第6回社会福祉法人会計基準検討会 議事録

日時

令和2年2月26日(水) 17:00~19:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E(14階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・秋山(あきやま) (しゅう)一郎(いちろう)  日本公認会計士協会常務理事
 ・(おか) (しょう)()    岡庄吾公認会計士事務所代表
 ・亀岡かめおか) 保夫(やすお)    大光監査法人理事長
 ・(しば)  (たけし)    日本公認会計士協会前常務理事
 ・馬場(ばば) (みつる)    日本公認会計士協会福祉専門委員会委員長
 ・松前(まつまえ) ()里子(りこ)   日本公認会計士協会研究員
 

 

議題

(1)社会福祉法人における組織再編に関する会計処理について
(2)その他

議事

 
○高坂福祉基盤課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回「社会福祉法人会計基準検討会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
 初めに、本日は、中村構成員及び宮内構成員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、谷内社会・援護局長は公務のため、遅れて参加の予定です。
 続きまして、資料の確認でございます。
 本日はペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて、資料の御説明をさせていただきます。
 それでは、ここからの議事運営について、芝座長にお願いしたいと存じます。
 カメラの方々は、これで御退室をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○柴座長 それでは、議題に入ります。
 初めに、これまでの議論を踏まえ、事務局のほうから資料1「社会福祉法人における組織再編に関する基本的な会計処理について」、資料2「『社会福祉法人会計基準』及び『社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて』の一部改正について」をまとめて説明をお願いします。
○横溝専門官 専門官の横溝でございます。
 資料1、資料2について説明いたします。
 まず、資料1を御覧ください。
 こちらは、今まで御議論いただいてきた資料になります。
 こちらは、前回、第5回の議論を受けて修正しております。
 まず、1ページ目から説明させていただきますが、基本的に直した部分ということを中心に説明させていただきます。
 まず、1ページ目、こちらは、特段修正はございませんが、組織再編に関する法的な手続と会計処理の状況を示した図でございます。
 2ページ目、組織再編における結合の図でございますが、こちらも特段変更はございません。
 3ページ目から5ページ目まででございますが、今まで論点1から論点2の間に載せておりました、前提事項に関するスライドでございまして、こちらは、場所を移動したということだけで、中身の大きい変更はございません。
 6ページ目、論点1になりますが、社会福祉法人における結合の定義が、統合と取得それぞれについて記載させていただいております。こちらも大きい変更はございません。
 論点2につきまして、取得と統合の判定の案になっております。
 合併と事業の譲受け、合併については統合、事業の譲受けについては原則として取得、こちらの判断基準については、おおむね合意されているところと、余り異論がなさそう部分ということでございましたが、理由の表現につきまして、前回の議論で余りしっくりこないという御指摘をいただきました。
 その御指摘を受けまして検討した結果、それぞれ記載を変更しております。それぞれ読み上げます。
 合併につきましては「持分がないため対価が支払われることはなく、結合当事者の一方が他方の事業の支配を獲得することが想定されないため」と言う表現にしております。
 事業の譲受けにつきましては「事業の価値に見合った対価の受け払いがある場合、譲受法人が対価の支払いによって事業に対する支配を獲得したと認められるため」、こちらは対価の受け払いというところで、事業の価値に見合ったというところがメルクマールとなるのかと考えておりまして、無償の場合はどうするのかということは、ゼロの対価を受け払ったという形で、そういう解釈で構成しておりますが、少し分かりにくい表現になっているかもしれませんので、御意見をいただければと思います。
 8ページ目、統合のイメージ図でございますが、こちらは特に変更はございませんので、飛ばさせていただきまして、9ページ目、統合の会計処理の案でございます。
 修正持分プーリング法と持分プーリング法について、結合時点の違いだということで説明させていただきましたけれども、こちらは御議論があったところでございまして、まだ、採用してはどうかという形で表現しております。
 この後は、資料2のほうで文案が出てきますけれども、修正持分プーリング法、持分プーリング法、パーチェス法と、そのような言葉は使わずに、結合組織の会計処理というところの下の2段落目、2つ目のところの内容をそのまま記載する形にしております。
 結合時の適正な帳簿価額を引き継ぐという、修正持分プーリング法のほうがよいのではないかと考えておりますが、結合時をいつとするというところについては、重要な取引がそのあいだまであるかと、例えば決算日から1日おいて、4月2日に合併したというときに、本当に、一回仮決算しないといけないのかと、そのような内容については、あいだに重要な取引があるかどうかというところで、前年度の決算をそのまま使えるかというのは判断していただく、解釈で判断していただく内容になると考えておりまして、引き続き、修正持分プーリング法➀のほうでいかがでしょうかと、提案させていただきます。
 3-2、10ページ目、11ページ目に、統合における会計上の個別論点ということがございまして、こちらは基準省令、通知には特に記載するような内容ではなくて、それほど原則的な会計処理の問題ではなくて、個別の論点という扱いになります。
 こちらについては、せっかく整理した内容なのですので、QA等で皆様にお示しするということを考えております。
 内容については、整理が終わっているという扱いで、10ページ、11ページ目は判断しております。
 12ページ目、取得の会計処理のイメージ図でございますが、こちらも飛ばさせていただいて、13ページ目、取得の会計処理については、パーチェス法と、結合時の公正な評価額を付す方法で、合意されたものと考えております。
 14ページ目、取得における会計上の個別論点につきましては、こちらもQAに載せるような内容かなと考えております。
 最後、15ページ目、論点5になりますが、譲り渡し側の会計処理で、原則的な会計処理として差額を損益で、こちらは、固定資産の売却であったり、有価証券の売却であったり、そちらと特段差があるものではございませんので、こちらもQAに載せるような内容かなと考えております。
 基本金の処理につきまして、前回、通知に書いてある取り崩す内容に該当するので、取り崩すということでいかがでしょうかというところで、例えば、複数事業で共用されている場合とか、個別対応をしない場合、どうなるのだということで御意見をいただきまして、この内容を合理的な基準で配分して、按分計算して取り崩す額を計算するのではないかということで、構成員の方から御意見をいただきましたので、その部分を追加しております。
 この内容は、頻繁に起きる内容なのかなということで、頻繁に起きるのであれば通知の文書を変えるということも考えられますが、余り頻繁には起きないのかなということで、こちらもQAに載せる内容になるかなと考えております。
 続きまして、資料2、会計基準省令と局長通知案の内容について説明させていただきます。
 資料2を御覧ください。
 資料2は、別紙1と別紙2が本体ということで、早速、別紙1のほうを説明させていただきます。
 別紙1「社会福祉法人会計基準の一部を改正する省令(案)」ということで、左側、改正後の内容でございますが、計算書類に対する注記事項が書かれております。29条に合併または事業の譲渡もしくは譲受けが行われた場合には、その旨及び概要を書くということを追加しております。
 第29条の4項になりますが、こちらは、拠点区分の注記の話でございます。
 拠点区分に注記させる必要はないだろうと考えておりますので、追加する第1項15号は拠点区分の注記事項から外しています。
 附則で施行期日になりますが、周知期間も考えまして令和3年4月1日からと予定しております。
 別紙2でございますが、局長通知案になります。
 1ページ目は、頭紙でございますので、2ページ目を御覧ください。
 20項に「組織再編について」ということで記載を追加させていただいております。
 (1)から(4)までが基本的な会計処理について、(5)についてが、今回初めてお示しする内容でございますが、注記の内容ということになります。
 (1)には、資料1の論点1になりますが、その内容が記載されております。
 (2)には、修正持分プーリング法の会計処理が記載しております。
 (3)には、取得パーチェス法の会計処理が記載されております。
 (4)には、論点2に書いてありました合併と事業の譲受けの統合、取得の判断の基準が書いております。
 (5)につきましては、初めてでございますので読み上げさせていただきます。
 (5)合併及び事業の譲渡若しくは事業の譲受けが行われた場合の注記は次の項目を記載する。
 ア 合併の注記
 ➀ 合併の概要
 合併直前における合併消滅法人の名称及び事業の内容、合併を行った主な理由、合併日及び合併の種類(吸収合併又は新設合併)並びに吸収合併の場合の合併後の合併存続法人の名称
 ➁ 採用した会計処理
 ➂ 計算書類に含まれている合併消滅法人の事業の業績の期間
 ➃ 譲り受けた資産及び負債の額並びにその主な内訳
 ➄ 消滅法人において、会計年度の始まりの日から合併日直前までに、役員及び評議員に支払った又は支払うこととなった金銭の額とその内容
 イ 事業の譲受けの注記
 ➀ 事業の譲受けの概要
 事業の譲受けの相手先の名称及び譲受けた事業の内容、事業の譲受けを行った主な理由、事業の譲受けを行った日
 ➁採用した会計処理
 ➂ 計算書類に含まれている譲受けた事業の業績の期間
 ➃ 譲り受けた資産及び負債の額並びにその主な内訳
 ウ 事業の譲渡の注記
 ➀ 事業の譲渡の概要
 事業の譲渡の相手先の名称及び譲渡した事業の内容、事業の譲渡を行った主な理由、事業の譲渡を行った日
 ➁ 採用した会計処理
 ➂ 計算書類に含まれている譲渡した事業の業績の期間
 ➃ 譲渡した資産及び負債の額並びにその主な内訳
 そのほか、こちらは20項に追加しますので、その後の項については、順送りになります。
 また、別紙1に計算書類に対する注記の例がありますので、合併、事業譲渡等の注記の項目を追加することになります。
 資料についての説明は、以上でございます。
○柴座長 ありがとうございました。
 それでは、各構成員から御質問や御意見がございましたら、挙手の上、よろしくお願いいたします。
 岡構成員、お願いします。
○岡構成員 今、御説明になかったのですけれども、資料2の頭紙の※印の部分、支払超過差額の件、のれんのことだと思うのですけれども、これについて、どういう取り扱いになったのか、改めて御説明をいただければとありがたいのですけれども。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 支払超過差額ですが、一般的には、のれんと言われるものでございますが、その科目の設定等につきましては、他の非営利法人、公益法人、学校法人等の会計基準における科目設定の動向も踏まえて、改めて検討させていただきたいと思います。
○柴座長 よろしいですか。
○岡構成員 ということは、今回は、この検討会では、そこには突っ込んで触れないということですね。
○横溝専門官 そのように御理解をいただければと思います。
○柴座長 宇野課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 今の御質問に対する補足でございます。
 これまでの5回までの検討会で、この辺りにつきましては、積極的に、活発な御議論をいただきまして、感謝申し上げます。
 ただ、支払超過額差額の科目の設定につきまして、様々な御意見がございました。
 そういう中では、こういった科目の設定についての積極的な御意見もあれば、消極的な御意見もございました。
 我々といたしましては、これは、非営利法人の会計基準でございますので、他の非営利法人の動向もよく見ながら、また、今回は今回として1つの結論をお願いしまして、その上で、また、全体の動向を見ながら、次の段階にと思っております。
 こういう考え方がよろしいかどうかも含めて、また、この場で御議論いただければ幸いと思っております。
○柴座長 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 御説明、どうもありがとうございました。
 私のほうからは、注記の項目について、3点ほど確認をさせていただきたいと思っております。
 1点目は、別紙の20組織編成について(5)「合併及び事業の譲渡若しくは事業の譲受けが行われた場合の注記は次の項目を記載する」と記載されています。
 順番として、アが合併の注記となって、イが事業の譲受けの注記として、ウが譲渡の注記という順番になっているのですけれども、表題は合併、譲渡もしくは譲受けとなっているので、この順番をどう整理するか、この表題どおりの順番で、私は合併、譲渡、譲受けでいいのかなと思うのですが、この順番について検討をお願いしたいのが1点でございます。
 2点目は、別紙の20の(5)のア、合併の注記の➂に「計算書類に含まれている合併消滅法人の事業の業績の期間」とあります。
 そして、イ、事業の譲受けの注記の➂に「計算書類に含まれている譲受けた事業の業績の期間」とあります。
 更に、ウ、事業の譲渡の注記の➂に「計算書類に含まれている譲渡した事業の業績の期間」とあります。この「期間」は、どの期間を指すのかということですが、例えば、消費生活協同組合の取得について、パーチェス法による吸収合併の注記が示されております。
 パーチェス法ですから、吸収合併日に受け入れた資産を時価で評価します。その時の
注記にも「決算関係書類に含まれる吸収合併消滅組合の業績の期間」とあるのですが、これを見る限りは、吸収合併時から決算時までとしか読めないのかなと思います。プーリング法だとちょっと違うのでしょうけれども、パーチェス法ですと、そう読むと思いますので、そういう視点からは、最初のアの➂というのは、合併時から決算時までの期間を指すのかなと。
 そして、イの➂は、譲受け時から決算時までを指すのかなと、そして、ウの➂は、会計年度の始まりから譲渡時までの期間を指すのかなと思いますが、これらの確認をお願いします。
 3点目は、別紙の20の(5)の➄に「消滅法人において、会計年度の始まりの日から合併日直前までに、役員及び評議員に支払った、または支払うこととなった金銭の額とその内容」とあります。つまり、これは存続法人ではない、合併消滅法人における合併以前に役員及び評議員に支払った、または支払うこととなった金銭の額のことですね。これは、存続法人の計算書類に記載されていない合併時以前の合併消滅法人の内容を注記事項として記載させることになると思いますが、このような注記事項は通常、計算書類の注記事項として適当なのかな、特異な馴染まない感じを覚えます。
 更に、記載の内容が「金銭の額」という、つまり、合併消滅法人のときに支払った、または支払うこととなったのは金銭だけではなく、実際は金銭以外のものもある場合もあるのだと思いますが、金銭に限定しているところ等を勘案すると、このような注記は、どちらかというと、会計的な事項というよりも、少し違う観点からのものではないのかと、違和感を覚えるのですけれども、御意見を伺えればと思います。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 お答えします。
 まず、順番についてでございますが、御指摘のとおり省令案のほうは、合併譲渡、譲受けの順番に並んでおりまして、注記のタイトルもそれに合わせたものとなっております。
 合併と事業の譲受けの方が似たような結合という形の並びにしておりましたけれども、タイトルとちょっと合わないというのは、収まりがよくないかなと考えますので、そちらについては、修正したいと考えております。
 それから、➂計算書類に含まれている合併消滅法人、事業の業績の期間ということでございますが、こちらの注記案を作るに当たって、消費生活協同組合、生協と一般企業と上場企業の注記の案を見ながら、それをたたき台に作ったという経緯がございまして、そちらに載っているものをスライドしてきたという状況でございます。
 プーリング法の場合に、期首からくっつけるということになりますので、その書き方と、今、修正持分プーリングにしたところの違いというのが、少しどちらを指しているのか分かりにくくなっているという状況がございますので、こちらについては、確認して、必要か、必要ではないかというところも含めて、確認させていただければと思います。
 最後は➄です。消滅法人において、会計年度の始まりの日からということの、役員報酬の額を想定した注記になっておりますが、当初、➃においてなのですけれども、法人単位の計算書類、事業活動計算書と法人単位の貸借対照表を、消滅した法人について注記させるということを想定しておりました。
 修正持分プーリング法を採用することによって、結合日より前の部分の情報が開示される場がなくなってしまうということで、どこまで計算書類を開示させようかと考えたのですけれども、さすがに、法人単位の計算書類、資金収支を外したとしても、結構重い分量になるかなと考えましたので、他の記載と合わせまして、譲り受けた資産及び負債の額並びに主な内訳というところに戻したと。
 ただ、PL項目、事業活動の項目につきまして、こちらはなかなか開示するものが、事例としても見当たらないと。
 そのときに、どこの部分まで開示したほうがよいかというところを考えましたところ、現況報告書等で、事業活動計算書とリンクしている部分がありまして、そちら、役員報酬の額、評議員の報酬の額と理事の報酬の額と監事の報酬の額、こちらを記載することになっているのですけれども、消滅した法人については、現況報告書の提出義務がなくなりますので、そちらも書くものがなくなるという状況でございます。
 役員報酬の額というのは、先般の社会福祉法改正におきましても、役員の報酬規準の開示であったり、指導監査のガイドラインについても、役員報酬の基準が公表されているか、基準どおり支払っているかとか、そのようなところをチェック項目として挙げております。一般的に財務諸表の利用者が重視している部分、見るときに、どこを注目するかといったときに、役員報酬は注目される部分ではあるかなと考えております。
 ですから、純粋な会計の理論的には、余り要請されるものではないかなと思うのですけれども、行政的に指導監査の部分とかを含めたところで、こちらを開示することになれば、指導監査の実効性も上がると考えておりまして、こちらを特出しする形になっております。
 金銭の額というのが、なかなか表現が難しいのですけれども、取引全般ということになると、また、記載が重くなりますので、役員報酬、役員退職金みたいなものを想定して、金銭の額と一応しておるところでございます。
 こちら何か、ほかの記載のほうがよいということであれば、金銭以外もあるのではないかということであれば、そちらも御提案いただけるとありがたいなと考えております。
 以上でございます。
○柴座長 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 御回答ありがとうございます。
 先ほどおっしゃったように、役員報酬の基準は開示することになっていて、役員報酬の基準の内容は、通常、常識的な範囲のものであるということが前提になっていると、私は思っています。そして、その常識的な基準に基づいて、その規定の範囲内で役員報酬は支払われていると理解しています。さらに、合併消滅法人におけるものですから、存続法人の計算書類には記載されない、合併以前の分についてまで、存続法人の注記事項として記載させることになります。また、通常は、役員報酬の基準に基づいて、支払いをしていると思いますがその適当額である支払金額を記載させることになります。もし、役員報酬の基準を大きく逸脱したような過大な支払いをしていることを防ぐために注記させるのであれば、それは、会計が要請する事項ではなく法人のガバナンスの問題ですが、存続法人の注記でそこまで全部をカバーして、捉えようとしているのでしょうか。なおかつ、ここでは役員報酬等に限定していますね。
 そういう意味で、合併消滅法人の内容について、かつ、役員報酬の基準もあり、それに基づいて今までも適切に払われているのに、さらに、そのことも含めて、ここでもう一度記載させるのは、記載させることにより、過大な役員報酬等の支払い等を防ぐという行政側からの要請事項であるならば、これは会計の事項とは異なると思います。
 ほかの非営利法人、つまり、利益の配当のない、残余財産の分配がない法人も、多分、このような注記を書くことはないと思います。これを注記しようというのは、社会福祉法人特有の特殊なものだと理解をしてよろしいのでしょうか。
○柴座長 お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
 我々の固有の規定を設けた理由は、先ほど申し上げたとおりでございます。PLのところを全て載せるのは、過剰な負担だろうと、注記ということになりますと、会計監査人が設置されますと、その監査事項になりますので、その辺の負担感を考えた場合に、まず、BS、PLは載せないほうがいい、全部載せるという注記の対象にするのはいかがなものかと。
 では、次に、PLを一切載せなくていいのかというときに、今、社会福祉法人の場合は、ここはまさに、公益法人と一緒の部分もありますし、より高い部分もあると思うのですが、税とか、いろいろな法人としての非営利性とか公益性を踏まえた場合に、全て公開されているわけですね。
 それで、財務諸表も公開されているし、かつ、現況報告でもいろいろ公開されている中で、消滅法人であったがゆえに、その消滅法人の前の決算は分かるにしても、その結果、消滅した時点の決算が一切分からない、PL部分について一切分からないということは、本当にそれでよいのかというところの問題意識から、その中で、我々としても過剰な負担にならない中で、かつ、本来であれば、現況報告で分かるような範囲内の中での必要最小限ということで、今回、御提示した形でございます。
 ですので、これはあくまでも会計ですので、最後は会計の部分だと、我々も思っていますので、その辺りからも、その必要性等で御議論をいただきたいと思っておりますけれども、そこを社会福祉法人特有と言ってよろしいのかどうか分かりませんけれども、前回、28年改正のガバナンスの強化で、公益法人以上のガバナンスを示すのだという考え方からしますと、やはり消滅法人だからといって、消滅時点で一切会計が分からないというのは、いかがなものかと。やはり、そこの部分については、ある程度、必要最小限の部分についてはお示しいただけるような仕組みとして、かつ、負担の中で、注記という形で表現してはどうかということで、今回、御提案しているということで御理解をいただければと思っております。
○柴座長 この点について、どなたか、ほかに御意見等ありますのでしょうか。
 岡構成員、お願いします。
○岡構成員 こういうことを言ってしまうと、身も蓋もないのかということなのですけれども、本来、消滅法人が消滅合併日で消滅するので、その時点の現況報告書みたいなものを出していただければ、理屈上は一番すっきりするのだと思うのです。でも、制度上、多分それは無理なので、亀岡構成員がおっしゃるように、これを会計の注記で書くのかというと、確かに理論上は違和感が、私もあります。
 しかし、いろんな社会的なニーズを考えた場合に、やむを得ないのかなというのが、ここの今の落としどころなのかなと理解しているのですけれども、本来は、ちょっと違うところで開示していただくのが筋なのかなとは考えていますけれども、現実として、仕方がないという言い方をすると、ちょっといけないのかもしれませんけれども、そのように理解しております。
○柴座長 ほかに御意見はありますか。
 会計帳簿以外の数字なので、会計監査となると、そこを若干乗り越えなくてはならない壁があるのかなと思うのですが、秋山構成員、いかがですか。
○秋山構成員 会計監査人は、会計帳簿、仕訳をベースに作り上げられた数字をチェックします。後で引いたり足したり、電卓で調整したような金額というのは、基本的には監査対象外という認識でおるのですが、できる範囲で確認するということはできると思います。どこまで書くかとか、あとはQ&Aでどういう内容で参考例みたいなものを出すのかとか、そういうところによるのかなと思っています。おっしゃるとおり、その数字自体を監査できるのかという話もあるので、ただ、行政目的に必要だということであれば、監査の対象外とするとしていただくのも、1つありなのかなと思います。そうすると、財務諸表の注記としては不適格ではないかという考え方もあります。会計監査人としては、基本的には消滅法人の帳簿がどこかにいってしまうと、当然チェックしようがないのですが、帳簿に載っている範囲で、チェックをさせていただくということになるのかなと思います。
○柴座長 ありがとうございます。
 他の非営利法人とか学校法人でも行政目的で、監査基準に追加して何かやってくれているようなことは、よくある話なので、そういった対応をすることになるのかなと思っています。
 ほかに御意見、松前構成員、お願いします。
○松前構成員 私も、注記の内容自体は、財務諸表の注記を書くという点からいうと、関連性として、これをどう読むかというところでちょっと引っかかるかなということと、あと財務諸表の読み手側が、この情報を必要とするのかなというところが、ちょっと気になるところでございます。
 性質的には、やはり財務諸表の注記の性質とはちょっと違うものでありますし、行政の目的としては必要な情報であるし、情報利用者の1つとして、重要な利用者であると思うので、ここに書くことは一定の意義があると思いますが、ちょっと違和感があることはあります。
 ただ、ここでしか目的を達成するような記載場所がないということであれば、やむを得ないのかなというような感じがいたします。
 以上です。
○柴座長 では、課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
 今、いろいろ御意見をいただきましたので、後ほどまた御説明したいと思いますけれども、今、会計基準検討会は、会計基準について御議論をいただいていますけれども、一方で、合併事業譲渡の、いわゆる現行の制度上については、別途の研究事業を行っております。
 そういったものの中で、果たしてどういったようなものを開示というか、行政上のものがあるかも含めて、どういったものが必要なのか、その中で、どこまでが会計基準としてやるのかということも、そちらのほうの検討も踏まえて、アの➀、➄については、それを含めて、改めてお願いしなくてはいけないかどうかというところも、議論というか、御意見という形で、留保つきというか、そういったものを踏まえた扱いとしていただけるとありがたいなと思っております。
○柴座長 では、亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
 ちょうど2ページのすぐ下の3ページ目のところに、24、「その他社会福祉法人の資金収支及び純資産の増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項について」とあります。当該事項のことについて局長通知に記載がありますが、そこに「(4)法令、所轄庁の通知等で特に説明を求められている事項」とありますので、ここに「消滅法人において、会計年度の始まりの日から合併日直前までに、役員及び評議員に支払った、または支払うこととなった金銭の額とその内容」を記載させることが、1つの整理なのかなと思います。ただ、その場合には、法令、所轄庁の通知等で記載が必要であると明示することが必要となると思います。もし、記載させる十分な根拠がないと、会計基準だけで、規定するのは話を戻しますけれども、少し違和感がある気がいたします。
○柴座長 ちょっと今の関係で、例えば存続法人が合併後の決算書、注記の話をしているのですけれども、ここに書かないで、現況報告のほうに、引き継いだ法人の役員に関するものを記載するという考え方もあり得るのでしょうか。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
 また、そこもちょっと今日の御意見を踏まえて検討したいと思いますけれども、そうしますと、合併法人に関して、現況報告の様式が若干異なるという部分もございますので、その全体の現況報告様式の統一性との関係も検討する必要があるのかなということで、にわかには、今ここで、お答えは難しいかなと思っています。
○柴座長 検討をお願いします。
 それと、アの➂の「計算書類に含まれている合併消滅法人の事業の業績の期間」という日本語なのですけれども、合併消滅法人の事業の業績というのは、存続法人には一切反映しないのだと思うのです、もう消滅してしまっているわけですから、ですから合併消滅法人から引き継いだ事業のというのが、多分、日本語としては正しいのかなと思うので、その辺も少し御検討いただけますか。
 ほかに、御意見は、岡構成員、お願いします。
○岡構成員 今の➂のところなのですけれども、この注記は必要なのですかね。合併日が記載されていて、事業年度も4月から3月で、全て統一で、改めて期間を書かないといけないのかなというのが、事業の譲受けの譲渡も一緒なのですけれども、そこが、今、改めてぴんとこなかったのですけれども、どうですかね。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 基本的に、修正持分プーリングということであれば、結合時点、合併日ということでございますが、一応、その解釈の範囲で結合日、前期の決算ということもありますので、少しずれている場合については、少し意味がある注記になるかなと考えております。
○柴座長 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 先ほどお話をしたことの繰り返しになりますが、消費生活協同組合では、取得のときは、パーチェス法が適用されるときにも、同じような注記が要請されていますので、一度、消費生活協同組合のほうの仕組みを見られた上で、なぜ、消費生活協同組合はそのような表示になっているのか、パーチェス法では、これを読む限りは、パーチェス法では、吸収合併した後の期間を指すのだと思いますので、併せて御検討ください。
○柴座長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 では、馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 運用上の取り扱いで、統合と判断される場合の会計処理として、結合時の適正な帳簿価額を引き継ぐ方法を適用しなければならないとされており、修正持分プーリング法による会計処理を要請していますが、会計処理として、持分プーリング法の余地を残していただきたいというのが、私の意見です。
 持分プーリング法の会計処理のデメリットとして、期首から結合日までの間に重要な取引が生じたときに、その取引が結合組織の決算に含まれるということを挙げていますが、逆に言うと、重要な取引が生じていない場合には、持分プーリング法で支障がないということですし、社会福祉法人の実務を考慮すると、年度単位で決算をおこない、期首帳簿価額を引き継ぐことにメリットがありますから、採用の余地を残していただきたい、御検討いただきたいと思います。
 先ほど来から解釈として、持分プーリング法の適用もあるという話がでているので、残るのだろうとは思いますが、読み取れる形で、必ず残していただきたいというのが意見でございます。
 以上です。
○柴座長 事務局、何かありますか。
○横溝専門官 一応、持分プーリング法というのは、期首のということでございますので、そこで適用するということは、ちょっとなかなか、持分プーリング法を選択という形にしてしまうと、大体、原則修正持分プーリング、例外持分プーリングという形にすると、大体例外を選択されるというケースが多いのかなと考えておりまして、そこを持分プーリング、修正持分プーリングと、そこで使い分けるというのは、ちょっとどうなのかなと考えておるところでございます。
 ですから、あくまで修正持分プーリング、結合時というところを、原則というか、そこで固定しては、あとは解釈で、幅をもっていただくというところがいいのかなと考えておりますが、いかがでしょうか。
○柴座長 馬場構成員、お願いします。
○馬場構成員 社会福祉法人においては、補助金事業とか、あるいは受託事業とか、年度を単位に交付額が確定するものがございます。
 これを期中の一定の期日で分ける方法しか認められないとすると、実務が回らなくなると懸念されます。
 期中の一定の期日に会計期間が分けられた場合に、対行政との関係で、結合前までの期間収益が幾らで、結合後の期間収益が幾らであるか、確定できないであろうと思われます。ほとんどの法人が受けている処遇改善加算についても、年度単位に加算額が確定するという性質のものですから、社会福祉法人においては、基本的に年度単位というのを考慮して、期首帳簿価額で結合できる道を残しておくべきではないかと考えられます。
 あと、現実的な対応を考えると、どこの社会福祉法人も、財務システムあるいは減価償却システムを使用して経理処理をしていますが、それらのシステムも、4月1日から3月31日を一会計期間として計算する仕様になっていますから、期中の一定の期日で決算を組むというのは、現実的には、かなり困難な作業になろうかと思われます。
 また、今回の会計の検討に当たって、行政が関与し得る分かりやすい会計処理を提案するというのが、コンセプトとしてあったと思います。
 行政の関与のことを考えても、年度を単位とした会計処理の余地を残すことに意義があると考えます。
○柴座長 松前構成員、会計的に今の御意見を受けて、何か御意見あれば。
○松前構成員 会計的にというか、理論的には、やはりそこはきっちりとやらなければならないかなと思います。やはり実務の事情も大変重要なことではございますけれども、そこは理論で整理というよりは、先ほど、横溝さんから御説明があったようなお答えが現実的ではないかと考えます。
 以上でございます。
○柴座長 ありがとうございます。
 現実的には、解釈によって対応するということも起こり得るというはあるにしても、会計的には、そこまで、もちろんプーリングまで表立って認めるというのは、多分なかなか厳しいのかなと、そういう意見でよろしいですかね。
○松前構成員 合併については、統合ということで、これまで議論をさせていただいた中では、理論的には修正持分プーリングというのが、やはり結合時点での帳簿価額を引き継がなければならないのではないかという意見であったかと思いますので、そこは、これまでと変わらないと考えております。
○柴座長 課長、お願いします
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございました。
 馬場先生の御意見は、一貫しておっしゃっていただいていますので、それを十分踏まえたいと思っておりました。
 その上で、今回あえて、資料2の局長通知の2ページ目には、先ほどの説明のときにも、横溝からも申し上げましたけれども、いわゆる修正持分プーリングとか、そういう言葉は使っている基準も、ほかの法人ではあるのですが、あえてなくした形で、あくまでも結合時の適正な帳簿価額を引き継ぐという方法で表現させていただいたということでございます。
 恐らく、馬場先生の御懸念のように、年度単位で、社会福祉法人は、法律で会計年度も決まっていますので、それに従って、恐らく合併ないし事業譲渡におかれてもやられていくと期待を持っています。
 この検討会のヒアリングでもございましたとおり、例えば、登記の時期によって1日、2日ずれてしまうとか、そういうような御懸念もありました。今は、そういう形になっておりますので、そういったことを含めて、先ほど担当専門官から説明させていただいたとおり、そこで1日、2日ずれたからといって、重要な取引があるのか、ないのかという部分を考慮して、どう考えるかとか、そこの部分については、例えば、必要があればQ&Aで示すとか、何かしらの工夫をさせていただく形で、まだ、座長等も含めて御相談させていただきながら、先生の御指摘については、また、我々としてもきちんと受けとめて対応していきたいと思っております。
○馬場構成員 ありがとうございます。
○柴座長 ほかに御意見等ございますでしょうか。
 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ちょっと話が変わりますが、前回のときにも、お願いした内容なのですけれども、取得については、パーチェス法だと、今般は具体的に明示はしないけれども、原則として、パーチェス法だと整理されたと思います。それについて、異論を唱えるわけではございませんが、社会福祉法人同士の間で、例えば、A法人とB法人がそれぞれ高齢者施設と保育施設を運営していて、そして、お互い業務を強化しようということで、それぞれお互いに老人高齢者施設と保育施設を交換するということで、A法人は保育施設を中心に経営を特化、強化でき、B法人は、高齢者施設を中心に経営を特化、強化していくということで、お互い運営がうまくいくような場合もあり得るのだと思うのですが、そういう場合に、これはお互い譲渡なのだからパーチェス法を適用しなければならないとなると、実態は、同じ地域で事業の内容も変わらず継続されており、かつ、行政側としての指導も従来と変わらない、もちろん利用者も同一であり、変わらないということを考えたときに、そこにまでパーチェス法を適用しなければならないのかどうか、そういうときには、少し修正持分プーリング法も、結合について修正持分プーリング法が適用されるのであれば、実態的に譲渡前と譲渡後では変化がなく事業継続する場合には限定的に修正持分プーリング法の適用も可能とできないのでしょうか。何か御検討を願えないのかなというのが、多分、現場の声でもあるのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○柴座長 お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
 まさに、亀岡先生の御意見も踏まえましたし、皆さん、前回までの議論もありましたので、今の局長通知の(4)番のところで「事業の譲受けは原則として」という言葉を入れさせていただいた。
 この「原則として」というのは、どうも会計の世界では、非常に入るのと、入らないのでは大分差があるのだということを教えていただきましたので、そこに、今の亀岡先生の問題意識を込めさせていただいたというのが、我々の認識でございます。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
 ぜひ、社会福祉法人の方も読めるような、どこか、Q&Aでも結構なのですが、何か救いの手があればと思いました。
○横溝専門官 先ほどの馬場先生の結合の時点と、ちょっとイレギュラーな形の事業の譲受け、譲渡しのクロスみたいな取引みたいな、イレギュラーなものについては、Q&Aのほうで何か書ければと考えております。
○柴座長 ほかに御意見、御質問はございますか。
 松前構成員、お願いします。
○松前構成員 注記を見ていて改めてでございますけれども、今まで合併については、サービスも継続して提供するということで、支配の移転もないため、帳簿価額で引き継ぐというのが流れであったかと思います。
 その中で1つ気になる点といたしましては、(5)のアの➀のところにございます、合併の種類のところに、吸収合併または新設合併というところがございまして、これは、法律上はそういった2つの方法があるというように規定されていると認識しているのですけれども、新設合併というのは、吸収合併とやはり形態が違うと認識しておりまして、新設であれば、ここは新たに法人がスタートするというように捉えることができるのではないかと。
 特に、これまで議論にはなってなかったのは、吸収合併が前提で、ほぼ今まで行われているような合併の事例も、それが多かったということで認識していたのですけれども、一部新設合併であれば、合併の会計処理の方法としては、フレッシュスタート法というのがありますので、そこについては、特にこの中で何か読めるようにしておくべきなのかどうかというのは、ちょっと気になるところでございまして、何かお考えがありましたら伺えればなと思っております。
 以上です。
○柴座長 事務局、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
 確かに、新設合併というのは、今まで議論をしていなかったという認識なのですが、確かに新設合併で、今、企業会計でもそうかもしれませんし、非営利の中でも、新設の場合ですと、フレッシュスタート法ですか、要は、もう一回帳簿価額を評価し直して、時価評価してという方法があるというのを、今、御指摘をいただいたと思います。
 今回、我々事務局といたしましては、特段の統計があるわけではないのが、大変恐縮なのですが、我々の情報の把握としても、実際、現場では、吸収合併が9割9分と聞いておりますので、そういう意味では、今回、そういったような現実、実態を踏まえた形での整理とさせていただきたいと思っていますが、当然、実態が変われば、それで、また、こういう検討会という形で、まだ御議論をしていただかなければいけませんし、先ほどの最初の議論のところにございました、岡先生からも御指摘をいただいた※にありますとおり、他の非営利法人での会計基準における科目設定の動向も踏まえて、これは、支払超過差額の科目の設定の話なのですけれども、別に、これに限らず、他の非営利法人について、例えば、もし、変更があり得れば、当然、ここの検討会で、改めた議論のスタートというか、そのきっかけになると思いますので、まずは、他の非営利法人の動向も注視しつつ、今、言った御意見を、また、今後の検討課題としてさせていただきたいと思っております。
○柴座長 では、馬場構成員。
○馬場構成員 運用上の取扱いの20の(1)のアのところに「結合の当事者のいずれもが」という言葉が出てきますが、この「結合の当事者」というのが、一般には何を指しているのか分からないのではないかと思います。
 ですので、「結合の当事者」が何を指すのか、どこかで明確にしていただいたほうがよいと思います。それが1点です。
 あと、資料1に関してですが、スライドの14、取得における会計上の個別論点のところで、無償の譲受けでは国庫補助金の精算がない場合に、国庫補助金等特別積立金を帳簿価額で引き継ぐとありますが、一方、スライド7では、取得については、事業価値に見合った対価の受け払いがあるとしており、スライド7とスライド14が矛盾していると感じました。
 ですので、スライド14をスライド7と整合が図られるように整理していただきたいと思います。
 無償の譲受けで国庫補助金等特別積立金をそのまま帳簿価額で引き継ぐというケースでは、借方の資産も、被結合組織の帳簿価額で引き継ぐことを前提にしていると考えられます。
 スライド14は「取得」と言っているけれども、ここでイメージされているのは、統合を前提にしているのではないかと思います。すなわち、事業の譲受けではあるけれども、経済的実質が統合に該当する場合、資産について帳簿価額で引き継ぎ、あわせて国庫補助金等特別積立金についても帳簿価額で引き継ぐことを想定していると考えました。
 ですので、スライド14について、今一度検討していただければと思います。
 あと、スライド14に関して懸念されたのは、取得の場合、資産については時価評価です。資産を時価評価して、国庫補助特別積立金を帳簿価額で引き継ぐとした場合、時価が国庫補助金等特別積立金を上回っていれば、そのまま引き継いでも問題がなさそうに見えますが、時価が国庫補助金等特別積立金を下回る場合に、そのまま引き継ぐことはできないと思われます。
 ですので、そのことも含めて、スライド14について再度検討が必要ではないかと考えます。
 あと、スライド15ですが、基本金の取崩しのところに、赤書きが加わっていますが、この赤書きは、今までの会計基準、運用上の取扱い、留意事項にない基本金の取崩しを新たに定めているようにみえます。
 拠点の一部のサービスを廃止するときに、合理的な基準により基本金の取り崩し額を算定しなければならないように読めるということです。
 事業譲渡に限らず、拠点の一部のサービスを廃止することは、今までもあったわけですが、その際、合理的な基準により基本金の一部を取崩すような実務はなかったと思うのです。
 ここに書き加えることによって、基本金の取崩しを新たに要請してしまうことになりかねないので、私は、この赤書きは不要と思いますが、いかがでしょうか。
 以上です。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 まず1点目ですが、結合当事者のいずれもがということで、当事者が分かりにくいということでございましたので、少し表現を考えたいと思います。
 こちらで表現を変更するか、注書きをQ&Aで出すか、そのような対応になるかと考えております。
 それから、14ページのところでございますが、7ページと整合していないのではないかという御指摘でございます。
 会計処理というより、確かに国庫補助金の取扱いに従った会計処理ということでございますので、こちらは整合するようなところで、もう少し検討して修正するか、削除するかという形で対応したいと考えております。
 15ページにつきましては、前回の議論を受けて追加したものでございますので、皆様方の御意見を伺いたいと考えております。
○柴座長 秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 14ページの話なのですけれども、事業譲受けにおいて、純資産を引き継ぐという表現は、本来的にあり得ない話で、ここは、私は国庫補助金等特別積立金を財源とした固定資産の引き継ぎと読んでおりましたが、それでよろしいかというのを確認させていただきたいと思います。
 それと、15ページの話に関しては、※印で、基本金の取崩しについては、原則的な処理についてもともと記載があります。そこをオーバーライドするものではないと、私は認識しておりますので、この赤書きは、より詳細に説明しているということで、別に不要ではないと考えております。
○柴座長 ほかに御意見、亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 先ほど、秋山構成員のほうからお話がありましたけれども、14ページについては、いわゆる国庫補助金を財源として取得した固定資産の譲渡・譲受けの話になるのかと思いますが、先ほど馬場構成員が言われたのは、固定資産の譲渡・譲受けを前提としながらも、資産側を時価評価してしまうと、固定資産の価額は時価評価で帳簿価額と乖離するが国庫補助金等特別積立金の価額は時価評価にしても帳簿価額のままとなることが考えられるので、その時に固定資産の金額と国庫補助金等特別積立金の金額との間にアンバランスが生じるということかと思います。
 私は、そのときに、時価評価したときの固定資産の金額が国庫補助金等特別積立金の金額を上回るのもおかしいと思っていますし、逆に固定資産の金額が国庫補助金等特別積立金の金額を下回るのもおかしいと思っています。やはり、固定資産の金額も国庫補助金等特別積立金の金額も帳簿価額で引き継がない限り矛盾・アンバランスが生ずるのではないかと思います。いわゆる国庫補助金等特別積立金を引き継ぐということは、先ほどのお話に少し戻りますけれども、国庫補助金等特別積立金を固定資産とセットで引き継ぐことだと思います。では、国庫補助金等特別積立金を固定資産とセットで引き継がれるような譲渡・譲受けとはどのような場合をいうことになるのでしょうか。社会福祉法人が民間に譲渡する場合に国庫補助金等特別積立金をそのまま引き継ぐことはできませんね。では、どこに譲渡した場合に国庫補助金等特別積立金をそのまま引き継ぐことができるのかとなると、同じ事業を行っている社会福祉法人になるのではないでしょうか。そこで、先ほど少しお話をしました、譲渡・譲受けにおいても、いわゆる修正持分プーリング法的な簿価でそのまま引き継ぐことができれば、国庫補助金等特別積立金の譲渡・譲受けの説明はできるのかなと思います。
 15ページについては、これは、私は追加の文章を書く案、追加の文章は書かない案の両方の案があるのかなと思います。従前の表現でも十分に、この下に書いている追加の文章の意味するところは判りますし、逆に下の追加の文章を書くことによって、上の従前の文章の意味が変わることもありません。従って、下の追加の文章を入れる理由を明確にしないといけないと思います。従前の文章ではでは十分な理解を得ることができないから下の追加の文章を入れる必要があるとか、従前の文章では曖昧であったところを下の追加の文章を入れることにより、その内容が明確になる等の説明ができないと、今般、下の追加の文章を入れる意味が無いのではないかと思います。
○柴座長 馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 スライド14に関してですが、事業譲受けについては、原則取得として整理しています。
 例外について、私は事業譲受の中にも、経済的実質が統合にあたるケースがあると思っているのですが、事業譲受けで、かつ経済的な実態が統合に該当する場合は、資産について帳簿価額で引き継ぐし、その場合、国庫補助金等特別積立金もそのまま帳簿価額で引き継ぐのだろうと解釈しているのです。
 そう考えると、事業譲受けであっても、国庫補助特別積立金をそのまま引き継ぐケースはあると理解しているのですが、今のスライド14では、取得においてと言っているので、整理する必要があります。取得の場合、資産、負債について時価評価を前提にしていますから、国庫補助金等特別積立金を、そのまま帳簿価額で引き継ぐことはないと解されます。
 ですので、このスライド14が、違和感があるというところでございます。
 以上です。
○柴座長 事務局、ありますか。
○横溝専門官 スライド14につきましては、個別の論点ということで記載するとしてもQAということでございますので、少しこちらのほうは検討させていただいて、資料1については、今後も残る資料でございますので、赤字で記載している部分とかがありますので、こちらを検討して修正してアップロードという形にさせていただきたいと思いますので、ちょっとこちらは確認させていただきたいと思います。
 15ページにつきましては、こちらは、賛否両論ある形かなと考えておりますけれども、毎回いろんな場面で頻発するような取引ではないのかなと考えておりますので、通知の本文を直すというようには考えておりませんで、Q&Aに追加するか、しないかと、そういうレベル感かなと考えております。
 こちらは、新しく取扱いを出すということではなくて、今までの取扱いを解釈した結果という形で考えておりましたけれども、新しく何か違う取扱いを出したと取られないような文章を、もし出すとしても取られないような文章の表現にしたいと考えております。
○柴座長 ほかは、よろしいですかね。
 ありがとうございました。
 馬場構成員、どうぞ。
○馬場構成員 注記事項に関してですが、事業譲受けの注記と事業譲渡の注記は、拠点区分にも記載が必要ではないかと感じたのですがいかがでしょうか。ほかの構成員の御意見もいただければと思います。
 というのは、期中に事業譲渡をした場合、その拠点区分では期中までしか事業実績がなく、事業譲渡によって資産、負債の期末残高がなくなるわけですから、拠点における重要事項の発生であり、拠点区分の注記に、事業譲渡の内容を記載する意義があると思います。一方、事業譲受けも期中に重要な資産、負債の増加があり、期中から事業を開始するわけですから、当該拠点の注記に、事業譲受の内容を記載する意義があるのではないかと思います。
 すなわち、合併は法人の話なので、法人単位の注記のみでよいと思いますが、事業譲渡、事業譲受けについては、該当する拠点の注記にも記載するべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○柴座長 事務局、どうぞ。
○横溝専門官 事務局としては、拠点区分の注記と法人単位の注記は、内容的には、多分、同じものを書くことになるのかなと、複数事業譲渡があった場合は、少し内容が1つ目の事業譲渡と、2つの事業譲渡と記載内容が少し違うのかなと思いますけれども、基本的に同じ内容を書かせるということになると、法人の事務負担を考えたときに、そこまで必要なのかといったときに、なくても大丈夫ではないかと考えて、一応、拠点のほうは外しております。皆様方に必要かどうか御議論いただければと思います。
○柴座長 亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 私は、社会福祉法人が合併をしたり、事業譲渡をしたり、事業譲受けをするのは、法人全体の経営という観点から考えて実施するのだと思います。、つまり、法人としてのより良い経営はどうすると良いか、良くなるのかの意思決定としてやるのだと思います。このような観点から考えると、合併、事業譲渡・譲受けについては、法人全体の注記に記載していれば、合併、事業譲渡・譲受けの全容が分かるので、それだけでも十分かと思います。
 ただ、ある拠点の一部の事業だけを譲渡・譲受けしたときに、拠点区分の注記にも記載することは有用な場合もあると思いますが、これは、多分、馬場構成員のお考えと同じだと思います。そこで、法人の経営判断として合併や事業譲渡・譲受けをするのですから、法人単位の注記に記載することは大前提で、その上で、拠点単位の注記にも記載が必要かどうかということについて考えてみたのですが、不要とは言えませんが、やはり合併をするか、事業譲渡するか、事業譲受けをするかというのは、法人全体の意思決定事項ですので、私は法人単位の注記だけでいいのではないかと、今のこの案でいいのかなと思っております。
○柴座長 岡構成員、お願いします。
○岡構成員 私も基本的には、亀岡構成員の考え方でいいのかなと思っているのですけれども、ただ、確かに拠点区分に大きな影響を受ける内容であるのですが、今の注記の案だと、例えば、事業の譲受けの場合に、どこの拠点区分での話かが、確かに注記の内容に何も出てこないのです。ですので、それは何か補足というか、追加で書いていただいたほうがいいのかなと。
 例えば、イの➃で「譲り受けた資産及び負債の額並びにその主な内訳」とありますけれども、これはどこの拠点区分で受け入れたのというのは、分からないとまずいのかなと。例えば、複数の拠点で受け入れることもあり得ると思いますので、結構な大きな事業を受け入れた場合、そういうことがあるので、その場合、拠点区分ごとの、そういう情報が分かるように、法人全体の注記で書いていただければ、拠点区分単位で書かなくてもいいのかなと、個人的には考えています。
 以上です。
○柴座長 では、馬場構成員。
○馬場構成員 今、亀岡構成員と岡構成員の御意見を伺って、私もこの注記内容を全て記載するほどでもないかと思いました。
 拠点区分の注記においては、12.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産の増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項のところに、事業の譲受けの概要、あるいは事業の譲渡しの概要を記載するよう整理してはどうかと思います。
○横溝専門官 御意見ありがとうございます。
 拠点区分については、➃なのか、➀なのか、どちらか検討して追加するという形を考えたいと思います。
 それから、拠点区分については、確かにその他という項目がありますので、このフルの注記が要るかというと、恐らく要らないかなと、どれぐらいの期間で入っているのだというところの情報はあったほうが有用なのかなと考えておりますので、そこを通知で書くか、Q&Aで書くかという形で検討したいと思います。
○柴座長 ほかに、御意見、御質問ございますか。
 よろしいですかね。
 亀岡構成員、どうぞ。
○亀岡構成員 先ほどの横溝専門官の御回答ですけれども、Q&Aに書くというのは、いいと思っているのですが、社会福祉法人に記載を義務付けたり、要請する場合にはその読み手の法人によって判断が異なることが生ずるのはよくないと思っています。ですから、そのような内容のものはQ&Aには馴染まないように思います。どちらにも選択できるようなことで法人の判断で決定して結構ですということであれば、Q&Aでもいいと思うのですけれども、拠点単位の注記でも、こういう場合は記載しなくてはならないとするのであれば、通知等の方が馴染むのではないでしょうか。それを、Q&Aに委ねるのはいかがなものかと思います。Q&Aに拘束力はどの程度あるものかは十分に理解しておりませんので、Q&Aの拘束力についてもご説明いただくと助かります。もし、あまり、拘束力がない場合に、後でQ&Aの内容を拠点単位の注記に記載していないからだめだと言われてしまうと困りますので、Q&Aの拘束力等も勘案の上、Q&Aがいいのか、通知がいいのかご判断をお願いします。
○横溝専門官 その他のところの注記事項の話のところの文章は、確認しておりませんので、そちらは確認したいと思います。
○柴座長 よろしいですかね。
 それでは、今後について、福祉基盤課長のほうから、御説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 今日も、様々な我々の出した資料に対して御意見をいただきましたので、相当宿題をいただいたなと認識しております。
 これは、きちんとこちらのほうで検討しまして、また、各構成員に御説明申し上げたいと思いますけれども、御案内のとおり、先ほども申し上げましたけれども、この組織再編に関する会計処理に関しましては、会計処理は、会計処理で、この検討会で御議論をいただいていますけれども、現在、調査研究事業で、別途、事業展開、全体の合併とか事業譲渡に係る調査研究を行っております。
 こちらのほうは、まだ議論の途上でございまして、まだ、進展がどこまで進むか、進まないかというのは、まだ、よく分からないところでございます。
 したがいまして、今後の検討会の開催につきましては、こちらの調査研究の進展に応じまして、その必要性も含めて、座長と御相談をさせていただきまして、その上で、また、必要があると御判断をいただいた場合は、また、改めて開催をお願いしたいと思っておりますので、中途半端というか、今日の段階で、申し訳ないと思っておりますけれども、もし、もう一つの調査研究事業の進展におきまして、御検討すべき論点がないと、今日いただいた宿題は、きちんと踏まえまして、また、座長とも御相談しまして、個別にフィードバックさせていただきたいと思いますけれども、その場合は、また、新たな次の課題につきまして、来年度以降、御議論いただく形になるものと思います。
 いずれにしても、今後の進め方につきましては、柴座長と御相談をさせていただいて、また、別途御案内させていただきたいと思います。
○柴座長 ありがとうございます。
 今の課長の説明について、何か御質問はございますでしょうか。
 よろしいですかね。
 本改正案につきましては、今日の議論の検討も加えて、改めて開催が必要なのかどうか、あるいは若干の修正等で済むのかどうかについて、座長の私のほうに御一任願いたいと思いますが、異議ございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○柴座長 では、そのように取り扱わせていただきます。
 事務局のほうで、御発言があれば、よろしくお願いします。
○高坂福祉基盤課長補佐 次回の開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
○柴座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の審議は終了いたします。
 御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

照会先

社会・援護局福祉基盤課

(代表電話) 03-5253-1111(内線2871)