技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第39回) 議事要旨

                               人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

○日時 令和元年11月15日(金) 10:00~12:00

○場所 厚生労働省専用第13会議室(21階)

○出席者:
  大迫委員、岡野委員、下村委員、當間委員、冨高委員、羽柴委員
  厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課
  外国人技能実習機構、公益財団法人国際研修協力機構
  (宿泊関係)一般社団法人宿泊業技能試験センター、観光庁
  (漁船漁業関係)一般社団法人大日本水産会、水産庁
  (化粧品製造関係)日本化粧品工業連合会、厚生労働省、経済産業省
 
○議題
  1 宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について
  2 漁船漁業職種(棒受網漁業)の追加について
  3 化粧品製造職種(仕上工程管理作業)の追加について
 
○議事
  1 宿泊職種(接客・衛生管理作業)の追加について
  ○ 宿泊業技能試験センターより概ね以下のとおり説明があった。
  ・ 前回の専門家会議で2つの指摘を受けた。まず、実習生に求める水準が第1号と第2号の内容に差が
   無いように見えるが、第1号の誰かいないと何もできないレベルと、第2号の自分で判断して対応できる
   レベルでは大きな違いがあるため、第2号で求める水準を明確にして、3年かけて修得すべき内容か
   どうか整理して頂きたい、との御指摘があった。これについて、第1号は上司の指示を受けて業務が
   できること、第2号は自ら対応が可能か上司を呼ぶかの判断など応用が利いた業務ができることと、水準
   を整理した。
  ・ また、実習生に求める水準について「タイミングよく」や「臨機応変な」という定量化が難しいものを、
   試験においてどのように出題するのか、試行試験時においては試験監督者を3名用意するなど、評価
   にばらつきが出ないよう複数人の目で判断する必要があるのではないか、との御指摘があった。これに
   ついて、今後、実施する試行試験では、試験監督者3名で受検者1名の評価を行い、その結果、評価に
   ばらつきがなければ、本番の試験では試験監督者1名で受検者1名の評価を行うこととしたい。
  ・ 実習生に求める水準の第1号と第2号の違いは、利用客の送迎作業では、第1号は挨拶、お声掛け、
   来館の御礼ができることなど、第2号は利用客の利用頻度、天候等の状況に応じた挨拶ができることなど
   としている。チェックイン・チェックアウト作業補助は、館内の状況を理解していないとできない作業である
   ため、第1号で行う他の作業を通じて、全体的な館内の作業の流れ等をつかんだ後、第2号から作業補助と
   して行うこととしている。
  ・ 審査基準については、前回の専門家会議で第1号と第2号の差を明確にすべきとの御指摘を受けたため
   構成など一部見直しを行った。
  ・ 学科試験の試験基準については、項目のみ作成したので、次回の専門家会議で詳細を御説明したい。
  ・ 実技試験の試験基準については審査基準の必須業務を踏まえて作成した。
  ・ 試験は実習を行う施設に試験監督者を派遣して実施する出張方式で行う。
  ・ 実技試験の内容について、初級、専門級とともに、製作等作業試験と判断等試験により行う。
  ・ 学科試験の内容について、初級では、出題形式は真偽法で言語表記はひらがな分かち書き+ヘボン式
   ローマ字とし、専門級では、出題形式は真偽法で言語表記は漢字かな混じり+漢字にルビとして行う。
  ・ 合格基準について、学科試験、実技試験ともに65%以上で合格とする。ただし、0点となった課題が1つ
   以上ある場合には不合格とする。
  ・ 採点基準を、採点項目ごとの「できた」と「できなかった」という基準とし、「できた」ものの配点を積み
   上げる加算方式とする。
  ・ 実技試験課題の採点基準・配点については、各課題ごとに列挙してまとめている。
  ・ 試験実施機関の宿泊業技能試験センターには、評価委員会及び試験委員会をおき、外部の者を委員とする
   予定である。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)必須業務から利用客の安全が完全になくなっており、利用客の安全と実習生の安全衛生が明確でない。
  説明者)対応について検討する。
  委員)第1号の技能実習の必須業務の「滞在中の接客作業補助」に「利用客への挨拶」が入っていない。
    お辞儀も深さによって違いがあるので、実技試験で出題してはどうか。
  説明者)御指摘のとおり対応する。
  委員)飛び込み客の対応や客室変更の対応など、実際にはあまりないことも試験するのか。
  説明者)対応について検討する。
  委員)製作等作業試験又は判断等試験のどちらかが0点であれば不合格とする記載と、0点となった試験課題
    が1つ以上あれば不合格とする記載があるが、どちらが正しいのか。
  説明者)対応について検討する。
  委員)ある言葉を言う、言わないの判断を見る判断等試験で、言わない方を選ぶ人はいないのではないか。
    また、整理整頓も、判断等試験では一番きれいに記載されているものを普通選ぶので、試験として成り立た
    ないのではないか。製作等作業試験と判断等試験の再整理をお願いしたい。
  説明者)御指摘を踏まえ再整理したい。
  委員)年間どれだけの方が試験を受け、何名程度の試験監督者がいれば成り立つと考えているか。
  説明者)御指摘について、具体的に試算したい。
  委員)アレルギーがある者にアレルギー物質を含んだ食品を提供した場合に重篤な問題を引き起こすおそれが
    あるが、調理補助作業が周辺業務という、試験を実施しなくてもよい業務に位置付けられているのが適当
    なのか。周辺業務から削除するか、必須業務に位置付け試験の対象とすべきではないか。必須業務に位置
    付ける場合にも試験内容で確認する項目が洗剤での手洗いのみでは適当とは言えない。
  説明者)対応について検討する。
  委員)実技試験の時間が長いので60分以内にすることを検討されてはどうか。
  説明者)対応について検討する。
  委員)チェックイン対応等は難しいというが、荷物の預かりは専門知識を要するとは思えない。項目分けが
    不自然ではないかという点があるので、整理してほしい。
  説明者)御指摘を踏まえて整理したい。
  委員)試行試験では受検者1名を試験監督者3名で評価し、本番の試験では試験監督者1名で評価するのは
    本当に可能なのか。例えば、笑顔等は感性の問題で、評価の対象があいまいであるが、限度見本などを
    直ちに整備するのは難しいと考えられるので、本番の試験で試験監督者1名で評価できるのか。
  委員)客室からの退出の挨拶については「ごゆっくりお過ごしくださいませ」と言うか言わないかの判断で
    よいのか。いやな顔をしながらでも言いさえすればよいのか。宿泊客が不愉快な思いをしなければよい
    のだろうが、このような感覚的なものを1人の試験監督者で評価できるのか気になる。
  委員)採点基準にあいまいな要素が多いので、採点基準を細かくしておかないと不満が出るのではないか。
  説明者)いただいたこれらの御指摘について対応を検討する。
  委員)安全衛生で、非常口の案内や消火器等の器具の使い方が分からなくてもよいのか。
  説明者)対応について検討する。
  委員)ホテル、旅館等で対応が異なるものもあるのではないか。
  説明者)対応について検討する。
 
  ○ 検討の結果、宿泊職種(接客・衛生管理作業)については、次回以降、引き続き議論が行われることと
   なった。
 
  2 漁船漁業職種(棒受網漁業)の追加について
  ○ 大日本水産会より概ね以下のとおり説明があった。
  ・ 審査基準について、書き漏れがあったので、「6.てぐす結び作業」を追加したい。
  ・ 学科試験の試験基準について、初級では、棒受網漁業の初歩的な漁具、漁法、漁労作業等として
   いる。専門級では、漁具の詳細な構造の理解、GPSやレーダーに関する知識等としている。上級では、
   専門級までの知識をより習熟させていくことに加えて、母国でも漁業を行う上で欠かせない漁場に関する
   知識等としている。
  ・ 実技試験の試験基準については審査基準と同じ内容としている。
  ・ 実技試験の概要について、出張方式で試験を実施し、合格点は60点以上とし、製作等作業試験、判断等試験
   いずれかの点数が4割未満となった場合は不合格としている。また、打切り時間を経過した場合、その時点の
   作業内容を評価する。
  ・ 試験実施機関は大日本水産会とし、会長の下に事務局、評価委員会、試験委員会を設けて、試験官と補助者
   を用意の上、各地で試験を実施していきたい。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)実際の現場で命に関わる危険な行為とされるものが試験実施中に行われた場合には0点とすべき。
  説明者)対応について検討する。
  委員)ロープの結び方には色々な種類があるが、日本独特のものなのか、世界的に使われているものなのか。
  説明者)全ての結び方については不明であるが、例えば巻き結びは日本独特のものでなく、世界共通の結び方
    である。
 
  ○ 検討の結果、漁船漁業職種(棒受網漁業)について、次回以降、引き続き議論が行われることとなった。
 
  3 化粧品製造職種(仕上工程管理作業)の追加について
  ○ 日本化粧品工業連合会より概ね以下のとおり説明があった。
  ・ 化粧品業界の概況について、国内の化粧品の出荷金額、輸出入金額、化粧品製造販売及び製造業態数の数字
   は、近年、上昇傾向にある。
  ・ 化粧品の製造販売及び製造業の許可を得ている数は4,000弱で、そのうち、日本化粧品工業連合会に加盟
   している企業は1,200社程度で、全体の約3分の1を占めている。
  ・ 製品の例は大きく6種類に分かれており、皮膚用化粧品と仕上用化粧品で全体の化粧品出荷額の7割を
   占めている。
  ・ 原料検査から最終製品検査までが化粧品製造の流れで、今回、職種追加するのは仕上工程管理の作業で
   ある。
  ・ 化粧品仕上工程管理作業は、製造準備工程、材料供給工程、充填工程、封緘工程、包装工程、梱包工程、
   積載工程、製造終了工程の流れとなっている。製造準備工程と製造終了工程は第3号で行う実習、それ以外は
   第1号及び第2号で行う実習である。
  ・ 第1号で行う作業は仕上作業であり、第2号で行う作業は第1号に加えて検査作業であり、第3号で行う
   作業は第2号で行う作業に加えて工程管理作業である。
  ・ 第1号では、仕上作業を作業標準書どおりの手順、スピードで対応できることを目標とする。仕上作業は
   材料供給作業、充填作業、封緘作業、包装作業、梱包作業、積載作業の6つに分類され、これらの作業を実習
   する。材料供給作業の主な流れは、製品に使用する容器・蓋・栓などの材料の外観に、ヒビ、割れ、キズが
   ないこと、印刷の欠け、剥がれがないことを作業標準書どおりに確認を行い、作業標準書どおりとした材料は
   材料供給部に配列し次工程へ受け渡し、作業標準書と異なるとした材料は工程外に排出する。
  ・ 第2号では、仕上作業に加え、品質基準書に基づいた検査作業を通じて製品の合否判定ができることを目標
   とする。検査作業は材料検査作業、中身検査作業、レーベル検査作業、包装検査作業、梱包検査作業の5つ
   に分類され、これらの作業を実習する。材料検査作業の主な流れは、製造に使用する容器、蓋、栓をロット
   単位で抜き取り、品質基準書に基づいて、色かたち、表示が品質基準を満たしていることを確認する。材料
   供給作業中に工程外に排除された容器、蓋、栓を品質基準書に基づいて合格、不合格を判断する。
  ・ 第3号では、仕上作業と検査作業に加えて、作業標準書、品質基準書、製造記録に基づいて、製品の製造に
   関連する「人、モノ」の工程を管理する作業ができることを目標とする。工程管理作業は、製造準備作業、
   材料照合作業、製造ロット照合作業、作業工数管理作業、数量実績管理作業、製造終了作業の6つに分類
   され、これらの作業を実習する。製造準備作業の主な流れは、製造する製品の作業標準書及び品質基準書を
   用いて、品質基準、作業内容、製造記号を確認し、製造に必要な設備及び機器類を準備する。また、製造する
   製品が品質基準を満たすために、使用する設備及び機器類が正しく動作するか確認を行う。
  ・ 送出国の実習ニーズについて、ベトナムとカンボジアで実習ニーズがあり、特に、ベトナム化粧品業界の
   実態を把握するため、業界団体であるベトナム化粧品香料協会、化粧品原料を製造しているルオンクオイ社を
   訪問して、同国の化粧品業界の現状課題、技能実習を通じて修得したい技能、技術及び知識について情報交換
   を行った。
  ・ ベトナムでは、化粧品の中身をタイや韓国から安価で輸入し、自国で仕上工程作業のみを行っている企業が
   多いという実態があるが、市場に供給した製品の品質にムラやばらつきが散見されるため、同国の国民から
   の信頼が得られていない状況にある。その大きな要因として、仕上工程作業を行う作業員の知識や技能が未熟
   であること、それを指導できる人材が不足していることが挙げられる。
  ・ ベトナムの店頭にある化粧品の中には、充填量のばらつき、ディスペンサーの方向の不ぞろい、レーベルの
   剥がれ、シールの位置のばらつき、ディスペンサーのにじみや中身漏れがあるものも見られる。
  ・ 情報交換の結果、日本の化粧品業界では、恒常的に高品質の化粧品を市場に供給するための体制を構築して
   いるため、その国際規格に準じたルール・仕組みづくりの必要性や需要性を理解し、化粧品独特の多種多様な
   品種に対応できる化粧品仕上工程管理の技能、技術及び知識を保有した人材を早期に育成してほしいという
   ニーズを確認した。
  ・ 当団体会員企業のライン作業者育成プランをベースとして、当団体企業全体の標準レベルを考慮した上で、
   今回、説明した実習内容を作成した。
  ・ 試験実施機関として申請を予定する日本化粧品工業連合会は東京化粧品工業会、西日本化粧品工業会及び
   中部化粧品工業会の3工業会によって構成されている。
 
  ○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
  委員)化粧品の中身製造に関する作業を追加する可能性はあるのか。
  説明者)将来的に追加する可能性はある。
  委員)日本人が管理・監督者補助の技能を修得するまでの期間と、実習生が第3号まで技能を修得する期間に
    どの程度の差があるのか。
  説明者)日本人が4年であるのに対して実習生は5年を想定している。
  委員)第3号の工程管理作業の人員配置は難易度が高いと考えられるが、実習生が対応できるのか。
  説明者)作業標準書と品質基準書に製品を作るときに必要な人員や人材の配置が書かれており、それに沿って
    管理を行う作業であるため、実習生でも対応可能と考えている。
  委員)限度見本は、実習時と試験時で同じものとするのか
  説明者)同じものとする。
 
  ○ 検討の結果、化粧品製造職種(仕上工程管理作業)について、厚生労働省、出入国在留管理庁において、
   省令の改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価試験案等に
   ついて引き続き議論が行われることとなった。
 
                                                             (以上)