難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ(第1回)議事録

日時

令和元年9月4日(水)13:00~15:30

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13B(13階)

議事録

 
○田中難病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第1回「難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出席状況でございますが、加治構成員より欠席の御連絡をいただいております。
また、本日は参考人として3名の先生方にお越しいただいております。
埼玉労働局ハローワーク浦和 難病患者就職サポーター、薄田たか子様。
国立成育医療研究センター生命倫理研究室室長・小児慢性特定疾病情報室スーパーバイザー、掛江直子様。
国立大学法人愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座教授、檜垣高史様。
以上、3名の先生方に御出席をいただいております。
加えて、オブザーバーとして、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課課長補佐、サイトウ様。
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課課長補佐、伊藤様。
厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室室長補佐、アキバ様にお越しいただいております。
続きまして、宮嵜健康局長より御挨拶を申し上げます。
○宮嵜局長 健康局長の宮嵜でございます。
会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
構成員の皆様におかれましては、日ごろより難病対策及び小児慢性特定疾病対策を初め健康行政全般にわたりまして御支援・御指導を賜っておりますことを厚く御礼申し上げる次第でございます。
さて、難病対策及び小児慢性特定疾病対策につきましては、平成26年に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が成立いたしますとともに、「児童福祉法」が改正され、安定的な財源が確保された医療費助成制度が整備され、対象疾病を大幅に拡大するとともに、調査研究の推進や療養生活環境の整備等、総合的な対策を推進してきたところでございます。
御案内のとおり、この「難病法」と「改正児童福祉法」の附則におきまして、法施行後5年以内を目途とした検討規定が置かれております。来年1月で施行から満5年を迎えることを踏まえまして、先日、本ワーキンググループの親委員会に当たります「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」におきまして、今後検討するべき論点が整理されたところでございます。
この論点のうち、本ワーキンググループでは、難病相談支援センターや地域協議会の在り方、福祉支援や就労支援、それから小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援事業などに関しまして、対応の具体的な方向性について御議論をお願いしたいと思っております。
構成員の皆様におかれましては、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、ちょっと他の公務がありまして、私、途中で退席させていただきますが、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○田中難病対策課長補佐 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願い申し上げます。
まず、本ワーキンググループの座長でございますが、開催要項において「構成員の中から厚生労働省健康局長が指名する」とされておりますところ、健康局長の指名により、小国構成員に座長をお願いしております。よろしくお願いいたします。
続きまして、今回は本ワーキンググループの初回の会合となりますので、議事に先立ち、構成員の皆様から簡単な自己紹介を兼ねて御挨拶をいただければ幸いです。
それでは、構成員名簿の順に、江口先生からお願いいたします。
○江口構成員 皆さん、初めまして。北里大学から参りました江口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 小国先生、よろしくお願いいたします。
○小国座長 小国と申します。鎌倉女子大学から参りましたが、今回、座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 小倉先生、よろしくお願いいたします。
○小倉構成員 小倉でございます。国立成育医療研究センターのこころの診療部に勤めております。どうぞよろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 城構成員、お願いいたします。
○城構成員 滋賀県社会就労事業振興センターの城といいます。よろしくお願いいたします。主に就労のほうをやっております。
○田中難病対策課長補佐 高橋先生、お願いいたします。
○高橋(郁)構成員 新宿区保健所長の高橋でございます。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 同じく高橋先生、お願いいたします。
○高橋(昭)構成員 こんにちは。宇都宮市から参りましたうりずんとひばりクリニックの高橋と申します。主に医療的ケア児の地域支援などをさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 田中先生、よろしくお願いいたします。
○田中構成員 失礼いたします。滋賀県東近江健康福祉事務所の保健所の現場の保健師の田中と申します。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 中田先生、よろしくお願いいたします。
○中田構成員 長崎県福祉保健部長の中田と申します。県の立場としていろいろ貢献できればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 根本先生、よろしくお願いいたします。
○根本構成員 千葉県柏市保健所の地域保健課の根本と申します。私のほうは小児慢性特定疾患のほうの担当をさせていただいております。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 福島様、お願いいたします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 本間様、よろしくお願いいたします。
○本間構成員 あせび会という希少難病の患者会をやっております本間と申します。よろしくお願いします。
○田中難病対策課長補佐 森様、よろしくお願いいたします。
○森構成員 難病と慢性疾患の患者団体、日本難病・疾病団体協議会、森でございます。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 両角様、よろしくお願いいたします。
○両角構成員 長野県の難病相談支援センターの相談員として参りました両角と申します。よろしくお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 横内様、よろしくお願いいたします。
○横内構成員 千葉県から参りました、千葉大学病院でソーシャルワーカーをしております。千葉県の難病相談支援センターをやっております横内と申します。よろしくお願いいたします
○田中難病対策課長補佐 皆様、ありがとうございました。
以降の議事進行につきましては、小国座長にお願いいたします。
○小国座長 初めに、本日のワーキンググループでは、厚生労働省が取り組んでいる会議のペーパーレス化の一環として、タブレットを使用し、議事を進めてまいりますので、お手元のタブレットの使用方法などについて事務局より御説明をお願いいたします。
(事務局より、タブレット使用方法説明)
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、資料の確認をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 タブレットの中の資料一覧をごらんください。本体資料として、議事次第、座席表、構成員名簿、参考人名簿に続きまして、資料1-1、今後検討するべき論点、資料1-2、難病・小児慢性特定疾病医療ワーキンググループ及び難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループの開催について、その後、ヒアリングの資料といたしまして資料2-1から2-5、それから資料3-1、3-2は社会・援護局資料、その後、資料4、参考資料を御用意しております。
なお、机上には参考までに5月15日の合同委員会でお示しした事務局資料ファイルを御用意しておりますので、適宜御参考いただければと思います。
タブレットのふぐあい等ございましたら、挙手をお願いいたします。
○小国座長 それでは、議事に移りたいと思います。本日は、議事が4つございます。1つ目の議事は「本ワーキンググループについて」です。本ワーキンググループの設置の経緯・前提などについて、事務局から説明をお願いいたします。2つ目の議事は「関係者からのヒアリング」で、自治体、就労支援機関、研究者それぞれのお立場からプレゼンテーションいただきます。3つ目の議事は「障害福祉サービス等の説明」ということで、厚生労働省より現在の障害福祉サービスについて説明をお願いいたします。4つ目の議事は「具体的な論点の検討について」ということで、合同委員会でまとめられた論点について、事務局資料及び関係者からのヒアリングの内容を踏まえて議論していただきたいと思います。
それでは、早速、議事1の「本ワーキンググループについて」に入ります。これまでの合同委員会にてまとめられた論点について事務局から簡潔に説明をお願いいたします。
○領五難病支援対策課長補佐 それでは、事務局から資料1-1と1-2に沿って簡単に御説明申し上げます。
まず、資料1-2を御覧ください。ワーキンググループの開催についてということで、本ワーキンググループの開催の背景についてまとめられている資料でございます。
1.の「目的」でございますが、冒頭、健康局長からも申し上げましたとおり、難病法及び改正児童福祉法の附則に基づく施行5年後の見直しとして、これまで合同委員会において御議論いただいてきました。本年6月28日に「今後検討するべき論点」として、資料1-1のとおり論点がまとめられたところでございまして、これについて専門的見地から対応の具体的かつ技術的な方向性を検討するためということで、2つのワーキンググループが設置されたところでございます。
本ワーキンググループは、2.の(2)にございますとおり、地域共生のワーキンググループということで、特に検討するべき論点の5から8まで、具体的には療養生活の環境整備、就労支援、福祉支援、そして小慢の自立支援事業の在り方ということで御議論いただきたいと考えております。
今後のスケジュールでございますが、2ページ目にございますとおり、本年の秋頃を目途に、ワーキンググループごとに議論を整理して、その後、合同委員会に報告するとされております。
次に、6月28日に合同委員会でとりまとめられました論点につきまして、内容の御紹介をさせていただきます。資料1-1をお開きください。
「全体について」という項目から全体で9項目に分かれておりますけれども、まず冒頭、「全体について」ということで、特に地域共生に関わることとして、多様なニーズに対応していくためにどのような支援や仕組みが必要か検討してはどうか、ということでございます。また、3つ目の○でございますけれども、共生社会の実現ですとか、そのためにどのような支援や仕組みが必要か、そして、難病の特性に応じて他の関連施策との有機的な連携を図り総合的に支援していくことが必要ではないかということで、合同委員会のほうで御意見を頂戴しております。
少し飛びますが、7ページ目からが本ワーキンググループで御議論いただきたい論点ということでございます。まず、5の「療養生活の環境整備について」ということでございますが、大きく難病相談支援センターと地域協議会についてということで論点が挙げられております。難病相談支援センターにつきましては、例えば論点として、モデルとなるケースとそれ以外のケースでどのような違いがあるのかといった点や、患者の視点を生かした運営、さらには専門的機能の向上を図るための方策、また、他の機関との連携を強化するための方策、そして人材の配置や育成などについて論点として挙げられております。また、地域協議会につきましては、どのようにこの協議会を活用を促進させていくかといったことが挙げられております。
次のページでございますが、6の福祉支援でございます。効果的な周知方策、そして、患者の皆様方だけではなく、サービスを提供する行政窓口、支援者側に対しても対象となる難病患者が福祉サービスを利用できることについて周知徹底すべきではないかといった論点が挙げられております。また、障害者施策の対象の範囲ということも御意見として挙げられております。
そして、7の就労支援でございますが、患者のニーズとしまして、就労生活支援に関するニーズも高いのではないかということ。そして、そうした現在の対応状況等を踏まえて、今後どのような取組が必要かということが論点として挙げられております。
また、現在も、難病相談支援センターやハローワーク等の様々な関係機関がございますけれども、そういった各機関の役割や具体的な取組について触れられております。
また、最後の○ですが、医療費助成の対象とならない軽症の患者の方々についても就労支援の対象として把握し、支援する仕組みについて検討することとしてはどうかということで挙げられております。
次のページでございますが、少し飛ばしまして、8の「小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業について」ということで論点が幾つか挙げられております。例えば、自立支援事業を活性化させるための具体的な方策、また、縦割りの仕組みを超えた総合的かつ横断的な自立支援と自己決定力支援が重要ではないかといったような御意見がございました。
あとは、医療的ケアが必要な児童への支援や、就学・学習支援の地域における取組ということで論点が挙げられてございます。
次のページになりますけれども、民間企業やNPOの活用についてどう考えるかといったことや、自治体間の連携の促進についても論点として挙げられているところでございます。
ごく簡単にではございますが、以上です。
○小国座長 ありがとうございました。議事1に関する議論については、議事4「具体的な論点の検討について」にて議論していただければと思います。
続いて、議事2の「関係者からのヒアリング」に入ります。本日は、中田構成員、高橋構成員、薄田参考人、掛江参考人、檜垣参考人、5名からプレゼンテーションをいただきます。
進め方といたしましては、プレゼン者の方から発表いただいた後、3名の発表ごとに質疑応答を行いたいと思います。中田構成員は15分、その他のプレゼン者の方は10分での御報告をお願いいたします。タイトな時間配分となって恐縮ですけれども、円滑な進行に御協力をお願いいたします。
それでは初めに、長崎県福祉保健部長の中田構成員から、15分程度で発表をお願いいたします。
○中田構成員 長崎県福祉保健部長の中田と申します。
資料に基づきまして、長崎県の現状を参考までに御報告させていただきたいと思います。
まず、長崎県につきましては、特に難病について他県より進んでいるのかどうかというところは皆様のいろんな御評価があるのではないかなと思っておりますが、1つ長崎県が他県と違う状況といたしましては、この1ページ目の地図にありますとおり、長崎県の地形が非常に多くの離島を抱えておりまして、地理的にかなり離れたところに住民が住んでおられる、こういう非常に特色のある地形でございますので、そういった中で、この難病支援をどのようにしていくのかというのが一つの参考になるのではないかと思いまして、資料をまとめております。
1枚目にありますのは、それぞれ県内で設置されている保健所の圏域をあらわしているものでございます。その中で、特に佐世保市、長崎市におきましては、こちら、中核市ということで独自に保健所を設置しておりますので、県立の保健所は8つ、佐世保、長崎の2つを含めまして10の保健所が長崎県に設置されているという状況になっております。
次のページをごらんいただきたいと思います。まず、長崎県の難病指定の状況でございますが、こちらも資料のとおりでございます。特に長崎県が特定の疾患に偏りがあるということではなく、恐らく大体全国的に同様の割合となっておると理解しております。
次のスライドをお願いいたします。難病対策の連携体制図を模式的に書いたものでございますが、真ん中に行政機関として県、県の出先としての県立保健所と、あとは、先ほど申し上げました、それぞれ中核市で設置している地域でそれぞれ難病対策を進めております。
ただし、難病申請の受付窓口につきましては県で実施しておりますので、長崎市、佐世保市の保健所設置している地域であったとしても、これは県のほうで受付事務を行っております。
そういう中で、それぞれ県が設置する難病相談支援センター、また、大学のほうには医療連絡協議会を設置いたしまして、相談の取組、また医療の連携、こういうところを両輪で進めているというところでございます。これは他県も同様の状況で進めているものと理解しております。
次のスライドでございますが、これは相談支援センターの概要でございます。ここの所在地のところは、端的に言いますと、長崎県の場合は県で所有している総合福祉センターの建物がありますので、ここに社会福祉協議会等さまざまな福祉関係の組織が入っている中に、1つ、難病相談支援センターを設置しております。
こちら、指定管理とさせていただいていまして、NPO長崎県難病連絡協議会にお願いしております。また、別途、下にピンクで書いてありますとおり、難病患者就労支援事業補助金という形で、就労に関しても、このNPO連絡協議会のほうに補助金として交付させていただいておりますので、この支援センターの概要といたしましては、この難病患者に対する相談支援及び就労支援、こういう2つの柱で行っている状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。これは長崎県の相談支援センターの相談内容の状況でございます。こちらにつきましては平成23年からの件数を示しておりますが、近年は相談件数等が若干減少傾向にあります。この理由につきましてちょっとセンターのほうに問い合わさせていただいたところですが、近年、医療そのものに関する相談というのはインターネット等で自分で調べてわかる部分もかなり多くなってきたので、そういったところの相談が大分減ってきた関係もあって、総件数としては減ってきているのではないかと。かわりに、例えば制度に関することや療養生活に関することが割合としては多くなってきているということであります。具体的な相談事例はここに記載のとおりでございます。
次のスライドをお願いいたします。相談支援体制はどのようになっているのかということですが、県の指定管理ということで運営しておりますが、このNPOの長崎県連絡協議会におきましては、センター長を含めまして、ここにいる人員配置で対応しております。ただ、職員の方々につきましては、常勤ではなくて非常勤という立場で勤務されております。
また、現状の相談の経路につきましては、このセンターが県1カ所設置という形もございまして、ほぼ電話相談となっております。センターの職員に聞きますと、面接の場合はより丁寧に細かくできますので、大体1時間から1時間半程度の時間をかけてできますから、面接の場合は非常に効果的な支援ができるということでございますが、長崎県の場合、離島、あとは非常に遠隔に住んでいる方もいらっしゃいまして、そういった方はどうしても電話対応になっているという状況でございます。
遠隔の地域からの方々に対してもいろいろ相談の要望というのは上がっておりますので、これまで人員や予算的な関係でセンター職員が出向いていくことはできていないのですが、今後はそういう巡回相談も含めて検討していく必要があると県としては考えております。
次のスライドをお願いいたします。相談支援センターにおいて具体的な取組についてここで示させていただいております。特にここではピアサポートの状況について示しております。
ピアサポートの内容についてはもう御存じのとおりでございます。具体的な点につきましては、ピアサポーターの養成研修もあわせて実施しておりまして、これは県の予算というものではなく、赤い羽根共同募金の助成事業などを活用しながら、このピアサポーターの養成研修を行っております。年度によって養成数は若干の前後はありますが、これまでの累積の養成数としては大体50名ぐらいの養成数には上がっているところでございます。
具体的なピアサポーターの支援としては、(2)に書いてあるとおり、非常に実態に即した相談支援を行うということで、この相談支援センターとしてもピアサポーターには力を入れていきたいと考えておりまして、今後はそういったところを力入れていく予定になっております。
ただ、課題につきましては、ここにありますとおり、そもそも論の、各患者会の患者数が減少傾向にある中で、さらに会員の高齢化も伴いまして、それぞれの会の活動の維持が今非常に厳しくなっている現状がある中で、個別個別の難病でピアサポーターをやっていきますと非常に規模が少なくなりまして、それぞれにピアサポーターを育成するのが非常に難しい状況。また、これも全国的には共通な課題だと思いますが、受けとめるほうとしても非常に精神上重い負担となることもあり、また、自身が患者でもある関係で、体調面にも配慮しながらやっていかなければいけないという課題を抱えているところでございます。
次に、就労支援について御紹介したいと思います。就労支援につきましては、センターの相談員に状況を伺いましても、相談のニーズとしては非常に高いということで、この点は非常に、センターとしても、ピアサポートと同じように就労支援も力を入れていきたいと考えています。
今、県のセンターでは、2名、就労支援員を配置いたしまして、特にハローワークと連携した相談会を実施しています。月2回の支援相談会、また年4回の支援セミナー、こういったものを通じて支援をしているところでございます。この実績につきましては、相談件数と実際に就労に結びついている数は非常に乖離あるところはございますが、やはり働きたいという気持ちにいろいろ応えていくに当たっては、難病患者のそれぞれのモチベーション、そういったところで非常に大事な相談内容になっていますので、結果として就労に結びつかなかったとしても、相談をやっていく上で、いろいろ関係性が成立して、難病患者の支援にも非常に役に立っているのではないかというような意見がございます。
こちらは難病相談支援センターにおける協議会を設置しておりまして、具体的には、就労支援推進協議会というものを長崎県で構成しております。ここにありますとおり、さまざまな部局から御参加いただきまして、就労を進めていくための課題等についていろいろ議論をさせていただいております。これも、議論の仕方の工夫も検証していく必要があるなと思ってはいるのですが、今ある課題の中では、特に、やはり関係者が多くなると意見交換とか、そういう共有という意味では非常にやりやすいとは思うのですけれども、何か具体的に新しい取組をやっていこうとなりますと、非常に関係者も多く、また、それぞれ具体的にやっていくためには、もうちょっとコアメンバーでやっていく必要もあるのかなと思っています。また、就労につきましては、地元企業にさまざまな助成金制度があるということ、まだまだ周知が足りない状況でありますから、そういったことをしっかりとまた周知していく必要があると考えています。
あと、こちらは、ほかの市町村、自治体では状況が違うのかもしれませんが、我が県の場合ですと、難病患者の方が市町村のほうの窓口にいろいろ相談に行くこともありますが、その際に、例えば市町村の窓口でも、就労に関してのさらなるサポートというか、相談ができればより効果的なのではないかという意見があります。要は、チラシとかパンフレットを置くというレベルは各市町村でもお願いは十分できるとは思うのですが、もう一歩踏み込んで、例えばこうした場合にはどういった制度があるのですかというときに、もう一つ支援できるような協力があるとよりつながっていく可能性もあるかと思いまして、ここは今後さらに連携を強化していく必要があるなと考えております。
続きまして、今回の大きなテーマの2つ目の難病対策地域協議会の状況について御報告いたします。我が県の場合は平成27年度から設置しておりますが、非常に反省すべき点ですけれども、今ある県立保健所の中で、全ての保健所でこの協議をしているわけではないという状況になっています。今、長崎県の場合は、県立保健所のうちの2カ所でのみ、この協議会を開催しておりまして、開催頻度も年1回程度の状況になっております。
具体的にどういうことを話し合っているのかというと、ここに記載のとおりの中身ですが、先に次のスライドを見ていただいたほうがわかりやすいと思います。これは一つの県央という地域の保健所の実例を示しているのですが、難病患者支援ということでは非常にテーマが広いこともありまして、まずは喫緊、急いでやらなければいけないテーマに絞っていろいろ具体的に進めていこうという保健所の取組がありまして、特に災害対応、例えば人工呼吸器装着の場合の避難体制、支援者リストの作成等、こういうのにまずテーマを絞って計画的にやっていこうという取組をしております。その際に、特に小児の分野、難病分野と分けまして、一緒になってそれぞれやっていこうというような保健所の取組がございます。
このように、地域協議会の中での議論で、1つ、災害対策ということにテーマを絞ってやってきた実例でございますが、特に最近、九州でもいろいろ災害等起こっている状況でございますから、こういう、まずは喫緊のテーマで皆さんが取り組みやすいところから進めていくのが一つのやり方なのではないかと思っております。
スライドの9番目をごらんいただきながらと思いますが、課題につきましては、それぞれの所管ごとの連携を進めていかなければいけないという中で、行政の縦割りのところをどう横串を刺していくのか。それぞれ地域ごとで顔の見える関係だったとしても非常に難しい状況にはあるということで、我が県でも、年1回だけでの開催ということでございますが、もう少しこれを頻度を高めるなどして連携を深めていくようなことも考えていかなければいけないなと思っております。
1つ飛ばしまして、最後の「まとめ」でございます。全体の状況をお話しさせていただきまして、今回私のほうで発表させていただいたのは、この支援センターの状況、就労支援の状況、あとは地域協議会の状況を報告させていただきました。左に書いてあることは、先ほどのスライドに書いてあったことをまとめたものです。
結局は、そのことに関して、どういったことが課題になっているのかというのが右の四角の枠に書いておりますが、まず、難病相談支援センターにつきましては、予算の制約というものがどうしても出てきている状況でございまして、例えば長崎県の場合ですと、先ほど申し上げた地理的事情もあって、なかなか離島地域まで、正直、手を延ばしていくのが難しい状況になっています。そういったところにもきちんと手が届くような予算の支援があると非常に充実が図られるのではないかなと考えています。
また、ピアサポーターについては、非常に有効であるという意見と、あとは、就労の相談支援というのは非常に重要な点ですから、今、2つ目の枠のところを申し上げていますが、もっとPRする必要があることと、身近な市町村でももう少し連携したサポートがあれば非常に望ましいと考えています。
最後の四角のところにつきましては、これは県自体のちょっと反省でもあるのですが、それぞれの保健所で独自の取組でテーマを決めてやっていただいているところがあるのですが、まだ県内でも全地域もできていませんし、それを吸い上げて県全体の方向性に持っていくこともまだできていない状況でしたので、県の反省点としては、今後、そこはしっかりやっていかなければいけないと思っています。
ただ、いろいろ担当の状況をちょっとお話しさせていただきますと、長崎県、今、1万2000人の方の受給申請を受け付けている中で、6月から9月ぐらいにかけては、申請受付でかなり職員の手間がとられている状況です。私もよく担当課に顔を出していると、毎日申請者の方が来て、それに対する書類の不備とか申請のチェックとかをずっとやっているところでありますから、本来であれば、もう少し職員に余裕があれば、こういう全体のサポートの体制の検討とかを本庁のほうが支援に出ていくということもあり得たのでしょうけれども、今、実態としては、県職員のレベルとしては、受給者証の交付事務の負担が非常に大きい状況でございまして、この点は、これとはまた別の課題かもしれませんが、今後の見直し課題があれば大変ありがたいなと思っております。
私からの発表は以上でございます。
○小国座長 非常にわかりやすい御報告、ありがとうございました。
それでは次に、新宿区保健所の高橋構成員から、10分程度で御発表をお願いいたします。
○高橋(郁)構成員 新宿区保健所の高橋です。よろしくお願いいたします。
最初に、スライドに書いてございませんが、新宿区の御紹介を多少させていただきたいと思います。新宿区は、23区のほぼ中央に位置しておりまして、人口が34万人、そして外国人がその1割以上を占めておりまして、若者が多く、転出入が多い区でございます。乗降客数が日本一の新宿駅がありまして、来外者も多く、そして都庁などの高層ビル街がある一方で、閑静な住宅街や古い町並みもございます。そして、世界に名だたる歓楽街である歌舞伎町もございまして、非常に多様性のある、懐の深いまちと職員はいつも言っております。
また、区内には大規模病院が多くございまして、難病拠点病院であります女子医大、そして難病協力病院でありますJCHO新宿とJCHO山手医療センター、そして国立国際医療研究センター病院、それから慶應、東京医大、大久保病院、聖母病院などがございまして、こういったところが区の強みであると思っております。
保健師は、保健所全体で54人おります。難病の地区担当をしております保健師は、保健センター4カ所で、全部で36人で地区を持って活動しております。
2枚目のスライドをごらんください。地区協議会、地域協議会の立ち上げのプロセスについてです。平成26年にこの法に努力義務が課されたことを受けまして、新宿区では早々に設置の方針を固めておりました。といいますのも、新宿区では、昭和55年から難病医療費助成の申請窓口で保健師による全数面接を行ってきておりまして、日ごろからニーズ把握がされていて、課題なども認識されていたというところがございます。今回、法で保健所の役割なども改めて示されたこともありまして、さらなる支援強化をしようということで協議会を設置するということで、すんなりといいますか、決まったところでございます。
その後、協議会に関する厚労科研報告なども出まして、そういったものを受けた都の研修などもございましたので、そちらに保健師が参加したり、それから、都の手引きなども参考にいたしまして準備を進めたところでございます。そして、29年の9月に協議会を設置したという運びになっております。
3枚目のところをごらんください。「委員選定等の準備」についてでございます。協議会の設置目的を定めまして、これに沿いまして、東京都に相談しながら委員の選定を行いました。医療関係者としましては、拠点病院の神経内科の医師、そして医師会長、医師会の在宅担当理事、訪問看護ステーションの看護師、福祉関係者としては、居宅介護事業者の代表など、この辺につきましては、日ごろから顔の見える関係がございましたので、スムーズに決定いたしました。
当事者につきましては、余りおつき合いもなかったものですから、患者会などを東京都のほうに御紹介いただきまして、東京進行性筋萎縮症協会と全国膠原病友の会の東京支部のほうから代表を推薦していただきました。
そのほかには、地域から民生委員や社協、それから区の勤労者・仕事支援センター。そして、東京都の難病相談支援センターの難病相談支援員、そして保健所や福祉部の職員等々が入りました。会長は保健所長が務めることといたしました。
4枚目をごらんください。「東京都との連携」でございます。1にございますように、地区協議会での連携といたしましては、東京都の地域協議会が29年度に設置されまして、そこにメンバーとしては都や23区の代表が入るということで情報共有がされております。新宿区は赤字で書かれています特別区の中に入っております。23区ではまだ7区しか協議会が設置されておりませんので、都のほうからは設置の促進に向けて先駆的事例の紹介などが行われているところです。
下から上のほうに、保健所設置区市等からは都に対して情報提供や課題等の発信を行っております。
2のほう、難病医療ネットワークとの連携につきましては、都内10カ所の拠点病院と、それから41カ所の協力病院からなります東京都難病医療連絡協議会というのが30年度に設置されまして、この中に入っておりますこういった拠点病院や協力病院などと地域との連携ということで、地域的では、かかりつけ医、保健所、介護福祉サービスなどが紹介や逆紹介という形でつながるように連携しているところでございます。
5枚目をごらんください。「新宿区における難病対策に係る保健師等の活動」についてでございます。最初にお話ししましたとおり、新宿区でこういった難病対策が進んでまいりましたのは、保健師活動によるものが大きかったと言えると思います。特に、申し上げましたように、昭和55年から医療費助成費の申請時に全数面接を行ってきたということは他区には見られない先駆的な取組と思っております。
平成30年度の申請件数は2,575件となっております。8割以上、面接が実施されているところでございます。これは区独自に特殊疾病登録票というものをつくりまして、4カ所の保健センターで共通して、これを用いて面接を行っております。ADLですとか介護状態、住環境などを聞き取りまして、ニーズを把握し、必要なサービスにつなげ、そして今後の方針を立てて活用しております。
特に災害時支援について力を入れておりまして、2番目の◆印のところですが、人工呼吸器使用者のシステム管理を平成12年度からしております。そして、東日本大震災がございましたので、その後は、難病にかかわらず対象者を拡大して、24年から、要支援者への個別支援計画の作成支援も力を入れているところでございます。
このほか、3つ目のところですけれども、日常の保健師活動としましては、地区担当保健師が日ごろ訪問支援しているというケースが平成30年度では延べ109件になっておりまして、実人数としては45人ということで、日々、保健師のほうがこういった面接等で把握しました難病患者さんに訪問、あるいは通所された方はこの数に入っておりませんが、さまざまな機会を捉えて支援しているという活動を行っております。
6枚目のほうをごらんください。「協議会の位置づけ・役割」です。地域協議会の下に協議会委員の一部の構成員からなります実務担当部会を同時に設置いたしました。そしてさらにその下に、昭和60年から実施しておりますが、事業担当者会というのがございまして、これを3層目に位置づけまして、こういった3層構造といたしました。
この担当者会は年4回開催されておりまして、講演会ですとか療養相談、難病サロン等、難病に関する事業全般に関する情報共有、そして評価、予算編成に関する検討などを行いまして、それをその上の実務担当部会に上げて課題を整理しまして、その中から協議会に上げようということで協議会で御意見をいただくと、そういった流れにいたしました。
その後、協議会からの御意見を踏まえまして、今度は下のほうに、実務担当部会で検討しまして事業担当者会におろすということで、PDCAサイクルを回していこうということでございます。
地域協議会の第1回目、第2回目の議題については記載のとおりでございます。そして、左のほうに「スローガン」と書かせていただきましたが、第1回目の協議会で協議していただきまして、このように「地域の強みを活かした難病支援体制の構築をしよう」というスローガンを決定いたしました。
地域には病院なども多いということで専門家も多いですし、地域のいろいろな、古くから住んでいらっしゃる区民のそういった力なども活用してという意味でございますが、「地域の強みを活かした」といったスローガンを掲げまして、今後、協議会でいろいろと整理された課題を取り組んでいこうということで、3つに整理いたしましたが、1つは災害時支援、そして就労支援、そして地域での支え合い、この3つを主なテーマといたしまして、今後も協議会で御意見をいただきながら、保健師活動を核としまして保健所の取組を進めていきたいと考えております。
1回目は主に全体のお話でしたが、第2回目の協議会では災害を取り上げまして、ことしの第3回目では就労支援を取り上げようと考えておりますが、いざ取り組もうと思いますと、なかなか区市町村レベルで解決困難なことも就労支援というところではございまして、国におかれましては、就労に当たっての周囲の理解不足といった現状もあると思われますので、効果的な普及啓発に取り組んでいただきたいということとか、法定雇用率、先ほどちょっとお話にございましたが、そういったものの導入ですとか、具体的な就労支援体制の整備などもお願いしたいと思っているところでございます。
最後に、7枚目、8枚目のほうに、先ほどちょっとお話に出ましたが、保健師の全数面接の際に使用しております特殊疾病登録票のスキャンしたものを載せております。これはA3の表裏の印刷で、2つ折りにしてA4サイズで保管しているものでございまして、こういった、ピンク色の結構ちゃんとした紙で保存しておりまして使っているものですけれども、参考までにおつけしましたのでごらんください。
以上で新宿区からの報告を終わります。
○小国座長 非常に具体的な取組、ありがとうございました。
次に、埼玉労働局ハローワーク浦和の薄田参考人から10分程度で発表をお願いいたします。
○薄田参考人 よろしくお願いします。浦和ハローワークから来ました薄田たか子と申します。
難病サポーターの資料をごらんください。活動日は月に15日でございます。2ページ目ですね。埼玉はちょっと変わっておりまして、各ハローワークを巡回相談しております。その中で難病支援センターにも月2回行かせていただいております。数字が挙がっていないのですが、件数をちょっと申し上げます。年々少しずつふえておりますが、私は第2代目で、6年目に入ります。平成25年の夏から難病サポーターを施行しまして、ことしで7年目。
実績ですけれども、新規相談者数が175人、平成30年度です。就職者数が36名。前年の平成29年が、新規の相談が126名で、就職件数が33名となっておりまして、若干ふえております。年々少しずつ、本当に何十という単位ではないのですが、2~3名ずつ、4~5名ずつふえて成績は上がっております。これは周知と、私のクオリティが上がったのかなという分析があります。
次に、業務内容です。ちょっと読み上げます。難病のある方の就労に関する相談を聞き取りながら、病状を含む現在の状態や就労の準備性を鑑みながら、マッチングする企業のニーズに、また医者からの情報がある場合は、その意見などを参考にしてマッチングをする、それを考えながら利用者様に求人への公募を支援するというのが一番のメインの仕事でございます。また、在職中の方へは、合理的配慮が可能になりましたので、可能であれば会社との協議に行かせていただいて調整させていただくこともありますが、なかなかその機会はございません。利用者さんは希望されても、会社のほうが、ハローワークが入ることを余りよしとしない企業が多いです。
ブランクが長かったり体調不安がある方などは、すぐに就職難しい方の場合、就労支援移行事業所とか職業訓練の御紹介をいたします。また、「重複した障害」とここに書いておりますが、発達障害とか精神障害になります。私のところに来て、それがわかるというか、そちらのほうの支援が必要だと思うと、今までボーダーでわからなかった方たちもそこで支援が入るというのも結構あります。結構といっても本当に何件ですけれども。関係機関として、就労支援中ポツですね。そちらのほうに誘導することも少なくはないですね。難病だけの疾患でない方も相談にいらっしゃいます。
次は、「難病のある方の就労支援に関して障害者就労に携わる支援者を対象に」というのは、これは県の講話ですが、そちらのほうで、各就労支援、障害者の就労支援の方が、難病が難しいということで聴講に来ていただいております。
企業の人権啓発セミナーにおいて難病のある方の治療と仕事の両立が可能であることを周知する。これは具体的には、ハローワークは企業の方に人権の啓発をするのですね。中小が多いですけれども、主に各ハローワークごとに何百人とか何十人を集めて、LGとか、あとパワハラのこととか、セクハラのこととか、全ての人権に関するセミナーがありまして、その後に10分ぐらい時間をいただいて、難病の方も医療が進歩したので働けるのですよというのを周知させていただいております。中には、過去1回ですけれども、拍手をもらったことがあります。
次、手帳のない難病のある方の雇用はやはり厳しいという現実がこの7年間でわかっております。ではどうしたらいいのかということで、やはり雇用しやすくするためのことを支援者が考えなければいけない。あるいはいろんな工夫で、会社がどうしたら雇いやすくできるかという研究会をちょっと任意に立ち上げております。
次にいきたいと思います。難病相談支援センターは2回ほど行っております。私は、各保健師から難しい病気の内容を聞いたり、今どういう実態かを伺って質問ができております。
あと、ピアサポートの相談員に同席していただき、相談を受けております。同じ患者の立場から就労への困難さや悩みに共感できるため、話しやすい雰囲気になる。それで、アセスメントしやすくなるのですね。いろんな情報を言っていただけると。具体的に現場での対応、こんなことしたのよみたいに実践的なアドバイスもいただけております。
次に、難病センターの相談員から、ハローワークとか専門援助のほうに難病患者サポーター、私の情報を伝えていただいて、具体的な仕事探し、どうだろうねみたいに、私の相談もまた乗っていただけているというのがありますね。
その次が、センターとサポーターと相談後、本当に働く意欲があり、働けそう、マッチングできそうな方はぜひ登録してくださいと誘導しております。今働く、すぐ働くのは厳しいという方もたくさんいらっしゃいますね。難病相談支援センターに来る方とハローワークに直接来る方はやはりちょっと状況が違います。
次、「好事例」です。自己免疫性肝炎の30代の女性です。指定難病を持っておりますが、手帳がございませんでした。アルバイトが多くて、体調が悪化するとやめてしまうという、よくあるパターンですけれども、それを繰り返していた女性の方で、疲れやすい、あと背中の痛みがちょっと、1回来ると30分ぐらい痛くなってしまうのですね。そのときも我慢しながら仕事したということを聞きました。あと、不眠があって、結構長い間不眠症で悩まされていたということで、メンタルのほうの治療も受けておりました。
で、障害者就労支援センターの相談員と連携しながら、センターが企業支援をしているので、そこの特例子会社から、障害者枠ではない、一般枠で求人を出していただきました。トライアルをするかしないかとかいうのも迷ったのですけれども、仕事内容が軽作業のため、負担も少ないので、最初は週4日の5時間ぐらいから始めて、今は週5日の6時間ぐらいまで延ばして、引き続き継続できております。
特例子会社は障害者支援になれておりますので、難病もできるのですね。だから、手帳あるなしに関係なく、支援、配慮がわかるので、でも、病気が、理解しやすい病気の場合はいいのですけれども、困難な場合はやはり厳しいときもありますね。
次がパーキンソン病の40代の方で、この方も受給者証は持っておりますが、手帳はございませんでした。10年前に発症して少しずつ進行したのですが、本人から御相談がありまして、事業所がうまく配慮してくれないということで、私が入りまして、2回ぐらい協議をして、いや、こういう配慮があるといいねえとか言って、また継続就労が続いたのですが、少し進行されて、その仕事も厳しくなってきたと。もう一回私が入ったのですが、なかなか両者が折り合わないというか、患者さんのほうがやはり生活がかかっていましたので、やめるわけにはいかないのだということで、すごく大変だったのですけれども、転職もまた大変ということで、何度も協議して、ドクターにも入っていただいて、ドクターと直接2回ぐらい電話しまして、ドクターも、薬が切れるととまってしまうのだけど、働けるのだよと。3時間は働けるけれども、たまにとまってしまうことがあるという感じで、でも、働けるんだよとすごく大変な説明を私にもしてくれて、何だかんだといろいろ時間はかかったのですが、正社員からパート、それも週3回、ドクターが指定したのは3時間でした。週3回3時間なら十分働けますと。それをもとに、またパートをやっております。
「課題」にいかせていただきます。仕事上の配慮が多く、中小企業などでは雇用の負担が重くなってしまいます。痛みや倦怠感、微熱、疲れやすい、休めばよくなる方もいらっしゃいます。「難病特有の特性は従来の障害者認定の基準にはなじまないものが少なくない」。この言葉は、私は茨城県のあるドクターから聞きました。全く障害者手帳にはなじまない病気が多いと。障害者手帳の取得が困難な方を採用する際、また雇用継続を図る場合には、必要な取組の情報、主に医療情報ですね。個人的なカルテに書いてある情報をどこまで先生が開示してくれるか、あるいは本人が正確にそれを理解できているかで、マッチングしやすい人としにくい人がいるのですね。病状の理解ができている方の場合は、就労できるできないは別として、方策は練れるのですけれども、まず情報が不確定だと、私たちもどう動いていいかわからない。
特に、私でなく、中ポツとか、中ポツというのは障害者・就労支援センターとか、あと、市区町村でやっている障害者・就労支援センターの方は全くわからないですね。本当に取りつく島がない。医者でさえ会わない病気の方をどうやって支援したらいいのかという、同じ障害者の法律には入ったのですけれども、困難な状況がたくさんあるので、その方策を練るのはやはり時間がかかると思うのですね。ここで会議したからといって解決できる問題ではないのですけれども、取り組みにくさというのはやはり医療にはあるのですね。
直接、何が大変ですかと支援者に必ず聞くのですよ。そうすると、よくわからないと。一緒に支援者で相談に来られても、できるできないことはわかって整理できるのだけれど、病気のことを患者さんにどう聞いてわからないと言うのですよ。しびれる。何が。いつしびれるの。どういうふうに痛いの。聞く質問がわからないのですね。だから、それを整理しろといったって、支援しようがないわけですよ。だから、とても医者との連携というか、両立支援で、今、江口先生が一生懸命やっていらっしゃる、がんの場合は病院と連携していますけれども、難病の方は専門医との連携は、忙しくて、専門医とできないのですね。だから、例えばソーシャルワーカーさんとかにお願いすることも多々あります。長くなりました。済みません。
次に、難病の方と企業の信頼関係を築きやすくするためにはどういう体制がいいかということで、これ、昨年できたのですね。2018年の4月にできました。私もこれに参加させていただいたのですけれども、これのワークブックだけをコピーして、患者さん、利用者さんに渡します。これをもらっただけで、孤立しているという気持ちから開放されるのですよ。あっ、こんなこと考えている人たちがいるのだというね。本当に孤立してしまうのですね。お金のこと、お金の次に医療なのですよ。医療があって、命が足りて、生活ができる。生活の上には仕事がある。その中には全部人間関係が含まれるのですよ。そこに全部問題を抱えてしまうのが難病の方たちで、ここに今連携している方は皆さん何かにかかわっていると思うのですけれども、その中で、本当に難しい医療情報をどう翻訳して、支援者なり企業に渡していくかというのが難しいと思います。
済みません。何かまとまらずに。終わります。
○小国座長 ありがとうございます。非常に具体的な例もあり、問題点もとても明らかになっていると思いました。ありがとうございました。
ただいまの中田構成員、高橋構成員、薄田参考人の発表について、御質問、御意見をお願いいたします。
では、森さん、お願いいたします。
○森構成員 患者団体JPAの森です。よろしくお願いいたします。
まず、長崎県の中田さんの御発表、どうもありがとうございました。非常に私たちも勉強になったと思います。どこの都道府県もですけれども、難病相談支援センターの職員配置の点でも、人件費確保がとても難しく、また都道府県での難病の取組の度合い、熱心さ等々にもよって予算なんかもかなり違ってくるのかなあとも思いますし、少し気になったのが、今、長崎県のほうでは、患者団体、長崎県の難病連のほうが受託されていて運営されているということですけれども、支援センターのほうの相談をお受けになっても、ピアサポーターのほうが交通費のみのボランティアであるというところがありました。
患者団体ですと、基本、やはりボランティアという形での相談をお受けになっていることも多いかと思うのですけれども、私たちも、支援センターとなると公的機関として相談をお受けして、記録も残す形で、仕事として位置づけておりますので、こういったところの人員配置と、ピアサポーターの賃金について、また国全体のほうでもちょっと考えていただき、都道府県だけで、2分の1とはいえ、賄うのはなかなか難しいなと感じております。
あと、新宿区のほうからの御発表をいただきまして、私たち、難病対策地域協議会がどうしても年に1回しか開かれないとか、一つの議題だけで終わってしまって非常に残念だという話をいろいろなところから聞いていたのですけれども、今回の御発表の中で、そのほかにも、実務担当であるとか事業担当者会議等々もやっておられて、いろいろきめ細かく協議された上で年1回の地域協議会もあるというところで、こういうところでカバーできるのかなあと思いました。ありがとうございます。
あと、ハローワークのほうの薄田さんですけれども、非常にきめ細かく相談を受けていただいていて、とても感謝します。また、ピアサポートの相談員のほうも同席という形で、非常に活用できるかなとも思いますので、非常にありがたいです。よく患者会への相談にもあるのですけれども、仕事をやめてから相談に来られる、やめざるを得なくなってしまってから御相談に来られて、残念に思うことがあるのですけれども、何か、やめる前に相談に来ていただける工夫をされているようなことがありましたら、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○小国座長 ありがとうございました。薄田参考人、どうでしょうか、今の御質問に対して、何かよいアドバイスとかございますでしょうか。
○薄田参考人 働きにくくなる、状況が悪くなる前に、もうちょっと自分の病気を、表現を変えてやさしく言うとか、甘えているのではなくて、結局、病気の説明も当事者もできないのですよ。難しいのですね。今、いろんな生物学的製剤とか薬で、確かに非常に症状もよくなっているけれども、解決していないので、うっ伏せてしまったら、それだけで働いている意欲がなくなりますね、皆さん。「やめてくれない?」と言われるのですね。ちょっとうっ伏せただけでも、「ちょっとやめてよ」と上から言われてしまう。休憩室があるわけでもない。もう我慢するしかないのですね。という状況がどんどん重なっていくと、やめざるを得ない。
私のパンフレットを見て、どこかで、例えばネットでちょっと見たとか何かで見ると、いや、そういう人がいたんだと思ってきたのですけれども、今とても大変なのだけど、病名を言っていないとか、あるいは進行性だとどんどん進行する一方なので、言ったらすぐ首になってしまうから、どうしたらいいだろうとか、やはりお金。仕事って、お金、対価、あるではないですか。それがなくなってしまうという恐怖感はすごいもので、自分の負っている症状プラス精神的な不安が輪をかけて悪くなっていく。そこで孤立している人は本当になかなか、家族がすばらしい方でとかいますけれども、普通の家庭だとやはり支え切れなかったりもするので、出会う人によって自分が上がるか下がるかも決まってきてしまうというか、支援者の底力というのは、医療もそうでしょうけれども、物すごくその一人の人生に対して大変だから、真摯に向き合うというのが私の仕事なので、解決はしなくても、とりあえずそこを下がらないように、維持するか上げるかということで、何か話がそれてしまったのですけれども、とにかく周知。インターネットに労働局に出してもらっているので、一応、検索すると、埼玉労働局と東京は上に出てくるのですよ、難病サポーターは。だから、見て、相談する価値があるかなと思った方は来られますけれども、ネットでもいろんな情報があって、「意味がない」と書いてあるのもあるので、それでもわらをもすがる思いで来られる方は、解決しなくても、孤独からは開放されるかなあ。だから、サポーター、もう一人ぐらい欲しいなとか思ったりもしますね。
○小国座長 ありがとうございました。早目に対応できるような体制と、早目に対応できるような、御本人もそのような状況が必要だということでしょうか。ほかには。
どうぞ、お願いします。
○城構成員 滋賀県から来ました城といいます。
就労のことですけれども、334センター、障害者就労・生活支援センターが全国にありますので、その中ポツセンターとの連携ということがきっとこれからすごく重要になってくるのかなあと思うのですけれども、きょうの御発表の中で、長崎県の中田さんの取組の中でも、中ポツセンターとの取組がまだまだ連携が少ないという御発表もあったり、高橋さんの御発表の中にも、どことどうつながっていったらいいのかというとこら辺で、中ポツとのつながりにくさみたいなところが、こういう理由でなかなか中ポツとつながりにくいというところがもしもございましたら教えていただきたいなと思います。
あと、薄田さんの御発表の中で、特例子会社との連携ということで、今、特例子会社のほうとの連携も、多分、全重協さんとかとのつながりの中で、特例子会社の人手不足というところもありまして、そういうところで、手帳の有無にかかわらず、特例のほうも採用のほうも拡大してきていますので、その特例子会社の連絡会とか連携の有無なんかもお聞かせいただきたいなというのと、あと1つ、難病の方のアセスメント、その方の強みとか得意なこと、不得意なことというとこら辺で、アセスメントするのに、現場がないとアセスメントってすごくしにくいと思うのですけれども、その患者さんの方のどのようなお力をどのように持っておられるのかというとこら辺をアセスメントする手法みたいなものがもしもありましたら教えていただきたいなと思います。
以上です。
○小国座長 ありがとうございました。では、まず1点目ですけれども、今、特例子会社と連絡会との連携を図るのが非常に難しいというような御発表だったということで、どのようにすれば、なぜつながりにくいのか、連携がとりにくいのかということの具体的な原因といいますか、それを御存じの方は教えていただけますでしょうか。
○城構成員 先に、中ポツ、就労・生活支援センターとの連携の。
○小国座長 済みません。いかがでしょうか。
○薄田参考人 中ポツの方も利用者と一緒に相談に来られるのですけれども、やはり病気がわからないというのが多いですね。一緒に来られる場合は、手帳のある方がほとんどなのですよ。手帳あって、障害者就労は可能なのですけれども、会社に説明するときに、御本人から聞き取っても、よくわからないと。インターネットで幾らでも症状は出ていますけれども、御本人の説明不足もあるのでしょうけれども、やはり伝える難しさですね。病気の。それとあと、そのイメージ。難しいんだという先入観があって、聞いていいのかなあというセンシティブな部分もあるので、全てずけずけ聞けるわけでないのですね。医療者でないし。
だから、そこでアセスメントしにくさとか、あと、どう企業にアピール。できることはあるのだけれども、病気のことは余り言わないほうが採用されるのではないかとか、いろいろあるのですけれども、今までの障害は固定の方がほとんどだったではないですか。それで精神が入って、精神の方もやはり病院と一緒に連携してですけれども、難病の余りの疾患の多様性と、同じ疾患の中での個別の多様性があり過ぎて、まとめる経験もない方たちが、仕事ができる、できないは今までやってきたので得意なのですけれども、こういうときにこうなるのだとか、変化も多い難病の方を支援するというのは至難のわざだと思います。だからこそ研修も必要になってくるでしょうし。医療知識を普通の人とか人事の人に伝えるためのレベルの情報をどうやって福祉の方が。医療の方は得意ですよね。でも、医療用語で説明されても、普通の人はわかりません。それを翻訳する誰かが中ポツになるのではないかと思うのですよ。
それってやはり高度ですよね。医療情報を理解して。伝えるのは医療情報だけでなくて、仕事ができるかできないかが一番のポイントですけれども、それに差しさわりが出てくるわけですよ。病気で。だからこそ合理的配慮もふえるわけですね。その調整関係が難しいから取りつきにくいのではないかなあと思っております。
○小国座長 今、現実そのような状況の中で、2番目のことですけれども、どのようなアセスメントをされているのかという御質問なので、それに関してはいかがでしょうか。
○薄田参考人 そうですね。2つ目の質問でしたよね。病状を人に伝えるって非常に嫌なのですよね。初めて会った人に。私もどうやってラポートをとったらいいかがやはり一番大事で、アセスメントのときに、まず歩いてくる様子を見ます。歩けるか歩けないか。で、何で来ましたかと。電車で来ました、車で来ました、もうそこから全て始まるのですね。まず歩いてくる様子から、表情から。いろんな交通手段だめな人はタクシーで来るという人もいるのですね。お金がない中、タクシーで来ましたという人もいるのですけれども、そこで、まず交通を聞いて、私のところを何で知ったのですかと必ず聞くのですよ。そうしたら、最近は大学病院の先生も紹介してくれたり、どんどんふえてきて、周知は、本当に7年やっているので、本当にゆっくりゆっくりふえて、相談数もふえているというのが全国だとは思うのですね。全国の数値もそうだと思うのですけれども、アセスメントはやはり、「御病気聞いていいですか」とか、すごくセンシティブなので、すごく猜疑心の強い方は余り話しません。だから突っ込まないし、でも、聞いてほしいという方のほうが多いです。ハローワークで病気のこと聞いてくれる人なんていないではないですか。
だから、もうわーっと弾丸のようにおしゃべりされる方もいるし、ああ、ここ、聞いてくれるんだなと思ってくれる雰囲気ですね。別に私、医療者でないのですよ。何もないのですよ。当事者という強みがあるのですけれども、何を困っているのというのを聞き出すってすごく難しいことで、ラポートのとり方から始まって、あと、知識ですね。7年間やっているので、私もいろんな病気の知識が、少しずつですけれども、たまっていくわけですね。専門家でなくても。
だから、例えば中ポツの中でも全員ができるのではなくて、やはり特化した人をつくっていかないと難しいので、それはやる気のある人で、ちょっと記憶力のいい人とか、やりたいという人。いろんな支援者の部分で、難病支援センターには就労の人が1人いるから一生懸命勉強されてやっていると思うのですけれども、中ポツの中にも、例えば1人つくるとか。今考えたのですけれども、アイデアとして。全員が同じレベルで上がっていくというのは難しいので、一人の支援者だけでも、窓口があれば、その人のために、その人が聞いてくれるから話に行くと思います。私がいるから、難病の方がハローワークに来るだけであって。
○小国座長 ありがとうございます。専門的な知識を持っている人をつくるということでしょうか。今、現状的には薄田参考人がされているというようなことでしたが、城構成員、よろしいでしょうか。
では、とりあえず、時間となりましたので、次に移らせていただいてもよろしいでしょうか。御意見のある方はまた後ほどの質疑応答のときにお願いいたします。
それでは次に、国立成育医療臨床研究センター生命倫理研究室室長の掛江参考人から、10分程度で発表をお願いできますでしょうか。
○掛江参考人 よろしくお願いいたします。掛江でございます。
本日は、「小児慢性特定疾病対策における自立支援事業に関する現状と課題」について御報告させていただきます。10分程度ということでございますので、多くのスライド、スキップさせていただいたり、かなり早口で御報告させていただきますことを先にお詫び申し上げます。
では、スライドの1枚目をご覧ください。本日はこちらにお示ししました2つの調査研究に基づき御報告させていただきます。
まず、報告事項1の小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施状況調査の結果を御報告させていただきます。
スライドの3をご覧ください。小児慢性特定疾病対策の自立支援事業とは、こちらのスライドにございますような形で、各実施主体が取り組む事業でございます。
スライド4枚目をご覧ください。本調査は厚生労働省健康局難病対策課から年に1回、全国の実施主体の担当者に対して、メールで当該事業の実施状況についてお問い合わせいただいた結果を、当方で集計を担当させていただいているものでございます。本調査は、平成27年度から実施しておりますので、本日はこの4カ年の結果を踏まえまして現状を御報告させていただきたいと思います。
スライド5枚目でございますが、自立支援事業は必須事業と任意事業の2つから成り立っているわけですけれども、必須事業の方はこちらにお示ししています5つの種類の相談支援事業となってございます。
スライド6から結果でございますが、まずは平成31年4月時点で、必須事業である相談支援事業については、全国全ての実施主体において取り組まれているということが確認できた次第でございます。
7枚目のスライドですが、相談支援事業の内容ですけれども、先ほど申し上げました5つの内容等を基準に活動していただいているのですけれども、平成30年度においてこの中で最も多いのが療育相談指導でございます。
スライド8をご覧ください。自立支援員の配置についてですが、自立支援事業においては自立支援員を配置していただくことになってございますが、平成31年度の4月時点で96%の実施主体にて1人以上の配置が確認されてございます。
スライド9枚目、自立支援員につきましては、専任の者が2年前に比べまして約3倍に増えてございます。
スライド10枚目ですが、自立支援員の大半が常勤で、かつほとんどが保健師の資格を持つ方でございました。
次にスライド11枚目でございますが、個別支援計画の作成状況でございますが、6割の実施主体で現状作成しておられないということでございます。
スライド12枚目ですが、個別支援計画を作成していない理由としましては、支援対象者が把握できていない、作成方法が不明である、準備中のところもございましたが、ニーズがないというような回答、それから他の事業等で作成しているという回答もございました。
次に、2枚スライド飛ばさせていただきまして、スライド15をご覧ください。任意事業になります。任意事業は、こちらにお示ししております5つの事業が例示されている事業でございます。
スライド16ですが、平成31年4月時点で何らかの任意事業に取り組んでいただいているという回答は全体の約半分近くになりました。
しかしながら、スライド17枚目以降になりますが、自立支援事業の任意事業のうちの療養生活支援事業につきましては、平成30年度、31年4月時点で15%。
次のスライド、相互交流支援事業につきましては38%。
スライド19枚目の就職支援事業につきましては5%。
それから、次のスライドで介護者支援事業につきましては4%。
次の21枚目のスライドでございますが、その他の自立支援事業ということで、これは内容を拝見しますと、主にきょうだい支援や学習支援等に取り組まれている実施主体が多いようですが、これにつきましては約10%ということで、いずれの任意事業につきましても依然として低い実施状況となっていることが明らかになっております。
次にスライド22でございますが、任意事業を行っていない理由につきまして伺ったところ、ニーズを把握していない、それから予算を確保できない、実施主体が半分思弁する事業でございますので予算を確保できていない、それから委託先がない、それからどのように実施してよいのかわからないとの回答が寄せられております。
次にスライド23でございます。小慢対策でも地域支援協議会を設置して運営していくこととなってございます。
スライド24ですが、平成30年度、31年4月時点で約半数の実施主体で設置されております。
スライド25でございますが、全体の約2割が難病対策に関する協議会等との共同で設置・運営されているという状況でございます。これは26のスライドに示した通りでございます。
それから、協議会の構成員についてはスライド27にお示ししておりますが、次、スライド28をご覧ください。協議会の開催頻度ですが、圧倒的に年に1回というところが多くございます。非常に多く開催されている箇所につきましては、協議会自体を実施主体の中で複数持っておられるということで、延べ回数により多く報告されているということのようでございました。
次にスライド29でございますが、協議会の議論の内容としては、施策の方針や課題の共有というところが多く、個別の事案については検討している協議会は少ないということが明らかになりました。
次の2つ目の調査の報告に移らせていただきます。スライド31以降になりますが、慢性疾病を有する子どものQOL及び社会支援等に関する生活実態調査をさせていただいております。こちらの調査の中の自立支援関係の項目の解析結果について御報告いたします。
スライド32に概要を書いてございますが、こちらは小児慢性特定疾病対策における医療費給付を受けている患児及びその保護者の方を対象にウェブ調査をお願いしたものとなります。
なお、8万8000余りの対象御家族に実施主体を通じて調査協力のお願いをさせていただきましたが、この調査は、ちょっと量が多いものでして、完全回答数が大変少ないことから、残念ながら代表性のあるデータとは言えないかと存じますが、利用者様の貴重な御意見ということで、本結果を参考としてご覧いただければと思います。
時間がございませんので、少しスライド飛ばさせていただきまして、41枚目をご覧いただければと思います。「本調査における自立支援事業の利用状況」でございます。約半数の47%、オレンジのところですが、「自立支援が患児に必要と思うが、利用していない」という回答でございます。23%が「必要としていない」、30%が「既に利用している」という回答でございました。
次に、また飛ばしていただいて、スライドの44をご覧いただければと思います。44と45のスライドが逆に表示されています。申し訳ございません。スライド44、「居住している地域での各種支援の認知状況」でございますが、自立支援事業を利用している方が非常に少ないということの理由を探るために、こちらの解析をさせていただきました。
左のグラフは、1つ以上の自立支援を利用している方の群になります。療育相談支援ですとか療養生活支援など利用率の高い支援におきましては、この利用率が高いというのはスライドの43枚目のところにグラフを載せさせていただいているのですが、戻りますが、こういった利用率の高い支援につきましては認知度が高く、その他の支援では認知度が非常に低い。
右のグラフは患児に支援が必要と思っているのだけれども利用していないという方の群についての解析結果ですが、こちらは「地域にあるのかどうかわからない」という回答が大部分を占めていて、ほとんど認知されていないということが明らかになりました。
スライドの46をご覧ください。これは「ストレスや悩みがあっても相談先がない」という回答をされた方が、「相談先がある」もしくは「相談は不要」と回答した方よりも、「相談支援は必要だけれども利用していないと考えている方」、赤線で囲わせていただきましたけれども、こちらが多いということを示したグラフでございます。
それから、スライド47でございますが、「ストレスや悩みの相談先がない」と回答した保護者の方は、「相談先がある」もしくは「相談は不要」と回答した保護者に比べて、有意にQOLのスコアも低く出てございます。
またスライド49枚目ですが、例えば「養護教諭の理解がない場合」には「苦しんだ経験がある」方は「苦しんだ経験がない」方に比べて有意にQOLスコアが低い結果が出ておりますし、時間がないのでちょっと飛ばさせていただきますが、スライド51枚目「学校や園と病院の連携がなくて困った方」についても同じような結果が出てございます。
54枚目のスライドでございますが、これは他のさまざまな解析の中でちょっと興味深いので持って参りましたが、「児に学習支援が必要」と保護者が考えている場合は、「必要ない」と考えている場合に比べて患児のQOLが有意に低いという結果を示したものでございます。他の要因の詳細な検討も必要ではありますが、この結果から学習支援が充実することによってQOLの向上が期待できるのではないかなと考えた次第です。
まとめのスライドに移らせていただきます。58枚目をご覧ください。自立支援事業の現状と課題でございますが、必須事業については、全ての実施主体において何らかの取組がされているということが確認できたのですが、他方、生活実態調査の結果では、支援が行き届いていないということが明らかになってございます。
支援が届いていない理由としては、地域によって未実施ということもございますが、支援の情報が届いていないという理由が推察されています。適切な情報提供が必要と考えております。
さらに、どのような自立支援を求めているのかのニーズの把握に関しましては、個々の患児の病態や発達段階、家庭環境等に合わせた自立支援が必要ですので、ニーズの把握も含めて体制づくりをお願いしたいと考えます。
それから、任意事業については依然として低い実施状況にとどまっておりますが、実施できない理由として、どのような任意事業が求められているのかがわからないとか、そういった理由が挙がっているわけですけれども、これにつきましては、先行している実施主体の成功事例等を調査・紹介するなど、実施主体への具体的なサポートを進めていく必要があると考えます。こちらにつきましてはこの後御報告くださいます檜垣先生の研究班で進めていただいていますので、御報告が聞けるかと思います。
最後になりますが、生活実態調査の結果から、必須事業である相談事業に加えて、任意事業、学習支援であるとか療育支援、介護者支援などが患児並びに保護者のQOLの向上に強く寄与する可能性が示唆されました。こういったことから、さらなる必須事業の充実はもちろんのこと、任意事業の展開が強く期待されるところではないかと考えております。
以上でございます。
○小国座長 全国的な非常に貴重なデータを短い時間にまとめてくださいまして、ありがとうございました。
では次に、国立大学法人愛媛大学大学院医学系研究科地域小児周産期学講座教授の檜垣参考人から、10分程度で発表をお願いいたします。
○檜垣参考人 皆さん、こんにちは。愛媛大学小児科の檜垣と申します。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。
自立支援事業の研究班を担当させていただいていますので、私のほうからは、最初のスライドにありますように、自立支援事業の活性化のポイントについて少しお話しできたらと思っております。
掛江先生のほうから少し現状の御報告がありましたので、6枚目のスライドからお話ししていこうと思います。
まず、必須事業ですけれども、相談支援事業を進めていくにおいてとても大事なのは、うまくニーズを把握することと相談窓口機能が充実すること、これをうまく周知していくこと、この3つがとても大きなポイントになると思います。
次のスライドですが、これは愛媛県での調査ですけれども、実際にニーズを調査したところ、相談窓口がきちっと欲しいということと、学校のこと、それから仕事のこと、就労のこと、それから、介護者支援の中ではきょうだいのこと、これらのニーズが高いことが示されています。
次のスライドですが、これをもとにして、私たちの研究班では調査や研究を進めていくようにしております。ここに載っているようなことを研究しております。
次のスライドですけれども、これはこの研究班の特徴だと思いますが、全国からより多くの研究協力者の方々に集まっていただいて、成果報告会を毎年行って、ここでは好事例とか先進事例などを情報収集したり共有して、この中から課題を抽出して、それをさらに共有して、実効的な研究につなげていくという形で、うまく進んでいっております。
次のスライドですが、その成果のほうになってきますけれども、まず最初に保健所における調査として、これは三沢先生中心に行っていただきましたが、窓口機能としては、NPOなども重要ですけれども、申請窓口である保健所とか保健師さんの役割はとても大きくて、実際の数字を見ると約半数が窓口を占めています。ただ、この課題としては、ほとんどの人がこの自立支援の研修をまだ受けていないということがわかりまして、これが一つの大きな課題だということがわかりました。
次のスライドですけれども、ここは保健師さんの要望が出ていますが、やはり小児の支援に対する知識が不足しているというのを感じておられまして、専門家から助言を受けられるシステムとか、役に立つような手引きとか、こういったものが必要ということが言われていまして、これはまさに私たちの研究班で担当している内容だと思います。
次のスライドですけれども、実際にこの自立支援事業に関しては、保健所の果たす役割というのはとてもあると感じられて、9割ぐらいはやはり必要だと感じておられますので、この相談窓口の機能からこれをうまく任意事業への展開に進めていくには、自立支援の研修会とかを通して社会資源への連携を進めていけるようになっていくことが必要だろうと考えております。
次から少し好事例をお示ししますが、窓口機能の好事例としましては、これは仙台、宮城県の事例ですけれども、自立支援員さんが大学病院の小児科の中に設置されているようなシステムで、これはとても連携がとりやすい一つの事例だと思います。
次は福島県の事例ですけれども、これはNPOの自立支援員さんが大学病院のサポートセンターの中に連携している、そこに出向していくような形で取り組まれていて、これも一つの好事例だと思います。
次の私たちの愛媛県松山市の事例ですけれども、ここはNPO中心に連携しておりまして、病院や家族会とも連携を進めています。一つの特徴は、愛媛県と松山市が中核市ですけれども、両方がうまく協働してくれていて、どちらかがどちらかということで別々にばらばらにならずに、一緒に連携してうまく支援していただいているという形で、これは一つのモデルかなと考えております。
次のスライドにいきますけれども、支援協議会のことに関して、先ほどもお話がありましたが、だんだん協議会の設置もふえてきているのですが、その次のスライドで、やはり実務者レベルの実効的な委員会というのがとても必要で、年に1回だけとか、こういう協議会を開いてもなかなか有効にいきませんので、個別案件を検討して、事業化につなげていけるような実効的な委員会というのが必要で、これを事業につないでいくというシステムはとても大切だろうと感じております。
次のスライドですが、これは実際に委員会の様子ですけれども、これは私たちのまさに宝物で、こういったところで現実的な支援につながっていっているというような状況です。
次の事例ですけれども、これも好事例だと思いますが、実際に全ての内容を一つの団体に委託するというのはなかなか大変な部分もありますので、得意分野を限定的に委託していくというのも一つの取組で、ここは相談支援事業のうちピアカウンセリングを患者会に委託しているような取組で、沖縄県の取組として、これは好事例の一つとして挙げられるのではないかなと考えております。
次のスライドですけれども、いずれにしましても、保険者だけでも取り組めませんし、病院だけでももちろんできませんし、支援団体だけでもできませんので、連携が大切だということはこの事業を進めていく上で明らかになっていることではないかなと思います。
次のスライドからは任意事業のほうに入りますが、これは掛江先生のほうからも御案内がありましたけれども、やはり増加傾向にはあるのですけれども、依然として低い実施状況になっております。その理由としては、やはりニーズが把握できていなかったり予算を確保できていないとか、そういったことも示されているのですけれども、どのように実施してよいかわからないということに関しては、これは研究班などの好事例の紹介から対応できるようなものではないかなとは考えています。
そして、その任意事業の中でも学習のことに関して見ていきますと、その次のスライドで、やはり相談件数はどんどんふえてきておりまして、とてもニーズが大きいということは示されていると思います。その次のスライドもそうですが、学校との関係の中で9割以上の人は必要と感じていて、とてもニーズの大きい分野だと思います。
その次のスライド、岡山市の取組についてですけれども、委託の内容は相互交流支援事業ということで、任意事業の一部を岡山市からポケットサポートというところに委託されているのですけれども、実際には、相互交流支援の中には学習とか復学の心配などもありますので、こういった一つの取組から展開していって、任意事業がだんだん拡大していくというような取組になっておりますので、得意な分野を見つけて限定的に委託するところから任意事業が展開していくという、これは一つの大きな好事例だと思います。ニーズは1つだけではないということだと思います。
次のスライドですけれども、これは以前もお話をさせていただいた内容ですが、これは愛媛県の取組ですけれども、教育学部が近くにあるところは、教育学部と連動したりして、学生さんとかも一緒にこのような学習支援の取組ができることがありますので、特にこれはベネッセから今サポートもいただきながら取り組んでいるのですけれども、こういった展開をしていく一つの事例としてお示ししました。
そして、次のほうは就職・就労関係ですけれども、これはすごく新規性の高いいい研究が研究班の中でできていると思います。
その次のスライドを見ていただいたらと思いますが、企業の視点からどのように慢性疾患とか障害者雇用を見ているかというところ、実際に雇用している方たちからの御意見を調べさせていただきました。これはよくある仮想事例で、上側は手帳がある人、下は手帳がないという形でお聞きしていったのですが、これは細かく御説明していきたいところですけれども、実際にはかなり厳しい現実も示されていて、全く興味がなくて経験なしというのが半分を占めていますし、まだまだ経験はないというのも含めると、4分の3以上、障害者雇用、慢性疾患の雇用の経験がないというのが現状です。
そこから見ていきますと、仮想事例で、病気を知っているかとか、次のスライドで、どんな配慮をしているかとか、雇用に当たり心配なこととか、知りたいこととか、いろんなことを示していただいていますが、35枚目のスライドでは、自立支援員さんのような間に入ってくれる人がいると有効かという質問に関しては、半分以上が有効だといただいていますので、こういった役割というのが示されてきたのではないかなと思います。
36枚目のスライドですけれども、これは企業の視点からこういった就労における課題が明らかにされまして、このエビデンスに基づきまして、就労支援における自立支援員の役割というのを検討できる重要な資料になったのではないかなと考えております。
同じ就労ですけれども、少し話題は違いますが、これは静岡県のとても大切な取組だと思いますけれども、ハローワークと病院が連携して、小児科医とハローワークのメンバーが情報交換するといった機会を設けていたり、こういうことで情報共有できるというのはとても大切なことだろうと思います。こういった情報を共有できるのはこの研究班の中でのこういう会議がとても役に立っているという状況だと思います。
次はきょうだい支援ですが、これもとても大事な、これから取り組んでいかないといけない課題ですけれども、39枚目の表になります。病院対象とか支援団体対象の調査は現在進んでおりまして、ほとんどアンケートも回収されていますので、これまた新たに御報告することができると思います。
最後に、これは自立支援員さんの研修とか育成とかサポートのことですが、41枚目になりますが、これほどニーズの高い、とても大切な事業ですので、質的向上というのも目指していかないといけないと思いますが、この自立支援研修会というのはこれからとても重要な位置づけになってくるだろうと思います。現在では難病ネットワークさんと成育医療センターとは本当に御尽力いただいて自立支援研修会というのを行っていただいているのですが、実はことしの6月に私も参加させていただいて講師をさせていただいたのですけれども、とても大切な研修会で、この研修会にこの分担研究の中で行っている手引きの作成というか、自立支援を行っていくためには、内容は非常に多岐にわたりますので、どのような知識が必要でどのような行動が必要かというのはだんだん整理できてきたと思いますので、その中にうまく盛り込んで、一緒に進めていくようなことができたらいいのかなということを考えています。
そして、地域とかいろんなところでそういう研修会ができるようにして、充実して、全国に広げて参加率を上げていくというのがこれからの目指すところではないかなと考えています。
最後のスライドにいっていただいて、まとめですが、ここの事業に関しては、制度とか社会の狭間に入ってしまう子供たちにとってはとても大切な事業ですので、潜在的なニーズがあることをよく把握して、うまくみんなで全員に届けていけるようなシステムにしていくことがとても大切だと思います。そのためには質的向上とか、また情報の共有とか、みんなで情報を共有しながら、連携しながら進めていくということがとても大切で、多岐にわたる支援の内容になりますので、医療-福祉-教育-就労と書きましたけれども、いろんなところがうまく協働して、早期介入していけるような形にできていったらいいのかなと思います。
移行支援のことはまたこれからの課題ですけれども、自立支援の向こう側には移行期の支援がありますので、そこにも連携できるようなことも少し念頭に置きながら進んでいくのかなと思っております。
以上です。どうもありがとうございました。
○小国座長 小慢の自立支援事業に関する現状と、そしてまた、好事例、愛媛の取組など、わかりやすく、ありがとうございました。
それでは、掛江参考人と檜垣参考人への御質問の前に、議題3として、厚生労働省より、障害福祉サービスなどについて御説明いただいた後に、まとめて質疑応答に入らせていただきたいと思います。
それでは、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部より、10分程度で御説明をお願いいたします。
○社会・援護局障害保健福祉部企画課伊藤補佐 障害保健福祉部企画課の伊藤と申します。私からは、障害福祉サービスについて説明したいと思います。資料3-1、3-2をごらんください。
まず、2枚目のスライドですが、「障害福祉サービス等の体系」ということで、利用できるサービスの一覧が示されています。サービスの中には、介護給付と呼ばれる上のオレンジ色の部分のサービス、あとは訓練等給付と言われる下の黄色の部分のサービス、あとは補装具費の支給ということで、この青い部分のサービスがあり、難病の患者さんにおかれましても、これらの障害福祉サービスを利用することが可能となっています。
続きまして、このようなサービスに関する周知ですが、スライド2「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて」をごらんください。平成25年4月より、難病等が障害者総合支援法の対象となり、当初は「難病患者等居宅生活支援事業」の対象疾病と同じ範囲(130疾病)としていました。対象疾病に関しましては、適宜見直しを図っているところです。
障害者総合支援法の対象となる難病等の検討に関しては、「障害者総合支援法対象疾病検討会」を行っています。こちらにて適宜見直しをしているところではあり、今年度、令和元年5月17日に第7回の検討会を開催しました。
これまでは359疾病が対象でしたが、361疾病に見直されております。この見直しに当たってどのような難病等が障害者総合支援法の対象となるかということについてどのように周知しているかということを資料3-2に示させていただいております。
各都道府県の障害の担当部局であります障害保健福祉の主管部局だけではなくて、病院を担当している衛生主管部局にも通知を出しております。また、それぞれの医師の方にも周知していただくことが必要となりますので、日本医師会にも同じような周知のための通知を出しております。
この通知にはリーフレットを添付しております。このリーフレットですが、障害者総合支援法の対象となる難病が追加されますということで、このリーフレットを都道府県、日本医師会に配布しております。また、こちらは厚生労働省のホームページからもごらんいただくことができます。この中で障害者総合支援法の対象疾病と、今までは「疾病」という言い方をしていましたが、難病の患者さんが利用するに当たりわかりにくいだろうということも考え、今回の通知から「対象となる難病」という形で、より難病の患者さんにも障害福祉サービスを利用していただけるような工夫をいたしております。
一覧としてもありますが、どのような対象疾病があるのかを、病院の医療者側、あとは担当する行政の方皆さんに周知していただく必要があると思いまして、障害保健福祉部としてはこのような形で周知をしています。
以上で説明を終了させていただきます。
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、掛江参考人、檜垣参考人の発表、そして今の厚生労働省からの説明について、御質問、御意見をお願いいたします。
では、福島先生、お願いします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
僕は難病の子供の親なのですけれども、親として、あるいは支援者として、ふだん強く感じていることにとても共感できる興味深い御発表、どうもありがとうございました。御質問というよりは意見に近いかもしれませんけれども、3つほどございます。
1点目は地域協議会です。これは指定難病のほうも小慢も両方該当すると思いますが、この地域協議会については形骸化されたものではなくて、地域のニードを汲み上げて具体的な事業に結びつける力のある地域協議会にすることが大事だと思うのですけれども、そのためには、この事業を義務的経費化をしないとなかなか難しいのかなと思います。一方、現場の工夫として、部会を設置するとか、地域関係者の顔がつながる交流、あるいは頻度の高い情報交換を促す仕組みが必要だと思うのですけれども、そういったことを進めるためにどういった工夫をしていらっしゃるのかというのがあったらぜひ教えていただきたいと思います。
2点目は福祉支援と就労支援についてです。これはいつも申し上げていますけれども、疾病名によるくくりだけでは制度の谷間というのは永遠に埋まらないわけで、例えば病気特有の痛みとかだるさであるとか、あるいは気管切開をしている状態であるとか、あるいは医療デバイスを使っているという状態など、従来の障害では捉えられない難病とか慢性疾病による活動の制限とか参加制約を含む新たな障害の認定という視点が欠かせないのかなと強く感じます。
それから、自立支援事業につきましては、これもよく言われていますけれども、実施主体によって特に任意事業の取組にかなりの温度差があるということが裏づけられました。参議院の附帯決議におきましても、指定都市・中核市が適切に事業実施できるように必要な支援をすべきであるとか、学習支援を含めた平等な教育機会の確保、就労支援や家族支援の充実が必要だということが、この法律ができる当初からうたわれておりますので、ぜひこの部分を進める形をとっていただきたい。これらの問題の解決にはやはり地域協議会の活性化というのが必須だと思います。
以上でございます。
○小国座長 ありがとうございました。3点おっしゃっていただいたのですけれども、1点目の地域協議会について、ニーズを汲み上げて地域に結びつけるようなものということで、部会を設置したり頻度の高い情報交換するためにはどのようにしたらいいか、どういう取組をすべきなのかということの解決に向けての御意見がある方、どうぞお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
先ほどの新宿区の取組も1つかと思いますけれども。
では、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 失礼します。普遍化されたものではなくて、うちの保健所でのということで少し御紹介させていただきたいと思いますが、地域協議会については年1回という開催ですけれども、私たち現場の者自体も、これが形骸化されて単なる紹介に終わったりしてはいけないというのは強く思っておりまして、うちについては今三本の柱で協議会を進めているのですけれども、1つが重症の方の療養支援、もう一つが就労と生活支援、3つ目が災害時の支援という一応柱を持っています。
昨年度については就労支援というところがメインに課題になってきているし、私たちもやはりひしひしと窓口の面接とか個別支援の中でも感じてきているので、ここをやっていきたいなというところで、ただ、保健所だと、なかなか現場の声も聞こえないし、関係者がどうしているかわからないので、地域の中で就労にかかわってくださっている方の声をまず聞いていきたいということで、ハローワークでありますとか、中ポツの支援センターですとか、各支末さんの窓口とか、全部、まず聞きに回りました。
その後、その人たちに集まっていただいて、就労支援のネットワークの会議みたいなものを持ちました。そういう段階を踏んで、現状を聞いて、一番上の大きな各医師会とかも入っていただいていますし、病院の上の方も入っていただきますが、トップの方に来ていただくような協議会に現場の声を上げていったり現状を上げていくというような工夫をしております。
今年度については、同じく災害について同様のことを一旦段階を踏んで、そこで現場の者が、ここが課題なので協議会でこういうことを検討してもらおうということを考えた上で上げていくという工夫をさせてもらっています。
○小国座長 ありがとうございます。ほかにはございますでしょうか。
江口構成員、よろしくお願いします。
○江口構成員 興味深い御発表、どうもありがとうございました。就労について、ちょっと私の専門ですので、その点について少し先生方のお考えを伺えればと思うのですが、2点、私のほうからありまして、就労について議論するときに、新規の就労と就労の継続というのは分けて議論しないとちょっと混乱していくかなという気がしています。
前半の薄田参考人のお話にもあったのですが、アセスメントをするときに、就労継続という点においては、企業の中にも産業保健職がいますので、その点からある程度医療機関ともコミュニケーションをとれるだろうとは思います。新規の就労ということになりますと、その人のこれまでのことを雇用者は知らないわけなので、そこではまたアセスメントの仕方というのも少し難易度が上がってくるかなと思いますので、その辺のところを分けて議論していく必要があるかと思いました。
あとは、今の檜垣先生、掛江先生のところですが、やはり小児期から成人期へのシームレスな就労支援といいますか、そういうところが大切かなとかねてから思っていまして、そういったときに、今いろいろな取組が当事者さんにされていると思うのですが、私がいろいろ現場で話を聞くと、先ほどの薄田さんの話とも関係しますが、御本人たちが自分の病気のことを就労という点から言語化するということに余りなれていないのではないかなという点がありまして、そういったところについて、例えば職場を見に行って職場経験するということももちろん大切で、それを踏まえた上で、自分の病気を踏まえて、どういうことが自分ができるのかということを積極的に企業にアピールしていくものであったり、あとは就労の際のエントリーシートに、自分の取扱説明書といいますか、そのようなものであったり、あとは、例えば大学のキャリアセンターとかでの教育の場とか、そういったものが取組としておありになるかというところをお聞きしたいなというのと、そういう可能性についてお尋ねできればと思いました。
○小国座長 ありがとうございました。それでは、今、1番目のほうは、アセスメントの難易度が新規だと上がるということで分けて考えるというお話だったと思いますが、2番目のほうで、就労という点が患者様御本人はなかなか言語化できずに、エントリーシートとか、面接のときなどに自分のアピールできないことがあるのではないかということで、どのようにそれを克服するというか、どのようにすればよいか、考えをお聞きしたいということですが、何か御意見ございますでしょうか。
○檜垣参考人 御質問ありがとうございました。とても大切なところで、私たちも常にそこは気になっているところですが、特に小慢に限って言いますと、おっしゃられたように、就労継続でなくて、就活なのですね。これから仕事を見つけていくということになりますので、まさにそこはとてもハードルは高いと思います。おっしゃられたように、自分で何ができて、何ができなくて、何をしてほしいのか、自分の病気はどういう特徴があって、何に注意が要るのかということを自分がちゃんと言えるようになっていかないと、実際の企業で就職をかなえていくためにはなかなか難しい部分があるので、それを私たちもこういう事業をすることによって、大分いろいろ情報もあってわかってきましたので、それをもっと年齢の低いところへ反映させて、早くから介入して、そこはみんなで支援していると、この子はもしかしたら将来支援が必要そうだというのがわかれば、早くから対応していって、そういうのに備えていくというのがとても大事だと思います。
これは自立支援事業とか、あと、その先つながってくる移行期の話とかで、計画的にというか、先を見据えた、予想をした支援というのにつなげていけたらいいかなと思っております。少しずつ若年に下げて取り組んでいるところでございます。ありがとうございました。
○小国座長 ありがとうございます。ほかにはございますでしょうか。
では、本間構成員。
○本間構成員 あせび会の本間でございます。
薄田さんにお伺いしたいのですが、労働局の関係ですけれども、実は私のところでもb型就労支援というのを今やっているのですけれども、その関連から申し上げますと、障害者もそうですが、難病患者の場合、就労支援をまずやれば、a型、b型ですね。それから、企業でしたら特例子会社ですね。その辺からスタートするのが一番無難かなと。一般の企業のほうに就労あっせんしてもなかなか、うちなんかでも、やってすぐ帰ってきてしまうのですね。だから、その辺、理解がなかなか進まないということがあって、その中間といいますか、緩衝地帯といいますか、そういったところからスタートすれば少しずつ進むのではないかとも思うのですが、その辺は薄田さんなんかどのようにお考えですかね。ちょっと教えていただきたいのですが。
○小国座長 お願いします。
○薄田参考人 お考えというより実践していることですけれども、障害者雇用率があるので、私のところに相談来る方は、障害者手帳がない方が多いのですね。a型はオーケーですよね。助成金も出るし。a型って交通費が出ないので、近くにないとちょっと通勤ができない、足が出てしまうということで、なかなかa型は、一般企業のほうがずっと多いし、a型事業所、何%かわからないですけれども、やはり少ない。また、埼玉もまだ地の利がいいので、駅近なら少しあるかなというのはあるけれども、全くないところもあるのです。埼玉も秩父のほうとかは全くないので、もう紹介しようがないのですね。
では一般企業でなくて障害者枠というと、企業さんが余りニーズがないので、手帳のない方なんですけどと言っても、やはり応募が厳しくなるのですね。御遠慮されてしまう。企業のほうが、手帳のある方が今回は欲しいので、済みませんけれども、応募は御遠慮願いますと言われてしまうので、一般枠が多いわけですね。
先ほどの江口先生の御質問も、ちょっとお答えしたいと思いますけれども、自分のエントリーシート、自分の取説をどうするか、本当に悩ましい問題でして、本当の個人情報をどこまで伝えるかと。病名は言わないで症状だけ伝えようかとか、いろんな方法があります。症状だけ伝えると助成金を使えないのですね。病名を伝えて採用されないと助成金が使えない。採用された後に病名がわかっても助成金の申請はできないとか、制度の壁もありまして、いつ言うか、誰に言うかというタイミングがすごく難しくなってきます。
私もやっと最近わかってきたのが、障害者雇用というのはなるべく雇用率を達成するために企業は努力されているのですけれども、今ある業務の中の切り出しをやってもらおうではないか、君のできることを、これならできるよねと言って提供してもらうわけですね。でも、一般雇用というのは、新規事業立ち上げて、人がふえるからとか、人がやめてしまったからという理由で採用するわけですね。だから、全然採用理由が違うのですよ。一般就労と障害者就労は。障害者就労がすごくいいんだとか、一般が大変だという意味ではなく、そこの会社のニーズが違うので、それに対してマッチングをするのがハローワークの役割なのですね。
会社がどんな方を求めているか、どこまでの配慮ができるかというのは聞くわけにはいかないので、こういう方ですけれども、病気があってもおたくの事業はできますよ、だけど、禁忌、これはちょっと配慮していただかないとというのをちょっとつけ足すわけで、そのさじかげんを毎日利用者さんと相談しながらやっているわけですよ。どこまで言うとか、じゃここは言わないでおこうねとか。御本人のいろんな力量だったりパーソナリティだったり能力だったり、いろんなものを提出しながら、企業さんはまたそれを選んで、じゃあ雇おうかとかあるのですけれども、まず一本、私が好印象を与えて、とりあえず会ってくださいと。エントリーシートに病名を書くと、やはり難しい病気だったり、わからないことはとりあえずやめておこうと企業は思いますよね。わかっているなら理解もするけれども、難しい病気だし、うちじゃ管理できないよねえと思わないように私たち支援者がいるわけですけれども、そこで病名を、エントリーシートの問題、がんもそうでしょうけれども、がんのサバイバーさんは疲れやすい方多いですよね。若いころに放射能浴びて大変だったという、そういう相談もたまにいらっしゃるのですけれども、普通の男子としての求められることが提供できないとなると、特異な能力を自分で身につけない限りはニーズがないわけですね。皆さん、それだけの能力があるかというと、ハローワークに来る方は普通の方なのですよ。強みを強みをとおっしゃるけれども、それもすごいプレッシャーなのですね。普通の方なので。だから、その辺で、どうしようかといつもやっております。
済みません。長くなりました。
○小国座長 ありがとうございました。ほかに。
では、高橋構成員、よろしくお願いします。
○高橋(昭)構成員 宇都宮から来ました高橋です。
私、ふだんから医療的ケアが必要なお子さんの在宅医療にかかわっているのですけれども、こういったお子さんの大半は寝たきりの方が多いのですが、最近、厚労科研の調査でも、ある程度の、知的障害がない、あるいは軽い、そして運動能力あるお子さんたちが一定数いるということがわかってきました。2017年には、20歳未満のお子さん、医療的ケアが必要なお子さんが1万8951人ですけれども、その中に多分2割とか3割ぐらい、ひょっとすると、歩けるとか、そういう移動能力あるお子さんたちがいるかもしれないのですけれども、そもそもこういったお子さんは昔から少数ながらいらっしゃったと思うのですが、働くとかそういうことをほとんどされていなかった現状があって、好事例で、栃木県でも、ついこの間、気管切開されて大学卒業した方がめでたく一般の、加納市というところですけれども、普通に就労されたということはとてもよかったなあと思うのですけれども、なかなかそういった道があるということを皆さんに知らされていないし、先ほど福島さんがおっしゃったように、状態像とか、呼吸器がついているとか、気管切開だとか、そういった、社会にもうちょっと出ていけるのだけれども、さまざまな点でもうその道がないと諦めていらっしゃる方が実際に多くて、私も多分周知とかもできていないと思うのですけれども、そもそもお母さん、お父さんは、この子たちは働けないのではないかときっと思っていらっしゃるし、そうすると、そういう教育を受けているお子さんたちも、テレビを見て、スポーツの観戦をして、ビデオを見て、そこでずっと日々を暮らしていらっしゃるのが現状です。
できたら、知的障害がない、または軽い、そういった医療的ケアが必要なお子さんがもうちょっと社会で活躍できるような仕組みがないかなあと思っているところです。
済みません。まとまりませんけれども。
○薄田参考人 在宅就労、今盛んに厚労省のほうでやっていらっしゃって、実際にさいたま市でも筋ジスの方が、24時間介護ですけれども、就職されて、まず病院から出たことがなかったと。一人で生活したと。もちろん、体位変換が何十分に1回かな、しなければいけないのですよ。介助者はずっとついているのですけれども、就職できたという、今、2名くらい、女性もいたかな、本当に働くということができるようになった時代というか、在宅ワークですけれども、可能性はすごく出てきたのではないかなと思います。
○小国座長 ありがとうございます。
では、まだ御意見ある方もいらっしゃるでしょうけれども、次の議題に移らせていただきたいと思います。
「具体的な論点の検討について」ということに入りたいと思います。事務局から、合同委員会で示された意見と具体的な論点について、資料を用いて説明いただき、その後少し質疑応答させていただきたいと思います。
では、事務局からお願いいたします。
○領五難病対策課長補佐 それでは、事務局から御説明させていただきます。資料4を御覧ください。「合同委員会で示された意見と具体的な論点」ということで、事務局から提示させていただいている資料でございます。
資料の構成でございますけれども、例として、3ページ目と4ページ目を御覧いただきたいのですが、まず、各議題ごとに、3ページ目としまして「合同委員会で示された論点」という項目がございます。こちらは冒頭事務局のほうから説明をさせていただきました資料1-1、6月28日に合同委員会でおとりまとめをいただいた論点をそのまま転記したものでございます。
その次に、4ページ目において、「検討に当たっての事実関係及び検討方針」ということで、本日もお手元に紙ファイルで5月の合同委員会でお示しした関係資料をお配りしておりますけれども、そちらの資料で示されている業務の事実関係ですとか、そういった点を補足するような形で事務局で今回お示しさせていただいているものでございます。
4ページ目の下に参考資料のページ数と書いてございますけれども、こちらはお手元の紙ファイルの分厚い資料のページ数でございますので、必要に応じて御参照ください。
それでは、中身について、時間も押しておりますので、簡単に御説明させていただきます。
4ページ目でございますが、まず「難病相談支援センターについて」ということで、5月の資料でもお示しさせていただきましたとおり、様々な運営形態がございます。例えば医療機関に委託されているケース、自治体が直接運営しているケース、患者支援団体に委託されているケース等がございますので、こうしたことも踏まえながら、センターの機能や役割についてどのように考えるかということでございます。
周知の観点もございまして、まだセンターを知らない患者の方々もいるといったアンケート結果もある中で、今後、患者が利用しやすい施設にすることについてどのように考えるかということ。また、本日も御議論ございましたけれども、専門的な知識やスキルのある人の人材の育成や配置についてどのように考えるかということ。そして、各機関との連携の強化の方策ということでお示しさせていただいております。
次の5ページ目でございますけれども、「地域協議会について」ということでございます。事実関係及び検討方針というところでございますが、法律上、地域協議会を置くよう努めるということに難病の方はなっておりますけれども、その設置状況や立上げ方法等を踏まえつつ、今後の活用方法についてどのように考えるかということ。そして、構成や役割についてどのように考えるかということで書かせていただいております。
続いて6ページ目以降は福祉支援でございますけれども、7ページでございます。これも5月に合同委員会でお配りしたアンケートの結果でございますが、サービスを利用したことがあるという方が2割だという結果もございまして、効果的な周知の実施に向けた他施策との連携のあり方についてどのように考えるかということで書かせていただいております。
8ページ目以降は就労支援でございます。
9ページ目は論点をそのまま転記したものですので飛ばさせていただきまして、10ページ目でございますけれども、難病患者に対する就労支援についてということで、近年、活動状況として、年々増加傾向が認められるところではございますが、今後ともきめ細かな支援を可能とするためにどのような連携のあり方、あるいは中心となるような機関についてどのように考えていくのかということ。そしてまた、特に難病相談支援センター等の関係機関における支援体制の整備についてどのように考えるかということ。3つ目の○につきましては、こちらも5月にお示しした資料の中で、アンケート調査結果として、医療費の助成の対象ではないような患者の方、いわゆる軽症者の方が、就職していない難病患者の中にいるということで、こうした方々にも支援が届くような方策についてどのように考えるかということ。
また、企業に対する効果的な理解促進の支援策についてどう考えるかということを書かせていただいております。
11ページ目以降は小慢の自立支援事業についてということで、最後の14ページ目を御覧いただければと思います。先ほども指摘がございましたが、任意事業について、今後とも実施率を高める方策についてどう考えるのか。あるいは、そのためには、必須事業でございます相談事業等を活用することについてどのように考えるかということ。そして、より多くの小慢児童の方々、そして保護者の方に周知が届くようにするための方策、また、利用者側だけではなくて、支援者の側に対しての理解を促進するような取組についてどう考えるかということを書かせていただいております。
そして、各自治体ごとのばらつきをどうするのか。また、NPO、民間企業などの活用の方策についてどうするのかということ。そして、他施策との連携のあり方についてどのように考えるかということで資料でお示しさせていただいております。
事務局からは以上です。
○小国座長 ありがとうございました。
それでは、議論に入りたいと思います。事務局資料及び全体的なヒアリングの内容を踏まえまして議論していきたいと思います。テーマは非常に多岐にわたりますけれども、時間が押しておりますので、どこのテーマと区切らずに全体的でやっていきたいと思いますので、御意見ある方はどうぞおっしゃっていただければと思います。
森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。森です。
まず、難病相談支援センターですけれども、これは先ほども出ておりましたように、ピアサポーターのほうの活用をぜひお願いしたいと思います。患者に寄り添い、また共感できるピアサポーターや、患者会が活用できる心のよりどころとなる難病相談支援センターであることを求めております。そして、今、全国難病センター研究会の研究大会というのが年に2回開催されておりますけれども、こちらのほうでそれぞれの支援センターとか、あと患者会等からの発表があるのですけれども、やはり日ごろからの情報の共有ですとか交流等もありませんので、私たちは、各支援センター同士で相談できるような、全国難病センターといったものの設置を求めております。やはり地域格差があるところ、また運営形態が違うところの、また強みなどを生かしながら共有していき、よりよいものにしていきながら、地域格差が解消していくといいなと思います。
それから、福祉支援のほうですけれども、先ほど障害者総合支援法のほうで難病という文字を表紙のほうにも入れていただき、どうもありがとうございました。私どもでも強くずっと要望し続けてきたところですし、いつもその他の心身の機能障害として表示はされておりましたけれども、難病の患者さんですら、難病が対象になっているということがなかなか周知しにくかったところです。
また、障害者総合支援法だけではなく、障害者基本法であるとか差別解消法、雇用促進法等々も難病の対象となっているところは、ぜひ表示についても「難病」とはっきりと書いていただき周知していただけるようにとお願いしたいと思います。
そして、また、就学、進学、雇用、就労、それから障害年金、介護、支援、補装具、それから生活支援等々、やはり全ての障害者施策の対象となることが私たちの難病のほうは求めております。先ほどもありましたように、難病患者のニーズに合う福祉サービスが必要ですし、そして、身体障害者手帳等の基準にはなかなか合わないといったようなところもありましたので、こちらのほうもぜひ改善を求めたいと思っております。
あと、就労支援のほうで障害者の法定雇用率の対象にしてほしいといった要望も出しておりますけれども、こちらのほうはいまだになかなか難病に対して誤解や偏見もありまして、企業等への就労というものが難しいところもあります。難病患者の働く機会をふやし、そして、難病患者が働くことができるということを、対象となることによって周知することができるのではないかと思います。
また、その場合に、障害者枠での就労となりますと、どうしても清掃などの肉体的な労働であるとか、それから単純作業といったような仕事内容が多かったりもしますので、ぜひこのあたりはやはり難病の患者さんのニーズに合うような、能力に合うような仕事がマッチングできるといいなあと思います。
そして、最後ですけれども、難病患者が働き続けるためにはやはり定期的な通院というものが欠かせず、基本理念にもありますように、社会参加の機会の促進確保でもありますし、働き続けるためには、通院休暇ですとか、それから病気休暇などの制度化を行いながら、そしてまた、多少の障害年金などが入っていると、もっと安心して自分自身の体調に合わせた働き方もできるのではないかと考えますので、ぜひ協議のほうもまた引き続きお願いしたいところです。
○小国座長 ありがとうございます。当事者の会からいろいろと具体的な要望が出ておりますけれども、ほかの委員の方はどうでしょうか。
では、福島構成員、お願いいたします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
私どもと一緒に、親の会連絡会に小慢に関して検討するワーキンググループを設置して、いろいろ今まで検討してまいりました。先々月、共同要望書を難病対策課にも出させていただいておりますけれども、そこから2点ほど情報提供させていただきます。
1点目は、受給者証の交付を受けていない患者とその家族でも、小児慢性特定疾病の対象疾病であれば自立支援事業を使えるようにしてほしいということです。比較的軽症な方、あるいは他の制度、子供の医療費の助成か、障害の医療費の助成を使っていて、小慢を申請していないけれども小慢の対象疾病の方にも、自立支援事業を使えるようにしてほしいという要望がありました。
2点目は、きょうも話題に出ておりました教育だとか就労であるとか、家族支援、きょうだい支援については、任意事業ではなくて、必須事業に位置づけるよう強化してほしいという要望がございましたので、紹介させていただきます。
以上です。
○小国座長 ありがとうございました。ほかにはございますでしょうか。
では、お願いします。
○根本構成員 柏市保健所の根本です。
柏市は中核市保健所ですので、保健所と保健センター機能がございまして、そこで母子保健も全部やっているような状況ですけれども、小慢の方は、年間400人ほど、今登録しているような状況でございます。その中で、私も今皆様方のお話を聞いて、毎年必ず全員には状況を聞いてニーズ把握はしているような状況ですけれども、把握が足りないのか、実際には期待されていないのかわかりませんけれども、小慢の方からの就労の相談というものはほとんど受けていないような状況です。
一番相談が多いのは、こちらの論点にもある障害者医療的ケアの方の御家族の家族支援というようなところでして、先ほどもお話ありましたけれども、今、医ケアの必要なお子さんは、寝たきりの方だけではなくて、本当に走っていて、気切をつけているような方もいらっしゃって、そういった場合、学校とかでは、その子だけではなくて、やはり回りのお子さんがぶつかったらどうしようとか、そういったことにも大変苦慮しているような状況だと伺っています。
それで、ようやく今年度、医ケアのお子さん、気切して吸引が必要なお子さんが小学校に入られたのですけれども、去年、おととしぐらいも、学校のほうで看護師さんを募集してもなかなか看護師さんが見つからないということで大変苦慮されておりました。ことしようやく、都内でもやって経験のある方が、看護師としてというよりは、指導員さんという役割でやっておりまして、医療的なケアが必要なときだけではなくて、学校にいる間、生活を全て見て、その中で危険なときには察知してとかいうことでしょうけれども、それにつきましては、学校全体でどういう対応が必要なのか大変困ったということで、その子の担当の主治医の、訪問診療してくださっている先生が無料で学校の先生たちに、こういった場合にはこうするんだよというようなデモンストレーションも行いながら指導してくださったということで、大変感謝されておりました。
そういったことは無料でやってくださったのでよかったのですけれども、全員がそのような医療体制が整っているわけではないということと、あとは、看護師さん、たまたまいい方が見つかったということですけれども、今の体制ですと、例えば介護保険のようなものであるとか、障害のほうの保険であるとか、要は診療報酬的なものだと、学校にどのような形で看護師さんが受け入れ、入りやすいのかとか、いろんなそういったことでかなり問題があって、看護師さん、やる気があっても、何かあったときにちょっと不安があるとかいうような場合に、それをサポートしてくださるような体制であるとか、そういったものを何か制度としてできればいいのかなと思ったのが1つあります。
それと、家族の介護者の方の支援ということで、例えば、医ケアに必要なお子さんが特別支援学校に通う際に、バスには乗れないということで、両親が送迎する必要があるということがあって、送迎している方もいらっしゃれば、親が運転できないような方は、行きは制度を使って介護タクシーのようなもので一緒に行き、でも、帰りは親が1人で交通機関を1時間半、2時間もかけて帰って、そしてまたお迎えの時間になるので同じような形をとってということで、本当に親の方も息つく暇もないような忙しい状況があるということで、何か制度的に具体的な支援が議論できるといいのかなと思っております。
以上です。
○小国座長 ありがとうございました。ほかには。
小倉構成員、よろしくお願いいたします。
○小倉構成員 国立成育医療研究センターの小倉でございます。
先ほど掛江先生のお話の中で1点質問させて頂きます。地域支援協議会を共同で開催する割合がかなり少ないという結果をスライドでお示しされていたと思います。今、たくさんの議論がありましたが、難病や慢性疾患を持つお子さん方というのは、医療的ケアが必要なお子さんであったり、障害を重複して持っていらっしゃったり、あるいは治療のために心理社会的な環境が少し健常なお子さんとは違うために、二次的に発達の特性を持たれる方がいらっしゃったりということで、サービス面でも疾病で縦切りにするというよりは、参加や活動の観点からどういうサービス必要かという議論が必要になってくると思うのです。
そうした場合に、疾病だけではなくて、医療的ケアの視点、障害の視点ということで、地域支援協議会を共同開催するということは非常に価値があることだと思うのですけれども、実際にはあまりされていない。参加されている先生方とお話しすると、それぞれの会に似たような先生方が参加されていて、負担が大きいようです。会議参加者が重複する場合に共同開催した方が効率は良いと思われます。効率性と患者様へのサービスという点を考えたときに、なぜ共同開催がうまくいっていないのだろうというのがちょっと疑問だったので、その背景を教えていただけますか。
また、質問ではなくコメントになりますが、さっき根本構成員がおっしゃられたのと似たような観点になるのですけれども、親御さんの支援というところで、希少疾患や小児慢性疾患を持っておられる子どものお母さん方は、お子さんのケアのために就労を断念される方も多くいらっしゃいます。お母さん方の就労支援であったりサポートであったりというところの観点もどこかで必要になってくるのではないかなと思いました。
○小国座長 ありがとうございました。では、掛江先生、どうでしょうか。
○掛江参考人 御質問ありがとうございました。本日御報告させて頂きましたデータの中から、御質問いただきましたその背景や特性についてお答えするということは難しいのですけれども、御指摘を伺いながら少し思いましたのは、小児慢性特定疾病の自立支援事業自体が非常に多岐にわたる広いものですので、協議会にかかわらず、全ての事業、活動について、何から手をつけていいかわからないというのが自治体にある。しかも、患者様のほうも、支援ニーズを聞かれても、何を優先して答えていいかわからない。
つまり、子どもの発達段階においてそれぞれ必要としている支援が違うのですね。それが恐らく大人の難病の方の支援と大きく異なる部分かと思うのですけれども、小学校入る前のお子さんに必要な支援、小学校入るときに必要な支援、入ってから必要な支援、それから中学、高校に進学するときの支援、就労の支援、段階によっても違う。しかも、今、小倉構成員が御指摘くださったように、まさに慢性疾患を小さい頃から患って、治療に時間をたくさん使っているお子さんのメンタルな部分、発達の特性というのが我々やはり非常に臨床で感じますけれども、それを、例えば病院であっても全ての患者さんにそういうメンタルな部分のサポートに、小倉先生みたいな先生にかかわっていただくことというのはできないわけで、なかなか手厚い全人的なケアは提供できていない状態が医療にもある。にもかかわらず、この自立支援事業で児の自立支援を自治体にやってくださいねと、しているわけですけれども、そういった意味ではなかなか、自治体のほうもどこからどう手をつけて、誰をどう支援する仕組みをつくればいいかというところが、既に3カ年、4カ年活動していただいていますけれども、まだ見えてきていないのかなと感じているところでございます。
○小国座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
なかなか難しい問題があるなあと思いますけれども、ほかにどうでしょうか。
では、さまざまな御意見、本当にありがとうございました。いろいろ大きな問題がたくさんあると思いますけれども、ぜひ実りのあるものにしていきたいと思いました。
本日は、時間も来ておりますので、ここまでといたしたいと思います。
次回の日程などについて、事務局からお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 次回は10月1日火曜日17時から開催させていただきます。場所などについては、追って構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。
なお、本日机上に配付しております水色のファイルは、次回も参考資料として使用させていただきますので、お持ち帰りにならないようお願い申し上げます。
本日は、大変お忙しい中、長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。