難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ(第2回)議事録

日時

令和元年10月7日(月)17:00~19:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール14E(14階)

議事録

議事内容
○南川課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第2回「難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
本日の出席状況ですが、佐藤構成員、矢内構成員、和田構成員より欠席の御連絡をいただいております。また、西村構成員、羽鳥構成員より到着がおくれるとの連絡をいただいております。
なお、本日は、参考人として、一般財団法人医療情報システム開発センター、山本隆一理事長に御出席いただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○南川課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。
以降の議事進行につきましては、五十嵐座長にお願いします。
○五十嵐座長 皆さん、こんにちは。早速始めさせていただきます。
初めに、きょうもタブレットを使いますので、タブレットの使い方について事務局から簡単に説明をお願いいたします。
○南川課長補佐 本日のワーキンググループでは、タブレットを使用し議事を進行させていただきます。お手元にタブレット操作説明書をお配りしていますので、そちらをごらんいただきながら、使用方法に不明な点や機器のふぐあい等がありましたら、遠慮なく挙手をお願いします。会議の途中でも事務局が個別に御説明いたします。
なお、タブレットに関しては、会議終了後、回収いたしますので、持ち帰らずに机の上に置いたままにしていただきますようお願いします。
専務局からの説明は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
タブレットの使い方で何か御質問ありますか。よろしいですか。
では、議事に入りたいと思います。きょう、議事は2つあります。1つ目は、関係者からのヒアリングであります。2つ目は、これまでの議論を踏まえた対応の方向性についてディスカッションしたいと思います。
では、関係者からのヒアリングに入りたいと思います。きょうは、山野構成員と山本参考人のお二人からプレゼンテーションをいただきたいと思います。進め方といたしましては、お二人の方からそれぞれ10分程度で御発表いただきます。その後にお二人に対する質疑応答をしたいと考えております。
それでは、初めに聖マリアンナ医科大学大学院先端医療開発学、教授の山野構成員から10分間程度で御説明をお願いいたします。
○山野構成員 よろしくお願いします。
難病領域におけるデータベースの特性と役割分担について発表いたします。
2ページ目をごらんください。これは、難病領域における各データベースの現状あるいは構成につきまして、簡単にシェーマティックにまとめたものであります。小児慢性特定疾病のデータベース、指定難病のデータベースがございます。本日は主に指定難病のデータベースについてお話しします。これは331疾病となっておりますが、今、333疾病、皆さん御存じのとおりだと思います。
もう一つは、厚生労働省の政策研究事業の研究班及びAMEDの実用化研究事業の研究班が合同あるいはお互いが単独で保有している患者さんのレジストリがございます。こちらのほうはバイオデポジトリ、いわゆる生体試料のバイオバンクも含んでいる、あるいはゲノム情報なども含んでいる場合もありますが、今、算出したところ、約6割と書いていますが、政策研究班の7割から7割5分の研究班がレジストリを保有しております。
さらに、これまでの合同委員会、難病の委員会のほうでも、せっかく政策研究班が作成した患者レジストリのデータが保管できない、研究者がかわったらそのデータが紛失して非常に損であるという御指摘がございました。そういう御指摘を何とか解消するという目的も踏まえまして、AMEDの難病プラットフォーム、これは患者レジストリの情報を集約、統合するという機能を持っており、本格的には2018年度からスタートしておりますが、AMEDが公的データベースとして位置づけ、臨床情報のみならずバイオバンクやゲノム情報なども保管しているというデータベースでございます。
次のページをごらんください。本日は以下の3つの内容について発表します。1つ目は指定難病データベースの研究への活用ニーズや有用性、2つ目は研究班の患者レジストリについて、3つ目に難病プラットフォームについて御説明します。
次のページをごらんください。まず、指定難病データベースの研究への活用ニーズや有用性についてです。
次のページをごらんください。これは、皆さん御存じの指定難病患者データベースの現状でございます。難病の指定医が調査票を記載して、それが都道府県に行き、そして登録センターに行き、そのデータが登録されるという仕組みになっているのは皆さん御存じのとおりだと思います。
次のページをごらんください。これは、指定難病患者データベースに登録される項目で、これまでもさまざまな議論がございましたので、皆さんよく御存じの内容ではないかと思いますが、基本的な情報を余り負担をかけないような形で集約されていると理解しております。
次のページをごらんください。ではこのような指定難病のデータベースに保管されているデータを活用したいというニーズがどれぐらい研究班にあるか、この調査は和田先生が研究代表者でおられる政策研究班で実施しております。政策研究班を対象にこれらの調査項目を調査しております。
次のページをごらんください。その主な結果ですが、まず「提供希望あり」は指定難病データベースが91.9%、非常に高率でございました。また、小児慢性データベースも67.5%と高率です。他のデータベースとの連結の希望の有無は、指定難病と小児慢性の連結の希望が68.4%、NDBとの連結の希望が55.7%、難病プラットフォームとの連結の希望が60.8%という内容でございました。
また、指定難病データベースの研究的価値を高めるために必要な要素ということも自由記載で書いておりますが、数の多いほうから「経年変化が追えること」「悉皆性の担保」「未申請者や軽症者の把握」「信頼性の担保」「名寄せ機能」、このような項目が上がっております。
次のページをごらんください。今度は臨床調査個人票データがいかに研究に活用できるかということを検討しました。(1)がこのデータベースのデータの信頼性の検討、(2)が経年データの有用性の検討、(3)が研究的付加価値の創出に関する検証で、HAMという疾患を対象に患者レジストリのデータと臨個票で得られたデータを比較解析することによってこれらの3つのポイントについて検討しました。
まず、下の表にありますように、一般的に臨個票のほうが軽症者が余り含まれていないという特徴を反映してか、かなり重症な方がより多く登録されているということが患者背景の特徴として浮かび上がってきました。
次のページをごらんください。これは信頼性の検討ですが、さまざまな項目についてどれぐらい一致するか、完全一致率とカッパ係数など計算して検討してまいりました。基本情報に関するデータはほぼ一致しておりましたが、発症年は、恐らく患者の記憶をたどらなければいけないような情報だと思いますが、そういう情報については完全一致率が低かったという結果になっております。
次のページをごらんください。症状につきましても、上の表は初発症状ですけれども、初発症状はリコールバイアスが入るのか、完全一致率が非常に低かったのですが、現在の症状は、下の表にありますように、ほぼ一致しているということでございました。
次のページをごらんください。また、重症度についてですが、HAMねっとという患者レジストリで得られた運動障害の重症度(OMDS)と臨個票のデータは基本的にはおおむね一致しており、1以内の誤差が78.4%ということで、臨個票のデータもそれなりに信頼できるデータであるということが浮かび上がってまいりました。
次のページをごらんください。これは治療内容についてですが、ほぼ患者レジストリのデータと一致しております。患者レジストリは1人当たり1時間ぐらいかけて調査しているような非常に精密なデータなので、このように完全一致率が高いということはデータは信頼性がかなり高いことを示しているのではないかと考えられました。
次のページをごらんください。さらに今度は経年的にデータが追えるかということは、病気の自然史(ナチュラルヒストリー)などを把握する上では非常に重要になりますが、指定難病のデータベースのデータで重症度の変化を見ると、1年で確実に悪化しているというデータが得られ、これはHAMねっとで得られたデータと一致しております。やや指定難病の臨個票のデータのほうが重症化が速いようですが、これは冒頭に申し上げましたように、より重症な患者さんが登録されていることを反映していると思われます。
次のページをごらんください。今度はこれらのデータが研究的な付加価値があるかどうかについてです。これまで我々HAMの専門家はバーサルインデックスを重症化の評価指標として余り使用していなかったのですが、臨個票のデータを用いると、これまで我々が疾患特異的な評価指標として用いてきたOMDSと強く相関するということがわかり、バーサルインデックスというものもHAMの重症度の評価指標として有益であるということが今回の調査で初めてわかりました。
次は、臨個票のフィージビリティースタディーの結果のまとめでございますが、繰り返しになりますので、後ほどごらんください。
次は、患者レジストリの特性についてです。これはあくまでも参考までですが、研究班の患者レジストリはかなり細かい情報を綿密に聞いている場合があります。年に1回聞き取り調査で患者にダイレクトに聞いているという形でデータを強固なものにしております。特徴は、就業・就労状況、収入、公的支援の受給状況、また、ここには書き漏れておりますが、死亡、生命予後、あるいは死因、そういうものも聞いておりますし、また重症度の評価指標についても1つだけではなく、さまざまな評価指標の情報を収集しております。
次のページをごらんください。これらのデータを研究に役立てることによりまして、自然歴(ナチュラルヒストリー)の解明や、疾患活動性分類を確立し、患者の病気の重症度に応じた治療の層別化につながるようなエビデンスが出ており、これらのエビデンスはHAMの診療ガイドラインに貢献したという形で、このようなレジストリのデータは患者の大きな医療環境を改善するために役立つことがわかっております。
次のページをごらんください。指定難病データベースと研究班が保有する患者レジストリの比較表を作成してみました。何といいましても、指定難病データベースは長期安定性が大きな特徴であり、この特徴をやはり今後もぜひ生かしていくべきであると考えます。また、指定難病のカバー率も、指定難病データベースは全てでありますが、研究班の患者レジストリは、これはちょっと古いデータで6割ですが、現在7割から7割5分です。悉皆性は、指定難病データベースは現在は未申請者が含まれておりませんが、ここをカバーしていく努力が必要であろうと思います。また、データの項目数も、指定難病データベースは指定医の負担の観点から留意が必要ですが、患者レジストリの場合は、研究で実施し、多くても可能である。また、経年的追跡も両方とも可能です。研究班データベースとの名寄せにつきましても、レジストリがどこまでそのような視点で患者の同意を得ているか、そういうところによると思います。また、登録者へのアクセスもごらんのとおりです。生命予後、生体試料とのリンク、ゲノム情報とのリンクは、どうしても患者レジストリでしかできない。また、データの二次利用につきましては、どちらも審査が必要ですが、可能というふうにまとめてみました。
最後、難病プラットフォームについて簡単に御紹介します。これは研究代表者を松田先生が務めているものですが、厚労省で約88の研究班、AMEDで約200の研究班がそれぞれさまざまな臨床情報や生体試料の情報、ゲノム情報を保有しており、現在、難病プラットフォームは、AMEDが指定する公的データベースとしてこれらの研究班が保有するデータを集約統合しております。
次のページをごらんください。これまではそれぞれの研究班が規模や情報収集方法などが異なる疾患別レジストリをつくって混在しておりました。そうなりますと、データの相互活用や統合が困難で、また品質も不均一であります。難病プラットフォームができたことによってデータの相互活用や統合が可能となります。しかし、各疾患ごとに連携するとそれぞれにコストや手間がかかりますので、将来的には疾患領域ごとに統合し、データを共有することで、さらに効率のよい運用やデータの活用ができると考えております。
次のページをごらんください。また、これらの患者レジストリのデータが最終的にはやはり患者さんに役に立たなければいけないという命題がございますので、難病プラットフォームでは、各研究班のレジストリの構築支援をしながら企業とのマッチングを行っており、これを通して企業や研究班が持つシーズが患者のところに手が届くようにレジストリをベースとして促進するという役割を担っております。また、ゲノム解析の支援も行っており、それらの情報は将来の難病のゲノム医療の一層の促進にも貢献できるのではないかと考えられております。
次のページをごらんください。これは、指定難病データベースの特性に応じた活用による研究促進としてまとめたもので、それぞれのデータベースの特徴を記載しております。
指定難病データベースは絶対的な長期安定性があり、患者レジストリが存在しない指定難病でもデータの蓄積が可能などの利点を最大限に生かしていくことが求められると思います。そのためには、悉皆性を高める方策を検討する、医師や自治体の負担を軽減するためにオンライン化を図る、疾患レジストリの構築等にも活用できるデータの利用を検討するなどの工夫が求められます。
研究班の患者レジストリについては、生体試料、ゲノム・オミックス情報とリンクした臨床情報を高い精度で収集することが可能であり、研究への活用度が高いという利点があります。また、登録患者へのアクセスも可能となり、難病患者への情報発信ツールとしても活用できます。構築や維持にはある程度の費用を要し、効率のよい運用が求められるところが、ある意味、欠点かと思います。
難病プラットフォームは、貴重な患者レジストリの情報を研究終了後も活用することを可能とするデータベースとなり得るものです。また、標準的項目の設定による横断的・統合的解析や、企業との連携促進による創薬研究の推進、ゲノム・オミックス情報の統合による難病ゲノム医療の推進などへの貢献が期待されるデータベースと思います。
最後のページをごらんください。一番最初に示したシェーマに戻りますが、それぞれの難病データベースには特徴があり、また利点、欠点がございますので、これらを生かしてどのように今後活用していくべきか、発展させていくべきか、ぜひ皆様で議論いただけたら幸いです。どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 御説明、どうもありがとうございました。
では、続きまして、医療情報システム開発センター理事長でいらっしゃる山本参考人から御発表をお願いいたします。
○山本参考人 このような発表の機会を与えていただいて、ありがとうございます。
資料1-2をごらんください。表紙を飛ばしまして、2ページは、平成30年5月に厚労省が出したスライドの一部ですが、細かい説明は時間がかかりますので省きまして、2で医療・介護のビッグデータの連結・活用というのが出ております。
次のページは、恐らく連結・活用の最初の対象となるNDBの話です。
御承知のように、2008年ごろから集め出して、次のページをごらんいただければと思いますが、こんな形で「高齢者の医療の確保に関する法律」で設置されたデータベースですので、その法律に基づく利用と、それだけでは余りにももったいないということで、高確法に書かれた目的以外の活用も有識者会議を設置してできるようにしております。
次のページがNDBの現状です。レセプトデータとして150億件以上ですから、いわゆるレセ電算のファイル数で言うと4000億近いファイル数になります。それから、2.8億件の特定健診・保健指導のデータが入っております。特別抽出データとして御希望に応じたデータ項目を抽出して提供するとか、あるいは年に4回のサンプリングデータ、あるいは特別な視点から患者データを時系列で結合したデータセット、そういったものを研究申請があれば有識者会議で審査して、オーケーであれば提供しています。既に200近いと思いますが、研究プロジェクトに提供して、レセプトデータは扱いにくいデータですので、当初はなかなか成果が出なかったのですが、最近はすぐれた論文がたくさん出ているように思います。2016年からはオープンデータとして誰でもダウンロードできるという形で、各項目に関して都道府県別あるいは性・年齢階層別の集計情報を公開しています。オープンデータを用いた学術研究も比較的最近よく見られるようになりました。
次のページは、皆さん御承知のように、主に厚生労働省が関与している公的データベースがこれだけあるわけですが、このデータをそれぞれ結合して利用できないかということが検討されました。
次のページは、そのポンチ絵でございます。
次のページですが、ことしの5月に健康保険法等の一部を改正する法律が成立しておりまして、一部は2020年から実施されることになっていますが、項目の3番目に「NDB、介護DB等の連結解析等」というのが出てきております。これは高確法と介護保険法と健康保険法を一括改正してできるように、今までNDBは10年近く提供しているのですが、実は法的根拠がなかったのです。法的根拠がないと何が困るかというと、何か起こった場合の罰則や対応ができないのです。したがって、非常に厳しい条件をつけて提供するということをやらざるを得なかったのです。今回、まだ実施されていませんが、この法律が実施されましたら、きちっと法的根拠ができますので、法に基づいた利用規則をつくることができますので、もう少し対象を拡大できるのではないかと思っています。
その次は、30年度の診療報酬改定の中身で、2に「電子レセプト等について、カタカナ併記の協力を求めることとし」と書いてあります。医療保険の診療報酬請求明細書に書かれている患者氏名は漢字でありまして、介護保険は片仮名であるということで、コンピューターからすると名前が全く一致しないということで結合のしようがなかったわけです。先ほどの一括した法律改正が実施されるまでの非常手段として、医療レセプトのほうに片仮名を併記して、片仮名氏名と性別等でハッシュ値をつくって、生年月日を含めてそれで結合させようということです。
これはあくまでも非常手段です。漢字氏名と現住所まで入れた住民基本台帳ネットワークでも、住民基本台帳ネットワークを動かした当初は、世田谷区でしたか、どこかで全く同じ人が2人いました。住所は一緒ですから下宿に住んでいる人で、なおかつ同姓同名で、同姓同名だと性別は一致しますが、同生年月日の人がいたのですね。片仮名併記にすると、しかも住所がありませんので、そういう意味では、かなりといったら語弊がありますが、それよりは多い誤一致が起こってしまう可能性があるということは承知の上で、これは介護保険と医療レセプトですから、両方とも相当数が多いので、ある地域の状況や、そういったことの分析には多少の誤差を覚悟してやるのであれば使えるであろうということで、こういう非常手段的な方法を使っています。
ただ、あくまでもきちっとした医療等IDを使って全く誤一致がないような形でデータベースを一致しないと、特に難病や小児慢性特定疾病など数が少ない場合、あるいは非常に機微な情報、遺伝情報やそういったものを含む場合、今、がん登録は他のデータベースとの突合を法律で禁止していますが、それを行うとなったときには、がんであるかないかみたいな情報は間違った人に結びつくようなことではできないので、確実に同じ人を結びつける方法が必要ということです。
医療等IDの検討も10年前から始まっているわけですが、その中のユースケースとして、1つ目は、制度化されました医療保険の即時資格確認、2つ目は、地域医療連携を超えた情報の共有、3つ目が今回のデータベースの結合の話です。難病・小児慢性特定疾病の場合は同意データベースですが、レセプトあるいはがん登録、あるいはDPC等は非同意のデータベースですので、患者は全く同意していない、制度で定められたデータベース、そういったものも結合して日本の医療の状況を医学的にもあるいは医療行政的にも知る必要があるということで、こういったことを確実に結合するためにはIDが必要です。
それ以外にも、パーソナルヘルスレコードを実現するにはやはりIDが必要で、労働安全衛生法上の健診は社員番号で管理していますから健康保険の番号とは全く一致しないので、そういったことが確実につながるような形にしようと思うとIDが必要です。
あと、本人が全ての保険の番号や診察券番号を記憶していませんので、後で自分の情報を追跡したいというときにIDがないとできない、そういったことを目的に医療等IDを考えてきたのですが、今回、ワーキングベースで同意して、今度、本会議に出して了承いただく案が出てきております。それが次の11ページでございます。
御承知のように、被保険者番号を個人番号化するというのも先ほどの法律で決められています。したがって、被保険者番号は家族単位ではなくて個人単位で定める。被保険者番号ですから、保険者がかわると変わるのですが、変わったときの履歴を保存しておく。その履歴を追跡することによって医療や介護の分野で使うIDとして利用可能であるという性質を持っています。この履歴を追跡するシステムは、履歴を追跡して保険者の番号を返すわけではないのですが、履歴を追跡してどのIDとどのIDが同一人物であるかということを返せるようなシステムは比較的簡単に構築できますので、これを構築して利用できるようにする。
ただし、被保険者番号が個人番号化されますと個人識別符号になります。そういう意味では、今までの世帯単位の保険者番号とは違いますので、今回の法律で告知要求制限がついております。本来の用途、つまり医療や介護用途以外にその番号を見せることを要求してはいけないし、見てもいけないというふうな法的規制が入ります。あえて履歴を返すというためにはそれなりの制限があるということです。「以下の要件が必要と考えられる」という3つの要件ですね。1つ目は、データの収集根拠、利用目的などが法律で明確にされていること、2つ目は安全管理措置が確保されていること、3つ目は第三者提供が行われる場合は当該提供スキームが法律に規定されていることということで、ある意味、データの利活用がきちっと法律で担保されているものに対して履歴を追えるようにするということが提案されています。恐らくこのままアクセプトされるだろうと考えています。
その次の表は、そういう条件を満たしているデータベースはどれだけあるかということで書いております。NDB、介護DB、DPCDBは、法律あるいはその法律を受けた政令等で3つの条件を満たしております。したがって、この3つは、仕組みさえそろえば要求に応じて突合した上でデータを提供することができるということになります。
民間データベースのところに次世代医療基盤法の認定事業者と書いてありますが、次世代医療基盤法は、そもそもこの目的のためにつくられていますので、次世代医療基盤法の法律の中身及び基本方針等で3つの条件を完全に満たしているということで、認定事業者に関しては提供できます。
全国がん登録DBは、法的に条件は満たしていますが、一方で、全国がん登録に関する法律で他のデータベースとの突合は禁止していますので、そこが改正されればできるということです。
それ以外のMID-NET及び難病DB、小慢DBに関しては、そこまで法規制がまだ行われていないということです。MID-NETの場合はPMDA法ですので、そこまで手をつけるのは難しいかもしれませんが、難病・小慢に関してはワーキング等で御検討いただいて、これに必要な法改正をしていただければ、被保険者番号の履歴を追うことによってNDBあるいは介護DB、DPCデータベースと突合可能になります。DPCの場合はあともう少しかかりますが、NDB、介護DBは準備はできていますので、法律が有効になればこれを突合することができるということです。
次のスライドからは、和田先生の研究班の御報告にあるスライドでございまして、こういった突合をするときの課題と分析、利点をおまとめいただいております。私がつくったものではないので余り詳しく言うのはいかがなものかと思いますが、全部で5枚のスライドがございます。同意のとり方やそういったことをもう一度検討するという課題は存在します。この研究班で御検討いただいた時点では、医療等IDの議論がそこまで進んでいなかったということもあるのでしょうが、特に13ページ目にある図では、医療等IDを使った連結、あるいは既存項目を使ったひもづけ、あるいは情報ハッシュによるひもづけ、そういったことを御検討いただいて、それぞれ欠点、利点があるということになっています。
現状、我々が考えているのは、データベース結合用の医療等IDを使って結合するということにしております。単独データベースで使うと、一つは網羅性に若干の問題があり、長期フォローが難しいという課題がございます。したがって、次にあります公的データベースを連結することで可能になることによってさまざまなことが、NDBの利用というのは実は意外と難しくて、いきなりつないだからといってすぐわかるものではありませんが、それ以外の現実のNDBの研究者等の研究の進歩を見ていると、そう遠くない時期にここに書いているようなことは多分できるようになるだろうと考えます。
その次も同じで、時間軸で追えるということが大きな目標になっています。
その次も同じで、公的DBで長期の追跡を行うための課題ということで書かれています。
こういったことをすると難病・小慢のデータベースだけではなくて、医療に関してはかなり網羅的なデータベース、あるいは介護に関してはかなり網羅的なデータベースであるNDBあるいは介護総合データベースと連結する価値は多分あるのだろうと思います。ですから、その方向で御検討いただければと思います。
私の発表は以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、お二人の先生の御発表につきまして、御質問、御意見等いかがでしょうか。
○羽鳥構成員 最初の御発表の山野先生のお話の中で幾つかのデータベース、3つの難病プラットフォーム、指定難病のデータベースなどがあるわけですが、これらが少しずつずれているというお話もありました。悉皆性を求めるということの重要性というお話があったと思いますが、悉皆性と同時に網羅性ということだと思いますけれども、そのためにはどういう工夫が今は可能か、将来、がん登録法と同じように、ある程度公衆衛生の目的だからということで患者さんの同意の上位の条件としてなるようになればまた別でしょうけれども、今の患者さん同意とか、そういうことが必要な状態でこの3つを有効に活用するためにどうしたらいいか、お願いしたいと思います。
○山野構成員 指定難病のデータベースは、長期安定性なので、やはり安定性が一番高い。国のデータベースというのでやはりその利点をちゃんと生かしていくべきだろうと思います。では、指定難病データベースの悉皆性をどうやって高めるか。余り細かいデータをたくさん詳細にとっていくというのは逆に苦手なデータベースだと思います。患者レジストリのほうがそういうのは得意で、そうなってくると、できるだけ基本的な情報をいかに広く、項目の網羅性ではなく、むしろ患者の悉皆性というのを目指したほうがこのデータベースはいいのではないか。
そうなってくると、一つは、現状ではまだ軽症の方がなかなか入ってきていないところを解決していくというのも悉皆性を高めるでしょうし、あともう一つ、今回、比較の解析をしたときに、患者レジストリに入っている方で、現在、指定難病にも入っているという方に同意をとってやったのですが、その方々に同意が得られて実際にデータをというときに、まだ都道府県からデータが上がってきていないという方もいらっしゃって、そういうのを高めていくためには、オンライン化や、やはり都道府県とか、そういうところの負担をいかに軽減していくかというところが非常に重要なのかと思います。そうなってくると、データがより悉皆性が高く、しかもリアルタイムにデータが入っているという状況をより高めていけるのではないかと今回の調査を通して実感しました。
○五十嵐座長 よろしいですか。
そのほかいかがでしょうか。どうぞ、森委員。
○森構成員 JPAの森です。
山野先生の御発表のほうで私たち患者としても、研究に役立つデータ、情報を提供したいと思っています。ただ、多くの患者団体などの要望やアンケートを見ていますと、臨個票の研究への寄与がよくわからない、本当に役立っているのかといった意見が非常に多いです。研究の成果を患者にわかりやすくフィードバックしてほしいといったところも第1位のように回答されています。今回のHAMねっとのようにデータが研究に役立っているという実感が患者のほうにフィードバックされていると、研究協力なども得やすいのかと思います。
今、研究のほうでも患者・市民の参画ということも強く言われておりますし、今回、患者レジストリと臨床調査個人票の重症度がおおむね一致ということが言われていますが、疾病によっては臨個票で書かれている症状を把握してもらっていないという声も大きいので、臨個票の作成のときにもやはり患者団体の意見なども聞いていただき、作成に当たっていただきたいです。そのことで多くの患者たちの納得が得られて、研究参画もできますし、より患者会としても研究に寄与できるようデータを集めようといった働きかけもできるかと思います。
患者レジストリですが、私どもも厚労科研でかかわっていたことがあり、また厚労科研が終わって、その先を非常に心配したことがあります。やはり公的なデータベースの受け皿というところがありますと、きちんとした説明を受けて納得できれば協力しやすいと思いました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、本間委員、どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間です。貴重な御発表、どうもありがとうございます。
山野先生に伺いたいのですが、単純な話で、難病患者データベースの中に軽症者が入っていないのは私も大きな問題だと思います。軽症者も登録するためにはどのようにすればいいという何か御提案みたいなものがあったら、お考えを聞かせていただきたいのですが。
○山野構成員 恐らく前回もその点、議論があったと思いますが、「言うはやすく行うはかたし」なのだろうと思います。方向性としては、軽症者であっても不認定ではなくて登録という形にしましょうという議論が前回あったので、その方向性は物すごくいいことなのではないかと思います。
ただ、入ったとしても軽症者の方に余りメリットがないとなると難しいので、まず軽症者に大きな負担をかけないような仕組みにするべきで、実際に登録したとしてもメリットが余りないのであれば、毎年必要な方とか、そこら辺も含めて、負担をいかにかけないかという議論が必要でしょうし、あとは、先ほど森さんがおっしゃったように、患者さんへの成果のフィードバックが重要だと思います。このような研究成果がこういうふうに結果が出た、こういう形でこのデータはこんなふうに役立つというのを患者だけでなくて医療関係者にももっと伝えていかなければいけないことだと思いますが、一番大事なのは、データを出した患者さんへそれが何に役立っているのかというフィードバックがうまく働くような形だと思います。軽症者の方のデータが、例えば研究班に来たら、研究班のそれらの情報を活用した研究成果を今度は軽症者の登録した方にフィードバックするような仕組みがあるといいのではないかと思います。これはあくまでも私見なので、皆さんでいいアイデアを出し合ったほうがいいかなと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○水澤構成員 山本先生が今お話しいただいた中で、患者さんの個人のID、日本で言うとマイナンバーなのでしょうか、米国だとソーシャルセキュリティーナンバーを昔、使っていたような気がしますが、ああいうもので全体を見ていくというのは可能なのでしょうか。
○山本参考人 個人番号、いわゆるマイナンバーの12桁の個人番号自体は番号法で用途が別表1に書いたもの以外は使えないとなっていますので、現状、保険業務には使えるのですが、医療の現場の業務には使ってはいけないとなっていますから、そもそも医療機関が収集すると番号法に違反することになります。
もう一つは、どうひいき目に見てもあれは収入を捉える番号ですので、そういう意味で、本人の収入と保険医療が直接リンクするというのは余り好ましくないとお考えの方も多いと思います。したがって、今回は、被保険者番号そのものを使うわけではないですが、被保険者番号を基礎にしたデータベース連携上必要なIDを考えられていて、被保険者番号自体はマイナンバーと実は結びついていますので、ずっとたどっていけばマイナンバーにたどりつくという意味では最後の最後はたどりつくIDにはなるのですが、直接使うのではなくて、医療で使われるデータベース連結に使う用途のIDという形で限定して設定しています。
○水澤構成員 なかなか難しいのですね。昔、国民総背番号という言葉もあったと思いますが、一人に一つの番号でいろんなことをやるという考え方があったと思います。そういうものは今、日本ではかなり後退しているということでしょうか。国々によってはそういう方向の国もあるようには聞いていますが。
○山本参考人 そういう制度をとっている国もありますが、後退か進歩かというのは難しい問題で、例えば韓国は徴兵番号を使ってIDとして全てやっていますけれども、それが本当にいいのか悪いのかというのは多分議論のあるところだろうと思います。
日本のマイナンバー制度は非常に複雑だと海外から非難されることがありますが、一応動いているわけですし、あの複雑な仕組みによって、例えば今のマイナンバーの場合は自治体が管理を一部するわけですけれども、その自治体が海外からのハッカーの攻撃に遭って、そのマイナンバーと自分たちの持っている住民情報がたとえ漏えいしても、ごく短い間にそれを守るような仕組みが組み込まれています。機関別符号といって自治体独特の符号をつくって、それとマイナンバーが直接リンクするのではなくて管理できるようになっていて、そうすることによって1800もある自治体が全てサイバー攻撃に必ず耐えるという前提に立たなくていいのです。そういう意味では非常に安全性の高いIDです。これが一番号でやっているものだと、それが一旦壊れてしまうと全てやり直さなければいけないので、国としては相当な負担になります。それをやらずに済むような仕組みとして構成されています。
医療もそうで、例えば住民情報が盗まれたからといって医療のカルテにつながるというのは危険ですから、その間にワンクッションあって、何か事件があったらそこの間を修復することで安全性を再構築できるという仕組みも決して悪くはないと思っています。確かに複雑になって経費がかかっていますが、今まで単純な国民背番号でやってきた時代よりもIDとしての進歩があったためにそういう安全性を重視した仕組みになっているのだと考えることもできますので、それはそれでいいのではないかと思っています。
○水澤構成員 ありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございました。なかなか含蓄があるというか、難しい問題に対して対応も考えて今に至っているということがわかりました。
ほか、よろしいでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 山本先生に御質問ですが、NDBのデータと難病のデータベースがドッキングすることが可能になったときにはデータとしては非常にいいものになると思います。それを解析するのは、その病気を専門にしている研究班、そういうところが一番活用するというのも一つの理想的な流れではないかと思いますが、研究への活用に関しては、患者の同意があれば被保険者の番号でつなげた情報はいただけるという理解でよろしいのですか。
○山本参考人 基本的にそう考えていただいていいと思います。ただ、単純なデータベースよりも突合されたデータベースのほうがどうしてもリスクが大きくなりますので、そういう意味では、より危険なデータを扱うので、その扱い方自体をきちっと制度として位置づけてほしいというのが今回の提案でありまして、それによって結合されたデータを安心してお渡しできるということです。
○山野構成員 例えば、これまで難病の研究班が持っているデータとの突合が可能になる可能性はあるのでしょうか。
○山本参考人 今のままではないですね。唯一やる方法としては、次世代医療基盤法にのっとった認定事業者の場合はそれが適用されますので、次世代医療基盤法にのっとって認定事業者にデータを一旦置いておいて、そこで突合を図るというのがいいのだと思います。学会の先生方がレジストリデータベースをたくさん持っているのはもちろん承知していますが、口の悪い言い方をしたら、学会ごとにかなりセキュリティーレベルが違ったりさまざまですので、一括して学会だったらいいとは多分言えないですね。ある意味、それを制度的に担保するということをどこかでするとできるようになると思います。
○山野構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 今のお二人の議論に関係しますが、山本先生のお示しになった国が保有するデータベースで顕名データベースとして全国がん登録、難病、小慢があって、表の下に難病と小慢が根拠法がないようなイメージで書かれています。ここを改正すれば今の議論も進めやすいと考えていいのでしょうか。そのためにはどんな文案があればいいのか。
○山本参考人 今回の5月の改正で行われた、例えば高確法や介護保険法を参考にされれば、それと同じ条件でいいと思います。データを集めるだけではなくて、提供に関しても一応制度的にきちっと決めていただければ対象になるだろうと思います。
○五十嵐座長 よろしいですか。
どうぞ。
○森構成員 JPAの森です。
山本先生、どうもありがとうございます。私もデータベースの検討会のときに参考人として同席させていただいておりました。非常に慎重にきめ細かくいろいろな議論をずっと重ねていただいて、そして検討いただいていたというところはとても感謝いたしております。
私たち患者としても、より多くの情報が連結するなり、非常に広い意味で情報が集まって研究が進むほうが多くの情報の中からいろいろなことが解析されるのだろうということで期待はしますが、やはりまだ今の社会の中では、難病に関する情報ですので、例えば遺伝に関する偏見や差別などが根本的にもあるところから、患者家族や社会に対しても正しい知識の普及や、遺伝カウンセリングなどの質、それからまた人員の配置なども充実させながら、より提供しやすい社会になっていかなければなかなか難しいというところと、IDが複雑であるというほうが協力はしやすいと思います。
それと、患者が提供するにはやはり同意というものがとても大事だと思いますので、そのとり方というところをぜひ検討いただきたいと思います。
○山本参考人 ありがとうございます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○小幡構成員 私も、できれば法律に根拠があるような形が望ましいと思います。難病・小慢というのが初めから定義的に希少だと言っているぐらいなので、個人情報特定の可能性が少数であるがゆえにあるというのが一番大きなポイントだと思うので、そういうことを踏まえた上での法律の条文化が要るのかなと思っています。
○五十嵐座長 さまざまな御指摘をいただきました。ありがとうございました。
では、そろそろ時間にもなりますので、次の議題に入りたいと思います。次の議題は、これまでの議論を踏まえた対応の方向性について討議したいと思います。合同委員会での議論あるいは前回のワーキンググループでの議論を踏まえまして、事務局に対応の方向性の案をまとめていただきました。まず、それを御説明いただきました後に、議論をしたいと思います。では、事務局から説明をお願いいたします。
○領五課長補佐 それでは、資料2をお開きください。資料2に沿って事務局から御説明させていただきます。
前回お配りしました合同委員会で示された論点や、検討に当たっての事実関係等に関する資料に加えまして、前回のワーキンググループで出ました御意見をテーマごとに事務局のほうでまとめて資料としてお配りさせていただいております。前から順に説明させていただきます。
まず、1つ目の項目で医療費助成制度についてということでございます。3ページ目をごらんください。対象疾病の考え方ということで、基本的には前回お配りした資料と同様でございます。前回のワーキンググループにおきまして、こちらのテーマについては特段多くの御意見はなかったと承知しておりますので、引き続き、この論点について本日も御議論いただければと考えております。
4ページ目以降は、関連する資料、既に5月の合同委員会でお配りして、今回、机の上にファイルとして紙ベースでもお配りしているものからの抜粋が主になりますが、対象疾病に関するこれまでの拡充の推移、これまでの考え方の整理について資料をつけさせていただいております。
7ページ目以降は、対象疾病の見直しについてでございます。
7ページ目は、前回と同じ資料でございます。
前回のワーキンググループで頂戴しました御意見について8ページ目にまとめております。その中で、治療によって症状が安定している患者については助成から外すことにより治療が受けられなくなることがないように配慮すべきであるといった御意見、難病患者を受け入れる社会が十分に実現されていないのではないかといった御意見、本来の制度の趣旨を踏まえると、本当の意味での難病に研究費を充てるべきであることも踏まえた上で検討が必要なのではないかといった御意見、小慢につきましては、児童福祉法の理念、そういう児童の健全育成といった制度の趣旨も踏まえた議論を進めていただきたいといった御意見がございました。こちらの論点につきましても、引き続き、合同委員会で御指摘いただいたように、指定難病とは言いがたいような状況の変化が生じていると判断される疾病の取り扱いについて、方向性や見直しを行う場合の手続等について御議論いただければと思っております。
9ページ目以降は、法制定時の議論について御参考までに資料をおつけしております。
11ページ目は、指定難病と小慢の対象疾病の関係についてということでございます。
12ページ目に前回の御意見を載せております。前回、児童福祉法の趣旨等も踏まえまして、類縁疾患も含め、多くの疾病を広くすくい上げるような形がいいのではないかという御意見、他方で、これは研究からの観点ですけれども、難病の医療費助成については研究の観点からはなかなか難しい側面もあるといった御意見、小慢のうち指定難病として指定されているものは増加してきているが、現時点において約半数にとどまっていて、指定難病の要件に合致するのであれば、きちんと拾い上げるべきではないかといった御意見がございました。こちらについても、引き続き、合同委員会で示された論点等も踏まえまして御議論いただければと考えております。
13ページ目以降は、現在の状況についての資料でございます。
17ページ目が医療費助成の認定基準についてということでございます。いわゆる重症度基準とも呼ばれておりますが、19ページ目に前回の御意見をつけております。まず、ヒアリングの中で御紹介があった点でございますが、指定難病はさまざまな疾患が入っているということでございますので、一律の重症度分類を設けることには困難を伴うのではないか、他方で、各疾患群等ある程度統一された基準を用いることについては、その可能性があるのではないかという御意見がございました。また、患者会等へのヒアリングを実施するなどして患者の困難性がちゃんと評価される指標とすべきであるといった御意見、そして、客観的指標であることが必要であり、引き続き、専門の研究班での議論の後、指定難病検討委員会において議論するべきではないかといった御意見、見直す場合には現場の混乱もあり得るので、研究班の協力を得て慎重に検討すべきであるといった御意見がございました。引き続き、重症度基準、認定基準そのものの意義や、基準に適合せずに不認定となった患者さんに対する支援のあり方等について御議論いただければと考えております。
その後は、これまでの御議論についてまとめた資料でございます。
28ページ目をごらんください。患者の自己負担についてということで、前回のワーキンググループでは、特に小慢について育成医療など他制度との公平性の観点から、自己負担割合を2割から1割にといった御意見がございました。引き続き、他制度との公平性の観点、また難病患者特有の事情などもあるかと思いますので、そういった点を踏まえつつ、自己負担について御議論いただきたいと考えております。
29ページ目以降は、自己負担額についての比較等の資料でございます。自己負担割合、負担上限、対象となる医療の範囲等々さまざまな視点があろうかと思いますので、御議論いただければと思っております。
32ページ目以降は、患者の利便性の向上、自治体の事務負担の軽減についてでございます。
34ページ目に前回の御意見を載せております。経過措置終了後に医療費助成の対象から外れてしまった患者さんに対する支援として、例えば軽症者登録証という、名称については御議論があろうかと思いますが、そういったものについて検討すべきであるといった御意見、臨床調査個人票等について患者の経済的負担や事務負担の軽減を検討するべきではないかといった御意見、データ登録のオンライン化に向けてロードマップを示して早く実現したほうがいいといった御意見をいただきました。引き続き、軽症者の登録を行う場合の具体的な仕組みや、各関係者が直面する課題等もあろうかと思いますので、そうしたことについて御意見をいただければと思います。また、認定事務の実施主体について、現状、難病の制度は都道府県と指定都市ということになってはおりますが、この点についても前回御議論がなかったところでありますので、御議論いただければと考えております。
その後、しばらく現状に関する資料が続きます。
続きまして、医療提供体制についてということで45ページ目をごらんいただければと思います。こちらは、前回、直接的な御意見は特になかったと理解しておりますので、引き続き、御議論いただければと考えております。
その後、医療提供体制等の整備状況等の資料をつけておりまして、50ページ目が遺伝子診療体制についてということでございます。前回のワーキンググループにおきましては、ゲノム医療を強力に推進していく必要があるのではないかといった御意見がございました。こちらについても引き続き、具体的な御議論をいただければと考えております。
57ページ目以降が移行期医療支援体制についてということでございます。
58ページ目に前回の御意見をつけております。移行期医療体制の構築については、自治体に一任するのではなくて、国が主体的に働きかけを行うべきであるといった御意見、また、これは小慢と難病の関係のところにも書きました御意見を3つ再掲しておりますが、広くすくい上げるような形が必要ではないかといった御意見をいただきました。こちらについても引き続き、御議論いただければと思っております。
続きまして、調査及び研究についてということで65ページ目をごらんいただければと思います。研究事業についてということで、本日、ヒアリングでいろいろ発表もいただいたところですが、前回、研究についての御意見は余りなかったと思いますので、引き続き、御意見をいただければと思っております。
70ページ目以降、データベースについて資料をつけております。
72ページ目に前回の御意見を入れております。医療費助成とデータの登録を切り分けて、がん登録なども参考にしながら、難病についても同意をとった上で直接登録を行う仕組みについて検討するべきではないかといった御意見、御意見は小慢という形ではいただいていますが、医療費助成制度を活用することによる研究上の意義について十分に説明することが必要であろうという御意見、悉皆性を持たせるということに関する御意見をいただきました。そして、オンライン化の話、最後に、疾病の調査研究だけではなく、就労支援、生活支援、学習支援等にも資するようなデータベースとしてはどうかといった御意見を頂戴しました。引き続き、データの収集方法や、本日のヒアリングでもお話がありましたとおり、他の公的データベースとの連結に関してどう考えるか、難病と小慢それぞれのデータベース同士の登録項目の共通化等について御議論いただければと考えております。
事務局からは以上です。
○五十嵐座長 どうも御説明ありがとうございました。
それでは、大きく3つ議論が分かれると思いますので、それぞれに分けていきたいと思います。
まず、医療費助成制度について、これが一番大きな内容ですが、これについて前回十分にまだ議論できていなかったところがございます。その中で、5つほど議論いただきたいと思います。まず、8ページをごらんいただきまして、対象疾病の見直しについて、指定難病とは言いがたいような状況の変化が生じていると考えられる疾病も出てきているのではないか、それをどうするか、あるいはそれを見直す場合の手続についてどうしたらいいかというような御意見をいただきたいと思いますが、何かございますか。特に治療法の改善によって以前ほどは重症でなくなり、原因もある程度はわかって、患者さんの数も非常にふえているというような疾患を御指摘いただいていると思いますが、そういうものに対して今後どうしたらいいか、そういう御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○森構成員 JPAの森です。
難病が本当に治る病気となれば、私たちも非常にうれしいことなのですが、今、既に軽症となって医療費助成から外れている方であっても、毎日治療を受け続けながら現状にあるわけですので、この見直しについても、また軽症についてもそうなのですけれども、治療継続をしなかったら現状が保てない、また変化もありますので、重症化してしまうかもわからないといったような状況であれば、やはり支援は難病対策として必要であると思います。やはりデータにもこれは関係しますし、医療費助成にも関係しますし、ここをずっと一緒に考えてきているので、これは矛盾もあったり難しい問題だと思います。
難病法は、これまでの研究といった分野と福祉的な社会保障といったところで医療費助成が考えられていますが、研究であれば、もちろん重症度分類が重要です。ただ、社会保障の観点からいうと、重症度分類のような条件をつけるべきでもないと思いますので、どのようにすれば患者が安心して治療が受け続けられるのか、そして研究データがしっかりと集まるのかといったところはやはり丁寧に考えていっていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
それにつきまして、関連して何か御意見はございますか。どうぞ。
○井田構成員 森さんの意見に賛成です。治療によって症状が安定したからこれを指定難病から外すというのは疑問です。先天代謝異常症の領域では酵素補充療法や特殊ミルクにより状態が安定している患者さんがいます。これらの患者さんの医療費助成がなくなると大変なことになります。
それから、今、議論されていることと直接は関係ないのですが、削除したり、追加したりする時の影響をよく考えた方がよいと思います。指定難病を見てみますと、かなり細かい疾病名とひとくくりで分類されている疾病があります。ひとくくりの疾病を抜いてしまうと相当な数の病気が抜けるということがあります。今回の議論と併せてできるかどうかわかりませんが、もう一回、指定難病の区分けみたいなのは見ておかないと、追加あるいは削除をする時に危険である。というのが私の意見です。
例えば代謝異常症であれば、チロシン血症の1型、2型、3型といった細かい分類もありますし、ライソゾーム病というひとくくりの分類もあります。削除する時に影響が少ない難病とすごく大きい難病がありますので、そこは少し考えていただければと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○森構成員 森です。
患者数の問題ですが、医療がずっと進歩してきますとやはり患者さんの数は自然にふえたりもします。状態が変わらずにただ患者数がふえたというところで、事務的にこれは対象外だと言わないでいただきたいというのが一つです。
少子高齢化となって母数が減って0.1%程度というようなところになると、指定難病の患者さんたちの疾病によってはかなり若い年代での発症も多いですので、どうしても数のほうは多くなると思います。そういったところも十分に考慮した検討でありたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○羽鳥構成員 欧米で既にレアディジーズとは言えないパーキンソンや潰瘍性大腸炎、そういう数が非常に多くなったというか、もともと多かったかもしれませんが、そういう疾患と、これから研究が進むことによってどんどん新しい難病が発見されてくる。難病というか、レアディジーズが発見されてくるということがあると思うので、費用の総額、そういうことも考えながら全体を見ていくというのも大事だと思います。
そういう意味では、助成の濃淡をつけていくというか、生活に膨大な医療費がかかるものについてはある程度助成を考えていかなければいけないかもしれないし、普通に生活できるようになったということであれば、研究事業としてあるいは難病としての登録はしていただきますが、そういう方の助成の費用は若干減らす、そういう総額の話を考えていくことも大事ではないかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○駒村構成員 後でデータのところで似た話をすることになると思いますが、資料2の6ページにあるように、この制度は、一つは治療技術開発のためのデータ収集と、かかわり方が微妙な表現ですけれども、そのための費用助成という形になっているわけです。したがって、資源の効率的な配分を意識しなければいけない。その一方で、福祉性という意味では他制度との公平性も留意しなければいけないということだと思います。この辺はデータの悉皆性や軽症者への継続的な収集という問題で後でまた発言させていただきたいのですが、ただ、先ほどお話があった希少性の定義については人口構成が大きく変化することを考慮して議論しないと一律な議論にはならないと思いますので、希少性の定義と人口構成の急激な変化の関係は考慮したほうがいいのではないかと思いました。
○五十嵐座長 御指摘、ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 もちろん治療の継続が必要な疾患を除外していくのは非常に難しいというのはよく理解できるのですが、それをずっと続けていくと経済的にもつのかというところはやはりよく考えなければいけないのではないかと思います。
そういう中で、ではどうして数の多い疾患が難病から外れてもいいのかという視点を考えたときに、患者数の多い疾患というのは企業が開発しやすい疾患だと思います。薬を開発するというアクティビティーが明らかに高いような疾患かどうか、そういう治療薬の開発度数みたいな定量的な指標ができると、この疾患は患者数も多いし、薬の開発も企業が非常に活発に取り組んでいると。企業がなかなか目を向けないような希少疾患、もっと患者数が少なくて薬が開発できなくて困っているという疾患は、そういうところをしっかりと充実させていかなければ本来の趣旨を見失ってしまうのではないかと思います。そういうのも御検討いただければと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○嵩構成員 他の慢性疾患の方と比較した場合に、もし治療法がある程度確立してきたということがありますと難病と言いがたくなってしまっていると思いますので、他の慢性疾患の方との公平性を考えますとやはり指定難病から外していくという仕組み自体は今後必要になってくると思っています。他方で、今までその制度に基づいて治療を受けてきた患者さんがいらっしゃいますので、法的に必ず保護すべきとされるのかわかりませんが、今後外していくときには、当然、経過措置とか、先ほどの制限を少しずつつけていくのが技術的にできるかわかりませんけれども、そういう経過措置などを付していくことと、他方で患者さんの生活は医療費助成だけで支えていくものでもないと思いますので、生活支援を充実させていくことも必要かと思いました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○井田構成員 もちろん患者さんのサポートをするのは重要ですが、先ほどから意見が出ていますように、全体の予算も当然考えなければいけないと思います。先ほど山野先生がおっしゃったように、患者さんが少ないために製薬会社が薬の開発に手を出さないという疾患もあります。これは本当に指定難病であるべきだと思います。数の問題はやはり考えるべきです。希少疾患であるほど薬価も高くなる点は考えていかなければいけないと思います。羽鳥先生もおっしゃったように、強弱をつけながらやっていく。今までどおり全部が全部いくとは思っていません。
ただ、治療を続けないとQOLが維持できない患者さんに対してはやはり考えていく必要があります。もちろん経費の問題があります。国の財政状況もありますから、そこは十分考えながらやっていったほうがいいかと思っています。指定難病の医療助成額の伸び率というのは結構すごいのでしょうか。
○五十嵐座長 どうぞ。
○南川課長補佐 それでは、事務局から、資料2の22ページを御確認いただきますと、現在の特定医療費の支給に係る支出総額と1人当たり平均給付額の推移が平成27年度から平成29年度まで記載されています。平成29年度において総額1554億円と徐々に伸びてきているのはお伝えさせていただきます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間です。
今の議論でいきますと、私のところなども先ほどの山野先生のお話に関連するのですが、希少疾患になればなるほど治療薬、創薬が非常に難しくなってきて、何十年もいい薬をやってくれないところが非常に多いのです。そのことを考えますと、難病法は、小慢もそうですけれども、根本的な趣旨からいいますと、こういう言い方は語弊があるかもしれませんが、希少なものに優先的に資源を配分すべきではないかと私などは思うわけです。そうしないと数が多い病気は確かに製薬会社も乗ってきますし、割と治療水準も高くなるのですが、数の少ない病気は先生方のボランティア精神に基づいたような研究活動が多い。特に製薬会社との交渉とか、その病気のための創薬というのはまずないわけです。ほとんど応用薬ですから、それもうまくいった、いかないというのが長年続いていまして、なかなか難しいということを考えますと、ここにあります希少性が高く研究が十分進まない患者のための研究に主眼に置いていただきたいと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
これについては大分意見をいただきましたので、続きまして、12ページの指定難病と小児慢性特定疾病の対象疾病の関係について、特に移行に当たって、小慢の患者さんだった方が大人になったときに半分ぐらいの方は指定難病として引き続き支援を受けられるわけですが、がんの患者さん等を含めまして、小児慢性特定疾病であった者が20歳になると移行してしまったために支援をいただけないというような現状があるわけです。そのようなことを含めまして、移行のあり方、移行後の支援のあり方について御意見をいただきたいと思います。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
前回も申し上げましたけれども、今、五十嵐先生がおっしゃったトランジションの問題でありますが、この問題は小慢という制度ができたときからずっと持っている課題といいますか、問題であります。5年後の見直しで解決されなければいつになったら解決できるのかという糸口さえ見つからないようなものでありますので、他の施策で対応がある疾病も含めて、先ほど小児がんという話がございましたけれども、医療費の個別の助成がないものも含めて指定難病に指定するという方向でぜひとも力強く御検討していただきたいとお願いしたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○井田構成員 小児慢性特定疾病が762、指定難病が333ですから、小児難病の約半数しか指定難病になっていません。シームレスな医療は絶対に必要だと思いますので、成人になってもメディカルニーズが必要な疾患はやはり指定難病に入れたほうがいいと思います。そこに助成をどういうふうに加えていくかというのは少しまた考慮が必要なのではないかと思います。予算のこともありますし、全部移行させたらどうなるかということも考えなければいけません。制度全体を見直さなければいけない事態は避けなければいけないと思います。現在、確立されている制度が安定的に維持されることも重要な視点です。
診断基準のところを申し上げますと、小児慢性特定疾病には類縁疾患という定義があります。指定難病の診断基準は明確で類縁疾患はありませんので、すり合わせに不整合性が出ます。小児慢性特定疾病でも診断基準というか、客観的な基準をしっかりしていかないと指定難病への移行が難しいという印象は持っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○水澤構成員 今、井田先生がおっしゃったことに補足でというか、お聞きしたいのですが、先ほど難病のほうで中にいろいろ強弱があるというか、それぞれの疾患を個別にかなり考えていかなければいけないという話があったと思います。小児慢性のほうもまさにそういうことがたくさんあるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
例えば、難病として全部の例が申請されてきているのかというと、されていないような気がします。今の制度ですと難病に申請しないと議論されませんので、本当に必要と思っていらっしゃる方々が、小児科学会などだと思いますが、申請してこられていないようなものもあるのではないかと思っています。
○井田構成員 強弱といいますと重症度でしょうか。
○水澤構成員 重症度とか、必要性ですかね。難病として認めるべき必要性といったものについて少し差があって、学会としてあるいは研究班として余り申請されなかったものもあるのではないかという感じがちょっとあります。
○井田構成員 その点は五十嵐先生のほうがお詳しいと思います。私の専門は代謝異常症ですが指定難病に認定されていない疾患は本当に数が限られたものだけです。
○五十嵐座長 座長が余りしゃべってはいけないのですが、少し補足しますと、小児慢性特定疾病を選別するに当たりましては、小児科学会と外科系の小児を診ている関連学会の委員の方を全部、小児科学会の費用で集めまして、各学会から小児慢性特定疾病として認めていただきたいという疾病を選んでいただきました。それを皆さんで討議して、一定の基準のもとでこれを挙げるべきかどうかを判断し、それで厚生労働省のほうの委員会に提出しています。それを定期的に繰り返しておりました。今、水澤先生が御懸念なさったようなことは余り大きな問題はない。ゼロとは言いませんが、十分にサブスペシャリティーの学会で討議をした上で挙がってきたものが現在762疾患になっていると御理解いただきたいと思います。
○水澤構成員 ごめんなさい。ちょっと誤解されたかもしれません。診断がいいかげんとか、そういうことではなくて、難病に申請されていないのではないかということです。762疾患全部をしているわけではないと思うのです。今のお話で300ぐらいしか認められていないので、半数ぐらいがなっていないという議論があったのですが、それは審査された上で外されたわけではなくて、そのうちのごく一部ではないかと、私の実感として思った次第です。
○五十嵐座長 小慢の疾患を全て難病にしてくださいというふうには言っていないのです。というのは、難病の基準が非常に厳しいのです。ですから、最初から小児慢性特定疾患としては認めていただけるけれども、難病のクライテリアには到底合わないものが多々あるために、762全てが難病にはなっていない、そういうことです。
○水澤構成員 そうすると、先ほどあった御意見ですと基準を変えるというような感じになりますか。難病の基準を変えるようなことになると結構大変ですね。
○井田構成員 小慢の問題は、類縁疾患というあいまいな診断の定義があります。指定難病はきっちり客観的な診断基準になっていますから、そこを是正しないと小慢の疾患全てが移行できるようにはならないと思います。そこは見直す必要があると思います。
それから、もちろん予後不良で成人まで生存できないため移行しない疾患もあります。医療が進歩して成人期まで生存できるようになり、かつメディカルニーズが必要なものは指定難病に移行したほうがいいというのが私見です。代謝異常症の中にはそういう疾患がありますが許可されていないものもあります。
○水澤構成員 申請してもならなかったものが幾つかあるかもしれないということでしょうか。
○井田構成員 そうです。
○水澤構成員 そうですね。前回申し上げたことの一つは、おっしゃったように、成人患者さんがおられない場合には、これは非常に重症だったということだと思いますが、指定難病になっていないかと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○本間構成員 今の先生の類縁疾患の話ですが、主流の病気よりも類縁疾患の患者さんのほうが、症状も同じ、苦しむ度合いも同じということを考えると、数ははるかに少ないのです。むしろ率先して救済されるべき疾患ではないかと思います。小慢の場合はアザーズで入れてもらえるのですが、その意味で難病は厳しいというのは私も実感しています。
ただ、これからゲノム解析が進んでいきますと、疾患の中にも類縁疾患がかなり出てくる可能性が十分あるわけです。これまでの例でも、例えば神経線維腫症1型、2型と分かれていますが、当初は一緒でしたね。そういうことがこれから多々起きてきて、しかも類縁疾患の患者数はもっと少ない。ただし、症状は同じ、生活も同じということを考えますと、難病法に規定する類縁疾患のほうを救済する方法がむしろ必要なのではないかと患者サイドとしては思います。希少患者の立場としてはですね。
○五十嵐座長 どうぞ。
○井田構成員 データを研究に資するということになりますと、原因がはっきりしない場合、同じ症状でも原因が違えば、研究面から考えると研究対象としては、全く異なると考えられます。ですから、指定難病の根本に返ると、同じような症状でも、例えば原因が違えば当然治療法も違うし、予後も違う。これを一緒にしてしまうと、根底が崩れてきてしまいます。診断基準がきっちりしていれば問題ないのであって、類縁疾患がダメだと言っているわけではありません。きちんと診断基準を定めて、研究に資するような患者さんのサブグループをきちんとつくれば何ら問題ないと思っています。
○本間構成員 今の話は、研究方面から光を当てると全くおっしゃるとおりだと思います。ただ、患者側は、類縁疾患で後で診断されたりしても困るわけです。では、私は外れるのですかという話になるわけです。しかも、一見すれば症状もほとんど同じ、診ていただく先生も薬も同じということになりますと、科学的な分析であなたは違いますと言われても困るわけです。その辺のところは、研究と医療費助成は医療費助成と障害者総合支援法の適用と同じような感じになるのですが、医療費助成はもう一回り大きいくくりといいますか、そういった形で見ていただけると助かるのです。研究と助成は当然食い違ってくることが十分あると思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
それと多少関係すると思いますが、19ページの重症度基準の意義、あるいは不認定となった患者さんに対する支援のあり方について、議論がまだありませんでしたので、何か御意見ございますか。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
小慢版の軽症高額該当について御提案といいますか、要望です。現在、小慢の場合は個々の疾患ごとに疾病の状態の程度が定められているわけですが、これに合致しないと医療費の助成が受けられない形になっております。この疾病の状態の程度を満たさない小慢の患者についても、月ごとの医療費の総額が一定額を超える月が年間に一定月以上ある場合には医療費の助成の対象とするような小慢版の軽症高額該当のような仕組みがあると大変助かると思いますので、ぜひ御検討していただきたいと思います。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○森構成員 重症度等のところから不認定となったというのは、軽症の患者さんもあるかと思いますし、これまで他の制度との公平性や、慢性疾病のほうは医療費助成制度等がないとか、いろいろあるかと思いますが、ずっと治療を受け続けている限りは、医療費助成がなくなってしまうと自分がどういう病気であるかという証明も何もなくなりまして、福祉のサービス、特に就労の支援が非常に受けにくくなります。医療費助成についても、今、難病というだけであってもすごく収入面が減ってしまいますし、就労できないという患者さんがとても多いです。そういった面で、発症したことによって、特定医療費だけではなく、ほかの費用もかなり多くかかっていますし、収入と支出から見ると他の制度と公平ではないと思います。
障害者の施策のほうから見ますと、交通の割引、税の控除、いろいろなところで受ける制度などもありますが、難病の場合はそういったものも全くありませんし、就労もしにくい、収入がないということから、難病特有の問題として、特にまた所得の低い方なども考慮していただきたい。
この不認定となった方の部分をどうするかといったところは、軽症の登録とか、以前、難病手帳といった議論も積み残しのままであったかと思います。そういった証明となって、障害者総合支援法や、障害者のほうの制度と同等になるような状況になれば、公平と言えるのかなと思いますが、やはり収入面、支出面、両方考えて難病特有の解決をしていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、難病あるいは小児慢性特定疾病と認定された患者さんの自己負担について28ページにございますが、この自己負担について現状を踏まえて何か御意見がございましたらいただきたいと思います。
○小幡構成員 これは前も申し上げたのですが、保険は適用になる。
○領五課長補佐 はい。
○小幡構成員 そうであれば、例えば3割負担ではできるということですか。小児の場合は今、全額というのがありますね。
○領五課長補佐 子供は、各地方自治体でそれぞれ独自に取り組みが行われている場合がございます。
○小幡構成員 小児でない難病の方については保険の適用分の自己負担がある。
○領五課長補佐 はい。まず、保険が適用としては優先されますので、医療保険の適用があった上で、現状、指定難病については自己負担は2割になって、あとは所得区分に応じた自己負担上限額が決まっているということでございます。
○小幡構成員 そこが難しいところで、本来はこれを推進するためには負担なしでやっていただいたほうがよいと思うのですが、そうするとどこかが補填しないと、事務処理をやるほうが自分の持ち出しというわけにはいかないので、本来、公費があれば公費で全部持つべきだと思うのです。つまり登録してもらわないと軽症者もわからないので、公費で推進する必要はあると思います。
もう一つは、次善の策として、つまり、本当は公費で登録も全部やってもらったほうがよいのですが、先ほどの手帳とか、後で議論になると思いますが、軽症者登録証という仮称もあって、余りその名称はよくないと思いますが、要するに、そういうものを発行してもらうとか、何か目に見える、患者さんにとってプラスがあるという要素をつくってデータ登録を推進していくということもあるかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。井田先生。
○井田構成員 先ほどの軽症者の登録のお話に戻ります。やはり研究に資するという意味では、軽症者の登録をしていかないと重症者ばかりのバイアスがかかったデータになりますので、その意味でも、軽症者をきちんと登録することは、全体像を把握するという点で、れは絶対必要だと思います。
小児慢性特定疾病については2割から1割にするとどのくらいふえるか、それは厚労省は計算していらっしゃるのですか。今、人数がいて、負担を減らすとどのくらいアップするか、当然のことながら医療費の負担とか財務省との交渉になるわけですね。その辺のデータがないと、これは詳細に検討できないような気がします。
○領五課長補佐 済みません。今、御指摘いただいたようなデータはないところでございまして、自己負担といった場合に、割合の話もありますが、上限額でひっかかっている方というか、上限額のところでお支払いいただいている方もございます。直ちにはデータはないということでございます。
○井田構成員 財務負担は余りないのでしょうか。
○領五課長補佐 当然、負担割合を下げるということでありますので、減るというよりかは負担がふえるということには。
○井田構成員 国の負担が増えるわけですか。
○領五課長補佐 公費としての負担がふえる。
○井田構成員 増えるわけですね。どのくらい増えるかを呈示しなければこの議論は難しいのではないでしょうか。大したことがないのであれば、1割に減らしても良いのではないでしょうか。
○五十嵐座長 小慢のほうは予算的にも難病に比べると6分の1ぐらいですかね。ありがとうございます。
どうぞ。
○福島構成員 自己負担についてですが、低所得の人に対する負担が非常に気になります。現状、低所得1と低所得2というと、障害年金をもらっている程度の市町村民税非課税の方々ですね。全体の10%程度いらっしゃるようでございます。低所得1の方に対しては小慢の場合、月額で1250円、低所得2が2500円となっていますが、このコストを回収する事務費用にも見合わないようなコストを徴収することに何の意味があるのかということを非常に感じます。低所得1、2ぐらいの方には自己負担をなくす、一方、上位所得は、年収850万以上の方は1万5000円となっていますが、ここをもうちょっと細分化して、もっと負担できる方に負担していただくような形にしたほうがよろしいのではないか、これは個人の意見として思います。
○五十嵐座長 大変具体的な御提案、ありがとうございます。
どうぞ。
○森構成員 今の自己負担ですが、高額かつ長期のところの低所得です。これがほかの所得のところでは軽減されていますが、低所得のほうで軽減されていないという問題がまずあるかと思います。収入が非常に低いところでの毎月かかる費用は積み上げると大きいと思います。あと、高額かつ長期ですけれども、今の制度は確かに非常にありがたいですが、年間通して結構払っておられるという方がいらっしゃいます。軽症の方の支援もそうなのですが、3カ月ごととか、6カ月とか、いろいろな診療のかかり方の違いもあります。年間通して幾らというところも考慮していただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、1の最後ですが、34ページの患者さんの利便性の向上あるいは自治体の事務負担の軽減についての議論が今まで余りされておりませんでした。特に認定事務の実施主体である地域の自治体の方の御意見をいただきたいと思いますので、豊田市と相模原市から御意見がありましたら、いただきたいと思います。お願いします。
○勝野構成員 豊田市の勝野と申します。
豊田市は中核市ですので、難病についてはまだ認定事務をやっておりませんが、小慢については現在やっております。そのやり方は、同じ中核市の岡崎市、豊橋市と3市で合同でやっております。その合同の審査会においても、同じ日に同じ場所で愛知県とやっておりまして、愛知県の審査が終わったら、その後、若干、3市のものをやるという形で、できているといえばできているのですが、そうしないとできないという現状があります。
より希少な病気の難病を考えたときには、指定医療機関の指定や審査会の委員とか、中核市単独でというのは非常に難しいのではないかと想定しております。これは、平成25年の終わりごろに難病法の関係で議論したときから余り変わっておりません。
ただ、申請の受理や交付の受け渡しというような市民の皆さんとの直接の部分では県の委託を受けてやっておりますので、患者さん等の負担の軽減はできているという認識でおります。今のところの実感としましては、中核市に事務がおりてくるというのは避けたほうがいい、効率的にできなくなるのではないかと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
相模原市はどうでしょうか。
○八鍬構成員 相模原市の八鍬と申します。
我々のほうは政令市ですので、昨年度から難病に関する事務を扱っております。その際に、今ございました審査会の委員をお願いするに当たりまして、かなり苦労しました。本市には北里大学病院や国立相模原病院がありますので、そこに医師会を通じてお願いするような、それで対応がどうにかできたということがあります。中核市にどうかと先ほどお話がありましたが、そういったことを考えます。
また、指定医の先生でございますが、それまで都道府県でやっていたときは、うちであれば神奈川県ですけれども、神奈川県で指定医の先生が県内での異動であれば異動届だけで済んだわけでございます。相模原市がこの事務を横浜、川崎と担うことになってから、例えば政令市が絡むような異動ですと、一旦もとの指定を廃止して、新たに指定都市、政令市でとり直す、そんなことがあって手間がかかります。ここに中核市が入ってくると、指定医の先生方もこれまた一つ手間かなということがあります。
新たな事務をやるに当たりましては、当然ですが、それなりの職員が必要ですし、財源、お金も必要です。物、システムの構築等もございます。そういったことに耐え得る体力があるのか、そんなふうに思っております。
ただ一方では、我々は神奈川県から事務移譲を受けたわけですが、それに伴いまして、申請された方に対しまして受給者証の交付が、我々はたまたまかもしれませんし、全ての政令市でそうかわかりませんけれども、1カ月以上短縮できています。先ほどありましたように、県でやっていたときも我々のほうで経由事務として窓口を開設しておりましたので、我々で申請を受け取って県に進達する、こういったところが省略できることからも事務が短縮できている実態があることを申し上げます。
○五十嵐座長 詳細な御報告、ありがとうございます。
そのほか、よろしいでしょうか。
次に、2の医療提供体制について3点、御議論いただきたいのですが、きょうは時間も大分押し迫っておりますので、まず、45ページの難病医療提供体制について、これまでの議論を踏まえまして、追加の御意見はございますか。
次に、50ページです。遺伝子診療体制について前回も少しお話をしましたが、これについて何か御意見はございますか。
○井田構成員 ここにはIRUDのこととかいろいろ書いてあります。実際に指定難病や小児慢性特定疾病で遺伝子診断が必須な疾患がありますが、それが健康保険収載されていない場合は非常に困るわけです。私たちの領域など研究レベルでやっていますが、いつまでもそういうふうに大学や研究施設に頼ることは難しいので、国のほうで何とか考えていただきたい。やはり診断基準に入っている遺伝子診断は健康保険に収載していただいてどこかできちんと診断できる施設をつくらないと、研究者がいなくなったら日本で診断はできなくなってしまう。そこはきちんと体制を確立していただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間です。
今の井田先生の御発言の関係で「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」というのが発足するそうですが、その狙いと概要がわかったら教えていただきたい。多分、今のに関連すると思います。
○南川課長補佐 それでは、事務局のほうから。井田先生の質問については、54ページに「保険収載されている遺伝学検査」というのがございます。先生がおっしゃったとおり、診断基準で必須となっているものは順次、保険収載に追加していく取り組みを平成28年度、平成30年度改定とやっていきますし、今後も引き続きやっていきたいと思っております。
もう一つ、本間委員から御質問があった「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」です。本年6月に閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針2019」と「成長戦略2019」の双方に、ゲノムの中の特に全ゲノム解析という部分について、特に英国等においてかなり先進的な取り組みが進んでいて、英国は難病にスポットを当ててやっていますが、早期の診断の実現に向けた遺伝学的検査の実施体制や遺伝子医療を含む全ゲノム情報等を活用した治療の開発を推進するために新しい実行計画をことしじゅうに策定するということになっていますので、それに向けた検討会を立ち上げているところです。
以上です。
○五十嵐座長 よろしいですか。
では、続きまして、58ページ、移行期医療の支援体制については既にある程度議論はされていますが、これについて何か追加の御意見がございましたら、いただきたいと思います。
○水澤構成員 移行期医療は全体としてはよくわかるのですが、具体的に言うと、例えばどんな領域、どういう疾患で非常に問題になるのでしょうか。先ほどの小慢から難病というのが一つありますね。そこで診断基準ががらっと変わってしまって、それまで受けていたサービスが受けられなくなるといったのが一つの問題かと思いますが、それ以外のものも含んでいるのでしょうか。
○五十嵐座長 どうぞ。
○井田構成員 成人になりますと、もちろん小児期とは違った疾病等が出てきます。小児科医はがんとか高血圧とかわかりません。成人になることによって新しく病気が加わるという場合がございます。内科系の先生とタイアップしていかなければ移行期医療体制は構築できません。
年長になりますと、もともと持っていた病気の合併症がいろいろ出てくることがあります。代謝異常症などでも卵巣嚢腫になったり、医療体制が小児科だけでは診られなくなるものもあります。代謝異常症などでもガラクトース血症の患者さんが卵巣機能不全になったり、ゴーシェ病の患者さんがパーキンソン病になったり、多発性骨髄腫になったり、小児科だけでは診られなくなるものもあります。例えば先天代謝異常症などだと、小児科医が主体になって内科の先生にコンサルトしながら診ていきます。先天性心疾患は結構、内科の先生が診られるようになってきています。領域によって移行期医療体制はかなり異なるので、この点の議論をしていく必要があります。
○水澤構成員 いろんな考え方があると思います。全国的にこういう議論してセンターをつくるみたいな形のものが一つと、もう一つは、各施設での、今、先生がおっしゃったような小児科の先生方とアダルトの領域の人たちとのコラボレーションがうまくいくとよいのだろうと思います
私の個人的な経験で、昔、てんかん診療で、いわゆるキャリーオーバーと言ったころですが、我々が小児医療施設のてんかんの方々を診てくれないのは困るという話が実はありました。自分の施設でいろいろ調べてみましたが、そういう問題は全然なくて、余り多くは来られなかったのですが、非常にスムーズに我々のところに来るべき方は来ておられました。逆に、こちらで患者さんがおられたときに小児期からのヒストリーがわかれば御一緒にやっていました。血液疾患とか、さまざまな経験がありますが、両方でやらなければいけないのではないかと思います。確かに各施設での連携というのが余りうまくいっていないところもあるかもしれませんが。
IRUDをやってみてよかったと思うのは、小児と成人は最初は分かれていたのです。それをかなり強力に一緒にやってくださいということでやりまして、今でも分かれているところは2~3ありますが、ほとんどのところがそれがうまくいきまして、自分の経験でもそれはよかったと思いますので、どちらかというと、施設の内部でそういう連携を深めてもらうといいのかなという感じを持っています。
○五十嵐座長 あと、学会が、疾病あるいは疾病群ごとの移行期に小児期の疾患が大人のときにどういう問題が生じるかというようなことをまとめて文章として出すこともいろいろやっておりますので、そういうものが整備されると成人側の医療提供体制側の先生方も参入しやすくなる。それもガイドブックだけ見てやりなさいというわけにはもちろんいきませんので、当初は一緒に診療しながら、内科の先生の参入をさらに促すというような形を本当は国を挙げてやらなければいけないのではないかと思います。
どうぞ。
○西村構成員 今の連携についてですが、確かに連携が必要ということで、センターもつくっていっているということですけれども、患者から見たときにこれがちゃんと利用できるのかというところが大切と思います。担当の医師がそれを率先してやってくれればいいのですが、それが役割に据えられていなければ、やってもらえるかわからないということです。このセンターなり連携の仕組みをどうやって患者が使えるか、患者が支援される権利というのか、そういうのがあるか、患者の視点から見て連携をどうやって利用できるかという説明書というか、利用の仕方のようなものをつくっていただくと、それが実際に動き出すと思います。
○五十嵐座長 前から言われているのは、移行医療というのは、最終的に誰に診てもらうかを決めるのはあくまでも患者さん側であると、地域によって非常に状況が違いますので、移行医療が大変進んでいる病院や地域もあるけれども、そうではないところもまだまだたくさん残っているというのが今の問題と言われています。
どうぞ。
○山野構成員 うちは大学病院なので小児科もあれば成人の内科もありますが、そういう中で一人一人移行期医療をやっていくと結構大変です。また、患者さんが在宅に帰ったりすると、今度は地域の医療との連携、そういうのも構築しなければいけなくて、簡単にはいかないというのを現場の先生方はたくさん感じているところがあります。
そういう中で、小児科と内科が連携をとれるようなところはそんなにたくさんなくて、やはり大きな病院でないと難しいので、難病の医療の拠点病院などは大学病院クラスが指定されているのではないかと思います。今、移行期医療センターが3つ指定されたとなっていますけれども、難病の医療の拠点病院とか、小児科と成人の科が連携できるようなところはぜひセンターに指定していくという形で、そういう体制を充実させていくのはどうかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○五十嵐座長 貴重な御意見、ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、最後、3の調査及び研究、これについては既にきょうの会でも御議論はいただいていますが、65ページの研究事業について何か御意見はございますか。どうぞ。
○井田構成員 政府が研究を政策研究とAMEDと分けて行うシステムを構築しましたが、このシステムは比較的ワークしていると思います。AMEDにより実用的な研究成果が結構出てきているので、AMEDで患者さんに還元できる研究をどんどんしていただいて、政策研究のほうは疫学的なもの、政策的なものをやると日本における研究は発展していくというのが私の意見です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○森構成員 今、AMEDのほうで、この1年半ですが、いろいろな研究者と患者団体の実態調査やヒアリングをされていまして、私も一つ委員になっていたのですが、患者・市民参画という形でのPPIのガイドブックを発行されました。研究者向けのガイドブックですが、最初から患者が読んでもよくわかるように、患者側も研究者側も理解して一緒にパートナーシップをとって研究を進めていこうといったものですので、これはぜひ活用していただきたいです。
これには研究者も、また患者側も、何らかの研修や学ぶ場が公的にも必要だと思います。がんは少し進んでおりますし、また、アメリカまで行かれて研修を受けて帰ってこられている方々が多いですが、難病のさまざまな疾病の皆さんがそれぞれに外国まで行って技術を獲得してこなければいけないなどというのはまず無理ですので、日本でもそういった研修の場も考えていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか。どうぞ。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
児童福祉法の参議院の附帯決議の6項に、既に薬事承認、保険収載されている医薬品について、その効能・効果の拡大を積極的に行うようにと書かれていると思いますが、ぜひ小児の薬に対して進めていただきたい。これは5年後の見直しとは直接関係ないかもしれませんが、小児医薬品の開発を義務化しているような仕組みを持っている外国もあると聞いておりますので、そういったことも踏まえて検討していただきたいと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
そうしますと、最後です。72ページ、これはきょう、お二人の先生方にプレゼンテーションしていただきまして、そのときの質疑応答もありましたので、少し議論したことにはなると思いますが、データベースに関することで改めて御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
○駒村構成員 このデータベースの議論というのは、先ほども少しお話ししたように、経年変化と悉皆性を両方目指さなければいけないというのが改めて確認されたわけですが、この制度のもともとの目標は、技術開発、データ収集というのがあり、その過程における保障性というものをやるべきだと、それをセットにして、ある種、社会保障目的の消費税の財源対象にしたということになったわけです。できている法律は先ほど見たようにこの2つの目的が並列的に書かれているわけです。したがって、前回、がん登録も参考に、ある種、自動登録的なアイデアもあったわけですが、補助を受ける以上、データは必ず出してほしいという整理の仕方もあるのかもしれませんけれども、他方でピンクの資料を見るとデータ同意に関してひるむというか、悩む方も非常に多い。そこは先ほど議論があった希少性の問題があるというわけですね。
それから、データ連結していくということになると、さらに不安が広がると思います。そもそもこの2つのデータベースについて法律がなかったというのは非常に問題だと思いますので、法律をきちんとつくって、そういう心配を除去した上で、デフォルトはなるべく同意していただきたいというふうに切りかえていったほうがいいのではないかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。
○水澤構成員 少し中身のほうですけれども、先ほどからも話があるのですが、軽症の方をどうするかというのがあって、今もお話がありましたし、私、研究者の立場からも、軽症の方を登録しないことにはデータベースとして余り意味をなさない、学術的な意味が余りないと思いますので、軽症の方もぜひ登録するシステムでいっていただきたいと思います。
それをやる上で、森さんがさっきおっしゃっていましたけれども、軽症の方だけ軽症者登録証みたいな形にするのは同じ難病の患者さんの中で2つのグループをつくるみたいな感じがあります。恐らく皆さんは同じファミリーというか、同じ疾患ということでの同一感もあると思うので、同じ難病で一くくりで認定して、その中で重症度の高い方にはこういう補助がありますと、軽症の方も、先ほどお話がありましたが、例えば就労支援とか、さまざまな形で、単純な医療費の補助ではなくて御支援できるかと思います。帰属感が一緒になるといった点はよいのではないかと思いますから、そういう形で、全例登録、その上で補助を変えるといったやり方がいいのではないかと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○羽鳥構成員 小慢と指定難病、広く難病ということですが、名前も余りよくないのかもしれないので、レアディジーズカードとか、何か楽しそうな名前というか、余り世間からよく思われないような名前をつけないような手帳というか、カードみたいなものをつくってあげて、それでバスもただで乗れるとか、いろいろなメリットもつけてあげる。軽症者何とかというのもちょっと変な感じもしますので、カードを持つことがメリットと思わせてあげて、それで研究事業に貢献できるような工夫をしていただいて、やはり何といっても悉皆性が研究にとっては一番大事なことではないかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
予定した時間が過ぎていますが、どうぞ。
○西村構成員 同じ意見なので追加になりますけれども、これまで申し上げていたように、医療費助成だけがこの法律のもとでの支援ではないので、受給者証ということではなくて生活や福祉の支援というのもしっかり両輪として位置づけて一つにまとめた、認定証なのか、もっといい名前のほうが、確かにカードはいいのですが、全体を認定し、そしてニーズに合わせて、ふたをあければどの支援を受けているかがわかるというような形で全登録する仕組みにしていったらいいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
私の不手際で予定した時間を少しオーバーしていますが、最後に全体を通じまして何か追加の御意見等ございますか。よろしいですか。
きょうは大変活発な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。時間も過ぎてしまいましたので、きょうはここまでにしたいと思います。
次回の日程などにつきまして、事務局からお願いします。
○南川課長補佐 次回は10月21日(月)15時から開催いたします。場所などの詳細については追って構成員の皆様に御連絡させていただきます。
なお、水色のファイルについては次回も机上配付させていただきますので、お持ち帰りにならないようお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、これで終了したいと思います。ありがとうございました。