薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会 令和元年度第2回献血推進調査会

日時

令和元年10月17日(木) 10:00~12:00
 

場所

新橋会議室8E会議室
(東京都港区新橋2-12-15 田中田村町ビル8階)
 

出席者

出席委員:(15名) 五十音順、敬称略

石田 明       柑本 美和      根岸 久美子
衞藤 隆       佐々木 司      花井 十伍
海老名 英治     武田 飛呂城       松本 大樹
大平 勝美      田中 純子        松本 剛史
喜多村 祐里           長島 公之      村井  伸子


日本赤十字社:敬称略

瀧川 正弘
小室 裕希
鹿野 千治


事務局:

石川 直子 (血液対策課長)
菅原 高志 (血液対策課長補佐)
大山 和仁 (血液対策課献血推進係長)

議題

1.  令和2年度の献血の推進に関する計画(案)について
2.  日本赤十字社における需要推計に基づく献血者シミュレーションについて
3. その他

配布資料

資料ページをご参照ください。

議事

 

○血液対策課献血推進係長 それでは定刻となりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会令和元年度第2回献血推進調査会」を開催いたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いします。

 まずはじめに、委員の出欠状況です。本日は田中里沙委員が御欠席でございます。それと、佐々木委員は所用で30分ほど遅れての御出席となります。また、日本赤十字社血液事業本部より、瀧川経営企画部次長、小室経営企画部献血推進課長、鹿野経営企画部事業戦略室参事に御出席いただいております。

 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。また、薬事分科会審議会参加規程に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 最後に、資料の確認をお願いいたします。本日の会議はペーパーレスで行いますので、資料はお手元のタブレットを御覧ください。お手元のタブレットの画面上に、本日の資料「①議事次第」から「⑨参考資料」までのPDFファイルが表示されているか、確認をお願いいたします。資料が表示されていない場合や資料に不足がある場合は、お近くの職員にお声掛けいただければと思います。なお、参考として、前回の調査会資料を格納していますので、適宜御参照いただければと思います。

 間もなく議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。この後の進行については、衞藤座長にお願いいたします。

○衞藤座長 今後の進行をさせていただく衞藤でございます。それでは議事に入りたいと思います。議題1「令和2年度の献血の推進に関する計画()について」、事務局より説明をお願いいたします。

○血液対策課長補佐 それでは、議題1「令和2年度の献血の推進に関する計画()について」、御説明いたします。資料1-1から1-3を用いて説明いたします。まず資料1-1を御覧ください。資料1-1は「令和2年度の献血の推進に関する計画()について(概要)」です。1.趣旨としましては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、いわゆる血液法と言っておりますが、その第10条第1項の規定に基づきまして、厚生労働大臣は、毎年度、翌年度の献血の推進に関する計画を定めることとされております。このため、今般、令和2年度の献血推進計画を定めるものです。

 続きまして、2.内容です。血液法第10条第2項で、献血推進計画に記載する項目が定められております。まず第1は、当該年度、今回は令和2年度になりますが、献血により確保すべき血液の目標量、第2は、その目標量を確保するために必要な措置に関する事項、第3は、その他献血の推進に関する重要事項、これらについて法定項目として記載することとされております。7月に本調査会で御議論いただいた平成30年度までの献血の実施状況を含めて、令和2年度の献血の推進計画を定めるということになります。以下、平成31年度、現行の推進計画との主な変更点について簡単に記載しております。

 まず①です。第2の事項、その目標量を確保するために必要な措置に関する事項において、国及び採血事業者による血漿分画製剤の安定供給を確保するための取組や、採血事業者による若年層の複数回献血者を増やすための取組について、具体的な内容を記述しております。また②は、第3の事項、その目標量を確保するために必要な措置に関する重要事項において、採血事業者による災害時における医療需要に応じた必要な献血量を確保するための取組について記載を整理しております。

 調査会での手続ですが、薬事分科会における確認事項におきまして、献血推進計画は血液事業部会で審議、薬事分科会報告を行うという整理をしております。まずはこの調査会で御審議いただいた後、血液事業部会における審議を経て、最終的に薬事分科会に報告していくという手続になります。スケジュール的には、来年3月下旬に告示し、4月から適用していきたいというスケジュールです。

 続きまして、資料1-2を御覧ください。こちらは献血の推進に関する計画()ですが、この調査会で御審議いただき、最終的には諮問答申につながる来年度、令和2年度の計画()です。ただ、この資料ですと平成31年度の計画との変更点が分からないと思いますので、恐縮ですが、資料1-3として新旧対照表を用意しておりますので、こちらで説明いたします。

 資料1-3を御覧ください。右側が現行の平成31年度の献血推進計画で、左側がこれから策定していく令和2年度の献血推進計画()です。棒線部分が改正点です。主な点を申し上げます。まず1ページ、第1「令和2年度に献血により確保すべき血液の目標量」です。献血により確保すべき血液の目標量を算出するためには、輸血用血液製剤がどれだけ使われるのか、また、原料血漿がどれぐらい必要になるかを見込んだ上で、献血血液がどれだけ必要になるかを算出していかなければならないということです。まずは1つ目のポツで、来年度、令和2年度に輸血用血液製剤がどれぐらい必要になるかを記載しております。令和2年度は、赤血球製剤で51万L、血漿製剤で26万L、血小板製剤で17万Lを製造する見込みです。これは今年度の計画と同じ量です。また、献血血液からは輸血用血液製剤だけではなく、原料血漿も確保していくことになっておりますので、その原料血漿を加えたものに対して、献血で血液を確保していくということです。その輸血用血液製剤及び原料血漿の必要量につきましては、原料血漿についてはメーカーのほうから調査を行っており、現在、精査中で、本日はまだ御提示できません。そのため、本日の段階では、血液の確保量については●で示しております。例年のことですが、こちらの部分につきましては、12月の部会の際にお示しすることとなります。1ページは以上でございます。

 続きまして、2ページを御覧ください。第2「第1の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。まず、1.献血推進の実施体制と役割ですが、こちらに対しては変更等はなく、国、都道府県、市町村、採血事業者、それぞれが役割を果たすことで献血推進を進めていくこととされております。

 3ページを御覧ください。2.献血推進のための施策の()普及啓発活動の実施、その中のアの国民全般を対象とした普及啓発の()全国的なキャンペーン等の実施ですが、「愛の血液助け合い運動」の主たる行事として行っている献血運動推進全国大会について、北海道で開催する旨、開催場所を明記しております。また、国、都道府県、市町村及び採血事業者は、献血に係る広報、テレビ、SNSを含むインターネット、ポスター等の各広報媒体を効果的に活用し、その際、ポスター等ではインターネット上の情報にアクセスしやすい工夫をすることとしております。

 4ページを御覧ください。また、血漿分画製剤の安定供給の確保の観点から、近年需要が伸びている血漿分画製剤について、普及啓発資材等を活用し、原料となる血漿については献血から得られた血液から作られていること、また、多くの疾病の治療に欠かせないものであることを周知するとともに、原料血漿の安定供給の確保のため、成分採血の呼びかけを行うことについて追記しています。

 続きまして、()企業等における献血への取組の推進については、文言を整理して、国及び採血事業者は、都道府県及び市町村の協力を得て、企業等の社会貢献活動の一つとして、集団献血を含めた企業等における献血の推進を促すとともに、採血事業者は、血液センター等における献血推進活動の展開に際し、地域の実情に応じた方法で企業等との連携強化を図り、企業等における献血の推進を図るための呼びかけ、特に若年層の献血促進について企業等に協力を求め、併せて、献血や血液製剤について企業等に分かりやすく説明するための「献血セミナー」を実施することとしております。

 続きまして、5ページを御覧ください。()複数回献血の推進です。こちらについては文言の整理を行い、国及び採血事業者は、都道府県及び市町村の協力を得て、複数回献血の重要性や安全性について周知を行うとしているほか、採血事業者に対し、複数回献血者へのサービス向上を図るとともに、平素から献血者に対し、機動的かつ効率的に複数回献血への協力を呼びかける体制を構築し、特に若年層の複数回献血者を増やすため、「イ 若年層を対象とした普及啓発」等に定める取組を通じて、複数回献血を推進することとしております。若年層を対象とした普及啓発については文言の修正、6ページの幼少期の子供とその親を対象とした普及啓発、こちらについては修正はありません。引き続き若年層への普及啓発に努めることとしております。

 7ページを御覧ください。()採血所の環境整備等です。アの献血者が安心して献血できる環境の整備においては、引き続き献血申込者への丁寧な処遇を求め、さらに、採血事業者には献血受入体制の整備や環境整備を行うことを求めております。また、問診や検査の結果等により献血ができなかった方、例えば、全血採血ができなくとも成分採血が可能であれば、成分採血の説明を行うといった、次回の献血につなげるための丁寧な対応を行うことを追記したものです。

 8ページを御覧ください。イの献血者の利便性の向上についてです。こちらについては文言を整理し、引き続き採血事業者は、立地条件等を考慮した採血所の設置、地域の実情に応じた献血受入時間帯の設定及び移動採血車による計画的な採血、企業や団体等の集団献血の実施による献血機会の提供等により、効果的な献血受入体制の整備とともに、子育て世代に対応した託児スペースの整備、ICTを活用したWEB予約の導入等に積極的に取り組むこととしております。なお、平成31年度の計画にありました、「定期的に利用者等の意見を踏まえて評価を行い」以下につきましては、第3の4.の評価の部分と合わせてお示ししていることを申し添えます。

 続きまして、第3「その他献血の推進に関する重要事項」です。1.献血の推進に際し、考慮すべき事項については、文言の修正、10ページの2.血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応については、引き続き変更なく、血液製剤の安全性の確保や、まれな血液型等の採血基準の在り方の検討や、血液製剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応について取り組むこととしております。

 同じく10ページです。3.災害時等における献血の確保等です。こちらについては文言の整理を行い、採血事業者が国、都道府県及び市町村等と連携して、災害時等において医療需要に応じて必要な血液量を確保できるよう、様々な広報手段で献血を呼びかけることとしております。また、採血事業者は、被害状況等の情報収集を行い、献血者の安全に十分に配慮することや、あらかじめ災害時等に備えて、関係者との連絡手段や合理的な需給調整等の対応を含む事業継続計画を定めることとしております。また、国、都道府県及び市町村は、広域的な需給調整を行う際に、採血事業者の取組を支援することとしております。

 11ページを御覧ください。4.献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価につきましては、従前からですが、国、都道府県及び市町村は、献血推進のための施策の短期的及び長期的な効果や、進捗状況並びに採血事業者による献血の受入れの実績を確認し、その評価を令和3年度の献血推進計画等の作成に当たり参考とするほか、採血事業者に対しては、国の協力を得て、献血者だけではなく、献血未経験者へもアンケート等を継続的に実施し、それらの意見等を踏まえ、効果的な普及啓発や献血者の利便性の向上に資する取組を実施し、併せて、献血の受入れに関する実績、体制等の評価を行い、献血の推進に活用することとしております。

 この令和2年度の推進計画()につきましては、引き続いて御議論いただき、御了解いただけるようであれば、今後、パブリックコメントを実施した上で血液事業部会へ上げていく形で、手続を進めていきたいと考えております。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○衞藤座長 ただいまの説明について、御意見、御質問がございましたら、挙手をお願いいたします。

○喜多村委員 新旧対照表の5ページの()です。これは普及啓発活動に関する所の()で、「複数回献血の推進」とありますが、この文言の中で、もちろん旧のほうにも書いてありまして、「複数回献血者」とありますが、この定義をもう一度、私が理解していないということもありますし、余り定義ができていないという御意見もありましたので、その辺をはっきりさせておいたほうがいいかなと思います。

 その理由としては、これはリピーターという方を増やそうという取組だと理解していますが、取り方によっては、1年に何度も複数回献血をする方と全くしない方とがいて、複数回する方には更にキャンペーンを強化するようにも読み取れたりします。特に、若年層の複数回献血者を増やすためのキャンペーンというように読んでしまいますと、若年層で複数回している方に対して更に強化するというように読めてしまうので、私は、それよりも初回の献血者を増やしたほうがいいと思いますし、エビデンス的にも、若年層は初回の方が多くて再来の方が少ないです。高齢にいくに従って、献血経験者の方が多いというデータがありますので、むしろ高齢の方には献血未経験者に対して献血を呼び掛ける、若年層の方は複数回献血をされている方も多いのですが、複数回献血者だけではなく、初回の方にもっと来ていただくことと、一度来られた方がまた数年後に献血していただけるような取組が必要ではないかと思うので、そのように読めるような文言に修正していただいたほうがいいのではないかと思います。

○衞藤座長 事務局からお答えをお願いします。

○血液対策課献血推進係長 まず、複数回献血者の定義については、例えば血液法などで明確に定義付けているものではありません。こちらの運用としては、1年間に2回以上献血をしている者について、複数回献血者と呼んでおります。

 先生がおっしゃったとおり、若年層については、まずは初回献血者を増やしたほうがいいのはもちろんです。その取組に当たっては、5ページのイの若年層を対象とした普及啓発を通じて、まずは初回献血者も当然確保していくと。それに加えて、複数回献血を推進して、できる限り若年層に献血を習慣化していただき、その後の安定供給につなげていきたいと考えて、このような記載にさせていただいております。

○喜多村委員 そうすると、1年に2回以上献血することは重要であるということでしょうか。

○血液対策課献血推進係長 今、手元に資料がないのですが、過去の調査結果でも、1年間に2回以上献血した者というのは、1回だけ献血した者と比べて献血への定着率が高いというデータもございます。そのデータも踏まえて、こういった書きぶりにさせていただいております。

○喜多村委員 そうですか。1年間に2回というのは、個人的には多いような気がしますし、私が親でしたら、子供にそういうことはなかなか勧めづらい面がありまして。そういうエビデンスがあるということなのですね。

○田中()座長代理 献血推進の研究班で、1年のうちに1回だけ献血した人、2回以上献血する人で、次年度への献血継続率を見たときには、1年間に2回以上献血をした人のほうが、その後の献血継続率、5年献血継続率を算出しているのですが、それが有意に高いことが分かっていますので、献血というものを初めて経験した人も1年に1回ではなくて、初めて献血した年に複数回するということが、その後の献血の継続につながるというエビデンスで結果を報告しています。

 ですので、できるだけ、その1年のうちに1回だけで献血を終わらせるのではなくて、複数回来ていただく取組というのが、その後の継続的な献血を高める要因だと考えていて、それをエビデンスにこういう項目になっているのではないかと思います。

○血液対策課長 御意見ありがとうございます。全血ですと年2回までで、女性だと1回ぐらいされる方が多いと思います。最近では、血小板などの成分献血であれば、安定的に同じ方に複数回来ていただいて、なるべく副作用の少ないような方に、繰り返し来ていただたり、成分の場合には、回数も割と多く、年に24回する方はいらっしゃらないと思いますが、もっと頻回に御協力いただけるということと、後ほども出てきますが、原料血漿の必要量が今増加しているという関係で、成分献血への御協力をお願いしているという状況もあります。献血していただいている方の平均の年間回数は1.7回ぐらいだと思います。それなので、成分への御協力ということも含めますと、もう少し複数回の協力いただける方を増やしていくべきではないかという御意見等もありましたので、それを踏まえて、ここは複数回献血の推進ということで特出しをさせていただいています。

○海老名委員 栃木県の海老名です。私は、全国衛生部長会という、都道府県の衛生主管部局を代表する立場で参加させていただいております。御質問を1点させていただきたいと思っていますが、その前に、今も被害が続いておりますが、台風第19号の関係について御報告させていただきます。初めに、被害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げたいと思いますし、本県においても被害がありまして、関係の皆様より大変な御支援を頂いております。心より感謝申し上げます。引き続き、県として災害対策に尽力していきたいと思っております。

 本県の血液事業関係については、県の血液センターについては幸い被害はございませんでした。残念ながら献血ルームにおいて、1件の浸水被害がありまして、現在、一両日中に採血業務を再開すべく準備を進めているところです。ほかの都道府県でも、血液関係の施設で被災がある所もあると思いますので、引き続き関係者の御支援を頂ければと思っております。

 県の血液センターに伺ったところ、ルームが閉まっているということもあって、献血量が発災後は減少しているということですが、移動献血の機会を増やすなどの努力をしていきたいというように伺っております。どこの被災地もなかなか献血することが難しい状況かと思いますので、是非需給面を含めまして、関係者の御支援を頂ければと思っております。

 質問ですが、都道府県として、普及啓発に協力することが重要なテーマかと思っているのですが、資料1-3の4ページの所で、最初のポツの所で、成分献血の普及啓発の強化が項目として立てられておりまして、「啓発資材等を活用」という文言もございます。もし、新たにこのために何か御準備される資材等があれば、是非自治体としても積極的に活用したいと思っておりますので、そういう御予定があればお聞かせいただければと思います。お願いします。

○衞藤座長 事務局よりお答えをお願いします。

○血液対策課長 ここは主語は、国及び採血事業者はということで、「都道府県、市町村、製造販売業者等の協力を得て」にさせていただいていますのは、正に御指摘があったとおり、我々のほうで用意できるもの、既に日本赤十字社でもいろいろと着手していただいていますので、そういうものは県や市町村で独自に新たな負担で作っていただいてということではなくて、そういうものを日本赤十字社、また業者から提供できるものは情報提供しますので、それを活用して、是非自治体におかれても啓発をお願いできればと思います。

○海老名委員 本県の場合は夏に成分献血とか、400mLの呼び掛けをさせていただいていますので、国から頂いた資材等を使って、積極的に普及啓発に取り組んでいきたいと思います。都道府県としても、法の趣旨に基づいて、今回の計画を踏まえて、関係者と連携して令和2年度も献血推進に取り組んでいきたいと考えております。

 若年層の複数回献血について情報提供させていただきます。栃木県は昭和の時代から高校献血に取り組んでいまして、詳細なデータは持ってきていないのですが、県の血液センターの調査によると、高校時代に200mLの献血をすると、卒後に400mLとか成分献血に移行して、継続した献血につながっているというデータもあるようですので、県としてはこのような取組をしっかりやっていきたいと思っております。

○佐々木委員 恐らく目標としては、年度内に何回やるということではなくて、毎年継続して献血してほしいということだと思いますので、年2回とか、そういうことに余りこだわらないほうが私はいいように思います。例えば誕生日には献血しようとか、そういったことでいいと思います。研究班のほうで、2回以上献血した人のほうが翌年の継続率は高かったというのは、普通に考えると、もともと献血したいという気持ちがある人は翌年も継続するという、ある意味では偽装感を示しているだけなのではないかという可能性もあると思うので、余りそこはこだわらないほうが私はいいように思います。

○長島委員 正にそのとおりだと思います。理想的には年間に複数回かと思いますが、それではなくて継続して毎年でも、2年に1回でも、継続して献血していただけるような環境作りとか、そういう働き掛けというところで、その中で1つの理想的なパターンとして、年間複数回というのがあるぐらいの位置付けにしておいたほうが、その働き掛けを受ける側からすると、余りプレッシャーを感じずに非常に敷居が下がっていいのではないかと思うので、その辺の書きぶりを工夫されたほうがいいのではないかと思います。

○石田委員 別の質問ですが、新旧対照表の7ページです。「献血者が安心して献血できる環境の整備」という所で、「問診や検査の結果等により」と書いてあるのですが、これは、要するに丁寧な対応という意味では昨年度までも既に記載されていて、おそらく献血者の健康の配慮という、医療者から見れば健康の配慮という意味と、実際に献血できなかった理由によってはまた今後献血をしていただくことができるという、改めて献血を依頼するという意味合いも含まれているのだろうと思うのですが、この文言だけでは、丁寧に対応するという以上に読み取れないので、具体的に「健康に配慮する」とか「成分献血など、献血方法についても案内する」というような、方針を示したほうがいいと思います。文言が曖昧で分かりにくいと思います。

 それから、もう一点は、10ページの「災害時等における献血の確保」というところです。これも前回の内容でかなり網羅はされていますが、新しく加わったのは、「献血の受入れの可否について判断するなど」という部分かと思います。例えば災害が起きたときに献血をすることを進めていいのかどうかとういうことの判断を的確に行うという意味なのかなと思うのですが、実際に災害が起きた所で献血をするのはあまり現実的な対応ではないと思います。例えば周囲の血液センターで献血の支援をするとか、もっと別の方法もあるのではないかと思うので、ただ「判断する」ということでなく、具体的に献血を推進する対策を記載した方がいいのではないかと思いました。

○大平委員 もう意見としては出てしまっているのですが、4ページの原量血漿の問題についてです。ここでは、「血液を原料とすることや」という所で、これまで血漿分画製剤について、特段の記載がなかったということでは、今回の令和2年度の献血の推進に関する計画案では、そこが盛り込まれているということは、やっと原料血漿の問題が日の目を見たかなというところがあると思います。評価できるかなと思っています。

 特に、「血液を原料とする」という所は、今まで輸血用血液の問題だけで、輸血用血液としての文言しか出てこなかったので、これがきちんと血液を原料として、そして多くの疾患の治療にいかすということが書かれているというのは、大変よろしいかなと思っています。意見としてはこのような意見です。

 もう1つは、先般NHKのテレビで、北海道の移動採血車の番組を見させていただいて、何回も献血のバスが来ると、北海道のへき地とかいろいろな所でも、すぐに採血に飛んできてくれる人がいるという、そういう人たちに支えられているのだなという、そういう番組とか、メディアを通しての広報をもう少し行われると、若い人の心を揺さぶることもできると思いますので、そういったことにいろいろとツールを使って、啓発をしていただきたいと思っています。

○衞藤座長 そのほか、いかがですか。

○花井委員 まず1つ目は、先ほどから議論になっている複数回献血の5ページの記載です。まだ決着していないと思うのですが、「複数回献血者」という言葉を作ってしまうと、読むと、複数回献血者という優良ドナーには手厚くサービスすると読めてしまいます。献血者を主語に書いて、戦略的に複数回献血というのが、データ上継続献血につながるということであれば、「献血者が年に複数回献血を行ったり、継続的な協力を得る」と書き直して、「複数回献血者」という言葉は使わないほうがいいと思います。これだと、複数回献血者の更に継続的な協力を得られるようにだから、複数回献血者が優良に継続するボリュームゾーンに、更にその人たちに特にまた継続的なことをやると、そこだけ手厚くやるとどうしても読めるので、概念上「複数回献血者」という言葉を作ってしまったから、書きぶりが変になっているので、そこは書き直したほうがいいかなと思います。

 もう一点は、先ほど血漿分画の話が出ましたが、10ページの災害時の上の部分です。今回は修正はなくそのままになっているのですが、「国、都道府県及び採血事業者は、製造販売業者等の保有する血液製剤」と書いてあるのですが、これは輸血用血液に特化した話ですよね。血漿分画は足りなくなったからといって、献血を推進しても製品になるのは何年後なので、血漿分画については、むしろ推進計画ではなくて需給計画で国がやって、先ほどの文言につながるということで、ここは「製造販売業者」と書いてしまうと、いわゆる分画メーカーが入ってしまうので、文言修正をしたほうがいいと思います。以上の2点です。

○衞藤座長 事務局からお願いします。

○血液対策課長 複数回献血について、今、御意見を聞きながら改めて見ておりまして、5ページの1つ目はそのままにさせていただければと思いますが、2つ目は、確かに「複数回」と付けなくても、「献血者から継続的な献血への協力を得られるよう」で、複数回も毎年も全て含まれるので、そのようにここは変えさせていただいて、「採血事業者は、献血者から継続的な献血への協力を得られるよう、献血者へのサービス」とするか、利便性も含む、あとでいろいろ出てきますが、そういったサービスの向上を図ると修正したいと思います。下は、この「複数回献血への協力を呼びかける」はいいかもしれませんが、「若年層が継続して献血に将来協力してもらえるよう」というよう書き方に、部会までの間に修正させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○衞藤座長 複数回献血者に関する表現に関しては修正の御提案がありましたが、これに関しましてはよろしいでしょうか。

○血液対策課長 それから、10ページは確かに御指摘のとおりでして、製造販売事業者の保有する血液製剤で、しかも中には血小板と赤血球というような書き方もしていますので、ここは輸血用を確かに念頭に置いているということですので、ここの書き方も修正したいと思います。

 また、これから薬機法とともに血液法も改正する予定で、そこでは新たに原料血漿の製造業者というようなことでも、役割を分けて書くように予定していますので、そうしたことも踏まえまして、また修正案を作成したいと思います。こちらは、検討させていただければと思います。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 今、御質問いただいた中で、私どもの取組を少しだけお答えさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。

○衞藤座長 はい。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 まず、日本赤十字社として、令和元年台風19号においてお亡くなりになられた方々に対して、慎んで御悔やみ申し上げます。それとともに、多大な被害に遭われました被災者の皆さん方には心からお見舞い申し上げます。血液事業はもとより、全社含めて救護に当たっているところでございまして、迅速に救護等、また被災地におかれましては救護物資等も、今、配布しているという状況です。

 まず、先ほど海老名先生から頂いた台風の状況ですが、私ども1012日から14日にかけて、全国で137.5か棟が中止とさせていただきました。計画としては、これは赤血球ですが、当初の計画から1万2,767単位の計画が、そこで中止になったというところです。ここについては、この台風が大きいということが事前に分かっていましたので、まず10月9日に全国の7つのブロックと、いわゆるウェブ会議をしまして、今後、想定される台風についての対処をいたしました。

 これは先ほどのお話にもありましたとおり、当然稼働に当たっては、まずは献血していただける方の安全を第一優先とし、また我々職員の所にもしっかりと安全なような対策を取ろうというところで、9日の時点で想定されるものを中止するというところは、事前に調整しておいてくださいというお話をさせていただきましたし、9日と10日について、血小板も全血も含めて、計画よりも多めに採血するような体制を取ってくれという形で進めさせていただきました。

 結果的には、先ほどお話したとおりの稼働が中心になりましたが、15日ですが、これには今度は被害の状況がどうだったのか、今後の血液確保の状況がどうであるかということを、また全国7ブロックのウェブ会議を行いまして、今後の対策を取らせていただいたというところです。

 基本的に我々としましては、現在、非常に全国的な赤血球の在庫は少し下降ですが、これもしっかりとシミュレーションをして、今後の対策、確保の対策も十分に練りまして、全国総出で、被災に遭われた地域も含めて、その確保に当たっているというような状況です。

 なお、被災地の方々の地域のセンターについては、無理をしないでやっていただきたいという旨を出しているところです。そういった関係上から、今、若干、赤血球は少なくなっておりますが、この確保に向けて全力で動いているというところです。なお、血小板についても、事前に計画よりも多目の指示を出しまして、血小板については滞りなく供給できているところです。

 また、幾つかの供給出張所について、停電、断水等がありました。これについては、自家発電が正確に稼働しましたので、事なき事を得ているという状況で、今、順調に戻っていて、正常な業務に携わっているというところです。また、先ほどあった栃木県の宇都宮大通りの献血ルームについては、明日から稼働できるという報告を受けているところです。

 我々としては、安定的な供給をするために、きちんと状況を踏まえながら確保に当たりたい。当然、これは血液対策のほうとも連携を取りながら、毎日行っているという状況ですので、若干今は在庫が厳しい状況ですが、これは徐々に回復していけると思っているところです。

 もう一点の分画製剤の件についてです。これが、本当につい2週間ぐらい前に出来上がりました。私どもとして、ちらしのデータを作らせていただきました。先ほど大平先生が御指摘のとおり、血液からは血液製剤ではなくて薬を作るためのものも必要なのだという形で、必要な部分についての御説明をさせていただいて、裏面には、主に免疫グロブリン製剤を使用している先生に、そのメッセージを頂きました。なぜ必要なのかというメッセージを頂きながら、また、この製剤を使って助かったという患者のメッセージを頂いたものを、既に各ブロックセンター、地域センターのほうには配信しています。今後、私どもは、このちらしを基に、まず推進をしていきたいと考えています。

○柑本委員 教えていただきたいのですが、計画の11ページに「採血事業者は、国の協力を得て、献血者や献血未経験者へのアンケート等を継続的に実施し」ということで、「献血未経験者」ということが、ここに新しく入っているのですが、具体的に何か御計画がありましたら教えていただきたいと思います。未経験の人の掘り起こしというのはすごく大事だと思うのです。私も学生などに授業のときに聞くと、献血をやっていない学生のほうが圧倒的に多くて、何でやらないのかを聞くと、怖いとか、そういう感じの答えが得られたりもするので、どうやってなさるのかを教えていただければと思います。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 先生が御指摘のように、数年前までは献血された方のアンケートは調査をしておりました。正式に、2、3年前だと思いますが、そこには献血をされていない方々、これはちゃんとした調査機関にお願いしてアンケートを取っております。これは一度では終わらなくて、今後もそれは継続していきたいと考えているところです。

 学生のほうについては、今日も御出席を頂いておりますが、松本さんという、全国の学生献血推進実行委員会の委員長も含めて、学生による献血セミナー等も行っていながら、そこでのアンケートも実施しているというところですが、その辺は松本さんのほうにお聞きしていただければということで、我々も、そういった形で学生とも連携しながら、また、全体の献血未経験者にも、今後どういう形で我々は進めればいいのかという調査は、今後も継続して行っていきたいと考えているところです。以上です。

○衞藤座長 松本大樹委員、補足していただけますか。

○松本()委員 献血者とか献血未経験者へのアンケートの結果というか、どういう意見があるのかというのも教えてほしいということでしょうか。

○柑本委員 それも分かれば教えていただきたいのですが、未経験者の掘り起こしのために実際にどういうことをやっているのかとか。

○松本()委員 前回の調査会のときにも話したように、大学に向けて授業前にセミナーを行ったりして、未経験者の献血への、針は痛くないように作ってあるとか、怖くはないのだということを、献血未経験者の人たちに、献血とはこういうものだという知識を伝えるセミナーを行っていて、セミナーを聞いて次回から献血に参加してもらえるかというアンケートなどは作っております。

 アンケートの中身は、私は大学の中のアンケートの意見しか見たことがなかったので、全体の意見としては、話を聞いたけれども献血には行きづらいとか、時間がかかるという声が多くて、献血していただいた後のアンケートでは、大学の学内献血では処遇品などがあるので、その処遇品をまたもらいたいから来るとか、やってみたら思ったよりも負担が少ないということで、次回からも時間があればしてみようと思うという意見が多いという印象があります。

○衞藤座長 それでは、令和2年度の献血の推進に関する計画案について、このほかに御意見、御質問はございますでしょうか。

○佐々木委員 被災地での献血のことでお聞きしたいのですが、被災地そのもので献血をやってくださいとお願いするのは、ちょっと厳しいものがあるように思います。もちろん、そういう状況で暮らしている方というのは、いろいろな梗塞なども起こりやすいと思うので、むしろ献血を控えたほうがいいぐらいだとは思うのですが、そうすると、その周辺の地域での献血を推進することは大事だと思うのですが、どれぐらいのエリアだったら、被災地までの血液をカバーできるのでしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 先ほどもウェブ会議のほうで、それはもう絶対に無理をしてはいけないと。当然、今まで計画をしていた、例えば献血バスがお邪魔する所については、もし要望があれば、そこは中止して構いませんというお願いをしています。

 これはエリアによってかなり違うのですが、今回は関東甲信越エリアと東北の一部、また東海の一部という所で、実は関東甲信越全体の使用量、また確保量が、全国全体の30数%に当たります。そうなってきまして、それも我々はシミュレーション等、計算しておりますが、これはオールジャパンで行なわなくてはいけないだろうというところで、その辺の指示を出させていただいて、今、いわゆる自ブロックで完結する確保量よりも、プラスアルファで採血をして、主に関東甲信越と東北に支援していくというところです。

 例えば中・四国の豪雨災害の部分についても、では、全国でどれだけの支援をしていけばいいかということは、我々のほうできちんとシミュレーションしまして、どこのブロックはどのぐらいの範囲で融通を利かすようにという形の下で進めさせていただいておりますので、そこはケースバイケースということになりますが、先生がおっしゃったように、被災地でできなかったから、できるようになってからすぐに、全部あなたたちがやりなさいということは、実際にやっていないというところで、全国で融通し合おうという体制は今までもやっておりますし、今後も続けていこうと思っているところです。

○衞藤座長 その他、御意見、御質問はありますか。

○松本()委員 5ページの若年層を対象とした普及啓発の()で、効果的な広報手段を活用した取組の中に、「SNSを含むインターネット等を主体とした情報発信により、目に触れる機会を増やすとともに」と書いてあるのですが、もちろんSNS、インターネットで情報発信することで、献血未経験者の人たちに知識を普及するということで、すごく効果的なものだと思うのですが、目に触れる機会というのは、実際には何か戦略的なものがあって、されているのでしょうか。具体的な戦略はあるのでしょうか。

○衞藤座長 事務局からお答えをお願いします。

○血液対策課献血推進係長 今、御質問いただいた件ですが、厚生労働省でもFacebookTwitterを使って情報発信しております。若い方はTwitterFacebookを使われている方が多いと思いますので、そういった媒体を通して、献血に関する情報を見ていただければと考えています。

○日本赤十字社血液事業本部小室経営企画部献血推進課長 おっしゃるとおりで、SNSを使った配信で目に触れる機会をどんどん増やしていきたいというところはおっしゃるとおりなのですが、我々としても、御存じのように「みんなの献血」といったキャンペーンでタレントを起用したり、弊社のみならず、そういった訴求力のある方々も活用して、目に触れる機会を増やしていきたいというところで取り組んでいるところです。

○松本()委員 先日、血液事業学会の最終日だけ参加して講演を聴かせていただいたのですが、ほかの県の赤十字の職員もSNSに主軸を置いているのかなという感じだったのですが、先ほどの厚生労働省のTwitterとか赤十字社のTwitterのアカウントを個人的にフォローしてのぞいてみたりはしているのですが、若者の意見として率直に言わせてもらったら、余り注目されていないように見えるので、SNSというのは最近出てきた技術なので、まだ発展されていなくて、すごく難しいものだと思うのですが、血液事業部会の発表を見たときに、効果が薄そうに感じたので、目に触れる機会を増やすというのは、どのように目を増やしていくのかというのをもう一回見直して、掘り下げていくべきところなのかなと思いました。

○長島委員 今の点ですが、まずはSNSの内容については、こういう学生たちのアイディアもお借りして、面白い内容を是非工夫されるといいと思います。

 それから、例えば若い人に非常に人気があるようなタレントを使ったキャンペーンとかポスターの中で、今回の3ページの一番下にありますが、ポスター等においては、インターネット上の情報にアクセスしやすい工夫をするということで、そういうような媒体から、すぐにSNSへアクセスできるような工夫をするということで、いろいろとしっかりと連動することで機会を増やすと。そういうことで今回ここに加えていただいたのだと思いますので、ただ、内容が非常に重要なので、是非若い人のアイディアを活用されるといいのではないでしょうか。

○松本()委員 さっきの意見が赤十字社とか厚生労働省の方を攻撃するような意見のような感じがしてしまったので、少し訂正させてください。学生実行委員会のほうのSNSも、効果的ではないような発信が多いので、次回の会議でも学生からアカウントをどのように発展していくのかというのは議題に出して考えていく計画をしておりますので、その辺を赤十字社と連携していけたらいいなと思っております。失礼しました。

○石田委員 今のSNSの件ですが、実際にどのぐらいそのサイトを見ているか、あるいは実際にそのサイトを見て献血に来られているか、あるいは実際に献血に来られた方はそういうサイトを見る機会はどのぐらいあるのか、そういう実際の若い方の現状を調査しながら評価していかないと、それがどの程度の効果があるかというのは見られないのではないかと思います。

○衞藤座長 そろそろまとめたいと思います。数々の御意見をありがとうございました。それでは、ただいま頂いた御意見を踏まえて、事務局において以下の点の修正をお願いしたいと思います。既に課長より検討に関する内容も御提案いただいたところもありますが、複数回献血者に関する表現ということで、献血に継続的に協力というような表現を使ってというような方向での修正、また災害時の血液の確保というようなことに関する記述は、今は具体的な案は示されていませんが、修正をするということです。それから、その他の献血の環境に関する表現を具体的にというような御意見とか、災害時の血液の確保に関する御意見が出ていたと思います。また、献血の現状に関する広報に関しては、これまでになされた、割にグッドプラクティスもあるでしょうし、議論があったSNSの現状を踏まえて、どういう取組をするかということもあろうかと思います。その広報に関する記述ということに関しても検討する必要があろうかと考えました。ただ、この検討会を再度開いてというわけにはいきませんので、最終的な文言等については私、座長に一任とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、今後パブリックコメント等を実施して、その結果を踏まえて血液事業部会の審議に向けて手続を進めていただきたいと思います。

 次に議題2に進みたいと思います。「日本赤十字社における需要推計に基づく献血者シミュレーションについて」です。日本赤十字社より、資料の御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 日本赤十字社の鹿野と申します。資料について私から御説明いたします。先ほどの台風19号の被害によって亡くなられた方等も踏まえて、この場をお借りしまして御悔やみ申し上げます。日本赤十字社としても、先ほど瀧川から説明があったように、全力を尽くして全国で回復に向けて取り組んでおりますので、よろしくお願いいたします。それでは資料2の「需要推計に基づく献血者シミュレーション」について御説明します。

 2ページを御覧ください。こちらは需要推計に基づく献血者数のシミュレーションについてのこれまでの経緯になります。1つ目は、平成29年度第4回血液事業部会及び第3回の献血推進調査会におきまして、将来の需要推計、いわゆる輸血用血液製剤又は原料血漿の見込みを踏まえて、献血者のシミュレーションを作成し御報告をさせていただきました。その際に、下段の2つの御意見を頂いております。まず原料血漿の確保量については、その当時は目標がなかったので、一定の95万Lを見込んで献血者数のシミュレーションを作成しております。その際に原料血漿から製造される血漿分画製剤は適応拡大などグロブリン製剤の需要増大が世界的に見込まれていることも酌んだほうがよろしいのではないかという御意見も頂き、2つ目では、年代別の献血者確保戦略や献血者の動向をしっかり検証した上で献血者数のシミュレーションを見直しする必要があるという御意見を頂いております。

 次に、平成30年度の第2回献血推進調査会におきまして、各都道府県の輸血用血液製剤の需要予測を御説明した状況です。その際には全国47都道府県におきまして、輸血用血液製剤の使用量が多い672医療機関に実態調査と将来推計の予測をしていただいた内容を踏まえて御説明をさせていただきました。その際に頂いた御意見が下段の2つになります。今後の需要予測については、やはり輸血用血液製剤に加えて、血漿分画製剤の使用量の両方を検証する必要があるのではないかという御意見を頂いております。2つ目としては、お示しした検証内容を踏まえて、やはり都道府県ごとの献血推進に与える影響をしっかり検証して、今後どのように献血推進に取り組むべきか考える必要があるという御意見を頂いております。

 平成30年度の第4回運営委員会におきまして、国のほうから原料血漿のポジティブ予測、またネガティブ予測が示されております。このポジティブ予測、ネガティブ予測については、製造販売業者による国内全体の需要予測があることから、現在、国と協議をさせていただきまして、免疫グロブリン製剤の使用量が多い関係学会、日本神経免疫学会ですが、そちらの専門医から今の現状と将来の予測の調査をさせていただいている最中です。その結果については改めて報告させていただきます。

 3ページは、国がお示ししている2018年度の血液事業報告の内容を一部抜粋しております。右側に記載しておりますが、今後の輸血医療を取り巻く環境の変化、献血可能人口の推移などは、都道府県によって異なる環境があることから、①医療需要推移の検証、②献血可能人口の推移、③男女別・年代別・献血種別ごとの献血者推移の分析、④若年層献血者確保対策など、こういった内容を踏まえて、今回シミュレーションをさせていただいている状況です。

 4ページを御覧ください。献血者シミュレーションの作成に当たっては3つのポイントを持って、各都道府県、またブロックセンターと協力しながら作成をしてまいりました。1つ目は、ブロック内の採血役割分担です。必要量が示されますので、それを基に2019年度の採血計画を参考にして各都道府県に必要献血者数の割り振りをしている状況です。ブロック血液センターにおかれましては、我々が得た必要数に対して、各都道府県の将来推計人口等を考慮して各血液センターと協議した上で、必要献血者数を作っていただくという状況です。

 また2つ目は、各地域センターの地域特性を考慮した献血者のシミュレーション。1つ目で割り振られた必要献血者数に対して、地域血液センターがどのように採血を……していくかというシミュレーションを作成しております。ブロック内の採血役割分担を基に、将来推計人口、各都道府県によってかなり異なる状況がありますが、過去の年代別又は献血種別ごとの献血者の推移を分析した上で、今後どのようになっていくかを作成いただくという状況になっております。都道府県によっては地域特性、社会環境等がどんどん変化していくということもありますので、それらの内容を踏まえ、人口の流出入等を考慮して作成いただきたいという状況です。最後にブロックセンターと地域センターで作成されたシミュレーションを検証していただいた上で、本部に提出いただき、確認させていただいている状況です。

 3つ目は初回献血者数ということで、先ほど議論がありましたとおり、初回献血者をどのように確保していくかという課題については、2018年の年代別初回献血者数を参考にしていただきながら、特に10代、20代は全国で約25万人(2018年実績)で、全年代に占める割合が74.4%ということで、10代、20代の初回献血者がかなり多いという状況もあり、更には将来推計人口によって人口がますます減少していく都道府県もありますので、こういった内容を踏まえて、今後の献血推進戦略等を考慮して作成いただいている状況です。

 5ページです。需要推計に基づく必要献血者数を算出しております。2018年度、都道府県ごとの地域特性を踏まえ、医療法に基づく医療計画であったり、医療のニーズの変化を踏まえて、2022年度、2027年度の輸血用血液製剤の需要予測を検証したのが上段にある表です。赤血球、血漿、血小板ということで、2018年度を参考値にして作成しております。下段は、2019年度の事業計画をベースとし、需要推計、いわゆる上段の需要予測に対して必要献血者数を算出した状況です。下段の表の右側を御覧ください。2018年度については、全体で約473万人の献血者数を確保してまいりました。ポジティブ予測については、原料血漿確保量124万L、ネガティブ予測については2022年度は116万L、2027年度は109万Lとお示ししておりますので、それを確保するためにはポジティブ予測では約500万人を超える献血者が必要であり、ネガティブ予測については約490万人弱という状況になっております。こちらの数字を基に各ブロック又は都道府県の血液センターで作成いただいた合計を積み上げたものが6ページになります。

 こちらが年代別献血者数の推移です。左側から年代、2015年度から2018年度まではこれまでの実績、2022年度、2027年度、右側に赤枠がありますが、こちらが先ほどお示ししたポジティブ予測の年代別の推移、右側がネガティブ予測の推移となっております。

 下段の合計欄を御覧ください。一番左側の2015年度の献血可能人口に対する延べ献血者率については5.8%という状況でした。こちらは実績になりますので、2016年度は5.6%、2017年度は5.5%、2018年度は5.5%という状況です。延べ献血者数については、ポジティブ予測で500万人を超える確保が必要という状況で、さらには献血可能人口が減少していく状況がありますので6.5%、2027年度は6.6%の推移になるという状況です。ネガティブ予測についても6%を超える結果です。

 7ページを御覧ください。こちらは先ほど御説明した実績に対して、各歳ごとのグラフを作成しております。縦軸が人数、横軸が各歳ごとの状況です。上段の実線については男性、下の破線については女性という状況です。こちらは2015年度から2018年度が実績、2022年度と2027年度については予測値という状況です。こちらはポジティブ予測のグラフです。

 8ページは直近、2018年度の実績に対して、2022年度、2027年度の予測値を少し見やすく資料を作成しております。

 9ページはネガティブ予測のグラフになります。10ページも、2018年度の直近のものと2022年度、2027年度の予測値を示した状況です。

 11ページからは各採血種別ごとにどのようなシミュレーションになっているのかという検証もさせていただいております。11ページは200mL献血のシミュレーションになります。直近の2018年度については約14万人の献血者を確保しておりましたが、2022年度については約10万人、2027年度については約9万9,000人というシミュレーションになっております。御覧のとおり、左側の10代、20代については、200mL献血を確保していく上で全体の約80%を占めるようなシミュレーションを作成しております。12ページの400mL献血については、2018年度については左上段にあるとおり、約323万人の献血者を確保してまいりましたが、2022年度のシミュレーションについては330万人、2027年度については324万人確保のシミュレーションとなっております。こちらについては10代、20代の前半の強化又は40代から50代の強化を図るようなシミュレーション結果となっております。

 13ページです。こちらは血漿献血のポジティブ予測のシミュレーションです。2018年度については左上段にあるとおり、約757,000人の確保という状況がありましたが、2022年度についてはそれを超える約30万人増加するという状況になりますので約100万人の確保、さらに2027年度は約111万人の確保という状況です。グラフについては、全年代で強化していかなければいけないというシミュレーションになりますが、特に30代及び50代の強化を進めていくシミュレーションとなっております。14ページはネガティブ予測の状況ですので、後ほど御覧ください。

 15ページは血小板のシミュレーションです。こちらについても同様ですが、やはり40代、50代を中心に強化を図っていくというシミュレーションの結果となっています。献血者数については、左上段にあるとおり、2018年度が約60万人、2022年度は62万人、2027年度は減少して606,000人というシミュレーションです。

 16ページでは初回献血者のシミュレーションを作成しております。左から年代、次に献血可能人口、初回献血者数、再来献血者数、人口比の初回献血率をお示ししております。こちらは2015年度から2018年度までは実績値、右側の赤枠にあるとおり、2022年度、2027年度については予測シミュレーションという状況です。下段の合計欄を御覧ください。2015年度の合計欄については、献血可能人口に対する初回献血者数の率については約0.42%ということで、初回は約35万人の献血者を確保していたという状況です。2016年度、2017年度、2018年度についても、人口比初回率は0.40%という状況です。2022年度、2027年度のシミュレーションについては若干増加をしていく計画ですので0.47%、0.48%という状況になるかと思います。2018年度の実績になりますが、特に10代の初回献血者約14万人が献血に御協力いただいたという状況がありますが、2022年度、2027年度については約15万人、約1万人ほど増加させていきたいというシミュレーションとなっております。さらに20代についても同様で、30代についても増加を図っていきたいというシミュレーションとなっています。

 17ページは先ほどの表をグラフにさせていただいたものです。特に左側の10代を御覧いただきますと、初回献血者は全年代の約40%を占める状況になっております。さらに2018年度については、上段は薄い棒グラフで再来の献血者、下段が初回の献血者ですが、2018年度は10代初回者約14万人に献血に御協力いただいておりまして、10代については初回が全体の53%を占めている状況です。2022年度、2027年度におきましても、吹き出しにあるように初回者が53%を占めているシミュレーション結果となっております。

 18ページは今後の検討事項になります。今回のシミュレーションについては、国におきまして献血推進に係る中期目標「献血推進2020」を定めて、若年層確保に努めております。献血者シミュレーションについては、以下の新たな目標値を定める参考値とさせていただきたいと考えております。左上にあるとおり、献血推進2020については、10代は7.0%、20代は8.1%、30代は7.6%という目標を掲げておりましたが、今回のシミュレーションにおきましては、右側のポジティブ予測の2020年度については、10代が6.4%、20代が6.7%、30代が6.3%、2027年度におきましては6.6%、6.9%、6.6%と御覧の状況です。また下段はネガティブ予測ということになりますので御承知いただければと思います。

 19ページを御覧ください。日本赤十字社としても、今回のシミュレーションを踏まえて、過不足ない事業展開をしていかなければいけないと心得ております。左側にあるとおり、需要推計結果、いわゆる必要血液量に対して、右側の今回のシミュレーションを作成させていただいておりますが、それに向けて一番下にあるとおり過不足ない事業展開をしていきたいと考えております。左側にあるとおり、献血基盤の構築ということで、行政と連携して各年代に即した献血教育の啓発をしていかなければいけないということで、一層強化は必要かと考えております。右側については、血液事業として戦略を持って進めていかなければいけないと考えております。昨年度は「ラブラッド」というシステムを導入して、先ほども議論がありましたとおり、複数回献血者の強化を図っている状況もありますので、今後も戦略を一層検討していきながら進めていきたいと考えております。

 20ページは今後の課題になります。1つ目は、輸血医療を取り巻く環境が様々に変化していっている状況があります。また献血可能人口の推移など、都道府県によってはかなり異なる環境がありますので、中長期的な需要推計結果、今回のデータを基に地域ごとの特性を踏まえた効率的な献血推進活動に努めていきたいと考えております。

 2つ目は、ブロック内採血役割分担を更に検討を進めていかなければいけないという状況もありますので、そちらについても検討を図りながら安定かつ効率的な事業運営の構築を図ることが必要ではないかと考えております。

 21ページからは参考資料になりますので、一応、御覧いただきたいと思います。21ページは都道府県別の献血可能人口に対する献血者数及び率をお示ししたものです。21ページはポジティブ予測の状況、22ページはネガティブ予測の状況です。23ページは年代別の献血者数、献血率の状況で、男女別でも検証しており、右側が男性、左側が女性の率をお示ししております。24ページ以降は先ほどのグラフをお示ししたもの、26ページは初回献血者の状況になりますので、御覧いただければと思います。説明は以上です。

○衞藤座長 それでは、ただいま御説明いただきました内容について、御意見、御質問がありましたら挙手をお願いいたします。

○石田委員 石田でございます。まず、13ページの血漿献血者数のシミュレーションですが、これは成分献血という理解でよろしいですか。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 はい、そのとおりです。

○石田委員 グラフを見てみると20代は特に男女差がかなり大きいのかなと思うのですが、女性が非常に多いというのはこの成分献血だけだと思うのです。これは恐らく全血の採血ができないから成分をやるというような移行をしているという面があるのかなと思うのですが、しかしながらシミュレーションでは、2022年、2027年では男性と女性はほとんど同じ量になっています。要するに、女性の場合は全血から移行が期待できるのですが、成分に関してはそれが難しいのではないかと思うのです。実際にこのような予測が可能なのかということが1点です。

 もう1つ、例えば6ページの年代別の献血者数推移は、シミュレーションはパーセントで行っていますが、2018年度のパーセントに比べて全部、ポジティブ予測、ネガティブ予測は若干高いので、少し高めにシミュレーションをされているのかなという印象があります。こちらはパーセントで見ているのですが、今度は17ページの初回献血者数の推移などのグラフを見ると、絶対数で出しています。実際の献血可能人数というのは、徐々に減ってきているので、これをパーセントで見るのか、絶対数で見るのかというのは非常に重要になってくるかと思うのです。実際に必要な血液量というのは、絶対数で見ないといけないと思うのですが、パーセントで予測を立てていくということが、現実的なのかどうかということなのですが、その2点をお伺いさせていただけますか。

○衞藤座長 ではお答えをお願いします。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 ありがとうございます。1つ目の御意見ですが、やはり血漿献血においてはポジティブ予測もネガティブ予測もそうなのですが、全体の献血者数を上げていかなくてはいけないといった状況があるかと思います。特に先ほど御意見いただいた、10代以降の女性の献血者がかなり高い状況で、シミュレーションについても若干上げていかなくてはいけないといった状況があります。御覧いただきたいのは、200mL献血についてはシミュレーションの中では減少していくという状況がありますので、そういった方々については、やはり血漿献血に移行していくような考え方もあるのかなと考えています。

○石田委員 男性の20代が非常に低いのに、男性と女性を同じようにシミュレーションされているように見えるのですが、要するに男性は全血から成分に移行する方向で、今後、考えていくのかなど、その辺りの具体的なところはいかがなのでしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 特に男性については、全血からの移行も必要かと考えていますし、そちらについても強化を図っていくというような考え方になる状況になります。というのは、この年代を確保していかなくては、いわゆる40歳以降の方々にかなり御負担が掛かっていくようなシミュレーションになってしまいますので、そちらも含めて、やはり課題である20代、30代の強化というところは男性についても強化していかなくてはいけないと考えています。

○石田委員 そうですね、具体的な対策が必要ではないかと、このグラフを見る限りでは思いました。実際に、このシミュレーションは少し高めになっているのですが、これまで例えばシミュレーションをしてきて、2018年度の実態が過去のシミュレーションとどの程度適合しているかというようなことを見て、実際のシミュレーションがどの程度達成できているかということを見ていかないと、このグラフを見ると達成できるのかなと、かなり不安に思うものですから、過去のものと現在のものとこれからのシミュレーションというものを、合わせて評価していただいたほうがいいのかなと思いました。以上です。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 ありがとうございます。かなり過去ですが、実は2013年度については500万人を超えるような献血者を確保していたという実態もありますので、各都道府県においても2015年度からの実績、男女別の種別ごとの状況を踏まえて、積み上げたという状況があります。そちらも御理解いただければと思います。

○石田委員 実績というか、シミュレーションが実際に適合しているかどうかということですね。過去のシミュレーションが、予想どおりに検出できているのかということを、また次回以降に示していただければと思いました。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 ありがとうございます。検証していきたいと思います。

○衞藤座長 そのほかはいかがですか。

○長島委員 今、御指摘があった男女の性別による違いというものと、もう1つ重要な点が2122ページのものを見ますと、都道府県で4~7%というかなり大きな違いということで、20ページには「地域ごとの特性を踏まえた効率的な活動に努める必要がある」ということですが、まず2122ページの予測は地域の特性を踏まえた上での各都道府県の予測になっているのでしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 御意見ありがとうございます。こちらについては、現在、広域事業運営体制ということで平成24年度から進めていますが、上段にあるとおりブロックの需要予測、いわゆる必要量に対してブロックの中で献血者を確保していくという事業を進めています。その中で、下段にある各都道府県によっては格差が出ているという実態があります。今後は、やはり500万人を超える献血者に御協力いただくといった状況もありますので、先ほどの課題であるとおり、更に検討していきたいと考えていきます。

○長島委員 もう1つ、最も重要な特性を踏まえた活動として、具体的には何をされる予定でしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 直近で申しますと、先ほどお話した「ラブラッド」という献血者に対して複数回の協力を頂く、かなり強化をしていくといった状況と、どうしても献血ルームでの協力というのが必要になってきますので、平日の事前予約を強化し、更に次回の予約を高めていきたいと考えています。

○長島委員 今のものは、地域の特性と全く関係のない話なので、特に低いところがなぜ低いのかという原因分析、あるいは高いところがどういう効果で高くなっているのかという分析、それに基づいて、後は様々な年齢構成等もあると思うので、それぞれの地域にどういう対策が効果的かということを想定して行って、その結果がどうなったかというPDCAサイクルを回していくということがないといけないと思うので、ここにわざわざ「地域ごとの特性を踏まえた活動に努める必要がある」と言っているので、是非、その具体的な対策の実行をお願いしたいと思います。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 ありがとうございます。今後、地域センターとブロックセンター等も含めまして、取組について強化を図って、また改めて御報告できればと考えています。

○衞藤座長 はい、いかがですか。

○佐々木委員 1つは非常に基本的なことを、恥ずかしながら教えていただきたいのですが、全血の献血をしたものというのは、その後、成分に回すことが可能なのかということを知らないので教えていただきたいということがあります。

 もう1つの質問は、7ページの献血者数推移を見ても、非常に女性の献血者数が少なくて、これは恐らく体重、あるいはヘモグロビンの値の問題があると思うのです。例えば健康診断などで、ヘモグロビンの基準値などは要するに正規分布を想定してただ上下カットしているだけのものなので、恐らく貧血に対しての医療現場での指導というのは、不十分だと思うのです。本当に必要なヘモグロビン値を達成するような指導が、全く行われていないと思うのですが、ちょっとセクションが違うとは思うのですが、その辺を指導していただけるような所と連携して、この女性のヘモグロビンの値を少し正常のほうに持っていければ、これが基本的にそもそも上がっていくのではないかと思うのですが、その辺を教えていただければと思います。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 まず1点目ですが、基本的には、やはり全血をやっていただきながら、検査のデータを含めて、特に血小板の値などというところですので、入りは全血から入っていって成分に移行していくという形が大体普通の状態だと思います。いきなり成分からということではないような形で進めさせていただいています。

 2点目については、私どもも技術系の部分といろいろな協議をさせていただいたり、要はVVRの関係もあるので、今、連動しながらどういった形、例えば女性のヘモグロビン値をどう設定していったらいいのかということは、国の研究班も含めて我々も連携しながらさせていただいていますので、それは今後の課題ということで取り組ませていただく、取り組んでいる状態であると御認識を頂ければと思っています。以上です。

○喜多村委員 資料の18ページに関して教えていただきたいのですが、H32年度の目標値が提示されています。10代、20代、30代と、その後、矢印があってポジティブ予測値()、ネガティブ予測値()とありますが、随分値に開きがあると思います。この資料を私はどう解釈していいかということが、まず分からないことと、そもそもシミュレーションの手法については、どこかに明らかにされているのであれば教えていただきたい。

 19ページに、その後の過不足ない事業展開に向けてということなので、今のたくさんしていただいたシミュレーション結果を、どのように活用して事業戦略を立てていこうとされているのか、その辺がちょっとこの資料だけでは読み取れなかったので、分かる範囲で簡潔にお答えいただければと思います。

○衞藤座長 それでは、お答えをお願いします。

○日本赤十字社血液事業本部鹿野経営企画部事業戦略室参事 まず18ページ目の「献血推進2020」の目標値というのは、上段にあるとおり国で定められている目標値になります。我々でもシミュレーションをさせていただいていましたが、2016年度以前の、やはり人口が減少していく、更には高齢化人口が増加していくというところもありましたので、そういった状況を踏まえて、輸血用血液製剤は増加していくのではないかというシミュレーションを過去に御提示したことがあります。その際に作成された目標値になるかと思います。今回は、先ほど説明させていただいたとおり、47都道府県の主要医療機関にも調査をさせていただいたり、状況を踏まえて、輸血用血液製剤はそれほど増加していかないのではないかという結果を前々回お示しをさせていただいた、それを基に作成した献血者のシミュレーションとなりますので、やはり若干、差は出てくるといった状況にはなるかと思います。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 事業戦略については、このシミュレーションについて、ではどのようにしていくかということも含めて、今まで継続してきた事業、例えばこのままでいくと御承知のとおり、若年層が少なくなっていくと今後の血液需要確保に与える影響は非常に大きいので、まず若年層の底上げをどうしていくかということを含めながら、今後、いわゆる血漿分画製剤用の原料血漿も含めていかなければいけないということになると、全世代に対してどのような戦略を組んでいくかという、今、2段構えになっています。

 若年層についてはお陰さまで、今のところ順調に推移をしています。10代についてはお陰さまで、毎年、対前年を上回っている状況で、今年度もその方向に入っていくだろうと。その結果が、まだ全体的な20代は若干少ないですが、20歳から24歳までは初めて対前年を上回る推移をしています。かなり10代というのが効果的に出てきているという施策の中で、そこは献血を支えてくれる全体の協力者がどのように推移していくのかが1点と、今後、増加するであろう献血者に対して全世代でどう向かっていくかというところについては、今、お示しをしているとおりですが、今後は成分献血の在り方も含めて、その戦略も含めて、鋭意考えて、今そこの検証を進めているというところです。

○喜多村委員 大体、分かりました。もう1点、質問です。16ページの初回と再来献血者とあります。また、定義の問題で恐縮なのですが、この場合の「再来」というのはどういった定義で計算されているのでしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 初回というのは、あくまでも献血を初めて経験される方、再来というのは一度でも献血を経験された方という定義です。

○衞藤座長 はい、その他は。

○松本()委員 この必要献血者数や必要な製剤量というのは5ページにありますが、赤血球や血小板はかなり国内で採血をして、国内の患者に使うということで、非常に需給の予測は分かりやすいとは思うのですが、血漿に関しては、製品はある程度読めるというところはあるかもしれませんが、原料用としてこれぐらい必要だというのは、輸入の製剤もたくさんあります。特に免疫グロブリンの需要が増えているので、原料用という意味での人数の予測というのは、算定の根拠としてはどうやっているのでしょうか。例えば、γ-グロブリンはいろいろな海外製剤も日本に入ってきている中で、原料用としてこれだけ確保すれば賄える、あるいはそれほどしなくとも輸入で賄えるという部分もあるかと思います。γ-グロブリンに関しては、いろいろな製剤が出ている中で適応もそれぞれ製品、製剤によって違っているので、原料血漿の確保についての算定根拠を示していただけたらと思います。

○衞藤座長 では、事務局からお願いします。

○血液対策課長 原料血漿の推計は、平成30年度の第4回の運営委員会でも出しています。そのときに我々からメーカーや過去のトレンドを見て124万Lというのを出していますが、先生がおっしゃるように適応もどんどん拡大されているので、それを見込むとプラス15ぐらいまでは、国内での原料血漿として使われる部分というのは見込まれるのではないかという推計を、国から出しています。それをベースに今は124万Lで恐らく献血者のシミュレーションをしていただいているという状況です。

○松本()委員 予測を、そのような係数を掛けて、需要予測をしているという理解でよろしいですか。

○衞藤座長 そのほかはありますか。

○佐々木委員 その原料の問題ですが、確かに海外からもしかしたら安価に輸入できるかもしれないのですが、やはりそのときにHIVの感染の問題のようなことが懸念されますので、また安価に輸入できるということは、どのようにそれが得られたのかは分からないので、国内できちんと安全に確保していただきたいと私は思います。

○石田委員 先ほどの貧血の話なのですが、実際に血漿原料を増やしていくという今後の方針の中で、例えばヘモグロビンの基準を増やして全血を上げれば、全血の献血の方が増えると思うのですが、そういう方向で今後進むのか。あるいは、全血が採れない方に成分を積極的に勧めていって、全血自体の採血は現状維持で、むしろ成分を増やしていくということであれば、それほどヘモグロビン値を意識する必要はないと思うのですが、その辺りの今後の具体的な方針はあるのでしょうか。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 ヘモグロビン値については、先生も御存じのとおり採血基準が決まっています。そこは私どもは、国の研究班でお考えいただける予定というお話を今聞いています。そこも鑑みながら、我々は進めていかなくてはいけないと思っているのが1点です。確保については、急激に献血できる人口が増えるということはないので、そこはやはり年間にどれだけお一人の方から複数回していただくというところも、きちっと推測、精査をしながら、我々の今まで考えている数字の中で今後はどのような形で確保していけばいいかということは、今、考えているところです。全血から出てくる由来が、これからどれぐらいなのか、そこが減少すれば当然、全血由来が少なくなり、血小板由来も少なくなりますので、そこは血漿で確保していかなくてはいけないというところを、きちんと推移を見ながら、ではどれだけの血漿献血の確保人数が必要なのかというところは、今、精査をしながら、確保ができるかどうかというところを検証して進めていきたいと思っています。

○石田委員 実際に全血を増やすのであれば、全血の回数を増やすことで補えると思います。例えば、女性の場合は全血ではなく成分をむしろ推進するなど、別の方法で血漿原料を増やすというような対策が具体的に立てられるのではないかと思うので、その辺りもシミュレーションしていただいたらいいのではないかと思いました。

○日本赤十字社血液事業本部瀧川経営企画部次長 先生、ありがとうございます。それも含めて、きちんと精査をして確保に当たりたいと思っています。

○血液対策課長 すみません、誤解があるといけないので、今の基準のお話ですが、現時点で特段、ヘモグロビンの値を見直すような検討をしているわけではなく、今回も法律改正等も控えていますので、それに伴って必要な基準など、そういったものを整理をしようとしているということです。

○石田委員 実際にヘモグロビン値がどうこうという問題ではなく、実際の全血と原料血漿との採血区分をシミュレーションしてはどうかと、そういう意味合いです。

○長島委員 先ほど、御指摘がありましたグロブリン製剤はいろいろ複雑な問題があるので、血漿献血、グロブリン製剤に関しては、それだけで1枚の需要推計に関する詳しい資料を作られて、もう少しきめ細かい説明があったほうがよろしいのではないかと思います。

 需要の予測に関しても神経内科領域が一番多いとは思いますが、様々な分野にも関わるので、もう少し多くのところから情報を得て、予測をされたほうがいいのではないかとも思いますので、その辺りの御検討もお願いいたします。

○大平委員 この資料自体が需要推計に基づく献血者のシミュレーションなので、もとは原料血漿や輸血用血液の需要の問題ですよね。それについての対比するような、例えば輸血用血液についてはどのくらい十分に供給ができているのか、また原料血漿については先ほど松本委員が言われたように、海外からの輸入にかなり頼っているところが血漿分画製剤としてはあるので、それを換算するとどのくらいの分量をパーセンテージとしては国内需給に供しているのかどうか、予測としてそれがどのように今後、需要を満たしていくのかどうかというところが、本当は対比できるような形でこのシミュレーションの中に表れていれば、もっと見やすいと思うのです。

 ですから、そういった点で単に献血者の推移だけをここに表示して、それから供給できる血液の量を換算しているという、それだけになってしまっているので、血液事業の全体像として、これだけの輸血用血液は国内で需給が十分できている、あるいは血漿分画製剤に供する原料血漿はこれだけ不足していますと、それについてどのように国民の皆さんに訴えかければ、それが国内需給に供するのかどうかというところが、ある程度見えるような形のシミュレーションを立てていただければ、もう少し私たちも見やすくなるのではないかと思います。そういった方向で、きちんと検討していただきたい。それと、シミュレーションの根拠のポジティブ、ネガティブの要因はいろいろあると思うのですが、どういうポジティブ要因にしたのか、ネガティブ要因にしたのかということの、ある程度の要因の記載というものがあるともっと議論しやすいかなと思います。ただ、シミュレーションとして、こういう形で将来的な方向性が日赤から出てきたというところで、これを土台にまた審議会でいろいろと議論されると思うので、これはこれで参考にさせていただきます。

○衞藤座長 よろしいでしょうか。それでは多数の活発な御討論ありがとうございました。議題2に関しては、これで終了します。

 議題3、その他について事務局から何かありますか。

○血液対策課長補佐 議題3、その他ですが、特に議題はありません。

○衞藤座長 委員の皆様からは、全体を通じて何か御発言はありますか。特にないようですので、本日の議題は以上ですので、これで終了します。御協力ありがとうございました。

  (了)