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難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ(第2回)議事録
日時
令和元年10月1日(火)17:00~19:00
場所
TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンターホール3A(3階)
議事録
- ○田中難病対策課長補佐 それでは、定刻より少し前ではございますが、皆様お集まりいただきましたので、第2回「難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございます。
事務局より、本日の出席状況を御報告させていただきます。
高橋郁美構成員、両角由里構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、本日は、参考人といたしまして、認定特定非営利活動法人ポケットサポート代表理事の三好祐也様、加えて、オブザーバーといたしまして、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課様、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室からも御参画をいただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
以降の議事進行につきましては、小国座長にお願いをいたします。
○小国座長 初めに、本日のワーキンググループでは、厚生労働省が取り組んでいる会議のペーパーレス化の一環として、タブレットを使用して議事を進めてまいります。お手元のタブレットの使用方法などについて、事務局より説明をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 本日のワーキンググループでは、タブレットを使用し、議事を進行させていただきます。
お手元にタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらをごらんいただきながら、使用方法に御不明な点や機器のふぐあい等がございましたら、御遠慮なく挙手をお願いいたします。会議の途中でも事務局が個別にお伺いをいたします。なお、タブレットに関しましては、会議終了後回収いたしますので、お持ち帰りにならず、机の上に置いたままにしておいていただきますようお願い申し上げます。
事務局からは以上になります。
○小国座長 それでは、資料の確認をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 まず、タブレットのフォルダの中の資料一覧をごらんください。
タブレット内の本体資料といたしまして、議事次第、座席表、構成員名簿、参考人名簿に続きまして、
資料1 三好参考人提出資料
資料2-1 社会・援護局障害保健福祉部提出資料
資料2-2 文部科学省初等中等教育局提出資料
資料3 これまでに示された意見と具体的な論点
を格納しております。
なお、机上には、参考までに5月15日の合同委員会で示した事務局資料をファイルに入れて御用意をしております。また、参考人の三好様よりポケットサポートの活動概要や岡山市の事業紹介などの資料をいただきましたので、あわせて机上に御用意をしております。
過不足等がございましたら挙手をお願いいたします。
また、今回のワーキンググループでは、座長と協議の上、前回のワーキンググループで議論になった学習支援等の重要性と、医療的ケア児への施策との連携に関し、現場の取り組みの報告と現状の施策の説明をいただいた上で、小児慢性特定疾病の自立支援事業等への応用や発展のあり方について、さらなる議論を深めていただきたいと考えております。
事務局からは以上になります。
○小国座長 早速、議事(1)の「関係者からのヒアリング」に入ります。
認定特定非営利活動法人ポケットサポートの代表理事でいらっしゃいます三好参考人から、活動内容などにつきまして10分程度で御発表をお願いいたします。
○三好参考人 よろしくお願いします。
岡山市から参りました、認定特定非営利活動法人ポケットサポートで代表をしております三好です。よろしくお願いします。
本日の流れとしましては、タブレットに示したとおりです。
団体の概要から、支援が必要なニーズの確認等々をさせていただきます。
まず、私どもの団体の紹介なのですが、ポケットサポートという慢性疾患の子供たちの学習や復学、自立を支援する団体です。
ポケットサポートのポケットというのは、長期入院やさまざまな疾病によって、学習の空白だったり、体験の空白、ポケットが存在する子供たちを支援したい、サポートしたいという思いから名づけさせていただいています。
私自身、5歳から慢性のネフローゼ症候群で入退院を繰り返して、義務教育の間のほとんどを病院で過ごしていたという経験があります。
2011年にボランティア団体として設立をし、2015年に法人化をいたしました。その後、2016年に岡山市市民協働推進モデル事業というものがありまして、岡山市では、市民団体やNPOが行政と一緒に提案した事業に取り組むといったモデル事業があります。
私たちは、設立するときに小児慢性の自立支援事業を受託したいという思いで、一緒に取り組んでまいりました。退院後の子供たちの交流支援や学習支援が1つ、学習環境調査、院内学級という入院中の子供が通う学級の設置がない病院での学習環境のニーズ調査、あと、理解啓発活動などを2年間させていただいた上で、2018年に岡山市の小児慢性特定疾病児童等相互交流支援業務を受託、そして、認定NPO法人を取得させていただいています。
続きまして「小児慢性疾病児童等のニーズ」というところに移らせていただきます。岡山市の保健所が平成27年度に行いました小児慢性特定疾病児童等自立支援事業のアンケート調査から、上位がピアカウンセリング、レスパイト、学習支援、患者家族会の参加というものがありました。私も通っていましたが、慢性疾病を抱えて、学習や交流が必要な子供たちというのは、入院中に院内学級という場所へ通って教育支援を受けることがありますが、設置されていない病院も多く、通級するために転校が必要だったり、長期入院が必要といった課題があります。また、院内学級の高校の設置というのもなかなか困難な状態がありまして、高校生年代の子供たちの教育支援というのも難しい状況にあります。
そのため、必ずしも院内学級の設置みたいなものを進めることだけが学習支援を解決する問題ではないのかなと考えていまして、退院直後だったり、頻回入院、何度も入退院を繰り返す子供たちとか、自宅療養している子供たちというのは、体力面だったり、感染症にかかりやすいといった状況から学校に通えない時期もあって、同世代との交流とか学習そのものが困難な状態にあります。そういった子供たちには、どうしても学習空白があったり、学校の欠課が続いたりといった、いろいろな治療の影響によるものもありますし、そういったことが就学先等の進路が狭域になることがあります。それら関連が及ぼす社会的、精神的な自立というのも少し阻害が考えられるために、入院中、療養中でも学校とかいろいろな外とのつながりを保つことが重要であると思います。
そういったところからの調査を開始しまして、その内容が学校とのつながりが大事だったりとか、孤立感とか無力感というものを交流支援だったり、学習支援ということで軽減できるということ。あと、学ぶという行為そのものが治療の意欲につながっていくことが確認できました。
そういった課題がある中で、岡山市の小児慢性特定疾病児童等相互交流支援事業の中では、2年間の協働事業を経て、岡山市も相互交流支援事業を企画競争入札という形で立ち上げました。そして、我々の団体が入札に参加させていただいて、受託するということになりました。
支援員という項目がありまして、支援員は幼少期より慢性疾患による長期療養経験のある者、いわゆるピアカウンセリングというところが上位の項目に上がってきたということで、ピアであるということを重視しています。ピアによる学習支援を含めた交流支援を3カ所、うち1カ所は院内学級を有しない総合病院で開催をしています。あと、我々のようなNPO団体と定期的に話し合いを行ったり、支援の担い手の育成プログラムの作成と実施を行っています。
内容としましては、支援対象の子供たち、支援員、ボランティアらとの交流支援を行っています。そういった中で体験・学習空白を補うといったことをしています。
また、医療機関での活動というところでは、きょうも実は午前中に病院の中の小児科に行ってここへ来たわけなのですが、看護師さんとか病棟の保育士さんといった医療のスタッフの方々と連携して活動を実施しています。
今回、平成29年度の医療機関への調査協力を行ったことで、医療機関にこういった課題を地域の課題として認識していただくことができました。そういったところから院内学級を有しない医療機関での交流支援というものが開始されました。これが医療機関と行政、我々民間の連携による協働というのが形になったものと考えています。
そのほか、我々ポケットサポートの独自の支援活動としまして、インターネットを使った双方向ウエブ学習支援であったり、学校と病床や自宅をつなぐ遠隔事業というものがありますが、それの補助などもさせていただいています。家族やきょうだいも参加できる体験交流イベントの実施や、啓発活動なども行っております。
そういった取り組みが少しずつ実を結んできて、2018年6月に岡山県教育庁特別支援教育課の中に「長期療養児教育サポート相談窓口」というのが立ち上がり、我々も専門家チームとして所属をさせていただいているところであります。
次に移りまして、「学習支援・交流支援の様子と大切にしていること」をごらんください。
3カ所で行っていまして、支援拠点である事務所と市内の総合病院の2カ所で実施をしています。委員の方々のものには写真も掲載されているので、様子をごらんいただいているかなと思いますが、我々は安心・安全というのを特に大切にしています。子供さんや保護者の方が安心に利用できるように、感染症対策、屋内のバリアフリー化、支援員のスキルアップ等を行っております。
また、「寄り添い」ということで、声になかなかならない子供たちに寄り添いから関係をつくっていく。そこからスタートだと考えて行っています。
自己効力感の向上というのを目指していて、病気の自分というのはいろいろなことができないと感じている子供たちも多いので、個別の配慮によって体験できたり、自分でもできるのだといったところを工夫して、交流支援を行っているところです。
4つ目の「願いや思い」というところで、医療者や学校の先生といった立場の者ではない、親でもない第三者的な理解者として、子供自身がぽろっと言ってくれるような願いだったり、思いを表出できるかかわりを行っています。
前年度の実績の数は以下のとおりになります。
左下のほうの「体験交流イベント」というのは、車椅子の子供たちがいたりとか、体力減退でなかなか外に出られない子供たちのために、何か季節感を感じられるようなイベントができないかなと思い、ボランティア団体のころから開催をしているものになります。
次に移らせていただきまして、支援が必要な慢性疾患の子供たちというところですが、主に学齢期で自学・自習できる状態にある中で、一つは自分の体調や病状によって通学に時間的な制約や活動に制約がある場合、感染予防のためだったり、体力が減退しているときなど、退院してもなかなか学校に通える状態ではない、いわゆる我々がポケットと呼んでいる状態ですが、自宅療養を要する場合、入退院を繰り返す場合、そして、医療機関に入院中にいわゆる院内学級等の教育を受ける制度がなかった場合の子供たちに、こういった学習支援が必要なのではないかということをボランティア団体のころからずっと感じています。
自立支援事業を通して、本当にいろいろな子供たちがいろいろなことを言ってくれるのです。子供たちは医療者の人たちと接することが多いので、「憧れのリハビリの先生になりたい」であったり、ピアノが好きな女の子はクラシックの音楽をよく聞いていたので、そうやって音楽で心を癒やしたいということで、退院した後に病院内でコンサートを開いてくれたといった場面もあります。「薬の開発をして同じような病気の人を助けたい」と言ってくれた男の子だったり、あと、先日会った男の子は、中学生のころに入院をして、さらに院内学級みたいなところがなかったりすると、「朝起きて、御飯を食べて、昼にリハビリをして、夕方からちょっとテレビを見て寝るのだよね」と教えてくれて、そういった中で我々が週に何度かかかわっていく中で、少しずつ勉強ができるようになって、「俺、将来ちょっと明るいかも」と漏らしてくれるといったシーンも先日ありました。最初は「行きたくない」と言っている子供たちも、「次はいつ来てくれるの」といったことも、それが我々の活動のモチベーションになっています。
御家族からもメールでいろいろな声をいただいています。病気で体調がすぐれない中、寄り添ってくれてありがとうございましたと。なかなか意欲が持てない中、勉強にまた意欲を持てるようになりましたといった声だったり、この下のお子さんはちょうど学年が上がったときに入院を開始されて、6月ぐらいだったのかな、私らが入ったときに真っさらな計算ドリルを持ってきたのです。頑張って2問ぐらい解いた跡があって、多分そこで力尽きたのだろうなと思って、一緒にその計算ドリルをする姿を医療のスタッフの人や保護者の方が見てくださって、「実は学校だと、いつも一番に手を挙げて発表するような子だったのです。そういった姿が病院でも見られてうれしいです」といった声もいただきました。そういった子供たちの声を届けることであったり、いろいろな環境の理解を広げるための取り組みや研修会なども行っています。
そして、支援者としてボランティアの子たちとか我々も、必要な知識を磨くために、大学関係の方々、医学関係者の方々、保健所の方々と一緒にプログラムを作成して、病気の理解であったり、慢性疾患の子供たちのかかわり方、声かけの練習等々、専門性を養うプログラムを常に自己研鑽を行えるような形につくって、子供たちのかかわりとして取り組んでいるところです。
そういったところから、入院中だったり、自宅療養中の子供の孤立感、不安、願い、また、保護者の不安も思いも本当に強く、必要性はあるのですが、教育現場の方々も医療現場の方々も本当に業務が多忙なために、そういった現場のスタッフのみでサポートを行うことは現実的に困難ではないかなと考えているところです。
また、慢性疾患を抱える子供たちというのは、どうしても家族も医療費がかかっていたり、経済的な負担も多いために、こういった支援事業を行うための金銭的なものというのは、受益者負担を求められないといったところがあります。
小児慢性特定疾病児童等自立支援事業などの法定事業にかかる公的資金であったり、今後は休眠預金なども出てくるというお話も伺っていますので、そういったところの寄附金等を用いながら一人一人の子供たちへ対応ができるように、我々民間NPO法人等が中心になって、医療、教育、福祉、行政などのいろいろなところと協働・連携しながら実施していく事業モデルが必要なのではないかなと考えています。
実際、我々も今のところではどうしても賄い切れないので、助成金であったり、寄附金をいただきながら事業を展開しているところですし、病院に入ってコーディネートできるスタッフが今は自分一人だけになっているので、そういった人をふやしながら展開できるところを少しずつふやしていきたいというのが我々の一番の願いです。
続きまして、岡山市の小児慢性自立支援事業を我々の取り組みから考えられるところを出させていただいています。
まず、学校との連携であったり、病院などの医療機関と協働した業務というのは、我々ただの一NPOが医療現場の中に入ったり、学校と協働したりというのは難しい部分がありまして、そこに行政の協力があったことで今の連携が開始できていると思っています。
慢性疾患の子供たちや家族も、感染症に対してすごく敏感に感じていらっしゃいますので、そういった子供たちに対して行うための研修の体制、環境の整備、医療者との連携によって、こういったところも安心してできる環境を整えています。
子供本人の意思や願いを酌み取ることのできる支援員の養成も必要でして、そういったところの研さんを積むスキルアップであったり、研修の場を確保していくこと。また、病気の子供たちというのは、私もそうですけれども、その病気になってからずっとその病気とつき合っていく中で、やはり長くそばにいてくれる人というのはすごく大切に思ってくれていますので、そういったことから長く子供とかかわり続けられるようなスタッフの育成だったり、そういったところからの安心感や信頼感の確保というのも必要かなと考えます。
支援を必要とする子供というのは、病院にいたり、自宅で療養していたり、復学しながら2時間とか3時間学校にいるといった子供たちもいます。そういった中で、必要とする子供がタイムリーにこういった自立支援事業みたいなものが利用できるように、地域の課題として常に医療、教育、保健機関等がこういった課題を発信し続け、子供たちをキャッチアップし続けること。また、こういった課題を文書化することというのも一つ大切なことかなと思っています。
何より一番大切なことは、我々もこの事業をやりながら思うところなのですけれども、慢性疾患の子供たちの置かれている状況というのを地域の行政の方々、医療関係の方々、教育関係の方々の皆さんが課題だと思い、認識して、理解してくれることが一番なのかなと思います。
最後にですが、我々の考える小児慢性特定疾病児童等に対する「学習支援」とはというところですけれども、学校との連携による進級だったり、卒業のための出席単位とか学習保障、学力保障というのは優先的なことだと思います。我々が学習支援をする中でも「俺が5時間頑張っても、10時間頑張っても、何の成績にもならんのよな」とぽつんとこぼした子もいますし、今かかわっている子供も小学生、中学生のころの学習空白が今になって響いてきて、すごく悩んで、私らのところにメールを送ってきてくれるといった子もいます。
そういったところも優先的に捉えながら、そこだけにとらわれない学習支援というものを、本来の子供自身の学ぶ権利だったり、生きる力を育むことに重点を置いた、そもそもの学習機会の確保もすごく大事なポイントかなと思います。
学習支援という文脈で議論を進める中には、公的な学校教育と、機会提供としての学習支援の文言がどうしても混同していくことはどうしても予想されていくことかなと思います。慢性疾患の子供たちの支援の中に心理的なケアだったり、長期にわたる治療によっていろいろな影響が及んできますし、孤立感、無力感、学習空白から来る意欲の減退などがある子供たちを見るために、どうしても専門性というのは必要になってくるのかなと考えています。
さらに、事業をしていく中で、当事者性というのが強い場面がどうしても見えてくるので、当事者の思いと支援する人の考えが離れていってしまうことがあってはならないなと思います。
なので、自立支援事業の任意事業での単独の「学習支援」を行う方策だけではなく、子供たちの心理的な負担や身体的負担も考慮し、本事業を含む枠組みの中で、公的資金の投入だったり、慢性疾患の子供たちの専門性を持った支援、思いに寄り添うことのできる支援者の育成、医療・教育・福祉や行政などと連携をしながら、包括的に事業実施をできる民間の事業者の存在というのが必要なのではないかなと考えているところです。
今、まさに子供たちも病気と闘いながら、いつ退院して学校に通えるのか、友達と遊べるのか、何ができるかなとわくわくしながら、ちょっと嫌な治療も頑張っているといった子供たちがたくさんいますので、何とぞ皆さんでよろしくお願いします。
以上で、お話を終わらせていただきます。
○小国座長 ありがとうございました。
とても有意義な、小児慢性特定疾病のモデル事業としてもとてもお勉強になるお話をありがとうございました。
ただいまの三好参考人の発表について、御質問、御意見をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。大変貴重なお話、ありがとうございました。
先ほどのお話の中にもございましたけれども、各自治体などのニーズ調査の中でも、学習支援に対するニーズというのはかなり高いと言われております。皆様御案内のとおり、自立支援事業の任意事業の展開が進まないという現状の中で、岡山市で三好さんたちのような活動がうまくいった理由、もちろん三好さんがいらっしゃったというのが一番大きな要因だと思いますけれども、民間と行政とがいかにうまくタイアップできたのかというあたりをお聞かせいただきたいのが1点目です。
2点目は、厚生労働省と文部科学省の連携という観点から、学習支援に関して、何か御要望、お考えなどがあったらお聞かせください。
○小国座長 よろしくお願いします。
○三好参考人 どうやってできたのかというところと連携ですね。
まず、一つは市民協働推進モデル事業というのがあったことで、NPO団体や市民活動団体が行政と一緒に提案した事業を行えるということがあったこと。あとは、我々の場合、小児慢性の自立支援事業が立ち上がったことを知ったことで、ここを目指して法人化をしよう、それまでもずっとボランティア団体として、入院中の子供たちや退院した子供たちの学習支援という活動は続けていたので、それを法人化してやっていこうというときに、この自立支援事業があったことというのはとても後押しになりましたし、これで展開していきたいのだということを行政に提案できたところが一つあったかなと思います。
その中で、我々は保健所と協働でこの事業を行っているのですけれども、定期的に月に1回ぐらいは顔を合わせて、打ち合わせを密に行っています。そういった中で、行政の方々もこれをニーズとして捉えていただいたということが大きかったかなと思います。
連携のところでどうやっていくかということなのですけれども、こういうところがあることを知らないということをよく聞かれることがあるので、我々はいろいろな形で、インターネットもそうですし、こういった紙の媒体でも広報をさせていただいています。学校関係者の方々への講演活動であったり、岡山市だけでなく、岡山県の中のいろいろな地域で慢性疾患の子供たちを地域で支えるネットワークづくり事業というのを、違うところの行政とも一緒に取り組んだりしながら、慢性疾患の子供たちを地域で支えるサポートブックというものをつくって、連絡先の中に協働している岡山県の教育委員会や保健所、我々の連絡先というのを書いたり、いろいろなサポートができるように案内したものを岡山県が全部に配ったりしながら、少しでも子供たちのニーズがとれるような形というのをしています。そういったところで、少しずつこういった民間のNPOがあるのだということを知っていただいて、そこからつながっていくというところで、本当に草の根的ではあるのですけれども、少しずつ広げていくところが連携していく第一歩なのかなと感じています。
○小国座長 ありがとうございました。
ほかにはどうでしょうか。
お願いします。
○小倉構成員 国立成育医療研究センターの小倉と申します。貴重なお話、ありがとうございました。
三好さんがおっしゃられたような慢性疾患児は、病院、医療だけで関わる子供ではなくて地域で生活する子供だというメッセージはすばらしいと思いました。また、活動の中で、ピアでやっていらっしゃるというのがすごく大きなメリットであると思いました。スタッフの方、支援員の方は、慢性疾患の既往かある方として定義されていますが、どうやってその方々を集められたのか。うまく集められるのだったら、慢性疾患児たちがそれを将来仕事にすることもできるかもしれないし、とてもすばらしい取り組みだと思うのですけれども、そこをどうされているのかということをお聞かせください。
また、三好さんがお一人でコーディネートをされているというところが、広く展開していく上ではボトルネックになっている部分ではないかなと思って聞いておりました。コーディネートできる人材を育てるためにはどうすればいいとお考えでしょうか。
○三好参考人 ありがとうございます。
慢性疾患児を集めるというか、まず私らは一緒に闘病している仲間であったり、いわゆる病院内の学級に通っていた先輩たち、後輩たちというのが闘病仲間のネットワークというか、つながりというものをずっと継続していまして、私らはこういうものを立ち上げてやろうと思うのだけれどもと言ったときに、一緒に何か力になれることはないかなと言ってくれたり、高校を卒業した後にポケットサポートで力になりたいので仲間にしてくださいと言ってくれた子、きょうも事務所のほうでお仕事をしてくれている仲間たちもたくさんいるので、そういったところがあるかなと思います。
あと、大学生のころから院内学級であったり、小児病棟で10年以上個人的にボランティアを続けてきたので、そのネットワークが今生きているのかなと思います。
もう一点が、先ほども発言の中にあったのですけれども、受益者負担が難しいということと、小児慢性特定疾病の自立支援事業の予算だけではこの事業の全てを賄い切ることができないというのが現状で、助成金や補助金などをいただきながらやっているところです。かといって、それもそんなに多額のお金が来るわけでもないので、正直なところ自分がもう一人リクルートしたいなと思っている人間がいるのですけれども、恥ずかしながら、その子を入れてできるほどの経営体力がないのが課題かなと思っています。どうしても病院の中に入って、医療関係者の方だったり、学校の先生方と連携をしながら復学に向けての取り組みというのが重要になってくるところで、特に病院の中に入れる人というのがどうしても限られてくるのが課題なので、一番は予算というところと、この人と一緒に仕事ができたらいいなと思う人を探していくというところにポイントがあるかなと思います。
○小国座長 2番目の育成ということに関しては、どう考えられますか。
○三好参考人 我々のところは、支援員がピアであるところが一つの大きなポイントとしてありますので、そういったところと我々のビジョンであったり、私らの掲げてあるミッションみたいなものに共感してくれて、一緒にできるなというところを判断していく、いわゆる人事ではないですけれども、人事面接みたいなところがあるかなと思います。
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、高橋構成員、お願いします。
○高橋(昭)構成員 きょうはありがとうございます。
宇都宮市で、うりずんという医療的ケアが必要なお子さんのサポートをしていて、私は小児科医なのですけれども、今お話を聞いていて、よく制度とかサービスがないところからボランティアでされて、その後、制度の情報をキャッチして、それを自分がゲットするのだみたいな感じで、思いを感じながら伺っておりました。
こういった活動に広がりを持たせてやっていくためには、いろいろな方の理解も必要だと思うし、特に親御さんの理解とか病院側の理解も必要だと思うのですけれども、ちょっとジャンルは違うのですが、例えば不登校のお子さんですと、不登校のお子さん用のフリースクールに通っても小学校の出席扱いになるという制度が最近できてはきているのですけれども、例えば学校を休んでいても、お家で勉強したら、それが認められれば親御さんの理解も得やすいとか、社会的ないろいろな理解も得やすいといったこともちらっと考えてしまったのですが、何かお考えとかがありましたら。
○三好参考人 ありがとうございます。
学習支援事業をしている中で、岡山市の行政のほうに「フリースクールになりませんか」と聞いたことはあります。そうしたら、「実績を積んでください」と一言だけ言われて、「実績というのは何ですか」と言ったら、「とりあえず実績です」と言われたこともありますので、どうやったら実績がつくれるかなと思ってやっているところはあります。
○高橋(昭)構成員 ありがとうございます。
○小国座長 城構成員。
○城構成員 滋賀県の社会就労事業振興センターの城です。
きょうは、本当にありがとうございました。人生の大切な時期に絶対ポケットをつくってはいけないという三好さんの思いを感じさせていただきまして、非常に勉強になりました。
1点、先ほどの御質問ともかぶる部分があるのかもしれませんけれども、多分これは医療的な知識であったりとか、御家族に対するケアであったり、もちろん御本人に寄り添うサポートをしていく専門性が必要だと資料のほうにも書いていただいていますけれども、ピアという部分もあるのでしょうが、それ以外の中でどうやって専門性を養成していくのかという部分などで、もしもお考えがありましたらお聞かせいただければと思います。
○三好参考人 ありがとうございます。
専門性という言葉をたくさん使わせてもらってはいるのですが、私らも常にどういったことが大切かなということはアップデートを続けながらやっているのが現状で、一つは岡山の大学の特別支援教育を教えられている先生方との連携であったり、感染症対策の面では小児科医の先生方に教えていただいたり、我々の事業所の感染症対策の面でも保健所からのアドバイス等々をいただきながら、いわゆる専門家の方々の意見を取り入れて、思いとしてはピアであるというところからつくって、今のところはやっているところです。
○小国座長 では、時間となりましたので、また御質問もあるかもしれませんけれども、後ほどお願いいたします。
続いて、議事(2)の「医療的ケア児に対する支援等の説明」に入ります。
厚生労働省及び文部科学省より、医療的ケア児に対する支援などについて御説明いただきます。
それでは、初めに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課の後藤専門官より10分程度で説明をお願いいたします。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 それでは、障害福祉課のほうから、障害福祉課で所掌しております医療的ケア児に関する施策と関係局との連携について、御紹介をさせていただきます。
資料のほうをご覧ください。
まず、1ページ目ですけれども、医療的ケア児ということで、一番上の青い四角にありますように、医学の進歩を背景として、NICU等に長期入院した後に、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用して、日常的にケアが必要な児童のことということになっております。医療的ケアを必要な子というのは昔からいたわけですけれども、近年の周産期医療の充実によって、デバイスをつけてお家に帰ることができるという子供たちが非常に増えています。
右側の折れ線グラフになりますが、直近のデータで在宅にいる医療的ケア児数が約1万9000人という状況です。平成17年当時には9,000超というところでしたので、10年ちょっとで約2倍に増えているという状況になっております。
このような状況を踏まえまして、一番下の点線の中ですけれども、平成28年には児童福祉法を改正いたしまして、地方公共団体に対して、医療的ケア児が保健、医療、福祉、その他関連分野の支援を受けられるように必要な措置を講じるよう努めなければならないという努力規定が設けられたところでございます。
2ページ目です。こちらが医療的ケア児の都道府県別の分布になります。こちらの真ん中の水色の部分が都道府県別の数字になりますが、こちらを見ていただきますと、1,000人以上の医療的ケア児がいるというところは、東京、神奈川、愛知、大阪という4都府県になります。それ以外はおおむね3桁、人口規模の小さい県ですと2桁というところもございます。これを市町村単位で考えますと、町村というところでは医療的ケア児がいないというところも非常に数多くございまして、一方で人口の多い指定都市ですとか中核市といったところでは、2桁の医療的ケア児がいるという状況になっておりまして、支援体制の充実が望まれるという地域かと思います。
3ページ目ですけれども、障害分野で障害児の評価基準ということで参考までにお示ししておりますが、「大島分類」というものを活用させていただいております。大島分類は縦軸が知能、横軸が運動機能という2軸の重複で評価をしております。ピンクの1、2、3、4に当たるところが非常に重度ということで、いわゆる重症心身障害児ということで、こちらの方については比較的手厚い評価をして障害福祉サービスを提供しているという状況です。どちらかというと、重心とその他という2区分での評価が中心になっています。
4ページ目ですけれども、こうした重心の評価を踏まえて、医療的ケア児の概念を整理したものになりますが、重症心身障害児がオレンジの部分といたしますと、医療的ケア児は医療の必要性ということで別の軸になりますので、緑色の枠に囲ったように、医療的ケアが必要な重心の子とそうでない子がいます。
それから、青いところで囲った小さい部分があるかと思いますけれども、こちらにつきましては、非常に数は少ないですけれども、旧来の類型である肢体不自由とか知的障害がなく、医療的ケアが必要だという子供もおりまして、いわゆる走れるケア児とか歩けるケア児と言われておりますが、こうした子たちも含めて支援をしていくということを進めているところでございます。
5ページ目ですけれども、「在宅の医療的ケア児の状態像やサービス利用の現状」ということで概略をお示ししております。左上の図がどんな医療的ケアをしているかというものになります。経管栄養や吸引というものが比較的多い状況ですが、気管切開や人工呼吸器という高度な医療機器を必要とする子供もいらっしゃいまして、気切とか人工呼吸器を必要とする子供の受け入れとなりますと、それ以外の医療ニーズとは格段にハードルが高くなるという状況があります。
右側の「子どもの状態」ですけれども、例えば【姿勢】で言えば寝たきりの子から一人立ちができるということで、非常にさまざまな状態像の子がいらっしゃいます。ただ、【食事】【理解】の項目と合わせて見ていただきますと、寝たきりの子が65%、経管栄養の子が66%、言語理解不可の子が50%強ということで、実は医ケア児の中では重症の子がマジョリティーを占めるという状況がございます。
左下の医療サービスの利用状況ですが、やはり専門病院への受診が多いということ。右下になりますけれども、福祉サービスの利用状況としては、4割程度の方が福祉サービスを利用しております。
6ページになります。地域で医療的ケア児を受け入れていくということになりますと、さまざまな機関で医療的ケアの子を受け入れていくことが必要ということで、上の四角の中の3つ目の○になりますけれども、「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」ということで、地方公共団体に対して、関係部局がそれぞれ医療的ケア児の受け入れについて施策を打つと同時に、連携体制をしっかり進めてくださいということを関係府省部局長連名通知で発出をしております。
7ページ目をご覧ください。医療的ケア児の障害福祉分野での展開ですけれども、障害児福祉計画に位置づけて施策を進めております。もともと障害福祉計画というものが平成18年からスタートしておりますけれども、平成30年度からは障害児福祉計画というものもつくりましょうということで、現在、平成30年度から障害福祉計画と第1期の障害児福祉計画が並行して走っている状況にあります。さまざまな他の計画と立て付けは同じような状況ですけれども、厚生労働省のほうで基本指針を作成し、真ん中あたりにありますように、市町村と都道府県で障害児福祉計画を策定していただくことになっております。
その中で、医療的ケア児に特化した内容ですけれども、青い吹き出しがございますが、保健、医療、障害福祉、保育、教育の関係機関が連携を図るための協議の場を設置してくださいということと、医療的ケア児に対する関連分野の支援を調整するコーディネーターを置いてくださいという2点について明示をしています。
おめくりいただいて8ページ目です。まず1点目の関係機関の協議の場でございますけれども、先ほど御紹介しました通知の中にも記載がございます。特に○の2つ目ですが、協議の場の設置に当たっては、自立支援協議会、医療的ケア運営協議会、慢性疾患児童等地域支援協議会等、そうした枠組みを活用していただくことも提案しております。
下の方は、障害児福祉計画の指針になりますが、小さい字になりますけれども一番下をご覧いただきますと、先ほども申しましたように医ケア児は数が少ないので、市町村単位での設置が困難な場合には、都道府県が関与した上での圏域での設置ということをお願いしております。
9ページ目ですけれども、こちらは協議の場の一つの事例としてお示ししたものになります。一般市町村としては最大規模になるかと思いますが、千葉県松戸市の事例でして、下の「構成員」を見ていただきますと非常に幅広い関係者が入っているという状況です。さらに右上を見ていただきますと、地域の課題とか対応策といったところの分析を既に進めて、施策につなげるというPDCAを回している点において、取り組みが進んでいる状況にあります。
10ページ目ですけれども、医療敵ケア児の施策のもう一つの柱でありますコーディネーターの養成ですが、医療的ケア児等コーディネーターは、都道府県もしくは市町村にも置いていただくことになっております。介護保険でいういわゆるケアマネに当たるものが小児にもあるのですけれども、そうした相談支援専門員に対するアドバイスとか、協議の場に参加して政策提案をしていただくといった役割をお願いしております。国のほうでこうしたプログラムを提案させていただき、都道府県で養成を進めていただいているという状況です。
11ページ以降は、障害福祉分野のサービスの一覧になりますので御参照いただければと思いますが、「児」と「者」という赤いのと紫の丸い小さいものがついていますが、丸で「児」とついているものは障害児が活用できるサービスになります。
こちらを踏まえまして13ページ目ですけれども、平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定では、医療的ケア児への対応についても評価を進めています。赤線でくくってありますように、例えば医療的ケア児を受け入れた場合の看護職員の配置について加算を創設等で評価をしております。
それ以降は、障害報酬の細かい加算の説明になりますので、ここからちょっと飛ばさせていただきまして、17ページをご覧ください。こちらは医療的ケア児に対する予算事業になります。地域生活支援促進事業という大きな枠組みの中の一つの事業ですけれども、医療的ケア児総合支援事業ということで、都道府県及び市町村に御活用いただいております。
先ほど御説明させていただきました内容ですが、青いところですけれども、協議の場ですとかコーディネーターの配置、コーディネーターの研修といったところにつきまして2分の1補助をしております。ここに書いてある以外のものも独自事業としてやっていただくことも可能です。
来年度につきましては、赤く「新規」と書いてありますけれども、障害児通所支援施設に対する看護職員の確保の事業について拡充要求をしているところでございます。
18ページ目から3枚につきましては、医療的ケア児の関係局の取り組みの一覧になります。18ページ目が障害福祉部門、19ページが医療・小児慢性特定疾病ということで、下のほうですけれども、小慢の医療費助成、自立支援事業についてもこちらに記載をしております。
20ページ目ですけれども、保育・母子関係ということで、保育園における医療的ケアの受け入れのモデル事業といったことも展開されております。
下の教育部門につきましては、この後、文部科学省から御説明があるかと思います。
最後になりますけれども、こうした取り組みを一層進めていくということで、21ページのスライドになりますが、右側の真ん中に「対象」とありますけれども、年に1回厚生労働省主催で都道府県、指定都市の5部門の担当者を一堂に集めた全国会議を開催しております。今年度も10月11日に開催予定です。資料とか動画なども配信をしておりますので、もし御興味があればご覧いただければと思います。
障害福祉課からの説明は以上です。ありがとうございます。
○小国座長 ありがとうございました。
続いて、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の濱谷課長補佐より10分程度でお願いいたします。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 文部科学省の濱谷です。
それでは、文部科学省の資料をごらんください。
2ページ目に赤枠の中に黄色いところがありますが、これは社会福祉及び介護福祉法の一部改正に伴って、特定の一定の研修を終了し、都道府県知事に認定された教員等が「認定特定行為業務従事者」として一定の条件のもとで、下の絵にありますように口腔内とか鼻腔内の喀たん吸引ですとか、胃ろうまたは腸ろうの経管栄養等の5行為ができるようになったということでございます。
そのような子供がどの程度学校にいるかということが3枚目でございます。これは平成29年度の数字ですが、公立特別支援学校には通学生が6,061人、これは平成18年度と比較しまして約1.5倍になっております。訪問教育の生徒は2,157名ということで、これも括弧内にあります平成18年度と比べて1.2倍、合計で8,218名いる。下は、最近は特別支援学校ではなくて、公立小中学校に在席する生徒もいますので、平成29年度では858人が在席しているという数字でございます。
4ページ目でございますが、先ほど申し上げましたとおり平成24年度に教員であったとしても特定の行為ができるようになったのですけれども、下の「一方」というところで、学齢期の医療的ケア児の増加ですとか、特別支援学校だけではなく小中学校への通学、人工呼吸器の管理など特定行為以外の医療的ケア児への対応といった取り巻く環境が変化してきたので、おおむね5年たったということで、平成29年度に医療関係者、看護師、あとは学校関係者などから成る検討会議を設けて、これまでは特別支援学校を中心に議論してきましたが、今回は特別支援学校だけではなくて、小中学校でもどういう体制とか、どういう考え方のもとでそういった子供を受け入れるかという検討をしてまいりました。
それは平成31年2月に報告がまとまりまして、1番目の教育の場でございますが、そもそも医ケア児の種類とか頻度のみに着目した画一的な対応とか、これまでに事例がないとかではなくて、それぞれ一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが必要だということを言われております。
下のほうをごらんいただきますと、「遠隔教育などICTの効果的な活用による指導時間の増加等も有効」だと。ただ、これはあくまでも補完し、教育の充実につなげるものとして活用すべきでであって、これをもって医ケア児の指導にかえるものではないということでございます。
5ページ目に「学校における医療的ケアに関する基本的な考え方」が示されております。ここでは、まず実施は、教育面、安全面で大きな意義を持ちますということで、医療関係者に対しては医療的ケアとか在宅医療に知見のある医師を学校医としたり、医療的ケア指導医を委嘱したりすることが重要。ここで初めて医療的ケア指導医という言葉を使って、学校医とは違う役割、医療のことも学校のこともわかっている方を医療的ケア指導医として委嘱する。それによって、子供一人一人のニーズに応じた医療的ケアを実施するということで定義した言葉でございます。
「(3)保護者との関係」でございますが、「保護者の付添いについては、本人の自立を促す観点からも、真に必要と考えられる場合に限るよう努めるべき」と。真に必要と考えられるべきというのは、子供が就学時に、学校が子供の状況がわからない、または医ケアの手技の頻度がわからない、そういったものをある程度把握されるまでの期間について真に必要と考えられる場合を前提として言っております。
「3.教育委員会における管理体制の在り方」でございますが、さはさりながら学校は教育機関であって、医療とか福祉のことについてなかなか知見がないので、そういった部分では、やはり福祉とか医療等の関係者、保護者の代表者などで構成される医療的ケアの運営協議会の設置が必要だということがここでは言われております。
4番目でございますが、教育委員会がそういった運営協議会をつくったら、学校は学校で医療的ケア安全委員会を設置するなど、校長の管理のもと関係者の方と連携し、体制を構築することが必要だということを指摘されております。関係者というのは先ほど申し上げました福祉、医療関係者のことでございます。
6ページ目は、特定行為以外の医療的ケアを実施する場合の留意事項として、4行目に各学校において対応のあり方を検討するとなっているのですけれども、これは平成23年通知の変更となっておりまして、平成23年通知では、対応のあり方について慎重に検討ということで、必ずしも受け入れが前提ではなかったので、そういった要らない言葉を排除して、対応のあり方を検討する。要は、対応することが前提の表現ぶりに改めたというのがこちらの通知の変更の意味でございます。
右側の「8.研修機会の提供」ということでございますが、これは必ずしも学校関係者だけではなくて、学校に配置された看護師さんも孤立感ですとか、そもそも学校関係者と自分らの意識が違うということで、どのように対応していいかがわからないということなので、そういった意味では、看護師の看護研修、または看護師と学校関係者をまぜた異職種の研修機会を設けたほうがいいのではないかということで、2番目で「国は、各自治体の参考となるような情報提供や実技演習、実践報告等を含めた研修の企画・実施に努めることが重要」と指摘されましたので、本年度12月に第1回目の看護師とか教育委員会の指導主事を対象とした研修を予定しているところでございます。
「9.校外における医療的ケア」ということで書かれておりますが、これは泊を伴う行事については、学校で常時配置している看護師だけですと、勤務時間の関係から超過してなかなか対応できないということなので、そうした部分では「勤務時間等も考慮した人員確保とともに、緊急の事態に備え、医療機関等との連携協力体制の構築も必要」ということを言われていて、実質的に医療的ケアの必要な子であったとしても、きちんと行事に参加できるように考えるべきということが指摘されたところでございます。
「10.災害時の対応」は、先日の台風とか昨年の北海道のブラックアウトでもございましたが、きちんと電源の確保や日ごろからの点検を行うとともに、停電時の対応を保護者と学校関係者で事前に確認する必要があるということが言われております。
次のページでございますが、これは文部科学省が医ケア児のための看護師配置を進めているところということで、各都道府県には3分の1の補助金ですが、これは裏負担がありまして、基本的に自治体に持ち出しさせようとなっていて、右下に「予算積算上の看護師の数」となっておりますが、これは平成24年度から始めまして、当時は335人だったのを毎年ふやしまして、近年であれば大体300人ずつで、本年度は1,800人ですが、来年度の概算要求では2,247人。47という数字は、先ほどの報告書を後から読み返していただければいいのですけれども、この中では指導的立場の看護師が必要だと言われているので、そういった方を雇用できるような数字で、各都道府県に1人ということで47という数字が出てきております。
最後のページですが、人工呼吸器の管理とか特定行為以外の医ケアを必要とする子供のあり方について研究していただいておりますので、平成29年度から平成31年度、本年度までの事業ですので、この事業が終わりましたら、きちんとした基本的な考え方などを取りまとめて、その他の地域に普及していきたいと思っております。
資料がないのですが、先ほど三好参考人のほうから病気療養児に対する支援ということでお話がありました。先ほどの三好参考人の資料にもありますとおり、現状の学校で行われている支援は、基本的には特別支援学校に籍を変えるか、小中学校の院内学級または訪問教育により支援を受けているところでございます。
また、文部科学省では、平成28年度から平成30年度まで「入院児童生徒等への教育保障体制整備事業」ということで、これは主に小中学校に在籍する子供の病気療養児を対象にする支援を行ってきました。
一方で、平成30年の厚労省が主催するがん対策基本計画の中で、高校生に対する支援が不十分ではないかということ、これまで我々が行ってきた整備体制事業であったとしても、高校生についてはなかなか数字が把握できないということもございますので、本年度から高等学校段階における入院生徒に特化した教育保障体制整備事業を行っているところでございます。
また、病気療養につきましては、今はさまざまな手術とかがありますので、必ずしも回復だけではなくて、手術が終われば2~3日で家に帰れる。さはさりながら感染症でそういった集団の場には行けないということなので、そういった分ではOriHimeとかKUBIという道具を使いまして遠隔教育ができないかということで、平成27年4月には学校教育法の施行規則の改正によって、高等学校では一定条件のもと、通信課程に準じた特別認可課程を編成したり、遠隔教育、オンデマンド型の授業による単位認定をできるようにしたところでございます。
当時、単位認定したときには、全部で卒業まで74単位が必要なのですが、36単位までしか認めないという話がございました。一方で、柴山前大臣のときに、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」ということで、高等学校段階において遠隔教育の要件を緩和できないかという指摘がございましたので、例えば今要件になっている受信側の教員の配置ですとか、単位取得数の制限に係る要件を外すことなどについて本年度中に検討し、来年度にもうちょっと緩和した形で遠隔教育が提供できないかということで考えているところでございます。
以上でございます。
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、厚生労働省及び文部科学省から御説明いただきましたので、それに関して御質問があればお願いいたします。また、御意見については、この後、自立支援事業における議論においてお願いいたします。
御質問をお願いいたします。
○本間構成員 あせび会の本間と申します。きょうはありがとうございます。
文科省の濱谷さんに伺いたいのですが、医療的ケア児童は合計で9,000人ぐらいですか。これは、小慢の対象になっている患者さんとどのぐらいダブりがあるかはわかりますか。わかったらアバウトでもいいのですが、教えてください。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 小児慢性特定疾患のダブりについては把握していないです。
○本間構成員 どんな病気が多いかはわかりますか。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 この集計は3ページにあるとおり特定行為で、胃ろうといった行為別でのものなので、病気ではとっていないので、把握していないです。
○小国座長 ほかには、御質問はありますでしょうか。
お願いいたします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
障害福祉課に医療的ケア児支援専門官を置かれたということは非常に画期的だと思います。しかし、この「児」という字がつくと、どうしても18歳で支援が途切れてしまうのではないかと思ったりもするのですけれども、その辺はどうなのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○小国座長 お願いいたします。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 御質問ありがとうございます。
医療的ケア児の方の分布を見てみますと、比較的幼少の方が多いということで、今政策を進めるところですけれども、この方たちも当然成長していくわけですし、あるいは障害の中でも施設入所している方は児者一貫ということで取り組みを進めているところですので、当然「児」の先には「者」があるということで検討を進めていくと認識しております。
○小国座長 お願いします。
○江口構成員 北里大学の江口と申します。御説明ありがとうございました。
文部科学省の方にお尋ねしたいです。私が聞き漏らしたかもしれませんが、小学校、中学校にOriHimeのようなものを置いて、終日ライブ授業みたいなものをすることは、今、制度上は可能なのでしょうか。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 平成30年に小中学校でもそういった授業を指導要録上出席扱いとできるようにしましたので、今は可能です。
○江口構成員 どの学校でも、医ケア児が発生したら、その校区の学校で対応いただけるという感じなのですか。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 遠隔教育の話は、基本的に医ケア児というよりも病気療養児に対してです。
○江口構成員 そうすると、学校の制限は、どの学校でも希望すればという形ですか。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 従前であると、病気療養児は特別支援学校に籍を移さなければ支援が得られないということがございました。他方で、先ほど簡単に御説明した平成28年度からの小中学校を主に対象とした教育保障体制整備事業ですとか、今行っている方向では、必ずしも籍を移さなくても支援ができないかということも含めて検討していただいているところでございます。
○江口構成員 わかりました。検討中ということですね。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 そうです。
○江口構成員 わかりました。
そうすると、先ほどの三好さんのやられている取り組みとの連携ということも出てきますよね。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 それは各自治体の状況によっても、拠点病院とかは院内学級の置き方も違いますので、それは地域に合ったやり方を模索していただくしかないのかなと考えております。
○江口構成員 わかりました。ありがとうございます。
○小国座長 ほかにございますでしょうか。
お願いします。
○中田構成員 長崎県の福祉保健部長の中田と申します。
厚労省の資料にあります10ページ目の医療的ケア児等コーディネーターの養成の件でございますが、これの位置づけをどう考えていくのかというのは御意見をいただきたいなと思いまして、私が長崎県で経験したものの範囲でしかわからないのですけれども、長崎県でもこの養成はやっておりまして、受講している方がいらっしゃるのですけれども、その受講した方が何をやっているのですかというと、実は余り携わっていない。
「なぜ携わらないのですか」と言われると、「そういう調整の場に呼ばれないのです」と言われます。「何で呼ばれないのですか」と聞くと、恐らくこれは私の理解なのですけれども、医療的ケア児の方が在宅に退院するときに、実質的に医療的ケア児を見てこられた方は病院の医療関係者であり、退院支援部門ですし、でも、それを受けるほうについては在宅の主治医であり、訪問看護ステーションが受けに来ますので、まさに実務をやっている人が調整をこれまでやってきた中で、その人たちにこのプログラムを受けて基礎知識を持ってもらってレベルアップするという意味ならわかるのですけれども、そこに何も関与しないだろうコーディネーターがぽんと入ってきたときに、実際にどこまでアドバイスしたり調整できるのかというと、なかなかイメージがしづらいところがあります。
これは、知識をつけることと計画をつくってコーディネートするという2つの目的があると書いてありますが、個人的には、前者の部分をスキルアップするのであれば非常に有効だなと思うのですけれども、後者の部分をどういうふうに位置づけていったらいいのかなというのが現場としては一つの課題としてありまして、その点について御見解がもしあればお伺いしたいなというのが1点ございます。
2点目は、細かいところで恐縮ですが、18ページ目に来年度の予算事業とかが書いてありまして、最後の災害が起こった際の情報共有サービスということで、これは非常に大事な事業だなと思っておりますが、来年は5,000万円の要求ということで、具体的にどういうシステムをつくって共有しようとしているのか。
その2点を教えていただければと思います。
○小国座長 お願いいたします。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 御質問ありがとうございます。
まず、最初のコーディネーターの役割というところになりますけれども、実際にコーディネーターのプログラムをつくって養成を始めてとスタートしたところではあるのですが、今御指摘いただいたように、その役割をどんなふうに位置づけるかというところは、恐らく都道府県でも迷いながらやっているところで、私どもも必ずこうでなければいけないということをお示ししているわけではありませんので、それぞれの自治体でどういう役割を担ってもらうのかというところも含めて御検討をいただきたいなと思っています。
医療的ケア児等コーディネーターといったときに、例えば相談支援専門員の方だと福祉的背景の方が多かったり、そうは言っても医療的ケアは医療的な知識も必要ということで、そもそもどういう方に担っていただくのかというところも非常に混乱があるという御意見も伺っております。もしかしたら福祉の知識と医療の知識で2人いたほうがいいのかもしれませんけれども、そこをしっかりつけていただいた上で、さらにコーディネートもできるということで、求めているものは非常に高度なものなのかなと思いますので、簡単に育成できるものとは思っておりませんが、まだ発展途上であるというところでありますので、役割も含めて今後進めていきたいなと思います。
もう一点の医療的ケア児の医療情報共有サービスというものですけれども、こちらは数年前からICTを使って、情報共有のサービスを構築するということを進めておりまして、今年度から少し実装的な形が提供できるように既に進めているところです。具体的には、少しアナログな部分もあるのですけれども、例えば親御さんにそのデータを入力していただいて、その情報を旅先で何かあったときに医療機関の先生に画面を開いて見ていただくということが、一つの情報基盤の中でできるような仕組みを現在構築しているところになります。
○小国座長 その情報というのは、医ケアの当該患者様の情報というか、どういう病児でという意味ですか。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官
少なくとも医療サイドにとってはこういう情報が必要だねというところの項目を共通化させていただいて、その情報を入れて、医療機関で見られるようにするというものになっています。
○小国座長 わかりました。
ほかにはどうでしょうか。
森さん、お願いします。
○森構成員 日本難病・疾病団体協議会の森と申します。よろしくお願いいたします。
今、私たち患者団体のほうでも、病気を持ちながら普通学級にもなかなか受け入れてもらえない、特別支援学校はとても遠くてなかなか通えないといった悲痛な親御さんの声を聞くことがあります。こういった相談ですと、患児を抱えながらも毎日が精いっぱいで言葉にもならず、相談すらできないと訴えておられます。医療的ケア児の総合支援が仕組みとしてはありますけれども、こういったニーズをどこが掘り起こしていくことができるのかというところを教えていただきたいです。
私たちのところでも、ピアサポーターの養成とか患者団体のほうでもやっておりまして、特別支援学校の先生と協力し合いながら、ピアサポーターが高校受験のお子さんのときとか、院内学級のない病院の学習支援に入っておられるグループの方などもいらっしゃるのですけれども、きょうお話しいただきました三好さんのところなども、学習支援というのは病気自体をどのようにお子さんが受け入れて、これから先どんなふうに生きていったらいいのかというところに非常にかかわってきますし、学習の空白があるとその期間にどうしても学ばないといけないといった、ただ単に勉強というだけではなくて、多くのことを取り残してしまうと将来に影響が出てくることも大変多くあります。
三好さんのところのような、支援員がピアとなって寄り添っていくといったところから、本当の気持ちを聞き出して、それに支援ができるというピアの存在はとても大きいと思いますし、支援員がピアであることで身近なモデルとなって、そのことで将来的な希望も生まれるかと思いますので、こういったところも今の制度の中に組み入れて、患者団体もそうなのですけれども、ボランティアで活動資金を得ながら、その活動も行いながら本来の目指すところをずっと続けていくということはとても難しいですので、ぜひピアとして、支援員としての就労にもつながるような仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。
また、本日のように難病対策課を初め、障害福祉課、文部科学省と一緒になって協議する場というのはとても重要だと思いますので、ぜひ今後ともこのような形での協議をお願いしたいと思います。
○小国座長 ありがとうございます。
ピアサポートについて、どういうふうにお考えになっているかという現状と、これからの展望についてお話しいただけますでしょうか。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 文部科学省です。
ピアサポートですけれども、先ほど疾病のある子供はなかなか小中学校に通えない、特別支援学校は遠いという話がありましたが、そういったことがある現状を踏まえて、文部科学省の資料の4ページ目のグラフの下のほうのポツに、就学先の決定については、個々の児童生徒について障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見といったものを踏まえて、総合的な観点から就学先を決定する仕組みへと、平成25年度に法令改正をしているということと、「教育の場」の決定には、教育委員会が主体となり、早期からの教育相談と丁寧な合意形成のプロセスが必要ということをあえてここで繰り返し述べているところでございます。
他方で、先ほど小中学校に通っている医ケア児が800名程度いるという話があったのですけれども、そういった子供を受け入れるような自治体の風土ができているかどうかで、なかなか受け入れていないこともございます。ですから、結局受け入れたはいいけれども、なかなか支援ができないと、その子の教育的な効果があるかないかということも含めて、基本的に総合的な決定をする場合には、お医者さんとかいろいろな方がいる中で決定しておりますので、さはさりながら、もし森さんがこういった観点から小中学校に希望するのであればということで再々度申し出てもいいのでしょうし、どうしても納得できなければ不服申し立てということもできますので、そういったことを繰り返しながら、いずれにしても納得できていないからこそ今のような話があるのでしょうから、きちんと納得できるように就学先を決定する教育委員会には説明していただく必要性があるのかなと。
その上でのピアサポートだったりボランティアとか、先ほど小中学校に医ケア児を入れているような学校であれば、看護師さんが1人の生徒に2人ついているのですけれども、プラスで地域のボランティアの方も学校に入ったりしています。ですから、そこら辺は地域で子供を育てるという考え方のもとにやっているのかとか、きめ細やかな支援を行うためには特別な場のほうがいいのかということとか、教育委員会の考え方とか、あとは受け入れたときの他の保護者の理解とかがありますので、総合的に検討する必要があるのかなと思っております。
○小国座長 恐らく森構成員のお話は、ピアサポートに対してどのような国のサポートができるのかという話なのではないだろうかと思うのですけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。金銭的なことです。
○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長補佐 何をもってピアサポートにこだわるのかが私はわからないのですけれども、そもそも就学先がどうなのかということと、それによってどういう支援ができるのかということがまず前提であるのだと思います。それに補足してのピアサポートという話であって、そもそも学校は教育機関として、特別支援学校であれば6人に1人の教員とか、特別支援学級であれば8人の1人の教員といった、場によってきめ細やかな教員の手当てもありますので、我々としては我々の制度のもとでまずは考えていただくというのが前提ですので、それとピアサポートというのが今すぐにはくっつくものではないという考え方です。
○小国座長 わかりました。
厚労省のほうではどうなのでしょうか。
今、三好参考人のお話の中で、ピアサポートはNPO法人では恐らくお金が出るのですか。
○三好参考人 法人としてスタッフを雇用しているので、必ずしもピアサポーターという形での雇用というわけでもないのですが、実際に我々のスタッフの中には、幼少期から疾患を抱えながら過ごして二十を超えた人たちが多くいる。それがポケットサポートの一番のポイントなのかなというふうにも多分思ってくださっているのかなと思っていて、だからお子さんや御家族も安心して、我々のサービスというかサポートを使っていただいているのかなと思います。
学校教育との連携に関しても、ほかのNPOが学校に入って遠隔教育の補助をするというのはすごくハードルがあったところで、岡山県の教育委員会の特別支援教育課が長期療養児の相談サポート窓口というものを立ち上げてくださったことで、県の教育委員会の名前というか、それがバックにあるので教育現場にも入りやすくなった。学校の先生方とはピアですという話はしないのですが、お子さんたちとか御家族に対しては、実は自分たちもそうであって、我々のスタッフもそういう人たちが多いから、これは大事だと思ってやっていますということはお伝えするようにしているところです。
○小国座長 ありがとうございました。
厚労省のほうからは、お話はありますでしょうか。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 経済的な支援というところですよね。
○小国座長 はい。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 医療的ケア児については、先ほど御紹介させていただいた総合支援事業というものがございますので、その事業としてどういうふうにやるかという工夫は必要かと思いますが、その必要性があれば自治体で検討していただくことは可能だと思います。
○小国座長 ありがとうございました。
時間にもなりましたので、次に移させていただきたいと思います。
次の議題、「具体的な論点の検討について」ということに入ります。
それでは、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○領五難病対策課長補佐 それでは、資料3をお開きいただきまして、事務局から、こちらの資料に沿って御説明をさせていただきます。
「これまでに示された意見と具体的な論点」ということで、前回もお配りさせていただきました、合同委員会で示された論点等をまとめた資料に、前回のワーキンググループで頂戴した御意見を事務局でまとめさせていただき、追記をさせていただいております。
まず「療養生活の環境整備について」ということでございまして、「難病相談支援センターについて」という項目でございますが、3ページ目、4ページ目が前回のワーキンググループでお配りした資料そのままのものでございます。
その後、5ページ目といたしまして、前回のワーキンググループで頂戴しました御意見、また、ヒアリングの内容等も一部まとめさせていただく形で青い四角の箱の中に入れさせていただいております。
難病相談支援センターに関する御意見としましては、前回長崎県の取組について御紹介をいただきました。地域の地理的な特性等もある中での相談としては、やはり電話での相談になることが多いといったことや、今後は巡回相談も含めて検討していく必要があるだろうという御紹介がございました。
また、ピアサポーターに関する御意見がございまして、課題としては、人員不足の問題、体調面の配慮等々の考慮しなければならない課題があるだろうということ。先ほどもございましたが、人件費などの手当てについてどう考えるかという御意見がございました。
就労支援については、難病相談支援センターも関わる形で取組が行われているけれども、身近な市町村との連携というものもあった方がいいのではないかといった御意見、また、センター同士の情報の共有や交流を図るためとして、全国難病センターの設置を求めたいといった御意見がございました。
箱の下に薄い緑色といいましょうか、※書きで「引き続き」として、事務局のほうから合同委員会で示された論点と前回の御意見を照らし合わせまして、今回のワーキンググループ以降で議論を進めていただきたい点ということで、御参考までに入れさせていただいております。
難病患者につきましては、ニーズですとか、地域の支援の資源が様々であることを踏まえまして、センターが地域の関係機関と連携して支援していくために必要な事項、また、均てん化とか底上げのために必要な事項、そして、相談機能の充実のために必要な事項等について、より具体的に御意見をいただければ有り難いと考えております。
6ページ目以降につきましては、5月15日の合同委員会でもお配りした資料を中心に関係する資料を入れさせていただいております。
6ページ目は、現在ある地域における支援の資源のイメージということでございまして、各機関の役割と関係について図示したものでございます。難病の関係機関としましては、難病相談支援センター、保健所、難病対策地域協議会等々がございますけれども、そこが中心となって、各サービスにどのようにつないでいくかということが大事だろうということで、この辺りについて御意見をいただければと考えております。
7ページ目につきましては、関連する現在の取組ということで、センターの相談支援員に対する研修に関する資料でございます。
8ページ目は、センター間のネットワークに関する運営支援の取組の御紹介の資料となっております。
9ページ目以降は、地域協議会についてということでございまして、前回と同じ資料でございます。
10ページ目に前回頂戴しました御意見を載せさせていただいております。地域協議会につきましては、年に1回の開催となっている自治体が多いことが残念だというお声もあったのですが、新宿区の取組を前回御紹介いただきましたけれども、実務レベルでの会議等で補っているという御紹介がございまして、こういう形もあるのではないかという御意見がございました。また、委員の選定についての御紹介もございましたので入れさせていただいております。
今後、地域協議会の活用方法や構成、役割について、引き続き御議論いただきたいということと、未設置の自治体もございますので、こういった自治体に対する対応についても御議論いただければと考えております。
11ページ目は、難病対策地域協議会に関するあり方のイメージの図ということで、支援の体制ということで入れさせていただいております。先ほど出てまいりました難病相談支援センターが窓口機能ということを果たしていくのだろうと思いますので、そこで把握した課題や成功例についてインプットをしつつ、地域の関係者が顔を合わせる形で協議会というところで課題を抽出し、対策を検討し、実施していくような形で描いております。当然保健所からもそこで把握したような課題等の提供もあり得ると考えております。
12ページ目以降は「福祉支援について」ということでございます。
14ページ目に前回頂戴した意見を入れさせていただいております。福祉支援については、周知に関する御意見がございました。「難病が支援の対象になっていることを認識しにくいということがあるが」ということで、前回、障害保健福祉部のほうからも言及がございましたが、障害福祉サービスについて対象疾患が追加される際のリーフレットで、「難病」という言葉を使った形での周知というのがわかりやすいという御指摘がございました。こうした取組について、他の法律に基づくものについても、「難病」と明示してはどうかという御意見がございました。
また、難病患者を全ての障害者の施策の対象として欲しい、難病患者のニーズに合う福祉サービスが必要である、従来の障害では捉えられないような、新たな障害の認定が必要ではないかといった御意見がございました。
引き続き患者側・支援者側双方に対する周知方法ですとか、必要な支援につなげるための方策について具体的に御議論いただければと考えております。
15ページ目以降は「就労支援について」でございます。
ページを飛ばしまして、18ページ目に前回頂戴しました御意見をまとめさせていただいております。
簡単に御紹介しますと、長崎県の取組を紹介いただく中で、就労支援に関する相談のニーズが高いという御指摘がございました。さまざまなセミナーですとか相談会について、かなり取組をしていただいているということの御紹介がございました。
3つ目の○でございますけれども、ハローワークの難病患者就職サポーターや障害者就業・生活支援センター、いわゆるナカポツセンター等の地域の就労支援機関において、医療情報などの働く上での配慮事項に関する把握が難しい場合があるという御指摘がございました。また、患者さん御自身が自分の症状を説明できていないこともあるという御指摘もございました。
新規就労と就労の継続については、区別して議論したほうがよいのではないかという御指摘もございました。
19ページ目、引き続き就労支援についてでございますけれども、適切なマッチングのためには、やはりハローワークや難病患者就職サポーターの活動が重要になってくるのではないかという御意見。既存のさまざまな助成金制度等について、まだ周知がされていない状況ではないかという御意見。また、法定雇用率に関する御意見等がございました。
引き続きということでございますが、患者さん御自身がどのように説明をしていくことができるのかといった御意見が前回かなりございましたので、そのような取組について、また、医療費助成の対象にならない患者さんに必要な支援が行き届くようにするための方策などについて、引き続き具体的に御議論いただければと考えております。
20ページ目、21ページ目は、難病に関する情報の共有といいますか、患者さん御自身がなかなか説明しづらいという御指摘もございましたので、現在モデル研究として実施をしております「お役立ちノート」という支援ツールについて御紹介をさせていただく資料でございます。こちらは、5月15日の合同委員会でもお配りした資料ではございますが、医療機関や難病相談支援センターから交付をされるものでございまして、相談内容や症状の変化等の情報を記載し、関係者間で共有していくツールということで、御参考までに御紹介をさせていただきます。
22ページ目、23ページ目は、再掲の資料でございますので、説明は割愛させていただきます。
24ページ目以降は、「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について」ということでございます。前回の御意見につきましては、28ページ目からまとめさせていただいております。
前回の御意見としまして、まず医療費助成の受給者証を持っていなくても、対象疾病であれば事業を使えるようにして欲しいということでございます。
必須事業(相談支援事業)により、相談支援員等がニーズを把握していくことがまずは重要だということで、現在全ての自治体で着実に実施が進んできているということでございます。
相談支援事業を進めていく上で重要なことは、窓口があるということの周知とか、ニーズの把握であろうという御指摘がございました。
4つ目の○でございますけれども、任意事業の展開という点に関する御意見でございます。いまだにいずれかの事業を実施している都道府県等は半分程度にとどまっているという実態がございますので、その辺についてどのように改善を図っていくかということで、自治体の実施していない理由としては、実施方法がわからないとか、ニーズがない、予算がない、委託先がない等があるわけでございますけれども、これらを踏まえて、実施主体に対して具体的な支援を進めていく必要があるのではないかといった御意見がございました。
具体的な中身としては、学習支援、家族支援、きょうだい支援については重要であり、必須事業として位置づけて強化するようなことも考える必要があるのではないかといった御意見もございました。
お子さんの場合、発達段階に応じてニーズが変わってくるといったこともございますので、そうしたニーズを把握する体制が必要であろうという御意見がございました。
29ページ目でございます。NPOの活用ということで、得意な分野を限定して委託することが効果的ではないかという御意見や、
難病同様、小児慢性特定疾病の場合も地域協議会というものがスキームとしてはございますが、設置率がいまだ5割だということも踏まえてどう考えるかということ、医療的ケア児や障害児に関する協議会などと連携、共同開催をしていくことが意味あることなのではないかといった御意見もございました。
また、周知に関する御意見や、医療、福祉、教育、就労等の継続支援が重要ではないかといった御意見がございました。
本日、説明がございましたけれども、医療的ケア児に関する支援に関する相談が多いという御意見がございました。
引き続き御議論をお願いしたい点でございますけれども、特に任意事業を促進するための方策等について、具体的にどのようにしていけばいいのかといったことについて御意見を頂戴できればと考えております。
30ページ目は、地域の支援のあり方、関係する機関について図示したものでございます。
最後の31ページ目でございますけれども、こちらは御参考までにお配りをさせていただいているものでございますが、これは全数ではないのですけれども、小児慢性特定疾病の患者と医療的ケア児、障害福祉サービスの対象者の重複の関係について、御参考までにこういった重複関係にあるというイメージとしてお配りをさせていただいております。
母数は、小児慢性特定疾病の患者の場合、医療受給者証をお持ちの方が11万強ぐらいおりまして、医療的ケア児のほうは本日の説明ですと2万人ぐらいということでございますので、大きさという意味ではあくまでもイメージということになりますが、やはり3者の重複するところが一定数あるということと、重複しないオレンジの部分に該当するお子さんもいらっしゃるということでございますので、こうした関係性も御参考にしていただきながら御議論いただければと考えております。
事務局からは以上です。
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、事務局の資料の内容を踏まえて議論に入りたいと思います。
議論においては、大きく難病にかかわる議論と小児慢性特定疾病にかかわる議論に分けて行いたいと思います。
まずは、主に難病にかかわる議論として、資料3のうち1の療養生活の環境整備、2の福祉支援、3の就労支援について、前回のワーキンググループでの主な御意見や事務局から御議論いただきたいとして示された点なども踏まえつつ、御議論をお願いいたします。
城構成員、よろしくお願いします。
○城構成員 滋賀県社会就労事業振興センターの城です。
まず、難病相談支援センターについてなのですけれども、窓口としてとても大切な機関であるのですが、全県で1つしか設置されていないということで、もちろん全体の底上げということは必要なことなのでしょうけれども、難病相談支援センターの方自身もスーパーマンにはなれないでしょうし、実際に難病の方が暮らす、働くという地域とどう連携をとっていくのかということが一つの大事な機能なのかなと思っています。
その中で、障害者自立支援協議会という組織が各圏域にありますので、難病相談支援センター自身が障害者の自立支援協議会のほうにどう参画していくのかということと、今の参画状況などももしわかれば教えていただきたいなと思っております。
就労に関してなのですけれども、お手元のほうに置いていただいていますピンクの冊子の261ページになるのですが、これも地域との連携というところになるのでしょうけれども、挙げていただいていますとおり、なかぽつセンターとか職業センターとか、労働施策との連携というのがなかなか進んでいないという状況で、特になかぽつセンターとの連携で、新規就労のときはまだ81%ですし、継続就労ですと92%で連携できていないような状況も含めてありますので、ここもどう連携していくのかというところですごくキーになってくるのかなと思っています。
恐らく各圏域には、自立支援協議会の中の就労部会というものがあって、なかぽつセンター自身が中心になって動いている部分もあると思いますので、そういうところとの難病相談支援センターとの連携をどう図っていくのかというところと、実際のなかぽつセンター自身も非常に相談件数もふえておりまして、動きにくいという部分もあったりするとは思うのですけれども、きょうはアキバさんにもお越しいただいていますので、労働サイドとしても施策等を御検討のものがありましたらお聞かせいただきたいなと思っております。
以上です。
○小国座長 ありがとうございました。
最初の難病相談支援センターと、自立支援に対して参画していくというところをどういうふうにしていくのか、それについてどう考えているのかということに対しましては、どなたがよろしいでしょうか。御回答いただける方はいらっしゃいますでしょうか。難病支援センターと自立支援事業との連携というところだと思います。
お願いいたします。
○城構成員 自立支援協議会の参画状況というのは、今の段階ではわからないのかもしれません。
○障害福祉課障害児・発達障害者支援室専門官 自立支援協議会自体は障害福祉部の所掌だと思います。そこの連携状況について、今すぐにお答えできなくて申しわけございません。
○小国座長 2番目はどなたにとおっしゃっていましたでしようか。
○城構成員 障対課のほうに、もしも施策等がありましたらお教えいただければと思います。
○小国座長 では、お願いいたします。
○障害者雇用対策課地域就労支援室長補佐 障害者雇用対策課地域就労支援室の秋場と申します。
難病の支援に当たって、なかぽつセンターとか障害者職業センターがどうかかわっていくか、どういうふうに難病相談支援センターと連携していくかですけれども、ナカポツセンターと職業センターは何かの障害に特化したセンターではなく、3障害プラスその他の障害の方ということで、手帳をお持ちであれば、精神、身体、知的のカテゴリーとして、また、手帳をお持ちでない難病の方で障害者に該当する方については、その他障害者として対応しています。
両者とも専門性の高い機関であり、障害者支援を行っている機関でありますので、どちらかというと難病だけを抱えていらっしゃる方というよりは、例えば難病プラスほかの障害、精神疾患とか発達障害であったり、知的障害を抱えているといった方が主な対象になるのではないかなと思うのですけれども、そういった方の支援ニーズがあれば、ぜひ相談支援センターやハローワークの方から送り込んでいただいて、支援をしていけたらいいなと思っています。
○小国座長 これからも御依頼があればというところのようです。
ほかにはいかがでしょうか。
横内構成員、お願いいたします。
○横内構成員 千葉県で難病相談支援センターをやっております、千葉大学病院の横内と申します。
私のほうからは、前回のワーキンググループで全国難病相談支援センターの設置というお話があったかと思うのですけれども、ちょうど事務局さんから提出いただいた資料の7ページ目に、日本難病・疾病団体協議会の全国難病センター研究会研究大会というのが年2回開かれておりまして、そこでは各地の取り組みが発表されて、内容が共有されているという場になっています。我々も運営に当たって非常に参考にさせていただいている会なのですけれども、この会を発展させていくことで、全国センターのかわりになっていくこともあり得るかなと考えています。
ただ、研修とか会議ということであれば業務の扱いになるのですけれども、実は学会みたいな扱いになっているので、参加は任意なところがあるのです。なので、もし業務ということで認められるようになると、より発展をした形で運営できるのではないかと考えています。
もう一点なのですけれども、千葉県では、難病相談支援センターに社会保険労務士を配置して、就労継続支援に取り組んでいます。特に千葉大学病院は特定機能病院でもあって、急性期の病院ですので、診断がついたり、病状が大きく変わる瞬間に立ち会うような場所であります。その瞬間が一番退職リスクというものが大きくなる瞬間であって、そこで適切なサポートをすることが就労継続に生きるだろうと考えています。
就労継続支援では、急性期病院でどう患者さんのニーズをキャッチして支援につなげていくかというのが大事になってきていて、そういうニーズのキャッチという点では病院の役割は非常に大きいかなと考えています。
院内に関しては、比較的周知も進むのですけれども、ほかの病院だと、こういう相談窓口がありますよみたいなことをなかなか伝えることができずに、そこが一つの課題かなと感じています。特に就労継続の支援においては、職場と主治医との情報のやりとりが非常に重要になると思うのですけれども、職場復帰の合理的配慮を議論していく上で、医療情報が非常にベースになると思うのだが、職場と医療の距離が遠くて、このやりとりが非常に難しいという現状があります。
個別ケースでは、主治医と産業医との間で診療情報提供書のやりとりをするような形でうまくいった例があったのですけれども、それは非常にまれで、情報のやりとりが難しい。医学的な配慮事項というものを持って直接職場に行って、調整を図れるといいのだけれども、病院にいるとそこまでは対応ができなくて、その役割を担える人がいないのが現状かなと思っています。社会保険労務士みたいな法律職も支援の枠に入れていくということで、対応の幅も広がるかなとは思うので、もし今後そういった法律職の活用というのもあるといいかなと考えています。
○小国座長 ありがとうございました。貴重な御意見でした。
それでは、ほかにはございますでしょうか。
よろしくお願いします。
○江口構成員 北里大学の江口でございます。
今の横内さんの話にもちょっと付随するのですけれども、難病の拠点病院の就労に関するインセンティブをつけられないのかなというところがあって、実感としては、今、がんのほうは病院単位で、がんの相談窓口を中心に就労支援をうまくやっているようなイメージがあって、ただ、院内で主治医に就労に関心を持ってもらうという部分で、例えば拠点病院の要件に就労に対する取り組みをやっていることを入れていただくというところがあると思います。
あとは、先ほど横内さんが言われた現場に出ていく部分については、産業保健総合支援センターが現場に出ていく機能を持っていますので、それぞれの地域の病院と協定を結んでやるということもやられていますので、そういったところとの連携もしていけるといいのかなと思います。医療に近いところに相談センターがあると、より情報のやりとりもスムーズかなと思う反面、拠点病院が県内に複数ある中で、そこをどうするのかというところは課題かなと思いますが、医療に近いところでの情報のやりとりは非常にスムーズかなと思います。
○小国座長 ありがとうございました。
横内構成員の中で、お役立ちノートというのは全く使われていないのでしょうか。
○横内構成員 これから使っていきたいです。
○田中難病対策課長補佐 今、モデル事業で研究を行っているところでございまして、決まった地域でのみやっているところでございます。その結果をもって、さらなる横展開を考えてまいりたいと思っています。
○小国座長 ありがとうございます。
ほかには、御意見はありますでしょうか。
森構成員、お願いします。
○森構成員 日本難病・疾病団体協議会です。
今の全国難病センターのことですけれども、私どもの事業として行っているのは、厚生労働省の補助金事業のサポート事業の一部補助を使いまして設置されている、全国難病センター研究会というところがあり、そちらへの補助を行って開催しております。年に2回、さまざまな患者団体であるとか難病相談支援センター、いろいろな機関の方々が日ごろの活動を発表していただいたり、課題を出していただいたりとしています。
発表者が非常に多いために、もういっぱいいっぱいの発表で、なかなか質疑応答の時間までとれないぐらいの状況でありますし、いろいろなサポートの医療機器などの展示などもいたしておりまして、非常に盛会ですけれども、日ごろの運営費等々もままならず、こちらもセンター研究大会を開くだけで精いっぱいといった状況があります。
今度、32回のセンター研究大会は北九州のほうで、ことしは10月18日、10月19日に行います。33回は2月1日、2月2日に新宿文化クイントビルのほうで開催する予定となっているのですが、これらの研究大会といったものだけではなく、私たちが求めておりますのは、日ごろから難病相談支援センターは多くの患者さんたち、御家族の多くのいろいろな相談を受けておられ、課題がいっぱい上がってくると思いますので、これらの課題がこのような場に整理されて上ってこないというところも残念に思いますので、ぜひそれらを取りまとめ、それぞれのところで相談支援が困難なところも相談できるようなイメージでの全国の難病センターが欲しいなと思います。
また、これらが患者団体等の支援にもなるということも望みますし、先ほどのピアサポーター等の養成、難病相談支援員の養成なども、いろいろなところとかかわり合いながら運営されていくと非常に有効かと思います。
○小国座長 全国難病支援センターで取りまとめられるといいなというところですね。ありがとうございました。
それでは、次のところに行きたいと思いますが、4番の小児慢性特定疾病児童等自立支援事業にかかわる事業に移りたいと思います。こちらからも御議論いただきたいとして示された点などを踏まえつつ、御議論をお願いします。
事務局より、小児慢性特定疾病と他の支援制度との関係について、最後のページなのですけれども、31ページをちょっとごらんになっていただきたいと思います。この図を見ながら、他の支援サービスも利用できる方なのか、あるいは他の支援サービスが利用できない、小慢だけというのはオレンジの部分だけなのですけれども、そういう方たちの議論なのか。これはかなりニーズが異なってくると思いますので、そのあたりを意識しつつ、どちらの支援のものなのかということをお示しになって議論されるといいのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、御議論をお願いいたします。
小倉先生、お願いいたします。
○小倉構成員 成育医療研究センターの小倉です。
今回議論してほしい内容ということで、任意事業を促進するための方策について、周知とも関連してくるのですが、そもそも福祉サービスがあること自体が家族に伝わっていない可能性が高いと思います。
小慢のサービスで医療費の助成については、最初の診断時に医師から説明します。けれども、乳幼児医療費助成制度などで子どもの医療費を自治体がかなり年齢高くまで負担してくれるので、特に小慢事業に登録しなくても医療費負担は大きくならないというところがあって、手続きにかかる手間暇のことを考えて、御家族が断られることのほうが多かったりします。医者側も手続き上、診断書を何通も書かなければいけないということになった場合に、必ずしも積極的に説明しているかというと、そうでもない可能性があります。これは周知の段階での問題と考えています。
そこで、福祉サービスにどういうものがあるのかをしっかり情報提供することができれば、御家族にとってもメリットは大きい。医療費だけではなくて、福祉サービスの利用ができるのだということを知れば、ニーズが出てくる可能性があると思います。今は知らないからニーズが出ない、ニーズがないから事業をしないと悪循環になっているように思います。
ご家族に情報提供するにしても、医療者側はどういう福祉サービスがあるのか知らないという問題もあります。結局、任意事業そのものが余りなされていないし、自治体任せになっているという点で、相談事業がありますよということは伝えられたとしても、福祉事業のそのほかのもの、任意事業で何があるかということが伝えられなければ、相談事業だったら別に利用しなくても病院内のMSWさんに相談すればいいやで終わってしまい、そこからの発展が非常に難しいと思います。
ですので、自治体ごとに提供できるサービスを明確化した上で、小慢の指定医にしっかりと伝えていって、診断時に医療機関から御家族に伝えるようなシステムが必要ではないかなと思います。
先ほど、お話があった31ページの図に示されるオレンジの部分、医療的ケア児の施策や障害者の施策の対象にならない方というのが、三好さんがお話しされたような学習支援が必要な方だったり、きょうだい支援が必要であったりします。なお、きょうだい支援はどのお子さんにもかかわってきますし、医療的ケアとか障害児の方々は命にかかわるような問題がある人も多く、医療とも密接していることから医療機関から情報提供することによって必ず福祉サービスに対してもニーズは出てきます。
前回の議論でも医療的ケア児のニーズが高いという話が出てきたと思うのですけれども、学習に関してはそこをお願いしていいのかしらという御家族の気持ちもあるし、そんなサービスまでしてくれるということに気づかないことのほうが多いと思います。ですので、これは積極的に実施していくべきことだと考えます。長い目で見たときに児童期は、将来の子供たちの社会的自立の上で非常に貴重な時期であって、医療に関わる身体的な面のみならず、認知面や精神面の発達に対してもサービスを十分に提供してあげるべき時期と考えます。ここは自治体の任意ではなくて、義務にしてでもきっちりやってもらいたい部分だと個人的には思っています。福祉サービスの対象ではないと思われがちなグラフのオレンジの部分の方々にも届くようなサービスを明示して、医療機関からその情報を伝えられるようなシステムをつくっていただけると、事業の促進につながると思います。
○小国座長 とても貴重な御意見だと思います。
高橋先生、お願いします。
○高橋(昭)構成員 NPO法人うりずんの高橋です。
今の小倉委員さんからも御指摘があったと思うのですけれども、私は主に医療的ケアが必要なお子さんにかかわらせていただいているので、そちらの観点から。
流れとしては同じような流れになると思うのですが、まず周知については、ほかの制度が使われているということで、特に相談員さんとかコーディネーターさんといった方々にも、小児慢性特定疾病の制度があるのだよということがなかなか周知されていない現状があって、実際ベッドもこれでゲットできるのだよとか、たんの吸引器もこれでいけるのだよということをほぼ御存じないことが現状としてあって、この制度があって助かったなという方々が実際にはいらっしゃいます。特に1歳未満で退院する子たちがふえてきているので、手帳を持たずに帰ってこられると小慢しか使うものがないといった形で非常に助かっているので、ここはぜひ周知をしていただきたいと思っています。
2番目に、先ほど後藤さんのほうからお示しされた医療利用で、二十未満の医療的ケア児がもう2万人近くになってきているのですけれども、そのうち特に人工呼吸器をつけたお子さんがふえていて、2017年現在で3,834人、約20%になっているのです。以前は呼吸器をつけたお子さんはまれな存在で、前例がないとか、そんな子はいるのかと言われていたのですけれども、もうそんなことは言わせないという感じにはなってきているのですが、そういったお子さんが普通に暮らせるための施策がまだまだというのが現状です。
例えば、これを学校の通学とかに看護師さんが入るとか、都道府県によっては学校にも医療的ケアをされる教員がいらっしゃる場合もありますけれども、13自治体の学校の先生は認定特定行為業務従事者をしない方針でやっていらっしゃるので、ここを全部看護師さんに任せようとすると、今、看護師さんも不足しているし、今年度に東京都は送迎のバスに看護師さんを乗っけようとしたけれども、実際に人が足りなくて、お給料を大幅にふやして何とか集めたという現状もあると、奪い合い、取り合いになってしまって、貴重な人材を全て看護師だけに頼っていいのかという問題もあるので、ここは非医療職の方々も一緒にやっていただく。
例えば、産後研修を受けたヘルパーさんとか保育士さん、あるいは三好さんもおっしゃったように教育の立場の方とか、いろいろな方と一緒にやっていくためには、病気を怖がらずに医療者の方がサポートしつつ、非医療者の方でもできることをやっていただくような仕組みがもっと必要なのではないかなと思っています。
3番目に御指摘させていただきたいのは、今の小児慢性特定疾病のお子さんは18歳まで、最高で二十までなのですけれども、二十になったその日にその資格を失うのですが、そこで難病の制度に移行できない子たちもいらっしゃって、そうすると、医療費に関しては重心という制度を使うことが多いのですが、重度障害者の制度は手帳が、どのぐらい異常だとか、歩けないとか、知的障害の異常だとか、いろいろ制限があって、結局御案内いただいた知的障害が余りない歩ける子たちはほぼ使えない。でも、実際に社会的に就労まで行けるかどうかもわからないという子たちが結構いらっしゃるので、ここは小慢以外と言ってはいけない、小慢の拡大的な、皆さん、御議論いただいていると思うのですけれども、二十で切る根拠は何かということも御議論いただければと思っております。
以上です。
○小国座長 ありがとうございました。
1番、2番目は御意見として、これからやっていかなければいけないところだと思いますけれども、3番目はもう一つのグループのディスカッションのほうに入るのでしょうか。
○田中難病対策課長補佐 そうです。ワーキング1というところで、研究・医療のワーキングというものがございまして、医療費助成のトランジションについてもあわせて議論を行っていただいているところでございます。
○小国座長 またその御報告もあると思います。
ほかにはどうですか。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
きょうは、学校と医療的ケアの話が中心でしたので、そちらに特化したお話をさせていただきますけれども、学校に介助員とか看護師を配置する制度がない市町村もまだありますし、制度があっても校外行事とか宿泊の行事には対象外として制度が利用できないケースなど、地域の学校においてはそういった場合は即、親の付き添いが求められるというのが現状であります。
また、医療的ケアがあると、多く制度やサービスの対象外ということで排除されてしまうような現状もあって、こうした観点から学校生活とか医療的ケアなどの関連施策が現に行き届いていない部分について、ぜひ小慢の自立支援事業が補完的にカバーできるような形の柔軟性を持ち合わせていただきたいと思っております。
文科省のほうへのお願いになるわけですけれども、医療的ケアに限った話ではないのですが、学校教育分野においては、例えば教育委員会の指導主事とか学校現場の管理職の方に必要な情報がなかなか伝わっていかないということが多く見られると思っています。現に、現場の対応とか心ない言葉に苦しんでいる家族や子供たちからの相談もいまだに多く受けておりますので、せっかく文科省でいい施策をいろいろやっていただいているなら、正しい情報を迅速に現場へ伝える方策をきちんと考えて、今でもやっていただいているのかもしれませんけれども、さらに深めていただきたいと思います。
最後に、これは難病対策課に対するお願いになるかと思います。先ほど後藤専門官から、行政担当者合同会議が行われているという御紹介をいただきましたが、こうした会議にぜひ小慢の行政担当者がもっと参加できるように働きかけを行っていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中難病対策課長補佐 ありがとうございました。承知しました。
○小国座長 それでは、御議論もまだおありになるかもしれませんけれども、時間が押してしまいましたものですから、これで終わりにしたいと思います。本当にありがとうございました。
とても貴重な御意見が出まして、これが反映できるような状態に持っていけるとすごくいいなと心から思っております。
本日はここまでとしたいと思います。
次回の日程などについて、事務局からお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 次回は、10月31日木曜日14時から開催をさせていただきます。場所などの詳細については、追って構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。なお、机上のファイルにつきましては、次回も配付させていただきますので、お持ち帰りにならないようお願い申し上げます。
本日は、どうもありがとうございました。
○小国座長 本日は以上で終了です。ありがとうございました。