難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ(第1回)議事録

日時

令和元年8月29日(木)13:00~15:00

場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール13B(13階)

議事録

 
○南川課長補佐 定刻となりましたので、第1回「難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
本日の出席状況ですが、勝野構成員、嵩構成員、八鍬構成員、和田構成員より御欠席の連絡をいただいております。
また、本日は、参考人として、国立成育医療研究センター小児慢性特定疾病情報室、盛一享德室長に御出席いただいております。
続きまして、宮嵜健康局長より御挨拶を申し上げます。
○宮嵜健康局長 会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
構成員の皆様におかれましては、日ごろより難病対策及び小児慢性特定疾病対策を初め、健康行政全般にわたりまして御支援、御指導を賜っておりますことを、この場をおかりして厚く御礼申し上げる次第でございます。
さて、難病対策及び小児慢性特定疾病対策につきましては、平成26年に難病の患者に対する医療等に関する法律が成立いたしますとともに、児童福祉法が改正され、安定的な財源が確保された医療費助成制度が整備され、対象疾病が大幅に拡大するとともに、調査研究の推進や療養生活環境の整備等、総合的な対策を推進してきたところでございます。
御案内のとおり、この難病法と改正児童福祉法の附則におきまして、法施行後5年以内を目途とした検討規定が置かれております。来年1月で施行から満5年を迎えることを踏まえまして、先日、本ワーキンググループの親委員会に当たります「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と「社保審児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」におきまして、今後検討するべき論点が整理されたところでございます。
この論点のうち、本ワーキンググループでは、難病及び小児慢性特定疾病の患者さんに対する医療費助成のあり方、それから医療提供体制のあり方、それから難病及び小児特定疾病に関する調査研究の促進方策などに関し、対応の具体的な方向性について御議論をお願いしたいと思っております。
構成員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門の立場から、ぜひ忌憚のない御意見をいただければと思っております。
恐縮ですが、本日、私、他の用務がありまして、途中で退席させていただきます。まことに申しわけございませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○南川課長補佐 カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。
まず、本ワーキンググループの座長でございますが、開催要綱において、構成員の中から厚生労働省健康局長が指名するとされておりますところ、健康局長の指名により、五十嵐構成員に座長をお願いしております。
続きまして、今回は本ワーキングの初回となりますので、議事に先立ち、皆様から簡単な自己紹介を兼ねて御挨拶いただければ幸いです。
それでは、構成員名簿順に五十嵐座長よりお願いいたします。
○五十嵐座長 成育医療研究センターの五十嵐です。どうぞよろしくお願いします。
○南川課長補佐 井田構成員、よろしくお願いします。
○井田構成員 慈恵医大の小児科の井田と申します。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 小幡構成員、よろしくお願いします。
○小幡構成員 上智大学の小幡でございます。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 駒村構成員、よろしくお願いします。
○駒村構成員 慶應義塾の駒村です。よろしくお願いします。
○南川課長補佐 佐藤構成員、よろしくお願いします。
○佐藤構成員 東京学芸大学の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 羽鳥構成員、よろしくお願いします。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥と申します。内科なので、小児のほうは余りよくわかりませんが、よろしくお願いします。
○南川課長補佐 福島構成員、よろしくお願いします。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 本間構成員、よろしくお願いします。
○本間構成員 復生あせび会監事の本間と申します。希少難病の患者会をやっています。よろしくお願いします。
○南川課長補佐 水澤構成員、よろしくお願いします。
○水澤構成員 国立精神・神経医療研究センターの水澤と申します。よろしくお願いします。
○南川課長補佐 森構成員、よろしくお願いします。
○森構成員 難病と慢性疾患の患者団体、日本難病・疾病団体協議会の森です。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 矢内構成員、よろしくお願いします。
○矢内構成員 東京都福祉保健局の矢内でございます。よろしくお願いいたします。
○南川課長補佐 山野構成員、よろしくお願いします。
○山野構成員 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターの山野と申します。よろしくお願いします。
○南川課長補佐 ありがとうございました。
以降の議事進行につきましては、五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、この会議は最近のはやりですけれども、タブレットを使用して議事を進めることになっております。お手元のタブレットの使用方法等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○南川課長補佐 事務局のほうから御説明させていただきます。
本日のワーキンググループでは、タブレットを使用し、議事を進行させていただきます。簡単ですが、使用方法を御説明いたします。
タブレットの画面上に資料一覧が表示されております。資料のタイトルをタップしていただきますと、本体資料が表示されます。資料は、2本の指を広げたり狭めたりすることによって資料の拡大、縮小が可能です。ページをめくる際は、画面に指を置き、上下に動かしていただければ、1ページずつめくることが可能です。
また、資料全体を閲覧したい場合には、机上配付の操作説明書の2の(2)に記してあるとおり、画面左下のマークをタップしていただき、「ファイル/印刷に注釈をつける」をタップしていただきますと、画面の下部に全ページの画像が小さく表示されますので、こちらで指を左右に動かしていただき、閲覧したいページを選択すると、ページを超えて表示することができます。お手元にタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらもごらんいただきながら、使用方法に不明な点や機器のふぐあい等がありましたら、遠慮なく挙手をお願いします。会議の途中でも、事務局が個別に御説明いたします。
なお、タブレットに関しては、会議終了後、回収いたしますので、持ち帰らず、机の上に置いたままにしていただきますようお願いいたします。
専務局からの説明は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
西村先生がおいでになりましたので、一言、自己紹介をお願いします。
○西村構成員 遅くなりました。明治学院大学の西村と申します。医療や福祉政策を研究しておりまして、難病について委員になるのは今回初めてですけれども、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうぞよろしくお願いいたします。
では、資料の確認のほうに移りたいと思います。
お願いいたします。
○南川課長補佐 では、資料の確認をさせていただきます。タブレットのフォルダの中の資料一覧をごらんください。
タブレット内の本体資料として、議事次第、委員名簿、参考人名簿、資料1-1から資料1-2、資料2-1から資料2-2、資料3を御用意しております。
過不足ございましたら、挙手をいただければと思います。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。
では、議事に入りたいと思います。
きょうは、議事が3つございます。
1番目は「本ワーキンググループについて」ですけれども、ここでは、このワーキンググループのミッションについて事務局から御説明をお願いすることになります。
それから、2つ目の議事は「関係者からのヒアリング」でして、研究者、研究機関、それぞれの立場からプレゼンをしていただきたいと思っています。
それから、3つの議題としましては「具体的な論点の検討について」ということで、これまで合同委員会でまとめられた視点、きょうも資料を御用意していただいておりますけれども、その資料と関係者からのヒアリングの内容を踏まえて議論をさらに深めていきたいと考えています。
では、議事1の「本ワーキンググループについて」、この合同委員会にてまとめられた論点につきまして事務局から簡単に説明をお願いいたします。
○領五課長補佐 座長、ありがとうございます。
それでは、事務局のほうから、今回のワーキンググループを開催することとなりました背景と、今後検討するべき論点、6月28日の合同委員会で取りまとめられておりますので、そちらについて簡単に御説明させていただきます。
まず、お手元タブレットの資料1-2をお開きいただければと思います。研究・医療ワーキンググループと地域共生ワーキンググループの開催についてということでございます。
1番で目的について簡単に書いておりますけれども、難病の患者に対する医療等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律の附則に基づく施行5年後の見直しにつきまして、これまで5月から6月にかけまして合同委員会で御議論いただいてまいりました。その上で、6月28日に「今後検討するべき論点」ということで、本日、資料1-1としてお配りしているものでございますけれども、お取りまとめをいただいたところでございます。
今後、専門的見地から、この論点につきまして、対応の具体的かつ技術的な方向性を検討するためということで、今回のこのワーキンググループでございます研究・医療のワーキンググループと、もう一つ、地域共生のワーキンググループということで、2つワーキングを開催していただくということで、合同委員会のほうで御了承が得られたところでございます。
この本ワーキンググループのミッションということで、先ほど座長からお申しつけがございましたが、2の(1)にございますとおり、主に医療費助成の在り方、そして難病の治療研究の推進、さらには医療提供体制の整備ということで、主にこの3つの柱について御議論いただきたいと考えてございます。
今後のスケジュールでございますが、次のページにもございますとおり、これから恐らく4回程度でございましょうか、また議論の状況を見てということになろうかと思いますが、本年の秋ごろをめどにワーキンググループごとに議論を整理していただいて、その後、また合同委員会で御議論いただくということで予定しております。
続きまして、論点につきましても内容について簡単に御説明させていただきます。資料1-1をお開きください。
この論点でございますけれども、1番の全体についてという項目を含めまして、全体で9つの項目について、お取りまとめをいただいております。こちらの今回の研究・医療ワーキンググループにおきましては、主に2の医療費助成から4の調査研究についてというところまでについて御議論いただきたいと考えてございます。
以下、簡単に内容について御説明申し上げます。
まず、2の医療費助成制度についてでございますけれども、冒頭、見直しの考え方・方向性についてということで、現行の医療費助成制度は、消費税を財源とする法定化された社会保障給付制度と位置づけられ、2つの目的があるということで、治療研究の推進や患者さんの経済的負担の軽減を目的とした公平かつ安定的な制度として構築されたという御指摘がございました。
今回の見直しに当たりまして、この考え方にのっとり、広く国民の理解が得られる公平かつ安定的な制度であるために、どのような見直しが必要か、検討することとしてはどうかということで、まず方向性として御意見があったところでございます。
その後、1ページ目の一番下の○でございますが、対象疾病についてということで、幅広く指定難病の対象とすることを検討してはどうかという御意見がありました。
次の2ページ目の1つ目の○でございますが、疾病の見直しに当たっては、客観的なデータ等に基づいて議論すべきではないかという御指摘もございました。
さらに、その次の○でございますけれども、調査研究及び医療技術の進展によって、今後治療方法の進歩に伴って、指定難病とは言いがたいような状況の変化が生じていると判断される疾病が出てくることも想定されるのではないかという御指摘がございまして、こうした疾病の取り扱いの方向性についても検討してはどうかという御意見もございました。
また、少し飛びまして、上から5つ目の○でございますけれども、小児から成人への切れ目ない支援を実現する。そういう観点で、どのような支援が必要かという御意見もございました。
続きまして、対象患者の認定基準についてということで、いわゆる重症度基準と呼ばれているものでございますけれども、こちらにつきましても論点が幾つか挙げられてございます。
1つ目の○でございますが、難病法の制定時の考え方、すなわち広く国民の理解を得る観点から、対象疾病に罹患している患者であって、日常生活又は社会生活に支障がある者を対象患者とするという考え方に基づいて重症度基準が導入されたという経緯について御議論がございまして、これも踏まえて、他制度との均衡ですとか疾病間の公平性の観点から検討を行ってはどうかということをお示しいただいております。
また、次のページでございますけれども、現行の重症度基準につきまして、患者の抱える症状や生活状況の困難度を適切に評価できるよう、基準の見直しが必要なのではないかという御意見もございました。
少し飛ばしまして、上から4つ目の○でございますけれども、例えば重症度基準を満たさず、また軽症高額にも該当しないということで、医療費助成の支給認定が不認定となった患者さん、いわゆる軽症者の方の支援について、どう考えるかという御意見もございました。
そのほか、医療費助成については、患者の自己負担についてということで、現行のほかの類似制度との均衡も考慮して設定されているということも踏まえて議論すべきではないかという御意見や、また、さらなる軽減を検討することとしてはどうかという論点も挙げられております。
その次、患者の利便性の向上・自治体の事務負担の軽減についてということでございますけれども、関係者、患者さん、医療機関等々あると思いますけれども、医療費助成の申請やデータ登録のオンライン化ということで、負担軽減について検討してはどうかという御意見がございました。
また、一番下の○でございますが、医療費助成の支給認定が不認定となった患者さん、軽症者の方々について、例えば登録証のようなものを発行するという仕組みについて検討してはどうかという御意見がお示しされているところでございます。
次のページの1つ目の○でございますが、軽症者の登録とこれは関連するかと思うのですけれども、軽症の方が重症化して医療費助成の支給認定を受けた場合に、円滑に医療費助成が受けられるように、例えば診断を受けた日にさかのぼって受けられるよう検討することとしてはどうかといった御意見もございました。
また、少し飛ばして恐縮ですけれども、6つ目の○でございますが、小児慢性特定疾病児童等につきまして、ほかの子供に関する制度もある中で、皆様がどの制度を利用し、どのような困難を抱えているか、どのような支援が必要か、検討してはどうかという論点も挙げられてございます。
その次、医療提供体制についてということでございますが、こちらについては、分野別の医療提供体制の整備が必要ではないかということであったり、次のページでございますけれども、ほかの制度との連携について、どうするかということを挙げられております。
そのほか医療提供体制としましては、遺伝子診断体制ですとか移行期の医療支援体制についても論点として挙げられているという状況でございます。
最後の柱でございますが、調査と研究についてということで、まず、研究につきましては、さまざまな研究事業がある中で、各事業の役割分担について、どう考えるかということが論点として挙げられております。
また、3つ目の○ですけれども、患者の目線に立った、わかりやすい情報提供のあり方ということも御指摘いただいております。
最後に、データベースについてということでございまして、難病医療費助成制度の特徴ということで、福祉的目的のみならず、治療研究の推進という目的もあるという御指摘がございまして、その中で、患者さんのデータ提供を促進させるための仕組みについて、どう考えるかという御意見をいただいております。
次のページでございますが、まず、軽症者のデータ登録が促進される仕組みについて検討してはどうかという論点。
また、データベース間の連結ということで、例えば難病のデータベースと小慢のデータベース、さらにはその他の関係してくるようなデータベースの連結のあり方等についても御意見をいただき、さまざまな論点を提示していただいているという状況でございます。
以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
この議事1に関する議題につきましては、3番目の「具体的な論点の検討」のところで行いたいと思います。その前に、関係者、きょう、お二人、ヒアリングすることになっております。それぞれ10分程度で御発表いただきまして、それぞれ質疑応答を経た後に、3番目の「具体的な論点の検討」に入りたいと考えております。
それでは、初めに、委員でもいらっしゃるのですけれども、東京慈恵会医科大学小児科教授の井田先生から、10分程度で御発表をお願いいたします。
○井田構成員 ありがとうございます。
それでは、タブレットの資料2-1をごらんください。私の課題は「指定難病制度の公平性に関する研究」というテーマでございます。このテーマは、指定難病の普及・啓発に向けた統合研究班、これは和田先生が研究代表者でいらっしゃいますけれども、その班の1つに均てん化に関する分科会というものがございまして、千葉先生が研究分担代表者をされています。本日は千葉先生が御欠席ということで、私が代理で発表させていただきます。
題名が1ページでございまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。
この研究の研究概要でございますけれども、これまで個別に設定されてきた重症度分類(医療費助成基準)について、疾病間の公平性がより担保された基準を設定することが可能かどうか検討を行いました。具体的には、現行の全指定難病331疾病について、疾病横断的な基準によりまして、各疾病の症状の程度をはかることが可能かどうかということを検討しました。
なお、この検討に当たりましては、この研究班だけではなく、指定難病の研究班、それから関連学会からも意見を聴取しまして、研究の結果を導き出しました。
目的は最後の文面に示していますが、重症度分類の公平化を検討するということでございます。
研究テーマは2つございまして、全疾患に関して、modified Rankin ScaleやBerthel Indexなどの、今まで比較的用いられている基準を一律に導入できるかどうかということを検討したのが研究テーマの1でございます。後ほど申し上げますけれども、全疾患、共通の重症度分類はなかなか難しいということになりました。研究テーマ2は指定難病を疾患群ごとに分類することによって、疾患群ごとに共通の重症度分類ができるかどうか、導入できるかどうかということを検討してみました。
3ページ目をお願いします。研究テーマ1でございますけれども、全疾患に関しまして、先ほど申し上げましたmodified Rankin ScaleとかBerthel Indexの基準を導入できるかどうか検討してみました。結果としましては、「指定難病はそれぞれが非常に多様性に富んでおりますので、全疾患一律の基準ではかることはなかなか難しいし、しかも適切ではない」というのが研究テーマ1の結論でございます。
研究テーマ2でございますが、まず、そこに記載してございますように、神経、代謝、循環器、免疫、内分泌、先天異常・遺伝子疾患、腎・泌尿器、耳鼻科、消化器、血液、眼科、形成外科、皮膚・結合識、骨・関節疾患、呼吸器疾患という疾患群に分類しました。もちろん、この分類は、各委員、学会、研究班に質問して分類しました。
ということで、次のページに行っていただきまして、重症度の考え方ですけれども、基本原則として以下の考え方を整理しました。(1)できるだけ統一された基準を疾患群ごとに導入すること、(2)予後等は考慮せずに、現時点での状態で判断すること、(3)疾患群ごとで統一した基準に適応できない疾患については、その理由が適切であること。これが基本原則でございます。
上記の整理した考え方に基づきまして、331疾病について難治性疾患政策研究事業の研究班や関連学会と連携して、重症度分類について次のページのとおり整理を行いました。
神経筋疾患は82疾患で疾病数としては一番多いのですけれども、modified Rankin Scale(mRS)とかBerthel Index(BI)、食事摂取量とか呼吸状態、てんかん、知能障害の5つの基準が適応可能であると考えられました。82疾患のうち20疾患はmodified Rankin Scaleが適応可能。大多数はmRSとBIで評価ができるという結論でした。
内分泌疾患、23疾患ですけれども、SF36とかEQ-5Dとか、QOLをはかる指標が重症度等に導入できるだろう。もちろん、m R SとかB Iで評価できる可能性がある疾病も多いです。
腎疾患はCKD分類が国際的にもかなり使われていますし、これが大体導入できるのではないかという結論でした。
遺伝子疾患は26疾患ありますけれども、従来からの臓器別の重症度分類の組み合わせとか、NYHAとかCKDを使うことができる。
皮膚結合識はかなり難しくて、これは少し考えなければいけない。統一化は難しい。
免疫疾患は27疾患、これはmRSとかBIでは適切ではないということです。例えば、腎機能障害とか視力・聴力とか、ほかの重症度分類に用いられている基準を使うことができるかもしれない。
膠原病は、現行の重症度基準または疾患特異的な重症度分類で評価することが適切と考えられる。
眼科につきましては6疾患、これは当然のことながら、矯正視力とかが重症度の客観的な指標になりますので、これはこれでいけるだろうということです。
耳鼻科疾患は10疾患。これに関しては、聴力が一番指標になるだろう。それから、これに加えてm R SとかB Iも一緒に組み合わせて使えるだろう。
血液疾患(14疾患)は、比較的数値化できる。ヘモグロビン値、白血球値、血小板。これは使えるのですけれども、難しい疾患もあるということです。
それから、呼吸器疾患は、息切れスケールというものを使いまして、あとは動脈血液ガス分析の2つで大体いけるのではないかという結論でした。
循環器疾患(27疾患)ですけれども、国際的に使っているNYHA分類が大体使えるであろう。ただ、ほかの不整脈とか血管性病変とか心筋症ではNYHAは使いにくい。
消化器疾患(20疾患)は、child-pugh分類、これは肝臓です。あとは、栄養の観点から見て重症度分類ができる。
骨・関節疾患は、m R Sが大体使えるだろう。
形成外科もm R Sと呼吸・食事を使う。
代謝性疾患(43疾患)ですけれども、疾患群の特性から、予後の要素を入れて欲しい、すなわち、悪化しないための医療費を助成できるような重症度分類を設けるべきとの意見が強かったです。例えば治療をすることによって良好な状態を維持しているのですが、治療をやめてしまうと悪くなるという疾患があります。治療方法としては酵素補充療法とか特殊ミルクとかあります。この点を考慮して欲しいという意見がありました。
次のページ、まとめでございます。
以上のように、1番目のポツは、指定難病は症状が多臓器で非常に多様性があるので、一律に決めるのは少し難しいだろう。
しかしながら、2番目の○のように、疾患群に分けることによって、ある程度統一できるだろう。
3つ目の○、今後、他の社会保障給付制度との公平性、整合性も考慮すべきとの意見が出されまして、これは重要なことです。
最後の※が一番大切なのですけれども、そのほかの議論として、重症度分類の策定方針の変更、助成基準の変更を行えば、現場の混乱がかなり予想されるので、これは慎重にしたほうがいいだろう。特に、基準を出したときに、各政策研究班の研究代表者とか学会に変更する趣旨とかをきちんと説明して対応していかないと、いきなり変更すると現場が混乱するので、ここは慎重にやっていったほうがいいだろうというのがまとめでございます。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
では、続きまして、国立成育医療研究センターの小児慢性特定疾病情報室室長の盛一参考人から御説明をお願いいたします。
○盛一参考人 よろしくお願いいたします。
資料2-2に当たりますスライドをごらんください。私、ふだんは小慢の登録データベースのほうを仕事で使っているのですけれども、今回はそれとはちょっと別になりまして、レセプトデータというものを小慢から見た場合に、どんな感じのことがわかるかということを検討したことを御説明させていただきます。実は、今回の発表は公費について検討しているのですが、公費の情報はオープンになっていないのです。そのため、今回の資料は、ある県の中に33の市区町村があるのですけれども、そちらのほうと県に今回の趣旨を説明して、非常に協力的になってくださって、特別に情報提供いただいたレセプトデータをもとにしてつくった資料になります。
使ったデータですけれども、国保レセプトと呼ばれているものになります。御存じのとおり、国保に加入している方は、社会的背景とか、ある程度事情がある方が含まれておりますので、今回のデータが全てほかの保険に入っている方に完全に外的妥当性があるかどうかというのは、ちょっと難しいところがあるのですけれども、一つの考えとしてお聞きください。
まず、2番目のスライドですが、子供の人口というのは我が国ではどんどん減り続けているのですけれども、もう一つ、国保の加入者も年々減ってしまっているのですが、年齢別の割合を見たところではほぼ一定になっていますので、これから先、経年変化も御説明するのですけれども、大体同じぐらいの割合で起こっていることと御理解いただければと思います。
3番目のスライドですけれども、ここから先は、小慢の中には800前後の対象疾病があるのですけれども、それぞれの病気によって事情が異なっているはずなので、幾つかの病気を抜き出してみて、どういう形で実情があるのかというのを検討したものになります。
一番最初の資料が1型糖尿病と呼ばれている糖尿病の病気の一つですけれども、それについて検討した結果になっています。実際、彼らはどのような公費を使っているかというのを、ここでお示ししています。52と書いてあるのが小慢を示す公費の番号になるのですけれども、この52番というのがどのぐらいの割合で使われているかというのが書かれています。そうしますと、小慢を取得して使っている可能性がある方々が60%から50%台という形で、経時的変化を見るとそんなに変わりなく使われている。
一方で、子供医療費助成と呼ばれている市町がやっているものがあるのですが、こちらを使っている方々も2割から3割ぐらいいらっしゃって、ここに書いてあるものは、小慢を取得していないで、それだけを使っている方なのですが、そういう感じの割合でいるような状況でした。
次のスライドが胆道閉鎖症と呼ばれている生まれつきの病気の一つですけれども、小児外科の疾患ですが、こちらについて検討した資料として出しています。こちらは、同じような感じで五、六割ぐらいの人は小慢を取得しているけれども、小児医療費助成、市町がやっているものだけの方々が2割ぐらいいらっしゃるというのが結果として出ています。
次のスライドが先天性の心臓病で、症状が重たいものになるのですが、単心室症と呼ばれて、必ず手術が必要になるような方々です。こちらにつきましては、同じように五、六割の方が小慢を取得しているのですけれども、病気の状況によっては予後が余りよくない方々も出てきてしまうような病気なので、中で使っている医療費助成の中で、小児医療費助成というもののほかに、重症心身障害者に対する医療費助成というものを使われている方々も入ってくるようなイメージになっています。
その次のものが成長ホルモン分泌不全性低身長症と書いてある内分泌の疾患ですが、こちらのほうは医療費がかさむような疾患ということで例示させていただいています。この病態、なかなか難しい、いろいろな原因で起こってしまうのですが、その中でも分泌不全で抜き出しているもので、先天性のものは除いている形になっているのですが、そういった人は5割から6割ぐらい。社会的事情があって、違う助成を受けている方もいらっしゃったりするのですけれども、小児医療費助成というものを単独で利用している方がある程度いらっしゃる形になっています。
次のスライドがJIAと呼ばれている若年性特発性関節炎、リウマチ系疾患になるのですけれども、こちらは症状にかなり幅があるので、ここに書いてあるものは結構お金がかかってしまったり、病態がかなり強くなってしまった方々は特別なお薬を入れるのですけれども、そちらを使っている人ということで抜き出しているものになります。なので、この病気の全ての人をカバーしている話ではないのですけれども、いわゆる重症と呼ばれるような方々は小慢の利用率が結構高くて、六、七割ぐらいが使われているかもしれない。でも、中には小児医療費助成というものを利用している方もいらっしゃるかもしれないというデータになっています。
次が福山型筋ジストロフィーという、難病にもなるのですけれども、こちらのほうの人たちはどういうものを使っているかという数字です。割合で示しているのですけれども、非常に数が少ないものなので、人数が変わると大きく割合が変わってしまっているので、年によって数字が変わっているのですけれども、小慢の取得率はそれなりにある。ただ、病気の特徴的な部分ですけれども、重症心身障害者の助成を使っている方々もそれなりにいらっしゃるという形になっています。
最後が白血病と呼ばれている血液がんのほうは、過去は小慢の利用の年度が限られてしまっていて、5年間という縛りがあったので、そういう意味で取得率は余り高くなかったのですが、近年、その制限が少し緩くなっているので、少しずつ小慢の取得率が上がっているような状況になっています。ただ、こちらのほうは医療費助成がなかなか使えない病気でもあるので、いわゆる保険だけで医療を受けていらっしゃる方の割合もかなり高い疾病になっています。
次のスライドですけれども、子供については、小慢のほかに類似する医療費助成が並列してあるのですけれども、それの影響がどういうふうになるかというのを1つ、サンプルとして示したものになります。この県においては、平成29年の段階で小児医療費助成の対象年齢が少し広がったのです。10歳から14歳の部分ですけれども、対象年齢が広がると、これを使う人がふえてしまうというのをこのグラフで示しています。したがいまして、この小児医療費助成と小慢の関係性というのが今後少し重要になってくるのではないかなと考えています。
次のスライドは、公費は併用できるものが幾つかあるのですけれども、そういうものがどういうふうに利用されているかを書いています。単独、2併、3併、4併と書いてあるのですが、単独と書いてあるものは、保険医療だけを使ってお金を払っている。要は、自己負担をしている方々です。2併というのは、医療保険と、もう一つ何か公費を使っていらっしゃる方。3併、4併というのは、さらに公費を複数重ねて使っていらっしゃる方という感じですが、基本的には皆さん、医療保険と何か一つの公費という方がほとんどです。
その中で、小児医療費助成の対象額が少し広がったことによって、10歳から14歳で2併の数がふえているのが影響しているのが、ここでわかるかなと思います。
次のスライドですが、最近、少しずつ公費の併用ができるということが広がってきているので、2併と3併という形で公費を併用している方の割合がどう変化しているかというのを示したものです。ただ、公費をたくさんとれる方というのは、特殊な病気の方になるので、全体から見たら数字がすごく少なくなってしまうので、割合としては非常に小さくなってしまうのですけれども、数字を見ると確実に少しずつふえているのではないかと考えています。なので、小慢だけではなくて、ほかのものも使っても構わないのだけれども、小慢を中心に使っていただけるようなことを進めていけばいいのかなと考えています。
最後ですけれども、この数字、リミテーションがかなり強い数字ではあるのですが、小慢の利用率というのは、恐らく5割から6割ぐらいはあるのではないかなと推測しています。ただ、小慢も含めて、公費を全く使っていない方々がいらっしゃいますので、この辺は広報不足の部分もあるのではないかなと思っています。なので、今後小慢が利用できることを国民の皆さんにどんどん宣伝していかなければいけないかなというのが1つ。
もう一つは、先ほどから出てきております小児医療費助成という市町がやっている医療費助成があるのですけれども、こちらだけを利用している方々がいらっしゃるのですが、この人たちを小慢にどうやって誘導していくかというのが課題になるかなと考えております。小慢をとっていただければ、疾病に関する話が今後出てくると思いますけれども、データベースに登録されますので、研究が進んだり、市町の財政負担も国が半分お金を払ってくれることになるので、浮いた分を違う形で子供に還元してあげたりというのができるようになるはずなので、そういうところでも小慢を使っていただくというのが今後重要になってくるのではないかなと考えております。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、お二人の先生からプレゼンテーションしていただきましたけれども、何か御質問あるいは御意見等ございましたら、お願いしたいと思います。
どうぞ。
○森構成員 ありがとうございます。JPA、森です。
まず、全体について、この臨床調査個人票が本当に研究に寄与しているものなのかどうかというところが、患者にはまだ実感として伝わり切れておらず、同意書にサインされていない方が結構多いかと思います。また、医療費助成と臨個票がついているために影響しているということもあると思われます。研究と医療費助成というものが臨個票で結びついているものでよいのかどうかというところも念頭に置きながら、今後も検討していただきたいというのがまず全体の意見です。
重症度分類ですけれども、比較検討、どうもありがとうございます。ここにも出ておりますように、全身にわたることですし、皮膚ですとか関節も含めまして、さまざまな症状を抱え、また多臓器においても一つ一つはほぼ軽度と言われるものではあっても、例えば1+1+1は3ではなく、4にも5にもなるかと思いますし、指定医を受診するのも、本当に遠くのところへ診察に行きますと、とてもぐあいが悪いときには行けないような状況で、医師に本当にぐあいが悪いときの症状をなかなか診ていただけていない、伝え切れていないというところもあります。
それで、私どもの患者団体にも、毎日のようにこの医療費助成のことについては相談ですとか御意見が寄せられているのですけれども、例えば神経難病の中のCIDPサポートグループの患者会などでは、アンケート調査とか実態調査も行っておられまして、今、臨個票の中では示していない感覚障害の部分ですとか、そういったところが、合わせて76%の方が臨個票では自分の症状があらわせていないと答えておられるという調査もあります。
そこで、重症度分類の項目ですとか基準というものを考えるときに、ぜひそれらの患者団体の実態調査とか意見というものも聞き取っていただいて、考慮していただきたいと思います。幾つもの患者団体がいろいろな調査ですとか、毎日のように相談を受けており、把握しているかと思いますので、お願いしたいと思います。
それと、制度がなかなか伝わっていないという点ですけれども、診断を受けた時点でかなり強い治療が必要な疾病も多くありますので、診断がついた時点で告知すると同時に、患者が使えるような制度がある、医療費助成が使えるというところを一緒に伝えていただき、そして治療の選択肢の中でも考慮を、ぜひ患者としても考えることができるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
井田先生、重症度分類の項目を決めるときに、現行の項目も、小慢でも同じことだと思うのですけれども、患者団体からの御意見を一度聞いてほしいという御要望ですけれども、実際に現場で、小慢のほうは余りそういうことを聞いたことがないのですけれども、難病のほうではそのような対応を今までされたことがあるのでしょうか。
○井田構成員 これは、個々の政策研究班が担当しているのですが、恐らく患者団体さんから意見を聴取しているということは多分ないと思います。
重症度分類について申し上げますと、患者さんが幾つか症状を呈したときに、一番重症な臓器症状で評価するのか、それぞれの臓器症状のポイントを呈して評価するのかが大きな点です。研究班のほうでは、各臓器症状のポイントを足して評価するのではなく、一番重症な臓器のポイントでやろうという意見が優位でした。
もうひとつ、重症度を客観的に評価するのか、主観的に評価するのか、というのは難しいと思います。内分泌疾患におけるSFf36などは主観的要素が強くなります。患者さん団体から意見を聴取すると恐らく主観的なものが出てくると思います。そうすると、重症度判定にバイアスがかかると思います。ですから、客観的評価、医学的な評価を用いてやろうというのが基本方針です。具体的にどのように評価するかまでは検討していません。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○駒村構成員 慶應義塾の駒村です。
小慢の御報告、大変興味深く聞かせていただきました。御報告の最初にありましたように、これが国保のレセプトということなので、一般の方とどういう違いがあるのかというのを少し考えておかなければいけない。恐らく自営業、それから無職・無業の家計の方だということは、この分析にどういう影響を与えているか、少し考えないといけないと思いますけれどもね。
もしかしたら見落としているかもしれませんが、データ数はいかほどのレセプトを分析されているのかという点と。
それから、小慢への移動をなるべくだったら推奨したいということですけれども、その辺、なぜ助成のほうを選んでいるのかということを、アンケートとかヒアリング調査みたいなことをやられたことがあるのか。
それから、最後のところで、小慢を使っていただくように誘導する方法で何かいいアイデアがあるか、ちょっと教えていただきたいなと思います。
よろしくお願いいたします。
○盛一参考人 御質問ありがとうございます。
レセプトの数がどのぐらいですかという御質問、なかなか難しいところですけれども、全レコード数とすれば何千万件いただいている形になっています。ただ、いわゆるかぜみたいなものも含めた形で、ある期間からある期間までのレコードを全て提供してくださいという形になっているので、そこから抜き出したデータになっています。
もう一つが、どれを選ぶかということですけれども、実際のところ、複数の制度があった場合、どれを選ぶかを強制することはできなくて、患者さんにどれかを最終的には決定していただく形になってしまうので、そういう意味で、小慢というのは、まず病名がつかなければいけないということ。病名にぶら下がる制度であるということと、ほかの医療費助成の多くはそうなのですが、医師の診断書が必要になる。だから、診断書をとるために、わざわざ病院に行ってお金を払って書類をもらわなければいけないということ。あと、手続が面倒くさいですね。役所に行って必要書類を全部そろえて出さなければいけないというステップが必要です。
一方、この中であった子供医療費助成というのは、大概はお子さんが生まれて出生届を出すときに一緒に紙が1枚あって、サインしているはずです。そうすると、受給者証が勝手に届いてしまう。1年ごとに更新のものも届いてしまうという形で、結構簡便であることと、病名を問わないのです。あと、医者の証明書が必要ないという形で、手軽さからいうとどうしても負けてしまう部分があって、それを使ってしまう方が多いのかもしれないです。
ただ、まちにもよるのですけれども、市町に依存している制度なので、所得制限みたいなものがきつくかかっていたり、対象年齢がすごく狭かったりして、実際には子供の人口に対して使われている割合というのは、そんなに多くないのではないかと考えています。厚労省のほうで配っていただいた冊子のほうに、何%ぐらいというのがスライド121ページに、まちについては何%ぐらい無料ですよとか、所得制限がないですよというのが書かれているのですけれども、子供は実は大きなまちに住んでいることが多くて、所得制限なしでただの部分というのは何とか村みたいに、子供がほとんどいませんみたいなところが多い。
実際、子供が住んでいて、子供医療費助成の手厚いまちはほとんどないのではないかと考えているので、そういう意味では、まちによってかなり差がついてしまっているというのも大きな問題なのではないかなと考えています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○水澤構成員 今のことにちょっと関係するので。つい最近、小児期から成人期までかかわるような神経疾患のレジストリをつくるための委員会でいろいろな議論があったときに、この話が出まして、小児慢性疾患のデータは使えないのではないかという話があったのですけれども、きょうはよく内容がわかりました。
それで、追加の質問なのですけれども、今おっしゃった、小児の医療費の助成と小慢と比較すると、助成の内容は、金額と申しましょうか、大体同じなのでしょうか。それとも小慢のほうが手厚いというか、いかがでしょうか。受けられる補助というか、支援や助成の内容は同じものなのか。もし小慢のほうがよいのであれば、多少面倒でもそちらをというインセンティブにはなると思いますけれども、そうではないのでしょうか。
○盛一参考人 小慢のほうは、所得ごとで自己負担の額がどのくらい圧縮されるかが決まっているような形になっています。市区町村のほうも同じような形のものが多いのですけれども、かなりばらばらで、例えば2回までは自己負担があるけれども、3回目以降はただになりますとか、東京都みたいに中学生までは完全にお金がかかりませんという形で、かなり幅がありますので。
○水澤構成員 各市町村で随分違うということですね。わかりました。
ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうぞ。
○小幡構成員 私も今の問題は以前から気になっていたのですが、東京とか大きな都市ですと、年齢が中学生までとか小学生までとかは限定があるのかもしれませんが、完全に子供医療費がゼロになる、全くかからないで済む、それも手続きは簡単ですむという状況があります。そうしますと、多分こちらの小慢のほうをとって、わざわざそれを使うというのはほぼ無意味というか、全くインセンティブがないのです。ただ、それはもちろん全国的には市町によってばらつきはある制度なので、そうなっていないところもたくさんあるし、最終的には年齢で切られるからという状況も、よく説明すればあるのですが、それまでは子供医療費で簡単に全部ゼロになるのであれば、そのほうが楽だということになってしまう。
そうなると、データの問題としてこちらを使っていただいたほうがよいというのはよくわかるのですが、医療費のほうでそこへ持っていくのは、実態として大都市を考えるとかなり難しいと思います。おそらく大都市のほうが患者さんの数が多いと思うので、そうすると、診断をつけたお医者様が、医療費の方ではなく、こういうことでデータが必要なので、協力して登録してくださいという方向でお願いするしかないのではないかという感じがしています。もちろん、全国的には損になっている場合があるので、こちらに登録したほうがよいということがあることはよくわかりますが、大多数は医療費で持っていくのは難しいかなというのが私の感想なのですが、どうでしょうか。
○井田構成員 お金のことを考えるのではなくて、皆さんのデータを集めて研究に資して、今後予後の改善に結びつける。皆さんのデータを集積することは意義があるので登録して下さいと呼びかける方法しかないような気がします。
○五十嵐座長 どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間でございます。
井田先生に伺いたいのですが、先ほどの御報告の中で、疾患ごとの共通基準を導入した診断基準を新たにつくるとしたら、現行、これまで三百幾つでそれぞれにつくったものに比べまして、それを抜本的にひっくり返して、1からやり直さなければいけないのか、それとも現行のあれを手直しする形で可能なのか。その場合、もし可能であるとすれば、変更の可能性があるという御報告なのですけれども、どれくらいの可能性があるのか、その辺の感触でもいいですが、教えていただきたい。
というのは、最初にやったときに、ずっと私、傍聴していたのですけれども、相当細かくて、一つ一つやっていたら大変な作業だったような記憶があるのです。だから、これを直すのも大変なのかなというイメージがあったものですから。
○井田構成員 ざっくり概要を申し上げますと、全部をひっくり返す必要もないのですけれども、相当手を入れる必要があるというのは大まかな感触です。ただ、一番問題なのは、公平性・安定性。公平性が強調されておりますので、個々に設定していますとどうしても差が出てしまう。できるだけ公平性を担保するというのが、もともとこの研究班のオリジナルの考えですので、できれば集約化していきたいと。ですから、全部をひっくり返すわけではない。ある程度利用できるものは活用していく。しかしながら、個々にやっていくのはちょっと問題だという事です。
最後のまとめのところでもお話ししたように、現場がかなり混乱します。今までの経緯がございますので、一度、研究班で設定したものを、学会あるいは患者さんの団体に投げかけて、本当にそれでいいのかどうかという検証は必ずやらないと、相当すったもんだすると思います。それがアウトラインで、細かい数字はちょっと出せないのですけれども、ざっくり言ってそういう感じでございます。
○本間構成員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥ですけれども、がん対策委員会とかにも出ているのですが、がん対策の場合には全てのがんの患者さんを登録するというのが前提になっています。それは、がん対策基本法の趣旨に合わせて、難病も同じような趣旨の文章、法案をきちんとつくることも1つ大事なのかなと思います。
それと、医療費のことと疾患を登録するということは少し分けて考えて、その場合、患者さんにそれを強いるのはちょっと酷かなと思います。そうすると、医療機関で最初に診断された先生が何らかの形で登録していただく。もちろん、同意書もきちんと包括同意をとるということが大事だと思いますけれども、がんの登録の場合、例えば内視鏡で胃がんを見つけた、胸のレントゲンで肺がんを見つけた。その先生は、別にそこで治療をするわけではないけれども、その段階で登録することができるというか、そうすることになっているのですね。そうすると、診断したところでそういうことができるような仕組み、できるだけ簡便で、先生にとっても負担にならないように。
後で振り返って、この症例についてきちんと調べることができるような仕組みをつくっておけば、後での研究事業にも役に立つだろうなと思いますので、そういう意味では軽症の方も含めて登録できるような仕組みをつくる。要するに、そこの段階で診断がついたら、その先生が書くということをしていただけるといいのではないかと思います。
その場合、今は都道府県の事業でありますけれども、1件につき数百円の金額を登録してくださった先生にお支払いするという程度の金額なのですけれども、それで事業としては成り立つ面もあるので、ある意味法律的に登録していただくということにすると進むのではないかと思います。ですから、それは逆に患者さんにデメリットがあるようなことが生じてはいけないので、悪用した方は厳罰に処することが大事だと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。この議論に関しては、今の羽鳥先生の御指摘は初めての御指摘じゃないかと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○水澤構成員 まず、今の羽鳥先生の御提案、僕も大賛成でありまして、ほかの国でもそういうふうにしているところもあると思いますが、法律でなければできないのでしょうか。今は、がんと循環器病疾患が法律で規定されて、それぞれナショナルセンターに登録されるような形になっていると思いますけれども、難病についても、法律あるいはそれにかわる手段で全例登録の形でやるのがよいのではないかと私も思いました。
ちょっと違うほうの話ですけれども、先ほども議論がありました重症度につきましては残る問題だと思います。けれども、現在のものとどう違うか。ひっくり返しでしたか、そういう表現がございましたけれども、そう大きく、べら棒に変わるわけではないと思います。というのは、当初56疾患があって、それが110くらいになりまして、それから300ぐらいになったと思いますけれども、新しくなったほうについては、例えば神経疾患等で、今、御紹介があったBerthel Indexとかmodified Rankin Scaleといったものは、そのときから導入されていますので、それ以降の新しい疾患ではほとんどそれを使っています。
むしろ、昔からあった疾患が、これは患者会からの要望があったと伺っていますけれども、従来のやり方をそのまま踏襲しているところがあると思います。ですから、大きな混乱等は余りないのではないかと思います。
井田先生に質問ですけれども、先ほどたしか1項目でしたか、QOLあるいはQOL的なものを重症度に採用するとおっしゃったのでしょうか。QOLは、途中というか、いろいろなところで議論が出ていますし、いろいろな要望の中に、QOLが非常に悪くなるので、ぜひ難病に認定するようにといった要望もかなりあるのですけれども、QOLを含めていくと、先ほどの主観的なものか客観的なものかといったときに、主観の部分が非常に大きくなるということもありまして、これまでは余り結論が出ていなかったと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○井田構成員 研究班の見解では神経疾患は、ほとんどがmodified Rankin Scale(mRS)やBerthel Index(BI)で重症度分類が可能であるということでした。ただし、疾患によっては少し難しいというのがあるので、先ほど申し上げましたように、疾患ごとにかなり違うと思います。かなり手を加えるのか、ほとんど現行でいけるのか。それは疾患群によって大分違うと思います。それがまず1つのお答えです。
もう一つは、QOLを重視するのは、内分泌疾患でした。内分泌疾患担当の先生方は重症度分類としてSF36とかヨーロッパのQOLスコアを使ったほうがいいのではないかと主張されていました。重症度にQOLを使ったほうがいいのではないかというのは全体ではないです。内分泌領域だけです。
○水澤構成員 先生方の委員会でそういう方向を打ち出したわけではなくて、御意見があったという感じなのでしょうか。
○井田構成員 そうです。構成員の方からはそういう意見があったということです。QOL的な要素を入れるとどうしても主観的になるという懸念はあると思うので、ここは十分議論していきたいと思います。
○水澤構成員 どうもありがとうございました。神経疾患以外のところについては、余りよく知らないところもありますので、ぜひそこはまた補っていただければと思います。
もう一点は、視力とか聴力とか腎機能もそうですけれども、そういう数字で検査値が入ってきていて、外から見たときのフィジカルなBerthel Indexやmodified Rankin ScaleなどのADL的なものではなくて、検査値で規定するようなものも幾つかございますね。それも割と客観的にいけるかなと思いますし、逆に言うと、その値が本当にそれでいいのかということも議論しなければいけないと思いますけれども、そういったものもかなり多かったかなと思っております。
○井田構成員 主観的なものを重症度分類に応用するのはなかなか難しいという意見が多かったです。ですから、客観的に数値化できるものとか、従来から用いられている、あるいは治験のときに用いられているいろいろなスケールを用いれば、客観的に重症度が評価できるのではないかというのはおおむねのコンセンサスだと理解しております。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○西村構成員 明治学院の西村です。
その前の登録を義務づけるというお話が出て、私は賛成なのですけれども、患者の側にもインセンティブが何らか必要と思います。それで、医療費のほうのインセンティブはなかなか難しいというところで、もう一つの給付である生活や就労支援とか学習支援というのは、指定難病の方は全部対象になるということですから、それを受ける際に登録を要件としておくと、そこでインセンティブの一つとして登録するということに、診断されたときに進むのではないかと思います。
それから、もう一つ、医療費のほうのインセンティブは何かないかなと思うわけですけれども、小慢と小児医療費の併用というのは可能なのでしょうか。患者の側にはメリットはないかもしれないですけれども、自治体は小慢と小児医療費の併用ができれば自治体負担が減ることになるので、自治体のインセンティブは。
○盛一参考人 近年は併用ができることが広まってきているみたいで、いわゆる3併と呼ばれている形で、小慢、プラス子供医療費を使われている方がかなりふえているような印象がありました。ただ、小慢の手続に、もう一つ問題になっている書類料がかかるということがあって、こればかりは自己負担になってしまうので、毎年5000円払いますかというところにどれだけの意義を見出してくれるかというところも、また別途問題がある。
○五十嵐座長 はい。
○井田構成員 先ほど羽鳥先生がおっしゃったアイデア、非常に斬新なアイデアで、私、感銘を受けたのですけれども、医療費助成と登録を別に考えないと、この問題は解決しないような印象をもっています。例えば、軽症患者の場合もそうですね。軽症なので、重症化しないと医療費助成が受けられないということで全登録が難しい。登録と医療費助成を切り分け、インディペンデントに制度化するということが可能かどうかは重要な点だと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 恐らく法律的な担保がどうしても必要だと思いますけれども、がんのほうはがん対策基本法、それから脳卒中・循環器も今度新しく12月からスタートしますね。同じように、難病だって行政の努力と国会議員さんの支援があればできるはずですので、患者さん団体だってしっかりしているので、患者さん団体の方に動いていただいて、これは議員立法でやることが多いと思いますので、議員の全党派の賛成があればできることですので、ぜひその辺を進めていただけたらといいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。議論が大分活発に行われました。ありがとうございました。
それでは、時間も押しておりますので、次の議題であります「具体的な論点の検討」にこれから入りたいと考えています。事務局から「合同委員会で示された意見と具体的な論点」について、資料を使いまして御説明いただいて、その後、議論に入りたいと思います。
まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○領五課長補佐 それでは、資料3に基づきまして事務局のほうから御説明させていただきます。資料3のファイルをお開きいただければと思います。
合同委員会で示された意見と具体的な論点ということでございまして、まず3ページ目をお開きいただければと思います。大きく2つ、四角を御用意してございます。
上の合同委員会で示された論点といいますのが、冒頭事務局のほうから説明させていただきました資料1-1、6月28日に合同委員会でお取りまとめいただいた論点を、各テーマごとにグルーピングして、そのまま転記させていただいているものでございます。
その下に検討にあたっての事実関係等ということで、各テーマごとに入れさせていただいているものが、御議論いただくに当たって参考になるような事実関係等について、事務局として補足させていただいているものということでございます。
それでは、順番に内容について御説明いたします。
3ページ目、まず医療費助成についてという柱の下に、対象疾病についてということで合同委員会からもお示しいただきました。合同委員会の論点のほうは、先ほど御説明したとおりでございますけれども、検討に当たりまして事務局からの補足といたしましては、まず今までの御議論にもございましたが、難病というものの定義としまして、「発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を要するもの」と、現状、規定しております。こちらについては、必ずしも医療費助成の対象にならないものも含まれるところではございますが、調査研究とか療養生活環境整備事業の対象にはなっているという現状がございます。
このうち、「指定難病」といたしまして、医療費助成の対象について定義がございまして、こちらについては、難病対策委員会の当時の議論を踏まえまして、公平かつ安定的な制度を確立する観点から、難病の定義に加えまして、患者数が人口の0.1%程度以下であることと、あとは客観的な診断基準が確立していることということを要件として定めております。こうした定義の違いがございますので、こういう事実関係を踏まえた上で御議論いただければと考えております。
次のページでございます。こちらは、対象疾病の見直しについてということで、医療技術の進展等に伴って、治療方法が確立してくるような疾病も出てくる可能性があるということで、どう考えていくかということでございますけれども、論点の2つ目の○でございますが、5年前に新法ができましたときに、附帯決議というものが国会のほうでついてございます。こちらについては、今後の指定難病の見直しに当たっては、患者数だけではなく、患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、慎重に検討することという内容でございますので、こうした点も踏まえて御議論いただきたいと考えております。
また、法制定時の議論といたしましては、効果的な治療方法が確立するなどの状況変化が生じた疾患については、定期的に評価して見直すこととするとされていることですとか、また、指定難病委員会でも、本委員会でフォローしていく必要があるという御議論もあったところでございます。
また、指定難病と小児慢性特定疾病ということで、制度の趣旨も異なりますので、そうした点も踏まえて、小慢のほうについてはどう考えるかということもお示しさせていただいております。
5ページ目は、事実関係の資料でございますので、割愛させていただいて、6ページ目をお開きいただければと思います。こちらは、小児から成人への切れ目のない支援ということでございます。先ほども申し上げましたが、指定難病と小慢でそれぞれの制度の趣旨の違いというものもございますので、そちらを踏まえつつ、移行に当たっての支援について、どのように考えるかということで書かせていただいております。
続きまして、7ページ目でございます。こちらは、対象患者の認定基準、いわゆる重症度基準についてということでございます。論点につきましては、先ほど資料1-1の説明の中で簡単に御紹介したとおりでございます。
8ページ目のほうで、今回、事務局のほうで事実関係等ということで、補足の情報を入れさせていただいておりますが、法制定時の議論におきましては、「難病患者への医療費助成について広く国民に理解を得る観点から、医療費助成の対象患者は、対象疾患に罹患している患者であって、日常生活又は社会生活に支障がある者とすることが適切」とされておりますので、そうしたことも踏まえつつ、重症度基準の意義について、どのように考えるのかということ。
さらには、現行の重症度基準につきまして、例えば疾病間の重症度基準の選定の公平性とか整合性につきまして、現在、研究班等でも御検討いただいたということではございますけれども、疾病の横断的な基準によって、そういうことが可能なのかどうか。そして、本日のヒアリングでもございましたが、重症度基準の見直しについて、どう考えるのかと書かせていただいております。
続きまして、1ページ飛ばして10ページ目でございます。こちらは、患者の自己負担についてということでございまして、事実関係等ということでございますが、現在の自己負担の上限額につきましては、制度創設当初に他制度との公平性の観点ということを踏まえて、障害者の方の医療制度を考慮しつつ設定されたという経緯がございます。こうした観点等も踏まえて、自己負担の上限額について、どう考えるかということで記載させていただいております。
11ページ目は、データに関する資料ですので、説明は割愛させていただきます。
その後、12ページ目と13ページ目は、ただいまの議論でも出てまいりましたけれども、軽症者の登録について、どう考えるかという論点でございます。
また、13ページ目の2つ目の矢印でございますけれども、患者さんの中には軽症者の方が急に重症化する場合もあろうかと思いますけれども、そうした場合に円滑に医療費助成を受けることができるような方策について、どのように考えるのかということ。
また、小慢の児童の皆さん、保護者の皆さんが医療費に関する支援を適切に利用できるようにするための方策について、どう考えるか。
そして、先ほどの議論の中で御指摘もございましたけれども、文書料の負担のあり方について、どのように考えるかということ。
そして、自治体等の事務負担軽減の観点から、例えばオンライン化ですとか、そういったことについて、どのように考えるのかということで、簡単に論点の整理をさせていただいております。
続きまして、14ページ目以降は医療提供体制についてということでございまして、15ページ目でございますが、現在、難病につきましては、難病診療連携拠点病院とか難病診療分野別拠点病院、難病医療協力病院等がございますけれども、そのあり方について、どのように考えるのか。
さらには、福祉制度等、ほかの施策と連携を進めていくための方策についてということで、お示しさせていただいております。
その後、16ページ目、遺伝子診療体制についてでございますけれども、こちらは現在、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)ということで、研究ベースのものがございますけれども、こうした研究成果をどのように生かしていくかという観点を入れさせていただいております。
続きまして、17ページ、移行期医療支援についてでございますが、現行の各都道府県における移行期医療支援センターの整備状況について、どう考えるかということと。
あと、今後、国が行っていくべき支援について、具体的にどのように考えるのかということを補足的に入れさせていただいております。
19ページ目以降は、調査と研究についてということでございます。
20ページ目、まず研究についてでございますけれども、現在、難治性疾患政策研究事業と実用化研究事業といったものがございますので、こうしたものの役割分担ですとか、実施状況や連携状況について、どのように考えるのかということ。
あと、患者の皆様方が研究成果をわかりやすくするために、効果的に伝えるための具体的な方策について、どのように考えるのかということで入れさせていただいております。
21ページ目、22ページ目は、データベースについてでございますけれども、データベースについては、合同委員会でもかなり多くの論点としてお示ししていただいておりますので、22ページ目のほうで少し分類したような形でお示しさせていただいております。
まず、1つ、データベースの構築についてということでございますが、先ほどからもいろいろ御指摘がございましたとおり、治療研究の推進という目的の観点から、今後、効率的なデータベースの構築に向けた方策をどのように考えるのかという点。
あるいは、患者の皆様の御理解を深めていただいて、データ登録の同意をしていただけるような具体的な方策について、どのように考えるのかということ。
そして、オンライン上で直接登録できるような仕組みの整備等について、どう考えるのか。
そして、軽症者の登録の仕組みが実現したとすれば、データ登録の仕組みを具体的にどう考えていくのかという点があろうかと考えております。
最後に、データベース間の連結・役割分担についてということでございますが、難病と小慢、さらには他の医療保険分野の公的データベースの連結について、どのように考えるかということで入れさせていただいております。
また、難病と小慢のデータベースの連結とかかわってきますけれども、登録項目の共通化について、どのように考えるかという点。
また、データベース間の役割分担等について、どのように考えるのかということで、資料のほうにお示しをさせていただいているところでございます。
事務局からは以上です。
○五十嵐座長 御説明どうもありがとうございました。
では、これから議論に入りたいと思います。事務局がつくっていただきました資料3をもとに議論を深めたいと考えます。資料3は3つの項目からなっておりますので、まずテーマごとというか、全部一緒ではなくて、順番に議論したいと考えております。最初に、医療費助成制度について御意見、御質問等、受けたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
私のほうから、主に小慢について話をさせていただきたいと思うのですけれども、1点目、対象疾病の考え方、それから見直しについてですが、参議院の附帯決議にも、小児慢性特定疾病の要件を満たす疾病は、類縁疾患も含めて、速やかに対象とすべきということがうたわれておるわけですが、皆さん御案内のとおり、子供の病気は希少な疾患も多くございまして、なかなか具体的に声を上げるとか要望するというのが難しいケースも多くございますので、現行、小慢には包括疾病という形で、広く括るようなスキームもございますので、ぜひそういったもので多くの疾病を広くすくい上げるような形にしていただきたいなと思っております。
それから、見直しにおいては、小慢の制度、児童福祉法という法律に基づいている制度でございますので、児童福祉法の基本理念である児童の健全育成、あるいは子どもの権利条約の基本理念である子どもの最善の利益という視点を踏まえた議論を進めていただきたいなと思います。
2点目は、いわゆるトランジションの問題ですけれども、今までの合同委員会の説明でも、小慢の対象疾病の約48%が指定難病にカバーされていると御説明いただきましたけれども、まだ半分にも達していないという現状の中で、小慢の方が20歳の誕生日を迎えると対象から外れてしまうという制約を解決するためには、現状、指定難病に指定していただくというのが一番現実的なところになるわけですけれどもね。
今までの議論の中でも、例えば小児がんのように他の施策がある疾病においても、その施策の中で個別の医療費の補助制度がない場合には、そういったものも含めて、指定難病の要件に合致するのであれば、ぜひともきちんと拾い上げていただきたいと思いますし、それができないということであれば、他の施策との統合、例えば障害者施策との統合といったものを含めた新たな施策というものを考えていく必要があるのかなと思います。
それから、小慢の認定基準についてですけれども、小慢の場合は、まず疾病の状態の程度という基準がありまして、この程度に合致しなければ医療費の助成の制度にならないわけですけれども、疾患群によって病名だけで指定を受けられるものもあれば、かなり細かい程度が決まっているものもありますので、その辺、整理する必要があるのかなと感じますし。
それから、もう一個、重症度基準、小児慢性特定疾病重症患者認定基準というものがありまして、こちらはさらに重症の方について自己負担が軽減されるというわけですけれども、これについても何をもって重症とみなすのかというあたりをきちんと検討すべきかなと考えております。
それから、患者の自己負担についてですが、先ほど他の制度との均衡という話でしたけれども、小慢の場合は恐らく育成医療ということを念頭に決めていただいているのだと思うのですけれども、そうであれば、患者負担割合、現在2割ですけれども、1割にすべきだと思います。育成医療、更生医療、精神通院、いわゆる自立支援医療については、自己負担水準は1割になっておりますので、ぜひともここは2割ではなくて1割にしていただきたいと思います。
最後に、これは先ほど来、多くの構成員の皆様からお話をいただいておりますけれども、申請手続が非常に進まない理由としては、医療意見書が大きなネックになっている。この医療意見書を無償とするか、何らかの補助を設けないと、具体的な申請には結びつかない。
それから、疾患によって、毎年申請する必要があるのか。申請は必要としても、例えば医療意見書を毎年出す必要があるのか。精神通院などは毎年申請しますけれども、意見書は2年に1回でいいといったケースもあるようですし、文書料がかかる意見書の提出の方法を考えるというのも必要なのではないかなと思います。
以上でございます。
○五十嵐座長 いろいろと御指摘をいただきました。ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○羽鳥構成員 基本的に小慢と難病が分けられているというのが、ちょっと問題なのかなと思います。今回のいろいろなことで議論できないかもしれませんが、次の改定があったときには、その辺の一貫性が何とか図られるといいのではないかと思います。難病と言っても、20歳になって急になるとか、あるいは30歳になってなるというよりも、10代とか小児のときにある程度萌芽しているものもたくさんあると思うので、疾患によってつながっているものが多いという認識で捉えていくのがいいのではないかと思うので、制度をできるだけ合わせていくべきではないかと思います。もちろん、小児慢性疾患で特殊なものもあるかと思うので、それはそれで考えていくべきかなと思うので、それを御検討いただきたいというのが1つと。
それから、先ほどから出ている文書料。盛一先生からも、文書料5000円があるためになかなかという御指摘がありましたけれども、ほかの例えば生活保護の意見書、それから介護保険の意見書というのを僕たち、臨床の場では書かされますけれども、それを患者さんに請求するというのはないのです。患者さんが例えば会社を休むとか、何かあったときの診断書料は確かに医療機関でいただくことがあっても、生活保護とか介護保険の意見書はちゃんと補てんされていますので、そういう仕組みをここでつくればいいのではないかと思います。
文書料と13ページに書いてあると、患者さんに何かメリットがあるような書き方になってしまうので、そういうふうに読んだと思いますけれども、単なる意見書ということであれば、お金は国のほうから、県のほうから、行政のほうから取ることも可能なのではないかと思うので、その辺、御検討いただければと思います。
○五十嵐座長 大変貴重な御指摘じゃないかと思います。特に、小慢と難病はそれぞれヒストリーが違っております。それから、ちょっと前まで厚生労働省の中の担当部局も違っておりましたけれども、3年前ですか、難病対策課に一緒になりましたので、そういう意味で、きょうは羽鳥先生、かなり過激な、非常に鋭い御指摘をいただいているのですけれども、小慢と難病を一緒にしたほうがいいのではないかというのは、担当部局は1つになったので十分あり得るかもしれないですね。そういう御意見も今回、私、初めて伺いましたけれども、大変重要な指摘なのではないかと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょう。
では、水澤先生。
○水澤構成員 羽鳥先生の御意見に補足というか、私の実感ですけれども、両極端があると思います。小児期にほとんど決着がついてしまうような、非常に重症で、成人の患者さんが一人もおられないという疾患がかなりあります。それは、指定難病のほうでも、日本に患者さんがおられないものは認定しないということがありましたので、それは認定されていないということがございます。今、座長からお話がありましたけれども、スモンは今、外れていると思いますけれども、スモンに始まって、アダルトの難病というものから始まっていることがあって、指定難病のほうはほとんどがアダルトということになります。
ただ、羽鳥先生がおっしゃったとおり、小児期からずっと持続して成人期に入ってくる方がおられて、私は正確な数字は知りませんけれども、多分48%という話だったと思いますけれども、相当のものが指定難病のほうにも入ってきているというのが現状かなと思います。ちょっとコメントということで。
○五十嵐座長 ありがとうございました。実際、指定難病は今333でしたか、ありますね。そのうち、研究班が200ぐらいあるのですか。100ぐらいですか。
○谷口課長補佐 政策研究班で90少し、AMED研究班で200になります。
○五十嵐座長 合わせて300ですね。その中でも、小児科の先生が班長になっているやつも結構多くなってきていると伺っています。それは、今、水澤先生がおっしゃったように、小児期にある意味終わってしまう病気ではなくて、治療がよくなって、成人にまで移行する方が非常にふえてきているという社会の変化と医療の変化ということで、状況がこの制度をつくったころと随分変わってきているということも恐らくあるのではないかと思います。貴重な御意見だと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
駒村構成員からお願いします。
○駒村構成員 先ほど飛ばされた11ページの資料ですけれども、自己負担上限に関するデータですけれども、左側のほうは既に合同部会とかで出されている資料で、右側が今まで出された資料の中にはなかったデータだという理解でよろしいでしょうか。そして、これを見る限り、障害のほうが低所得。所得階層の分け方が多少違うところもあるようですけれども、低所得者のところを比べればほぼ同じ定義で、障害のほうが低所得者のボリュームが多いということで、この2つの比較で網羅性とか定義がいいのか、ずっと考えていたのですけれども、この2つを比較していいかどうか、ちょっとまたいろいろ考えなければいけないのですけれども、右側のデータは比較のために初めて出されたという理解でいいですか。
○領五課長補佐 今回初めてお示しさせていただいております。
○五十嵐座長 では、森構成員、お先にお願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。森です。
先ほどもちょっとお話が出たのですけれども、医療費助成のところで、日常生活または社会生活に支障がある者とされているところでは、客観的に診断するというところだけでは、これはなかなかはかれていないと思います。
確かに主体的なことですとか、そういったものは判断の基準とかもなかなかありませんし、大変難しいと思うのですけれども、医療費助成というのは社会保障制度のところでもありますので、ここは非常に検討いただきたいところですし、今の軽症の患者さんの現状を見ますと、これは基準が非常に厳し過ぎると思います。こういったところもぜひ考慮していただきたいと思います。この軽症の患者さんが本当に医療費助成を外されてよい状態なのかどうかといったところの検証が必要かと思います。
それと同時に、見直しの議論ですけれども、確かに科学的に客観的なところで、難病とも言えない病気となることというのは、治療も非常にうまくいって、よい状態になると私たちもうれしいことではありますけれども、その患者さんを受け入れるところの施策とか、全く治っていない状況であれば、そういうものも必要だと思いますし、就労すら、まだできない、誤解や偏見があるこの社会の中で、果たして外してしまうことがいいのかどうかというところも十分に考慮して、この見直しということは考えていただきたいと思います。
まだいろいろありますけれども、また分けて意見とかも述べたいと思います。とにかく重症化させないための難病法であってほしいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、井田先生、お願いします。
○井田構成員 シームレスな医療により移行期医療は実現しますが、この
シームレスがなかなかうまくいっていないというのが現実ですので、この点はぜひ御検討いただければと思います。
私の専門の代謝異常症などで、例えば昔はフェニルケトン尿症は指定難病になっていませんで、新生児マススクリーニングでみつかり、特殊ミルクで治療することにより、小児期は良好な状態を保っていたのにもかかわらず、20歳になって、小児慢性特定疾患の助成が中止となると半数の方々は医療機関を受診しなくなり、状態が悪くなるというデータもあります。ですから、支援があるということは非常に大きなことですので、小児期からつながる疾患に関しましては、ぜひシームレスにやっていただかないと、患者さんが不利益を被りますので、ここはよくお考えいただきたいと思います。
それから、先ほどの福島構成員からの類縁疾患を積極的に入れるという要望がありましたが、こうすると研究面・調査面からするとちょっと難しい側面があると思います。研究・調査の正確性・客観性を考えるときっちりとした診断・制度というものが必要じゃないかなと思います。
対象疾患の見直しというのは、治療によって良くなった疾患は指定難病から外すと理解してよろしいのでしょうか。対象疾病の見直しということは、治療法が開発されて、ある程度よくなったものは外すということなのですか。
○領五課長補佐 こちらでの議論につきましては、法律の制定当初の議論としまして、特に指定難病のほうでございますけれども、人口に関する基準もあり、あと客観的診断の基準というのも当然ございますが、そういう中で患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、見直しについて検討することとすると言われております。疾患として、今後、治療方法が確立してくるようなものであって、例えば難病の定義に当たるのかどうかといった点で見直しの必要性が生じてくる場合もあるのではないかということで、合同委員会でも御指摘いただいておりますので、その点について挙げさせていただいております。
○井田構成員 今、森構成員のほうからお話がありましたが、治療によって、いい状況をキープしているので、それを外してしまうと、問題が起こるのではないかと私も心配しています。難病研究により治療法が開発され、患者さんにベネフィットをもたらせることが難病制度の理念だと思います。治療法が確立されたために指定難病から外されると治療の継続が難しくなるという皮肉な結果になることを心配しています。
○南川課長補佐 事務局から補足ですが、5ページの平成25年当時に出されました報告書に基づいて、今、法律上、いろいろな疾病がある中で難病というものの定義があって、その難病というものの中に、さらに指定難病という定義がございます。この中で、医療費助成の対象とする疾患は、年齢によらず、1.患者の人口が0.1%程度である。これは指定難病の定義になっていますし、原因が不明で、効果的な治療方法が未確立である。そして、4の長期にわたる支障の4要素を満たしている。そして、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立している疾患とするという形になっています。
この基準を満たしたものが指定難病という形でこれまで指定されてきている中で、ここに書かれた4要素から外れる場合、プラス客観的基準から外れる場合について、いろいろな疾患の中で難病、そして指定難病規定の中で見直しということがどういう形であり得るのかというというところについて、4ページにありますとおり、法制定時においても、対象疾患等検討委員会とかで定期的に評価して見直すこととされていたり、今年度3月の指定難病検討委員会の取りまとめの中でも、フォローしていく必要があるという形の御意見をいただいておりますので、今回論点に挙げさせていただいているという趣旨でございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○小幡構成員 今の点はとても難しい問題だと思います。治療法がかなり確立してきて、一般的に、世界的にも、難病という、パーセントが非常に少なくて、原因がなかなかわかっていないものという概念に当てはまるかということが、いま一つ明確でなくなったときにどのように考えていくかということだと思うのです。
ただ、既に助成・医療費手当を受けていらっしゃる方に対して、それを切るのはなかなか難しいと思うので、そこはいろいろな考え方をあてはめて、議論していかなければいけないと思うのですが、他方で、本当の意味での難病にも、研究費とか、そういう形できちんと充てたいという要請もあるので、そういうさまざまな要素を考えながら、どういう選択をすべきかということをここで考える必要があると思います。難病については、誰もが、いつなんどき、難病を発症するかもしれないので、公費で手厚く研究とか助成をしていくべきであろうと国民的に認められている制度だと思うので、そこを外れないような形で運用していくことが重要かと思っております。
○五十嵐座長 どうぞ。
○本間構成員 あせび会の本間でございます。
今のお話の関連ですけれども、旧制度の56疾患だけが対象のころは、重症度基準に基づいた判断をされたのは、たしか56のうち十二、三ぐらいしかなかったのです。あとは、全部無制限に、疾患さえ認定されれば助成の対象になったわけです。そういう意味でいけば、新法ができて、全員公平に重症度区分に基づいて認定されたということで、そこから漏れた人が20万人ぐらい出たということです。
ただ、ボーダーラインにいる患者さんはいっぱいいるわけなので、これは疾患に限らず、軽症者登録証の制度をぜひ今度の見直しのときに優先的に導入していただいて、手間の問題があるのですけれども、また重症になったら対象になるとか、そういった形の救済制度なり経過措置といったものをぜひ導入していただきたいなと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○小幡構成員 申し上げるのを失念していて、今のとも関連するのですが、患者さんの利便性の向上というところで、先ほどから事務料というか、診断書料という話がありますが、データ登録するにも必要なのですか。データ登録だけということはあり得ないので、申請をするということであれば、それも患者さん負担というのは余りにも重いと思うので、そこはデータ登録に必要なのだからという仕切りにして公費で賄うというやり方をしないと、データ登録は進まないと思いますので、それはぜひやったほうがよいと思います。
それから、軽症者登録証もぜひ進めていただきたいと思いますが、名称が軽症者登録証というのは、社会的にどのように受け入れられるかわからないので、もう少し考えたほうがよいように思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○水澤構成員 今の登録証ですけれども、先ほど話のあったように全員登録して、重症度が高い方は助成が受けられますよというのが自然だと思います。
○五十嵐座長 そうですね。直さなくてはいけない点が大分明らかになってきたような気がしました。ありがとうございます。
時間も大分押しておりますので、あと2つ、医療提供体制、それから調査及び研究につきましても、それでは御意見をいただきたいと思います。
よろしくお願いします。どうぞ。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
移行期医療支援体制についてですけれども、移行期医療支援が単なる転換支援にならないように留意していただきたいと思うのです。日本小児科学会のほうからも提言が出ておりまして、転換支援にならないようにということであったり、患者にとって最善の医療を提供するにはどうしたらいいかという視点から、この問題を捉えるようにということで出ておりますので、そういったものを踏まえて、この問題を進めていただきたい。そのためには、医療サイドにおける啓発とか環境整備と、それから患者及びその家族の自立支援と、両方が必要だと思います。その両輪を取り組んでいくような形で、ぜひ進めていただきたいなと思います。
以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
どうぞ、森構成員。
○森構成員 ありがとうございます。
医療提供体制ですけれども、今、国のほうでポンチ絵などでも示され、都道府県のほうに通知されて、拠点病院、協力病院という形で進められておりますけれども、難病の専門医という先生方が非常に少ないために、特に地域のほうでは、一つの県ではなかなか難しい診療分野もあります。
ただ、拠点病院、協力病院が構築されたとしても、それが自分自身の当てはまる病院でないと、どうしても遠くの病院まで通わないといけない。通えたらいいのですけれども、通えずに専門的治療を受けられていない患者さんは非常に多くありますので、これは都道府県のほうに通知でお任せするというだけではなく、厚労省のほうももっと積極的にかかわっていただいて、近隣の府県であるとか、もう少し広げた形で、できるだけ患者さんが専門医のところに通えるような働きかけなどもしていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○水澤構成員 今のことにもちょっと関係するのですけれども、現状、どれぐらいの方がそういう医療に、専門医に到達できているのかといったデータが多分、将来必要になると思うのですけれども、拠点病院のほうは大分整備されたのでしょうか。今、どれぐらいまでいったのでしょうか。当初の歩みというのでしょうか、達成度はなかなか遅かったように聞いているのですけれども、もしわかればで結構です。
○南川課長補佐 5月の段階で、拠点病院について全国32都道府県に設置されている状況でございます。
○水澤構成員 32ですか。まだまだですね。
ありがとうございました。
○五十嵐座長 どうぞ。
○井田構成員 これから遺伝子診断が非常に重要になってくると思うのです。研究と医療を統合し、実臨床の場で遺伝子診断が提供できる体制を整備していくことが必要ではないでしょうか。現在多くの遺伝子診断は研究レベルでやっています。しかし、医療は健康保険システムの中でやっていますので、遺伝子診断を健康保険システムの中でどういうふうに位置づけるかというのを検討していただきたいと思います。遺伝子診断はかなり高額なので、難しい問題もあるとは思うのですけれども、遺伝子診断を積極的に健康保険収載していく方向性が必要だと思います。
遺伝子診断でしか診断できないような指定難病もありますので、バックアップをぜひお願いしたいと思います。
○五十嵐座長 今の御意見は、遺伝子診断をやっている先生方からすごく強く出ているところでして、日本では保険収載されている、認められている遺伝子病の数が圧倒的に少ない。それから、費用も大分安いというのが大きな難点だそうです。
その結果かどうかわからないのですが、アメリカにもIRUDと同じような研究事業があるのですが、アメリカは人口が3億2000万人でしたか、日本の2点何倍の状況なのですが、アメリカのIRUD事業に出てくる検体は日本の半分ぐらいなのだそうです。つまり、アメリカでは、IRUDを使わなくても,日常の診療で保険で診断できるということで、そちらを使っているということで、結果的に日本のIRUDのほうはかなりたくさんの検体が集まっていると聞いております。ですから、遺伝子診断の保険収載できる数をもっとふやすことを検討するということが日本の大きな課題ではないかと思います。
どうぞ。
○水澤構成員 今、遺伝子診断とIRUDの話になったので、ちょっと追加しておきたいと思いますけれども、今のようなお話のほかに、遺伝子疾患の数というのはかなり多くあります。今、がんゲノムが非常に有名になっていますけれども、たんぱくをコードする遺伝子の数は2万幾つかだと思いますけれども、そのうちで遺伝性疾患はOMIMのデータベースによると9000弱だと思います。9000まで行っていない段階だと思いますけれども、その中で遺伝子がわかっているのが5000以上あると思います。ですから、わかっていないものがまだかなりあるのですけれども、5000以上はわかっております。
がんゲノムで言われているがん遺伝子というのは、100か200か300というオーダーです。難病、特に遺伝性疾患で残っているのは希少疾患で、難病ゲノムという言葉もあると思いますけれども、そちらのほうがはるかに数的にも重要で、多くのものを含んでいるということが事実としてあります。がんで得たいろいろな知見等を応用しながら、難病のゲノムも強力に進めていく必要があるのではないかと感じておりますので、ぜひこの点はしっかりやっていただきたいというのが私の希望でもあります。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○森構成員 移行期医療支援ですけれども、都道府県における現在の移行期医療支援センターの状況はどうなっているのかというところと。
小児医療のほうから見て、成人期医療のほうへの移行ということを一生懸命見ているわけですけれども、これは非常に今、難しい状況ですので、成人期のほうの医療から見て、小児をどう受け入れていくのかといったところを、さらに国のほうからは働きかけを行っていただきたいと思います。
○五十嵐座長 これも大変重要な御指摘だと思います。小児がん経験者が、小児期にがんになって大人になっている方が今、11万人。それから、成人先天性心疾患の方が50万人いると言われておりますので、大人に移行する病気を小児期に発生した慢性疾患の方は非常にふえてきているという状況ですので、これは単に一つの学会レベルではなかなか対応できることではないので、何とか国の施策として対応することも必要ではないかと、私も強く感じております。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
調査、それから研究については、きょうは余り御意見が出ていないのですけれども、何か特にございますでしょうか。どうぞ。
○山野構成員 聖マリアンナ医科大学の山野です。
この研究調査について、先ほど森構成員から、患者さんが研究の意義というものを余り実感していないという御指摘があったのですけれども、きちっとデータベース化して、しっかり悉皆性を持つような形で経年的に追いかけていくということは、研究として非常に重要なのです。そういうことを実現できていくという仕組みをちゃんとつくっていくという形で、ほかのきょう、議論にあったところとかなり関連しているところがあると思うのですけれどもね。しっかりとデータベース化していくためには、できればオンライン化が望ましいと思いますし、悉皆性が重要というところと。
あと、最初の議論であった重症度の基準を標準化するというのは、疾患群ごとであったとしても非常に重要な取り組みだと思います。そこで難病横断的な解析もできるようなデータベースというものは、世界的にも非常に貴重な人類の財産になるようなデータになると思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいなと思います。
1つは、重症化の基準ですけれども、疾患群ごとで取り組んでいくというのが大前提で、全体で統一的な基準を設けるのが非常に難しいというのはよくわかるのですけれども、一方で、例えばEQ-5D-5Lとか、ああいう非常にシンプルなものを全ての難病で横断的にとっていくという試みも、恐らく10年後、15年後とか、もっと長期的にそういうデータをちゃんと生かしていくという視点からすると、非常に重要な視点なのではないかと考えます。
○五十嵐座長 貴重な意見、ありがとうございました。
どうぞ、矢内構成員。
○矢内構成員 自治体の立場からの意見となりますけれども、このデータベースについては、今お話のあった悉皆性、また最初に羽鳥先生のほうからもお話がありましたけれども、必ず全員が登録するということで、このデータベースの精度が上がっていくと思われますので、オンライン化ということについて、国で早く作業を進めていただければと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうぞ。
○西村構成員 今のデータベースについてですけれども、医学のデータに加えて、社会科学の研究分野のデータベースもオンライン化と同時に収集できるようにと思いますので、学習とか就労支援とか生活支援とか、そういうデータも一緒に記載できるような登録の仕方を考えていただくといいのかなと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○羽鳥構成員 このデータベースのオンライン化に関して、前回の合同委員会の最後のところで、日本医師会の調査で岐阜県と佐賀県と川崎市の3自治体に属している、主に病院の勤務医の半分ぐらいの先生に回答いただいて、オンライン化で何が困難になるだろうかという予測をしていただいていますけれども、一応事業として挙げているので、前向きに検討していただいて、ロードマップを書いていただいて、この年からオンラインで登録できるようにするとか、どこかで国も宣言してほしいなと思います。
登録される先生方にとっても、紙でやっていくのがちょっとしんどくなっているので、まして、毎年、毎年というのは、先ほどもう毎年やらなくてもいいのではないかという話もあったので、それならいいと思いますけれども、前回書いたことを、また次の年に書くというのも非常に苦痛になっているので、オンライン、Web入力に関しては、早く実現していただきたいなと思います。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○福島構成員 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。
データベースについては、冒頭、多くの御意見が出ておりましたけれども、治療研究に結びつく小児期から成人期まで一気通貫したような、役に立つデータベースの構築をぜひお願いしたいと思うのですけれども、我々、この小慢の見直しについて、親の会連絡会という集まりがあるのですが、その中にワーキンググループをつくって真摯に検討してきているのですけれどもね。
その中で、きょう、羽鳥先生のほうからもお話がありましたけれども、患者の登録が進むように、医療費助成の申請とは切り離して、患者・家族の同意のもと、個人情報には細心の注意を払いつつ、医師または医療機関が直接登録を行う仕組みを検討してはどうかという意見が出ておりまして、それは数カ月前に難病対策課のほうにも要望書という形で提出させていただいております。親の会の総意もそのように考えておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
そろそろ時間も来ております。まだまだ御意見があるかと存じますけれども、きょうはこれで終わりにしたいと思います。
次回の日程等につきまして事務局からお願いいたします。
○南川課長補佐 本日は活発な御議論ありがとうございました。
次回の日程ですが、10月7日月曜日、17時から開催いたします。場所などの詳細については、追って構成員の皆様に御連絡させていただきます。
なお、水色のファイルについては、次回も机上配付させていただきますので、お持ち帰りにならないようお願いいたします。
○五十嵐座長 それでは、これで本日の会議は終了したいと思います。
御協力、どうもありがとうございました。