2019年3月8日 第24回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会 議事録

日時

平成31年3月8日(金)10:00~

場所

労働委員会会館講堂

出席者

【公益委員】
    小畑部会長、戎野委員、鹿住委員、中窪委員、仁田委員
【労働者委員】
    小原委員、冨田委員、永井委員、新沼委員、平野委員
【使用者代表委員】
    秋田委員、正木委員、佐久間委員、中西委員、橋本委員、増田委員
【事務局】
    坂口労働基準局長、田中大臣官房審議官、武田賃金課長、伊勢副主任中央賃金指導官、松本賃金課長補佐

議題

最低賃金法施行規則の一部改正について

議事

○武田賃金課長
 おはようございます。ただいまから、第24回最低賃金部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。私、賃金課長の武田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回の開催から10年ぶりの最低賃金部会開催で、改選後初めての部会となりますので、部会長選出まで私が議事進行を務めます。
 まず、部会の委員ですが、労働政策審議会令第7条第2項により、部会の委員は分科会長が指名するとこととされております。労働条件分科会の荒木分科会長に、議事次第の次のページにあります名簿のとおり、部会の委員を御指命いただきました。議事に入ります前に、久しぶりの開催のため、委員の皆様を御紹介させていただきます。議事次第の次のページを御覧ください。まず、公益委員の戎野委員、小畑委員、鹿住委員、中窪委員、仁田委員、労働者代表の小原委員、冨田委員、永井委員、新沼委員、平野委員、使用者代表の秋田委員、正木委員、佐久間委員、中西委員、橋本委員、増田委員です。なお、本日は公益代表の藤村委員、労働者代表の伊藤委員が御欠席です。
 次に、事務局を紹介させていただきます。労働基準局長の坂口です。次に、大臣官房審議官、労働条件政策・賃金担当の田中です。次に、副主任中央賃金指導官の伊勢です。賃金課長補佐の松本です。
 続きまして、部会長の選出について説明をさせていただきます。部会長は、労働政策審議会令第7条第4項の規定に基づき、労働政策審議会に所属する公益委員の中から、本審議会に属する委員により選出されることになっております。事前に小畑委員が選出されておりますので、御報告申し上げます。その後の議事進行につきましては、小畑委員にお願いいたします。

○小畑部会長
 ただいま御説明がありましたとおり、御指名によりこの部会の部会長を務めることとなりました小畑と申します。委員の皆様の御協力を賜わりながら、本部会の円滑な運営に努めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。出席者は16名でございますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の御出席ですので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
 それでは、カメラの方がいらっしゃいましたら、ここで打ち止めということでよろしくお願いします。
ここで、事務局のほうから御報告があると承っておりますので、よろしくお願いします。

○武田賃金課長
 議事に入ります前に御報告をさせていただきます。報道がされております、全国特定最低賃金についてですが、現時点で厚生労働省として、具体的な検討や、調整を行っている事実はございません。以上でございます。

○小畑部会長
 それでは、本日の議題に入ることといたします。

○佐久間委員
 部会長、よろしいでしょうか。

○小畑部会長
 はい、佐久間委員。

○佐久間委員
 全国中小企業団体中央会の佐久間でございます。この会合、久しぶりに開催されるということで、今後ともよろしくお願いします。今、武田課長から御説明がありまして、私も昨日の夜からこの記事、また今日の新聞等々でいろいろ目にしまして、はっきり言ってびっくりしました。中央最低賃金審議会とか、この部会や目安小委員会、そして、また全員協議会等で、この地方についてのランクについても、ずっと打合せをしてきたはずでございます。それが最低賃金を特定技能の業種等に統一的なもの、賃金水準に合わせるということで、一方的に考え方を、個人的な考えということで新聞等々にも載っていますので、余り大きく捉えることもないのかなとは思いますけれども、課長が言われること、すごく影響力が大きいものですから、今後もそこは注意していただければと思っています。やはりこの地域差、これから春闘も大詰めを迎えて、それから最低賃金を審議していくわけですが、今年も東京が一番高い所として1,000円を超えるのではないかというようなことは噂としてあります。その場合に、今761円の鹿児島、また九州の多くは762円になっていまして、今年もし上がると、250円。ということはですね、格差が一気に同一賃金になるとすると、上に合わせるという形になると思います。これは平均的な840円とかそのぐらいだったらまだ、東京が差があるという形になるので分かるのですけれども、多分上に合わせるというような見解になってくるとなると、例えば250円が1日労働時間8時間ですから、それで1日に2,000円、2,000円が20日間で1か月4万円、4万円が12か月で48万円、これが100人ぐらいの従業員がいると、4,800万円以上の支出になる。これだけの単純計算ではいきませんが、これによってまた残業の時間がついたりとか、この4月から働き方改革を進めるということで、中小企業も今躍起になって自分のほうではどう取り入れていこうかということを真剣に考えているところでございます。
 この中で、やはり統一的に一気に、特定技能分野等の最低賃金の全国統一について、「なるんだ的」なことを、考え方といってもあのような場所で発言されることは、非常に私たちにとっても困ることです。私どもは、業種別の団体をいっぱい抱えています。この特定分野、特定技能となると、今、国のほうでは14分野を取り上げていますが、建設又は飲食料品加工とか、介護の関係とかいろいろな重要な分野があります。これは日本人の労働者がなかなか集まらないということで、外国人の門戸を開いていこうというものです。国際貢献であれば、技能実習があるわけですから、その辺を考えながらやっていかないと、いくら人を入れたから、地方に集まらないかといっても、今度はその逆に、費用負担によって地方の企業がつぶれてしまって、それによってなかなか給料が払えないということも出てくるかもしれません。今、人手不足倒産というのも多くなっていますけれども、今後もコストの削減というのは、どうしても人手不足であっても、取引先からはこれからも要求されてきます。このコストの中には、人件費というのも必ず入ってくるんですね。そこの中でやはりコスト削減をやっていくと、海外に移転をしてしまうという企業も出てくるかもしれません。そういう重要性のものがありますので、やはりここは労使双方が話し合って決定をしていくということで、お願いをしたいと思います。以上でございます。

○橋本委員
 よろしいですか。今お話がありましたので繰り返しは避けますけれども、今日の朝日新聞でもこの記事は載っておりました。かなりショッキングに捉えているところが結構多いものですから、今後、最賃がそういった形に検討していくということに対して、相当大きな影響が出てくるのではないかと危惧しているところです。したがって、今武田課長のお話があったとおり、厚生労働省としては具体的な検討を進めているわけではないと。着手しているわけではないという形でお話がありましたけれども、これについてはくれぐれも慎重に対応していただくことを、よろしくお願いしたいと思います。以上です。

○小畑部会長
 事務局から何か。冨田委員よろしくお願いします。

○冨田委員
 今頂いた御報告に対しまして、労側としても一言申し上げさせていただければと思います。私どもも報道を見たときに、報道そのものはどういうことをお考えになっているのかが詳しく分かるものではありませんでしたので、内容そのものについて、この場で言及するということではないのですが、今日の審議会や中央最低賃金審議会、更には目安全協などでは、労使様々な意見の対立がある中でも、最大限の施策を公益の先生方の御知見も頂きながら決めてきたという経過が、非常に蔑ろにされているように受け止めました。何かご検討されているのであれば、本来踏まれるべきプロセスが踏まれていないのではないかということ対して、遺憾な気持を抱いたというのが率直なところです。検討がこれから仮に進められるとするならば、こうした公労使三者の場がしっかりと尊重されて、その話し合いの元に検討が進められることを私の立場からもお願い申し上げておきたいと思います。以上です。

○小畑部会長
 事務局のほうからお答えはございませんか。

○坂口労働基準局長
 基準局長でございます。今、労使のほうからも、御意見を頂戴しました。先ほど武田のほうから申し上げましたとおり、本件について、厚生労働省として、具体的な検討を行っているということはございません。こちらのほうからもその点申し上げましたとおりですが、担当課長という立場で発言ということについては、十分今後も注意をさせたいと思います。いろいろ御迷惑をかけまして申し訳ございませんでした。

○小畑部会長
 それでは、本日の議題に入ることといたします。1つ目の議題は、「最低賃金法施行規則の一部を改正する省令案」についてです。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件でございます。事務局から説明をお願いします。

○松本賃金課長補佐
 それでは、説明させていただきます。お手元の資料のうち、参考1の最低賃金法施行規則の一部を改正する省令案(概要)を御覧ください。まず、改正省令案の趣旨ですが、働き方改革関連法によりまして、今年の4月1日から、高度プロフェッショナル制度が施行、導入されます。この高度プロフェッショナル制度の適用対象者につきまして、最低賃金法第4条の規定を適用するに当たっての賃金の換算方法を示す等のため、最低賃金法施行規則の一部を改正するものです。具体的な内容ですが、今回改正しようとしている最低賃金法施行規則第2条は、労働者の賃金を最低賃金額と比較するための換算方法を示した規定です。最低賃金額は時間単位で定められておりますので、労働者の受け取る賃金が時間単位で決まっていれば、その額と比較すれば問題ないということになりますが、それが日、週、月などのそれ以外の期間で定められている場合や、出来高払制のような場合に、どうやって最低賃金額と比較するかを規定しているものです。
 資料2ページのイメージ図も御参照いただければと思います。通常の労働者の場合は、時間外手当や賞与など最低賃金の対象とならない賃金を除いた、固定的に支払われる賃金を所定労働時間で除して時間単位に換算して、最低賃金額と比較するという形になります。あらかじめ賃金額や労働時間が決まっているため、最低賃金額と比較ができるという形になります。一方で出来高払制の労働者の場合は、売上や製作数によりまして、受け取る賃金が決まりまして、そのために費やした労働時間も事後に決まるという形になりますので、そのため賃金算定期間における賃金をその間に要した総労働時間で除して時間単位に換算し、最低賃金額と比較するという形になっております。事後にチェックという形で、最低賃金額に満たない場合は、最低賃金額までは必ず賃金を支払う必要があるというのが現行の仕組みになります。今回、取扱いを決めようとしております、高度プロフェッショナル制度の適用対象者ですが、この制度につきましては、時間ではなく成果で評価される働き方であるということでもありますので、その適用対象者につきましては、労働基準法第4章で定める労働時間等に関する規定が適用されないというものが制度の仕組みになっております。これはすなわち、所定労働時間の概念がないということになります。高度プロフェッショナル制度の適用対象者の要件といたしまして、1,075万円の年収要件というものがありますが、この年収要件の対象となるものは、名称の如何に関わらず、あらかじめ具体的な額をもって支払われることが約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金であることとされております。賞与に最低保障額が定められているような場合には、その最低保障額が含まれることになります。このように、高度プロフェッショナル制度の年収要件は、いわゆる基本給の支払方法、どういった形で払うかというところまでは、制度の中では規制されていないので、例えば賃金の払い方が月単位、月給制のような形で決まっている場合であって、極端に固定分の賞与を高くするような形で年収1,075万円の要件を満たしているようなケースが、一応理論上は考えられることになります。高度プロフェッショナル制度の適用対象者も、最低賃金法の適用除外にはなっておりませんので、賃金と最低賃金額の比較をする必要がありますが、先に申し上げましたとおり、所定労働時間の概念がありませんので、何でその時間の分は除すかということが問題となり得るという形です。幾つかの選択肢が考えられるところではありますが、高度プロフェッショナル制度の趣旨も踏まえまして、当該適用対象者につきましては、使用者に把握が義務付けられている健康管理時間を用いるというのが省令案の内容です。健康管理時間につきましては、適用対象者が事業場内にいた時間と、事業場外で労働した時間との合計になります。労使で決議した場合には、その事業場内にいた時間から休憩時間などの労働時間以外の時間を除くことができるという仕組みになっています。これが省令改正案の1点目です。
 2点目は、行政手続の簡素化のため、全省庁的に申請のオンライン化等を進めております。その一環として、社会保険労務士の方が使用者に代わってオンラインで申請する際に、提出代行証明書を画像ファイルで添付することで、事業主の方の電子証明書を省略可能にするという取組も行っております。既に労働保険や社会保険関係の手続につきましては措置済みで、最低賃金関係でも、減額特例の許可申請がオンラインでの申請が可能となっておりますので、今回、同様の対応をしようというものです。今回の省令改正の施行に合わせて、この部分も行うこととしております。いずれの内容につきましても、施行期日は本年の4月1日を予定しております。事務局からの説明は以上です。

○小畑部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。冨田委員お願いします。

○冨田委員
 ありがとうございます。最初に、本日は最低賃金法の施行規則の議論の場でありますので、高度プロフェッショナル制度そのものについて言及する場ではないというのは承知をしておりますが、改めて、現時点においても、労側の態度として、この高度プロフェッショナル制度の創設には、反対の立場であることを、まずは申し上げさせていただきたいと思います。その上で、法の施行が決まっておりますので、当然細則についての議論の必要性も理解はしておりますので、その立場で今回の提案について一点、事務局に確認をさせていただきたいと思います。今ほど御説明をいただきましたとおり、高度プロフェッショナル制度は、改正労働基準法第41条の2において、第4章で定められている労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用除外とされるため、時間当たりの賃金を算出することができません。一方で、最低賃金法が全ての労働者にあまねく適用される制度であり、高度プロフェッショナル制度適用労働者についても、法定最賃と比較ができるように、何かしらの時間額の算出方法が必要である、そのことについては理解をしたいと思います。その上で、提案いただいたこの健康管理時間を、時給算出のベースとした場合に、高度プロフェッショナル制度の枠組において、いかなる場合も最賃割れは発生することが本当にないのか、確認をさせていただきたいと思います。

○小畑部会長
 事務局お願いいたします。

○松本賃金課長補佐
 先ほどの最初の説明の中で申し上げましたとおり、高度プロフェッショナル制度の適用対象者については、そもそもの制度の要件として年収1,075万円というものが決まっています。1,075万円というのを、高度プロフェッショナル制度に課せられている健康確保措置による104日を除いた日数で、仮にですけれども、24時間その日全て働いている場合でも、1時間当たり1,700円ぐらいになるので、その水準そのものは今の最低賃金額と比べるとかなり高いものになるのですが、先ほど申し上げましたとおり、この払い方につきまして例えば年俸制で払わなければならない、月給制で払わなければならない、なかなか考えにくいですけれども、高度プロフェッショナル制度について時給制を取らなければいけない、そういった払い方までは決まっていません。仮に賃金が月単位で決まっている場合、月給でこの月の場合は何円、何円というふうに決まっていて、それとプラスして賞与が決まっていて、その合計額で1,075万円を満たしているというような場合、最低賃金の対象となる賃金から複数月に関するもの、賞与のようなものが除かれることになりますので、賞与の額が極端に高いような場合というのは、理論上最低賃金額を下回っているようなケースが可能性としてはあるのではないかという観点から、今回省令の措置をさせていただいたものですので、理論的にはあるのかなと考えております。ただ一方で、高度プロフェッショナル制度というものが、そもそも労働市場で価値の高い方といいますか、それ相当の年収要件を課せられている方ですので、そういった方が、最賃割れのような状況に甘んじるという言い方がよいかどうかは分かりませんが、そういったケースが実際に起こり得ることが、今の最低賃金の額の水準と比較すると、なかなかないのではないかなと考えております。

○冨田委員
 ご説明いただき、ありがとうございました。そうしますと、この高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者に法定最低賃金の実効性を担保するためには、その労働者に対して賃金がどう払われているのかということを正しく把握することと、それから時給換算の基になる健康管理時間を正しく把握すること、この2つの観点が大変重要になろうかと思います。今回の省令や指針に基づいた運用管理について、丁寧かつ徹底した厚労省のご指導も合わせてお願いしたいと思います。

○小畑部会長
 ほかにございませんか。

○新沼委員
 減額特例の許可申請に係る手続の簡素化の点について、一言意見を申し上げたいと思います。行政手続の簡素化、効率化を進めること、電子申請の利用率を向上させる必要性については理解いたします。しかしながら、申請の簡素化、効率化を優先するあまりに、最低賃金の減額特例に対するチェック機能が後退してはならないと考えています。最低賃金の減額特例は、各都道府県の労働局長の許可を受けたときに限って減額できる仕組みであって、届出制ではありません。むやみに減額されることのないように、各都道府県の労働局長が減額特例を許可するかどうか判断する際には、徹底した調査の上で慎重に判断するようお願いしたいと思います。

○小畑部会長
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見もないようですので、諮問のあった件につきまして、当部会としましては、妥当と認める旨、労働条件分科会に報告したいと考えますが、いかがでしょうか。

(了承)

○小畑部会長
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。報告文につきましては、私に御一任いただくということで、よろしいでしょうか。

(了承)

○小畑部会長
 ありがとうございます。ここで、坂口労働基準局長より、御挨拶をいただきたいと存じます。

○坂口労働局長
 ただいま最低賃金法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきまして、妥当と認めるとの御報告を頂戴しましたことを、改めて感謝を申し上げます。今この高度プロフェッショナルの改正、減額特例の手続の簡素化の改正ですが、報告をいただきまして、これから省令の公布にむけました手続をしっかり進めてまいりたいと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○小畑部会長
 では、次の議題に入ります。 
 2つ目の議題「その他」について、事務局から御説明お願いいたします。

○松本賃金課長補佐
 それでは説明させていただきます。厳密にはこちらの最低賃金部会の場ではなく、中央最低賃金審議会になりますが、毎年の最低賃金の目安額の審議において審議に用いております様々な統計指標の1つに、賃金構造基本統計調査や毎月勤労統計調査の結果を使っております。最低賃金制度に関する事項として両調査において判明した内容につきまして、担当部局ではなく我々賃金課としての立場ですが、簡単に御報告させていただきます。
 お手元の資料2-1、2-2を御覧ください。こちらの資料は厚生労働省が総務省の統計委員会に提出している、公表されている資料です。毎月勤労統計調査におきましては、調査計画上全数調査することとしていたところ、一部抽出調査で行っていたことが判明いたしました。また一部抽出調査で行ったことに伴い、抽出率が異なることを踏まえた復元が行われていなかった結果、平成16年~平成29年までの調査分の決まって支給する給与等の金額が低めになるという影響があり、雇用保険・労災保険等の給付を受けた方の一部に対し、追加給付が必要となっている状況です。この資料の中で必要な復元を行った再集計値についても記載されておりますので、御参照いただければと思います。
 次に、賃金構造基本統計調査です。こちらについては調査計画上、調査員調査において実施するとなっていたところ、郵送調査により実施していたこと等が分かりました。一般的に郵送調査のほうが調査員調査よりも回収率が低くなるとされておりますが、そもそも回収率向上策の効果もあり、回収率は一定の水準を維持していることから、厚生労働省としてはこちらは統計数値に変更が生じるものではないと考えております。簡単ですが、今のこの調査に関する状況として御報告いたします。以上です。

○小畑部会長
 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○冨田委員
 説明いただき、ありがとうございました。今説明いただいた2つの統計だけではなく、各種政府統計において長年にわたって調査計画や公開資料とは異なる方法で様々な調査が行われてきたことに対して、労側としては改めて極めて遺憾だと申し上げたいと思います。特に今説明いただいたこの毎月勤労統計や賃金構造統計基本調査は、この後行われる地方の最低賃金審議会等での参考資料の1つともなっておりますので、改めてとなりますが政府統計に対する信頼を回復するための措置を早急に講じていただくことをこの場で強く要望いたします。よろしくお願いいたします。

○小畑部会長
 佐久間委員、お願いいたします。

○佐久間委員
 申し訳ありません。私も、同じ意見です。今回、この毎月勤労統計が復元をした結果、0.6の乖離率という形になったことで、それほどと言ったらこれは語弊がありますが、統計の取り方によって、実際に抽出した対象、東京の場合は500件ですが、それが1500件に復元したときにはどうなるかということで非常に関心も持っておりました。これから私どもも、労使双方でも最賃の関係の議論を進めていくところです。このようなデータを各種使っていくわけですので、是非とも信頼あるデータの提供をよろしくお願いいたします。

○小畑部会長
 ありがとうございます。正木委員。

○正木委員
 繰り返しになりますが、中央最低賃金審議会の昨年の答申や目安、報告の中にもこれまでの最低賃金引上げの影響や効果について影響率、雇用者数はじめ、様々なデータを用いて検証を行うことが必要だということを私どもの主張として書き込んでいただいており、データの信頼性は、これからのSociety 5.0時代でますます重要になってまいりますので、是非信頼確保に向けて、再発防止に取り組んでいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○小畑部会長
 ほかにございませんか。よろしいでしょうか。

○仁田委員
 先ほど説明があったように、これは部会の話で、ちょっと筋違いかと思いますが中賃会長の立場でこの統計問題に関係して、この席をお借りして一言私の意見を述べたいと思います。聞くところでは、地賃の中にこの統計問題が最低賃金審議にどのような影響があるのかというふうなことで御心配もあるように承っております。そこで私から各地賃の会長さんにお伝えすることになるのかどうかはまだ検討中ですが、今労使の委員からも御意見がありましたが、重要なことは最低賃金法第9条において、地域別最低賃金は地域における労働者の生計費及び賃金、並びに通常の事業の支払能力を考慮して定められなければならないと明確に定められているところです。我々はこれに従って、最低賃金を審議し決めなければいけない立場にあるということです。
 ただ最低賃金額引上げの目安額、あるいは実際に引上げしている額については特定の指標によって何か自動的に決定されるというようなものではありません。賃金改定状況調査や春闘賃上げ結果のほか、名目GDPや消費者物価指数、有効求人倍率などの様々なデータ、またそのほかそれらのデータを踏まえて検討した上で、様々な要素を総合的に勘案して公労使からなる審議会で審議し、決定しているものです。このように様々なデータ等に基づいて審議会で審議し決定していったものでありますから、過去の最低賃金の決定については問題がないと私としては考えているところです。しかし今回の件で、統計への信頼が揺らいだという側面があることは事実だと思います。厚生労働省としては信頼の回復に向けて、今後十分努力をしていただきたいと申し添えます。以上です。

○小畑部会長
 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは以上をもちまして、本日の部会は終了といたします。本日の議事録の署名委員は労働者代表の冨田委員、使用者代表の正木委員にお願いいたします。皆様、本日はお忙しい中どうもありがとうございました。