2020年1月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和2年1月27日(月)17:00~

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

出席委員(14名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(7名)

行政機関出席者

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の出席については、大森委員、岡委員、金子委員、川上委員、佐藤委員、代田委員、武田委員より御欠席との連絡を頂いております。また、山田委員は、少し遅れて出席されるとお聞きしております。したがいまして、本日は当部会委員数21名のうち、現時点で13名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、本日は、審議議題1について、参考人として日本大学の内山真先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。厚生労働省大臣官房審議官の山本でございます。
○大臣官房審議官 山本でございます。医薬品審査管理課長時代には、大変先生方にお世話になりました。ありがとうございました。審議官に着任しましたが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続いて、医薬安全対策課長に中井が着任しております。
○医薬安全対策課長 中井です。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 それから、医薬品医療機器総合機構ですが、安全管理監の山田でございます。
○医薬品医療機器総合機構安全管理監 山田でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続いて、再生医療製品等審査部長の本田でございます。
○医薬品医療機器総合機構再生医療製品等審査部長 本田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 続いて、医薬品安全対策第一部長の鬼山でございます。
○医薬品医療機器総合機構医薬品安全対策第一部長 鬼山でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 最後、申し遅れましたが、私は、医薬品審査管理課長に着任しました吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、杉部会長、以後の進行をお願いいたします。
○杉部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。
○事務局 事務局でございます。それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、机上に議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配布させていただいております。議事次第に記載されております資料1~資料15-6までをあらかじめお送りさせていただいております。
会議のペーパーレス化に向けた取組といたしまして、本日の医薬品部会では、あらかじめお送りした紙資料と同様の内容の電子ファイルをタブレットに格納し閲覧していただけるようにするとともに、机上に配布する紙資料を、審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。また、このほか、資料16、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を配布し、また、タブレット内には資料17として、「各審議品目に係る専門協議の専門委員リスト」、資料18として、「競合品目・競合企業リスト」を格納させていただいております。タブレットの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。お手元のタブレット、資料18をお開きください。
1ページ、「モディオダール錠100mg」です。本品目は、「特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
2ページ、「ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL」です。本品目は、「中心窩下脈絡膜新生血管」を伴う加齢黄斑変性を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
3ページ、「バクスミー点鼻粉末剤3mg」です。本品目は、「低血糖時の救急処置」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
4ページ、「インスリン リスプロBS注カート HU『サノフィ』他2規格」ですが、本品目は、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
5ページ、「Fostamatinib」です。本品目は、「慢性特発性血小板減少性紫斑病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
6ページ、「Inebilizumab」です。本品目は、「視神経脊髄炎スペクトラムの再発予防及び身体的障害の進行抑制」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
7ページ、「RO7234292」です。本品目は、「ハンチントン病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の1品目を競合品目として選定しております。
8ページ、「PTC124」です。本品目は、「ナンセンス変異型デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
9ページ、「ミダゾラム」です。本品目は、「てんかん重積状態」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の2品目を競合品目として選定しております。
10ページ、「フェニル酢酸ナトリウム・安息香酸ナトリウム中心静脈投与用製剤」です。本品目は、「尿素サイクル異常症における急性の高アンモニア血症及び脳症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、何か先生方から特段の御意見、御質問はありますでしょうか。特にないようですから、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。
それでは、委員からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 事務局でございます。各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、「モディオダール」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題2、「ベオビュ」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題3、「バクスミー」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題4、「インスリン リスプロBS」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題5、「Fostamatinib」、退室委員は飯島委員、議決には参加しない委員はなし。議題6、「Inebilizumab」、退室委員は飯島委員、議決には参加しない委員として、大賀委員、平石委員。議題7、「RO7234292」、退室委員なし、議決には参加しない委員は大賀委員。議題8、「PTC124」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題9、「ミダゾラム」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。議題10、「フェニル酢酸ナトリウム・安息香酸ナトリウム中心静脈投与用製剤」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。以上でございます。
○杉部会長 今の事務局からの説明に何か御意見、御質問はありますでしょうか。それでは、先生方に御確認いただいたものといたします。
本日は、今、お聞きのように審議事項が10議題、報告事項が5議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移りたいと思います。議題1について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品モディオダール錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構から御説明いたします。タブレットの資料1のフォルダを開き、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。本剤は、モダフィニルを有効成分とする錠剤であり、本邦におきまして、2007年1月にナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気を効能・効果として承認され、2011年11月に持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気の効能・効果で承認されております。今般、特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気に対する有効性及び安全性が確認されたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
今回の開発対象である特発性過眠症は、夜間睡眠量は十分に確保されているにもかかわらず、日中に過度の眠気が遷延した状態が続くことを特徴とする中枢性過眠症群の疾患です。日本睡眠学会の「ナルコレプシーの診断・治療ガイドライン」においては、問診による症状の詳細の確認、過眠症状の程度の確認、睡眠日誌の確認、関連する心因性要素などを確認した上で、睡眠ポリグラフ検査及び反復睡眠潜時検査を実施して、概日リズム睡眠障害、行動誘発性睡眠不足症候群、長時間睡眠者、周期性四肢運動障害、睡眠呼吸障害及びナルコレプシー等のほかの睡眠障害との鑑別を行った上で特発性過眠症の診断を行うこととされております。本邦における特発性過眠症の患者数は約1,100~1,500人と推定されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。
本邦では、ペモリン(販売名ベタナミン錠10mg他)が、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患に係る効能・効果で承認されておりますが、特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気に対する効能・効果を有する薬剤はありません。
また、本剤は2018年10月時点で、米国、欧州等36の国又は地域で、ナルコレプシー、閉塞性睡眠時無呼吸症候群及び交代勤務睡眠障害等に関連する効能・効果で承認されており、特発性過眠症に関連する効能・効果ではメキシコのみで承認されております。なお、欧州においてはナルコレプシー、特発性過眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群及び交代勤務睡眠障害に関連する効能・効果で承認されておりましたが、本剤の適応について再評価が行われ、ナルコレプシー以外の効能・効果におけるリスク・ベネフィットバランスは明確ではないとして、2011年1月に効能・効果がナルコレプシーに限定されております。
本申請の専門委員として、資料17に記載されている4名の委員を指名しております。
それでは、臨床試験成績を中心に審査の内容を御説明いたします。有効性に関しまして、審査報告書の一番下、全36ページの通し番号で6ページの表2を御覧ください。国内の第III相試験において、主要評価項目である最終評価時のMWTと表記した覚醒維持検査のベースラインからの変化量について、本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
次に、通し番号8~12ページに記載しております「7.R.1 本剤の投与対象患者及び適正使用について」を御覧ください。冒頭で御説明したとおり、特発性過眠症は他の睡眠障害を鑑別した上で診断が行われますが、国内第III相試験には本剤の投与対象患者として適切ではないと考えられる被験者が一定数組み入れられておりました。このことにつきまして、通し番号11ページの表5を御覧ください。これら本剤の投与対象患者として適切ではないと考えられる被験者を除いた集団においても本剤の有効性は示唆されていることから、当該試験の結果から本剤の特発性過眠症患者における有効性は期待できると考えました。
次に、安全性について、審査報告書通し番号15ページ、表9を御覧ください。既承認効能・効果と特発性過眠症患者で、臨床上問題となるような安全性プロファイルの差異は認められていないことから、添付文書において、既承認効能・効果と同様の注意喚起をすることが適切と考えております。
一方で、本剤は第一種向精神病薬に指定されており、乱用・依存性のリスクも考慮すべきであることも考慮して、特発性過眠症と適切に診断された患者にのみ本剤が投与されるよう、必要な適正使用策を実施する必要があると機構は考えました。
適正使用策については、通し番号32~33ページの「1.2 本剤の適正使用について」を御覧ください。特発性過眠症、ナルコレプシー及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気の確定診断は、睡眠障害の診断・治療に精通した医師が、睡眠ポリグラフ検査及び反復睡眠潜時検査を実施できる施設において行うことが適切であり、確定診断後の治療については、睡眠障害の治療に精通した医師が各地域における医療機関において行うことが適切と考えました。したがいまして、確定診断を行う医師及び医療機関、並びに確定診断後の治療を行う医師及び医療機関についてそれぞれ登録を行い、登録された確定診断を行う医師及び医療機関においてのみ確定診断を、登録された医師及び医療機関においてのみ治療を可能とすることが必要と判断し、承認条件として付与するとともに添付文書においても注意喚起を行うことが適切と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 どうもありがとうございました。このことについて診断もかなり難しいようですので、今日、専門家の内山先生においでいただいております。
内山先生から、疾患と薬の使用の御意見を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○内山参考人 日本大学医学部の内山でございます。特発性過眠症という疾患、症候群について少し説明申し上げたいと思います。過眠症、すなわち日中に病的眠気が出てくる病気の起こる仕組みとしては以下の3つにまとめられます。皆さん御存じのように、睡眠が慢性的に量的に足りない状態になると日中に非常に眠たくなります。もう1つは、夜、睡眠時間はきちんと取っていても、睡眠中に呼吸が止まったり、あるいは体の異常な動きが起こることによって、睡眠が病的に浅くなり、夜間に横になって休息する時間は確保できていても、脳の疲労を解消できず、日中眠くなるというものがあります。これとは別に、夜はきちんと眠っているにもかかわらず、日中、私たちの目を覚ましておくような神経機構の働きが機能的に低下して、昼間眠くなってしまうといった病気があります。
この3つ目に含まれるのがナルコレプシーと特発性過眠症であります。ナルコレプシーというのは、非常に特徴的な症状を持っていて、最近、オレキシンという物質が脳の中で足りなくなってくるために起こることが明らかにされたということと、もう1つは、特定の白血球の血液型を持った人にしか起こらないといったことが分かっている疾患です。この近縁疾患という形で、むしろ、こういった特徴を示さずに、夜間の睡眠に何も問題がないにもかかわらず、日中の覚醒を司る神経機能の低下によって眠気が起こる疾患を特発性過眠症と呼んでおります。
特発性過眠症については、臨床的な問診とか、こういったものだけではなかなか診断が難しいということもありまして、客観的な診断法が開発されております。夜の睡眠がきちんと取れているかを客観的に脳波で診断する終夜睡眠ポリグラフ検査、そして、この検査で夜がきちんと眠れていることを確実に担保した上で、日中の眠気を、脳波的に、生理学的に、客観的に捉える反復睡眠潜時検査といった検査を用いて、確実な検査ができるようになっております。
日本ではこうした検査が可能な専門施設として、私たちがやっております日本睡眠学会が認定した専門医によって運営されている日本睡眠学会専門医療機関がありまして、保険診療の上できちんとした形で検査が行われています。こういった中で、特発性過眠症の日中の過度の眠気というのは診断されます。専門施設における客観的な検査をきちんと行っていくということが、この薬剤の適正使用の上では非常に大切ですので、睡眠不足でむしろ無理をしている人たちに本薬剤が投与されたりしないこと、あるいは、別の原因によって起こっているような日中の眠気に対して投与されないことを、きちんと医学的に担保していくことが必要であります。
特発性過眠症に対して、現在、唯一使用可能な薬剤がペモリンというお薬です。これは非常に古いお薬でして、作用機序はどちらかというと、ドーパミンの再取り込み阻害というメカニズムを介して目を覚ますようなお薬です。肝機能障害が起こるということと、もう1つは、血圧が上がったりとか、不整脈が起こりやすいなど循環器系の問題がおきやすい。目を覚ますお薬ですので、交感神経に対する作用も大きいということでして、こういった意味での副作用のため、非常に使いにくいお薬でした。
このようなことを考えますと、本薬剤に関して流通の上での適正管理が行われて、適切な診断の上で投与されるようになれば、より患者さんたちのQOL、あるいは、これまで困っているいろいろな問題を解決して、医学的な問題を少なくするという意味で非常に有用であろうと考えます。ちょうどナルコレプシーに対して、現在、承認されているメチルフェニデートなどと同様またはそれに準じた流通管理基準を適用することによって適正使用を行うことができるであろうと考えます。
付言しておきますけれども、アメリカでは、メチルフェニデートなどの過眠症治療薬剤は別にスケジュールIIIに分類されていますが、本薬剤はより危険性の少ないスケジュールIVに分類されています。抗不安薬などのいわゆる軽い安定薬と同じ分類に入っておりまして、これは副作用、あるいは依存性の少なさという意味からの分類だというように解釈しております。以上でございます。
○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御質問、御意見はありますでしょうか。非常に厳格な鑑別が必要、という御意見でしたが、いかがでしょうか。
○赤羽委員 御専門の先生がいらっしゃるのでお尋ねいたします。この薬剤の作用メカニズムに関して、ナルコレプシーとか、承認を得た時点では、ヒスタミン系を賦活するのではないかと考えられているというようなことだったかと思いますが、今、一番最新の知見ではどういったメカニズムが知られているのでしょうか。
○内山参考人 過眠症治療薬の作用機序からの位置付けについてお話しいたします。まず、一番こういったお薬の中で、強い作用を持つのがメタンフェタミンです。これはドーパミンという覚せい作用を持つ脳内物質の放出を促進させて、更に、これがシナプス間隙に長くとどまるように再取り込みを阻害するという、2つの作用点でこの生体内物質に働き掛け、非常に強い覚醒作用を持っていて、副作用が強いわけです。このうち、放出作用はなく、再取り込みを確実に行う薬に幾つかのものがあって、これの中に含まれるのがメチルフェニデートとか、あるいはペモリンといった薬になってきます。
モダフィニルというお薬は何かというと、1つには、ヒスタミン系というのは、私たちが特に意識したりとか、緊張しないでも眠らないでいられると、割とリラックスしても目を覚ましていられるというレベル、目を開けていられるレベルの保持に関係しています。ここをブロックするのが、いわゆるアレルギーに使われる抗ヒスタミン薬です。本薬剤は、こちらに働き掛けてヒスタミンを増強するということが1つの作用であると考えられるとともに、最近の機能画像を使ったポジトロンCTを使った研究の中では、確実な再取り込み阻害をこのお薬が起こすということはなかなか見いだせないのですが、同じような作用部位、つまり、ドーパミンのトランスポーターに、これが結合するということが認められておりまして、そういう意味では、やはり穏やかな再取り込み阻害作用は持っているのではないかということが予想されております。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。それ以外で先生方から、何か御意見はありますでしょうか。
○森委員 この薬剤は、特性上、やはり長期服用するということが前提になるのでしょうか。
○内山参考人 現時点では、過眠症についての根本治療はありませんので、これは生活指導などを行いながら、長期服用が前提となってきます。
○森委員 今回の本邦でも長期服用試験が行われていますが、実際に5年、10年というスパンで服用した場合の効果の持続性や耐性等のことは、今、どの程度分かっているのでしょうか。
○内山参考人 耐性などについて、過眠症についてはほとんど見られておりません。ナルコレプシーで認可が下りて約10年以上たっておりますが、こういった意味でナルコレプシーの患者さんにおいて耐性が見られるという報告は出ておりません。
もう1つは、長期服用していくことになりますので、一番怖いのは何かというと、それ以上に循環器系への大きな影響でして、こういった面でも、その他の薬剤と比べて安全性は非常に高いものかと考えております。
○杉部会長 ありがとうございました。
○山田委員 海外での承認状況について説明がありましたけれども、欧州では特発性過眠症に対してリスク・ベネフィットの観点から承認が取り下げられたような御説明があったかと思いますが、今回の臨床試験の結果、紹介されたデータでは非常にクリアな効果が認められておりますが、その差異について何か特別な理由があるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。審査報告書の通し番号26ページの7.R.5.3を御参照いただけますでしょうか。2011年1月の時点で本剤の特発性過眠症に関する適応といいますのは、欧州を含む9か国で承認されておりましたが、EMAは、臨床試験成績及び自発有害事象報告を基に、特発性過眠症を含む既承認効能・効果に関するリスク・ベネフィットに関する分析を行いました。その結果、特発性過眠症に対する本剤の臨床的に重要な有効性に関するデータというのは合計6例で、そのうち睡眠時無呼吸による過剰な眠気を有する2例が含まれていたという、極めて限定されたデータであったということを理由に、本剤の有効性を支持することができないというように判断されております。それと比較しまして、本邦で行われた試験においては、70例規模の患者さんを組み入れて試験が行われまして、本剤の有効性を示唆する結果が得られているという状況でございます。以上です。
○山田委員 分かりました。ありがとうございました。
○杉部会長 よろしいでしょうか。
○内山参考人 1つ追加させていただきます。これは、そういったレポートが少ない理由なのですが、欧州とか、アメリカでは確定診断のために必要な終夜睡眠ポリグラフ検査、もう1つは反復睡眠潜時検査というものが、実は保険適用になっていない国が多くて、そういった意味でなかなか厳密なスタディを臨床の現場で行うことができないということもあります。
それと、もう1つは、それぞれの国の医療経済の事情ということもありまして、確実に保険以外の診療を受けられる方は、こういった病気について非常に良い医療を受けておりますけれども、そうではない方々については、なかなか良い医療も受けておられないという国もあるということとを考える必要があります。ケース数が非常に少ないということは、そういったことも関係していると私たちは見ております。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。やはり日本のほうが、かなり精度を高くやっているという理解でよろしいのですね。ほかに何か御質問はありますでしょうか。
○平石委員 通し番号32ページを見ますと、確定診断を行う医師は日本睡眠学会の専門医ということです。患者さんの数が1,100~1,500人というお話でしたでしょうか。そういった患者さんをまずは確定診断してから次に治療ということになりますが、確定診断をする医師数はかなり限定されています。全国的には、医師数あるいは施設数は、どれぐらいかについて、患者さんの利便性を考えてお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。確定診断を行う施設というのは、審査報告書32ページにも書いてありますとおり、日本睡眠学会専門医療機関のA型及びそれに準じる医療機関ということを想定しております。日本睡眠学会専門医療機関のA型というのは全国で、2019年7月1日時点で79施設あります。
○平石委員 そうすると、例えば各都道府県に1施設ずつあるというわけではないということになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりでございまして、一部の都道府県には施設がない所もあります。
○杉部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 本剤の有効性に関することで、1点御質問させていただきます。今回、プラセボとの比較で主要評価項目の有意な改善が見られている点は分かりましたが、この改善は、実際の患者さんの臨床的な症状の改善を反映する内容と考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。今回、見られましたMWT、覚醒維持検査におけるプラセボとの差、群間差5.02分というところですが、同じような試験が過去にナルコレプシーや、閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して行われた試験でも評価がなされておりまして、ナルコレプシーのときの群間差は3.28分でした。こういった形で数値的にもそういったものと大差ないというところと、あとは副次評価項目として取っておりました日本語版エプワース眠気尺度という、こちらの尺度スコアにおいても、本剤群での値がプラセボ群よりも有意に低く、本剤による改善傾向が認められている状況です。
○杉部会長 では、森先生、それでよろしいでしょうか。
○森委員 実臨床の先生にお話をお伺いできればと思いますが。
○内山参考人 臨床的にはこれぐらいの、3~5分という差でありましても、実際には生活指導と一緒に用いまして、十分な効果を持つものと考えております。
○杉部会長 ありがとうございました。ほかの先生方から、何か御質問はありますでしょうか。非常に限定した患者さんに使うということが言えると思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、承認を可としまして、薬事分科会に報告とさせていただきます。
内山先生、今日は、どうもありがとうございました。
(内山参考人 退席)
○杉部会長 それでは、議題2に移りたいと思います。よろしいでしょうか。議題2について機構から概要を説明していただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題2、資料2、医薬品ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mLの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。紙資料は資料2の審査報告書を御覧ください。タブレットは資料2のフォルダを開いていただき、★の付いている審査報告書ファイルを御参照ください。
審査報告書一番下、通し番号4/54ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤は、スイスのESBA Tech社で創製された血管内皮増殖因子(VEGF)に対する阻害薬であり、ヒト化抗ヒトVEGFモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を、リンカーを介して結合させた遺伝子組換え一本鎖抗体になります。眼科用のVEGF阻害抗体は、これまで2剤が承認されておりますが、本剤はこれら製剤と比べて分子量が小さく、より高いモル濃度での投与が可能であることなどから高濃度投与による作用時間の延長を期待して開発されました。
海外において、本剤は滲出型加齢黄斑変性に対して2019年10月に米国で承認され、2019年末までに、スイス、オーストラリア、EUで承認勧告等を受けております。本邦においては、20○○年○月から臨床試験が開始され、今般、申請者より滲出型加齢黄斑変性に対する有効性及び安全性が確認されたとして、本剤の製造販売承認申請が行われました。
本品目の審査に関して、専門委員として資料17に記載されております8名の委員を指名いたしました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書通し番号24ページ、「7.3.1 国際共同第III相試験」の項を御覧ください。本剤の有効性及び安全性を検討する目的で滲出型加齢黄斑変性患者を対象に、類薬の1つであるアフリベルセプトを対照とした無作為化二重遮蔽並行群間比較試験が実施されました。本試験の維持期において、本剤群では12週間隔での投与を行い、疾患活動性に応じて8週間隔の投与に変更することとされ、対照群であるアフリベルセプト群では8週間隔での投与が継続されました。
まず、有効性の結果について御説明いたします。審査報告書通し番号26ページの表15を御覧ください。主要評価項目は投与48週時のBCVAと記載した最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量とされ、本剤6mg群とアフリベルセプト群の群間差の95%信頼区間の下限値は-2.1文字であり、事前に規定された非劣性マージンである-4文字を上回ったことから、本剤6mg群のアフリベルセプト群に対する非劣性が検証されました。以上から、本剤の有効性は示されたと判断しました。
続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書通し番号36ページの表24を御覧ください。本表では、眼における有害事象の発現状況を示しており、アフリベルセプト群と比較して本剤群では治験薬又は投与手技と関連ありとされた重篤な有害事象等の発現割合がやや高い傾向が認められたものの、認められた主な事象は既承認の眼科用VEGF阻害薬で知られている事象でした。
このうち、本剤群で特に発現割合が高かった事象について更に御説明いたします。審査報告書通し番号39ページの表27を御覧ください。本表では眼内炎症関連事象の発現状況を日本人集団と外国人集団別に示しており、アフリベルセプト群と比較し、本剤群では眼内炎症関連事象の発現割合が高い傾向にあり、かつ日本人集団でその傾向が大きいという結果でした。このように、特に日本人集団で類薬よりも眼内炎症の発現割合が高い傾向が認められましたが、認められた眼内炎症の重症度や転帰等を踏まえると、添付文書における適切な注意喚起の下であれば、日本人集団においても管理可能なものと判断いたしました。なお、眼内炎症の発現リスク等については、製造発売後調査において更に検討を行うことになっております。以上より、本剤の使用にあたっては、適切な注意喚起の下、眼内炎症を含め類薬で知られている副作用について十分注意しながら使用することで、本剤の安全性は許容可能と考えました。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関して、先生方から何か御質問、御意見はありますか。
○大賀委員 眼内炎症の有害事象に関して、重度になっているのは、39/54ページの表27の外国人集団にはいたけれども日本人にはいなかったということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。先生から御指摘いただいたように、眼内炎症に関連する有害事象のうち、重度と判定されたものは外国人集団でのみ認められ、日本人集団では認められていないという結果でした。
○大賀委員 その程度に関しては、例えば、失明に相当するような重度のものでしょうか。それと、眼内炎症のメカニズムについては、どこまで分かっていて、二次感染によるものではないと分かった場合にどのような対処ができるか、何か情報がありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、1点目に御質問いただきました重度と判定された症例について、現時点で細かい情報については持ち合わせてはいないのですが、重度の事象が持続すれば最終的には失明といったものにもつながり得ると認識しております。
もう1点御質問いただきましたメカニズムに関しては、類薬でも一定の頻度で眼内炎症が起こることは知られているのですが、本剤で、なぜより高い頻度で眼内炎症が起こっているのかという点については、臨床試験成績を中心に様々な観点で検討しましたが、現時点では明確なものは分かっていません。感染性のものであれば抗菌剤等を使って対処していくことになるのですが、それが無菌性のものであった場合にはステロイド等を使うことによって対処していくことになります。
○大賀委員 ステロイドの対処によって、どこまで軽減するかなどに関する情報も、もう分かっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。機構より回答いたします。できるだけ早期に発見し、ステロイドによる介入を行えば一定程度は改善するものと理解しております。ただ、発見が遅れたり、あるいは治療介入が遅れてしまうと、失明といったところにもつながり得るとは考えております。
○杉部会長 そのほか、先生方からいかがですか。赤羽委員。
○赤羽委員 今、お話のあった有害事象に関連した部分です。通し番号39/54ページの表26で、治験のときの有害事象に関して、真ん中辺りの投与中止に至った有害事象の件数が、対照薬のアフリベルセプト群に比べると被験薬のほうが多いように思うのです。全般に有害事象が、アフリベルセプト群よりもこの薬剤のほうが多い傾向があるように思われるのですが、これに関して、どのような御説明がいただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。今、御指摘いただきました審査報告書通し番号39ページの表26ですが、こちらは眼内炎症関連事象の発現状況を示した表になっております。御指摘いただいたように、投与中止に至った有害事象については、確かに類薬と比べると本剤群で高い結果が出ております。ただ、投与中止に至った有害事象だけでなく、全般的に眼内炎症については、本剤群のほうが高めに出ているところもあり、この点について、なぜかというところについては、先ほども御説明いたしましたが、具体的な理由はまだ見いだされていない状況です。
○赤羽委員 先ほどの御説明ですと、重度の眼内炎症が外国人集団ではありましたが、日本人集団ではあまり出ていないのでOKというような御説明だったのですが、実際には、投与中止に至るというのは、多分、それなりの炎症であったのではないかと思われるので、見過ごしてはいけないのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。本剤も含むVEGF阻害薬については、眼内に重度の炎症があるときは投与してはいけないということで添付文書上禁忌としております。ですので、御指摘いただきましたように、眼内に重度の炎症があった場合には、それが治るまでは硝子体内注射ができない規定になっており、今、先生に御指摘いただいたように、見過ごしてはいけないということは非常に重要なポイントだと理解しております。
○赤羽委員 この抗体に対しての抗体産生のような、そういった問題に関してはアフリベルセプトと比べていかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。機構より回答いたします。抗薬物抗体の影響については、審査報告書通し番号19ページの6.R.2の項を御覧ください。ADAと記載しているものが抗薬物抗体になります。本剤の臨床試験においては、半数程度の患者様が投与前から抗薬物抗体が陽性と判定されていますが、抗体の種類によっては投与前から抗薬物抗体が陽性となることが知られております。類薬でもここまでの数字ではありませんが、一定程度、投与前から抗薬物抗体が認められています。
類薬では、特に抗薬物抗体と有効性あるいは安全性への影響について明確なものは示唆されていない状況です。本剤については表13を御覧ください。抗薬物抗体あるいは中和抗体の発現有無別の有害事象を記載しています。こちらの下から2番目の眼内炎症の枠では、抗薬物抗体が陰性ですと1.9%の発現割合のところ、本剤投与によって抗薬物抗体の抗体価が上昇するなど、そういった傾向が認められたような集団では17.2%と高めに出ておりますので、眼内炎症に抗薬物抗体の影響が一部関わっている可能性があるのですが、ただ、抗薬物抗体が陽性だからといって常に眼内炎症が発現するとは限らない、あるいは、抗薬物抗体が陰性の患者様でも眼内炎症は発現しているという点も踏まえると、なかなか抗薬物抗体による影響で眼内炎症が出ているという結論まではいかないと考えております。
○杉部会長 よろしいですか。奥田部会長代理。
○奥田部会長代理 この申請者は、製品のラインアップでラニビズマブを持っていて、これはFabの断片ということでやはり改変抗体です。今度、一本鎖の抗体を出してきたことになります。この2つは具体的にどのように使い分けるのでしょうか。そのことについて、何か専門協議で議論になりましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。主な違いは投与方法にあります。今、御指摘いただいた類薬であるラニビズマブについては、月に1回診察を行って、その時々で必要であれば硝子体内注射をする薬剤です。本剤については、基本の投与間隔としては12週間隔ごとに投与していき、患者様の状態に応じて、適宜、その間隔を延ばしたり縮めたりする使い方になっております。
一般的には、先ほど申し上げたように、本剤については投与間隔を延ばす目的で開発されたところもありますので、主な使い分けとしては、より投与間隔が長い使い方を好まれる場合に使われると考えております。
○奥田部会長代理 分かりました。こういった病気の方は、割に頻回に医師にかかるような気もしたので、どのぐらいメリットがあるのかという気もしますが、そこは恐らく、開発者の判断だったのかなと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございました。機構より補足的にコメントいたします。この加齢黄斑変性の領域においては、近年、投与間隔をいかに延ばすかという開発が進んでおり、やはり医療従事者、あるいは患者様の観点からも投与間隔を延ばすというところについては一定のニーズがあるものと考えております。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、どうぞ。
○長島委員 今の点に関して、今度は使い分け、位置付けでいうと、なるべく間が空いたほうが患者さんの負担は減り、そのことによる中断も減るかと思いますが、では、月に1回とこれをどう使い分けていくか、これは患者さんの反応や状態に応じて使い分けるということになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。正に、今、先生がおっしゃられたとおり、投与間隔の違いと、先ほども御質問をいろいろと頂きましたが、本剤は眼内炎症の発現割合が高い傾向にあるという特徴がありますので、そういったリスクとベネフィットを考慮した上で医師に使い分けていただきたいと考えております。
○杉部会長 よろしいでしょうか。柴田委員どうぞ。
○柴田委員 審査報告書の38ページに眼内炎症の話が出てきますが、その中で本剤群の場合は既存薬群に比べて投与中止になった方が多い状況にあります。重篤ではないといっても、投与中止になるということは治療機会を逸することになると思うのですが、平均的には、集団間で非劣性が証明されてはいても、実際に重度ではないといっても、治療中止することによって患者さんが受ける不利益があると思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。本剤投与後に、確かに眼内炎症が起こって治療を中止した患者様も一定割合おられました。ただ、本剤の特性を踏まえますと、投与から一定の期間は効果が持続することが想定されますので、治療中止したからといって直ちにその現病が悪化するものではありません。そして、今回の臨床試験の中では、眼内炎症が生じた場合にも、ある程度管理が可能で、適切な治療を行えば、その後眼内炎症は落ち着いたという事例がほとんどで、そういった意味で重度の割合は低かったという記載になっております。したがいまして、治療を中止したから直ちに現病が悪化するというところには結びつかないと考えております。なお、もし眼内炎症が生じてしまった場合は、恐らく、類薬の投与に変更するのではないかと思います。
○柴田委員 ありがとうございます。もう1点追加でお伺いしたいのですが、39ページに、その眼内炎症に伴って、BCVAが10文字以上低下した患者さんが日本人で3mg、6mgともに3例ずついらっしゃいます。その後、軽快された方が多いようですが、事象の消失時点でも10文字以上低下していた方も含まれると書いてあります。この10文字というのは、非劣性マージンが4文字で、報告書の前のほうに書いてあった臨床的に意味のある差が10文字ぐらいであるとおっしゃっている中で、副作用によって10文字低下するというのは、かなりの不利益ではないかと思います。数が少ないとはいっても本剤群にこのようなことが起こるのであれば、対照群との使い分けに当たって注意喚起が必要だと思うのですが、対照薬群でも同じようなことは起こるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。類薬においても、眼内炎症は一定の割合で認められます。もちろん、早期に発見し、早期に治療介入できれば、ここまで至ることは少ないかもしれませんが、やはり、治療介入等が遅れると、ここに記載してあるようなBCVAが10文字以上低下することもあり得ると思われます。
○柴田委員 質問としては、その事象自体が起こるのは類薬でもあると思うのですが、今回、特別に審査報告書に書いてあるように、BCVAが10文字以上低下したままになった患者さんが観察されている状況が類薬においても起こり得るものなのか、起こっているものなのかを教えていただきたいのです。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。類薬を投与した場合でも同様に強い眼内炎症が起こった場合は、BCVAが10文字以上低下することはあり得ます。
○柴田委員 ありがとうございます。その辺のところは、本剤のリスク・ベネフィットを議論する上で重要な情報だと思います。つまり、本剤特有のものなのか、あるいは類薬でも同じようなことが起こっているので同様の注意が必要なのかを区別して注意喚起する上で重要な情報なので、情報提供というのは必要だと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。眼内炎症の発現状況等については、添付文書だけでなく資材等も用いて適切に注意喚起するようにいたします。
○杉部会長 堀委員どうぞ。
○堀委員 一般委員から質問いたします。今の長島委員の御質問に関連です。患者さんの状況に応じて、今回の薬剤申請者の会社から、従来の薬で1か月ごとに投与している薬があるとお聞きしております。その薬の成分は、途中で患者さんに対して、この新しい薬を投与することは可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。途中から切り替える形になると思いますが、そちらは可能と考えております。
○堀委員 なるほど。そうしますと、先ほどおっしゃったように、今回の薬は従来の薬よりも成分が細かく、だからこそ、今まで投与間隔が1か月だったものが、3か月間隔になったとお聞きしたかと思います。そこに関しては、同じメーカーのものであれば切り替えは可能ですが、他剤の加齢黄斑変性の薬でも、それは途中から変えることも可能なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より回答いたします。今、VEGF阻害剤で汎用されているものとして、ラニビズマブとアフリベルセプトというものがあるのですが、アフリベルセプトから本剤への切り替えも可能であると考えております。
○堀委員 分かりました。患者にとっては、この投与期間が長ければ長いほどリスクはなくなると思いますのでお聞きいたしました。ありがとうございます。
○杉部会長 そのほか、先生方いかがですか。よろしいでしょうか。では、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可といたしまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、次の議題3に移りたいと思いますので、機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、資料3-1及び3-2、医薬品バクスミー点鼻粉末剤3mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。タブレットの資料3のフォルダを開いていただき、審査報告書のファイルをお開きください。本剤は、グルカゴンを有効成分とする低血糖時の緊急処置を目的とした治療薬です。低血糖は、糖尿病治療で最もよくみられる注意すべき合併症の1つであり、特に緊急の治療を要する重症低血糖の場合、第三者による炭水化物又はグルカゴンの投与等が必要とされます。しかしながら、現時点では、医療機関外での治療選択肢は介護者によるグルカゴンの注射剤投与に限定されています。グルカゴン注射剤は使用時に煩雑な調製等が必要となりますが、本剤は投与時に調製等を要せずに使用可能な経鼻投与用の製剤であり、2019年12月現在、米国及び欧州において承認されています。
本品目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性について、審査報告書25ページの表33を御覧ください。インスリン製剤により治療中の成人1型及び2型糖尿病患者を対象とし、本剤及びグルカゴン注射剤を用いた無作為化クロスオーバー試験が実施され、インスリンにより低血糖状態を誘導した状態で、本剤又はグルカゴン注射剤を投与した際の血漿中グルコース濃度上昇の程度を指標に治療成功割合が評価されました。その結果、いずれの剤の投与時も治療成功割合は100%であり、信頼区間の上限が事前に定めた非劣性マージンの10%未満であったことから、本剤のグルカゴン注射剤に対する非劣性が示されました。小児については、審査報告書27ページの表37を御覧ください。インスリン製剤により治療中の外国人小児1型糖尿病患者を対象とし、本剤及びグルカゴン注射剤を用いた無作為化部分的クロスオーバー試験が実施され、インスリンにより血糖値を低下させた状態で、本剤又はグルカゴン注射剤を投与した際の血漿中グルコース濃度が評価されました。その結果、いずれの年齢層においても、本剤又はグルカゴン注射剤投与時に同程度の上昇が認められました。
次に、安全性について審査報告書の25ページの表34を御覧ください。成人を対象とした試験において、有害事象の発現状況は、グルカゴン注射剤投与時と比較して本剤投与時で投与経路に関連すると考えられる上気道刺激等が多く認められましたが、いずれの事象も一過性であり、重篤な事象は認められていないことから許容可能と判断しました。なお、小児においては本剤投与時の本剤の安全性プロファイルは成人と類似した結果が得られております。以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は新投与経路医薬品に該当することから再審査期間は6年とすることが適切であり、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御質問はありますか。
○長島委員 看護者・家族等が投与となっていますが、今、仕事と治療の両立とか、学業と治療の両立ということで、職場とか学校での発作に対する投与も十分考えられると思いますが、その辺も考慮に入っているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には家族の投与が想定されますが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○そのような投与が想定される方々も含めて情報提供していくことを考えています。
○長島委員 その場合に比較的多人数になってしまう可能性があるので、そのための説明資材等をある程度、枚数なり内容を工夫しないといけないと思うので、その辺是非考慮をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 はい、承知いたしました。
○堀委員 今の質問に関連です。緊急時のときに看護者、添付文書では家族と書いてあります。添付文書の重要な基本的注意を御覧ください。その方たちが、もし、そのときに本剤を投与しても、意識レベルの低下等の低血糖症状が改善しない場合は、直ちに、ブドウ糖等を静脈内投与する、と書いてあります。これは、家族の人間が、又は今おっしゃっていたように学校であったならば、学校の担任の先生が静脈内投与をすると理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤で低血糖状態が改善しない場合、御指摘のとおりブドウ糖の注射が必要となりますが、ブドウ糖の注射は医療機関でなされることになります。本剤投与をした後の対応について、本剤が奏効しない場合、若しくは奏効した場合であっても医療機関での受診が必要となりますので、投与した直後には、治療の可否にかかわらず医療機関に連絡していただくことを情報提供する予定です。結果的に本剤が奏効しなかった場合に、医療機関でのブドウ糖の注射等の処置を意図して、こちらの注意喚起を記載しています。
○堀委員 分かりました。今回使えるのは年齢が4歳以上ということで、4、5歳だと、自分自身が低血糖になったときに、自分で点鼻するのはなかなか難しいと思います。ですので、先ほどおっしゃったように、周りにいる人間がそこで緊急処置を取るということに関しては、医療に関係する人間でない一般人ですとなかなか怖い部分がありますので、その部分を分かりやすく、また、使いやすくしていただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 はい、ありがとうございます。
○森委員 糖尿病専門医として少しコメントさせていただきます。重症低血糖の際は、御家族には、まず救急要請をしていただいた上でグルカゴンの使用を通常お願いしています。これはグルカゴンによる治療が奏効して意識が戻る場合もありますが、本当に重症の場合には意識が戻らないこともありますので、まずは救急要請をし、次にグルカゴンを使用するという順番を付けて通常御案内していますので、御理解いただきたいと思います。
○堀委員 分かりました。ありがとうございました。
もう1点よろしいでしょうか。現在、昨年からサプリメントと薬の弊害ということで、週刊誌などで私ども一般人はよく目にすることがあります。今回、この薬に関しては、アミノ酸とか、ポリペプチドとか、よくサプリメントに入っているような薬がベースになっていると伺っているのですが、サプリを飲んでいる患者さんが点鼻薬をしても、特に、さほど問題はないと考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の有効成分であるグルカゴンはポリペプチドホルモンですが、特にその他のアミノ酸等との相互作用が懸念されているわけではありません。本剤は肝臓に直接作用しますので、早期に低血糖状態から脱するために、サプリメント等の服用の有無にかかわらず、まずは投与していただくというところが重要かと考えています。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、先生方いかがでしょうか。大体御質問はあったと思いますが、それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。承認を可として分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題4に移ります。機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題4と報告事項の議題2について、御説明いたします。資料はタブレットの資料4です。まず、審議事項の議題4、医薬品インスリン リスプロBS注ソロスター HU「サノフィ」、同注カート HU「サノフィ」及び同注100単位/mL HU「サノフィ」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について説明いたします。資料4の別紙(3)、毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめを適宜御覧ください。
本剤は、超速効型のヒトインスリンアナログ製剤であるヒューマログを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、サノフィ株式会社により製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のヒューマログは、原体・製剤ともに「劇薬」に指定されていることから、ヒューマログと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに「劇薬」とすることが適当と考えております。また、大腸菌を用いて製造され、原料等に生物由来成分は使用されていないことから、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当と考えております。
審議事項の議題4、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
同一品目に係る報告事項の議題2についても、併せて御説明いたします。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とヒューマログの同等性/同一性が確認されたことから、本剤をヒューマログのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御質問はありますか。
○森委員 製剤としての特性はヒューマログと同等と理解しています。実は私ども、臨床で実際使用する際は、患者さんのインスリンの取り違えが非常に多いので、製剤のパッケージをかなり綿密にチェックしていますが、何かしらパッケージの見本のようなものはありますか。ここで審議する内容に含まれていなければ結構です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。バイオ後続品になりますので、製品の見本は用意していないのですが、もちろん審査の中では提出を求め、取違えの防止について考慮していることを確認しております。実際、実器のペンについては、ソロスターという、他の製品と同じ形になりますので、色を変えて分かりやすくしております。
○森委員 何色ですか。
○医薬品医療機器総合機構 クリーム色です。この図に示すように本体はクリーム色で、一部赤紫になっています。
○森委員 了解しました。
○杉部会長 分かりました。紛らわしくないように、どうぞよろしくお願いします。そのほかいかがですか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも指定せず、劇薬に指定することとしてよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。少しややこしい言い方でしたが、指定を可としていただきましたので、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、報告事項2についても御確認いただいたものとしたいと思います。
それでは、議題5に移ります。議題5について、飯島先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題5及び議題6の審議の間、別室で御待機いただくこととします。
                       (飯島委員 退室)
○杉部会長 では、議題5について、事務局から概要を説明していただけますか。
○事務局 議題5、資料5、Fostamatinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。タブレット資料5のフォルダをお開きいただき、事前評価報告書のファイルをお開きいただいて、1ページを御覧ください。申請者は「キッセイ薬品工業株式会社」、予定される効能・効果は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」です。対象者数について御説明いたします。特発性血小板減少性紫斑病(以下、「ITP」)は指定難病とされており、本邦では発症後6か月以内に寛解する急性型、6か月以降も血小板数減少が持続する慢性型に分類されます。そして、特定医療費受給者証保持者数に基づく平成30年度のITPの患者数は1万6,724人です。以上より、対象者数の要件を満たしていると考えております。
次に、2ページを御覧ください。「医療上の必要性」について御説明いたします。Fostamatinib(以下、「本薬」)は、その活性代謝物がSpleen tyrosine kinase(Syk)を阻害し、抗血小板抗体と結合した血小板のマクロファージによる貪食作用を促すとされるFcγ受容体の活性化を抑制するとともに抗血小板抗体を産生するB細胞受容体のシグナル伝達を阻害することで血小板数の減少を抑制する新規作用機序を有するプロドラッグです。そして、既存治療である副腎皮質ステロイド、リツキシマブ、アザチオプリン等の免疫抑制剤、トロンボポエチン受容体作動薬がいずれも効果不十分例が一定数存在し、本薬は、既存の治療法で効果不十分な慢性ITPに対する新たな治療法の選択肢の1つとなることが期待されます。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」について御説明いたします。海外では、1つ以上の既存治療で効果不十分の持続性及び慢性ITP患者を対象に海外第III相試験が実施され、その併合解析の結果、有効性が認められ、安全性について、有害事象の多くが軽度又は中等度でコントロール可能であり、長期継続投与試験における継続投与により新たな懸念は認められませんでした。そして、本邦においては、既存治療で効果不十分の慢性ITP患者を対象に、本薬の有効性及び安全性を検討することを目的とした国内第III相試験を現在実施中です。以上より、開発の可能性は高いと考えております。
以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。Fostamatinibを希少疾病用医薬品として指定することの可否についての審議です。先生方から何か御質問はありますか。特になければ、これは指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。それでは、本議題について指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。議題6についても、事務局から概要を説明してください。
○事務局 議題6、資料6、Inebilizumab(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、御説明いたします。タブレットの資料6のフォルダをタップいただき、2つ目の事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページ、中段ですが、申請者は「田辺三菱製薬株式会社」、予定される効能・効果は「視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)の再発予防及び身体的障害の進行抑制」になります。オーファンの3要件のうちの1つ目の「対象患者数」ですが、視神経脊髄炎(NMO)が指定難病となっており、2015年の新たな国際診断基準によって疾患の総称としてNMOSDを用いることが提唱されております。また、2012年に行われました疫学調査で、本邦におけるNMOSDの患者数が4,290人と推定されております。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2ページの「医療上の必要性」についてですが、本邦では、NMOSDの再発予防に対する治療薬として、エクリズマブ(遺伝子組換え)であるソリリス点滴静注300mgが昨年11月に承認されておりますが、エクリズマブが髄膜炎菌の感染リスクを増加させることが報告されております。一方で、本剤Inebilizumabは補体系へ直接的に影響しないため、エクリズマブと比較して髄膜炎菌の感染リスクが低いことが期待されており、実際に臨床試験において髄膜炎菌の感染症は認められておりません。NMOSDの疾患の重篤性とか治療薬が限られていることを踏まえますと、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性について」です。本剤NMOSD患者を対象とした国際共同第II/第III相試験が実施されており、プラセボ群と比較して本剤群で統計的に有意なNMOSD再発までの期間延長が認められております。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。Inebilizumab、これを希少疾病用医薬品として指定することの可否です。先生方から何か御意見はありますか。非常に希少疾患ですので、これの議決に入りたいと思います。なお、大賀委員、平石委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。それでは、本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題7に移ります。別室の飯島先生をどうぞお呼びください。
                       (飯島委員 入室)
○杉部会長 それでは、議題7について、これも事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題7、RO7234292を希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。タブレットの資料7の2つ目の「事前評価報告書」のファイルをお開きください。申請者は「中外製薬株式会社」、予定される効能・効果が「ハンチントン病」になります。オーファンの3つの要件のうちの1つ目の対象患者数ですが、ハンチントン病、こちらは指定難病となっておりまして、平成29年度の特定医療費の受給者証の交付を受けた人数が900人となっているところです。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に「医療上の必要性」ですが、こちらのハンチントン病の治療、現時点では不随意運動や精神症状に対する対症療法のみであり、疾患の根本的な治療効果は期待できません。本剤はハンチンチンタンパクの翻訳を選択的に減少させるアンチセンスヌクレオチドでございまして、HTTmRNAに結合しまして、原因タンパクであるHTTの翻訳を阻害すると考えられておりまして、疾患の根本的な治療効果が期待されているところです。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、「開発の可能性」ですが、早期顕性HD患者を対象としました海外の第I/IIa相試験において、脳脊髄液中の変異HTTタンパク濃度が低下し、変異HTTタンパク濃度の低下と運動機能スコア等との改善の相関が示唆され、安全性に大きな問題は認められませんでした。また、日本人を含む顕性HD患者を対象とした国際共同第III相試験が実施中です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。本剤も希少疾病用医薬品として指定することの可否です。先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。神経内科の疾患は治療薬がないというような、学生時代のそういうのが続いていましたが、だんだん変わってきているなという感じがいたします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。大賀先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。それでは指定を可といたしまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題8に移りたいと思います。議題8につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、PTC124を希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明をいたします。タブレットの資料8のフォルダの中の2つ目の事前評価報告書のファイルをお開きください。申請者は「PTC Therapeutic International Limited」で、予定される効能・効果が「ナンセンス変異型デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療」になります。オーファンの3要件の1つ目の「対象患者数」ですが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、指定難病の「筋ジストロフィー」のうちの1つとなっております。日本人のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者数は3,500人と推定されておりますが、そのうちナンセンス変異型のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者は16~19%と報告されていることから、本邦における患者数は約550~700人程度と推計されます。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしていると考えております。
次に「医療上の必要性」ですが、現在治療薬としてコルチコステロイドが用いられておりますが、病因に対する根本的な治療法とはなっておりません。また、ほかの治療法としては理学療法ですとか、外科的手術、呼吸補助療法、心不全に対する薬物治療であり、対症療法が中心となっております。本剤は、リボソームによる未熟終始コドンの読み飛ばし(リードスルー)を促進する作用を有する低分子化合物であり、完全長のジストロフィンタンパクの産生を回復させることで、こちらの疾患進行を抑制すると考えられております。以上、医療上の必要性が高いと考えております。
最後に「開発の可能性」ですが、アメリカでの第II相試験において、本剤投与後にジストロフィンタンパクの発現増加が認められており、海外後期第II相試験と海外第III相試験の結果、本剤の筋ジストロフィーに対する有効性を示唆する結果が得られております。また、国際共同第III相試験が実施中というところです。以上より、本剤の開発の可能性も高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。本剤についても希少疾病用医薬品としての指定の可否です。何か先生のほうから御質問、御意見はございますでしょうか。非常に少ない患者に対しての使用ですが、議決に入ってよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。指定を可としまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題の9に移ります。議題9について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。議題の9、ミダゾラムを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料9のフォルダの中の事前評価報告書のファイルをお開きください。申請者は「武田薬品工業株式会社」、予定される効能・効果が「てんかん重積状態」になります。オーファンの3要件のうちの1つ目の「対象患者数」ですが、てんかん重積状態の診療情報データに基づきまして、国内の患者数を推定しており、年間患者数約○○人程度と推定されています。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
続きまして「医療上の必要性」ですが、てんかん重積状態は早期に治療を開始して重積化を防ぐことが重要となっております。そのため、医療機関への搬送前に家庭や学校で保護者等による治療が考慮されます。しかしながら、本邦で使用可能な薬剤は、静脈確保が可能な場合の治療に限られており、有効血中濃度に達するまでに約30分を要する等の課題があります。本剤は口腔粘膜内投与をするものでして、患者の静脈確保が難しい場合の治療選択肢となり、医療機関外において早急に治療を開始できる可能性があります。以上の検討から、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に「開発の可能性」ですが、本剤、2011年9月に欧州で承認がされているものです。現在、本邦では、3か月齢から18歳までのてんかん重積状態患者を対象としまして、国内の第III相試験及び継続投与試験が実施中です。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。本議題もミダゾラムを希少疾病用医薬品として指定することの可否についてです。先生方から何か御質問はございますでしょうか。堀先生、どうぞ。
○堀委員 すみません。けいれん発作の緊急時には家庭や学校など医療機関外で使うというように書いてあります。それで、大変申し訳ないのですが、投与方法が、頬粘膜投与製剤と書いてあり、その使い方が、申し訳ありません、一般人がどうやって使ったらいいか分からないので、教えていただけたら幸いです。
○事務局 事務局よりお答えいたします。ミダゾラムという製剤自体は静脈投与できる製剤として、製法自体は承認されているものなのですが、先ほど申し上げたように静脈確保が必要なもので、基本的に医療機関でやられるものとなります。一方で、本剤なのですが、口腔粘膜のほうにもそのままプシュというか、刺すような形でも投与ができるものになりますので、実際に医療機関の外でも、てんかんの重積の患者さんは何度も発作を繰り返すような疾患なので、そういった患者さんに配布をさせていただいて、そういったときに使用していただくというようなものになります。実際の使い方ですとか、医療機関外で使われるというところなので、承認審査の過程で実際にどういった形で情報提供させていただくか等々は検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○堀委員 ありがとうございます。結局、年齢によって薬剤の量が変わるということで、今、頬にチクッとおっしゃったのですが、注射をするということなのでしょうか。
○事務局 こちらは注射をするわけではないのです。そのまま粘膜内に貼っていただくようなイメージです。
○堀委員 貼る形なのですか。分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。この薬剤はシリンジに粘度の高い液体が入っていて、それを口腔粘膜にシリンジから打つことで、粘膜上に溜まったものが粘膜から吸収されていくという投与になります。なので、針を刺すわけではなくて、シリンジを頬に付けて、押し出す投与方法になります。
○堀委員 液体が、要するに頬の中の粘膜に塗られるというか、そのように解釈してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、その理解で間違いないです。
○堀委員 分かりました。そうすると、すみません、薬の投与用量が、年齢によって、例えば2.5mgとか5mgと書いてあるのですが、それぞれが全部容器ごとに異なるということで、私ども投与する人間が薬剤を調製するわけではなく、生後3ヶ月以上1歳未満の患者にはその2.5mgというものをそのまま頬の中に注入すればOKということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 国内での剤形がどういう区分になるかは今後、申請者が検討されるのですが、海外では複数の規格のシリンジが用意されていて、体重に合ったものが配布され、それをワンショットで投与するという形になります。
○堀委員 ありがとうございます。そうしますと、年齢に応じて2.5ミリグラムごとに薬剤の投与用量が決まっているので、該当する患者さんに対応して、年齢に応じてそれを私ども、例えば学校とかで投与すればいいということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 恐らくそういう製剤の開発がなされると考えております。
○堀委員 分かりました。ありがとうございます。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、何か質問はございますでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは本議題について議決に入りたいと思います。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。指定を可としまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは議題10に移りたいと思います。議題10について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料10、フェニル酢酸ナトリウム・安息香酸ナトリウム中心静脈投与用製剤を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットの資料10のフォルダに格納しております2番目の希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
報告書1ページ中ほどを御覧ください。申請者は「武田薬品工業株式会社」、予定される効能・効果は「尿素サイクル異常症における急性の高アンモニア血症及び脳症」になります。まず、「対象患者数」ですが、尿素サイクル異常症は指定難病とされております。その発症頻度は8,000~4万4,000人に1人と考えられており、平成23年度の小児慢性特定疾患治療研究事業の全国登録状況によりますと、患者数は286人と報告されています。以上より、患者数は指定基準を満たしているものと考えています。
次に「医療上の必要性について」、御説明いたします。尿素サイクル異常症における高アンモニア血症の急性発作の薬物療法として承認されているフェニル酪酸ナトリウムは経口投与製剤であるため、薬効発現までに時間を要すること等から、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に「開発の可能性について」、御説明いたします。本剤については尿素サイクル異常症患者を対象とした海外第III相試験が実施されており、当該試験成績に基づき米国で承認されています。また、現在、本剤の薬物動態に関する民族的要因の影響等を評価することを目的として、日本人健康成人を対象とした国内第I相試験が実施中です。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。この2剤の中心静脈投与療法を希少疾病用医薬品として指定することの可否です。先生方から何か御質問、御意見はございますでしょうか。これも高アンモニア血症の治療薬ということです。特に質問もないようですので、議決に入ってよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは本議題に関しまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。指定を可といたしまして、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項に移りたいと思います。報告事項について、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。事務局より報告事項議題1から議題5までまとめて説明をさせていただきます。まず、議題1、ネオーラル内用液10%の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料11になります。
本剤ですが、カルシニューリン阻害剤であるシクロスポリンを有効成分とする内用液剤で、主にT細胞のサイトカイン産生を阻害することにより免疫抑制作用を示します。本邦においては、臓器又は骨髄移植における拒絶反応の抑制、ベーチェット病、乾癬等に係る効能・効果で承認されております。今般、国内臨床試験成績を基に、ノバルティスファーマ株式会社により、川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)に係る効能・効果及び用法・用量を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断がされております。
続きまして議題2ですが、先ほど審議の際に御説明をさせていただいているので省略させていただきまして、議題3、医薬品リツキサン点滴静注100mg及び同点滴静注500mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告をいたします。資料13になります。
本剤マウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤で、CD20抗原に結合し、当該抗原を細胞表面に発現するB細胞を傷害します。本邦においてはCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫等の効能・効果等で承認されております。
本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、後天性血栓性血小板減少性紫斑病に対する使用の公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、令和元年8月1日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、全薬工業株式会社から、後天性血栓性血小板減少性紫斑病に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断がされております。
続きまして、報告事項議題4、「希少疾病用医薬品の指定の取消し」です。タブレットの資料14をお開きください。こちらは届出者は「シミックホールディングス株式会社」、医薬品の名称は「Ecallantide」です。
本剤は平成24年8月に「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を予定される効能又は効果として希少疾病用医薬品に指定されていたところです。
試験研究を中止する理由ですが、届出者は、Ecallantideと同一の薬効を示す医薬品でありまして、患者の利便性が高い○○○○○○○○○○○○○○○が20○○年に承認及び上市されていること、又、臨床試験の結果から○○○○○と比較して本剤のリスク・ベネフィットバランスが乏しいこと等を理由として、開発の中止を決定したとのことです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。
最後の報告事項議題5ですが、医療用医薬品の再審査結果です。こちらは資料15で、15-1~15-6になります。まず、15-1ですが、有効成分名はベルテポルフィン、販売名はビスダイン静注用15mg。資料15-2と15-3がミノドロン酸水和物、販売名がリカルボン錠1mg、同錠50mg、ボノテオ錠1mg及び同錠50mgになります。資料15-4ですが、有効成分名はデスモプレシン酢酸塩水和物、販売名はミニリンメルトOD錠60μg、120μg、240μgになります。資料15-5ですが、有効成分名はドロスピレノン・エチニルエストラジオール ベータデクス、販売名はヤーズ配合錠のもの。資料15-6が有効成分名はミダゾラム、販売名がミダフレッサ静注0.1%です。
これらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項は以上となります。
○杉部会長 ありがとうございました。今のお話は報告事項ですが、先生方から何かこれは聞いておきたいという質問がございますでしょうか。
○長島委員 議題1のネオーラルの川崎病の急性期、小児のところで、添付文書の案を見ると、「低出生体重児、新生児または4か月未満の乳児へは治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。低出生体重児、新生児、または4か月未満の乳児に対する臨床試験は実施していない」ということですが、ここの有益性が危険性を上回ると判断するための何らかのデータというのは、臨床試験をやっていないからないのですよね。その上でどうやって判断すればいいのかということと、この後、きちんと調査を行って、例えば学会等でこの辺りをしっかり検討していくべきではないかと思うのですが、その辺りはどうなっていますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。御指摘いただきましたように、4か月未満の患者さんについては、臨床試験において、組入れ基準が4か月齢以上とされておりましたので、臨床試験におけるデータがないという状況ですが、4か月齢未満の患者さんに対する本剤の投与の要否に関して、審査の中でも検討をさせていただいております。川崎病の発症年齢のピークは9か月齢から11か月齢にありますが、4か月齢未満の患者さんでの発症というのも想定されてきます。一方で、現時点において4か月齢未満の川崎病患者さんに本剤を投与したときの情報が限られておりますので、本剤をこのような患者さんに投与を積極的に推奨することはできないとは考えております。4か月齢未満の患者さんへの投与経験について審査の中で確認したところ、文献の報告ではありますが、生後6週間の川崎病患者さんへの投与時の情報についての報告がなされているという状況です。
川崎病が重症な転帰につながり得る重篤な疾患ですので、月齢によらず急性期に適切な治療を実施して、冠動脈障害の病変の合併を抑制するという考え方が治療上非常に重要であると考えまして、治療対象から、例えば4か月未満を排除するということは適切ではないだろうというように判断をさせていただきました。
また、市販後に関してですが、今回推奨される投与対象ではないというところで、積極的に状態を収集しにいくという計画にはなっておりませんが、自発報告、あるいは公表文献等において、川崎病患者、あるいは川崎病以外の適応における小児患者さんにおける情報が得られた際、新たな知見が得られた場合には、新たな注意喚起、あるいは活動の実施ということを検討していくというように申請者から回答を得ています。
○長島委員 この辺を学会としっかり連携していただいて、丁寧な情報提供と、しっかりとした調査というのを是非お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。申請者のほうにも改めて御意見は伝達させていただきます。
○杉部会長 大賀先生どうぞ。
○大賀委員 ただいまの件ですが、生後6週というので報告されている、私が前任地で報告したものだと思うのですが、クリニカルには有効性がしっかり認められていますが、脱毛という副作用が出ておりますので、それも報告しております。もう1点は、川崎病については、川崎病のモデルマウスがありまして、それによるシクロスポリンの冠動脈病変に対する効果というのがなかなか厳しいものがあるという相反するものがありますし、年齢に関しては本当に4か月未満の患者さんを試験ができるほどにはなってきませんので、先生が言われましたように、その年齢群については非常に慎重にこれから見ていく必要があるということが考えられると思います。
○杉部会長 ありがとうございました。ただ、川崎病の場合では本当に小さい小児でも冠動脈瘤で内腔が閉塞される。それによって心筋梗塞を起こすということがありますから、今のこの薬は冠動脈瘤を作らないように減少させるということが目的だと思いますが、それでよろしゅうございますね。
○医薬品医療機器総合機構 御理解いただいているとおりです。
○杉部会長 どうもありがとうございました。そのほか、先生方から何か御質問はございますでしょうか。なければ、今の報告については御確認いただいたということにしたいと思います。本日の議題は以上ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 次回の部会ですが、2月28日金曜日の午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは本日はこれで終了させていただきます。どうも長い間、ありがとうございました。
( 了 )
 
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)