第20回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

令和2年3月4日(水)
10:00~12:00

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール6C

議事

下記のとおり
2020-3-4 第20回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会
 
○新井病院前医療対策専門官 まだ全員おそろいではございませんが、お時間になりましたので、始めさせていただきます。
ただいまから、第20回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
さて、救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会開催要綱では、4 運営(3)「この要綱に定めるもののほか、会議の運営に関し、必要な事項は座長が定めることとする。」とされております。
従来、本検討会は公開で開催させていただいているところではございますが、今般の新型コロナウイルス感染予防対策の観点を踏まえて、あらかじめ事務局と遠藤座長で協議を行わせていただき、今回の検討会は公開の検討会として実施し、従来どおり、資料や議事録については厚生労働省ホームページで公開いたしますが、一般の傍聴者なしでの開催とさせていただくことを決定しておりますので、この点について御了承ください。
また、本日、畝本構成員、久志本構成員、坂本構成員、山崎構成員から御欠席の連絡をいただいております。また、猪口構成員から、遅れる旨連絡いただいております。
団体を代表して参加いただいている構成員である坂本構成員から代理の御連絡を事前にいただき、座長の了解をいただいております。坂本構成員の代理として、日本臨床救急医学会理事、自治医科大学附属埼玉医療センター、救命救急センター長、守谷俊代理人の御出席について御承諾いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○新井病院前医療対策専門官 なお、本日は、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室室長の村上様にお越しいただいております。
それでは、お手元の資料を御確認ください。まず、議事次第、座席表、開催要綱のほか、資料1、参考資料1から3をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をされている方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、遠藤座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。議題「(1)救急救命士の資質向上・活用に向けた環境整備について」であります。事務局から資料1が出ておりますので、これについて説明をお願いしたいと思います。
○新井病院前医療対策専門官 事務局でございます。
それでは、資料1について御説明を差し上げます。「救急救命士の資質・活用に向けた環境の整備に関する議論の整理(案)」ということで資料1を出させていただいております。
それでは、ページをお開きください。まずは3ページ目、第I章「はじめに」というところから説明させていただきます。
1990年代初頭、救急医療の量的、質的向上を目指す中で、量的に充足していると考えられた医療機関における救急医療に対し、負傷者が発生した現場から救急用自動車等で医療機関まで搬送されるまでの間(「病院前」)の医療提供については不足しているとの指摘がありまして、この充実を図ることが急務とされました。
このとき、特に交通事故による心肺停止患者の件数が多かったところ、どうにかその救命率を上げられないかというような課題がありました。その際、医師等が病院前において直接的に関与するドクターカーの普及についても言及されておりましたけれども、病院前に従事可能な医師等の量的不足のため、新たな国家資格として、平成3年4月に救急救命士制度が創設されました。
この際、詳しくは後述いたしますが、「場所」「行為」「行為の対象者」を限定した上で病院前における医行為の実施が可能となりました。
その後、MC体制の整備及び強化、また救急救命処置の拡充など、救命士の資質の向上が図られてきました。その後、救急医療を取り巻く状況は法制定当時と大幅に変化している中で、平成22年には、日本医師会から「救急救命士の業務の場所の拡大に関する『提議』」が提出されたところでございます。
さらに平成31年1月には、日本救急医学会から「医師の働き方改革に関する追加提言」の中で、救急医療現場の負担の増大への対応のため、救急医療に携わる医師の負担の軽減を求める提言もなされてきたところでございます。
以上のような経緯を踏まえまして、本検討会におきましては、救急救命士の資質向上・活用に向けた環境の整備等についての議論を計6回行ってきておりまして、その検討の結果について、本報告書として取りまとめることといたしました。
第II章、まずは「救急医療をとりまく現状」を救急搬送、救急医療の現場、救命士の立場、この3つの方向から見ていくことにします。
まずは「救急搬送の状況」です。救急出動件数及び救急搬送の推移は増加の一途をたどっていることが図1から御覧になっていただけると思います。救急救命士法制定当時、平成3年のときが約270万人であった搬送人員が平成30年には590万人となっておりまして、この30年で2倍以上となっております。
また図2、搬送人員に占める高齢者の割合が、平成10年には35.1%だったものが平成30年には59.4%となっております。いわゆる高齢者救急となっている現状がここから見て取れると思います。
次に「救急医療現場の状況」です。救急医療は、病院前における救急業務に始まり、救急外来における救急診療を経て、入院病棟における入院診療へと続きます。後段で述べますけれども、救急外来というものは救急診療を要する傷病者が一連の診療により、傷病者が来院してから入院に移行するまでに必要な診察・検査・処置等を提供する場とさせていただきます。
このように、救急業務から入院に至るまで様々な救急医療のフェーズがある中、病院前では、医師の指示の下、主に救急救命士が処置の提供を行っています。一方、救急外来、入院病棟等では、医師が診療を行い、看護師を初めとしたその他の医療職種や各職種の専門性をもって診療の補助等を行っているということになります。
また、救急外来では様々な病態、かつ、複数の傷病者が診療を受けていることもありまして、各傷病者に対する診療のプロセスの中には多くの業務が発生することが、別添2から4で見て取れると思います。
また、救命センターに従事する看護師に対するアンケート調査によりますと、救命救急センター内で看護師が担っている一部の業務に関しましては、他職種が担ったらよいと考えられている業務が含まれております。
医師の現状でございますけれども、救急科の専門医の数は約4,500人に対しまして、必要数は約1万人と推計されておりまして、救急科の専門医の不足は当分続くことが予想されます。また、救急科の医師は多くの時間外労働を行っている現状があります。
ページをおめくりください。他方、看護師につきましては、救急外来に特化した基準は現在ありません。三次、二次救急医療機関で救急外来以外の部門と兼務している看護師が相当数いることは表2から分かります。
最後に「救急救命士の状況」ですけれども、救急救命士の登録者数は現在約6万1000人、うち消防職員は約3万7000人となっております。消防機関に所属する救命士が行う特定行為等の実施状況が図3にありますけれども、平成30年度には23万件となっております。早期介入の実現という点で、救急医療における救命士の役割は増加しているということが分かります。
このような実情を御理解いただいた上で、救急医療に係る「問題の所在」は次のとおりとなっております。
救急医療の現状を踏まえますと、高齢化の進展によって救急医療のニーズが今後さらに高まると予想される中、救急医療に従事する者の確保が重要な課題であります。人的観点からの救急医療体制の充実強化が必要となっております。
さらに平成30年度に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布されまして、医師につきましては、令和6年度から時間外労働の上限規制が適用されることから、長時間の時間外労働を前提として成立しております救急医療は破綻してしまうのではないかというような御意見もいただいているところです。
そのため、現在、医師から看護師、診療放射線技師等々のタスク・シフト/シェアの検討がなされておりますけれども、前述のような状況を鑑みますと、救急医療を担う医師から他職種へのタスク・シフト/シェアを進める重要性は高いと言えると思います。
また、救急現場における医師の業務の移管先として、まずは行える業務の幅が広い看護師が挙げられますけれども、現状、救急外来の看護師自身が担う業務の量及び種類が多いという意見が挙げられている一方、その実態は精緻には明らかとはなっておりません。
また、「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会」におきまして、都道府県別で見ると、依然として看護職員が総数として不足するところがあると指摘されているところです。
以上を踏まえた対応の基本方針としましては、今後、救急外来に勤務する看護師につきまして、配置状況の実態を把握するとともに、看護師が適切に配置されるよう必要な対応を行うこと。また、医師から他職種へのタスク・シフト/シェアを速やかに進めることによって、救急医療現場の負担軽減を図っていくことが現実的だと考えているところでございます。
また、厚生労働科学研究からは、救命士の業務の質を担保する仕組みの構築を前提として、医師から救命士にタスク・シフト/シェアを行う期待感が現場より出ていることが示されております。
以上を踏まえまして、検討会として今後の対応の基本的方向性を以下の2点に整理いたしました。
1点目、救急外来における看護師の配置状況や業務実態の調査研究を行いまして、その結果を踏まえて、当検討会で議論して、救急外来等への看護師の配置等など必要な措置を行うこと。
また2点目として、救命士が救急医療の現場におきまして、その資質を活用できますように、救急救命士法の改正を含めて具体的な議論を進めることとさせていただいております。
なお、看護師に関する事項につきましては、今後の研究等の成果を踏まえる必要があることから、今回の整理では、救命士の資質活用方策に関して具体的な検討を実施したところです。
第III章からは「救急救命士の資質活用方策について」具体的に見ていきます。救急救命士法では、救命処置を行う場所、救命処置を実施する対象者、救命処置の内容等が制限されております。主に第2条と第44条がそれに当たります。しかしながら、救急医療現場の現状は、病院前の医療提供体制だけではなく、救命に関する処置が行われる救急外来においても量的に不足している状況にございまして、救命士が救急搬送から続く一連の処置として、救急外来においても救命処置を行ってもよいではないかというような意見とともに、救急外来において救命士が持つ資質の範囲内で、医師から一部の業務を担うことを可能とすべきとの意見がございました。
一方で、救命士の資質の定義を変えてまでも医療機関内で救命処置を可能とするということは、患者安全、国民の命を守るという観点で反対というような意見もいただいているところでございます。
以上を踏まえまして、救急外来における救命士の資質活用を検討する際には、救命士法の「場の規定」「対象者の規定」「救急救命処置の内容の規定」について整理するとともに、患者安全の観点から、救命士の業務の質を担保する仕組みについて整理する必要があると考え、以下に述べることとなっております。
「具体的な救急救命士制度の検討」というところで、まずは救命処置を行う場に対する考え方を整理いたします。
救急医療の流れを3つのフェーズに分けました。A)は病院前、B)は救急外来、C)は入院医療、それぞれのフェーズで主に医療を提供している者を整理させていただいております。当然ですけれども、救急医療A)からC)に至るまで途切れることなく提供されているところです。
A)につきましては、全救急隊のうち、現在、99.3%の救急隊に救命士が1人以上配置されておりまして、増大する救急搬送のニーズに対応していると言えると思います。
B)につきましては、これまで見てきたとおり、医師・看護師の業務量が増大しています。場合によってはA)でも提供されている、例えば胸骨圧迫等が継続しているような現場でも提供されることが考えられます。また、B)から傷病者の容態が安定して、次第にC)へと移行してきますけれども、そこでまだ超急性期というところで急変のリスクが高いというところで、入院病棟の医師や看護師に引き継ぐまでは継続的に観察が必要な状況であることが御理解いただけると思います。
一方、C)につきましては、入院病棟には診療報酬上の基準等に基づいて看護師が配置されておりまして、救急救命を超えた全人的なケアを行っておりますので、救命処置と同様の処置を実施する者としての救命士の必要性は乏しいと言えると思います。
以上を整理いたしまして、救急外来では、病院前に引き続きまして、一連の処置として救命処置が行われます。処置によって重度傷病者の緊急の生命の危機が回避された場合でも容態が急変する可能性が高く、入院病棟の医師や看護師に引き継ぐまで、継続的な観察が必要であると言えます。
入院病棟で行われる診療につきましては、救急救命処置の目的である「重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、又はその生命の危険を回避するために緊急に必要なもの」を超えた、全人的な診療を行っています。
救急外来は救急診療を担う人的資源の不足によって、逼迫した状況にあります。一方、入院病棟は、患者のケアに必要な看護師が配置されているというような状況にありまして、以上を鑑みまして、救命士が医療機関内で救命処置が可能な場としては、従来の「病院前まで」から延長して、「救急外来まで」とすることが妥当であると整理いたしました。
ただし、消防機関に所属する救急救命士に関しましては、消防法に基づく「救急業務」が職務でございますので、次の救急出動に備えるために速やかに医療機関内の医師、看護師等に引き継ぐ必要がある点に留意が必要であると考えます。
次に、「救急外来について」簡単に述べさせていただきます。救急外来に関する法令上の定義はございません。「物理的な形態という観点)や「運用上の観点)、このような観点でも様式は医療機関ごとに様々でございます。
以上を踏まえまして、救急外来については施設・設備構造で規定することは困難でございますので、「救急診療を要する傷病者が来院してから入院(病棟)に移行するまで(入院しない場合は、帰宅するまで)」として扱うことが適切であると整理させていただいたところでございます。
次に「救急外来以外で救急救命処置が必要な状況について」、すなわち、院内急変時等でございますけれども、考え方を整理させていただきます。
入院病棟においても突発的に胸骨圧迫等のニーズが発生することが懸念されることから、医療機関内のどこでも救命士が救命処置できるようにするべきではないかというような意見があったところでございます。
しかしながら、病棟におきましては、常に看護師が配置されていることから、このような救命処置が必要な場合には、基本的には配置されている看護師が必要な医療を提供するということが言えると思います。
なお、院内急変時、その場に医師、看護師が不在など急な対応ができない場合、また医療資源が乏しい場合には、医療関係職種であるか否かにかかわらず、居合わせた者が救命のための行為を行うこととなります。こちらに関しましては、救命士がやったとしても、救急救命士が業として行ったわけではなくて、緊急避難的処置として整理することは可能であるというような整理を第19回の検討会でさせていただきました。
また今般、院内急変への対応に特化したチームを組織する医療機関も増えておりまして、当該チームに救命士を所属させて院内急変に活用できるようにしてはどうかというような意見があったところでございますけれども、この点につきましては、現時点において、救命士は救急外来で救命処置ができませんので、その有効性等を示すエビデンスが乏しいところでございますので、今回の議論からは対象外とさせていただきたいと考えています。
次に「救急救命処置の対象となる傷病者に関する考え方」を整理いたします。救急診療を要する傷病者が救急外来を受診する経路として、当然救急車と、あとはウォークイン、自力で徒歩、タクシー等で来院する場合があると思います。
特に救急用自動車等で搬送される傷病者のうち救急救命処置が実施される者は重度傷病者でございますけれども、ウォークインの中にも来院時に直ちに処置をすべき重度傷病者ですとか、経時的に症状が悪化して救命処置が必要となる重度傷病者が存在いたします。
このようなことから、以下の懸念が考えられます。まず、重度傷病者という、同一の病態であるにも関わらず、来院方法が違うというところだけで処置の可否を決定するとなりますと、制度の整理として一貫性が保てるのかどうかという懸念、2点目には、医療現場における運用、現場で混乱が生じるのではないかというところを2点目の懸念とさせていただきました。
以上を踏まえますと、来院方法に関わらず、救命処置が必要なもの、必要な病態を呈している者に対しましては、医師が救急外来において救命処置が必要な重度傷病者と判断した場合におきましては、当該処置を行うことを可能とすると整理させていただきました。
なお、必ずしも重度傷病者とは限らない、いわゆるウォークインの傷病者に対して救命処置を可能とすることは反対という意見もございましたので、こちらに記載させていただいております。
3点目、「救急救命処置の内容に関する考え方」でございます。救命士法の制定当時は19項目が救命処置として規定しておりましたけれども、救急現場からの要望や提案を踏まえまして、しかるべき検討・検証を行って、救命処置の追加に関する整理を行ってきたところでございます。
また、新たに追加した救命処置に関しましては、処置によっては厚生労働省令に定めるとともに、新規カリキュラムの追加、必要な知識の修得のための追加講習(実習)実施要領の周知、国家試験出題基準への追加等の対応を行っておりまして、令和2年3月現在、33項目が救命処置として規定されているところでございます。
このような経緯を踏まえますと、現行の救命処置に関しましては、基礎教育や国家資格によってその質は担保されていると考えられます。
このため、今回の検討におきましては、既存の救命士の資質を活用するというような観点から、現行で行うことができる救急救命処置と同様の処置の範囲から変更しないこととする。すなわち、現時点であれば33行為とするというところで整理させていただいたところでございます。
「救急救命処置以外の業務に関する考え方」、すなわち、医行為に該当しない業務につきましての考え方を整理させていただいております。
救急外来に限らず医療機関内において当該処置、医行為以外の事務作業等を行うことは規制するものではない。そして、その一例を下に(参考)で記しておりますので、こちらは参照いただければと思います。
次に、患者に安全・安心な医療を提供するという観点から、「3 救急外来における救急救命士の業務の質等を担保するための考え方」を整理いたしました。
①は、前回論点となりました医師から救命士に対する指示の考え方を以下に整理しております。そもそも医師以外の医療職種が資格法に基づいて診療の補助を行う場合には、医師の指示の下に行われます。これは全ての資格法の条文に書かれているところでございます。医師以外が医行為を行う際には、法律上、医師の診療の補助を行っているという立てつけになっているということでございます。もちろん、救急救命士法上の救命士は医師の指示のもとに診療補助として救命処置を行うことはできるとされておりまして、中でも、医師のより具体的な指示のもとに行う救命処置につきましては第44条第1項で記されているところでございます。これはいわゆる特定行為と呼ばれている医行為でございます。
医療機関内の医療関係職種につきましては、医師は診療に基づいて医学的判断、行為実施者の能力、信頼関係等に応じまして必要な範疇の具体性を伴う指示を出すものでございます。つまり、事細かく具体的に出される指示から、例えば「バイタルをはかっておいてください。」みたいに大枠だけ指示されるものまで幅広く医師の指示が行われているところでございます。
ちなみに、(補足)というところで書かせていただきましたけれども、病院前につきましては、医師は必ずその場にいるとは限らないという特殊な環境下で、MC協議会による事前のプロトコール策定、処置実施後の事後検証の整備等、行為に対する事前・事後のMC体制の整備によりまして、指示及び救命士の行う業務の質が担保されているというような状況下におきまして、特定行為以外の救命処置につきましては具体的指示でなくても行うことが可能とされております。
仮に救急救命士が救急外来において救命処置と同様の行為を行うことが可能となった場合、医師は医学的判断、行為実施者の能力、信頼関係等に応じて救命士に対して直接的に指示を行うことになりまして、この指示につきましては必要な範疇の具体性を伴う指示によって行うということになります。
つまり、医師から救命士に対する指示の考え方というのは、医師からほかの医療職種に対するものと何ら変わるものではないというところで整理させていただきました。
次に「医療機関内における救急救命士の業務の質を担保する体制について」、考えます。
消防機関の救命士につきましては、医学的観点から、救命士の資質及び救命士が行う業務の質を担保するMC体制というものが構築されております。
消防に関するMCにつきましては、4つ挙げさせていただきました。このように通知等で示させていただいているところでございます。プロトコールの作成ですとか、医師の指示・助言の体制構築、事後検証の実施、あとは教育体制の構築というふうにコア業務としてなっているところでございます。
医療機関に雇用される救命士につきましても、救命士の資質及び救命士が行う業務の質を担保するために、消防機関の救命士に対するMC体制に相当する仕組みの構築が必要であるという意見がございました。
ただし、医療機関におきましては、常に医師が存在しておりまして、医師から直接的に指示を受けることができることから、「救命士に対する医師の指示、指導・助言の構築」につきましては、前段で述べさせていただいた整理で担保されていると考えているところでございます。
具体的に体制構築のことは、下線部にございますとおり、各医療機関において院内委員会を設置するとともに、ここでは既存の院内委員会を当該委員会に位置づけることも可能とさせていただきましたが、あらかじめ、以下の項目を整理することを求めたいと考えているところでございます。
1ポツ目、救命士が実施可能な救命処置の範囲等に関する規定を整備すること。具体的には、医療機関内で33行為全てできるように認めてもいいし、例えば挿管は除くなど、医療機関の実情ですとか救命士の能力に応じて、その辺は医療機関ごとに定めていただいて構わないというところでございます。
2ポツ目、救命士に対する研修体制を整備すること。
あとは、救命士が行った救命処置の検証を行う体制を整備すること。
救命士が組織内のどのような位置づけとなるか明確にすること。こちらにつきましては、例えば看護部に所属させるとか、独立科とするとか、組織図を明確にすることで救命士にチーム医療としての位置づけが明確になるのではないかと考えているところでございます。
最後に、「4 医療機関に所属する救急救命士が就業前に追加で習得すべき知識等について」整理させていただきました。
救命士の養成課程におきまして、救急業務に必要な感染対策、医薬品、安全管理等に関する教育というものは行っておりますけれども、医療機関内を主な職場として働くことを想定した知識等については必ずしも十分ではないというような指摘もいただいているところでございます。
医療機関内で働くための追加研修の実施は、医療機関に所属する救命士が行う業務の質を担保するために必要な事項でございまして、医療機関において構築される院内委員会等の責務として認識すべきであると記述させていただきました。
この検討会で意見がありましたとおり、必須となる研修として、医療安全、感染対策、チーム医療を挙げさせていただいております。あと、必須ではございませんけれども、研鑚的に必要な研修として、救命処置に関する研修等を挙げさせていただきました。
「5 議論のまとめ」では、これまで述べてきたことをピックアップして記述しておりますので、また後ほど御覧になっていただければと思います。
「Ⅳ 結語」ですが、今まで述べてきたことを整理して記述させていただきましたので、こちらにおきましてもまた後ほど見ていただければと思います。
以上のような救急救命士法に関する整理を行ってきましたので、厚生労働省としては、これらを実行するために、必要であれば救急救命士法の改正も含めた手続を行うことを今後検討することとさせていただきます。
あと、救命士の需給について検討すべきというような意見等がございましたので、そちらにつきましては本検討会における引き続きの検討事項とさせていただきたいと思います。
事務局からの説明は以上となっております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、早速、ただいま報告のあった内容について、特に修文の御意見等がおありになればお聞きしたいと思います。いかがでございましょうか。
○島崎構成員 修文も含めて、ちょっと細かいところから順番に。
4ページの本文の下から3行目ですけれども、細かい話ですが、「救急救命士の資質向上・活用」となっている部分がありますね。この報告書のタイトルそのものが「資質の活用」に改められています。つまり、今回の検討は、資質の向上ではなくて、今ある救急救命士の資質をどう活用するかということなのであり、表現は「救急救命士の資質の活用」と合わせるべきだと思います。
それから、考え方の整理というか、タスク・シフトについてちょっと言及された10ページの「問題の所在」の上から3つ目の○のところですけれども、現在、医師から看護師、診療放射線技師云々の部分で、タスク・シフトの検討がされていると書かれています。これは事実の確認の話ですけれども、「救急医療を担う医師から、他職種へのタスク・シフト/シェアを進める重要性は高い」と書いていますね。これは一般論を言っているのですか、今回の話を言っているのですか。
というのは、この救急救命士法というのは、誰のどの業務をタスク・シフトするかというと、保助看法の例外としてつくっている。つまり、看護師さんが行う「診療の補助」の一部を切り取っている。法律の建前としてはそういうことになっていますね。したがって、一般論で言っているのであればともかく、というのは全ての医療関係職種は元々は医師の業務をシフトしているのだけれども、厳密に言えば微妙な関係になっているのではないですか。ちなみに、診療放射線技師は、医師の業務そのものを直接タスク・シフトしているのだけれども、例えばOTとかPT等の業務もあまり正確に認識されていないのだけれども、医師の業務が直接タスク・シフトされているわけではなくて、保助看法の例外、つまり看護師の「診療の補助」の一部をタスク・シフトしているということになります。その認識は間違っていないですよね。
だとすると、ここのところは誤読を与えないかどうかというのは多少気になります。日看協というか、井本構成委員が気にならないのであれば、私がそれほど気にする必要はないかもしれませんが、そのあたりの業法の立てつけを正確に理解していない人が数多くいるので、誤解を与えないほうがいいというのが私の意見です。
それから、17ページ目の最後の○のところですね。我々はここのところで議論しているから、最後の、なぜ新たな救命救急措置を追加しないのか、あるいは、今回、行為の範囲や行為をどうやって拡大しないのかとかといった疑問は生じないかもしれません。冒頭、新井専門官がおっしゃったように、今回の考え方としては、救急救命士の資質をさらに拡大してあるいは向上させるということは考えていないわけです。今ある救急救命士の資格のまま、それをどうやって活用するかという話をしているわけです。なぜかというと、もし救急救命士の資格そのものの見直しを行うと、新たな資格をつくるのと匹敵する、あるいはそれ以上に難しい問題がいろいろ生じてしまう。ありていに言えば、そういうことです。ところが、一般の国民の視点に立てば、いわゆる救急外来でも行うようにするのであれば、救急車内とは異なるのだから、いろんな安全性を担保すべきではないかという意見は素直な議論としてはあるだろうと思います。
ところが、それについてはやりませんという理由がここの5行できちんと説明できているかどうかというと、ちょっと私は気になります。あるいは、いろんなところで今後説明していくときに、なぜ救急救命士が行える行為や対象者を拡大しないのか、あるいは、最後のところに出てきますけれども、例えば院内の感染症の教育であるとかについても、それを省令改正するわけでもなく、いわんや法律改正するわけでもなく、何でそこのところを通知で済ますのだというようなことに関して、丁寧な説明が必要なのではないかなと思います。
最後は意見というより質問になりますけれども、確認したいことは、今回、2条の定義は結論としては変えないという考え方なのですか。それとも、基本的には変えないが、ウォークインを入れる必要上、基本的には救急救命士の本質は変えないが、若干の修文はあり得るということなのか。つまり、何を言いたいかというと、本質を変えてしまうのだとすると、そこは新たな資格をつくるのと同じ話になるのだけれども、そこはそういうことまでは考えていないというふうに今の御説明を聞くと理解しましたけれども、それでよろしいかということを確認させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、コメントと回答をお願いしたいと思います。
○奥野課長補佐 事務局でございます。
私ども、回答させていただきたい点として3点お受けしたと考えておりまして、まずタスク・シフト、10ページ目の記載のところでございます。この点につきまして、業法の整理という意味で言えばおっしゃるとおりでございまして、あくまでも保助看法の診療の補助の一部解除という立法でございます。
一方で、タスク・シフトと言ったときに、その法律的観点からのタスク・シフトという意味と、あと実態的な意味からのタスク・シフト、いわゆる医師の業務として、別に看護師さんがやっているケースと医師がやっているケース、病院によってまちまちだったりするので、実質的に看護師以外の医療関係職種に医師から直接業務が下りるということは、実態としてはままあると考えています。今行っているタスク・シフトの検討は、そういう業法上の整理というよりは、実態上とらまえて議論しているのでこういう書き方をさせていただいている。そして、御指摘のとおり、これは一般論としての話ということでここに書かせていただいているということで御理解いただきたいと考えております。
続いて17ページ目の御指摘の点につきましては、私ども、その点について11ページ目の1つ目の○のところに整理させていただいております。ここは「対応の基本的方向性」というパラグラフでございますが、11ページ目の1つ目の○の下から2行目に、「既に存在する救急救命士の活用について具体的な検討を行う」と整理させていただいている。
この趣旨としては、今、働き方改革というのを急ぎ進めなければいけないとか、いろいろな制約もある中でということでこういう基本的な考え方の整理をさせていただいているということで、こういう基本的な考え方に基づいていろいろ議論した結果が17ページ目の話であり、今の救急救命士の業務の範囲も余り拡大しないという前提で議論させていただいていますよということを改めて17ページ目で整理させていただいております。
記載ぶりについては、何か改善できるかということは考えてみたいと思います。その基本的考え方をもう一回言及するとか、そういうことは少し工夫ができるかもしれないので考えさせていただきますが、私どもの解釈としてはそういう考えでございます。
最後の法文上の整理の話でございます。基本的に私どもとして、この整理のもと、条文改正をするのであれば、まず44条の第2項のところを改正するということになってくるかと思います。それも、抜本的にというよりは、ただし書きのところで、恐らく搬送後の入院前の重症病者に対するところを拡大させていただくという改正になろうかと思います。
その結果、2条についても技術的に変えないといけないということでありましたら、そこは改正の必要はあると思います。私どもの趣旨としては、2条を大幅に変えるつもりはもちろんございませんが、44条第2項を変えるということが2条のところの技術的手直しを必要とするのであれば、それは法制局と相談の上、趣旨を大きく変えない範囲で手直しをさせていただく、これは可能性がある話でございます。
○遠藤座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 おおむね私は了解しましたが、繰り返しになりますが、前回の検討会で、救急外来という、場所という形でなくて、いわゆるプロセスとして書くべきだという議論があった。これは私が前から申し上げているとおり、今の法律の建て付けから考えると、いわゆる救急車の中で活動するのが原則だけれども、ただし書きで、救急車に乗せるまでというところは例外を設けている。そうすると、その救急車から降ろした後の課程、つまり、それは場所というよりは一種のプロセスとして書くようなイメージだという理解でよろしいですね。確認です。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○奥野課長補佐 事務局でございます。
おっしゃるとおりで考えていますし、今の条文も、どちらかというとプロセスで記載されておりますので、その流れに沿って書くのが自然かと思います。
○島崎構成員 分かりました。そうすると、最後、いろいろまとめとか結語のところについて、例えば24ページの真ん中ぐらいのところですか、「以下のように提案する」と書いていますよね。その中に、「病院前」から延長して「救急外来においても」という形になっているわけですけれども、まずそこの※のところはきちんと前と同じように書いたほうがよいと思うのと、具体的に言うと、その前のほうにありますね。22ページの※のところをもう一回、結語としては繰り返すほうがよい。それから、「救急外来」という場所ではなくて、「まで」という、前の22ページ今申し上げた「病院前」から延長して「救急外来まで」と書く方がよい、つまり、プロセスに着目したのだというニュアンスは、ここの結語のところにも表したほうが適切だと思います。以上意見です。
以上、意見です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。それでは、ほかにどうぞ。
井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 まず24ページの「結語」のところについて、意見と要望を申し上げます。まず、①は本会が意見してきたことが記載されていると思いますが、ここについて修文をお願いしたいと考えています。
皆様も御承知の通り、ここでの議論にあったように、救急救命士は、搬送中という限定的な状況で救急救命処置を行うことを前提とした資格であり、12ページにもそう書かれております。そのため、国民の安全や医療の質の担保からすれば、まずは①、そして②を行うべきだと考えております。本会としては、現在、看護師配置を促すための基準や評価がない、それゆえに看護師が十分配置されていない現状を看護師不足として、先に救急救命士の場の業の拡大について論じることについて、今まで反対意見を述べてまいりました。そのことが記載されておりませんので、反対意見があった旨の記載箇所の変更と修文をお願いしたいと思っています。これが1点目です。
あと2点目については、マル1のところ、本会が意見したことについて書かれておりますが、「当検討会で議論し」と書かれております。議論するということだけですと非常に抽象的ですので、ぜひとも、看護師の配置に関する基準や評価について検討する、そして、その以下の文というふうにつなげていただきたいと要望したいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 事務局、何かコメントありますか。
○永田救急・周産期医療等対策室長 井本委員、再質問で大変恐縮ですけれども、具体的にこのように修文したほうがよろしいというような御提案というのはございますでしょうか。
○遠藤座長 井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 「一方で」の文書は、その後の「しかしながら、~」の後に移動し、この段落の最後に「一方で、先に①について進めるということについて、反対意見があった」というような文脈にしていただければと思います。今、全ての文を考える時間がありませんが、御要があれば、後程、文章を提案したいと思います。
○遠藤座長 事務局、よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
今の点のところも少し含めてですが、例えば看護師さんの配置を促すための評価がないということについては、今回の診療報酬改定においても、夜間休日救急搬送医薬管理料に加算されるものとして、救急搬送看護体制加算1と2として、今回も200点アップという非常に大きな評価をされたと私は思っておりまして、看護師さんの、救急現場における配置の評価ということを厚労省としてもしっかりと対応いただいているのではないかと認識しております。
一方で、配置できる看護師さんが実際いないという話が現実的にありまして、救急現場で救急に携わっていただく看護師さんというのは本当に集まらない状況下、都会においては、以前から申していますように、民間病院主体で担っているのですけれども、その現場が非常に今疲弊していると。そこを何とかしてほしいのがこのそもそも論であったかなと思っております。
もう一つとして、そうしたら認定看護師でいくのかという話になってくると、認定看護師の養成、例えば救急の認定看護師というのは、今5カ所くらいの機関でしか認定できなくなっているかと思いますし、その認定する費用も、今はもう莫大な額になっています。それこそ国公立の大学の1年分の学費程の費用を出して、かつ、病院も何カ月も休ませなければいけない。そういう大きな負担をして、今からこういう状況下でたくさん養成できるのかとなると、まだまだこれは時間がかかる問題であると思います。このような背景で、今回の救命士さんの救急現場や外来における活用という話が出たのだと思っておりますので、看護協会は反対反対と言われながらも、私は厚労省が結構評価しているのではないかという認識でいます。ですから、全面的に反対であるという意見を残すかどうかというところにはちょっとどうかなという感じがするのですが、それが1点です。また、このことをずっと我々が申し上げていまして、「はじめに」のところで、これはささいなことですが、日医や日本救急学会等とありますが、四病協もしっかりとこれは要請してきましたので、そこは今回抜けてしまっているという感じがしますので、その記載もよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。何かほかにございますか。
大友構成員、お願いします。
○大友構成員 今回の検討は、この救急救命士法の場の規定の整理、それから対象者の規定の整理、それから、救急救命処置の内容の規定の整理ということでございます。場に関しては、救急外来まで拡げる、これに関して、第44条の2項で読めるようにしていこうと。一方で対象者は、ウォークインの患者も診るということですが、これは医師が重症と判断した者ということで理解しているのですが、これは法律上どのようになっていきますか。法文に関しては、我々、この検討会の任務でないということですが、やはり2条を見直さないといけないのかなあと思って聞いておりましたけれども、いかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○奥野課長補佐 まず、理解としては大友構成員おっしゃるとおりの理解でございまして、法文上どうなるかといいますと、やはり第2条第1項で重度傷病者に対するものが救急救命処置とされていて、ここを変えるつもりはございませんので、引き続き重度傷病者に対するものということになります。
○遠藤座長 大友構成員、よろしいですか。
ほかに確認、あるいは御要望、いかがでございましょう。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 ちょっと細かいのですが、21ページの3つ目の○の院内の委員会の設置という中の、「救急救命士が行った救急救命処置の検証を行う体制」ということですが、これは院外では、通常の消防の救急救命士は救急救命の処置の実施記録のようなものを記載して、それを事後検証という形で見ているわけですけれども、院内で救急救命士が行った処置に関してはそういう記録を書かせるのか、そのほかのコメディカル、看護師を含めた職種に関してはそういうことをやらせていないわけですけれども、それは救急救命士に関してどこまで求めるのか、確認です。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○永田救急・周産期医療等対策室長 現在、参考資料のほうでちょっと記載はしていないところでございますけれども、救急救命士が行った記録に関しましては残しておくことという、救急救命士処置記録ということは法律上定めがございます。本検討会においてそれを院内まで仮に活躍の場が拡大したときに外すという議論は行っていないところでございますので、引き続き、院内においてもそういった類いの記録というものは作成される形になるかと考えております。
ただし、その場合において、当然医療機関内でございますので、カルテないしは診療録の作成ということはあるわけですので、それを別個のものとして作成するかどうかというところについては今後さらに詰めていきたいと考えております。
○大友構成員 分かりました。救急救命士が院内で行う医師の補助行為に関しては、ほかのコメディカルと同じ扱いであるという中で、ただ、この部分だけ記録を残さなければいけないと、そういう違いがあるということですね。ただ、なるべく簡便な方法にしていただければと思います。
○永田救急・周産期医療等対策室長 すみません。言葉が足りませんでしたけれども、基本的にほかの指示の過程も踏めまして、ほかの医療関係職種と同じような立てつけというのが基本的な考え方であると思いますので、そこは御指摘もいただいているとおり、なるべく簡便な方法で実施してまいりたいと考えております。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょう。
加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ひとつ確認ですけれども、今のところが非常に大事だなと思っていまして、やはり現場でいろいろな形で、さらに動作が非常に複雑となるようなことだけは避けていただきたいかなと思います。それと、先ほど看護師さん以外でどうのこうのという話もあったのですが、例えば気道の確保というのは、認定看護師さんとか、そのようなことはできなかったのでしたか。看護師ではできないですね、今のところ、気道の確保。例えばこの挿管的なことは今のところは。
○井本構成員 気管内挿管は診療の補助であるため、医師の指示があれば看護師は実施できます。
○加納構成員 指示があれば行為もできるということでいいのですかね。挿管もできるということですか。そこだけちょっと教えていただければ。
○遠藤座長 事務局からのほうが正確でしょうから、お願いします。
○奥野課長補佐 当然、診療の補助として読めますので、指示があればできるということでございます。
○遠藤座長 では、お待たせしました。井本構成員、お願いします。
○井本構成員 22ページの5の「議論のまとめ」のところに、「救急外来で救急救命処置が可能な対象者は、重度傷病者とする」とあります。資料にある救急救命士が現在行っている33行為については、例えば臨床で考えれば、軽症者でも実施できる行為も含まれておりますが、救急救命士が軽症者に血糖測定をするということは違法行為であるという理解でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょう。
○奥野課長補佐 例えば血糖測定は医行為であると考えられますので、そのものについては当然重度傷病者に限られると考えております。
○遠藤座長 井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 20ページの2つめの○の2段落目に、「つまり、医師から救急救命士に対する指示の考え方は、医師から他の医療職種に対するものと変わるものではない」とあります。これは、指示の考えからは変わらないが、救急救命士は他の職種では必要としない、重度傷病者であるという医師の診断・の診察というステップが必要になるという理解でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○奥野課長補佐 その点については、救急救命士に関しては重度傷病者であるという確認が入った上でということになってまいります。
○井本構成員 分かりました。関連でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 どうぞ。
○井本構成員 そうすると、先日の「(医師の働き方改革を進めるための)タスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」で、他職種に関して、検査については患者を特定しない包括指示の考え方が整理されました。しかし、救急救命士はこれには該当しないと思いますので、誤解のないように記載いただきたいと思います。
最後の質問ですが、22ページの「5 議論のまとめ」の2つ目の○の「重度傷病者」の前に「救急診療を要する」とありますが、救急診療を要しない重度傷病者はいないと認識しますが、いかがでしょうか。
○奥野課長補佐 御指摘のとおりかと思いますので、余り書く必要性はないのかもしれないですね。
○遠藤座長 よろしいですか、井本構成員
では、お待たせしました。加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 今のところですが、重度傷病者という認識ですが、例えば、救急外来でぼーっとして入ってきた方の状況、これはいろいろ判断していかなければいけなくて、その中には重度の方もいらっしゃるわけです。例えば脳卒中だったり、いろんな形もあるわけですし、低血糖の方もいらっしゃるし、そういう判断で、医師が必要と考え、もしかしたら重症度の可能性があればという判断であれば、それはオーケーという形で考えてよろしいのですね。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょう。
○奥野課長補佐 当然、医師が、これは重度傷病者だろうということで指示をすればそれで結構かと思います。
○遠藤座長 加納構成員、よろしいですか。
○加納構成員 結果的にそれなりに状況を判断させていただくということでの認識として、重度傷病者の疑いという形でもありかなということでよろしいということで認識させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ほかにいかがでございましょう。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 名称ですけれども、今まで我々は病院前において患者さんのことを傷病者と呼ぶと、病院に入ってからは患者さんと呼ぶという仕分けをしていたのですが、これは救急救命士が救急救命処置を行うときだけは傷病者と呼ぶという、院内であってもということですか。細かいですけれども。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○奥野課長補佐 その点について、患者というのは、我々、法律上の概念としては特にそういう規定もないものですから、概念的なものと法律的なものとは分けたものとして御理解いただきたいと思います。
○遠藤座長 大友構成員、よろしいですか。
○大友構成員 はい。
○遠藤座長 野口構成員、どうぞ。
○野口構成員 大したことでないのですけれども、今の大友先生のに関連しますけれども、救護(病院前医療)、私はこれは大賛成ですけれども、ついこの間までは病院前救護になっていたのですよ。いつまでも医療にしてくれないなと、僕は医療にすべきだと思っていたものですから、これが変わっているのはそれなりの意味を考えてのことなのか。随分前の資料からもずうっと病院前救護になっていました。医療とはあえて区別していたので、今の名称のこともそうですけれども、ただ、省庁ではこれは大変重要な言葉ではないかと思いますので、私は、この直していただいたこれでいいのですよ。「病院前医療」にしていただきたいのですけれども、確認です。
○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○奥野課長補佐 特に御指摘の点について、そこまですごく深い意味を込めているわけではないのでございますが、今回、救急外来までという議論もさせていただいていたので、用語上の接続ということでこのような表記とさせていただいていると御理解ください。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかに。
島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 大友委員の先ほどの質問に関し確認ですけれども、ウォークインの関係です。先ほど私が尋ねたことの回答との関係で言うと、ウォークインを一旦ちょっと横に置くと、44条の書き方としては、言ってみれば、いわゆる救急用自動車というところを基本的に前面に置いて、ただし、その前とその後みたいな、そういうプロセスとして素直に書けるかもしれない。しかし、いわゆるウォークインの人まで対象にしようとすると、救急自動車に乗っていないわけだから、そこのところの書きぶりについてはどうするかという問題は出てきます。そういうことですよね。それとの関係で、2条の定義まで直す必要があるかないかということについては、法制局と議論させてほしいという説明だと理解ですけれども、それで正しいですね。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○奥野課長補佐 その御理解で正しいということでございます。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
では、森村構成員、お願いいたします。
○森村構成員 今までの議論の中で場の整理ということに関しては、読んでいて分かりやすくなったと思いますし、異存はないのですけれども、今ずっと議論を聞いていて、ちょっと根本的な質問なのかもしれないですが、行為ということに関して、救命の処置を要するのは現行の救急車搬送患者さんにおいて必ずしも全例ではない。救急車で来られた方でも実際歩かれることができるケースももちろんあるという現状において、そのようなケースに対する一般的ないわゆる医療面接、問診、簡単なバイタルサイン等々といったところは、当然ながら、先ほど加納構成員がおっしゃるように、救急車で来たので重症例である可能性があるという医師の判断のもとで医師の補助を行うというようにも、実際の現場ではそのように理解できるのですが、それに関する内容というか、これはここの行為という中にはちょっと書き込まれていないようにも思えたので、どこのところでそれを読み込めばいいのかなというか、実際これがスタートした場合には各医療機関はどこまでやっていいのだろうという話の中で、今の話は必ず出てくる。あるいはERである場合のトリアージというのの補助ということはどうなのだろうかとか、ある一定数重症だということですけれども、外来に来た人、あるいは救急車で来た人は全例重症例とみなしてやるという包括的な考え方でまとめていくのか、その辺り、ちょっとお聞かせいただければと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございました。では、事務局、コメントをお願いします。
○奥野課長補佐 その点につきましては、私ども、主に、制度趣旨等も考えますと、救急搬送されてきた人がメインにはなってくると思いますし、当然、救急搬送されてきている人は救急救命士が救急救命処置を行っているわけですから、重度傷病者として進めていくという取扱いが最も現場としてはスムーズだろうと思います。
ただ、ウォークインの患者さんに対しては軽度の方もかなりいらっしゃるのではないかという懸念もありますから、そこはやはり医師がしっかりと判断した上で救急救命士に具体的に指示を出すというような形になろうかと思います。
○森村構成員 理解しました。誤解を恐れずに言うと、これを当てはめていく際には、来られた方は皆重度というような形でまずはスタートする、この整理の中でドクターのタスク・シェアが可能になってくるのではないかと理解しました。
○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
森村構成員、どうぞ。
○森村構成員 もう一点、これは今後というところで、25ページの一番最後のところに書き込まれていると思うのですけれども、そこにぜひ、今までの検討の中でも話されてきた内容を少し反映させていただけるといいなと思ったのは、21ページの3つ目の〇ですか、これは具体的に、医療機関内において院内委員会を設置し云々とあると思うのですけれども、これを踏まえて、先ほど、重症例であるからブドウ糖とか、そういう話があったと思いますけれども、関わる職種が他職種にわたるわけですから、他職種による実際の運用の在り方といったものを検討していく場というのは継続してつくっていかなければいけないのではないかという議論があったと思いますので、それを書き込んでいただきたいのと、併せて、重症症例の搬送、検査の搬送とか、そういった病院内でまだまだ求められる可能性のある業務というものがあろうかと思いますので、それを現時点では医療機関の長が裁量をもって定めるという方向性で今まで議論されてきたと思いますが、例えばそのひな形となるようなものを検討していくことも重要かと思いますので、ぜひ追加していただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。ただいまのことについて、事務局、何かコメントありますか。
○永田救急・周産期医療等対策室長 他職種の検討の場という話につきましては、前回の2月に開催されました検討会第19回のほうでも先生からも御意見いただいていると思いますけれども、その検討の場というのはあくまでも院内の検討の場という認識でしょうか。それとも、この会議体として厚労省でというわけではなく、医療機関内でそのような他職種が進むような検討の場をつくるべきというような御意見。
○森村構成員 そうですが、そういった、検討をつくる場合にも、例えばこのような内容のものを検討すべきだろうといった指針というか、ガイドラインというと言い過ぎだと思いますが、そういった項目立てぐらいの検討はこちらでもしたほうがいいだろうという意味です。
○永田救急・周産期医療等対策室長 それに関してですと、25ページの〇に記載させていただいておりますように、今後、医療機関に所属する救急救命士、ただ、これは森村先生の御意見を踏まえれば、救急救命士だけのものではないのかもしれませんけれども、いわゆる救急外来ないしは救急医療に関する方に関するチーム医療に関する研修ということが必修とすべきということは結論として記載させていただいておりますので、そこの部分で趣旨は入っているかとは思いますけれども、記載ぶりについては検討させていただきたいと思います。
また、患者さんの搬送ないしは検体の搬送ということにつきましては、本検討会でも議論してきましたとおり、あくまでも医行為として発生しているわけではないため、資格法に基づくものではないということは議論としてはさせていただいたところでございますけれども、その部分の記載ぶりにつきましては改めてもう一度検討させていただきたいと思います。
○森村構成員 言葉足らずですみません。検体搬送もそうですが、重症例の例えばCTや検査への搬送が、もちろん、現状ではドクターとナースでいきますけれども、ナースさんが2人必要になったり、ドクターがたくさん必要になるようなケースもあろうかと思います。それらに対する補助ということも併せてという意味合いで言っておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
嶋津構成員、どうぞ。
○嶋津構成員 二三ちょっと確認も含めてお尋ねしたいのです。
まず最初に細かいことですけれども、7ページの下から5行目のところですね。「時間外週勤務時間80時間(年間960時間)」というのは、これは月ですね。
○永田救急・周産期医療等対策室長 月でございます。失礼いたしました。
○嶋津構成員 それともう一つ、24ページの「結語」です。マル1について井本構成員から御指摘ありましたが、今回の報告書でどうこうというつもりはないのですけれども、御存じのように、現在、救命救急センターの外来看護師の配置というのは決まっておりませんので、もし忙しくなったらどうなるかというと、我々の集中治療室から看護師がシフトしてきます。ということは、中の集中治療を診る看護師が減るということになりますので、患者安全にもつながることですので、1については今後早急にぜひこの会議でしっかり取り上げてほしいと思いますし、場合によっては救命センターの現況調査、毎年やっておられますけれども、そういったところにも入れていただいて、初療での救命センター含めて対応できる看護師の数の確保ということはぜひ優先課題としていただきたいと思います。
それから3つ目、これも細かいことを申し上げるつもりはないのですけれども、先ほど森村構成員からもお話がありましたけれども、救急救命士、現在は消防機関に属する人たちがやっておりますけれども、彼らは気管挿管の実習とか、かなり卒業してから実務に関するトレーニングをしています。民間養成校の方も今回たくさん入ってくると思いますけれども、そういった方は公的にはする機会がないわけですね。例えば気管挿管とかの実習ですね。それを各病院でやろうとするとかなりの負担になると思いますので、先ほど、例えば気管挿管を除くでもいいのだと言われましたけれども、同じ救命士として、その辺大分差がついていく可能性があると思いますので、これを実現する場合にはもう少し細かく詰めていく必要があるのではないかと思いますが、これはコメントということで聞いていただきたいと思います。
○遠藤座長 報告書の内容ということよりも、むしろ今後の議論ということの御提案だったと思います。ありがとうございました。ほかに何かございますか。
大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 今回の報告書はこれでいいと思うのですが、この検討会で前から何度も申し上げていた内容ですけれども、消防に所属する救急救命士、これはちゃんと昇進というか、出世もしていくわけですけれども、病院に所属する救急救命士はずうっとそのままであるという危険があるので、これに関して、今後、やはりキャリアを積んでいけば何らかの形で人生設計というのが形成されるようなことも考えてあげていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。
ありがとうございます。
それでは、大体この整理につきましては御意見が出尽くしたかと思います。いろいろと修文についての御提案も御要望もありました。今後これをどう処理するかということですが、私としては2通りの考え方があるかなあと思いますが、これについてここでどちらをとるかを決めていただきたいと思いますが、1つは、座長預かりという形にさせていただいて、私と事務局の間で調整をして修文させていただくというものと、もう一つは、言ってみれば持ち回りのやり方という形で、修文した内容を一応皆さんにまた持ち回りで審議していただくという、大体この2つあるかなあと思います。もう一回開くということは不必要だと思いますので。いかがでございましょうか。
私としては、御趣旨は大体よく分かりましたということもありますので、座長預かりという形にさせていただいたらいいかなあと思っております。もちろん、その中で、個々の発言者に対して事務局から確認等々をさせていただくということは大前提でありますけれども、いかがでございましょうか、やり方としては。
井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 最終的には座長にお任せすることは了承しますが、具体的な修文は構成員に確認していただけるとありがたいです。
○遠藤座長 これは調整して修文するプロセスにおいてそれぞれの発言者に対して御意見を頂戴すると、そういうプロセスでやらせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○井本構成員 はい。
○遠藤座長 では、そういうことで修文するという形で座長預かりということでまとめさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
どうも長時間ありがとうございました。それでは、今回の議論の整理につきましてはそのような扱いとさせていただきたいと思います。
本日の議論、2番目に「その他」というのがありますけれども、事務局、何かありますか。
○新井病院前医療対策専門官 事務局です。特にございません。
○遠藤座長 ありがとうございます。それでは、こちらで用意いたしました議事は全て終了いたしましたけれども、最後に何かあればお聞きしたいと思います。
では、島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 今後の段取りを教えていただきたいのですが、この後は、タスク・シフト/シェアの検討会にこの報告をされる。それで、それと並行する形になるのかどうかわかりませんが、医療部会にも報告するのですか。ちょっとその辺の段取りを確認させていただきたいと思います。
○遠藤座長 では、事務局、説明をお願いします。
○奥野課長補佐 その点につきましては、今のところの予定としては、まずタスク・シフト検討会のほうにということになると思いますし、医療部会もあらゆる要望をさせていただいておりますので、恐らくそちらのほうにも御報告させていただくという流れになるかと思います。
○遠藤座長 よろしいですか。
それでは、阿真構成員、お願いいたします。
○阿真構成員 このまとめについては何もないのですけれども、救急救命士さんが、登録が6万1000人いて、消防職員の方が3万7000人いて、それ以外の方々でも病院を選択される方とか、これから救急救命士さんになる方で病院を選択される方というのがこれから出てくると思うのですけれども、それらの方々にとって大きく反対されている中でやるという感じというのは、選択するのが余り前向きな感じではないと思うので、社会としては、医師の負担軽減だったり、そういったことで期待していますよというところが少し出ているといいなと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。ほかに何かありますか。
よろしゅうございますか。
それでは、本日の検討会、これにて終了させていただきたいと思います。
事務局から、今後のスケジュール等々について、何かありますか。
○新井病院前医療対策専門官 事務局です。
次回の検討会につきましては、日程が決まり次第、またお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして会議を終了したいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

救急・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 新井(2597)