第84回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第84回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和2年1月9日(木) 10::00~10:15
 
2.場所 厚生労働省 共用第6会議室
           (東京都千代田区霞が関1-2-2  中央合同庁舎5号館3階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶応義塾大学名誉教授 大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子 
○慶応義塾大学大学院法務研究科教授 森戸 英幸

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○ 日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巖
○UAゼンセン政策・労働条件局部長 髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社 人事部主務 久保田 祥子
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社 人事労政部部長 山内 幸治
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍  

4.議題
(1)「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」(労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)について(諮問)
 
5.議 事

○荒木部会長 ただいまから第84回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですけれども、公益代表の水島委員、宮智委員、労働者代表の黒島委員、使用者代表の北委員が御欠席と承っております。出席者は14名になりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がございますので定足数を満たしていることを御報告いたします。カメラ撮りはここまでということでお願いします。

 本日の議題に入ります。議題は、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について(諮問)です。労災保険制度以外の部分については、昨日開催の職業安定分科会において審議されておりますので、当部会においては労災保険制度の関係部分について審議を行いたいと思います。前回の労災保険部会において、複数就業者の労災保険給付の在り方についての報告を取りまとめたところであり、それをもちまして、厚生労働大臣宛てに建議がなされたところです。この建議を踏まえまして、厚生労働大臣から労働政策審議会長宛てに諮問を受けており、その諮問の内容について事務局から説明をお願いいたします。

○労災管理課長 皆さん、おはようございます。労災管理課長の田中です。恐縮でございますが、座らせていただきまして御説明いたします。お手元の資料1、資料2等につきまして御説明申し上げます。先ほど部会長からもお話がありましたように、先般の建議を受け、当方として労災保険法、労働保険徴収法の改正法案の要綱を示したものです。資料1が諮問の文書の抜粋、資料2が諮問案件の概要です。

 まず、資料2に沿って御説明申し上げます。資料2ですが、雇用保険法等の一部を改正する法律案(労災保険法及び労働保険徴収法の一部改正関係)の概要です。今回法律案としては、雇用保険法、高年齢者雇用安定法の改正などと一括法で改正するということで、表題については「雇用保険法等の一部を改正する法律案」ということです。改正の趣旨ですが、これまで建議でも頂いたとおりですけれども、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えていると。こういった実状を踏まえ、セーフティネットとしての機能を果たしている労災保険制度の見直しを行う。複数就業者が安心して働くことができるような環境を整備するということです。

 改正の概要ですが、(1)労災保険法の改正、(2)徴収法の改正です。2(1)の①が複数就業者の、いわゆる負荷を総合評価するというものですけれども、複数の就業先での業務上の負荷を総合的に評価した場合の保険給付を新設するということです。②がいわゆる額の合算の件ですが、複数就業者に係る給付基礎日額の特例を整備するというものです。③は建議事項ではありませんが、前回御説明しました毎月勤労統計などの修正により、スライド率等を変更することにより生じた保険給付につきまして、当該保険給付に係る未支給の保険給付の支給を受ける権利につきまして、会計法の特例を措置するものです。(2)が徴収法の改正です。これにつきましては、今般新たに設ける給付、非災害発生事業場の給付額をオンするものも含めてですけれども、新たな保険給付についてはメリット収支率に影響させないこととすると。これをはっきりさせるための整備を行うということです。施行期日ですが、複数就業者に係る労災保険制度の見直しに係る部分につきましては、1ポツですけれども、公布後6か月の範囲内において政令で定める日です。具体的な何月何日というものにつきましては、実際に改正法が成立した後にまた御議論いただくことになろうかと思います。会計法の特例の関係につきましては、雇用保険法等の一部を改正する法律案のメインの施行日が41日ですので、それに合わせて令和241日です。以上が資料2です。

 これを縦書きにしたものが資料1です。資料11枚目が、諮問した際の表紙です。2ページ目からが実際の内容ですが、今回は労災保険制度の見直しに係る部分だけですので、その他の部分については「略」としています。法律案要綱の第一が雇用保険法の一部改正で、これは略です。それから、第二は徴収法の改正ですが、このうち二~五は雇用保険制度の関係ですので略としております。一は、メリット制の関係の条文ですけれども、労災保険率の算定方法の改正です。「第六の二及び三に伴い」と書いてありますが、これは後ほど説明しますが、いわゆる負荷を総合評価して保険給付するということと額の合算の関係です。これに伴いまして、事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者、我々は複数就業者と呼んでおりますけれども、法令上は「複数事業労働者」という用語にしようと思っています。複数事業労働者の場合における労災保険率の算定方法について規定するものとするということです。これはメリット制の関係のものです。

 次のページ、第六が労災保険法の一部改正です。1番目が目的の改正になっておりますけれども、これは2番目にありますが、いわゆる負荷を総合評価して保険給付する、この類型を新たに作るという関係で目的の改正も行うということです。第六の二ですが、新たな保険給付の創設です。業務災害に関する保険給付及び通勤災害に関する保険給付と並び、複数事業労働者の複数事業の業務を要因とした負傷、疾病、障害又は死亡に関する保険給付を創設するものとするということです。これは、いわゆる負荷を総合評価して保険給付をするという内容です。第六の三は額の合算です。業務上の事由、あるいは複数事業労働者の複数事業の業務を要因とした事由、通勤による負傷、疾病、障害又は死亡といった場合の保険給付については、給付基礎日額を合算したものを基礎として給付額を計算していくということを書いております。四が会計法の特例です。第五として所要の改正を行うということを書いております。第七、施行日ですが、これは先ほど御説明したとおりです。資料1については以上です。

 それから、参考として配っているものですけれども、参考1ですが、1223日に頂きました建議の中で、法律事項として今回整理をしたものについて二重線を引いています。後ほど御確認いただければと思っております。参考2ですが、いわゆる時効援用の特例を設けることにつきまして、先般口頭でのみ御説明申し上げましたが、これを文書にしたものです。説明は以上です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして何か御質問、御意見等があればお願いいたします。

○輪島委員 いま御説明を頂きましたけれども、使用者側としましては昨年の年末に本部会で取りまとめました建議の内容を踏まえたものと理解しておりますので、妥当な内容だと考えているところです。

○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○仁平委員 報告を踏まえて取りまとめたものだと思っておりますので、妥当なものだと思っております。以上です。

○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。ほかに特段御意見がないようでしたら、諮問のあった件につきまして当部会としましては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、そのように進めさせていただきます。労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条の第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規程第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決とするということになっており、労働政策審議会運営規程第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決とするということになっております。

 それでは、事務局に報告案を用意してもらっておりますので、これを配布し、読み上げてもらうことにしたいと思います。よろしくお願いします。

(報告案配布)

○労災管理課長 それでは読み上げさせていただきます。お手元にお配りしました報告案の2枚目を御覧ください。労災保険部会から労働条件分科会への報告です。読み上げます。「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について。令和218日付け厚生労働省発職01081号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、当部会所管関係については妥当と認める。

 1ページ目、1枚目ですが、分科会から審議会長への報告です。「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について。令和218日付け厚生労働省発職01081号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記、別紙「記」のとおりということですので、先ほどの2ページ目の記のとおりです。以上です。

○荒木部会長ただいま配布して読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに答申を行うことにしたいと思います。事務局におかれましては、この答申を踏まえた法案の作成等について、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に事務局から何かございますでしょうか。

○労災管理課長 御審議、ありがとうございます。本日御了承いただきました諮問案件につきましては、今後早急に事務局として法案の作成作業等、所要の手続を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

○荒木部会長 よろしくお願いいたします。それでは、以上をもちまして本日の部会は終了といたします。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の田久委員、使用者代表の山内委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。