難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ(第3回)議事録

日時

令和元年10月21日(月)15:00~17:00

場所

TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター3A(3階)

議事録

 
○南川課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第3回「難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
本日の出席状況ですが、井田構成員、八鍬構成員より御欠席の連絡をいただいております。また、駒村構成員より到着がおくれるとの御連絡をいただいております。
なお、本日は、参考人として千葉県健康福祉部疾病対策課、戸田栄子副課長、千葉大学医学部附属病院小児科、日野もえ子助教に御出席いただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○南川課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。
以降の議事進行につきましては、五十嵐座長にお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、早速始めたいと思います。
初めに、タブレットの使用方法の説明、それから資料の確認をお願いいたします。
○南川課長補佐 本日のワーキンググループもタブレットを使用し議事を進行させていただきます。使用方法に御不明な点や機器のふぐあい等ありましたら、挙手をお願いします。
次に、資料の確認を行います。タブレット内の資料一覧をごらんください。本体資料として、議事次第、資料1-1から1-2、資料2-1から2-2を用意しております。また、森構成員から参考資料として、患者団体から寄せられた主な御意見、御要望をまとめた資料を御提出いただいております。過不足等ございましたら挙手をいただければと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
何か困ったことはありますか。資料はこの中に入っていますから過不足もないと思いますが、よろしいですか。
では、議事に入りたいと思います。きょうは大きく分けまして、議事が2つあります。1つ目は「関係者からのヒアリング」、その後で「具体的な論点の検討について」を審議したいと思っています。
初めに、ヒアリングですが、きょうは千葉県から戸田参考人と日野参考人をお呼びしております。遠いところを来ていただいて、ありがとうございます。プレゼンテーションしていただきたいと思います。
御存じのように、資料2-1のスライド10にもありますが、都道府県単位で移行期医療支援センターを設置しているところは3つしかないのです。埼玉、千葉、大阪ということで、その中の代表ということで、きょうは千葉県にフォーカスを当ててお話を伺いたいと思います。お二人で15分ぐらいプレゼンテーションしていただき、その後10分あるいは15分ぐらいかけて質疑をさせていただきたいと思います。
では、早速ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
○戸田参考人 千葉県の疾病対策課の戸田でございます。
千葉県の移行期医療支援体制整備に向けた取り組みについて御説明させていただきます。資料1-1、戸田参考人提出資料をごらんください。
千葉県における支援体制整備に向けた取り組みとして、2ページが千葉県の概要となっておりますが、時間の関係で資料を御参照いただきたいと思います。
続きまして、移行期医療支援体制の構築の経緯でございます。上段に国の動向を、下段に千葉県の動向を記載しております。
千葉県では、平成29年4月の国の通知等を受けまして、千葉県保健医療計画に移行期の連携推進について明記し、新たな難病医療提供体制の構築に向けて取り組みました。
移行期医療支援体制整備については、移行期医療支援センターの設置など支援体制の整備に向けた協議に向けまして、平成30年3月に移行期医療支援連絡協議会設置要綱を定めたところです。平成30年度から具体的に取り組みを始め、まず5月に協議会の委員を決定、平成30年8月に第1回協議会を開催、12月に実態調査を実施、平成31年2月に第2回協議会を開催し、平成31年3月の庁内の会議におきまして、協議会の意見を踏まえ、移行期医療支援センターを千葉大学医学部附属病院に選定いたしました。また、関係する協議会として、健康福祉センターで実施しております自立支援事業等に関する協議の場である「慢性疾病児童等地域支援協議会」や「難病医療連絡協議会」へ進捗状況の報告を行い、進めてまいりました。
続きまして、具体的に移行期医療支援連絡協議会についてでございますが、委員構成は、医療と自立支援の2つの側面から、関係する小児期及び成人期の医師や地域の関係者、患者会の代表など16名にお願いいたしました。そのほか、政令中核市にはオブザーバーとして出席いただいたところです。
第1回協議会では、千葉県における移行期医療支援体制案を示し、各委員が感じている現状や要望などについて幅広く意見をいただいたほか、移行期医療支援センターの設置場所や選定要件、実態調査について意見をいただきました。多数の意見をいただいたことから、選定案、体制図、アンケートを修正し、第2回協議会前にメール協議を一度実施いたしました。
第2回協議会では、実態調査の結果を示し、第1回に引き続き、千葉県における移行期医療支援体制や取り組み方法、移行期医療支援センターの設置場所や選定要件について協議し、協議会における移行期医療支援センターの選定を行いました。
次に、実態調査の結果について御説明いたします。初めに、実態調査の概要でございます。移行期医療支援体制の整備に向けて検討するためには、まず成人科に移行できていない方がどのくらいいるのかなど、県内の移行期医療の実態や課題の把握が必要であると考え、小児科の病院を対象としてアンケート調査を実施いたしました。
調査対象は、県内の小児科を標榜する病院のうち、産婦人科主体で小児慢性特定疾病の指定医療機関になっていない2病院を除いた101病院としました。
調査項目は、年代別の診療実績や移行期医療体制の現状、移行期医療に対する現状認識や取り組み状況、移行期医療支援センターに対する要望などを伺いました。
調査方法は、郵送により行い、回収率は45.5%でありましたが、小児慢性特定疾病医療費受給者が利用している県内医療機関の上位20位のうち18の病院から回答が得られていることや、地域の基幹病院から回答が得られていることから、問題を抱えているところの意見はおおむね聴取できたと考えました。
次のページをごらんください。調査結果から明らかになったことは、移行期医療の認知度の課題や、神経・筋疾患や染色体・遺伝子に変化を伴う疾患群等が課題を抱えがちである傾向、全疾患群を通して精神・知的・発達障害合併例が移行困難であること、また、移行先のネットワークがないという医療機関が多いが、院内連携を中心に円滑な移行が行われている疾患群もあることがわかりました。自立支援の面では、自立支援を実施している病院は限られていること、また、患者・家族に説明できるスタッフ等体制が不足していることがわかりました。あわせて、移行期医療支援センターに求める役割として、成人期の対応可能医療機関の情報把握や連携・調整などコーディネーター機能が多いことがわかりました。また、この結果については、協議会の委員の皆様から実態を反映しているとの意見をいただいたところです。
次のページをお開きください。目指すべき方向性と千葉県の取り組み方法についてです。調査結果等から明らかになった課題をもとに、千葉県として目指すべき方向性と取り組み方法を検討し、目指すべき方向性は国のガイドに示されている医療体制整備と患者自立支援の二本柱で整備していくことといたしました。
まず、医療体制整備では、具体的に示された左側四角で囲んだ3つの方向性に沿って千葉県の取り組み方法を検討いたしました。
次のページが患者自立支援についてですが、同じように、具体的に示された左側の3つの方向性に沿って千葉県の取り組み方法を検討いたしました。
これらの方向性をもとに千葉県の移行期医療体制をイメージ図にしたのが次のページです。左側に医療体制整備、右側に自立支援に係る機関を上げ、移行期医療支援センターだけではなく関係機関が協働して移行期医療支援に取り組むことを示しています。また、主治医である小児医療機関が中心となって医療と自立の面で移行を進め、移行期医療支援センターはそれを支援する役割や関係機関等と連携を図って進めていくことをあらわしています。
医療面では、平成30年から開始された新たな難病医療提供体制による医療機関情報の活用や、難病支援センターにおける就労相談等既存事業を活用するなど、連携や既存資源の活用、難病と小児慢性の切れ目のない支援ができるような体制を考え、移行期医療支援センターはそれらの機関に対する支援や連携の推進を行う軸となる存在であることを図式化いたしました。
次のページをごらんください。移行期医療支援センターの役割についてです。記載のとおり、6項目を移行期医療支援センターの役割といたしました。詳細については割愛させていただきます。
次のページをごらんください。移行期医療支援センターの選定要件についてです。センターの役割を果たせるための選定要件として、1つ目は、小児慢性特定疾病の対応実績があり、診療ネットワークの中心的な役割を果たす病院、設置場所については協議会の委員からセンターを行政に設置する意見も上がりましたが、小児科医師等からの専門的な相談に対応するには病院が適しているという案が了承されたところです。
2つ目は、当事者及び関係医療機関、その他支援機関と十分な連携がとれることとして、精神・知的障害に関する問題、妊娠・出産に関する問題を含め、関係科・機関と連携がとれることとしました。
3つ目は、当該機関内に移行期に関する体制があり、取り組み実績があること。
4つ目として、小児部門が運営にかかわる体制がとれることとして、小児部門が運営の中心となると望ましいといたしました。
次のページをごらんください。この実態調査の結果から選定要件についての比較を表にしたものです。移行期医療支援センターの選定についてです。移行期医療支援の体制の有無でAからFの6病院が候補に挙がりました。比較した項目としては、移行期医療支援体制の有無、小児疾患の診断・治療の可否状況、患者数、成人科の有無、その他連携体制で、センターに望まれる機能はBの千葉大学医学部附属病院に最も多く、協議会の意見として千葉大学医学部附属病院が選定され、この意見を踏まえまして、平成31年3月に行われた内部選定会議を経て、平成31年4月に委託、設置したところでございます。
以上が千葉県における移行期医療支援センター設置までの取り組みでございます。
最後のページに、参考といたしまして、難病医療提供体制整備事業の資料ですが、事業のイメージ図と、県内の難病診療連携拠点病院、協力病院、難病相談支援センターの位置図を参考につけさせていただきました。
以上で私からの説明を終わります。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、続きまして、プレゼンテーションをお願いいたします。
○日野参考人 千葉大の日野でございます。
それでは、資料1-2に基づいて説明させていただきます。
まず、資料の2枚目です。指定前の動きに関しては、今、戸田さんのほうから御説明いただきましたが、私、専門が小児がんで、小児がんの子供たちが大きくなった後の委託先がなくて困っていたということが長年ありました。その中で、学内の内科の先生たちと勉強会や研究会を立ち上げて、小児がんの移行した後の患者さんのことをみんなで勉強しませんかということをもともとやっていました。そういう動きの中で、内科の先生から、今度は移行期というのが上がってくるというお話を伺って、県の方に連絡をとったのがそもそもの始まりですので、個人的には、小児がんから始まったこの移行期医療支援センターになるかと思います。千葉県の方に協議会のメンバーに選んでいただいて、現在、設立までに至っています。
3枚目の指定後の動きに関しては、今年度4月1日に委託されているわけですが、県の方と何回も打ち合わせを重ねて、大学病院内の組織としてのセンターを立ち上げるための準備をこの間行ってきました。大学病院は大きな組織ですので、各方面にこういったメンバーでこういうことをやりたいと説明させていただいて、会議を重ねていって、この10月1日に大学病院の中のセンターとして立ち上がっています。
センターの業務として、協議会を行う、研修会を行うということが県のほうから要望されていますので、それの準備もあわせて県と一緒に行っているところです。
6枚目、7枚目は、院内の会議などに提出した移行期医療支援センターの役割や年間計画などです。
院内の組織としての移行期医療支援センターのワーキングが8枚目の資料です。糖尿病・代謝・内分泌内科の教授にセンター長になっていただいて、小児科の教授、地域連携部の教授と准教授に副センター長になっていただいております。移行期の先の内科のネットワークを十分知っている先生にセンター長になっていただくのが大きいということで、私、小児科ですが、小児科の教授と相談してそのような形にしました。また、地域に患者さんを戻していくということを考えると、地域医療連携部の役割が大変大きいと考えまして、地域医療連携部を主体とした組織となっています。特に小児慢性から移行することが多いと考えられる成人診療科の先生方、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、総合診療科、当院には精神科の中にこどものこころ診療部というのがありますので、精神科の先生に入っていただいております。そして、薬剤師、看護師、地域医療連携部というメンバーでセンターを立ち上げております。
9枚目は、センター設置において期待される効果です。
10枚目に、経営シミュレーションを入れさせていただきました。今年度は千葉県から大変ありがたい額の600万円という予算を受け取っております。ただ、院内の会議を通していく中で指摘されたことは、これがどのぐらい継続する事業なのか、病院の収益としてはどうなのかといったことを何回も厳しく聞かれました。現時点では診療報酬上の加算はないとか、学会からの要望を出しているということを説明しています。支出としては、現状はソーシャルワーカーを兼任で設置していますので、ほぼこの人件費で消えるというところでございます。
センターとしての活動はまだまだこれからでございますが、私のほうでは関連の学会や研究会に参加して、特に小児科の先生、内科の先生はまだまだ移行期という言葉になじみがない方が多くて、大学病院の中の内科の先生と集まったときも、そもそも移行期という言葉を初めて聞いたという内科の先生がほとんどでして、どういう概念なのかを説明するところから始めました。小児科の先生も、千葉大に移行期医療支援センターができたから患者さんを全部送ればいいみたいなことをおっしゃっていて、そうではないというところから説明するという状況で、長い道のりだなと感じているところです。
毎年8月1日に当院の地域医療連携部主催でやっています「地域連携の会」がありまして、13枚目が参加者ですが、250名ぐらいの医療関係者が集まって地域連携の課題を話し合います。この中で移行期についての分科会を開催させていただいております。50人の方が参加いただいて、この中で今回のように取り組みを報告させていただきました。
千葉県の医療を担っている地域の先生方も御参加いただきましたが、小児科の先生がバックアップしてくれると強く言ってくれれば、特に外科や、慢性というよりは悪くなったときの急性期の管理はできると思うといった御発言とか、歯科や耳鼻科、そういう体全体ではなくて局所を診るような診療科ですと小児、成人に関係なく診ていますので、そういったところはそういったところで患者さんからの相談を受けたときに回し先に困るといった御発言がありました。知的な問題に対しての対応は、私から地域の方に聞いてみたのですが、自分の症状がちゃんと言えれば受けることはできるかもしれないというので、こちらはむしろ小児科のほうが及び腰になっているところがあるのではないかと感じた次第です。
最後のスライドは、今後の展望と課題を載せました。当院は難病拠点病院にも認定されていますので、そこが大きな強みと感じております。同じ地域医療連携部の中に担当がいるので、難病に当たっていればこの病院が得意という情報は比較的すぐいけるかと思います。
昨年、小児診療科へのアンケート調査を行って、小児診療科から見た問題点が明らかになってきましたので、今度はぜひ成人期診療科に移行困難事例について、精神・知的問題を有する患者の移行についてというところを調査していきたいと考えております。
また、移行に介入した患者のアウトカムもやはり追っていく必要があり、これは小児がんの領域で長年感じていることでしたが、患者さんの最終的なアウトカムを把握するシステムが必要ではないかと感じております。こういったことを行うためには、長い期間、安定的に継続するための基盤が必要で、やはり診療報酬上の何らかの加算があると働きやすいと感じている次第です。
○五十嵐座長 お二人の先生、ありがとうございました。
では、御質問、御意見等いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○本間構成員 あせび会の本間と申します。きょうは貴重なお話、ありがとうございます。
日野さんに伺いたいのですが、センターの設立に当たって、移行期というそもそも考え方というか、概念が小児科も内科も余りなかったというお話ですけれども、これまで皆さんはどうされていたのですか。その間にも20歳になる患者さんがいっぱいいたと思いますが、どんな感じだったのですか。印象でもいいですから教えていただきたい。
○日野参考人 私自身は小児がんの移行に関してはすごく困っていました。小児がんの領域では長期フォローアップという言い方をしていまして、移行とちょっと違うような気もしますが、私自身はとても困っていたので取り組んだというところがあります。
今回の千葉県の調査でも明らかになったのは、余り困っていない分野もあるにはあるようです。糖尿病は金銭面のコストの問題はありますが、糖尿病は糖尿病内科に、ぜん息であれば呼吸器内科にとか、病名がある程度はっきり決まっていて知的な問題もなくてというものであれば困っていないものもあるというのも事実でして、困っている人と困っていない人の境目があります。先天性の一部の代謝異常というものは小児科の先生がずっと診ています。こども病院でずっと、40代、50代の方がひたすら先天病のお薬の処方を受けているというのが実際で、そういう方が肺炎やがんになったときは、こども病院の先生方は結構な危機感を持って対応していました。こども病院の取り組みに関しても協議会で報告していただいたのですが、やはりこども病院はすごく危機感を持って早くから対応していたようです。
○本間構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 日野先生にお伺いしたいのですが、我々聖マリアンナ医科大学病院でも内科に一生懸命やってくださっている先生がいて、いろいろ取り組もうとやっています。かなり多感な時期、16歳ぐらいで移行をやろうとしているのですが、先生がかわったり、あるいは小児科の先生と成人の先生で薬の使い方や治療方針の概念が違ったりするので、どううまく移行していくのかというところが、一例一例何らかの問題というところがあります。うまく移行させるためにどういう工夫をしているのか。うちは、例えば成人の先生、主治医になる先生と小児科の先生と母親と子供さんが一緒に、まず説明するという形で工夫したりして、そこがスムーズにいくようなという感じだったり、あとは成人のほうから小児科病棟に行って、そこで少し入り込めるように小児科の先生も許してくれてやっています。そこら辺、こういうのがよかった、こういう工夫をしなければ大変だったとかありますか。
○日野参考人 私どもはセンター業務なので患者さんをまだ実際に取り扱ってはいなくて、よかった事例というのは余りないのですが、私自身の小児がんの経験から言わせていただくと、内科の先生に小児がんの晩期合併症という状態があるといったことをまずきちんと説明して、一般的な話なので軽く見えるかもしれないけれども、そうではないという病態をちゃんと御理解いただくというのが第一かと思います。
どうしても小児科にかかっていると患者さんも甘えてくるので、思春期というよりはもうちょっと早いうちから移行について患者に教育していって、思春期が終わったところで移行させるのがいいかなと、もちろん並診も大事だと思います。最近、私が周りの人によく言っているのは、状態が悪いときに移行の話はすべきではないということで、調子がよさそうなときに、いつまでも小児科ではないのだよと言ってあげるといいと思っています。
千葉県こども病院では専任の看護師を置いていまして、基本的には主治医が移行期について患者さんに説明するというやり方でやっていますが、どうも理解が悪いお子さんについては、移行支援外来に行って看護師と面談して、自分の理解度などを評価していただいて、看護師から主治医に、ここの理解が悪いとか、内服のアドヒアランスのここが問題というのをフィードバックしてもらってというところをやっていると聞いています。
○山野構成員 今、そういうのを聞きつけて、小児科の専門医を取った先生で成人の科に入局してくださった先生などがいて、その先生が逆に今度は困っています。今、2階建ての専門医なので、内科の研修を終わってからみたいな感じで、今度はこっちの専門医が取れないみたいな感じで、せっかくやる気を持った先生を学会で支援していくという動きがあってもいいのではないかと思います。
○日野参考人 そのとおりです。
○山野構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○水澤構成員 まず、日野先生にお聞きしたいのですが、先ほど戸田さんのほうからもお話があったように、診療領域によってうまくいっているところと、先生のがんのように難しかったところがあるというのはわかったのですけれども、施設ごとというのでしょうか、そういうのがうまく連携できているところとなかなかうまくいっていないところというか、病院によって違うということはないのでしょうか。
例えば先生もちょっとおっしゃったのですが、私自身が大学にいたころの経験でも、私はかなりうまくいっていたと思っているのですけれども、自分の領域だけかもしれませんが、もし問題があれば病院内で話し合いをして大体解決できていたように思うので、そういう移行期医療で困るという感じは自分ではなかったのです。もしそういうことがあるとすると、施設によっても随分違うのかなと思ったのですが、例えば千葉県内に関連のところが幾つかございますね。そういったところでお話を聞かれていて、そういうことはなさそうですか。
○日野参考人 やはり一番困っているのは千葉県こども病院だったと思います。あと、先天性心疾患に関しては、県内に千葉県循環器病センターという専門病院がありまして、そこでシームレスに診ていくと決めて、一応、成人先天科みたいなのを立ち上げて、そこで診るという取り組みをしています。炎症性腸疾患などは県内で内科の先生が小児も診ている先生方がいらっしゃって、すごくスムーズにそのままそこでやっているところもあります。やはり疾患ごと、病院ごとの違いというのはあるかと思います。
○水澤構成員 もう一点、これは戸田さんのほうがいいのかもしれませんが、先ほどのメンバーの中に地域の医師会の方、そういうほかの施設の方は入っておられなかったように思います。千葉大学の方と中の事務の方だけだったように思いますが、そういった他の方々は必要なさそうでしょうか。
○戸田参考人 センターの中にということですか。
○水澤構成員 協議会でしたか。
○戸田参考人 協議会の中のメンバーには医師会の先生方も入っております。
○水澤構成員 センターの中には入っていないのでしょうか。
○戸田参考人 センターは千葉大学にお願いしていますので、医師会のメンバーは入っていないのですが、その分、センターの内容を協議会の中でもフィードバックして確認しております。センターの取り組みを協議会の委員である医師会の先生方や協議会の他のメンバーの方に報告し意見をもらって、また運営していくというような体系にしております。
○水澤構成員 ちょっと成り立ちが違うのですが、IRUDの場合、拠点病院の中に診断委員会をつくってもらっていて、そこに地域の医師会の先生方にはできるだけ入っていただくということをお願いしています。まだ全部入っていただいてはいないと思いますが、それはかなりうまくいっていると思ったものですからお聞きいたしました。
○五十嵐座長 どうぞ。
○駒村構成員 戸田さんの資料について教えていただきたいのですが、資料の8ページから9ページにかけて、調査は医療機関に対する調査で、9ページの左側に医療体制整備が出ていて、真ん中に御家族、御本人がいらっしゃって、将来に対する不安、選択に対する不安を抱えていらっしゃる。これに対して自律(自立)支援を行っていくということで、関係者が書いてあります。きょう、これから後の議論の中で患者目線で使いやすい仕組みというのがキーワードになっていますが、9ページの細部を見ると、供給体制のほうはネットワークとか非常に細かく書いてあるのですが、自律(自立)支援のほうはどういう患者目線を言おうとされているのか、あるいは工夫されているのか、この辺を教えていただきたいと思いました。
○戸田参考人 まだセンターができたばかりということで、確かに医療体制については大学病院と細かく調査して形ができているのですが、御指摘いただいたように、自律(自立)支援につきましては、実際に協議会のメンバーの中に当事者の患者団体、そういう委員の方も入っていただいているのですけれども、具体的なところについてはこれからというところです。
○駒村構成員 追加ですが、患者団体、学校、市町村、福祉関係事業所、その他、この中でも、ここはというところと、連携がこれから難所ではないかと思っているようなところはありますか。
○戸田参考人 患者・家族と申しましても、かなり特定の患者会になって、全部の患者会、そういうものがあるわけではないので、そこの意見をどうやって拾っていくかはかなり難しいかと思っています。学校・教育関係あるいは福祉関係につきましては、県の所属体制の中で関係者を呼んでおりますので、そこは逆に手厚く意見が集約できるかと思っております。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。先駆的な取り組みをわかりやすく御説明いただきまして、どうもありがとうございます。
実は、私、千葉県の先ほど御紹介いただいた協議会のメンバーに加えていただいていて、先週の金曜日にも会議が行われて、その席でも話題になっていたと思いますが、先ほど日野先生からもお話しいただいた、関係する医療機関に対する移行期加算のような診療報酬上のインセンティブがないと、千葉大学だけが頑張ってもなかなか広がっていかないと思います。厚労省の局が違うと思いますが、患者団体としてもぜひ強く要望したいと思っております。
以上です。
○五十嵐座長 重要な指摘だと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○羽鳥構成員 千葉の先進的な取り組み、ありがとうございます。ほかの44の都道府県がうまくいっていないということですので、どうしたらうまくできるかという提言みたいなものがあったら、お二人に教えていただきたい。
あと、医師会として、私たちは日本医師会ですが、各都道府県の医師会の先生方にどういうことをお願いしたらできやすくなるのか、その辺、何かサゼスチョンがあれば教えていただきたいと思います。
○戸田参考人 御意見、ありがとうございます。
ワーキンググループの中で各都道府県でどうして進まないのかという御意見の中に、実態把握ができないからとか、そういう御意見があったかと思います。そういう実態把握を含めまして、私ども手探りの状態の中から、国で示されたモデル、そういう内容をもとに協議会を立ち上げて、そのあたりからみんなで話し合いをしてどういう方向がいいのかというところを組み立ててきていますので、実態把握も含めて進めていけばいいのではないかと思っております。
○日野参考人 やはり困っている分野は、小児がんを初め、糖尿病なども支援がないということ、費用的な問題といったこともあります。困っている分野に困っている人は絶対いるはずなので、そこに働きかけるというのがいいのではないでしょうか。千葉の場合は、困っている私が県のほうに働きかけたという構図があったわけですが、千葉県は県の中に大学病院が一つでして、県庁と大学病院が距離的にもすごく近いのです。こども病院というのも市内のすぐ近くにあって、お互いの顔が見える関係が既にあったので、困っていて、こういう情報があるというときに、誰に聞くのかというのがお互いわかっていたのはすごく幸運だったと思っています。
○五十嵐座長 どうぞ。
○西村構成員 明治学院の西村です。
設立して10月に開始したというところなので、動き出している実績というのはまだ始まっていないかもしれないのですが、仕組みの上で教えていただきたいのが、センターは、医師や医療機関に対する理解を深める研修、情報提供をしていくという役割であって、個別のケースを医師から、患者からとか、そういうので調整してください、移行の相談をしてください、あるいは自立の相談に乗るということもされるのか、そこはどうですか。
○日野参考人 一応、個別の活動というのもやることにしております。ソーシャルワーカーがコーディネーターとして、兼任ではありますが、任命されていますので、地域医療連携部のほうに患者さんが直接お電話いただければ、電話で解決すれば電話になりますし、その病態であれば千葉大で診るのがふさわしいという判断になれば、実際に千葉大病院を受診するということにもなるかと思います。
○西村構成員 そうすると、ほかで地域の医師にかかっている場合、移行を担当の先生と相談して進まない、そういうときは直接自分でソーシャルワーカーに電話するということで相談対応してもらえるということですか。
○日野参考人 一応そういうことを考えております。
○西村構成員 医師もそういうことなのですか。自分で調整が手に負えないというような方はここへ連絡して、患者とともに相談に行くとか、そういうことができる。そういうケースは。
○日野参考人 まだ1例、2例です。
○西村構成員 わかりました。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○嵩構成員 東北大学の嵩と申します。
今の御質問と関係するのですが、センターを設置されたばかりなので、個別の相談はまだほとんどないと思います。事業を始めるに当たっての大体のイメージで、小慢医療費受給者4623人と書いてありますが、小さい子供もいると思います。移行期にかかっている対象者で、このセンターで個別の相談に応じるような感じの人が潜在的に規模感でどのくらいいると考えられていらっしゃるでしょうか。また、コーディネーターの配置の人数が結構重要で、予算の制限もあると思いますが、コーディネーター1人当たりだとどのくらい1年間に対応していくという形でイメージされているのか、もし今の段階でおわかりであれば教えていただきたいと思います。
○戸田参考人 まだ具体的な数字のところまではつかめていないのですが、先ほど申し上げたように、まず最初は病院で移行期にどういう困ったことがあるかという調査を昨年行いました。先ほど先生からもお話があったのですが、18日の金曜日の協議会のときに、次は成人期のほうの受け入れ側の病院の調査を今年度やるということで、どういう病院を対象にどういう項目を調査するのかという協議をしました。昨年の内容を含めまして、では受け入れ先の病院が県内にどのくらいあるのか、どういうことだったら対応していただけるのか、そういう調査を始めました。移行期医療支援センターがその意見を集約して、県内に9医療圏ございますので、その医療圏ごとにできればそういう受け入れ先が細かくあればいいと考えております。そこに振っていけるような体制をこれから考えていこうということになりますので、まだ実数まではいたっていないところです。
○五十嵐座長 参考までに、小児期に先天性心疾患あるいは川崎病になって大人になっている人は50万人います。小児がんで治療を受けて生存して大人になっている人が11万人います。もっと手のかかる、いわゆる医療的ケア児と言うのですが、2018年度の報告が最近出ましたけれども、2万人弱いらっしゃいます。未熟児等で生存して人工呼吸器をつけたまま大人になっている人たち、児童期だけですが、20歳までで4100人ぐらい、これはどんどんふえています。先ほど消化器の炎症性腸疾患の話も出ましたが、これもどんどんふえています。しかも、25%は小児期に発症します。
移行期医療というのは、今まで割と水面下に隠れていて、皆さんがそれぞれ地域で努力していたわけですが、昔でしたら重症で亡くなってしまう小児が多かった時代から治療で生存していく時代になってきているということで、このニーズは極めて高い。特に、隣に成人期の総合病院がない私どものようなスタンドアローン型の小児病院は、そういうお子さんたちが大人になっていって、どことタイアップして治療していくかということがあります。大学病院は総合病院ですからまだいいのですが、千葉県こども病院がそうかと思いますが、本当に大きな課題です。埼玉の小児医療センターのように、日赤が隣にあるのですが、そこに移動して隣同士、つまり欧米型の小児病院のように変えたところもありますけれども、非常に少ないですね。
この問題というのは極めて大きな問題で、小児科学会も十数年前に意識してこの取り組みを始めましたし、難病の子供を守る会と一緒に自立支援員の養成の講座もことし7回目、7年前からそういう取り組みもしております。やっているのですが、なかなか難しいですね。それから、内科の先生方に声をかけてもなかなか理解していただけないという状況もありますので、これは本当に医学界挙げて頑張っていかなければいけない。そういう意味で、千葉県は組織としてつくっていただきましたので大変ありがたく、これが途中でポシャらないようにずっと続けていただきたい。それから、医療費の支援、そういうことも当然これから考えなければいけないことではないかと思います。
○西村構成員 今のに関連して、個別の対応もちゃんとできているということですが、説明の中では、それがあるのかないのかがわからないというところがあって、患者の目線に立った利用しやすい、そういう絵を描くというか、パンフレットなどがあると医師や患者の利用が進むのではないかと思います。
○五十嵐座長 御指摘、ありがとうございました。
では、時間も押しておりますので、次の課題に入りたいと思います。次は「具体的な論点の検討について」ですけれども、その前に、森構成員から御質問があるそうですので、それが終わってから入りたいと思います。お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。JPAの森です。
前回のワーキンググループの指定難病を見直す議論の中で、その際に具体的な2疾患の疾病名が上がりましたが、この議論は、正しくない知識があって、それで上がってきたものと思われます。患者会としては大変不安な状況にあります。この件に関しまして、御説明をお願いしたいと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○南川課長補佐 今、御指摘のものについては、後ほど資料全体の御説明はあると思いますが、資料2-2の7ページ目の「対象疾病の見直しについて」のところで「合同委員会で示された論点」が幾つかある中で、いろんな御議論が当時されたものが8ページ目に記載されております。見直しに当たって治療法が確立した疾患は対象から外していくことが必要ではないかとか、症状が安定している患者について医療費助成から外すことにより治療が受けられなくなることがないように配慮するべきであるとか、希少性の要件については少子高齢化等の人口構成の変化も考慮しつつ検討する必要があるとか、このようなさまざまな議論がされている中で、希少性の部分について個別の疾患名が上がったことは承知しておりますが、本検討会においては実際の見直しのスキームがどのようなものであるかみたいな形の論点を踏まえて御議論いただいているものと思っていますので、個別の疾病に対してこの委員会の中で見直しする、しない、そのような場ではないということは事務局として一言申し上げさせてもらえばと思います。いずれにしてもいろんな議論の中で出てきたこと自体は承知しております。
以上です。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。
では、予定どおり次の議題に入りたいと思います。資料2-1と2-2の説明をお願いしたいと思います。
○領五課長補佐 事務局から資料2-1と2-2について説明させていただきます。
これまで御議論いただいた内容も踏まえまして、今回はテーマを絞って中心的に御議論いただきたい事項ということで、資料2-1に特別に3つのテーマを絞ってまとめております。
1つ目がヒアリングの中でも話がありました「移行期支援について」、2つ目がこれまでもその必要性についてこのワーキンググループでかなり御議論いただきました「医療費助成の対象とならない患者のデータ登録について」、3つ目が、それと関連するのですが、「データベースについて」ということでございます。
まず、資料2-1をお開きいただければと思います。今回、資料の構成といたしまして、これまでのワーキングにおいていただいた御意見を2ページ目のように書いております。
移行期につきましては、これまでも小児がんなど他の施策体系において医療費助成を実施していないものについては指定難病として指定すべきであるとか、類縁疾患も含め、多くの疾病を広くすくい上げるような形にしていただきたいとか、そういう医療費助成に関する御意見をいただいておりました。また、シームレスな医療と医療費助成というのは別の話でもあるので、シームレスな医療についてどう考えるのかといった議論が必要ではないかということで、移行期の医療支援についての御議論もいただいておりました。
それを踏まえまして、3ページ目に、今回、特に御議論いただきたいこととして事務局で論点を具体化させていただいております。
まず、医療費助成についてでございます。こちらは、これまでも類縁疾患などを例に挙げながら、小慢の中でまだ指定難病になっていないものについては、できるだけ広くすくい上げてほしいといった御意見がある中で、他方、指定難病と医療費助成の制度は研究目的というような側面もございますので、やはり客観的な診断基準が確立していなければいけないだろうという御議論もあったところです。例えば、客観的な診断基準が確立していないために指定されていない疾病も少なからずあるということでございますので、そういうものをさらに調査研究を進めるような形でできる限りすくい上げていくような仕組みについてどう考えるかということで書いております。
移行期支援のもう一つの側面であります医療支援体制についてということでございますが、本日の千葉大学の取り組みの御紹介もありましたので、こういったことを踏まえて、具体的に現在、課題となっていることは何なのか、その対応としてとり得る具体的な方策についてどのように考えるか、御議論いただきたいと思っております。
4ページ目以降は、関係の資料でございますが、4ページ目に難病と小慢のそれぞれの制度の違いを書いております。要件も難病は6要件で、小慢は4要件ということで、現在、違う要件になっているということでございます。
5ページ目は、これまでもお示ししていた資料でございますが、それぞれの疾病の対応関係について整理したものでございます。
6ページ目以降、医療体制の現状のものとして、これまでもお配りした資料を再度入れております。
例えば8ページ目のように、現在、移行期支援コーディネーターを置くという形で移行期医療支援センターの事業をやっておりますが、冒頭、御紹介もありましたとおり、現在、埼玉と千葉と大阪の3カ所に設置がとどまっているということで、設置できない主な理由として、自治体のほうからは、県内の現状把握、整理ができていない、関係医療機関等との調整ができていない、まずは難病の医療提供体制整備を行い、そのめどがついた後にやる予定にしているとか、そういったことをいただいておりますが、このあたりを踏まえて、今後進めていくためにどうしたらいいのかということを御議論いただければと思っております。
11ページ目以降は、その次のテーマですが、医療費助成の対象とならない患者のデータ登録についてということで、これまで、いわゆる軽症者登録ということで、名称についてはさまざま御意見があろうかと思いますが、御議論いただいてまいりました。
12ページ目に、特に御議論いただきたい点ということでまとめております。これまでの2回のワーキンググループで研究促進の観点からはできる限り悉皆性を備えたデータベースが必要であろうということ、そういう観点からは医療費助成の対象とならない患者のデータ登録も進めるべきだろうということで、この点については重ねて皆様から御意見を頂戴したところでございます。やはりデータの登録にかかわる主体としてさまざまな関係者があり得ると考えておりまして、患者さんはもちろんですし、医師、医療機関、研究者、行政ということで、それぞれにとってメリットをもたらすものなのだろうと考えております。ただ他方で、新しい事務を導入することになりますので、それぞれ負担がふえるということで課題もあるのだろうと思われますので、そのあたりのバランスを考慮しつつ、具体的な仕組みについてどのように考えるのかということを御議論いただければと思っております。
具体的な項目としまして、今回、1から5まで上げております。
1は、データの項目についてどう考えるのかということで、指定難病の場合、現在、いわゆる臨個票について医療費助成の申請のときにはお出しいただいておりますが、これと同じ項目にするのかどうかということです。
2は、登録の頻度でございます。研究を促進するということであれば、例えば現在の医療費助成と同じように毎年データを頂戴することが考えられるわけでございますが、患者さんの御負担等も踏まえてどう考えるのかということでございます。
3は、登録の流れでございます。現在の登録の流れは15ページ目に絵として載せておりますので、適宜御参照いただければと思いますが、それと同じような流れでよいのかどうかということでございます。
4は、これまでいろいろ御意見をいただいていたのですが、登録を促進させる方策についてということで、難病対策の施策体系における方策としてどのようなものが考えられるかということでございます。
5は、医療費助成制度との関係についてということで、データの登録を行うに当たって必ず助成の申請を前提とするのかどうかということでございます。現行法上、不認定の処分をするときには事前に必ず審査会にかけなければならないとしておりますので、そういうことも踏まえてどう考えるのかということでございます。
データ登録の仕組みを導入するに当たりまして、自治体の事務負担がふえることが考えられますので、そうした中で事務負担の軽減策についてどう考えるかということでございます。
14ページ目と15ページ目は、現在のデータベースの登録項目と流れでございますので、御参照ください。
最後にデータベースについてということで、16ページ目、17ページ目でございます。
17ページ目でございますが、前回、ヒアリング等もございまして、NDB等他のデータベースとの連結をしていくことの有用性が確認されたところでございます。連結させるためには、現状、難病データベース、小慢データベースは全く法的根拠がございませんので、これを法的に位置づけていく必要性が確認されました。
下に黒い丸で5つほど入れておりますが、他の公的データベースについてはこうした項目についてそれぞれ法律上明記されておりますので、難病、小慢についてどう考えるかということでございます。
また、2つ目の丸につきましては、現在、難病法におきまして、調査研究については国を主体とする理念的な規定が一つ設けられているということでございますが、例えば患者や自治体については何の言及もないところでございますので、今回、データベースについて法的根拠を設けるとした場合には、その際にあわせて各関係者の役割についてどのように考えるかということでございます。
3つ目の丸、4つ目の丸につきましては、データ登録の同意を促進する方策についてそれぞれ書いております。
最後の丸は、合同委員会の論点においても含まれていた事項でございますが、難病と小慢のデータベースについて登録項目が現状は少し異なるということでございますので、その共通化についてどう考えるのかということで入れております。
18ページ目は、現在の難病のデータベースの課題ということで、これまでもお配りした資料を再度入れております。連結等も含めてですが、ルール等がまだ十分に整備されていない、オンライン化のためのシステムが整備されていないといったような課題がございます。
19ページ目は、難病、小慢については法的根拠がないということで、ほかのものと比較した表です。
20ページ目でございますが、データベースは、法的根拠がある中でデータの提供先について規定が置かれている場合がかなり多いということでございます。現状、難病と小慢は法的根拠がありませんので、あくまでもガイドラインベースではありますが、こういう書き方がされているということで、ほかのものと比べてどうかということで参考にお配りしております。
21ページ目と22ページ目は、データベースの項目について、難病、小慢それぞれ現状のものを参考資料としてつけております。
資料2-2につきましては、前回いただいた御意見を少しだけ追記させていただくような形で、ほぼ前回の資料と同じでございますので、詳細な説明は割愛させていただきます。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、資料として大きく3つのポイントに分けてまとめてくださいましたので、それに準じて話をしていきたいと思います。
まず、資料2-1の3ページにまとめていただいておりますが、移行期医療の支援です。大きな2つの点、医療費助成、移行期医療支援体制についてそれぞれまとめていただいております。
まず、医療費助成について何か御意見を改めていただけないでしょうか。大ざっぱに言うと、小児慢性特定疾病の中で指定難病に指定されていないものが半分弱ということで、例えば小児がんの患者さんは成人になると難病あるいは小慢ではありませんので、支援を受けられなくなるという実態があるわけですが、そういうものを含めまして、医療費助成のあり方について改めて意見はございませんか。
○福島構成員 難病ネットワークの福島でございます。
前回も同様の話をさせていただきましたが、もうちょっと詳細にお話をさせていただきたいと思います。現状、小慢は、皆さん御案内のとおり、20歳の誕生日を迎えるとその日から一律に助成の対象から外れてしまうということで、それを解決する唯一と言っていい手段が指定難病への指定ということです。この間、5年間で指定難病も333にふえて、小慢の48%が疾病数としては指定難病に指定されているというお話だったと思います。こういった点から、前回も申し上げましたが、指定難病の要件を満たすものについては例外なく指定難病への指定をするべきだと思っております。
ただ、そうはいっても、先ほど御説明いただいたように、小慢と指定難病は要件が違うわけですから、必ずそこからこぼれてしまう疾患はあるわけです。小慢を卒業した人たちに対する方策を考えなければいけないという意味で、新しい制度を考える、あるいは小慢の対象年齢を延長する、そういったことも含めて検討していただきたいと思っております。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
新しい制度、あるいは対象年齢を20歳で切らないで延ばせないか、今回初めてそういう御提案をいただいたのではないかと思います。
ほか、いかがでしょうか。
○山野構成員 この調査研究を促進するというのは非常に重要なことだと思いますが、該当する疾患に対して近い症状や、あるいは分類的に近いようなところを扱っている研究班にお願いして、そういうところで指定難病としての要件をしっかりと満たすのかという議論があってもいいのではないかと思います。そういう取り組みが現在進められているという理解でよろしいのでしょうか。
○南川課長補佐 現在、指定難病に対応する約60の政策研究班が333に対して研究していて、その333に対する類縁疾患や、小児慢性特定疾病からの移行期の分も一部研究として担っております。我々としては引き続き、移行期に関する研究を担ってほしいと思っております。その上で、そこでは不十分な部分があるかどうか、もしくは今、担ってもらっている約60の指定難病研究班において、より具体的な、より研究を進めるための方策があるかみたいな部分について御議論いただいて、その御意見を受けた上で、既存の研究を推進していくのがよいのか、そうではないカテゴリーの新しい研究の進め方を考えていくのかも含めて、この場でも御議論いただければと思っています。
○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。
○水澤構成員 先ほどの話にも関係するかもしれませんが、現在のところ、どれぐらいの方がそういう状況にあって困っていらっしゃるのかというのは、数字はあるのでしょうか。
○南川課長補佐 5ページ目のこれまで少なくとも我々から御提示しているのは、756が小児慢性特定疾病の対象疾病数で、カテゴリーの分け方はいろいろあるものの、今、そのうち364が指定難病に加わっているという話です。この間の数字について、それぞれ先ほど申し上げた施策体系の問題であったり、それこそ希少性の問題、小児の場合は余り数字要件がないので、物すごく多い患者さんの疾病、個別の疾病の名前を挙げるのは控えますが、そういうものがあったりする中で、診断基準の部分が少し不明確なことによってどの程度ここの間の乖離があるかというのはさらに精査しなければいけないと思っております。現時点で端的に言うと持ち合わせていなくて、こういうものがあるのであれば、それをさらに明確にしていく中で、指定難病のほうに移行できるよう少しでも進められるような研究の進め方はないかというのが事務局からの提案でございます。
○水澤構成員 ぜひそれを準備していただくとよいかなと思います。どういう要件というのでしょうか、どれぐらいのところでどれぐらいの方が困っていらっしゃるのかということが議論の前提になるかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
次に、移行期の医療支援体制について3つに集約されていますが、そのほか何かございますか。
○和田構成員 金沢大学の和田と申します。先ほど千葉大学、千葉県のすばらしい取り組みをお聞かせいただきまして、ありがとうございます。
私自身は主として成人領域を担当しております。その中で分野によって、あるいは分野の中でも疾患群によって移行期医療に温度差があるかもしれないと伺いました。
先ほどの戸田様のスライドの中にも、地域の医療機関で取り組んでいるところ、特に患者さんの自立支援のところが少ないということがあったかと思います。医療・医学の点と自立支援、移行期支援が2つあるうちの自立支援のほうもかなり力を入れなければいけない、特に地域全体で考えていくということも必要かと思います。
そこでぜひ教えていただきたいのは、具体的にどういった取り組みを工夫されているのか、3カ所あるセンターの取り組みは参考になると思いますので、そういったものを発信していただきたいと思います。現時点での取り組みで結構ですので教えていただけませんでしょうか。特に大学病院での取り組みは、若い先生方が地域に行って活躍する場合、大変に参考になると思います。そこでの継続性、特に患者さんの自立支援の継続性を考えたときにも、地域全体での取り組み、特に行政を含めた取り組みが必要かと思いますので、教えていただけませんでしょうか。
○五十嵐座長 むしろ福島さんのほうが詳しいのではないかと思いますが、御紹介を簡単にできませんか。
○福島構成員 自立支援については、もう一つのワーキンググループで自立支援事業について検討しているわけですが、任意事業がなかなか広がっていかないというのがとても大きな課題で、そのためには協議会をきちんと頻回に行って、地域の顔の見えるような関係を支援者の側が築かなければ難しいのではないかと感じています。
それから、移行期に関連してということであれば、患者側の親もそうですし、本人もそうですが、患者教育というとちょっと上から目線になるかもしれませんけれども、やはり子供が自分の病気のことをきちんと説明できるとか、自分が飲んでいる薬が何なのかというのが必ずしもわかっていない、親の過保護もあると思いますが、そういった部分を啓発していくようなことが、時間はかかるかもしれませんけれども、求められているのではないかと感じております。
○五十嵐座長 資料の9ページの小児慢性特定疾病児童等支援者養成事業というのをやっていまして、福島委員のところが中心になって支援事業もさらにやっているのですが、地域によって取り組みに差がございまして、みんな一緒に同じようなレベルまでいっていないというのが現状ではないかと思います。引き続きこれについては相当な努力をしなければいけないのではないかと思っています。千葉県もまだ始まったばかりですが、既に何か具体的なことがありますか。
○戸田参考人 県立のこども病院での取り組みですが、こども病院のナースさんでそういう移行期を中心に担当されている方がいらっしゃいます。この前お伺いしたのですが、移行期用の手帳をつくって、今おっしゃったように、自分がどういう薬を飲んでいるのか、どういう治療をしてきたのか、ふだんから相談しながら、移行期に向けてこども病院の中で、御自身と親と先生たちと一緒にそういう手帳を活用しながら、支援しているという話は伺っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○水澤構成員 先ほどの座長のお話で私も大分理解が進んだかと思いますが、一つお話があったのは、今のこども病院ですが、小児センターの場合に成人の領域が余りないので、手薄なので大変だと、それは非常によくわかりました。それから、幾つかの疾患名が出てきて、そこで患者さんの数がふえていてということもよくわかりました。そういう領域あるいは施設による違いがあると思うので、その場合ですと、こども病院が全国に幾つかあると思いますが、そういうところに対する対策、まさにそれをすることが一番大事で早く進むのではないかと思います。全体として何か大きな制度をつくるということももちろん大事かもしれないのですが、その中で特に必要とされているところ、効果が発揮できると思われるところがそういうところなのかと座長の話を聞いていて思ったのですけれども、そういうものではないのでしょうか。
○五十嵐座長 大変重要な御指摘です。小児医療施設協議会というのがございまして、小児病院14をベースに、今、37施設にまで、小児用のベッドが100以上あるところが加入していますが、そこでは移行医療のワーキングがちゃんとありまして、検討はしています。やはりきょうも御指摘いただいたように、疾病によって随分温度差があって、心疾患や腎疾患、内分泌疾患等、割と単独で発症している場合には大人まで診ていただける、大人の医療機関に移行できるのですが、知的障害、染色体異常、その他人工呼吸器装着とか、そういう方たちはなかなか移行は難しくて、むしろ小児科のドクターが主治医になって、副科として成人医療提供体制側の先生に御支援いただくということになっています。その場合、入院になったときに小児病棟に入れることはいろんな意味で大変問題なのです。そこがネックになっておりまして、そういうこととか、いろいろ検討はしているのですが、制度としてそれが定着するような、促進するようなものにはまだなっていないというのが今の状況ではないかと思います。
○水澤構成員 よくわかりました。そういうものを各都道府県で現状に合わせて進めればよいということでしょうか。
○五十嵐座長 難しいとは思いますが。
○水澤構成員 やはり総合病院の場合は比較的楽なのですね。大学病院みたいな場合ですね。私はそういう経験があったものですから、よくわかりました。近くに成人を扱うような、あるいは総合病院があればいいわけですね。先ほどお話があったみたいに、同じ施設内に県立の総合病院があるとか、そういうことがあればいいということですね。千葉の場合は、顔の見えるところに大学もあってということで、比較的、将来的にもやりやすいでしょうか。
○戸田参考人 そうですね。比較的関係性がよくて、行政と千葉大学と県立のこども病院が相談する体制がもともとできていたということで、その点はとてもやりやすかったと思います。
○五十嵐座長 そのほか、いかがですか。どうぞ。
○本間構成員 今のお話に関連して、これは戸田先生に伺うのがいいのかと思いますが、実際にセンターをスタートさせてみて、どこが中心になればセンターを立ち上げてスタートできそうなのか、まだ44都道府県あるわけですけれども、実際に立ち上げるについてキーとなるのはどこなのか、行政なのか、日野先生のように医療関係者なのか、それとも我々のような患者家族の会なのか、その辺はどのようにお考えになりましたか。
○戸田参考人 やはり最初は、国からも通知をいただいておりますので、まず行政がしっかりとそんなところを踏まえなければいけないと思います。その上で、その必要性を病院の先生に働きかけると、先生方は現場の声として危機感を持っていらっしゃいますので、一緒にやっていこうという体制が必要なのではないかと思います。
○五十嵐座長 千葉県の場合は、行政でレセプターと言ってもいいのかもしれませんが、ちゃんと働いていて、かつ日野先生が訴えに行った、そういう両方がうまく働いたということだと思います。恐らくよその地域でも皆さんは同じように必要性を感じて、行政もしなければいけないとは思っていると思いますが、ただ、現実にまだ3つしか移行期医療支援センターはできていない。ことしになってまたできているのかもしれませんが、それをふやすにはどういうことをしたらいいか、資料2-1の3ページの移行期医療支援体制についての3つ目の丸に書きました。質問をどうぞ。
○水澤構成員 これは確認なのですが、移行期医療支援センターの設置については国のほうから各都道府県に、やってほしいという要望が行っているのだけれども、3つしか対応できていないという意味なのでしょうか。どういう関係になっているのでしょうか。
○南川課長補佐 御質問、ありがとうございます。基本的には、難病医療提供体制という形で全体的なモデルの中で、難病診療連携拠点病院や移行期医療支援センターみたいな部分を提示しつつ、かつ、先ほどコーディネーターの話もありましたが、それに沿ってやった場合においては国からも一定の補助が行っているという形の進め方をしています。
○水澤構成員 やはりこういうふうにモデル事業をされた場合というか、手を挙げた場合には補助があるのですね。
○南川課長補佐 一定の補助がございます。
○駒村構成員 一定というのはどのくらいの割合を出しているのですか。
○南川課長補佐 コーディネーターに関する人件費に充てられていますが、もし正確でなかったら後ほど訂正させていただきます。
○駒村構成員 予算制約というのが制約要件になっているのかどうか、教えてもらいたいと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○戸田参考人 先ほど日野先生からお話のあった600万の中には国の補助もありますが、千葉県の一般財源で国の予算に上乗せをしてお願いしているところです。先ほどの話もありましたように、ほぼ人件費で消えてしまう。それ以上さらに何か進めようとするとやはり診療報酬がないと、というような御意見もございました。一般財源を積んだからといって決してそれで足りているという認識は持っていらっしゃらないと思いますので、まだまだ厳しいかと思います。
○南川課長補佐 基本的には人件費が一番大きくて、それに対して2分の1の補助を国がしていますので、先ほど千葉県がおっしゃっていたとおり、残りの2分の1は県が出してもらっています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 移行期医療を進める上で、成人の科の内科の先生方の受け入れというか、協力というのか、もともと医療のニーズがあれば受け入れるという形で対応されていると思いますが、それでもなかなか難しかったからこういうふうになったのではないかと思います。移行期医療支援センターに認定されて、こういう活動が上がったことで、成人を対象とするさまざまな、主に小児科からだと内科だと思いますが、そういう科の先生方の理解が高まって、結局は大学病院にほかのこども医療センターから紹介があったり、そういうものが受け入れられるようになっていくのが理想だと思いますけれども、そういう理解が非常に高まって、より移行医療を進めやすくなったという実感は何かありますか。
○日野参考人 申しわけありませんが、まだ今のところはないですね。これからの課題だと思っています。
○山野構成員 やはりそこが難しかったからこれを進めないといけないという。
○日野参考人 そうです。先天性と病名についてしまうと成人の先生はもう無理ですみたいな感じに今はまだなっているので、そこをいかに乗り越えていくかだと思います。
○山野構成員 なるほど。例えば在宅にさらにとなると、難病などは診るのが難しいからという感じで、やはりそこはハードルがさらにある。
○日野参考人 そうですね。特にうちの病院は在宅部門がないので、在宅に関しては地域の先生方のお力もおかりしなければいけなくて、そういう意味では医師会の先生方の協力がなくてはならないと思っています。
○山野構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 成人に移行していく、在宅医療をしている方たちの現場での医療的支援は、小児科医でなくて内科の先生のほうが受け入れてくれているというのが現状だと思います。そういう意味では、地域の医師会の先生方は非常に御理解があります。ただ、主治医が小児科医である場合、入院先が小児のベッドのほうにいかざるを得ない点があって、大人になった患者さんで小児科医が主で、内科の先生が在宅で診ていただいて、何かあったときには入院しなければいけないわけですが、そのときのベッドの確保が難しい、そういう問題があると思います。
では、続きまして、移行期支援から今度は患者のデータ登録について審議したいと思います。特に医療費助成の対象とならない患者さんのデータ登録も含めまして、12ページ、13ページにまとめていただいていますので、これについてさらに議論を深めたいと思います。何か御意見ございますか。
○森構成員 JPAの森です。
本日の参考資料として、私どもJPAが、JPAに加盟している団体だけではなく非常に広く呼びかけて、御意見、御要望などを募りました。大変多くのところからいただき、それを項目ごとにまとめておりますので、ぜひこれらの意見、要望も踏まえまして、御検討いただきたいと思います。
そこで、今回、12ページ、13ページにつきまして、現状の軽症者につきましては、大変抵抗があります。どうしても軽症とは言えない患者も多く含まれております。この医療費助成につきましては、難病法となったその時点からは義務的経費となっておりまして、予算の中で医療費助成を見ていくということではありませんので、継続して治療が必要な患者は医療費助成の対象としていただきたいです。
その上で、軽症の患者さんについてどのようなデータが必要かということにもよりますが、手続の簡素化からも3年または5年に1回の手続でよいかと思います。また、その期間が長くなりますと、難病は申請手続したときからの医療費助成が認められていますが、重症化したときの医療費助成の対象となるように、さかのぼりということも御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。12ページの3つ目の丸の2を中心に具体的に御提言をいただいたと思います。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○矢内構成員 これまでにも議論になってきたことかと思いますが、11ページに書かれていることも含まれていますけれども、軽症者登録証が重要であるということがデータの悉皆性とあわせてこれまで議論されていたこともあるかと思います。まずは、軽症者登録証の必要性とデータの悉皆性ということはやはり別の議論だと考えています。
軽症者登録証が重要であるというのであれば、今、森さんからもお話がありましたが、軽症者にどのような支援、サービスが必要なのかということをきちんと議論する。全国的な仕組みとしてこういったサービス、今でも就労支援、日常生活支援、難病相談支援センターでの相談体制、そういったことが全国的に行われていますけれども、そういった全国的なサービスの均一化、何が必要であるかということをきちんと議論して、そういったことを国で整備していただくことが必要だと思います。
また、データの悉皆性を担保するのであれば、やはり軽症者のデータも必要であるということであれば、患者さんへの負担が軽減されることが必要であると思います。今の難病の医療費助成の申請と同じ仕組みでデータを確保することは患者さんにとっては非常に負担になるとともに、行政にとっても事務手続が非常に多くなり、事務量の負担が大きくなることは確かですので、何が必要な項目で、どの程度の頻度でその登録を行えばいいのかということはきちんと専門家を交えた議論をしていただきたいと考えております。
がん登録と同じ仕組みなのだからできるという議論もございましたが、登録の場合には、医療機関でがんと診断された場合に医療機関で登録する。それを受け取る側は行政になるわけですけれども、医療機関での登録ということになりますので、同意をとること、あるいは登録することを行政側に任せるというのは、専門性がないということ、事務量の負担から見ても非常に難しいということはこの議論の中でも留意していただければと考えております。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○駒村構成員 12ページの2の説明がいま一つよくわからないのですが、登録の頻度について「認定が1年であるため、1年ごとにデータが登録される。他方、例えば国勢調査では5年ごと、患者調査では3年ごとに情報を収集している。これらも踏まえつつ」となっています。これらの行政データというのは調査目的が全然違うので、こちらが5年、こちらが3年といって、それが参考になるのかどうかよくわからない。むしろ医療データとして本来どういう間隔がベストなのかというのが研究上あると思うので、その辺を踏まえないと、国勢調査や患者調査というのは違う目的だと思います。この文章がよくわからなかったのですが、お願いできますか。
○南川課長補佐 事務局からですが、今回、軽症者登録と言うべきかどうかは置いておいて、いわゆる重症度基準に満たない方もしくは軽症高額に満たない方に対する登録に当たって、今と全く同じような形、普通の医療費助成と同じような形の登録というのが一番わかりやすいのであれば、そこから負担を減らしていくという観点でいったときに、項目を減らしていくと、減らせば減らすだけ研究的な要素は減っていく。今度は頻度を減らすといったときに、今は毎年やっていただいているので、減らしていくというのは、駒村先生がおっしゃったとおり、研究者的な視点もあるのでしょうけれども、参考値として患者数だけを参考にやっている患者調査だったり、数だけを見ているのは研究ではないので、そういう意味での研究的な価値として3年もしくは5年を提示することそのものが適切かどうかは置いておいて、負担を軽減して、データ登録期間という形で考えたときに例示してみたのがこの趣旨でございます。ただ、いずれにしても、駒村先生がおっしゃったように、ここで研究的もしくは患者さんの負担の両方の観点から御意見をいただければと思っています。
○五十嵐座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 先ほどおっしゃったように、軽症者の登録の場合、かなり患者さんの負担が大きい割にはなかなかメリットがないとなってくると思います。そうなったときに、以前、羽鳥委員のほうから議論がございましたが、データの登録はドクターサイドで実施して、難病という診断がついたところで、もちろん患者さんにちゃんと同意をとった上でデータの登録をして、そのデータに基づいた形で重症かどうかを判定する。そういうデータの登録と医療費助成のところの役割を二分化するという形でないと、この形で例えば軽症者登録証というのができたとしても、そこに軽症者が入ってこないのではないか。それをつくっても余り意味のないような形になって、研究の促進にも役立たないのではないかというところが危惧されます。そういう2つ、データの登録と医療費助成とを役割分担する仕組みづくり、特にオンライン化するとそういうのがひょっとしたらできないかと期待してしまうのですが、そういうことは可能なのですか。検討できますか。
○南川課長補佐 今回の難病法そのものが、難病患者の治療研究開発と福祉の両方の観点から基本的に構成されていることが前提としてあります。その上で、今おっしゃったような分けて議論することとか、オンライン化を前提として、オンライン化したらできるみたいな部分については、オンライン化は今までも御議論があったとおり、目指していく中で必ず過渡期もありますので、包括的な議論をしていってもらう中で分けられるかどうかというと、やはり一定程度、両方の観点を見ながら御議論いただければと思っています。
あと、先ほど12ページの2つ目の丸にあるとおり、今回の仕組みも、患者、医師、医療機関、研究者、行政、これは国、地方自治体両方入りますが、これらの関係者がそれぞれ分担しながら重症の方に対する医療費助成をやっているので、これに登録というものも、それぞれどのような方がどんな役割分担をしていくかというのはあわせて、趣旨そのものは両方あるのですけれども、やり方そのものについてどうあるべきか御議論していただければと思います。
○山野構成員 オンライン化をしないと、確かに都道府県の負担も、純粋に数がふえるわけなので、特に不認定の審査会まで開催しなければいけないとなると、そこが非常に大きな負担になると思います。そうなってくるとオンライン化とセットでこれを進めなければ実現はなかなか難しいのではないかという印象を受けるのですが、オンライン化の時間軸とこちらの軽症者登録の時間軸は同じで進めていくのか、それとも別々で進めていくのか、軽症者は先にやって、オンライン化はその後にやる、タイムスケジュール的なそういうのはいかがですか。
○南川課長補佐 オンライン化そのものは、皆様が言われているとおり、国としても進めていくという御議論をこの後されると思っていますけれども、全ての仕組みをオンラインで完結するというようなものができたときの制度を考えると、例えばレセプトのオンライン化は診療所が6割、病院は大体100%やっていますが、かなり数年単位でやっていることを考えたときに、今回の目的とする軽症者登録ができてからのもので考えるのか、途中経過も含めて考えるのかを含めて御議論いただければと思っています。
○山野構成員 もう一点、いいですか。不認定と認定を分けるというところで審査会が大変な労力を割いていると思いますが、そこをむしろしっかりとラインで切って審査会をなくすとか、あるいは微妙なケースだけを抽出できるような仕組みにして、そこの症例だけをやる、そういう可能性はいかがですか。
○南川課長補佐 オンライン化を否定するわけではなくて、オンライン化をやるに当たって審査の事務の軽減化の仕組みみたいなものは入れていく必要があると思います。ただ、審査会そのものは、逆に言うと、支給しない場合に対してちゃんと確認しなさいという仕組みになりますので、受給しないときに専門家によるチェックは一定程度あって、そこをオンライン化やシステムが手伝って事務処理を減らしていくという方向性は十分あり得ると思っています。
○山野構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 軽症者登録という話がずっと出ているのですが、その申請するときの項目は今の項目と同じである必要があるかどうかについて、もう少し議論いただきたいと思います。そこまで詳しいデータは軽症患者さんの登録には必要ないのではないかという御議論は前に出ていますが、具体的にどの程度にするか、疾患によってみんな違うと思いますので、それをここで議論することはできないのですけれども、それについて何か御意見はございますか。基本的に、もし軽症者登録をする場合には現行の登録項目よりはもっと簡便なものでいいという方向でよろしいでしょうか。それについて何か御意見をいただけますか。どうぞ。
○水澤構成員 今のその一点だけなのですが、軽症の方あるいは初期の方というのは診断する上ではむしろ難しいわけでして、それが非常に簡単ということはないと思います。診断基準等は一定で、重症であろうが軽症であろうが診断基準が変わるわけではないので、項目自体あるいは内容自体が非常に簡便になるということは目指さないほうがいいと思っています。先ほどの議論で言えば、審査の更新の間隔をあける、そういった形の負担軽減のほうが現実的かと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。では、西村委員から。
○西村構成員 では、先に失礼します。軽症の方の項目、福祉の支援や、就労支援のニーズが今度高くなるということが実態調査でも出ていて、既に生活のしづらさ項目というのが登録のときの申請項目の中に入っているということを伺っております。やはりそこはまさにチェックしていただく重要な点なので、今の項目を全部見ているわけではないのですが、項目はそのままで、生活のしづらさ項目というところをチェックして、どんなメリットがあるかが重要になると思うので、手帳なり何か認定証を持っていけばそれがしっかり受けられる担保をつけるということで、逆に持っていかなければいけない、そういうふうにすると登録が進むのと、生活面のデータが蓄積されると思います。
これに関してですが、支援をしっかりするという意味では、法律の位置づけが今の法律は弱いと思っています。そこまで今回の改正で踏み込めるのかわからないのですが、就労支援、生活支援が28条に書かれているということでしたけれども、その規定の重みというのか、今、できる規定になっているということでしたので、それをもう一段上げるところに今回いけるのかどうかも検討できればいいかと思います。
○五十嵐座長 必ずしも医療費支援だけではなくて、たとえそれが受けられなくてもほかの支援を受けられるというようなものを提供したらいい、そういう御提案ですね。それから、法律的にもしっかり根拠を示したほうがいいのではないかということですね。ありがとうございます。
どうぞ、羽鳥委員。
○羽鳥構成員 西村先生と同じような意見ですけれども、基本的には、ここでの議論が法案のことを考えているなら、先ほどの疾病登録などしても根拠法がないということもありましたが、その辺のことを含めてレベルアップした法案をつくるべきだろうと思います。
きょう、発言するのはやめようと思ったのですが、1回目、2回目の議論と順繰りになっていると思うので、はっきり言って、事務局と座長でこの案でどうだと示していただいて進めたほうがいいのではないかと思います。軽症者登録もそうですけれども、バスをただにしようとか、いろんな案があったと思うので、そういうことを含めて、みんなの協力を得やすいようにするということ、就労者支援もいろんなことができると思うので、こういう案でどうだというのを示していただいたほうがいいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
自治体にとってはやはり負担がふえるということは非常に困ることだと思います。そういう意味で、オンライン登録というのは一刻も早く進めてもらいたいと私も個人的には思っています。オンラインに関しては厚生労働省もずっと前から検討はしてくれているのですが、担当の方が何人もかわっていて進んでいないのですね。これは何が原因なのでしょうか。
○南川課長補佐 私、前職のことも含めて、医療IT化というのはいろんな意味ですごく専門的で難しい分野だと思っています。特に日本の場合は、病院のバリエーションだったり、ベンダーだったり、いわゆる電子カルテだったり、レセプトコンピューターと、かなりバリエーションのある方がやっていて、それをまとめてIT化して日本全体を効率的にするというのは、セキュリティーの話も出てきますので、難しいことは事実だと思っています。とはいうものの、おっしゃったように、この御時世の中で、厚生労働省は別途、データヘルス改革みたいな取り組みもしている中で、IT化を進めていかないということはないと思っていますので、引き続きお知恵をいただきながら、厚生労働省もIT化の努力をしていきたいと思っています。
○矢内構成員 オンライン化を進めていただきたいというのは自治体の勉強会でもたくさん意見が出てきたと思います。ただ、自治体の負担がふえる形でのオンライン化、例えば臨個票は医師のほうで入力したけれども、患者さんが個別に出した申請書とのひもづけで新たな事務が発生する、そういった事務の負担については十分御検討いただいて、早く進めていただきたいと思います。現時点でやっている臨個票をコピーして送るという作業量だけでも非常に莫大な事務量になっているわけです。
先ほどから軽症者登録証のお話もありましたが、現在、難病の非認定書も難病であることの証明にはなるわけですので、新たに軽症者登録証というものをつくって、それをお配りするということになれば、またこれも新たな事務の発生になります。そうなりますと、現在、発行している非認定書でもってかえる。また、先ほど交通費の無料化というお話もありましたが、これも財源がなければできないことですので、自治体の財源も限られているという実情も踏まえて、国のほうでどういった支援が本当に必要なのかということは自治体の意見を聞いて十分な御議論をしていただきたいというふうに、これは強く要望いたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、羽鳥委員。
○羽鳥構成員 オンラインのことに関して日本医師会でも3つの県に対して調査して、半分ぐらいオンラインオーケー、半分はまだ病院の中のレセコンと電子カルテがつながっていないので、それを見ながらもう一つ別のコンピューターを使わなければいけないからできないということがありましたが、これは全く手順の問題ですので、普通の多くの医療機関でできます。
それから、課長補佐が診療所ではまだ6割しかオンラインができていないということですが、オンラインはできていないけれども、診療データは今、みんなCD-ROMを各診療報酬のところに送っているわけです。基本的には90%以上できていて、それを理由にやらないというのはおかしいと思うので、やはり主導してオンライン化を進めていただいたほうがいいと思います。できないところが例外的に紙で出されて、県が事務処理が大変になるのはあるかもしれませんが、基本的にはオンラインでやる。昔、診療報酬の請求を一斉にオンラインでやると決めたら、みんなついてきたわけですから、できないことはないと思います。やってください。
○五十嵐座長 嵩委員、どうぞ。
○嵩構成員 どういう登録証にするかによると思いますが、データベースに登録してもらうことで、それに基づいて登録証を発行することを考えた場合、データをたくさん集めるためなるべく多くの人に登録していただくことは非常に重要ですので、そのために何らかの支援と関係づけるというのはいいと思います。
他方で、現在顕名ですがデータを今後もし匿名化処理するとしても、やはりレアな疾病だと思うので、そういう形のデータを保有されたくないという思いを持つ方もいらっしゃると思います。そういう方に対して、登録証を持たないとこの支援が受けられないみたいに要件化してしまうと、不本意ながら登録やデータを提供する方もひょっとしたら出てくるかと考えます。その点の配慮ということで、登録証があれば支援が受けやすいという程度に緩やかに関連づけて、支援としてはそれだけが必須ではなくて、ほかのもので受けられるという形にして、登録証が必須化しないほうがいいかと思いました。
○五十嵐座長 御意見ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。どうぞ。
○森構成員 JPAの森です。
今の登録者証ですけれども、現在は不認定通知という形で、A41枚の細かな文字で疾病名が書いてあるといったような大変わかりにくいものになっています。こちらのほうをもう少しはっきりと、さまざまな就労支援や福祉等で使用できるものとして認められる証明となるものが欲しいと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○和田構成員 今の議論は大変重要と思って伺っていました。先ほどからありましたように、登録のところでは少なくとも3つぐらいのファクターがあると思っています。医学研究としての立場、これはデータベースの観点にもかかわると思います。それから、医療費助成の観点、もう一つは福祉という観点です。そういうことを考えますと、軽症者だから一部内容を変えるというよりは、やはり全体を統一していたほうがいいのではないかと私も思います。そのときには、患者さんの御負担あるいはさまざまな行政の御負担を考えるとオンライン化というのは必須になってくると思っております。将来的にデータベースを考えますと、可能であれば小慢と成人領域との突合ということも当然視野に入っていると思います。そのときにはやはりオンライン化というのも一助になると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
時間も大分、押し迫ってまいりましたので、もう一つ残っている17ページ、今、御指摘いただいたデータベースのことについて御意見をいただきたいと思います。
○山野構成員 データベース化したデータを小慢のデータから難病のデータにという形で経時的に追っかけていくという研究的な視点から、21ページ、22ページを比較しますと、小慢のほうは重症度分類が入っていないですね。長年経過を追って一番重要なのは、どれぐらいの軽症な人が何年ぐらいでこれぐらいの重症度になったという形、いわゆる自然歴と我々が呼んでいるようなデータが小慢のデータではとれていないけれども、指定難病になってからとなると、研究的に価値が弱まってしまうと思います。小慢のデータベースのほうで重症度をとっていくということは難しいものなのでしょうか。
○五十嵐座長 どうぞ。
○南川課長補佐 もともと重症度分類については、難病のほうは前回の法改正のときに、疾病の特性に応じて日常生活もしくは社会生活に支障があると医学的に判断される方が医療費助成の対象になったので、その中で小慢の部分について、データ的な観点では同じような視点でデータをとれたほうがいいということは研究者の視点から御指摘のとおりだと思いますが、先ほど来お話しになった、いわゆる負担と便益との兼ね合いの中でどう考えていくかということなのかなと思っております。
○五十嵐座長 どうぞ。
○駒村構成員 17ページの上から2つ目の丸で、現行の難病法というのはデータを収集して治療技術を開発するのが重要な目的の割には、これまで議論があったようにデータに関する法整備が非常に弱い。ここについては、調査研究を促進する主体は国とされているというところまでしか明確になっていない。この際、法改正するならば、患者や自治体はどういう位置づけからどういう法的役割を果たすのかを明確にしたほうがいいのではないかと思いますので、この議論は深めたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
○福島構成員 難病ネットワークの福島です。
データベースとは離れるかもしれませんが、指定難病と小慢はもともと厚労省でやっていた局も違うので、文化といえば文化なのかもしれないですけれども、使っている言葉が違っていたり、制度設計上の細かな違いがあったりして非常にわかりにくいと感じるところがあります。
例えば、医療費助成の認定の基準があるわけですが、小慢の場合はこれを「疾病の状態の程度」と呼んでいますけれども、指定難病では「重症度分類等」という名前になっています。同じような、要するに医療費の助成が受けられるかどうかという線引きです。
それから、お医者さんに書いていただく書類も小慢は「医療意見書」と呼んでいますが、指定難病は「臨床調査個人票」と呼ばれています。
月額の負担の上限額が所得によって決まっているわけですが、それに対する軽減も小慢のほうは重症患者という名前になっていて、この重症患者には高額かつ長期という方と重症患者基準に適合する者、2つの類型が当てはまる。一方、指定難病のほうは高額かつ長期しかないということで、小慢のほうが厚くなっているということです。
軽症者への月額負担の救済措置についても、指定難病には軽症高額該当というのがありますが、小慢にはそういった制度がないということです。もちろんお金がかかるところもあるし、お金がかからないところもありますが、今回、5年後の見直しに当たってこういったこともぜひ見直しの中に含めていただいて、コミュニケーションがうまくいくようにしていただくといいと思います。
以上です。
○五十嵐座長 御指摘いただきまして、ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間です。
今の福島さんの意見に関連するのですが、そもそも難病と小慢の根拠法、難病法にも小慢法にもないのです。しかも、2つのデータベース、いわゆる顕名というのですか、匿名化されていないので、そういったことを考えると、希少難病の場合は個人情報の問題も特定されやすい。そういう問題がありますので、やはり法律の中にその辺の担保を明記する。あるいはそれが無理なら、法律の告示、そういうところで何らかの歯どめといいますか、そういったものを設けるべきではないかと思います。今みたいに根拠法がないというのは危ないという気がします。この間のデータベースのガイドラインではかなり厳しく制約したものができていますが、それだけだとこれからデータベースを広げていく場合にはまずいという気がしますので、その辺はぜひ行政のほうでも御検討いただきたいと思います。
○五十嵐座長 19ページにあるように、ほかのデータベースについては改正法案が国会に提出されているという記載がありますが、難病と小慢のデータベースについてはまだそういう具体的な方向性には至っていないという状況ですね。
ありがとうございました。時間が残されていないのですけれども、このデータベースについてよろしいでしょうか。
あと、もう一つ、積み残しとして、対象疾病の考え方について今まで余り議論がされてきませんでした。資料2-2の3ページ、4ページに難病法における難病の定義等が書かれているわけですが、こういう考え方のもとに委員会で議論がされて、こういう形になったわけです。これからしばらくですけれども、この基本的な考え方を踏襲することでよろしいかどうかについても御意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。水澤先生、基本的にはこの方針でよろしいでしょうか。
○水澤構成員 そうですね。少なくとも今これを変えるというのはなかなか難しいのではないでしょうか。かなり疾患数をふやして、この基準で新しく認定されてきた疾患が随分多いと思いますので、もうしばらくは続けてもよいのかとは思いますが、実際問題として難しい点はありますね。
例えば、希少疾患に関しては、何%というのは数字で出せるわけでありまして、全世界で米国はどう、日本はどうということで国際比較もよくできる。その一方、例えば長期の療養を必要とする、内容的にはかなり重症度というのを反映していると思いますが、こういったものはなかなか数字ではあらわせない部分がありますので、そういう難しさを持った基準になっているということは常々認識していなければいけないと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
しばらくは基本的にこの定義のもとで難病を考えていく、そういう御意見をいただきました。どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間です。
先ほどの小慢から成人への移行のときに問題になったのですが、移行する場合にこの要件に当てはまらないものが人口の問題以外のところで出てくる患者さんがどうしても出てきます。そこのところは、この定義自体を変える必要はないのですが、運用をもう少し柔軟に考えていただいて、これは研究にも資するわけですけれども、できるだけ医療費助成から外さないような形の認定を患者サイドとしてはいただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
ちょうど時間になりましたので、きょうはここまでで終了したいと思います。全体を通して何か御意見ございますか。よろしいですか。どうぞ。
○羽鳥構成員 先々週、日本医師会で社会保険指導者講習会をやって、今回、難病をテーマで行っていますが、南川課長補佐にも御登壇いただきました。そのとき会員の先生から、こういう難病のいろいろなことをやって、自分たちも症例を登録しているのだけれども、その結果というか、全体の報告書がよくわからないというようなこともあって、その方は眼科の先生だったのですが、もう少し見える形にしてほしいという要望がありました。ホームページでもどんなところでもいいですが、最新の成果、そういうことも含めて、何らかのメッセージが出せるような仕組みを厚労省としても考えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 何かありますか。
○南川課長補佐 そのとき御質問いただいたのは診療所で眼科に当たられている先生で、失明に至りそうな難病に対して自分も患者さんに一生懸命説明して登録しているけれども、それは、いつか患者さんにあなたはこれぐらいの確率でこういうふうになってしまうかもしれないからみたいな部分をちゃんと科学的に説明したいからやっていて、そこの部分が実際協力している医師に対して十分届いていないのではないかという御指摘を我々としてはいただいたと思っています。羽鳥先生の御指摘を踏まえて、どのような形ができるか、検討したいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。
では、次回の日程等、事務局から御説明をお願いいたします。
○南川課長補佐 次回の詳細については、調整ができ次第、追って構成員の皆様に御連絡させていただきます。
○五十嵐座長 では、きょうはこれで終了したいと思います。御協力、どうもありがとうございました。