2020年2月25日 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録

日時

令和2年2月25日(火)14:00~

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

出席委員(8名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)

行政機関出席者

議事

○事務局(野坂補佐) ただ今より、令和元年度第2回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会を開催いたします。最初に、毒物劇物部会の総員数は9名であり、定足数が過半数の6名となっております。本日は、石塚真由美委員から御欠席の御連絡を頂いており、8名の先生方に御出席していただいておりますので、この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。
 なお、本会議は公開で行われ、資料及び議事録も公開としております。それでは、開催に当たり、山本大臣官房審議官より一言御挨拶申し上げます。
○山本大臣官房審議官 本年1月1日付けで森の後を引き継ぎ、大臣官房審議官に着任いたしました山本です。どうぞよろしくお願いいたします。この部会は、先生方お忙しい中、御参集いただきありがとうございます。毒物劇物の指定に関して御審議いただいておりますが、国民の公衆衛生の観点からも非常に大事な内容になっております。是非、率直な様々な御意見を頂ければと存じます。
 本日は毒物劇物の指定について、劇物指定が14物質、毒物指定が2物質、また劇物からの除外が3物質ということで予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続いて、毒物劇物部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事分科会規程第11条では「委員は薬事に関係する企業の役員等に就任した場合、又は定期的に収入を得る顧問等に就任した場合、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き、御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。事務局からの説明は以上です。それでは、奥田部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。
○奥田部会長 年度末のお忙しいところ、ありがとうございます。早速ですが、審議に入る前に配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局(野坂補佐) 資料の確認です。今回の議事次第、座席表、委員名簿があります。続いて、資料1~19、1つずつ読み上げは割愛いたしますが、これが審議対象の物質の資料です。1~19までありますでしょうか。
 続いて、当日配布資料1として「令和2年度以降の毒物劇物指定候補物質について」があります。また、これは机上配布のみですが「審議物質の除外申請に伴う用途について」を配布しております。この当日配布資料2については、これから御審議いただく毒物劇物に指定される物質に関係する事業者から除外申請の際に、どのような用途かということで参考に頂いたものであり、これらの用途については事業者の機密情報ということで、事業者が不利益を被る可能性がありますので非開示としております。この当日配布資料2は審議終了後回収いたします。また、委員の皆様にお願いですが、この用途に関する資料に基づいた発言は控えていただくようお願いいたします。
 さらに、参考資料として、参考資料1「毒物劇物の判定基準」、参考資料2「令和元年度第1回毒物劇物調査会審議結果及び審議物質の製剤除外等の申請について」という通知の写しを配布しております。現時点でお手持ちの資料に不備がありましたらお申し付けください。よろしいでしょうか。
 また、本日は机上に、今、御説明した紙資料の他にタブレット端末の資料を配布しております。このタブレット本体の中にも御説明した資料を格納しておりますので、適宜、見やすい方を御活用いただければと思います。なお、簡単ではありますが、タブレット端末の使用方法について御説明いたします。現在、画面が表示されていない先生方は下の丸いボタンを押していただければと思います。よろしいでしょうか。画面が表示されましたら、議事次第から資料その他がマイプライベートファイルに保管されていると思います。例えば、議事次第をタップしていただければと思います。
 このような形で御覧になりたい資料をタップしていただきますと、資料が閲覧できるようになり、普通のタブレット端末と同様にスワイプしていただきますとページが展開されます。また、資料一覧に戻りたい場合は、左上のマイプライベートファイルをタップしていただければと思います。タブレット端末について、動作の不具合、不明な点がありましたら途中でも結構ですので事務局まで御連絡いただければと思います。
○奥田部会長 それでは、早速、審議に入りたいと思います。審議官の御挨拶にもありましたが、全部で19品目あります。円滑な審議に御協力のほど、よろしくお願いいたします。まず、議題1.毒物の指定についてです。事務局から、議題1.(1)について説明をお願いいたします。
○事務局 資料1を御覧ください。名称は、酸化コバルト(Ⅱ)及びこれを含有する製剤です。この物質は、顔料、コバルト塩原料、電子材料等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、黒から緑色の結晶あるいは粉末等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が202m/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、ラットでダストにおいてLC50が0.06mg/L/4hrから、毒物相当と判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、また、皮膚腐食性試験結果については、OECD TG439に従い、in vitro再生ヒト表皮モデルのEpiDerm TMにおいて、腐食性はなく、眼刺激性試験結果についても、OECD TG405に従い、ウサギで、また、OECD TG437に従い、in vitroウシ摘出角膜のBCOPにおいて、軽度の刺激性はあるものの、皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、いずれも劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、酸化コバルト(Ⅱ)及びこれを含有する製剤については、急性吸入毒性(ダスト)より、「毒物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 急性吸入毒性が強いということで、毒物という調査会の御判断ですが、何かコメント、御発言を頂ければと思います。よろしいですか。経口の毒性では劇物だけれども吸入毒性が毒物相当ということで毒物という判断です。それでは、この物質については、毒物に指定するということで結論したいと思います。では、次をお願いいたします。
○事務局 資料2を御覧ください。名称は、ジブチル(ジクロロ)スタンナン及びこれを含有する製剤です。この物質は、塩ビ安定剤の中間体、触媒として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、白色結晶性固体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が58.28mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、LD50の知見はなく、最小致死用量がウサギで1,360mg/kgの知見が得られましたが、当該試験の試験方法が不明であることから、本知見をデータとして採用することは不適切であると判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、ラットでダストにおいてLC50が0.025mg/L/4hrから、毒物相当と判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。さらに、急性経皮毒性試験を改めて実施する必要があるのかについては、皮膚腐食性及び眼刺激性試験結果から腐食性等により、劇物相当と判断されている毒性が高い物質を、「動物福祉」の観点からも、不要と判断いたしました。
 調査会においては、ジブチル(ジクロロ)スタンナン及びこれを含有する製剤については、急性吸入毒性(ダスト)より、「毒物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ジブチル(ジクロロ)スタンナン及びこれを含有する製剤、今回は原体ですが、吸入毒性から毒物に指定するという調査会の御判断ですがいかがでしょうか。塩ビの安定剤や触媒などに使う工業用途ですが、特段、御意見がないようでしたら、この物質を毒物に指定するということで次に進めたいと思います。
 次は、議題2.劇物の指定についてです。1-アミノプロパン-2-オール及びこれを含有する製剤(ただし、1-アミノプロパン-2-オール4%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料3を御覧ください。名称は、1-アミノプロパン-2-オール及びこれを含有する製剤(ただし、1-アミノプロパン-2-オール4%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、金属加工油剤・化粧品の乳化剤、洗剤・医薬品・その他各種化学品の中間体等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある無色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が2,813mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が1,574mg/kg。これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLC50が2.7mg/L/4hrより大きいことから、劇物相当と判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、急性吸入毒性(蒸気)、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷により、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、4%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、5ページを御覧ください。4%製剤における急性毒性試験等のデータです。劇物の指定根拠とした毒性試験項目の急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が14.4mg/L/4hrより大きく、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性を示さず、また強度の刺激性はあるものの、眼に対する重篤な損傷を示さず、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、1-アミノプロパン-2-オール及びこれを含有する製剤(ただし、1-アミノプロパン-2-オール4%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございます。この物質については、原体では吸入毒性、眼刺激性、皮膚腐食性から劇物相当、それから、4%製剤はそれぞれ毒性や腐食性を示さないということで除外できるというものです。いかがでしょうか。
○奈良委員 急性吸入毒性のところで、LC50が2.7mg/L/4hr超という記載がありますが、これは確定していないと読むべきなのでしょうか。若しくは、この基準として10mg/L以下という何かエビデンスがあるということなのでしょうか。
○奥田部会長 いかがでしょうか。奈良委員の御質問は、別添2の急性吸入毒性、ラットを用いたもののLC50が2.7mg/L/4hrよりも大きいということで、その大きいというのはどのような意味なのかということです。
○事務局(野坂補佐) 委員御指摘のとおり、2.7mg/L/4hrを超えて10mg/L/4hr以下ということは明記はされていませんが、もともと海外の毒性評価レポートの記載を見ますと、8時間で1.9mg/Lという毒性データがあり、これも類推になるのですが、恐らくは、2.7を超えて10の範囲に収まっているだろうというところで下線を引いております。一応、劇物としての判定根拠としては刺激性もありますので、一応、このような表記にしているところです。
○奈良委員 刺激性に関しては異論はありませんが、この記載が、REACH登録資料からとなっており、少し曖昧なところがあるようです。今、公開されているREACH登録資料を拝見いたしますと、LCの値として1.95mg/Lと書いてあったので、ここがどのように読まれたのか分からず質問いたしました。
○奥田部会長 LCがゼロ。
○奈良委員 LCということで、書いてありましたので。
○奥田部会長 LCというのは、死亡しないということですか。
○奈良委員 これが計算した上で、このような値をとっているのか。
○奥田部会長 そこまで該当してということですね。
○奈良委員 そこまで細かいところが読めないので分からないのですが。
○奥田部会長 そのデータというところで、それが2.7ですか。
○奈良委員 1.95と、今の値には書いてあるのですが、これが本当に一致しているデータかどうかも分からないので、そこは御確認いただいた方がいいと思います。
○事務局(野坂補佐) 後ほど、委員御指摘の資料をどれか御教授いただき、こちらが見た資料と突合し、必要であれば、資料の修正をした上で公表資料の差し替え等の対応をさせていただければと思います。
○奈良委員 ありがとうございます。
○奥田部会長 今の御指摘は、もし、その結果として、この判断に変わる可能性が、逆に、もっと強いなど、そのようなことではないのですね。
○奈良委員 どちらかというと。
○奥田部会長 弱い方に振れる。
○奈良委員 弱い方かもしれません。
○奥田部会長 かもしれない。
○事務局(野坂補佐) 今回、もし、吸入毒性の結果だけで判定するのであれば、それを確認した上で。
○奥田部会長 分かりました。ただ、刺激性などもあるので、もしそちらが弱い方に振れたとしても、結果としては、最終的な判断としては変わらないということになりますか。
○事務局(野坂補佐) はい。
○奥田部会長 そこは確認していただいて、この部会の判断としては、少なくとも、この刺激性から見て劇物相当という形で判断すると。吸入毒性については併せて引き続き確認するということでよろしいでしょうか。
 それでは次に、資料4の2-イソブトキシエタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-イソブトキシエタノール10%以下を含有するものを除く。)の劇物指定ということですが、事務局からお願いいたします。
○事務局 資料4を御覧ください。名称は、2-イソブトキシエタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-イソブトキシエタノール10%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、溶剤として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、無色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が400mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が200~400mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLC50が3.47~4.91mg/L/4hr。これらの数値からは、いずれも劇物相当であると判断いたしました。また、いずれもウサギで、軽度の刺激性はあるものの、皮膚に対する腐食性を示さず、また中等度の刺激性はあるものの、眼に対する重篤な損傷を示さず、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、急性経皮毒性、急性吸入毒性(蒸気)より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、10%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、同ページの下方を御覧ください。10%製剤における急性毒性試験のデータです。劇物の指定根拠とした毒性試験項目の急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が10,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が10.39mg/L/4hrより大きく、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、2-イソブトキシエタノール及びこれを含有する製剤(ただし、2-イソブトキシエタノール10%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 本品目ですが、原体については、経皮毒性、吸入毒性からは劇物相当、10%製剤については、経皮毒性、吸入毒性とも、その濃度で示さないということで除外ということです。いかがでしょうか。
○奈良委員 直接、審議内容に関係するところではありませんが、2ページの一番下にGESTISのGHS分類という行があります。その中に*1があり、minimum classificationの説明が記載されているのですが、この内容はCLPの説明、DSD分類の説明がありますので、恐らく、EUのCLPの調和分類の説明だと思います。GESTISについては、あくまでデータベースですので、このデータベースの中でEUのCLP分類を引っ張ってきているということであれば、それはそれでもよろしいかと思うのですが、ここは少し違うような気がいたしますので御確認いただければと思います。
○事務局 はい、確認したいと思います。
○奥田部会長 2ページ別添1の*1、今の御発言は。
○奈良委員 2ページの一番下の*1です。
○奥田部会長 一番下の*1ですね。そこは確認して、最終的な資料としては誤解のない形に整えてください。他にいかがでしょうか。それでは、原体については劇物相当、それから10%製剤については除外ということで、この部会では結論したいと思います。ありがとうございます。
 次に、オキシラン-2-イルメチル=メタクリラート及びこれを含有する製剤の劇物の指定についてです。事務局からお願いいたします。
○事務局 資料5を御覧ください。名称は、オキシラン-2-イルメチル=メタクリラート及びこれを含有する製剤です。この物質は、熱硬化性塗料、繊維処理剤、接着剤等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある無色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、マウスでLD50が390mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLCが2.394mg/L/4hrより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が481.5mg/kgから、劇物相当と判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、オキシラン-2-イルメチル=メタクリラート及びこれを含有する製剤については、急性経皮毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございます。本化合物ですが、急性経皮、皮膚腐食性、眼刺激性から劇物相当ということで調査会から上がってきたものです。これについても3ページの*は、先ほどと同じ記載ですが、これはこれでいいのですか。
○奈良委員 ここはEUのGHS分類という表記になっておりますので大丈夫です。
○奥田部会長 分かりました。よろしいでしょうか。いずれも工業原料用途のものです。それでは、特段、御異議がないようですので劇物に指定ということでお認めいただいたということにいたします。
 次に、1-クロロ-4-ニトロベンゼン及びこれを含有する製剤の劇物指定についてです。事務局からお願いいたします。
○事務局 資料6を御覧ください。名称は、1-クロロ-4-ニトロベンゼン及びこれを含有する製剤です。この物質は、農薬、染料、抗酸化剤等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、帯黄色の結晶等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、雄ラットでLD50が294mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、雄ラットでLD50が750mg/kg。これらの数値から、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、ラットで蒸気においてLC50が16.1mg/L/4hrより大きいことから、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。また、いずれもウサギで、軽度の刺激性はあるものの、皮膚に対する腐食性を示さず、また軽度の刺激性があるものの、眼に対する重篤な損傷を示さず、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、1-クロロ-4-ニトロベンゼン及びこれを含有する製剤については、急性経口毒性、急性経皮毒性より、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 この化学物質については、急性経口毒性、急性経皮毒性から劇物相当と調査会で判断いただいているものです。これも工業用原料のようですが、よろしいでしょうか。それでは、この物質については劇物相当ということで結論したいと思います。
 次に、2,4-ジクロロフエノール及びこれを含有する製剤の指定について、よろしくお願いいたします。
○事務局 資料7を御覧ください。名称は、2,4-ジクロロフエノール及びこれを含有する製剤です。この物質は、有機リン剤の殺虫剤等及び除草剤の原料として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある無色の結晶等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、雄マウスでLD50が1,276mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が780mg/kgから、劇物相当と判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、有害性情報収集を行ったところ、ラットでダストにおいてLC50が0.97mg/L/4hrの知見が得られましたが、被験物質の固化状態及び粒径分布等が不明であったことから、本知見をデータとして採用することは不適当であると判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。さらに、急性吸入毒性試験を改めて実施する必要があるのかについては、別添1の物理化学的性状の安定性・反応性でも提示しているように、粉末及び粒径状で空気と混合すると粉塵爆発の可能性があり、加熱又は燃焼すると分解してヒュームを生じるなど、試験の実施が困難と考えられ、不要と判断いたしました。
 調査会においては、2,4-ジクロロフエノール及びこれを含有する製剤については、急性経皮毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷により、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 2,4-ジクロロフエノールですが、原体で経皮毒性、皮膚腐食性、眼刺激性から劇物相当。吸入毒性については適切なデータがないということ、それから化学的な性状から実際の試験の実施が困難ということで、これについては改めて試験を実施せずに、今得られているデータから劇物相当という事務局の判断です。よろしいでしょうか。特段なければ、この3つのデータから判断して、劇物相当という形でこの部会では結論したいと思いますが、よろしいでしょうか。では、そういう形で結論したいと思います。
 次に、テレフタル酸クロライド及びこれを含有する製剤の劇物指定についての説明をお願いいたします。
○事務局 資料8を御覧ください。名称は、テレフタル酸クロライド及びこれを含有する製剤です。この物質は、耐熱性高分子電子材料、顔料、合成繊維/樹脂/フィルム、紫外線吸収剤等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次ページの別添1を御覧ください。外観は、刺激臭のある白色粉末又は無色の針状固体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が2,500mg/kg。急性経皮毒性試験結果は、テレフタル酸クロライドのLD50値の知見は確認できませんでしたが、加水分解により生成するテレフタル酸、塩化水素のウサギにおけるLD50値は各々、>2,000mg/kg、5,010mg/kgであり、これらの知見と同程度、2,000mg/kgを超えると判断することは妥当であると考えられ、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が0.7mg/L/4hrから、劇物相当と判断いたしました。皮膚腐食性については、無希釈のテレフタル酸クロライドはウサギ皮膚に腐食性を示さなかった一方で、媒体にポリエチレングリコールを用いたOECD TG404試験においては、皮膚腐食性が認められました。当該物質は、水と反応し塩酸を生成するため、水溶液は強酸性を示すと考えられ、ヒトへの皮膚ばく露においては、水分等の影響を考慮することが妥当であることから、無希釈の知見よりもポリエチレングリコールを媒体とした知見に重みを置き、皮膚腐食性ありとすることが妥当であると考えられました。
 また、眼刺激性については、無希釈のテレフタル酸クロライドのウサギの眼に対する試験では、中程度の刺激性が認められ、7日間で回復しなかったものの、回復に要する日数が不明確であることから、眼に対する腐食性の有無が判断できませんでした。しかし、水との反応により塩化水素が生成されること、また、皮膚腐食性が認められることを考慮し、眼に対しても腐食性を示すと評価することが妥当であると考えられました。
 調査会においては、テレフタル酸クロライド及びこれを含有する製剤については、急性吸入毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷により、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 原体で吸入毒性、それから刺激性から見て劇物に相当するという調査会での御判断です。1つ確認なのですが、テレフタル酸クロライドで、何を言いたいかというと、急性経皮毒性で適切なデータはなしと。加水分解により生成するテレフタル酸、塩化水素、塩酸のウサギにおけるLD50はそれぞれこの値であったということで、そのことをもってテレフタル酸クロライドも同じというように聞こえたのですけれども、そのように判断してよろしいのですか。
○事務局(野坂補佐) 少し誤解があったようで、参考までに述べますと、テレフタル酸と塩酸のLD50は2,000超、5,010ということであるものの、テルフタル酸クロライドのLD50値の知見は文献より確認できなかったという趣旨です。
○奥田部会長 できなかったということですね。何となく化学反応性は、テレフタル酸クロライドの方がありますよね。単純にそのように聞こえてしまったので、書きぶりかもしれないですね。
○事務局(野坂補佐) 失礼いたしました。
○奥田部会長 もっとも、これは水と反応するので、どういう形で試験をするのかなかなか難しいものかなとは、実は全部のものについて思っているところです。よろしいでしょうか。特段御指摘がなければ吸入毒性、皮膚腐食性、眼刺激性から劇物相当ということで結論したいと思います。
 では次に、ノニルフエノール及びこれを含有する製剤(ただし、ノニルフエノール1%以下を含有するものを除く。)の劇物指定について、説明をお願いいたします。
○事務局 資料9を御覧ください。名称は、ノニルフエノール及びこれを含有する製剤(ただし、ノニルフエノール1%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、1次用途として、界面活性剤、エチルセルロースの安定剤等、2次用途としては、洗剤、油性ワニス等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次ページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある淡黄色液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,200mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が2,031mg/kg。これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、知見がありませんでした。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より1%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、5ページを御覧ください。急性吸入毒性については知見がないことから、事業者が1%製剤の製剤除外申請を提出する際に、併せて原体の毒性データも提出されました。原体の急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が1.0mg/L/4hrであり、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。
 1%製剤における急性毒性試験のデータです。急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が10mg/L/4hrより大きいことから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、劇物の指定根拠とした毒性試験項目の皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷は、ウサギで認められず、いずれも劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、ノニルフエノール及びこれを含有する製剤(ただし、ノニルフエノール1%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 原体は、皮膚腐食性、眼刺激性から劇物相当と。それから、事業者から1%製剤について成績が出されて、除外できるという結論になっているものですが、いかがでしょうか。1ページを見ると、ノニルフエノールは多くの異性体が存在するということで、この構造式で書けるものは、全て対象になるという大くくりの評価だそうです。よろしいでしょうか。そうしましたら、この物質については、原体は劇物、1%製剤以下は除外するということで結論したいと思います。
 では次に、1-ビニル-2-ピロリドン及びこれを含有する製剤(ただし、1-ビニル-2-ピロリドン10%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定についてということです。よろしくお願いいたします。
○事務局 資料10を御覧ください。名称は、1-ビニル-2-ピロリドン及びこれを含有する製剤(ただし、1-ビニル-2-ピロリドン10%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、反応性希釈剤、ポリマー原料として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、無色から明黄色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,022mg/kg、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が3.07mg/L/4hr。これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。
 急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が560mg/kgから、劇物相当と判断いたしました。また、いずれもウサギで、軽度の刺激性はあるものの、皮膚に対する腐食性は認められませんでしたが、眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、急性経皮毒性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、10%製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページを御覧ください。10%製剤における急性毒性試験のデータです。劇物指定根拠とした毒性試験項目の急性経皮毒性試験結果は、投与量の10,000mg/kgのラットへの塗布が物理的に困難であったことから、製剤濃度を2倍、20%製剤の投与量を5,000mg/kgとし、得られた結果を10%製剤に換算することといたしました。その結果、ラットでLD50が10,000mg/kgより大きいことから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、眼に対する重篤な損傷は、ウサギで極く軽度の刺激性が認められたものの、重篤な損傷ではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 事務局においては、1-ビニル-2-ピロリドン及びこれを含有する製剤(ただし、1-ビニル-2-ピロリドン10%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 1-ビニル-2-ピロリドンですが、原体については急性経皮毒性、眼刺激性から劇物相当と。ただし、10%製剤については、提出されているデータから劇物指定は除くというものです。よろしいでしょうか。特段御意見はないようですので、この物質については調査会の提案どおり劇物、ただし、10%以下を含有する製剤を除くということにしたいと思います。どうもありがとうございます。
 次に、ふっ化アンモニウム及びこれを含有する製剤の劇物の指定についてです。お願いいたします。
○事務局 資料11を御覧ください。名称は、ふっ化アンモニウム及びこれを含有する製剤です。この物質は、ガラスのエッチング/艶消し、金属表面処理、ビール醸造におけるホース及び導管等の消毒等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、無色の結晶あるいは白色の粉末等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、有害性情報だけでは毒物劇物か否かの判断が困難であったことから、当該急性経口毒性試験を実施した結果、LD50は50mg/kgを超えて300mg/kg以下であり、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。
 皮膚腐食性試験については、ヒトで腐食性が認められ、眼刺激性試験結果についても、OECD TG437に従い、in vitroウシ摘出角膜のBCOPにおいて、眼に対する重篤な損傷を示し、いずれも劇物相当と判断いたしました。ふっ化アンモニウムとしてのデータの取得は、急性経口毒性、皮膚腐食性、眼刺激性の3項目であり、急性経皮毒性、急性吸入毒性については、知見がありませんが、既に3項目において劇物相当と判断されていることから、まずは劇物として指定させていただき、今後、仮に急性吸入毒性等について、毒物相当であるとの知見が得られた場合は、改めて毒物として指定する等の対応をさせていただきたいと考えております。
 調査会においては、ふっ化アンモニウム及びこれを含有する製剤については、急性経口毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ただいまの事務局から説明を頂きましたが、原体では経口毒性、皮膚腐食性、眼刺激性から劇物相当と判断されたものです。
○奈良委員 教えていただきたいのですが、1ページの経緯の所で5行目ぐらいの所から、「国立医薬品食品衛生研究所において、皮膚に対する腐食性試験を実施したところ、皮膚に対する腐食性が認められた。」という記述があります。このデータはどこにあるのでしょうか。
○事務局 書きぶりが適切ではなく、申し訳なかったのですが、3ページの刺激性のin vitro試験の所です。
○奈良委員 ということは、これは腐食性試験ではなくて、刺激性試験ということになりますよね。
○事務局 そうですね、書きぶりが適切ではなかったので、それは書き改めたいと思います。
○奈良委員 お願いいたします。
○奥田部会長 刺激性は両方ともin vitro試験で評価されているということですね。眼刺激性も皮膚に対する毒性の評価も、そういうことですよね。違うのですか。
○事務局 眼刺激性は、in vitroで重篤な損傷が得られていて、皮膚に対しては、実際のヒトでの症例が得られています。
○奥田部会長 臨床、症例報告か何かがあるのですか。
○事務局 はい。
○奥田部会長 そうですか。パブリックのですね。
○事務局 はい。
○奥田部会長 分かりました。他によろしいでしょうか。経口毒性、刺激性から劇物相当ということですが、いずれも工業用の原料、ビール醸造におけるホース及び導管等の消毒に使われているというものです。特段御指摘がなければ、この物質について劇物に指定という形にしたいと思います。
 では次に、ふっ化ナトリウム及びこれを含有する製剤(ただし、ふっ化ナトリウム6%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定についてということです。よろしくお願いいたします。
○事務局 資料12を御覧ください。名称は、ふっ化ナトリウム及びこれを含有する製剤(ただし、ふっ化ナトリウム6%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、鉄鋼、アルミニウム等のフラックス剤、木材防腐剤、殺菌剤等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、白色の結晶又は粉末等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、マウスでLD50が97.7mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、劇物相当ではないと判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、知見はありませんでした。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性は認められず、中程度の刺激性はあるものの、眼に対する重篤な損傷も認められなかったことから、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、急性経口毒性より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、各濃度における製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、4ページを御覧ください。事業者から提出された原体、製剤除外試験結果の報告書の内容を列記いたしました。急性吸入毒性については知見がないことから、事業者が製剤除外申請を提出する際に、併せて原体の毒性データ、文献等も提出されました。原体の急性吸入毒性試験結果は、ラットでダストにおいてLC50が0.5mg/L/4hrより大きく、1.0mg/L/4hrより小さいことから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。
 事業者からの除外濃度は異なりますが、除外可能な最大濃度である7.5%製剤の急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が10mg/L/4hrより大きいことから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、劇物の指定根拠とした毒性試験項目の6%製剤の急性経口毒性試験結果は、ラットの雌でLD50が2,000mg/kgより大きいことから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。これらから、除外可能な最大濃度である急性経口毒性試験結果の6%を製剤除外濃度といたしました。
 調査会においては、ふっ化ナトリウム及びこれを含有する製剤(ただし、ふっ化ナトリウム6%以下を含有するものを除く。)については、劇物に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ふっ化ナトリウムについては、急性経口毒性から劇物相当。製剤については、急性経口毒性6%の製剤のデータから見て除外と。併せて、その時に吸入毒性も評価をされているということです。よろしいでしょうか。何となくあちらこちらで使われているもので、今出てくるのが不思議な気がするのが個人的な印象ですが。虫歯の予防薬ですよね。それでは、そういう形でお認めいただいたということにいたします。
 次に、ベンゾイル=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ベンゾイル=クロリド0.05%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料13を御覧ください。名称は、ベンゾイル=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ベンゾイル=クロリド0.05%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、有機過酸化物原料、染料、医薬品農薬原料等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、刺激臭のある発煙性の無色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が2,618mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が790~2,000mg/kg。これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、雄ラットでLC50が1.45mg/L/4hrのHSDSの毒性データは、蒸気又はミストのいずれかが不明であることから、蒸気であれば毒物相当と判断されますが、毒物又は劇物相当かの判断をすることができませんでした。一方、EPA情報により、雌ラットでミストにおいてLC50が1.98mg/L/4hrより大きい毒性データは、劇物相当ではありませんでした。これらの毒性データの乖離が大きいことから、毒物又は劇物であるか否かを判断するに当たって、急性吸入毒性データを指定根拠項目とはしないことといたしました。しかし、一定以上の有害性を有する可能性が高いと考えられるため、事業者からの製剤除外の申請に当たっては、原体における急性吸入毒性データは不要としますが、製剤における急性吸入毒性のデータについても提出していただくことといたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、各濃度における製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、5ページを御覧ください。事業者から提出された製剤除外試験結果の報告書の内容を列記いたしました。急性吸入毒性試験結果は、0.1%製剤では、ラットでミストにおいてLC50が10mg/L/4hr以下であることから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。0.05%製剤では、ラットでミストにおいてLC50が10.6mg/L/4hrより大きいことから、劇物相当ではないと判断いたしました。また、劇物の指定根拠とした毒性試験項目の0.1%製剤の皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷は、ウサギで認められず、いずれも劇物相当ではないと判断いたしました。
 これらから、除外可能な最大濃度である急性吸入毒性試験結果の0.05%を製剤除外濃度としました。調査会においては、ベンゾイル=クロリド及びこれを含有する製剤(ただし、ベンゾイル=クロリド0.05%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ベンゾイル=クロリドですが、原体は皮膚腐食性、眼刺激性から、劇物相当と。それから0.05%を含有する製剤については刺激性、併せて行った吸入毒性の評価を含めて判断して、劇物から除外が妥当という御判断ですが、いかがでしょうか。特段なければ、この物質について原体は劇物、ただし0.05%以下を含有する製剤については劇物から除外という形で判断、結論したいと思います。
 次に、メタンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、メタンスルホン酸0.5%以下を含有するものを除く。)の劇物の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料14を御覧ください。名称は、メタンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、メタンスルホン酸0.5%以下を含有するものを除く。)です。この物質は、医薬品原料、エステル化促進剤、重合触媒等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、無色の液体等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が648.7mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が1,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が1.95mg/L/4hr。これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、毒物又は劇物相当ではないと判断いたしました。皮膚腐食性試験結果については、OECD TG404に従い、ウサギで、またOECD TG435に従い、in vitro膜バリア法において、腐食性があり、眼刺激性試験結果についても、OECD TG405に従い、ウサギで、眼に対する重篤な損傷を示し、いずれも劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、劇物相当と判断されました。その後、事業者より、各濃度における製剤の毒性データが提出されました。
 続きまして、5ページを御覧ください。事業者から提出された製剤除外試験結果の報告書の内容を列記いたしました。劇物の指定根拠とした毒性試験項目の0.5%製剤の皮膚腐食性試験結果は、OECD TG431に従い、in vitro再生ヒト表皮モデルのEpiDermTM SCTにおいて、腐食性はなく、眼刺激性試験結果についても、OECD TG437に従い、in vitroウシ摘出角膜のBCOPにおいて、腐食性はなく、皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 これらから、除外可能な最大濃度である皮膚腐食性試験結果、眼刺激性試験結果の0.5%を製剤除外濃度といたしました。調査会においては、メタンスルホン酸及びこれを含有する製剤(ただし、メタンスルホン酸0.5%以下を含有するものを除く。)については、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 メタンスルホン酸ですが、原体については皮膚腐食性、眼刺激性から、劇物相当。0.5%以下を含有する製剤については、各種データから除外が適当、妥当だという御判断です。1点確認なのですけれども、刺激性試験は原体も製剤も、皮膚腐食性はin vitro。ただ別添2のマウス、in vitro膜バリア法という試験が行われているのですね。
○事務局 そうです。
○奥田部会長 マウスはin vivoの試験ですか。
○事務局 in vivoです。
○奥田部会長 in vivoですね。ではin vivoの試験とin vitroの試験が行われていると。
○事務局 はい。
○奥田部会長 はい、分かりました。それに対して、製剤の除外に関しては、皮膚腐食性については、全てin vitroで除外をしているということでよろしいのですね。
○事務局 0.5%です。
○奥田部会長 0.5%ですか。
○事務局 はい、そうです。
○奥田部会長 逆に言えば、丸ごとのホールアニマルを使った試験はしていないということですね。
○事務局 低濃度のものでは行っています。0.1%で。
○奥田部会長 0.1%は行っているのですね。はい、分かりました。これはウサギでやっているのですね。色々な試験が行われているのですが、かなりin vitroの試験を入れた結果を評価したということかなと思いました。よろしいでしょうか。それでは、原体については劇物、0.5%以下の製剤は指定から除外するということで結論したいと思います。
 次は、硫化水素ナトリウム及びこれを含有する製剤の劇物の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料15を御覧ください。名称は、硫化水素ナトリウム及びこれを含有する製剤です。この物質は、PPS樹脂原料、有機合成化学用、皮革の脱毛等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある白色で吸湿性の結晶等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が80.9mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、30%水溶液において、ラットでLD50が632mg/kgから、100%換算である190mg/kgの知見が得られましたが、REACH登録資料では硫化水素ナトリウムは腐食性物質で、皮膚傷害性であるため、本知見を急性経皮毒性評価の根拠として妥当ではないとしており、本知見をデータとして採用することは不適切であると判断いたしました。急性吸入毒性試験結果は、ラット、マウスで、LC50が1,500mg/m/15minの知見が得られましたが、被験物質のばく露形態等の詳細が不明であったことから、本知見をデータとして採用することは不適切であると判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、硫化水素ナトリウム及びこれを含有する製剤については、急性経口毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 硫化水素ナトリウムについて、急性経口毒性、それから刺激性から、劇物に指定することが妥当という御判断です。ただし、経皮毒性、吸入毒性に対しては、評価するようなデータは得られていないということです。よろしいでしょうか。特に御発言がなければ、この物質について劇物相当ということで結論したいと思います。どうもありがとうございます。
 次は、硫化二ナトリウム及びそれを含有する製剤の劇物の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料16を御覧ください。名称は、硫化二ナトリウム及びこれを含有する製剤です。この物質は、硫化染料の製造及び染色、皮革の脱毛剤、還元剤、硫化物の製造原料等として使用されています。当該物質について、急性毒性及び刺激性に関する有害性情報収集を実施したところ、別添の結果が得られました。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、特徴的な臭気のある白から黄色の吸湿性結晶等の物理化学的性状を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が208mg/kgから、毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当と判断いたしました。急性経皮毒性試験結果は、ウサギでLD50が340mg/kgより小さいとの知見が得られましたが、当該試験ではガイドラインの指定と異なり、擦過皮膚に適用していることから、本知見をデータとして採用することは、不適切であると判断いたしました。
 急性吸入毒性試験結果は、知見がありませんでした。さらに、急性吸入毒性試験を改めて実施する必要があるかについては、当該物質は、吸湿性結晶であることから、試験の実施の際、空気中と水分との反応性の可能性があります。その際、非常に毒性の高い硫化水素の気体が発生するため、急性吸入毒性試験を適切に実施できないと考えられることから、不要と判断いたしました。また、いずれもウサギで、皮膚に対する腐食性及び眼に対する重篤な損傷を示し、劇物相当と判断いたしました。
 調査会においては、硫化水素ナトリウム及びこれを含有する製剤については、急性経口毒性、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷より、「劇物」に指定することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 最後の所を、もう一回お願いします。今、間違えて。硫化二ナトリウム。
○事務局 硫化二ナトリウムです。
○奥田部会長 今、硫化水素と言われたような気がして。
○事務局 すみません、硫化二ナトリウムです。大変失礼しました。
○奥田部会長 ということです。吸入経口毒性、刺激性から劇物相当と。吸入毒性はないけれども、硫化水素が出るというようなことで、実施は適当ではないことから、そのデータなしに劇物という判定です。特段御意見がなければ、劇物相当の指定が適当ということでお認めいただいたことにしたいと思います。
 次は、4-エチルオクタ-3-エンニトリル及びこれを含有する製剤の劇物の除外について、ニトリル製剤なので指定が掛かっていたものを除外するという審議です。よろしくお願いいたします。
○事務局 資料17を御覧ください。名称は、4-エチルオクタ-3-エンニトリル及びこれを含有する製剤です。現在、毒物及び劇物指定令第2条第1項第32号の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より、原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、無色の液体等の物理化学的性状等を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果は、ラットでLD50が1,000mg/kg、急性経皮毒性試験結果は、ラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が5.34mg/L/4hrより大きく、これらの数値からは、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、皮膚腐食性、眼刺激性は、いずれもin vitro試験で実施しており、皮膚に対する刺激性、眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、4-エチルオクタ-3-エンニトリル及びこれらを含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 有機シアン化合物ですが、この物質については事業者から提出されたデータで、経口毒性、経皮毒性、吸入毒性それから刺激性の試験。刺激性についてはin vitroの試験ですが、これらのデータに基づいて劇物から除外することが適当というものですが、よろしいですか。それでは、この物質について劇物から除外することにしたいと思います。
 では次の3,4-ジメチルベンゾニトリル及びこれを含有する製剤の毒物及び劇物液体と さい。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に吸取締法に基づく劇物からの除外について、これも事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料18を御覧ください。名称は、3,4-ジメチルベンゾニトリル及びこれを含有する製剤です。この物質も先ほどと同様に、毒物及び劇物指定令の有機シアン化合物及びこれを含有する製剤に該当し、劇物となるものですが、今般、事業者より原体の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 次のページの別添1を御覧ください。外観は、白色から微黄色の結晶等の物理化学的性状等を列記しています。続きまして、別添2を御覧ください。原体における急性毒性試験等のデータです。最初に、急性経口毒性試験結果、急性経皮毒性試験は、いずれもラットでLD50が2,000mg/kgより大きく、急性吸入毒性試験結果は、ラットでミストにおいてLC50が1.02~3.48mg/L/4hr。これらの数値から、いずれも毒物劇物の判定基準に照らし合わせて、劇物相当ではないと判断いたしました。また、皮膚腐食性、眼刺激性は、いずれもin vitro試験で実施しており、皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、3,4-ジメチルベンゾニトリル及びこれを含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると、判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 これも、先ほどと同じです。有機シアン化合物ですが、事業者から提出されたデータに基づくと、劇物から除外するのが適当という調査会の判断です。先ほどのものと似たようなデータセットで申請されていて。
○山口委員 これがもともと劇物指定されていたのは、吸入毒性が根拠になっていたのですか。
○奥田部会長 事務局からお願いします、もともとの劇物指定になった根拠。恐らく有機シアンということで一網打尽に、データなしに。データなしにというのは、特段のデータはなしに、有機シアン化合物ということで指定はされているのではないかと思うのですが。
○事務局 そうです。
○山口委員 そうですか。専門ではないので教えていただきたいのですが、参考資料1の、毒物劇物の判定基準の2.製剤の除外に関する考え方の中で、(1)1.の(a)に、その劇物の最も大きい吸性毒性値の10倍以上という記載は、この案件の審査の中ではどういうところにいきてくるのかを教えていただけたら有り難いのですが。
○事務局 今回の除外申請は、原体そのものですので、100%のものです。
○山口委員 そうですか。分かりました、ありがとうございます。
○奥田部会長 有機シアン化合物ということで指定をされたものですから、除外というのですか、広い意味では有機シアン化合物から除外されたということなのですが、製剤を除外したということではないという事務局の御説明です。
○山口委員 分かりました、ありがとうございます。
○奥田部会長 よろしいですか。それでは本日最後になりますが、水酸化リチウムの0.5%以下を含有する製剤について、除外についてということです。こちらもよろしくお願いいたします。
○事務局 資料19を御覧ください。現在、水酸化リチウム一水和物及びこれを含有する製剤(ただし、水酸化リチウム一水和物0.3%以下を含有するものを除く。)は、毒物及び劇物指定令第2条第1項第68号の3に劇物として指定していますが、今般、事業者より0.5%製剤の毒性データが提出され、劇性を持たないものであることが判明したことにより、劇物から除外するものです。
 4ページの別添2を御覧ください。指定根拠とした毒性試験項目の皮膚腐食性試験結果については、OECD TG431に従い、in vitro再生ヒト表皮モデルのEpiDermTM SCTにおいて、腐食性はなく、眼刺激性試験結果についても、OECD TG405に従い、ウサギにおいて、刺激性はなく、皮膚に対する腐食性、眼に対する重篤な損傷を示すものではなく、劇物相当ではないと判断いたしました。
 調査会においては、水酸化リチウム一水和物0.5%以下を含有する製剤を、「劇物」から除外することが適当であると判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 原体の水酸化リチウムについてはここにデータがありますが、刺激性から劇物相当。今回、0.5%に関して事業者からデータが出されて、この物質については刺激性なしということで、除外が適当というものですが、いかがですか。
○山口委員 もともとが皮膚への傷害が根拠になっての指定と伺いましたけれども、この急性経皮毒性を拝見しますと、200mg/kgでは死亡例がない。しかし3,000 mg/kgでは全例死亡という。このデータだけ見ますと、劇物を除外する条件にしかなっていないように思われますが、いかがですか。毒物を否定する根拠にならないように思います。
○奥田部会長 事務局からお願いします。
○事務局(野坂補佐) 水酸化リチウムの水和物なのですが、一応もともと劇物指定されているというところで、その根拠はこの下線の引いている3ページの別添2で、その刺激性の部分でして、急性経皮毒性の方はLD50が明確に求められていないので、特にその当時劇物指定した根拠とはしていないというところです。
○山口委員 しかし、今回このデータを見ると看過できないと思います。すなわち200~3,000の間のどこで死ぬのかが分からない。LD50を根拠にした判定を、今皆さんと検討しているわけですから、これをそのまま除外するということに同意できません。
○奥田部会長 山口委員の御意見は、この急性経皮毒性ですと、このデータからは劇物に相当する可能性があると。したがって、製剤を除外する時に、この急性経皮毒性に関しても、そのデータは必要である。この今の刺激性の評価だけでは除外には不足だという御指摘かと思うのですが。
○松岡委員 私は一番最後の0.5%製剤についてのみ、今回の諮問があると理解したのですが。
○事務局(野坂補佐) そのとおりで、山口先生の御指摘は、原体で経皮のLD50が求められていないものの、200~3,000のどこかにあり、これが要は1,000mg以下というところが証明されてないのであれば、きちんとしたデータが要るのではないかという御指摘ですか。
○山口委員 はい。もともと原体についてはそれで劇物に指定されていたので、齟齬はないと思うのです。しかしながら、今回0.5%製剤を解除するに当たっては、この0.5%で経皮毒性がどうなのかということについて検討する必要がないかという趣旨です。
○事務局(野坂補佐) これまでの運用上の話になって恐縮ではあるのですが、もともと指定根拠としたもの、毒性試験に対して否定するといいますか、除外に関する製剤の試験を求めてきたところであり、今回確かにおっしゃるとおり、経皮の部分、原体でどこにあるかというのが分からないところではあるのですが。もともと原体も経皮を指定根拠としていないところで、今回も0.5%製剤について経皮の試験を求めなかったというところです。
○山口委員 私は臨床家ですので常に安全な側にたって発言させていただいておりますので、そういう事務手続上のことでクリアすると言うのであれば、私は意見を申し上げる必要はございません。結構でございます。
○奥田部会長 この物質を指定する時に、この急性経皮毒性をどのように評価する必要があるかどうかについて、恐らく議論がなされて、これまでの審議であったように、もしこれが評価する必要があるのであれば、そのデータを併せて要求したということだろうと思うのですが。その時には恐らくここまで急性経皮毒性のデータを求めなくてよいだろうということだったかと思うのです。今回そういう中で刺激性を見て、除外ということですので、この場では、この物質について除外という形にしたいと思います。ただ、こういった問題がありますので、今後やはり毒性評価、劇物毒物を決める時に、他の刺激性があるからということではなくて、なかったデータについて本当にそのものがそれ以上求める必要はないのかどうかについては、今後その度に慎重に考えていくことが必要なのだろうと。今の山口委員の御指摘を聞いていて、思いました。この物質は水酸化リチウムですので、割に外挿は容易なのかもしれないと思うのですが。色々なケースがございますので、よろしいですか。それでは、そういう形でこの部会では、0.5%製剤を劇物から除外するということにしたいと思います。どうも山口先生、御指摘ありがとうございました。
 その次ですが、一応これで用意した個別の品目は終わりですが。
○遠藤委員 すみません。審議が終了したものであるのですが、1点だけ確認させていただきたい点がございます。資料16の硫化二ナトリウムに関して、劇物指定ということなのですが、先ほど事務局の方から、急性吸入毒性試験が不要であるとおっしゃられた根拠の部分を私聞き逃してしまったのです。このデータからは、劇物に該当するとは思うのですが、毒物に該当しないという根拠と、今回、吸入毒性試験が不要というふうにおっしゃられた点と関連があるのか判断できなかったもので、もう一度教えていただきたいと思います。
○事務局 今の話は吸入毒性試験のことでしょうか。
○遠藤委員 この物質自体のロジックが分からなくなりまして。このデータから毒物ではないというふうに考えていいのか、どうなのかがその考え方を確認したいと思った次第です。
○事務局 先ほど御説明させていただいたことは、この物質の物理化学的性状から鑑みて、当該物質が、吸湿性結晶であることから、試験を行うに当たって、空気中で水分との反応性の可能性があって、その際に非常に毒性の高い硫化水素の気体が発生するため、急性吸入毒性試験を適切に実施できないと考えられることから、不要と判断いたしました。
○奥田部会長 今度、これを除外しようと思った時に、山口委員の御指摘と同じような形に。恐らく、山口委員が危惧されたのはそういう、今のようなことだと思うのですね、今後に向けてということは。
○遠藤委員 実際この物質は、今回得られている知見からは毒物でないということは言えないですよね。
○奥田部会長 ただ、化学的に見れば、硫化水素が出ればということですね。
○遠藤委員 これが劇物以下であることは確かではあるのですが、毒物でないという。劇物となると毒物ではないと、逆に根拠がないと解釈が難しいのかなと思います。
○奥田部会長 遠藤委員の御指摘は、恐らく気体にすれば、ある存在状態にこれを持ってくれば毒物になるかもしれないということが化学的に分かっているものについて。
○遠藤委員 劇物としていいのかが。
○奥田部会長 ということを御指摘されているのかもしれない。それについては、これはどのように考えるのでしょうね。例えば、このものを塩酸に入れればということです。もしかしてそういうような状況まで含めた、水に溶かした時に何が起きるのだろうという、それを吸入毒性を測ったら想定できるのではないかということ。
○遠藤委員 はい。それも含めて、吸入毒性試験データがない状況で、劇物という枠組みの中に入れてしまっていいものなのかどうなのかというところがとても心配になりました。
○事務局(野坂補佐) よろしいですか。遠藤先生御指摘のとおり、今、急性吸入毒性の知見というのはない。これが、毒物ではないかどうかと言うと、そこは今分からないというのが答えです。一方で現時点、毒物にも劇物にも指定されていないというところでして。まずは刺激性が認められるというところで劇物に指定して、今後新たに毒性の知見が得られて、これが毒物の判定にということをされるようなデータがあれば、改めて検討なのかなと考えておりますが、現時点はまず劇物として指定するデータしかないというところで。恐らくこれは物性から見ても融点も非常に高く、吸入の試験というのはなかなか試験が難しいのかなというところを推察しております。色々と文献調査等したのですが、吸入の毒性試験というものが何か1つもなくて。
○遠藤委員 劇物指定する時に吸入毒性試験の知見はないなど、何かそういう記録が必要ではないのかなと。その考え方でいきますと、何の記録もなしに劇物というふうになりますと、毒劇物指定の考え方を浸透させないと、誤解される可能性があるのではないかと思いました。
○事務局(野坂補佐) 御指摘のとおり、個別に色々判断しているケースがあるので、その点事務局でも重く受け止めまして、合理的な説明が都度できるように対応していきたいと思います。必要に応じて何か判定基準等も見直す必要があれば、またこの部会でも御審議いただくことになるのかと存じます。
○奥田部会長 今の取りあえず何もない状態から1つ管理された状態に置くと。例えば、今度製剤があった時に、それを除外するというようなケースについて、どういうデータセットで除外するかということについて、やはり今の指摘を踏まえると、ある程度機械的ではなくて、こういった調査会なり、部会なりの経緯を含めて、どういうデータセットで除外するのがいいか。その時々でやはり考えた方がいいかもしれないですね。余り機械的にやると、何か抜けが起きるかもしれない。今のお話を聞いていてそう思った次第ですが、いかがですか。他によろしいですか。山口委員、遠藤委員の貴重な御指摘、ありがとうございます。
 以上で本日の議題は終了いたしましたが、何か事務局からは追加で御発言はありますか。
○事務局 当日配布資料の1ですが。
○奥田部会長 すみません、その他であるのですね。
○事務局 当日配布資料1を御覧ください。令和2年度以降の毒物劇物指定候補物質についてというものです。毒物及び劇物の指定候補物質を、以下に書かれているような条件の下でリスト化して、提示をしております。今回の部会で審議した物質については、御提示したリストから毒物又は劇物相当と判断されたということで、16物質が除かれておりますが、今年度新たに有害性情報調査を実施しております物質が追加されております。また、これらの物質がこの部会で審議されることになるかと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。○奥田部会長 ありがとうございます。この当日配布資料について何かありますか。よろしいですか。なければ、これで本日の議題は終了です。事務局から追加はありますか。
○事務局(野坂補佐) 本日御審議、御決議いただきました物質については、次回の薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告させていただきます。また、本日の議事録については事務局において取りまとめをした後、先生方に御確認をしていただきまして、他の手続を進めてまいります。それから本日、山本審議官が国会対応等の公務の関係で途中退席してしまい、事前に伝えるのを失念しておりまして、大変失礼しました。
○奥田部会長 ありがとうございます。では、本日はこれで終了いたします。お疲れ様でした。
( 了 )
 
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬品審査管理課

化学物質安全対策室 室長補佐 野坂(内線2910)