を受け、意見も出尽くしたと考えております。本日示した薬剤の輸入の検討を開始すること、これは先ほど釜萢先生、大曲先生、現場の声ということもありまして、ぜひこういった治療を受けられる、またはワクチンを受けられるようなプロセス、検討を始めることをこの検討会で了承するということで、皆さん、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○西條座長 ありがとうございます。
それでは、この検討会として、この項目について話を進めることにしたいと思います。
全体を通じて、質問、コメント等はございますか。
それでは、事務局のほうにマイクをお渡しして、何かコメント等ありますでしょうか。
○田中国際感染症対策室長 本日は活発な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
次回の会議につきましては、改めて皆様に予定が決まり次第御連絡をさせていただきます。いただいた御意見を踏まえ、事務局のほうで必要な手続等を進めてまいりますので、改めて御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、日下課長より閉会の御挨拶をさせていただきます。
○日下結核感染症課長 結核感染症課長の日下でございます。
本日は、お忙しい中、本会議に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。また、本来は冒頭から出席をさせていただくところでございましたが、公務のため出席できず申し訳ございません。閉会の御挨拶をさせていただくということで、ご容赦いただきたいと思います。
今回は、「ウイルス性出血熱への行政対応の手引きの改訂について」と「エボラ出血熱の治療薬等について」の2つについて御議論をいただきました。構成員の皆様におかれましては、真摯かつ活発な御議論をいただきましたこと、まことにありがとうございます。
今後とも、感染症対策を初めとする厚生労働行政に御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
○田中国際感染症対策室長 ありがとうございました。
○西條座長 それでは、この検討会はこれで終了させていただきます。皆さん、どうもありがとうございました。