2020年1月31日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和2年1月31日(金)13:30~16:00

場所

中央合同庁舎第5号館12階専用第15会議室

出席者

委員(敬称略)

 

事務局(1月31日時点)
  •  
  • 浅沼 一成(生活衛生・食品安全審議官)※公務のため途中退席
  • 矢野 好輝(生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 中山 智之(食品基準審査課長)
  • 近藤 卓也(食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
  • 井上 隆弘(食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 三木 朗   (食品監視安全課長)
  • 蟹江 誠   (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
  • 横田 栄一(食品監視安全課HACCP企画推進室長)

議題

(1)審議事項
  1.食品衛生分科会における確認事項の一部改正について
  2.ミネラルウォーター類の成分規格の改正について
  3.食品添加物の指定等について
  4.食品添加物公定書追補の作成のための、食品添加物の規格基準の設定について
  5.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  6.「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴い
           て定める量」の設定について
  7.「政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質」に関する規格基準の設定について
  8.「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であつて、厚
          生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したもの」(指定成分等)の取り扱いに
          ついて
(2)報告事項
  1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2.乳及び乳製品の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格基準の改正について
(3)文書による報告事項
  1.食品添加物公定書追補の作成のための、食品添加物の規格基準の改正について
  2.既存添加物名簿からの消除予定添加物について
  3.食品中の農薬等の残留基準の設定について
(4)その他の報告事項
  ・食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
  ・いわゆる健康食品の摂取が疑われる健康被害報告について

議事


○矢野補佐 定刻より少し前になりますが、委員が全員そろいましたので、ただいまから薬事・食品衛生分科会を開催いたします。私、本日の司会をさせていただきます生活衛生・食品安全企画課長補佐の矢野と申します。どうぞよろしくお願いします。
初めに、本日の分科会委員の出席状況です。五十君委員、稲見委員、財前委員、髙田委員、西内委員、二村委員、堀内委員、脇田委員から御欠席の連絡を頂いております。分科会の総数22名のうち、現時点で14名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達しておりますことを御報告いたします。
続きまして、分科会委員の異動について御報告をいたします。令和元年9月17日付けで、横田委員が退任されました。令和元年12月27日付けで、新たに本分科会委員に着任された函館大学准教授の藤原凛委員です。
○藤原委員 よろしくお願いいたします。
○矢野補佐 どうぞよろしくお願いいたします。次に、本年1月1日付けで事務局に異動がありましたので御紹介いたします。医薬・生活衛生局食品基準審査課長の中山です。
○中山課長 どうぞよろしくお願いします。
○矢野補佐 続きまして、本日の議題ですが、お手元の議事次第にあるように、審議事項として、1.食品衛生分科会における確認事項の一部改正について、2.ミネラルウォーター類の成分規格の改正について、3.食品添加物の指定等について、4.食品添加物公定書追補の作成のための、食品添加物の規格基準の設定について、5.食品中の農薬等の残留基準の設定について、6.「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」の設定について、7.「政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質」に関する規格基準の設定について、8.「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であって、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したもの」(指定成分等)の取扱いについて、これら8つについて御審議いただいた後、何点か事務局から御報告を申し上げたいと考えております。
本日の審議事項に関して、「食品衛生分科会審議参加規程」に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、利益相反に該当する委員はいらっしゃいませんでしたのでお知らせします。
また、委員の皆様には事前にお伝えしておりますが、審議会等のペーパーレス化の取組によりまして、本日の資料はタブレットを操作していただきます。操作で御不明な点がありましたら、適宜、事務局に申し付けください。タブレット以外の配布物につきまして、机上には、議事次第、座席表、委員名簿、タブレット操作説明書を配布しております。配布物に不足がありましたら、事務局までお申し付けください。
なお、本日は、生活衛生食品安全企画課長の須田が公務のため欠席です。また、生活衛生食品安全審議官の浅沼も、本日公務のため退席をさせていただきます。挨拶をお願いいたします。
○浅沼審議官 厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官の浅沼です。食品衛生分科会の委員の先生方におかれましては、日頃から厚生労働行政、取り分け、食品衛生、食品安全に関する行政について御指導、ご鞭撻を頂き、誠にありがとうございます。開催に当たりまして簡単ですが、御挨拶をさせていただきます。
改正食品法の施行が順次行われている中で、厚生労働省としては、例えば規格基準の設定などを順次行っております。私どもも行政として、専門家の皆様の御意見、あるいはパブリックコメントを通じて、世の中の皆さんの御意見などを踏まえて、適宜、この基準等については取り組んでいくとともに、また、今年度の施行、また3年度の施行も準備しておりますので、滞りなく施行できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。委員の皆様におかれましては、大所高所からの御指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げまして、簡単ではありますが、私の御挨拶とさせていただきます。
○矢野補佐 浅沼審議官は公務のため、これにて退席をさせていただきます。
(浅沼審議官退席)
○矢野補佐 それでは、以後の進行につきまして、村田分科会長にお願いをいたします。なお、頭撮りはここまでとさせていただきます。村田分科会長、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 日本全体が新型コロナウイルス騒動であたふたしておりますが、天候不順が日本の食材に影響しているように思われる今日この頃です。委員の先生方におかれましては、御多忙の中お集まりくださりありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。それでは、審議事項1.食品衛生分科会における確認事項の一部改正について、審議を行います。事務局から御説明願います。
○矢野補佐 事務局です。お手元の資料1を御覧ください。食品衛生分科会における確認事項についてです。こちらは平成22年3月3日に一部改正されたものです。今般、食品衛生法の改正が行われまして、分科会における審議事項の取扱いについて変更案を事務局から提案させていただいております。それぞれの部会の取扱いについて、担当課より御説明を申し上げます。
○中山課長 それでは御説明します。それぞれ部会ごとの審議又は報告という旨を内容によって規定しているというものです。2ページ、食品規格部会については、特段の変更はないということです。3ページ、乳肉水産食品部会です。ここの所で、空欄になっている所は、後ほど説明いたしますが、今回法律改正で容器包装の制度の改正があったわけですが、乳及び乳製品に関しての規定を定めた省令の中で、一般の容器包装の規格とは別で、乳及び乳製品の容器包装が規定されていた部分を、今回の制度改正に伴いまして、全体の容器包装の規格基準に一元化いたします。したがいまして、乳等の容器包装の規格基準の部分の審議と報告の部分が部会の中で規定されていたわけですが、そこを削除する形で見直したいということです。
4ページ、添加物部会、これは特に変更はありません。5ページ、農薬・動物用医薬品部会については一部で、4番目の下線部の最後に、「又は実質的に残留基準の変更がない場合」というものを追加したということです。これは何を言っているかと申しますと、基本的に残留農薬や動物用医薬品の場合、一律基準の0.01ppmという暫定基準として定めている場合がありますが、これを食品安全委員会に評価要請を行った上で、本基準として同じ0.01ppmになるような場合がこれまでもあったわけですが、これからもあるという見込みがありますので、そういったものに関しては、分科会においての文書配布による報告とさせていただく旨の規定を追加させていただきたいということです。
次に、6ページ、器具・容器包装部会については、器具・容器包装の制度改正に伴いまして、これも後ほど触れますが、食品に接触しない部分については、人の健康を損なうおそれがないようにしか溶出しないという場合には、いわゆるポジティブリストに収載されていなくても、使用が可能という制度となるということで、人の健康を損なうおそれのないよう量を定めるということが新たに審議していただかなければならない事項として出てきたわけで、それを食品衛生分科会における審議事項に追加したということです。
6番目、農薬・動物用医薬品の場合と同様に、「又は実質的に規格基準の変更がない場合」というものを追加しております。
さらに、ポジティブリストになるということで、使用実態がないものについては、消除していくこととしておりますので、消除を行う場合、使用実態がないために消除する場合については、分科会には文書配布による報告という形にさせていただきたいということで、7の部分を追加しました。
8ページ、新開発食品調査部会については法改正の事項で、成分を指定して、それを含有する食品で健康被害が生じる場合について、届出をしなければいけないという制度が新たに創設されるということです。したがいまして、それに伴って、指定成分等の指定についてはどの成分を指定するのか、あるいは指定成分を含有する食品についての製造や加工などの基準、規格を定めるという場合については、食品衛生分科会審議に追加させていただいているということです。さらに、4と5の部会審議については、新たな指定や基準、規格を定める場合は分科会審議ということですが、そこを一部改正するとか、軽微な変更を行うような場合に分けて、分科会には報告又は文書配布による報告という形で分けて追加させていただきたいということです。これはDNA技術応用食品の規定に追加しております。
最後に、部会報告の8番、ゲノム編集技術応用食品については、昨年の10月1日から届出という仕組みができたということがあります。これについては、部会の下にぶら下がる調査会において審議を行いまして、部会には報告、分科会には文書配布による報告に変更したいと考えております。説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございました。本件について、何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。御意見はありませんので、分科会としてこれで了承したいと思いますがいかがですか。ありがとうございます。それでは事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については次回以降の本分科会で御報告してください。
次に、2.ミネラルウォーター類の成分規格の改正について、審議を行います。事務局から御説明を願います。
○中山課長 それでは説明いたします。資料1の9ページを御覧ください。「清涼飲料水」についての規格基準の改正についての経緯ですが、平成14年当時、国際的な委員会であるコーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定や、あるいは我が国には水道法の水質基準改正という動きがあったということ、さらに、平成15年には内閣府食品安全委員会が発足したということがありまして、その当時、清涼飲料水の化学物質の48項目等について食品健康影響評価を依頼したということです。
それが、順次、食品健康影響評価の結果が返ってきたということで、平成21年から食品健康影響評価が得られたものについてこちらで審議して、規格基準の改正を行ってきたという経緯があります。
48成分ある中で、まだこちらのほうで審議の最終的な結論まで至っていないものが10あるわけです。今回はそのうちの5つについての審議をお願いするということになるかと思います。
今回審議をお願いするもの、改正案については、10ページ、ミネラルウォーター類の成分規格としては、大きく分けて「殺菌又は除菌を行わないもの」と、「殺菌又は除菌を行うもの」という形で分けて規格を設定します。クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の3つについては、殺菌に伴って生じてくるもので、その殺菌又は除菌を行うものの成分規格のみ設定されるという形を取っております。水銀と六価クロムについては、両者に成分規格が設定されることとなります。
今回の改正案としては、水銀については現行基準案と同様、六価クロムについては0.05mg/Lから0.02mg/Lということで、基準としては厳しく改正するという形になります。クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸に関しては、新たに基準を設定するということです。この審議の経緯については、11ページ、まずは食品安全委員会からの評価結果がいつ来たのかとか、あるいは部会でいつ審議されたかといった経緯が書かれております。
その後に委員の名簿などが付いておりますが、14ページ以降にどのような検討が行われたかという内容が表形式で記載されております。
例えば、18~19ページにかけて、除菌又は除菌を行うものということでの六価クロムの表が出ております。これについて見ますと、六価クロムの次の右の欄におきまして、食品安全委員会の評価結果があります。19ページ、TDIということで、耐用1日摂取量ということですが、TDIが1.1μg/kg体重/日という形で食品安全委員会において評価がされたということです。それに対して、一番右の欄が基準値案の考え方で、今回、0.02と改正すると申し上げましたが、その0.02mg/Lについて、50kgの体重の人をこういう場合は使うということで、50kgの体重の人が2L水を摂取した場合ということで考えますと、1日当たり体重当たり0.8mgということになるというのが基準値、基準値最大で摂取した場合ということになりますが、そういった計算がなされるわけです。
それに対して、食品安全委員会の評価結果で、TDIが1.1と設定されておりますが、今回の場合、六価クロムについては、水からの摂取がほぼ100%と言ってよいという位置付けになっておりますので、そういった場合には、六価クロムの欄の一番右の基準値案の下の※以降に書いてありますが、WHOやUSEPAにおいて、飲料水以外からの摂取がないという確かなデータがある場合には、ミネラルウォーターに由来する六価クロムの寄与率は80%とすることにしておりますので、保守的に見積もってということになると思いますが、ほぼ100%ですが、80%と見積もって計算するという形を取っております。そのような形でいきますと、TDI1.1μg/kg体重/日に対して、水の寄与が80%としますと、0.88μg/kg体重/日というのが、摂取しても健康被害を生じない量ということになるわけです。実際に基準値の最大で仮に1日摂取した量を計算しますと0.8ということになりますので、そこを下回るということで、この0.02という基準を厳しく設定するという形での改正案として提案している考え方となります。ほかについても同様の検討を行った上で設定しているということです。
なお、この表の全体を見ますと分かりますが、基本的には水質基準とミネラルウォーターの規格基準は同じ値となっております。さらに、国際的な基準と比較しても、同じか厳しいといったような基準になっていることを付け加えさせていただきたいと思います。説明は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。本来ですと、部会長より審議の状況について御報告いただくところですが、本日、五十君委員、部会長は御欠席ですので、その説明はありません。それでは本件について何か御意見、御質問はありますか。
○安藤委員 算数の質問みたいで恥ずかしいのですが、ちなみに現行の基準の0.05だと1日当たり2L摂取した体重50kgの人の場合の六価クロムの摂取量は幾つになるのですか。
○中山課長 0.8の2分の5なので2になると思います。
○安藤委員 2ですね。現行基準だと、オーバーしてしまうということですか。
○中山課長 そういうことになります。改正の基準で0.88までならば大丈夫、安全は保てるということで0.8になりますので、旧来の基準は0.8の2分の5になりますので、超えてしまうということになります。
○安藤委員 はい、分かりました。
○村田分科会長 ほかにありませんか。
○藤原委員 六価クロムの場合は、ほかには摂取がないと設定されているのですが、これは国や地方によって異なるものですか。
○中山課長 実際に検体を摂取して、汚染実態みたいなものを調べますと、もっとあるものは非常に低いとか、濃度に関しては場所によっては異なる場合はあり得るということかと思いますが、この場合で言っているのは、結局、基本的に水からの摂取以外は、もう六価クロムとして食品中には存在し得ないことから、基本的には水からの摂取がほぼ全てであると仮定して計算してもいいということを言っているということで、地域とかそういった話とはまた別の話ということです。
○藤原委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 そのほかはありませんか。よろしいですか。それではほかに御意見がないようですので、分科会として、これで了承したいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、3.食品添加物の指定等について、審議を行います。事務局から御説明願います。
○中山課長 それでは22ページを御覧ください、食品添加物としてのジフェノコナゾールの指定の可否ということです。このジフェノコナゾールという物質については、従来から農薬として使用されているということで、その安全性評価もされています。収穫後に使用する場合は、食品添加物として扱われるという法令上の扱いになるということで、食品添加物としての指定の可否という形での審議をお願いするということになります。
今回、食品添加物としては事業者からの要請によりということで、指定等の審議を行っていただきます。用途としては防かび剤ということです。諸外国においての記載がありますが、国際的な評価もされているということと、さらには諸外国での使用ということで言えば、「コーデックスでは」と書いていますが、残留基準が設定されていて、2013年には、ばれいしょに対して4ppmの残留基準での使用が認められている状況です。実際に米国、カナダでは、収穫前の農薬としても使用されています。収穫後の防かびの目的ということで、キャッサバ、さといも、ばれいしょ等と書いてありますが、4ppmの残留基準での使用が認められているという状況が諸外国でもあるということです。
この物質についての食品安全委員会における評価結果ですが、これは農薬として使用されていた当時から、評価がされています。1日許容摂取量が、0.0096mg/kg体重/日、急性参照用量が0.25mg/kg体重という形で設定されている状況です。今回、添加物の指定ということで諮問をしましたが、その評価結果については、変更がないという答申が得られているということかと思います。
23ページを御覧ください。今回、使用基準(案)を先に申し上げますが、ジフェノコナゾールについては、添加物としての使用基準ですので、あくまで収穫後の使用ということですが、ばれいしょ以外の食品に使用してはならないとして、残る量としては1kgにつき0.004gを超えて残存しないように使用しなければならないという使用基準(案)としています。これは、米国、カナダでの残留基準の4ppmと同じということになろうかと思います。
これまでにWTO通報も開始していまして、今後パブリックコメントも実施する予定としていますが、次のページの答申(案)としては、今、申し上げたようなことで、まず添加物としてヒトの健康を損なう恐れはないことから、指定することは差し支えないとして、規格基準として以下のとおりということで、使用基準については先ほど申し上げたとおりと。さらに、成分規格(案)として、含量、性状等について以下のとおり規定させていただくということでの答申とさせていただきたいということになっています。
失礼しました、1つ説明が漏れていましたが、23ページに摂取量の推計ですが、今回の使用基準(案)にのっとって、農薬での使用ということも含めて、最大残った場合ということを仮定して計算した場合の摂取する量は、推計としてはそちらにまとめられているとおりです。これについては、食品安全委員会において、1日許容摂取量や急性参照用量に対しても、十分下回る値として評価できるということも確認した上で、今回の指定をする上で使用基準(案)、成分規格(案)を御提案申し上げているということになります。説明は以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。議論に入る前に部会での審議の状況について、佐藤部会長より御報告はありますか。
○佐藤委員 はい、部会では有効性について余りクリアではないのでないかという意見も出たのですが、じゃがいもというのは非常に病原菌に弱いということで、それを踏まえると、それなりに効果があるということと、他剤と混合して使うことでより効果が上がるということで、今回、認めてもいいのではないかという意見がありました。以上です
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問はありませんか。
○曽根委員 既に農薬として認められている物質についての食品添加物における審議ということなのですが、農薬においては散布をするのだと思いますが、食品添加物の場合は、収穫物に噴霧をする形で使われるのでしょうか。添加物というと、何かまた違う使い方をされるのかと思いましたので、その点だけはっきりさせておきたいと思います。
○中山課長 基本的には、収穫後の作物に対して噴霧という使用になろうかと思います。ただ、冒頭に申し上げたとおり我が国の食品衛生法上で、食品添加物の定義があって、食品の製造加工や保存など、そういった目的で使用されるものといったような定義があります。そこの保存の目的というところに、該当するという法令上の整理があります。そういった通常の食品添加物の使用形態とは異なる形を取っているわけですが、法令上の規定としては食品添加物として取り扱うという整理がされているということです。
○曽根委員 そう書いてあるからといって、例えば製造や加工に使われてしまうようなことは、ないと考えてよろしいわけですか。
○中山課長 これは使用基準で、ばれいしょ以外には使ってはいけないという規定と、そこに残存をしてはいけないということになりますので、加工の過程で使うということは想定されないと使用基準上はなるかと思います。
○曽根委員 分かりました。
○村田分科会長 ほかにはありませんか。
○藤原委員 農薬と添加物、それぞれで使った場合の残存量の基準はあると思うのですが、両方の農薬としても使い、更に添加物としても使った場合の残存量はどのように考えているのですか。
○井上室長 御質問ありがとうございます。本日、後ほど出てきます文書報告の中で、この添加物の指定に合わせて残留農薬基準の設定に関しても、農薬動物医薬品部会で同時に御審議を頂いています。考え方としては、残存量としては今回は国際基準の4ppmを採用させていただいていますが、食品への残留としては、あくまで4ppmということで、どちらも同じ値を設定をすることで、添加物として使用されたとしても、食品中の残存量は4ppmで設定をするというように整理をしています。
○藤原委員 合算などで計算するということですか。
○井上室長 基本的に、このジフェノコナゾールに関しては、収穫後の使い方という前提で基準値が設定されていると思いますので、最終的に食品への残留が4ppmを越えてはならないということになりますので、農薬と添加物で合わせて、それを超えるということはないようにという規制になります。
○藤原委員 分かりました、ありがとうございます。
○安藤委員 もう1回、確認させていただきたいのですが、例えば、じゃがいもの検査をして4ppm以上になっていて、今回、使用基準を守って使いなさいという形になるのですが、使った業者さんは4ppmを超えない使い方をしていたが、仕入れたじゃがいもに4ppm以下で入っていたものに、自分はきちんと使ったという形になった場合も、想定されると思いますが。
○中山課長 基本的には、残存での4ppmで規制の対象となりますので、仮にそういった懸念があるといった場合には、使用する側として4ppmを超えて残存しないような使用をしなければならないという基準になっていますので、それを守っていただくということになろうかと思います。
○安藤委員 では、添加物として使った人が、あらかじめきちんと確認をしておくという形の使い方なのですね。
○中山課長 厳密に言うと、そういうことです。
○安藤委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにありませんか。それでは、ほかに御意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めていただきます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、4.食品添加物公定書追補の作成のための、食品添加物の規格基準の設定について、審議を行います。事務局から御説明をお願いします。
○中山課長 それでは説明させていただきます。28ページを御覧ください。今回、イソアルファー苦味酸、高級脂肪酸、生石灰の3つで、高級脂肪酸に関しては高級脂肪酸の中で、7成分に分かれて規格を設定するということが行われて、合計9つということで規格を設定したいと考えているということです。
経緯を申し上げますと、食品添加物については、天然由来の添加物は、かつて自由に使えるという時代がありました。それを既存添加物という形で、天然添加物であっても指定されなければ使えないという仕組みを導入したということが、かつてありました。その後、そういった天然添加物について、成分規格を整備していこうということで、着々と進んでいるわけですが、いまだ成分規格が設定されていないものもあって、新たに3成分、全部では9成分ということになりますが、成分規格を新たに設定したいということです。それが大元の経緯ということです。
本品目についての経緯としては、従来から食品添加物公定書作成検討会の中で、具体的な成分規格案の検討がされて、今回の9成分に関しては平成31年2月27日開催の添加物部会において、9品目の成分規格設定について報告がなされ議論がされたということです。その後、一般に向けて意見募集を行った上で、食品安全委員会の食品健康影響評価の依頼も行ってきたということになろうかと思います。食品安全委員会における評価結果については、29ページを御覧ください。基本的に既に使用されている添加物であって、当該添加物の品質をより確保するために、新たに成分規格を設定するものであるので、したがって人の健康に悪影響を及ぼすおそれはないと考えるというのが、食品安全委員会による評価結果ということになろうかと思います。
それを受けまして、こちらの添加物部会分科会での審議を経た上で規格を設定するということとさせていただきたいということです。この後、パブリックコメント、WTO通報を実施する予定です。
答申(案)については、30ページ以降です。今、述べました9品目についての規格基準を以下のとおりと設定することが適当であるという形の答申(案)とさせていただき、それぞれの成分規格案がその後に示してあるとおりです。それが付いた上で、答申という形にさせていただきたいというものです。説明は以上です。
○村田分科会長 ありがとうございました。議論に入る前に、部会での審議の状況について、佐藤部会長より御報告いただくことはありますか。
○佐藤委員 特にないです。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問はありませんか。
○穐山委員 食品添加物の公定書は、今まで8年ぐらいごとに続けてきて9版が終わって、これから10版の作業になると思いますが、これは追補ということで途中で追補版が出るという理解でいいですか。
○佐藤委員 はい、おっしゃるとおりで、今、食品添加物は先ほど御審議いただきましたように、新規のものも出ていますし、既存添加物も告示のほうには入っていくという形になるので、この検討会を始めて今年で2年目なのですが、来年にはこれまでの規格できたものについて、一通り一応まとめて何らかの形で公表したいと考えています。
○穐山委員 ありがとうございました。
○中山課長 ちょっと追加させていただきます。公定書のこれからの作成の方針ということについて申し上げますと、個別の成分規格については追補という形で積み上げていくということですが、通則や一般試験法、試薬・試液等についてということで横断的な部分について、改正の必要が生じた場合にということで、今度は第10版という形で全体をまとめるという形の方針ということで、検討が進められているという状況です。以上です。
○村田分科会長 そのほかはありませんか。ほかに御意見ないようですので、分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、5.食品中の農薬等の残留基準の設定について、審議を行います。事務局から御説明をお願いします。
○井上室長 資料1の49ページを御覧ください。まず本日、御審議いただく3品目です。1品目は49ページからです、ピロキサスルホンです。昨年の11月の部会で、御審議を頂いた品目です。本品目は、経緯に記載がありますが、農薬取締法に基づく適用拡大申請、またインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請に基づくものです。用途は除草剤で、土壌の処理剤です。我が国の登録状況ですが、これまで日本芝、樹木等を対象に登録されていたということで、いわゆる食用の農作物に関しては登録がなかったということです。諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準は設定をされていません。米国などにおいて、基準値が幾つか設定されているというものです。
食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですが、まずADIに関しては、90日間の亜急性毒性試験の無毒性量に2mg/kg体重/dayと、安全係数を100として、ADI0.02mg/kg体重/dayと評価をされています。もう1つ設定根拠としては、1年間の慢性毒性試験、こちらも無毒性量が2mg/kg体重/dayということで、併せてADIを0.02と評価を頂いています。またARfD(急性参照用量)については設定の必要はなしという評価を頂いています。
基準値(案)ですが、残留の規制対象物質としては、ピロキサスルホン(親化合物)ということです。51ページを御覧ください。こちらの資料の登録の有無の欄に「申」と書いているのが、農薬の登録申請に関わるところ、また「IT」と書いているのがいわゆるインポートトレランス申請による部分です。
こちらについてのばく露評価ですが、50ページを御覧ください。本基準値案に基づいてばく露評価の結果ですが、いずれもADIの範囲内であって問題はない旨、部会において評価を頂いているところです。1品目目のピロキサスルホンは以上です。
2品目目は資料54ページで、フロルピラウキシフェンベンジルです。昨年9月の部会で御審議を頂いた品目です。経緯ですが、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定依頼です。用途は、除草剤です。我が国の登録状況ですが、新規の農薬ということで、これまで登録がなかったものです。諸外国の状況ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。米国等に関して調査をした結果ですが、オーストラリアにおいてアメリカ又は畜産物への基準値が設定されているというものです。
続いて、食品安全委員会における食品健康影響評価の結果です。18日間の発がん性試験の結果、無毒性量又は安全係数を踏まえてADIを8mg/kg体重/dayと評価を頂いています。またARfDは設定の必要はないと評価を頂いています。
基準値案ですが、残留の規制対象物質は親化合物とするということです。基準値案は、56ページになりますが、お米に関しての登録、あと稲わらなどのえさ経由での基準値ということで、畜産物への基準値を設定する案ということになっています。
これについては、ばく露評価の結果は54ページにADIが大きい値であることから2桁表示では0.0となっていますが、国民全体においては0.0005%で非常にばく露評価も低い結果となっています。部会における審議においては、特段問題はないということで評価を頂いています。2品目目のフロルピラウキシフェンベンジルは以上です。
3品目目、58ページです。こちらは昨年10月の部会で御審議を頂いた品目です。メチルテトラプロールです。こちらも、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定の要請です。用途は殺菌剤で、我が国では新規ということで、まだ登録はされていないものです。諸外国の状況については、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されていないというものです。
食品安全委員会における食品健康影響評価の結果ですが、発生毒性試験から得られた無毒性量又安全係数を踏まえて、ADIを250mg/kg体重/dayと評価を頂いています。ARfDに関しては、設定の必要なしということです。
基準値案ですが、残留の規制対象物質は親化合物ということです。基準値案に関しては、次のページです。今回、登録の申請がある品目に関しての基準値の設定というものです。
ばく露評価の結果ですが、本基準値案に基づく評価ということで、いずれもADIの範囲内ということで、特段の問題ない旨の評価を頂いているというものです。
以上、3品目に関しての説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ありがとうございました。それでは議論に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長より御報告がありましたら、お願いいたします。
○穐山委員 今、事務局から御説明があり、繰り返しになるかもしれませんが、部会の報告をさせていただきます。まず、1剤目のピロキサスルホンですが、49ページ以降に書かれていますが、これは昨年11月の部会で審議した品目で、今まで食用には使われていなかったのですが、今回、食用に適用拡大するということと、インポートトレランス申請に伴う基準値設定の要請があったことから、食品中の残留基準を設定するものです。これはイソキザゾリン系の除草剤です。
農薬動物用医薬品部会においては審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘がありましたが、食品安全委員会の評価結果として生体にとって問題となる遺伝毒性等は認められていませんので、閾値は設定できると評価されていました。また、作物残留試験や代謝試験等の結果から得られた代謝物に関するデータに基づき、規制対象物質は親化合物とすること。また、作物残留試験の分析法に関しては、特段問題はないということ。作物残留データ等の情報に基づき、ばく露評価し残留基準値は適切に設定されるということで、特段問題ないという結論に至りました。
2剤目は、54ページ以降に書かれていますが、こちらはフロルピラウキシフェンベンジルというアリルピコリネート構造を有する除草剤です。これは昨年9月の部会で審議をした品目で、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請に伴う基準値設定の要請があったことから、食品中の残留基準を設定するものです。
部会においては、食品安全委員会の評価結果として、神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性及び免疫毒性は認められていませんので、閾値が設定できると評価されています。また作物残留試験や代謝試験等の結果から得られた代謝物に関するデータに基づき、規制対象は親化合物のみとすること。作物残留試験の分析法に関しては、特段問題はないということ。作物残留データ等の情報に基づき、ばく露評価し残留基準値は適切であり、特段問題はないという結論に至っています。
3剤目は、58ページ以降に書かれていますが、メチルテトラプロールです。これは、昨年10月に開催された部会で審議したもので、こちらも先ほどの2剤目と同じように新規の農薬登録申請に伴う基準値設定の要請があったことから、食品中の残留基準を設定するものです。こちらは、テトラゾリノン構造を有する殺菌剤であり、本剤は病原体の呼吸阻害を起こすことで殺菌効果を示すもので、りんごの黒星病などに効果を示すと考えられています。
部会では、食品安全委員会の評価結果として、神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝性は認められておらず、閾値が設定できると評価されていること。作物残留試験や代謝試験等の結果から得られた代謝物に関するデータに基づき、規制対象物質はお示ししたものであり、分析法には特段問題はない。また作物残留データに基づき、ばく露評価をし、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは本件について、何か御意見、御質問がありましたらお願いいたします。特に問題なさそうですか。それでは御意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、6.「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」の設定について、審議を行います。事務局から、御説明をお願いします。
○中山課長 それでは御説明します。61ページです。「改正食品衛生法第18条第3項ただし書に規定する人の健康を損なうおそれのない量を定めることについて」という標題ですが、これは、食品用の器具・容器包装について、ポジティブリスト制度、使っていいもの、食品用の器具・容器包装について使用を認める物質を定めて、安全が担保されたもののみを使用できる制度ということで、ポジティブリスト制度を導入するのが平成30年の食品衛生法の一部改正の1つの項目だったわけです。
そのポジティブリストの制度の導入に伴いまして、経緯の5行目以降になりますが、政令で定める材質は合成樹脂のことを言いますけれども、合成樹脂の原材料はポジティブリストに収載された物質でなければならないということになるわけですが、ただし、その中で食品に接触する部分には使用されず、人の健康を損なうおそれのない量として定める量を超えて食品側に移行しない場合については、ポジティブリストに載っていなくても使用が可能という規定がされたということです。
したがいまして、その食品に接触しない部分に使用されたもので、人の健康を損なうおそれのない量であれば使用できるわけですが、人の健康を損なうおそれのない量とは何と定めるべきか結論付けなければいけないということです。それについて食品安全委員会に諮問を行い、評価の結果が得られたということで、こちらの部会審議を経て、本日分科会での審議をお願いする状況になっております。
食品安全委員会での評価結果は、下から2段落目ですが、人の健康を損なうおそれのない量というのは、食事中濃度で0.5μg/kg以下となる範囲で設定できると考えられるというのが、食品安全委員会からの評価結果です。
したがいまして、食事中濃度で0.5μg/kg以下であれば良いとすればいいわけですけれども、この0.5μg/kg以下という値については、いわゆる食事中濃度ということで、実際にリスク管理等における実効性、例えば検査して、一定以上の濃度で出てきていれば、それは認められませんよというようなことをやるためには、食事中濃度で規定されると、なかなかそういった検査が実効性の観点からも難しいということにもなりますので、やはり食品擬似溶媒中濃度で規定することが適切だろうということで、部会での報告がなされ、了承もされている状況です。
そこで62ページにあるとおり、食品安全委員会から答申された食事中濃度の0.5μg/kgという値について、食品擬似溶媒中濃度と換算した場合に、どのような値として設定ができるのかという換算を行ったという結果が、この62ページにまとめられているわけです。
非常に理解するのがなかなか難しいところがあるのですが、上から5行目、一番右に「食事中濃度」とありますが、それをまず食品への移行量という形で換算するための計算をするという式が、こういった形で表わされるということで書いてあります。この「食品区分係数」とは何かと言うと、食品の中でも例えば、酸性の食品、お酒のようなもの、乳製品のようなもの、油脂のようなものなどによって、移行していく程度が、異なり得ることがあるので、そういった食品区分ごとに分けてどれだけ移行するかを計算しなければならないということです。
あるいはこの「消費係数」という言葉、いろいろな容器・包装にも材質があります。材質が異なれば、それでまた影響が異なることがあるので、やはりどの材質で食品に接触する部分というのが、食事量の割合がどう変わるのかといったようなことを消費係数という形で表わすことになっています。それに分けて、足し合わせた上で全体が食事中濃度として0.5になるという計算式があるわけですけれども、結局この食品への移行量の部分をまず算出したいわけですが、それに当たり、やはり保守的に厳しい基準として見積もろうとすると、この食品区分係数という部分と消費係数という部分については、大きい値で、より想定されるよりも十分大きめの値を設定することによって、食品への移行量は厳しくと言いますか、保守的に見積もることができることになろうかと思います。
そういった意味で食品区分係数については、本来は小数点以下になるのですが、それを1と仮に置いて、それも食品区分の5種類に分けているのですが、それぞれ全て割合として全て1であるという形での設定をするとか、あとは消費係数に関しては、食事へのばく露がもうほぼないといったものについては、0.001という値を採用することになっているわけです。それも多目に見積って仮に0.01、10倍です。ほぼ接触がないという場合が0.001とした場合でも、その10倍の0.01という値を適用して、計算を行っているということです。そもそもが食品の接触しない所に使われるもののことを考えていますので、その消費係数0.01と考えたとしても、十分大きな値になるという前提です。
そういったことで計算しますと、計算式として食品への移行量が真ん中の下線に書いてありますが、0.01mg/kg以下と算出されます。これについて62ページの一番最後にいろいろ書いてありますけれども、これを用いて食品擬似溶媒中濃度、食品への移行量というのが、食品の1kg当たりに0.1mgへ移行するという値ですので、それを食品擬似溶媒中濃度として換算すると、同じ0.01mg/Lと考えて差し支えないだろうという計算になる結論となっております。
こういったことで、この0.01mg/Lという値について、人の健康を損なうおそれのない量という形の考え方を採用することとしたいとなりましたということです。
この後、食品安全委員会における評価結果が66ページ以降から詳しい内容として、75ページまで添付されているということでございます。説明は以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。議論に入る前に部会での審議の状況について有薗部会長より御報告ください。
○有薗委員 今、詳しく説明していただきましたので、概略は分かっていただいたかと思います。ただ本当の計算の中身は大丈夫かなというところはあると思うのです。それについて浦郷委員からもチェックしていただいたり、確認していただいたりしたのですが、実際にこういう計算に携わって、計算にある程度意識した先生方にも一緒にやっていただいて、この辺りで間違いないですねというようなところで議論いたしました。それでこの案をこちらに、人の健康を損なわない量ということで、提案することについて賛同いたしました。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。
○松嵜委員 松嵜です。素朴な疑問ですみません。食品に接触しない部分という所が、具体的にはどのようなことを指しているのかを教えていただければと思います。
○中山課長 基本的に容器・包装というのは、細かく見ると食品に接触する層と二層目、三層目、四層目の形で重なっているのです。その一層目の所に添加する場合は食品に接触する形になりますけれども、二層目、三層目以降というのは、直接は接触しなくていいということです。
○松嵜委員 納得しました。それから外の箱などは関係ないということですか。
○中山課長 箱は関係ないことになります。
○松嵜委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 そのほかはございませんでしょうか。
○穐山委員 まず最初の食品安全委員会の食品健康影響評価の通知の中で、食品衛生法第18条第3項の中では、健康のおそれのない量と定められて、それがどの量かを通知されていると思うのです。これはもともとは農薬のポジティブリストと同じ考えの量から出てきたということですよね。この0.5はそうでしたでしょうか
○中山課長 はい、そうです。これは68ページでしょうか、食品安全委員会からの答申の中に含まれている文章ということかと思いますが、68ページの食品健康影響評価の(1)の②にあるとおり、この食事中濃度0.5という値は、米国での食品接触物質の規制対象適用外の水準であるのとともに、日本国内における残留農薬の一律基準、0.01ppmの設定に際して参照されたという規制上の実績もあるという値だということです。
○穐山委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 ほかに御質問ありますでしょうか。
○松嵜委員 細かくてすみません。その容器が層になっているというイメージなのですが、切られてしまったり、壊れたときなどのことはどのように考えればよろしいのですか。
○中山課長 切られるとはどういうことでしょうか。
○松嵜委員 破けてしまうとか。細かくてすみません。
○有薗委員 それに関しては別途、材質規格基準のところの溶質基準があるので、多分そこで規定されると思います。
○松嵜委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 よろしいですか。
○阿部委員 確認ですが、62ページの式がある中で、食品区分係数があるのですが、これは具体的には、例えば一番移行性の高いような、リスクの高いような食品というのは、油、あるいは高濃度なアルコールなど、このようなものなのでしょうか。
○中山課長 それは成分によって、またさまざまだと思います。
○阿部委員 そこまで含まれているのかという話です。食品が飲料なのか。あるいは油まで入っているのか、アルコールまで入っているのか。
○中山課長 もちろん入っています。先ほど申し上げましたが、食品としては酸性の食品、酒類、乳製品、あとは油性及び脂肪性の食品です。あとその他という形で分けます。
○阿部委員 分かりました。ありがとうございました。
○中山課長 次の説明に出てきますが、例えば、89ページなどを見ていただくと、食品の区分ごとに基準値を設定している欄があるので、そういう形で分けていることがお分かりになるかと思います。
○村田分科会長 ほかに御意見はございませんか。ないようですので、分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、7.「政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質」に関する規格基準の設定について、審議を行います。事務局から御説明願います。
○中山課長 76ページをお開きください。政令で定める材質としては、今回は合成樹脂です。この原材料であって、これに含まれる物質に関する規格基準の設定ということです。大まかに申しますと、そのポジティブリストというものを指すということになろうかと思います。それ以外の規定も一部あります。基本的にポジティブリストに載せる物質を定めて、その含有してよい量を定めるといった規格基準を定めるということです。
今回の改正の概要は、76ページの2にあります。(1)として、その物質と含有量等の数値について新たに別表を設けて規定するということが1つ大きな点としてあります。
(2)として、着色の目的に限って使用する物質というものについては、その個別のポジティブリストという形で、物質ごとに記載するというのではなくて、食品添加物として指定されているものを使うか、若しくは溶出又は浸出して食品に混和するおそれがないという形で加工されている着色料であれば使えるという形の規定を設けるということです。
(3)は、この後の82ページに具体的な内容が記載されています。フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)については、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を含有する食品については使えないといった個別の規定がそもそもあったということ。あと、ポリ乳酸に関しては使用温度制限があったということです。今回のポジティブリスト制度にすることに伴い、この2物質についても個別のポジティブリストで規定する形に変えるということです。規定の位置を変更するというだけで、内容については変えないという改正をしたいということです。
これらについては、食品安全委員会に諮問しております。基本的に(1)(2)全体としては現行よりも規制は強化されるということで、ヒトの健康に悪影響を及ぼすおそれはないと考えられるという評価結果です。(3)については、その規定する場所を移行させるということで、何ら規制としては変わりません。これについてもヒトの健康に影響を及ぼすものはないと考えられるという答申を得ているということです。
なお、今回は別表を設けてポジティブリストを規定するというところまでです。本来ここの分科会での御説明も、かつては一定程度安全性に関する評価を行った上でということで、ポジティブリストを作成するということでの御説明をしたということだったと思います。
今回は、まず製造・流通等の実態があるものについてのポジティブリスト化を行うことといたしました。その個別の物質についての食品健康影響評価については、77ページの上から5、6行目辺りにあります。この食品安全基本法の中に、食品健康影響評価を行ういとまがない場合というものに関して、緊急を要する場合で、食品健康影響評価を行ういとまがないときに該当するという形で、そのポジティブリスト制度というものを施行することをまず第一とします。
その個別の物質の食品健康影響評価については、その後を追って実施する。農薬についてもほぼ多くが基本的にそのような形を取りました。そういう形で実施するという前提の下で、今回の規格基準の設定をするということで進めています。
77ページの下のほうから、ポジティブリストの作成の手順をどう考えるのかについての説明があります。基本的には下から3行目以降ですけれども、設定手順としては、現在、国内で販売、製造、輸入、営業上使用されている器具・容器包装について、ポジティブリストに収載する必要がある物質については収載するということです。78ページにあるとおり、事業者団体から情報提供を受け、整理・確認を行ったという手続を取りました。
その後は意見募集、WTO通報なども行いました。とりあえず現在のポジティブリストに収載する品目については、海外機関において使用が認められている物質であるということ、あるいは国内独自のものだとしたとしても、文献情報などに基づいて、一定の安全性の確認をしたものとしてリスト化するということとなっています。
これは再度繰り返しになりますけれども、最終的にはその収載されたものについては、食品安全委員会に評価依頼をして、その評価結果を得るという手続を取るということはこの後に実施されるのが前提だということです。
ポジティブリストの設定に関しての留意事項が78ページの真ん中辺りにあります。基本的に合成樹脂の原材料は、ポジティブリストに掲げる基ポリマー、微量モノマー、添加剤等で構成されるということです。ポジティブリストの規制対象は最終製品に残存することを意図して用いられる物質にするということ。
②にある、基ポリマーについては、樹脂を複数の区分に分類して規定する。添加材の添加量などについても、基ポリマーごとの区分に応じて規定するのだといったことの考え方に基づいてリスト化を進めたことになります。
その内容というのが81ページ以降になります。実際のポジティブリストは83ページ以降になります。その前に全体の包括的な規定として、81ページから82ページの規定を置きたいと考えております。今のところは案です。文言の内容については変更があり得ますけれども、趣旨としては残したまま、文言等については変更があり得るという前提です。
例えば、先ほど申しましたように、全体の包括的な規定として、別表1に定めたものがポジティブリストですということ。ただし、器具又は容器包装の着色に限って使用される物質は、指定された添加物の着色料、又は溶け出ないような加工がされた着色料であれば、ポジティブリストに載っていなくても使えるものですというような、全体としての規定を設けるといった構成を今考えています。
実際のポジティブリストは83ページ以降193ページまで続きます。膨大な数があることがお分かりいただけると思います。84ページから基ポリマーについて、それぞれ物質ごとに並べられています。161ページ以降には、添加剤等ということで規定されています。それぞれの物質ごとに区分別の使用制限ということで、含有できる量を、重量パーセント濃度で数値化したものとして規定されるということを考えています。こういうポジティブリスト案を作成しています。
194ページに、「ポジティブリスト制度の適用について」ということで、今後の適用についての考え方をお示ししています。195ページを御覧いただくと分かりますけれども、ポジティブリストに収載されたもの以外は使用できないのだということ。ポジティブリスト制度自体は、今年の6月1日から施行されます。これだけ膨大な物質があるということで、様々な状況が出てまいりました。
195ページの5行目以降にあるとおり、様々な事業者が関係するということで、事業者間の確認や調整が完了しないということ。もしかすると、今、作成しているポジティブリストと、まだここには収載されていないけれども、情報としては入手している物質もあります。それ以外も含めて、実際にこれまで使用されていたようなものが出てくる可能性がある状況です。あるいは、事業者間の事情により、現在使用している原材料の切り替えを余儀なくされる事業者も出てき得るという状況があります。そういう場合には、製品設計、原材料調達等様々な手続が切り替えのために必要になるということで、一定期間の経過措置が必要であろうという状況にあります。したがってそういう状況も踏まえ、技術検討会における議論も踏まえ、一定期間というのは5年程度を想定しておりますけれども、経過措置を検討することとしています。
ただし、法律が施行されるということは、今年の6月1日より前に製造、販売等をしていた実績があるものについては、追加をする可能性はあり得るという余地を残すということだけです。本来ポジティブリスト制度に載っていなければ使用できない。新たな物質を開発して容器包装に使うようなものが6月1日以降出てきた場合には、安全性のデータを溶出量に応じてデータを添付した上で、ポジティブリストに収載されるもの以外は使えない、といった制度自体はきちっと施行される前提であるということとして御理解いただければと思います。
196ページはパブリックコメントで、今はいろいろな事情があるということを申し上げました。196ページに示すような様々な事情があるので、拙速に制度を施行してしまうと、市場における混乱を生じかねないという状況の意見も出てきていることから、5年程度の経過措置期間を置くことが適切ではないかという判断に至っています。
197ページには、器具・容器包装ポジティブリストの策定・適用についてという流れ図があります。これまで様々な検討を行ってまいりました。真ん中にあるポジティブリスト案についての、器具・容器包装部会、食品衛生部会審議と書いてあります。昨年末に器具・容器包装部会が行われ、現在、食品衛生部会審議に至っている状況です。今年の2月頃を予定していますけれども、ポジティブリストを告示する手続を経ます。ただ、一方で引き続き追加収載が必要な物質を把握するということも平行して進めます。今年の2月に出す告示の内容について一部追加収載や、許容量の修正等を行った上での告示改正を、来年度末を目標にして行いたいということで作業を進めることを考えているということをお示しています。
一定程度、ポジティブリストの中身が固まった状況と並行して、事後的に食品安全委員会への評価依頼を物質ごとに進めていく手続に流れていくということを今のところ考えています。説明は以上です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について有薗部会長より御報告いただけますか。
○有薗委員 私たちの部会の検討前にも、食品用器具・容器包装の規制の在り方に関する技術検討会がありました。そちらからの情報もいろいろ頂きながら中身を確認してきました。また、ポジティブリストの分け方とか、基ポリマーとか、添加物というような分類をどのようにするか。先ほど区分の話もありましたけれども、どのように見るのかというお話も、外国の情報とか事務局のほうで整理していただいたものの情報を頂いて、確認しながらやってきました。
ここの195~197ページの中に、197ページは流れですけれども、この中にパブリックコメントでのコメント、あるいはそれにどう対応したかという話もありました。最後のところで議論したのは、経過措置のところをどのような感じで規制するのかということです。その中で、新しく追加しなければいけないものがあったら、この中でも読んでいくということです。再度見直しをやることもあるということも含めて、5年間という経過措置ということを最終的なところで確認しました。
かなりのボリュームのものを確認したりしていかないといけないわけです。5年間が経過としてあるわけですけれども、5年間だけでなくて終わってからでも逐次見ていく必要があるのかという話も、議論の中ではしていきました。
○村田分科会長 5年という長い期間がありますけれども、御意見がありましたらお願いいたします。
○松嵜委員 また、素朴な疑問ですみません。すごく大きな表の中で、温度の範囲が3種類定められています。3番が100℃を超えると書いてあります。今は電子レンジで容器のまま温めることもあって、100℃を超えてもっと高い温度になることもあるかと思うのです。「101℃から」とだけ書いてあるのですが、その辺りはどのように考えればよろしいのでしょうか。
○井上室長 今の御指摘のことは、84ページに用語の説明的なところがあります。84ページの上のところで、表中ではスペースの関係で「使用可能温度」と書いてあるのですが、意味としては使用可能最高温度ということです。御指摘いただいた区分としては③になるかと思います。100℃超えで使用可能であるということで、かなり高温になる部分に関して使えるものという意味でここの区分にあるものという記載をしております。
○松嵜委員 恐らくもっと高温になるときもあるかと思うのです。
○井上室長 100℃を超えるようなものに関して使用可能である、という意味合いでここは記載しております。今も申し上げたとおりで、100℃を超える条件での使用も想定した使用条件で、データを取った上で可能であると判断するものに関して、③の表記をしてあります。
○松嵜委員 中に油が入っていたりすると、100℃を超えてだとちょっと心配な部分もあるかと思っています。
○村田分科会長 例えば、油だったら180℃とかになるけれども大丈夫なのですかという意味だと思うのです。
○井上室長 そこは大丈夫なものに関して、③の区分で記載しているということになります。
○有薗委員 ここにポリエチレンがありますけれども、油性成分に対しということで規定されて、それでやっていますので、これはもともと100℃以上超えるということはある程度頭にあります。そういう感じでデータを取っていくのだろうと思います。
○松嵜委員 もう1つは、これは食品安全ということではないと思うのですけれども、合成樹脂がずっと並んでいて、環境問題が頭をよぎってしまいました。ここでの議論ではないと思いますが、そんなことも含めて考える必要がこれからはあるかもしれないというコメントです。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。
○有薗委員 その当事者である有薗ですけれども、微生などでもやってきた人間です。実際に今環境のほうも、そういうマクロパーティクルの問題とか、劣化の問題もデータを取ったりしています。せっかくこういう所で作るほうの話もあるので、そういう所の情報をこちらから向こう側にうまく提供するという方向のトライアルもありかと思っています。
○松嵜委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 その他に御質問はありますか。浦郷委員どうぞ。
○浦郷委員 質問というよりは、先ほどの質問に対してです。この表というのは、消費者が見ても全然分からないと思います。先ほどの質問で、電子レンジで使うような容器というのは、③の101℃以上で使用可能な物質でないと使えない。逆に①とか②の物質では使えませんという意味の表なのです。これは、事業者はちゃんと分かってやってくださると思うのです。そういう意味だということです。
私もこの部会に参加させていただきました。容器包装のポジティブリスト制度は海外ではどんどんそうなっているということで、日本もやっと制度化というところです。今回のリストは本当に膨大なもので、作業は本当に大変だったと思います。最後の最後のところで、現在使われている物質については事業者との確認・調整がちょっと手間取ってしまったというところは、やはり安全を考えてそのリストの範囲を広く捉えていたというお話を伺いました。今回は市場の混乱を避けるために、経過措置の期間を設けるのは妥当だと思います。私が思うには5年というのは長めに取ってあると思いますので、その中できちんとやっていただければと思います。
○村田分科会長 阿部委員どうぞ。
○阿部委員 定義の確認です。例外措置として、非接触のポリマーは例外措置であるということがあったと思います。一方で、コーティング剤を使用したときに、器材が既に非接触ではないかと思うのですが、その辺の整理はどのようになっているのでしょうか。確認まで。
○井上室長 御質問は、この表に出てくるコーティングのポリマーのところの位置付けということですしょうか。
○阿部委員 そうです。コーティングポリマーがあったときに、コーティング剤と食品は接触しますけれども、器材と接触するのでしょうか。もし接触しなかった場合は、例外措置のほうに入るのでしょうか。
○井上室長 いろいろなパターンが想定されると思うのです。今の御質問の範囲で言うと、コーティングの内側の面は非接触で食品に直接接触しない樹脂面になると思います。食品に直接接触するコーティングの樹脂の面に関しては、ポジティブリストの対象ということになると思います。
○近藤室長 補足させていただきます。委員の御指摘は缶などの内側にコーティングしてあるようなものと理解しております。その場合については、当然ながら内側にコーティング面があるわけですので、そのコーティング面が食品に接触する面という形になります。そのコーティングをするもとになる基材というものがありますので、これがどうかという御質問です。これは、先ほど説明した第2層という形で整理される形になります。
○阿部委員 分かりました。
○村田分科会長 穐山委員どうぞ。
○穐山委員 告示案が来年の6月1日に出ますけれども、それまでは既存の収載されているものは食品安全委員会の評価を終わっているという理解でよろしいのですか。
○中山課長 私の説明が分かりにくかったかもしれません。食品安全委員会の評価はまだ全て終わっていないです。まずは、ポジティブリストのリスト化を先に進めて、それがある程度固まった段階で評価要請の段階に入るということを今のところ考えています。
○穐山委員 その場合に、71ページの区分で線引きをして、食品中の濃度が区分Ⅰであれば区分Ⅰであるというデータだけでいいわけですよね。もしこれを超えていたら、遺伝毒性試験のデータを提出するということですか。あるいは、毒性区分Ⅲならば、遺伝毒性試験プラス亜慢性毒性試験のデータを事業者が申請しなければいけない、提出しなければいけないということですね。
○中山課長 これについては、新しく出てきた場合のガイドラインです。既存物質についても、基本的にはこの考え方に基づいて評価することになっています。実際には、まず溶出量で区分を分けるということ。例えば、区分Ⅱに該当する場合であっても、シミュレーションの結果を利用することもできるというような形で運用することもできるようにはなっています。いずれにしても、考え方としてはこの区分に応じて提出するデータが分けられるというところは同様と考えてよろしいです。
○穐山委員 そうすると事後的に評価依頼をするのですけれども、少なくとも食品中の濃度が区分Ⅰに入るかどうかという結果は必要だということですね。
○中山課長 既存物質について、例えば外国で既に使われているようなものについては、シミュレーションの結果を用いて、溶出量が一定程度以下であれば区分Ⅰということで、必要な文献等の考察等があれば構わないということになります。
○穐山委員 ありがとうございました。
○村田分科会長 奥田委員どうぞ。
○奥田委員 私は全体の制度をよく理解できていないので教えてください。今おっしゃった事業者というのは、具体的には容器包装を作っている生産者ということですか。それとも、その容器を買って、食品と組み合わせてそういう形態にする人のことですか。どちらですか。
○近藤室長 誰が対象になるのかという事業者のお話だと思います。これは、食品衛生法の中には、器具・容器包装というものが定義されています。その定義に基づいてそのものを作る方が基本的に対象になります。
○奥田委員 そうすると、完成品として、例えば輸入されるような食品は具体的には大変なことかと。実際の運用はいろいろな措置を取らないと、誰が事業者だというのは難しいことも多々あるかと思ったのでお伺いしました。
○村田分科会長 大体出たでしょうか。藤原委員どうぞ。
○藤原委員 先ほどの質問も絡めて2点あります。1点目は、食品影響評価を行うのが後だとお伺いしたのですが、いつ頃までにこれが出そろうかという計画等はありますか。もう1点はそれとも絡めて、それまでに健康影響評価がない状態で何か事故とか、想定外の事故が発生した場合にはどのような処理になるのでしょうか。
○中山課長 基本的に今回リスト化しているものは、現在実際に容器包装として使用されているものについて、それをリスト化する作業をしているということです。その数は非常に膨大であることは見ていただければ分かると思います。これについて評価依頼していくわけですけれども、そのやり方をある程度しっかり工夫していかなければ、それぞれ個別の物質について評価を全て終えるには相当の時間がかかるということかと思います。これは、可能な限り速やかに評価が終わるように、やり方も含め、引き続き検討していかなければいけないということです。いつまでにやります、ということは今のここの段階では申し上げられません。
もう1つは、冒頭に申し上げたように、既に使用されているもののリスト化ということですので、何か問題が生じた場合には食品衛生法に基づく通常どおりの措置を行う場合もあり得るかもしれません。基本的には今まで使用されてきたものが、引き続き使用されて、新しいものが加わってきた場合には安全性の評価をした上でポジティブリストに載せるという手続を行うというのが、今年の6月1日から施行されます。そういう点で、その辺の安全性の確保という点では、一定程度確保されていると思っていただいていいのではないかと思います。
○藤原委員 心配だったのは、例えば韓国の場合HACCPの認定を政府が出しているので、食品事故が起こる度に政府が批判の的になっています。厚生労働省のほうで責任を持ってポジティブリスト化するということは、その責任問題がメディアで変に捉えらて問題になりかねないというところがあるので、その辺はなるべく速やかに先ほどの影響評価を含めて計画を出されたほうが無難かと思いました。
例えば、81ページの案の第2条ですが、混合前の各々の制限によってポリマーとか樹脂の溶出を算出して行うというようになっています。もし混合した場合、複合作用等で溶出とか浸出基準が変わってしまうことはないかと思ったりしています。その辺を含めて計画を速やかに練ったほうがと思いました。
○中山課長 厳しい御指摘をありがとうございました。
○村田分科会長 松嵜委員どうぞ。
○松嵜委員 細かくてすみません。先ほどのコーティングのことが心配なのです。コーティングは、剥げたり溶けたりする可能性があるような気がするのですが、それで機剤が出てくるということは想定されないのですか。
○近藤室長 委員御指摘の点は、缶詰などの内面の話をされているのかと思います。基材が仮に金属の場合であれば、もともとその金属が持っているイオンが溶出することによって食品が影響を受けるということもあります。基本的にそのようなことが起こらない形で製品設計がされていると理解しております。御懸念のようなことが起こる可能性はまずないのではないかと思っております。
○村田分科会長 よろしいですか。
○松嵜委員 はい。
○村田分科会長 そろそろ大体出たと思います。分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、8.の「食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であって、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて設定したもの」(指定成分等)の取扱いについて、審議を行います。事務局から説明をお願いします。
○近藤室長 それでは、指定成分等について御説明申し上げます。資料については198ページからとなっておりますが、こちらにはパブリックコメントを行った結果が取りまとめられていますので、まずコメントを求めた告示と省令の案について御説明申し上げて、その後に198ページからのパブリックコメントの内容について御説明したいと思います。
202ページを御覧ください。こちらが一昨年の平成30年ですが、食品衛生法の一部を改正する法律が公布されて、新たに改正後の食品衛生法の中に第8条というものが作られたわけです。この第8条の内容は、指定成分等という形でまとめられておりますが、食品衛生上の危害を防止する見地から、特別の注意を必要とする成分又は物、このことを指しており、これを規定すると。規定する場合には、薬事・食品衛生審議会に意見を聞くとされているものです。昨年5月20日ですが、こちらの趣旨に書いてある最後の2行の部分ですけれども、新開発食品調査部会で御審議いただき、2の内容に書いてあります4品目について、指定の方向性について確認いただいたというものです。
2.内容ですが、全部で4品目です。上から順番にコレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュです。いずれも草本でして、食品です。こちらは、現時点では4に示しておりますとおり、告示を来月で進めていきたいと考えておりますし、適用期日については、既に施行政令というものが出ており、これは6月1日から施行という形で決まっています。申し添えますが、こちらの指定する4成分については、告示となります。
203ページを御覧ください。標題に書いてあるとおり、「指定成分等含有食品による健康被害情報の届出」というものです。改正法は、今年6月1日から施行されるわけですが、その条文の中では、営業者がお取り扱いになる指定成分等含有食品というものが健康に被害を生じたり、又は生じさせるおそれがあるという旨の情報を事業者が得た場合には、都道府県知事等に届出をするという仕組みになっており、届出を受けた都道府県知事等においては、厚生労働省にその内容を報告するというメカニズムになっております。これにより、確実に市場で起こっている健康被害を私どもが情報として吸い上げるというメカニズムになっているものです。届出等に必要となる事項については、厚生労働省令で定めるという規定になっておりますので、昨年7月1日ですけれども、新開発食品調査部会で御検討いただいて、省令の内容を確認いたしました。
内容については、2番に書いてあります。(1)に書いてありますが、規定に基づいて届出をしようとする者については、次に掲げる事項が①から次ページの⑧まで続いております。この情報について内容を記載して、都道府県知事等に届け出ていただくという仕組みとなっております。ただ、内容の(1)の本文の2行目に括弧書きで書いてありますが、「指定成分等含有食品が、人の健康に被害を生じさせるおそれがある場合の届出にあっては、④から⑦までを除く」と書いてあります。これは、文献情報等により取り扱っている製品について問題が起きる可能性があるというものを確認した場合の話となっておりますので、当然④から⑦までの情報というのは、当該健康被害者がいるという前提条件の情報となっておりますので、不要という形になるものです。
もう1つ、本文の中の最後から4行目の後半ですが、ただし書きが書いてあります。こちらは情報の提供を拒否する場合ということでして、これは個人情報ですので、情報提供者がその提供について拒否する場合については、これについて必ずしも記載を要さないという形で書いているものです。記載内容については、①から⑧のとおりです。
さらに、(2)で続きますが、指定成分等含有食品の表示内容に責任を有する者が代表して行うことができると書いてあります。これは、この健康食品等をお取り扱いになっている業界の仕組みとして、製品に表示されている表示内容全体について責任を持つ者が統括的に製品管理を行っているという仕組みがあります。この方を通称で表示責任者と呼ばれているわけですが、こちらを通して総括した情報を私どもに提供していただくことが効率的であるというところから、その者が行うことができるという形で規定したいと考えています。
(3)としては、その他所要の規定を行うというものです。こちらについても公布日、施行期日は先ほどの指定成分と同様です。
さらに、205ページを御覧いただきますと、「指定成分等含有食品の製造又は加工の基準」の設定というものがあります。今回、指定成分等というものについては、一定の生理活性がある成分が対象となっており、それらの製品及び品質の管理をしっかり行わないと、最終的に製品のばらつきというものが生じますし、このばらつきによって指定されている成分等の摂取量が変わってきます。その結果として、健康被害が起きる可能性も出てくるというものです。ですので、今回この指定成分等を指定するに当たっては、製品の製造管理をしっかり行う必要性があるというところでして、この度、食品、添加物等の規格基準というのがありますが、これを一部改正して、指定成分等含有食品の製造又は加工の基準というものを規定するものです。
内容は2番ですが、先ほど農薬や添加物の御説明がありましたが、現在、食品、添加物の規格基準については、昭和34年の告示第370号というものに収載されております。このため、指定成分等の規格基準については、「第1食品、B食品一般の製造、加工及び調理基準」に次の内容を加えるとして、バレットで書き出しているものです。(1)内容ですが、指定成分等含有食品を製造し、又は加工する場合については、厚生労働大臣の定める基準に適合する方法で行うこととしております。この厚生労働大臣の定める基準というものを受けて、新たな告示、指定成分等含有食品に関する告示をもう1つ作って、その新たな告示の中に製造及び加工の基準等をまとめて規定したいというものです。
その内容については、(2)に書いてありますが、総括責任者、製造管理責任者等から始まって、次ページの文書及び記録の管理というところまで規定すべき内容、項目が並んでおります。これらの内容について規定し、告示等の一部については、先ほど来御説明している内容と同様に進めていきたいというものです。製造管理規則の具体的な内容については207ページ以降に骨子案というものを付けてあります。こちらに規定すべき内容の更に詳細な中身が書かれておりますので、必要に応じ御確認いただければと思っております。この製造及び加工の基準が告示というものです。
これらを受けてパブリックコメントを行った結果が198ページからの資料となっておりますので、198ページにお戻りください。まず1番として、先ほど説明いたしました4つの成分についてのお話となっております。1番ですが、国内で重篤な事例報告があるということですから、健康被害を増大しないように注意喚起を行うことを緊急に提案するというものです。まず製品名を公表していただきたいというお話があるわけですが、指定成分等含有食品の制度というものは、販売等を規制する仕組みではありません。ですので、製品名を一律に公表することは難しいと考えているところですけれども、制度の中身等については、ホームページ等を使いながら公表していきたいと、また周知徹底にも努めたいというものです。
さらに、そのものが指定成分等含有食品であるということを確認する方法論としては、現在、消費者庁の食品表示基準というのがあるわけですが、この基準の中で、食品表示に指定成分等を含む旨とか、注意を必要とする成分等である旨、これらについて表示を義務付けるという形で検討が進められておりますので、製品等を確認することによって、その内容の成分が含まれているということが確認できるようになると考えております。
②です。「指定を妥当とする理由」の前段階になる選定理由とか基準について示していただきたいというものですが、この中身について下に書いてありますけれども、この中身については昨年5月20日の新開発食品調査部会の中で確認いただいているものでして、内容等についても既に資料としてホームページに公表しているものです。その内容の再掲となっているものです。
199ページです。③として、流通がない成分の指定を見送るべきとされておりますが、今回の指定についてはそのものの生理活性とか、注意喚起情報等又は流通自体というのを総合的に考慮したものです。特に、現在日本国内で流通がないというものであっても、将来的に海外から輸入される可能性は全く否定できないというものでして、このような実態等も踏まえて指定をしているものです。
④です。先ほど御説明いたしましたが、表示責任者について自治体が把握するすべがないというものです。これは新たな制度ですので、過去、例えば営業許可を取られたりとか、又は条令等に基づく届出とかも行われている施設であっても、指定成分等含有食品を作っている事業者であるかどうかというところの峻別ができるような情報が提供されていないというのが質問の前提条件になっています。このため、来年6月以降になりますと、営業許可の申請とか届出という仕組みが動くようになり、その折には指定成分を含む食品を製造しているか否かということが、情報として付加されて自治体に届くことになるので、探知できるようになるのですが、そこまでの1年間は探知が難しいということです。ですので、事業者の方々に対しては自主的に、地方自治体等に指定成分等含有食品を含む製品をお作りになっているということについて、届出又は報告を行っていくことを考えているものです。以上が指定成分の部分です。
2番目ですが、健康被害情報の届出に関する部分となります。意見総数26件となっております。まず①ですが、健康被害の届出について消費者庁へ報告する機能性表示食品又は特保と、重畳的であり一元的な報告制度とすべきということが書いてあります。これは、表示の基準を管轄しております消費者庁において、表題にあります機能性表示食品及び特定保健用食品と言われているものの基準を定めて、その許可を出しているというものです。その制度の中には、許可を出した製品の中で健康被害が起こったというものについては、きちんと消費者庁に報告してほしいという仕組みがあります。この報告する仕組みが、結果論としては私どもが今回新たに指定する4つの成分と重なっている場合には、同じことを2回やることになってしまうと。ですので、整理していただけないかというのが御質問の中身です。
回答としては、そもそも法律が違うので目的が違いますので、一元的にするというのはなかなか難しいと考えていますが、事業者から私どもに提供される情報については、私どもから消費者庁に情報提供をする等、事業者に対して過度な負担が掛からないよう配慮するような仕組みについて検討していきたいと考えているものです。
②ですが、GMPや健康被害報告について、一律に決めるのではなく、既に取り組んでいる事業者・団体の方法も認めていただきたいというものです。今回は、私どもが健康被害情報の届出という仕組みを作り、届け出ていただく内容についても、フォーマットを作成してこれを行っていただくことを考えていますが、各事業者団体が個々に情報を集めていらっしゃるということは、私どもも承知しておりますけれども、必ずしも集められた情報が健康食品と有害事象を因果関係として明確にするものではないというものです。このために一律のフォーマットを作って御対応いただき、原因究明を迅速に進めていきたいとしているものです。
さらに、先ほども説明いたしましたが、指定成分等については一定程度の生理活性を有しております。ですので、その製造管理の状態がばらつくことによって健康被害が生じることもあるわけですので、そういうことが起こらないように一律の製造や加工の基準を定めて、これを守っていただくということを考えています。
次に、③-1と③-2というのがあります。③-1については、科学的評価を行うために、性別とか年齢だけではなくて、体格に関するような情報についても集めたほうがよろしいのではないかという御意見です。③-2については、やはりそれらの情報については個人に関する情報、つまり個人情報という形になってまいりますので、それらをどのように取り扱うべきか、丁寧に取り扱っていただきたいという御意見があります。
結論としては、この制度というものは、健康被害情報をまず集めるということが主目的になっている制度です。ですので、集める工程において私どもが入手できる個人情報については、当然ながら関係法令に基づいて適切に取り扱うということを申し上げています。また、更に言いますと③-1については、今回新設した法律第8条第3項というのがあり、この3項の中では、調査の目的で都道府県知事等が医療機関に対して情報提供のお願いをする場合には、可能な限り協力をしていただきたいという文章が規定されております。
一定程度の健康被害がある方については、医療機関を受診されているケースも多いだろうと私どもは考えており、その医療機関に対する情報提供要請の中で、③-1に規定されているような情報については、収集ができるのではないかと考えているものです。
最後ですが、3番の製造又は加工の基準の設定というものです。こちらは、意見総数が16件です。①ですが、販売する目的で輸入される指定成分等を含む食品については、どのように対応されるのかというものです。これは、もちろん製造又は加工の基準の設定ですので、設定された基準については食品衛生法の中に第3条というものがあります。これは、食品等事業者の責務というものを定めているもので、食品安全に係る努力はしっかり行わなければならないという規定です。その規定に基づいて、法に定められた第11条の規格というものについては、輸入される方がしっかりと確認を行っていただく必要があるということを書いているものです。
②ですが、教育訓練がなぜ適正製造規範の中にないのかということです。これは、こちらに書いてありますが、私どもでお示ししております食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針というのがあります。これを参照して各地方公共団体では、自らが公布した条令に基づいて、各事業者が衛生管理を行っているというものです。教育訓練というものは、その枠組みの中にそもそも入っているものでして、あえて今回私どもがこの制度の中で規定する必要はなかったということを書いているものです。
最後、③ですが、委託により製造、加工している者も含まれるのかというものです。これは、食品製造企業においても往々にあるお話ですが、製造工程の一部をほかの事業者の方にお願いして代行していただき、その作業が終わったものをもう一度戻して再終製品化するという流れです。当然ながら横持ちで出された加工行為についても対象となるというものでして、この製造又は加工の基準については適用されるものであるということを書いているものです。
以上が指定成分等に係る告示と省令の案と、それに対してパブリックコメントを行った主な御意見の説明となります。以上です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、曽根部会長より何かありますか。
○曽根委員 今の事務局からの説明のとおりで、特に追加事項はありません。
○村田分科会長 それでは、本件について御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。
○苅田委員 1つ確認なのですが、パブリックコメントの200ページの③-1と③-2で、個人情報保護法の絡みで健康被害を受けた者が情報提供を拒否した場合に、体重とか体格に関する情報が医療機関側から得られるようなシステムになっているのでしょうか。そこをちょっと確認したいと思います。
○近藤室長 これは、必要な範囲において都道府県知事等が、基本的には保健所になると思うのですが、それらの方が調査の目的で、かかりつけというか、お掛かりになった医療機関に情報提供をしていただきたいとお願いした際に、医師の判断に基づいて私どもに協力いただけるというのが第3項の仕組みです。強制的なものではないのですが、調査において必要だという判断になれば、そのような情報は頂けるものではないかと考えています。
○苅田委員 医療機関側に判断してもらうということですね。
○近藤室長 最終的にはそのようになります。
○苅田委員 分かりました。
○村田分科会長 そのほか、ございますか。よろしいですか。ほかに意見がないようですので、分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告ください。
次に、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、(2)報告事項の1.食品中の農薬等の残留基準の設定について、事務局から御報告ください。
○井上室長 資料2を御覧いただければと思います。資料2の1ページ目に一覧があります。食品中の農薬等の残留基準の設定についてです。全部で9品目あります。アメトクトラジンから始まりまして、農薬・動物用医薬品ということで、いずれも一覧のばく露評価の結果がありますが、ADIの範囲内で部会での御審議の結果、特段問題ない旨の評価を頂いているものです。
3ページからですが、まず、アメトクトラジンです。こちらは適用拡大申請とインポートトレランス制度に基づく基準値の要請を受けたというもので、殺菌剤ということです。我が国の登録状況ですが、ばれいしょ、トマト等に登録されております。食品安全委員会における食品健康影響評価の結果についても、ADIとして2.7mg/kg体重/dayということで御評価を頂いております。その下、規制対象物質ですが、農産物にあっては親化合物、畜産物にあっては代謝物を含めて規制対象物質ということで御審議いただいたものです。
基準値案に関しては、5ページ目以降です。登録の有無の所で「申」と記載があるものに関しての適用拡大に伴う基準値の設定ということで基準値案を御審議いただいたところです。1品目目は以上です。
続いて、2品目目、イミノクタジン、10ページからです。これも農薬の取締法に基づく適用拡大申請、あと、ポジティブリスト制度導入時の暫定基準の見直しということです。用途は殺菌剤です。我が国の登録状況は、りんご、なし等で登録されています。食品安全委員会の評価ですが、ADI、ARfD(アキュートリファレンスドーズ)のそれぞれの設定を御評価を頂いております。ADIは0.0023、ARfDは0.053ということで御評価を頂いております。
次ページ、規制対象物質の所に関しては、イミノクタジンのアルベシル酸塩、また、酢酸塩とイミノクタジンということで、ばく露評価の結果もADIの範囲内ということです。基準値は、12ページ以降に掲載しております。2品目目は以上です。
続いて、3品目目、セトキシジム、19ページからになります。セトキシジムに関しては経緯の所に記載がありますが、こちらも適用拡大は魚介類の基準要請、設定要請、また、ポジティブリスト、暫定基準の見直しというものです。用途は除草剤です。我が国の登録状況は、そば、大豆等を対象作物に登録されています。また、食品安全委員会の評価についても、ADIは0.088、ARfDが1.8ということで御評価を頂いております。こちらの基準値案の所は規制対象物質ということですが、それぞれここに記載があるとおり代謝物I、代謝物Mというものに変換して、それの和ということで基準値の策定の根拠とするということで規制対象物質で記載しております。ばく露評価の結果に関してもADIの範囲内ということです。
基準値案については、21ページからですが、現行の基準値の網掛けがある所が暫定基準ですけれども、今回、適用拡大の申請があったものに関して、登録有無の覧の「申」の所で記載している所など含めて基準値案を御審議いただきました。セトキシジムに関しては以上です。
続いて、ビフェントリン、29ページからです。急性参照用量、ARfDの評価を踏まえて基準値の見直しを行うというものです。用途は殺虫剤です。これに関してADIは0.01、ARfDに関しては0.05ということで、食品安全委員会から御評価を頂いております。これを踏まえて、ばく露評価についてはADIの範囲内、また、短期ばく露の評価についても急性参照用量を超えていないことを御確認いただいたというものです。
基準値案は、31ページからですが、それぞれ急性参照用量の設定に伴い、また、国際基準の変更に合わせた改正等を行って基準値のほうに反映したものです。ビフェントリンに関しては以上です。
続いて、フロニカミド、40ページになります。こちらも適用拡大の申請、また、インポートトレランス制度に基づく基準値設置要請というものでして、用途は殺虫剤です。我が国の登録状況ですが、小麦、大豆等の対象作物に登録されているものです。食品安全委員会から、それぞれADI又はARfDの御評価を頂いております。
41ページの基準値案の所ですが、規制対象物質は、農作物に関してはフロニカミド、畜産物に関しては代謝物を含めてということです。
基準値案については、42、43ページですが、それぞれ適用拡大申請があったもの等に関して、基準値の策定に関して御審議いただいたものです。フロニカミドに関しては以上です。
続いて、ペンチオピラド、50ページを御覧いただければと思います。こちらは農取法の適用拡大に伴う基準値設定ということで、用途は殺菌剤です。国内登録は豆類等に登録されているものです。こちらも食品安全委員会で、ADI、ARfDのそれぞれ御評価を頂いております。規制対象物質に関して、農作物はペンチオピラド、親化合物、畜産物にあっては代謝物、PAMというものを含むということです。ばく露評価の結果は、いずれもADIの範囲内、また、短期ばく露評価においては、ARfDを超えていないということに関して部会においても御審議いただいております。
基準値案は、52、53ページですが、適用拡大の作物だけと、また、スイカ、みかん、もも等の分析部位の変更に伴う基準値の変更というものです。ベンチオピラドに関しては以上です。
続いて、ダイアジノン、61ページからになります。ダイアジノンは魚介類への基準値設定への要請を受けて残留基準の見直しを行うというものです。用途は殺虫剤です。我が国の登録・承認状況の所ですが、農薬として未成熟とうもろこし、大豆等に登録されています。海外では動物用医薬品として、ハエやシラミの外部寄生虫の駆除ということで使われていますが、国内においては承認はされていないものです。食品安全委員会の評価結果は、ADIは0.001、ARfDが0.025ということで御評価を頂いております。これについてもばく露評価に関しては、ADIの範囲内ということで御評価を頂いております。
基準値案に関しては、63ページからですが、暫定基準の見直し、また、国際基準、コーデックス基準の反映等々の基準値の案を作成し、部会で御審議いただいたというものです。ダイアジノンに関しては以上です。
続いて、ペルメトリン、71ページからです。こちらは適用拡大と暫定基準の見直しということで、用途は殺虫剤です。登録状況の所ですが、農薬は、とうもろこし、大豆等を対象作物に登録されているということですが、動物用医薬品に関しても、牛、豚を対象に国内での承認があります。食品安全委員会での御評価ですが、ADIは0.05、ARfDは0.5ということで御評価を頂いております。ばく露評価の結果に関しても、ADIの範囲内であり、急性短期ばく露に関して、ARfDを超えていないということで御評価を頂いております。
基準値に関しては、73ページ以降です。国際基準、コーデックス基準の反映、また、暫定基準の見直しということで基準値案について部会で御審議いただいたものです。ペルメトリンに関しては以上です。
最後ですが、82ページを御覧ください。こちらは動物用医薬品のキシラジンというものですが、用途は鎮静剤です。我が国の承認状況ですが、牛を対象に承認されているということで、動物の手術等の処置などで用いられるものです。食品安全委員会の評価結果は、下線部ですが、「キシラジンが、動物用医薬品として適切に使用される限りにおいては、ADI(許容1日摂取量)を特定する必要はないと考えられる」ということで御評価を頂いております。同様に、欧州のEMEAの評価も同様の評価です。これに関して、ADIの特定をする必要がないということで、ばく露評価の実施はしていません。
基準値に関しては、84ページですが、現行、暫定基準で基準値を設定しておりますが、その暫定基準の基準値を維持するという形の基準値案について御審議いただきまして、御評価を頂いたところです。以上、農薬の関係の資料の御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、委員の方から何か御意見、御質問はありますでしょうか。
○奥田委員 1点、セトキシジム、19ページですが、これは代謝物を含めて測ることになっていて、その代謝物の構造式が多分酸素原子が抜けているのではないかという気がするので、代謝物C、それからK、M、多分、酸素は2つ付いているのではないのかな、Sの所。つまり、代謝物Iと同じような形になっているのではないかと思うのですね、Kが。確認してください。
○井上室長 御指摘ありがとうございます。代謝物Sに付いている所ということでよいでしょうか。
○奥田委員 酸素原子の数、ただ、二重結合で終わっているものがどうも怪しい。
○井上室長 ここは「O」が抜けているかと思いますので、資料の修正をさせていただきます。
○奥田委員 よろしくお願いします。
○村田分科会長 ほかにありますでしょうか。それでは、どうもありがとうございます。
次に、2.乳及び乳製品の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格基準の改正について、事務局から御報告ください。
○中山課長 それでは、86ページをお開きいただきたいと思います。食品用の器具及び容器包装についての規格基準というものについては、昭和34年厚生省告示第370号という形で、一般的なものについてはここで規定されているということですが、一部の乳及び乳製品の器具及び容器包装等に関する規格基準については、別の省令であります「乳等省令」と呼ばれているものに規定されているというのがこれまででありまして、今回ポジティブリスト制度の導入など容器包装に係る規格基準が整備されることを機に、乳等省令で規定されている器具及び容器包装に関する規格基準については、第370号告示のほうに一元化するという形にすることとしており、それに当たりまして、様々な乳等省令における規定というのが少し古い規定であった部分もありますので、それを一元化する際に、一部、引用の仕方を見直しするとか、あるいは試験法を、割と新しいものでもいいようにするとか、そういった中身の、基準としては緩めることなくというか、現状、同等以上という形での規定の整備を行うという趣旨で改正を行うということです。
どういった内容かというのは、87ページを御覧いただくと、(1)として、容器包装等の規格基準の法令上の整理として、例えば1つ目に、乳等省令のときには他項目に記載されている内容で、どこどこに規定されているものを準用して適用しますとしか書いていないといった場合に、その内容の把握が少し見ただけでは難しいという場合があるので、そのような場合は改めて準用するではなくて、その内容を記載するように整備するといった法令上の整備です。
さらに、(2)にあるように、容器包装等の規格基準の見直しということで、①にあるように試験の操作性の改善とか、分析精度の向上のための試験法の変更といったことも併せて行いたいということ。(3)は、規格基準の設定の仕方としては、中身に関するものですが、1つ目にあるように、乳等省令の中では厚生労働大臣による承認制度というものが位置付けられていて、乳等の規定された容器包装以外の容器包装を使用したい場合は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない旨の規定が乳等省令にあったということですが、今回、そういったものを使用しようとすると、ポジティブリスト制度の中で食品安全委員会の食品健康影響評価を経て規制されるという制度がありますので、そちらのほうに統合していくことによって、規制の水準としては変わることなく、その規制の仕方を変えるという形の中身のものもあるということです。
そういったようなことを、全体として、88ページにありますように、食品安全委員会に諮問したところ、健康影響に及ぼす影響はないというような食品健康影響評価の答申が得られたということで、部会の審議において、91ページ以降に新旧対照表が付いておりますが、これも膨大な量がありますけれども、そういった省令の整備を行うということで、部会審議が行われまして、了承されたということです。以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、委員の方から御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
○佐藤委員 今の御説明で、乳等省令では規定された容器包装以外の容器包装を使用したい場合は大臣の承認が必要であったものが、ポジティブリスト制度では、食品安全委員会で評価されるからよいというお話だったと思いますが、先ほどポジリスでは、まだ食品安全委員会の評価というのはないのですが、結局、今、乳等省令で認められていないものも乳関係の容器包装として使われることになるという理解でよろしいですか。
○中山課長 今回、制度改正に伴って、新たに使うというような成分があった場合は、それは既に食品安全委員会の評価を受けなければポジティブリストには載らないという制度になりますので、それは国における評価を経たものという意味では、同等のレベルと言えるということだと思います。
○佐藤委員 ということは、今、使われているものは、みんな乳等省令のほうでも使えるものという、イコールの感じという理解でよろしいですか。
○中山課長 そのとおりかと思います。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにありませんか。それでは、次に進ませていただきます。(3)文書配布による報告事項に移ります。「食品衛生分科会における確認事項」において、特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問はありますでしょうか。それでは、特段御意見がないようですので、次に移らせていただきます。
続いて、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告ください。
○井上室長 資料4-1を御覧いただければと思います。こちらは1月10日時点ということで、前回、9月の分科会、また、前々回の7月に開催された食品衛生分科会において審議又は報告を行ったものに関しての処理状況ということです。それぞれパブコメ、また、WTO通報を順次実施しております。また、引き続き、適切な手続を進めてまいりたいと思います。説明は以上でございます。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、御意見、御質問があればお願いいたします。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございます。
次に、「いわゆる健康食品の摂取が疑われる健康被害報告について」に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○近藤室長 こちらの議題については、口頭説明のみとなっておりますので配布資料はありません。前回の分科会において御質問等があった件ですが、昨年9月ですけれども、消費者庁のほうから、短期間において体調不良の患者が確認されていることについて、注意喚起を目的としたプレスリリースが出されているものです。中身については、会社名が当時は「イーサイクル」、今は「トルト」という会社名に変わっておりますが、そちらがお作りになっている健康食品の「ケトジェンヌ」と言われているものについてです。
こちらについては、事案が起こった以降、厚生労働省としてどのように対応するのかという御質問があり、その内容について検討を進めるという形になっていたものです。現時点においては原因究明を目的としまして、当該製品の成分分析等を進めているところです。まだ完全には終わっていませんけれども、作業を進めております。
主に今回の症例としては、下痢が多く、更に蕁麻疹等も発生しています。これらの症状から可能性が疑われる原因について、私どものほうで現在分析を含めた調査を進めておりますが、結論としては、まだその確認には至っていないということです。今後、最終的な報告を頂くことになっておりますので、またその報告を頂いた後に、最終的な形として御報告したいと考えております。以上でございます。
○村田分科会長 ただいまの御説明について御質問はありますでしょうか、御意見もなし。どうもありがとうございます。
以上で、審議事項と報告事項の議事は終わりました。最後に事務局から何か御連絡はありますか。
○矢野補佐 長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は、3月19日(木)の14時からを予定しております。以上です。
○村田分科会長 長時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。