令和元年度第3回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

日時

令和2年1月15日(水)13:57~15:24

場所

厚生労働省 専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 12階)
 

議題

(1) 報告書(案)について
(2) その他

 

議事

○米倉改善室長補佐 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻より若干早いですけれども、皆様おそろいですので、ただいまから令和元年度第3回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会を開催いたします。
委員の出席状況ですが、明星委員が欠席となっております。本日はオブザーバーとして、本検討会の議論を踏まえて調査を行った独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所から、作業環境研究グループの中村主任研究員に御出席いただいております。また、関係省庁として、国土交通省大臣官房技術調査課から笠原様、経済産業省産業保安グループから村田石炭保安室長補佐にも御出席いただいております。
資料の確認をいたします。厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日の検討会もペーパーレスで実施させていただきます。お手元には、タブレットを配布しております。使用方法については、操作説明書を机上に配布しております。御不明な点がございましたら、近くにいる職員にお声掛けください。お手元のタブレットの中に、上から順に資料を入れています。議事次第・資料一覧、座席表、資料1 行政要請研究「トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度測定に関する研究」令和元年度現場調査報告書(案)、資料2 トンネル建設工事における粉じん濃度、換気能力等に係るアンケート調査の分析結果、資料3 トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会報告書(案)。
資料3-1 報告書(案)別紙1 ずい道等建設工事中の質量濃度変換係数(K値)に関する文献等について、資料3-2 報告書(案)別紙2 浮遊粉じん中の遊離けい酸含有率に関する文献等について、資料3-3 報告書(案)別紙3 トンネル工事における粉じん測定及び換気等に関する文献等について、資料3-4 報告書(案)別紙4 結晶質シリカのばく露限度等の設定に関する文献等について、資料3-5 報告書(案)別紙5 定点測定と個人測定の測定値の比較について、資料3-6 報告書(案)別紙6 電動ファン付き呼吸用保護具の防護係数に関する文献等について。
参考資料1 トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会開催要綱及び参集者名簿、参考資料2 「トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度測定に関する研究」報告書、こちらは平成30年度第1回検討会資料4-3と同じです。ただいまの資料が格納されていることを御確認ください。もし資料の不足がございましたら、タブレットを交換いたしますので事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。カメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。御協力、よろしくお願いいたします。
それでは議事に入ります。以降の進行については、小山座長にお願いいたします。
○小山座長 それでは前回に引き続き、議事の進行をさせていただきます。今日の議題は2つありまして、報告書(案)についてと、その他と2つあります。最初に、報告書(案)に関連して、行政要請研究の令和元年度現場調査報告書と、アンケート調査の分析結果について御説明いただきたいと思います。これは、前回御説明いただいたものを補足する形で今回、まとめていただいたということですので、その辺を考慮して簡潔に御報告をお願いいたします。
○オブザーバー(中村主任研究員) 労働安全衛生総合研究所の中村です。我々の調査した報告書について説明いたします。座長からありましたように、前回、結果については御報告しているところですので、今回はこういう形でまとめたということで、主に図などを紹介しながらこういう内容であるということを説明していきたいと思います。まず、2ページに1.として、本研究の目的、それから2.として、研究実施内容及び実施体制について書いております。実施した内容については3.から説明があるのですが、今回、定点測定と個人サンプラーによる測定を行いましたので、それぞれについての説明について概要を示して、4ページの4.の所、各測定についてどのように考えて、どのように測定したか、どのような機械を使ったかということについて書いております。この辺りについては細かい所ですので、ここでは省略いたします。
7ページの5.で調査に使用した機器ということで、こちらにもどういう形でサンプラー等を選択して、フィルタはどのようなものを使ったかなどということを書いております。6.が調査の進め方ということで、この辺りは省略いたします。9ページに行きますと7.に、測定・分析及び解析方法という形で、どのような形で分析をしたかということについて書いております。いわゆる作業環境測定の粉じん測定とは、ちょっと違うようなこともやっていますので、そういうことについてここに書いてあるということです。
結果について10ページの8.から載せておりますが、まず最初は現場の概要ということで、今回調査させていただいた3つの現場について、どのような現場であったかということが表1にあり、表2に測定を実施できた数について示しております。また、今回、定点測定の設置方法については、当初は三脚を考えていましたが、三脚だと場所を取るということでそれ以外の方法ということで、3か所それぞれ別の方法でした。その方法については、今後現場で測定していただくときの参考にもなると思いましたので、写真として12、13ページに載せております。
粉じん濃度調査の結果については、13ページの(2)からです。まず作業、測定方法による粉じん濃度の違いとして、14ページの図2にありますように、測定ごとの濃度、それから1サイクル通した濃度について図に示しております。また、それぞれの現場において、測定点において切羽からの距離によって濃度の変動があるかどうかということを示すための図として、図3を示しております。これは前回もお話しましたが、現場G等では切羽に近いほうが低いというようなこともあって、現場によって違うのですけれども、こういった形で距離減衰があったということを示すための図を載せております。
次ページの図4では測定方法について、定点測定と個人サンプラーについて結果がどの程度違うかということで、それが分かるような形の図ということで図4を作りました。これについて、少し補足の情報として載せていますのは、前回も少しお話はしたのですが、測定時間が必ずしも一致していないということです。例えば、青で示した現場Fなのですが、定点測定のほうが低く見えますけれども、個人サンプラーの一番高い点というのが測定時間が短かったと。文章のほうに書いてありますが、測定時間を合わせて定点測定のほうの値を粉じん計のデータから推定値として計算すると、個人サンプラーが2.79mg/m3という濃度に対して定点が2.27、2.68と近い値になるということで、そういった測定時間の影響もこういった差の原因となるということについて、補足で記述しております。
17ページからはK値について、同じように結果を示しております。今回得られたK値の平均値としては、表3に示しております。また、同じように図としては、図5ということで19ページ、それぞれの作業ごとに1サイクルのK値について示しております。K値は、LD-5Rという機械とLD-6N2という2台の粉じん計について示していますので、2つ示しております。こちらについても20ページにありますように、距離減衰があるかどうかというのを載せております。
粉じん計によってK値がどのように違うかという比較は、先ほどの図だとそれぞれないデータもあって分かりにくいので、2つの機械で取れたK値について比較したものが22ページにある図7です。今回、LD-6N2とLD-5Rという2種類の粉じん計を使って、それを比較したものになります。相対濃度としては1割程度違うのですが、大きな差ではなく直線性もいいということで、特に大きな問題はないと言えるかと思います。また、分粒装置について、今回我々は粉じん計に適したものということで、Dorr OliverというものをLD-5Rに付けましたが、ほかの分粒装置を付けた場合どうなるかという比較の結果について図8に書いておりますけれども、これもよく一致しているという結果が得られました。
23ページのエ.から遊離けい酸の結果が載っております。これもXRDのピーク等を事例として出しており、このような形でピークが得られます。余り大きなピークが得られていないということもあって、そういったことも含めて示しております。それらの結果をまとめたものを28ページの表4に載せております。結果については以上です。
28ページの9.では、我々が実際に調査したときに課題として挙げられるかなということで書いておりますが、詳細はここでは時間の都合もありますので、省略いたします。最後に、30ページの10.で結論ということで、今言いましたように今回は3つ目的がありましたので、それぞれについて得られた結果についてまとめております。以上です。
○米倉改善室長補佐 続いて、資料2を御説明いたします。アンケート結果ですが、1ページの1.(2)を御覧ください。調査対象は、トンネル建設工事を請け負っている元請け事業場(28社)、当該事業場が実施又は直前まで実施していた現場(1社につき3現場)ですが、全部は戻ってきておりませんで、66現場のアンケート調査の結果です。A票が本社ですが、A票については前回全て説明しておりますので、B票のほうを御説明いたします。
5ページを御覧ください。5ページの下のほうの5ですが、アンケートに回答していただいた66現場の基本情報の集計です。(a)工事の目的ですが、道路が6割を占めていました。(b)受注形態については、JVが6割となっておりました。
6ページです。工事の概要ですが、(a)トンネル掘削延長については、1.0㎞~3.0㎞が55%を占めておりました。(b)標準掘削断面積ですが、大断面トンネル(40㎡以上)が90%であり、60~80㎡が最も多かったところです。(c)掘削方式ですが、発破が最も多く62.7%、機械が23.9%、発破機械併用が13.4%でした。(d)掘削工法ですが、導坑先進工法が主でした。(e)支保方式ですが、吹付けをしない現場が大半を占めておりました。
7ページです。(f)ずり出し方式ですが、タイヤ方式が最も多く57.4%、連続ベルコン35.3%、レール方式7.4%の順でした。(g)主な地質ですが、中硬岩が48.0%、軟岩が39.0%の順でした。次からの集計は、このような現場に対するアンケートの集計結果ということになります。
続いて、(3)粉じん発生源対策の(a)粉じん発生源対策の選定方針については、本社からの情報等を参考に作業所で決定している割合が高く、66.7%でした。(b)コンクリート吹付け時の粉じん低減対策として採用している対策については、前回説明したとおりで、図のとおりです。
8ページです。(c)採用した粉じん対策の低減率ですが、対策によって異なりますけれども、おおむね8割程度が10%以上の低減率となっており、対策によっては50%を超える低減率を達成したものがありました。(d)粉じん対策不採用の理由ですが、対策によって異なりますけれども、コストが23%~40%、技術が2%~20%、品質が0%~8%、他の低減技術を利用が10%~49%、その他が20%~35%となっておりました。
(4)換気計画ですが、(a)換気計画策定の基準については、建災防の「ずい道等建設工事による換気技術指針」が97%を占めておりました。(b)粉じん濃度の目標値については、3mg/m3が96.6%を占めていました。9ページです。(c)目標値に基づく換気計画の基本方針を作成する主体については、現場が97%を占めておりました。(d)換気方式ですが、吸引捕集方式が51.5%と最も多く、希釈封じ込め方式が39.4%でした。(e)吸引捕集方式を選択しなかった主な理由としては、発注者の積算方式が吸引方式ではなかったというのが最多でした。(f)換気計画の決定要因ですが、坑内風速が34.2%、内燃機関が28.8%の順となっておりました。
(5)換気量ですが、1,000~2,000m3/分が全体の30%と最も多かったところでした。10ページです。(b)標準掘削断面積と換気量の関係については、明確な関連は見られなかったところです。(c)拡散希釈方式における風管先端位置ですが、30m以上60m未満の場所に90%が設置されていました。(d)吸引捕集方式におけるファン設置位置ですが、30m以上50m未満が最も多かったところです。(e)伸縮・移動風管の使用については、未使用が53.1%でした。
(6)集じん機の関係ですが、11ページです。(a)集じん機の種別ですが、フィルタ集塵機が7割を占めておりました。(b)集じん機の容量ですが、2,000~2,500m3/分が6割を占めていたところです。(c)集じん機の設置位置ですが、50m以上100m未満が全体の5割を占めておりました。(d)集じん機の出口清浄度ですが、0.1~0.5mg/m3が5割を占めている状況でした。(e)エアカーテン係数(Ke)については、1.2が8割を占めておりました。
12ページです。(7)粉じん濃度測定ですが、(b)測定位置については、93.9%が現行のガイドラインどおり、切羽から50mの地点で測定を実施しておりました。(c)測定点の数についても、ガイドラインどおり3か所で測定が97%を占めておりました。(d)測定頻度については、15日に1回が84.6%を占めておりました。(e)測定時間ですけれども、10分間又は30分間、30分間は10分×3か所ですけれども、7割を占めたが、1分間などの回答も6%ありました。(f)測定時間帯の作業内容ですが、吹付け作業時に測定しているのが7割を占めておりました。(g)測定法については、相対濃度法が96%を占めていました。
13ページです。(h)遊離けい酸含有率の測定(Q値)については、行ったことがないが大半を占めておりました。 (j)粉じん測定の実施者ですが、元請けの社員が98.5%を占めていました。(k)粉じん測定実施者への教育ですが、行っているが72.3%でした。14ページです。(l)粉じん測定実施者への教育内容ですが、粉じん作業特別教育とガイドラインで5割を占めていました。(m)粉じん濃度測定結果については、前回説明したとおりですが、2mg/m3前後が最も多く、2mg/m3以下が過半数(55%)を占めていました。(n)粉じん測定結果が目標値を上回った場合の対策の有無ですが、対策を行っている事業所は6割に留まっていました。(o)主な対策の内容ですが、送気量の調整が最多でした。そのほかについては、集じん機の設置位置の調整または出力調整、風管の設置位置の調整、散水、堆積粉じんの除去などがありました。
(8)呼吸用保護具ですが、(a)呼吸用保護具の選定方針については、現場の判断で選定している作業所が最も多くて54.4%で、次に本社の指導や推薦に沿って選定するが33.3%でした。15ページです。保護具の選定にあたって重視している項目ですが、重量・使いやすさが50%、フィルタの捕集効率の等級が23%を重視する傾向が高く、価格の重視は14%に過ぎない状況でした。(c)元請け会社職員、専門工事業者作業員が現場で採用している電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)の種類ですが、大風量半面形B級の採用が最も多いところでした。(d)保護具着用管理責任者については、全作業所で選任しておりました。(e)選択、使用及び保守管理に関する方法並びにフィルタの交換基準についても、大部分の作業所で定めていました。(f)フィルタの交換日等を記録する台帳についても、全ての事業所で整備されていました。(g)呼吸用保護具を使用する際の顔面への密着性の確認について、こちらも大部分の作業所で確認をしているということでした。
(h)備え付けている呼吸用保護具の数についても、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備えている所が大部分でした。(i)清潔の保持についても、全ての事業所において清潔に保持されているということでした。16ページです。専門業者に対する使用方法などについての教育や指導ですが、大部分の作業所で行っているということでした。
(9)清掃作業日についても、9割以上の作業所が週1回、月1回以上清掃を実施しており、7割の作業所が清掃を一斉に実施しているということでした。(10)については前回説明したとおりです。17ページの(d)濃度の引き下げが困難な理由については、1.技術的な面、2.小断面トンネル、3.各現場で岩石などの状況が異なる、4.コスト、5.その他ということでした。18ページの自由意見ですが、換気計画に関するものや換気設備に関するもの、集じん機に関する意見が出ています。以上です。
○小山座長 それでは、ただいまの2件の報告について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○熊谷委員 今のアンケートのほうで、6ページの工事の概要という所なのですが、支保方式は吹付けを使用しない現場が96%となっています。今までの議論では、必ず吹付けをするようなイメージを持っていたのですが、これはアンケート結果としては正しいですか。それとも、そういう現場だけが選ばれているのですか。
○安井環境改善室長 こちらは掘削ではなくて、支保工です。支保工を立てるときに、掘削の後に覆工するときに吹付けをしていないということです。
○熊谷委員 する前ですか。
○安井環境改善室長 いわゆるNATMの吹付けとは違います。
○熊谷委員 例えば、一番下の図16では、NATMは4.5%ですが、私はNATMがかなり使われていると思っていたのですけれども、そこはどうですか。あるいは先進工法とか。1度確認していただいたらなと思ったのですが。
○安井環境改善室長 こちらのページ数で言うと、22ページに設問3というのがあります。Bの作業所の設問3という中で、工事概要として掘削方式、掘削工法、支保方式というのを一応伺っております。支保方式については、吹付けコンクリートはNATMと吹付けを使用しないということになっていて、一応この数字がここに出てはいるということになります。ちょっとこれ以上のデータはないのですが。
○熊谷委員 集計のときに間違っているということではないのですね。それだったら別にいいのですが。
○安井環境改善室長 集計のときには、今のデータとして、少なくともこの質問に対しての回答については、2番がすごく多かったというのが事実のようで、ただ、支保方式というところの定義というか理解というか、そこがちょっと支保方式と書いてあったので、覆工のときに吹付けをするとか、そのように誤解した可能性はあったかもしれません。
○熊谷委員 実際に建設されているのは、NATMが多いという理解でいいのですか。
○阿部委員 ほとんどがNATMですね。
○熊谷委員 NATMということでいいのですね。
○安井環境改善室長 ちょっと質問の仕方が良くなかったのだろうと思います。支保方式と書いたのが良くなかったのだと思います。
○熊谷委員 分かりました。もう1つは8ページです。8ページに図24というのがあって、粉じん濃度の目標値は3が基本になっていると思うのですが、8というのがあるのですけれども、ガイドラインは3ですよね。8を使っている理由は何なのですか。それとも、3と書いて8に見えたのですか。実際にそういうところがあるのですね。
○(発言者不明) 目標値8はないですね。
○熊谷委員 ないですよね。
○(発言者不明) 3ですね。小断面だって、できるだけ……。
○安井環境改善室長 こちらは理由を書く欄がなくて、ページで言うと24ページの設問5の5.2なので、ここに8と書かれてしまうと8なのだなとしか思えなくて、それの理由等を書く欄がないものですから、ただ、小断面トンネルについては3を超えてもいいというただし書きはあるのですが、確かに解せないところはあります。申し訳ございませんが、そういう回答があったということで御理解いただきたいと思います。
○熊谷委員 分かりました。
○小山座長 よろしいでしょうか。
○熊谷委員 では、ほかになければ1ついいですか。調査の報告書なのですが、遊離けい酸を測定されていますよね。採じん量はどのぐらいだったのですか。というのは、X線回折のチャートではピークが見えるか見えないかというような感じなのだけれども、やはりそのようなものなのですね。
○鷹屋委員 全て同じものを。同じものというのは、現実に粉じんの(質量)濃度を測る試料を(遊離けい酸濃度測定にも)使ってやっていて、場所によって大きなポンプを持ち込める所は流量を稼いで、絶対量として。
○オブザーバー(中村主任研究員) 一番取れた所で1mgを超えているような所はあるのですが、それ以下の所もあります。一番少ないのは、ちょっと正確ではないのですが、0.3mgぐらいだった所が今回分析した中では一番少なかったかと。正確な数字は今、手元にデータがないのですが、実際に採じんされた量としてはそのぐらいであったということです。
○熊谷委員 分かりました。あとは、現場Gが切羽から離れると粉じん濃度が高くなって、K値も高くなっているというのがあって、前も原因がよく分からないと書いてあったのだけれども、いろいろ考えるとその間に何か発生源があったのですかね。それぐらいしか考えにくいなと思って見ていたのですが。
○オブザーバー(中村主任研究員) 発生源があったということが1つ可能性としてはあって、もう1つは、これもちょっと考えづらいかもしれないのですが、例えば換気しているときの送気のきれいな空気がここに当たれば濃度が下がるということもありますので、そういったことももしかしたらあるのかもしれません。ただ、今回は気流とかはきちんと確認しておりませんので、もしかしたらというか、可能性としてはないわけではないという意味で、濃度が下がる原因があるとすれば、きれいな空気が入れば濃度が下がるということが言えると思います。後ろが高いと考えるか前が低いと考えるかですが、前が低いとするとここに外からの換気のきれいな空気がもし直接当たるような形であれば、濃度が下がるということもあり得るのかなと。
ただ、これは現場では何も確認していないので、濃度が下がると考えられるのは、まずそれぐらいかなと思います。若しくは重機とかの関係で、そこの粉じんが直接来ないような形になっていればあるのかもしれないのですが、ちょっとそこは確実なことは言えないのですけれども、可能性としてはそういうことがあり得るかなと考えています。
○安井環境改善室長 よろしいですか。先ほど熊谷委員から御指摘のあったアンケートの6ページの支保方式ですが、御指摘を踏まえてもう一度原票を見直して、確認したいと思います。
○熊谷委員 分かりました。
○小山座長 ほかにいかがですか。
○小西委員 今の熊谷委員の質問なのですが、実際に現場を見ていないので何とも言えないのですけれども、上半ではなくて下半の掘削はやられていなかったのかと。
○熊谷委員 何の掘削ですか。
○小西委員 後を追い掛けてきて下半の掘削があると、後ろのほうの濃度が高くなることがあるのではないかなと。意外と下半の掘削の対策というのは、余り切羽のようながっちりしたものを立てられていないケースが多いのではないかという気がするのですが、そのような状況が確認できているかどうかです。
○オブザーバー(中村主任研究員) この現場でそういったことがあるという話は聞かれていませんでしたし、我々が入った感じでいっても、そういう作業をされているという形ではなく、この辺りの50mや100mぐらいの所は、切羽の先端の掘削をする作業のために重機が置いてあるとか、そういう形でしたので、ほかのことをできるような形ではなかったと思います。
○小山座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは次に行きたいと思います。資料3で、検討会報告書(案)の審議ということになります。これは幾つかの検討結果に分かれておりますので、それぞれについて御説明いただいて審議をしていただくという形で進めたいと思います。最初に、開催要綱及び参集者、検討の経緯、検討結果第1で基本事項について、検討結果第2、測定の詳細事項について、これについて説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、資料3を御説明させていただきます。まずは目次で、3ページから始まります。Ⅰの開催要綱及び参集者については、開催要綱を貼り付けてあるだけですので、説明は省略いたします。6ページのⅡが検討の経緯です。こちらもそれぞれの開催日と議題を並べたということで、説明は省略いたします。
7ページのⅢの検討結果から御説明をさせていただきます。こちらは骨子案から変更があった部分について、青いマーカーを付けておりますが、全部説明いたします。まず、第1の基本的事項についてです。こちらは報告書の趣旨ということですが、この報告書はいわゆる山岳トンネルについて、粉じんの障害を防止するために講ずべき措置を提言するということになっております。また、前回も御指摘がありましたとおり、発注機関においては、本報告書で提言する事項を実施するための必要な経費の積算について配慮すべきであるというのを、全体に係る事項として付け加えております。
2の測定対象粉じんの粒径及び分粒装置を備えた測定器の使用は、幾つか御議論があったわけです。まず、粉じんの粒径についてはレスピラブルですが、それに適合する適切な分粒装置を備えた試料採取機器、又は相対濃度計を使用すべきということです。分粒装置については、レスピラブル粉じんの粒子を適切に測定できる(4μm50%カット)ことが、製造者等により確認されているものを使用することとなっております。相対濃度計については分粒装置を適切に機能させるため、吸引ポンプを内蔵したもの又は吸引ポンプと接続可能なものである必要があります。また、相対濃度計については、既にガイドラインに記載されておりますけれども、登録較正機関により1年以内ごとに1回、定期に較正されたものを使用するということを付け加えております。
3は、まずガイドラインに定める粉じんの濃度測定に代えて、次に掲げる測定方法のいずれかを実施すべきであるということで、(1)が定点測定です。①が、切羽からの距離が約10m以上50m以下の範囲(換気装置の吸入口よりも切羽側に限る。)ですが、範囲の両端と中間におけるトンネルの両側(計6点)に測定装置を設置することということです。
ただし、測定を行う作業者の安全確保の観点から発破、機械掘削、ずり出しの作業中については、切羽から20m以内の範囲に測定器等を設置しないことができます。今回の場合、18mまで近づいたケースがあり、近づける場合もありますが、最低基準として20mを定めます。
③ですが、測定器等を壁面から1m程度離すことよりも切羽に近づけることを優先し、三脚を使用する方法に加え、トンネル壁面、配管、支保工等に測定器等を設置することも可能とします。
④は前回も御指摘がありましたが、測定器等の試料採取口の高さについては、床上50cm以上150cm以下の範囲内とします。また、全ての測定器等について、同じ高さであることが望ましいということです。
(2)が個人サンプリングによる測定です。個人サンプリングによる粉じん濃度測定は、切羽において掘削作業に従事する者の身体に装着する測定器等を用いて行います。測定器等を装着する労働者の数は、2人を下回ってはならないと。こちらについては下のほうに書いてありますが、作業工程ごとに切羽で掘削作業に従事する労働者を入れ替える場合があります。そういった場合はそれぞれの工程において、切羽で掘削作業に従事する労働者2人以上に、測定器を装着する必要があるということを入れております。
(3)が車両系機械を用いた測定です。車両系機械を用いて行う粉じん濃度測定は、掘削作業中に切羽で使用する車両系機械(トラックを除く)に測定器等を設置して行います。測定器等は、落下物による損傷を避ける場所に設置することということです。こちらにも注書きを入れており、測定器等は運転用キャビン等の外部環境から隔離されている場所以外の場所に設置してくださいということにしております。また、測定器等を設置する車両系機械の数は2台を下回らないことと。ただし、切羽で使用する車両系機械が1台しかない作業工程がある場合は、1台の車両系機械に複数の測定器等を設置しても差し支えないが、測定器等の間隔が可能な限り離れる場所に設置する。こちらも注書きを入れており、作業工程ごとに車両系機械が入れ替わる場合がありますので、その場合はそれぞれの作業工程において、切羽で使用する車両系機械に測定器等を設置する。最初から設置しておいても構いませんし、乗せ替えても構わないということです。
(4)が複数の測定の組み合わせです。(1)から(3)に定める測定のうち、2以上の方法を同時に実施しても差し支えないということですが、こちらも注書きを入れております。複数の方法による測定を同時に実施する場合は、それぞれの方法の要件を満たす測定を同時に実施するということで、定点測定を4点だけやって個人サンプリングを1人、車両系機械を用いた測定を1点とするような、それぞれ混ぜるようなことは認められないということです。
続いて9ページの4、粉じん濃度の試料採取等の時間です。(1)にありますように、定点測定及び車両系機械を用いて行う測定における試料空気の採取等の時間は、一般的な山岳トンネル(NATM工法)の作業工程1サイクル(発破工法の場合は、発破後から装薬前までを1サイクルとする)の全時間とします。こちらについては測定器の損傷を防ぐために、発破による影響を受ける場所は、発破時の待避後に作業を開始する際に測定器を設置します。
それから、削除している部分があります。今まで「ただし、これが著しく困難な場合は、粉じん発生量が最も多いと見込まれる時間帯のみとすることを認められる」と書いてあったのですけれども、粉じん発生量が最も多い作業というのは、コンクリート吹付け作業です。そのときの遊離けい酸濃度が非常に低いこと、それから今回の1サイクルを通じたK値というのを定めておりますので、作業ごとにK値が異なることもあり、1サイクルを通じた測定でなくなると、今の標準K値を使う前提にも合致しなくなることもありますので、こちらは削除させていただきたいと考えております。
(2)の個人サンプリングにおける試料空気の採取等の時間は、作業工程の1サイクルです。発破工法の場合は、発破後から装薬前までを1サイクルとします。こちらについても定点測定と同様に、発破により労働者が待避している場合は測定を行わず、労働者が切羽で作業を開始するときに測定を開始するということを入れております。
5が粉じん濃度測定の頻度です。こちらは現行の粉じん障害防止規則6条の3に準じて、半月以内に1回です。また、複数の測定方法を用いる場合は、2の(1)から(3)に掲げる方法のいずれかを半月以内に1回、定期に行われていれば差し支えないということです。
6が風速等の測定です。現状のガイドラインの別紙の4の(2)から(4)に定める方法により、風速、換気装置等の風量、気流の方向について半月以内ごとに1回、定期に測定を行うということです。
続いて第2の測定の詳細事項等についてです。1の検討内容というのを付け加えております。こちらは文献等を踏まえ、標準的なK値の設定を含む粉じん測定の方法、標準的な遊離けい酸含有率を含む、遊離けい酸含有率の測定法を検討したということを付け加えております。
2の(1)ですが、粉じん測定の測定方法は、質量濃度測定法又は相対濃度指示方法のいずれかとします。(2)のK値設定方法は、質量濃度測定法と相対濃度指示方法の併行測定により算定する方法が原則ですが、文献等から統計的に決定した標準K値を使用することも認めるべきであるということです。詳細については別紙1で検討を行いました。この標準K値については、次に掲げる相対濃度計の種類に応じた値とすべきであるということで、その値としてはLD-5R、LD-6N2で、両方とも0.002mg/m3/cpmという数字を使います。この2つ以外の相対濃度計を使用する場合は当然、併行測定によって測定してくださいということになります。
3が遊離けい酸含有率の測定方法です。遊離けい酸含有率の測定は、エックス線回折分析方法又は重量分析方法に加え、次に掲げる方法も認めます。なお、エックス線回折方法等による場合は、1サイクルを通じて採取された試料を用いて、遊離けい酸含有率を判定するということを付け加えております。
(1)の遊離けい酸含有率は、岩石の種類に応じて定められた標準的な遊離けい酸含有率によって決定します。ただ、二酸化ケイ素を大量に含む変成岩である珪岩は、80~90%の遊離けい酸になりますので、こういったものについては、この方式は使用しません。
(2)ですが、標準的な遊離けい酸含有率は、文献等に基づき次のとおりです。火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る)については、標準的な遊離けい酸含有率は定めないということで整理しております。①第1グループ(火成岩(酸性岩に限る))、堆積岩及び変成岩(珪岩を除く)については20%、第2グループ(火成岩(中性岩に限る))も20%ということで規定しております。
注書きですが、標準的な遊離けい酸含有率は、掘削・ずり出し作業中の遊離けい酸含有率に基づいて設定されております。一方、コンクリート吹付け作業中の遊離けい酸含有率は非常に低いことから、標準的な遊離けい酸含有率は1サイクルを通じた遊離けい酸含有率も非常に大きい、安全側であることが評価されるということを、一応入れております。こういったことで、よりシビアに正確な値が欲しい場合は、1サイクルを通じて測定を行っていただく必要があるということを記載しております。
それから、過去の文献から火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る)については、第2グループよりも低いことが推定されますので、仮にこういった岩石を主たる岩石とするトンネルを掘削する場合は、安全側の推定値として第2グループの標準のK値である20%を使用することは差し支えないということを記載しております。説明は以上です。
○小山座長 それでは、最初に検討結果第1の基本的事項について御質問、御意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。次に検討結果第2、測定の詳細事項等についてで御質問、御意見を頂きたいと思います。
○鷹屋委員 LD-5R、6N2以外の場合は、併行測定をするということですけれども、併行測定の頻度などは。例えばトンネルを掘っている間は、ずっと1回の併行測定のK値でいいのですか。当然、岩質などで定期的に穿孔でボーリングをして掘り方が変わると思うのです。そういったことがあった場合はその都度、併行測定を行わなくてはいけないのか。そこら辺はいずれの方法でもいいのですけれども、明記しておかないと。LD-3とかLD-5Dとか、示した以外の粉じん計もまだまだ使われているので、併行測定をしたいという現場もあると思いますから、そこら辺の方針を示しておく必要があるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
○安井環境改善室長 LD-3やLD-5Dは測っていませんので、何とも申し上げられないのですけれども、当面は何回か必ずやっていただいて、やはりK値が安定するかどうかを見ていただく必要があろうかと思います。それで、もう何か月間もやってきたけれども、それほど大きなばらつきがないということであれば、それを標準的なK値として使える可能性もありますし、測るタイミングによって全然違うということだと、測り続けなければいけないというケースもあるのではないかと思います。その辺りのことは付け加えるようにしたいと思います。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。
○小西委員 今の件ですけれども、粉じん計の普通の作業環境測定などでも、自分で測定したK値も使えるように方策ができているのです。過去何回測定したものをどうやるかという図式がガイドブックなどに書かれていますから、そういうものも参考にして、ここを作られたらどうかという気がします。
○安井環境改善室長 分かりました。
○小西委員 質問などではなくて、これは誤記だと思いますが、11ページの括弧の位置です。第2グループの※の3行目です。先ほど説明のあった「1サイクルを通じた遊離けい酸含有率よりも大きい(安全側)」になっていますけれども、この括弧は「である」までではないかという気がするのです。細かなことで申し訳ありません。
○安井環境改善室長 御指摘、ありがとうございます。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次が検討結果第3の粉じん濃度測定結果に基づく措置についてと、検討結果4の工学的対策等及び実施管理についてを、事務局から御説明をお願いします。
○安井環境改善室長 それでは、12ページの御説明をさせていただきます。まず、第3の粉じん濃度測定結果に基づく措置についてです。1の検討内容を追加していまして、トンネル工事における粉じん測定及び換気等に関する文献等を踏まえて、粉じん濃度測定に基づく措置、遊離けい酸濃度の測定結果に基づく措置、粉じん濃度等の記録等について検討したということです。
2番は粉じん濃度測定結果に基づく措置についてというところです。こちらについては、現行のガイドラインの粉じん濃度目標レベルの設定の経緯等もございますし、また、粉じん濃度・所要換気量に関する基準、作業環境測定等の趣旨を踏まえて次に掲げるとおりとすべきということで書いています。
(1)粉じん濃度については現行のガイドライン第3の4と同様に、発散源対策及び換気装置等の工学的対策が適切かを判定する際の指標である粉じん濃度目標レベルと比較して、次のとおりに評価すると。詳細については別紙3で検討したということです。①評価値の計算については、各測定値を算術平均して求める。②測定結果の評価については、評価値と粉じん濃度目標レベルを比較して、評価値が粉じん濃度目標レベルを超えるか否かについて行う。このようになっています。
(2)粉じん濃度目標レベルです。トンネル坑内の粉じん濃度に関する文献、トンネル坑内の換気手法に関する文献、換気以外の粉じん濃度低減方法に関する文献等の調査を行った結果を踏まえて、また、現状のトンネル工事による粉じん濃度の現状、換気装置や低粉じん吹付剤等の取入状況に関するアンケート結果といったものの結果を踏まえて、粉じん目標レベルは次のとおりにすべきとしています。この目標レベルについては、前回の御指摘、御議論を踏まえまして、今後トンネル掘削工事における粉じん低減対策の進展などを踏まえて必要な見直しを行うべきということで記載しています。
①粉じん濃度目標レベルは2mg/m3とすること。ただし掘削面積が小さい(40m3未満)のトンネルであって、2mg/m3を達成するのに必要な大きさの風管、又は必要な本数の風管の設置、必要な容量の集じん装置の設置等が、施工上極めて困難であるものについては、可能な限り2mg/m3に近い値を粉じん濃度目標レベルとして設定して、当該値を記録しておくことということです。
(3)測定結果に基づく措置として、事業者は評価値が粉じん濃度レベルを超える場合には、設備、作業工程、又は作業方法の点検を行って、その結果に基づき換気装置の風量の増加等の作業環境を改善するために必要な措置を講ずること。また、この場合は再度粉じん測定を実施するということです。
3、遊離けい酸濃度の測定結果に基づく措置について、2に定める措置に加えて、遊離けい酸ばく露による健康障害の防止のために、遊離けい酸ばく露濃度の基準を定めて、それを超えるばく露が発生しないようにする。そのために、ばく露低減措置については換気等の工学的対策による作業管理に加えて、次に掲げる方法により作業管理を行うということです。これについては、別紙3、別紙4、別紙5で詳しい検討を行いました。
(1)遊離けい酸濃度の算定。遊離けい酸濃度は②で測定された粉じん濃度の評価値に有離けい酸含有率を乗ずることで計算する。遊離けい酸含有率は先ほど御説明いたしましたように、遊離けい酸含有率の測定方法により算定いたします。
(2)要求防護係数の算定。遊離けい酸濃度は、(1)で算定した遊離けい酸濃度を遊離けい酸ばく露濃度の基準値で除した値、これを要求防護係数と言いますが、これによって評価するということです。
(3)遊離けい酸ばく露濃度の基準値としては、ACGIHで提案されている結晶質シリカのばく露限界値である0.025mg/m3を採用すべきであるということです。
(4)要求防護係数に基づく有効な呼吸用保護具の使用。(2)で評価された要求防護係数を上回る指定防護係数を有する性能のある呼吸用保護具を選定して、労働者にそれを使用させることということです。指定防護係数等に関するものについては、別紙6に記載しています。
4、粉じん濃度等の記録。事業者は、粉じん濃度及び遊離けい酸濃度の測定及び測定結果の評価を行ったときは、その都度必要な事項を記録して、7年間保存するということです。それから、事業者は粉じん濃度測定を行うごと(半月に1回)に、朝礼等において粉じん濃度測定結果など、及び要求防護係数について関係労働者に周知するということです。
続いて、14ページの第4の工学的対策等及び実施管理ということです。1番に検討内容というのを付け加えていまして、第1から第3に掲げる措置に加えて、粉じん対策に掲げる計画、粉じん発生源に係る措置、換気装置等による換気の実施等、労働衛生教育の実施、測定及びその結果に基づく措置の実施管理、元方事業者が実施する事項について検討した。このようなことを付け加えています。
2番が、粉じん対策に係る計画の策定です。ずい道等建設工事を実施しようとするときには、事前に粉じんの発散を抑制するための措置、換気装置等による換気機能を実施し、粉じん濃度等の測定、防じんマスク等の有効な呼吸用保護具の使用、教育の実施、その他事項に関して、計画を策定すべきであるということです。
3番は粉じん発生源に関する措置ということです。現行のガイドラインに、既に記載があるわけですが、それに加えて、以下の事項をガイドラインに盛り込むべきであるということです。
(1)コンクリート吹付時の粉じん濃度を低減させるため、吹付コンクリートへの粉体急結剤、液体急結剤、分割練混ぜ等の導入、新たな吹付機械としてエアレス吹付機械等の導入を図るということです。(2)ですが、より本質的な対策として、遠隔吹付技術の導入を図ること。(3)設計段階において、より粉じん発生量の少ないTVM工法やシールド工法の採用についても検討するということです。
4番の換気装置等による換気の実施等ということです。こちらも現行のガイドラインに記載があるわけですが、今回粉じん濃度目標を下げるということもありますので、以下の事項をガイドラインに盛り込むべきであるということです。(1)より効果的な換気方法である吸引捕集方式の導入を図ること。(2)新たな換気設備として局所集じん機、伸縮風管、トラベルカーテン等の導入を図る。
5番の労働衛生教育の実施です。こちらも既にガイドラインに盛り込まれている事項ですが、(1)事業者は坑内の特定粉じん作業に従事する労働者に対して、粉じん作業特別教育を実施する。また、坑内において特定粉じん作業以外の粉じん作業に従事する労働者についても特別教育に準じた教育を行う。
(2)は新しく付け加えていますが、事業者は電動ファン付き呼吸保護具の適切な選択及び使用を図るために新規入場者に対して、要求防護係数を満たす呼吸保護具の選択及び使用等に関する事項について、教育を行う。それから、休憩の際には、容易に坑外に出ることが困難な場合においては、現状のガイドラインに掲げる措置を講じた休憩室を設けるということです。
6番の測定及びその結果に基づく措置の実施管理ですが、(1)粉じん測定及びその結果に基づく措置を適切に実施するため、ずい道等の掘削作業主任者の職務を以下のとおりに改めるということです。①ずい道等の掘削作業主任者の職務に、粉じんの測定とその結果に基づく作業の方法の決定及び呼吸用保護具の選択、呼吸用保護具の点検及び使用状況の監視等に関する事項を追加する。同じく技能講習の範囲に①で定める事項を追加して、講習時間を1~2時間程度延長するということです。
(2)粉じん濃度測定を適切に実施するため、次に掲げる措置をガイドラインに盛り込むべきである。まず、粉じん測定を実施する際には、作業主任者自らが行うか同主任者の指揮の下、労働者に行わせる。また、相対濃度指示方法以外の方法による採取試料の分析については、十分な知識と経験を有する者、例えば第一種作業環境測定士あるいは十分な能力を持つ機関、これは作業環境測定機関などに委託するということを書いています。
7番が、元方事業者が実施する事項です。こちらについては、労働安全衛生法でも定められているところですし、現行のガイドラインにも記載されています。(1)粉じん対策に対する計画の調整、(2)教育に対する指導及び援助、(3)清掃作業日の統一、(4)労働関係請負人に対する技術上の指導等を実施していただくということです。測定等については、関係請負人に対する技術上の指導という形で実際は行われていると思いますが、それは引き続き行っていただきたいということです。説明は以上です。
○小山座長 それでは、ただいまの御説明のうち、検討結果第3「粉じん濃度測定結果に基づく措置について」の部分について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○橋本委員 2の(2)の目標レベルのことですが、前回も目標レベルの議論は大分ありました。これは確認なのですが、従来の3mg/m3というのは吸引性の,すなわちレスピラブル総粉じんですよね。
○オブザーバー(中村主任研究員) そうです。
○橋本委員 では結構です。
○井上委員 目標レベルの見直しについて文言を入れていただいたのは大変有り難いと思います。できれば、この後に、少なくとも10年ごとに目標レベルの見直しを検討するとか、何らかの文言を入れていただければなと。もちろん、技術が進展する度に見直していただくのはいいのですが、全く限定がないと、そのままずるずると何十年も検討しないまま進んでしまうおそれがあるので、できたら、少なくとも10年ごとに見直しを検討すると。見直すか見直さないかは、そのときの検討結果ですが、そのような文言を入れていただけないかなという意見です。
○本山委員 粉じんの目標レベルを3mg/m3から2mg/m3にするというのは大変結構だと思うのですが、この2mg/m3にするために建設事業者はどういう基準をもって、換気計画を策定するのか、そしてまた発注者は何をもって、その計画を発注するのか、更には事業者が設定した換気計画を、例えばトンネル延長3,000mを越えると厚生労働大臣、それ以下だと労働基準監督署長に提出して、計画届の審査を行うわけですが、厚生労働省や監督署長は何の基準をもって、建設事業者が設計した換気計画を適切と見るのか。その辺を教えていただきたいと思います。先ほどのアンケート結果を見ると、現行は建災防の換気指針に基づいて設計しているというのが多いのですが、建災防の指針は御覧のとおり3mg/m3を前提に設計していますので、2mg/m3とか、それ以下に下げるような基準というのは、現在はないと思うのですが、これは今後、事業者は実際に換気計画を策定するに当たっては、何をもって計画すればいいのか、その辺が分からないので、できれば教えていただけると有り難いと思います。今後の検討になるのかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
○安井環境改善室長 まず、井上委員からの御意見ですが、10年という数字が適当なのかはありますが、粉じん低減対策の進展等もありますので、例えば書けるとしても、「10年頃を目途に」とか、そうした幅を持たせたような記載を検討させていただきたいと思います。
それから、本山委員からの御指摘ですが、御指摘のとおり、現在は換気指針に基づいての設計がほとんどという状況です。この換気指針については、今日御説明した資料2の9ページに換気計画の決定要因というのがあります。こちらは坑内風速とか内燃機関が多いということになっていまして、吹付けとか発破粉じんによってがいわゆるボトムネックになって換気能力の数字を決めているというのが、今のところは2割ぐらいしかないという状況です。1つの要素として、粉じん濃度基準の引下げというのはあると思いますが、それ以外の要因もたくさんございますので、どれぐらいこれが影響するのかというところは調べないといけないと思いますが、現状の換気指針を若干改善する形で基本的には使えるのではないかとは考えております。この換気指針をどのように見直すかということについては、検討させていただきたいと思います。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○小西委員 今の章の所で、細かいことで申し訳ないのですが、12ページの(3)の「粉じん値が粉じん濃度レベル」ではなくて、「粉じん濃度目標レベルを超える場合には」ですね。そこは「目標」が抜けているのかなという気がしました。
それで、その後の13ページの所で「遊離けい酸濃度の測定結果に基づく措置」という所があります。最後の所に、相対濃度計を使わない測定に関しては、外部の第1種第1号登録の測定機関に依頼をするとか、そういう所も活用できるようになっているのですが、現実にACGIHのTLVの0.025mg/m3というものと比較するということだと外部に委託して、これはトンネル工事をやっている人たちは無理だと思いますけれども、測定機関に委託したときに、直接遊離けい酸の濃度を測るという方法は可能なのでしょうか。これはダイレクトに測定することも可能だと思いますが、せっかく外部に委託するなら直接遊離けい酸の濃度を測ってしまうというのも1つの方法なのかなという気がするのです。そういうことも可能であれば直接測れるので、1サイクル分のもので、直接取ったフィルタで測ってしまう方法もあるのではないかという気がしますが、そのようなことは将来的に可能と考えてよろしいかどうかということなのですが。
○安井環境改善室長 10ページの第2の測定方法の詳細の所の(3)で、遊離けい酸含有率の測定は、X線解析方法又は重量分析方法が原則で、それに加えて、いわゆる標準K値というのを認めておりますので、当然それをやっていただくのは差し支えありません。ただ、その場合はサンプリングは1サイクルを通じてやってくださいといった記載を入れていますので、可能ということです。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、検討結果第4の工学的対策等及び実施管理についての御質問、御意見を頂きたいと思います。
○佐藤委員 質問なのですが、この度いろいろと検討の中で、粉じん濃度が3mg/m3から2mg/m3に下がったと。それから、我々は過去に認識していませんでしたが、遊離けい酸の含有率です。これは過去の文献からいくと、岩石によらず、20%を使うのが妥当だということです。それから、ばく露限度が0.25mgというのを使うのがいいのではないかという検討結果だと思います。
我々は工事を受注して施工に入るときから、防護マスク等も含めて検討するわけです。現実問題、遊離けい酸をトンネルの中に入って測って、それに対する防護マスクの防護係数をどうのこうのというのは非常にナンセンスなものですから、今ここで検討されている20%、2mg/m3、それから0.025mg、この数字を使って計算すると、防護係数が16ぐらいになります。現在、我々がトンネル坑内で使っている電動ファン付きのマスクの防護係数が10なのです。ということは、現状で使っているマスクは、端的なことを言うと使えなくなる。
ですから、この報告書が通って、実際に世の中に出てくるようになると、我々がトンネル坑内で使う防じんマスクがワンランクグレードアップしなければ使えなくなるというような理解でよろしいのでしょうか。
○安井環境改善室長 はい。御説明しておりませんが、資料3-6を御覧ください。こちらで、防護係数についてのデータを入れております。資料3-6の3ページに、PAPRの指定防護係数というものがあります。こちらは、NIOSHの規則から計算されていると書いていますが、実質このような形で考えていただいて、特に問題はないと思います。
皆さん方が今お使いなのは半面型のPAPRですので、これでフィルタが99.97という一番いいものを使うと、指定防護係数は大体50はでるということです。今回のアンケートで一番多かったのは、フィルタはBクラスを使っているということです。そうすると、指定防護係数は14.3になってしまうということです。先ほど御指摘があったように、2mg/m3で遊離けい酸含有率が20%ということになると、0.4mg/m3になってしまいます。それを0.025で割ってしまうと、おっしゃるように要求防護係数は17ぐらいになりますので、Bクラスは使えないということになりますので、その場合は現在使用されているものよりも若干グレードの高い半面マスク、フィルタの等級がいいということになりますが、それを使っていただく必要はございます。
○佐藤委員 そうすると、先ほど私が申したように、実際にトンネルを掘っていて、測ってマスクを変えるということは非常にナンセンスなものですから、おおよそこれから山岳トンネルを施工する場合には、B級では駄目で、A級以上のマスクを使わなければいけないというような形になるということでよろしいのですよね。
○安井環境改善室長 幾つか前提条件がございますが、御指摘の条件であれば、そうだと思います。ただ、条件としては、あえて粉じん濃度レベルを下げるとか、そういったオプションはございますので、前提条件として2mg/m3とすれば、そのようになるということです。
○佐藤委員 分かりました。
○熊谷委員 質問ですが、TBM工法というのが書いてありまして、よく分からないのですが、これはどのような工法なのか説明していただけると有り難いのですが。
○安井環境改善室長 これはトンネルボーリングマシンというもので、各国により微妙に定義が違うのですが、シールドマシンのように、発破をしたり、機械掘削をするような形ではなくて、大きな掘削機械で掘っていくということで、事実上、労働者が切羽に入らないというような工法です。
○熊谷委員 先がガーッと回るものでしょうか。
○安井環境改善室長 シールド工法の場合はそうです。私よりお詳しい方がおられると思いますが、TBMというシールド工法以外の工法もございますけれども。
○吉川委員 TBMは先ほどおっしゃったように、トンネルボーリングマシンの略で頭文字を取ったものです。トンネルボーリングマシンは、形状で言うと円筒状の形状をしていて、切羽付近全面が機械で覆われています。円筒状の前面のカッターヘッドという岩石を削るものが回転して削っていく工法です。それで、後ろのほうで場所打ちコンクリートなどを打設して、トンネルの覆工を構築していきます。メイングリッパにより地山から反力を得て前進していくという工法になります。利点としては、作業員が切羽に直接近付かなくていいので、粉じんにばく露する機会が格段に減るというような工法です。
○熊谷委員 ありがとうございます。実際問題としては、どれぐらいの頻度で使われているのですか。
○吉川委員 ゼネコンさんのほうが詳しいと思うのですが、TBMとなると初期投資がかなり必要になってくるので、やはりNATMのほうが同じ延長を掘るのであれば安く上がります。長距離になると、TBMの有効性というのは出てくるのですが、短いトンネルだとNATMのほうがコストは安く抑えられるというような印象です。
○熊谷委員 ありがとうございます。
○小山座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○石田委員 字の間違いだと思うのですが、7ページの基本的事項の「坑内」の「坑」は、手偏でなくて土偏でよろしいですね。
○安井環境改善室長 修正いたします。
○小山座長 そうすると、最後の今後のスケジュール等についての御説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、16ページの第5の今後のスケジュールについて御説明いたします。1の法令改正のスケジュール等です。(1)省令、粉じん障害防止規則等になりますが、こちらの改正については、令和2年6月の公布をめどに手続を進めたいと考えています。(2)関連する労働大臣告示については、令和2年7月の告示をめどとして手続を進めたいと考えております。これらの大臣告示の告示日は、またその後速やかに関連のガイドライン、今回のガイドラインがございますので、そちらの改正を行うという予定です。
2番の施行期日です。省令及び告示の施行期日は、令和3年4月1日を予定したいと考えています。3番の経過措置は、今回のずい道等の掘削作業主任者に関する改正を行いますが、こちらの規定については、施行後1年程度を猶予するということです。その間、いわゆる特例講習という補講を受けていただくということです。この経過措置の終了後については、補講を修了したものでないと職務に就けない、選任することができないというような形で経過措置を設けたいと思っています。また、この特例講習については、施行後2年程度で終了するということですので、2年間の間に必ず補講を受けていただく必要がございます。今後のスケジュールとしては以上です。
○小山座長 それでは、ただいまの検討結果の5番について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○漆原委員 今の最後の第5にあった関連ガイドラインというのは、本文中に出てくる現行のガイドラインということなのでしょうか。それ以外にも、まだ改定するものがあるのでしょうか。
○安井環境改善室長 本文中に出ているガイドラインのことです。
○土屋委員 前回も言いましたが、この改定には相当発注者側の協力が必要になります。発注者側への説明なり、了解というのは、どのように取っていますか。
○安井環境改善室長 まず、オブザーバーという形で発注者の方には来ていただいておりますので、こちらの報告書については御理解いただいているというところですが、報告書がまとまった以降、発注者の方には御理解いただけるように御説明には上がりたいと考えております。
○土屋委員 多分、設備的にも相当必要になるし、それ以外に本当の換気技術指針をしっかり作っていかないと、受注者側も、それに基づいて設計もしますが、発注者側もそれを知っていただかないと、これはとても追い付いていかないので、そこをしっかりと踏まえてやっていただかないと、今後、トンネル工事というのはものすごく大変になってしまうなというのが、私の考えです。そこをしっかり押さえてやっていただきたいと思います。
○小山座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。報告書(案)について、ずっと御議論いただきましたが、全体を通じて更に御意見があれば頂きたいと思います。よろしいでしょうか。
今日、いろいろと御議論いただきまして、報告書(案)について、幾つか修正が必要な部分、あるいは追加が必要な部分がございましたが、基本的な部分については御了解いただけたというように考えておりますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小山座長 ということであれば、今日頂いた御意見に基づいて、事務局で報告書(案)を再度見直していただいて、適宜修正を掛けていただくということで進めたいと思います。その結果については、座長である私に、その後の取扱いについて一任していただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小山座長 そういう形で進めさせていただきたいと思います。今日はいろいろ御議論いただきまして、ありがとうございました。最後に、村山安全衛生部長から御挨拶があるということですので、よろしくお願いいたします。
○村山安全衛生部長 安全衛生部長の村山です。委員の皆様方には、本日、検討会報告書(案)の取りまとめに向けた御議論を頂きまして、ありがとうございました。今年度ですと3回目ということですが、平成28年11月から数えますと、7回にわたりまして検討会を開催いたしました。委員の皆様方には、御多忙の中、毎回御参集の上、活発な御議論を頂き、ありがとうございました。また、労働安全衛生総合研究所におかれましては、2年間にわたりまして、トンネル掘削現場の現地調査を行っていただきました。同時に、国土交通省、経済産業省の皆さんにも、毎回御参画いただきました。皆様の御尽力にこの場を借りて厚く御礼を申し上げる次第です。
この間の議論におきましては、山岳トンネルの現場の現状をしっかりと把握するということを行った上で、最新の粉じん低減化対策の進歩も踏まえまして、それぞれ専門の御知見から幅広く御意見を頂き、そして、本日関係者の皆様方が基本的に合意できる内容での報告書を取りまとめていただきました。この御提言を実現することによりまして、トンネル建設工事における粉じんばく露防止対策を一層前進させることができるものと、私どもとしては考えております。
今後は、先ほど事務局から説明申し上げましたように、今回の報告書、今、座長に御一任ということでさせていただきましたが、最終的な取りまとめを踏まえまして、先ほど室長から申し上げましたように、関係の省令の改正、また告示の制定や改正、そしてガイドラインの関係、講習の関係等の諸準備を進めていきたいと考えております。審議会での手続も含めまして、今後の作業に向けまして、引き続き御参画の委員の皆様をはじめとする関係者の御協力、御支援を賜りますようにお願いを申し上げまして、御礼の挨拶とさせていただきます。皆様、本当にどうもありがとうございました。
○米倉改善室長補佐 本日の検討会は以上で終了といたします。ありがとうございました。