令和元年12月27日 第30回 社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(議事録)

日時

令和元年12月27日(金) 9:00~10:00

場所

ベルサール九段 Room1+2 

出席者

委員 ※五十音順

議題

1.令和元年度介護事業経営概況調査の結果について
2.令和2年度介護事業経営実態調査の実施について
3.その他

議事録

 
○北原介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第30回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催させていただきます。
初めに、本日の委員の出欠状況ですが、全ての委員に御出席をいただいております。
それでは、議事に入る前に資料について、確認させていただきます。
厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しており、タブレットを活用し、資料をごらんいただければと思います。
資料ですが、まず、お手元のタブレットをごらんください。
座席表、議事次第、委員名簿がございまして、資料1が「令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要(案)」。
資料2が「令和元年度介護事業経営概況調査結果(案)」。
資料3が「令和2年度介護事業経営実態調査の実施について(案)」。
資料4が「令和2年度介護事業経営実態調査(案)」となっておりまして、資料の4が1から6までございます。
資料4-1が「介護老人福祉施設」。
資料4-2が「介護老人保健施設」。
資料4-3が「介護療養型医療施設」。
資料4-4が「介護医療院」。
資料4-5が「居宅サービス・地域密着型サービス事業所(福祉関係)」。
資料4-6が同じく「(医療関係)」となってございます。
もし、不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。
では、以降の進行を田中委員長にお願いしたいと存じます。
よろしくお願いいたします。
○田中委員長 皆さん、おはようございます。朝早くからありがとうございます。
早速、議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題1「令和元年度介護事業経営概況調査の結果」と議題2「令和2年度介護事業経営実態調査の実施」は関連しますので、一括して議題として取り上げます。
事務局より資料の説明をお願いします。
○説明者 それでは、最初に、議題1の令和元年度経営介護事業経営概況調査の結果について、説明させていただきます。
議題1につきましては、資料1と資料2を御用意させていただいております。
資料1をごらんください。
今回の令和元年度介護事業経営概況調査の概要になります。
まず、調査の目的ですけれども、各サービス施設・事業所の経営状況を把握し、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得るというものでございます。
調査の時期ですが、令和元年5月に実施いたしまして、平成29年度決算及び30年度決算を調査しました。
調査対象は、全ての介護保険サービスです。
抽出方法は、層化無作為抽出法です。
客体数は1万5208施設・事業所、有効回答数が7,330施設・事業所で、有効回答率は48.2%となっております。
また、各サービスの調査客体数や、有効回答数、有効回答率については、この資料の3ページで御確認いただけますので、後ほどごらんいただければと思います。
続いて、このページの各サービスにおける収支差率などをかいつまんで説明いたします。
先ほどの有効回答数のデータを用いて、各サービスの全国平均を推計させていただいたものでございます。
まず、収支差率ですが、ここでは、平成30年度介護報酬改定前の29年度決算と改定後の30年度決算の収支差率を比較していまして、施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービス、全サービス平均という形で区分しています。
各サービスの収支差率の増減を見ていきますと、施設サービスでは、介護老人福祉施設は収支差率がプラスとなりまして、介護老人保健施設と介護療養型医療施設は低下しています。
居宅サービスでは、特定施設入居者生活介護、居宅介護支援を除き、収支差率が低下しています。
地域密着型サービスでは、5つのサービスで収支率がプラスになりまして、4つのサービスで低下しています。
なお、夜間対応型訪問介護にはアスタリスクをつけていますが、有効回答数が少ないために参考数値として公表していますので、数値をごらんいただく際には御留意いただければと思います。
以上のサービスごとの収支差率をもとに、全サービス平均の収支差率を算出した結果、平成29年度の収支差率は3.9%、平成30年度の収支差率は3.1%となりまして、平成29年度から0.8%のマイナスとなっています。
収支差率が平成30年度に低下している要因につきましては、引き続き精査していく必要がありますが、資料2を見ていきますと、平成29年度から30年度にかけて多くのサービスで収入が増加している中、給与費ですとか、その他の費用も増加しており、それらの割合が上昇しているという傾向が見られるところです。
このような状況を踏まえますと、収支差率が平成30年度に低下している主な要因としましては、介護人材の確保が課題となる中、人件費が増加していることですとか、介護サービスの運営に要するその他の経費が上昇していることなどが考えられるところでございます。
続きまして、資料1の2ページ目をごらんください。
各サービスの収支差率とともに、収入に対する給与費の割合を掲載しています。
平成29年度と30年度の各サービスの給与費の割合の増減を見ていきますと、一番右の欄をごらんいただければと思いますが、施設サービスでは、介護老人福祉施設で給与費の割合が低下して、介護老人保健施設や介護療養型医療施設は上昇しています。
居宅サービスでは、居宅介護支援で給与費の割合が低下して、訪問介護看護と特定施設入居者生活介護はプラスマイナス0%、その他のサービスは上昇しているという状況です。
地域密着型サービスでは、5つのサービスで給与費の割合が上昇して、ほかの4つのサービスで低下しています。
続きまして、資料の4ページをごらんください。
ここでは、各サービスの利用者1人当たり収入、利用者1人当たり支出などを整理した表を掲載しています。
サービスによって、訪問1回当たりですとか、実利用者当たり、1カ月当たりといった単位で表示していますので、御留意いただければと思います。
続きまして、次の5ページですが、今回の調査と前回の調査を比較して整理したものですので、後ほど御確認いただければと思います。
続きまして、資料2をごらんください。
資料2は、資料1の詳細版になります。
1ページですが、調査の概要になりまして、先ほどの説明と重複いたしますので、省略させていただきます。
3ページ以降に各サービスの収入・支出の内訳などを掲載させていただいております。
3ページの介護老人福祉施設の集計表をもとに御紹介させていただきます。
集計表の上から順に介護事業収益、介護事業費用、介護事業外収益、介護事業外費用、特別損失となっておりまして、その下に総収入、総支出、差引の順で掲載しています。
これは、1施設事業所当たりの月額になりまして、1,000円単位で表示しています。
そして、平成29年度の経営実態調査の結果と平成28年度の経営概況調査の結果に挟まれる形で、今回の調査結果であります2年度分の収入・支出を掲載させていただいております。
金額の右側に表示しているパーセンテージですが、13行目のマル1の収入に対する割合になります。
先ほど説明した収支差率は、15行目のマル3の差引が該当しまして、法人税などを控除する前の収支差率になります。
平成30年度決算で見ていきますと、1.8%になっていることが確認できるかと思います。
また、収入に対する給与費の割合は、5行目の給与費が該当しまして、平成30年度決算で63.6%となっています。
19行目から21行目は長期借入金の返済状況について、当該年度の手元に残る資金で返済が可能であるかを簡便に把握するための項目になります。
この項目の計算方法と集計結果につきましては、21行目に記載しておりますけれども、17行目の税引き後収支差額と、6行目の減価償却費と、7行目の国庫補助金等特別積立金取崩額、これらの合計に対しまして、19行目と20行目の支出額の合計を比較する形になっております。
今回の調査結果によりますと、介護老人福祉施設におきましては、この差額は平成30年度決算で71万5000円のプラスとなっています。
22行目以降は、定員や利用者数などを掲載しています。
4ページ以降も同様の構成になっております。収支差率や給与費の割合は、資料1で説明させていただいたとおりですので、後ほど御確認いただければと思います。
なお、この資料の25ページですが、介護医療院を掲載させていただいております。参考1と表示させていただいております。
この介護医療院は、平成30年度に創設された施設類型ですので、30年度決算のみを参考として掲載させていただいております。
簡単ではございますが、議題1の説明につきましては、以上になります。
引き続き、議題2の令和2年度介護事業経営実態調査の実施について説明いたします。
資料として、資料3と資料4-1から4-6まで用意させていただいております。
なお、資料4は、お手元のタブレットのフォルダの中にそれぞれ格納していますので、ごらんください。
それでは、資料3について、説明させていただきます。
「令和2年度介護事業経営実態調査の実施について」でございます。
調査の目的は、経営概況調査に準じますので割愛させていただきます。
2番の調査時期及び公表時期ですが、調査の実施時期は、来年の5月を予定しています。
この経営実態調査では、報酬改定後2年目の収支状況を調査することとしていますので、 今回は、令和元年度の決算額を調査することにしています。
公表時期は、来年10月を予定しています。
3番の調査対象ですが、今回新たに介護医療院を対象に加えることとしています。
抽出方法は、前回と同様、層化無作為抽出法によることとしています。
抽出率は、別表に掲載しており、この資料の7ページになります。
7ページの表の中に、左から2番目、抽出率という欄がございます。前回からの変更箇所に下線を引いています。
介護療養型医療施設の抽出率を引き上げることにしていますが、前回の調査結果ですとか、介護医療院などへの移行期間にあり、施設が減少傾向にあることを踏まえまして抽出率を引き上げるものでございます。
その他のサービスは、前回と同様の抽出率を設定することにしています。
2ページにお戻りください。
4番の調査の基本方針になります。
(1)調査票ですが、各サービスの収支を漏れなく取得することができるように、令和元年度経営概況調査の調査項目を基本といたしまして、各サービスの経営状況を詳細に把握するための項目を追加することとしています。
1つ目は、施設サービスについてですが、建物の減価償却方法に関する項目を追加するというものでございます。
2019年の介護報酬改定に関する審議報告での指摘を踏まえまして、平均的な居住費を構成する主要な部分であります減価償却費を精緻に把握するための項目を追加するというものでございます。
2つ目は、介護人材に関する項目ですが、これは特定処遇改善加算に関して、新しい経済政策パッケージに掲載されている勤続年数10年以上の介護福祉士の人数を把握するための項目を追加するというものでございます。
(2)回収率及び有効回答率の確保策になりますが、この経営実態調査は各サービスの経営状況を把握して、介護報酬改定の基礎資料として活用されておりますので、精度を高める取り組みを進めていくことが重要と考えています。
このため、介護保険総合データベースの活用ですとか、オンライン調査の積極的な活用に引き続き取り組んでいくとともに、マル3になりますが、5月中に回答することが難しいという声もあることを踏まえまして、調査期間を拡大して、回答期限を6月中旬に設定する予定としております。
また、この資料には記載しておりませんけれども、今年度、老人保健健康増進等事業を活用いたしまして、調査票の記入方法をわかりやすく解説するための動画を作成するなどの取り組みも進めているところです。
3ページの抽出率の見直しですが、こちらは、先ほど説明させていただいたとおりです。
5番が具体的な調査項目の説明で、6ページまで続いておりますが、具体的には後ほど資料4で説明させていただきたいと思います。
なお、先ほどごらんいただいた7ページにアスタリスクを記載していますが、この調査は政府統計として実施しますので、調査の企画案について承認いただいた後、総務大臣の審査、承認を受ける必要がありますので、審査の過程で変更があり得ることをあらかじめ御了承いただければと思います。
続いて、資料4になります。
資料4-1が介護老人福祉施設の調査票になり、4-2が介護老人保健施設、4-3が介護療養型医療施設、4-4が今回追加する介護医療院、4-5と4-6は居宅サービス向けの調査票になります。
なお、資料4-5と4-6ですが、調査票を送付する際に、調査対象サービス名と表示している部分に、訪問介護や通所介護といった具体的なサービス名を印刷して送付することとしています。
調査票の内容については、資料4-1をもとに簡潔に説明させていただきます。
令和元年度経営概況調査で用いた調査票と大きく変わるところはありませんが、順番に御確認いただければと思います。
1ページの問1ですが、開設年月、経営主体、会計期間をお伺いする項目になります。
2ページですが、会計の区分の状況についてお伺いする項目になります。
単独会計と一体会計のいずれかを選択していただくことになります。
3ページは、調査対象サービスの利用実績をお伺いするもので、実利用者ですとか、延べ利用者数などを記入していただくことになります。
4ページは、調査対象サービスと一体的に会計を行っている併設サービスの状況を記入していただくページになります。
5ページは、建物の状況を記入していただくページになります。
赤字と黄色で着色させていただいた箇所が、今回追加する項目になります。
内容は、先ほど説明させていただいたとおりです。
6ページは、職員の給与などを記入していただくページになります。
黄色で着色した箇所は、先ほどお話した、今回追加する勤続10年以上の介護福祉士の数を把握するための項目になります。
この3ページから6ページまでは、一体会計となっている場合の費用案分にも用いることとしております。
7ページ以降ですが、決算の状況を記入していただくページになります。
7ページから8ページは収入について、9ページ以降は支出について記入していただきます。
また、支出につきましては、調査対象サービスにおいて使用している会計基準に応じて、該当するページに記入していただく形をとっております。
社会福祉法人会計基準であれば9ページから10ページ、指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針であれば11ページから12ページということになります。
その他につきましては、形式的な変更を除きまして、令和元年度経営概況調査と同様の項目を設定することとしています。
資料4-2から4-4までは、施設サービスの調査票になりますので、こちらにも減価償却費に関する項目を追加しております。
また、勤続年数10年以上の介護福祉士の数を把握するための項目は、全ての調査票に追加しております。
その他は同様の構成となっておりますので、詳細な説明は割愛させていただきます。
説明は、以上になります。
○田中委員長 ありがとうございました。
ただいま説明のあった概況調査の結果及び実態調査の実施案について、御意見、御質問があればお願いします。
千葉委員、どうぞ。
○千葉委員 御説明どうもありがとうございました。
今の話で、概況調査の結果、それから今度やる実態調査の実施概要がよくわかりました。まず1つは、概況調査の所感というか、雑駁な感想めいたところなのです。資料の1のところに概括的に収支差率とか給与費の比率等々が入っておりまして私どもの実施している調査と同様の傾向であり、こんなものだろう思いました。特に今回の調査対象期間で行われた報酬単価改定は、そんなに大きなく動いたものが多くないため、かなこのような動きになると思います。先ほどのご説明だと、収支差率の変化動向に着目されていすました。
確かにサービスの区分によっては、プラスが出ているところと、マイナスばっかりのところとかがあるのですが、収支差率が下がって低下傾向にあるというのが見られます。1つはそういう変化傾向を見るのも大事なのですけれども、収支差率そのものの絶対水準の解釈も重要なのではないかなと思います。
特に、この中で言うと、四、五%ぐらいの収支差率があるところもあれば、本1%前後ぐらいのサービスもあります。この辺が、報酬改定の議論としてどう捉えるか。この委員会で議論するべきことでもないのでしょうけれども、解釈としては、その増減の方向性だけではなく、その水準に着目した分析が必要だろうということは申し添えておきたいと思います。
次に実態調査のほうについて、意見と、それから質問をしたいと思います。
まず、資料3のほうでございますが、調査の時期について、これは資料3の1ページとか、2ページあたりにも書いてあるかと思うのですが、令和2年の5月ということで、調査の利用目的、時期から逆算すると、この時期の調査というのでしようがないかと思うのですけれども、考えてみると、この時期というのは、3月決算を迎えている客体にとっては結構厳しい時期ということになるかと思います。
そういう意味では、調査被験者の負担というところでいったときに、この5月の実施というのを、先ほど締め切りを多少緩くしたという話もあるので、その辺の配慮も評価したいと思うのですけれども、毎回そうですけれども、この5月というのは結構きつい時期だということで、回収には努力いただきたいというところが、まず意見の1点目になります。
それから、前回の概況調査では参考統計になっていた、介護医療院が今回から正式に加わるということで、まず抽出率等も、その設定が書かれていたわけでございますけれども、介護医療院は、ちょうど今、移行時期でございますので、決算年度途中での移行もありうるので、フルに12カ月決算を迎えたものに絞って調査する必要がある。そこは御留意いただければというのが、調査について2つ目です。
あと、今回調査方針のところで新しく加わる事項として、減価償却方法と人材というところがあります。
調査は、当然ここに記載されている背景があって、特に減価償却などについては、基準費用額のホテルコストの算定上の重要な判定項目になりますから、ここのところの実態がどうなっているのか、多分、税法上とかで幾つか課税法人については、加速償却等をしている部分が、この時期にあるかと思うので、それに伴って減価償却の出方が変わってしまうと、それが結果として、ホテルコストにはねる。そう考えると、これは、ぜひ調査するべきだろうと思っております。
ただ、実際、今回これを調査して、マル2の介護人材のほうもそうなのですけれども、具体的に報酬改定等々、調査の結果が出た後に、これをどう読むのかなというところが、少し気にはなりました。
というのは、例えば減価償却については、減価償却の方法ごとに何か集計をするとか、そういう意図があれば、そのれを調査するということで意味があるかと思うのですけれども、実際そういう調査結果を最後に分析・解釈するのかどうか、要は調査するときには、それによってどういう結論を得たいのかというところを意図しながら調査するかと思うので、この項目を立てること自体は、全然異論はないのですけれども、どう活用したいのかというところは、少し御説明をいただければと思っております。
それから、処遇状況関係で勤続10年以上の介護福祉士というのが、多分、これは特定処遇改善加算の新設に対応した調査になるのだろうと思います。
特に前回の処遇状況等調査のところでは、あくまで施設の中のサンプルなので、10年以上の職員がどういう実態なのかと、実際のボリューム感がわからなかったというのもあると思うので、そういう意味では、今回これを調査することで、その動向がわかるということはとても重要ではないかなと思います。この調査を加えることに対しては支持したいと思いますし、また、これについては、そういう意図で調査されて、結果も分析されるのだろうということですから、その辺は調査の結果が出たところで、慎重に見ていただければと思っております。
さらに、今回、調査の対象期間ということでいいますと、令和元年度の決算になると思いますので、今度の3月に迎える決算になりますから、この間、何が起きるかというと、今年の10月、例の消費税の増税というのが入りましたので、費用項目、さらにはそれに対応した、報酬が多少手当されているところもありますから、その分の効果があるということでいうと、これは次回に結果が出たときに言えばいいことかもしれませんけれども、単純に、それまでの調査と連続して比較するという前提が少し崩れているかなというところは、要注意かなと思っております。
大体、以上の話でございます。
よろしくお願いいたします。
○田中委員長 見方などについてのコメントありがとうございます。
1つ質問がありましたので、お答えください。
○説明者 新しく調査項目としてとるものについて、どういう活用を考えているのかという趣旨と理解しましたが、まず、マル1の建物の償却方法に関する項目ですけれども、これは、過去の介護給付費分科会におきまして、基準費用額については、今後、経営実態調査で実態を把握した上で、どのような対応を図るべきか、引き続き検討が必要という指摘がございました。
この指摘を踏まえまして、居住費の主要な構成要素である減価償却費を精緻に把握するため、各事業所の皆様がこの調査票に記載いただいている減価償却費について、記載内容の検証といいますか、著しく実態とかけ離れた数字が記載されていないかといった視点から、エラーチェックということで考えておりまして、具体的な集計をどのようにしていくかという点につきましては、引き続き検討させていただきたいと思いますが、まずは、実態に沿った適切な記載がなされているかどうかの確認に用いたいと考えております。
○千葉委員 ありがとうございました。
基本的には、多分、この情報をとったからといって、今回の報酬改定そのものに何かはねさせるというよりは、まずはボリューム感とか、傾向、トレンドを知っておきたいということかと思いますので、それはそれで、今後の議論の重要なインプットになるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田中委員長 藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 最初に質問が2点ございます。
まず、回答率なのですけれども、全般に、非常に書くことが難しい調査に御協力をかなりいただき、あるいは事務局のさまざまな努力があるのだろうと思うのですけれども、回答率が全般に上がっているということを非常に評価したいと思うのですけれども、少し気になる傾向といいますか、資料1の3ページに回答率がございますが、全般には、1ポイントですけれども、中には非常に回答率が向上しているもの等ございまして、評価したいのですけれども、大どころといいますか、老健と訪問介護というのが、老健は10ポイント以上、訪問介護も10ポイント近く減っておりまして、多分それ以外は軒並みふえておりまして、むしろ大幅に改善して、済みません、特養も若干減っていますね。それ以外は軒並みふえていると見えるのですけれども、回答率が上がった、下がったという原因はなかなか難しいのですけれども、何かの老健、特養、それから訪問介護、特に老健、訪問介護はかなり落ちて、特養レベルの回答率が変化ですと、自然な変化というか、たまたまの変化ともとれなくはないのですけれども、老健と訪問介護だけ大きく下がっているということで、調査の実行上で何かお気づきになった点があるか、ないかという点をお聞きしたいのが1点です。
2点目なのですが、2ページでございますけれども、細かなことで申しわけないのですけれども、4行目と8行目に訪問介護(介護予防を含む)、通所介護(介護予防を含む)とございます。
4ページで、先ほどのページも一緒なのですけれども、4行目と8行目、訪問介護と通所介護がございます。これは平成30年度ということですので、介護予防は、まだ残っているのですかねという質問と、介護予防を含むと書いておりますので、それから、逆に総合事業も除いているということでいいのでしょうかと、これは確認の質問です。
以上、まず、質問は2点ございます。
よろしくお願いします。
○説明者 まず、1点目の回答率の減少要因ですが、確かに回答率としては御指摘のとおりでございます。
調査に当たっては関係団体に調査への協力について依頼させていただいておるところでございますけれども、この減少要因につきましては、少し吟味が必要だろうと思っておりまして、まだ深く検証できていない状況です。
2点目の4ページの表記の件ですが、例えば訪問介護であれば、収支差率は1つの訪問介護事業所としての収支差率を推計しています。
したがいまして、利用者の中には介護予防の方も含まれるという意味で介護予防を含むという表現になっております。
以上です。
○藤井委員 済みません、ちょっと質問の仕方が悪くて、介護予防は総合事業に、平成30年度で訪問介護、通所介護は全部切りかわったので、介護予防の方が存在していないことになるのではないでしょうかという制度上の確認です。私の誤解というか、不理解が多分あるのだと思うのですけれども。
それと総合事業があるわけですから、そうすると、この訪問介護には、総合事業も含むと、済みません、除くと言いましたけれども、含むということの理解でいいのかと、その2点の質問です。
○説明者 失礼いたしました。
総合事業も含む内容ということで、介護予防というより、要支援の方もおられるという意味ですので、表現が適切かどうかは、御指摘のとおりかと思いますので、今後、改善していきたいと思います。

○田中委員長 ほかによろしいですか。
藤井委員、続けて、どうぞ。
○藤井委員 引き続き、まず、概況調査の結果に関してコメントを申し上げたいと思います。
千葉委員のおっしゃったことは、全て私もなるほどと思っていることでございまして、同意見でございます。
それに加えてということになるのですが、資料1の1ページ目を見ますと、報酬改定は、全般には上げたはずの改定であったのですけれども、全体を見てもマイナスですし、各サービスを見てもプラスになっているものが、特養、特定、居宅介護等々と限られているということで、その分析に関して、報酬はしっかり上がっている、しかし、人件費等がそれ以上に上がっているという解釈だったと思いますけれども、私も数字の解釈としては、そのとおりだと思いますし、現場でさまざまな経営者の話を聞いても、その実態に間違いないと思っております。
ただ、1点留意が必要かなと思いましたのが、2ページで人件費率の御説明がございました。
これは、収益に対してということでして、人件費率が下がっているところが、要は特養、ケアマネというのは、これは利益率が上がっているということでございますけれども、大きなポイントは人件費率が下がっているということだと思うのですけれども、これを見ますと、人件費があたかも下がったように誤解しかねないのですけれども、実際、資料の2以降を見ますと、やはりしっかり人件費は上がっているということかと思います。
なおかつ、現に聞きますのは、田中先生がよくおっしゃっている、もう人手不足は介護業界自体の問題ではないので、介護人材の人材不足というものはなくなったという言い方を、シニカルにおっしゃる方が、私は聞いたことあるのですけれども、まさにそのとおりで、よく私が聞きますのは、処遇改善ということで、これまで一定程度効果があったけれども、もう介護職員の給料を上げたから職員が来てくれるというのも限界にきていると。
そもそも人が集まらない以前にいない。さらに、いたとしても、以前だったら介護の仕事をお願いするには不向きな方々まで採用しているので、非常にリスクマネージメントとか、そういうことに気を使わざるをえないと。
ですから、もし、人がいれば雇えるはずで、人件費率も上がっていたはずだということも、特養の場合もあったのではないかと。
では、なぜ老健が違うのかというと、老健は看護師の比率が高くて、看護師の需給状況は介護に比較すると緩んできていると思います。実際、有効求人倍率を見ますと、看護のほうは緩やかに下がってきておりますので、そういう意味では、介護職員に頼っている特養というものが、人件費率が上がっていない部分、もちろん利用者1人当たりとか、そういうもので上がっておりますけれども、その分は、そういう影響もあるだろうし、それからその他というところで、今、委託費という形で出ているもの、その他、内委託費というものが、例えば特養ですと、6.7から7.0ということで0.3ポイント上がってございます。
これは相当部分、派遣社員という部分が占めていると思いますので、人件費率というものだけ比べて見ていただくというのは、少し留意が必要かなと思います。
それから、政府が旗を振っていただいているおかげで、最近よく聞きますのは、やはりロボット、ITをいかに入れるかということを、かなり真剣になってやっておられまして、そういうものも、その他コストの中に反映されてきているのだろうなと思いますので、そういった見方をしていただければと思います。
2番目ですけれども、今回のように、概況調査がありまして、すなわち同じ施設に2年度分聞くと、制度改定前と後に聞くということをして変更された結果として、例えば、資料2の3ページを見ていただきますと、分布が出てございます。
この黄色の分布というのは平成28年度でございます。母集団は違うので、この分布の形を比べること自身余り意味がないと。統計学的に見て誤差率を勘案して、平均の利益率というものを差の意味というものは問えると思うのですけれども、この分布の形は、評価しにくいと思うのですけれども、今回概況調査では、29、30の同じ客体ですから、分布の形をきちんと見られるということが、今後重要になってくるかと思います。
特養を見ますと、10%を超える利益率だったという部分が、かなり落ちまして、それから赤字傾向のところも若干減り、そして0から5のところがしっかりふえていると。
適正な介護報酬とはどうあるべきかというのは、難しい議論だと思うのですけれども、やはりまだ適正な利益率というものに集約されているという意味では、こういったものも見たほうがいいのではないかと思います。
ただ、これは、特養の場合で言うと、個室ユニット型と従来型では、かなり費用構造が違いますので、一緒にしたものを見ていいかどうかということでございます。
特養の結果が、実はケアマネも同様に出ておりまして、何とか収支差率がアップになっていると、利益率がアップになっているというところは、赤字傾向のところもプラスになり、黒字傾向のところもマイナスになるという形で、平均を見るだけでなく、適正化したのではないかなという見方ができると思うのです。
逆に、若干の赤字になった代表例として老健を4ページで見ますと、要は全体的に赤字にずれていると。
ただ、この老健だけが特殊で、ほかは大体こういう傾向なのですけれども、15から20のところが少し上がっているように見えます。
老健の場合は、強化型、超強化型という流れの中で、それを5パターン別に見ると、利益率が高いところはどういうところなのかという話にもなると思います。
ですので、概況調査が現在のようなやり方になりましたので、平均だけではなくて分布もしっかり見ていただくということが、今後、求められるのではないかなと思っております。
それで、少しフライングいたしますと、やはり、これが見られたほうがよりいいのではないかと。つまり、今、概況調査と呼びまして、実態調査のほうが母集団も多いですし、メーン調査ということの位置づけに言葉上からもなっているかと思うのですけれども、全く将来的にで結構なのですけれども、こちらのほうの母数がふえたほうがいいのではないか。こちらの介護報酬前後のものを同じ客体で見られるという調査を、むしろ重視していいのではないかということが1点。
それから、改定の次の年の影響ですと、対応等が不十分であるとか、報酬によっては10月から改定するものもあったりします。
ですので、本当にできればなのですけれども、今回で言うと、29、30、平成元年と3年度とっていただくとか、そういうものができると、より見る側からすると、まさに介護報酬の改定の動向が見られるということでは、いいかなと思っております。
以上、2点が意見といいますか、読み方ということで感じたことを申し上げさせていただきました。
以上です。
○田中委員長 読み方並びに調査の将来の方向、今回のことというよりも、将来の方向についても御意見を頂戴しました。ありがとうございます。
○田中委員長 堀田委員、お願いします。
○堀田委員 今、藤井委員のおっしゃった将来の方向ということで、何だか何年かおきに同じことを申し上げたような気がするのですけれども、現状では、概況調査も実態調査も3年おきに1点抽出率で抽出して、毎回別のところに、同じところに当たる場合もあるかもしれないですけれども、やっているということですけれども、割とこの数字を見ながら、次の改定にということになると、やはりどこかの段階で、パネルで追跡をしていくということも、各種別少数であっても検討していただいてもいいのではないかなと思います。
同じところを追跡していくということになれば、記入にかかる負担も下げられる部分も大分あるのではないかなと思いますし、それをやったほうがより意味がある数字を出していける余地もとてもあるのではないかなと思います。
もちろん追跡調査となると、単年度事業ではなかなか組みにくいということになると思いますので、別に心がけを、よくわからないのですけれども、何らかの枠をとっていただいてパネルをつくるということも、そろそろ御検討いただいてもいいのではないかなと思います。
以上です。
○田中委員長 ありがとうございます。
もしかしたら、先に老健事業か何かで少数のパネルデータをとるような研究が先行するといいかもしれませんね。ありがとうございます。
岩下委員、お願いします。
○岩下委員 私からは実態調査のことで、調査時期について1件と、建物の減価償却費のところで1件、質問と、お願いという形でお話させていただきたいと思います。
まず、資料3の1ページで、2番の(1)の調査時期です。
これは、先ほど千葉委員のほうからもお話がありましたとおり、令和元年度決算額について、令和2年5月に調査をするということは、恐らく、まだ法人組織としては、決算の確定の作業中の段階であって、恐らく理事会とか取締役会で決算を確定する前の段階の数字が、この調査の中にあらわれてくる部分が多いのではないかと想像しているところです。
私ども会計監査等で、今、会社にお邪魔すると、やはり経理部門のほうも残業規制があったり、働き方改革あったりということで、人材が逼迫している状況の中で、決算を組みながら、この調査にも応えていくというのは、かなりの負担になっているのではないかということ。
あと、この調査数値に基づいて、いろいろな政策が決められていくとすると、この数値の確からしさというものは、やはり決算が確定しているものからとれるほうが望ましいのではないかということで、調査時期を変更することはかなり大きな変更になりますから、いろいろな検討が必要かと思いますが、ぜひその点も踏まえて御検討いただければと考えております。
それに関して、資料4-1でございます。
2ページのところに、単独会計か一体会計かというところを区分してマルをつけることになっております。
以前から法人全体の調査ということについても、いろいろな議論がされていると認識をしておりますけれども、2ページのところで、単独会計、一体会計の区別を記入していただいた上で、どのような補正をされていらっしゃるのかということが、私の中では理解が至っておりませんでしたので、もし簡単に御説明いただけるようなことでしたら、お話をいただければと思います。
以上が調査時期でございます。
あと、建物の調査の件でございます。
例えば、資料4-1の5ページです。建物の状況についてお伺いしますということでございますが、私の理解が足りていないのかもしれませんが、建物と言った場合に、会計の場面では建物、建物附属設備、また、構築物まで入れられているところもあるかと思いますが、ここで調査の対象としている建物の範囲というのが、どのようなものなのかということを質問させていただきたい。
あと、5ページの下の4番に、入所部分と通所部分と平米を分けて記載しておりますけれども、入所と通所別に減価償却費等を把握する必要はないのかというあたりの御質問です。
いろいろな施策が、もし、入所と通所と分けて考える必要があるとすれば、そういった区分の情報も必要なのではないかと考えた次第での御質問です。
以上でございます。
○田中委員長 御質問が3点ございました。お答えください。
○説明者 それでは、順番に答えさせていただきたいと思います。まず、単独会計と一体会計についての質問ですが、ここで単独会計と称しているものは、調査対象サービス単体で会計が区分されている場合を指しています。
他方、一体会計は、ほかのサービスとまとまっている場合を指しています。
この調査では、サービスごとの平均的な費用を把握することとしていますが、入所部分と通所部分の把握についてのお話もございましたが、当該調査対象サービスの特に支出面をどうやって把握するかというところが難しい点でありまして、調査票の6ページまでのデータに基づきまして案分をしていく形になります。
ある程度機械的にやらざるを得ないという制約もございますが、そのような形で処理をさせていただいております。
2点目の建物の範囲ですけれども、この設問は、施設サービスにだけ設定させていただいておりまして、端的に申し上げると、そのサービスで使用している建物、例えば介護老人福祉施設で使用している建物という捉え方になります。
3点目の入所、通所をどこまで把握するかという点でございますけれども、記入者負担ですとか、当該サービスの平均的な費用を把握するという調査目的にも鑑みまして、現在はこういった形でやらせていただいておるところでございまして、御指摘の点については、今後、少し吟味をしていきたいと思っております。
○田中委員長 課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 若干補足をさせていただきます。
実態としては、例えば資料4-1の5ページの下の図でございますけれども、特別養護老人ホーム、介護老人福祉施設では、入所のサービスが基本でありながら、そこにデイサービス部分がありまして、そこには、日々何十人かの御利用者さんがいらして、そこを活用しているということがございますが、一方で介護報酬自体は、入所者、御利用者様に対して1日何単位と、それから通所の方も要介護度ごとに何単位と決まっておりまして、これは、私ども一定の割り切りのもとに、平均的な費用を勘案して介護報酬を決めているところでございます。ある意味、施設としては一体的に運用していて、職員さんも兼任しているという実態があろうかと思いますけれども、そこは私ども一定の割り切りをして、一定の処理をして、それぞれごとの費用として勘案して、算出をし、それを介護報酬設定に用いているということになろうかと思います。
○田中委員長 質問は、まだあるかもしれませんが、この後、介護給付費分科会がございまして、もし、お気づきの点があれば事務局にお伝えください。
私の感想は、資料1の2ページ目の人件費率ですね、給与費比率と収支差の変化が見事にプラスマイナス逆転している点が、おもしろいというと失礼ですが、特徴的であると思いました。
2ページの一番右の列が給与費の増減で、こちらがプラスになっていると、その2つ左の収支差率がマイナスになって、22行ありますが、うち19行でプラスマイナスが見事に逆転している。残りの2つも実はゼロなので、本当に両者がともにプラスの項目は1行しかないのですね。やはり、人件費の割合が大きいと、最初の説明にあったとおりの効果が読み取れる点が、委員としての私の感想でございます。
では、本日の議題1及び議題2については、提示された内容で当委員会としては了承し、この後開催される介護給付費分科会に報告する扱いでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中委員長 ありがとうございます。
御議論ありがとうございました。本日の審議はここまでといたします。
次回の予定について、事務局より説明をお願いします。
○北原介護保険データ分析室長 ありがとうございます。
次回の日程等については、事務局より追って御連絡させていただきますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
○田中委員長 これにて閉会いたします。
お忙しいところ、朝から集まっていただいてありがとうございました。