技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第41回) 議事要旨

                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 令和2年1月31日(金)15:00~17:00

○場所 厚生労働省専用第12会議室(15階)

○出席者:
  大迫委員、岡野委員、椎根委員、冨高委員、羽柴委員、花山委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (宿泊関係)一般社団法人宿泊業技能試験センター、厚生労働省、観光庁
  (印刷関係)全国グラビア協同組合連合会、経済産業省
  (非加熱性水産加工食品製造業関係)全国水産加工業協同組合連合会、水産庁
 
○議題
1 宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について
2 印刷職種(グラビア印刷作業)の追加について
3 非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造及び生食用加工品製造)の追加について
 
○議事
1 宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について
 
○ 宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について、宿泊業技能試験センターより概ね以下のとおり説明があった。
・ 前回の専門家会議の指摘事項への対応について御説明する。まず、1番目の、試験実施体制等に関する要改善項目が多すぎるとの御指摘について、試行試験で要改善事項が多かったため、これらを全て完全に実行できるように、今後も独自に試行試験を行い問題がないか改めて再確認するとともに、本試験の前に試験監督者に対する講習会、試験のシミュレーションを併せて行うことで、公平・公正な評価を行っていきたい。
・ 2番目の御指摘について、大きく3点ある。まず1つ目で、受検者が解答することが出来ず試験監督者が説明した課題があったとの御指摘について、製作等作業試験では、実習実施者の宿泊施設の実際のレストラン及び客室を使う。一方、フロント及びロビーはお客様が常にいらっしゃる宿泊施設が多く実技試験の実施が難しいため、フロント及びロビーを再現した会議室で実技試験を実施する。ただし、その際にも、試験監督者は受検者がシチュエーションを理解していることを確認してから試験を実施することで、受検者が実力を発揮できるようにしたい。2つ目で、詳細な試験内容を事前に提供することは教え過ぎではないかとの御指摘について、試験課題の最低限の情報のみ提供する。3つ目で、試験監督者が受検者に一つ一つ作業を指示するのは答えを教えことになるとの御指摘について、試験監督者は受検者に実習してきた一連の作業を行うよう求めることにとどめ、運営マニュアルを見直すとともに、試験監督者の講習会を通じて徹底する。
・ 3番目の、3人の試験監督者の評価が割れた際は試験監督者が協議した上で評価を決定する方が良いとの御指摘について、そのように対応する。
・ 4番目の、実技試験で使用する器具等は本物に近いものを用意したほうがよいとの御指摘について、できる限りそのように対応したい。
・ 5番目の、学科試験は難易度を再検討すべきとの御指摘について、初級及び専門級の双方において、一般常識で分かる問題はなるべく減らし、安全衛生や問題や旅館・ホテルの専門的な知識を問う問題を追加し、レベル感を上げていく。また、難易度の再検討に当たっては学識経験者の意見を聞いたほうがよいとの御指摘については、評価委員会の委員として考えている観光学部の教授、職業能力開発の専門家、観光関係の専修学校の講師の方々に適切に評価いただくことを考えている。
・ 6番目のアレルギーを上司がどのように確認するのかという御指摘について、第2号技能実習では、実習生がお客様に料理の注文を聞く際にアレルギーの有無も確認し、お客様がアレルギーが有るとおっしゃった場合には、その旨を上司に報告し、上司はお客様にアレルギーのより詳しい情報を聞きに行く。
・ 最後に、宿泊職種の技能実習の内容を詳しく説明したテキストをなるべく早期に作成し、受検者の実習に役立てていただきたい。

○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員)フロントやロビーを再現する会議室のシチュエーションは、今後作成される実習用のテキストに載せられるのか。
説明者)載せることを考えている。

○ 検討の結果、宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について、了承された。
 
 
2 印刷職種(グラビア印刷作業)の追加について
 
○ 印刷職種(グラビア印刷作業)の追加について、全国グラビア協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 前回の専門家会議における指摘事項への対応で、1つ目は、受検者が実技試験中に非常に危険な行為をした場合でも合格となってしまうのではないかとの御指摘をいただいた。この対応として、試験監督者が安全衛生上、危険作業と判断した場合は、試験を停止し失格とする。
・ 2つ目は、同一行為を加点と減点の両方で評価しており、いずれか一方で評価すべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、加点のみで評価する。
・ 3つ目は、試験監督者によって評価にばらつきが生じないようにすべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、試験監督者によって評価にばらつきが生じない対応をとる。
・ 令和元年11月27日に株式会社日商グラビア本社工場で実施した試行試験の結果を説明する。初級・専門級ともに受検者3名、試験監督者3名で実施し、学科試験、実技試験ともに受検者全員が合格した。
・ 試行試験に立ち会った外国人技能実習機構の指摘事項への対応で、1つ目は、計器によって測定値が異なり得点にも影響したため、使用する計器は統一する、また、測定箇所によって測定値にブレが出たため複数箇所を測定し平均値を出すなど工夫が必要との御指摘を頂いた。御指摘を踏まえ、計器のメーカー品番を統一するとともに、測定箇所は3箇所として、その平均値で判定する。
・ 2つ目は、製作等作業試験で各受検者の間隔が若干狭かったので十分なスペースを確保すべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、各受検者の間隔に十分なスペースを確保する。また、測定者によって計測値が異なる場合があるため、対応を検討すべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、測定値は複数の試験監督者の平均値とし、試験実施マニュアルに規定するとともに試験監督者に対する講習会で同マニュアルの内容の周知徹底を図る。
・ 3つ目は、試験監督者が安全衛生上、危険作業と判断した場合は、試験停止し失格とするとしているが、何をもって危険作業と判断するかが不明であるため、あらかじめ合否基準を定めておき、試験監督者によって採点にばらつきがないようにすべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、具体的な危険作業を定めた。
・ 4つ目は、採点基準を明確化するとともに、試験材料を概ね同じ状態にしておくべきとの御指摘をいただいた。御指摘を踏まえ、概ね同じ状態の試験材料を用いるとともに、採点基準を明確化する。また、試験実施マニュアルに規定するとともに、試験監督者に対する講習会で同マニュアルの内容の周知徹底を図る。

○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員)受検者の補助者が熟練者か否かで試験の結果に影響がないか。
説明者)補助者が熟練者か否かで影響を与えることはない。
委員)時間の経過によってインキの粘度が変わらないように蓋をされたらどうか。
説明者)今後は蓋を用意する。
委員)試験中止となる危険な作業について「意図的に」行ったと記載するのは違和感がある。そういう状況で作業すると危険な作業に該当するという記載した修正すべき。
説明者)御指摘を踏まえて修正する。
委員)実習場所だけでなく試験場所の安全にも細心の注意を払っていただきたい。
説明者)注意を払いたい。
委員)試行試験の受検者は日商グラビアの社員だったが、試験監督者の一人に同社の役員が含まれている。本番の試験でそういうことがないように徹底していただきたい。
説明者)試験監督者のマニュアルに入れ込むことで徹底したい。
委員)試行試験で要改善事項が多数あったが、本番の試験では受検者に不利・不公平が生じないようにしていただきたい。
説明者)承知した。
委員)本番の試験では受検者だけでなく試験監督者や補助者の安全にも配慮いただきたい。
説明者)配慮したい。
委員)本番の試験でも試験監督者3名で同一受検者を評価するとのことだが、評価にばらつきが出た場合にどのように対処するのか。
説明者)試験監督者の話合いで決定する。
 
○ 検討の結果、印刷職種(グラビア印刷作業)の追加について、了承された。
 
 3 非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造及び生食用加工品製造)の追加について
 
○ 非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造及び生食用加工品製造)の追加について、全国水産加工業協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 前回の専門家会議での指摘事項への対応で、工程表を自分で作成できるようになるのはどのくらいの難易度なのかとの御指摘について、工場では工場長または、経営者が作成している。既存作業の上級試験において工程表作成の問題の正答率は適正な範囲と考えている。
・ 2番目の、水産加工品を製造する工場は大規模でも小規模でも、実習生は同じような技能が身に付けられるのかとの御指摘について、同じ技能が修得できると考えている。
・ 3番目の、工場の規模により使用する加工器具などが異なるが試験で使用する器具等はどうなるのか、試験で不公平が生じないようにして欲しいとの御指摘について、水産加工工場はカスタマイズされた機械や大型の機械が多いため、試験では実習生が使い慣れた包丁を持参いただくことで公平に試験は行われる。
・ 4番目の、大規模な工場ではラインにより分業化されており、どのように技能実習を行うのかとの指摘については、技能実習の期間内に各ラインで実習することを通じて、必須業務の全ての内容を実習していただく。
・ 次に、今回の作業追加に係る試験内容等を御説明する。前回の専門家会議に提出した審査基準(案)の関連業務を一部修正した。
・ 試験基準(案)の前半は非加熱性水産加工食品製造職種の共通部分と専門作業の部分学科試験の範囲となり、後半は実技試験の範囲となる。実習生の実習の実態に合わせるために既存の作業の一部も修正している。また、従来、安全衛生管理作業として衛生管理に含めて出題していた安全衛生を独立させて出題する。
・ 評価試験の概要だが、調理加工品製造作業と生食品加工品製造作業のそれぞれで学科と実技の試験を実施する。実技試験は、初級、専門級、上級で製作等作業試験と判断等試験の両方を実施する。
・ 最後の試験実施機関の概要は、昨年10月に既存作業に係る評価試験の実績報告時に報告した内容となる。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員)「半解凍」はどのような状態か。
説明者)包丁で切ったときに一番きれいに断面が切れる状態を指す。
委員)包丁で切れるというのは試験監督者により判断が分かれることはないか。
説明者)2年に1回の試験官の会議で半解凍の状態を議論していただき、共通化を図っている。
委員)魚種により標準的な歩留まりが決まっていると思うので、それ以上の歩留まりで処理できるかを試験してはどうか。
説明者)御指摘を踏まえて検討したい。
委員)高度衛生管理ができることの定義は何か。
説明者)原料処理から製品処理までの間に手袋の交換・消毒、まな板や包丁の洗浄・消毒ができることである。
委員)非加熱性水産加工食品製造業職種の各作業で合格率に差はないか。
説明者)これまで20年間試験を行ってきたが、各作業で合格率に大きな差はない。
委員)試行試験で3人の試験監督者の評価が割れた場合に、何が原因で評価が割れたか、どのようなプロセスで解決したかを知りたいので、これらの記録を残していただきたい。
説明者)承知した。
 
〇 検討の結果、非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造及び生食用加工品製造)については、次回以降、引き続き議論が行われることとなった。

 
(以上)