2019年6月13日 第62回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会・第38回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(合同開催) 議事録

日時

令和元年6月13日(木)10:00~13:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)

議事

議事内容
○田中課長補佐 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、第62回「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」と第38回「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同委員会を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
まず、本日の出席状況について報告をさせていただきます。佐藤委員、髙橋委員、竹内委員、井田委員、小幡委員、賀藤委員、福島委員より御欠席の連絡をいただいております。また、羽鳥委員はおくれて参加される旨、承っております。
本日は、参考人といたしまして広島県健康福祉局、海嶋照美健康対策課長、国立保健医療科学院政策技術評価研究部、武村真治上席主任研究官、日本医療研究開発機構戦略推進部難病研究課、木村円調査役、国立成育医療研究センター研究所、盛一享德小児慢性特定疾病情報室長に御出席いただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
以降の議事の進行につきましては、千葉委員長にお願いいたします。千葉委員長、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 まず、いつものとおりですけれども、厚生労働省が取り組んでおられる会議のペーパーレスということで、タブレットを使用し議事を進めてまいりたいと思います。お手元のタブレットの使用方法等について、事務局から説明をお願いします。
○田中課長補佐 前回御欠席の委員もいらっしゃいましたので、本日も再度タブレットの使用に関しまして説明をさせていただきます。まず、タブレットの画面上に資料一覧が表示されております。資料のタイトルをタップしていただきますと、本体資料が表示されます。資料は、2本の指で広げたり縮めたりすることで資料の拡大、縮小が可能となっております。また、ページをめくる際には画面に指を置き、上下に動かしていただければ、1ページずつめくることが可能です。資料全体を閲覧したい場合には、画面左下のマークをタップしていただき、「ファイル/印刷に注釈をつける」をタップしていただくと、画面左側に全ページの画面が小さく表示されますので、そちらで指を左右に動かしていただき閲覧したいページを選択すると、ページを超えて表示することができます。使用に関して御不明な点や機器のふぐあい等がございましたら、会議中でも御遠慮なく挙手をお願いいたします。事務局のほうで個別に御説明に伺わせていただきます。なお、タブレットに関しましては、会議終了後、回収いたしますので、持ち帰らず机の上に置いたままにしていただきますようお願い申し上げます。
専務局からの説明は以上になります。
○千葉委員長 それでは、資料の説明をお願いします。
○田中課長補佐 タブレットのフォルダの中の資料一覧をごらんください。タブレット内の本体資料として、001議事次第、002委員名簿、003参考人名簿、資料1-1から資料1-8、資料2を御用意させていただいております。なお、資料1-8は福島委員からの御提出資料となっており、委員からプレゼンテーションをしていただく内容でございましたが、急遽体調不良により御欠席との御連絡がございましたことから、資料のみお配りをしておりますので、御参照いただければと思います。
また、机上には座席表、参考人資料に加えまして、前回の合同委員会の資料1-1を水色のファイルに入れて机上配付をさせていただいております。御参考に御使用いただければと思います。過不足等ございましたら、挙手をお願いいたします。
事務局からは以上になります。
○千葉委員長 それでは、議事に入りたいと思います。
きょうは2回目ということで、議事が2つあります。1つ目の議事は「関係者からのヒアリング」ということで、本日は患者団体、自治体、研究者・研究機関、それぞれのお立場から難病対策・小児慢性特定疾病対策の現状と課題につきましてプレゼンテーションをしていただきます。2つ目の議事として「前回の議論を踏まえた論点について」ということで、前回の自由討議での各委員会からの御意見について、事務局のほうでペーパーにまとめていただいておりますので、これをもとにさらに議論を深めていきたいと思います。
では、早速議事1の「関係者からのヒアリング」に入ります。本日は、森委員、羽鳥委員、春名委員と4名の参考人、合わせて7名からプレゼンテーションをしていただきます。
進め方としまして、プレゼン者の方から2~3人ずつ10分程度で発表いただいた後に、10分程度の質疑応答を行いたいと思います。非常にタイトな時間配分となりますが、プレゼン者及び委員の方々におかれては、円滑な進行に御協力をお願いします。3時間という長丁場ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
では、初めに日本難病・疾病団体協議会理事の森委員から発表をお願いします。よろしくお願いします。
○森委員 本日は発言の機会を賜りまして、どうもありがとうございます。日本難病・疾病団体協議会、森幸子です。よろしくお願いいたします。
私自身も指定難病の当事者で、35年が経過いたしました。難病は希少とはいえ、大変多くの患者さん、御家族が全国に散在されており、日々さまざまな症状を抱えながら大変な生活を送っておられます。
日本の難病対策の長い歴史の中で、抜本的な改革により難病法、改正児童福祉法が施行され、念願であった総合的支援が実施され、対象となる患者さんも広がり、大変感謝をいたしております。しかしながら、支援が行き届かない方や、必要とする支援が現在の制度には合わず、何の支援もなく苦しんでおられる状況の方も多くおられます。全ての人が希望を持って暮らしていけるよう、私たちが課題とするところをまとめました。難病法、改正児童福祉法、そして法成立時の附帯決議も含めた難病対策が早期に実現され、さらに今回の5年見直しのこの機会が患者家族を救う見直しとなるよう、切に望んでおります。
まず、医療費助成についてですが、ここに9項目挙げました。直接命や生活に影響することですので、私どものところにも大変多くの声が寄せられています。1番、2番ですが、医療費助成の対象となる指定難病は、現在331疾病、間もなく333疾病に拡大される予定で、拡大されることは大変感謝いたしておりますが、しかし、まだまだ多くの疾病が指定難病に認定されずに、不安な状況で苦しんでおられます。同じように大変な状況を抱える難病の患者さんに支援が行き届くことを願っています。
また、診断がつくと、初期の最も大切な治療が始まりますが、医療費助成の制度を知らないまま入院・治療を余儀なくされている方や、高額な治療の選択肢では適切な治療を諦めてしまう方もおられます。診断がついた時点で制度を活用でき、早期発見、早期治療が予後のよい人生となるようにしていただきたいです。
3番ですが、重症度分類が導入されてからは、3年間の経過措置が終了した時点で軽症者と判断され、これまで受けていた医療費助成から外れた患者さんが約15万人もおられることに驚き、大変ショックを受けました。軽症と判断されても、それはこれまでと症状は変わらず、毎日多くの薬を服用し続けているからであり、急激な症状の変化も起こります。制度が変わったからといって、医療費助成がなくなることは経済的にも精神的にも大変つらいことで、それは体にも影響してきます。ぐあいの悪いときは病院にすら行けず、日を改めて少し落ちついてから受診するということも多くあります。医療費助成については、重症度分類からは切り離し、治療を受けていない状況での判断となるよう、継続した治療や定期的な経過観察が必要な患者には、重症化させないためにも医療費助成が必要と考えます。
4番、研究には重症度分類等による精度の高いデータが必要で、十分に患者の症状や日ごろの状態を把握できるものに改善が必要です。
5番、軽症となった方にも支援が必要で、軽症者登録証を発行し、就労や福祉の支援が必要なときに利用できるよう、また、支援機関とつながり続けることができるように求めます。
6番、軽症者と判断されても、また入院が必要となり、申請手続もできず、入院中、大きな負担がのしかかった方がおられます。難病は症状が変化することが特性でもあり、軽症者が医療費助成の対象となった時点にさかのぼって助成を受けることができるよう求めます。
7番、難病は治療法もなく、罹患期間も長く、発症すると医療費を初め、生活に影響する費用は大変多くかかります。十分に働くこともできず、収入が減少し、また、ほかの障害のような割引や所得補償などもなく、特に低所得世帯では大変苦しい生活が強いられます。経済的負担の軽減となる支援が必要です。
8番、指定難病の見直しでは、医学上の判断だけではなく、患者の実態を見てください。
9番、指定難病の申請手続は複雑で、書類も多く大変です。簡素化を求めます。
また、研究では、現在は難病のそれぞれの疾病の全体像をつかむデータがなく、治療開発の研究や難病対策の施策にも全体をつかむことが必要と考えます。
また、データを提供するためにも、申請時に必要な臨床調査個人票の文書料は全て患者負担で、医療機関によって違いはありますが、大変高額です。このことも軽症者のデータが集まりにくい要因の一つかと思います。改善を求めます。
同意書についても患者に理解しやすいものに改善し、相談や問い合わせもしやすくしてください。
医療提供体制では、専門医が少なく、遠く医療機関に通う患者が大変多くいますし、通いたくても通えない方も多いです。個々の疾病に対応できる分野別の医療提供体制が地域格差なく早急に構築されることを望みます。
福祉サービスでは、障害施策にも難病が対象となり、障害者総合支援法などの利用ができるようになっていますが、難病は「その他の心身の機能障害」に含まれているという表記で、対象であることがわかりにくく、周知が十分でないことや、障害者手帳ありきの福祉サービスでは難病の特性に合った支援がありません。困難を抱えても福祉サービスの利用ができない状況です。難病の患者が必要とする支援の検討を行い、新たな支援や障害者基本法の改正などが必要です。
難病相談支援センターにおいては、難病患者の身近なところで心のよりどころとなり、利用される方の満足度が高いものの、知らない方も大変多く、周知が必要です。多岐にわたる相談支援には専門職の充実も必要ですが、ケアサポーターなどの患者当事者の体験を生かした支援、関係機関との連携が重要です。患者のための支援センターであるように、患者さんの視点を生かした運営ができることを望みます。保健所や支援センター、患者会など、それぞれの強みを生かした役割があり、常に連携を密にすることが必要です。
また、難病相談支援センターは、体制も全国さまざまで、地域格差もあります。全国難病センターの設置により全国の支援センターや患者会などが充実し、連携が深まり、難病問題の国民への周知など、社会に理解が広がることを求めます。
難病対策地域協議会は都道府県で保健所ごとに設置されてきているところですが、その地域で暮らす患者・家族の実態をつかみ、当事者の経験が今後の対策に生かされる協議会の実施となるよう、実施回数も十分にとっていただきたいです。
就労支援については、難病への理解はまだまだ薄く、誤解や偏見もあります。難病患者が働くことができると思っておられない方も多いです。障害者法定雇用率の対象とすることや、ハローワークや関係機関での就労支援がさらに充実し、その人に合った働き方ができるよう、また合理的配慮の理解も進むことが必要です。
さらに、就労継続のためには主治医の理解と支援、そして事業者への働きかけや定期的な通院のための通院休暇、病気休暇などの制度化が必要です。
小児慢性の課題については、後日また小児疾病の団体の発言等があるかと思いますが、私どもでもここに挙げましたトランジション問題、医療の移行期支援や教育環境の整備など、早期に実現の必要のある重点課題と考えています。
災害対策については内閣府へのお願いとなると思いますが、難病対策の視点から対策の強化をお願いします。私たちは日ごろ日常生活ができるようにさまざまな工夫をして暮らしていますが、いざ災害が起きると、たちまちその体制は崩れ、命の危険につながることも起こります。医療機器を装着している患者だけでなく、災害が起こると災害弱者となる人が多くおられます。要支援者として登録し、また、医療的、福祉的なケアが行われるよう、避難所の整備を求めます。
以上、現時点で最重要と考えることをまとめました。多岐にわたるそれぞれの疾病による課題、地域での課題がまだまだ多くありますので、今後も個々の患者団体等の意見も聞き、十分に時間をとって協議できるようお願いいたします。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。患者団体ということで、患者さんの立場からお話をいただきました。
次に、広島県健康福祉局健康対策課長の海嶋参考人から発表をお願いいたします。県の難病対策については医療費助成、医療提供体制の整備と多岐にわたっていますので、15分程度で発表いただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。
○海嶋参考人 広島県健康対策課の海嶋でございます。きょうはこのような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、資料1-2をごらんください。広島県の概況について御紹介いたします。スライドを1枚めくっていただきまして、本県は、県内に世界遺産が2カ所、平和公園の原爆ドームと宮島の厳島神社がございます。最近ではウサギの島として有名な大久野島が有名になっておりまして、本当に海外の方がたくさん来られております。
県の総人口は280万。全国で12位です。医療機関数、医師数は全国平均より多い状況ですが、沿岸部と広島市に集中しておりまして、県北と島嶼部は医師数等が不足しております。保健医療圏は7つ。広島西、広島、呉、広島中央、尾三、福山・府中、尾北ということになっております。保健所は県内に7カ所。広島市、呉市、福山市に設置しております。指定都市は広島市、中核市は呉市、福山市となっております。
次のスライドは、広島県の難病対策の概況です。大きく医療費等の助成と地域保健医療福祉の充実・連携とに分けられます。最初に医療費等の助成について御説明いたします。
次のスライドは、指定難病の支給認定承認数です。広島市を除きまして、平成30年度末の状況ですが、県内で1万2155。これは県の承認がございます。
次のスライドは、広島市を含みます指定医・指定医療機関の数です。指定医療機関が4,031、指定医が3,460となっております。
次のスライドは、特定医療費の支給認定の流れです。平成30年4月から指定都市である広島市に権限委譲をされました。広島市在住の方は、市の保健所のほうに提出します。広島市以外の方は、最寄りの県の保健所、呉市、福山市に申請書を提出していただきます。中核市に申請書の受理、記載漏れの確認、申請内容の事務的な確認等を委任しておりますので、身近な窓口で対応できており、患者さんの負担軽減が図られているものと考えております。
次のスライドは、指定難病の審査会の委員の先生方です。県と市は同じ先生方にお願いしておりまして、総会も同じ日に開催しております。18名の先生に今、お願いしている状況です。
次のスライドは、小慢の承認数になります。県内を合わせまして3,611名となっております。
次のスライドは、小慢の指定医療機関と指定医の状況です。指定医療機関は、県内で2,370、指定医が987名ということになっております。
次のスライドは、小慢の支給認定の流れです。広島市、呉市、福山市在住の方はそれぞれの市の保健所のほうに、それ以外の方は最寄りの県の保健所のほうに申請をしていただくこととなっております。
次のスライドは、小慢の審査会の委員の先生方です。どの自治体も委員の先生の確保には苦慮している状況です。ごらんになっていただいて、福山市のところに福山市保健所というのが書いてございますが、福山市の保健所長さん、小児科のドクターということで、なかなか市内に適任がいらっしゃらないということで、市の保健所長にお願いをしているという状況です。
呉市におきましては、3人目が薬局となっておりますが、呉市におきましてもなかなか適任者が見つからないということで、小児の処方箋を多く扱っている薬局の薬剤師の方にお願いしているという状況でございます。
次のスライドは、地域保健医療福祉の充実・連携というところです。難病相談等の支援事業、難病対策センターの設置について御説明いたします。本県の特徴ですが、難病対策センターは広島大学に委託しておりますが、難病と小慢は同じところでやっております。職員を難病に2名、小慢に2名配置しております。小児から成人になった場合の対応と、横の連携、情報共有が割としっかりできているというところがいい点だと考えております。あと、重症、難病患者等の入院確保事業は広大に一部委託し、ピアサポート事業につきましては広難連のほうに委託をしております。
次のスライドは、難病対策センターの取り組み状況です。難病につきましては、相談件数が平成29年度は1,015件、電話による相談が多く、相談内容は症状とか医療費の支給のこととか、難病の支援事業はどんなものがありますかという形の相談内容が多いようです。疾患別ではパーキンソンが、相談者の内訳では御本人から相談があるというのが一番多いようです。
次のスライドは、小児の場合です。小児につきましては650件の相談がございます。メール・ファクスでの相談が多うございます。相談内容はその他のところが一番多いのですが、内容といたしましては、同じ疾患を持つ家族の情報が欲しいとか、子供とのつき合い方、どういうふうにつき合ったらいいのでしょうかとか、近くに家族会はないでしょうかという御相談が多いということです。年齢のところを見ましても、不明・20歳以上というところが18%いらっしゃるという状況です。
次のスライドをお願いします。難病対策センターでは、医療従事者研修、就労支援、地域交流会の支援事業をやっております。
4つ目の在宅人工呼吸器装着者災害時対応システムについて御説明いたします。
次のスライドはシステムの概要ですが、在宅で人工呼吸器をつけていらっしゃる方を難病対策センターのほうに登録していただきます。その情報を中電と消防。今は広島市消防と府中町消防に難病対策センターのほうから情報を提供しております。例えば中電におきましては、停電のときの事前連絡とか、突発的に停電があったときの復旧情報、復旧連絡とかをしているという状況です。救急につきましては、救急搬送がスムーズに行えるようにということで、救急の要請があった場合は、事前にその患者さんの情報が消防局に伝わっておりますので、スムーズに対応していただけるというのを期待しているところです。現在登録者の方は76名という状況です。
次のスライドは、難病患者地域支援事業について御説明いたします。協議会、一時入院事業、医療体制、市町へ難病患者の名簿の情報提供をしております。これは市長のほうから要請があった場合に御提供しているというものです。
次のスライドです。難病対策推進協議会につきましては、難病と小慢を一緒に開催しております。年1回以上ということで、本県における難病対策の推進方法について御検討いただいております。
次のスライドは、在宅難病患者の一時入院事業、レスパイト事業でございますが、本県では平成30年度からやっと実施できたという状況です。昨年度の利用につきましては11件ということになっています。まだ協力いただける病院が県内に2カ所しかございません。西と東に1カ所ずつということで、協力をしていただける病院を今後ふやしていきたい、ふやしていく必要があると考えております。
次のスライドは、新たな難病医療提供体制整備に関する経過等です。右側に広島県を書いております。平成29年度に経過措置の方の更新が終わり、30年度に広島市へ権限委譲いたしました。県といたしましてもやっと難病の政策的なことに取り組める、若干余裕が出てきたというのが本当のところでございます。30年度からレスパイト事業と難病医療ネットワーク事業の要綱を設定し、今年度から難病診療連携拠点病院に広島大学を指定し、分野別(神経・筋疾患)拠点病院と協力病院を指定しております。
次のスライドは、広島県の難病医療ネットワーク事業の実施要綱で、県の要綱と手引にほぼ準じておりますので、内容的にはほぼ一緒となっております。
次のスライドは、私ども県が目指しております新たな難病医療提供体制のイメージ図です。難病診療連携拠点病院、広島大学病院を中心として、分野別拠点病院を設け、二次医療圏ごとに協力病院、あと一般病院・診療所、保健所も入りましてネットワークを構築していきたいと考えております。早期に診断ができ、身近な医療機関で適切な医療が受けられるようなネットワークを早くつくりたいと考えております。
次のスライドは、今年度ネットワークを組みました神経・筋疾患分野のネットワークの病院の名称等です。広大を拠点病院といたしまして、筋疾患分野につきましては、分野別拠点病院が2カ所ございます。大田病院と広島西。県の東と西になっております。それぞれ二次医療圏ごとに協力病院をお願いしております。呉市さんにつきましては、今、調整中となっておりますが、1病院はほぼ決まっておりまして、同意書を待っているという状況でございます。
次のスライドは、本県の大きな課題を3つ挙げさせていただいております。1番、難病医療提供体制を構築すること。神経・筋疾患分野以外の分野別拠点病院、協力病院がまだできておりません。それを整備いたしまして安心して医療を受けることができるネットワークを構築していくことが大きな1点です。
2点目は、各地域の難病対策、地域協議会の設置です。本県では保健所ごとに設置ができておりません。地域の課題を共有して協議していく。難病医療提供体制が整いましたら、それぞれ二次医療圏ごとに協力病院ができますので、そちらの協力病院、関係機関とのネットワークをしっかり組んでいくような形で地域の協議会を設置していきたいと考えております。
3点目が小児慢性特定疾病への対応です。移行期への対応と自立支援事業等の実施について取り組む必要があると考えております。
次のスライドです。難病医療提供体制の構築につきましては、本年度から取り組んでいくこととしております。まず、検討体制のところをごらんください。県の難病対策協議会は既に設置しております。右側の矢印のところにありますように、広島県には地域保健対策協議会がございます。これの説明が※印のところにあるのですが、広大、県、広島市と県医師会、四者で構成されております。保健・医療・福祉に関する事項の調査・研究、協議を行っていただきまして、その調査研究結果をもちまして具体的な提言を行い、行政等の施策に反映することを目的として設立された協議会です。その中に難病専門委員会を今年度設けていただきました。
下の検討スケジュールのところにありますように、今年度実態調査をしたいと考えております。患者動向、どのような医療機関さんがどのような患者さんを診ていらっしゃるかとか、全ての疾患について、県内の実態がつかめていない状況なので、まず今年度実態調査をし、その結果をもとに来年度地対協の専門委員会のほうで分野別拠点病院、協力病院の選定、ここの病院ならという形で御協議いただきまして、最終的には上に戻っていただきまして、県の難病対策協議会で最終的に拠点病院の指定をしていくという形で県内のネットワークを組んでいけたらなと考えております。ただ、全ての疾患についてすぐできるとは考えておりませんので、まずできるところかというところで取り組んでいきたいというのが今、考えているところです。
私からの説明は以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。県ということで、地域の実際の難病に対する医療提供体制等について、広島県の例ということでお話をいただきました。
今、お二人の方からお話をいただいたわけでありますが、ここで一度御意見をいただきたいと思います。特に患者さんの立場でお話をいただいたことと、県の立場で実際にやっておられること、これからやろうとしておられることについてお話をいただいた。この点につきまして御意見等ありましたら、よろしくお願いしたいと思います。先生、どうぞ。
○羽鳥委員 広島の方にお伺いしたいのですけれども、24ページのスライドで難病対策協議会あるいは地対協の難病専門委員会という言葉が出てくるのですが、これは実際どのぐらい機能しているのでしょう。僕も日本医師会に来る前、神奈川でやっていたのですけれども、名前はあるけれども実態がないというのが実情で、年に1回開いたふりをするというのが県の実情だと思うので、実際にどんなことをやっているのか教えていただきたい。
○海嶋参考人 地対協につきましては、難病を設けていただくのは今年度からなのです。15の委員会、例えば精神とかいろんな委員会がありまして、かなり機能していると思っております。ですから、難病の専門委員会につきましてもしっかり機能させていきたいと思っております。委員会につきましては年3回開きます。
○羽鳥委員 内容はどんなことをお話しできるのでしょう。要するに、新たな指定とか実態調査とか、どのようなことを3回でやっているのか。
○海嶋参考人 委員長の先生を広大の丸山教授のほうにお願いしておりますので、委員長と話をしまして、まずアンケート調査を1回目で決める。これでやろうと決めて、実際アンケートをして、2回目にそのアンケートの報告をして、3回目ぐらいでこの病院ならいいのではないだろうかという推薦までいただくことを今年度の目標としております。
○羽鳥委員 わかりました。
○千葉委員長 地対協の中の難病の協議会については、小児慢性とは別にやっておられるのですか。
○海嶋参考人 小児については委員会を設けておりませんので、この難病専門委員会は2カ年の計画ですので、もしこれが順調に2カ年進めば、3点目の課題でありました小児のほうが進んでいないというのも理解しておりますので、次の平成33年ぐらいから小児の専門委員会等を設けていただいて協議できたらなと考えておりますが、スムーズにいけば。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐委員長 森委員から患者さんの立場に立った非常に具体的で、考えなければいけないことを多々御指摘いただきまして、ありがとうございました。2ページ目の4の重症度分類のところの3行目です。確かに疾病によっては県によって軽症の認定率に違いが出ているという実態があるのだと思うのですが、私どものところは重症の患者さんが県外から移り住んでくるようなことも実際起こっております。県によって重症度に差が出てくることはある程度やむを得ないことなのではないかと考えております。ただ、評価の仕方が不均一である可能性がありますので、調査が必要ではないかと考えます。
ありがとうございます。
○千葉委員長 ありがとうございます。
都道府県によって差があるということは前から言われておりまして、調査をするということが必要ではないかという意見が前にも出ていたかと思います。大事なことだと思います。
ほか、いかがでしょうか。鶴田委員。
○鶴田委員 広島県の方にお聞きしたいと思います。難病を担当される方は何名で、担当者はどういう職種の人かということと、本県の場合は疾病対策課長がドクターで、その審査書類を朝早く来て見ていますけれども、事務方として対応する上での課題があれば教えていただきたいと思います。
○海嶋参考人 本県で難病事務を今やっておりますのが、職員が4名で、嘱託職員が4名おります。職種は事務が3名で、保健師が1名です。
事務方がやっている上での課題は、医療的な知識がないのに診断書が読めるのかという御指摘もいただいたのですが、県では一応チェックをかけまして、御不明な点は審査委員の先生に結構聞いておりますので、事務方がやっていて不都合というのは、今のところ感じておりません。ただ、今年度から保健師を1名やっとふやしていただいたのです。今までずっと事務方ばかりがやっていた。やはり保健師が入ると、患者さんからのいろんなお問い合わせとかのアンサーにより丁寧に答えられるようになったなというのは感じております。
○千葉委員長 静岡県のほうは余り事務の関与は少ないのですか。
○鶴田委員 新規申請はドクターが1人いて、そのドクターが見たものを疾病対策課長である小児科のドクターが見るという体制で事務的にはやっています。更新申請の場合には一次審査を事務職と医師が行い、疑義があるときには課長が判断しています。ただ、難病患者さんの数がふえるにつれて、書類審査上の簡略化とかを含めて課題があるというふうに認識しています。それは、検討に当たっての論点素案が出ていますけれども、その中で少し発言させていただきたいと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。西澤先生、お願いします。
○西澤委員 新潟の西澤です。
広島の方にお尋ねしたいのですけれども、移行期医療の窓口として、新潟にはこども病院がないのですが、広島県はいかがでしょうか。
○海嶋参考人 広島にもこども病院はございません。
○西澤委員 こども病院がなくて、コーディネーションをする機関としてどういうふうにお考えでしょうか。
○海嶋参考人 今、広大の小児科の先生のほうに難病対策センターに入っていただいておりまして、その小児科の先生が結構熱心にやっていただいているという状況で、課題にも書いておりますが、その先生のほうからも移行期のことをもう少し県で考えてもらわないとというのは、いつも言われているところです。
○西澤委員 他県のこども病院との連携とか、そういうことまでお考えですか。
○海嶋参考人 まだ考えていないのですが。
○千葉委員長 先ほど言われたように、広島の場合は大学に難病も小児も置いているということですね。
○海嶋参考人 そういうことです。
○千葉委員長 ある意味コミュニケーションはしやすいのかもしれませんけどね。
○海嶋参考人 そうですね。
○千葉委員長 それぞれの県でいろんな事情に応じて違いがあると思うのですが。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
2人の方にそれぞれ1つずつ御質問させていただきたいと思います。その前に、現行制度の政策目標というか、現行制度がつくられた経緯というのは、一体改革で財源確保と同時に指定難病の治療のためにデータを集めていくという部分と、それから福祉的な部分で指定難病の方の経済的な負担軽減を目指していく。それから社会参加を推進していく。こういう3つの目的があったのではないかと思われます。
ただ、一方では、この新しい制度のためには、制度の持続可能性を確保していくということ。難病とか病気の議論、あるいは障害の議論をするときに非常につらい話になるかと思うのですけれども、財政的な持続可能性というのも同時に考えなければいけない。あるいはさまざまな生きづらさを抱えている人、難病以外にもいろいろいらっしゃる中で、これもどう評価するか難しいわけですが、他制度との公平性というものも同時に担保されなければいけない。その負担については、難病の方も含めて、どのくらいつらい経済的な負担をされているのかということを把握した上で、負担軽減についてどこまで見直していくのかということを考えなければいけないだろうと思います。
そういう意味では、指定難病という形で対象が限られているということになっているわけですが、一方で、森委員から出された幾つかの負担軽減についても、その中では明瞭なもの、制度活用の改善。それから、これは私が属する障害者部会の課題なのかもしれませんけれども、障害者の中における位置づけが非常にわかりにくくなっている。もしこの会場に障害者部局の方がいたら、ぜひとも障害者部会のほうでも少し議論しなければいけないことかなと思う一方で、一番最初の「全ての難病」と言われてしまうと、全ての難病に該当する方がどのくらいいて、その方の経済的な負担はどうなっているのか、負担軽減に伴うコストはどのくらいあるのかというのがわからないと、なかなか議論が深まらないと思います。その辺、森委員がどう思われているかということが1つあります。
それから、社会参加を促進するというところで1つの政策目標になっているわけですが、広島のほうは、支援センターにおける就労支援事業の内容というか、充実。このぐらいが標準なのか、もう少し働きながらとか、どういう状態になっているか。企業にどういう働きかけをしているのか、説明をしているのかとか、そういったことについてはもう少し情報をいただきたいなと思います。
2点ございますが、それぞれの委員からお願いできればと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。
森委員のほうに対して、医療費助成も含めてですけれども、これはなかなか難しいと思いますが、指定難病以外の方々がどのぐらいおられて、どのぐらい悩んでおられるのかといったあたりの調査が必要であろうという御指摘だったと思うのです。そこら辺について、実際のデータはなかなか難しいと思いますが、難病の患者会としてどのように考えておられるかも含めて御意見をいただけたらと思います。
○森委員 御意見、どうもありがとうございました。
私たちもさまざまな疾病がございます。ほかの制度であるとか、ほかの疾病、障害と比べながら、難病等の公平性というものはなかなか比べることも難しいと思っております。だから、難病であるからこそ、今の社会の中でまだ誤解や偏見がある、暮らしにくさというところでは、就労にしても、病名を出したら就職ができない。病気を出さないと合理的な配慮もいただけないといったところもありますし、そのあたりで収入が非常に減って、また、発病したことによって経済的負担がふえているというところは、非常に致命的な一つの事例だと思います。
私たちが「全ての難病」と言っているのは、私自身は特定疾患のときから医療費助成の対象となる疾病でしたけれども、そうでない、例えば膠原病の中でも指定難病になっていない疾病も同じようにありましたし、同じような疾患で、同じような治療を受けながら制度が違うということは今もまだまだありますし、指定難病になることではっきりと研究と結びついているというところとか、患者自身の医療や生活、暮らしのほうを見てみますと、私たちの患者団体からすれば、全ての患者さんを支援の対象としてほしいというところが私どもの意見です。
それぞれの疾病により、また地域によりさまざまな意見があるかと思いますし、状態もいろいろですので、1つにはなかなかまとめられないのですけれども、私たちもできるだけ総合的な意見をこの場で発言し、そしてまた個別の意見等に関しましては、ぜひ個別の団体等から意見を吸い上げていただき、反映していただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○千葉委員長 ありがとうございます。これは非常に大きな問題でして、公平性ということですね。もともと50何疾患から300までふやしてきたことに関しては、そういうことで難病の患者さんで助成を受けられていなかった方々にも広げていきましょう、それでもって公平性をできるだけ高めていきましょうというのが趣旨でやってきているわけですが、御承知のように、難病というのは何千もあると言われていて、例えばフランスのオーファネットなど。ヨーロッパでは難病というものの解釈は、どちらかというとレアディジーズということになっておりますが、レアディジーズということも何千もあるということになっています。それに対して、日本では指定を受けているのは331疾患。ことし、またちょっとだけふえるということです。
現実には今、指定難病になっていないけれども、指定難病にすべきだという難病につきましては、手挙げ方式ですが、研究班を設けていただいて、そこで今、お話のあったようなことも含めて検討して、上に上げてきていただく、指定難病にするという要望を出していただく形になっています。でも、それでもまだまだ足りないというところだと思います。ですから、そこら辺を一括して検討するような機会、研究というものがあってもいいのかなと思ったりもするわけです。私、議長ですけれども、私の意見としてそういうこともありかなと思っております。
後の御意見で広島県の海嶋参考人のほうに、就労支援ということですけれども、企業に対する働き方等について、実際にやっておられる具体的な方法についてもう少し詳しく御説明いただきたいというお話でしたが、そこら辺はいかがですか。
○海嶋参考人 ありがとうございます。
スライドの14ページ「難病対策センターの取組」というところで、就労支援が62件、就労相談件数が37件、関係機関との調整等が25件と挙げております。これはセンターが直接というのではなく、相談員さんが定期的にハローワークからセンターに来ていただきまして、その方が対応した数です。センターの職員が就労支援までというのはなかなか難しいので、ハローワークとか労働局とかと連携しながら就労支援に当たっているというのが現実でございます。ただ、ハローワークの方も毎日来ていただけるわけではなく、月に数回という形ですので、県内に難病患者は2万人ほどいらっしゃいますが、そのうちで62件というのはやはり少ないなと思っております。
昨年度開催しました協議会でハローワークの方、労働局の方に来ていただきまして、労働局の取り組みとかこれから連携をとっていきましょうというお話はさせていただきました。取り組みとしてはまだこのぐらいということです。
○千葉委員長 今のこと。どうぞ。
○羽鳥委員 これに関して、例えばがん対策のほうでは、キャンサーサバイバーの方に対して、産業医の先生と会社の方々と診療報酬上の点数がついているので、先生たちも熱心に病院の側からそういう書類に書き込むことができる。そういう制度が完成とは言えなくて、まだ数は少ないのですが、難病のほうも同じような仕組みができるはずだと思います。難病のほうがもっと長い可能性もありますから、そういう仕組みを個々の委員会とか、あるいは厚労のこの委員会のほうから進言していく、意見を出していくのが大事ではないかなと思います。
○千葉委員長 非常に貴重な御意見をいただきました。
ほか、どうぞ。
○鶴田委員 今のことに関連してですけれども、ここに厚生労働省の両立の冊子、ガイドラインがありますけれども、これにもがんのことが書いてありますし、一方、医療現場における看護師さんの確保についても、両立支援、就労支援の仕事を県庁の中で部局が違ってやっているのです。そういう情報の共有化とかを含めて検討しておく必要もあるのかなと思います。
○千葉委員長 私も14ページの御説明のときに難病対策センターの取り組みということですけれども、ここの62件というのは、基本的に指定難病の方を対象にしてやっておられる数ということなのですね。
○海嶋参考人 そうなります。
○千葉委員長 ですから、そこら辺を今の御意見のようにより統合した形でやると、効率も上がる可能性はありますね。ですから、例えばがんと指定難病の就労支援という形で一体化させるという方策も各都道府県においてはあり得るかなというふうにも思うのですけれども。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○嵩委員 御説明いただきありがとうございました。広島県の状況、どのように現場で実施されているかというのがよくわかりました。ありがとうございました。あと、患者会の森委員からの御提案というか、まさに病気になっている方々からの切実な訴えというのを拝聴することができました。ありがとうございました。
その中で、私も前回の委員会でもお話ししましたが、他の制度との公平性の観点から医療費助成制度を見ていく必要があるかなと思いますけれども、森委員に1点御質問です。指定難病の方だけに限られますが、現在の制度で重症度基準があって、そこから漏れる人、軽症の人でも医療費がある程度高額になった人は医療費助成の対象にするという仕組みになっていますが、軽症だけど医療費が高額となっている方に対する医療費助成という仕組みについてどのように評価されているか。ここの基準がちょっと厳し過ぎるとか、医療費の高額な方に対する現在の支援の仕組みについての御感想、印象はどういう点になりますでしょうか。
○千葉委員長 よろしいですか。森委員。
○森委員 ありがとうございます。
今の軽症度の問題が私たちの最大の課題だと思っております。これは単に自分の自己負担がふえるという問題だけではなくて、医療費助成から外れるというところの不安というのは、医療費に関してだけでも負担が青天井になりますので、不安という形が患者さんにとって非常に大きいと思います。そして、外れることによって見放されたといったような感覚がありますし、情報が入ってこないといったところも大きいです。
本当にこれが軽症の患者さんなのか、とても軽症とは思えない患者さんもいらっしゃいますし、軽症で医療費助成が外れたすぐ後に入院をされているというケースも何人か相談を受けたりしましたし、そういったあたりでも、軽症と言いながらも、軽症の度合いが非常に厳しいのではないかということは全体的に思っています。それは経過措置が終わりまして、理由はさまざまであるかと思いますが、15万人近くの方が外れているといったところは非常に大きな問題だと思いますし、医療費助成というものは私たちの生活にとって大きな一つの支援ですので、こちらはぜひ復活させていただきたいと思います。
特定疾患の制度のときには、確かに軽症者ではなく、軽快者という概念はありましたけれども、そのときは、その疾病の特異的な治療を受けている患者さんは全て医療費助成となっていました。もともと難病対策の成立があったときに、患者さんの数も非常に多くなり、150万人程度が対象となるのではないかといった予想も立てられていたときもありました。今は以前の難病法が始まって、経過措置があったときよりもさらに患者の対象疾患数はふえていますが、対象となる人数が減っているといった状況にありますので、私たちは、軽症者という考え方が患者の立場のほうからは随分違いがあるなと思っていますし、とてもじゃないけれども軽症ではない。
それからまた、薬を飲んでいる状態でようやく今の状況、起きていて、それから出掛けることもできという患者さんは非常に多いので、薬の効き方によってもその日その日、その時間によっても全然違いますので、薬が効いていない、飲んでいない状態が本来の患者さんの現状だと捉えています。
研究に至りましては薬の効果というものもはかっていかないといけない。そんな観点からも医療費助成と研究のほうのデータというものは切り分けて考えていただきたいと思っています。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
どの程度の重症の方まで助成をするのかという問題は非常に大きな問題ですが、先ほどからも御意見がありましたように、ほかの制度との絡みとか、さまざまな観点から見ていかないといけないと思います。
一方で、先ほどの就労支援というものについては軽症者の方にも適用できる。むしろよくなっている方の就労支援というのは非常に重要な課題だと思いますので、そちらはあまねくといいますか、そういう観点が必要かなと思いました。
いろいろ御意見もあると思いますが、時間が押していますので、次に行かせていただきたいと思います。次に、国立保健医療科学院政策技術評価研究部上席主任研究官の武村参考人から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○武村参考人 資料1-3をごらんください。こちらは難治性疾患政策研究事業の進捗状況ということでございます。
2スライド目です。国立保健医療科学院というのは、厚生労働省の試験研究機関の一つで、難治性疾患政策研究事業に関して、いわゆるFunding Agencyというものを行っております。平成22年度当時はAMEDができる前でしたので、難治性疾患克服研究事業ということで、基礎から臨床から社会学まで幅広く研究をやっておりました。その当時、それまで25億だった研究費が、当時の厚生労働大臣の意向によって100億に大幅に増額されたということで、そのあたりの研究費の運用について厚労省だけでは難しいということで、既に国立保健医療科学院では平成18年度から別の研究事業でFunding Agencyをやっておりまして、その実績もあったので、こちらで担当させていただくということになりました。
研究課題の評価ですとか進捗管理を実施してきました。その当時は大きく2つの方向性。すなわち研究対象疾患の拡大、医薬品等医療技術の開発という2つの大きな軸で研究をさらに拡大していこうということで進めていきました。
研究対象疾患の拡大というのは、当時は130疾患が対象だったのですが、それ以外の疾患もやろうということで、その当時234の疾患の診断基準を確立して、それの多くが指定難病になっているような状況になっております。
医薬品の技術開発としては、公募の仕組みなどを開発して、医薬品の進捗管理の手法を確立して、幾つかの治験を実施したり、薬事承認を完了したということであります。
平成26年、「健康・医療戦略」ができまして、AMEDができるというところの背景がありまして、難治性疾患克服研究事業が2つに分割されました。1つは難治性疾患実用化研究事業。こちらはAMEDで対応する。こちらは病因・病態の解明、シーズ探索、画期的な診断・治療法の開発などを行う。もう一つが難治性疾患政策研究事業ということで、こちらは診断基準、重症度分類、診療ガイドライン等の作成、改訂及び普及などを行うということが主な目的ということで、国立保健医療科学院では難治性疾患政策研究事業のほうを引き続きFunding Agencyをやることになって、現在に至っております。
3スライド目です。難病法ができる以前は、いわゆる難病対策要綱に基づいて研究を進めてきましたけれども、難病対策要綱は、難病対策の一番として調査研究を推進するということが目的だったので、それ自体が目的ということで、幅広く実施してきましたが、難病法が成立した以降は、難病法は医療費助成制度がメーンの制度になりますので、難病医療費助成制度や難病医療の提供体制を支えるような基盤となる研究成果の産出が目的になってきますので、すなわち、指定難病の選定に資するような診断基準。指定難病患者の公平・適正な認定に資する重症度分類。難病患者への医療の質の向上に資する診療ガイドライン。診療体制の構築、疫学研究、普及啓発等の基盤的な研究。難病の克服に資する革新的な診断・治療法の開発。こちらはAMEDのほうになります。ですので、難治性疾患政策研究事業は、主にマル1からマル4に関する研究を進めていくということで進めております。
一番下に※印がありますけれども、政策研究事業と実用化研究事業の関係としましては、例えば診断基準がないと治験もできませんし、治験を実施して薬事承認をしたら、当然それは診療ガイドラインに反映させなければいけないということで、いわゆる車の両輪という形で研究を進めていって連携していくという体制が今、構築されているところでございます。
4スライド目は、前回資料で出したものをそのまま引用させていただいております。ですので、説明は既にあったと思いますけれども、難治性疾患政策研究事業は約20億、実用化研究事業は80億ということで、当時の100億を2対8、1対4の割合で分割して研究を進めているという状況です。書いてあることは同じです。
5スライド目は、難治性疾患政策研究事業の概要です。大きく分けると、公募型の研究と指定型の研究がございます。公募型の研究は、3つの分野で研究を進めていただいております。1つは疾患別基盤研究分野、2つ目が領域別基盤研究分野、3つ目が横断的政策研究分野ということで、30年度の実績はそういう形になっております。あとは指定型です。領域別の研究課題と研究費も非常に大きくなっているのが実際です。
では、それぞれの分野はどういう分野なのかというのを6スライド目で説明させていただきます。難治性疾患政策研究事業の構成(1)ということで、公募型の研究のうちの1つ目の分野、マル1疾患別基盤研究分野は、客観的な指標に基づく疾患概念の確立していない疾病について、科学的根拠の集積、患者の実態把握を実施して、診断基準・重症度分類の作成、あるいは疾患概念の確立を目的に研究を進めております。
「これまでに研究対象となった疾病」ということで幾つか書いてありますが、これは平成26年から5年間ぐらいやっていますけれども、先天性GPI欠損症につきましては、疾患別基盤研究分野で診断基準を確立して、その後、指定難病になっているということで、指定難病にすることが目的ではないのですけれども、そういうものに資するような研究成果を出していただいております。
マル2が領域別基盤研究分野ということで、こちらは疾患概念が確立されている疾病で、一定の疾病領域内の複数の類縁疾患を網羅して研究を実施するということで、こちらは診断基準・重症度分類・診療ガイドライン等の作成や改訂、新たな検査方法・治療方法の普及状況の予後調査等を行うというのが主な目的になります。
網羅的に行うというのは、基本的に指定難病は診断基準が確立されておりますので、指定難病については領域別の研究分野で対象になりますけれども、一つ一つ研究班を立てると、全部で331研究班を立てなければいけないので、それは少し大変だろうということで、比較的類縁している疾患をまとめて研究を進めていただいております。現在では67課題で全ての指定難病をカバーしているという状況になっております。
これまでに研究対象となった疾病領域としては下に書いてあるとおりで、それぞれまとまった疾患群で研究を進めていただいているという状況です。
7ページ目です。3つ目、横断的政策研究分野というのがありまして、こちらは種々の分野にまたがる疾病群や、疾病によらず難病等の患者を広く対象とした研究ということで、1、2は各疾患、あるいは疾患群を対象にしてきましたが、そういうものを越えたさまざまな課題がございますので、特に患者の療養生活環境整備やQOL向上に資するような成果ということで、これまでの研究課題としては、疫学研究の方法論を開発するとか、福祉サービス利用の効果ですとか、一番下にあります小児期発症慢性疾患を持つ移行期患者、いわゆる移行期医療のガイドラインをつくるということで、これは疾患によらず、疾患群、疾患に共通で使えるようなガイドラインをつくろうという研究課題でございます。
8スライド目は、指定型研究ということで、こちらは行政施策の推進のため、指定なので、研究を実施する人を指定して、課題を解決するための研究を行うということで、そこに示してあるような、かなり行政施策に密着したような研究課題を進めているという状況です。
9スライド目は、難治性疾患政策研究事業。今、幾つか主な目的を示してありましたけれども、診断基準・重症度分類・診療ガイドラインに加えて、患者さんとか国民の皆さんへの普及啓発。診療体制の構築。小児から成人期の移行医療の体制の構築とか、関連学会との連携とか、関連研究との連携とか、そういったことも研究班にしていただいている研究項目になります。
10スライド目は、研究課題として平成26年から政策研究事業が始まっておりまして、推移としてはこういう形になっております。横断が少しふえていますが、一番上の疾患別はふえつつも、最近少し減っていますけれども、これは領域別のほうで指定難病以外の疾患概念が確立されていない疾患も含めて研究を行っているという体制になっておりますので、実際指定難病以外を研究していない、数が減っているというわけではありません。という状況です。全般的に研究課題が多いので、少しまとまって研究を進めていただくような体制になっております。
11スライド目は、これらの研究班に対して、科学院では研究の進捗管理、あるいは研究の評価のために、研究成果の申告書を毎年年末に提出いただいております。年度末に中間評価をやるための資料です。
12スライド目は様式で、各研究課題、疾患に目標を立てていただいて、研究を進めていただく。どこまで進捗したかというのを記載してもらって、これを評価の対象にしております。
13スライド目です。これは各疾患別にそれぞれ書いていただくのですけれども、枠で囲ってありますが、こちらで疾患の現状を把握しております。すなわち、診断基準があるかどうか、重症度分類があるかどうか、学会承認されているかどうか、診断ガイドラインがあるかどうか、そういったところをデータとして集計しておりますので、こちらにつきまして、これまでの難病の研究の成果としてこれから報告させていただきます。
14スライド目は、それぞれ診断基準・重症度分類、診断ガイドラインが策定されている疾患数ということで、全体と指定難病を分けてグラフ化しております。診断基準・重症度分類につきましては、指定難病がほとんどできていますが、指定難病以外でもかなり多くできていまして、全体で8割の難病で策定しています。しかし、一方、一番右のグラフ、診療ガイドラインにつきましては策定が半数程度で、Mindsと言われるEvidence Basedの診療ガイドラインを作成しているというのは、そのうちの37.9%ですので、なかなかエビデンスが少ない中で、現在の科学的な見地から考えられるガイドラインというものを作成していただいているというところでございます。
15スライド目です。こちらは診断基準を策定した年または直近で改訂した年。これは診断基準を策定している疾患の中で、直近でいつ作成されたか、あるいは改訂されたかというのを示すグラフです。8~9割は平成26年以降。グラフの色で言うと、赤茶けた色より左側のところです。一方、ピンクのほうは平成25年より前に策定されていて、もう5年以上たっているということになりますので、そろそろ改訂する必要があるのかなと思っております。こういった状況でございます。いずれにしても、26年度以降の政策研究事業を実施する中で、多くの疾患の診断基準等が改訂、策定されたという状況です。
16スライド目です。関連学会での承認の状況としては、6~8割は学会で承認されております。当然普及のために学会と連携することが必要ですので、こういった成果。逆に言うと、まだ未承認というところもありますけれども、引き続き研究班には学会で承認してもらうようにということで努力をしていただいております。
17スライドです。国際基準との整合性というのをよく問題とされますが、一応、これをとっているのですけれども、ちょっと意外だったのは、大体とれているか、とれていないかと言われれば、ほとんどとれているのですけれども、それよりも多いのが紫色で示している「基準等自体がない」。要するに、国際基準がないという疾患が結構多い。半数以上はそうだということなのです。ですので、基準というのは非常に重要なところなので、我が国で先行して策定して、国際基準に反映していけば、難病の研究開発のイニシアチブを掌握できるのではないかということも考えられます。
18スライド目は、今、策定されている、あるいは学会承認されている疾患数の推移ということです。これは29年度から先ほどの研究成果申告書のデータを集計しておりますので、それをグラフ化したものです。年々ふえているということです。
19スライドです。もう一つ、レジストリが構築されているかどうかというのを聞いておりますけれども、対象疾患の4割ぐらいで構築されている。指定難病のほうが若干多いですが、いずれにしても半数ぐらいしかレジストリが策定されておりませんので、後ほどAMEDのほうが実用化研究事業の話であるかと思いますが、そちらのほうでの難病プラットフォームとかそういったところでレジストリを構築していく必要があるのではないかなと思っております。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。現在の難病研究の実態につきまして、非常にまとまってお話をいただきました。
次に、日本医療研究開発機構戦略推進部難病研究課調査役の木村参考人から発表をお願いします。
○木村参考人 御紹介ありがとうございます。AMED難病研究課から参りました木村と申します。どうぞよろしくお願いします。
資料が少し多いので、重点的に説明をしてまいりたいと思います。次のスライドにきょうお話ししたい内容が書かれています。事業の内容と成果、重点的な取り組みについて、そして患者・市民参画について御紹介させていただいて、軽症患者さんの登録が重要な理由という形で述べさせていただきます。
では、右下に3と書いてあるスライド。AMEDの連携プロジェクトの9番目に当たります難病克服プロジェクトが、先ほど武村先生から御紹介がありました難治性疾患実用化研究事業そのものでございます。
4のスライドです。対象となっておりますものは希少難治性の疾患ということで、希少性、有効な治療法が未確立であり、原因不明、長期にわたる療養が必要だというものが対象となってございます。
5枚目のスライド、図が難治性疾患実用化研究事業の全体像をあらわしております。左側上の矢印が診療の質の向上から、右側の治療薬の薬事承認に向けた幅広い研究を支援しているということを示しておりまして、その下の部分「未診断疾患を起点とした研究」、診断がまだはっきりしないもの。その下「既知の難病を起点とした研究」と大きく分けて説明をしてあります。
その下の部分では、診療に直結するエビデンス創出研究から、独創的な病態解明研究、シーズ探索研究、医薬品医療機器の実用化に関する研究、いわゆる医師主導治験を行う研究まで幅広く支援をしておる。
ピンク色で書かれている部分が未診断疾患イニシアチブと申しまして、なかなか診断ができない患者さんの診断を支援するための研究。そして、そこから見出されたものを実用化に結びつけていくための研究という形で、IRUD、IRUD Beyondというものを設定してございます。
下の緑色のほうには情報集約基盤構築研究を設定しまして、こういった難治性疾患実用化研究事業が再生医療であるとか、遺伝子治療であるとか、臨床ゲノムであるとか、そういったほかの研究事業と協力体制を構築してやっているというのがこの図の説明であります。
6枚目のスライドです。222課題というのは、令和元年6月現在で今年度予定されている課題数です。赤で囲いましたのが、特に病態解明研究、薬事承認を目指すシーズ探索研究、いわゆる治験に行く前の基礎的な研究がどのぐらい支援をされているかということを示したものが121課題でございます。
次からの4枚目のスライドは、それぞれの成果の事例を出しております。最初の部分は病態解明研究。8枚目のスライドはステップ0。9枚目のスライドがステップ2。これは医師主導治験の研究でございます。10枚目のスライドがステップ2で実際に薬事承認に至ったものを紹介してございます。これは時間の関係でスピードアップさせていただきます。
11枚目のスライドは、今まで薬事承認を取得した6シーズについて紹介してございます。
12枚目のスライドです。AMEDの研究事業は全てKPI(Key Performance Indicator)を設定してありまして、2020年度終了に向けて、それぞれ11件以上の薬事承認、国際共同研究、未診断の患者さんの新規遺伝子の発見、そういったものをKPIと設定してございまして、達成状況を示してあります。それぞれ6件、1件、16件という形で順調に進捗しているという形であります。
では、重点的な取り組みについて御説明させていただきます。14枚目のスライドです。未診断疾患イニシアチブというのは、診断がつかずに闇の中をさまようような患者さんがいらっしゃいます。「Diagnostic Odyssey」という言葉で表現されますけれども、そういった患者さん方にできるだけ早く診断をつけるような体制を全国で構築していくというAMEDの一つの基幹プロジェクトでありまして、特に全国規模の診断のための連携体制、次世代シークエンサーを含めた革新的検査の利活用、海外とも共有可能な臨床情報データベースを確立するということを目指してこの3年間やってまいりました。現在2期目に入ってございます。
右下のベン図が3年間の実績ですけれども、約2,700家系の患者さんのエントリーがあり、そのうちの1,027家系の診断に寄与したというものでございます。これは一般の診療ではなかなか診断が難しい患者さんのみがここに参加をされるということになってございますので、その中で約30~40%が診断に寄与したと言っていいと思います。青枠で囲まれました379家系が、今、話題になってございました指定難病の中で遺伝性の疾患に当たるもの。赤枠で囲まれました755家系の部分が、先ほど千葉委員長からも御紹介があったオーファネットに掲載されている疾患に当たるもの。そして、その枠の外に小さく書いてありますけれども、新しい疾患18疾患。いずれも未収載の疾患223家系。これは、すなわちオーファネットにも指定難病にもまだ入っていない疾患が223家系の患者さんで見つかったということを示してございます。
こういった診療体制の構築は、当然ながら研究だけではなく、医療実装に向けていかなければならないということで、現在、2期目の研究班の取り組みとしましては、そういった医療実装を目指して進んでいるという状況でございます。
15枚目のスライドです。IRUD Beyondという形で御説明してありますけれども、IRUDで見つかった成果を、治療、診断技術の開発、それから世界に向けたデータシェアリングという形で、現在5課題、1課題、1課題、それぞれ採択をして、研究が進んでございます。
その次は飛ばしていただきます。
もう一つお話ししておかなければいけないのが17枚目のスライドです。これは、経済産業省で今、進んでおります遺伝子・細胞治療研究開発基盤事業とリンクする形で、厚労省の難治性疾患実用化研究事業でも遺伝子治療のシーズ開発が進んでおるということを示したものでございます。
18枚目のスライド、難病プラットフォームについて御説明します。難病プラットフォームは、先ほど武村先生のお話でありました政策研究班でつくられているレジストリ、患者さんの登録システム。それから難治性疾患実用化研究事業でもレジストリを運用されている研究者の先生がおられます。せっかく集められた患者さんのデータ、情報をきちんと統合された形で管理して、さらにこれをほかの研究にも利用できるような格好で進められていくという体制をとりたいという形で、情報集約基盤構築研究がスタートしてございます。
19枚目のスライドが難病プラットフォームの現状でございます。約60のレジストリを運用する研究班の支援が今、行われているような状況で、特に全体のレジストリのカタログを公開してありますし、それからレジストリの構築支援も2018年6月からスタートして、2019年5月30日現在の情報ですけれども、こういった形で支援が行われているという状況です。また、全ゲノムシークエンスや全エクソームシークエンス、患者さんの遺伝子の解析情報を難病プラットフォームのゲノムデータベースに登録をするという形で、難病の患者さんの研究に役立てていこうという形が進められているというのが19枚目のスライドの御説明です。
患者・市民参画について、21枚目のスライドで簡単に御説明します。AMEDでは患者さん・市民の参画、これを「PPI」という言葉であらわしますが、PPIの取り組みについて、パンフレットをつくってあります。赤枠で囲った左下の部分は、研究者にとっての意義という意味、患者さん・市民にとっての意義ということを説明してあります。特に希少な難病の患者さんを対象とする研究では、患者さん・市民の御理解、参画が必須であります。そういったことを進めるに当たって、特にAMEDとしまして、PPIガイドブックというのが公開されておりまして、これはウエブサイトからダウンロードすることもできるようになっております。
22枚目のスライドは、わかりやすい形でリーフレットを紹介したものでございます。医学研究、臨床試験におけるPPIとは何でしょうかとか、メリットはとか、どういった活動をすればいいのか、活動の注意事項はといった形で説明してございます。
最後の部分、軽症患者さんの登録が重要な理由について。これはAMEDの研究を進めていただいている東大の辻先生、国立精神・神経医療研究センターの中村先生から提供された資料をまとめたものでございます。特に1、2、3、4と書きました下線を引いた部分。患者さんの軽症から重症までの全病気の疾患の理解が重要であって、ここが全ての出発点になるというところ。2番の病態解明、予防や早期治療介入を検討するために、非常に重要であるということ。それから、いわゆる治験・臨床研究の進め方ですけれども、軽症例を対象とした治験・臨床研究が現実として進められている。そういった意味でも軽症患者さんの登録が大切である。こういった治験を実施する企業にとっても、疾患の疫学、つまり、患者さんの数とか地理的な分布などを知ることができて、治験の登録などがスムースに進むという点も重要であります。4番目です。非常に早期診断が困難なケースもございます。例えば多系統萎縮症です。そういった場合には早期診断のエビデンスを構築するための国際的な共同臨床研究が必要であり、そのためにも軽症の患者さんを把握しておく必要があるという形で意見が出されてございます。
次は例を出しておりますが、そこは飛ばします。
最後のまとめのところです。以上、事業の内容、重点的な取り組み、患者・市民参画、軽症患者さんの登録が重要な理由について御説明をしました。AMEDの木村です。
どうもありがとうございました。
○千葉委員長 ありがとうございました。
そしたら、次に国立成育医療研究センター研究所の小児慢性特定疾病情報室長の盛一参考人から発表をお願いいたします。よろしくお願いします。
○盛一参考人 よろしくお願いいたします。国立成育医療研究センターの盛一でございます。
スライド2枚目をお願いいたします。私どもは、先ほど武村先生から御紹介があった指定研究班と呼ばれている小児慢性特定疾病に特化した政策的なことを研究する研究班を中心に活動しております。こちらの研究班は、難病と同じように、小慢に関しましては平成27年度に大きな制度改正が行われたのですが、それに先立ちまして、日本小児科学会を中心として常設の専門の委員会を設置していただいております。こちらのほうは、小児科学会にとどまらず、小児期に発症する疾病に関与する学会の方々、たくさん御参集いただいておりまして、内科系、外科系問わず、広く子供にかかわる専門学会の先生が集まっていただいた専門委員会をずっと続けております。既に6年ぐらいたっています。そちらの専門委員会は、学会としての立場の専門委員会と研究分野からの研究班が両輪で、お互いに小慢の制度をこれからどうしていこうかということについて提言をできるような体制を構築させていただいております。そちらを厚労省だったり、一般的に情報を公開するためのホームページをつくっているのですが、そちらのほうで公開したり、皆様に還元できるような形にさせていただいております。
スライド2番と書いてあるものに移っていただいて、現在の指定研究班は、大きく3つの研究内容について研究をしているということで、小慢のあり方というものを今、検証させていただいております。小児期の病気ですが、「成育医療からみた」と書いてあるのですが、子供特有の事情として、おなかの中にいるときから、出生して、成長して、成人に向かっていくという一連の流れを一続きとして考えるような成育医療という考え方をもとにして、小慢がこれをどういうふうにあるべきかというのを検証しているという形になっております。
現在、小児慢性特定疾病と呼ばれておりますものは、小児期発症の難病という形で考えていただいて結構だと思うのですけれども、彼らの生命予後については、ここ30年ぐらいで大きく改善してきておりますが、一方で、無治療軽快という状態にはなかなか達することが難しい状況でして、疾病とともに成長していく子供たちがたくさんふえてきているという実情があります。
このような背景の中で、子供たちにとってのアウトカム向上を支援する存在であるべきだと考えて、小慢は、子供たちのアウトカム向上の中で一番大事なのは何かと考えたときに、適切な支援のもとで社会参加ができることと考えて、それを実現するために何ができるのかというのを中心に政策研究をさせていただいております。
上のほうにございますICF、国際生活機能分類の概念導入という部分ですけれども、生きること全体の概念化したものというのがICFと呼ばれていまして、子供たちの社会参加という状況を捉えられる概念であると考えていますので、こういった概念を小慢の中に取り込むということをやりながら、子供たちに見合った支援というものを考えていこうというふうにしております。
2番目に書いてあります生活実態調査等ですが、たくさんの疾病を内包しておりますので、多様なニーズを把握するための一つとして調査研究などを行って、そこから彼らが何を求めているのかというのを拾おうという形で考えております。
3つ目にあるのが登録データベースですけれども、登録データベースの特性自身を評価して、さまざまなリミテーションが存在してしまうのですが、こういうリミテーションがある中で、こういう結果が出せますよということを基盤情報として研究者の皆様に提供して、どんどん利活用していっていただくということをやっています。
スライド3番目になります。今回は実際の小慢のデータベースというものを使ってどのような成果が出せそうなのかというのを簡単に御紹介させていただこうと思っています。小慢のデータベースに登録されているデータというのは、医療意見書と呼ばれている、成人でおきます臨個票と同じようなものですが、申請の際にお医者さんの意見書として書かれるものです。こちらのほうは大きく3つの要素からなっておりまして、診断の確からしさを客観的に証明するための項目が記載されていること。もう一つは、申請時に現在こういう状況なのですよということを客観的に示す項目を出して、それで患者さんたちのステータスがわかるという状況になっております。さらに、彼らは今、どういう治療を受けていて、どういう状況で生活しているのかというのを取得しているという形になっております。
スライドの4番目です。こういうデータを使うと実際どういうことがわかるのだろうというところですが、基本的には前向きのコホートな存在になっているのではないかと考えております。どうしても希少疾病で数が少ない病気でございますので、施設単位での調査ではなかなかそういう人たちの実情を把握するのが難しい。疾患患者の人たちが長期的に予後がどう変化しているのかということをまとまって捉えることができるのではないかと考えております。
緑色の背景の部分につきましては、小慢のデータベースの特性になるのですが、実際このデータベースがどういう特徴を持っているのかということを示さないと、研究者の人たちが使いづらいということになってしまいますので、データベースそのものの性質を検証して御報告するということをあわせてやっております。
スライド5番目からは具体的に小慢のデータを使ってどういったことがわかってきたかというのを簡単に御紹介させていただきます。5番目のスライドです。JIA、若年性特発性関節炎と呼ばれている子供特有のリウマチ性疾患です。関節リウマチみたいなイメージのものです。この病気はなかなか治らなくて、放っておくと関節が壊れていって歩けなくなってしまって、常に痛いという非常につらい病気なのですが、この病気に対して、2008年ごろに画期的な新しいお薬として生物学的製剤が日本に導入されました。その前後で患者さんがどういった治療が行われたかというのをここに時系列で並べてあります。2005年から2013年までぱーっと並べていまして、赤い棒のところが生物学的製剤が使われ始めている数、割合を出しています。そうすると、利用率が年々増加していて、2013年の段階では40%ぐらいに達していますというのがわかります。
次のスライドです。このお薬のおかげで臨床症状は非常によくなったと言われているのですけれども、具体的に皆さん、どういう状態になったのかというのが、臨床所見をとっているのでわかってきます。そうすると、関節の炎症を示す症状が全体的に少なくなっているのがわかったというのがこのグラフになります。したがいまして、生物学的製剤を導入することは、患者さんにとってとてもメリットのあることだというのがこれによってわかります。
スライドの7番目です。そういうすばらしい薬が登場したのですが、そうすると、もしかすると治ってくれて、そのままハッピーになれるのではないかということで検討したのがこのスライドです。小慢の申請の件数です。新規申請、新しく発症して小慢を新しく登録する方を灰色の帯で描いています。黄色の人たちは毎年更新なので、毎年申請されている方なのですが、実はこの数がほとんど変わらない。新規発症の人は、はやりとかがあるものではないので、ある一定数が出てしまうのですけれども、もしお薬がとてもよく効いて、小慢なんか要らないよとなってくれたとしたら、この数が減ってくれるのが理想なのですが、実は減らない。そうすると、薬のおかげで生活は楽になってきたはずなのですが、逆に言うと薬がないとしんどい状態に戻ってしまうということで、このお薬というのは、残念ながら無治療軽快の状態をつくることはできなかったのではないかというのがここからわかってきます。
8番目のスライドです。上のほうに19歳のJIAの患者さんと書いてあるのですけれども、小慢の制度の特性上、これは20歳未満までしか使えません。なので、19歳というのは小慢が切れる寸前の方々という感じですが、この方々はどういう治療が行われているのかというのがこれでわかります。実際生物学的製剤は入ってきて、それがいっぱい使われるようになるのですが、ただ、それだけあればいいというわけでもなくて、従来からのお薬、特に副作用の強いステロイドなどの使用量は減ってきているというのはすごいハッピーな状況なのですけれども、薬の量は減らせていないのだと。いっぱいいろんな薬を使いながら今の状態を維持していますよというのがここからわかります。なので、もし小慢が切れてしまったとして、何も支援がないと、彼らはこの状態を金銭的な事情等で諦めざるを得ない状況になるかもしれないというのがこれからわかります。
9番目のスライドです。JIAというのはいろんな病型があるのですが、子供は全身型と呼ばれている発熱とかを出すようなパターンが多いからという形で、子供特有の話もあったのですが、実際そういうのが多いのですけれども、そういうのが多い方というのは、実は年齢が低い方で、成人期を迎えるに当たって、移行期として問題になる方のほとんどが関節型と呼ばれている方が多かったというのが、病型の分類をとるとわかってきたということになります。
おかげさまで、全身型と関節型という形でちょっとタイムラグはあったのですが、現在指定難病に指定していただいているので、19歳の方々もこれから先、もし必要であれば指定難病を使うことができるようになったということで、昔よりは状況が変わってきているかなとは思うのですが、こういった形で各ジェネレーションによって病型が違うのだということもこれでわかってくるような感じです。
10番目のスライドからは、そもそも小慢に登録されているデータベースは、中身に偏りがあると、それは一部の人なのではないのという話になってしまって、研究者の先生方がそれを使って外的妥当性、一般化して話をすることが難しくなってしまう。なので、小慢自身の登録データベースの特性を明確にしなければいけないということで、指定研究班では小慢のデータベースの特性と、より使いやすいデータベースに変えていく必要があるということで検証をしています。
10枚目のスライドは、小慢の申請の特性として単年度ごとの申告になります。個人情報とかがないので、ぶつ切れの年度のデータ、レコードを何とかして1つにつないで経時的に追いかけたいという要望、夢があったのですが、これを研究班の成果として子供特有のキー。そこに書いてある生年月日とか性別とか、こういうものを組み合わせると、実はかなり連続したデータ化ができるのではないかということを検証して、わかったということを報告しています。これらのキーは、27年度改正の段階で医療意見書のほうに埋め込まれているので、そこが正しく記載されていれば、単年度ごとのぶつ切れのデータも、実は長くつないでいく経時的なデータに変えることができるという形で設定させていただいております。
11番目のスライドは、小慢の登録データに地域差がないのかどうかというのを示しているものです。比べたところ、相対的な格差はそんなに少なくて、地域差はそれほどないので、全国データとして使えるよというのをこれで示しています。
最後が小慢の登録データの悉皆性の検証ですけれども、これは非常に難しいところですが、極めて限定された条件においては、すごくよく見積もると、5~6割ぐらいの人たちがもしかすると小慢に登録していただいているかもしれないというのがこの検証でわかってきたということになります。
13番目のスライドは、自立支援が広くうたわれているのですが、その理由ということです。先ほど申し上げたとおり、子供たちというのは疾病を抱えながら成長しなければいけないのだという背景があるということです。
それを踏まえて、14番目のスライド以降、全国調査、彼らがどういう状態なのかというのを把握する調査をやりまして、15番目のスライドでお示ししているのは、多くの疾病を抱えた子供たちというのは、そうでない人たちと比べて心理的負荷が高いというのが数字としてわかりました。16番目のスライドでは、どういう人たちが就職支援を求めているかというところについて比較検討した際に、当たり前と言えば当たり前なのですが、月の通院回数が非常に多い方たちが将来的に就職支援が必要になるような状況に置かれてしまうということを示して、彼らのニーズに合わせたものは何かというのをエビデンスとして提供するということを指定研究班として行っております。
以上になります。
○千葉委員長 ありがとうございます。難病・小児慢性につきまして、研究の面からそれぞれ3名の方に御報告いただきました。
それぞれが非常に丁寧に検討されておられますので、データとしてはたくさんのボリュームがあります。ディスカッションの時間が非常に限定されて申しわけないのですが、御質問、コメントのある方は端的に、時間を少し御考慮いただいてお願いしたいと思います。どうぞ。
○五十嵐委員長 それでは、端的にお願いと質問です。
国立保健医療科学院のほうですが、せっかくできたガイドラインは、ぜひ英文化するということも考えていただくことがこれから必要ではないかと思いますので、御検討していただきたいと思います。将来、ぜひお願いしたいと思います。
日本医療研究開発機構のほうは、IRUDは非常に成果が出ているわけで、3割、4割の人が診断がついたわけですけれども、これは研究費としてやっているわけで、これがずっと続くかどうかは今のところわからないわけですね。そうすると、例えばがん拠点病院みたいな形で臨床応用と研究をコンバインするような形で、AMEDと医療側が将来一緒になってやるような、そういう方向性も将来的には考えなければいけないのでしょうか。その点が質問ですけれども、教えていただきたいと思います。
○千葉委員長 どうぞ。
○木村参考人 御質問ありがとうございました。
我々も臨床と研究をコンバインするような形は圧倒的に必要だと思ってございます。特に遺伝子医療、遺伝子診断が少しずつ実装していく過程というものをそのまま着実に進んでいくことによって、私はそれができるだろうと考えます。そこにはいろんなステークホルダーの方々の御理解が必要だというふうにも考えてございます。
○千葉委員長 どうぞ。
○滝田委員 今の御意見に関連してですが、先ほどの広島での医療提供体制のお話も踏まえて、AMEDの難病疾患実用化事業の研究成果等の結果も踏まえて、私のほうからぜひ御提案したいのは、五十嵐先生もおっしゃっておりましたように、ぜひ全体としてゲノム医療の提供体制についての整備というものを行政で進めていただきたいと思っております。御存じのように、がんは進んでおりまして、全国のがんゲノム中核拠点病院が中心にゲノム医療を進めておりますが、難病基礎疾患においてはまだ研究という枠組みの中でやられておりますので、これを将来的には保険収載も目指した体制を構築していただければと思っております。
○千葉委員長 ほか、いかがですか。西澤委員、お願いします。
○西澤委員 木村先生と武村先生にお尋ねしたいことがあるのですけれども、資料4でお示しになった67の領域別の政策班で全ての指定難病をカバーしているとおっしゃるのですが、病態解明研究が非常に大事だと思うのです。この中で診療に直結するエビデンス創出研究とか、あるいは独創的な病態解明研究としてカバーされているのは、全体の中でどれぐらいの割合になるのでしょうか。これだと全くカバーされていない疾患領域がかなり残るのではないかと想像をするのですけれども、その場合にはそういう疾患の研究はどこでどのように難病研究として扱われることになるのでしょうか。
○千葉委員長 両方から言っていただきましょうか。
○木村参考人 AMEDの研究自体は全て公募で採択をするものでございますので、その領域の先生方から提案されたものがよければ、それは採択をして研究していただくという形になってございます。という形ですので、今、西澤委員から御指摘がありましたように、どうしてもこぼれてくるところは出てくるだろうと思ってございます。AMEDが実用化研究事業であるということと公募の体制であるということから、制度設計上、全てを対応するのは難しいというのがお答えになるだろうと思います。
○千葉委員長 武村先生、何かコメントがありますか。
○武村参考人 先ほど申しました政策研究事業はいわゆる政策の研究事業なので、病態解明とかというのは行わないのですが、ただ、政策研究班は全体の関連研究を取りまとめるというのがありますので、私も研究班会議に多く出席しておりますけれども、政策研究班の中で、こういう研究が必要だとか、病態解明が必要だ、あるいは開発が必要だということが出てきます。そういう場合はぜひAMEDに申請して。先ほど木村先生からありましたように、AMEDは本当に公募なので、頑張っていただくしかないのですが、政策研究班の中で少し練っていただいて、病態解明からさらに医薬品開発につながるような課題を検討してもらえるように進めてはおります。
○千葉委員長 今の話は私も思うところがありまして、昔、調査研究から病態解明、新しい治療法の開発は一体化してやっていたわけです。それが先ほどの話のように、4番目までと5番目の医療開発というところで厚労省とAMEDと分かれたというところで、うまくいっているところは非常にうまくいっているのですけれども、そこで谷間ができて、結局、そこの連関がうまくいっていない疾患等もあるように見受けられますので、そこら辺をいかに埋めるかというのは、厚労省とAMEDとがより緊密にやっていただくということが非常に重要かなと私自身も感じております。
ほか、いかがでしょうか。そしたら、あと2人にお願いしたいと思います。
○岡委員 東京大学の岡です。
今の点に関しては、患者会、家族会の方から自分の子供のかかっている病気の病態解明の部門がなくなってしまったという声を聞きます。ですので、その点についてはぜひ御検討いただきたいという点が1点。
盛一先生が今、小児慢性特定疾患の対象になっている患者さんの生活面も含めた実態調査をしていただいているということで、これは非常に大事だと思います。この会議というのは医療の側面だと思いますけれども、そういう子供たちの生活というのは、医療だけでなくて、教育も非常に深くかかわっていますし、それから福祉、さらには保健もかかわってきている。多様な側面の中で子供たちは生活しているわけで、それを相対的にどういうふうに向上させて、移行期に向けていくかということは非常に課題だと思いますので、引き続き医療の視点だけにとどまらない視点でさらに検討していただけるといいかなと思いました。
○千葉委員長 2つの点を御指摘いただいたと思います。
石川先生、お願いします。
○石川委員 今の岡先生の話にちょっと関係するのですけれども、盛一先生の御発表の中でICFの利用というのがあったと思うのです。細かくは表現されていなかったのですが、疾病や障害と社会参加の関係です。こういったものはきれいにその子の成長にとって伝達できれば、これはトランジションの問題、要するに、難病とか成人になってもつながる問題だと思いますので、非常にいいのではないかと思うのですけれども、ICF自身がまだ十分に普及していないというのが一番の問題だと思います。医療・介護のところでも利用しようとしているのですが、そこのところは厚労省の統計の方たちも含めて頑張っていただきたいと思います。
木村参考人のお話の中で、難病プラットフォームの中でゲノムが出てきましたが、これは最後にデュシェンヌの論文などがありましたけれども、結局、個人情報がすごく問題です。私たちが小慢にかかわっている中で、デュシェンヌが小慢の該当疾病になって、大変喜ばしいと思っているのですが、これは明らかに遺伝の病気で、私なども昔からこの病気について、お母さんが大変苦労しているというのを知っているわけです。ですから、遺伝の病気が明確になる、研究が進むというのはいいことなのですけれども、これは御家族にとっては大変重大な問題なので、この辺のプラットフォームのつくり方はぜひいろいろと厳重にお願いしたいと思っております。
○千葉委員長 お二人の御意見は非常に重要なポイントがあったのですが、申しわけございません。時間が相当押しておりまして、まだまだほかにも御意見がおありだと思いますけれども、次に移らせていただきたいと思います。
公益社団法人日本医師会常任理事の羽鳥委員から御発表をお願いいたします。
○羽鳥委員 臨床調査個人票のデータ登録に関する指定医の意向調査ということで、資料1-6をごらんいただきたいと思います。平成27年に難病法ができて、臨床調査個人票の作成というのは、いわゆる指定医の職務になりました。
スライド2をごらんいただきたいのですけれども、これは最初は手書きであったのですが、そのうちPDF上のタイピングによってOCRの読み取りも可能となったということであります。ほかの疾患の登録は、例えばレセプトとかがん登録の分野でもオンラインが使えるようになっているということもあり、難病対策についても先行システムに倣ってオンライン化を視野に入れたデータ入力の方法のあり方について検討してはどうかということが、この研究事業の中で提案されていったということもあります。
3ページ目にありますように、とりあえず試行的に調査をしてみようということで、日本医師会のほうから、岐阜県、佐賀県、神奈川県川崎市の全ての指定医を対象にして調査をかけました。4,243名の先生に御苦労いただいたのですけれども、実際の登録は病院の先生が4割、診療所の先生が5割ということで、やはり病院の先生はちょっとお忙しいのだなということがわかりますが、調査の対象としては、病院が6割ぐらい、診療所が4割ぐらいという形だったかと思います。調査結果としては、44%回収することができまして、岐阜、佐賀、川崎で大きな差はなかったかと思います。
6ページ目は、直近1年の臨床調査個人票の作成の実績ということで、これらの指定医の先生方は約7割の方がお書きになっているということで、作成実績のある指定医の所属先は病院のほうが多かったということであります。6対4ぐらいということであります。
7ページ目に作成の実績ということであります。疾患について見てみますと、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、クローン病と並んでおりますが、疾患によっては診療所のほうが多く登録される。例えば網膜色素変性症などのように診療所から発出されているものも多いということがわかります。
8ページは作成の時期・場所ということでありますが、診察後が90%、場所としては診察室でやっているということであります。
誰がどうやって作成しているかというのが9ページにあります。記入方法は、手書きが60%、電子媒体を使ってというのが40%ということでありますが、病院のほうで見ると5割を超えているということであります。
10ページ目は、指定医の負担ということであります。直近1年の患者数は全体で「約10人未満」というのが8割、そのうち「3人未満」というのが4割を占めて、一方で、10人以上登録されたというところも2割あります。例えば先ほどの潰瘍性大腸炎とかクローン病などのように幾つかの疾患について集中している病院もありますので、そういうところですと、恐らく20、30書いている場合もあり得るのだろうなと思います。
臨個票1部当たりの作成時間は、「30分未満」が7割であったということであります。
11ページ、指定医の負担ということであります。項目数、基本情報、診断に関する事項、重症度分類、人工呼吸器、その他ということで、大体適正だろうということでありますが、基本情報と診断に関する事項に関しては、重いと思っていらっしゃる方がいます。例えば臨個票1回書いたときには、基本情報が変わっていないところもあるので、変わったところだけ書くような仕組みにすればいいではないかという意見もあります。これはオンラインにすれば容易に可能でありますし、プルダウンのような書き方をすれば、もっと簡単になるだろうなということも想定されます。
12ページ目に全体としての御意見があります。項目数が多いということがちょっと負担になっているようなこともありますし、重複しているような項目もあるので、もう少し精査してほしいということ。それからデータの記載時期を明確にしてほしいとか、幾つか御意見があります。
項目内容の精査のところで「どのような目的で活用されるのかを明確にしてほしい」というのがありましたが、これは診断基準とか重症度については医療費助成の目的もあって、必要な項目であるということは十分に先生方は認識されていますが、これは活用する目的がわかりにくいという意味を指して、どのような目的で活用されるのかを明確にしてほしいという意味であったろうと思います。
更新の簡素化ということでありますが、基本情報などで名前、性別、誕生日などは変わらないわけでありますから、例えば紙でやるのだったら、薄文字で書いておいて、それをなぞればいいぐらいにしておけばいいでしょうし、コンピュータでやるのでしたら、あらかじめ入れておいて、変更がある場合だけ記入するとか、いろいろな方法があると思うので、その辺の工夫をこれからしていただけたらと思います。
13ページ目は、その他の意見の2ということであります。実際にカルテだけでは確認できない項目も幾つかある。出生地、家族歴などは、本人が覚えていないということはないとは思われますが、姓が変わったとか、そういうこともあり得るでしょうし、どうしても知られたくないという方もいらっしゃるかもしれませんので、それに対する配慮は何か工夫が必要かもしれない。
指定難病、小慢のデータベースは、ほかの医療・保健分野の公的データベースを直結する、あるいは連結させるような仕組みも必要であろうという事務局の提案もあったと思いますので、それらについては何らかの御配慮をいただきながら、上手に活用するということも必要だろうと思います。このときに必要になってくるのがいわゆる医療等IDということで、悉皆性のあるデータベースをつくるためには、これから出てくる保険証番号プラス2桁の個人番号が出てくるわけでありますので、これらを上手に活用して重複登録がないように、それから小慢から大人の難病になったときにも連結してデータベースとしてとれるようにするということが大事だろうと思います。
そのほか、利用環境、利用などですけれども、多くの先生が自分のコンピュータを使って入力している。病院によっては診療データベースはクローズでやっているところもありますので、自分のパソコンを使ってやる場合もありますが、その場合にも安全には十分配慮していただきたいということがあるかと思います。安全にすること、データの利活用に関しては患者さんへの説明も必要でありますけれども、指定医の先生は患者さんへの説明をそれほど苦にしているわけではないので、やってくださると思います。ただ、時間がない、説明のために時間がとられてしまうと滞ってしまうということもあるので、この辺の工夫は行政のほうでも何らかの形でやっていただけたらと思います。
その後は大体同じようなことでありますので、ごらんになっていただけたらと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター副統括研究員の春名委員から発表をお願いします。
○春名委員 それでは、難病の就労支援について、ここ数年での進展について御紹介させていただきます。資料については、1、2、4は机上に配付されておりますけれども、3だけは電子ファイルにあります。
1「難病のある人の雇用管理マニュアル」のほうは、一般に企業の方は難病と聞くだけで働けないとか、働かせてはいけないのではないかという先入観も強いですので、企業の方に難病を正しく理解していただくために必要な情報であるとか、具体的な募集・採用とか、就職後の雇用管理に必要な情報をまとめているものです。ハローワークを通じて難病のある人を雇用する企業の方などに配布されております。
このマニュアルの中では、難病の方の治療と仕事の両立のためには、非常に個別性も強いということで、医療機関との連携が重要であるとして、2の赤色の両立支援ガイドラインを示しているところです。こちらの2「仕事と治療の両立支援のためのガイドライン」というのは、難病に限らないことですが、現在の我が国では病気が完治しないと働けないというのではなくて、慢性疾患があっても無理なく活躍できる仕事をうまく選べるようにして、体調管理であるとか、通院もしやすいように職場でも応援していくとか、そういうことによって治療もより効果が上げられるということで、現在はがんの両立支援が先行しておりますけれども、厚生労働省がこういうガイドラインを出しまして、医療機関と職場の間のコミュニケーションを促進して、両立支援プランを一緒に取り組めるということを目指している。これは日本経団連とか日本医師会とも調整しているということで、手続とか、医療と職場の情報のやりとりの様式例なども示されております。難病についても36ページのあたりから留意事項がまとめられております。
机上配付はないのですけれども、電子ファイルの3、参考資料として「企業・医療機関連携マニュアル」というものもありまして、現在、がんとか脳卒中とか肝疾患については、具体的に職場と医療機関の間での情報のやりとりのマニュアルなども作成されています。難病についても、昨年度、どういうポイントでどんな事例を含めたマニュアルにするかという基本方針をまとめて、今年度中に神経難病であるとか膠原病、炎症性腸疾患といった事例を挙げたマニュアル作成を目指しているところであります。
4の青いワークブックは西澤委員のほうの研究班でつくったものでありまして、特に難病のある方の相談支援場面では、一見治療と医療とか生活の相談内容に見えてしまうことが実際は就労問題とかかわっていることが多いのに、難病相談支援センターで慣れない相談支援者だと、医療・生活相談だけで、就労支援につながらないことも多いので、例えば14ページあたりに典型的な相談内容別にどのような具体的な就労支援との連携が必要なのかということも示しまして、ソーシャルワーク的な感覚で個別課題に取り組む中で、関係機関と連携して就労支援に取り組んでもらえるようにしております。ここでは難病相談支援センターが単独で支援をするというのではなくて、医療機関とかハローワークなどの就労支援機関と連携していくものと想定しております。
今後はがんの両立支援に続いて医療機関側の体制を整備していくとか、医療機関とか難病相談支援センターだけで問題を抱え込むのではなくて、もっと就労支援機関とか企業の取り組みと連動していくということが難病対策でも重要と考えます。数年前だと、どこから手をつけていいかよくわからないような状況だったと思いますけれども、現在こういった関係分野の取り組みも踏まえることで、より具体的に難病の医療機関の役割とか支援の可能性なども検討しやすいのではないかと考えます。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございました。
最初のお話は、臨床調査個人票がどのように記載されているという実態と問題点を御指摘いただきました。後のお話は、就労支援についてこういう冊子がありますよということで、実際の活動状況についてお話をいただきました。どちらでも結構ですので、御意見等いただけましたらと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
○石川委員 羽鳥委員のアンケートの結果ですが、同じ会内にいて、こんなすばらしいことをやっているのかと今、気がついたのですけれども。最初に、小慢のほうは、たしかこれはウエブで入力するということ、新しい小慢のところであったと思うのですけれども、それがうまくいかなかったわけですね。うまくいかなかった理由をもう一回反すうしてみたほうがいいと思います。そうでないと、次がうまくできないと思います。
それから、実際は診察室、あるいは電子カルテと外側というのは全然つながっていないのが現状ですので、これは一つ大きな障害があるということです。
それから、私も意見を言ったと思うのですが、これをウエブ上で送るときに、厚労省で出している医療情報通信の安全ガイドラインバージョン5にちゃんとのっとっているかどうかというのが1つです。もう一つはウエブ上で医者が書いたということを証明できるかどうか。この3つが大きな障害になっていて、なかなか簡略化できない。
御発表の中にあったことで一番大事なのは、私たちはデータベースを利活用するように考えてそういうのをやったわけですけれども、データベースを利用するときには必ず同意が必要ですね。この臨個票をつくるときにそれが十分にできているかどうか。そこはまた今後考えなければいけないことかなと。この4点ぐらい思いつきました。
○羽鳥委員 ありがとうございました。
医師であることの担保、書いた人の担保については、HPKIとかそういうのを上手に使いながらいけると思います。
患者さんの同意をしっかりとるということは、全くそのとおりでありますので、厚労省と工夫しながらつくっていきたいと思います。
○千葉委員長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○本田委員 就労支援のことで少しお尋ねしたいのですけれども、職域のほうで産業看護師とか産業保健師とかが企業の立場としてかかわっていることが多いと思うのですが、先生のセンターのほうでそういうキーとなるような看護職とか職域に対して、知識の普及とか、どういうことを期待しているのかとか、また、その人たちの育成とか周知というところで何か特別に御活動されているのかとか、方針があるのかというところを少しお伺いしたいと思います。
○春名委員 現在のところ難病について両立支援の具体的な事例をつくって、それができた段階です。他の病気に関して啓発が進められていますので、それに倣った形でやっていけばいいのではないか。4のワークブックをつくるときに産業保健師の方なども入っていただいていますし、2や3のガイドラインの検討でも産業医の方に入って検討していただいています。時たま産業保健職の方からのニーズに合わせて少しお話をするとか、今のところそういうところですが、本格的にやる必要もあるとは考えております。
○本田委員 ありがとうございます。
○千葉委員長 ほかによろしいですか。
ちょっと時間が押していますので、1つだけ。私自身も認識したのですけれども、これはそれぞれの領域で非常に丹念にきちっと検討されているなという印象を受けました。ただ、それが全体にディスパースといいますか、広報されるということが非常に重要だなと思います。例えば最初の臨床調査個人票につきましては、これが実際にどのようになされているか、どのようにすべきかというのは非常に大きな問題で、これはデータベースの構築になるわけで、それをもとにして研究への資料の提供というわけですけれども、いつも言われていることですが、そこがちゃんと行われていなければ、結局、ちゃんとしたデータベースができないし、研究のほうにもうまく活用されないわけです。そこが非常に重要というところで、きょうのお話は私自身も非常に参考になったのですけれども、これからどうしようかというところで、実際に物になっていくような流れがぜひ必要かなと思いました。
後の春名委員のお話につきましても、就労支援。例えば疾患ごとのガイドラインをつくるというお話がありましたが、これは各研究班ともコミュニケーションをしてつくっていただくのがいいのではないか。例えば潰瘍性大腸炎なら潰瘍性大腸炎の研究班とタイトに連携をとり合っていただくといったことが非常に重要かなと。相互の連携、お互いが知り合うということが非常に重要だと感じた次第であります。
まだいろいろ御意見もあろうと思いますが、本当に時間が押しておりますので。お昼になって電気も消えましたけれども、休憩をとりますと、皆さんがお昼御飯をとる時間が遅くなってしまいますので、このまま次に突入させていただきたいと思います。議題2「前回の議題を踏まえた論点について」ということです。前回の自由討議での委員の皆さんの御意見を踏まえまして、資料2のとおり、事務局においてペーパーに整理をしていただいています。後半の部分は、前回のヒアリングの内容を踏まえながら論点の整理に向けて議論を深めていきたいと思います。
ということで、資料につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。
○大比良課長補佐 それでは、資料2をごらんください。ただいま委員長から御説明がございましたとおり、前回自由討議という形で御意見をいただきました内容を事務局のほうで整理させていただいたものになります。
検討に当たっての論点(素案)。
1につきましては、見直し全体にかかわるような考え方、方向性について整理させていただいております。1丸目、今回の見直しに当たっては、社会保障と税の一体改革の議論である社会保障制度国民会議や関係審議会による制度設計当時の理念、もしくは難病法、改正児童福祉法の成立時に国会で決議された附帯決議の内容を踏まえ、これに沿った形で実態があるかどうかを確認しつつ、必要な見直しの検討を行うこととしてはどうか。
2丸目、難病は多種多様であり、疾病の種類や病状の変化等に応じて、患者が必要とする支援ニーズも異なり変化していくことから、そうした患者さんの多様なニーズに対応していくためにどのような支援や仕組みが必要か、検討することとしてはどうかとなっております。
2以降は個別の施策の論点になります。2、医療費助成です。こちらについては、見直しの考え方・方向性、大きな考え方についてです。現行の医療費助成制度は、社会保障と税の一体改革の議論や審議会の議論を踏まえ、消費税を財源とする法定化された社会保障給付制度として位置づけられ、調査研究を行うためであるとか、経済的負担の軽減を目的とした公平かつ安定的な制度として構築された。今回の見直しに当たっても、こういった法制定時の考え方にのっとって広く国民の理解が得られる公平かつ安定的な制度とするために、どのような見直しが必要か検討すべきではないか。
対象疾病につきましては、事務局の資料から御紹介させていただきましたが、指定難病検討委員会のほうで提言がまとめられておりまして、そこの中で、指定後の研究の進捗状況をフォローしていって、そのフォローを通じて、将来的には研究や医療技術の進展による治療方法の進歩に伴い、指定難病とは言いがたいような状況の変化が生じていると判断される疾病が出てくる。そういったことが想定されますので、そういった疾病に対して取り扱いの方向性について検討を行うこととしてはどうか。
2丸目です。さらに、そういった疾病の取り扱いについて、附帯決議も踏まえつつ、指定難病の見直しを行う場合の手続についても検討を行うこととしてはどうか。
おめくりいただきまして、2ページです。対象患者の認定基準、重症度基準であるとか、病状の程度に関するものでございます。こちらについては、法制定時に「医療費助成の対象患者は、広く国民の理解を得る観点から、対象疾患に罹患している患者であって、日常生活又は社会生活に支障がある者」という考えに基づいて重症度基準が全ての疾患に対して導入されている。そういった経緯も踏まえて、現行の重症度基準について、他制度との均衡であるとか、疾病間で公平性が担保されているかどうか、そういった観点から検討を行うこととしてはどうか。
2丸目です。重症度基準について、事務局資料でもお示ししたとおり、同一の疾患群に属する疾病であっても、共通で用いられている基準を用いている疾病もあれば、疾患特異的な基準を用いている疾病もある。そういった形で少しばらつきが見られるといったところですので、そういった疾患群内で共通の基準を用いている、そういった基準を使用する際の基準についても明確にすることとしてはどうかといった意見がございました。
3丸目につきましては、重症度基準を満たさないということで医療費助成の支給認定から不認定となってしまった方、いわゆる軽症の方について、その実態であるとかニーズを踏まえて、どのような支援が必要か検討を行うこととしてはどうかといった御意見がございました。
次に、患者の自己負担についてです。こちらについては、現行の自己負担水準が他制度との均衡。具体的には障害者の自立支援医療との均衡を考慮して設定されていることを踏まえて、そういった難病患者さんの就労の改善状況ですとか、小慢であれば保護者の方の就労状況、家計全体に占める医療費の負担、そういった患者さんが置かれている状況を踏まえつつ、そういった客観的なデータに基づいて自己負担の額が適正かどうかということを検討してはどうか。
患者の利便性の向上・自治体の事務負担の軽減についてです。1丸目です。患者さんの利便性向上、自治体の事務負担の軽減、そういった目的から、効率的なデータ収集を図るという観点から、医療費助成の申請であるとか、データ登録をオンライン化することとしてはどうか。
2丸目、臨床調査個人票、医療意見書の文書料を無償化あるいは軽減、そういったことを検討すべきではないか。
3丸目、自治体の事務負担の軽減を図る観点から、現行の支給認定事務の実態を把握しつつ、効率化の観点から見直しを行うこととしてはどうか。
4丸目につきましては、今、医療費助成の支給認定を不認定とする際には審査会にかけるというふうになっておりますが、こういった審査会の運営状況について地域差が生じていないか検証することとしてはどうかといった御意見がございました。
3ページ目につきましては、小慢に関してです。小慢児童に関しましては、自治体で実施されている子ども医療費ですとか、当局が所管している小慢の医療費助成、指定難病の医療費助成等々ございますので、こういった制度が年齢を経ることによって利用する制度が変わっていく。そういった中で、自己負担であるとか、制度の谷間に落ちていないかとか、さまざまな困難を抱えていらっしゃるかどうか、その辺について調査を行って、どのような支援が必要か検討することとしてはどうかといった御意見がございました。
3は研究についてです。研究事業については、政策研究と実用化研究事業がございますが、現行の各事業の役割分担が適切かどうかについて、実施状況や連携状況を踏まえつつ、検討することとしてはどうか。
データベースについては、現行の医療費助成が経済的負担を軽減するという福祉的な目的のみならず、データを効率的に収集し、調査研究を推進するという目的であることを踏まえ、データベースの整備をきっちりしていき、データ提供の登録を促進させるための仕組みづくりを検討することとしてはどうか。
2丸目としては、特に軽症者についてデータ登録が進んでいないという現状がございましたので、こういった軽症者のデータ登録を促進される仕組みについて検討することとしてはどうか。
3丸目については、他の行政データベース、NDB等公的データベースが横目で整備されている状況ではございますが、そういった公的データベースと連結、連携していく仕組みについて、個人情報にも配慮しつつ、検討することとしてはどうか。
4丸目です。難病と小慢のデータベースにつきましても、項目に少し相違がございますので、こういった項目の統一化を検討することとしてはどうか。
5丸目につきましては、先ほど政策研究のプレゼンがございましたが、そういった各研究班の中で保有されている患者レジストリのデータについて、研究終了後も継続して活用されるように、保管場所の集約化を図ってはどうか。
悉皆性のデータベースを構築する観点から、難病、小慢のデータベースのみならず、先ほど申し上げた研究班の患者レジストリも含めて、データベースの全体像や役割分担について検討することとしてはどうかといった意見がございました。
4ページについては、データベースの精度を向上させるという意味でも、オンラインで医師が直接登録できる仕組みについて整備していくことが必要ではないかといった御意見です。
最後につきましては、患者会の方から御意見がございましたが、データベースの重要性、有用性をもっと患者さんにわかりやすく説明し、患者さんの理解を得ていくことで、さらに同意の取得率が上がっていくのではないか。ですので、患者さんにデータ提供の同意を求める際の説明方法について、より改善ができないかといったような御意見がございました。
4ポツ目以降につきましては生活支援に関する内容になります。難病相談支援センターにつきましては、地域差があるという御指摘がございまして、うまくいっているところとそうでないところがございますので、うまくいっていないようなところについては、どのような支援、どのようなノウハウを提供していけばうまくいくのかということを検討することとしてはどうかという御意見でした。
2点目につきましては、ピアサポートが重要であり、敷居が低く、患者さんが利用しやすい施設にしていくことが重要ではないか。
3点目につきましては、患者アンケートのほうで専門的な相談を受けてもらえなかったという結果が出ておりますので、就労支援を初めとした専門的機能の向上を図っていくことが必要ではないか。
4丸目です。こういった難病患者さんの多様なニーズに対応していくためには、難病センターのみならず、医療機関、福祉支援機関、就労支援機関との連携を強化していくための方策について検討をすることとしてはどうか。
地域協議会については、地域の課題の解決力をどのように高めていくか、そういう中で地域協議会の活用を促進させていくべきではないか。
5ページ目です。5は福祉支援についてです。サービスが利用者に届いていないといった実態がございますので、そういった実態や要因を把握し、効果的な周知方法について検討することとしてはどうか。
2丸目については、障害者基本法上で難病が「その他の心身の機能の障害」とされていて、「難病」と明記されていない。そういったところで、難病患者さんが利用できるサービスについて、現場で周知が行き届いていないといったことがあるのではないか。ですので、患者様だけではなくて、サービスを提供する側である行政窓口であるとか、支援者側に対しても難病患者さんが福祉サービスを利用できるということについて、周知徹底を図るべきではないかという御意見でした。
6ポツ目は就労支援についてです。1丸目、患者のニーズは多様であるという中で、就労支援に関するニーズというのも一定程度ございますので、こういった中でどのような取り組みが必要か検討することとしてはどうか。
春名先生の御発表でもございましたが、仕事と治療を両立させていくためには、医療機関、難病相談支援センター、就労支援機関の連携による総合的な支援が必要である。そのため、どの機関がどんな役割を担うべきかという役割分担や具体的な取り組みについて検討を行うこととしてはどうか。
軽症者についても、就労支援の対象として把握して、どのように支援していくかということを検討すべきではないか。
4丸目としては、法定雇用率のお話になります。算定対象としている諸外国の例もあることなども踏まえて、難病患者を法定雇用率の算定対象とすることについて、検討が必要ではないか。
最後になりますが、就労支援や社会参加については、個々の患者様がどのように地域で生活していくかという問題ですので、地域に根差した問題ということですので、その地域における議論であるとか取り組みを活性化させていくということが重要ではないかという御意見でした。
6ページ目です。最後に自立支援事業になります。小慢児童が地域で安心して暮らすことができるよう、地域協議会の活用促進と自立支援事業を活性化させていく。そのための具体的な方策について検討することとしてはどうか。
自立支援事業に関しましては、任意事業が十分行われていないという課題がございましたので、そのためにということで、必須事業である相談事業の中で、患者さんや親御さんのニーズを把握して、それをどのように任意事業という形で事業化していくか、こういったところがポイントではないかという御意見がございました。
医療機関の医師、看護師、MSWの立場からの御意見ですが、患者様から御相談を受けても、どこにつないだり、どこに紹介したらいいかわからないという御意見がございましたので、そのためには、こうした紹介をする側、支援者側のほうに制度や仕組みを理解するための研修であるとか、そういった取り組みなどが重要なのではないか。
4丸目になりますが、学習支援という点では、地域によって取り組みにばらつきがあるので、均てん化を図ることとしてはどうか。
自立支援員に関しましては、配置の状況であるとか担当業務、成果といったものが各自治体で異なっておりますので、そういった実態を踏まえて、どのような支援が必要であるか検討していく。自立支援員については未配置の自治体もございましたので、配置していくことを国として要請していくことが必要ではないかという御意見がございました。
最後に、他制度との連携ということで、障害児であるとか医療的ケア児との連携を図っていき、児童やその保護者が利用しやすいサービスの提供方法を検討することとしてはどうかといった御意見がございました。
基本的には御発言いただきました御意見を全てまとめさせていただいておるところですが、前回の資料のほうで御紹介させていただきました柱の中に医療提供体制のほうがあったわけですけれども、こちらについては、前回先生方から特に御発言がなかったところですので、柱としては載っていないところですが、医療提供体制につきましても、こういった観点が重要ではないかといった御意見がございましたら頂戴できればと思います。
説明につきましては以上となります。
○千葉委員長 ありがとうございました。
それでは、残された時間に前回の討議のまとめをもとにしまして、今回のヒアリングの内容も踏まえて議論をしていただきたいと思います。最初の全体のことにつきましては、御意見がおありの方は言っていただいたらいいのですが、これはこれでよろしいのではないかと思いますので、2番目「医療費助成制度について」と3番目「調査及び研究について」というところを最初に御意見をいただきたいと思います。五十嵐先生、どうぞ。
○五十嵐委員長 先ほど千葉委員長からもお話があったと思うのですけれども、臨個票の信頼性とか有用性について調査を行うべきであるというふうに前回あるいは前々回御意見が出たのですが、厚労省として何か調査等はされているのでしょうか。その点を教えていただきたいと思います。
○田中課長補佐 御意見ありがとうございます。
前々回、その前ですが、こちらの合同委員会のほうで課題を整理させていただいたことを踏まえ、現在研究班にて調査を行っているところでございます。結果がまとまり次第、御報告をさせていただきたいと思っております。
○千葉委員長 それと、先ほどの羽鳥先生の結果を合わせて御検討いただけたらと思います。
どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上です。
大比良さんから、医療提供体制の関係も含めてトランジション問題、移行期についての説明がありました。3ページ目の頭のところがそれに当たるのだと思います。小児期と成人期の間の移行期には、スムーズに診療体制が受け継げない「はざま」が存在します。診療体制だけでなく、就学、医療費、就労、就労ができない人は在宅の診療など、解決されていない問題がたくさんあります。今後、移行期における問題は解決しなければいけないということを書き加えてほしいと思います。
○千葉委員長 移行期の問題について、先ほどの医療提供体制のことも含めて検討すべきであるという御意見だったと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○小国委員 鎌倉女子大学の小国です。
今、飛ばされてしまった全体についてというところに入れたほうがいいのかなと思うところについて、意見を述べさせていただきたいと思います。前回の委員会で複数の委員の方から地域における取り組みが重要であるという趣旨の御指摘がありましたが、難病患者様の社会生活に関する支援のあり方を議論するに当たっては、難病にかかっていても地域で尊厳を持って生きていられる、共生生活を実現するという観点がとても重要なポイントだと思います。この考え方は法制定時の本委員会でも述べられておりますし、難病法においても基本理念の中に掲げております。ですので、今回の見直しに当たっても、このような法制定時の理念にのっとって検討を行っていくことを明確に「全体について」のところに入れてはどうかと思います。こうした地域共生に関する記載ということで追加していただけるといいのではないかという意見でございます。
さらに、個別の施策とか、具体的には難病相談支援センターや地域協議会の役割、就労支援や福祉サービスのあるべき姿などについても、地域共生の観点から検討していただくということがこれから重要なのではないかと考えます。
○千葉委員長 患者さんの尊厳ということも含めて、地域での活動というのは極めて重要であるということで、そこを全体の話として入れてはどうかという御指摘ですね。
○小国委員 はい。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。順番によろしくお願いします。
○鶴田委員 2ページの自治体の事務負担の軽減について、意見を述べたいと思います。何回か前に各都道府県の担当者の意見を聞いてくださいということを発言したのですが、それを踏まえて、幾つかの県から勉強会をされたということでありますので、そこは感謝申し上げたいと思います。
先ほど広島県の発言でもありましたように、都道府県間には当然のことながら格差があって、先ほど保健婦さんがいればサービスの質が変わるというような話もありました。一方、私も入っているのですが、全国知事会では「健康立国宣言」をやって、各都道府県の担当者を呼んで、持続可能な社会保障体制の整備について好事例を集めて、それを横展開しようという動きがあります。この分野においては、担当者も3年か5年でかわるし、この報告書の中にもマニュアルとか含めて書いてありますけれども、そういう各都道府県での好事例、もしくはいい取り組み、もしくは担当者が業務をする上でのノウハウとか、そういうものをつくっていただけると、患者さんにとってもサービスの向上につながるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○千葉委員長 非常に有用な御指摘だと思います。好事例を各都道府県が供用するというか、それは非常に効率的ですね。ぜひそういう方向性を考えていただきたいと思います。
西澤先生、どうぞ。
○西澤委員 医療提供体制について一言申し上げます。診療分野別の拠点病院という指定をするようにというイメージ図が描かれていますが、先ほどの広島県のお話では神経・筋として2つ施設が選定をされたというお話がありましたけれども、先日の資料ですと、全体の拠点病院を指定した県の中で分野別の病院を指定したところは半分だったと思うのです。これは平成12年からだと思いますけれども、重症難病の患者さんのための入院施設確保事業を引き継いできたものですので、分野別の指定も合わせて各自治体できちんと進めていただけるように、そういう働きかけが必要なのではないかと思います。
○千葉委員長 分野別の指定病院というものについて、できるだけ推進できるようにすべきであるという御意見だったと思います。
ほか。どうぞ。
○矢内委員 まず、認定基準についてですけれども、現在保険収載されていない検査項目が認定基準になっている等の疑義を時々いただいております。ぜひ審査会の先生等からのそういった御意見を都道府県が寄せていくような窓口を難病情報センター等に設置していただくような仕組みについても御検討いただきたいと思います。
また、診断基準の見直し等について、きょう参考人の方からお話を伺いましたが、そういった診断基準の見直し等が患者さんあるいは臨床の先生方によくわかるような仕組みになるように、オープンな形でわかりやすく説明ができるように、何か仕組みを講じていただければと考えております。
もう一点、先ほど委員からもお話のあった都道府県の事務負担のお話です。本日広島県から非常に貴重な御意見を伺いましたけれども、厚生労働省のほうで実際に担当している職員の意見も聞いていただいていると思いますので、実際に担当している職員の意見等も生かせるような形でぜひ見直しを進めていただければと思います。
以上です。
○千葉委員長 3つの御指摘。保険収載になっていない診断基準等に必要な検査について、そこを中央にといいますか、進言できるようなシステムをつくってほしいということと、診断基準・重症度分類が変わったときに、それが広くディスパースされる方策ということ。これは難病情報センターのところに出てくるとは思うのですが、そこが変わりましたとか、そういうことはちょっとわからないですね。その辺の工夫も必要かなということ。それから、事務負担について、各地域で実際にやっておられる方々からも意見を集約してもらうシステムが必要であるという御意見だったと思います。
ほか、いかがですか。羽鳥委員、森委員、お願いします。
○羽鳥委員 5ページ目の就労支援ということでありますが、先ほども言いましたけれども、がん対策は非常に厚いのです。産業医と主治医の先生と一緒に文書をつくると1,000点、1万円という金額がつくような仕組みがあるのですが、難病のほうには。多分数からいっても難病は多いと思うので、ぜひ就労支援につながるような仕組みを診療報酬上も検討できるようにしてほしい。つまり、お医者さんが何をきっかけにちゃんと動くかといったら、診療報酬も一つ大きい話ですので、ここでちゃんと加点できないと病院の先生もなかなか動いてくれないと思うので、それをぜひ検討していただきたいなと思います。
もう一つ、先ほど五十嵐先生がおっしゃっていたように、これも診療報酬と関係があるのですけれども、申請するのに保険病名がつかないから、ほかの検査も全部自費になってしまうと。それでは余りだと思うので、審査するときに必要な項目は一生に一度とか1年に一度とか、そういう条件をつけてもいいですから、保険請求してもいいとかそういう仕組みをこういうところから上げていかないと出てこないと思うので、それをぜひ検討してほしい。
3つ目です。AMEDさんの事業は非常に感銘を受けるものでありますけれども、どうしても薬につながらなければ事業として落ちてしまうとか、そういうこともあるので、もっとも、昔みたいに全ての疾患を拾えるような仕組みも厚生労働省は残しておかないといけないのではないかなと思います。
以上です。
○千葉委員長 3つの御指摘がありましたが、最後の点は先ほどおっしゃったことをもう一回強調されたのだと思いますが、病態解明につきましては、遺伝子は進んでいるのですけれども、難病の半分は自己免疫というか、自己免疫か遺伝子かという時代になってきていると思うのです。遺伝子は進んでいるのだけれども、一方の自己免疫的なところの研究はなかなか援助が受けられていない、あるいは制度がないというあたりは、病態解明というところでちゃんとやらないといけないなと感じているところです。追加です。
ほか、いかがですか。森委員、よろしくお願いします。
○森委員 ありがとうございます。JPAの森です。
2ページ、重症度基準のところです。私どものところでも非常に多くの団体から声が上がっているのが、例えば多くの重症度分類の基準の中でバーセルインデックスというのがありますが、神経難病でよくある感覚障害、そういった度合いがこれでは図れないという声が非常に強く寄せられています。これは生活の困難、最も苦労しているところでして、その症状が把握できないというものは困ると思いますので、ぜひ御自身の症状が把握できるものにしていただきたいというのが1つです。
同じく2ページです。患者の自己負担がありますが、その検討に当たりましては、働くことができない患者であるとか、働いても十分な収入が得られない患者も非常に多いです。世帯全体の収入というのは一つあるとは思いますけれども、ぜひ患者自身の収入というものも考慮して、それを基準として考えていただきたいと思います。幾ら家族のほうに収入があったとしても、患者本人の収入がないと、肩身の狭い思いをしながら、自分自身の生活というものも幅が広がらずに、我慢しながらの生活になってしまって、治療費だけで家族に迷惑をかけているといった思いでずっと暮らしている患者さんも非常に多いです。
また、医療費の窓口負担だけではなくて、発症したことによっては非常に多くの必要な費用がかかりますし、収入も減っているというようなところのトータルで難病という観点から考えていただきたいと思います。
最後にもう一つ、研究の面ですが、患者や市民の参画から見ますと、自分自身の研究がどんなふうにどこで行われているのかというところが、ウエブサイトなどで探してもなかなか見つかりにくい。探していくと、いきなり英語のページが出てくるというところで、諦めてしまう方も非常に多いです。関心があって、自分自身の病気がどんなふうに研究されているのか、自分たちで何かできることはないのかという患者さんも多いと思いますので、ぜひ患者にわかる案内をいただきたいと思います。
PPIのガイドブックですが、研究者向けに書かれましたが、非常に丁寧にわかりやすくつくっていただいていますので、患者のほうから見てもとても参考になるかと思います。ただ、研究のほうに患者・市民がいきなり入って、では、一緒に研究しましょうと言っても、それはなかなか無理な状況だと思いますので、参画がうまくいくような研修であるとか説明会であるとか、そういったところが丁寧に何か支援できるものがあるといいなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○千葉委員長 3つの御指摘をいただきました。調査票について、患者のQOLがわかるような記載方法ということと、患者さん個人の収入ということを考慮してほしいということと、それから研究の状況について、患者さんにわかるようなシステムを構築してほしいということ。3つの御指摘だったと思います。
いろいろ御意見あると思いますが、時間がないので、次に移らせていただいて、4番、5番、6番、療養生活の環境整備、福祉支援、就労支援につきまして御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どこからでも結構です。どうぞ。
○矢内委員 療養環境のところになると思うのですけれども、重症難病患者さんの療養支援についての視点が全体を通してないように思います。例えば在宅人工呼吸器使用患者さんの生活実態について、現在複数回訪問看護の報告書を国のほうに上げていて、それに基づいた分析がされていると思いますけれども、それだけでは把握できない実態もあると思いますので、ぜひ重症難病患者さんの療養支援についても視点を入れて検討を進めていただければと考えています。
○千葉委員長 ありがとうございます。重症患者さんの療養支援ということです。
ほか、いかがでしょうか。何かございますでしょうか。どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
今の御意見にも重なるところがあるかと思うのですが、難病法自体の中では、例えば福祉支援の具体的なところが出てこないわけで、障害者への施策など、ほかの施策を関連づけて、そこで難病を見ていくといったところですけれども、今の障害者手帳ありきの制度、障害者施策のほうでは、具体的な支援としてはそちらのほうがずっと多くて、手帳ありますかと言われて、そこで諦めてしまわないといけないような状況もありますし、また、障害者のほうの施策は、日動変化をするような難病患者には合わない点がとても多いので、もう少しきめ細かな、障害者総合支援法のほうも難病に関してはマニュアルなどもつくっていただき、きめ細かくできていますけれども、そういった観点をもっとつけていくという観点から、難病法の中にも障害者のほうで足らない部分はぜひ福祉支援として新たな制度が設けられるべきかなと思いますので、御検討いただきたいと思います。
○千葉委員長 きめ細やかな制度をお願いしたいということでありました。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○本田委員 それに関連してですが、難病相談支援センターや医療機関、福祉機関、いろいろな機関が関連するところで制度を誰が中心になってやっていくかということで、難病コーディネーターの話はあったと思いますし、就労のほうではサポーターさんも配置されるようになっていると思うのですけれども、もう少し総合的に見られるような役割の人の配置とか人材の育成という視点も、これから先、総合的に見ていくときには必要なのではないかなと思います。
○千葉委員長 お互いの連携ということですね。効率よくというか、そういう視点ですけれども。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○安達委員 今のことに関連いたしますが、先日自立支援員の方とお話しする機会がありました。この方がキーパーソンになっており、さまざまな相談等、例えば学びの場や医療機関等の紹介であったり、関係機関につなげるような役割を担っておりました。ですので、難病につきましても、キーパーソンは誰か、さまざまな総合的な支援、連携の強化、支援する仕組みづくり等、誰がそれを采配、コーディネートしていくのか、そこのところがまだ見えていない。せっかく各機関、それぞれいいことをやっているわけです。そこをジョイントする部分がちょっと弱いのかなという気がいたしました。感想です。
以上です。
○千葉委員長 同じような御意見だと思いますね。医師の感覚で言うと、誰が主治医だといった話になろうかと思いますが。
よろしいですか。
そしたら、今、自立支援の話が出ましたので、7番目の自立支援事業についてというところで御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
○岡委員 ただいまの本田委員のお話にも関係するのですが、自立支援員を行政が配置して、もちろん1人でできるわけでなくて、今、安達委員もおっしゃったように、その方がコーディネーターになって、誰がやるかということですけれども、今、自立支援員の方の話を聞いていると、民間あるいはNPOとか、そういった団体が実際の支援につなげているという状況があるので、「自立支援事業について」というところでどういうふうに民間を活用していくのかということを書き入れておいていただけるといいかなと思います。
実際にそこに経験のある方がかなりいらっしゃるので、あるいは患者さんの親御さんとかそういう方も入ってきているので、そういう民間を使っていかないと、とても事業としては難しいのかなと思いますので、ぜひそれを加えていただければと思います。
○千葉委員長 ありがとうございます。公の枠組みに加えて、それぞれの関与される民間の方々の協力をいかにうまく入れていくかという観点は、確かに非常に重要だと思います。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○及川委員 今の議論に関連して自立支援のことですけれども、現場では自立支援事業ということだけではなくて、例えば障害の支援相談員がいたり、自立支援員がいたり、医療的ケア児のコーディネーターがいたりということで、いろんな方々がいろんな名称で入っているだけに、現場は非常にわかりにくいということがあったり、それは患者や御家族もそうですが、支援する私たち自身もわかりにくさが非常にあるかと思うのです。ですので、今回の見直しに当たっては、一人一人の子供を支援するといったときに、その子にとって何が一番必要なニーズであるのかということでもって、その子に必要なサービスを誰がどういうふうに提供していくといいのか、少しそういうものがわかるようなマニュアルであったり、支援になれるものを一緒につくっていただけるような仕組みも考えていただけるといいかなと思います。
以上です。
○千葉委員長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○滝田委員 自立支援の中の学習支援に関してです。学習支援に取り組もうとして、各施設とか、あるいは養護学校の先生方等といろんな対策を講じる中で、一番ネックになる問題の一つに人件費という財政面の問題がございますので、ぜひ人件費といった財政面の点からも支援する枠組みを御検討いただければと思います。
もう一つ、医療提供体制についてです。先ほどゲノム医療提供体制についてお願いしたところでございますが、そういったゲノム医療提供体制を考える中で、ぜひデータの集約化と活用のシステムも同時に御検討いただければと思っております。
○千葉委員長 2つ御意見をいただいたように思います。
ほか、いかがでしょうか。
そしたら、最後「その他」ということですが、先ほどお話がありましたように、医療提供体制については前回特に御意見がなかったということで、項目として立てていないのですけれども、今までの議論の中で医療提供体制にかかわる御意見は結構いただいたとは思うのですが、最後に別個にこれはということで御意見がある方はお願いしたいと思います。それも含め、その他、全て入れて何か御意見おありの方がありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。西澤先生。
○西澤委員 調査研究の公表とか普及啓発ということですが、先ほど千葉委員長も触れられましたけれども、例えばきょうの武村先生のお話に出てきましたが、年度末にどのぐらい進捗したかという研究成果申告書を提出するようにというお話がありましたけれども、最終的な報告書はどこに掲載されるのか、どこまで義務づけておられるのか、あるいは研究者なり患者さんたちがアクセスをしようとしたときに、必要な情報がどこに必ずアップされているのかがわからないといけないと思うのです。その点が今までの班研究では全体として不十分ではなかったか、今の保健医療科学院のやり方を教えていただけると。もしそれが不十分であれば、これはきちんと進めなければいけないことだと思うのですが。
○千葉委員長 どうぞ。
○武村参考人 研究の報告書につきましては、別に難病に限った話ではなくて、これも科学院にあるのですけれども、厚生労働科学研究の成果データベースというところに提出していただいて、そこで公開されるようになっておりますが、ただ、それは別に難病だけでなくて、全ての研究事業はそうなのです。先ほどお話しになったのは、特に難病については情報が足りないということなので、報告書自体はそこで公表されていますけれども、それを取りまとめるなり、リンクさせるなりして別個につくる必要はあるのかなと思っておりますが、それは私の範疇外になりますので。
○千葉委員長 確かにあそこは患者さんはアクセスしにくいですね。ですから、難病情報センターからリンクできるような方法とか。難病情報センターにつきましては医師向け、患者向けと分かれていて、患者さんは割とアクセスしておられると思うので、一番ぱっと思いつく方法としてはそれが一番いいかなと思いますね。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○石川委員 全体を通じてなのですけれども、最後に医療提供体制の話が載っていないという話がありましたが、今、医療介護総合確保法の中の地域包括ケアシステムですね。これが子供のところから大人のところまで。高齢者だけでなくてやるということを我々はもう構えていますけれども、小慢とか難病、あるいはもっと広く障害を持っている方全てを、社会保障の全体像の中で、トランジションの問題も含めて捉えていかなければいけないので、もう少し。個々各所には地域地域とあるのですが、全体の中でそういう発想を書いていただきたいと思います。そうすると、連携というのが、かかりつけ医とか病院の連携も含めて描けるのではないかと思っています。
もう一つ。きょうすごくよくわかったことは、臨個票とデータベースづくりが非常に一体化していると思うのです。今のように臨個票をOCRをかけて、それを誰かが打っていると。こんなやり方ではきれいなデータベースは絶対できませんので、臨個票のあり方とデータベースを一体化して検討しないと無理だと思います。
以上です。
○千葉委員長 地域医療との連携という話と、臨個票は電子カルテから直接取り込めるようにというのを何とかすると。これが懸案ですね。ぜひ重要課題として考えていただきたいと思います。
ほか、よろしいですか。どうぞ。
○春名委員 1点、難病の医療機関の中で軽症の方への生活支援という面の体制、例えば医療ソーシャルワーカーの方は重症者の退院支援のほうにほとんどマンパワーをとられていて、対応できていなくて、そのために医療機関の中で就労支援に対応するといっても、実質的には非常に難しいという課題も聞いておりますので、そういうことも医療提供体制ということでは関係あるのかなと思います。
○千葉委員長 特に軽症者の就労支援というあたりですね。
ほか、いかがですか。よろしいですか。
まだまだ御意見がおありと思いますが、御認識いただいたように、問題点としては非常に多岐にわたっておりまして、3時間というのは会議としては長いほうですけれども、それでも足りないという状況でありますが、厚労省におかれては、前回と今回ディスカッション及び皆さんのヒアリングの結果を踏まえて御検討いただきまして、論点整理の案を作成していただいて次回に御提示いただくということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、次回の日程等につきまして、事務局からお願いしたいと思います。
○田中課長補佐 次回は6月28日16時から開催させていただきます。場所などの詳細については、追って構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。なお、水色のファイルは次回も使用する予定でございますので、そのまま机上に置いてお帰りいただきたいと思います。
本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
○千葉委員長 皆さん、貴重な御意見、大変ありがとうございました。次回に向けてどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。