2020年1月30日 第2回「精神障害の労災認定基準に関する専門検討会」 議事録

日時

令和2年1月30日(木) 17:00~19:00

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省共用第6会議室(3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

参集者:五十音順、敬称略
阿部未央、荒井稔、黒木宣夫、小山善子、品田充儀、田中克俊
西村健一郎、丸山総一郎、三柴丈典、山口浩一郎、吉川徹


厚生労働省:事務局
松本貴久、西村斗利、森實久美子、西岡邦昭、栗尾保和、佐藤誠 他

議題

(1)精神障害の労災認定の基準について
(2)その他

議事

議事録


○岡久職認官 それでは定刻となりましたので、第2回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会を開催いたします。初めに、本検討会を開催する前に傍聴されている方にお願いがあります。携帯電話などは必ず電源を切るかマナーモードにしてください。そのほか別途配付しております留意事項をよくお読みの上、検討会開催中はこれらの事項をお守りいただいて傍聴されるようお願い申し上げます。万一留意事項に反するような行為があった場合には、この会議室から退室をお願いすることがありますので、あらかじめ御了承ください。写真撮影はここまでとさせていただきます。以後、写真撮影等は御遠慮ください。よろしくお願い申し上げます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。なお、三柴委員におかれましては少し遅れての御出席との御連絡を頂いております。また、審議官の松本ですが、業務の都合により本日は途中退席をさせていただきますので御承知おきください。それでは黒木座長、以後の議事の進行をよろしくお願いいたします。
○黒木座長 それでは議事に入る前に事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○岡久職認官 本検討会はペーパーレスでの開催とさせていただいておりますので、最初にタブレットの操作について御説明をいたします。お手元のタブレットの画面を見てください。本日の会議資料の一覧が画面に出ていると思います。一番上の参考1、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書、これを御覧になりたい場合は、画面上で参考1という所をタップしていただきますと、ファイルが開きまして、右肩に参考1、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書というものがファイルとして出てきます。ページをめくっていただく方法ですが、画面上で画面を指でスクロールしていただくと下のほうでページがめくれるというような形で見ていただくことになります。ファイルを閉じる場合ですが、画面の左上にiPadという文字があって、その下に左に矢印があると思いますので、そちらをタップしていただくと元の画面に戻っていただきますので、また別の資料をタップしていただくことで、別の資料の中身が確認できるということになります。なお、途中でタブレット操作が分からなくなった場合は、近くに係員が控えておりますので、いつでもお声掛けをいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは資料の確認をいたします。画面のほうを御覧ください。本日配付しております資料ですが、一番上から参考1、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書。参考2、精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書(平成11年7月29日)。参考3、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置等についての指針。資料00、第2回議事次第。資料01、第2回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会における主要論点。資料02、業務による心理的負荷評価表。資料03、具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(項目29)による労災認定事由の分析結果。資料04、具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(項目29)及び「上司とのトラブルがあった」(項目30)と「パワーハラスメント」との考え方の整理。資料05、平成22年ストレス評価に関する調査研究報告書(平成23年3月2日)(抜粋)。資料06-1、精神障害事案に関する訴訟の状況。資料06-2、平成28年~30年の国敗訴事案(具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」に該当するか争われた事案(抜粋)。以上となっております。資料のファイルに資料がないとか、過不足等がございましたら挙手の上お知らせいただければと思いますが、大丈夫でしょうか。資料の確認は以上になります。
○黒木座長 それではこれから資料1の主要論点に沿って検討を進めます。初めに、新設する出来事類型、パワーハラスメントの具体的な出来事の追加についてです。まず具体的な出来事の追加、修正等についてですが、論点ア、パワーハラスメントの具体的な出来事をどのように整理することが適当か、新たに具体的な出来事を追加する場合はどのような出来事とする必要があるかについて検討します。まず、具体的出来事としてのパワーハラスメントの内容をどのようにすべきであるかという論点について、事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 それではタブレットにおいて資料01、第2回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会における主要論点をお開きください。まず、論点として1の(1)ですが、具体的な出来事の追加修正等についての部分について御説明いたします。まず、パワーハラスメントについては、最近特に社会的な関心も高まってきておりますことから、論点の説明に入る前に、今般の見直しに関して改めて補足的にその趣旨について確認いたします。第1回の検討会でも申し上げましたとおり、パワーハラスメントに該当する事案については、従来から(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた等の出来事として認定してきております。このため、今般の見直しの趣旨については、新たな医学的知見に基づきまして、これまで認定されていなかったパワーハラスメントを新たに認定することとするものではなく、パワーハラスメントの定義が明確化されたことを受けまして、認定基準にあります心理的負荷表を見直しさせていただくものであります。したがいまして、第1回の検討会の論点にも記載しておりますが、現行の労災認定基準を前提として、パワーハラスメントの定義の明確化を踏まえた内容の明確化、具体化による整理を行わせていただくものであることを念のため冒頭に申し上げさせていただきます。
最初の論点の説明に入ります。最初にパワーハラスメントの具体的な出来事の追加について。この出来事としてのパワーハラスメントの内容をどうとらえるべきかという点です。第1回の検討会においては、このパワーハラスメントの出来事類型として、新たに設けることとさせていただきましたが、被災者救済を目的とする労災補償においては、今般の法制化がパワーハラスメントの予防を目的としているものであり、労働者保護という目的や方向は同じでありましても、その保護の範囲は全く同じではないことに留意すべきといった御意見も前回頂きました。また、パワーハラスメントと一言で言いましても、その態様は様々であるということから、一般的にいわれますパワーハラスメントというものは、幅広い概念であることから、労災補償でいうところの出来事としてのパワーハラスメントの内容をどうとらえるべきかという点について、御検討いただきたいと考えております。このパワーハラスメントの定義、内容については、本日配付しております参考3ですが、労働施策総合推進法に基づく、事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置についての指針、こちらを御覧いただきたいと思います。この指針については、以後パワハラ指針と呼ばせていただきますが、このパワハラ指針の該当部分について、ただいまから読み上げます。
まずはパワハラ指針の1ページ目の2の(1)を御覧ください。職場におけるパワーハラスメントについて書いてあることを読み上げます。「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を越えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの」という3つの要素を全て満たすものとあります。
次のパラグラフですが、業務指導との関係については、「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適切な指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない」とされております。
続いて、①~③のそれぞれの要件について説明されている部分を読み上げます。まず1つ目の①の「優越的な関係を背景とした言動であって」の部分ですが、こちらはパワハラ指針の2ページ目の2の(4)を御覧ください。この部分において、「当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が、当該言動の行為者とされる者に対して、抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの」を指し、例えば以下のものが含まれる」としておりまして、次の言動が例示されております。1つ目は、「職務上の地位が上位の者による言動」続いて、「同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの」続いて、「同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの」とされております。
次に②の要件ですが、業務上必要かつ相当な範囲を越えたものについては、同じくパワハラ指針の2の(5)を御覧ください。「社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要がない又はその態様が相当でないもの」として、次の言動が例示されております。1つ目、「業務上明らかに必要性のない言動」続いて、「業務の目的を大きく逸脱した言動」続いて、「業務を遂行するための手段として不適当な言動」最後に「当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして、許容される範囲を越える言動」とされております。また、「この判断に当たりましては、様々な要素を総合的に考慮することが適当である」とされています。
最後に③の要件です。「労働者の就業環境が害されるもの」についてですが、こちらはパワハラ指針の2の(6)の部分を御覧ください。「当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す」とされております。この判断に当たりましては、『平均的な労働者』の感じ方、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である」とされております。
なお、第1回目の検討会において、阿部委員からパワハラ指針の6つの類型に沿って出来事の追加を検討することの必要性について、御意見を頂戴しておりますので、これに関して若干説明いたします。これについては、パワハラ指針の2ページ目の下の部分からにあります2の(7)からですが、この代表的な言動の類型としては、(7)の部分にイロハということで順番に書いてあります。まず1つ目に身体的な攻撃、2つ目に精神的な攻撃、3つ目に人間関係からの切り離し、4つ目に過大な要求、5つ目に過少な要求、6つ目に個の侵害というものが示されております。この類型について、指針上に留意事項が書いてありまして、この部分をただいまから読み上げます。「ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること。また、次の例、これは今の6つの例ですが、限定列挙ではないことに十分留意すること」とされております。事務局からの説明は以上です。
○黒木座長 ただいまの事務局の説明を踏まえ、具体的出来事としてのパワーハラスメントの内容をどうとらえるべきか。何か御意見等がありましたら、挙手の上御発言ください。
○西村委員 前回の議論と今年の1月15日に告示されたパワハラ指針で、何がパワハラなのか、その範囲、種類については、議論が深まってきたという感じでありますが、私たちの課題は労災認定でありまして、被害者の救済ということなのですが、その点については、これは資料の3ページにありましたが、ストレス脆弱性理論に沿って枠付けがなされているので、ストレスが非常に大きくて脆弱性が小さな場合については、精神障害の発症について強である、業務上であると。しかし、逆にストレスが小さくて脆弱性が大きい場合には、その場合でも精神障害が発症することがあるわけなのですが、そういったことを踏まえると、パワハラの被害者にとっては、どんなパワハラも違法で、被害は大きいということなのでしょうけれども、労災認定ということからすれば、強、中、弱という区別をはっきりさせる必要があるわけで、どのようなパワハラについてという範囲の問題ではなくて、どのようなケースについて強と判断するのか、こういった場合はパワハラなのだけれども、せいぜい中とか弱にしかならないというような区別をはっきりさせていくということが重要なのではないかと、資料を見て思っておりました。
○黒木座長 ほかにはいかがでしょうか。
○品田委員 今の御説明の中で、もうパワハラの概念についてはかなりはっきりしてきたと思うのですが、 1つは確認で、1つは疑問があります。まず、あるサイトで見ていましたら、転職した1万人の調査でしたので、そこそこの意味はあると思うのですが、転職理由になった人間関係で最も難しいと感じた理由は何かと言うと、一番の相手方が先輩だというのです。先輩が45%、上司は18%ということでした。この先輩というのがどこに入るのかというのを考えてみますと、恐らく2つ目の「同僚又は部下による言動で」という項目になるのかもしれませんが、しかしながらこれを読んでみると、「有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの」と書かれていますので、これを条件だというように考えると、先輩で他の部署に行ってしまったような方がハラスメントを行った場合に、果たしてこの概念でとらえられるのかということが確認です。
もう1つは、会社の制度そのものがパワーハラスメントだと言えるようなもの、例えば研修において大声を出させるとかいったものであれば、対象はいないわけで、会社そのものが対象ということになるわけでしょうが、これをパワハラという形でとらえてよいものなのか。ほかの基準を見ましても、これに該当するものはないのです。この点について、皆さんはどう思われるか御意見があったらお伺いしたいと思うのですが。
○黒木座長 いかがでしょうか。先輩との関係というのは優越的な関係というように言えるわけですよね。
○森實課長 雇用機会均等課長の森實と申します。指針で書いている優越的な関係ということで、以下のものが含まれるということで(4)の所で3つの事例を挙げていますが、これに限定されるというものではございません。先輩といっても、どういう先輩なのかということにもよるかもしれないのですが、少なくとも職務上の地位が、先輩なので上ということも十分に考えられますし、職務上、その先輩の言うことを聞かなければ、仕事がうまく進まないという場合もあると思いますので、そういう点は個々の状況によって判断するということになろうかと思います。
それから、会社の制度そのものというのは、基本的には制度そのものがというよりは、何らかの優越的な関係を背景とした行為者がいて、その言動そのものをとらえて、パワハラというように考えるとしていますので、品田委員がおっしゃった研修で大声を出させるというのは微妙なところはありますが、どういった背景や条件で出させているのかというところが分からないのですが、それも場合によってはそこの指導者が自分の判断で大きな声を出せるということになったら、パワハラということもあり得るかもしれませんが、何らかの意味付けがあって研修としてやるのだということになっているのであれば、それ自体がパワハラとは言えないかもしれません。
○品田委員 前者について、限定列挙ではないという趣旨だということでしょうが、そうであるとすれば、当該者の協力を得なければうんぬんは例示の1つであるというようにきちんと説明したほうがいいと思います。
後者については、誰かが指示しただろうとおっしゃるのですが、大概の場合は会社が就業規則、若しくは何らかの規程を作って制度としてやっているものですので、当該行為者がいるとは限らないので、ここは議論を必要とするかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○黒木座長 いかがでしょうか。
○山口委員 今まで出されている問題点では2つ議論すべきことがあると思います。1つは、認定基準の考えをどうするかというシステム上の問題だと思います。そこで何が問題になるのかと言うと、今まで出ている文書、労働施策総合推進法の第30条に基づいてできたパワハラの定義では、「業務上の範囲を逸脱した」という言葉が入っていて、これに基づいて出された指針には、適正な業務上の範囲内の指導などはパワハラではないというように書いてあるのです。これをどう理解するかです。業務上の正当な範囲内の指示、説得、叱責の場合は、およそパワハラというものはないのだという趣旨で理解するのか、それとも、それは職場内のパワハラでないというだけであって、パワハラではあるのか。そういうシステム上の問題が1つあると思います。
もう1つは、第1回で問題になりましたように、セクハラが認定基準36という番号になっていますが、37か何かを新しく作るかどうかということです。そのときに一番重要なのは、理屈の問題よりも認定の指針ですから、強とか中とかを、何をサンプルとして入れるかという問題だと思います。それは、残念なことながら我々法律家には何も知識がありません。ですから、医学とか心理の先生にどのようなものが適切なのかをお考えいただいて、こういうものが適切な例だと出してくだされば、議論が進むのではないかという気がいたします。
○黒木座長 ほかにいかがでしょうか。
○阿部委員 先ほど品田委員からパワハラの主体に関する御発言がありました。指針はあくまでも例示列挙なので、それ以外の、先ほど品田委員からお話いただいた会社の研修会でのひどい人格を否定するぐらいの研修があるとすれば、それがどのぐらいの頻度で実際に行われるのかは分からないのですが、具体的にそういうものがあるのであれば、今回のこちらの指針のほうにはなくても、労災の具体例の中に入れるということはいいのではないかと私も思います。
○荒井委員 パワーハラスメントを独立した項目にすることについては、妥当な状況にあるのだろうと思っています。と申しますのは、臨床でもハラスメントによって適応障害、あるいは抑うつ状態という方をたくさん診ておりますので、そのカテゴリーと言いましょうか、パワーハラスメントというカテゴリーを作って、それを精緻なものにするのは非常に重要なことだと思います。
何がハラスメントなのかということは、これから議論していくことになると思うのですが、これは私の印象では、心理的なハラスメントと、フィジカルな、殴るとか物理的なものとが、今は並列な項目になっているのに違和感がございます。と申しますのは、殴れば、けがをすればそれなりに法的な違反行為になるわけですが、心理的なハラスメントについては、いろいろな判断があると思いますが、なかなか証明しづらい、それをパワーハラスメントという同じカテゴリーでまとめていくのは困難ではないかなと思っています。
ですから、これは先走った発言なのですが、項目を「(ひどい)嫌がらせ・いじめ、又は暴行」となっているのですが、「又は」の所は調査票の中では、同じ項目を残していいのですが、別項目として、どのぐらいの心理的な負荷があるのかというのを調査してみるのは、1つ価値があるだろうと思っています。
と申しますのは、暴行はパワーハラスメントの中でも極型だからです。御指摘のように、正しいことなら何を言ってもいいのかという議論は当然ありますし、声のトーンですとか、回数ですとか、いろいろなものが、正しいことを言ってもハラスメントになることが人間にはしばしばございますので、例えば録音を聞いてみると、正しいことを言っているのだけれども1時間にわたって相手の困難なところを指摘し続けるという、それは内容は多分間違っていないのですが、とても通常の人間では我慢できない行動で、受け手は参ってしまうだろうなと思うケースがございました。
これは、テープという、ある種の証拠があって、そのように判断したのですが、録音は言葉の強さとか、言いぶり、反論を許さない雰囲気が非常によく分かるわけですが、紙に書き起こすと、それがなかなか伝わってこないということもありますので、正しいことを言っていればハラスメントではないというものには一部疑問があります。
これから、ハラスメントがこれだけ問題になってきますと、様々な証拠が出てくると思いますけれども、録音は一番皆さんが判断しやすい材料になるのではないかなと思います。山口委員、よろしいでしょうか。
○山口委員 よく分かりました。荒井委員がおっしゃった点は非常に重要な点だから、是非ここで議論をすべきだと思います。
と言いますのは、基本的な文書になっている指針で見ると、繰り返し言っているのですが、業務上の正当な範囲のものはパワハラでないという定義をしていますが、この業務上の範囲というのは、どういうことでしょうか。これを超えたらパワハラということですが。この文章を見てみると、業務の範囲と言うか、仕事ですね。それとも、仕事の範囲だけでなく、指導、叱責等手段が妥当な範囲を超えたのか、そういう方法まで含むと考えたら、暴行したとか、殴ったというのは、当然範囲を超えているということになります。だけれども、その場合には業務には、業務遂行の方法とか手段まで入るという理解をしないと、この文章と矛盾してきます。荒井委員が出された点は非常に重要な点だと思います。
○品田委員 私も法律家なので山口委員同様、細かいことは分からないのですが、いろいろと経験上の話をすると、業務指導の範囲であるかとか、適正な理由があったかという話は、大概の場合は水掛け論になりまして、認定基準上、そこを表現することは非常に危険だという気がしています。
そうしますと、正に荒井委員がおっしゃったように、対象とすべきは何かと言うと、時間と場所と様態なのだと思います。時間というのは叱責が行われた時間若しくは長さです。例えば夜中に電話で叱責するなどということもあります。場所というのは、他の職員の面前で行われたかどうかということは心理的にも負荷の要素は高くなるのでしょう。もう1つは様態です。どのような様態であったか。
そうすると、この3つをどのような形で表現していくかということが、我々の課題なのだろうと思います。それを強、中、弱に具体化するのは難しいと思いますが、前回言いましたように、余りにも具体的にすると問題がありますし、現在の基準のように内容、程度というような形になっていると、この表現は余りにも分かりにくいと思います。もう少し理解しやすい形にしたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○西村課長 各委員からいろいろと御意見を頂いている中で、事務局の思いを2点ほど述べさせていただきたいと思います。
今、正に御議論されている点ですが、業務指導の範囲であって、手段、方法がどうだったかということにつきましては、今日の論点ペーパーにも入れているのですが、後ほど議論をさせていただきたいと思っております。
それから、1番最初に西村委員、それから山口委員がおっしゃったパワハラの強、中、弱が大事だというお話です。これについては、心理的負荷表に具体的に書かなければならないと事務局も考えております。では、どういったものを書くのかということについては、どのようなやり方をするのかということなのですが、これについては、別途の機会に、1つは、我々は認定事例をたくさん持っておりますので、この認定事例を踏まえて、どういうものが強なのか、どういうものが中なのかということを、是非御議論いただきたいと思っております。これが2つ目です。
○黒木座長 ほかに意見のある委員はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。そうすると、パワハラの指針の内容が(4)に書いてありますが、職務上の地位が上位の者による言動、同僚又は部下による言動で当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの、また同僚又は部下からの集団による攻撃。こういった定義と、パワハラの定義はほぼ同じだと考えてもよろしいでしょうか。心理的負荷表には、業務指導の範囲を逸脱して、なおかつ人格を否定する言動が執拗に行われたと。つまり、1回切りというのは中という判断になるので、執拗に行われたということがポイントになるし、それが精神疾患を引き起こすと、しかもそれが業務上で行われたということで業務上ということになりますので、こういった強、中、弱に関しては、また今後検討することでよろしいでしょうか。
○阿部委員 先ほど山口委員から、「業務上の範囲を超えたら」パワハラという整理を事務局でしているというお話がありましたが、そういう整理でよろしいでしょうか。
指針では、遂行する手段が不適当な場合は「業務上の範囲内であっても」パワハラになるというとらえ方をしていると思うのですが、今回の労災の認定の考え方としては、業務上の範囲を超えたものだけがパワハラになるということでしょうか。そこの区分けを説明していただければと思います。
○西岡室長 これについては先ほど補償課長も申し上げたように、後ほど整理はいたしますが、今回パワハラの指針が示されまして、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものという2つ目の要素がございますが、これに関しては、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導についてはパワハラに該当しないということです。そういう意味では、業務指導の範囲でも適正でなければパワハラに当たり、適正な指導は、パワハラにはならないということで、従来で言えば上司とのトラブルという部分になってくると思うのですが、それは後ほど、そこの部分を含めて整理をしたいと思っています。
○品田委員 それでいいのかどうか。パワハラになるかどうかという基準を今から作ろうというわけですから、当該業務指導が適正な範囲であったかどうかにおいて、強、中、弱が決まるわけです。そうすると、それが適正な範囲内だったのだから、これは上司とのトラブルで考えるのだというと、これは素人には分からない世界になってしまう。基本は業務命令若しくは叱責がパワハラに当たるかどうかは、新たに作るパワハラ基準で検討するわけですよね。そうした中において、業務指導の範囲であったかどうかということを、先ほど言った時間、場所、様態等を勘案しながら、強、中、弱に区分けしていくことになると思います。上司とのトラブルはまた後で議論をしたほうがいいと思います。
○山口委員 品田委員がおっしゃったことと阿部委員がおっしゃったことですが、接点は、仮に今回パワハラの認定基準で独自の基準を立てるとします。従来出ている指針は基本文書ですから参考にすると、業務上の正当な範囲、相当な範囲というのは除かれます。そこの点をどう判断するのか、曖昧になってしまうではないかというのが、品田委員の意見。
曖昧になる場合もあるけれども、ならない場合も多いと思うのです。というのは、それはパワハラでは拾いませんが、認定基準の前のほうで、仕事のやり方とか、人の配置というものと関係があれば、そこでパワハラとは言わないけれども、拾われることになるのではないでしょうか。配転とか、過度に仕事をさせるというような項目があります。それはパワハラとは呼ばないだけであって、それをパワハラといって、今度新しい基準で拾って、そこにまとめてしまうかどうかというのも、1つの論点ですが、文書の言葉をそのまま生かして作るとすれば、正当な業務上の範囲のものは入らないということになりますから、それはどうなるのかと。前に項目があれば拾われると。拾われるけれども、それはパワハラとは言わないというだけのことではないでしょうか。
○品田委員 実務上の話になるのですが、従来は、嫌がらせ・いじめでとらえられないものは、正当な業務上の指導の範囲だからということの中で、上司とのトラブルでとらえて判断するという形にしていたと思います。今回はパワハラでそれらを全てまとめようという考えですから、そうすると、当該上司等の行動がどうであったかということを1つ評価することになっていくと。
そうすると、そこにおいて上司及びその他の者の関係性をとらえて強、中、弱に区分けしていくわけですから、例えば先ほど言われたように、業務上正当な理由がある叱責であったとしても、その様態が常軌を逸するようなものであれば強になる可能性があるわけです。そうしますと、やはりそうした関係性でとらえるものは全てここに置くべきでないかと思います。そうすると、上司とのトラブルはどこでとらえるかと言うと、恋愛問題とか金銭問題とか、上司であるから本音で言えないようなことが起こることについて、トラブルとしてとらえる。つまり、業務命令の問題はパワハラでとらえたほうが、分かりやすいし、理解が広まると思うのですが、いかがでしょうか。
○山口委員 了解しました。それは荒井委員の御意見も一緒だと思います。認定基準上の処理としては、前のほうの配転とか過度に仕事をさせたときに当たったらどうするのか。パワハラのほうに当たったら、こちらのほうでは処理しませんという説明が要ることになり、その説明に妥当性があるのかどうかという問題になると思います。両方に当たるというのは困りますよね。
○田中委員 個人的には、法律でパワハラの定義がきちんと示された中、この認定基準でパワハラの定義が拡散してしまうというのは混乱を呼ぶかなと思っています。
私の理解では、前回の会議で1つの類型として独立させるということだったので、パワハラを大項目として挙げたら、弱であろうが、中であろうが、強であろうが、それは3要件を満たしているということを前提として考えるべきと思います。優越的な関係とか、業務の相当な範囲を超えたとか、特に精神的なストレスをどれぐらい受けたかということによって、強、中、弱が決まる。
ハラスメントと認定される3要件を満たしている状況で、それが弱なのか強なのかという枠組みに絞ったほうがいいのかなと思います。基本的にはセクハラもパワハラもモラハラも含めたハラスメント全体でまとめたほうがわかりやすいのではないかというところはあるのですが、今回の議論で言うと、私は職場で、これもハラスメントだ、あれもハラスメントだと、いろいろな混乱が起こることも心配ですし、ハラスメントの定義はこういうものだという形を労災認定においても一致させることが大事かなと思っています。山口委員がおっしゃったように、ほかのものはほかの当てはめを工夫していくということがいいのではないかと思います。
○西村課長 今、田中委員がおっしゃった考え方ですが、事務局としてもそのように考えていて、御議論いただければなと思っている次第です。一方、先ほどから、荒井委員もおっしゃったのですが、例えば精神的なものと肉体的なものを分けたらいいではないかという御議論も、正しくあるのでしょうけれども、それは次のステップかなと考えています。1回目でもお話したかもしれませんが、この精神の認定基準については、来年度に心理的負荷を新たに調査すると。ストレスの調査をして、その翌年度にまた全体的な見直しをしたいと考えております。
○黒木座長 基本的には業務指導の範囲を逸脱した行為、言動というのは、パワハラに当てはまるということでよろしいですか。
○西村課長 はい。
○黒木座長 それが強になるのか中になるのかというのは、事例次第ということですね。先ほど、品田委員がおっしゃったように、非常に何回もやられたとか、そうなれば業務起因性は出てくると。上司とのトラブルは業務指導の範囲内で、これが対立とか、あるいは業務に支障が出てくるかどうかとか、そういうところで判断していくということで、従来はそういう枠組みなのですよね。
○山口委員 事務局のお考えに反対するわけではありませんが、パワーハラスメントもセクシュアルハラスメントも、なぜ「ハラスメント」という言葉が使われているのかということを考えていただきたいと思います。暴行・傷害というのは、ハラスメントなんかでなく、傷害罪で刑法で処罰されるものです。こんなものは何も概念を入れる必要もなく、処罰の対象になるということは明々白々なのです。
だけれども、ハラスメントというのは、行為がどのような行為か分からなくて、例えば私が秘書を食事に誘ったらハラスメントで、家内を誘ったら誉められるという新しい概念だから、ハラスメントの中味が暴行・傷害であるというのは、全然議論が今までの歴史と違っているのです。
ハラスメントに暴行・傷害を入れないとおかしくなるということだったら、取扱い上はそう決めてもいいですけれども、暴行・傷害は当然ハラスメントの中味だという前提で議論するというのは、議論がおかしくなってしまうと思います。
○黒木座長 事務局はいかがでしょうか。
○森實課長 ハラスメントのセクハラ、パワハラの法的な考え方では、暴行・傷害といったものも入るという前提で議論しております。山口委員がおっしゃるとおり、暴行や傷害をハラスメントと言うと、軽く見えるような印象というのはあるかもしれないのですが、ハラスメントの中に入り得るという整理はしております。
○品田委員 嫌がらせ・いじめも残すというのはいいのですが、例えばパワーハラスメントを入れて、英語に直した場合はどうするかということも考えておかなければならないと思います。嫌がらせはハラスメントなので、ブリイングとハラスメントにすればいいと思いますが、パワーハラスメントはどうするのかと。ここは行為主体が違うのだということで概念しない限り、説明できないと思うのです。
つまり、嫌がらせ・いじめを残すとしたら、この行為者は必ずしも使用者ではないということを概念しているというように説明しないと、なかなか理解が難しいかなという気がします。
○三柴委員 結論から言いますと、事務局の方の練った手続で議論を進めていくのがいいのではないかということです。そもそも、ハラスメントをめぐる議論というのは、今の時点で、要件とか要素と思われているもののどれを取っても、全部質的なものなのです。業務上外についてもそうで、その要素となる業務の正当な範囲内とか範囲外を採っても、結局、時間とか場所とかで測れるわけはなくて、要するに質的に、つまり、これは仕事上必要な範囲内か、そこを超えてしまっているかということだから、おそらくは品田委員が懸念されている、仕事にかこつけて嫌がらせをするというケースも、結局は業務の正当な範囲を超えるという認定になってくると思うのです。
今回は、認定のケースをかなり踏まえて内容を考えていこうということだと思うのですが、判例も参考にするということであれば、ウインザーホテルズインターナショナル事件というのがありましたが、あれも一審は何とかパワハラの定義を示そうとしたのだけれども、二審で、結局このようなものは決めたって意味がないと。だから、社会通念上の相当性があるかどうか、そこで考えるということにした。国際的にみても、ハラスメントの定義については、ILOが示しているもの、アメリカが示しているもの、EUが示したもの、全部が違うわけです。ILOは広め、アメリカは狭め、日本はどうなのかという、優れて価値判断に帰する問題なので、これは手順の中で落としどころを作って、出てきた答えを尊重するというようにしないと、いつまでたっても決まらないのかな、と思いました。
○黒木座長 随分時間がたってしまいました。新たに追加するパワーハラスメントの出来事の内容については、パワハラ指針の定義の内容と基本的には同義ということでよろしいでしょうか。
○阿部委員 1点だけ確認なのですが、指針の「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」というパワハラの定義と今回のパワハラの整理は同じではないですよね。先ほどから議論されている、指針ではパワハラに該当しうる「業務上の範囲内」というものがこちらに入っておらず指針の定義とは異なるように思います。
○松本審議官 業務の範囲と必要かつ相当を超えたというのは、業務の中にはあるし、業務外のことは特にここでは言っていませんが、業務内には両方あるということだと思います。
○阿部委員 パワハラの今回の認定の中には、遂行方法が不適当なものというのも当然含まれるという理解でしょうか。
○松本審議官 こちらは定義が3つあるわけですから、その中の2つ目のところをおっしゃっていると思うのですが、当然適正と言うか相当と言うか、それを超えたところが今回の、ほかの2つの要件も当てはまればパワハラになるということで、指針は定義されていると理解しております。ですから、当然業務内でも両方あるということです。
○阿部委員 そうすると、先ほどから、品田委員がおっしゃっていたものも入るという解釈にはならないですか。先ほど三柴委員が、仕事にかこつけてパワハラをするというのは、裁判例では結局は業務外の認定になっているという話があったのですが。適正な指導の範囲ではなかったと。
○三柴委員 いえ、裁判例でも適正な業務の範囲かどうかという基準で判断されて、業務上の認定にはなり得ると申し上げたのです。
○阿部委員 業務の範囲内であったけれども、不適当な言動というのも指針では入っていて。
○三柴委員 つまり、仕事にかこつけて嫌がらせをすると労災に当たるほう、要は仕事の正当な範囲には当たらないという判断になるから、結局そこは質的な判断でしょうと言いたかったのです。
○品田委員 もう一回確認したいのですが、この認定基準は何のためにあるかと言うと、国民に対して、こういうものは労災になるという基準を示す。もう1つは、労基署の判断者を含めた、審査官もそうでしょうけれども、そういう判断者に対して、これを援用しながら判断してくださいと。この2つです。
そうした場合に、先ほど言いましたように、業務の範囲かとか、正当な理由があったかという話を文章化したところで、ここはほとんど意味がないということでありまして、客観化になじまない。客観化になじむとしたら、様態、時間、場所であろうということを私は申し上げたわけで、そこをどう表現するかは、これからの作業になると思うのですが、範囲内かどうかを議論しても意味がないことをお伝えしておきたいと思います。
○黒木座長 それでは、先ほどからいろいろと議論がありましたが、この出来事の内容については、パワハラ指針の定義、優越的な関係であるとか、あるいは業務上の範囲を超えたとか、職場環境を害するということと、基本的には同義であるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○黒木座長 ありがとうございます。それでは、引き続き、事務局の説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 資料1の主要論点を御覧ください。次に御検討いただきたい論点としましては、具体的に出来事類型でパワーハラスメントを作ったとして、その中に具体的に出来事として規定していく規定を細分化して規定するかどうかという点について、御検討いただければと考えております。ただいまから御説明いたします。
まず、心理的負荷表についての説明を簡単にいたします。資料2をお開きください。こちらは現行の認定基準における業務による心理的負荷表そのものです。真ん中の辺りに「具体的出来事」と書いている以下が、心理的負荷表です。こちらの上の部分に列の項目がありまして、左から読み上げますと、まず「出来事の類型」が規定されています。続いて、「平均的な心理的負荷の強度」として、「具体的出来事」と、それに対する「心理的負荷の強度」というのがあります。その隣に、「心理的負荷の総合評価の視点」がまとめてありまして、その隣に、具体的に「弱」「中」「強」と判断する具体例の項目が示されているという構成になっています。
第1回目、前回の検討会においては、この一番左側にある「出来事の類型」という所に新たな類型として、パワーハラスメントを追加するというところまで御検討いただいたところで、以上を踏まえて、本日の論点の御説明をさせていただきます。
資料1にお戻りください。こちらは1の(1)として、「具体的な出来事の追加・修正等」という論点です。本日の大きな論点として、こちらの具体的出来事の追加と修正については、細分化して規定することは、具体化、明確化に資する一方、こちらのポツの所を御覧いただければと思います。具体的な出来事を細分化した場合には、請求事案における具体的出来事への当てはめが難しくならないか。また、細分化した出来事が複数ある場合の全体評価の判断が難しくならないか。このような問題が生じるおそれがあるのではないかと考えておりまして、この観点を踏まえて御議論いただければと考えているところです。
このような観点を示させていただいた理由について御説明いたします。資料1の1ページ目に3つの囲みがありまして、こちらは参考資料1の検討会報告書を抜粋したものですので、また該当箇所を後で御覧いただければと思いますが、一番上の囲みの部分を御覧ください。現行の心理的負荷表の出来事等は、請求事案における具体的出来事の当てはめを容易にさせる観点からということで、前回の検討においては、2つの観点から見直しがされたもので、1つ目は、類似する項目、極めて頻度が小さい、これは請求件数そのものが少ない項目については統合するという見直しが行われています。2つ目として、最近の職場環境の変化に伴って業務による心理的負荷として感じられることが多い出来事を追加する。こういった見直しが前回の検討会においてなされたものです。
この出来事というものの考え方について、2つ目の囲みの部分に書いています。こちらにあるとおり、これは認定基準の前にあった判断指針というものが作られた際の検討会報告書ですが、この中に、「出来事とはある変化が生じ、その変化が解決あるいは自己の内部で納得整理されるまでの一連の状態を意味する」としているところです。
さらに、一番下の囲みの部分ですが、出来事をどういう単位でとらえるかという部分については、同じ報告の中にあるものの抜粋ですが、出来事の評価においては、例えば転勤に伴い別表1(心理的負荷表)に例示した様々な出来事、例えば仕事の内容の変化とか昇進、昇格、上司や同僚との人間関係等も同時に起こっており、これらが重なってストレスとなる。別表1の基礎となった各々の研究における出来事は、このような当然起こる出来事についても包含して作成されていますので、この場合では、一番強く評価される転勤という出来事を評価することとなるとされております。
以上を踏まえて資料3を御覧ください。こちらは平成28年度から平成30年度までの3年間において、実際に労災認定において、(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けたという出来事として認定された事例を、仮にパワハラ指針で例示されていた6つの類型ごとに分類するとどうなるか分析した結果です。御覧いただきますとおり、身体的攻撃、精神的攻撃が多く認定されておりまして、逆に過大な要求や過小な要求といった項目では、ほとんど認定されていないことが分かりました。
資料2の2ページを御覧ください。こちらが、それぞれの類型ごとで、どういった出来事だったのかということを参考で示しています。まず、身体的攻撃については、業務のことで上司から叱責されていた際に、労働者の消極的な発言に上司が激昂して殴る蹴るの暴行を加えられ、骨折したというものです。2番目の精神的攻撃につきましては、上司から日常的に「死ね」などの人格否定の発言を受けて、請求人の後輩に対しても「こんなどうでもいい先輩を見習うな」等の発言を行っていたというものです。③については、人間関係の切り離しということで、先輩職員から仕事を教えてもらえない、無視されるというものですが、上司に相談しても誠実に対応されなかったという事案でした。4番目の過大な要求については、該当事例はなかったのですが、5番目の過小な要求につきましては、上司から業務上必要な情報を与えない行為や、「バカ」等の人格否定のような発言を受けていたという事案です。6番目の個の侵害については、「早く死ねばいいのに」という人格否定の発言が行われたほかに、実際に労働者の不在の間にロッカー内にある労働者の自宅の鍵を勝手に使って寝泊まりされたというような事案でした。このように、それぞれの事例には幾つかの類型が関連して発生しているというのが、これまでの3年間の認定事例を分析した結果では認められたところです。
以上の状況にかんがみまして、具体的な出来事を細分化した場合に、請求事案における具体的出来事への当てはめの判断が難しくなるのではないか。また、細分化したことで出来事が複数ある場合には、全体評価の判断そのものが難しくなるのではないかという観点から、具体的出来事を細分化するのかどうかについて、御検討いただければというように考えています。よろしくお願いいたします。
○黒木座長 それでは議論をお願いします。この類型の当てはめに関しては、過大な要求、過小な要求については、仕事量が増えたとかノルマを課されたとか、そちらの出来事で当然認定しているので、いろいろな仕事上の問題は、総合して決めるということですね。しかし、この類型で見ると、ここはなかったということでよろしいですか。
○佐藤補佐 (ひどい)嫌がらせ・いじめ、暴行を受けたという出来事で評価されて認定された事例を分析した結果ということです。
○田中委員 ただ、今までこういうものもパワハラなのだということが国民に示されていなかったために、こういった訴えがなかったということもあると思うのです。だから、安易に消してしまうのはどうかなと思いますけれども。
細分化するということに関して、個人的には中の扱いというのが今でも非常に難しく、我々は審査するときに困っているものですから、それはできればなくしていただいて、先ほど言いましたように、ハラスメントがあったということを前提に、それがどれぐらいのインパクトがあるものだったかという形で、総合的に評価していただいたほうが、運用しやすいかなとは考えております。
○黒木座長 あと、「該当なし」という所を説明していただけますか。
○佐藤補佐 資料3の分類表の「注3」の所を御覧ください。具体例としては、同僚1名ないし部下1名からの暴行やいじめ行為といった事例や就業先の介護施設の利用者等の労働者以外から暴行等が含まれるというものです。
○黒木座長 事例としては結構多いですね。
○佐藤補佐 一定程度の数が認められているという状況です。
○黒木座長 ただいまの事務局の説明では、現行の心理的負荷表に類似する項目、あるいは請求数の少ない項目を統合しうると。それから、出来事を細分化することで請求事案の具体的出来事への当てはめが難しくなるのではないかとの懸念があるとのことですが、以上を踏まえて、何か御意見はございますか。
○山口委員 伺いますが、業務上の認定は行政上のものはどうだったのでしょうか。不支給処分が取り消された事例なのか、これは認定して支給した事例なのですか。
○岡久職認官 全て業務上として認定している事例です。
○山口委員 そうすると、今パワハラという認定基準はないから、どういう項目で認定したのですか。今はパワハラがないけれども、これで認定できたのだったら、パワハラという特別なものができなくても、これで認定すれば対応できるということにもなりかねないでしょう。だから、パワハラという認定基準を特別に作る必要性がどの程度あるのかということに関連して伺っているのですが、これだとパワハラの認定基準がなくても認定できていると言われてしまうのではないですか。
○佐藤補佐 その点に関しましては、冒頭に御説明もさせていただいてはいるのですが、もともとパワハラと定義上言われるものについても、これまでも嫌がらせ・いじめ等で認定されてきたものにつきまして、今回、パワハラというものが法令上定義が明確化されたことを受けて、認定基準上の心理的負荷表というものを見直して、パワハラという類型を付けた上で整理し直すというのが、今回の見直しの目的、趣旨ということで。
○山口委員 これは基準監督署長が業務上の認定をした事例だとおっしゃいましたが、業務外の認定が裁判になって争われて、裁判で業務上だと言われたなら、行政上の扱いとは違うから、行政上の扱いをきちんとするためにパワハラの認定基準が絶対に必要ということになってくると思いますけれども、行政が現在の状況で業務上の認定をして支給しているのだったら、特別にパワハラの認定基準は要らないのではないか。こういうような意見が出てきたら、どう答えますか。
○佐藤補佐 認定基準の心理的負荷表に載せることによって、請求する方にこういう事案は請求の対象となり得るということを明確にすることができますし、また、実際に署が現場において認定する際の認定実務上も、こういった事例は心理的負荷としてはこれぐらいあるということが、具体的な事例として示すことで迅速に認定しやすくなるという効果もあるのではないかというように考えています。
○山口委員 今の説明は全然分かりません。
○品田委員 まず、分析結果の作り方がそもそもおかしいのです。身体的攻撃と精神的攻撃に分けたければ分けて、その理由がどういう事実関係であったかと分けるならまだしも、これではほぼ意味がありません。過小な要求という項目についても、そのことを理由に認定したとは言えないだろうと思いますので、こうしたものを作るなら今後もうちょっと考えたほうがいいと思います。
山口委員がおっしゃった点で言えば、前回も出たように、パワーハラスメントだと自分では思いながらも、上司が言っていることは正しいために請求しないという人は一定数いると思うのです。そういう人たちに対して、これはパワハラというものができたことによって、保険請求だから請求できるということを広報する意味が絶対的にあると思います。
もう1つは、監督署もパワハラができたことによって、これから我々が検討するメルクマールがはっきりしてくれば、今までは業務上の正当な指導だからといって、上司とのトラブルに当たって、ひどいけれども、上司とのトラブルで中だなという判断をしてきたものが、パワハラができることによって、これは強だということを思い切ってできるようになるという意義があるかなと思います。
○西村課長 若干の補足ですが、冒頭に説明させていただきましたが、今回改めてパワハラの定義ができたこと、これは平成23年の検討のときに、もう「パワハラ」という言葉を使おうかという議論があったのですが、そのときについては、円卓会議というのをやられていたときなのですが、世の中で「パワハラ」の定義がしっかりしていないので、パワハラという言葉を使うことは今後の課題にしようではないかということで、平成23年の報告書はまとまっております。それで、今回定義がしっかりなされたということで、御議論を頂いております。
ただ、山口委員からはパワハラは拾われているではないかということですが、世の中の出来事を全て心理的負荷表の中に当てはめようという仕組みですから、どのような出来事でもこの中に当てはめて、認定できるものは認定していこうという趣旨ですので、なくてもできたではないかと言われればそれまでです。
ただ、一方で、請求人が、私はパワハラを受けたのだけれども、どこに当たるのだという人もいるかもしれません。そういう意味では、請求のしやすさという面では、効果もあるのではないかと思います。
○黒木座長 臨床的にも、それから請求事案を見ても、自分はパワハラを受けたと、あるいは臨床的にも自分はパワハラを受けたということで来院する患者は日常で増えています。だから、こういったものが項目として出てくると分かりやすいし、本人も納得されるし、我々もやりやすいということになると思います。
○山口委員 私が申し上げた真意は、認定基準は作らなくてもいいということではないのです。現在、どこかで処理できているのに認定基準を作ったら、二重に当てはまることになりますよね。だから、運用上混乱が生じるから、それを避けるようにしておかないと、基準を作ってもうまく運用できないと思いますので、そこのところをはっきりさせたいということです。認定基準を作るのに反対ということではありません。
○黒木座長 確かに、対人関係のトラブルとか、業務上の範囲外あるいは範囲内という、この辺は今後ちゃんと整理しないと訳が分からなくなってしまうので、またよろしくお願いします。
○荒井委員 山口委員のおっしゃったことの1つの答えとしては、昔、セクハラというのが広まった時代があって、何でもかんでもセクハラと言われた時代があって、それが区分されていった歴史が労災の中であるのだと思うのですが、パワーハラスメントについても同じで、被災者と思われる方が、自分はパワハラを受けた、あるいは外来でもパワハラに遭ったというように主張されているときに、それがどれぐらいの程度なのかということを客観的にお示しできるのが、この基準作りの中身だろうと思います。ですから、あなたのはパワーハラスメントかもしれないけれども、軽いものだとか、中ぐらいだとか、あるいは強いものだというように私は考えるというような説明は可能になってきますし、実務的にも、パワーハラスメントということが訴えられていて、でも、それは認めるけれども、弱の項目なのですよという整理ができると、被災者の理解がより深まるのではないかという気がいたします。
○山口委員 私は、荒井委員の意見に反対しているわけではないのです。きちんと整理した上でやらないと、行政上混乱が生じたら困るのではないですかということなのです。
○吉川委員 今の議論を聞きながら、資料3のデータをよく見てみると、恐らく1から6のうちの3要件が当てはまるパワハラの要件のものが、新しい項目の中に落ちていって、「類型なし」というものには、例えば看護師が行ったら入居者からいつも舌打ちされるとか、カスタマーハラスメントのような、直接の労使関係のない方から非常にいじめとか嫌がらせを受けているようなケースは、この点線で囲った「類型なし」の中に入っているのではないかと思いますので、それはそのまま項目26に残るような形で救済されていくのではないかと思いました。
○三柴委員 項目分けしていく中でこういう問題は解消するのだろうと思うのですが、具体的な例を挙げるときに、言わばひどい例、これはもう明らかに当たるでしょうというようなものを挙げてアナウンス効果を狙うのか、それとも限界事例、どちらになるのか悩ましいものを挙げて、判断しやすくするのかという、そこは事務局にも考えていただく必要があるかなと思っています。
もう少し申し上げますと、身体的暴力のようなケースと精神的暴力を分けるほうがいいのではないかという御意見について、ここは私も悩むのですが、経過からすると、ヨーロッパでは身体的暴力に匹敵するものとしてモラルハラスメントを定義して何とかしようとしてきたという経過はあるので、刑事犯罪と労災補償はまた違うということもありますし、現状は一緒にとらえているということについては、実はメリットもあるかもしれません。それだけ申し上げておきます。荒井委員の御所見に賛成ではあるのですが、そういう観点もあるかなということです。
○阿部委員 先ほど事務局からの御説明で、6類型を今回の出来事で分けるかどうか、件数が少ないから統合することも考えられるのではないかというお話がありました。しかし、裁判例では過小な要求として、例えばラベル貼りしかさせないなどのケースも見られるので、今回の労災認定の事例で件数が少ないからといって載せないよりは、かなり考えられてはじめて整理された6類型だと思いますので、同じような形で労災認定のほうでも載せるほうが、労働者にとっては分かりやすいのではないかという気もしています。
○黒木座長 具体的な例示として載せる分には、別に構わないですよね。
○西岡室長 その点に関しては、確かに先生がおっしゃるとおり、より具体的にできると思うのです。分ければ、分かりやすさとか明確化、具体化につながるのかなと思っていますが、我々が少し懸念するところは、事例が少ないとすると、実際に今度は心理的負荷で強の例を参考にする場合は、先ほどおっしゃったように裁判例を参考にするのかという話になってくるのですが、支給決定された事例ではないということで、適切なものを記述できるかどうかという問題が1つあるのです。
それから、6つの類型で、6つのそれぞれの心理的負荷が実際に労災で一律に全部強なのか中なのか、平均的な心理的負荷の評価にも関わってくると思うのですが、そこのエビデンスの問題もあって、なかなか評価しづらいということがあります。
それから、パワハラということで6つ、一応パワハラのグルーピングに入るわけですから、それぞれの出来事間の、複数の出来事に当たった場合ということで、今回も便宜上、6つの類型ということで整理した形にはなっていますが、実際に本当に6類型に当たるかどうかというのは非常に微妙なところもあります。例えば個の侵害というところも、これは多分に精神的な攻撃とも絡んでいるという話もあるものですから、そもそも、どこでそれを精神的な攻撃に入れるのか、個の侵害で評価するのか。入口のところで当てはめが非常に難しいということもあります。
そういったところもあって、6類型で合わせて出来事もそろえていくというのは、我々も検討したところでは、難しい点もあるのかなと考えています。
○阿部委員 両方に当たるというのは、実務上は可能なのですか。精神的攻撃にも当たるし、個の侵害にも当たるというような。
○西岡室長 それは整理の仕方で、どちらかに該当するという整理を無理矢理すればいいと思うのですが。
○阿部委員 両方に当たるというよりは、どちらかにと。
○西岡室長 そうですね。どちらかに当たるというようにしないと、まず出来事で評価して、複数にある場合は、今度は全体評価はどうするかという話になってくるものですから。
○黒木座長 では、細分化に関しては、今後検討するようなことでよろしいでしょうか。大きくとらえるという方向性ではよろしいでしょうか。基本的には、パワーハラスメントを受けたという出来事を追加する方向でよろしいでしょうか。
 (異議なし)
○黒木座長 それでは次に、新たにパワーハラスメントの出来事を追加した場合、現行の心理的負荷表における具体的な出来事、(ひどい)嫌がらせ・いじめ、又は暴行を受けたという項目29ですが、この扱いはどうすべきか、また関連して具体的な出来事、「上司とのトラブルがあった」、「同僚とのトラブルがあった」、「部下とのトラブルがあった」、との関係をどう整理するかということについて検討したいと思います。この論点について、事務局から御説明をお願いします。
○佐藤補佐 まず、資料1の2ページをお開きください。こちらの囲みの部分を御覧ください。上司ではなくて同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの、同僚又は部下から集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるものは、先ほどのパワハラ指針にもありましたとおり、優越的な関係を背景とした言動に当たりますので、パワーハラスメントに該当する可能性がありますが、これに該当しない同僚間の業務上必要かつ相当な範囲を超える言動による嫌がらせ・いじめについては、パワーハラスメントの定義に該当しないのではないかと考えているところです。
このほかにも、嫌がらせ・いじめというものは、その行為、態様も様々ですが、パワーハラスメントに当たらない嫌がらせ・いじめというものもとらえる出来事の項目は必要となってくるのではないかと考えているところです。
そこで先ほど御覧いただいた資料3の点線で囲んだ部分についてですが、これは同僚や部下からの暴行やいじめ行為などによる事例で、こういったものも一定の件数の認定が毎年認められているという状況です。このため、新たな出来事類型、「パワーハラスメント」の具体的出来事を追加したとしても、同僚、部下からのいじめ行為等の事例は新類型の対象とならないほか、そもそも嫌がらせ・いじめの事例については、対象とする何らかの具体例を引き続き出来事として設けることが必要ではないかと考えているところです。
続いて、そういった出来事類型を追加したということに関連して、今ある具体的出来事の「上司とのトラブルがあった」とか、「同僚とのトラブルがあった」、「部下とのトラブルがあった」との関係をどうするべきかという論点について、引き続き説明いたします。
現行の心理的負荷表においては、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という項目29における嫌がらせ・いじめについては、上司が部下に対して行った業務指導の範囲を逸脱した言動、同僚等が結託して行う不快な言動等を指しているところですが、一方で上司からの業務指導の範囲である指導、叱責、業務上の対立を原因とする心理的負荷については、「上司とのトラブルがあった」という出来事で現在は評価しているところです。
この点について、第1回の検討会においては、嫌がらせ・いじめというものは業務指導の範囲を超えるものとは似て非なるものであり、発言の内容や背景が正しくても、業務指導の範囲内にあったとしても、その方法においていきすぎ等があればパワハラとなるのではないか、それから、業務上の範囲を逸脱していなくても、指導のやり方によってパワーハラスメントになるのであれば、業務上のひどい指導がパワーハラスメントに該当する場合も、従来の認定基準の「対人関係」で拾えるようにしたほうがよいのではないかといった御意見を頂戴したところです。
そこで、事務局として、パワーハラスメントの考え方を整理したものを資料4として付けておりますので、御覧ください。こちらは現行の出来事類型で、「対人関係」の中にある具体的出来事と、新たに設けるパワーハラスメントの具体的出来事の関係について、事務局として一定程度考え方を整理した資料です。
まず、現行の心理的負荷表にある「上司とのトラブルがあった」は、上司から業務指導の範囲内の指導・叱責、業務上の対立を評価する項目ですが、この業務指導の範囲内というものについては、今回のパワーハラスメントの指針で示された定義に記載されている部分を踏まえて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導であることを明確化させることとしてはどうかと考えています。
その上で、現行の心理的負荷表にある、上司や部下に対して行った業務指導の範囲を逸脱した言動と評価する項目である「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」については、この業務指導の範囲を逸脱した言動というのを、今申し上げたとおり、適正な業務指示や指導も含めて、逸脱するものであると整理させていただいた上で、この「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という出来事に分類されたものの中から、今般のパワーハラスメントという考え方に該当するものを今後パワーハラスメントという出来事で評価させていただく。このように考え方を整理した資料を示しているところです。以上です。
○黒木座長 ただいまの事務局の説明では、同僚又は部下からの「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」はパワーハラスメントに該当しない事例もあり得ること、そのような事例が毎年一定数以上認められるとのことでした。また、資料4として、現行の出来事の類型、対人関係の具体的出来事とパワーハラスメントの具体的な出来事などの関係性について、事務局としての一定の整理案が示されました。以上を踏まえて、御議論ください。
○山口委員 質問です。資料4の1、2に先ほど来から問題になっている「業務指導の範囲内」という言葉が使われているのですが、この2の「業務指導の範囲を逸脱した」というような例を見ると、これは指導の方法とか手段を逸脱したという意味で使われているのではないかと思いますが、注で書いてある指針のほうの言葉をそのまま使っているところを見ると、「業務上必要かつ相当な範囲で」と書いてあるので、これは担当の業務に関係があるかどうかを内か外の指示であるかというようにも読めるのですが、ここはどうでしょうか。これは一番重要なところだから、疑問がないように整理しておく必要があるのではないかと思いますが。
○黒木座長 いかがですか。
○西岡室長 こちらについては、現行は「業務指導の範囲」しか書いていなくて、業務指導の範囲を逸脱したか範囲内かということなのですが、現行の運用上も、この業務指導の範囲というのは手段や方法が適正なものというのを前提に考えているわけですが、今回、パワハラの指針の中で「業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示か指導」であるかというところで、パワハラに当たるか当たらないかというものが示されました。そういう意味では、それが適正かどうかということは、指導の方法、手段というところも入るかと思うのですが、そういう概念で適正なものであるということを、ここで明記したほうがいいのではないかというところで、※の所は現行はこのようにやっているということではなくて、今回パワハラ指針が示されたことを受けて、ここの解釈はこのように明確にしたほうがパワハラの定義との整合性も取れるのではないかという趣旨です。
○山口委員 私の意図が伝わっていないようですが、私は何もいちゃもんを付けているわけではないので、1のほうと2の両方に「業務指導の範囲」という言葉が出てきます。これを、もし※が付いている「業務上必要かつ相当な範囲で行われる」というものの意味を、パワハラの対象になっている人の仕事の範囲内での指導と取るのか、それと関係なくても指導の方法とか手段とか、それも入るのかによって、どこまでをパワハラとするのか違ってくるのです。違ってきても、もちろんそれでいいので、それの対応をどうするかということをここで検討すればいいのですが、はっきりしておかないと重複して混同してしまって、基準を作っても使えなくなるという心配なのです。
例えば1のほうですが、担当の仕事の範囲内だということだったら、暴行とか傷害とか、方法が逸脱していたって、それは正当な指導だということになってしまって、指針の言葉だと、パワハラにならないということになるのです。だけれども、2の所で「業務指導の範囲」というのは仕事をしている人の担当の範囲内以外に、指導の方法とか結果も入るということだったら、これでパワハラの基準に入れることができますが、そこの心配なのです。
○品田委員 正に山口委員が先ほどおっしゃったように、この認定基準は基準として使えるものでないと作っても意味がないし、かえって混乱させると思います。
この考え方の例を見ますと、私から言わせると、質の問題と量の問題が混在していて、全く分からなくなってしまう。つまり、実務でどういう判断をするかをイメージしていただければ分かると思うのですが、例えば上司がこれは正当な指導の範囲だったと言ってきます。労働者は逸脱している、このようなことまで言われる筋合いはないといったとします。そうした中において、どの基準を使って判断するかということになるわけですが、今回パワハラができたわけですから、それがパワハラに当たるかどうかを具体的基準に当てはめて検討していきます。ところが、それが業務指導の範囲内であったということになると、途端に上司とのトラブルで判断するということになってしまう。つまり、それはパワハラで判断しても弱だという判断で済むことであって、わざわざ上司とのトラブルで解決する道に進む必要はないわけです。
質問なのですが、上司とのトラブルで強になる例というのは、どのような例なのでしょうか。もう1つは、嫌がらせ・いじめを残すことは賛成なのですが、ここで業務指導ということにこだわると、これもまたパワハラと訳が分からなくなります。先ほど吉川委員がおっしゃったように、ああいう例もあるわけで、嫌がらせ・いじめは上司との関係なく起こることを想定したほうが、より分かりやすいと思います。もし上司との関係で言うのであれば、業務指導とは関係のないことの中で、そうしたひどい嫌がらせ・いじめを受けた場合においては、こちらで検討するという筋にすれば、存在意義はあるかなという気がします。
○三柴委員 今発言されたお二方の延長に乗せる形で申し上げますと、確かに適正な業務の範囲内にあるかどうかというのは、最終的には質的な判断になるというのは一貫して申し上げていることですが、その判断の過程をクリアにする作業はしてもいいのかなと思います。
その意味では、まず第1基準としては、業務上の領域にあるかどうか、範囲内にあるかどうかという考え方で、そこで入ったとなったら、次に方法、やり方を問うという、比較的量的な基準と比較的質的な基準を、第1と第2というように組み合わせると良いのではないか。労災認定の一般的な基準である、まず業務遂行性でいって、その後に起因性で判断するというのと似ていますが、そういう基準の立て方はあるのかなと思います。これがいいとは言いませんけれども、そういったプロセスとしての基準を立ててもいいかな、とは思います。
○山口委員 医学の先生方にお伺いしたいのですが、この会はパワハラの定義をしようとしているのではなく、パワハラの業務上の認定をどうやろうかということですから、問題は業務上の認定です。だから、パワハラの概念が多少はっきりしなくても、業務上外の認定については、医学上の対応で十分やれるということだったら、何もパワハラの概念について法律家がとやかく言う必要はないのです。お任せしますという話なのですが、その辺はどうでしょうか。
お任せした上で、気を付けなくてはいけないのは、パワハラの概念が広くなりますと、ほかのパワハラとは言っていない項目でも該当することがあるから、その重複をどう避けるかという問題で、これは法律家か事務方の問題です。それはそれでいいのですが。パワハラはそんなに厳格にしなくても、業務上の認定はちゃんとやれるのだったらということですが、その辺はどうでしょうか。
○黒木座長 丸山委員、いかがですか。
○丸山委員 曖昧にするのはよくないと思います。公正公平が基本でしょうから。例えば医学的に言えば、ICDで重度ストレス反応および適応障害というのがあります。適応障害で言えば、出来事はストレス性の出来事ということになっています。それから、PTSDとか、ICDでは急性ストレス反応。そのような場合にはトラウマティックな出来事です。かなり質的に違うわけです。そういう意味では、パワーハラスメントというのが非常に程度が曖昧なのです。
つまり、労災の認定というのは1か0かの世界です。全か無かの世界なので、こういうものは労災認定されるのだということを明確に書いておくことが、非常に重要だと思います。
ですから、これが中だ、これが弱だというのは研究の世界の話であって、労災で皆が関心があるのは、実際にこれが認められるがどうかということなのです。ですから、例えば「ひどい嫌がらせ」とか、これは全部形容詞が付いているのです。「嫌がらせ」という単純な話ではないのです。パワーハラスメントという中に、相当ひどいということばかりではなく、今の話だと中も弱もあるという話ですよね。そこですごく混乱していると思うので、弱は余りないと思いますが、中も強もあるのであれば、やはり頭に何か付けないと、ずっとむなしい議論が続くという気がします。
やはり、パワーハラメスントはどうでもいいよという話ではなくて、労災的にはきちんと決めないと、全国にはいっぱい都道府県があるので、それが公正公平に行われるためには、きちんとここで議論して、特に、こういうものが認められるのだというところの具体例を示さなければいけません。それに対して、中や弱というのは、議論があってもいいかと思いますが、強をちゃんと書いておけば、そう難しくないと思いますし、そうでないと、これは幾ら議論しても着地点にたどり着かないと思います。
○黒木座長 山口委員、よろしいですか。
○山口委員 よく分かりました。
○品田委員 追加になりますが、職場という空間をもう少し広くとらえて考えるべきで、上司と部下だから命令の関係の中において物事が処理されるだろうというのは、役所はそうなのかもしれませんが、民間の場合ですといろいろな関係性が出てきます。最初に言いましたように、先輩からの言動が退職の要因に繋がりやすいということを考えますと、命令系統の中で職場の人間関係が全てできるわけではないのです。違う所で苦しみが出てきたりするわけです。そうすると、それらも問題だというようにとらえるという意味で、上司とのトラブルを使うとか、嫌がらせ・いじめの概念を使うというように考えればいいのではないでしょうか。上司とのトラブルについても業務命令と言い出すと訳が分からなくなってきてしまう。そこがとても私は不安です。
○三柴委員 先ほど品田委員が事務局に問われた、残る上司とのトラブルで、強の例ではどのようなものがイメージされますか。
○佐藤補佐 上司トラブルの強の事例としては、「業務における方針等において、周囲からも客観的に認識されるような大きな対立が上司との間に生じ、その後の業務に大きな支障を来した」というのが強の事例ということにしております。
○黒木座長 これは上司も同僚も部下も、全部のトラブルに関して、そういう組立てになっているのです。だから、客観的に対立があったということと、業務に大きな支障が出た。これがあれば業務上ということにカウントされるということですよね。
○品田委員 認定例で強になった例を、私は見たことはないし、それももし強にするのであったら、パワハラでとらえるべき内容になるだろうなと考えます。
○三柴委員 確かに品田委員がおっしゃるとおりだと思います。というのは、今おっしゃった例というのは、外形的には、ある意味で対等な関係での上司と部下との対立という考え方をしているけれども、やはり上司と部下の関係があるからこそ、強になるというとらえ方も可能なのかなと。確かに、そこの区分けは非常に難しくなるかなという気はします。
○品田委員 ただし、必要ないと言っているわけではなくて、先ほど言いましたように、上司と部下の関係においても、金銭関係の問題が出たり、恋愛関係の問題が出たり、セクハラとは言えないような関係も出ます。そうした場合においては上司だから言いたいことが言えないという状況になって、病気になる人もいますので、これはこれでいいと思います。業務指導を残すことに、混乱の根幹があるのではないかというのが、私の意見です。
○黒木座長 事務局からはいかがでしょうか。
○西村課長 今、混乱をしているのは我々が適切なお答えをしていないからだと思います。資料4の山口委員の御質問に、まだお答えできていないのかなと思っています。
一番分かりやすいのは、いじめ、嫌がらせ、パワハラというのは並列にあって、そこと上司トラブルの線は何だろうということだと思うのですが、そこは、まず1つは業務指導の範囲で、それというのは何なのか。手段なのか業務なのかと言うと、一般的にはこれまで業務ととらえているのですが、我々の今の考え方は、仕事の範囲であって、そして、その言い方も適切なもの。適切ではないものではないというものを上司トラブルでいきましょうという趣旨で、この説明をさせていただいたということです。
○山口委員 それは反対ではありません。それだったら、それをこの文章ではっきり出すべきだという意見です。指針はそのようなことは何も言っていないから、いろいろと解釈が可能なのです。もし、そういう解釈だったら、この認定基準を作るときの文書で、業務の範囲はこういうことだというのをはっきり、手段、方法も含めてだということを言うべきです。私は何も反対ではないのです。
○西村課長 そこで資料4なのですが、この1と2は小さな字で書いてあるのですが、例えば2の(ひどい)嫌がらせ・いじめの所ですが、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導であるかということをきちんとしておいたほうがいいのではないかということで、こういう資料を作らせていただきました。
○品田委員 それが、私はパワハラの量の問題ではないかと言っているわけです。つまり、適正だったらパワハラで弱になるだけですよね。そうすると、上司とのトラブルというのは、同じ概念だったら、両方で毎回2つの判断を示さなければいけないことになってしまわないかという話です。
○黒木座長 どうでしょうか。なかなか結論が出ないですね。ここは整理したほうがいいと思うので、パワーハラスメントでとらえていく、あるいは上司とのトラブルでとらえると、ここは線引きが難しいし、逸脱した言動と言っても、なかなか見えない部分があるので、実際はそういうことが行われていても、そこが見えないと上司とのトラブルということで評価するということもあり得ると思うのです。だから、いろいろな角度でとらえたほうがいいと思うのですが、もう少し事務局で練ってもらってもよろしいですか。
○西村課長 また整理をさせていただきたいと思います。
○黒木座長 それでは、この類型がないというところをどう考えるかということです。ここは、事務局としてはどう考えているのでしょうか。
○西岡室長 これについては先ほども申し上げましたように、基本的にはパワハラというのはパワハラの定義に従うということであれば、優越性のない同僚間での嫌がらせ・いじめというのは、新たなパワハラの出来事で評価し得ないということになりますので、そうすると、それを評価する出来事として、嫌がらせ・いじめというところは、名称は別としても何らかの形で評価するところは必要なのではないのかなと思います。
それから、先ほども申し上げましたように、認定例としては類型なしというのは同僚間というものがあるわけですけれども、そのほかに介護施設などでの入居者によるいじめの話であるとか、それ以外の、パワハラには当たらないけれども、いわゆる「嫌がらせ・いじめ」というのは広くとらえられる事例というのはあると思いますので、それを評価する出来事として、現行は「嫌がらせ・いじめせ」になっていますので、そういったところでの出来事というのは、評価しないといけないのではないかとは思っています。
○黒木座長 そうすると、ここは、「嫌がらせ・いじめ」は残す形のほうが救えるということですね。これはいかがでしょうか。
○山口委員 ただ、そうしますと、先ほど申し上げたように、前のほうの対人関係以外の所の項目で、該当するものも出てきますから、その場合にどう処理するかという方法を決めなければいけません。例えば両方に該当した場合には、パワハラのほうで処理するとか、そういうことが必要になってくると思います。その処理さえできれば、それでいいと思います。
○黒木座長 これに関しては、対人関係の類型の出来事ということで、このパワーハラスメントの出来事とは別に残すということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○黒木座長 それでは、新たに具体的な出来事を追加した場合、当該出来事の平均的な心理的負荷の強度については、何か事務局から説明はありますか。
○佐藤補佐 この論点につきましては、時間がもう残り僅かでございますので、次回にまた改めて御検討いただければと思います。次の論点に移っていただければと考えております。
○黒木座長 次に、「パワーハラスメントに関する具体的な出来事の心理的負荷に関わる強度に関する具体例の追加・修正」ということで検討します。論点としては、次の2つがあります。新たにパワーハラスメントの具体的な出来事を追加した場合、当該出来事の弱、中及び強の具体例はどのように示すべきか、また記載する場合、それぞれ具体的な内容をどのようにすべきかと、新たにパワーハラスメントの出来事を追加した場合、残存される嫌がらせ・いじめの出来事の弱、中及び強の具体例はどのように示すべきか、また記載する場合、それぞれの具体的な内容をどのようにするべきか。この論点について、過去の支給決定事例を踏まえて記載する必要があると考えますが、何かこれについては御意見はございますでしょうか。
○三柴委員 結論に異論はありません。つまり、これを例えば強に持っていくとしたときに、その点には異論はありません。
この論点は、単にパワハラという概念を既存の項目から抜き出して、ある種の整理とアナウンス効果を持たせるという目的に照らしたときに、結構実質的な意味がある。それと違った意味が出てくる可能性があります。つまり、パワハラというのは基本は強なのだとするとしますと、それは大事な問題なのだ、大変な問題なのだというアナウンス効果も出るわけですが、そこに何を書き込むかによって、今まで強にならなかったものが、強になる可能性が出てくると。それは、その意味では結構重要な論点だなとは思っています。
○黒木座長 小山委員、何か御意見はございますか。
○小山委員 今、三柴委員の言われたとおり、何を書き込むかというのはちゃんと議論しなければいけないだろうと思います。パワハラという概念のとらえ方が出てきたのが、最近のことですので、今まではパワハラという形ではなくて、嫌がらせ・いじめというところで、その中で、形容詞が付いて、ひどい嫌がらせ・いじめであれば強にしましょうという形で評価されていたと思います。
それを従来の嫌がらせ・いじめから独立してパワハラという1つの別項目として取り出してやるならば、パワハラの定義のもとでパワハラの中でも、どういうものを強にするのか、中にするのかというのは、確かにきちんと基準を出していただかないと、実際に私たちが評価するときにはかなり混乱してくるだろうと思います。
先ほど言ったように、最近になってパワハラという言葉が出てきて、これがパワハラに該当するのだ、強いパワハラを受けたのだという事例がいろいろと出てきていますので、その中の例をもって、どういうのが強に当たるのか、弱に当たるのかということを具体例を見直して、検討しなければいけないだろうと思うのです。
従来ひどい嫌がらせ、その中で強になるのは、人格を否定するようなものは強と評価されていました。最近では、パワハラも、業務内容であっても、かなり何度も繰り返しそれが行われているというようなもの、1対1もありますし、ときには大勢の人たちの面前で、非常に強い叱責を受けたとか、そういう場合は1対1の場合との負荷の違いもあるだろうと思います。それから、繰り返し毎日のように起こる場合、1回でも何時間にもわたって、4時間にも5時間にもわたってやられて、しかも時間帯によっては夜の時間で、真夜中で及ぶまでやられて、非常に心身ともに疲労困憊状態に陥っていることもあります。
パワハラと思われる事例、判断に迷う事例等が結構集まってきていると思うので、そこら辺を整理していただいて検討したほうがいいと思います。実際のことを知らない中で色々議論していても、なかなか決め難いのではないかと思うので、そういう例題を出していただいたほうが、より皆さんで検討しやすくならないかなということなのだろうと思います。
○黒木座長 ほかには何か御意見はございますか。
○吉川委員 次回以降の検討になるかもしれないのですが、具体的な事例を読むときに、精神科の先生方が判断したときに、起きた出来事や、ばく露の状況によって症状が変化するというのは結構あると思うのですが、ばく露して、診断した結果によって、ハラスメントの強弱について判断されるということはあるのでしょうか。
○黒木座長 診断の基準があるので、例えば急性ストレス障害であるとか、PTSDであるとか、それを引き起こす出来事というのは、危うく死ぬ、重症を負うかもしれないという、これは強の出来事に一致して同じような出来事ですから、診断と出来事との関係は因果関係はあると思うのです。
ただ、精神疾患が発症しているということは前提なので、そこに例えば6か月間、あるいはもっと遡って強い出来事があれば、これは因果関係はありということでいいと思うのです。何か追加はあるでしょうか。
それでは、ただいまの検討の結果として、新たに追加する出来事、パワーハラスメントと残存させる出来事、嫌がらせ・いじめの弱、中及び強の具体例については、過去の支給決定事例を踏まえて次回に検討するということにいたします。この過去の支給決定事例には個人情報等が含まれ、特定の個人の権利、又は利益を害するおそれがあるため、非公開で行うこととしたいと思います。それでは、時間を過ぎましたが、これで検討会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。
○岡久職認官 本検討会は、労働施策総合推進法が施行されるのが6月を予定されていますので、それまでには検討会としての結論を取りまとめていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
また、次回の検討会の日時と場所については、後日改めてお知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。