2020年1月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年1月29日(水)17:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

出席委員(13名)五十音順

欠席委員(8名)

(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

  • 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
  • 山本史(大臣官房審議官)
  • 吉田易範(医薬品審査管理課長)
  • 中井清人(医薬安全対策課長)
  • 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  • 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  • 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員)
  • 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、大曲委員、亀田委員、川上委員、島田委員、南委員、山口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続いて、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。厚生労働省大臣官房審議官の山本です。
○審議官 山本です。森の後を引き継ぎまして、審議官に着任いたしました。医薬品審査課長時代は大変お世話になりました。どうぞ引き続き、よろしくお願い申し上げます。
○医薬品審査管理課長 続いて、医薬安全対策課長の中井です。
○医薬安全対策課長 中井です。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 医薬品医療機器総合機構安全管理監の山田です。
○安全管理監 山田です。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 申し遅れましたが、私は厚労省医薬品審査管理課長の吉田です。どうぞよろしくお願いいたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机の上に議事次第、座席表、座席表の裏面に当部会の委員名簿を配布させていただいております。議事次第に記載されております資料1~11をあらかじめお送りさせていただいております。
 会議のペーパーレス化に向けた取組として、本日の医薬品部会ではあらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し閲覧していただけるようにするとともに、机上の配布資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。このほか、資料12、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案を机の上に配布しており、またタブレットの中に、資料13として各審議品目に係る専門協議の専門委員リストを、資料14として競合品目・競合企業リストを格納しております。なお、タブレットの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストを御報告いたします。タブレットの資料14を御覧ください。まず1ページですが、レブラミドカプセル2.5mg他1規格です。本品目は「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 2ページですが、カボメティクス錠20mg他1規格です。本品目は「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 3ページですが、アレセンサカプセル150mgです。本品目は「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 続いて4ページですが、ロズリートレクカプセル100mg他1規格です。本品目は「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の1品目を競合品目として選定しております。
 5ページですが、ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL他2規格です。本品目は「無又は低ガンマグロブリン血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を選定しております。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 事務局です。薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況については、次のとおりです。まず議題1のレブラミドについては退室委員なし、議決に参加しない委員として清田委員、濱委員。議題2のカボメティクスについては退室委員、議決に参加しない委員として清田委員。議題3のアレセンサについては退室委員なし、議決に参加しない委員として清田委員、濱委員。議題4のロズリートレクについては退室委員なし、議決に参加しない委員として濱委員。議題5のピリヴィジェンについては退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。
 また、議題6についても、各委員より寄附金、契約金等の受取の申告は頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当いたしますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項6議題、報告事項4議題、その他事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品レブラミドカプセル2.5mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。タブレットを御覧になる際には、資料1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるレナリドミド水和物は、サイトカイン産生調節作用、血管新生阻害作用等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤は多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群及び成人T細胞白血病リンパ腫に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は「再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。令和元年10月時点において本剤は、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫のうち、濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫、以下それぞれFL及びMZLと略させていただきますが、FL及びMZLに係る効能・効果で、米国において承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料13にございますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験である007試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書9ページの表5及び10ページの図1を御覧ください。再発又は難治性のFL及びMZL患者を対象とした007試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、プラセボとリツキシマブとの併用投与群と比較して、本剤とリツキシマブとの併用投与群の優越性が示されました。以上の結果等から、再発又は難治性のFL及びMZL患者に対して、本剤とリツキシマブとの併用投与の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書15ページの下から11行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果で注意が必要と判断された事象に加え、アナフィラキシーであり、造血器悪性腫瘍の治療に対して、十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人患者における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品として指定された効能・効果のみを有する医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、今回追加する効能・効果等に対して、再審査期間は5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○菊池委員 これ、日本人で1人亡くなっていますよね。その死因が不整脈と書いてありますが、そこら辺のこと、この薬が循環器系に何か影響が出やすいとか、そういうことは特にないのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 お答えさせていただきます。おっしゃるとおり、死亡例は認められているのですが、現時点において本剤が循環器系に悪影響を及ぼすという情報は得られていないというところです。
○菊池委員 なので、添付文書上には特にそういった断りはないという理解でよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書については、4ページに、重大な副作用という項があり、そちらに心臓関連の副作用が認められているという形での情報提供はさせていただいているところです。
○菊池委員 でも、普通の薬と同じという感じですよね。特段この薬が特別ではなくてという認識でいいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 明確に、本薬による作用に基づいて認められたというものではないという状況です。
○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきますと、御心配されているのは日本人でのというお話かと思いますが、国内外差という点に関しては特段、外国人と比べて日本人で特に不整脈が問題となるような知見が得られているという状況ではありません。ただし、この薬剤の副作用という観点で、不整脈等について添付文書で注意喚起させていただいているということです。
○菊池委員 ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいですか。
○半田委員 確認なのですが、MZLに対する有効性に関して、EUでは一応審査がペンディングになっているということなのですけれども、その辺の評価というのは最終的にどのようにされたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書22ページを御覧ください。7.R.4.2項の所で議論させていただいておりまして、MZL患者については表14に記載しているとおり、ハザード比が1.00であり、全体集団とは異なる傾向が認められているところです。これに関しては、23ページの1段落目の1ポツ目を御覧ください。MZL患者での部分集団解析結果について、MZL患者の症例数が限定的であったことに加え、事後的な解析として、MZL患者集団において特定された予後因子で調整した解析を実施した結果、MZL患者集団におけるPFSのハザード比は0.51であったという結果が得られております。以上の点を考慮いたしますと、007試験のMZL患者集団においては、本薬群とプラセボ群の間で、病期、LDH上昇の有無、化学療法の適応の有無といった予後因子の分布に偏りが生じた可能性が考えられました。
 また、2ポツ目も御覧いただきたいのですが、007試験での病理組織型別の奏効率の結果は、FL患者集団では本薬群80.3%、プラセボ群55.4%。MZL患者集団では、本薬群64.5%、プラセボ群48.8%であり、奏効率については病理組織型別の結果が同様であったという結果が得られております。この点に加えて、今回提出されている007試験の全体集団では、臨床的有用性が示されていること等を勘案しますと、MZL患者に対しても本薬とリツキシマブとの併用投与の臨床的有用性は期待できると判断しました。
○半田委員 よろしいですか。
○清田部会長 どうぞ。
○半田委員 ですから、基本的には統計学的なパワーがちょっと足りないということですよね。EUも同じ所を指摘されていると。それは、ここで含めてしまっていいということですか。
○医薬品医療機器総合機構 申請者は、先ほど説明させていただいた内容と同様の説明をEUの規制当局に対して行ったところ、受け入れられませんでしたが、我々に関しては、非常に限られた集団での結果であることも考慮して、MZL患者集団に対しても有用性が期待できるだろうという判断になったということです。
○半田委員 希少疾患であるということを考慮されたということですか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○長島委員 今の点は、病理のもので一応差があるけれどもそうであろうという、推定でこうなったということは情報提供されますか。
○医薬品医療機器総合機構 事後的な解析結果のことでしょうか。
○長島委員 この治験ではハザード値でこういう違いがあったけれども、こういう根拠で類推してこうやったのだというのも、医師が判断するときの参考になる資料だと思うので、そこのところを資材と添付文書で情報提供される予定はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書での情報提供に関しては、試験成績のみを考えており、事後的な解析については、御指摘を踏まえて資材等に盛り込むような形で申請者に指導させていただきたいと思います。
○清田部会長 よろしいですか。ほかに御意見はございますか。よろしいですか。それでは、御質問はないようですので、議決に入ります。濱委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私についても同様の取扱いです。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品カボメティクス錠20mg他の製造販売承認の可否等について説明いたします。タブレットの資料2のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書のファイルの最下部中央に青字で記載しているページ番号を使用いたします。
 本剤の有効成分であるカボザンチニブリンゴ酸塩は、血管内皮増殖因子受容体2等を介したシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。今般、本剤は「根治切除不能又は転移を有する腎細胞癌」を効能・効果として承認申請されました。令和元年11月時点において、本剤は腎細胞癌に係る効能・効果にて、47の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料13にありますとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に試験の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるMETEOR試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書39ページの表23及び図3を御覧ください。血管新生阻害剤による治療後に増悪した根治切除不能又は転移性の淡明細胞型腎細胞癌患者を対象としたMETEOR試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、エベロリムス群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書43ページの下から2行目以降を御覧ください。本剤投与時に、特に注意を要する有害事象として、高血圧、腎機能障害、骨髄抑制、創傷治癒合併症、膵炎、肝機能障害、下痢、手掌・足底発赤知覚不全症候群、消化管穿孔・瘻孔、出血、可逆性後白質脳症症候群、骨壊死、血管塞栓症、心臓障害(QT間隔延長を除く)、間質性肺疾患、横紋筋融解症、皮膚障害(手掌・足底発赤知覚不全症候群を除く)、胆嚢炎及び副腎機能障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本薬の休薬等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大丈夫ですか。御質問、御意見がないようでしたらば、このまま議決に入らせていただきたいと思います。私については、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を控えさせていただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品アレセンサカプセル150mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には、資料3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるアレクチニブ塩酸塩は、未分化リンパ腫キナーゼ、以下、ALKと略させていただきますが、ALKに対する阻害作用を有する低分子化合物であり、ALKのリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤は非小細胞肺癌に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。
 なお、本剤は平成31年4月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和元年11月時点において、ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に係る効能・効果で本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料13にあるとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるALC-ALCL試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の7ページの表3を御覧ください。6歳以上の再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫患者を対象としたALC-ALCL試験において、主要評価項目とされた奏効率について、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書の8ページの下から15行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、がん化学療法に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、小児患者における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果とし、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、ALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
○中野委員 質問というよりは確認事項です。少ない小児例で、最小年齢の方が6歳ということです。ただ、今回の添付文書を拝見いたしますと、効能・効果に関しては特に年齢を縛るものではなく、添付文書等の小児の使用のところで、国内の臨床試験では6歳未満の小児は実施されていないという記載で運用していくということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○長島委員 臨床上の位置付けとしては、もしALK融合遺伝子陽性と判明すれば、類薬と比べて、まずこれが第1選択とするような位置付けになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床的位置付けに関しては、審査報告書の11ページの7.R.3.1項に、御質問いただいた本剤と類薬との使い分け等について記載しております。再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性のALCLに対して使用可能な薬剤として、ブレンツキシマブベドチンが本邦で承認されていますが、本剤とブレンツキシマブベドチンとの使い分けに関しては、有効性及び安全性を比較した臨床試験は実施されていないという状況ですので、現時点で使い分けというのは不明であり、がん化学療法の治療に十分な知識と経験を持つ医師によって、各薬剤の作用機序等を考慮した上で選択されるものと考えております。
○長島委員 決まってないようですね。とすると今後、例えば学会等で位置付けをきちんと検討していただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。
○菊池委員 今回のこととは余り関係ないのですけれども、アレクチニブは日本で開発されて、アメリカの添付文書での用量が2倍ですよね。特に肺癌の場合に。それを前のときには見落としたというか。これを日本は、そのままずっと300のBIDでいくのですか。添付文書にほかの効能・効果で出たときに、私はもともとある薬の検討もしたほうがいいと常に言っているので。肺癌のほうの、今回、本件は2度審議しないというのであれば、「はい」と静かにしますけれども、どうなのでしょうか。意味は通じましたか。
○医薬品医療機器総合機構 まず今回、肺癌との大きな違いとしては、成人だけではなく、小児の患者も含まれているということです。今回の用法・用量については、体重で規定をしているのです。35kg未満の場合は体重が小さくなりますので、150mgの1日2回という用法が設定されました。一方、非小細胞肺癌のほうは、もともと成人が対象の試験で、用法・用量自体も「通常、成人には」という規定が付いております。ですから、今回の適応についても、基本的に成人には300mgが投与されることが多いと。ただ、試験が35kg未満では150mgという規定がありましたので、今回はその試験の規定に倣って、体重の軽い患者に限っては150mgを2回という規定を追加したという経緯があります。ですので、既存の肺癌については、小児の臨床試験成績等は得られておりませんので、現時点でそこを変更するという根拠はないと考えております。
○清田部会長 答えになっていましたか。
○菊池委員 私が聞いたのは、肺癌のときにアメリカでは600mgでいっているのに、日本は300mgのままでいいのかという再検討はされたのかという意味です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点は、今回の審査では特に検討しておりません。
○菊池委員 例えば意地悪な見方をすると、間質性肺疾患の頻度なども変わっているのです。そうすると、その部分だけはいじっているけれども、用量については今までどおり、日本人はアメリカ人の半分でいくのかという検討についてです。多分、多ければ多いほど効くはずなのです。私は全く専門ではありませんけれども、この辺の耐性を取られてしまったら多分、効かなくなってしまう薬だと思うのです。今回、アメリカの添付文書を見ましたけれども、多くやって耐えられなかったら下げていけというように書かれていて、日本のほうは日本発のせっかくのいい薬なのに、日本人にそのいい部分が全部供与されてないのではないかという、全然関係ない懸念が出たので、考えましたかということだけ伺ったのです。
○医薬品医療機器総合機構 御意見の趣旨は理解いたしました。
○清田部会長 では、考えてないというような感じでよろしいでしょうか。
○菊池委員 それが普通だと思います。ただ、効能・効果の拡大など、いろいろなことをするときに、現状のところでどうなっているかとか、全く同じではないのです。ちょっと意地悪をして見ましたけれども、副作用の頻度などが変わって報告されていたので、ある部分で都合のいいところは頻度が下がっている。そうであれば、もっとちゃんといろいろ考えてないのですかということが必要かなと思ったのです。たまたま見付けてしまったので。
○医薬品医療機器総合機構 機構のほうから、もう少しだけ補足させていただきます。肺癌の開発については、同じロシュグループですけれども、国内の開発と海外の開発で分かれて開発されてしまったという経緯があります。日本の開発のほうが先行していることもあって、日本の開発グループの中では300mgのほうが妥当だということで、承認申請がされて承認されたのです。その後、海外では600mgのほうが適切だということになりました。それは開発の経緯で分かれてしまったところがあります。
 現時点において、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と聞いています。本日の御意見も踏まえ、企業には肺癌における用法・用量の適切性に関する検討を引き続き検討していただけるように、我々のほうからもお伝えさせていただきたいと思います。
○菊池委員 今日の発言は自分でもまずいなと思うので、後でまた御相談して、何だったら今の話はなくしてもいいです。ただ、これはAMEDの中で評価された薬であって、AMEDではないかもしれませんけれども、日本発の薬剤なので、そういう効果がちゃんと国民に行っているかということを思ったわけです。
○清田部会長 貴重な御意見として頂いておきます。例えば、アメリカでは600mgでいくという話になって、アメリカのガイドラインでは600mgになってしまい、日本との整合性が全然取れなくなるということは、よくある話のようなのです。そういうことを踏まえての設定ですねというのが、多分、菊池先生の御意見ではないかと思います。ただ、現時点では企業の申請どおりに認めるというスタンスなのですよね。そういうことでよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。
○清田部会長 では、現時点ではそのように。
○菊池委員 これだけではなくて、ほかのこともあるのではないですか。
○清田部会長 ほかの薬にも、よくあるものですから。
○菊池委員 2倍違いますから、すごく違うと思うのです。
○清田部会長 そうですね。よくある話だろうと思いますけれども、いかがでしょうか。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。濱委員におかれましては利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私についても同様の取扱いです。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは議題4に移ります。議題4について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品ロズリートレクカプセル100mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について説明いたします。タブレットの資料4のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。以降のページ数については、審査報告書ファイルの最下部中央に青字で記載しているページ番号を使用いたします。
 5ページに、本品目の概要と開発の経緯をまとめております。c-ros oncogene1、以下、ROS1と略させていただきますが、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌においては、ROS1融合遺伝子が非小細胞肺癌の発がんに重要な原因遺伝子であると考えられております。本剤の有効成分であるエヌトレクチニブは、ROS1遺伝子がコードするROS1チロシンキナーゼを阻害することにより、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌の増殖を抑制すると考えられています。
 現在、本剤はNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は「ROS1融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌」を効能・効果として承認申請されました。令和元年10月時点において、本剤はROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌に係る効能・効果にて、米国のみで承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料13にあるとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では主な臨床試験として、国際共同第II相試験であるSTARTRK-2試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の9ページの表2を御覧ください。STARTRK-2試験におけるROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌コホートで得られた、主要評価項目であるRECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率は75.8%でした。当該成績に加え、ROS1融合遺伝子が癌のドライバーであること等を考慮すると、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書の12ページの7.R.3の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、認知障害、運動失調、失神、間質性肺疾患、QT間隔延長及びQT間隔延長以外の心臓障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人患者に本剤を投与した際の安全性情報は限られていること等から、製造販売後には、本剤を使用した全てのROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした製造販売後調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果とし、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますか。
○長島委員 8ページの国際共同試験のところです。12か月未満で観察期間を打ち切ったものが43例とあります。これは、単に時期的に12か月に満たなかったのか、途中で何かの理由で観察を12か月未満でやめたのか、どちらでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 43例には、単に観察期間が12か月を満たなかった患者のみが含まれます。
○長島委員 もう一点よろしいでしょうか。添付文書の臨床成績で、国際共同第II相試験で、ROS1の融合遺伝子陽性は核酸ベースの診断法を用いて検査されたが、当該検査との同等性が確認されたFoundationOneゲノムプロファイルがコンパニオン診断薬等として製造販売承認されていると書いてあるのですけれども、ここでわざわざFoundationOneのことを記載した理由は何でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本薬の使用に当たって、コンパニオン診断薬として使用することが可能な診断薬はFoundationOneのみとなりますので、その具体的な製品名を記載しております。
○長島委員 そうすると、臨床成績の所で見付けにくい形で載せるのがいいのか、あるいは情報提供としては、これに使えるのはFoundationOneですというように、分かりやすい形で載せたほうがいいのか。それしかないのであれば、もうちょっと分かりやすい形で資材等には提供するということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的に、コンパニオン診断薬と医薬品が一緒に承認されている品目については、具体的な製品名は、添付文書の臨床成績の項に記載しております。そういう意味で、ほかの品目と同様の対応をさせていただいているような状況です。ただ、分かりづらいところもあるかもしれませんので、そういった点については資材等も使いながら、医療現場に正しく伝わるように情報提供をさせていただきます。
○長島委員 「コンパニオン診断薬」という名称ですけれども、以前はこの薬に対するコンパニオンということだったので適切だったと思うのです。今はFoundationOneのように、全体をやるものが出てくると、果たしてその薬剤に対するコンパニオンと言えるのかという意味で、ゲノムプロファイルのようなものに対して、果たして「コンパニオン診断薬」という今までの名称の使い方が適切かというのは、ちょっと検討されてはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点の規制の枠組みの中でいくと、ゲノムプロファイルのようなパネル検査とコンパニオン診断は別のものであり、本品目に関しては「コンパニオン診断薬」という言葉で対応させていただいております。ただ、実臨床でパネル検査行われるようになり、今後ゲノム医療をどのように推進していくかという議論が行われる中で検討されていくのではないかと思いますので、そういった議論も踏まえて対応を検討させていただきたいと思います。
○長島委員 確かに、診療報酬点数等も違ってくるので、そうなっているのでしょうけれども、この名称については今後、考えたほうがいいのではないかと思います。
○清田部会長 とても興味深い御指摘だと思います。言葉は生き物ですし、いずれ変わっていく可能性は大いにあるのではないかと思います。ほかに御意見はありますか。
○濱委員 RMPのリスク最小化活動の中で、医療者向けの適正使用ガイドと同時に、患者向けのガイドを作るという指示が出ているものと出ていないものがあります。これについては、患者向け資材に対して指定がないのですけれども、患者向け資材を作ることを指示する基準のようなものはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 明確な基準というのはないのですけれども、個別の品目ごとに薬剤の特徴等も踏まえ、例えばある事象については患者にも熟知していただきたいといったような議論を重ねながら、資材を作成するかどうかを決めているというのが現状です。
○濱委員 これは既に承認されているということもあって、潜在的なリスクとして失神や、特定されたリスクの中にも認知障害が書かれています。患者本人もそうですが、家族や周りの人に注意喚起をするための患者用説明資材というのは、早期発見にも重要だろうと思っているのです。ですから、なるべくそういった本人や家族が気づくことができるものについては、患者用資材を作るような指導をしていただいたほうが、安全管理上、医療現場にいると好ましいのではないかと思っているので、意見として言わせていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきますと、資材を作成しているものの中でも、機構側でその内容も確認し、RMPにひも付く資材と、そうでない、作成を企業に任せている資材の2種類あります。今回の品目に関しては、RMPにひも付くような資材は作成されていませんが、先生の御指摘も踏まえて、分かりやすく患者に情報提供できるように、患者用資材を作成するかどうかについては引き続き検討させていただきたいと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はありますか。
○菊池委員 日本人の部分集団に対する有効性が、今回はこの報告だけで全然よく見えないのです。どこかに書いてありますか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の11ページ、7.R.2.1項をご覧ください。下から2段落目の「さらに」以降に記載しているとおり、先ほどご説明しました解析対象集団33例には含まれなかったのですが、本試験のROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌コホートに登録された既存のROS1阻害剤による治療歴のない日本人患者8例の成績を記載しております。そのうち1例でCR、3例でPRが認められたことから、日本人においても全体集団と同様に、本薬の有効性は期待できると考えております。
○菊池委員 やはりこれが一番メインの結果であって、それを国民というか、私たちに教えてくれないような、こういう書き方はひどいですよ。これは反省してほしいと思います。私たちは時間がなくてもこれを見ているのです。私は臨床系の委員だと思っていますから、この中でスルーしてもいけないです。例えば、15ページは安全性のことだけ11例にやって書かれていますけれども、こういう大事な部分をこの1行に。この1行こそ、日本人にとって大事なことであって、それが解析期間の対象外だと言って3行にして平気でいるセンスを私は本当に疑います。
○医薬品医療機器総合機構 先生には以前にも同様のコメントを頂きました。なるべく全体集団の表の中に、併せて日本人の有効性を書くようにという御指摘を頂き、書くようにしていたのですけれども、今回については表の中に追記するのが漏れているような状況でした。分かりやすいように、この表の修正をさせていただければと思います。
○菊池委員 何度も同じことを言いますけれども、これが絶対にメインでしょ。これがメインであって、日本人に効くか効かないかが国民の知りたいことです。それも添付文書の中には全く出てこないですよね。日本人の有効性は出ていますか。書いていますか。
○医薬品医療機器総合機構 書いておりません。
○菊池委員 そんな添付文書というのはあってはならないと思いますが、皆さん、いかがでしょうか。
○清田部会長 御指摘いただいたように、追記していただくなり、御検討いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 少なくとも、審査報告書については修正させていただきます。添付文書に関しては、情報提供の仕方については資材等も含め、検討させていただきたいと思います。
○清田部会長 今後も菊池先生のような御指摘を踏まえ、審査をするという感じでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 忘れずに対応させていただきます。申し訳ありませんでした。
○清田部会長 そういうことで、菊池先生、よろしいでしょうか。
○菊池委員 はい。
○清田部会長 ほかに御意見はありますか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。濱委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 それでは議題5に移ります。議題5について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットを御覧になる際は、資料5のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。
 審査報告書の通し番号5ページを御覧ください。審査報告(1)の冒頭に、1.起源又は発見の経緯として、本申請及び疾患の概略を記載しています。本剤は、人免疫グロブリンGを有効成分とする静注用製剤であり、本邦では2019年3月に慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善等を効能・効果として承認されています。今般、国内第III相試験成績等に基づき、「無又は低ガンマグロブリン血症」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する承認申請が行われました。海外では、無又は低ガンマグロブリン血症の原因疾患である原発性免疫不全症候群(PID)に係る適応で、米国、欧州を含む54の国又は地域で承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料13にお示しした5名の方々です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。審査報告書の通し番号8ページの表3を御覧ください。有効性についてPID患者を対象とした海外第III相試験において、急性重篤細菌感染症(aSBI)の発現状況が評価されました。aSBIの年間発現回数は、1人1年当たり0.08回、片側97.5%信頼区間の上限は0.182回でした。この上限値は、基準として事前に設定された1.0回を下回っており、本剤によるaSBIの発症抑制効果が示されました。また、国内では対象患者数が非常に限られており、国内でaSBIの発症抑制効果を検討することは困難であることから、国内第III相試験においては、aSBIの発症抑制効果と関連のある重要な指標である血清IgGトラフ値が評価されました。
 審査報告書の通し番号7ページの表1を御覧ください。国内第III相試験3004試験における血清IgGトラフ値は表の右端のカラムのとおり7.49g/Lであり、表の左端のカラムにある海外第III相試験である002試験における9.18g/Lと大きな違いはなかったことから、日本人においても海外第III相試験002試験で認められた効果と同程度の効果ができると判断しました。
 次に、審査報告書の通し番号16ページをお開きください。安全性については、提出された臨床試験の結果及び海外の製造販売後情報から、既承認の添付文書と比較して問題となる有害事象は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。
 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であり、再審査期間は、既承認効能・効果に係る再審査の期限である令和9年3月25日までとすることが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、現在の販売名はピリヴィジェン10%点滴静注ですが、本申請において投与経路に直接静注が追加されるため、本申請の承認後、販売名から「点滴」を削除し、販売名を「ピリヴィジェン10%静注」とした製剤が速やかに供給されるよう、代替新規承認申請が行われる予定です。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○大隈委員 確認させていただきたいのですが、臨床試験において投与法が静脈内投与となっていますが、これは内容としては点滴静注でしょうか、それとも直接静注ですか、それとも両方でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では、点滴静注、直接静注のどちらの規定もありませんで、両方が含まれていると考えています。
○大隈委員 それを踏まえて、直接静注の用法がチェックされるという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。その理解です。
○大隈委員 その場合ですが、投与速度を早めたときに症状が出ている例があるようです。それに関する注意喚起はされているようですけれども、直接静注もかなり投与速度は早くなるかなと思うのですが、その点での注意喚起は必要ないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 直接静注の対象ですが、基本的には投与量の少ない小児を想定しておりまして、投与速度に関しては直接静注の場合も、点滴静注と同じ投与速度で行っていただくということを考えています。同じ規定でということです。
○大隈委員 それについては、直接静注に関しては注意事項というか、そういう記載は必要ないというか、大丈夫ということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○ワクチン等審査部長 補足させていただきます。直接静注と言いましてもワンショットではなくて、シリンジポンプを使って、投与速度を規定して投与する形になりますので、同じように投与速度についても添付文書の注意事項を守っていただくという形になると思います。
○大隈委員 ボーラスではなくてということですね。
○ワクチン等審査部長 はい。そのとおりです。
○大隈委員 了解しました。
○中野委員 現場の小児科医としてコメントさせていただきます。ほかの薬剤もこのように書いていただいてありますので、私は、今回の審議に関してはこの記載で全く異論はございません。確かに、添付文書その他にも投与速度はしっかりと書いていただいてありますし、恐らくは、この疾患を考えれば、本疾患をしっかりと存じている医師のみが通常は扱うと考えています。ただ、先ほど来出ているように、直接静注という言葉が、もしかしたらワンショットで横からプッと打つことを連想させることがあり得ると、その疾患に精通しない者にとってはあり得ると思いますので、今後、他の製剤も含めて、検討事項の1つかなと考えています。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。検討していきたいと思います。
○清田部会長 具体的にその記載が必要ではないかという御意見ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 具体的な記載の要否も含めて検討していきたいと思います。
○半田委員 当該製剤は血液製剤、特に血漿分画製剤であるということで、基本的には当該薬剤に関しては、安全性、有効性とも追加適応で問題はないと考えますが、血液法という法律を御存じだと思いますが、その中で安定供給、あるいは血液製剤、特に血漿分画製剤は、どうしても献血由来というのが基本だと思うのです。特にこれは海外製品ですので。既にこれは承認されているものなのですが、審査部門として、血液法にミートするかどうかというところは、審査する際に、今後のこともありますので、特にこういう海外製品ということで、安定供給という面から、そういう項目はあるのでしょうか。私も今までその辺のところは疑問だったのですが、この際なのでお聞きしたいのですが。
○ワクチン等審査部長 添付文書の組成の所に、献血由来ということは書くようにしているのですが、その際に、海外のものについては日本における献血に該当するのかどうかとか、海外の採血国で、どのような形で採血されているかということも、厚労省の血液対策課と一緒に確認して、例えば本剤であれば、採血国はドイツ、オーストリア、ポーランドと書いていますし、採血の区分についても、その3国については献血で、米国、スイスについては非献血という形での情報提供をさせていただいています。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
○菊池委員 日本人の中のacute serious bacterial infectionが起きなかったのですか。起きなかったから、それで評価項目を変えたということですか。
○医薬品医療機器総合機構 aSBIは国内試験では発生していません。
○菊池委員 だったら、それを書けばいいでしょう。起きていないから、こちらの評価法を変えたという書き方をしないと、すごく恣意的に見えて、もともと設定したそういった重篤な感染症が、日本の患者のコントロールがよかったので、200mLから600mLの幅を持って投与したら何も起きなかったというように、自信を持って書けばいいですか。
○ワクチン等審査部長 まず、国内試験の対象になった患者は、もともと他のIVIG製剤で投与を受けている患者ですので、基本的にはaSBIは起こらないと想定しています。起こるにしてもかなり少ないと思っています。
 国内の患者数を考えたときに、国内試験で感染症の発生を見るという試験は困難だということで、国内試験は計画されていますので、最初から感染症を見るための試験ではなくて、血中濃度を測定することを目的とした試験として実施しています。その結果として、感染症が起こらなかったということについても、補足として御紹介しているというところです。
○菊池委員 だったら、最初からそう書けばいいのではないかと言ったまでであって、そこが恣意的に聞こえたということです。
 それで、免疫不全もいろいろと型があるはずなので、これはまた幅がありますが、これはたまたま使っていた人たちが、もともと使っている量をそのまま引き継いで、それ相当のことでやったという理解でいいのですか。
○ワクチン等審査部長 おっしゃるとおりで結構です。
○菊池委員 これは、何か目安があるのですか。3倍投与量が違うというのは、この道の人はガイドラインがあって当たり前のことなのでしょうか。小児科的にとか。
○医薬品医療機器総合機構 ガイドラインは学会で作成中ですが、現状では血清のトラフを目標に合うように調整しているところです。
○ワクチン等審査部長 先ほどの機構からの説明でも、海外試験で9.18とか、国内試験で7.49というトラフ値の御紹介をしましたが、実際に海外のガイドラインとか現場では、5gを下回らないようにというのが1つの目標にされているというのが1つです。もう1つが、そのトラフ値で感染症のコントロールができるかどうかということで、個々の患者ごとにトラフ値をコントロールされていると認識しております。
○菊池委員 あと、14ページにある試験成績の有害事象のものは、3桁の試験が海外で、日本の試験は少ないけれども、これだけ面積を使うのだったら、下に書いてあるけれども、ちゃんとそういうことを書いたほうが絶対にいいですよ。これは皆さんにすごく言いたいです。
 最後にすごく意地悪なことを言いますが、これは無ガンマ血症とか低ガンマ血症に対してというのが、本来のメインの効能であるべきであって、外堀から埋めて、本丸に持ってきていることについての説明は全くありませんでした。ほかの薬は、大抵下のほうに効能追加になるわけですが、これはほかの薬と同じ並びで、ほかのグロブリン製剤と同じでこのようになっているのでしょうけれども、この辺の透明性みたいなものはどうなのでしょうか。これはこちらのほうかもしれませんが。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○ワクチン等審査部長 まず、開発の順番については企業の戦略が大きく占めると思いますが、効能・効果の記載順については調整できるかもしれませんので、厚労省とも相談して対応を考えたいと思います。
○菊池委員 言いたいのは歴史を考えた場合に、今日のほかの薬も全部そうですが、下のほうの話ですが、そういう並びにならないで、珍しい病気よりこちらの病気のほうが多いわけですから、それに対してこうやることが、効能追加は本丸を取ってからどんどん軒を伸ばしていくと言うか、そうあるべきだと思うのです。こういうのというのは今までになかったような気がしますが、そういうのはいかがでしょう。
○清田部会長 結局、順番を一番下にしたほうがいいのではないかという話ですね。
○医薬品審査管理課長 今回は血液製剤ですが、ほかの医薬品においても、先ほどございましたが、開発の順番については企業のほうの戦略と言いましょうか、そういったものもございますので、もちろん本来というものから開発したほうがいいということはあるかもしれませんが、そこについてマイナーのほうからいったから駄目だということにはならないのだろうと思います。いい薬をできるだけ早く、限られた患者であっても早く届けるという意義は当然あるのだと思いますし、開発の難しさというのもあると思いますので、開発の順番については企業における戦略等いろいろな事情がございますので、その辺りで順番がどうこうということで問題があるということには、それだけではならないのではないかと考えています。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○菊池委員 それはそういうことで。あと、これは審議に上がるのか報告で済むのかということと同じで、常に私の中では疑問であって、どうしてというのはいまだにお答えいただいていないので、それも含めて、今回の順番も、打順を変えてもいいですよというのであれば、そういうのがあって、ここで初めてでなければいいのですが、たまたま気が付いたから申し上げたというところです。
 あと、先ほどの販売名を変えるというお話をいきなりされましたが、結局、直接静注という言葉はぴんとこないですし、そういうかなり大事なところのことを、変えますのでと言われた所をもう一回読んでいただいてもいいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の24ページも御覧いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の紙のほうですと22ページで、その下の「24/27」と書いてあるものです。
○医薬品医療機器総合機構 もう一度繰り返させていただきます。現在の販売名はビリヴィジェン10%点滴静注ですが、本申請において、用法・用量における投与経路として、既承認である点滴静注に加えて直接静注が追加されることになるため、本申請が承認された後、販売名をビリヴィジェン10%静注とした製剤が速やかに供給されるよう、代替新規申請が行われる予定です。
○菊池委員 この代替新規申請ということ自体が、私たちは全然知らない言葉だし、ここの部分は全く読んでいないし、一緒の資料で送られてきたかどうかも全然覚えていませんが、この時点でこう書いてあるのだったら、こちらの表紙のほうにそういう注意書きをして、「名前も変わるのですが、そこのところを読んできてください」ぐらいの配慮がないと、先ほどの穏やかな感じで読んでいたところでは、この薬が医療安全上何か言いづらいからほかの名前になりますぐらいに言うのではないかと私は聞いていて、そういう具合の穏やかな流れで聞いていたところに、突然知らない言葉が出てきたので、とても違和感がありました。これを作ったときからそう決まっているなら、名前が変わることについての重みというのがそんなに軽くて済むのですかということについて、非常に違和感があります。
○ワクチン等審査部長 御説明させていただきます。これは薬事承認の事務手続上の話になりますので、ちょっと細かくなります。1度承認されているものの販売名を途中で変更するということはできないことになっています。ですので、名称を変える場合には、新しい名称での承認を取り直して、販売のほうを切り替えていくという手順がとられています。そのための事務手続を今後行いますということで、こういった御説明をさせていただいております。ただ、少し細かいお話になったことはおわび申し上げます。
○清田部会長 代替新規申請というのは、特段の、こういった場での審議ではないということですよね。
○ワクチン等審査部長 はい。一般的にも事務手続として行って、薬価収載も別途行うという形で進めております。
○清田部会長 それから、添付文書の商品名の「点滴」は取る。
○ワクチン等審査部長 ですので、新しく「点滴」を取った名前の販売名のものが流通されるときには、そちらのほうは「点滴」を取った形で添付文書も変わるということになります。
○清田部会長 お分かりになりましたか。
○菊池委員 分かりましたが、すごくびっくりしたということです。聞き流せばそのままだと思いますが、全然知らないことを言っているような気がしたので、いいですかと思っただけです。
○清田部会長 結局、今日のこの審査の場では、以前に使われていた商品名が入ってきたということなのですね。それを変えようという話ですね。直接静注というのは誤解を招くかもしれないので、是非お考えいただきたいということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○濱委員 先ほどの採血国と採血の区分のところで確認させていただきたいのですが、組成の所に併記されているということは、プール血漿は結局みんな混ざっているという理解でいいのでしょうか。それとも、非献血のロットがあったりとか、献血のロットがあるということでしょうか。それは、ロットで分かるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現状、複数の国の血を混ぜるということはないという認識です。それで、献血か非献血かを表示しているかというところに関しては、現状の剤では表示しておりません。
○濱委員 そうすると、ロットを後で調べれば、どこの国の献血か非献血かは分かるという理解で正しいということでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。正しいです。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題6に移ります。議題6について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料6、生物学的製剤基準の一部を改正することの可否について、事務局より御説明いたします。資料6の1ページ目を御覧ください。1、改正の趣旨を御覧ください。医薬品医療機器法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができるとされておりまして、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めております。
 2、改正の内容を御覧ください。「5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン」については、培養後の再集合体を確認する目的で、ウイルス浮遊液に対して確認試験が規定されていますが、再集合体については下流のろ過後ウイルス浮遊液に対するウイルス含量試験で確認できることから、当該試験に係る記載を基準から削除して差し支えないと考えております。
 また、「抗破傷風人免疫グロブリン」については、現在ヒト免疫グロブリンの純度試験として、免疫グロブリンG含量試験が規定されているところですが、当該規定における試験法としてセルロースアセテート膜電気泳動試験法のみが認められているところです。こちらについては、アガロースゲル電気泳動試験法でも同等以上の試験法であることが確認されたため、当該試験法を追加しても差し支えないと考えております。いずれの改正案も、新旧対照表などの詳細は3ページ以降に記載しておりますので、適宜御参照ください。なお、本改正についてはパブリックコメントを既に行っており、提出意見はございませんでした。
 4の告示日等についてですが、本年2月を予定しています。なお、当該医薬品に係る一部変更承認の可否については、部会の審議事項又は報告事項に該当しないため、本日の議題には入っておりません。以上、生物学的製剤基準の改正について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から、御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは議決に入りたいと思います。本議題につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは報告事項に移ります。報告事項、議題1、議題2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項の議題1、医薬品オレンシア点滴静注用250mg、同皮下注用125mgシリンジ1mL及び同皮下注125mgオートインジェクター1mLの製造販売承認事項一部変更承認及び医薬品オレンシア点滴静注用250mgの承認条件の解除について、御報告をさせていただきます。資料は、報告事項のフォルダの中の資料7を御覧ください。
 本剤は、ヒト細胞障害性Tリンパ球抗原4の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域により構成される遺伝子組換え融合タンパクであるアバタセプト(遺伝子組換え)を有効成分としておりまして、点滴静注用製剤のほうは既存治療で効果不十分な下記疾患として、関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、皮下注用製剤のほうについては、関節リウマチ(既存治療で効果不分な場合に限る)を効能・効果として、それぞれ現在承認されております。
 今般、本剤の製造販売承認取得者であるブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社より、点滴静注用製剤及び皮下注製剤の日本人の関節リウマチ患者における関節の構造的損傷の進展防止効果が確認されたとして、効能・効果に「関節の構造的損傷の防止を含む」旨を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断がされております。
 また、今回提出された国内臨床試験成績により、点滴静注用製剤に附されていた承認条件である「本剤の有効性(関節破壊の進展防止に関する評価を含む)及び安全性等を確認するため、適切な対照群をおいた二重盲検比較臨床試験を製造販売後に実施すること」の内容も、併せて確認できたものと判断させていただいております。
 続いて、議題2です。医薬品オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg及び同点滴静注240mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告させていただきます。資料は資料8を御覧ください。
 本剤ですが、programmed cell death-1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤でして、現在は、悪性黒色腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌及びがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫を効能・効果として承認されているところです。
 今般、小野薬品工業株式会社から、がん化学療法後に増悪した治癒・切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌及びがん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断がされております。議題1、議題2については以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告事項の議題1及び議題2については、御確認いただけたものといたします。事務局から、引き続き説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。報告事項の議題2、オプジーボ点滴静注20mg他については、最適使用推進ガイドラインの作成を予定しておりますので、その他事項のフォルダに格納している資料11をお開きください。資料では、MSI-Highを有する結腸・直腸癌と食道癌のガイドラインをまとめて1つのファイルとしております。ページ番号については、各ページの最下部に記載している通し番号に基づいて説明させていただきます。
 まず、MSI-Highを有する結腸・直腸癌について説明させていただきます。3ページを御覧ください。枠内に対象となる効能・効果、用法・用量を示しています。対象となる効能・効果は、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌です。1回240mgを2週間間隔で点滴静注するという用法・用量になります。
 5ページを御覧ください。こちらに臨床成績を記載しております。がん化学療法後に増悪したMSI-Highを有する結腸・直腸癌患者を対象とした臨床試験において、奏効率が31.1%であったという結果が得られております。
 続いて、9ページ以降に記載している施設についてですが、これまで作成している消化器癌のガイドラインと同様の内容となっています。
 11ページをお開きください。対象となる患者ですが、有効性に関する事項としては、臨床試験において有効性が示されている患者及び有効性が確立していない患者をそれぞれ提示しております。安全性に関する事項と12ページ以降の投与に際して留意すべき事項については、これまでに作成しているオプジーボのガイドラインと同様の内容となっています。
 続いて、食道癌のガイドラインについて御説明いたします。15ページを御覧ください。枠内に対象となる効能・効果、用法・用量を示しています。対象となる効能・効果は、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌です。用法・用量は先ほどのMSI-Highを有する結腸・直腸癌と同じです。
 17ページ以降に臨床試験成績を記載しております。フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤及びプラチナ製剤を含む併用化学療法に不応又は不耐の根治切除不能又は再発の食道癌患者を対象とした臨床試験が実施されています。対照群として、タキサン系抗悪性腫瘍剤が設定されておりまして、この試験において、対照群と比較して本剤群で全生存期間の延長が認められております。
 20ページ以降の内容です。22ページの対象となる患者について、有効性については先ほど御説明した臨床試験成績に基づいて記載しておりますが、そのほかの内容についてはMSI-Highを有する結腸・直腸癌のガイドラインと同様の内容となっております。説明は以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 これに限ったことではなくて、いつも言っているのですが、この最適使用推進ガイドラインと添付文書の立ち位置の違いというのを、宿題のような感じでいつか言ったような気がするのですが、今回、抗がん剤とかいろいろありましたが、オプジーボだけこれがありますが、ほかのはないですよね。そういうことの決まりの線引きというのは、どこにどうあるのですか。
○事務局 最適使用推進ガイドラインの作成基準ということの御質問かと思います。こちらについては、新規作用機序のもので、今後、対象患者が広まる可能性がある等の情報を考慮しまして判断させていただいているところです。
 抗がん剤については、これまでPD-1、PD-L1に対する抗体について作成してまいりまして、オプジーボを含め5剤で作成しているところです。
○菊池委員 そうすると、今日も新規作用機序の薬はRCCの薬のときがあったと思うのですが、それには作らないわけですよね。
○事務局 御指摘いただいたのはカボザンチニブのことかと思いますが、既存の治療薬であるスニチニブ等の薬剤がございますので、既存薬と比較をして、カボザンチニブについて、特に作成する必要があるかどうかということを検討し、作成しないと判断したところです。
○菊池委員 ですから、現場でと言うか、添付文書のほかにこれを出して、扱っていい病院とか、扱っていい医者のことなどを決めている意味みたいなものが、添付文書上の所にある、十分に経験豊富な医者の何とかというのと、そういう部分といろいろな部分で、初期研修2年の後の5年のうちの3年でよかったり、4年のうちの3年間とか、そういうもののいろいろなことを決められているなと、漠然と見ていますが、そういうのが何となく医者でさえ分からないので、そういう意味があるのか、どういう意味があって、そこまでやっているのかというのが分かりませんし、ましてや素人にも分からないと思うのですが、それを作っていく意味というのは、どこまであるのかなというのは、これは、あなたではなくてこちらにだと思うのですが。
○医薬品審査管理課長 お答えいたします。確かに、添付文書に、その薬剤の適正使用についての条件は当然書いてあります。その中で、特に今回のような最適使用推進ガイドラインを作るものについては、その中に特に新規の作用機序、革新的な新規の機序を持っている医薬品、特に抗体薬が多うございますが、そういったようなものについては、添付文書に上乗せで、適正な使用が求められるという形になりますので、その条件と言うか、それをこういったようなガイドラインで、学会などとも一緒になって作成させていただきまして、より適正使用を推進するという目的で作らせていただいているというものです。
○菊池委員 ですから、そこで、添付文書に、この薬は最適使用推進ガイドラインがあるのだということを今回書けばいいではないですか。オプジーボから。何で、それがあるということを書かないで放置するのですか。
○医薬品審査管理課長 添付文書に書いている内容というのは、一般的な条件で、そこに書いている内容を更にこの最適使用推進ガイドラインで具現化するのがこのガイドラインという形になっているのだという認識です。ですので、ガイドラインについては別途、現場のほうにその情報を伝えるという形にしておりますので、添付文書に改めて記載する必要はなく、別途情報提供をしていることから現場のほうでの最適使用は図られるのではないかと考えている次第です。
○長島委員 この点、確か以前に議論になって、そこで、添付文書の中に最適ガイドラインがあるという情報提供をするとともに、ガイドラインの位置付けをはっきりさせるというような方向になったのではないかと記憶しているのですが、いかがでしたでしょうか。
○菊池委員 多分、2回前に私がお約束を頂いて。
○審議官 私が医薬品審査課の時代に、今、先生方から御指摘いただいたようなこと、特に、いろいろな剤がある中、どれが最適使用推進ガイドラインがある品目なのか、それが添付文書を見ただけでは分からないので、添付文書の分かりやすい所に書くのが一番いいのではないかという御提案を頂いて、私どもで検討させていただくということを申し上げたと私は記憶しています。
 どこに書くか、どういうように書くかということも含め、検討させていただきたいと思います。今回のものはオプジーボも含め、幾つか既存の剤がございますが、変えるのであれば並びでしっかり変えたいと思いますので、引き続き検討させていただきたいと思います。余りお時間を頂くつもりはございませんが、並びで考えたいと思います。宿題として理解しています。
○清田部会長 ということですね。よろしいでしょうか。そうしましたら、一応、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg及び同点滴静注240mgの最適使用推進ガイドライン(案)については、御確認いただけたものとさせていただきたいと思います。
 それでは引き続き、報告事項の議題3、議題4について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題3、議題4をまとめて報告させていただきます。ファイルをお戻りいただいて、報告事項のフォルダに入っていただいて、資料9の希少疾病用医薬品の指定の取消しについて、御説明いたします。今回、届出者がシャイアー・ジャパン株式会社、医薬品の名称がルリオクトコグアルファ(遺伝子組換え)です。本剤は平成24年の3月19日に、「血漿中の血液凝固第VIII因子濃度が低下しているフォンビルブランド病患者に対し、血漿中の血液凝固第VIII因子を補い、その出血傾向を抑制する」を予定される効能又は効果として、希少疾病用医薬品に指定させていただいておりました。
 今回、希少疾病用医薬品の製造販売を中止する理由について御説明させていただきます。届出者は、本剤及び別の製剤の遺伝子組換え型フォンビルブランド因子の併用により、フォンビルブランド病の治療薬として承認申請の予定でしたが、国内外の審査の過程において、既存のフォンビルブランド因子との併用については、既存の効能・効果で十分で、新たに追加する必要性がないと考えられたことから、形式上、本邦でフォンビルブランド病に関する効能の承認申請は行わないことになり、今回中止届を提出するに至ったとのことです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととさせていただきました。
 続いて、報告事項の議題4です。医療用医薬品の再審査結果について御報告させていただきます。資料番号は10-1から10-4になります。まず、10-1です。有効成分名はタミバロテン、販売名はアムノレイク錠2mgです。資料10-2が有効成分名はリファブチン、販売名がミコブティンカプセル150mg、資料10-3が、有効成分名がボリコナゾール、販売名がブイフェンド錠50mg、同錠200mg、ブイフェンド200mg静注用、ブイフェンドドライシロップ2,800mg、資料10-4が有効成分名は乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、販売名がエンセバック皮下注用です。これらの4品目ですが、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判定させていただいております。報告事項については以上です。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から、御質問、御意見がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、報告事項の議題3、議題4については、御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますか。
○事務局 次回の部会ですが、2月26日(水)の午後4時から開催させていただく予定ですので、次回もまたよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)