2020年3月9日 第1回健康・医療・介護情報利活用検討会 議事録

日時

令和2年3月9日(月)15:00~16:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15D

出席者

<構成員(五十音順、敬称略)>

 

<オブザーバー(敬称略)>

議題

(1) 座長の選出について
(2) 今後のスケジュールとワーキンググループの設置について
(3) 保健医療情報の利活用に向けた工程表の策定について
(4) 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン改定について

議事

 

○笹子企画官 定刻になりましたので、ただいまより第1回「健康・医療・介護情報利活用検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席いただき、ありがとうございます。
本日は、第1回目の開催となりますので、座長選出までの間、事務局において進行を務めさせていただきます、厚生労働省情報化担当参事官室政策企画官の笹子と申します。よろしくお願いいたします。
本日でありますけれども、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、一般傍聴席は設けず、報道関係者のみの傍聴とし、その報道関係者も1社につき1名のみという措置をとらせていただいております。御了承いただければと思います。
開会に当たりまして、厚生労働省データヘルス改革推進本部の事務局長代理を務めます、大臣官房審議官の八神より御挨拶申し上げます。
○八神審議官 大臣官房審議官の八神と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様方におかれましては、年度末のお忙しい時期にもかかわらず、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本来でありましたら、データヘルス改革推進本部事務局長であり、また当検討会の開催者でもある厚生労働省の医務技監の鈴木より御挨拶を申し上げるべきところでございますが、新型コロナウイルス対策業務に専念いたしております。代わって御挨拶させていただきます。
我が国におきまして、世界に先駆けて急速な少子高齢化が進行する中で、健康・医療・介護分野におけるICTやデータの利活用を進め、医療・介護サービスの質の維持・向上や、社会保障の持続可能性の確保につなげていくことが期待されております。そこで、厚生労働省では、データヘルス改革として部局横断的な取組を進めてまいりました。
昨年の9月には、データヘルス改革で実現を目指す未来と、その実現に向けた2025年度までの工程表を策定いたしました。その一部を御紹介いたしますと、国民一人一人、自らの健康・医療に関する情報をスマホ等で閲覧し、自らの健康管理や予防に容易に役立てることができる。また、医療や介護の現場では、患者さんの過去の医療情報を適切に確認することで、より質の高いサービス提供を可能とするといった、患者さん、国民や医療・介護の現場にメリットのある未来を目指そうと決意したところでございます。
いわゆる骨太の方針ですとか成長戦略といった政府方針の中におきましても、後ほどまた御説明申し上げますが、データヘルス改革に関する事項が多数盛り込まれております。パーソナル・ヘルス・レコードや、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みの推進につきまして、今年の夏までに工程表をまとめるということが求められております。
これまで、健康・医療・介護情報の利活用の在り方につきましては「医療等分野情報連携基盤検討会」とか「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」でも精力的に御議論いただいてまいりました。本日、お集まりいただいている構成員の方々の中には、これらの検討会に御参画いただいていた方々もいらっしゃいます。この場をお借りして、これまでの御尽力に感謝申し上げます。
この検討会では、これまでの議論を引継ぎ、健康・医療・介護情報の利活用の在り方について、一体的に御議論いただきたいと思っております。そして、今年の夏に策定される政府方針への反映を見据えて、もう時間は余り残されておりませんが、今年の夏に国民・現場目線の、かつ実現可能性の高い工程表を策定できるよう、御議論いただきたいと考えております。
医療や介護の現場、患者さんのお立場、法律の専門家、データやIT、セキュリティの専門家など、様々な先生方にお集まりいただいております。ぜひそれぞれの専門性や現場の視点などをお持ち寄りいただき、自由闊達な御議論をいただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○笹子企画官 次に、資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットで、議事次第、座席表、資料1から4、参考資料1から6がございます。資料の不足、端末の不具合などございましたら、事務局までお知らせください。よろしゅうございますでしょうか。
本検討会は、資料1の「健康・医療・介護情報利活用検討会開催要綱」に基づき、開催させていただいております。趣旨を簡潔に御説明させていただきます。資料1を御覧ください。
「1.開催の趣旨」でございます。先ほど八神の御挨拶にもございました、少子高齢化に伴う医療・介護サービスの担い手の減少が進む中で、健康・医療・介護分野のデータやICTを積極的に活用していくことが、様々な課題の解決になり得るということで、厚生労働省としてもデータヘルス改革推進本部、大臣が本部長でございますけれども、こちらを設置いたしましてデータヘルス改革を推進しております。
今後、医療等の現場においては、患者等の過去の保健医療情報を適切に確認するとか、国民や患者がスマートフォン等を通じて自身の保健医療情報を閲覧・確認できる環境を整えるということで、様々なメリットを考え得るということであります。
これまで「医療等分野情報連携基盤検討会」あるいは「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」で検討してきた、これらの課題について、費用対効果あるいは情報セキュリティの観点も踏まえて一体的に検討し、健康・医療・介護情報の利活用を推進するという観点から本検討会を開催するものでございます。
「2.検討事項」でございます。申し上げたような、保健医療情報を、全国の医療機関等で確認できる仕組み、本人が電子的に把握する仕組み、PHRの在り方に関する事項が(1)であります。
(2)でありますけれども、その他健康・医療・介護情報の利活用に関する事項とさせていただいております。
「3.構成員」(1)につきまして、別紙が3枚目にございますけれども、構成員及びオブザーバーは、別紙のとおりとする。
(2)構成員の任期は2年間とし、再任を妨げない。
(3)検討会に座長を置き、座長は検討会の構成員の中から選出する。座長代理は、座長が指名することができる。
(4)座長は、必要に応じて、構成員以外の関係者の出席を求めることができるとさせていただいています。
「4.運営」でございます。
(1)医務技監が検討会を開催する。
(2)検討会は公開とさせていただきます。ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合等、座長は、会議を非公開とすることができるとさせていただいています。
(3)検討会の下にワーキンググループを置くことができる。
(4)検討会の庶務は、医政局、健康局、医薬・生活衛生局、老健局及び保険局の協力を得て、政策統括官付情報化担当参事官室が行う。
(5)その他、検討会の運営に必要な事項は、座長が定めるとさせていただいております。
続きまして、構成員の紹介をさせていただきます。資料1の開催要綱の別紙に従って御紹介させていただきます。
公益社団法人日本医師会常任理事の石川広己構成員です。
○石川構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 慶應義塾大学総合政策学部教授の印南一路構成員です。
○印南構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 公益社団法人日本歯科医師会副会長の遠藤秀樹構成員です。
○遠藤構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授の高倉弘喜構成員です。
○高倉構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 高倉構成員は、次の御予定のため、途中御退席の御予定です。
公益社団法人全国老人保健施設協会常務理事の高橋肇構成員です。
○高橋構成員 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 公益社団法人日本薬剤師会副会長の田尻泰典構成員です。
○田尻構成員 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 筑波大学医学医療系教授の田宮菜奈子構成員です。
○田宮構成員 田宮です。よろしくお願いします。
○笹子企画官 愛媛大学医学部附属病院栄養部部長の利光久美子構成員です。
○利光構成員 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 自治医科大学学長の永井良三構成員です。
○永井構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長の牧野和子構成員です。
○牧野構成員 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML委員バンク登録会員の松川紀代構成員です。
○松川構成員 松川でございます。よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗構成員です。
○森田構成員 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 一般財団法人医療情報システム開発センター理事長の山本隆一構成員です。
○山本構成員 よろしくお願いします。
○笹子企画官 山本構成員は、次の御予定のため、途中御退席の予定です。
なお、公益社団法人日本看護協会副会長の秋山智弥構成員、一般社団法人日本病院会副会長の大道道大構成員、公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事の小泉立志構成員、東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿構成員、慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授の宮田裕章構成員にも構成員に就任いただいておりますが、本日は別の用務のため御欠席となってございます。
また、オブザーバーとして、一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会運営会議議長の高橋弘明様、社会保険診療報酬支払基金専務理事の三好昌武様の代理として吉井様にも御参加いただいてございます。
なお、公益社団法人国民健康保険中央会理事の齋藤俊哉様にもオブザーバーとして御参画いただいておりますが、本日は別の用務のため御欠席となってございます。
続いて、事務局を紹介させていただきます。
大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)の八神でございます。
○八神審議官 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 サイバーセキュリティ・情報化担当審議官、椿でございます。
○椿審議官 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 大臣官房審議官(医薬担当)山本が出席する予定でございましたけれども、所用で出席がかないません。医薬局から横田補佐が代理で出席してございます。
○横田補佐 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 医政局研究開発振興課医療情報技術推進室長、森でございます。
○森医療情報技術推進室長 よろしくお願いします。
○笹子企画官 健康局健康課長の神ノ田でございますけれども、遅れて参加する予定でございます。
老健局老人保健課介護保険データ分析室長、北原でございます。
○北原介護保険データ分析室長 よろしくお願いいたします。
○笹子企画官 保険局医療介護連携政策課長、山下でございます。
なお、大臣官房参事官(情報化担当)の三浦につきましては、別の用務のため欠席となってございます。
また、厚生労働省データヘルス改革推進本部から松本顧問。
○松本顧問 よろしくお願いします。
○笹子企画官 葛西アドバイザリーグループ長にも御出席いただいてございます。
また、関係省庁として、内閣官房情報通信技術総合戦略室の山田様、内閣官房健康・医療戦略室からも御出席いただいております。
それでは、これより議事に入ります。円滑な議事進行のため、撮影等につきましては、ここまでとさせていただきます。
それでは、議事(1)「座長の選出について」でございます。資料1の「開催要綱」を御覧ください。3の(3)、先ほど私が御説明したとおり、「検討会に座長を置き、座長は検討会の構成員の中から選出することとし、座長代理は座長が指名することができる」とされております。
本検討会の座長につきましては、事務局としては、津田塾大学教授の森田朗構成員にお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○笹子企画官 ありがとうございます。森田先生、よろしいでしょうか。
○森田構成員 はい。
○笹子企画官 それでは、森田先生に本検討会の座長をお願いいたします。以後の議事運営、よろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございます。大変重責ではございますけれども、本検討会の座長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。構成員の皆様の御協力を得まして、円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、先ほど事務局からありましたとおり、開催要綱におきまして「座長代理は座長が指名することができる」とされております。座長代理につきましては、「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」の座長を務めてこられました永井良三構成員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
それでは、早速ですが、議事の(2)「今後のスケジュールとワーキンググループの設置について」の議題につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○笹子企画官 事務局でございます。
資料2をお開きいただけますでしょうか。「今後のスケジュールとワーキンググループの設置について(案)」というペーパーでございます。
「1.スケジュールについて」でございます。先ほど設置要綱でも御説明したとおり、パーソナル・ヘルス・レコードや、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みの推進について検討を進めるということでございます。骨太の方針などで2020年夏に工程表を策定することになってございますので、この策定に向けて御知見・御議論をいただきたいということでございます。
「2.御検討いただきたい論点(例)」でございますが、マル1といたしまして、健診・検診情報を本人が電子的に確認・利活用できる仕組みの在り方。マル2といたしまして、医療等情報を本人や全国の医療機関等において確認・利活用できる仕組みの在り方。マル3といたしまして、電子処方箋の実現に向けた環境整備とさせていただいております。
「3.ワーキンググループの設置」でございます。こうしたスケジュール、御検討いただきたい論点で、情報の種類ごとにその利活用の在り方を詳細に検討するため、当面、以下の2つのワーキンググループを設置してはどうかと考えているところでございます。
1つ目が、健診等情報利活用ワーキンググループ。こちらについては、主としてマル1、すなわち健診等情報を本人が電子的に確認・利活用できる仕組み、いわゆるPHRの論点を中心に、工程表の策定に向けた検討を行っていただく。2つ目といたしまして、医療等情報利活用ワーキンググループ。これは、主として2ポツのマル2、マル3、すなわち医療等情報を本人や医療機関等において確認・利活用できる仕組みの在り方や、電子処方箋の実現に向けた環境整備、この論点を中心に、工程表の策定に向けた検討を行っていただく。この2つのワーキンググループを設置してはどうかと事務局としては考えてございます。
その下に目を移していただきますと、ワーキンググループにおけるスケジュールでございます。工程表作成に当たっての方向性を4月中目途、タイトではございますけれども、作成していただき、各ワーキンググループからの報告を受けて、本検討会において一体的に検討してはどうかと思っております。
ワーキンググループの構成員は、座長一任とする。
その下でありますけれども、ワーキンググループの主査は、ワーキンググループの構成員の中から選出することとする。
ワーキンググループの取扱いでございますけれども、公開とさせていただき、公開することにより特段の支障がある場合には、主査が会議を非公開とすることができるとさせていただいています。
御説明は以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。
特にございませんでしょうか。
それでは、この御提案につきまして、御異論がないようですので、本件につきましては御了承いただいたということにしたいと思います。ありがとうございました。
したがいまして、本検討会に2つのワーキンググループを設置することといたします。また、メンバーにつきましては、今、確認させていただきましたように、私に御一任いただけるということでございますので、よろしくお願いいたします。御礼申し上げたいと思います。
続きまして、議事(3)「保健医療情報の利活用に向けた工程表の策定について」につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○笹子企画官 事務局でございます。
資料3をお開きいただけますでしょうか。「保健医療情報の利活用に向けた工程表の策定について」でございます。
1ページ目を御覧いただきたいと思います。先ほども若干触れさせていただきましたが、関連の閣議決定ということで御紹介させていただきます。
1ページ目の上であります。経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太の方針ということで、昨年6月21日に閣議決定されたものでございます。御検討いただく内容がより詳細に書かれてございますので、読み上げさせていただきます。
レセプトに基づく薬剤情報や特定健診といった患者の保健医療情報を、患者本人や全国医療機関等で確認できる仕組みに関し、特定健診につきましては2021年3月を目途に、薬剤情報については2021年10月を目途に稼働させる。さらに、その他のデータ項目を医療機関等で確認できる仕組みを推進するため、これまでの実証結果等を踏まえ、情報連携の必要性や技術動向、費用対効果等を検証しつつ、医師や患者の抵抗感、厳重なセキュリティと高額な導入負担など、推進に当たっての課題を踏まえた対応策の検討を進め、2020年夏までに工程表を策定する。あわせて、医療情報化支援基金の使途や成果の見える化を図りつつ、電子カルテの標準化を進めていく。介護情報との連携を進めるに当たって、手法等について引き続き検討する、とされています。
次のポツでありますけれども、生まれてから学校、職場など生涯にわたる健診・検診情報の予防等への分析・活用を進めるため、マイナポータルを活用するPHRとの関係も含めて対応を整理し、健診・検診情報を、2022年度を目処に標準化された形でデジタル化し蓄積する方策も含め、2020年夏までに工程化する。これが骨太の方針の閣議決定文書でございます。
下半分は成長戦略フォローアップということで、こちらも同日に閣議決定されたものでございます。この中で、PHRの推進という項目がございます。縷々書いてございますけれども、赤線を引っ張っているところ、PHRの更なる推進のため、健診・検診に係るデータの電子化などの事項について、有識者による検討会で議論を進め、来年夏までに一定の結論を得る。このようにされているところでございます。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。同日、規制改革実施計画、こちらも閣議決定されているところでございます。この実施計画の中で、医療等分野におけるデータ利活用の促進ということが書かれてございます。これにつきまして、2のaというところでございますけれども、全国各地の医療機関や保険者が医療データを共有していくことが重要であるということで、国内外での相互運用性を意識しながら、赤線のところでございますけれども、医療分野における標準規格の基本的な在り方を早急に検討し、公表するとされているところでございます。
bでございますけれども、データヘルス改革の工程表として、「保健医療記録共有サービス」や「マイナポータルを活用したPHRサービス」が予定されているとの記載部分でございますが、現行の課題を踏まえて、民間サービス事業者を含む関係者の意見や海外の先進的な事例も参考に、最低限必要となる標準規格を検討し、ガイドライン等の形で公表するとされているところでございます。
3でございますけれども、データを活用した最適な医療サービス提供のための包括的な環境整備ということでございます。医療分野におけるデータ利活用を進めていくという観点から、後ろから4行目でありますけれども、具体的なケースについて、海外や他産業の事例も調査しながら、費用対効果に留意しつつ、「個々人が自らの健診情報を利活用するための環境整備」「データ利活用のための「標準規格」の確立」の取組を含めて、国民が医療情報を電子的に入手できる仕組みを始めとするデータ利活用のための包括的な環境整備に向けた検討を開始し、結論を得るとされているところでございます。
さらに、その下でございます。こちらは、昨年12月20日に閣議決定されましたデジタル・ガバメント実行計画の内容でございます。その中で、処方箋の電子化、お薬手帳という項目の中で工程表が書かれてございまして、2019年度に電子化の検討ということで、後ほど御説明いたしますけれども、電子処方箋ガイドラインについて、今年度中に改定するということ。それと、電子化に向けた環境の整備をしながら、2023年度から環境整備を踏まえた実施に向けて進んでいくということが閣議決定されているところでございます。
続きまして、「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の推進に関するこれまでの検討状況」について、御説明させていただきます。
4ページ目を御覧いただきたいと思います。先ほどの閣議決定の御紹介にもございましたけれども、PHRの推進を図っていくという観点から、この検討会を立ち上げてございます。
目的のところは、先ほど閣議決定のところで御紹介したとおりでございますので、割愛させていただきますが、左下、構成員のところ、御覧いただけますように、永井良三座長の下で検討を進められてきたということでございます。
右側、関係省庁でございますけれども、厚生労働省の関係各局が参加するとともに、内閣官房、内閣府、総務省、文科省、経産省、関係各省にも御参画いただきながら検討を進めてきたということでございます。
5ページ目でございます。昨年の9月11日にPHR検討会、左上にマル1と書いてございますが、第1回目を開催させていただきまして、その下に基本方針検討作業班、健診関連の作業班、利活用作業班、医療情報、関係のカテゴリーに分かれて検討が進められてきたということでございますけれども、上の11月20日、マル2というところで、PHRの推進に関し、今後検討する際の留意事項ということで、整理すべき課題を整理し、公表させていただいてございます。
現在は、それを踏まえて、「作業班」と真ん中にございますけれども、自治体健診、事業主健診、学校健診、あるいは利活用を進めていくという観点、医療情報という観点、それぞれの観点に分かれて検討を進めているということでございます。
今後でございますけれども、今般、この「健康・医療・介護情報利活用検討会」において、この検討会の議論を引き継いでいただくということでございます。健診等情報につきましては、右にあります矢印にございますように、健診等利活用ワーキンググループ、先ほど設置をお認めいただきましたワーキンググループに改組し、検討を継続していくということでございます。
6ページ目を御覧ください。5ページ目で御説明した留意事項でございます。少し文字がビジーで大変恐縮でございますけれども、まず一番上、本留意事項の位置づけということであります。
1つ目のポツでありますが、PHRについては、国民・患者の保健医療情報を本人自身が活用して予防・健康づくり等に活用するとともに、それを本人同意の下に医療・介護現場で役立てることを目指すということ。その情報は個人の保健医療情報でありますけれども、サマリー化・ヒストリー化など個人が理解しやすい形で提供する。そういったことで、自らの健康管理・予防行動につなげられるようにするということと、本人の希望によって医師等に提供し、診療等にも活用できるようにすることで、より質の高い医療・介護の提供が可能となるということであります。
3つ目、また、そうした目的のほか、国や自治体等による公衆衛生施策、保健事業、さらには医療的ケアが必要な障害児あるいは障害者を含む者への災害等の緊急時での利用、さらには保健医療分野の研究への二次利用など、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、誰もがより良い保健医療を享受するということを目指すということで、本留意事項の位置づけとさせていただいております。
策定の趣旨というのが左上、2段目にございます。本留意事項は、PHR全体において、まずは健診情報等の取扱いについて必要な検討を行う上で、踏まえるべき留意事項を整備するものであるということであります。
その右に目を移していただきますと、国民・患者視点に立ったPHRの意義ということで、先ほど留意事項の位置づけでも御説明したようなユースケースが書かれているということでございます。
緑のところ、すなわち健診情報等の取扱いに関する留意事項の(1)基本的な考え方でございますが、今後の保健医療分野の取組を進める上での基盤として、PHRの整備が必要という大前提を述べた上で、PHRは様々なユースケースがありますけれども、まずはマル1ということで、「個人の日常生活習慣の改善等の健康的な行動の醸成」のための利用を想定して健診情報等を活用できるよう整備していくということでございます。
そのほかのユースケース、保健医療分野の研究とか災害時の利用といったユースケースについては、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組み等の議論と一体的に活用を検討していくということでございます。
その下であります。(2)PHRとして提供する健診情報等ということで、精度や解釈について安定性があり、エビデンスが確立されているもの、あるいは診療ガイドライン等で整理されているもの、既に一般的に個人に提供され理解が進んでいる法定の健診等の情報からPHRとして提供してはどうかということであります。
画像データ等については、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組み、この工程表を作っていくということでございますので、これと一体的に検討してはどうか。
3つ目のポツであります。情報セキュリティに関する啓発等を推進し、安心してPHRを利用できるようにすることが必要ということであります。
その上で、(3)情報提供等の在り方ということで、1つ目のポツ、情報の提供や閲覧、保存方法等については、国・自治体・公的機関あるいは医療機関・介護施設・薬局、民間事業者、様々な主体が想定されるということであります。御本人もそうであります。そういった方々の役割分担も含めて整理するということでありますけれども、国民誰もが自らのPHRにおける情報を活用できるように、基盤となるインフラについては、国・自治体・公的機関が整備していくということであります。
ア 円滑な提供・閲覧等ということで、(ア)では、効率的な運用や情報連携を行うために、情報の電子化、データ形式の標準化、APIの公開といったことがキーワードとなっております。
(イ)でありますけれども、先ほども触れましたけれども、サマリー化・ヒストリー化など御本人が理解しやすい形で閲覧できる環境を整備していくということ。
(ウ)でありますけれども、各制度趣旨や費用対便益を踏まえると、まずはマイナポータルの活用可能性を検討するとともに、API連携等の環境も整備していくということであります。
イ 適切な管理の(ア)データの保存期間ということであります。国民が必要とする生涯の保健医療情報をPHRで閲覧できるという観点から環境を整備していくということで、検討課題になろうということであります。
(イ)でありますけれども、適切な本人同意あるいはセキュリティの確保といったところであるとか、継続的な個人のヘルスリテラシーの向上、未然に個人の不利益を防止する仕組みといったものも検討する必要があるだろうということであります。
このPHR、マイナポータルをまずということを御説明いたしましたけれども、そのほか民間事業者さんがやっておられるような事業もございます。別紙というところをご覧いただきますと、民間事業者におけるPHRの利活用及び遵守すべきルールといったものも、今後詰めていく必要があるだろうということで、情報の相互運用性、民間事業者間の相互運用性の確保、適切な情報の取扱い、セキュリティ水準のルール作り、さらには、データの囲い込み等を回避するなど、必要な方策といったものも、民間事業者におけるルール作りという観点から、今後詰めていく必要があるだろうということで、留意事項を発表させていただいてございます。
7ページ目は、左が取扱情報として、健康情報、医療情報といった情報の種別ごとに、情報の発生源、あるいはデータがたまっているサーバといったものを、どのように真ん中の個人に返していき、医療従事者とも相談しながら、どのように活用していくのか。さらに右に行きますと、自治体とか民間事業者、先ほど私が御説明したようなルール作りも含めて、どのように活用していくかというPHRの全体のイメージでございます。
8ページ目を御覧ください。そういった中で、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、健診情報等について、電子化あるいは相互互換性の確保という観点から、昨年8月、報告書を取りまとめていただいてございます。
赤い部分だけ御説明いたします。健診結果などを継続的に共有するためには、相互互換性のある標準的な電磁的記録を定めて活用していく体制が必要であるという観点から、データを提出する際の標準的な電磁的記録としては、原則、XMLで記述するといった報告になっているところでございます。
9ページ目、御覧いただきまして、先ほども出ましたけれども、生涯を通じた継続的な自己の健康管理の観点からは、保存期間、できる限り長期間、本人等が健診結果等を活用できることが望ましいということであります。保存期間の義務は5年と定められており、これは、紙媒体で保管しておくことが想定されているということでありますが、今後は、生涯を通じた健康管理ということであるので、その保存期間について検討していく必要があるということであります。課題については、長期間にわたって健診結果等を持っておくメリット、保存サーバをどうするのか、保管するコストをどうするのか等々の課題の整理が必要であるとされてございます。
最後に、9.健康診査結果の取扱いということでありますけれども、健診実施機関が健診結果を有している場合においては、本人からの開示請求に直接対応できる体制を整備しておくことが望ましいということであります。
下の赤いところでありますが、健診受診者本人の同意があれば、本人に対して健診実施機関からも健康増進事業実施者を通じずに、健診実施機関から直接開示が可能となるということを留意の上、委託契約を行うことが望ましいといった報告になってございます。
以上がPHR関連の御説明になります。
長くなって恐縮でございますけれども、続きまして「医療現場における情報利活用の推進に関するこれまでの検討状況」について、ご説明させていただきます。
11ページ目を御覧いただきたいと存じます。医療現場で患者の過去の診療情報等を確認することにより、質の高い医療サービス等の提供を目指すということで、全国的な保健医療情報ネットワークに向けた実証を厚生労働省として進めてまいりました。こちらの資料は、昨年5月に経済・財政一体改革推進委員会社保ワーキング・グループに提出させていただいた資料でございます。
上の部分、実証事業の概要ということでございますが、2018年度に実証事業を進めてきました。
マル1ですが、福岡県及び佐賀県の地域医療情報ネットワークに参加する医療機関のレセコンデータを、双方向で閲覧できる環境を構築し、模擬データを使用した実証等を行ったということであります。その中で、保健医療記録共有サービスで全国的に共有すべきデータ項目あるいはユースケース、個人情報保護のための同意手続、概算コストの試算を行い、マル2として、ネットワークセキュリティ調査などを行ってきたということであります。
その後、この検討会の前の検討会でございます「医療等分野情報連携基盤検討会」等において、様々な観点で検討を行っていただいたということでありますが、矢印の下、課題というところであります。実証事業等で明らかになった課題ということで、ネットワーク参加者及び患者双方へのメリットがあるサービスは何か。矢印がございますが、薬(処方、調剤)情報と検査結果及びそれらに関する基本情報、これはいつ、どこで、誰がこういった診察等を受けたのかということでありますけれども、そういった基本情報を重要表示項目、共有するデータ項目としてはどうか。また、全国から収集可能なレセプトデータから開始してはどうかということであります。
マル2以下、低コスト化の必要性、あるいは医療情報システムの標準化、同意をとるときの方法の検討といったことが課題であるということであります。
そういった実証も踏まえて、12ページ目を御覧いただきたいと存じます。こちらは、昨年5月31日、経済財政諮問会議に厚生労働大臣が提出・発表させていただいた資料を一部改変したものでございます。
上のところでございますけれども、データヘルス改革については、4分野ということで、がんゲノム・AI、PHR、医療・介護現場の情報連携、データベースの効果的な利活用といった4本の柱を中心に進めてきているということでありますが、その全体像の中で、医療・介護現場での情報連携の分野について検討を進めているということであります。
申し上げたとおり、情報連携の必要性・優先順位、技術動向、費用対効果を踏まえて取組を実施していくということで、左のほうから、保健医療情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みを推進していくということで、先ほど骨太の方針のところで御説明したような記述があるわけでございます。
真ん中でありますけれども、電子カルテの標準化を推進していくということ。
右でありますが、地域医療情報連携ネットワークについては、支援の在り方を厳格化していくということで、地域医療介護総合確保基金、これは総合確保法に基づいて造成された基金でございますけれども、この適正な執行を図っていく。さらに、その下でございますけれども、総合確保法に基づく目的、例えば病床機能別の連携・病診連携といった地域医療構想の実現に資するネットワークへの支援に厳格化していくといった方向性を出させていただいているところでございます。
ちなみに、上の4.データベースの効果的な利活用というところは、ビッグデータということで、公的なデータベースの利活用や連結解析に向けた検討と書かせていただいてございます。こちらにつきましては、3月6日に地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案を閣議決定、国会提出させていただきました。この法案の中で、医療・介護データ基盤の整備を推進していくという項目がございます。医療保険、レセプト情報等のデータベース、いわゆるNDBや介護保険レセプト情報のデータベース、いわゆる介護DBといったものの医療・介護情報の連結精度を向上していくために、社会保険診療報酬支払基金などが、今後個人単位化される被保険者番号の履歴を活用して、正確な連結に必要な情報を、安全性を担保しつつ提供することができるといった法的な措置を、法案として提出させていただいております。御報告させていただきます。
続きまして、13ページ目を御覧いただきまして、全国的に保険医療情報を確認できる仕組みの中で、薬剤情報・特定健診情報については、導入していくということであります。これは、オンライン資格確認システムを整備することにより可能になってくるということであります。今、申し上げたとおり、個人単位の被保険者番号を導入するということでございます。真ん中に支払基金・国保中央会がございますけれども、ここで個人単位化される被保険者番号と資格情報、さらには医療費・薬剤情報、特定健診情報といったものを一括で管理することによりまして、左に矢印が3つほど出ておりますけれども、国民にとってみれば、マイナポータルというポータルサイトを通じて、医療費・薬剤情報を御覧いただける。さらには、特定健診情報も御覧いただけるという仕組みでございます。
この仕組みは、医療機関と薬局においても、本人の同意が前提でございますが、保険医療従事者による閲覧が可能になる仕組みでございます。
14ページ目を御覧いただきます。申し上げたとおり、薬剤情報、特定健診情報については、医療機関等で確認できる仕組みが導入されるということでございますけれども、そのほかの情報を医療機関等の間で確認する場合にどういった情報が有用なのか、ユースケースやデータ項目、その連携方式の検討を、令和元年度の事業として医政局のほうで実施中でございます。
主な検討事項としては、薬剤・特定健診情報以外のその他のユースケース・データ項目の検討ということで、医療機関ヒアリング・アンケートとございますけれども、ユースケースを少し細かく、救急、外来、転院・退院等のユースケースに分けた上で有用なデータ項目、期間、効果等を検討しているということであります。データ項目としては、そのほかに診療情報提供書、退院時サマリ、検体検査結果、画像結果等もあると思いますけれども、そういったことも含めて、全国の医療機関等で確認する必要のあるデータ項目ということで検証しているということでありますし、患者さんへのアンケートも一体的に行っております。
マル2でございますけれども、こういったデータ項目、どのように連携していくのかということで、技術的課題、セキュリティ、拡張性、コスト、運用・保守方法等の比較等も行っているということでございます。
元年度事業ということで、3月でございますが、一定の方向が出た段階で、まずはワーキンググループのほうに御報告した上で検討していただきたいと思っているところでございます。
15ページ目でございます。先ほど、電子カルテの標準化というキーワードを御説明させていただきました。こちらにつきましては、オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金というものを、令和元年度予算300億円で措置してございます。
一番上の囲いにございますように、技術革新が進む中で、医療分野においてもICTを積極的に活用し、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築していく。このため、医療情報化支援基金を創設して、医療分野におけるICT化を支援するということでございます。法律的には、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律を改正してございます。
その対象事業を赤枠で囲ってございますけれども、電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等、導入の支援ということであります。
今後でありますけれども、16ページ目でございます。これは、昨年の10月に「医療等分野情報連携基盤検討会」に提出させていただいた資料でございますけれども、この標準的な医療情報システムの検討につきましては、青囲いのところにございますように、技術的側面と制度的側面の2段階で検討していくということで、技術的な側面につきましては、その下、「標準的医療情報システムに関する検討会」ということで、こちらは内閣官房健康・医療戦略室の下の検討会で一定のまとめを昨年11月にしていただいてございますので、後ほど御説明いたします。
その下、「医療等分野情報連携基盤検討会」(厚生労働省)とございます。これが、今般、本検討会に引き継がれるということでございますけれども、この内閣官房の検討会の取りまとめを踏まえまして、本検討会において医療情報化支援基金の趣旨に照らした要件とか普及方策等、具体的な施策へ反映させるための検討を行うということであります。
おめくりいただきまして、17ページ目であります。内閣官房の検討会の取りまとめの概要でございます。「技術面から見た標準的医療情報システムの在り方について」ということで、昨年11月29日、健康・医療戦略推進本部、これは総理が本部長でございますが、この下の「次世代医療ICT基盤協議会」の下に設けられた「標準的医療情報システムに関する検討会」のまとめということでございます。
構成員は、本日もいらっしゃっておりますけれども、山本隆一先生に座長をお務めいただいたということであります。
その下、今後の医療情報システムに求められる考え方、こちらが報告書の概要でございますけれども、目的というところで、主な課題としては、医療機関間の医療情報共有やPHR、施設外での医療データ管理・流通、さらには、臨床研究等へのリアルワールドデータの活用とか、医療の質・安全向上のためのシステム、医療現場の意思決定支援、様々なユースケースが考えられるということと、技術は10年単位で推移するので、統一された電子カルテ、画一化された製品は現実的ではないというおまとめになっております。
基本的な考え方でございますけれども、グランドデザインをしながら、クラウドベースで効率的で安全なシステムとなる可能性も追求するということ。さらには、データの外部出力機能、データの構造化、ハウスコードの標準コードへの変換、標準フォーマットで出力するAPI等を実装する必要があるとされてございます。
具体的な対応といたしましては、HL7 FHIR(データがXMLまたはJSON形式で表現され、アプリケーション連携が非常にしやすい)というものの普及が一つの方向性ではないかというのが1つ。もう一つが標準的なコードの拡大ということで、検査・処方・病名等、様々ございますが、必要な標準規格から実装していくということ。それと、セキュリティや個人情報保護に対応する仕組みといったものは、当然のことながら構築していくことでございます。
下に矢印がございますけれども、関係方面においても、今後、医療情報システムの構築に当たっては、この報告書を踏まえた対応が必要とされているところでございます。
長くなって恐縮でございます。最後の3つ目の論点の「電子処方箋の普及に関するこれまでの検討状況」について、御説明させていただきます。
19ページ目を御覧ください。電子処方箋の普及に向けた取組についてということで、上の囲いをご覧下さい。平成28年に、処方箋について電磁的記録による作成、公布及び保存を可能にしまして、これはe文書法施行規則を改正してございます。
同年、電子処方箋の基本的な考え方等をまとめた「電子処方箋の運用ガイドライン」を厚生労働省のほうで策定してございます。
このガイドラインでございますが、3つ目の○にございますように、仕組みを煩雑化させている紙媒体の引換証を発行することになってございます。これの運用の見直し等の検討課題について、有識者からなる検討会を昨年9月から開催させていただいておりまして、ガイドラインの改定、先ほど規制改革のデジタル・ガバメントのほうでも御説明いたしましたけれども、今年度中に改定するという目標を持って、ガイドラインの改定を含めた必要な方策の検討を行ったということでございます。
矢印を経て、下でありますけれども、今年度中に、このガイドラインの改定を行うということと、令和5年度から、処方箋の電子化について環境を踏まえた実施を目指していくということでございますけれども、電子処方箋の実現のためには、処方箋をためておくサーバの運営主体をどのように確保するのか、費用をどのように確保するのかといった課題があるということでございます。
20ページ目は、現行の電子処方箋の運用ガイドラインに基づくフローということで、御参考まででございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○森田座長 御説明ありがとうございました。
非常に盛りだくさんの報告でございましたけれども、御質問、御発言等ございましたら、お願いいたします。
永井構成員。
○永井構成員 ありがとうございます。
全体を見直して改めて思ったのですが、システムの維持やバージョンアップなどの経費はどのように計画されているのでしたでしょうか。非常に大きなシステムになると思うのですが、それを維持するのはなかなか大変です。国やいろいろな基金でできればよいですが、そこはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
○森田座長 事務局、お願いします。
○笹子企画官 大変難しく、かつ重要な御指摘だと存じます。
PHRと全国的な仕組みは一体的に検討していくということでございますけれども、どんな主体に、どういったメリットがあるのかという観点も踏まえて、いわゆる費用負担というものを考えていく必要があろうかと思います。今の段階において、事務局で確定的あるいは議論を先取りするようなことを申し上げるのは避けたいと存じますけれども、先ほど御説明したPHRの検討における留意事項といったものにおいて、例えば基盤となるインフラは国・自治体・公的機関が整備と書かれています。
一方で、保健・医療現場における情報利活用の推進に関するというところで、こちらも13ページ目で、オンライン資格確認の仕組みに基づいて、医療費、薬剤情報、特定健診情報といったものは閲覧できるようにしていくということでございますけれども、それ以外の、今、申し上げた薬剤情報、特定健診以外の情報を利活用した際に、どなたにメリットがあるのかという観点から、構築費・運営費、両面の観点から費用負担というものを検討していかなければならないと考えております。
その前に、どういった主体が運営主体になるのかも含めて、大きな課題だと思いますけれども、そういった視点も踏まえて、また事務局のほうでも一定の整理をさせていただきながら、御議論いただければと思います。
○森田座長 よろしゅうございますか。
ほかにいかがでしょうか。
石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 先ほどの2つのワーキンググループのところで、関連性をお聞きすればよかったのかもしれないのですけれども、1つは、PHRとほかの医療情報との関連です。健診のデータをPHRのほうに入れると、例えば健診をやってHbA1cが悪かった。そうすると、医療のほうへかかって、2か月に1回ぐらい測りながら治療に入るわけですね。健診のデータと一般的な保険でやる医療のデータというのは、結構相互関連性があって、その相互関連性を2つのワーキンググループでうまく調整していただくといいのではないかと思うのですけれども、それはかなりこれからの課題だと思います。
それで、何が言いたいのかといいますと、PHRにそういう健診といったもののデータが載ってくる。今の段階だと、医療でかかった保険診療のデータとかはPHRにはすぐには載せられない。これは、実は将来的にはPHRのほうに医療データが載るということはすごくいいと思うのですけれども、こういったものが目指すものだと思うのですけれども、今の工程表の中には、それがまだ入っていない。リアルワールドの医療データのPHRへの入れ方というものが入ってこないことについては、今後ちゃんと検討していただきたいと思います。
それから、PHRの6番目のスライドで、前から言っていますように、私は最初に民間事業者の参入というのはさせるべきではないだろうということをずっと言っていたのですけれども、国の方針で、もうそういうふうになってしまっているということもあるかもしれないですけれども、現在、40ぐらいの事業者がPHRのモデルを作っているという話を聞きます。PHRというのは、基本的には今の段階でどういうビジネスモデルを作って参入してくるのかということを思い描くと、私には余り想像できないということと、cookieとか、そういうものを使って個人情報をかなり使わないと、ビジネスモデルにならないのではないかと思うのです。
そういう点で、既に40のPHRがあるという段階で、まだ6ページの右下の別紙のところに一生懸命書いてあるのです。こういうものは、私はちょっと納得がいかないと言いますか。国がPHRについてきちんとひな形を作って、変な商用の利用をしないようにやっていただくべきだと思っているのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。
○森田座長 事務局、どうぞ。
○笹子企画官 ありがとうございます。2点、御指摘いただいたと思っております。
医療情報について、PHRと相互互換性を持って、今後検討していくべきである、工程表の中でも、ということでございます。6ページ目の次の7ページ目でありますけれども、先ほど御説明を割愛させていただきましたが、医療情報については、情報発生源が医療機関である。この病院情報システムから個人に対して、どのように返していくかということについては、様々な考え方があり得るだろうということで、まさしく今般、この検討会を立ち上げさせていただいたのは、そういった医療情報についても、PHRの観点も含めて一体的に検討していくべきだろうということでございます。
なので、2つのワーキンググループ、さきほど設置をお認めいただきましたが、その連携も図らせていただくとともに、この親会で一体的に先生方からも御指導いただければと思っております。
2つ目でございますけれども、健康局から補足があれば指摘いただきたいですが、要配慮個人情報を扱うことになりますので、民間事業者における個人情報の適切な取扱いをしていくべきではないかということだと思います。現行のの個人情報保護法上は、本人の同意などがあれば民間事業者による事業が可能となっているわけでございます。そういった現状を踏まえて、今、先生から40ほどの事業者が存在するという御紹介いただきましたが、私どもとしては、遵守すべきルールをきちんと策定していく、これが重要ではないかということでございます。資料の2にありますように、民間PHRサービス提供における個人情報の適切な管理ということで、個人情報の適切な取扱いとか必要なセキュリティ等、こちらについて、一定のルールを検討するであるとか、繰り返しになりますが、その下にあるように、データの囲い込みなどを回避していくとか、民間PHR事業者の適切な育成といったものを図っていくルール作りが必要であろうということで、芽出しさせていただいているということでございます。
○森田座長 石川構成員。
○石川構成員 ですから、そのルール作りといったことは、ここに書いてあるから分かっているのですけれども、そういうことをやって、どういうビジネスモデルがあるのかというのがすごく疑問だということです。今まで、健診のデータを用いて、何かビジネスモデルを作られたことが日本の中でありますか。例えば、子供たちの健診、学校保健とか、そういったものですね。
1つは、例えば大人のほうの健診であれば、糖尿病とか肥満とか高血圧というと、減塩とかダイエットということにつながることはありますけれども、健診データとPHRのデータと、そこはどのように民間業者の方がビジネスモデルをうたっているかということです。要するに、商用活用するということで考えてみますと、かなりいろいろな使い方、個人情報すれすれの使い方をしないとできないのではないかと推測するわけで、その辺のところは注意してやっていただきたいと言っているわけです。
○森田座長 事務局、よろしいですか。
○笹子企画官 御指摘も踏まえながら、ワーキンググループ、さらにはこの場でも御検討いただければと思います。
○森田座長 では、印南構成員、どうぞ。
○印南構成員 2つほど質問といいますか。
1つは、今の石川構成員の延長だと思うのですが、いろいろな事業者がソフトウエアをきちんと開発しないと、個人のスマホでは全然見られないわけです。ある程度自由を認めないと、活発には開発してくれない。ところが、今、出たように、ビジネスモデルがはっきりしないということもあって、大体想像できるのは、早く顧客を囲い込む。それから、顧客をロックインして互換性がないように作るという、いつものビヘイビアみたいなものが生じてしまうのではないか。
そうしますと、個人が見る分には全然構わないのですが、これを医療機関に行って、医療機関のデータと結合したり、医療機関がいろいろなソフト、今で言うと40種類ですか、それに全部対応するのかという問題が生じてきてしまうわけです。ですので、ルール作りで本当に足りるのか。場合によっては、ソフトウエアについて、厚労省がきちんと審査するとか、最低限の互換性を保つような仕組みを、共生する仕組みをきちんと作らないと、やがていろいろなもので、その間のデータをつなぐという、次の大きな問題が生じてしまう。
これに対して、私は関連する検討会に今まで出ていませんので、どのぐらい検討されたのか、よく分からないのですが、それについて、ぜひ検討していただきたい。後で結構ですので、検討されているようであれば教えてほしい。ルール作りぐらいでは足らないのではないかというのが私の感想です。
もう一点、同じように困難を生じさせる原因にローカルルールがあると思います。これは、ほかの分野でもいろいろ問題になっていて、国が作った電子処方箋とか電子カルテは、どこまで全国に共通化できるのでしょうか。恐らくひな形を示すだけではないでしょうか。そうしますと、ローカルルールを許容している範囲内で、どんどん地方が自分たちの地元の実情に合わせて、それなりに工夫していく結果、しまいにガラパゴス化していって、それらの間の連結が難しくなる。それは、今から見えていますので、そちらもきちんと対応しないと、この問題はなかなか先に進まないのではないかと危惧します。そちらについて、もし進展があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。
○森田座長 健康局ですか。どうぞ。
○橡谷補佐 ありがとうございます。
御指摘いただいた民間のルール作りにおきまして、厚生労働省のみならず、経産省や総務省とともに民間利活用作業班という中で検討させていただいております。ルール作りをしても意味がないのではないかというお話もありましたが、今、全くルールがない状況で、様々な民間PHR事業者がありますし、今後、PHRというものが進展していく中で、さらに新しいPHR事業者もできていく中で、一定のルールというものは必要であると考えております。
その中で、御指摘いただいたように、ルール作りの中では、相互運用性ができるように。個人が民間事業者を乗り換えた際にも、そのデータがちゃんと移行できるような形で、民間事業者はデータを保持するようなこととか。あと、先ほどありました個人情報保護法に基づいて、セキュリティとか保存期間についても、本人の知らない間にそのデータが消えることがないようにとか、いろいろな様々なPHR事業者がありますけれども、国民の皆様が適切な民間サービスを選択できるような仕組みというものも作っていってはどうかということを検討させていただいている状況であります。
以上です。
○森田座長 どうぞ。
○印南構成員 ルール作りに意味がないと言ったのではなくて、ルール作りだけでは足りないと言ったつもりなので。
それで、今のお話を聞いても、結局は単なるデータのポータビリティの話ではなくて、例えば医療機関に行ったときに、自分の持っているスマホから医療機関のデータを簡単に吐き出して、それで相互に見られる仕組みまできちんとしないと、いろいろな問題がこれから生じてくる。結合、つなげるのに時間がかかるとか、困難が生じてしまうのではないか。健診もそうですけれども、医療のデータも、保険料は税金を使っているわけなので、それについてもう少し強制力を持たせるような仕組みを、各官庁が連携して作らない限りは、本当に多忙なシステムがあちこちにできることになってしまわないかという危惧であります。
ローカルルールについても同じです。
○森田座長 事務局、どうぞ。
○笹子企画官 今のお話にも関連するかもしれませんけれども、先ほど私が17ページ目で御紹介した内閣官房の報告書の取りまとめの中でも、ローカルルールとおっしゃっていただきましたけれども、一つの医療機関の中で閉じるのではなくて、医療機関間あるいはPHRの情報利活用の推進という目的に向けて、外とのデータ連携、インターオペラビリティの確保が重要であるという観点から、技術的な対応の方向性、これは、海外、諸外国の状況も含めてということでありますけれども、書いていただいています。
具体的な方向性ということで、HL7 FHIRこれは、ファースト・ヘルスケア・インターオペラビリティ・リソーセズの略でありますが、こうしたXML等で表現されて、ウェブAPIということで、患者さんのスマホにも出しやすいような規格というのが、特にPHRのユースケースで、欧米で浸透しつつあると承知していますので、こういった技術的なところを踏まえる。標準的なコードについても、全てがということではなくて、必要な標準化、他の施設と共有する必要のあるミニマムなものについては、実装していく。
それ以外のものについて、ローカルルールでやっていただくのを妨げるものではありませんけれども、そういったことも念頭に置きながら、先生からは、さらに強制力を持ってという御指摘だと思いますが、まずは医療情報化支援基金のような仕組みというか、ツールもありますので、どういった形で標準化が進められるのかということは、省内でも検討させていただきたいと思います。
○森田座長 ほかに、いかがでしょうか。
遠藤構成員。
○遠藤構成員 初歩的なことだと思うのですけれども、ちょっとお聞きしたいのですけれども、データ収集に関して、特定健診及び薬剤情報等は、健診とかレセプトというのは、もともと提出するために統一されたフォーマットでされていますから、それを読み取ればいいと思うのですけれども、先ほどからの医療情報ということで言うと、先ほどの話の互換性もありますけれども、電子カルテを読み取るということになると、診療内容についてのデータの取得の在り方、どのように取得するのか。ダイレクトにつながることはないと思いますけれども、間に何か挟んで必要なものだけ抜くのか。
これは、もちろん医療データは患者さんのものでもあって、開示するべきものだと思いますけれども、診療所の医療機関の中の電子カルテにどのようにアクセスされて、どのように取得されるつもりなのかというのをちょっとお尋ねしたいのですけれどもね。
○笹子企画官 14ページ目で御説明させていただいた、まさしく今、調査事業を実施しているところであります。極めて重要な御指摘かと思います。レセプト情報であれば、支払基金などにたまっているということなので、その情報から一定の必要な情報を抜き出して、それを医療機関が見に行くということは、費用対効果の面からみても非常に実現性が高いのではないかと思います。そういった意味で、レセプト情報の中で、全国で共有すべき情報というのを考えるのが1つだろうと思います。
その上で、電子カルテの情報を全てほかの医療機関と連携するという議論ではないと思っています。「医療等分野情報連携基盤検討会」でも、お忙しい保健医療従事者の皆さんでいらっしゃるので、過去の情報を全部見せられても困ってしまうという御議論もありました。そういった観点で、全国で共有するミニマムなデータセットを決めましょうということであります。なので、14ページ目に掲げさせていただいているのは、診療情報提供書とか退院時サマリとか検体検査結果とか画像とか、いろいろあります。これをどういうふうに電子カルテの中から取り出して、どのように見ていくのかということを検討していく必要があります。マル2にあるデータ項目の連携方式、様々な方式があろうかと思います。どこかにデータをためて、それをみんなで見に行くという方式もあるでしょうし、それぞれの医療機関が持っていて、それを必要に応じて見に行くという方式もあるでしょうし、そういった連携方式も様々あると思います。そこについて、技術的な課題であるとかセキュリティであるとか拡張性、コスト、運用・保守、方法などの比較を今、調査しております。今後、客観的なファクトなどを出させていただく中で、御議論いただければと思っているところでございます。
○遠藤構成員 ちょっと細かいことですけれども、例えば必要な情報ということで、それなりのフォーマットを作って自動的に変換される。事務的には余り負担がかからない形もできるかと思うのですけれども、それは医療機関の意思に関わらず、自動的に出てくるのか、それとも医療機関が送信するのかという、いかがでしょうか。
○笹子企画官 そこも含めて御議論いただければと思います。
○森田座長 どうぞ。
○田尻構成員 非常にベーシックな話か分かりませんし、また、この検討会自体の趣旨とちょっと違うことも含めての発言があったら、お許し願いたいのですけれども、今までのお話の中で、EHRとPHRの違いがはっきりしない。イメージ的には、EHRの中にPHRが含まれるのだろうと思うのですけれどもね。
その部分は置いておいて、1つ教えていただきたいのが、今日の検討会項目の中に電子処方箋の件が最後のほうの数十何ページに書いてあるわけですが、別に処方箋の電子化を望む、望まないということではなしに、PHRについて、健診データにしろ、薬剤のデータにしても、リアルタイムのデータじゃなしに、支払基金にレセプトのデータが上がった時点で、それをマイナポータルで本人が見られたり、医療機関の医療関係者が患者の同意を得ながら、それを利用できたりという、それがPHRだと私は思っているのですけれども。
その中で、電子処方箋というのは、今まで担当してきましたけれども、最終的に、それは地域の医療連携情報ネットワークがきっちり動いた中で運用されて、初めて意味をなすものと信じているのです。その中で、この検討会の中で何となく特出しのような気がして、少し違和感があるのですけれども、その辺の説明をいただきたいのと。
それと、一気通貫のということで、規制改革の中で出てきた中で、電子処方箋の運用の部分、紙の引換券を使わないということをクリアするような方向で、ガイドラインが今年度末までにリファインされたものが出てくると理解もしていますけれども、この検討会で全国的に電子化を進めるイメージが、議題の中にあるとどうしても出てくると思うのですけれども、そこのところはいかがなものなのでしょうか、教えていただければと思います。
○森田座長 事務局、どうぞ。
○横田補佐 電子処方箋のところで御指摘いただきましたとおり、紙の引換券のところを変える形のガイドラインの改定というものを今年度中に行うという方向で、現在動いているところでございます。それに伴いまして、電子処方箋の運用、電子化をこれから進めていく、まさしく電子処方箋ガイドラインというものを作りまして、実際にそれが運用されているところがないという現状でございます。ですので、この電子処方箋を実際に運用していく上で、どういったサーバの主体を決めていけばいいのか、サーバの主体をどういうところにするのが、実現するためにいいことなのかというところを、この検討会のワーキングでも御議論いただくところかと思っております。
電子処方箋だけ特出しというところでは、電子処方箋は患者さんに一度渡しているというところもありまして、普通の医療機関が所有しているだけの情報とは少し違う論点が出てくるかと思いまして、その点だけほかの医療情報というところとは異なるのかなと思っております。
○森田座長 予定している時間を大分上回っておりますが、どうしてもという御発言、ございましたら。どうぞ。
○高倉構成員 高倉です。
IT系の人間として、ちょっとコメントさせていただきたいのですけれども、セキュリティのことを検討されているのはよく分かるのですが、情報が漏れないようにするために一生懸命頑張るぞということが書いてあるだけであって、セキュリティというのは、基本的に漏れない、使えなくならないようにするという可用性がとても大事なのですね。他の重要インフラと比較したときに、このシステムが何らかの障害を起こした、もしくはデータが破壊されたときに、どう代替手段をとるのかということが全く議論されていないのが非常に不安になります。これは、ここで議論するかどうかは置いておいて、気になりました。
以上です。
○森田座長 御指摘ありがとうございました。
それでは、ほかにこの件、いかがでしょうか。はい。
○松川構成員 こちらのPHRの利活用に患者本人の同意が必要と、先ほど来、何回も言われていると思うのですけれども、この同意については、データを収集することについての同意であるのか、それとも医療者側の利活用に対しての同意なのか、そのあたりがちょっと分かりにくかったので、御説明いただきたいと思います。
○森田座長 これは、事務局、どなたが。健康局ですか。
○橡谷補佐 健康局でございます。
同意については、もちろん収集して利活用されるときには、必ず同意が必要になりますので、同意のとり方も、本人に分かりにくく同意をとるのではなくて、どう分かりやすく、医療情報というのは機微な情報でありますので、その使い方等も含めて同意をとっていくということでございます。
○松川構成員 ありがとうございます。
そうすると、収集のときと利活用のとき、インプットとアウトプット、両方に対して同意が必要ということでしょうか。
○橡谷補佐 そうです。第三者が収集とアウトプットをするときには、本人の同意が必要になってくる。PHRで本人に渡すところまでは、同意は必要ないと思っていますけれども、その後に収集されたり、活用されたりというところでは同意が必要だと考えております。
○松川構成員 分かりました。そうすると、同意がないと、収集もされないと考えていいわけですね。
○橡谷補佐 それは、今後のデータベースの在り方とか、そういうものと一緒に一体的に検討していくものかと考えております。
○松川構成員 分かりました。ありがとうございます。
○森田座長 では、この議論はこのあたりでよろしいでしょうか。いろいろ御指摘あったと思いますので、それにつきまして、事務局のほうでワーキンググループで具体的にどう検討するかということを整理していただきたいと思います。
それでは、時間も残り少なくなってまいりましたけれども、議題(4)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン改定について」につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○森医療情報技術推進室長 それでは、お手元の資料4を御覧ください。医政局研究開発推進課から説明させていただきます。医療情報システムの安全管理に関するガイドライン改定につきまして説明いたします。
こちらのガイドラインにつきましては、医療機関等における電子的な医療情報の取扱いに係る責任者を対象としまして、厚生労働省において、初版は平成17年3月に公開しております。
内容としましては、スライド1枚目のガイドラインの内容のほうに主に載せておりますけれども、電子的な医療情報を扱う際の責任の在り方や基本的な安全管理、診療録等を電子化・外部保存する際の安全管理基準等々について、内容が盛り込まれております。なお、この医療情報システムのセキュリティにつきましては、厚生労働省のほかに総務省及び経済産業省のほうでも、こちらは事業者を対象にしてガイドラインを作成しておりまして、3省が連携してガイドラインを整備しているという状況でございます。
スライドの2を御覧ください。こちらは、昨年10月10日の第3回「医療等分野情報連携基盤検討会」に提出いたしました資料になります。先ほど申し上げましたように、本ガイドラインは平成29年5月に第5版をリリースした後、2年以上が経過しておりまして、その間に新たな技術的な対策が出まして、各種指針等の改定が行われていることから最新化が必要な状況となっております。
また、昨年の6月に決定されました規制改革の実施計画におきましても、データヘルス改革を推進するに当たり、クラウド技術の進展等の技術動向を踏まえた上で、個別具体的な事例を収集し、それぞれについて、利用上の方針・留意点を整理し、ガイドラインの改定素案を策定すると決定がなされております。
昨年10月の段階におきましては、当時の「医療等分野情報連携基盤検討会」の下に設置しております「医療等分野ネットワーク安全管理ワーキンググループ」にてガイドラインの改定素案の作成、また統合が予定されております経産省・総務省のガイドラインとの在り方について審議いただく予定ということで、我々厚生労働省の委託事業のほうで、改定素案の原案を作っているところになります。こちらの改定の原案につきましては、本日御了承いただきました「医療等の情報利活用ワーキング」のほうに引継ぎをさせていただきまして、そちらに御報告しました後に先生方の御意見等をいただきまして、来年度、パブコメを経て改定する予定となっております。
資料の説明については、以上になります。
○森田座長 ありがとうございました。
この議題につきまして、ただいま御説明に基づいて、御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、時間がぴったりに終わるような具合でございますけれどもね。
それでは、まだいろいろ御発言したいという方もいらっしゃるかと思いますけれども、時間が参りましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思っております。
なお、一言、私も発言させていただきますと、当然だから御発言がなかったのかもしれませんけれども、印南構成員からちょっと御発言ありましたけれども、この仕組みを考えるときに一番重点を置かなければいけないのは、国民とか患者にとって、どの程度の利便性があるかということだと思いますし、そのために保険あるいは税で負担しているのも国民ですので、その視点というのは、この議論をするときには忘れてはならないのではないかと思いました。
余計なことを申し上げましたけれども、今日、出していただきました御意見を踏まえまして、引き続きワーキンググループのほうでも建設的な御議論をいただきたいと思っておりますので、最後に事務局から、今後のこと等につきまして、御説明をお願いいたします。
○笹子企画官 本日は、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回の検討会の開催につきましては、改めて調整の上、日程、場所等について、御連絡をさせていただきます。
また、本日の議事録につきましては、作成次第、構成員、オブザーバーの皆様方に御確認いただきまして、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
それでは、本日は第1回でございますけれども、これで閉会とさせていただきたいと思います。活発な御議論、どうもありがとうございました。また、進行について、御協力もありがとうございました。
これで終わりでございます。