第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和2年1月17日(金)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容

○元村予防接種室長補佐 それでは定刻になりましたので、第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会を開催します。本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。多屋委員から御欠席の連絡を受けております。また、金川委員ですが、間もなくいらっしゃると思います。現在、委員8名のうち6名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。また、本日は参考人として、2名の方に御出席いただいております。まず、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡看護大学基礎・基礎看護分野、基礎・専門基礎分野教授の岡田賢司参考人、ファクトシート作成の関係で、富山県衛生研究所所長の大石和徳参考人に御出席いただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
議事に入る前に、配布資料の確認をさせていただきます。本日はタブレット端末の用意ができなかったため、印刷した資料を配布しております。お手元には議事次第及び委員名簿、座席表、資料1、資料2、参考資料1~5、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を用意しております。不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。ここからの進行は、大西委員長にお願いいたします。
○大西委員長 おはようございます。皆様、御出席ありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。それでは事務局から、審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。
○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきます委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について申告いただきました。各委員、参考人からの申告内容については、資料として配布しておりますので、御確認ください。
本日の審議事項は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)、おたふくかぜワクチンについてを予定しております。こちらのワクチンの製造販売業者は、KMバイオロジクス株式会社、阪大微生物病研究会、第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社、サノフィ株式会社、田辺三菱製薬株式会社となっております。岡田参考人より、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)についての作成に関与しているとの申告を頂いておりますので、それぞれ該当のワクチンについて「審議又は議決が行われている間、審議会場から退出する」に該当いたします。この取扱いについてお諮りいたします。なお、このほか「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員及び参考人はいらっしゃいません。以上です。
○大西委員長 ただいま事務局から、本日の審議参加についての報告がありました。岡田参考人は、「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)についての審議又は議決が行われている間、審議会場から退出する」とのことです。しかしながら、参加規程によりますと、「審議会場から退出する」との取扱いについては、「当該委員等の発言が特に必要であると当部会が認めた場合には、出席し、意見を述べることができる」となっております。岡田参考人においては、御専門のワクチンに関する知見をお話いただくために、退室せずに審議に御参加いただきたいと思いますが、皆様よろしいでしょうか。
(異議なし)
○大西委員長 御異論はございませんので、参加していただくということにしたいと思います。ありがとうございます。
それでは議事に入ります。本日2つある議事のうちの1つ目、議題1の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)について審議を始めます。前回、11月13日の小委員会で、百日せきワクチン(DTaP)の2期接種に関し、3つの論点について議論を行いました。1つ目の論点は、「接種回数を増やす目的」についてですが、乳児の重症化予防ということが委員の共通した認識でした。2つ目の論点の「どのような免疫保有の状態を目指すか」と、3つ目の論点の「どのような有効性が予測されるか」というこの2つの論点に関しては、様々な意見があったところです。前回の議論における意見を事務局に改めて整理していただいておりますので、まず初めに事務局から資料の説明をお願いいたします。
○奥山予防接種室長補佐 おはようございます。事務局です。まずは資料1、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについてを御覧ください。2ページです。これまでの審議経過ですが、前回の小委員会では工程表に沿って議論を行いました。3、4ページについては、工程表を掲載しております。5ページを御覧ください。前回、11月の小委員会では、3つの論点について議論していただきました。論点1、百日せきワクチン接種の接種回数を増やす目的については、乳児期の重症化予防が今後の検討を進めるに当たっての主たる目的であるという御意見を頂きました。
6ページです。前回の論点2、百日せきが流行する年齢層、免疫保有状況、ワクチンの持続期間を考えて、どのような免疫保有状態を目指すか、論点3、考えられる接種年齢と接種の目的、集団免疫効果の有無に照らして、どのような有効性が予測されるかの議論についての御意見を踏まえ、今回は、乳児期の重症患者を予防するという目的に対して考えられる対応案を明示した上で、得られる効果や費用等について更なる検討を行う方針といたしました。
7ページを御覧ください。乳児期における百日せきの重症患者を予防するために考えられる対応案として、以下の7つの対応案が考えられました。現状の接種スケジュールで継続する、5-7歳の就学前に追加接種をする、11-12歳のDTをDPTに変更、4種混合の接種開始月齢を生後2か月へ前倒しする、接種スケジュールを生後2、3か月/1.5歳/5-7歳へ変更する、妊婦への追加接種、妊婦の家族への追加接種を行うという7つの対応案について、目的に照らして得られる効果や必要な費用等について比較検討する必要があると考えられます。
8ページは、小児科学会のホームページに掲載されている現在の予防接種スケジュールです。青枠で囲ってあるのが現在の百日せきを含むワクチンの接種スケジュール、赤枠が今回新たに追加又は変更の候補となっている年齢です。
9ページを御覧ください。7つの対応案についての前提条件を記載しています。今回の検討は、現在あるデータからの若干粗い試算となっています。まず、使用できる薬剤の候補として、3種混合製剤としては阪大微研のトリビック、4種混合製剤としては、現在3種類のワクチンがあります。2番、3番の有効性・安全性と得られると考えられる免疫保有状況については、前回検討しているため、10、11ページを御覧ください。4番の乳児に期待できる効果は、ワクチン接種に掛かる直接的な費用についての試算をしています。2018年度の発生動向調査に基づき、乳児の患者数を約600人とし、同調査による6か月未満の患者への感染源の割合を参考に試算し、1歳未満と6か月未満で内訳が同じと仮定しています。5番の費用は、平成24年度の予防接種費委託単価等の調査を参考に、DTaPを1,500円、DTを1,300円として試算し、接種費用は診療報酬単価を参考にして、乳幼児は4,000円、学童期以上は3,200円、1学年の人数は2018年度の出生数に基づき約92万人といたしました。6番の乳児1人の重症化を防ぐために掛かる費用は、4番、5番の試算を用いて算出しています。
10~13ページは、今回の対応案に使用した資料を再掲しています。14ページを御覧ください。まず対応案➀ですが、就学前の5-7歳への追加接種です。使用できる薬剤はトリビックですが、この年齢を対象とした国内での臨床試験は現在ありません。接種により、5-10歳頃までの抗体保有率の上昇は期待できますが、その後、より高い年代で流行が発生する可能性が考えられます。また、同胞から乳児への感染は42%、6歳以上はそのうち37%なので約15%、つまり、約100人の乳児の患者の減少効果が得られると想定されます。費用は、DTaPの費用と接種費用の合計で5,500円、出生数を掛けて全部で約50億円、乳児1人の重症化を防ぐための費用は5,000万円と想定されます。
15ページを御覧ください。対応案➁は、11-12歳へのDT接種をDTaPへ変更する対応案です。計算方法としては対応案➀と同じですが、35人程度の乳児の百日せき患者の減少効果が期待されます。追加費用は約1.4億円、乳児1人の重症化を防ぐために掛かる費用は約400万円と推定されました。
16ページは対応案➂であり、現在生後3か月より開始されている4種混合ワクチンを2か月へ前倒しした場合になります。接種月齢を1か月前倒しし2か月から開始することで、各月齢の患者数が減少する可能性があり、例えば生後2か月の患者数が現在の3か月の患者数に、3か月が4か月にと順調に減少していくと、減少する患者数は合計100人程度に相当すると考えられます。追加費用は発生しませんが、今後5種混合が導入される際は、ヒブワクチンの接種時期との整合性の観点からも議論が必要と考えられます。
17ページを御覧ください。生後2か月からの4種混合ワクチンの接種に関する検討は、2つの選択肢が考えられ、4種混合ワクチンの接種開始時期を生後2か月へ前倒しにすること、若しくは現在開発中の5種混合ワクチンの開始時期を、ヒブワクチンと同じ生後2か月にすることが挙げられます。現在、百日せきを含む4種混合ワクチンは、ヒブや小児用肺炎球菌ワクチンより1か月後の生後3か月から開始されていますが、添付文書の用法では、生後2か月での接種は妨げられていません。
18ページです。現在、4種混合とヒブの混合ワクチンである5種混合ワクチンの第Ⅲ相試験が行われています。5種混合ワクチンを定期接種にするためには、4種混合ワクチンとヒブの接種時期の調整が必要であり、5種混合ワクチンの接種時期の検討が必要となります。公開されている臨床試験の情報より、現在使用されている4種混合が比較対照として使用されており、生後2か月での4種混合・5種混合の接種について、安全性や有効性に資するデータが得られる可能性があります。このことより、4種混合や定期接種化に向けて開発中の5種混合ワクチンについて、百日せき対策の観点からも、生後2か月から定期接種の対象とすることについて検討することが考えられます。
19ページを御覧ください。対応案➃は、接種スケジュールを生後2、3か月/1.5歳/5-7歳へ変更した場合です。このスケジュールでは、回数は変わっていないので追加接種は発生せず、対応案➀➁を考慮して、乳児100-200人程度の減少効果は期待できますが、生後2か月から2回の接種を初回免疫とした場合の免疫の持続期間等の影響は分からないことに注意する必要があります。
20ページです。対応案➄は妊婦への接種です。現在、妊婦への追加接種について国内の臨床試験はされていませんが、海外では妊婦へのDdap製剤の接種が広く行われています。妊婦が抗体を保有することで、生後数箇月間にわたり乳児が移行抗体を持つと考えられます。妊婦がDTaP接種をし、出生した児がスケジュールどおりに3か月より定期接種を開始した場合、乳児600人程度に相当する百日せき患者の減少効果が得られると推定されます。費用は約43億円、乳児1人の重症化を防ぐために掛かる費用は720万円程度と推定されます。
最後に、21ページです。対応案➅は、妊婦の家族への追加接種をした場合です。例えば、父親と同胞へ接種すると仮定すると、約59%に相当する乳児350人程度の百日せき患者の減少効果が得られると推定されます。出生する児1人当たり2人に接種すると仮定すると、約94億円の費用が必要となります。
22ページは今までの対応案のまとめを表にしたものです。23ページを御覧ください。以上より、対応案7つから考えて、それぞれの対応案について使用可能な製剤、安全性、乳児に期待できる効果、費用についてどう考えるか、議論をお願いいたします。事務局からは以上です。
○大西委員長 非常によくまとめていただいています。今回は、前回の議論を踏まえて、乳児期における百日せきの重症患者を予防するために7つの対応案を挙げて、それぞれ整理していただいています。それぞれについて、まず御議論を頂きたいと思います。委員の皆様、活発な御意見を頂きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○大石参考人 百日せきの接種スケジュールについて細かく整理していただいて、特に、今回ワクチンの価格、接種費用といったものも含めて、予算の概数だと思うですが、こういったものをしっかりまとめていただいたというのは大変よかったと思います。
1つ確認なのですが、5-7歳を対象としたDTaP又はDTaP-IPV接種の臨床試験は国内で行われていないということなのですが、これについては国内で抗体応答を評価する臨床研究といったものがあれば、実施できるのでしょうか。この点を確認していただきたいと思います。
○林予防接種室長 薬事承認上は5-7歳が排除されているわけではありませんので、定期接種としてどう考えるかということは薬事承認とは別の問題ですので、何らかの根拠をもって、この厚生科学審議会、上の部会も含めて判断をすればということになろうかと思います。
○大石参考人 そうしますと、こういった抗体応答の臨床研究というのは必ずしも必要はないということですか。
○林予防接種室長 必要かどうかも含めて、厚生科学審議会の判断ということだと思います。
○大石参考人 了解しました。
○大西委員長 ほかに先生方、いかがでしょうか。
○大藤委員 今回、接種費用とか、乳児1人の重症を予防するために掛かる費用とか、そういった費用の面からも検討いただいていると思うのですが、この費用の比較の仕方というのが、乳児1人の重症化を予防するための試算ということで、ほかの費用については余り考慮されていないような指標になっていると思うので、それを単純に比較していいのかどうかというところで私は疑問があります。
例えば対応案➀と➁を比較する際に、例えば➀であれば乳児の患者としては100人程度の減少効果があるということですが、恐らく学童期の患者も、人数としては下がってくると思いますし、そういった効果というのも費用面でもあるのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○大西委員長 この件に関していかがでしょうか。
○原委員 私も大藤委員と同じ意見で、すごく分かりやすかったのですが、そもそもこれで十分だったのかなということについて、医療経済の先生方からも御意見を伺いたいなと思いました。
また、この基準なのですが、この評価の仕方でいいとした場合に、どういった疾患、どういった重症度に対して、1人当たりどれぐらいまで掛けていいものなのか、そういった医療倫理の面についても、そちらの専門的な考え方も必要なのかなと思いました。
○林予防接種室長 御議論いただく前提を、9ページに前提条件として書かせていただいております。まず、学童期以降の患者が減るかどうかについて、もちろんそういう可能性もあると思いますが、前回の資料で御議論いただいた中では、諸外国の例を見ても流行年齢が移動して、その後、結局ほかの年齢で流行が起きているというような例が多く見られましたので、私どものほうから、そこが減るというように申し上げるのは難しかろうということで、ここの検討の前提としては、流行年齢が移動して患者が減らないことも考えられるので、見込んでいないという形にさせていただいております。もちろん、それのしっかりとした根拠があれば、見込むべきものだとは思います。
あと、費用については、非常にざっくりとした粗い試算ですので、定量的にそれぞれ比較するということに耐え得るものではないと思っておりますが、どの程度の費用が掛かるのかということを、桁数を含めてざっとつかむという限りにおいて、あえて出させていただいているということです。
あと、先ほどの大石参考人の御質問の中で、DTaPの製剤についてのお答えだけをさせていただいたのですが、DTaP-IPVのほうは、5回目以降の追加接種について、まだ薬事承認されていないということですので、これについては今後の承認等を待つ必要があるということだと思います。
○大石参考人 DTaP-IPVについては、今回の提案は時期をずらすというだけで4回で対応するということだと理解していいですか?
○林予防接種室長 すみません。5回目接種ではなくて、4回をずらすということはできます。
○大石参考人 了解しました。
○大西委員長 間に挟まりましたが、費用のところの御意見ということで、池田先生。
○池田委員 先ほど➁の選択肢に関しては、乳児以外にも効果が期待できるのではないかという御指摘があって、そういう可能性もあると思うのですが、ほかのものにもそういった含まれていない効果とか費用などが、それぞれあるわけです。例えば➁については、仮にこれ以上に効果があるとしますと、費用対効果の、1人防ぐのに400万円という数字よりも、より優れたと言うか、この費用対効果の点ではより優れたものになる可能性があるという観点で、この数字を考えていけばいいかなと思います。
具体的に言いますと、例えば➀とか➅の選択肢というのは、掛けたお金に対して得られる効果というのは、非常に小さい。逆に言うと、1単位の効果を得るのにかなりのお金が掛かるので、➀、➅という選択肢と比べると、➁、➂、➃の辺りが現実的で、掛けた費用に対して十分な便益という点でいくと、➀、➅というのは選択肢としては優先順位が下がるのかなというように読み取れるのではないかと思います。
安全性とか、これからどういう臨床試験が必要だとか、そういうことは御専門の先生に、例えばこの選択肢は受け入れられないとか、かなり時間がたたないとこれについては定期接種は難しいというような御判断はあると思うのですが、その部分を除いて、効果と費用と費用対効果だけを見ていくと、➄の選択肢というのが、有効性の観点では一番よい。ですので、他の条件が整うのであれば、つまり、これだけの財源が割けるとか、あるいは安全性の点での問題がないということであれば、恐らく➄を押すべきなのかなと思うのですが、安全性の観点と、また妊婦への追加接種のところが、先ほどの御説明ですと、有益性と危険性のバランスで決めるということになるので、仮にこれが個々の接種時点での判断に任されるとなると、実際に何パーセントぐらいの方が打つのかによって、実はこの罹患の減少の数も変わってくる。カバー率はほぼ100%ということでないのであれば、この推計も変わってくるかもしれないという、600人の大部分の方が罹患しないということにはならないので、この考え方が変わってくるのではないかと思います。
いずれにしても、安全性とか、これから臨床試験のどういうデータが必要だということを除いて考えるならば、費用対効果の観点からいくと、➂、➃というところが追加費用が不要であり、一定の患者の罹患が減るという点では、財源とか費用のことを優先して考えるならば、これらが検討すべき選択肢かなと読み取れると思います。
○近藤委員 私は池田先生とは少し意見が違います。まず、費用対効果は、こちらの審議会で審議すべきものであって、費用として書かれている、考えている費用は、一般語ではこの費用は「費用」でいいと思うのですが、これは実は「予算」を言っていると私は理解しています。
費用対効果を分析する場合は、予算というのは、特に予防接種の場合は一般財源が乗っていますので、初期のこのプログラムをやるための費用ということでは、例えば➁と➄の追加費用が発生しないということについてはいいとは思うのですが、そうやって打ち方を変えれば、集団で持つ免疫は変わりますので、シフトするという話もありましたが、通常は打ってからの免疫の減衰が問題になっているので、ずらした後のほうの減衰のところでは、症例数が増えてくると。そこのところで掛かる、将来で掛かる費用というのは費用対効果に入れなければいけなくて、それをまた現在価値換算して、費用対効果というのは、やるべき価値があるかないかということを決めているので、そういう広く予防接種を打つか打たないかの価値を決めるということについては、増分費用効果費で見ましょうということをやっているのが経済学、経済学の学問としては強いことが比較的言えると。
何でそういうことをちゃんとやらなければいけないかということで、学問が発展した経緯から言うと、予算や1人に掛かる費用を見ていても、結局デシジョンルールは出来ないと。なので、ここに出ている予算がどれぐらい掛かるということから類推して、どれが良い悪いということについては、ちょっと危ないのではないかと思います。
それから、予算のほうに関して言えば、つかみでとてもいい例だと思います、1人当たり幾ら掛かるか、予算は幾ら掛かるということについては、こういう場で参考になるデータだと思います。しかし、それで予算を使う使わないという話は、財政の問題でありまして、そういうものは財政学で考えれば、実際は一般財源を使うところですから、国防だとか教育だとか、そういったものと比較して、予算を優先的に使うか使わないかという、学問的にはそういう議論になると思うのです。
それについては、残念ながら私は財政学の専門家ではないので何とも言えませんが、少なくとも、そういう財政学の議論をすべきであって、科学審議会であるので、そこのところは、少なくとも私個人的には、その値を見て何が良い悪いということは言いづらいかなと思っています。
費用対効果ということが問われるのであれば、前提条件としては、学童期をDTaPに変えるというところについてはイタタニ先生の論文が出ていますし、妊婦に打つということに関してはホシ先生の論文が出ていまして、それぞれ費用対効果が優れたり優れなかったりというようなことについては、既に論文が出ています。
という形で、今回出たデータは、つかみとしては大変よろしいのですが、それを基に費用対効果が良さそうだ悪そうだということは、ちょっと荒っぽい議論かなと危惧いたします。
○池田委員 近藤先生の御指摘に全面的に賛成いたします。私が申し上げたことは、ちょっと言葉足らずだったかもしれません、申し訳ありません。➄に関しては、有効性の観点からは、第一に検討すべき選択肢だと思いますが、バジェットインパクト、ここに出ているのは43億円と。実際にはもっと精緻な推計をする必要があるかもしれませんが、これが可能なのかどうかというのは、この審議会で決める話ではなくて、財務省か分かりませんけれども、どこかで決める話だとは思います。これが問題なければ、安全性の点で認められるということであれば、➄が、少なくともまとめの表からは、最も検討すべき選択肢だとは思いますが、先ほどの繰り返しになりますが、有益性と危険性を現場で判断しながら、打つ打たないは決めていくとなりますと、実際に何パーセントの方が打つか分からないという不確実性が非常に大きく残っているのかなと思います。
費用対効果の数値、ここで推計したものには確かに様々な前提条件や仮定があるので、この数字で物事を判断できないとは思いますが、定期接種というのは国の財源あるいは自治体の財源を使って健康改善を図るものなので、お金のことを抜きに一番いい方法を推奨するというのは、この審議会としては無責任な気がします。粗々の推計でありますが、そういった観点も指針の中では、総合的な判断にこういったものを参考にしていく必要があるのだろうと考えています。ここは、もしかしたら近藤先生とは違う意見のところです。
○大西委員長 事務局からもありましたように、今回出しているのは費用対効果というわけではなくて、粗々の費用の試算と、前回議論になった600人いる乳児の患者の重症化を1人でも減らしたいということを考えたときの指標として、数字を出していただいているというところだと理解しています。ここの部分は、あくまでも参考的に見ていくようなところで、もし本当にしっかりとした費用対効果を計算するということになりますと、まだまだデータが足りないというのが現状だと私は認識しています。何か御意見はございますでしょうか。
○大石参考人 2つあるのですが、前回の小委員会の中で、プライオリティを乳幼児の重症化に置くことがきまりました。もちろん、学童の疾病負荷というのも重要で、発生動向として目につくところなので、学童期の疾病負荷も検討していくとという方針は大事だと思います。
また、財政学という言葉が出ましたが、多分厚労省としても、財務省とこの先交渉していくためには、ある程度のつかみが必要で、大西委員長がおっしゃったように、大まかな予算額をつかんで今幾つかある施策の中からどれを選択しようというのは、大事なアプローチであろうと私は理解しています。
○岡田参考人 確認させていただきたいのですが、➀の選択肢で、乳児1人の重症化を防ぐための費用が5,000万円と出ていますが、この積算根拠で、感染源となる乳児の感染経路の所で、資料の13ページがありますが、ここで15%とされたのがよく分からないのですが。
○林予防接種室長 13ページを御覧いただいていると思いますが、兄弟からの感染が全体の中で42%ということで、分かっている部分だけですが、その中で同胞の年齢6歳以上というのが37%ということです。0.42と0.37を掛けると0.1554ということですので、端数は切り捨てて0.15ということです。
○岡田参考人 そういうことですか。この中には不明がかなり含まれていますから、不明の割合からすると、例えば大人と子供からすると、不明が6対4ぐらいになりますよね。そうすると全体で見ると、ここで手計算をすると、乳児1人当たり防げる数が100人ではなくて、不明を入れると200~250人ぐらいになりそうな感じがあるのです。
○林予防接種室長 例えば0.15ではなくて、不明の中の6割が入るとすると、6割増えますので、0.15に6割を足すともう少し増えて、3割、4割ということはないと思いますが、20何パーセントに増えると。そういう向きにずれている可能性があるという御指摘だと思います。それはそのとおりだと思います。
一方で、全員が予防できるというのは、むしろ楽観的なほうにバイアスが掛かった仮定であろうと思いますので、そういった幾つか、もちろんどちらに向かってずれる可能性があるということは、ここで感じていただいて、また御発言いただければと思います。そういう中で、先ほどから「粗い推計」と申し上げておりますが、どちら向きのずれの可能性もありますが、最終的には大きな桁数とか、大まかなところをつかむために出させていただいているということで御理解いただきたいと思います。
○岡田参考人 そういう意味では、まとめの表の乳児1人当たりの重症化を防ぐための費用の➀の5,000万円というのは、非常に大きなインパクトがあって、実際の医療費は、恐らくここまでは掛からないと思いますが、少なくとも、今まで何回かは経験していますが、死亡例とか重症例を防ぐための医療費は、1,000~1,500万円ぐらい掛かっているようなのです。ECMOなどを回すと、恐らく2,000万円を超えるぐらいの数になってきます。ですので、今から費用対効果を専門の先生方に計算していただくときに、乳児の重症化を防ぐ費用として➀の5,000万円というのは、少し検討していただければ有り難いかなと思いました。
もう1つは、本日の論点の23ページの所です。色分けが➀と➁がピンク、➂と➃がブルー、➄と➅がオレンジ色ですが、これはまとめの表の色と関係があるのですか。
○林予防接種室長 全く関係ありません。22ページの色に意味を感じていらっしゃる先生もいらっしゃるかもしれませんが、23ページのほうは単純にコントラストを付けるために色が付いているということです。同じ色のものは少し近い内容を含んでいるという意味だけで、色に意味はございません。
○岡田参考人 分かりました。そういう意味では、私はこの色に意味があるのかなと思っていました。➀と➁というのは、今だったら比較的早くできそうな案かなと思っていて、この小委員会で議論する疫学の状況と有効性・安全性、費用対効果の3つという視点から見ると、➀と➁に関しては、疫学の状況と有効性と安全性という視点では、一括りで、今だったら早くしないといけない部分が➀と➁で、一緒に御議論いただきたいなということが1つです。
➂と4は生後2か月から、今治験が走っていますが、治験のデータを見せていただいて、どのような有効性と安全性が出てくるのかは分かりませんが、追加の費用という意味では➂と➃が一番いいだろうと提案されたことに異論ありません。妊婦への接種は、添付文書上は、できないわけではないけれども、今すぐにはなかなか難しいことを考えると、有効性・安全性、疫学、費用対効果、この3つの視点から、本日の論点の➀~➅をお互いに関連付けて検討していただければ有り難いかなと思いました。
○大西委員長 岡田委員からの御指摘に関連すると思うのですが、先ほどからもう出ていますが、乳児1人の重症化を防ぐために掛かる費用とここに出している数字が、余り一人歩きしないようにすることは重要かと思います。これは、あくまでも参考として見ていただくということが重要かと思いますが、それについて皆様、御異論のないところだと思います。
それから、「乳児に期待できる効果」という所の数字も粗々のものであり、オーダー違いにはならないとは思いますが、先ほどの岡田参考人からの御指摘で、数字の扱いによっては1.6倍ぐらいの幅がある。だから、ここを100人とするのではなくて、「100人から何人ぐらい」のように幅が書けるものもあるでしょうし、ちょっと難しいところもあるのかなとは思いながら見ています。ここも粗々だという前提だということでよろしいかと思います。
そして、ここでまとめで出していただいている数字の根拠等の所で、ほかに何か、ここの解釈は気を付けたほうがいいとか、ここは間違っているのではないかというような点があれば、御指摘いただきたいところです。よろしくお願いします。
○金川委員 ➀、➁、➂、➃、➄、➅とあるのですが、➂と➃というのは赤ちゃん自身の免疫を強化するという意味で、➂と➃とほかをプラスするという考えではないかと思うので、この➀、➁、➂、➃、➄、➅から1つ選ぶというわけではないと思うので、組合せをどうするかということになるのではないかと思うのです。そういう点で話を進めたほうがいいのかなと思います。麻疹などもそういう形で、本人たちに免疫を付けるということと、流行が起こらないように全員打ちましょう、「弱い者を守りましょう」というような言い方もしているので、今回のこれも同じような観点ではないかと思います。
○大西委員長 非常に重要な視点であると思います。
○池田委員 組合せとか合わせ技でいくということも検討すべきだと思いますが、あとは、当面はこれで、将来的にはこれというような、段階を追って、例えば臨床試験のデータが整ったりとか、状況が変化したりということで、接種の方法を段階的に考えていくということもあるかどうかということなのですが、そういうことも検討してよいということでしょうか。
○大西委員長 そういう視点も重要かと思います。特に大事なのは、毎年600名の0歳児が罹患しているという事実がありますので、この中からどれか1つベストなものを選んで、それを未来永劫続けるということではないと私は理解していますが、先生方はいかがでしょうか。
○大石参考人 池田委員がおっしゃる内容については賛同したいと思います。乳児の問題は、今現在ある問題ですので、そういった問題に比較的速やかに対応していくということが大事です。妊婦への接種については、いろいろと整理するべきところがあります、臨床治験も必要になると思いますので、時間が掛かると思います。
総合してみると、組合せということになると思うのですが、比較的早くできる施策ともう少し段階的にというもの、あるいは今回は例えば➃の接種スケジュールを変える、そういったことになると比較的早くできるのですが、発生動向などの変化が出てくると思うので、これを見ながら、また2期の接種を考えるということも考えられるのではないかと思います。以上です。
○大西委員長 ここで、事務局に用意していただいたまとめの表の1つに、もう1つ、今やるとして、何が課題として残っているのか、それを真っ直ぐに施策に結び付けられるかどうかという点というのは、ここで皆さんの感覚をお聞かせいただきたいと思っています。
岡田参考人からもありましたように、➀、➁、➂、➃、➄、➅というようなカテゴライズというのは、確かにあるのかなと思いますが、確認していきたいのですが、まず➀の5-7歳に追加接種するということを考えたときに、今、何をクリアしなければいけないということになるのですか。
○林予防接種室長 「するとしたときに」という、できるかできないかのフィージビリティのことだけで言うと、まとめの表から安全性とか費用とかを読み取っていただくということだと思います。
あと、この表にはリスクベネフィットについては入れていませんので、ここの表の外としては効果の大きさ、安全性は一定程度担保されているとしても副作用が起きますので、効果がそこまで大きくなくて、何万人もの人が救われるというワクチンでない以上、安全性がある程度担保されているとは言え、そこの検討は行ったほうがいいと思います。
○大西委員長 少し色合いの違うものを6種類提示されて、中から1つ選べという話ではないと思うのですが、金川委員、複数のということであると、どういうようなことをイメージされているのか、お聞かせいただければと思います。
○金川委員 ➂と➃のどちらかはすぐに採用できるということでいいのかなと思うのですが、追加接種というのをいつにするかという点が、なかなか難しいかなとは思います。破傷風とかジフテリアが今どういう状況かという話になると、2種混合というのは今どれぐらいの重要性があるかというところで、例えば5-7歳が50億円掛かるというのであれば、10何歳のほうも5歳に戻してしまって、その後は任意にしてしまうとか、そういうことが可能なのかどうかです。5歳からやって、その後、15歳、16歳での追加は任意で、皆さんに重要性を伝えて、任意でやっていただくという方向にいくのかなどという代替案があるのかどうかです。
○岡田参考人 そういう意味では、まずはDTをDPTに変えるというのはいかがでしょうか。現時点ではDTの役割はほぼ終わったと認識している関係者は多いと思います。DTよりはPが入ったDPTだというのは多くの方々の賛同は得られると思います。
費用もこれぐらいですから、50億円と比べると大分違います。就学前のDTPの追加と、DTをDPTにというのを1セットにしてお考えいただくといいのかなと個人的には思うのですが、これはいかがなのでしょうか。
○大西委員長 皆さん、御意見はございませんか。
○金川委員 費用が増えていいのであれば、それはそれでいいと思うのですが、5歳でやったときに、その次は12歳でやるのか、もう少し後ろにずらすかという話もあると思うのですが。
○岡田参考人 結局、前回からあるように、その時点でやると、もうちょっとピークが右側にずれるということがありました。就学前に1回やって、11歳、12歳でもう一回やると、恐らくピークが10歳台の後半までいくと思います。10歳台の後半になると、家族内に乳児はほとんどいないというように思いますから、就学前と10歳台に2つPを入れることで、乳児の百日せきはかなり減らせるのではないかなと思います。
○大石参考人 私は、➃の接種スケジュールを変更するという方針は、かなり重要なのではないかと思います。それに、➁の追加接種をするということも、プラスアルファのオプションとしてはあり得るかなと思います。
○大藤委員 ➃の接種スケジュールを変更するという案ですが、これをするに当たっては、免疫などがどのように変わってくるかというのもあるので、私は、これをするには非劣性試験のようなものが必要なのかなとも思うのですが、いかがでしょうか。
○大石参考人 私の理解する範囲内では、研究班の中で接種スケジュールの抗体の動きというのは先生方が解析されているので、比較的早く情報は得られるのではないかなと思います。
➃について少し追加で申し上げたいのですが、気になるのは、最後の接種が5-7歳と学童前に来ているのですが、この時期までDPTの効果が持つかなと危惧しています。今現在7歳にピークがあるので、5歳、6歳ぐらいで、少し4回目の接種は早めたほうがいいのかなと考えております。研究班における血中抗体の結果なども含めて、最終的に4回の接種時期を決めていけばいいと思います。
○原委員 ➃ですが、最初の2、3か月に2回、1か月ずつを打った後に1年以上空けて3回目というのは、海外でも実施例がないように思うので、その辺りは慎重に考える必要があるかなと思いました。
○大西委員長 ➃に関しては、データを見ないと、いろいろと議論することはできないということかと思います。
○池田委員 前回もお伺いしたことなのですが、➁の方法というのは、被接種者の疾病の罹患はこの年代のものは減るけれども、後ろにピークがいくということで、結果的には後でかかるという可能性があるというように理解しています。乳児の罹患が減るといっても、少なくとも100人、200人のオーダーではなさそうで、そのような中で、この年代の親が、どの程度追加接種に対して理解して打ってくれるのかということが、やや心配であります。例えば兄弟に小さな子がいるということだと、では打とうかとなったときに、そうでない方々はどの程度接種をするか。接種率が必ずしも100に近い数字にならないのではないかという気もするのです。その辺りについては、何か他の選択肢と比べて接種率がそれぞれについてどうだということについては、それも検討の一部に加える必要があるかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○岡田参考人 池田委員が御指摘のとおりで、➁の11-12歳のDTの接種率は7割前後だと思います。定期で7割ですから、個々にDTではなくて、DPTを入れると、7割の子供たちに百日せきに対する免疫が自動的にできるのだと思います。ほかのワクチンでは、乳児の接種率は非常に高くて、100%近いものがあると思いますから、接種率だけからすると、11-12歳のところは接種率が低いですね。DTにDPTに変えてもらえると、7割の10歳台の方々に免疫ができるということになるのだろうと思います。
○池田委員 7割の方が接種するとしたときに、罹患数は、これは100%の接種率で計算しているのかもしれませんが、これよりも大幅に減るのか、そうではなくてかなりこれに近い数が減るのかというのは、何か推計法というのはあるのでしょうか。
○大西委員長 なかなか難しい問いだと思います。今、ここで100%だと考えて35人程度と、粗々の数字かと思います。ここは、そのまま接種率を掛けて考えるのか、あるいは何かしらの間接効果がどこかに残っている可能性はなくはないと思いますが、難しいです。
○林予防接種室長 15ページを御覧ください。ちゃんと御説明できていなくて申し訳ありませんでした。接種率75%を掛けて、25%分を差し引いた数字として、ここにお示ししております。
○大西委員長 ということは、そこのところは中に含有された数字ということだと思います。
いろいろ御意見を頂いて、何も変えないという選択肢は除いて御議論いただいております。6種類の選択肢があるだろうと。それぞれについて、使用可能な製剤、安全性、乳児に期待できる効果、費用、乳児1人の重症化を防ぐために掛かる費用ということでまとめていただいています。ここに上がっている数字の「乳児1人の重症化を防ぐためにかかる費用」という所は、参考程度で考えていく必要があるという御指摘があったということと、「乳児に期待できる効果」の所の数字が、少し精査が必要かもしれないという御指摘がございました。それから、施策にすぐいけるものといけないものがあるでしょうというような御指摘がありましたが、本委員会では、ここで示したような数字のところの大枠は、このようなまとめでよろしかろうというようなことかと理解しています。費用対効果のところに関しては、今後更に検討する必要があるのかどうか。検討するとなると、どのようなデータが必要なのかというところになりますが、ある一定の時間が掛かってきてしまうのかなという側面もあろうかと思います。
本日は様々な意見がありましたので、事務局には、こうした意見を踏まえて資料の論点を更に整理していただくということにしたいと思いますが、追加の御意見はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
では、次に議題2のおたふくかぜワクチンの議論に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○奥山予防接種室長補佐 資料2を御覧ください。おたふくかぜワクチンについての議論になります。2ページには今までの審議会の経過を掲載しております。
3ページ、今回、ポリオA百日せきと同様に工程表を作成しました。左側の赤い部分が検討した論点及び検討に着手した論点となります。今回は、右側の想定される論点の赤枠で囲まれた部分を中心とした議論としたいと思います。4ページ目はおたふくかぜの概要となります。
5ページは、平成25年の第3回予防接種基本方針部会において、安全性の面から2つの選択肢のうち選択肢2の「より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなMMRワクチンの開発が望まれる」とされましたが、現在も開発中であり、薬事承認には至っておりません。
6ページ、まず初めに、最近のおたふくかぜの発生動向になります。おたふくかぜは、5類感染症定点把握疾患であり、全国約3,000か所の小児科定点医療機関から報告されます。年度によりばらつきが見られますが、現在でも4、5年ごとの全国規模の流行が起こっています。
7ページ、おたふくかぜの疾病負荷としては、自然感染による死亡例はまれですが、合併症はワクチン後に比べて多く、脳炎、難聴は予後不良とされます。おたふくかぜによる難聴の全国調査では、2年間で335例が報告されました。
8ページ、2018年9月10日の第11回小委員会では、1歳での無接種による無菌性髄膜炎の頻度は低下しているのではないか、単味ワクチンの導入について議論すべきではないか、ワクチン後の無菌性髄膜炎の重症度について情報を集めたほうがよいのではないかなど、上段に掲載されているような御意見を頂きました。これらを踏まえ、今回は、以下3つの論点を挙げさせていただきました。
9ページ、ここからは今回の議論に関する資料となります。まず自然感染とワクチン後の無菌性髄膜炎の比較になります。この報告は、ムンプス髄膜炎で入院した症例72例の検討で、ワクチン株6例と自然感染、つまり野生株66例の症状の比較がされています。症状、検査値ともに、ワクチン株による髄膜炎の重症度は野生株と比較して大きな差は認められませんでしたが、両群ともに後遺症なく回復されたと報告されます。
10ページ、こちらは2000年に実施された研究で、同じく臨床上の比較がされていますが、発熱等の症状で2群間に大きな差はなく、この報告でも両群ともに後遺症は認められませんでした。
11ページ、現在、国内で使用できるMMRワクチンは存在せず、2種類の単味ワクチンである鳥居株、星野株のみが任意接種として使用可能です。上が鳥居株、下が星野株の添付文書ですが、それぞれのワクチン接種後の無菌性髄膜炎の頻度は、鳥居株では1,600人に1人、星野株では2,300人に1人と報告されます。
12ページ以降は、おたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度の報告になります。13ページ、まず1つ目は、現在の単味のおたふくかぜワクチンの添付文書に記載されている無菌性髄膜炎の頻度に引用されている報告です。この研究は、2000年から2003年におたふくかぜワクチンを接種された小児を対象とした前向き研究で、ワクチン接種後から30日間、保護者がしっかりと症状を記録するという追跡方法を取っています。解析対象人数は約2万人、平均年齢は3歳、無菌性髄膜炎の発生は10例、つまり、10万接種当たり47例とされました。また、この研究では自然感染についても同様の調査がされており、おたふくかぜの症例1,051例のうち13例が無菌性髄膜炎を発症し、1例に難聴を認めております。
14ページ、2番の報告は1番の報告の年齢別の解析になります。3歳未満の無菌性髄膜炎は10万接種当たり18件、3歳以上では78件であり、年少児のほうが頻度が低いという傾向が認められました。
15ページでは、小児科医会などが施行した研究を掲載しています。まず、3番の兵庫県小児科医会の報告では、おたふくかぜワクチンを接種した2万4,000例を対象とし、接種後4週間に唾液腺腫張などの症状が見られた場合は受診を指示していますが、無菌性髄膜炎の報告はありませんでした。4番は大阪のVPDの会の報告で、ワクチンを接種した9,393例を対象としています。接種後4週以降に電話等の調査を行うという追跡方法を取っていますが、無菌性髄膜炎の発生の報告はありませんでした。5番は三重県の小児科医会の報告です。同様に2万7,000例を対象とし、接種後4週間に耳下腺腫脹や発熱などがあれば受診するように指示したところ、無菌性髄膜炎は3例報告されました。
16ページ、これ以降の4つの報告は自発報告ベースのものとなります。6番は、予防接種後副反応の疑い報告についての研究になります。2013年4月から2018年8月までに納入されたおたふくかぜワクチンは640万本、医療機関からの副反応報告は無菌性髄膜炎は66件あり、10万接種当たり1件の報告頻度とされます。7番は名古屋市の報告です。名古屋市では、2010年より1歳から就学前の児を対象として助成を開始しており、2010年8月から2017年3月の接種数は14万本、無菌性髄膜炎の報告は1件、つまり10万接種当たり0.7件でした。
17ページ、8番は星野株の調査です。無菌性髄膜炎の報告は10万接種当たり3.2件であり、近年、発生頻度が低下しているのではという傾向が見られました。また、鳥居株の報告では10万接種当たり2.8件と、星野株と比べて大きな差は認められませんでした。
18ページはそれぞれの論文のまとめになります。この2つの論文は、接種対象者に接種後一定期間の無菌性髄膜炎の発症の有無を確認した研究となります。ここでの検討事項として、1番、2番の研究は、無菌性髄膜炎の発症の把握に漏れがないよう最も周到なデザインで実施されているのではないか。この研究で、10万接種当たり47件の無菌性髄膜炎が報告されていることについては、信頼性が高いのではないか。2の研究による3歳未満の児において無菌性髄膜炎の発生頻度がより低いとの結果について、どう考えるか。4番は最近の研究ですが、電話等で追跡調査がされ把握漏れが少ないと考えられます。対象人数は1番、2番より少ないですが、無菌性髄膜炎の頻度の報告が低いことについてどう考えるかという点を挙げています。
19ページ、こちらもまとめになります。ここに掲載されている論文は、無菌性髄膜炎が発生した場合に自発的な報告を求め発生頻度を算出した研究となっています。ここでの検討事項として、1番、2番の研究と比べ、最近の研究においては無菌性髄膜炎の報告頻度が低いことについて、どう解釈するか。後ろ向きの自発報告は、対象人数は多く発生頻度は低いですが、報告漏れや正確な接種数を反映していない可能性があるのではないか。今後、自発報告など1番、2番の研究と異なる方法で実施された研究において、1番、2番よりも低い発生頻度が観察された場合、どのように解釈するべきかという点を挙げています。
20ページ、以上より本日の論点ですが、論点1として、現在のおたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度について、重症度の報告を踏まえてどのように考えるか。論点2として、1歳児やより年少児に接種した場合の無菌性髄膜炎の発生頻度について、どう考えるか。信頼できるエビデンスを得るためには、どのような手法の研究が必要か。論点3として、おたふくかぜの疾病負荷、おたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度や重症度を踏まえ、既存の単味ワクチンについてどう考えるか。この3点について議論をお願いします。事務局からは以上となります。
○大西委員長 ありがとうございました。おたふくかぜのほうですが、この議論については小委員会でかなり前から行われており、平成25年、2013年の基本方針部会にて、「仮に広く接種をするに当たっては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなMMRワクチンの開発が望まれる」とされております。それから5年以上、6年が経過して、現在もそのようなワクチンは承認に至っていない状況です。今回の資料では、主にそれ以降に研究された無菌性髄膜炎の報告、それから重症度の比較等のデータが掲載されています。これを基に論点1~3を掲げていますが、御議論を頂きたいと思います。まずは論点の1番です。現在のおたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度について、重症度の報告を踏まえどのように考えるか、議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菅沼委員 その議論の前になるのですが、この間、Jeryl-Lynn株を使った新しいワクチンの開発ということで待っていた部分があったかなと思うのですが、それが実際は、あと2年とかあと3年とかという形で話があったと思うのです。現実、それがなかなか開発が進んでこなくて現状に至ったという経緯である程度こういう形になって、今の出てこないという状況について、どうなったのかという情報と言いますか、そういうのをどこかで共有したほうがいいのかとは思うのです。この議論とは少し違うのですが。
○林予防接種室長 企業の開発の情報について、つまびらかにできるわけではありませんが、出てこないという中で、これまでのこの委員会の議論で単味ワクチンについてはどう考えるのかという御指摘があったということで、今回、資料を用意させていただきました。ですので、開発は進んでいるとは聞いていますが、期待したようなスピードではないと、それ以上の前提はちょっとここでは明らかにしにくいですが、そういうことで御議論いただければと思います。
○大西委員長 こちらも、おたふくかぜですので毎年患者さんがいるということで、単味ワクチンの議論も行っていくことで整理していただきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、まず論点1の議論を始めたいと思います。今回、いろいろな研究の内容、概要を説明していただいておりますが、論点1のほうで、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度のいろいろな報告がありますが、重症度の報告等をどのようにお考えかというところをお聞かせいただきたいと思います。研究のデザイン、質というところは、もちろん様々なものが混在している状況と考えていますが、大石先生。
○大石参考人 この点については、2007年に永井先生らのワクチンの論文が出ている中で、2013年の審議会ではより安全性をということが強調されて、そこで完全にストップしていた。しかし、2017年の耳鼻咽喉科学会のムンプス難聴の報告、2018年頃だったと思いますが、ワクチン学会などでもアピールされて、その後ワクチン分科会のほうでも話が進んできたと理解しています。やはり、ワクチンの教科書にもこのことは書かれていて、明らかに、自然感染の頻度に比べてワクチンによる無菌性髄膜炎の頻度は低い、25倍ぐらい違うのですが、日本ではこれはまだ定期になっていないのだということが書かれています。この点については、やはりリスクベネフィットということも考える必要があると思うのです。
それと、後からクローズアップされているムンプス難聴、これがやはり年間に300人ぐらいの症例が出るということがあって、しかもその9割方が重症、高度ということで、片側であっても非常に生活に困るということ、QOLを損なうことが明らかになってきているので、そういったことも考えて、やはりこのムンプスワクチンのリスクベネフィットということを、Jeryl-Lynn株を使ったMMRだけでなくて国産の単味ワクチンを視野に入れて議論していく機会ができたのはよかったと思います。
○大西委員長 大石先生、ありがとうございます。
○林予防接種室長 先生、10万対3とおっしゃったのがちょっと分からないのですが。18ページの1の論文で、非常に周到に行われた研究で10万対47というものが出ております。皆さんが非常に安全だとおっしゃっても、こういうデータがある中で、それをどう考えるかということ自体が一番大きな論点だと思いますので、そこについて御議論いただきたいと思います。
○大西委員長 大石先生、そういう理解でよろしいですか。10万対47というデータが、今のところ一番信頼のおける、周到にデザインされた研究のデータだというところで、それはそれでよろしいのでしょうか、先生。
 
○大石参考人 最近の名古屋市のデータと、そしてほかのサーベイランスのデータが10万対3ぐらいであって、それと永井先生方のデータはちょっと乖離があるということです。しかし、永井先生方のデータにしても、自然発症の無菌性髄膜炎の頻度としては25倍ぐらい違うということは事実だと思います。論点として10万対47というのは大きな値だとは思います。これがどうして近年のデータでは低くなっているのかというところが疑問点なのかと思います。
○大西委員長 ありがとうございます。ここで挙げられている1番、2番の調査研究の値と、それ以降の、ここで挙げています3番以降の研究では、少し無菌性髄膜炎の発生頻度が異なっていると。これはどのように考えるかというところかと思いますが。原委員、お願いします。
○原委員 前回の委員会でも御意見が出たように、最近、1歳未満、1歳で接種することが多くなってきていて、3歳未満の発生頻度が低いということも兼ね合いまして、下がっているのではないかというのが1つあるかと思うのです。あと、接種率自体はどれぐらいなのかちょっと正確なデータは分かりませんが、私がほかの研究で金沢市で調査したとき、母子手帳ベースで調査したとき、6割ぐらい接種されていて、地域によって全額助成されているような所でもっと高くなったりしていると思うのですが、接種率が上がっている中で無菌性髄膜炎の発生が増えてはいません。、これは、接種の対象の性質、年齢層が変わったからなのかなということを推測するのですが、いかがですか。あと、大藤先生が廣田班の中で、確か有害事象報告を中野先生と一緒にまとめられていたと思うのですが、その時の報告でも余り増えていったという印象がなかったのですが、何かコメントはないでしょうか。
○大西委員長 よろしくお願いします。
○大藤委員 私が廣田班の中でその有害事象報告を見た形では、やはり2000年以降、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発症頻度、報告頻度がすごく下がってきていたというのがあります。それに関しては、先ほど原委員がおっしゃっていた1歳での接種が増えてきたというのと、あと、ワクチンの製造工程が1代継代されたことの影響もあるのかなということで、考察はしていたのですが。
○池田委員 本日、無菌性髄膜炎に焦点を絞って議論するということは十分理解しているのですが、先ほど大石先生などからもちょっと御指摘があったのですが、7ページの疾病負荷の所で、難聴も非常に大きなおたふくかぜの合併症ということになるのですが、ワクチンの場合の難聴の頻度が不明となっておりますが、これは極めて少ないと理解してよいのか。いや、つまり難聴の予防というところに大きくワクチンが寄与するのだろうと私は想像はしているのですが、この不明というのはどのように理解したらよろしいですか。
○大西委員長 不明。
○池田委員 つまり、ワクチンによる難聴の発生頻度の所が、ほかのものだと「ほとんどなし」という記載がありますが、難聴の所は「不明」となっているので、ここはどのように理解したらよろしいですか。
○大石参考人 ワクチンによる難聴の発生については、頻度的にもかなり低いとは認識されます。難聴は、積極的に耳鼻咽喉科的な検索をしないと分からない部分があるので、これまでも耳鼻咽喉科学会の公表があるまでは、はっきりしたことが言えなかったのだと思います。
○岡田参考人 確か市販後調査の中では、両株とも1例から2例ぐらいが難聴として報告されていると思います。ただ、これは大石参考人が言われるように、難聴の調査を積極的にやっているわけではありませんから、そうすると過小評価されている可能性ももちろんありますが。ワクチンで全く出ないということにはならないとは思います。
○大西委員長 論点3も含めての議論になっていますので、もう一度元に戻して、平成25年の基本方針部会で、より高い安全性が期待できるワクチンを待つというようなところがあった上で、今回単味ワクチンの無菌性髄膜炎の発生頻度というのを、もう一度捉え直すということです。
幾つか調査報告があって、資料の1、2番の報告の率とそれ以外の報告の10万接種当たりの件数というのはオーダーが違うというところですが、そこは接種対象の年齢が変化している可能性が1つ。それから皆さんもなかなかおっしゃりにくいのかと思いますけれども、自発報告ですので過小報告になっている可能性が否定できないという考え方はよろしいでしょうか。はい、ほかに何か。
○岡田参考人 論点1ですが、無菌性髄膜炎の発生頻度が論文の1と2で10万接種当たり47、中央値が3歳でやられています。最近は1歳で接種される場合が非常に多くなっていますのでこの頻度よりもっと少なくなっている可能性があります。日本の社会から10万接種当たり47というのが高いと評価をされるのであったら、これと同じ規模の前向きな調査をしない限りは、低年齢で打つようになってきたときの頻度は、正確にはなかなか分からないのかと思います。
○大西委員長 ありがとうございます。14ページの2の論文で3歳未満という年齢区分を付けますと、10万接種当たり18という数になって、もし接種年齢によって頻度が変わるということを前提に考えますと、恐らくこれよりももう少し少ない値になることが推定されるということかと思います。このスタディの1万1,220というのが3歳未満の数ですので、これと同等の比較対照ができるような研究をするとなると、これよりももうちょっと多い数でデザインをせざるを得ないというような理解で、岡田委員、それでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
ほかに御意見はありますでしょうか。それでは次の論点2、1歳児に接種した場合の無菌性髄膜炎の発生頻度について、どう考えるか。信頼できるエビデンスを得るためには、どのような手法の研究が必要か。これは先ほど私が言った辺りかと思いますけれども、追加でどなたか。やはりこれは自発報告のスタディでは弱いと考えてよろしいのでしょうか。
○大石参考人 岡田参考人がおっしゃるのは一理あることで、やはり過去に報告されたものがあって、それを覆すと言うと変ですが、今、既報の成績を修正するデータが必要になっているのかもしれません。例えば名古屋市のスタディは14万ドースで、結構年齢は1-6歳で幅広いのだけれども、発生頻度は10万対0.7で低いのです。もちろん年齢の要因を考えてそういうスタディをすることは大事だとは思うのですけれども、もしかするとそれ以外のファクターもあって、今現在、比較的近年では無菌性髄膜炎の発生は低くなっているのかもしれないとは思います。基本的には焦点を1歳児に当ててエビデンスを得ることについては賛成です。
○岡田参考人 以前この小委員会で、疫学の先生方に、この頻度からどれくらいの対象者を前向きに追っていったらいいのかを計算していただきたいと申し上げたのですけれども、なかなか難しいというお話でした。頻度が下がっていることからすると恐らく1万では足りませんし、1桁違うことからすると、10万人規模の接種対象者が必要になってくるのかと思います。今回の議論を受けて疫学の先生方、概算でもいいのですけれども、どれくらいあればいいでしょうか。
○大藤委員 どのくらいの発生頻度なのかということにもよるかと思うのですけれども、例えば本当にその10万接種当たり3とかの頻度であれば、10万人とか20万人規模の研究が必要になるのではないかと思います。それを1歳児でとなると、かなり現実的にはハードルが高いのかなという気持ちもあります。
○原委員 同じくざっと推計すると、やはり10万~20万人ぐらいかなと思いますので、実際に前向きにするとなると、大変だなと思います。その一方で、自発報告とはいえ同じ条件で経年で見たデータがある中で、接種率とか先ほど大藤委員が言われた継代のこととか、そういう辺りも含めた検討というのも必要ではないかと思います。改めて新しく前向きにするのではなく、今の例えば8番の中山先生らの論文では、2003年から2017年までの報告を基に分析されていますので、そういった経年変化のようなもの、あるいは継代があったところでの前後の比較とか、そういったものをもう少し丁寧に見てはどうかと思います。
○大西委員長 既存の報告のデータの再解析ということも考えたほうがいいのではないかという御意見ですか。
○池田委員 元データがないとできないのかあれなんですけれども、ここでは点推定値と言いますか、単なる割算の値が示されているように思いますが、年齢調整をしたり、あるいは信頼区間を出したりということが、これらの既存の研究から可能なのかどうか。今後新たな調査ということも、もちろん必要な場面もあると思うのですけれども、この従来のデータの再解析などが可能であれば、それも研究者等に問い合わせてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○大西委員長 再解析の可能性ということかと思います。ただ、接種年齢が分からないような報告もあるようですし、どこまで良いデータが取れるのかというところも、ちょっと精査する必要があるのかなと思います。
○池田委員 少なくとも年齢調整などは可能であればしたほうが、横並びの比較をする点では年齢がそろっていないと難しいかなとちょっと感じました。
○林予防接種室長 副反応報告などを用いた研究もありますので、少し知るところを述べるとすれば、症例のほうの年齢が分かっても、分母にある接種のほうの年齢がなかなか任意接種であり分かりにくいという中で、出荷本数が使われているので、こちらのほうの年齢のデータというのは問い合わせても得難いかなと思います。信頼区間については数学的な手法なのでできると思いますけれども、そもそも100%集まっているかどうか、データを集めるというところのデザインがしっかりしていない限りは、その信頼区間というところの意味が乏しくなってしまうと思います。
○原委員 すみません、もう1つ。自発報告を分析する場合、ウイルス学的検討が入っていませんので、このワクチン接種後どれぐらいまでに発症したものをワクチンによる無菌性髄膜炎とするかといった診断基準がないと、分析も難しいと思います。
○大西委員長 いろいろと制限は付いてくるだろうというところですね。それでも新しくデザインして前向きに、10万なのか20万なのか大分違いますけれども、そのようなスタディを組むことがやはり必要なのか、それはやはり無理だからというところで、この安全性の議論の場に持ち上げるデータというのが作れるのか、どうかですね。大藤先生どうですか。
○大藤委員 新たに前向きに調査が必要かどうかということについては、対象者数もかなり大きくなるというところで、もちろんそのデータがあれば確実だとは思うのですけれども、私としては自発報告のデータもかなり貴重なデータじゃないかと思っています。今、自発報告のデータで10万接種当たり3ぐらいというのが出ていますけれども、報告漏れがあるかもしれないという御指摘ももちろんあるのですけれども、もし報告漏れがあるのだとしたら、多分軽症例とかが漏れているのだと私自身は思うのです。であれば、それほど重症になるような、報告に上げるような例というのが、10万接種当たり3というぐらいの数値なのかなという解釈をするのですけれども、いかがでしょうか。
○大西委員長 はい、そういうような解釈も存在するのは理解します。しかし1、2番のデータが横にあるところで、なかなかそこに進まないというのが悩みなのかなと思います。
それでは論点3、恐らく1、2番でも少しずつお話が出ているところですけれども、おたふくかぜの疾病付荷、おたふくかぜワクチン後の無菌性髄膜炎の発生頻度や重症度を踏まえ、既存の単味ワクチンについてどう考えるかということです。御意見をお聞かせいただければと思います。
○大石参考人 国産の単味ワクチンを積極的に考えるということは大事なことだと思っています。たとえ今開発中のJeryl-Lynn株を使ったMMRができたとしても、その1社だけで定期接種にできるかはちょっと分からないかもしれませんので、この方針は大事だと思います。
発生頻度については、まだまだデータが必要なところですけれども、重症度についても今日お示しのデータでは限られたものしかないので、私が聞いたところ、自然発生の場合とワクチン由来の無菌性髄膜炎の重症度、後遺症の合併率とか、数は限られているのですけれども、ワクチン接種後にも重い後遺症は起こり得る、死亡例もあるということは聞いているので、もう少しそこを整理していただく必要があると思います。
○大西委員長 大石先生の今の御指摘は、9ページのデータ以外にということですか。
○大石参考人 おっしゃるとおりです。これではまだ少数例の解析なので、これだと何か合併症がないように見えてしまうので、そういうことではないと思います。
○大西委員長 ほかに御意見がありましたらお願いします。
○原委員 論点3に関しては、おたふくかぜの疾病負荷としては不可逆性の難聴というのが大きな問題だと思うので、やはりリスクベネフィットをもう一度しっかり見ていかなければいけないと思います。
○大西委員長 難聴を含めた疾病負荷はしっかりと考えて、それに基づいてリスクベネフィットを考えることも必要だと、非常に重要な点かと思います。
○池田委員 先ほどの繰り返しになりますが、今御指摘のように難聴がこのワクチンの接種後にどの程度減らせるのか、あるいは同等なのかによって、かなりワクチン後の患者さんのQOL等の問題が変ってくるので、確実性が高いとはいえ、そこのデータはある程度推計しておく必要があると思います。
○大西委員長 そこの計算をするには、データとしては計算できるデータがあるのですか。
○大石参考人 自然感染時のデータとしては、1000人に1人、0.1%程度ということが論文にもなっていますが、ワクチン後のデータはないと思います。
○大西委員長 ほかに御意見はいかがでしょうか。かなり皆様から活発な御意見を頂いていまして、恐らくなかなか難しい問題ではありますが、方向性がいくつか見えてきたような感じもします。
○大石参考人 安全性を見るために、無菌性髄膜炎の発生頻度を見るために、前向きのスタディということで、サンプルサイズの計算がなかなかできないのと実施できないのとで課題は大きくて、これはこれから議論していってもなかなか先が見えないところではあります。過去の論文が2万サンプルサイズで1-6歳の範囲、中央値3歳で実施されて、高い10万対47という無菌性髄膜炎のデータがあるのですけれども、これを1歳で年齢を合わせて2万例程度の無菌性髄膜炎の発生を評価するみたいなことであれば、実質可能かもしれないと思います。これは統計疫学的には余り推奨できる方法ではないのですけれども、現実的にはそういったこともあり得るのかなと私は考えています。
○大西委員長 この1、2番の論文と同サイズで同等のクオリティの調査をして、どういう値が出てくるのかということを、現状でもう一度同等のデータを取ってみる。そうすると先生方の感触では、小さな値が出てくるであろう。年齢調整をして同等だけれども、現状の1歳ではもう少し少ないだろうというデータが出てくるかもしれないという御意見と理解しました。原先生、いかがですか。
○原委員 現実に見ないと分かりませんが、恐らく低年齢で接種すれば少ない数だろうと思います。
○大西委員長 そういうようなスタディをしたときに、ひょっとしたらゼロというデータが出てくるかもしれない。そこは「1」とおいて比較するということになりますか。どうするのですか。
○大藤委員 もし1歳児を対象にするのであったら、これと同サイズではなくて、規模としてはもうちょっと大きな研究が必要だと思います。やはりゼロとして観察されたものを「1」として計算するというのは、余りしない方法ではないかと思います。
○大西委員長 サイズとしては、やはりもう少し大きいサイズでスタディしなければいけないという意見もあったということですね。私はちょっとその辺は苦手ですので、先生の御意見を聞かせていただきました。ほかに御意見はありますか。
○大石参考人 1点追加ですが、ウイルス株が継代が加わったことで弱毒化しているのではないかという情報もあります。あるウイルス専門家もそういったコメントをされたことがありました。多分これは検証するのは不可能なのではないかと思うのですが、会社も含めて確認していただく必要があると思います。
○大西委員長 なかなか難しい御要望です。
○金川委員 調査をしてリスクとか頻度とか、それは非常に大事なのですけれども、私は現場で働いていて一番思うのは、これは推奨しているワクチンですから、打ってはいけないと言っているワクチンではないのですね。かなりの赤ちゃん、子供が打っているわけですから。一応単味のワクチンで安全性とかそういうのを確認していくところですけれども、現場では打ったほうがいいですよと推奨しているワクチンなので、余り無菌性髄膜炎とかいう訴えを、専門家としてはやっていかなければいけないですけれども、一般的に推奨しているということで、定期にしているか任意にしているかですごく大きな開きが出てしまっているという状況を考えた場合に、今の一般的な会社もそうですし学校もそうですね、おたふくかぜのワクチンを打ちましょうと言っている所がほとんどないのですね。MRは打ちましょうとすごく推奨するのですけれども、ではおたふくは別に放っておいていいのかというような状況が世の中にあるのです。
実際の問題としては、推奨していいワクチンということを言うために安全性を確認するのであれば、では確認するまでは推奨してはいけない、ということはないと思うのですけれども。そこのところをもうちょっと明確にしておかないと、安全性が確認できていないとずっと言い続けると、現場で使えない状況ではないかと私は思うのですけれども、どうなのでしょうか。
○大西委員長 はい、ごもっともな御意見だと思いますが、恐らくここの委員会ではなくて。要はここで議論しているのは、前回の基本方針部会でより高い安全性のあるワクチンを待ちましょうというところでしたが、現状としてはそれを待っているだけではいかがなものかというところだと思います。
○金川委員 ですから論点3の所で、現在の既存単味ワクチンについてどう考えるかというのは、推奨しますという話ではないかと思うのですが。ではやめましょうという話ではないと思うのです。
○林予防接種室長 それぞれいろいろな立場からの推奨ということだとお伺いしています。薬事承認で認められるという段階もあると思いますし、個々の臨床家、先生方が保護者とか被接種者との契約に基づいて、リスクを説明した上で接種されるという意味での推奨ということもあると思います。定期接種として国が努力義務を課して皆様に勧奨するという意味での推奨もあると思います。それぞれの場面に応じてどう推奨するかということだと思っています。
ここで議論している対象というのは、予防接種法の位置付けとしてどう考えるかということだと思いますので、その辺りはある場面で推奨するがある場面で推奨してはいけない、あるいはある場面で推奨しないからある場面で推奨してはいけないということではないと思います。
○大西委員長 ほかに御意見はありますでしょうか。
○岡田参考人 10万人から20万人の前向き調査が必要ということになってくると、実際に研究費がどれぐらい掛かるのかということも試算をしないといけないと思います。これをやるには相当の研究費が必要となります。日本小児科学会など学会が主導して研究するとなると、相当の研究費も必要になってくると思います。この研究費を国として持っていただけるような余裕があるのかどうか。ちょっとお聞きしたいのですけれども。
○大西委員長 お願いします。
○林予防接種室長 研究を実施するためには、やっていただける体制とか熱意を持ってやっていただける方がいらっしゃるということと、それからお金が必要だと、両方必要だと思います。研究費がどれだけあるかというのは、どれぐらいボリュームが掛かるかによって確保の可能性は変わってくると思いますし、また本当にできるかどうかということによっても確保の可能性は変わってくると思います。今日の議論を聞いて、ここにいる先生方とか学会の中で、こういう研究ができるのではないかという方がいらっしゃったら、是非積極的に御相談いただきたいと思います。
○岡田参考人 ありがとうございます。そういう意味では学会あるいは研究者が検討する余地があるということでいいのですね。
○林予防接種室長 全ての可能性は開かれていると思います。
○大西委員長 ありがとうございます。いろいろな御意見を踏まえて、改めて事務局で論点を整理していただきたいと思います。以上で本日予定していた議事は終了ということになりますが、そのほか事務局から何かありますか。
○林予防接種室長 特にございません。次回の開催につきましては、追って御連絡をいたします。事務局からは以上です。
○大西委員長 それでは第15回ワクチン評価に関する小委員会を終了いたします。本日は活発な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。