令和2年1月31日 第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和元年度第13回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和2年1月31日(金) 14:00~16:00

場所

中央合同庁舎5号館 講堂(低層棟2階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○事務局 定刻となりましたので、第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和元年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
始めに、本日の委員の出欠状況について御報告します。副反応検討部会の倉根委員、安全対策調査会の舟越委員から、御欠席の連絡を受けております。この結果、副反応検討部会委員8名のうち7名、安全対策調査会委員6名のうち5名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議が成立していることを御報告いたします。なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を御申告いただいております。
次に、事務局側の人事異動について御紹介いたします。1月1日付けで医薬担当の審議官が森から山本に交代となっております。また、医薬安全対策課長が関野から中井に交代となっております。両名とも所用で遅れておりますので、到着しましたら、改めて御挨拶させていただきます。また、PMDAの安全管理監が森口から山田に交代しております。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の皆様に御案内いたします。傍聴の皆様におかれましては、事前にお知らせしている傍聴への留意事項を遵守いただきますよう、お願いいたします。留意事項に反した方につきましては、退場をお願いする場合がございます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方におかれましては、次回以降の当会議の傍聴が認められませんので、御留意をお願いいたします。今、大臣官房審議官の山本が到着しましたので、御紹介させていただきます。
○山本審議官 山本でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 以後の進行につきましては、五十嵐安全対策調査会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 始めに、事務局から審議参加に関する遵守事項について、御報告をお願いします。
○事務局 本日御出席いただいた委員の皆様の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまで同様に御申告いただいております。本日の議題において、調査審議される品目は、DPT、DT、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、混合不活化ポリオ、13価肺炎球菌、ヒブ、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、5価ロタウイルスの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ生研株式会社、サノフィ株式会社、ファイザー株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社となっています。事前に各委員に御申告いただいておりまして、その申告内容については、机上に配布しておりますので、御確認をお願いします。
本日の出席委員のうち、柿崎委員がMSD株式会社から、50万円を超えて500万円以下の受け取りがあることから、B型肝炎、5価ロタウイルスワクチンについては、意見を述べることはできますが議決に参加いただくことはできませんので、御報告いたします。
引き続き、各委員の皆様におかれましては、正しい内容の申告について御協力のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
○五十嵐委員 続いて、事務局から今日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より、本日の資料について御説明いたします。厚生労働省では業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本合同会議におきましても、資料はタブレットを閲覧する方式で実施いたします。各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。なお、タブレットの操作方法につきましては、従前と同様ですので説明は省略させていただきますが、御不明な点、不具合がございましたら、事務局員までお申出ください。
○五十嵐委員 では、議題1「各ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。事務局から資料1から資料6までの御説明をお願いいたします。
○事務局 初めに全体的な事項を説明いたします。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうではない比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしています。本日は、比較的同時接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告状況について御説明いたします。
比較的同時接種が行われるワクチンについては、前回の9月20日の合同会議において、昨年3月1日から6月末までの症例について報告しております。本日は、昨年7月1日から10月末までの4か月間に報告された症例について御説明させていただきます。それでは、資料1から資料6について、御説明いたします。百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ関連のワクチンとなります。
資料1をご覧ください。「DPTワクチン」です。具体的な製品名は1ページ目の上段にあります「商品名」に記載しています。1ページの中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告数を記載しております。DPTワクチンの接種可能延べ人数は1万6,849人、製造販売業者からの報告は2件、医療機関からの報告は非重篤のもの5件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.012%、医療機関からの報告頻度は0.030%となっております。1ページ下段には重篤例の転帰などの情報をまとめておりますが、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。
2ページ目に移る前に、本資料を含め、各資料の1ページ目の見方について、改めて御説明いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため、医療機関の報告として計上しております。また、中段の表の報告数の部分ですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内であったものについて、括弧書きでその件数を記載しております。また、製造販売業者ごとの出荷量や発現頻度については、別途、委員限りの資料をご覧ください。
それでは、2ページ目をご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただいて、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。
3ページ目は、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しています。こちらの左側が前回までの報告、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。
4ページは報告された個別症例の一覧です。6ページは、アナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回はそのような症例はありませんでした。資料1については以上です。
資料2は「DTワクチン」です。接種可能のべ人数は約81万人、医療機関からの報告は非重篤のもの5件でした。医療機関からの報告頻度は0.00061%となっています。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料2は以上です。
資料3は「ジフテリアトキソイド」です。こちらは対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略いたします。
資料4は「破傷風トキソイド」です。接種可能のべ人数は約17万人、医療機関からの報告は非重篤のもの2件のみで、医療機関からの報告頻度は0.0012%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料4は以上です。
資料5は「不活化ポリオワクチン」です。接種可能のべ人数は1万1,072人、医療機関からの報告は非重篤のもの1件でした。医療機関からの報告頻度は0.0090%となっております。1ページ下段には重篤例の転帰等をまとめておりますが、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料5は以上です。
資料6は「4種混合ワクチン」です。接種可能のべ人数は約120万人、製造販売業者からの報告は12件、医療機関からの報告は28件、うち重篤なものが9件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0010%、医療機関からの報告頻度は0.0023%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果です。5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから8ページが個別症例の一覧です。6ページの製造販売業者からの報告のNo1、2、11にある副反応名の「急性散在性脳脊髄炎」の症例については、いずれも学会報告に基づく報告で、関連する製造販売業者から自社品としてそれぞれ報告されたものですが、その後の調査によって対象期間後の追加報告において、No1及び11については、取り下げられております。9ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。10ページは死亡症例についてです。対象期間後に報告された症例であり、現在調査中ですので、調査結果が得られ次第、改めて御報告いたします。
資料1から資料6の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 それでは、資料1から資料6までのワクチンについて、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。特によろしいでしょうか。
報告をまとめますと、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことは今回はありませんでした。死亡症例は、今回の集計対象期間内にはありませんでした。対象期間後の沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオを含む同時接種の症例1例についての報告がありまして、現在、その詳細情報を調査中ですので、次回以降に改めて報告がされるという予定です。こういうまとめでよろしいでしょうか。
この内容を踏まえまして、現状での取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特に御意見がないようですが、よろしいでしょうか。
そうしますと、資料1から資料6までのワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
では、続きまして、資料7から資料8までの報告をお願いいたします。
○事務局 資料7をご覧ください。「沈降13価肺炎球菌ワクチン」です。接種可能のべ人数は約123万人、製造販売業者からの報告は23件、医療機関からの報告は28件、うち重篤なものは18件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0019%、医療機関からの報告頻度は0.0023%となっております。
肺炎球菌ワクチンに関しては、薬効欠如などのワクチンの副反応ではないと考えられるような症状が報告されていることについて、これまでの合同会議で御指摘いただいておりまして、内数として、肺炎球菌感染、肺炎等を除いた数もお示ししております。今回の対象期間では、製造販売業者から肺炎、予防接種の効果不良などの症例が報告されており、これらを除くと、製造販売業者からの報告数は20件となります。また、1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は、0~0.05となっており、この数値は急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。
2ページから6ページは症状別に集計した結果です。こちらの表で左側に★を付けている症状が、1ページで内数として集計する際に除外したものとなります。7ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。8ページから12ページは個別症例の一覧です。
13ページはアナフィラキシーのまとめになります。対象期間前の報告の追加報告でアナフィラキシーとされた報告1件と、今回の集計対象期間内にアナフィラキシーとして3件の計4件が報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過については、14ページに掲載していますのでご覧ください。
続いて、15ページからは死亡症例についてです。昨年6月の合同会議において、詳細調査中として報告した対象期間前の症例です。1歳の女児で、接種4日後に心肺停止の状態で発見されて、死亡された症例です。剖検の結果、明確な死因は不明とされ、ワクチンによるアナフィラキシー等のアレルギー反応が起きたとは考えにくく、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明であるとされています。16ページ以降に、委員限りの資料として、詳細な経過や専門家の意見を添付しています。その内容を御発言いただきます際は、患者個人の特定につながらないよう御配慮いただきますよう、お願いいたします。資料7は以上です。
資料8は「ヒブワクチン」です。接種可能のべ人数は約121万人、製造販売業者からの報告は18件、医療機関からの報告は26件、うち重篤なものが17件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0015%、医療機関からの報告頻度は0.0021%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0~0.05となっており、急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。
2ページから5ページが、症状別に集計した結果です。6ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。7ページから10ページは、個別症例の一覧です。
7ページの製造販売業者からの報告のNo1、5、6、18については、4種混合ワクチン、肺炎球菌ワクチンでも御報告した症例と同一の学会報告に基づく報告で、No1については、今回の対象期間内の報告では同時接種ワクチンなしとされておりますが、対象期間後の追加報告によって同時接種ワクチンの報告を受けております。
11ページはアナフィラキシーのまとめですが、先ほどと同様の症例で、対象期間前の報告の追加報でアナフィラキシーとされた報告1件と、対象期間内にアナフィラキシーとして3件報告された計4件がございましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細経過は12ページに記載しております。
13ページが死亡症例になります。先ほど資料7で御説明した症例と同一ですので、説明は省略いたします。
資料7及び資料8の御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 それでは、2つのワクチンに関する御説明について、何か御質問、御意見はいかがでしょうか。特にありませんか。
それでは、御報告内容をまとめたいと思います。まず、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いということはありません。死亡症例は、今回の集計対象期間内の報告はありませんでした。また、対象期間前に13価肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを含む同時接種で1例の報告がありました。その明確な死因は不明とされまして、ワクチン接種と死亡との因果関係は不明であるという結論になっています。なお、13価肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの6か月間における死亡例の報告頻度は、いずれのワクチンも、急ぎの検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っておりました。このようなまとめでよろしいでしょうか。
では、この内容を踏まえまして、現状での取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見を頂きたいと思います。特にございませんか。
では、これまでの内容を踏まえまして、現状での取扱いにつきましては、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、続いて資料9から資料14のワクチンについて、御説明をお願いいたします。
○事務局 資料9をご覧ください。「BCGワクチン」です。接種可能のべ人数は約29万人、製造販売業者からの報告は4件、医療機関からの報告は41件、うち重篤なもの9件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0014%、医療機関からの報告頻度は0.014%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。4ページから6ページは個別症例の一覧です。
4ページの製造販売業者からの報告のNo1、接種日不明、骨結核の後遺症症例につきましては、7ページ目に記載があります。本症例は文献報告をきっかけに報告された2歳男児の症例です。1週間前から右膝痛があり前医を受診し、BCG骨髄炎疑いにて治療開始、報告医のもとで掻爬術が施行され、可動域制限はないものの、骨結核による脚長差6mmが後遺症症状となった症例です。表の一番右側のカラムに専門家の意見を記載しており、「ワクチンとの因果関係は否定できない」とされています。8ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料9は以上です。
資料10は「日本脳炎ワクチン」です。接種可能のべ人数は約165万人、製造販売業者からの報告数は4件、医療機関からの報告は23件、うち重篤なものが6件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00024%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから3ページは症状別に集計した結果、4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。5ページから7ページは個別症例の一覧です。
5ページの製造販売業者からの報告のNo2、14歳女性の急性散在性脳脊髄炎の症例については、製造販売業者が学会報告に基づいて報告したものですが、その後の調査により、他社品の症例であることが判明し、対象期間後に当該報告は取り下げられております。
8ページは後遺症症例です。昨年の6月の合同会議にて、ADEM及び脳炎の可能性のある症例として御評価いただいた症例で、当時は転帰「未回復」とされていました。症例の詳細経過は別紙として13ページ以降に掲載しております。6月の会議では、2018年12月20日までの経過について記載しておりました。その後に転院し、外科的治療が行われましたが、左片麻痺、汎下垂体機能低下症、尿崩症が後遺症症状として報告されています。8ページの表の一番右のカラムに、専門家の意見を記載しておりますが、「ワクチン接種との因果関係を否定できない」、「ワクチンとの因果関係は肯定も否定もできない」とされています。
9ページからはギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎についての評価です。今回、医療機関から急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の可能性がある症例が1件報告され、その1件が専門家の評価によってADEMとして否定できないとされています。10ページが症例の一覧なります。本症例は5ページの製造販売業者からの報告のNo2の症例で、学会報告に基づいて報告されたものですが、その後の調査によって他社品と判明し、対象期間後に取り下げられているということは先ほど御説明したとおりです。その該当する他社からの報告につきましては、2018年9月の合同会議において既に審議されておりますので、今回は専門家の意見及び事務局評価につきましては、2018年9月に審議いただいた際の記載を再掲しております。
続きまして、11ページはアナフィラキシーのまとめになります。今回の対象期間内では1件がアナフィラキシーとして報告され、専門家の評価によって、その1件がブライトン分類3以上と評価されております。次のページに詳細な経過を記載しております。19歳の男性の症例です。日本脳炎ワクチン接種後、全身の発赤、掻痒などを自覚し、薬剤性のアナフィラキシーショックとして救急搬送された症例です。専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされております。13ページ以降には、先ほど御説明した別紙を掲載しておりますので、御確認ください。資料10は以上です。
資料11は「B型肝炎ワクチン」です。接種可能のべ人数は約178万人、製造販売業者からの報告は18件、医療機関からの報告は22件、うち重篤なものが15件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0010%、医療機関からの報告頻度は0.0012%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果、5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから8ページは個別症例の一覧です。
9ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間前の報告の追加報でアナフィラキシーとされた報告1件と、対象期間内にアナフィラキシーとして3件報告された計4件が報告されておりますが、専門家の評価によって、ブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は10ページに記載しております。
11ページからは死亡症例についてです。この症例は昨年の6月の合同会議において、詳細調査中として報告した対象期間前の81歳の女性の症例になります。接種翌日に血圧低下が認められ、救急搬送され、非閉塞性腸管虚血症と診断されました。接種2日後に死亡が確認された症例です。調査の結果、「ワクチン接種が非閉塞性腸管虚血症の発症に直接的に寄与したとは考えにくく、ワクチン接種と死亡との因果関係は否定的である」とされています。12ページ以降に詳細な経過や専門家の意見を添付しております。資料11については以上です。
資料12は「ロタウイルスワクチン」です。接種可能のべ人数は約33万人、製造販売業者からの報告は44件、医療機関からの報告は6件、うち重篤なものが4件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.014%、医療機関からの報告頻度は0.0018%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果です。5ページから8ページが個別症例の一覧となっています。
5ページの製造販売業者からの報告のNo13からNo37までの25症例については、前回の9月の合同会議において報告された1症例と関連する症例で、医療関係者の情報から症例数が26例と判明したため、追加で25例が報告されているものです。しかしながら、年齢・性別・接種日・発生日・転帰などの詳細な情報については、その医療関係者からの協力が得られず、入手することができませんでしたので、このような報告となっております。
9ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料12は以上です。
資料13は「5価ロタウイルスワクチン」です。接種可能のべ人数は約25万人、製造販売業者からの報告は12件、医療機関からの報告は重篤なもの8件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0049%、医療機関からの報告頻度は0.0032%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから3ページは症状別に集計した結果です。4ページから5ページが個別症例の一覧です。
6ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件が報告されましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は7ページにありますのでご覧ください。資料13は以上です。
最後に資料14をご覧ください。ロタウイルスワクチンによる腸重積の発生状況について、これまでの会議と同様に、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン社、MSD社により、資料の提供を受けております。まず、資料の2ページ目ですが、こちらはグラクソ・スミスクライン社のロタリックスについて、腸重積報告症例、ブライント分類評価が1に該当する症例数などを、左の列に米国、右の列に日本のデータを記載しています。3ページ目では、ブライトン分類1相当の症例のうち、入院、外科手術、腸切除といった、実施された処置ごとに件数をまとめたものになります。4ページ目のグラフは、接種から腸重積発現までの日数をまとめたもので、左側が米国、右側が日本、上の段が接種1回目、下の段が接種2回目としてまとめております。5ページ目のグラフは、腸重積発現時週齢をまとめたグラフです。
6ページ目以降はMSD社のロタテックについて、ロタリックスと同様にまとめた資料となっています。資料の構成は、ただいま御説明したロタリックスとほぼ同様ですので、詳細は省略いたします。
資料10から資料14までの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 ただいまの事務局からの御説明に対して、何か御意見、御質問等はいかがでしょうか。
○多屋委員 資料14のロタウイルスワクチンの腸重積症の資料ですが、最近、また新しい切り口で集計、作図をしていただきまして、大変ありがとうございます。こういうのが分かってくると、非常に状況が見やすくなっていくので、とてもよいと思いました。
もし、これに1つ追加していただくことができるのであれば、今年10月から定期接種が始まりますし、腸重積症は注目されている症状でもありますので、もし可能であれば、接種から1か月以内、あるいは3週間以内に発症された腸重積症の患者について、何週齢目にワクチンを経口接種されたのかというグラフがそれぞれできると、早く飲んでいて起こったのか、少し遅く飲んでしまって発症されたのかが容易に分かるのではないかと感じました。
あと、ここまで9年ぐらいの間、任意接種のロタウイルスワクチンの集計がされてきて、非常に重要なデータだと思っています。米国と日本の違いもとてもよく分かり、米国と日本では、外科手術とか腸切除の頻度がかなり違うということが分かってきたのは、これの結果だと思います。ただ、そろそろ10年になりますので、これをもう少し短期間に分けて比較してみると、最近、傾向が変わってきていないかということを見るためには、そろそろ分けたほうがいいのかなと感じました。以上の2点です。
○五十嵐委員 お願いします。
○事務局 御意見を頂きまして、ありがとうございます。今、2点の御要請があったと理解しています。この資料については、企業のほうでデータの集計と作成をしていただいておりますので、企業にも確認した上で、今の2点について、追加的な分析ができるかどうか、確認と調整させていただきたいと思います。
○多屋委員 ありがとうございます。
○五十嵐委員 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、御説明いただいた内容をまとめたいと思います。まず、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いということはありませんでした。後遺症の報告として、BCGの症例で1例、日本脳炎ワクチンの症例で1例ありました。BCGワクチンの1例は、ワクチン接種との因果関係は否定できないというように判断いただきました。3つ目として、日本脳炎ワクチンでADEMの可能性のある症例は対象期間内に1例の報告がありました。この1例はADEMの可能性を否定できないという判定になっています。ワクチン接種との因果関係は否定できないという判定でした。それから、4番目として、アナフィラキシーと評価された症例は、日本脳炎ワクチンの症例で1例ありました。最後に、死亡症例は今回の集計対象期間内に報告はありませんでした。また、対象期間前のB型肝炎ワクチンの単独接種1例について、報告がありましたが、ワクチン接種と死亡との因果関係は否定的であると判断されています。このようなまとめ方でよろしいでしょうか。
では、この内容を踏まえまして、現状での取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見を頂きたいと思います。特にございませんか。では、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのように判断したいと思います。
続きまして、議題2「ワクチンの接種間隔について」の討議に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。資料16の接種間隔に関する資料をご覧ください。2ページをご覧いただきますと、これまで主に基本方針部会でされてきた検討の内容をまとめています。現行、定期接種の実施要領において、定期接種化されている生ワクチンについては接種後27日以上、不活化ワクチンについては接種後6日以上の間隔を置くことというようにされています。そういった中、ロタウイルスワクチンが定期接種化されるという方針を踏まえて、接種が必要なワクチンが増えること、こういったことから、確実に接種機会を確保するという観点からも、接種の間隔に関して対応を検討する必要があるだろうと、9月の基本方針部会で検討されております。
それ以後、関連するエビデンス、あるいは他国での接種状況等を踏まえた上で、注射生ワクチンどうしを接種する場合は27日以上あけること、こうしたことは維持しつつ、他のワクチンの組合せ、それ以外のワクチンの組合せについては、制限を設けないこととするという方針で取りまとめられました。
そういった概要について、図示したものが3ページです。左側が現行の接種間隔を模式的に図にしたものです。注射生ワクチン、あるいは経口生ワクチン接種後は、基本的に27日以上はあけていただくこと、また、不活化ワクチン接種後は6日以上をあけていただくこととなっています。見直し後が右側の図になっていますが、注射生ワクチンを打って、さらにまた注射生ワクチンを打つ場合には、引き続き27日以上あけること。ただ、それ以外の組合せの場合は、特段の制限を設けないことという案になっています。4ページは、そうした内容を実施要領の文字に起こしたものです。
そういったことを踏まえて、5ページの対応案をご覧ください。各ワクチンの添付文書の改訂についてということで、こちらは安全対策調査会のほうになりますが、案の見直しを踏まえた記載箇所である「用法及び用量に関する接種上の注意」等について、改訂する必要があるのではないか。また、副反応疑い報告制度についてということで、こちらは本合同部会で、今後、安全対策調査会・副反応検討部会合同部会で評価するに当たっては、同時接種だけでなく、様々な間隔でワクチンが接種されることについても留意する必要があるのではないかということで、示させていただいております。
○事務局 続いて、資料17「ワクチンに関する添付文書の改訂について」を御説明いたします。今、御説明があったように、ワクチンの接種間隔について、定期接種実施要領での扱いが変更になることに伴い、各ワクチンの添付文書についても、それに整合する形で見直しが必要となっています。「経緯」の所は、先ほど説明があったところですので、省略します。
2番の「対応方針」については、そこに書いてあるとおり、基本的には定期接種実施要領に合わせて、同じように切り替えるということを考えています。また、3番の「今後の予定」については、来月の2月中に、添付文書改訂の指示通知を出しまして、実際に改訂されるのは本年の10月1日で、これは定期接種実施要領の改正されたものが適用されるのが10月1日になりますので、それとタイミングを合わせるということで、10月1日に適用としております。
この点については、この会議に先立ちまして、本日の13時から安全対策調査会を単独で開催し、御審議、御了解を頂いたところですが、副反応検討部会の皆様におかれましても、御承知おきいただき、今後、先ほど説明がありましたように、同時接種だけではなくて、比較的近接した期間同士で複数の異なるワクチンが接種されてくるというケースが増えてきますので、それを踏まえた副反応のモニタリングを引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
○五十嵐委員 では、御質問、御意見はいかがでしょうか。
○桃井委員 最後に「それを踏まえた副反応のモニタリング」とおっしゃいましたが、これは実施前にその体制をきちんと策定していただきたいと思います。起きた副反応疑い項目が、多少間隔をあけた2つのワクチンに関して、バイチャンスで起きたものであれば頻度は上がらないと思いますが、何らかの関連性がある、例えば局所の反応とか発熱とか、そういうものであれば、非常に短い期間にやることによって、全部に報告されるのであれば頻度が上がることも考えられますので、それらの数値をどう読むかということに関して、あらかじめしっかりと見ておく必要があると同時に、この副反応報告も、いつまでの間隔を同時と近いと判断するのかとか、その辺は非常に複雑になると思いますので、数の動きと同時に、今までの数字と必ずしも比較できるものではなくなってきますので、その辺を十分にお考えいただいてからの実施をお願いしたいと思います。
○長島委員 今の桃井先生の御指摘のとおりかと思いますので、どのような間隔を、どのようなカテゴリーなり、評価するのかという検討は既にお始めでしょうか。
○事務局 その点については、まだ具体的な検討はこれからとさせていただいて、この場でも御相談させていただければと思っております。
○長島委員 専門家の先生を交えて、是非、なるべく早くこの検討をお願いしたいと思います。
○五十嵐委員 多屋先生、よろしいですか。
○多屋委員 はい。これから早急に考えていく必要があると思います。
○五十嵐委員 そのほかにはいかがでしょうか。それでは、10月から変わるわけですが、それに向けて、必要な準備があるという御指摘を頂きましたので、検討していただきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、続いて議題3に入ります。この議題からは、副反応検討部会長の桃井先生に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○桃井委員 それでは議題3「HPVワクチンの情報提供について」に入ります。まず、資料の18、19、事務局から御説明ください。
○事務局 事務局です。はじめに資料18から説明させていただきます。こちらはHPVワクチンに関連する情報提供の評価に関して、これまでの検討の経緯をまとめさせていただいたものになります。
1.を見ていただきますと、これまでの情報提供の評価に関する検討の経緯で、まず調査結果の概要を示しています。内容については、8月の部会で御報告させていただきましたが、自治体におけるリーフレットの活用状況、あるいは国民のリーフレットの認知状況は必ずしも高くなかったということ。またリーフレットは、HPVワクチンの有効性と安全性を伝えるものとして理解されているが、より分かりやすい表現等が求められるだろうということが、明らかになりました。
それらを踏まえて、(2)検討事項にありますが、ワクチンの接種対象者やその保護者に対して、情報提供の方法の在り方、あるいは情報提供の内容について検討していく必要があるだろうとされたのが、これまでの経緯です。
2.は、令和元年8月30日の検討部会における主な御意見として、現在のリーフレットの内容について、あるいは情報提供の方法についての御意見ということで、このような御意見を頂いたということで、まとめさせていただいています。
そういった検討内容を踏まえて、11月22日、第44回の検討部会において、さらにコミュニケーションの専門家等からヒアリングを行い、どのように情報を届けるのか、あるいは情報提供として求められる内容及び情報の受け手に分かりやすい内容というのはどういったものなのか、あるいは情報提供に関して留意するべき事項、こういったことに関してヒアリングを行い、下に書いてありますとおり各参考人から御意見を頂いたと認識しています。資料18については以上です。
続きまして資料19をご覧ください。これまでの検討を踏まえて、HPVワクチンの情報提供の目的及び今後の方向性についてということで、案を示しています。(1)情報提供の目的ですが、こういったことの目的として、公費によって接種できるワクチンの1つとしてHPVワクチンがあることについて知っていただくとともに、当該ワクチン接種について検討・判断するためのワクチンの有効性・安全性、こういった情報や、接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を、しっかりと対象者やその保護者に届けることを目的としてはどうか。こういった観点から、どういった内容を検討するべきだろうかということで、(2)情報提供の内容に係る方向性を示しています。現在、3種類のリーフレットがありますが、対象者・目的を改めて整理して構成の変更を試みてはどうかということで、案を示しています。その際、読みやすさ、分かりやすさを重視して、手にとって読んでもらうということを目指してはどうかと考えています。
まず、マル1をご覧ください。HPVワクチンの接種を検討しているお子様と保護者の方へということで、今、青色のリーフレットがありますが、こちらについて接種の検討・判断や接種を希望した場合に円滑な接種ができるように、有効性・安全性に関する情報を知っていただく。現行、その対象者として、主にワクチン接種を検討している方へとしていますが、むしろ接種の検討の有無にかかわらず、接種対象者及び保護者全てを対象として考えるべきではないかということで示しています。その際、そういった対象者、目的の変更に伴い、情報を端的にまとめる部分、またその先により詳しい情報を知りたいという方への部分ということで、二部構成としてはどうかということで案を示しています。
各リーフレットの現行の項目と、見直すポイントということで、次のページに表として示しています。こういった現状の各項目、主な内容と、それをどういった方向性で見直していくべきなのかということで、案を示しています。
続きまして、マル2でHPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へということで、今、オレンジ色のリーフレットがありますが、こちらはHPVワクチン接種後の留意点について理解していただくことを目的に、今は受けるお子様へとしていますが、それを接種をしたお子様、あるいは保護者の方を対象として、接種を決めて接種行動をとっている対象者であることを踏まえて、打った後に必要な情報がきちんと伝わるようにということで、同じように現行のリーフレットに記載してある項目と、こういった方向性で見直してはどうかということを、次のページに同じように表として記載しています。
最後、マル3医療従事者の方へということで、今、緑色のリーフレットがあります。こちらは引き続き医療従事者を対象として、各データのアップデート等を行いながら見直していくこととしてはどうかということで、こちらも同じように改訂のポイントを記載しています。
(3)の所で、情報提供の方法に係る方向性として、4ページの下のほうに記載をしています。こちらについては、情報提供に関して対象者及びその保護者に対して情報が十分に行き届き、接種をするかどうかについて検討・判断ができるよう、自治体からリーフレットの個別送付を行うこととしてはどうか。また、接種を希望する場合は、接種を受けられるよう、接種の方法をリーフレットと併せてお知らせすることとしてはどうかということで、方向性の案を示しています。なお、情報提供については、居住する自治体にかかわらず行われるよう、予防接種法施行令の周知の一環として実施するものとし、また積極的な勧奨とならないよう留意するということで、注を付しています。以上です。
○桃井委員 ありがとうございます。資料18は、これまでの部会でも議論されたまとめです。資料18、19について御意見を頂戴したいと思います。
○永井委員 何回か申し上げているのですが、HPVワクチンに関しては痛みの問題が一番注意すべきところであると思っています。一般の方の中に5%ぐらいは痛み過敏の方がおられますし、その中で本当に激しい方もおられるので、やはりリーフレットに書くのはいいのですが、医療者に関しては、口頭で説明する、「痛みは大丈夫ですか」ということをお聞きして接種するという配慮が必要なのではないか。御存じのように欧米では、その痛み過敏の人には希望を聞いて、痛み止めを使いながら接種をしている等、実際にアメリカ、カナダは完璧にやっていますし、そういうようなところまで配慮してもいいのではないかと私は思っています。統計的なデータを持っているわけではありませんので、そこは申し訳ないのですが、よその国の状況を見ると、そういうことをやってもいいのかなと考えています。
○桃井委員 ありがとうございます。痛みをどうやったら軽減できるかという論文も出ているようです。接種する際に看護師と話しながらなどの状況の中で接種をすると、痛みは軽減されるというような論文もあったように記憶をしています。それは非常に大事な側面であろうと思います。
ほかに御意見は、このリーフレットによる情報提供に関する御意見、あるいは内容に関する御意見はいかがでしょうか。
○長島委員 全体的な方向性は賛成です。1つ、十分考慮しなければいけないと思うのが、この行政用語を分かりやすくするというところで、最もポイントになるのは恐らく「積極的にお勧めすることを一時的にやめています」と、この言葉の示す意味を具体的に記載するというところで、ここは十分によく考えていただいて、分かりやすく、でもしっかり伝わるようなことを御検討願えればと思います。
○桃井委員 これも大変おっしゃるとおりだと思います。お勧めしていないというようにとりますので、お勧めしていないものは誰もやりませんので、正確に内容が伝わる言葉を是非、工夫していただきたいということです。同じように、副反応と副反応疑いという言葉も、差は一般の方には全く分かりませんので、この辺も是非、留意をして、なかなか難しいコミュニケーションですが、工夫をお願いしたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○濱田委員 内容は非常に分かりやすくなっていると思いますが、青リーフレットとオレンジリーフレット、これから検討する人ともう打つ気持ちでいる人で分けていらっしゃるわけなのですが、これをどう配布し分けるかの方法論と、1つではやはり難しいのでしょうか。医療従事者向けが別なのは分かるのですが、その辺をちょっと教えていただければ。
○桃井委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 基本的には、青リーフレットは受ける前に、そもそも打つべきか打たないべきか、どういう判断をしようかという趣旨で作っているということと、オレンジのリーフレットは、接種した後に必要な注意事項を伝えるためのものなので、読む段階、あるいはその時々の段階で、必要な情報というのは変わってくると思うので、その趣旨を明確にするという意味では、2つに分けてあるほうがいいのではないかと考えています。
○濱田委員 そうすると、接種する前、接種した後ということですよね。
○事務局 そういうことです。
○濱田委員 何かそういうふうに書いたほうが、分かりやすいようにも、もともと目的自体がちょっと分かりにくいところがあるので、そこから分かりやすくしたほうがいいかなと思いますが。
○事務局 はい、承知しました。
○長島委員 もう1つ、自治体の皆様にもよく御理解していただくということが重要です。リーフレットという形ではなく、例えば通知という形になるかもしれませんが、まず自治体の方に、リーフレットを変更した意義と趣旨というものを十分に理解していただくような連絡なり通知というものの御検討をお願いできればと思います。
○桃井委員 おっしゃるとおりだと思います。前回のは、リーフレットがほとんど利用されなかったという事実があります。その辺をどのようにクリアしたらいいか、是非、御検討ください。ほかにはいかがでしょうか。
○多屋委員 青リーフレットとオレンジリーフレットは、接種の前と接種の後ということだったのですが、接種の後にお渡しするオレンジリーフレットは医療機関にあっても大丈夫だと思うのですが、例えば青リーフレットは、接種対象者の方に自治体から送付するなり、お渡しするなりということまでは現時点で考えておられるのでしょうか。
○事務局 そういった情報の届け方についても、御議論いただければと考えています。
○長島委員 今の点は、1つ前の資料の所に対象者全員に個別送付ということがありましたので、是非、それでお願いできればと思います。
○桃井委員 ほかに御意見はどうでしょうか。
○佐藤委員 このリーフレットは、今日、資料に載せていただいているのは、以前に見せていただいたまま、特にそのままで変えていないですよね。
○事務局 参考資料で付しているのは現状のもので、それを今資料の表に記載してある方向で見直してはどうかということです。
○佐藤委員 いずれにせよ、ちょっと字が多過ぎてとても読めないということが一つあると思います。医療従事者が必要な情報の量と、一般の方へお伝えする情報とで全く同じことをする意義はないとおもいます。もちろん、より情報を知りたい方への情報開示という意味では、絶対に制限があってはいけないと思います。ただ、現在のものは目的や字が多過ぎて何が書いてあるのかよく分からないということが、正直なところです。
それと、今日、つくづくながめて気が付いたのですが、国際情勢は書かないのですか。我が国のデータは沢山紹介されているのですが、国際情勢についてはほとんど記載がありません。確か、WHOの推奨などがあったと思いますが、その辺も触れないのですね。接種を勧める、勧めないということではなく、それも重要な情報の1つだと思います。私たちに国際情勢はなかなかは分かりにくい部分もあるので、それを見た上で判断していただいたほうが、よりフェアなのではないか、と少し思いました。
○桃井委員 それに関しては、おっしゃるとおりだと思います。非常に大規模の調査の結果や、科学的エビデンスの高い国際的に発信されている情報は、お伝えするほうがより理解が深まると思いますので、是非、その辺も御検討いただきたいと思います。
○長島委員 資料19の2ページ目の改訂のポイントの2項目、3項目の所に、子宮頸がんに関するいろいろなことを書くとか、次にHPVワクチンの概要の所で世界での状況を追加するということなので、今、御指摘の点はここの所でしっかりやっていただければと思います。
○桃井委員 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
○多屋委員 あともう1つですが、接種した後に多様な症状を呈した場合、学校に行っている子供たちですので、最初に学校でそういう症状があったときは、保健室なり養護教諭の先生なりに相談することも多いかと思います。市町村の方に情報をしっかり御理解いただくとともに、その子供たちが普段よく接している人々にも、保護者とともに知っていただくということが大事ではないかと思います。
○桃井委員 ありがとうございます。以前も多屋委員から、学校での情報提供の重要性を繰り返し御意見を頂戴しています。今、そういうことが実施されていませんが、省庁の壁を越えて、そのような学校での保健に関する、あるいはこの予防接種に関する適切な情報提供、あるいは担当する養護教員に関する情報提供、今、おっしゃったように情報提供がないと彼らは理解できませんので、これは非常に重要な課題だと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○山縣委員 先ほどの桃井先生の返答にも重複するかもしれないのですが、この医療従事者の方へというときに、このHPVワクチンに関しての基本的な有効性や副反応のリスク等は書いてあるのですが、やはり実際に接種するときに、どういうふうなことを気を付けて接種すると痛みの軽減になるかなど、小児医療などでいわゆるプレパレーションやディストラクションというのはきちんと行われているわけですが、そういうことを、このリーフレットには紙面上中には入らないかもしれないので、何らかの形で医療機関等に通知してはどうか。特にこの予防接種に関しては、痛みを感じる方が多かったりするわけですから、その辺りのところをもう少し丁寧に情報提供するなり、接種方法を啓発するといったようなことを考えたほうがいいのではないかと思いました。以上です。
○桃井委員 ありがとうございます。大変重要な御意見だと思います。ほかにはいかがでしょうか。
○永井委員 同じような繰り返しで申し訳ないですが、痛みの激しい過敏性のある子たちの痛みの度合いというのは、なかなか一般の方は理解しにくいのです。ですから、やはりそういう本人の訴えがあれば、十分配慮してもらうこと、「我慢しなさい」ということではなくて、そのような情報は、接種時に、接種を受ける本人への提供が必要ではないかと思っています。
○長島委員 今の点に関係してですが、リーフレットの中に全部書くこともできないし、最新の情報を都度都度載せるということは不可能なので、やはりこれはインターネットのWebページとの連携という形で、最新の情報や詳しい情報はここに載せますというようなQRコードなり、URLを載せて、そちらを見てくださいというような連携をしたほうがいいのではないかと思います。
○桃井委員 おっしゃるとおりで、リーフレットだけでの情報伝達は、この時代に合いませんし、情報量も非常に少ないので、予防接種の情報伝達、科学コミュニケーションをどうするかという論文などにも、あらゆるコンテンツを使うということが強調されて書かれています。この参考資料にも厚生労働省のHPに入るようにはなっていますが、改めて取りに行かなくても、あらゆるコンテンツを使っていろいろな機会に目に触れるような情報の提供の仕方というのを、是非、工夫をしていただきたいと思います。御意見、ありがとうございました。ほかに御意見はいかがでしょうか。
それでは、大分御意見を頂戴いたしました。ということは、やはりまだまだ情報伝達に工夫が要るということを意味していますし、それだけ情報伝達が難しいということも意味していると思います。しかし、難しいことながらここはキーポイントですので、是非、あらゆる工夫をして、情報伝達のやり方、内容を御検討いただいて、実施に持っていっていただきたいと思います。今、頂いた御意見は是非、今回のリーフレットに反映させていただいて、再びこの副反応部会で御検討いただくことになるかと思います。是非、この後も、もし御意見がある場合には、事務局までお寄せいただきますようよろしくお願い申し上げます。この議題3は、終わらせていただきます。
次に議題4について、「予防接種法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。本年1月21日付けで予防接種法の施行規則の一部を改正する省令について諮問書が出ております。諮問書の2ページ目の副反応の部分ですが、「結核の定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状に髄膜炎を追加し、報告すべき期間を予防接種との関連性が高いと医師が認める期間とすること」ということを、こちらは添付文書が改訂されたことに伴い、それに合わせて施行規則のほうも変更してはどうかということで、諮問させていただきます。以上です。
○桃井委員 これにつきましてはよろしいでしょうか。
続いて、議題5「その他」について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 すみません、今の議題4については御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
○桃井委員 よろしいでしょうかとお伺いしまして、特に御意見はなかったと思います。よろしいでしょうか。再度確認いたしました。
○事務局 ありがとうございました。
○桃井委員 それでは、議題5「その他」について御説明ください。
○事務局 「その他」としまして、健康状況調査の御報告をさせていただきます。資料21です。1ページですが、調査の概要の所に目的とありまして、この調査は定期の予防接種により比較的起こる可能性が高い健康異常の発生状況、発熱、局所反応等を調査しているものです。予防接種後の健康状況に関する情報を広く提供し、正しい知識の啓発、研究の一助としていただくことを目的としております。調査の方法は、指定の医療機関において、予防接種の際に本調査に御協力を頂ける御本人あるいは保護者にお願いしまして、調査票をお渡ししており、回収したものを厚生労働省でまとめております。今般は平成30年度分、昨年度調査をして、本年度集計した分がまとまりましたので御報告させていただきます。
一部を紹介させていただきたいと思いますが、39ページになります。一例として、DPT-IPVの数字を載せております。結果の報告方法について、毎年、これまで単年度の集計だけを載せておりましたけれども、各ワクチンの接種後の症状の発生状況等が経年的に比較できるように、平成28年度、29年度、30年度と並べたものを今回から掲載いたしまして、そういった改善を図らせていただきました。DPT-IPVの症状で代表的なものとして、発熱、局所反応、けいれんを載せていますけれども、例えば発熱の発現状況は、平成30年度の初回の1回目接種で12.4%、2回目で13.3%、初回の3回目接種で6.5%、1期追加接種で14.8%といった数字が並んでおります。またこれらの数字については、昨年、一昨年と比べて大きな変化はないことを確認いただくことができます。こうした表がワクチンの数だけ並んでおりまして、またさらに詳細な情報として、性別や年齢別、接種部位別、症状別、発現時別など様々な集計結果を御報告いただいておりますので御参照いただければと思います。
また、この部会で報告が遅れている年度もありまして大変申し訳なかったのですけれども、間の年度につきましても速やかにこの後公表させていただきたいと思っております。以上、簡単ですが御報告させていただきます。この調査票を御記入いただいた保護者の方、また御協力いただきました自治体や日本医師会、指定の医療機関の皆様にも、この場をお借りいたしまして感謝を申し上げたいと思います。
○桃井委員 これにつきまして何か御意見はありますでしょうか。
○多屋委員 皆さん大変待ち望んでいた集計をまとめていただきまして、ありがとうございます。今、お話されなかったのですが、今回の資料では同時接種による健康状況の変化と、あと単独接種による変化が比較しやすいようにグラフ化されたり、作表をされているなと思いましたので、多くの子供たちが同時接種を受けていますけれども、それと単独接種の比較を見るにもすごく有用なデータではないかと思いましたので、少し感想を述べさせていただきました。
○桃井委員 ほかに御意見等はありますか。よろしいでしょうか。もしこれをご覧になりまして、このようにしたほうがよいのではないか等々の御意見がありましたら、是非、事務局にお伝えいただければと思います。
それでは、参考資料5についてよろしくお願いいたします。
○事務局 最後の御報告事項です。参考資料5をご覧ください。「アクトヒブ」に関する内容になっております。本日も議題1でヒブワクチンについて御審議を頂きましたが、アクトヒブにつきまして1点御報告させていただきます。アクトヒブはその製品の中に溶剤が添付されており、これがシリンジの中にあらかじめ溶剤が充填されたプレフィルド型のシリンジとして製品に添付されております。今般、そのシリンジの針に錆が生じているという事例が医療機関から報告されました。これを受けまして、昨年末、行政と企業からそれぞれ注意喚起を医療現場にさせていただき、使用する前によく錆の有無を確認いただいて、もしその錆が生じている場合は使用しないでくださいということを案内させていただいております。他方、企業におきましては、この錆が発生している原因究明を続けております。ただ、調査に時間が掛かっておりまして、その調査が完了するまでの間、現在新たな製品の出荷を見合わせているという報告を受けております。
このため、医療現場への供給が一時的に遅延するという可能性も出てきております。そのため、今週月曜日、参考資料5としてお示しております通知を健康局と医薬・生活衛生局で出させていただいており、安定供給についての御協力、また引き続きその目視による確認をお願いするということを周知させていただいております。現在までのところ、本件に起因すると考えられる健康被害の報告は受け取っておりませんが、引き続き企業において原因究明をし、その結果を踏まえ、供給の安定化、また必要な安全対策について対策を取ってまいりたいと思っております。その結果につきましては、改めて御報告をさせていただく予定ですが、取り急ぎ現在の状況を御報告させていただきます。
○桃井委員 これにつきまして、何か御意見等はありますか。よろしいですか。
○柿崎委員 他のプレフィルド型の製剤で過去に同様な報告とかはあるのでしょうか。
○事務局 錆が生じているという事例は、すみません、手元で把握している限りは承知はしていないのですが、同じプレフィルド型でも、その針の供給元とか、いろいろその製造過程とかによるところもありますので、どこまで一般化できるかというのは特段の情報は持ち合わせておりません。
○桃井委員 ほかによろしいでしょうか。
○多屋委員 資料の2ページ目の一番上の1番ですが、現在、医療機関への供給が難しくなるかもしれないというように書いてあるのですが、取引卸の在庫の出荷が終わったら一旦止まるという記載があります。この取引卸さんの在庫は今大体どれぐらいあるのか、それは把握されているのでしょうか。今、実際に医療機関の先生から注文してもなかなか入荷が難しいけれども、どうしたらいいかという御相談を頂くこともありまして、取引卸さんの在庫の量が分かっていれば、どこぐらいまでは接種ができるかの見込みが付くかと思ったのですけれども、分かりますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。全国の全体の平均で言うと、2月の半ばまでと見積もっておりましたけれども、それぞれの卸さんによって状況が違うかと思いますので、そういった事例も起きているものと承知しております。いろいろ御迷惑をお掛けしますけれども、こういう状況ですので、可能な方策を取っていただくということをお願いしたいと思います。
○桃井委員 是非、医療現場が混乱しないように対策をよろしくお願いいたします。ほかに御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。これでその他に関してはおしまいでよろしいでしょうか。
それでは、今日も御議論、御審議、誠にありがとうございました。議題についてはこれで終わらせていただきます。事務局、よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは1つ申し上げたいと思います。副反応検討部会長である桃井先生から、この先、御退任なされるという御意向を承っております。定例の開催の頻度ですと次の部会までの間にそういったことになろうかと思います。長年にわたりまして、部会委員、部会長として大変な御尽力、御貢献を承りましたことを、事務局を代表して御礼を申し上げたいと思います。よろしければ桃井先生から一言頂戴できれば幸いでございます。
○桃井委員 この度、部会長を退任させていただくことになりました。これは突然ということではなく前々から御相談申し上げておりましたので、その辺、御理解、御了解いただきたいと思います。まず、委員の皆様方に大変真摯な御議論、そして的確な御議論を頂いたことを心からお礼申し上げます。副反応に関する審議は恐らく予防接種行政の中で最も難しいところであろうと思いますが、皆様方の真摯な御議論で少しでもよい方向に予防接種が進むように心から願っております。
少し時間を頂戴して、私がこの任務を務めさせていただいた期間、何を考えていたかをお伝えしたいと思います。予防接種行政は科学的エビデンスに基づいて、特に副反応は科学的エビデンスに基づいて適正かつ公正な評価をするということが当然基軸でございますので、その方針で皆様の御意見を伺ってきたつもりであります。しかしながら、副反応というのは社会に及ぼす様々な影響がございまして、必ずしも科学の適正な情報が伝わるとは言い難いところがあります。情報の伝わり方の勉強として認知行動心理学の名著と言われるものを片っ端から読みました。その名著の中に必ずと言っていいほど予防接種に関する人間の認知行動心理学の問題点が書かれており、それほど大きな問題であるということを認識いたしました。何が書かれているかというと、人間の脳は科学よりも直感を信じる。これは我々がよく経験するところであります。直感を信じたら、信じたものはなかなか科学では修正できない。これも人間の認知行動心理学の原則であるようであります。したがって、科学は極めて多大な努力をしないと情報が伝わらないというのも皆様方が御経験のとおりでございます。
また同時に、科学の中には数字を含みます。我々は数字を基に科学を構築するわけでありますが、数字よりも科学よりもエビデンスよりもストーリーを好むと。これも人間心理、認知行動心理学の特徴であるようであります。したがってストーリーは根拠なく広まってしまう。これは、MRワクチンと自閉症の因果関係の論争が結着したはずなのですが、まだまだそれを信じている方が多くおられることでも見えるところであります。人間の脳はストーリーを好むというところに科学がどうやって戦っていくかということは大きな課題です。
そしてもう1つは、これは研究者でもそうであるようですが、一旦信じたらその信じたものに合致したデータしか集めない。これはしてはいけないはずの研究者でも、やはり人間の脳はそういう性癖を好むというところであるようで、ますます副反応の科学的な情報の周知は困難な作業であると痛感した次第です。
もう1つ、副反応に関して重要な人間の認知行動心理学の事実は、人間は時間的前後関係のあるものを因果関係ととりたがる。これはどの名著にも書いてありまして、時間的な関係はすぐに因果関係ととりたがる。因果関係というのは、時間関係がなくては因果関係が発生しないのですが、時間関係だけで因果関係と考えたがるという性癖が人間の脳、あるいは心情、感情にあるようでして、ここも予防接種の副反応行政の極めて難しいところであると思います。
ですから、今日も情報伝達を御議論いただきましたが、これらのことを念頭において、もう皆様御承知のとおりでありますがあらゆる努力をして、その科学をどう伝えるかが重要です。科学コミュニケーションとか、リスクコミュニケーションとか言われますが、これはこの科学の進歩した、医学の進歩した時代に最も重要なものの1つでありまして、進歩したものをいかに国民の皆様に享受していただくかは、科学コミュニケーションがなくしては利用していただけませんので、そのことを念頭に、あらゆるコンテンツを使って努力をして、あらゆる方向から適正な分かりやすい情報伝達、誠に至難のことですが、それを事務局にも御尽力いただきたいと思っております。
事務局はこれまで御担当が代わっても、代わったとたんに大変内容をよく御理解いただいており、私も感心したことが幾度もあります。この難しい行政に当たって、皆さんの御尽力は多とするところでありますが、お願いがございます。1つは、情報伝達にこれまで以上の、これまでのパターンを変えた努力をしていただきたいということ。それから2番目は、多屋先生からも御意見が出ましたが、省庁の壁を越えた情報伝達、ワクチンに関する教育を是非考えていただきたいということです。3番目は、これは最も大きなことですが、日本にはナショナルワクチンレジストリーがございません。これがないからこそ、何か一旦起きたときには、延々と時間を使わないと本当のことが見えてこない、あるいは本当のことを示すデータが得られないという、非常に大きな欠点があります。ナショナルデータというのは日本が最も不得意とするところですが、欧米の各国においては、ナショナルワクチンレジストリーをきちんと行って、直ちに問題に応じたデータが出るというところは幾つもあります。多大な財政を要することではありますが、国民の健康のためですので、是非、ナショナルワクチンレジストリーを創立していただいて、今後、迅速な副反応を含めた解析結果が出るようなシステムをお考えいただきたいと心から願っております。
重ねまして、委員の皆様方の御尽力に心からのお礼を申し上げさせていただきます。また、事務局におかれましても大変な御貢献ありがとうございました。これにて退任させていただきます。
○事務局 ありがとうございました。最後に、事務的な連絡を何点か差し上げます。本日机上に配布しております添付文書集の黄色いファイルにつきましては次回以降も再利用させていただきますので、そのまま机上に残しておいていただければと思います。もし書き込み等されておりましたら、お名前を書いていただければ、次回以降も同じものをお配りさせていただきます。また、次回の開催日程については調整の上、御連絡を差し上げます。
最後に、傍聴者の皆様へのお願いです。この後、審議会委員が退出いたしますので、退出が終わりますまでしばらくお待ちいただければと思います。事務局からは以上です。
○桃井委員 本日も御審議ありがとうございました。
(了)