第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和元年7月30日(火)13:00~15:00

場所

中央合同庁舎5号館 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. 1.建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
  2. 2.その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を開催いたします。
 委員の出席状況ですが、本日は全員御出席いただいております。また、会議の冒頭に当たり、今回事務局に異動がございましたので御紹介いたします。新たに安全衛生部長として着任した村山です。
○安全衛生部長 村山でございます。よろしくお願い申し上げます。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは、以下の議事進行につきましては、豊澤座長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○豊澤座長 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 お手元のタブレットを御覧ください。タブレットの「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の中にPDFファイルを7点ほど入れております。「00」という数字が振ってあるものが議事次第、それから資料一覧になります。それから順に、「01」と振っているものが資料1-1、「02」と振ってあるものが資料1-2、「03」と振っているのが資料2、参考資料として「04」に、この会議の開催要綱及び参集者名簿の新しいものを付けております。また、参考資料2、参考資料3を「05」「06」の番号を振って御用意しております。そのほか、前回までの検討会、それからワーキンググループで使用した資料については、それぞれの検討会等の名前が入っているフォルダの中に入れていますので、随時、御参照いただければと思います。何か御質問等はございますでしょうか。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入ります。議事次第の(1)建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項についてです。第2回の検討会ワーキンググループ合同会合で確認した論点に関する技術的事項についての、ワーキンググループでの検討結果を報告することとしております。第5回ワーキンググループでは、事務局でまとめた対策の方向性について議論がなされました。それらを踏まえて検討会へ報告する内容として、本日の資料1-1の対策の方向性(案)と、ワーキンググループでの主な意見と、それを踏まえて事務局で作成した対応案を資料1-2にまとめてもらっております。それでは、事務局から資料1-1、資料1-2について説明をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 資料1-1と資料1-2を使って説明させていただきます。委員の皆様には、前回までの検討会とワーキングで使用した資料について、お手元のタブレットに参照資料として御用意しています。説明に当たって、第2回合同検討会で使った資料4で論点案を整理していますので、整理した論点と合わせて御説明いたしますので、これについても開いておいていただければと思います。まず、資料1-1について説明いたします。その後、第5回ワーキンググループで頂いた主な御意見と、それらを踏まえた事事務局作成の対応案を説明いたします。資料1-1と、第2回合同検討会の資料4を御用意ください。
 まず、資料1-1ですが、対策の方向性ということで、第5回ワーキンググループに事務局から出したものです。そのうちの1から3について、まず説明いたします。1に、事前調査の方法(範囲)について対策の方向性をまとめています。この事前調査の方法については、第2回合同検討会で整理した論点で、現状と課題、対策の見直しに関する論点を示していますが、この事前調査に関しては、現在、石綿則第3条第1項において規定しているところですが、調査を行う者の要件を明確に示していない等の課題があります。一方で、この事前調査に関する知見やノウハウ等の集積等により、適切な事前調査のためには石綿に関し一定の知見等を有する者が行うことが従前より求められている状況にあるということです。また、事前調査の方法については、指針とマニュアル等には具体的な内容を示していますが、法令上、具体的な方法(範囲)については示されていない状況にあります。一方、このような中で総務省の勧告において、石綿含有建材の調査が不十分で、必要な措置が講じられず解体等が行われている事例が示されるなど、適切な事前調査の徹底が必要な状況が見られているということです。また、それらの問題事案の発生の要因には、事前調査者の建築物や石綿建材に関する知識不足、調査を行うべき方法に関する認識不足が挙げられているというような課題があります。
 これを受けて、第2回合同検討会においては、法令上の義務となる事前調査の方法(範囲)を一層明確にすること、それから事前調査者に関しては、具体的な要件等を明確にするとともに、能力習得のための講習制度等の整備をすることが必要ではないかという点、こちらについて論点として整理されております。
 その論点を受けて、資料1-1ですが、事前調査の方法(範囲)については、法令上の義務となるものについて一層明確にすることが必要である。また、建築物の事前調査の方法(範囲)については、現地調査を必須化するとともに、以下のような調査内容を明確化するというように取りまとめております。具体的に現地調査については、外観からでは直接確認できない部分も含め、解体・改修作業に関わる全ての部位を対象とするという形にまとめております。
 また、同一と考えられる材料の範囲については、同一ロットのものなどを例示するとともに、例えば表面仕上げが同一色であることをもって同一と考えられる材料の範囲だとは判断しないこと。それから、天井板であれば点検口から裏面を確認するなどの客観的かつ合理的な判断方法を示すことが必要である。このような形で取りまとめております。
 また、分析のための試料採取に当たっては、同一と考えられる材料の範囲内においても石綿の含有状況は一様でないということから、吹付け材であれば当該同一範囲を3等分して、計3か所から採取するなど、材料の変動性・均一性を適切に考慮して採取箇所を選定することを示すということで、取りまとめています。
 また、2の事前調査者の能力要件のところです。(1)適切な能力を有する事前調査者が着実に育成・確保されるよう、事前調査者の具体的な要件等を明確にするとともに、能力修得のための講習制度等を整備することが必要ということでまとめています。また、(2)この事前調査者の具体的な要件等としては、建築物石綿含有建材調査者、これは昨年の10月に3省合同の告示として設置している調査者制度ですが、こちらの特定調査者又は一般調査者、又はそれと同等以上の知識と経験を有する者を、具体的な要件等としてはどうかということで取りまとめています。
 2ページ目を御覧ください。一方で、木造戸建てについては、鉄骨構造のビル等と比較し石綿含有建材は限定的であり、必要な知識の範囲も限られることなどから、この建築物石綿含有建材調査者の講習内容から、ビル等に係る講習内容は除くなど、木造戸建ての事前調査に特化した内容の講習とした上で、当該講習を受けた者も、これらの範囲の木造戸建てに関しては、これらの講習を受けた者も事前調査を行うことを可能としてはどうかということで取りまとめております。
 具体的に、この木造固建てに係る事前調査の講習内容の案として(5)にまとめています。現行の調査者の講習内容から一部、ビル等に関わる部分を除くことにしていますので、それぞれ時間数を少なくした形でカリキュラム案としてお示ししているところです。また、この講習に当たっては、現行の講習と同様に、1時間程度の筆記試験を設けることとし、受講資格についても、現行の調査者の受講資格と同じとするという形で取りまとめています。
 続いて、3の石綿含有分析を行う者の講習制度です。こちらについても、石綿則上、特段必要な場合は分析をすることを求めていますが、分析者の要件については明確化されておりません。そうしたことから、合同検討会の資料4の3ページ以降の2の石綿含有分析の所を御覧ください。この石綿含有分析については、分析を行う者の要件が明確に示されていないという現状があり、このような中、石綿分析を行っている者の中には十分な基礎知識のない者が散見されるなど、必ずしも必要な能力を有する者が分析を行っていない状況にあるという課題があります。このため、適切な能力を有する分析者が着実に確保されるよう、分析者の具体的な要件等を明確にするとともに、講習制度等を整備することが必要ではないかということで、この論点については事務局で取りまとめた内容で、こちらが資料1-1の3ページ目の3にまとめております。分析者の具体的な要件等を明確にするとともに、能力修得のための講習制度等を整備する、また分析者の具体的な要件等としては、以下に示す講習内容を修了した者、又はそれと同等以上の知識・経験を有する者としてはどうかということで、まとめております。なお、分析方法によっては分析機器が異なることから、少なくともどちらか一方の分析方法に係る講習を受講するということにしてはどうかということでまとめています。また、分析者の要件とする講習内容を(3)に示しています。
 続いて、4の事前調査結果の記録内容の所です。(1)でまとめているように、解体等の作業を行う労働者が石綿含有建材の場所等の詳細情報を共有して具体的に確認できるよう、調査結果を現場に備え付けることが必要。(2)として、調査結果については、行政による店社に対する指導において、関係書類として検査できるよう、解体現場等に関して記録した石綿含有建材の調査結果を保存することとしてはどうかということでまとめています。
 この記録する現地調査等の結果は、(2)のアとイの所に具体的な内容を示しています。具体的には、調査結果については、石綿含有建材の使用箇所を特定できる情報として、写真と図面等で残すことを求めてはどうかということでまとめています。
 5の作業計画に基づく作業の実施状況等の記録です。こちらについても、作業の実施状況、従事労働者の記録については、特に法令に基づいて実施が義務付けられている事項について記録することとし、自主点検の記録の保存年数が3年であることを踏まえ、一定の期間保存することを求めてはどうかということで、アのアとイの所で、作業の実施状況等の記録内容について具体的に取りまとめております。記録については、現場ごとに、日時・撮影場所・各措置の内容が分かる形で写真撮影等の方法により、記録することとしてはどうかということで取りまとめております。
 続いて、6の新たな簡易届出の対象です。合同検討会の資料4に戻ってください。5ページ目に、事業者に対する指導等について現状と課題をまとめています。床面積80平米以上の建築物の解体が、年間に約20万件あるなど、網羅的な解体現場の指導が現状では困難な状況にある。それから、解体業者においては、石綿作業主任者の選任、石綿健康診断の実施などが徹底されていないなど、基本的な管理対策が必ずしもなされていない状況にある。建築物の解体等における対策については、工場等での対策と異なり、解体後に石綿事前調査やこれに対応した対策を実施したか否かを確認することが困難である。このような課題がありまして、これらに対しての対策の見直しに関する論点については、先ほど御説明した事前調査の結果の記録の保存、作業の実施状況の記録の保存が必要ではないかということで、先ほどの取りまとめにつながっております。また、(5)ですが、店社指導を行うほか、現場への立入りにより解体等の前に、石綿の事前調査の実施状況を確認し、解体作業中に事前調査結果に応じた石綿ばく露防止対策を実施しているか否かを確認することができるよう、解体等の工事前に工事に関する一定の情報を記載した簡易な届出を提出することを求めてはどうか。
 このような論点を挙げていただいており、この論点に対して、新たな簡易届出の対象として、資料1-1の6にまとめております。(1)簡易届出の対象については、解体工事については、戸建ても含めて解体工事の大部分をカバーする範囲、かつ建設リサイクル法において、建設廃棄物発生検出量が全体の94%となるなどの規模基準として届出対象としている床面積80平米以上の解体工事を対象としてはどうかと。
 (2)解体以外の修繕・模様替え工事については、建設リサイクル法で、床面積80平米以上の解体工事と同量程度の廃棄物が出る範囲として基準が設けられている請負金額1億円以上の工事を対象としてはどうか。(3)石綿含有建材の使用が禁止された以降に建築されたことが確認できるものについては、着工年月日のみを記載することとして、7でお示ししていますが、その他の調査結果等の記載は除いてはどうか。このようなことで取りまとめていただいています。この箇所については、見え消しの資料になっていますが、こちらについては事実後に説明内容を詳細に示すということで、事務局で今回見え消しの形で出させていただいているところです。
 続いて、7の届出記載事項です。6で対象範囲をお示しした届出の記載事項については、事前調査及びそれに基づいて予定している措置を把握できるアからウの内容としてはどうかということで取りまとめています。アの基本情報、イの事前調査、ウに石綿等の調査結果及び予定する除去などに係る措置の内容ということで、必要事項としてお示ししております。イの事前調査の所ですが、当初、ワーキンググループのほうでお示しした際は、調査年月日が抜けていたこと、それから当初、未調査の箇所の有無というようにお示ししていましたが、法令上、作業をする際、あらかじめ調査をすることを求めているところで、この同じく法令上求める様式の中で、「未調査の箇所の有無」というのがあるということは、法令上の矛盾が生じますので、それについては誤りだったということで、修正させていただいています。「調査年月日」を加え、「未調査の箇所の有無」を消しています。
 続いて、8の隔離以外の作業現場及び建築仕上げ塗材に係る作業現場です。(1)は、いわゆるレベル3建材について求めている湿潤化です。これを求めているところですが、湿潤化が著しく困難な場合の代替措置として局所吸引などの措置について考えられるところですが、その効果及び導入が可能であるかという情報が十分でないということで、これらについて確認の上、湿潤化の代替措置として追加することを求めてはどうかということで取りまとめています。
 (2)は、石綿含有成形板を除去する作業に関してです。これらの成形板については基本的に破砕は行わずに除去することを原則とするとともに、特にケイ酸カルシウム板第1種の建材をやむを得ず破砕する場合については、比較的、飛散性が高いということで、湿潤化及び負圧隔離ではない養生を求めてはどうかということでまとめています。
 (4)は、仕上げ塗材に関する所です。吹付施工されたものは「吹き付けられた石綿等」、吹付施工以外で施工されたものについては、いわゆるレベル3建材として整理されている仕上塗材については、飛散状況等が吹き付けられた石綿等とは異なる状況も見られるということで、これらに必要な対策等を求めることが必要ですが、具体的な対策等について確認と検証が引き続き必要ということで、これが集まり次第、また検討する必要があるのではないかということで取りまとめております。
 (6)ですが、一方で建築建材等の種類、解体作業等の種類ごとに作業環境測定の結果を取りまとめて公表し、これらを参考にして各作業におけるリスクの把握、必要な呼吸用保護具の選定等を行うことを促進してはどうかということで、こちらについても隔離以外の作業現場等における措置として、国のほうで公表してはどうかということでまとめています。
 9の隔離・漏えい防止の具体的措置です。こちらについては(1)の所で、隔離・漏えい防止の具体的措置については、先ほどの5の所で求めた作業の実施状況等の記録を保存するなどのほか、以下による措置の徹底を図ってはどうかということで、アとイにまとめています。アについては、隔離空間からの石綿等の漏えい防止措置、イでは、それと同等の措置ということで、施工通達等で示しているグローブバッグ工法の具体的な措置について示す内容についてまとめていただいています。
 10の所ですが、計画作成参画者の要件です。こちらについては、隔離を行う石綿作業現場では様々な措置を講じる必要があるが、作業計画の作成に参画する者等については、次のような知識・経験を持つ者が担うことが望ましいことから、施工管理等一般に関する知識のある者が、石綿等に関する知識等を付与する講習を受講するよう指導してはどうかということで、取りまとめています。
 大分割愛しておりますが、このような形で対策の方向性として取りまとめたものについてワーキングのほうで提出させていただいたものですが、それに対してのワーキンググループの委員から出された主な意見と、それを踏まえて事務局で整理した対応案を、資料1-2にまとめておりますので、資料1-2を御覧ください。
 1ページ目の1は、事前調査の方法(範囲)に関する御意見です。分析のための試料採取の採取箇所ですが、事務局から出した対応の方向性においては、3か所という形で示しておりますが、これを決め打ちせず、ある程度調査者の判断に委ねるようにするべきという御意見を頂いております。これに対する対応案としては、建材にムラがあることを考慮し、同一と考えられる建材の範囲を特定し、3か所以上採取するということで、具体的な採取箇所数については調査者が判断することとしてはどうかということで整理しています。
 次の○ですが、同一と考えられる材料の範囲について、当初の案では、「耐火時間などの仕様が同一など」ということで、同一ロットの例示としてお示ししていますが、耐火時間と材料とは直接リンクしないので、記載を修正すべきという御意見を頂いております。これについては、そのまま反映させていただくということで、記載を削除することで整理しています。
 2の石綿の事前調査者を行う者の講習制度等です。講習時間を短縮する対象の建築物、限定講習の対象の建築物について、木造戸建てなのか、戸建ての中にはRC造、鉄骨造の戸建てもあるということで、こうしたものも含めるのか再度整理が必要ではないかという意見を頂いております。これに対する事務局の整理としては、限定的な講習で調査可能な範囲については、建材、規模、用途から、調査対象となる建材の種類が限定される。したがって、講習内容も限定的なものとできる木造戸建てに限定することとしてはどうかということで整理をしています。
 そのほか、特定調査者による調査の対象範囲については、対象をもっと明確に、また将来的に、一定の建築物については特定調査者による調査を義務付けることも検討すべきという御意見を頂いておりますが、これに対しては、まずはそうした対象については特定調査者による調査を推奨するという位置付けという形で整理をしたいとまとめています。
 続いて、講習の対象については、解体工事業者の許可業者は4万以上と言われていますが、これに限定されるのではなく、建設業の許可業者を含めると、延べ70万社が対象と考えられるので、こうした対象に対して講習制度の受講を厳しく求めるべきという御意見を頂いていますが、これに対しては解体工事業者に限定せず、広く建設業者が講習を受講できるよう、全国的に数十万規模の講習が実施できる体制の整備を図っていくということで、対応案を整理しています。
 3番目の石綿分析者の講習制度についての御意見として、修了試験が抜けているということで御指摘を頂いております。資料から抜け落ちていたということで、こちらについては修了試験も義務付けるということで整理させていただいております。4番については御意見はございませんでした。
 5番は、作業計画に基づく作業の実施状況等の記録の部分です。作業の実施状況の記録については、法令上義務付けられるもの以外の措置の内容等についても、記録の保存を求めるべきという御意見を3点ほど頂いております。これに対しては、法令上義務付ける記録の内容については、法令上義務付けられている措置の内容、措置の実施状況の結果が分かる部分の記録を求めることとして、それ以外については指針、マニュアル等における記載ということでだ対応したいと整理しています。
 6番は、新たな簡易届出の対象です。簡易届出の対象とする改修工事について、1億円という基準でお示ししているところですが、これを基準とすると、レベル1やレベル2などのリスクのある工事をカバーできないため、この基準を考え直すべきという御意見を頂いております。これに対する対応案としては、レベル1、レベル2の吹付石綿、石綿含有保温材、石綿耐火被覆材等について、適切な事前調査が行われず工事が開始された事例が散見されたことも踏まえ、届出対象については、石綿含有の有無に関わりなく、一般のものとするということで1案として、以下のとおり、原案の➀と➁に加えて、➂として、吹付材、保温材、耐火被覆材が張り付けられている建築物の解体等の作業を行う場合における当該吹付材、保温材、耐火被覆材等を除去する作業を行う場合は、石綿の有無にかかわらず届出対象としてはどうかということで➂を加えることが考えられますが、対象を幅広く、かつ明確に定める観点等から様々な考え方があり得るところです。今回、御議論いただきたい点として、これについては整理をさせていただいております。
 7番目の届出記載事項の所です。簡易届出の記載事項については、建材ごとに石綿含有の有無を記載する方法に変更し、含有なしと判断した場合は、その根拠を選択式で書かせるようにしてはどうかという御意見を頂いております。御意見を踏まえまして、石綿含有について、「有」のみをチェックする形であった当初の案から、「無」の場合もチェックすることができる、それから、「みなし」についても選択欄を加える、それから有無を判断した根拠も選択肢でチェックできるような形に様式を変更した形でまとめております。
 8番への御意見としては、建築用仕上塗材については、情報を集めてからということで取りまとめておりますが、それについては早期に位置付けを明確にしてほしいということで御意見を頂いております。これについては、今年度中に国が仕上塗材の剥離等の作業において石綿の飛散状況の測定等を行った上で、その結果を踏まえて位置付けを明確にする形にしたいということで整理しております。
 9番の隔離・漏えい防止の具体的措置についての御意見としては、グローブバッグ工法の漏れの確認について、スモークテストと書いていたところ、スモークテストだけに限定しないようにしてほしいということで、するべきだということで御意見を頂いております。グローブバック工法の漏れの確認については、それと同等の方法によるということで、これについては同等の方法であることが確認されたものについて、ポジティブリスト化できるよう、スモークテスト又はそれと同等の方法によることとするとしてはどうかということで、整理をしております。
 計画作成参画者の要件の所については、主任技術者等に対して、きちんと石綿に関する教育を行うべきという御意見を頂いていますので、これらの研修について、予算措置も含めて検討したいということでまとめております。
 その他の参考意見として幾つかありましたので、こちらについてもここで御紹介させていただきます。まず1つ目ですが、解体工事業をライセンス制にするなど、工事業者のレベルアップを図るべきではないかということで御意見を頂いています。また、石綿則に係る罰則について、引き上げるべきではないかという御意見も頂いております。それから、作業中の気中濃度を測って、適切なマスクの選定が行えるようにするべきではないかという御意見も頂きました。また、石綿について、現行安衛法で求めている化学物質のリスクアセスメントの対象となっていないところですが、これについて義務対象とするべきではないかという御意見も頂いたところです。駆け足ではありましたが、資料1-1、資料1-2の説明は以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明のありました資料1-1、1-2の内容について、御意見を頂きたいと思います。内容が盛りだくさんなので、全体を4つに分けて部分部分で議論していきたいと思います。まずは資料1-1、1-2にあります1から3までについて、事前調査の方法、石綿の事前調査を行う者の講習制度等と、石綿含有分析を行う者の講習制度等の3つについて議論したいと思います。御意見を頂けますでしょうか。
○本橋委員 事前制度の在り方でも言ったのですが、2番の石綿の事前調査を行う者の講習制度です。木造戸建ての物だけを特別にやるというのは、私は大反対です。理由を言いますが、3省共管で今まで、石綿含有建材調査者をつくったわけです。要するに、石綿作業主任者で経験のあるだけではいけないだろうということで、3省共管でこの制度を作りました。以前、国交省でやっていたのは特定にして、もう少し対象者を多くしたのです。これを増やしていこうということになっているのです。多分、環境省と厚労省も大々的に周知したのですが、まだほとんど増えていないのです。その努力はどうなっているか、そちらが本筋ではないかと私は気になるところです。
 今回の資料を見たら木造が出ていたのです。資料を見ていただきたいのですが、資料1-1の2枚目、ただし木造戸建てについては鉄骨造のビル等と比較して、石綿含有建材は限定的であり、必要な知識も範囲も限られると書いてあります。木造もボード類は鉄骨と同じぐらい使いますよ。私は、建築材料を教えているのですが、ボードの種類はたくさんあります。それに例えば外壁でしたら建築用仕上塗材です。リシンと言っているのを吹いてあるかもしれないですし、内壁にはバーミキュライトなど、いろいろなものが入っているかもしれないと思います。これは、ですから範囲が限られるというのは正しくないと思います。
 レベル3はいろいろな物が使ってあって、他のものと同じぐらい使っていて非常に難しいのです。分析しようと思うと、吹き付けアスベストや耐火板というのはパターンが決まっているのですが、ボードが一番、千差万別あって、これを調べるのは大変です。みなしにすればいいのですが。もしここで見間違うと、戸建ての解体にいったときに、いい加減に解体すれば、粉じんが飛ぶわけで、その中にアスベストを含有していたボードを破壊していたとしたら、少なからずアスベストは飛ぶはずなのです。私は、それを見落とすことを懸念しています。
 もう1つ言わせてもらうと、これは時間が少なくなって1日でできるということになっているのですが、この書き方が何と書いてあるかというと、2ページ目の上に、「木造戸建ての事前調査に特化した内容の「石綿作業主任者などに対する講習」とした上で、当該講習を受けた者も事前調査を行うことを可能とする」と書いてあるのです。中身が出ていないのでまだ分からないのですが、私はパッと頭に浮かぶのが、作業主任者と同じ講習だと思うのです。どういうことかというと、合格率9割以上で、ほとんど受かると。今までの石綿含有建材調査者は、結構不合格になるのです。ある程度試験を理解した上でないと合格はできないのですが、これでそれが担保できるかどうか、プログラムを見ただけでは分からない、修了試験をやると書いてありますが、今までの作業主任者と同じように考えてもらってはちょっといけないのではないか。総務省の勧告にあったように、作業主任者だけというような人を入れるのはいかがなものかというのが、私の意見です。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。今の本橋委員の意見に対してでもよろしいですし、全体に対してでもよろしいですが、どうぞ。
○課長補佐 事務局から補足で説明をさせていただきます。今回、木造戸建てについて、分けて講習を作ろうという議論になった背景としては、この人たちの知識レベルを下げようとかそういう意図は全くなくて、調査する対象が大きい複雑なビルにあるとか、戸建ての住宅であるとか、それが木造であるというようにいろいろある中で、一定の木造戸建てを中心に解体をやっている業者に教える内容が、講習の中で例えばビルなどに関する知識がいろいろ入っているのであれば、そこまで教える必要はないのではないかという議論があります。当然、その木造戸建てを解体するときに必要な知識は十分研修していただく必要があると思うのですが、どこか限定できるものがあるのではないかという議論の中で出てきた。
○本橋委員 趣旨は分かりました。確かにビルとは違う部分があるのですが、今の説明で私の言った心配は、とても解消していません。人数が多く必要というのも分かるのですが、ランクを落とすわけにはいかないと思います。そんなふうに見えてしまいますけどね。合格率が50%ぐらいにしてくれるのだったら、いいですけれども。何か今までの作業主任者を見ていると、そんな気がするんです。私が偏見に満ちているわけではないと思います。合格率から見ていて作業主任者の講習と調査者の間には合格率に明確に差があります。
○副主任中央労働衛生専門官 すみません、説明が足りなかった部分があるかなとは思うのですが。作業主任者については、講習の受講資格の1つとして考えているということです。作業主任者に対する講習内容としては、石綿に関する法令等の知識は持っているということで、この時間数でいいのではないかということで、資料1とさせていただいております。
 また、この講習の具体的な内容については別途、専門家による検討をしていただく予定にしております。そういう意味では、内容等については十分必要な内容を網羅できるようにということで検討いただく予定にしておりますので、御理解を頂ければと思います。
○本橋委員 でも、時間が2時間少なくなるだけでしょ。それだったら、何で一般の石綿含有建材調査者をもっと増やして、そっちでこれだけの時間の差なのに、中身を同じにするのだったら、これでわざわざやる。みんな、これにいっちゃいますよね。私は今の説明だけでは、納得ができない気がしますね。危ない気がします。
○村井委員 住団連の村井と申します。今の本橋委員と近い意見を、私も持っています。今の御説明であれば、先ほど、この資料の中で「断熱の耐火時間のうんぬんという所を削除した」というくだりがありました。現実問題として、木造だろうが鉄骨だろうが、それはあくまで構造部材の話をしているのであって、一般的に木にはアスベストが入っていませんし、鉄骨にもアスベストは入っていません。そういう部分を踏まえて、それでもなおランクを分けた調査者制度を作るということであれば、戸建てという考え方にしていただいたほうが分かりやすいかなと思います。
 恐らくおっしゃっているのは、ビルなどですと、レベル1、レベル2の建材が非常に多く使われていると思われますので、そういった所で専門的な知識を更に有する必要があるということを前提とされているとすれば、戸建てというのはレベル3という部分になりますので、レベル3を中心とした考えの中で一定のレベルを求めるということで作業主任者を資格要件とした調査者制度を作るということであれば、全体的なバランスは取れるかなという気はいたしました。以上です。
○笠井委員 全建の笠井です。今の村井委員の御意見に、私もかなり近い意見を持っています。我々建設会社(ゼネコン)から見ても、やはりビル物と住宅は違います。建築士の資格は、1級建築士と2級建築士があり、ビル物は規模によっては1級建築士でないと設計できませんが、決して1級が優れていて2級が劣っているという意味ではなく、それぞれに特色があるから分けていると捉えると、木造戸建てと木造だけに限定するのではなくて、住宅全般を調査できる調査者ということにしたほうがいいと私は思います。
 戸建て住宅の中にも鉄骨造もRC造もありますから、調査者講習会で教える内容は余り変わらないかもしれません。ただ、構造的には住宅とビル物とは違うところがありますので、その辺りの違いを明確にした講習内容にすればいいのではないかと思います。
 2つ目として、資料1-2の1に記述のある分析の話ですが、一律に3か所から採取とあり、対応案には3か所以上にするとあります。これは、あくまでも資料1-1を見ていますと、吹付けに限ってと考えてよろしいのですよね。これは全建材について、全部3か所以上試料採取するという話ではないという理解でよろしいのですよね。吹付けという言葉が消えてしまっているので、念のため確認させてください。。
 3つ目に、現状、特定の調査者と一般の調査者というのがあり、それを明確にすべきということで、対策案では特定調査者を推奨するという位置付けで特定建築物と大規模建築物の用語があります。この特定建築物や大規模な建築物というのは、一体どういう意味のことをおっしゃっているのかが分かりません。建築基準法で言う特定建築物には、すべての種類の建物が入るわけではなく、調査対象としたい建物でも入らない建物も出てきます。そうすると、石綿をたくさん使っている建物なのに特定建築物ではないので特定調査者でなくとも調査できるという、ちょっとおかしな話になるのではないかと思います。それから建築基準法で言う大規模建築物というのも、定義的には決して大規模でも何でもなくて、例えば木造建築では高さが13mとか軒高が9m、階数が3階以上、延べ面積500m2をもって、大規模建築物であるとか、木造以外でも階数が2階以上、延べ面積が200 m2以上と、ここでおっしゃろうとする大規模建築物とは少し違う意味にならないかということを感じます。従って、もう少しきちんと議論をして明確にしておかないと、特定と一般と戸建ても出てくれば、いよいよ特定調査者の講習会を受ける人がいなくなってしまうのではないかと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかにありますか。
○田久委員 私も皆さんと同じような意見は持っています。実際問題、現場でも同じように、木造戸建てとマンションとは、また違う働き方があります。同じ左官でも中身が違ったりというのと同じように、やはりそういったところもあるので、木造ということよりも戸建てというような特殊、特徴を捉えての資格としてやっていく。先ほども本橋委員が言われたように、若しくは2時間しか変わらないのであれば、やはり作るということよりも広げる対策を、調査者を新しく作ったものを広げることをしていくことが必要ではないかなと感じます。ですから、その辺りはもう1回議論をしていただければなと思っています。
 講習の対象の所でも、後でも出てきますが、計画を立てる建築士の人たちも対象に入れるべきだろうと。木造も含めて、皆さんもよくテレビとかで、ビフォーアフターとかでも、建築屋が指示をして解体をしていますので、あの方々が知識を持っていないと今はいけない状況ではないかと思いますので、この方々もこういった知識を必ず得るような仕組みづくりも、今後は必要になってくると。これからの280万棟近いレベル3建材を使っている建物がたくさんありますが、その解体が始まる中では必要ではないかなと思います。そういったところも幅広くと書いてあるので、その中にそういった人たちも入れられるようにしていただければと思います。
○豊澤座長 そのほか、いかがですか。
○若月委員 少し重複するかもしれませんが、今、田久委員がおっしゃったように、実際現場で携わる方、分析される方、調査される方など多くの方がいると思うのですが、実際にその作業に当たる方すべてに対して理解されるよう、幅広い周知徹底、石綿に対する理解といったものが広まるような対策を講じていただけたらと思います。以上です。
○本山委員 先ほども議論がありました、事前調査者の講習の内容の最後の試験の所なのですが、石綿作業主任者と作業主任者技能講習のときは、修了試験といって簡単な試験ですが、ここはあえて修了考査と書いてあるのですが、この違いはあるのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 筆記試験で、今の調査者講習のほうで求めている試験内容を念頭に置いたものです。
○本山委員 量的なものとして、作業主任者のやるときの修了試験と今回考えている修了考査というのは、かなりレベルが違うということなのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 はい、そうです。
○本橋委員 そういうことなのですか。それならば、私は少し安心しますが。是非それを書いておいていただいて。
○課長補佐 承知しました。
○出野委員 今の、木造と非木造に分けるかどうかという話なのですが、私もワーキングに参加しておりましたので今さら違った意見を言うわけにはいきません。一応、事前調査あるいは完了検査は、理想的には第三者がやるべきだと、専門の資格を持った人がやるべきだと。しかし普通の解体業者が自分でやるしかない場合もあるだろうと。業者がやる場合には、例えば解体業者、零細業者が結構多いですが、木造だけしかやらないという業者が3割です。8割方木造しかやらないという方も半分近くいるのです。そういう方は一生、吹付け石綿にはぶつからないと、今後一切そういう場面に当たらないという場合も当然在り得るので、そういう方は吹付け石綿、要するにレベル1、レベル2に対する教育などは少し免除して、もう少し軽い講習を受けさせるような制度を作ったらどうかという議論だったと思うのです。これは私も賛成しております。私はそういう意見で、木造のほうは少し分けたほうがいいのかなという意見です。
○本橋委員 お言葉ですが、これは受験資格は石綿作業主任者ですから、木造しか解体しない3割の人は、まず石綿作業主任者を有していて、それからこの試験を受けるということでいいのですよね。
○出野委員 ええ。これは私が前に発言したことがあるのですが、そういう零細業者が石綿の作業主任者の資格を持った人材を揃えているのかと、保有しているのかと。これは一切資料がないので、よく分からないところなのですが、法令上はいるはずだという前提で、作業員の方も当然、特別教育は受けているはずだという前提です。
 これは調査をしてみないと分からないと思いますが、ちょっと危い、怪しいところもあるかもしれません。というのが私の意見です。
○村井委員 私もワーキングに出ています。そのときは木造と限定するべきではないという意見を言わせていただいたのです。結局、実務の立場でいきますと、例えば改修工事で戸建てをやるときはアスベスト調査は必要になってくるということが出てくるわけなのですが、このときに、例えばこの調査者制度を、ゆくゆくは完全に義務化して、調査者でないと調査をしたことにしないみたいなことにつながっていくのだとすれば、今のようなリフォーム工事などでいろいろなシーンが出てきたときに、業者が木造か鉄骨かをいちいち区別した中で仕事を請け負うかということは、現実問題としてできないと思うのです。ですので、例えばそれが積水ハウスは鉄骨です、ミサワホームは木造ですと。それはミサワホームの調査はできるけれども、積水ハウスの調査はできないのかみたいな話になり兼ねませんので、そういうことであれば木造や、戸建てなのかビルなのかというような建物の種類で区切ったほうが分かりやすいのではないかというのが、住宅に携わっている者の意見ということで言わせていただいております。
○豊澤座長 ありがとうございます。1と3については余り意見が出ていませんが、よろしいですか。木造と、その他に分けることに対しては、この場では割りと反対意見が多かったと思います。この辺りについては、引き続き事務局で関連する情報等を集めていただいた上で、次回の検討会で議論するということでよろしいですか。1と3については大きな反対はなかったと思いますが、何かありますか。
○笠井委員 先ほども確認いたしましたが、資料1-2の1は、サンプルの採取個所を3か所以上となっていますが、これは吹付けの話ということで理解してよいでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 吹付けだけではなく、建材にムラがあるということも言われておりますので、それについては全ての建材で、今回の取りまとめの中で、吹付け材であれば、3等分をして3か所から採取ということで、吹付け材についてはそういう形でお示しをさせていただいております。
○豊澤座長 ばらつきのある部分というと、主には吹付け材ということですから、吹付け材にほぼ限定されるということですか。
○副主任中央労働衛生専門官 ただ、他の建材についてもムラがあるということで情報を頂いておりますので、そうであれば他の建材も含めて3か所。分析をする際の試料採取については3か所以上とさせていただいております。
○豊澤座長 その場合も、やはり分析者の判断によって、それを行っていくと。
○笠井委員 全てを3か所以上とする必要が本当にあるのという疑問が残ります。例えば、工場で作る製品は、ムラがあるということですが、果たしてどれほどムラがあるか。吹付けは確かに現場で調合して職人の手で吹付けますので、場所によっては吹きムラがあるかもしれませんし、階数によってはムラがあるかもしれません。そういう建材であれば理解できますが、工場で作る製品についてまでムラがあるから全部3か所以上採取しろというのは、過度な要求ではないかと思います。確かに分析マニュアルには、そのように書かれていますが、ここは見直すべきではないかというのが、私の意見です。
○副主任中央労働衛生専門官 その部分については、改めて今おっしゃられた分析マニュアル等についても確認した上で、再度御提示させていただきたいと思います。
○豊澤座長 それでは、今の方向で取りまとめていただきたいと思います。次は対策の方向性の4、5について議論を進めます。4の事前調査結果の記録内容と、5の作業計画に基づく作業の実施状況の記録に関する項目について御意見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。特にありませんか。なければ時間の関係もありますので、事務局で整理した対策の方向性(案)と、ワーキンググループでの主な意見について検討会としても、この事項について、この方向で取りまとめていきたいと思います。よろしいでしょうか。
○出野委員 1点だけですが、5の実施状況等の記録の所ですけれども、保存期間が40年と今はなっていますが、また、中小零細業者の話になって申し訳ありませんけれども、40年ももつ会社があるのかと。大体20年か、30年でなくなってしまうという話をよく聞きます。そういう場合に、こういう記録をどのようにするのか、一応、制度上は監督署に預けなさいという制度になっていると思いますが、業者に聞きましても、ほとんど誰も知りません、ということもあるので、この辺りを広報というか、何か今後、強調していただく必要があるのかなと思っております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。では、今の意見を踏まえて取りまとめをお願いしたいと思います。
 次は、対策の方向性の6と7について御意見を承りたいと思います。6は新たな簡易届出の対象、7は届出記載事項についてです。何か御意見はありますでしょうか。
○本多委員 資料1-2の6の新たな簡易届出での対象の所ですが、この案にありますとおり、当初の1億円という基準で切ると、リスクのある工事をカバーできないということで➂を追記されたと思いますけれども、この➂のままでは、それほど画期的な感じもいたしません。それで、御提案の1つですけれども、電子届出の主である、広く網を掛けて石綿があると思われるにもかかわらず石綿がないとしている工事を見つけ出すという趣旨からして、例えば500万円以上の改修工事について届出を義務付けるという案ではいかがなものでしょうか。いろいろな御意見があるとは伺っているのですけれども、そちらのほうも1つの案として、この場、あるいはワーキング等でも御検討を重ねていただければと思います。意見でございます。
○豊澤座長 どうもありがとうございます。
○笠井委員 今、本多委員がおっしゃられたとおりだと思っています。特に資料1-2の6で追加された➂についての理解が、よく分からないのですが、要するに、レベル1と2の建材があれば届け出なないといけないということですよね。そうすると、レベル1と2で、例えば➀は解体工事であれば80平米以上、➁であれば改修工事は1億円以上なのですが、➂には、80平米以下でも解体するときに石綿があれば届け出なければいけないということですよね。また、改修工事であれば、たとえ1億円以下でもレベル1と2の石綿があれば届け出なければならないということですよね。ということは、80平米以下及び1億円未満の工事で、吹付けがない場合は届け出なくていいということになるということですよね。そうすると、本当は石綿があるにもかかわらず、石綿がないと届け出なかったら、それはどうなるのでしょうかというところがよく分かりません。ここまで網掛けをするのであれば、先ほど本多委員がおっしゃったように、金額で網掛けしたほうがすっきりするのではないかと思います。この項目でいくと、本当に正直者が馬鹿をみるのではないかと、真面目にやっている者はきちんと届け出するけれども、そうではない者は、すり抜けてしまうのではないかという気がしてしようがないのです。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○課長補佐 今、笠井委員からの御発言があったので、訂正させていただきたいのですが、➂の新しくこちらからお示しさせていただいた基準は、レベル1とか、石綿があることが前提ではなくて、石綿が含まれていない吹付け材とかも含めてです。要は、吹付け材というものがあれば、若しくは保温材とか、耐火被覆材があれば石綿が入っていようが入っていまいが届出の対象にするという案にしております。これが良いか悪いか別として、そういう内容で書いているということで御確認をいただければと思います。
○笠井委員 ➂に書かれてあることは要するに、レベル1、2の石綿含有建材があるかないかということですか、有無ということですか。
○課長補佐 石綿が入っているかどうか分からなくても、吹き付けられているものがあればという趣旨です。その是非は別としてですけれども、そういう意味で書いているということです。
○笠井委員 ➂の内容を追加するなら、➀と➁で金額なり、規模で区切る意味合いがなくなるのではないかと思うと、私はどのように理解すればいいのか整理ができずにいます。結局のところ、全部を届出の必要があると言っているのと同じではないかと思えてしようがないです。
○本多委員 笠井委員が先ほどおっしゃられたことの繰り返しになりますが、建設業者の立場からすると、やはり分かりやすいほうが一番いいと思いますので、500万円以上の改修工事というのは、1つの良い案ではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。誰もが分かりやすい、すっきりした形で。
○村井委員 私ども、いわゆる業界としては、届出を全部というのはなかなか大変な作業なので、その作業が面倒かどうかということは議論は本来の筋から外れているというのは重々承知した上であえて言いますと、500万円で切ること自体は別に、特段この金額のラインには異論ありませんが、となると、住宅のリフォーム工事で先ほど出ていたようなテレビ番組の建築者の話がありましたが、あのような大規模な改修工事をやるものは全部届出しなくていいということになりますから、それでいいのかどうかということについては、ここで一応、了解した上で基準を定めるということであれば、よろしいかなとは思いますが。例えば100万円ぐらいでも届出の対象はできなくはないかな、出したいと言っているわけではないのですが、500万円というのは住宅はほぼ漏れるという理解でいいと思います。この➂は、あくまで吹き付けられているものというのを言っているわけですから、石膏ボードとか、いわゆる水回り関係の耐火ボードとか、そういったものは対象ではないと読めますので、その辺りはどうでしょうかということを、逆に皆さんの意見をお聞きしたいところです。
○本多委員 資料は同じような感じですので、金額の多寡のところは、また改めて御検討をするというのはいかがなものでしょうか。
○田久委員 先ほど村井委員が言われたように、改修する現場で働く労働者の部分でいくと、やはり水回りとかで使われているのは多くて、金額が張らないこともあるのですが、一番飛ぶ危険が高い、こういうことも考えられるので、やはりその辺をどのようにするのか。お金のない人たちは、一部改修するとか、水回りとかがかなり多いと思うので、リフォームの関係でいくと。となると、やはりそこが一番危険なので、その線引きはどうしたらいいかがなかなか分からない。500万円が一番分かりやすいのは結局、請負業者ですから、そこのところもあるのですけれども、そういったところの判断というのがどうしていくかというのはワーキングで、もう一度議論していただければいいかや、趣旨としては本多委員や、村井さんと同じように考えておりますが、是非、その辺も含めてお願いしたいと思います。
○豊澤座長 事務局としてはどうでしょうか。
○課長補佐 いろいろ御意見を頂いているので、また検討が必要かと思いますけれども、1点、こちらから前回1億円という基準も出した上での、今後、請負金額ということでの基準を仮に設けるとすると、少し検討が必要かと思います。1つの点は、どこのまでの料金、要は、費用を請負金額ということに含ませるかどうかという、そういう線引きというのは実際やるとすると、出てくる問題としてはあるかなと思っていますので、金額を幾らにするかという問題と一緒に、もう少し検討を深める必要があるかなと感じております。いずれにしろ、ここは、いろいろまだ御意見があるところだと思いますので、引き続き、御議論、御検討という形でやっていきたいと思います。
○豊澤座長 500万円というのは大変分かりやすいですけれども、その根拠となるようなものを本当は示せれば一番いいのですが、環境省の場合は1億円というのは廃材の量で、それが根拠になっているので、今回、私どもは労働者のばく露ですので、そのばく露を根拠として何らかの基準額が示されれば一番いいのですが、その辺も含めてワーキンググループで今後議論していただければと思います。よろしいですか。
○副主任中央労働衛生専門官 次回の検討会までに事務局のほうで情報等を整理した上で、検討会の場で御議論いただければと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○豊澤座長 分かりました。ほかにありますか。
○本橋委員 今の話でコメントというか、相談ですけれども、確かに500万円とか何とかということになったら、その金額が決まれば届けることになるのですが、ほかのは1億円で切ってありますよね、リサイクル法や、環境省のほうのは。だから、新しく届出の数がザバッと増えるというシステムをやることになるのです。大規模修繕とか、改修ということになったら延べ床面積の2分の1以上、それは建築基準法上からいけば届け出なければいけない。確認申請を改めて行うのですけれども、500万円といったら、それより下になったりすることはあるでしょうね、きっと。そうすると、金額を決めるとなると、新しい基準ができるということですよね。今まで1億円はあったのですが。検討してもらえればいいと思います。これで安い金額を受けると、そこで届けるというのが、多分、一番数の多いものを届けることになると、そういうシステムになるということ。
○豊澤座長 その辺も踏まえて、次回の検討会で議論したいと思いますが、よろしいでしょうか。7については、特に御意見は。
○笠井委員 資料1-2の7については、この表の議論をここで細かいところまでやるのかどうか分かりませんが、これはワーキングのほうで、もう少し詰めたほうがいいのではないかと思いますが、ここでお示しいただいている石綿含有の有無について、「有」と「みなし」と「無」とありますが、ここは、「有(みなし含む)」、「無」、と「不明」としてはどうかと思います。
 それと、2番目のコラムに、「石綿含有の有無の判断根拠」とありますが、これは「有無」ではなくて、「無」の根拠が知りたいことだと思います。それと、枠の中の選択肢には➀~➃まであるのですが、上の説明には➂までしかありません。➃は何なのかお教えください。また、表の右側の2つ列の「破砕切断の有無」と「措置」の方法まで届出に本当にここまでの情報が要るのか、何のために必要なのかというのが、よく分かりません。ここでの情報は、作業届出や計画届出に出てくる内容なので、簡易届出の中で知りたい情報は、できるだけ簡単にしていただきたいと思っております。以上です。
○副主任中央労働衛生専門官 まず、資料の誤りについて、お詫び申し上げます。今、資料1-2の7の所でお示ししている表の所ですが、真ん中の判断根拠の所で選ぶ項目としては➂までしか示していないのに、➃という選ぶチェック項目があります。こちらについては修正漏れです。➀~➂を選んでいただくということで想定しております。
 それから、御意見を頂いたところについて少し事務局のほうの考え方をお示しさせていただければと思います。石綿含有の有無について「不明」もあるのではないかということで、今、委員から御意見を頂きましたが、石綿則上、その作業を行う際は、あらかじめ石綿の有無を調査することを求めておりますので、やはり作業前には必ずその有無の判断をしていただいて、その上で作業計画、それから、ばく露防止措置を取っていただくということですので、法令上、求めているものについてやらなくていい部分を、同じく法令上求めず、様式の中で設けるというのはやはり矛盾になりますので、基本的には作業前にはその有無の判断をしていただいて、届け出ていただくという形で求めていきたいと考えております。
 また、一番右の作業時の措置に関する事項ですが、石綿則の目的としては、やはり労働者のばく露防止、若しくは周辺の飛散防止をしていただくことが法令上の目的ですので、そこの部分について簡易届出においても確認する必要があると考えております。おっしゃるように大きな所でしっかりやられているところについては、ここまですることが必要なのかということで御意見はあるかと思いますが、少なくとも、実際に防止措置を行うことについて簡易届出を出していただく際に、事業者にも確認いただくという趣旨で、この項目は残したいと考えております。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。それでは、6については次回の検討会でも議論したいと思います。7については、このままでよろしいでしょうか。この方向で取りまとめたいと思います。
○若月委員 確認ですが、先ほど資料1-1で、1の(2)の1つ目の○ですが、事前調査の方法ということで、「ただし、事前調査が困難な箇所は、着工後、確認を行う」とあったのですが、それを想定した場合、先ほどの7でお示しいただいた案ですが、「有」なのか、「みなし」なのか、「無」なのかということで、今おっしゃった「不明」というのは想定していないということなのですが、着工後、「有る」と判明しうるということを想定していない判断でよろしいのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 あくまでも、この部分については着工後に開いて出てきて、当然想定していないものもあるかと思いますので、その部分について書かせていただいているものです。若干、誤解を生むような部分もあったのかもしれませんが、あくまでも着工前には全て調査をしていただく、ただし、開けたときに新たに出てくるようなもの等については、それを把握次第、出していただくという趣旨です。
○若月委員 分かりました。
○笠井委員 そもそも簡易届出というのは、いつ出さないといけないのかを確認させてください。着工するときには調査結果が分かっていなければいけないということですが、着工するまで、施工前の調査ができない場合もありますので、全部を分かっていなければいけないと言われると、少々乱暴ではないかと思います。それと、「みなし」ですが、「吹付け材」の所にも「みなし」の欄があるのですが、現状は吹付け材は「みなし」では判断できないことになっています。
○副主任中央労働衛生専門官 はい。
○笠井委員 ここでは「みなし」もOKとなるということが前提なのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 今、笠井委員から御指摘のあった1点目については、現実的なところの運用の部分については、別途、詳細に検討する必要がありますので、詳細に検討させていただきたいと思います。2つ目の「みなし」の所については、後ほど御説明いたします残っている論点のところで御議論いただく予定にしておりますので、その際、御説明させていただきたいと思います。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。それでは、対策の方向性の8~10に議論を移したいと思います。8の隔離以外の作業現場及び建築用仕上塗材に係る作業現場、それと、9の隔離漏洩防止の具体的措置、それから、10の計画作成参画者の要件と、その他の参考意見までについて、御意見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田久委員 先ほど講習のところでも申しましたが、参画者のところで来年以降、「主任・技術者等」と書いてありますが、是非、設計士を入れていただきたいというのが1つです。もう1つは、働く者の部分でいくと、気中濃度の関係では、できるだけ本当は測っていただいてから対策を組むというのが正しい流れなのかなと思っています。どのような状況の中でマスクをどれにするというのは分からない、なかなか今の機材とかでは時間が掛かるとかということも含めて聞いておりますが、できるだけ長い期間の解体等であれば、そこはできるので、推奨も含めてできる限りやっていただいて、本当にそのマスクが合っていたのかというのはきちんと調べる必要は十分あるのかなと思いますので、全くやらないということではなくて、是非、そういったことも含めてやっていただきたいということが要望です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○ 若月委員 その他の参考意見の所ですが、前回、私は第2回も出ていたのですが、あまり罰則に関しては前向きな意見は全体的になかったような気がしています。一方、今年5月だったか、長野県で保育園の改修で、石綿ばく露が実際にまだ起こってしまっているということがありました。ばく露防止についてこれまで議論もしていますし、そのための会議だとも思いますが、一方で、またそういった業者がいたりするので、そういったことに対する対策などを、この中には入れられないのかと思っているところです。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○笠井委員 リスクアセスメントについてですが、場内の大気濃度を測定するということはよく分かりますし、否定するものではありませんが、リスクアセスメントというのは、作業計画を立てるときにリスクアセスメントをして、その結果に基づいてリスク低減措置を講じ、それを考慮した作業計画書を作ることになります。その作業計画書の手順書に沿って作業を行うというのが基本です。リスクアセスメントをやり直さないといけないのは、その作業手順を工事中に何らかの理由で変えるときとか、変えざるを得ないときに工事をストップして、リスクアセスメントをし直し、変更した作業手順のリスク低減を講じてから再開ということになります。このことは法律ではなくてマニュアルのレベルで記述することかもしれませんが、そういうことをまずしっかり記述し、リスク低減措置については、今までの経験や知見から網羅的に示すことができれば、かなり作業中のリスクは低減できると思っています。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○村井委員 仕上塗材の今後の測定を踏まえた上での位置付けの明確化というのがありますが、一度、住団連のほうからは一定数のサンプルを御提供させていただいたこともありますが、ワーキングの中ではその数でいいのだろうかというような議論を呈されることもありました。実際問題としては、マンションの塗装の塗替工事とか、いわゆる木造のモルタル仕上げ、下地材の塗装工事とか、いろいろなところを取り組んできている中で、実際に我々で測った部分に関しては、それほど飛散も出ているものでもないという結論が得られた中で、再度、検討していくということになりますので、そうなった場合、こういった検討会の中で、では、一体どういう手法で、どれだけのサンプルを採れば安全性が確保されると判断されるのかとか、そういった目安等をつくっていくことになるのか、あるいはそういうことではなくて、業界としていろいろな所で協力していった中で、いわゆる実績に出されたサンプルの中で何か判定されていくということになるのか、こういったところは何か少し手口が見えるような状態にしていただければ対策が取りやすいと考えています。
 実は、あるメーカーが言っていたのですが、例えば仕上塗材を分析にかけるときに、自分たちで分析採取するために削り取るわけですけれども、削り取ったときに、やはり下地調整材より更に下の下地材まで削り取ってしまって、どうも下地材のほうに入っているほうが多いのではないかと、特に住宅の場合はという話がありまして、サンプルの採り方を変えたら出なくなったという事例が最近も少々出てきているという報告もありました。そういったいろいろな側面をもってやることによって大分業務効率などが上がるのではないかと考えておりますが、現状ではこれからどんどん壊していく解体工事の中は、街中を歩いてみれば皆さんお分かりのように、仕上塗材の木造住宅というのは山ほどありますので、これらを全部分析して、全部隔離措置をするのは非常に大変なことかと思いますので、この辺りはしっかりと議論した上で、その上限を定めるなりしていただければと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○出野委員 3、4点ほど意見を述べさせていただきます。今、仕上塗材の話が出ましたけれども、前々からこれはずっと話題になっていますが、現場にとっては、まだかと、まだそういう指針あるいはマニュアルが出ないのかということで待っております。できるだけ早く国のほうから指針、あるいはマニュアル等を示していただきたいと思います。これは一般的な話ですけれども。
 それから、まとめ、その他の参考意見の所に関連するのですが、○が付いた文章が4つありますが、最初に「解体工事業をライセンス制にする」というのがありますけれども、ちょっと私は記憶はないのですが、これはどういう意味だったのかと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 言葉が少し足りなかったかもしれませんが、解体工事業のうち除去作業を行う者についてライセンス制にするべきという意見でした。
○出野委員 そうですね、分かりました。一般的な解体工事ではなくて、石綿除去工事業という許可業種を作るということですね。これは前からそういう議論があったのは承知しております。失礼しました。
 それに合わせて、これも一般論で申し訳ないのですが、今の建設業法上は建築施工管理技士、土木施工管理技士というのがあって、この方が大体解体工事現場の主任技術者、あるいは管理技術者になられるわけですけれども、前々から私どもの業界で、もう20年ほどになりますが、これがあるのに、なぜ解体工事施工管理技士という国家資格がないのかと、20年前から申し上げております。いずれこれが問題になるぞと、解体関係が大きな問題になるぞと、こういう専門家を養成しないとまずいということを言い続けていたのですが、時すでに遅しと、これを今からつくっていたら、あと10年でピークアウトしますので遅いのですけれども、何らかの資格制度はあってもいいのかと考えております。これは国交省にお願いする話かもしれませんけれども。
 2つ目は、「罰則を引上げる」とありますが、もちろん罰則はあったほうがいいと思っておりますが、その前提として、立入検査、パトロールを含めて摘発をもう少ししっかりやっていただきたい。見付からなかった者がOKと、セーフというような風潮が今ありますので、あるとは言いませんけれども、無きにしも非ずということはありますので、摘発をきちんと行政のほうでやっていただければと思います。
 3つ目は、「きちんと作業中の気中濃度を測って」とありますが、先ほど、どなたかの委員が発言されましたけれども、解体作業中に気中濃度を測定するのは、特に小さい現場は非常に困難です。ですから、この辺りは義務化ということはないのでしょうけれども、ちょっと現実的ではないのかなという感じはしております。それよりも作業指針を決めて、材料を決めて、それに対応するマスクをちゃんと指定して、こういうことをやれば、別に濃度を測定しなくても大丈夫だということを、国のほうでお示しいただければと思っております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。何か事務局からありますか。よろしいですか。ほかにありますか。8、9とその他について。
○古賀委員 8番の仕上塗材の件ですが、以前に、このテーブルに厚生労働省からデータのお示しがあったかと思いますが、どういう条件で採ったのかというのがよく分からないデータが結構ありまして、その辺りをきちんと付随データをどういう条件で採ったのかというのを必ず一緒にお示しいただかないと検討の仕様もないなと感じましたので、今後、採られるデータについては測定条件をきちんとお示しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○笠井委員 1点、忘れていました。本橋委員も御心配されていた作業主任者が調査者の受講の資格になっていることについて、その受講資格について異論があるわけではありませんが、作業主任者の技能講習を受講を受けてすぐに調査者の講習を受講される方もいますので、それにプラスして実務経験が必要ではないかと考えています。調査者というのは、それぐらい重要なポジションであることを認識しておくことが重要です。
○豊澤座長 ありがとうございます。この項目については検討することになっているので、その辺も含めて検討していただければと思います。8~10、その他については、特に大きな反対はなかったと思いますので、この方向で取りまとめていただければと思いますが、よろしいですか。今の御意見を尊重させていただいて、検討させていただきますが、方向としては、この方向でいきたいと思いますが、どうでしょうか。
 それでは、その他として今後の検討会の進め方等について、まとめてもらっている資料2の説明を事務局からお願いしたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 今後の進め方等として、資料2をまとめています。1ページ目ですけれども、Ⅰとして、その他の検討会の論点を、第2回合同検討会で取り上げました論点のうち、ワーキンググループでの検討事項としていないところについて、残っている論点ということで整理しております。
 1は、事業者に対する指導等に係る部分としてです。まず、石綿に関して違反を繰り返す解体業者等の公表を行うなどにより、対策の強化を図ることが必要ではないか。それから、いわゆるレベル2の石綿含有保温材等の除去等作業も、いわゆるレベル1の石綿含有吹付け材と同様の隔離措置が原則必要となったこと。また、隔離措置の徹底が必要であることなどから、いわゆるレベル1~2の除去等作業については、安衛法第88条に基づく計画届の対象に変更してはどうか。次に、届出の内容は、届出の徹底や解体業者のばく露防止対策の徹底を図る観点から、個人情報保護等の観点にも留意しつつ、積極的に公開することが望ましいのではないかという論点が、残っている論点として整理しております。
 2として、隔離を行う石綿作業現場についてです。石綿含有吹付け材の除去作業等における隔離解除の際の石綿の取り残しを防止するため、事業者が、一定の知見を有する者を活用して取り残しの有無を確認するよう求めることは必要ないかといった論点を、残っている論点としてまとめております。
 3として、その他です。吹付け材についても、石綿ばく露防止、発散抑制措置の水準を維持した上で、石綿含有の分析を行わず、石綿が含有しているとみなして、隔離等の対策を講じることを可能としてはどうかということを、残っている論点として整理しております。
 2ページ目です。ワーキンググループでの議論の結果、データ等の更なる収集をした上で検討が必要な事項として、1、2の論点、その他に検討会での更なる議論が必要な論点として整理をしているところです。1番目の仕上げ塗材の取扱いに関してですが、すみません、ここの記述について修正漏れがありました。括弧以下の部分で、「これまでいわゆるレベル1」と整理されていた部分につきましては、資料1-1の8番に記載すべきところを修正漏れがありましたので、ここでお詫び申し上げます。内容については、修正ではありません。仕上げ塗材については、ワーキンググループにおける検討の結果、吹き付けられているものについては吹付け材、そうでないものについては、いわゆるレベル3と整理されていた仕上げ塗材、これについては、吹き付けられたものか否かに関わらず、「吹き付けられた石綿等」の飛散状況等と異なる状況も見られることから、その実態及びこれに対する対策を確認、検証し、必要な措置を講ずることが必要とされたところです。しかしながら、仕上げ塗材を剥がす作業については、作業方法ごとに、どの程度石綿が飛散するかの十分なデータがそろっていない。具体的には、電動工具を作った研磨等の作業については少しリスクが高い、飛散濃度が高いというデータが得られていますので、この辺りを中心に、データ等の収集をしていきたいということで整理しております。
 2番目の湿潤化が困難な除去作業の取扱いです。石綿則の第13条において、「石綿等を湿潤な状態のものとすることが著しく困難なときは、この限りでない」とされておりますが、技術の進展に伴い、湿潤化と同等の効果が期待できる方法、例えば除じん装置付き電動工具の使用等がございますが、除じん装置付き電動工具を使用して除去作業を行った場合に、どの程度石綿が飛散するのか、若しくは飛散がおそれられるのか、湿潤化と同等の効果を得ることができるかを検証するための十分なデータがそろっていないということで、こちらについても、このデータをそろえた上で検討していただきたいということで、更に必要な論点ということで整理しております。
 3番目の、工事業者の安全衛生管理体制の充実強化です。現行の石綿則で義務づけられている石綿作業主任者の選任や職務の遂行、健康診断の実施などが十分に実施されていない事例が散見されることから、石綿作業主任者の選任の徹底や能力の確保・向上に向けた取組が必要ではないか。また、適切な施工を確保するため、必要な能力を有する事前調査者の育成・確保、現場の主任技術者に対する石綿に関する知識の向上に向けた取組が必要ということで、この点について、もう少し検討会の場で御議論いただきたいということで整理しております。
 4番目、労働者に対する教育の充実です。作業者が適切に石綿則に基づく措置を着実に実施するよう、労働者に対する教育の充実を図る必要があるのではないかという点についても、検討会の場で更なる御議論を頂きたいということで整理しております。
 5番目、大気汚染防止法との連携です。環境省で現在検討が行われている大気汚染防止法に基づく石綿対策の見直し等内容との連携が必要ということで、これについても検討会の場で御議論、御意見を賜ればということで整理しております。
 1、2で整理しました論点について、今後どういった形で検討いただきたいかということで、3ページのⅢに、今後の進め方についてまとめています。1つ目の○ですけれども、ワーキンググループの検討対象となっていなかった他の論点、これは1ページ目にまとめている論点ですが、これについては次回以降、議論を深めるとともに、2ページの論点ですが、さらに検討が必要な論点・課題、このうち3から5の論点についても議論を深めることとしてはどうか、次回以降に検討していただきたいということで整理をしております。
 2つ目の○ですが、さらに検討が必要な論点のうち、1及び2の論点については、データの確保が必要であることから、来年の1月頃までを目途に、国において測定、実験等を行ってデータを収集し、そのデータを踏まえて検討を行うこととしてはどうかということで整理をしております。また、3つ目の○は、これらの検討を踏まえて今年度末までを目途に、検討会としての議論を取りまとめることを目指してはどうかということで、今後の進め方の考え方として整理しております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは、資料2について御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。先ほど古賀委員の御指摘のあった点については、この辺で網羅していると思うのですけれど、よろしいですか。
○古賀委員 データを取っていただけるということですが、この出し方ですね。取るときもそうですけれども、データを見せていただくに当たって、その中身が分かるようにお出しいただければということです。よろしくお願いします。
○豊澤座長 そのほかにございますか。それでは、特に御意見がないということで、よろしいですか。反対がないということで、進め方として、今後はこの進め方と、スケジュールにのっとって進めたいと思います。
 それでは、本日の議論、全て終了しましたけれども、何か言い残したことはございますか。事務局、何かございますか。特段ないようでしたら、事務局にお返ししたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は、長時間にわたりまして御審議ありがとうございました。本日の会議録につきましては、各委員に御確認いただいた上で、公開することとさせていただきます。また、今後の日程につきましては、事務局で調整の上、別途、御案内をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは、以上で第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を閉会したいと思います。ありがとうございました。