第3回循環器病対策推進協議会 議事録

厚生労働省健康局がん・疾病対策課

日時

令和2年2月27日(木)17:00~19:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A
(東京都港区赤坂2-14-27 国際新赤坂ビル東館13階)
 

議題

(1)  開会
(2) 循環器病対策の現状等について
(3) 学会、団体等からのヒアリング
(4) 主な論点案について
(5) その他

議事


○江浪がん・疾病対策課長 会議の開催に当たりまして、本日も循環器病対策推進協議会に御出席いただきまして、ありがとうございます。現在厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策に省を挙げて全力で取り組んでいるところでございます。その中で、不要不急の大規模な集会などの自粛について、省としても呼びかけをさせていただいている中でございますけれども、循環器病対策推進協議会に関しましては、これから夏に向けまして法律に基づく基本計画を策定していくという非常に重要な時期であるということを勘案いたしまして、感染拡大防止策を十分取った上で開催をさせていただくということで、本日開催をさせていただいております。
会議の開催の前でございますが、御案内を申し上げております。
本日、傍聴の皆様にも事前に感染拡大防止策について御協力をいただきますようお願いを申し上げました。本日はどうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。

○安井課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第3回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の安井と申します。
まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、安藤美帆委員、大橋未歩委員、中谷祐貴子委員、横田裕行委員から欠席の御連絡をいただいております。
また、本日は参考人として、日本医療機器産業連合会/日本医療機器テクノロジー協会副会長、湯川一平様、米国医療機器・IVD工業会理事、多田壮一郎様、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会医療機器診療報酬部会部会長、田中良一様に御出席いただいております。また、日本製薬工業協会研究開発委員会副委員長、増田典之様が遅れて御出席の予定です。
本日は委員20名のうち16名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。
厚生労働省では審議会等でのペーパーレス化を推進しており、本協議会もペーパーレスで実施いたします。お手元にはタブレット、スタンド、操作説明書を配付しております。操作説明書を参照しながら一度操作をお試しください。不明点がございましたら、お近くの職員に御質問ください。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。議事次第、座席表、循環器病対策推進協議会委員名簿。資料1から4。参考資料1、2。なお、資料4は、御欠席の大橋委員から提出された資料です。委員のタブレットに格納しております参考資料2には、一部机上配付扱いのものが含まれます。右上に「協議会後回収」と記載しています。
以上でございます。
資料が御覧いただけない場合は、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして、カメラを納めていただきますよう御協力のほど、よろしくお願いします。
これからの進行は、永井会長にお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございます。
では、議事を進めさせていただきます。
前回、2月3日の第2回協議会では、学会、団体等の10団体からお話を伺いました。
本日は、循環器病対策の現状等について事務局から説明をいただいた後、ヒアリングを行い、その後に主な論点案について御議論いただきたいと思います。
では、議題2「循環器病対策の現状等について」、お願いいたします。
資料1「循環器病対策の現状等について(その3)」の説明を事務局からお願いいたします。
○安井課長補佐 事務局でございます。
資料1を御覧ください。
第1回、第2回協議会資料の各論の続きになりますが、「研究に関する現状の取組等について」です。
3ページを御覧ください。循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合事業において、研究内容を生活習慣病管理分野、健診・保健指導分野、健康づくり分野の大きく3分野に分け、生活習慣病に係る研究を推進し、健康寿命の延伸等を目指しています。3分野のうち生活習慣病管理分野において循環器疾患対策に関する研究を実施しております。
4ページに循環器疾患対策に関する研究の具体例を示します。循環器病の医療体制構築に資する指標等を作成するための研究、脳卒中の急性期診療体制における連携体制構築のための研究、かかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究などがあります。
5ページを御覧ください。循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)においてがん以外の生活習慣病の新たな対策に直結する研究開発を推進しています。
6ページに取組例を示します。心血管疾患に対する乳酸測定ウェアラブルデバイスを用いた運動強度の自己管理システムの開発などの課題が採択されています。
7ページに文部科学省の循環器病に関するAMEDにおける研究開発の取組例を示します。重症心不全小児の救命を目指した高い耐久性と安全性を有する超小型な磁気浮上型遠心式補助人工心臓の研究開発などの課題が採択されています。
8ページ、9ページに経済産業省の循環器病に関するAMEDにおける研究開発の取組例を示します。
8ページに示します世界最小最軽量の高機能次世代型心肺補助システムの開発・事業化などの課題が採択されています。
10ページを御覧ください。第1回協議会でもお示ししましたが、「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」報告書の概要です。循環器病の診療情報の収集・活用においては、➀急性期医療現場で当該患者の循環器病の既往歴等を把握するために活用すること、及び➁正確な患者数や罹患率を踏まえた診療提供体制の構築や予防等公衆衛生に活用することを目的とすることなどが示され、まずはモデル事業で開始し、運用方法等検証を行った上で展開するということが記載されています。
11ページを御覧ください。令和2年度より循環器病の診療情報収集・活用体制検討事業を実施する予定としています。事業内容は、循環器病の症例情報を収集し、予防、診断、治療、リハビリテーション等に活用するため、関係学会等を交えて診療情報を収集・活用する体制整備に向けた検討を実施する、としています。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
ただいま事務局から現状等について御説明がありましたけれども、本日はヒアリングの時間をなるべく取りたいということで、事務局の資料に御質問がございましたら、適宜この後のヒアリングの間でもお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。
続いて、議題3「学会・団体等からのヒアリング」に移りたいと思います。本日は5団体からお話をお伺いいたします。前半3団体、後半2団体に分け、それぞれまとめてプレゼンテーションをしていただいた後に、質疑応答の時間を設ける形にいたします。
御発表は1団体当たり5分。事務局は、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らすようにお願いいたします。
それでは、資料2-1から2-3に基づいて一括して御説明いただいた後に質疑応答といたします。
では、資料2-1の説明を日本医師会からお願いいたします。
○羽鳥委員 日本医師会常任理事の羽鳥と申します。
日本医師会は 開業医の集まりと思われているかもしれませんが、勤務医の先生も多く、山中先生も本庶先生もノーベル賞を取られた先生方も日本医師会の会員であられます。それから、北里柴三郎先生を第1代の日本医師会の会長として、今回千円札の肖像にもなりました。約30万人の医師がおられるわけですけれども、そのうちの17万人が会員で、開業医が半分、病院の勤務医の先生方も半分の構成になっております。
循環器病対策について、日本医師会のやっている課題とこれからの取組ということであります。日本医師会が今やっていることの大きな学術的なことに関しては、生涯教育制度の実施ということで、講演会、講習会の開催、そしてe-ラーニングの配信を通じて学習の機会を提供して、地域医療の質の向上を図る。
もう一つ、認定健康スポーツというのがあります。これから特に循環器の疾患、あるいは脳卒中の疾患でも運動療法がとても大事なテーマになってくると思いますけれども、日本医師会の理念としては、1に運動、2に食事、3、4がなくて5に薬ということで、まずは自分の生活習慣を見直そうと。そこからスタートしているというのが医師会の立場であります。そして重症化予防に対する取組ということで、次につながることかと思います。
短期的な取組としては、開業の第一線の先生が取り組むべきことは、一人一人の患者さんと向き合って、適切な塩分摂取、運動指導、投薬管理ということであります。きめ細かく診ることによって様々な疾患の予兆をつかまえ、そして適切に第一線の急性期の病院につないでいくということが大事だと思います。そして、日頃はA、B、いわゆる何も疾患がないように見える時期、そして幾つかの生活習慣病を抱えているけれどもまだ入院を要しない時期、そういうときに適切に対処していくことが大事だろうと思います。心不全、脳卒中患者さんの状態に応じた適切なケアの実施ということで、A、B、C、D、特に最後のDの辺りになって、いわゆる心不全の末期の在宅医療、あるいは脳卒中の寝たきりになったような方も支えていくというのが、日本医師会の大きな役目だろうと感じています。
これはいつも永井先生、小室先生が御提示される絵と同じでありますけれども、具合が悪くなって入院されるようなことがあって、でも、また地元には帰ってくる。入院して帰ってくると必ず状態はよくなってくるのですけれども、外来で診ていると、やはり悪くなるときもある。そういうときにもステージA、Bの段階では、高血圧、糖尿病、動脈硬化疾患などについてしっかり予防し、対処していくことと同時に、A、B、Cになって薬が必要になってきたり、あるいは入院された方が帰ってきたときに適切な薬の処方を続ける。そういうことも大事だろうと思います。そして、Dの時期になってどうしても家で寝たきりになったような場合においても支えていくというのが、先ほど言いましたようなことだと思います。
3ページ目、脳卒中であります。脳卒中の全体イメージとして描かれておりますが、一番下の絵は赤丸で囲ってありますけれども、維持期の医療、維持期治療と維持期リハビリテーションをしっかりやる。そして、最後の緩和ケアについても面倒を見ていくということです。
そして、一番最初のいわゆるFAST兆候、顔がゆがんだ、上下肢の麻痺、言葉が出ないとか、そういうことがあったときにも超急性期病院へ繋がるよう日頃から患者教育をしていくことです。
かかりつけ医の役目を達成するため、日医のかかりつけ医研修制度の活用、e-ラーニングを通して勉強する機会をつくっております。
一番最後のページですけれども、今回の法律の12、15、16、17条、を実現するために医師会として努力していきます。循環器病の予防の推進、生活の質の向上、そして関係施設等の連携、従事者の育成、情報の収集、研究促進ということですが、特に日本医師会では学校医の教育にとても力を入れておりますので、心臓の病気、脳卒中の病気、こういうものについて、適切に小学校、中学校、高校の段階で学校医がその情報を伝えていく。がんについてはがん教育を今やっているわけでありますが、それと同時に循環器についてもそれをやっていこうと考えています。
以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
続きまして、資料2-2の説明を日本看護協会からお願いいたします。
○熊谷委員 それでは、お願いいたします。日本看護協会の常任理事の熊谷と申します。
看護職は現在167万人が働いておりまして、会員としては75万人です。おおよそ7割が病院で働いております。そういった状況の中で御説明をさせていただきたいと思います。
資料の2枚目を御覧ください。看護は、こうやって生まれる前から亡くなるまで予防・医療にずっと関わっております。妊娠したときから、胎児のときから、学校に上がっても、就職をして仕事を持つ中でも、それから病気になってもということで、いろんなあらゆる場で医療と生活の視点から関わっております。
次のページを御覧いただくと、機能でいいますと、予防から治療、そして重症化予防、再発予防までです。活動の場としては、皆さん御存じの保健所であるとか、外来・入院があります病院、診療所。それから地域では訪問看護、看護小規模多機能、介護保険施設です。
具体的に健康予防としては、日常生活の支援であるとか、病気になった場合には、急性期でクリティカルケア、そして回復期・慢性期ではリハビリテーションを通じた重症化予防や再発予防、セルフケア能力の向上の支援をしております。
次のページを御覧ください。ここからは少し病棟看護師、外来看護師、専門性の高い看護師がどのように循環器病に関わっているかということについて御説明をしたいと思います。病気になって病院に入ってきまして、急性期、これはクリティカルケアです。主に合併症の予防や早期回復支援をしております。そして、回復期・慢性期に入りましたところで、例えばセルフケア能力を高める支援であるとか、外来において、特に再発、重症化予防のために生活の伴走者として症状緩和や療養生活支援、教育支援を行っています。
次のページを見ていただくと、専門性の高い看護師がどのような活動をしているかということですが、私たちはスペシャリストとして認定看護師、専門看護師というものがあります。左側のグラフを見ていただくと、例えば心不全の患者さんに対して、こういったスペシャリストが関わると再入院率が下がるということ。脳卒中においては、病院で急性期の中でこういったスペシャリストが関わると、予測される状態を考えて速やかにチーム医療の中でのマネジメントをしながら、発症早期から継続して関わることができて、地域に早期にお戻しできるということがございます。
次のページは、慢性心不全の外来患者さんについてですが、外来で再発防止、重症化予防をするために看護師が対象者の生活行動から病状等の変化を予測して、個々の生活習慣に合わせた塩分制限、食事や運動、禁煙、薬などに関する指導と、自己管理を適切に継続できるように支援したことによって、これを見ていただくと、BNPが低下したということがはっきりと出ております。
次のページは、脳卒中後の高次機能障害のある患者さんへの看護実践です。看護師が注目するところは、この人の人生、生活の中でどんなことが変わってしまったのか、そこに支援をするのが看護ですので、この患者さんは脳出血後に麻痺があって、注意障害のある方。専業主婦でありますので、料理ができない、夫に迷惑をかけるということで、この人の病気によって変わってしまった役割について介入をしてきました。
右側のグリーンの枠を見ていただくと、看護職としての視点は、ここに書いてありますように、医療と生活の側面から回復過程の推論と計画を立案して、生活の中に取り入れた個別性のあるリハビリを継続していった。そして、御本人がまた専業主婦としての役割が継続できるようになったという事例がございます。
最後になりますが、スペシャリスト、専門性の高い看護師が重要で、病棟と外来をつないでいくケアのマネジメント、組織のマネジメント、それからコンサルテーションが大変重要なことだと思っております。私たちとしては、こういった多様な症状を持つ循環器病に対応できる看護職の人材養成の促進ということを大事にしていることと、外来・病棟、このスペシャリスト、そして多職種で一緒にやる循環器病の多職種ケアチームの推進、そしてこういうスペシャリストが配置をされた外来がとても重要だと考えています。ここに挙げております領域が大体循環器病に関わるスペシャリストの領域になっておりまして、今回、摂食・嚥下の障害看護の認定看護師が診療報酬にも加算でついております。
右下の枠ですが、2025年までには赤いグラフの人たちを2万4000、2040年までには3万7000強育成して活躍できるようにしたいと考えております。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
続いて、資料2-3について、四病院団体協議会からお願いいたします。
○美原委員 四病協としての発表なのですが、実際に病院団体として循環器病に関することをみんなでやっているというわけではありません。また、四病協の中で全部の意見を集約することは、今回時間がなくてあまりできなかったものですから、僕が今いる全日病の会員の方にこういうことがあるのだけれどもというので意見を集めて、発表させていただきます。
一番最初のページ、団体に関連した循環器病に関わる現状・課題と今までの取組ということですが、会員病院はそれぞれの地域において診療体制の構築に対応しているわけです。
次のページです。では、具体的にはどういうことかというと、この基本法には8つの基本政策があって、啓発、あるいは人材育成、体制、登録事業、あるいは研究ということがあります。実際にどんなことをやっているのかということです。
次のページです。これは広島の大田記念病院の話ですが、地域の中で、広島の「わかめプロジェクト」というのは、ワカメが特産なのですが、なかなかもうかっていないというのかな、元気がないというので、病院としてワカメを一緒につくりましょう。そして、この地域は非常に血圧が高い地域なので、特産品のワカメで減塩食をつくりましょうということで、漁業組合と協働して減塩に努めているということをしているわけです。
次のページは群馬県のものですが、これは脳卒中協会がそれぞれ支部をつくっているわけですが、群馬県の中の病院で幾つかのグループをつくってやっているということです。右下にありますように、t-PAのワーキンググループ、救急医療、市民啓発、地域連携ということでやっているわけです。
次のページです。例えば救急に関わる人材育成というのは、ここにありますように、救急隊の方々とか、関係する関係職に関して一生懸命勉強しているということで、例えば2にあるPSLSのコースの都道府県受講者は、群馬県が日本で一番多いところになっています。
その次のページです。救急医療に関してはどんなことをやっているかというと、群馬県全体でどういうふうにしましょうかということがいろいろ議論されているわけですが、t-PAができるところを全部明確にして、それぞれの病院が一生懸命対応していきましょうという形でやっているわけですが、t-PAは実は空白地域があるのですが、その中も病病連携でやっているわけです。今、血栓回収術というのは今、注目されているところですが、これは群馬県全体を13の病院がやっていて、それぞれの地域の中で早い時期にそれぞれの地域で血栓回収までやっていきましょうということをやっています。ですから、この13病院の中でt-PAは90%以上やっていますし、血栓回収療法も群馬県はこの十幾つの病院で対応しているということです。
一方、これは広島の大田病院ですが、大田病院がこの地域の血栓回収術をほとんどやっているというわけです。つまり、ある地域においては幾つかの病院がやっているし、ある地域においては1つの病院がメインをしているということです。
その次のページは、超急性期の脳卒中加算。これは一つの急性期に対応できる病院はどんな病院かというところですが、ここにありますように、大病院が多いわけですが、200床未満の病院も結構あるということです。
次のページです。そこで見ますと、t-PAの回収療法やそういうことに関しては地域ごとに考えてほしい。
それから、今、リハビリテーションなどに関しましても、これで見てお分かりになりますように、病病連携でやるよりも、ケアミックスの病院のほうが連続してやることによって医療費が非常に削減できるというデータもあります。リハビリテーションに関しましては、早く帰すことによって、前回問題になっていましたリハビリテーションをどうやって在宅に結びつけていくかということに関しても、うまくやれば結構医療費を削減できるということがあります。
このことに関しましては、今、全日病でも最後のページのような研究を進めているところです。
最初のページに戻りまして、短期予想としては、今回のことが地域医療構想の実現や地域偏在対策、働き方改革に対応して行われていくことが期待されます。
以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの3つのプレゼンテーションに御質問をいただきたいと思います。グッドプラクティスという感じですが、循環器病対策の基本計画が策定されたときに、各団体としてかなりシステマティックに取り組まないといけないことになるのだろうと思います。プログラムや人材育成、その辺りについて、羽鳥先生、いかがでしょうか。基本計画がどのようにこの活動に資するかということをご説明いただけますか。
○羽鳥委員 これに類したものとしてがん対策基本法があって、がん対策は既に動き出しているわけですが、これを見ていると、この基本法ができた後、都道府県医師会もそれに応じてかなり一生懸命頑張っているところであります。
ただ、脳卒中・循環器病に関しては、自主的にやっているところは数多くありますけれども、都道府県まで落ちてしまうと、やりにくくなっているところもあると思います。
昔の4疾病・5事業、5疾病・5事業のときにいわゆる連携パスとかそういうものがつくられていたと思いますので、連携パスを今のICTに応じて何かつくれると、もう少し効率のいい仕組みができるのではないかなと思います。
もう一つぜひお願いしたいのは、例えば心不全とかそういう病気は、なじみのない先生にとってはちょっと分かりにくいと言われることもあります。そういう意味で、医師に対する教育というのもシステムとしてつくっていただいて、それらの教材とか、そういうものを都道府県、あるいは郡市区医師会で使えるような仕組みもつくっていただきたいなと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
いかがでしょう。峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 日本医師会と看護協会にお聞きしたい。これから在宅医療が非常に大事な問題になってくるし、脳卒中・循環器病対策についても、在宅で脳卒中の患者さん、あるいは心不全の患者さんをどう管理していくかというのは非常に大きなテーマになっています。私、一時期地元の医師会の理事会に所属していろいろ聞いていましたが、訪問診療とかはなかなか苦戦していて、例えば訪問診療を専門にやっているお医者さん方はいらっしゃるのだけれども、医師会に入会されている方が少ない。そんな問題もあって、今後の在宅医療、慢性期の医療に関してどういうふうに対応するつもりなのか。これは医療の問題と看護の問題と連携していると思うのですが。ここら辺の展開はどうなっているのでしょうか。
○永井会長 どうぞ。
○羽鳥委員 最初に日本医師会から答えさせていただきます。
在宅医療は日本医師会も非常に力を入れています。先ほどありましたが、日医かかりつけ医応用研修制度として講習を年に1回。大体年間に7,000名近くの先生がお受けになって、3年を1つのクールにして最新の知識を得ることを目的にしてますが、その中のテーマに必ず「在宅医療」が出てきます。そして、在宅医療は、どちらかというとがんの方と、いわゆる長期の治療を要する方、それからフレイルという最初から身体活動の低い方、認知症の方とか、大きく分けて3つの群の方が在宅医療の適用になっているかと思います。
がんは、きれいに治っていかれる方もありますし、それから進行がんですと、先が見えてしまう方がおられると思います。そういうときには緩和ケアとも上手につなげて、ある程度目安がつくというか、在宅をやっていらっしゃる先生もめどがつくのですけれども、脳卒中・心不全に関しては長期戦になるということもあって、それなりの対応が必要だということもあります。
それから、心不全の末期で緩和ケアをしたいといっても、今の麻薬の使い方に不慣れな先生も多いので、そういう意味では、その辺の取組も大事だと思います。
最近は、在宅医療をされている先生の多くは医師会に入っていただいて、医師会の在宅部会とかそういうところで活躍されています。在宅医療をグループ、10人とか20人の先生を雇って在宅医療を会社のようにされているグループもあり主治医と患者さんとの関係構築ができない場合もあります。このような場合、医師会に入らずに独自の活動をされてしまうグループもないわけではありません。多くの先生方は医師会に入って一緒に協力してやっている。これからもそれは推進していくつもりでおります。
○永井会長 看護協会、どうぞ。
○熊谷委員 ありがとうございます。
まさに大きな問題だと思っております。在宅医療を進めるために、一つは訪問看護ステーションを増やそうということで、現在、約4万7000人程度が訪問看護をしているのですが、2025年に向けて、これではまだ足りないので、とにかく増やす方策をやっております。あとは、今回の診療報酬でもつきましたが、病院から出ていく、アウトリーチを推進していこうと考えています。それには地域の看護管理者たちが連携しながら、地域をどうするかということからスタートすることだと思っていて、日本看護協会としてはそれに対する支援、人材育成に尽力をしているところです。
また、先ほどちょっと出しましたが、看護小規模多機能というものを推進していかないと、地域に泊まりができて、訪問ができる、この機能がとても重要だと思っていますので、そのことを推進したい。
もう一つは、資料2-2に書いたのですが、医師の働き方改革で今、タスクシフト等が始まっておりますが、将来的には僻地とか離島に住んでいる方々の療養生活を支えるためのナース・プラクティショナーについても創設して、活躍ができる環境を整えていく必要があると思ってやっております。
○永井会長 美原委員、いかがでしょう。四病協。何か追加。
○美原委員 僕らは四病協として団体でやっているわけではないと先ほど申し上げましたが、それぞれの地域によってかなり特性があって、この基本法が決まったことによって、全日本を画一的に全部こういうふうにやるのだというのはちょっと無理があるように思います。それぞれの地域に合わせた形で、先ほど地域医療構想や働き方改革、そういうことも併せて進めていくことを期待しております。
○永井会長 ありがとうございます。
宮本委員。○宮本委員 がんと違うのは、がんは頭の先から全身までいろんな診療科が診ますが、脳卒中・循環器病急性期はほとんど脳卒中と循環器病の専門家が診ますから、今、美原委員が言われたように、地域によって事情が異なりますので、専門の学術団体と医師会と行政がその地域の事情に合わせたような形で医療整備をしていくということが重要だと思います。
○永井会長 よろしいですか。磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 私も人材育成のことでお伺いしたいのですが、心不全は数も非常に増えていますし、その診療で一番重要な部分というのは看護師さんが担っていると思います。慢性心不全認定ナースという制度がしばらく前からできていて、かなりの数の認定をしているのだと思うのですが、教育期間が長くて、フルタイムで病院から出して大学などの機関で認定を受けるような制度です。病院に戻ってこられてぜひ活用したいと思っているのですけれども、実態を全国的に見ると、必ずしも心不全に携わっていません。あるいは心臓病、循環器さえやっていないナースがいたり、と活用が進んでいません。実際モチベーションも高くて、専門性も高くて、能力が高い方がなっていらっしゃるのです。
多分診療報酬がつかないとか、いろんな要因があるのだと思うのですけれども、せっかくできた制度で、残念な状況です。教育機関が2つあったのが1つになってしまったような話も聞きました。今後慢性心不全認定ナースをどのように活用していけるのか、お伺いしたいです。
○永井会長 どうぞ。
○熊谷委員 御質問ありがとうございます。
おっしゃるように、慢性心不全はまだ少ないです。436名しかおりません。それで、今回、私たちはこの教育課程をリニューアルして、2020年4月から新たなカリキュラムで始まります。先生のおっしゃるように、長い間臨床を離れるというのは今の御時世の学習方法ではないので、e-ラーニング等を取り入れながら、できるだけ集合研修の期間を短くして養成することを2020年度から始めます。
教育機関としては、岡山県の川崎医科大学と神奈川県の北里大学、2つの養成機関がございます。先生がおっしゃるように、診療報酬のインセンティブがない限りなかなか進んでいかなかったのは事実だと思います。これを見ていただくと、圧倒的に診療報酬の加算がかなりついているものから増えていくという実態がございます。ただ、循環器病については大変重要なことなので、日本看護協会としても増やしていこうと考えております。
ありがとうございます。
○磯部委員 よろしくお願いします。
○永井会長 よろしいでしょうか。後ほど総合討論の時間がありますので、そこでお願いしたいと思います。
続いて、資料2-4と2-5について一括して御説明いただきます。
まず、資料2-4の説明を日本医療機器産業連合会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会よりお願いいたします。
○湯川参考人 本日は、医療機器産業業界を代表いたしまして、4,200社ほどあるらしいのですが、これを束ねております日本医療機器産業連合会から3つの団体が参りました。私は、日本医療機器テクノロジー協会の副会長を務めております湯川と申します。それから米国医療機器・IVD工業会理事の多田様、それからEBC医療機器・IVD委員会診療報酬部会部会長の田中様が来ております。3団体を代表いたしまして湯川より提出資料について御説明申し上げます。
資料は2-4でございます。冒頭の7枚で本論を御説明します。あとの8ページ以降に参考資料を添付しておりますので、別途確認いただければと存じます。
まず、1ページ目でございます。医療機器分野として、循環器病に係る現状・課題と今までの取組、そして短期から中長期に重点的に取り組む循環器病対策についてまとめてさせていただきました。これからそれぞれの項目について説明させていただきます。
2ページを御覧ください。医療機器産業界は、この図に示しておりますように脳卒中を含む循環器病の予防、診断、治療、予後にわたり幅広く医療機器やサービスを開発し、提供してまいりました。これらの医療機器は、循環器病の診断、治療に不可欠なものとなっております。
3ページを御覧ください。医療機器の進歩は、医療の質の向上にも貢献しております。低侵襲治療、手術時間の短縮、治療成績の向上、医療費の抑制を可能にしてきました。さらに、我が国におきましては、先生方と連携した開発によりまして、例えば手首からのカテーテル挿入といった、より患者さんの負担が少ない治療方法や心筋細胞シートといった再生医療など、日本初の診断・治療技術や、デバイスを医療に提供してまいりました。
4ページを御覧ください。医療機器産業界は、本基本法の第2条第3項にあります企業における責務の基本理念にのっとりまして、予防から予後を通して医療に貢献できる医療機関の開発、供給やサービスの提供に努めてまいる所存でございます。このページではそれに向けた課題認識をまとめております。医療貢献のステージが縦軸でございます。医療機器における研究開発、すなわちイノベーションから社会実装までを横軸といたしまして、様々な課題認識を上げております。
5ページを御覧ください。先ほどお示しいたしました課題解決に向けて取り組まなければならないと考えている事項を列挙しております。
まず、最初の2項目についてです。医療機器業界はこれからも循環器病予防、治療、予後にわたり、医療ニーズに基づき幅広く医療機器サービスの開発、提供の継続をしていくことが期待されていると認識しております。その上で、医療ステージ全般にわたる国としての医療機器研究開発戦略策定及び重点戦略分野への投資集中なども必要かと思っております。
次の3つですが、さらに患者さんの利益に資する今後の研究開発の活性化をするために、さらなる研究開発環境整備のための法制度の見直し、医療情報の有効活用を可能にするデータベースの構築と利用ルールの策定。そして、研究開発成果を社会実装する上での実運用の各種障壁の解消といったことが上げられると思います。
6ページにお示ししております。今後も様々な医療機器やシステムなどの登場が期待されます。これらの開発に向けて医療情報の活用が不可欠になってくると考えられます。そのことから、セキュリティーやプライバシーの確保とともに、各医療機関や企業を越えてつながるベンダー中立かつオープンに接続できるプラットフォームの構築、及び研究開発及び社会実装に利用可能な悉皆性の高いデータの収集と活用が求められているところでございます。
最後に7ページは、産業界が描く将来像です。将来にわたり循環器病対策の研究開発によって生み出された医療機器が、予防や効果的な治療、再発防止に貢献すること、そして健康寿命の延伸に寄与することを目指してまいります。
お聞きいただきありがとうございました。以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
続きまして、資料2-5の説明を日本製薬工業協会よりお願いいたします。
○増田参考人 日本製薬工業協会研究開発委員会の増田でございます。私のほうから日本製薬工業協会、略して製薬協のほうでまとめました見解等について、2ページから述べさせていただきたいと思います。
まず、循環器病に係る現状・課題と今までの取組についてです。私ども製薬企業といたしましては、循環器系疾患について、業界全体で、t-PA製剤、抗血栓薬などの脳卒中に対する治療薬、あるいは高血圧、狭心症、不整脈、脂質異常症の治療薬など、安全性を担保しつつ、効果がある薬剤をこれまでに開発し、上市してまいりました。
現状、いわゆる血圧や脂質のコントロール自体につきましては、多くの種類の薬剤により薬剤貢献が十分な領域として認識されていると考えております。一方、課題でございますけれども、脳卒中や心筋梗塞といった疾患を重症化させない対応、予防薬等も含めて、そういったものの開発が必要であると考えております。
現在こういった領域での薬剤開発として私どもが一つ大きな課題と考えているのは、承認を取るためには、いわゆるハードエンドポイント(2次イベントの減少や死亡率の低下)を求められておりまして、新薬開発には大規模、長期試験が必要なことから、製薬企業が1社として取り組むにはなかなか難しい疾患であるということも現実としてございます。また、末梢動脈障害等の薬剤貢献度が低いといった課題もございます。
これらの疾患に対しましては、明確な効果が期待できる新規な医療ソリューション、病態解明による新しい創薬標的の探索、あるいはお薬と言われるもの以外で、再生治療とか、遺伝子治療といった新しいモダリティーを用いた治療薬の開発なども必要になってくると考えております。
今後の私どもの取組といたしまして、短期的な視点で次のページに2つ意見を述べさせていただいております。まず、疾患のデータベースなどの一元化と利活用の推進がございます。予防・先制医療のために患者さんがどのような状態なのかをより明確にしていく必要があると考えております。そのためには、疾患前の状況と疾患後の状況等を連続して把握できるような様々な健康医療情報が連結されて、健康医療データベースとして構築され、私ども企業が利活用できていくということが一つポイントになるかと思います。
予防・先制医療については、例えば東北メディカル・メガバンク等の健常人コホートを利用して、遺伝子情報だけではなく、オミックス情報、それに個々人の疾患になっていく症状等も連結したデータが蓄積されていくことで、私たちが創薬に使える情報が増えてくるのではないかと考えております。これらが新規薬剤の開発に大きくつながっていくのではないだろうかという期待を持っております。
また、幅広い健康医療ソリューションの開発ということで、昨今製薬企業も低分子化合物のみならず、種々の医療ソリューションに対する取組を行っております。生活習慣病の改善等で血圧、脂質がコントロールされているという場合において、この状況をしっかりと見ていくバイタルデータを取得するアプリの開発等も最近取り組んでいる手法の一つであると考えております。
4ページに長期的な視点で幾つか述べさせていただいております。まず、各種データベースが構築された後、それをしっかりと利活用していくことになるかと思います。循環器疾患の理解を深めて、疾病の発症、重症化に関わるバイオマーカーが開発されること、また、予防啓発やセグメントを絞った薬剤開発に活用できる体制づくりが推進されることを望んでおります。
また、細胞治療・再生医療の推進。一部の細胞治療は虚血性心疾患、循環器病に対する治療選択肢として得られるということが世界的にも示されつつありまして、研究を進展させるための体制づくりが重要でございます。また、医療経済を踏まえた価値評価や流通提供体制の整備に関しては、今後の課題として私たちを含めて体制構築を進める必要がございます。
最後に、医療イノベーション推進の体制づくりでございますが、製薬産業内に固執することなく、ヘルスケアに関連する多業種と連携を通じて、先進医療の実現、健康寿命の延伸や有病率の低下に向けた医療イノベーションを起こさせる体制づくりを推進していくことも重要であると考えております。
以上になります。ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの発表を踏まえて御質問、御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
○峰松委員 私は、薬にしても医療機器にしても同じような問題にぶつかったことがあります。1つは、承認ギャップの問題です。t-PAは9年のギャップがありました。脳血管内治療デバイスも非常な後れがあって、日本でやっと承認されたら、そのデバイスは海外では既に時代遅れで、使われなくなって、日本が在庫処理に使われるという本当に悔しい思いをしました。今、改善されつつあると思うのですが、ギャップの問題に関してどういうふうにお考えか教えてほしいのです。心臓関係の医療機器も海外からの輸入が多くて、国内開発がなかなか追いついていかないという問題もあると思うのですが、いかがでしょうか。
○永井会長 いかがでしょうか。
○峰松委員 感想で結構です。とっちめるというつもりは全くありませんので。
○湯川参考人 改善は相当されているという実感は持っております。一方で、今の言葉は国内の医療機器屋がもっと頑張れということかとも思いますので、頑張っていきたいと思います。
○永井会長 ほかに。小川委員。
○小川委員 これは前からずっと思っていることなのですけれども、医療機器にしても製薬協にしてもアカデミアとの連携。先ほどデータ一元化とおっしゃいましたけれども、確かにそういうデータを一元化することが結構大事で、今まで全て機器メーカー、製薬協、アカデミアが共同してやってこなかったことがいろんな進展を遅らせていると思うので、今日は患者団体の方もいらっしゃいますし、そういう患者団体の理解を得て、データの一元化、データの収集に関しての協力体制に関しても色々な方法をこの法律の機会にやっていただけたらと思っています。
○永井会長 それに関して、おととしでしたか、ナショセンの在り方検討会でいろいろ議論が行われました。日本の製薬企業や機器の企業はあまり日本のアカデミア、ナショセンと産学連携されていないのですね。もしこういうデータベースができ、受け皿ができたら、もっと日本の企業が日本の施設、大学を初め、特にナショナルセンター等への支援、共同開発ができると思うのです。それはある程度期待してよろしいのでしょうか。
○増田参考人 製薬協といたしましても、現在ナショナルセンターとの疾患コホートデータ解析プロジェクトを始めようとしているところでございますし、その中に循環器系の疾患が入っておりませんけれども、今後循環器系の疾患が入ってくると、そのデータを私たちが利用できれば、次の創薬の標的探索等に使えると考えております。
○永井会長 ぜひよろしくお願いします。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 私は今、ちょうどある雑誌の総説をまとめているところで、最近の大規模臨床試験の推移を神経内科領域でまとめてくださいということで、アメリカのClinicalTrials.govである一定以上の規模の臨床試験をピックアップして見ているのですが、神経内科領域なので、パーキンソンとか、多発性硬化症とか、アルツハイマー、脳卒中というふうに幾つか疾患領域を選んで、スポンサーが誰かとか、そういうのをざーっと並べると、脳卒中領域だけが異様にアカデミアの試験ばかりで、ほとんど製薬企業の試験がない。三十幾つあって、企業の試験が3つぐらいしかなくて、ほかは全部アカデミアなのです。アカデミアが500例とか、1万人ぐらいの試験までやっているという状況がありまして、多分日本だけでなくて、海外も日本も脳卒中領域にほとんど製薬企業がお金を入れていないというのが非常にあからさまになるデータだったのです。確かに開発が非常に難しいという、今日おっしゃったエンドポイントの問題とかいろいろあるとは思いますけれども、幾ら何でも偏っているなと思いまして、これは法律ができると少し製薬協さんも変わっていくのでしょうかというところを私もお聞きしたいと思います。
○永井会長 いかがでしょうか。
○増田参考人 法律ができるというところが最初のスタート点かどうか分からないのですが、ある研究領域で基礎研究、臨床からのリバーストランスレーション、すなわち臨床から基礎研究へ戻すデータが増えてくるということで、恐らく創薬研究の加速になると考えております。がん領域においてもそういった形でいろいろと疾患、がんの病態解明、あと、がんに発現している種々の分子等が分かってきたことで、それらに対する化合物、抗体を見つけようという研究に繋がってくると思いますので、今後の科学の進展と、その領域を研究する方々が増えるということも産学連携を進める上でも非常に重要なところかと思っております。
○永井会長 小室委員、どうぞ。
○小室委員 ちょっと繰り返すところもあるのですが、2点お話ししたいと思います。まず、医療機器ですが、先ほど来お話があったように、我が国から医療機器、とりわけ治療に関する機器がほとんど出てこない。長年医工連携だ、産学連携だと言われて、それでも進んでいない。ですから、全く新しいシステム、取組をしないとこれからも出ないのではないかと思うのです。
これは産業界ではないかもしれませんけれども、例えばアメリカのスタンフォードのバイオデザイン。日本でも細々と始まっていますが、もっと大がかりにやらないと、日本からこれからも出ないのではないかなとすごく危惧しています。ですから、今回法律が決まったことによって、何か大きい仕組みをつくっていただくというか、我々も考えて一緒につくることが必要かと思います。
もう一つ、製薬ですけれども、製薬協の方はおっしゃらなかったのですけれども、製薬協の6ページのスライドは、私もよく使うのですが、循環器薬はもう満ち足りているというスライドなのです。確かに心不全薬というのはACE阻害薬、β遮断薬、生命予後を改善すると。こんな薬は今までなかったのですけれども、しかし、いずれもこれは対症療法であって、治らないわけです。ですから、我々専門家は全く満足していないのです。がんと同じように病態に基づいた治す薬をつくらない限り、永遠に治らない。いたちごっこであると。
ですから、この法律ができたのを機会に心不全薬。あとは不整脈も満足されていない。これは全く分かりません。不整脈の薬なんかないわけですから。不整脈の薬であったり、解離の薬であったり、病態に基づいた分子標的薬をぜひつくっていただけたらと思います。
○永井会長 先ほどの3つのプレゼンテーションを含めて全体の御議論をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。いろんな角度があるわけですね。アイデアもあるし、組織もあるし、人材育成もあるし、何よりも研究費の問題がある。その辺りを視野に入れて基本計画をつくらないといけないのだろうと思います。峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 研究費のことで、最初に事務局の説明の「その3」として、特に研究費関係の現状をずっとリストアップしていただいたのですが、項目だけの、いわゆる断面調査でした。実は僕自身、一時期研究費に応募しようとしても該当する項目が全くないような時代があって、愕然したことがあったのです。要するに、時代とともに、それからAMEDとかの体制ができたときにそんなことがありました。できればそれぞれの分野別に、研究費の経過、トレンドを出していただいて、どんな時代経過になっているか知りたいです。多分この法律ができた目的の一つは、足りない研究費。公的研究費だけでなくて、民間からの研究費も、非常に欠乏感がありました。経年変化、トレンドを出さずに断面調査だけのデータが出ているのは非常に不満なのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
○永井会長 これはAMEDがデータベースを持っていますね。循環器系の研究者がどのくらい研究費を受けているか。これはAMEDに依頼して資料を出してもらうほうがよいように思うのですが、いかがでしょう。
○安井課長補佐 御指摘を踏まえて検討したいと思います。
○峰松委員 小室先生、ここら辺に関しては思いがあるのではないですか。
○小室委員 AMEDにぜひ検討していただきたいのですけれども、AMEDのその事業を見ますと、循環器・脳卒中は生活習慣の中にあって、生活習慣病はどこで扱われているかというと、難病研究課で扱われている。難病研究課に6事業あって、8の6というのが生活習慣病で、そこに脳卒中、糖尿、肥満、循環器が入っているのです。ですから、難病研究課にそぐわないというのはありますけれども、6分の1の4分の1が循環器、同じように脳卒中、そういうくくりなのです。
ですから、患者さんの数、また重症度、社会的なインパクト、非常に脳卒中・循環器は非常に大きいと思いますので、この点、AMEDの方にまた御検討いただくように言っていただければと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 循環器は、確かに項目としては少ないのだけれども、実は創薬とか再生とか医療機器開発とか、別のところで取っている人たちが結構いるのです。
○峰松委員 取らざるを得ないのです。一生懸命探している。
○永井会長 だから、そこの額をきちっと出すべきなのです。
○山本委員 先ほど小室先生が御指摘された製薬協の6ページの治療満足度、薬剤貢献度ですが、これを見ても脳卒中系は本当に低いなと思います。ほかの切り口でまとめたことがあって、特に急性期の脳梗塞は、20世紀から21世紀に行くときに治療方向ががらっと変わって、1997年ぐらいにt-PAの3時間以内の治療というのが急に出てきて、そこからいきなり超急性期にばたばたばたっと治療するというふうになって、さらに血管内治療も入ってということで、私はレジデントとして20世紀に国循で脳卒中の救急医療を学んだのですが、21世紀型の今の治療法は全くついていけない。全くできない。全く違う疾患になったのですが、一方で、脳出血は20世紀も21世紀もいまだに同じ治療をしています。脳出血の治療は全く変わっていないという状況がある。
そういう状況があるのに、ずっとそれは捨ておかれているというか、一応現場ではみんな頑張っているとは思うのですけれども、特に企業からの介入というのは全く見られないというのが長く続いておりました。今、見ると、多分循環器の心臓内科の先生方もびっくりすると思いますが、心不全の薬剤貢献度がすごく高いと見えますけれども、こんなことはないと思うのです。なので、薬剤貢献度のこのグラフもアカデミアとか臨床現場から見たときに大分乖離が出てきているのではないのかなという気がしますので、そういうのも含めて、ここまで別に満足していないよというのをしっかり打ち出していくべきではないかなと思いました。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。磯部委員。
○磯部委員 医療機器なのですが、非常に有効な機器が増えて、循環器の領域では本当に患者さんの役に立っていることは事実です。ただ、極めて高額で、例えば大動脈弁を取り替えるカテーテルで90歳の方にも使える弁置換のシステム、TAVIは1本400万です。件数は少ないかもしれませんが、人工心臓は1800万ですね。CRTという特殊なペースメーカーは1個600万するのです。インペラという最近導入された循環補助の使い捨てのカテーテルは1本240万。償還価格でそれぐらい。いずれも導入初期に使うときは非常に慎重に認定施設や適応患者とか決めて始まるのですけれども、一旦増え始めると爆発的に件数が増えていくのが現状です。機器メーカーさんだけの責任だとは思いませんけれども、こういった器材を沢山使っていると、医療資源が本当に枯渇しないのだろうかと思いながら、空恐ろしくなることがあります。そういうものの件数が非常に増えている状況で、どうしたらいいのかなと思うのです。国産のものを開発するということも一つだと思いますし、何らかの努力をメーカー側、あるいは使用側でしなければいけないと思うのですが、その辺りを機器メーカーさんはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。責めているわけではないのですけれども、現実は非常に厳しい状況だと思うのですがいかがでしょうか。
○多田参考人 幾つか理由があると思います。先ほど小室先生からありましたとおり、医工連携が進まない理由も、あるいは装置そのものが高額になる理由の中に、やはりそのデータが不足しているというのが大きいのではないかと思います。諸外国に比べますと、利活用するデータがなかなか整っていないところもありまして、ゆえに、治験をやる上でコストがかさんでしまったり、あるいは臨床研究を進める上で、またそこでコストがかかってしまう。なので、磯部先生のおっしゃるとおり、限られた資源を有効活用するためには、いかに公共的に使えるデータを構築するかということが非常に重要かと思っています。
また、悉皆性の高いデータということもあるのですけれども、中身というのも非常に重要かと思っています。企業としては、いろんな研究開発を進めるに当たって必要なデータというのがございます。症例数あるいは診療行為だけでなくて、服薬データであるとか、あるいは心エコーの画像であるとか、もっと言うとBNPのような検査データといったものが集まってくることによって、特に循環器にまつわる疾患については、よりコストを抑えて研究開発が進むのではないかと考えております。
○永井会長 そうであれば、やはり各医療機関のデータを統合するようなシステムに支援をしないといけないと思います。それがほとんどされていないのですね。データがないと言われても、病院が医療費の売上げの中からデータを出すのは非常に大変なわけで、そういうところも一緒に考える機会が必要ではないかと思います。
小川委員。
○小川委員 先生おっしゃるとおり、一緒にやっていくことによって、そのデータは企業のほうにも役に立つようなデータだと思いますので、ぜひ今後製薬業界も含めて一緒にやっていったほうがいいと思います。今までそれが足りなかった。それは患者さんの団体の協力も要ると思いますし、ビッグデータをつくり上げるということをやっていったほうが一番いいのではないかと思います。
○永井会長 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員 先生方から出ている機械のことなのですが、今、入院患者さんで85歳以上の方が26%なのです。心臓が悪い、脳血管に障害がある以外に、ほかに複雑な御病気を持たれて、多様な状態にあるのです。そういう方々が病院の中で安全に過ごしていただくためには、ここで出ている、プレゼンしていただいた最新の医療機器のほかに、そこを安全に守っていけるようなものも一緒に開発をぜひお願いしたいと思っています。
あとは、私も日本医療安全機構の再発防止委員会をやっていると、繰り返される事故がたくさんあるのです。例えば循環器病棟というのは幾つもモニターがついていて、聞き分けられないために起こる事故とか、そういった現場の課題を解決するような研究とか開発をぜひ現場と一緒にやってもらいたい。
もう一点は、病気になって、例えば心臓が悪くてペースメーカーを入れて家に帰る。呼吸状態が悪いから気管切開をして、そのままおうちに帰るという患者さんがおられると、在宅まで見越した医療機器の開発が極めて重要なので、ぜひそこも一緒に開発をお願いしたいと思っています。
○永井会長 また後で御意見をさらにいただきたいと思います。時間の関係で次に参ります。
議題4「主な論点案について」であります。第1回、第2回の議論を踏まえ、資料3「主な論点案について」の説明を事務局からお願いいたします。
○安井課長補佐 事務局でございます。
資料3を御覧ください。2ページにこれまでの議論を踏まえた主な論点案を示しています。まず、全体に係る論点案として、法の基本理念に基づき、「循環器病の予防や普及啓発」「保健、医療、福祉サービス提供体制の充実」「循環器病の研究推進」の3つを設定すること、また、具体的な目標及びその達成の時期の設定を上げています。
以下、これまでの委員の皆様の御意見や御議論を踏まえ、各項目における論点案を記載しています。(1)循環器病の予防や普及啓発についてです。論点案として、生活習慣の予防や循環器病の正しい知識について、子どもの頃からの国民への普及啓発を推進等としています。
(2)保健、医療、福祉サービス提供体制の充実についてです。
循環器病を予防する健診の普及や取組の推進。救急現場から医療機関により迅速かつ適切に搬送可能な体制の構築。医療機関の機能連携や役割分担による地域での高度医療・24時間体制の救急医療の確保。重症化予防や再発予防等のための多職種が連携した保健、医療、福祉サービスの提供。地域包括ケアの実現。地域の特性を踏まえた循環器病の患者が相談できる総合的な取組、緩和ケアの推進。後遺症に対する支援体制の整備。治療と仕事の両立支援。循環器病対策を担う専門職に対する教育・研修。小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策等としています。
(3)循環器病の研究推進については、本日の今までのヒアリング等も踏まえ、御議論いただくことを考えています。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
ただいま、この法の基本理念に基づいて、「循環器病の予防や普及啓発」、そして「保健、医療、福祉サービス提供体制の充実」、さらに「循環器病の研究推進」、3つに分けて論点案が示されたわけです。いかがでしょう。宮本委員。
○宮本委員 宮本です。
このまとめ方は非常にクリアカットだと思うのですけれども、「登録事業の促進」ということが書かれていないのが問題だと考えます。先ほどのディスカッションでも研究が進まない一つの原因として、臨床情報を合わせたようなデータベースがないということが言われているわけです。もともとこの法律をつくっていただきたいというモチベーションになったのは、一体日本で循環器疾患が何例発生しているのか、その患者さんがどうなるのかということが分からないがゆえに対策が取れないということでしたから、「登録事業の促進」が(3)の研究推進の中に包埋されてしまうと、登録を促進するということがみえにくくなってしまうので、ぜひ大きな項目として入れていただきたいという気がいたします。
○永井会長 今の点、いかがでしょうか。研究だけでもないのだということですね。羽鳥委員。
○羽鳥委員 宮本先生の意見に僕も賛成です。先週、脳卒中・循環器病対策フォローアップ議員連盟のときも発言したのですが、データのレジストリをしっかりやるということ。がん対策の場合には、がん登録法によって、ある意味で全員登録ができるのです。でも、この循環器病の基本法では努力義務になってしまって、登録は義務でなくなってしまったのがちょっと残念だったのかなと思います。
でも、疾患数がどのぐらいあって、どのぐらいの数の方が困っているのかとか、そういうことをやっていくためには、ある意味では地域を絞ってでもいいですから悉皆性のあるデータも必要ではないかなと思います。
もしそれができないなら、レジストリに対してしっかり予算をつけていただいて、この疾患とこの疾患については今回は絶対調べるぞというぐらいの強い意志でやっていただけたらと思います。
以上です。
○永井会長 ちょっと粒度が小さくなるので、例えば循環器病の実態の可視化とか、そういう項目立てにして、その中でレジストリをするとか、あるいは登録事業などというやり方もあるかなと思います。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 私も(2)の保健、医療、福祉サービス提供体制を組むためにはそもそもどのぐらいの人数が要って、規模がどのぐらいで、重症度がどのぐらいということがざっくり分かっていないと、立てられないと思うのです。
ただ、レジストリみたいに薬とか機器の研究開発にまで資するようなデータを集めるというのは、悉皆性は無理だと思います。ですので、それはある程度絞ったところで集めるしかないので。そういうざっくりとしたデータを集めるために、例えばがんみたいに全員の人数を数えるということまでしなくてもいけると思います。例えばある程度ランダムサンプリングをするような形での調査ということで、非常にコモンディジーズですので、ある程度統計学的なデータ収集法を応用していくということができると思いますので、がん登録とは少し違う形でやるべきではないかと思います。
○永井会長 宮本委員、どうぞ。
○宮本委員 私は会長の御意見に賛成で、登録事業だけでやってしまうと、どうしてもそれができるとかできないとかという議論になってしまいます。私、前にこの協議会でお話ししましたが、登録についても働き方改革の問題もあって、電子カルテの情報をどういうふうに抽出するかとか、そういうメソドロジーのこともディスカッションしなければならないわけで、それも含めた形での大きな課題として、登録をどういうふうにやっていくかという項目を立てていただきたいと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。磯部委員。
○磯部委員 別の点ですけれども、(2)の3番目の四角「医療機関の機能連携や役割分担による」というのは、高度医療、救急医療に係るのだと思いますが、これはこれでとても大事なことだと思うのですけれども、医療機関の機能連携、役割分担は、高度医療や救急医療だけではなくて、一旦急性期で入院した患者さんを地域でどういうふうに病診連携なり、診診連携なり、病病連携なり、あるいは病院と福祉との機能連携と役割分担が必要だと思うのです。3番目のこの文言だけですと、そこが抜けるのかなという危惧を持ったので、そこを明記していただいたほうがいいと思いました。
4番目の四角ともちょっと違いますね。その前段階の病院、あるいは診療所、かかりつけ医、在宅医、福祉サービスその辺の連携について充実していただきたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかに。山本委員。
○山本委員 磯部先生の話とも少し関わると思いますけれども、特に脳卒中の患者さんというのは機能予後が悪いわけです。つまり、独りで生活できない方がたくさんいらっしゃるのです。がんとか全身疾患の中でも非常に手のかかるというか、独りで生活を完結できない方がいらっしゃるのですけれども、一方で、今、日本の社会は単身者が増えておりまして、今後ますます単身者が増えていく。
でも、今のところ介護とか地域包括ケアとか、何となく家族と同居していることが前提になっているような形、あるいは本人の意思がちゃんとあって物事を決められて、あるいはちゃんとこうしてほしいという要求が出せる、また、連絡ができるというような、ふわっとした了解の下でできているシステムのような気がするのですが、脳卒中の場合はそれができないので、今、ばらばらに書かれていますけれども、例えば「地域包括ケアシステムの実現」というところと、ちょっと下に「麻痺、失語症、高次脳機能障害等の後遺症に対する支援体制の整備」とあるのですが、これは別々でないと思うのです。これがあるから普通の生活ができなくて、だからそれを支援して、生活するところから支援しないといけない、あるいは社会復帰するために、ほかの疾患とは違った支援体制が必要であるということになると思いますので、そういうことがある程度分かるような形でまとめていただけるとありがたいかなと思います。
○永井会長 順番がいろいろ飛んでしまうので、まず1のところはいかがでしょうか。これは1行しか書いていないのですが。
○峰松委員 それは私も言いたかったのですけれども、2の一番最初の項目は1に置き換えるべきではないかなと思います。2の「保健、医療、福祉サービス提供体制の充実」の一番最初の四角に「予防する健診の普及や取組の推進」とありますから、これはその上の項目に包含すべきだと思いますし、確かにこの項目はそれぞれ発言があったり、議論はしていると思うのですが、取りまとめの仕方とか文言の組み合わせは、もうちょっといろいろ議論して洗練させなければいけないなと思います。
○永井会長 まず、1について御意見をいただきたいと思います。
○横山委員 「健診の普及や取組の推進」は、1のほうがしっくりしているかなと私も思います。
それから、「子どもの頃からの国民への普及啓発を推進」は、ライフステージによって取組あるいは力を入れるべき事項がかなり違うと思うので、ちょっと大ざっぱ過ぎるのではないでしょうか。子供の頃、それから若い世代、そして中高年期とそれぞれライフステージに応じて普及啓発すべき内容はかなり違うかと思います。総論としてはこれでいいと思うのですが、健康日本21(第二次)においてその普及啓発のことも述べられていますので、そこの整合性も考えながら、ここはもう少しライフステージに応じた普及啓発を行うみたいな書き方のほうがいいのかなと思いました。
○峰松委員 私も賛成です。いわゆる義務教育世代からの教育というのは、私が提案したのですが、これは全く欠落しているということで強調した。啓発は、それぞれの世代でやっていかないと全然追いつかない。子供たちに教育しても、その成果が出るのは数十年後だと思うので、それは全く違う話で、こう書いてしまうと誤解を招くと思います。世代ごとにいろんな戦略で教育をやっていくということになろうかと思います。
○永井会長 予防も何となく一次予防的なニュアンスになっていて、重症化予防とか再発予防とか、いろんなことを考えないといけないのだろうと思います。
いかがでしょうか。早坂委員、どうぞ。
○早坂委員 今、先生がおっしゃったとおりなのですけれども、(1)に「重症化、再発予防」という言葉を入れるほうが循環器の病気の特徴というか、再発することを予防するという大事なポイントが入ると思うので、何か項目を立てたほうがいいと思います。
○永井会長 合併症予防ですね。
では、山本委員、それから横山委員。
○山本委員 今のところは、個人が努力することだけになっているような気がするので、社会も努力しないといけないと思うのです。先ほどもちょっと申し上げましたが、ある程度後遺症がある方たちを社会復帰させるようなところとか、受け皿としての社会のほうのことも1には少し入れてみたらどうかと思いました。
○永井会長 横山委員。
○横山委員 重症化予防の話が先ほど出たのですが、先ほども言いましたけれども、「循環器病を予防する健診の普及や取組の推進」という辺りで、重症化予防に関して言うと、健診でハイリスク者がいて、その方の重症化予防という流れがあるので、健診の普及、取組の推進で、この中に重症化予防も入ってくるというような整理にするといいのかなと思いました。
○永井会長 もう一つは、心臓発作とか脳卒中の発症早期の教育ですね。
○峰松委員 そうです。
○永井会長 振り返ると、あれが初期の症状だった。その教育をきちっとしておかなくて、これは医療者側もそうなのですが、患者さんによくそこを伝えないといけないのだろうと思います。そういう教育ですね。
羽鳥委員。
○羽鳥委員 先ほどのライフステージに応じてというのはとても大事だと思います。具体的な文言を書き込んでいただいたほうがいいと思います。例えば、先ほどもがん教育の話が学校の中で取り入れられたのと同じように、学校教育の中でとか、それから社会人になっても例えば産業医との関係もあるでしょうし、経産省のほうでは健康スコアリングとか、健康会社をつくるということをやっていると思いますけれども、取組の文言を入れていただくほうがよいと思います。
○永井会長 熊谷委員。
○熊谷委員 私は、先ほどから先生方から出ているように、個人がやることと社会が努力すること、その視点がいいと思ったのと、あと、こういう基本法が出ると、国が努力すべきことも必ず入っていて、循環器病においてすごく重要なのは喫煙対策だと思っていて、それがなかなか進まないということについては、そういうことも国が法律をつくって努力をすべきとか、あとは先ほどから出ている循環器病の研究の推進の環境整備という辺りを国の責務として入れていただきたいと思いました。
○峰松委員 よろしいでしょうか。
○永井会長 はい。
○峰松委員 禁煙という文言はこの法律の条文に入っているのですよ。循環器病予防に一番効果があるのは、多分今の段階では禁煙だろうということで、わざわざ法律の文面に書いてあります。それは入れておかないと問題があるかと思います。
○永井会長 2の「保健、医療、福祉サービス提供体制の充実」。どうぞ。
○木幡委員 普及啓発の部分なのですけれども、発信の仕方、これだけ情報がいろいろ満ちあふれている中で、いかに届く発信をするか、一人一人に刺さる発信をするかというところは非常に重要で、ただポスターをつくるとか、チラシをつくるとか、そういうこれまでの発想ではなく、いろんなテクノロジーを活用したり、いろんなプラットフォームを使ってやるべきだと思います。また、そういうときはその道のプロを入れて意見を聞きながらやったほうがいいかなと思います。
最終的に一人一人の行動に結びつかないと意味がないので、知ってもらって行動まで移してほしい。そこまでつながるような普及啓発の在り方とか、そういう感じで変えていったほうがいいのかなと。皆さんと一緒で、もう少し具体的な記載があったほうがいいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
2についてはいかがでしょうか。ここはいろいろと記載があって、逆に論点も多いのではないかと思いますが。先ほど幾つか御指摘をいただきましたが、これは整理させていただくとして、そのほかはいかがでしょうか。川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 川勝です。
まず、この資料の意味合いがよく分かっていなくて、先ほどから黙っていたのですけれども、(2)で言えば5つ目ですね。別件で文書の記載方法ですが何でこの資料は番号を振らないのですかね。この文書だと意見が言いにくいです。厚生労働省。
5の「地域の特性を踏まえた循環器病の患者が相談できる総合的な取組」。すごい格好いい言葉を並べているのですが、では、誰がどうするのかというのがよく見えない。今回、私、いろんな相談を受けているのですけれども、かかりつけ医の方、要は、あるいは街のお医者さんがこの法律でどんなふうに国が変わるのか、医療が変わるのかというのをすごく期待されているのですよ。ですから、かかりつけ医さんは、特にペイシェント・ファーストですね。患者さんに直面しています。地域の皆さんに、一番直面している、患者と向かい合っている先生方がどんなふうになるのかと非常に期待をなさっている。
先ほど羽鳥先生からかかりつけ医への教育が重要だというお話が出たのですね。僕もそう思うのです。実はある製薬会社と去年からやっていまして、その製薬会社の彼は非常にペイシェント・ファーストを言っています。今日、先ほど集中砲火で大変だったのですけれども、製薬企業の方も患者思いの方はたくさんいらっしゃる。その製薬会社の彼が嘆いているのは、かかりつけ医の先生にどういうふうに脳卒中のリスクを教えていいか分からないから協力をしてくれというふうに相談を受けて、私はいろいろ動いているのです。
今回計画をつくる段階で地域の特性。まさに先ほど美原先生がおっしゃったように、地域に答えがあるのですよ。だから、地域ごとの生かせる計画にはかかりつけ医の方が絶対に大事です。この文言のどこかに「かかりつけ医」という言葉も入れるべきではないかなと思っています。
要は、「かかりつけ医の先生が」と入れば、かかりつけ医の先生方も主体になってもっと学ぼうとか考えるはずです。例えば心不全とか脳卒中、TIAの段階で見分けがつかないかかりつけ医さん、実はいらっしゃると聞いています。ですから、そういうことができるような計画、動きにしていく必要があるのではないかなと思いました。
○永井会長 ありがとうございます。
羽鳥先生、いかがでしょうか。
○羽鳥委員 バックアップありがとうございます。
日本医師会も取り組みたいと思っているのですが、循環器の疾患、あるいは脳卒中の疾患を熟知していらっしゃる先生はいいのですけれども、他科の専門領域をされている先生にとっては、こういう患者さんが来ても対応に迷う場合もあるかと思いますので、医師への教育というのはとても大事だと思います。日本医師会も努力しますので、ぜひそういうシステムとしてつくっていただきたいと思います。
もう一つ、運動の重要性のことをどこかに書き込んでほしいなと思います。運動が、脳卒中をなされた後でも、それから心不全になった後でも必ず有効な治療の一つだと思いますので、どこかに書き込んでいただきたいなと思います。
○永井会長 小室委員。
○小室委員 今の点ですけれども、理念が3つなので、ここを3項目にされたと思うのですが、法律は12条から19条で8つあって、それが大きく分けると5つになって、そのうち抜けているのが先ほど話が出た登録と人材育成ですね。恐らく(2)の下から2番目が人材育成になるかと思うのですけれども、ここをもう少し分かりやすく、もう少し加えたほうがよいかなと思いました。専門職に対する教育・研修などは分かるのですけれども、多分多職種を想定されていると思うので、そういう文言を入れたほうがよろしいかと思いました。
○永井会長 ありがとうございました。
宮本委員。
○宮本委員 ちょっと戻りますが、先ほど川勝委員が指摘された項目ですけれども、この表現というのは漠然として分かりにくくて、かかりつけ医の先生のことを指しているのか。脳卒中協会のほうで言われていたのは、そういう患者さんの支援情報を、どこに行っても分かりやすいような「相談窓口」という言葉が使われていたのです。だから、そういうことも想定されるようなもうちょっと具体的な記載がよろしいかなと思います。
○永井会長 美原委員、どうぞ。
○美原委員 医療提供体制の中で、今、地域地域という言葉が出ているわけですが、地域医療構想を踏まえたということで、「地域医療構想」という言葉をどこかに入れていただければと思います。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。
よろしければ、3の「循環器病の研究推進」について。これは先ほども少し意見が出ましたが、ここにももちろんレジストリとか登録事業というのが入ってくると思うのですが、登録事業は必ずしも研究のためだけではないという御意見でした。あとは研究費の問題ですね。そのほかは。どうぞ。
○小室委員 今、永井先生がおっしゃったところからいきますと、登録事業というのは全てに関係してくると思うのです。1、2、3。3の場合も、我々脳卒中学会と循環器学会、その他の関連学会と5か年計画をつくっていますが、そこにも登録研究、バイオバンクを基盤にしてその研究を推進していくというふうにしていますので、登録事業ということは研究推進の初めの一歩としてすごく重要かと思います。
続いて研究について言いますと、これは何度かお話ししていますけれども、基本理念として一つとして取り上げていただいて大変よかったと思うのですが、循環器病、脳卒中はどうして起こるかという研究をしないと、いつまでたっても発症したらどうしますかということばかりでは、いたちごっこといいますか、最後は収拾がつかないと思うのです。
では、循環器病とか脳卒中が治るのかというと、これは最近、私はよく言うのですが、では、20年前にがんが治ると思っていた人はいるのか。つい2~3日前、あの医薬品が高いというのでニュース、評判になりましたが、あの疾患があの1回の注射で治ると思っていた人がいるかというと、あれは1回で治ってしまうのですね。それだけ医学が進歩している。
ですから、心不全、解離、脳卒中も原因を解明して、それに基づいて治療すれば治る時代が来るはずなのです。それをやらずして、その後のことだけを議論しているというのはおかしいのであって、その後ももちろん重要ですけれども、研究、特に基礎研究から始めて、さらにそこから創薬、デバイス開発につなげていく。そういうスキームを広く研究と捉えてやっていただきたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
磯部委員。
○磯部委員 前の2番の一番最後のところに「先天性心疾患や家族性高コレステロール血症」とあります。先天性心疾患というのは100人に1人発生する非常に深刻な疾患で、最近は、基本的に手術して、かなりの部分が成人に達するのです。今、40万から50万の方がいますが、移行医療がうまくいっていません。「小児期・若年期から配慮が必要な循環器病への対策」という文言がございますが、もっと積極的に。移行医療や社会進出がうまくいくようにという文言も入れていただくとよいと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 配慮が必要なということだったのかもしれませんが。
ほかにいかがでしょうか。山本委員。
○山本委員 小室先生がおっしゃったように、研究推進のところで根本原因をきちっと解明していくというのは非常に重要なことだと思います。本当におっしゃるとおりで、がんがここまで進んだのは、法律ができて、基礎研究にみんなが物すごく注力した上で今の状況があるのだと思いますので、循環器、脳卒中の領域もそういうところに行かないといけないと思います。
あともう一つは、その一方で医薬品とか医療機器の開発ですね。結局、患者さんが最終的に使われる治療法については、今まで医療者だけが関わっていますけれども、今からはそういう患者さんが最終的に使われるものについては患者さんの意向というか、本当はどういうものを望んでいるのかというところをしっかり入れていくということをこの研究推進のところに。患者さん、もしくは脳卒中の場合は家族かもしれませんけれども、その人たちのニーズを踏まえた研究開発というところをもう少し入れていただければどうかなと思います。
○永井会長 小川委員、どうぞ。
○小川委員 今、研究のところでお話をされていると思うのですが、研究の中で登録という意味で今、ちょっと思い出したのですけれども、最近、入院のデータはもちろんそうなのですが、消防のデータがかなり充実してきていまして、入院までにどのくらい亡くなっているかというデータも結構出てきているのです。あれは総務省が全て持っておられるデータです。それも医学と連携させていろんなデータがたくさん出てきていますので、登録のときにそういうデータも加えてもらいたいなと思っているのです。
20年前、厚労省から総務省に出向された方からこんなデータがありますよと教えられまして、消防のデータはすごいのだと思っていたら、最近になってどんどん消防のデータが充実してきまして、一つの登録のデータができ上がっていますので、そういうのも総務省と一緒にやれば非常に良いと思います。消防隊の方もかなり教育を受けられていまして、脳の疾患か心臓の疾患かと分かるようになっていますので、そこら辺もデータを使ったらいいのではないかなと思います。登録の意味でも、それは数値としてかなり正確なデータがありますので、省を越えて話し合いをすれば、結構役に立ついろんなデータが出るのではないかと思っています。
○永井会長 宮本委員。
○宮本委員 今の御意見は大事なポイントです。そういう登録というか、データベースもそうですけれども、先ほど医療機器のところであまり話題にならなかったのはロボットテクノロジーとAIで、特にロボットは何も医療産業だけでなくて、例えば脳卒中で言うと、ロボットテクノロジーを用いたリハビリテーションとか、サルコペニアの防止とかに有用なわけですが、それを厚労省の中だけでやっていると進まないところがあって、例えば経産省などと省庁横断的に進めるという観点はぜひここに書き入れていただきたいなと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○木幡委員 最初にこの論点の一覧を見たときに、今、骨子だけだからかもしれないのですが、どれもやって当たり前のことに見えてしまったのですね。失礼な言い方かもしれないのですけれども、何でこれらが法律をつくらないとできないのだろうとか、国民目線というか、一般の素人目線で申し訳ないのですが、恐らくそういうふうに感じている人も多いのではないかと思います。
だから、この会議に来ていろいろとびっくりすることがたくさんあって、ああ、こうなっているのだと逆に学ばせていただいたのですが、多分これができない理由があって、明らかに足りない何かというのは何なのだろうというところを抽出したほうがいいのではないかなと。今、聞いていると、例えば連携とか共有、こういったキーワードなのかなというふうにも思いますので、非常に多岐にわたってやらなければいけないことがある中、やはりプライオリティーをつけながら、何が足りないから今、これができていないのかというところから考えていくべきかなと思いました。
あと、書き込んで終わりではなくて、それからこれをどうやって実現していくのかというのが一番大事なので、そこまでしっかりと考えていかないと駄目なのかなと思います。
○永井会長 事務局、今の点について何か御意見ありますでしょうか。
○江浪がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長の江浪でございます。
今回の基本計画に関しましては、本日お集まりいただいております委員の皆様方の御意見をしっかりお聞きした上でと考えておりまして、事務局のほうからこういうことができていないから、やって当たり前のことができていないのであるということをお示しすることはなかなか難しいところでございますが、これまでの委員の御発言をお聞きしますと、先ほど御発言があったように、連携とか共有、そういったキーワードをもとに委員の中でまた御議論を深めていただければなと考えております。
○永井会長 これは奥の深い問題があって、アメリカのように市場原理で弱肉強食的な社会でしたら、お金で動いていきますね。日本はそうでないですし、かといって社会主義でもないですから、なかなか難しいのですね。そういう意味で、法律ができるというのは非常に大きなはずみと思うのです。
全体を通していかがでしょうか。羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 研究促進のところで、医療の現場で出てくるデータというのは、現場の先生も一生懸命電子カルテでデータを入力しています。このデータを有効に使わなければもったいないと思います。そういう意味では、ビッグデータをどうやって活用するかということですけれども、これは厚労省が主導してカルテのフォーマットの統一、イギリスのNHSのほうでは、すでにオプトアウトでなくて、患者さんが拒否をしなければデータが自然に取れるような仕組みもできているわけですので、簡便にデータをとれるようにして欲しい。ただし、どうしても知られたくない疾患はあると思いますが、そのような機微情報は個別の了承が必要です。高血圧とか糖尿とか、ビックデータになると、意味をなしてくることについては、簡便にデータを集める仕組みにしていただきたい。
例えば糖尿病で言うと、JDream、病院と糖尿病専門医の先生たちで組んでいる仕組みがあります。日常の診療をしているだけでデータが取り込まれていく仕組みができているので、それをぜひこの機会にこの分野から始めるとか、そういうことをしてもらっていいと思います。
例えば開業医の電子カルテは今、いろんな種類ができてしまって、データが本当に取れていないと思うのですけれども、これは何年後から統一してやるのだということを決めていただければ、みんな協力できると思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。
○永井会長 ありがとうございます。
最初に議論になった枠組み、3つなのか、4つなのか。そこはもう一度いかがでしょうか。宮本委員、これを通して御覧になって。
○宮本委員 私、データベース、登録ということは大きな柱ですので、大きな柱として4つ目の枠組みに入れていただきたいなということを希望いたします。
○永井会長 登録というのは手段であって、もう少し理念的なものを掲げたほうがよいと思います。
○宮本委員 先ほど先生がおっしゃったような可視化でもいいのですが、データを集めるということについて4本目の柱にしていただきたいと思います。
○永井会長 どうぞ。
○峰松委員 項目を3つにという二次元的にやるのでなくて、もうちょっと立体的に作れるのではないかと思うのです。がん対策基本法の取りまとめ方がそういった立体構造で、ここで言うのは難しいのですけれども、3本柱を立てて、それは「予防」と「医療の充実」と「共生」だったと思うのですが、それを支える基盤として「研究」とか「登録」とかいうのはまた別に置いて組まれていました。二次元で見るとなかなか難しいのですが、最終的には立体的に見られるような形でつくっていただければいいのかなと思っています。がん対策基本法のポンチ絵があったと思うのですけれども、それは非常にうまくできているなと感心しました。全くまねをする必要はないと思うのですが、そういうふうに考えています。
○永井会長 研究推進も確かに予防や啓発も研究なのですね。そういう意味では、この辺りの枠をどうつくるか、もう少し工夫があってもよいのかもしれません。
どうぞ。
○堀場委員 すみません。最後になってしまいましたが、一言よろしいですか。堀場です。
患者からですけれども、2の5番目「地域の特性を踏まえた循環器病の患者が相談できる総合的な取組」ということで、退院後の不安を解消できるようなものがあればいいと思っています。といいますのは、以前に比べ手術から退院まで早くなってきています。具体的に言うと、例えば昔は傷が塞がって、ガーゼが取れた状態で退院だったものが、今ではガーゼが取れないまま退院し、次の週の通院でガーゼを外すといった具合です。早く退院することはふだんの生活へ早い復帰に大きく寄与しますので、そのメリットはありますが、その半面、不安もあります。退院したては完全に治り切っていないため、そこで何かあったとき対処できるのかということです。
この不安を解消するために、例えば対処法を記したしおりを退院時に配布するとか、病院のウェブサイトを通じてスマホから簡単に調べられるとかです。最近何でもスマホで調べられる世の中ですが、信憑性が乏しいのも現実です。病院から出している情報であれば頼ることができます。また、それでも解決できないようなときに相談できるコールセンターがあれば、なお安心です。よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。熊谷委員。
○熊谷委員 先ほど医機連の方に質問でしてしまったのですが、ペイシェント・セーフティーを考えた研究推進の中で、開発のときにそんなことも入れていただけるといいと思いました。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
まだ時間がありますが、また後ほど御意見をメール等で事務局へお寄せいただければと思います。どうもありがとうございました。
そういたしますと、事務局、どうしましょうか。枠組みのところ。3つなのか、4つなのか、あるいはもっと立体的にまとめるか、その辺りについて事務局のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○江浪がん・疾病対策課長 事務局のがん・疾病対策課長、江浪でございます。
当初考えてございましたのは、法の基本理念が3つの枠組みになってございましたので、大きくその3つの枠組みでこれまで委員の中から出していただいた意見をキーワード的に少し並べたものを今回御用意させていただいたということでございます。
しかしながら、各委員のほうからもう少し工夫できないかという御意見がございましたので、そこは少し永井会長と御相談いたしまして、どういった構成でお示しできるのか少し御相談させていただいた上で、また次回の協議会の前に先生方にも見ていただきながら、次回しっかり議論ができる形にしていきたいと考えてございます。
○永井会長 ありがとうございます。
色々な御意見がおありかと思いますが、ぜひお寄せいただければと思います。
本日の予定した議事は以上でございます。
先生方にはお忙しい中、またいろいろな騒動の中で御参加いただきまして、ありがとうございます。
次回は、今回までにいただいた御意見を踏まえて引き続き議論を進めたいと思います。
では、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○江浪がん・疾病対策課長 引き続き私のほうから1点だけ。今回御用意させていただきました主な論点案に関しまして、ポツごとに番号がついていないなど、少し議論がしにくい状態だったと反省しております。ですので、次回御議論いただく際には、どこの部分を議論いただいているのか、より分かりやすいように配慮したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
最後でございますけれども、委員、参考人の皆様方におかれましては、本日の御議論に御協力いただきまして、ありがとうございました。また、冒頭申し上げましたけれども、感染拡大防止のことにつきまして、御退席された後まで御協力を引き続きお願いしたいと思います。
次回の協議会の日程と場所に関しましては、決定次第御案内申し上げます。お忙しい中恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○峰松委員 質問、いいですか。
○江浪がん・疾病対策課長 はい。
○峰松委員 次回も今回と同じように団体からのヒアリングとかをやる予定なのでしょうか。それともこういった論点案に関して集中的に議論するのか。予定を知りたいのですけれども。
○江浪がん・疾病対策課長 次回に関しましては、今回主な論点案についてということでお示しいたしましたので、それについて引き続き委員の皆様方の中で御議論を深めていただく機会にしたいと考えております。そのほか内容に変更がございます場合には、また会長と御相談して、委員の皆様方にも御連絡を差し上げたいと思います。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、本日の協議会はこれで終了いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。