第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和元年12月23日(月)10:00~12:00
 

場所

中央合同庁舎5号館 共用第8会議室
 

議題

(1)ロタウイルスワクチンについて
(2)ワクチンの接種間隔について
(3)予防接種施策について
 

議事

 

○元村予防接種室長補佐 それでは定刻になりましたので、第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。開会に先立ちまして、委員の改選がございましたので御報告いたします。本部会に所属されていました宮崎委員ですが、今月の20日で任期満了となり退任されております。なお、後任の委員については、委員委嘱の手続きが終わり次第、御参画いただく予定でおります。
続いて、出欠状況について御報告いたします。磯部委員、川俣委員、中野委員、山中委員から御欠席の連絡を受けています。現在、委員11名のうち7名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。また、本日は議題3の関連で、豊中市健康医療部長兼保健所長の松岡太郎氏に参考人として御出席をお願いしております。
それでは申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので御協力お願いいたします。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
続いて、本日の資料を確認させていただきます。お手元のタブレットには、番号01の「第36回予防接種基本方針部会議事次第及び委員名簿」~番号18番の「第36回予防接種基本方針部会利益相反関係書類」を格納しております。不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様おはようございます。年末の大変お忙しいところですが、委員の皆様、参考人の方、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。これから事務局からまず審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員、参考人から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、薬事承認等の申請書類、資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、資料18の「第36回予防接種基本方針部会利益相反関係書類」を御確認いただければと思います。本日は議事内容に関し、「退室」や「審議または議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。それでは議題に入ってまいります。議事次第を御覧ください。今日は議題が3件、そして報告事項が主に2件あります。
最初の議題(1)ロタウイルスワクチンについてです。こちらは前回部会において、ロタウイルスワクチンの定期接種化について、部会として了承するという結論とさせていただいておりますが、その際に検討事項がありました。そちらが2件ありまして、接種後に吐き出した場合の対応。2番目として、異なる製剤を使用する場合の考え方になっております。事務局がその対応案に関して作成しておりますので、本日審議をしていきたいと思います。それが資料1の「ロタウイルスワクチンについて」を御覧いただきまして、事務局のほうから説明をしていただきます。お願いします。
○田村予防接種室長補佐 事務局です。資料1「ロタウイルスワクチンについて」といったものを開けていただきたいと思います。早速ですが、接種後に吐き出した場合の対応のほうから説明をいたします。2ページに記載されてありますとおり、前回、御議論させていただいたときに、現場に混乱が生じないように被接種者等への説明の仕方について十分に配慮すべきではないかという御意見を頂いたと認識しております。
それを踏まえて、3ページ目です。これまで集められているエビデンスを一応、表にしております。上のほうの1行目が臨床試験の結果です。ここで臨床試験の上では、どちらのワクチンについても、5分の1倍量、あるいは3分の1倍量といった減量した容量で一定の有効性が示されていると報告されています。また、下のほうの海外の文献報告のほうを見ていきますと、どちらのワクチンについても1回の接種であっても一定程度の有効性が認められたと報告されております。
そういった状況の中で4ページですが、こちらは米国のCDCが臨床医(接種医)に対して行っているオンライン・トレーニングコースで、こういった質疑応答がされていて、吐きもどした場合に再接種は不要であるということをアナウンスしております。
それを踏まえまして5ページ目ですが、定期接種化に向けた今後の対応についてということです。対応としては、接種後に吐きもどした場合でも再投与は行わないとしてはどうかということです。一方で、厚労省により、Q&Aの作成、下のほうに例を書いてますが、こういったQ&Aの作成とかこういったことできちんと現場に周知を図っていくこととしてはどうかということで提案をまとめさせていただいております。吐きもどしについては以上です。
ついで、ロタウイルスワクチンの互換性についてのところで、6ページの下に前回の検討の結果として、特に一番下の赤字になっている所ですが、「やむを得ない事情がある場合に限り認められる製剤の組合わせについて、対応のあり方を示すべきではないか」といった御意見を頂いたと認識しております。
7ページですが、これは前回も出した資料ですが、互換性に関するエビデンスとして、こういったものが認められていますというのを表にしております。
そうした上で8ページですが、「ロタウイルスワクチンの接種の組み合わせと想定される状況の整理」ということで、仮に、市町村に転居するとか、やむを得ない事情がある場合には、製剤を1回変更するということを考えられるのではないかと。一方、2回変更する場合、上から3行目ですが、接種期間内にそのように市町村に2回転居するとか、そういった理由で2回の変更が必要とされる状況というのは、基本的には想定されにくいのではないかと。また、接種歴が不明な場合は医療機関あるいは市町村に問い合わせることで、実態としては対応は可能ではないかと。
そういうことを合わせて検討していくと、最後9ページ目が論点となっておりますが、原則としては、いずれか同一の製剤で接種を完了することが原則であることをきちんと明確化してはどうかと。また、ワクチン接種を行った際に、予防接種済証、母子健康手帳に製剤の種類も含めて記載を求めること。そういうことを原則とした上で、やむを得ない事情の例として、同一製剤しか接種ができない場合の対応としては、市町村長が認める場合に限り、安全性や有効性が確認された一定の順番で、異なる製剤を組み合わせた接種を認めることとして、その接種パターンとしては、今のところ、エビデンスが報告されている1回だけ変更の場合の➂➃➄のパターンのみを認めるとしてはどうかということを御提案させていただいております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたが、1点目の吐き出した場合の対応です。この場合は再接種はしないということです。それから2点目の異なる製剤を使用する場合の考え方ですが、2回接種、3回接種がありますので、2回変更まで考えてしまうと非常に複雑になるという点もあり、1回変更までは、やむを得ない場合のみ認めてはどうかという形になっておりますが、委員の皆様から前回も御意見がありましたが、更に御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○釜萢委員 経口の生ワクチンの経験としては、ポリオの生ワクチンがあります。ポリオの場合には、特に3型の抗体価の上がりが悪いから、吐いてしまったときは再投与というようなことがあるので、そのイメージが医療現場にまだ残っているのだろうと思います。もうポリオの生ワクチンはなくなりましたが、今回このような形でしっかり方針が示されて、きちんとアナウンスされれば現場の混乱はないと思いますので、吐いた場合の対応は同意いたします。あと、変更の点も全く異論はありませんので、私は賛成です。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。再投与のほうに関しましては、はっきりと、こういった形で提示、イメージをされればいいのではないかという御意見だと思います。
○坂元委員 川崎市の坂元です。このワクチンの、異なるワクチンの接種に関して、➂➃➄を認めるという方向で、この案に私も賛成で、この辺の通知を自治体のほうにしっかりしていただければ、これで私は良いかと思います。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。自治体のほうで、この2種類のワクチンありますが1種類しか採用していないという場合はこういった可能性があるということかなということは、前回、前々回ですかね、坂元委員のほうからもお話ありましたが、こういった形でこちらもはっきりと自治体のほうに通知をしていただくという形で、この➂➃➄のパターンを認めてはどうかということで、了承ということかと思いますが、その他いかがでしょうか。
○中山委員 吐き出してしまった場合に、親御さんとしては効かないんじゃないかという心配をされることが多いと思いますので、そこは大丈夫だというのを現場のほうできちんと説明していただけるようにお願いしたいと思います。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。この大丈夫だという根拠をきちんと同時に示しておくということだと思いますので、そちらをよろしくお願いしたいと思います。その他いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは定期接種化に向けまして、原則、来年の10月からということで動いていると思うのですが、事務局の提案の下に御審議いただきましたが、この提案の方針で本部会としては了承したいと考えますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○脇田部会長 ありがとうございました。それではただいま本日いただいた御意見を踏まえまして、事務局において、定期接種実施要領等への対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それでは議題2に移りたいと思います。「ワクチンの接種期間について」です。事務局から資料2の説明をお願いいたします。
○田村予防接種室長補佐 事務局です、異なるロタウイルスワクチンとその他のワクチンとの接種間隔ということで資料を用意させていただいております。
2ページ目の下のほうに論点が書いてありますけれども、ロタウイルスワクチンについて、その他のワクチンとの接種間隔に、従前の生ワクチンと同様の制限を設ける必要があるかというのが1点目です。2点目としては、ロタウイルスワクチン以外のワクチンについても、接種間隔の在りほうについて議論してはどうかということで、2つの論点を用意しております。3ページ目は、予防接種のスケジュールです。現在のスケジュールが混み合っているということを示したものです。4ページ目は、定期接種実施要領と添付文書の記載です。現行、生ワクチンは27日以上、不活化ワクチンについては6日以上をあけることというのが定期接種実施要領に記載されております。添付文書上もそれに合わせたような書きぶりになっているのが現状です。
5ページ目を見ていただきますと、「基本的な計画」のほうにも引続き検討することとし、検討事項とされております。それを受けて、下のほうですが、平成29年4月の基本方針部会において、異なるワクチンの接種間隔に関する検討をしていただいております。その時の意見が四角の枠で囲ったところです。
それを受けて6ページに、ワクチン同士の干渉ということで報告されていることをまとめております。左側の列が生ワクチンについて、右側が不活化ワクチンについてです。生ワクチンの場合は体内で増殖する場合があり、インターフェロン等が原因となって一定の干渉が起こる可能性が指摘されていて、これまで一部のワクチンで報告されています。
一方、不活化ワクチンについては、そういったことは必要はないので基本的には干渉は起こりにくいだろうと。ただ、一部特殊な例として、同じ抗原が含まれているものとか、そういったものについては例外的な報告があるという状況です。
7ページ目は、生ワクチン同士の干渉が報告された文献の概要を示しているものです。8ページですが、ロタウイルスワクチンと他のワクチンとの接種間隔についてということで、ロタウイルスワクチンについては、これまで特に干渉するという報告はされていません。また、各国における制限というか規定も、下のほうに紹介させていただいておりますが、特段の制限を設けていないというのが実態です。
9ページです。ロタウイルスワクチンに限らず諸外国における異なる2つのワクチンの接種間隔に関する制限ということで、米・英・カナダ・WHOの推奨を紹介させていただいております。パターンとしては、生から生、生から不活化、不活化から生、不活化から不活化、あるいは経口の生からその他のワクチンというパターン分けをして表示しております。赤枠で囲ってあるところですが、多くの国では制限がないところ、我が国においては今、同時接種又は27日以上としているというのが現状です。
10ページは、日本小児科学会・日本小児科医会から12月4日に要望書を頂きました。異なるワクチンの接種間隔について見直すべきではないかという要望書を頂いたと認識しております。
11ページ、そういったことを踏まえ、現状のまとめとして青枠で囲っているところです。ロタウイルスワクチンは、その他ワクチンと干渉するというエビデンスはなく諸外国でも接種間隔に制限は設けられていません。また、不活化ワクチンについても免疫学的に干渉するという可能性は極めて低いことから、諸外国でも同じように間隔に制限を設けられていません。一方、注射の生ワクチンについては干渉が報告されていることから、諸外国でも一定の制限を設けている国が多いです。こういったことを踏まえて改定案として、ロタウイルスワクチンについては特段の制限を設けないこととしてはどうか。また、不活化ワクチンについても同様に制限を見直すこととしてはどうか。一ほうで、注射の生ワクチンについては過去にそういった報告があることもあり、引続き27日以上の間隔をあけることとしてはどうかという案を提示させていただいております。
一方で、広く定着したルールを変更するということから、本部会で審議した上で、必要に応じてパブリックコメントを実施して、意見を広く募集することが必要なのではないかと考えております。
12ページは、その改定案が文書だと少し分かりにくい部分もありますので図示したものです。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。以前にも議論しておりますけれども、予防接種の間隔の問題です。今回、ロタウイルスワクチンが定期接種化されるということに伴い、こちらは生ワクチンですので、ほかのワクチンの接種との間隔についての問題をここで一度整理しておこうということです。
日本は諸外国と比べれば、これまで慎重な姿勢を取ってきたということだと思います。エビデンスに基づいて考えても、そこは少し軽減していくべきではないかということかと思います。かなり大きな変更となりますので議論をして進めるということだと思いますけれども、本部会での御意見も参考にしながら進めていくということだと思います。いかがでしょうか、まず委員の皆様から御意見をいただければと思います。
○多屋委員 これまでに子どもたちが受けるワクチンの種類が随分増えまして、特に0歳、1歳のスケジュールが複雑になっていることから、諸外国では制限がないのに日本では制限があるということで多くの意見が出されていたと思います。
今回ロタウイルスワクチン、経口の生ワクチンで、これを導入することで生ワクチンであるから27日以上あけなければいけないという我が国のルールを適用しますと、その後のワクチンのスケジュールがかなり制限されてしまって受けにくいということから、小児科学会や小児科医会から意見が出されたと思います。
一方、同じ種類の生ワクチンとか、同じ種類の不活化ワクチンを接種する場合は、やはり一定期間の間隔をあけなければ免疫の付きが良くないということがありますので、そこは間違えないように注意していかなければいけないのではないかと感じています。事務局が提案された接種間隔の案のイメージにつきましては、私は賛成です、以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。今の多屋先生の御意見では、生ワクチンと生ワクチンの場合はもちろんなのですが、同じような不活化ワクチンの場合もあけたほうがいいという御意見ですか。
○多屋委員 例えばHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンの場合は、1回目と2回目の間は27日以上あけるとか、それは免疫の付きという観点からあけるように定められていることなので、同じ種類のワクチンの間隔にも制限がないという誤解につながらないようにしたほうがいいのではないかという意見です。
○脇田部会長 ありがとうございます、いかがでしょうか。
○坂元委員 接種主体の市町村としても、間隔の間違いは、こういうようにすっきり整理すると非常に減るのと、保護者のほうも非常に楽になるという点で接種主体の市町村としてはむしろ歓迎したいと思っております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます、自治体からも歓迎という御意見を頂きました。その他、いかがでしょうか。
○伊藤委員 今まで、臨床試験とか研究をやる時には6日あけるというのは金科玉条のごとくやられていたことが、では今までは何だったのと言われそうな気がしないでもないのですが、実効上は見かけ上の事故というか、必要のない注意が減りますし、それはそれで大変いいことではないかと思います。この改定案については賛成いたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。これまで長くやってきた間隔ですが、こちらを一気に変えてしまうと、それとの整合性がどうだと言われることもあるかもしれないけれども実態としてはよろしいのではないかという御意見と受け止めました。
○多屋委員 これまで、このように間隔をあけていたのは、何かのワクチンによって起こる副反応の疑い症状がどのワクチンによって起こったか分かりにくいというのも理由の1つだったと思います。最近は多くの子どもたちが同時接種で受けていますので、その考え方は少し、以前とは変わってきているのでこのような改定があってもよいのではないかと思っています。
○脇田部会長 ありがとうございます。今のポイントですね、副反応が起きた場合、どのワクチン接種が原因だったかということを明確にするためにも必要だったのではないか。ただ同時接種が多くなってきて、その点、意味が以前が変わってきたという点だと思います。
○坂元委員 一点だけ。このほう向性はいいと思うのですが、例えば、これがいつから有効かということです。例えば、今まで接種間隔の間違いで却下してしまったという申請があった場合、医学的に問題がないと言うなら過去に遡って予防接種法として認めるのかということです。
多分、市町村にとっては、過去のものについて聞かれた時に判断をどうするかだと思います。今、伊藤委員も言いましたが、過去の整合性との問題、それほど数は多くないとは思うのですが少し、ここが気になるところです。若干、そういうものも出てくるのではないかと思います。これは懸念です。
○脇田部会長 仕組み上、規則上はそういった形で何月何日からという形になったとしても、以前に却下しているものをどうするのか。そこは事務局で何かお考えがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田村予防接種室長補佐 すみません、今すぐあれなのですが、ちょっと持ち帰って検討させていただきます。なるべく現場に混乱が起きないように対応を検討させていただきたいと思います。
○脇田部会長 そうですね、よろしくお願いします。
○池田委員 すみません、ちょっと確認なのです。この変更後のイメージですが、要するに多くの場合、期間の制限をなくすということですが、これは例えば翌日でもいいとか、場合によっては同日でもいいとか、そういうような解釈をしても構わないものなのでしょうか。
○田村予防接種室長補佐 はい、それはそのような取扱いで問題ないと思います。
○脇田部会長 大丈夫でしょうか、ありがとうございます。さて、いかがでしょうか。
○伊藤委員 一応、確認ですけれども、先ほど多屋委員がお話されたように、今までは副反応の因果関係との関係、特に不活化ワクチンの場合は局所反応とか何か出てくるとすると2日後とか3日後ぐらいがピークで、それから後はフェードアウトしてしまうので6日あけていたと思うのです。副反応の判断には問題がないという認識をもう既にされているということでしょうか。
○脇田部会長 こちらはどうしますか、多屋委員から何かございますか。
○多屋委員 副反応検討部会ではそういう議論はまだされていないと思います。
○脇田部会長 事務局、ございますか。
○林予防接種室長 今、ここで初めてお諮りしておりますので、必要があれば副反応検討部会にもお諮りすることも可能だと思います。また考えてみたいと思います。
○脇田部会長 その件は慎重に進めたいということもありますので、副反応部会でも議論が必要ということであれば、その意見を聞いていただくということかなと思います。
○伊藤委員 余り変なことを言って遅らせてはいけないとも思いますが、同時接種が行われてはいますが、接種を1日ずらすとか、2日ずらすことで問題が発生するのかということになるのだろうと思っています。
副反応の判定をされている先生方が最後に迷った時に、より混乱するようなことになってはいけないなというのが懸念です。
○脇田部会長 ありがとうございます。こちらは副反応部会に聞いてみるということも検討していただくということかと思います。お願いします。
○林予防接種室長 やはり、今、副反応検討部会の議論の実態という点で言うと、多屋先生もおっしゃっていたように、同時接種が多くなっていますので、幾つかのワクチンで、どれか分からないけれどもという中で検討が行われていると思います。そういう意味では、これが1日ずれた、2日ずれたという状況で検討が行われても同じことだというように思いますので、副反応部会にも御報告申し上げることは必要だと思いますけれども、現時点では、そこ自体が問題になるということは余りないかというか、今と余り変わらないかなと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます、よろしいですか。
○釜萢委員 今の皆様の御意見に賛成ですが、広く定着したルールを変更することになることから、本日の部会で審議した上で、更にパブリックコメントを実施し、意見を募集してはどうかという事務局の御提案は適切、妥当だと思います。
今日、マスコミの方がおられるかどうか分かりませんが、ここの議論を、できればしっかり国民の皆さんに伝えていただくこと、特に多屋先生が先ほど指摘された同じワクチンの場合の接種間隔は変わらない、それは免疫を付ける意味から、あけるべきものはあけるというところを、併せて周知をしていただいて、医療現場と国民の皆さんに十分な情報が伝わることを強く願うところです。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。ただいま釜萢委員からございましたが、本来あけなければいけないものはきちんと期間をあけてくださいということをきちんと周知していただくということです。その他、いかがでしょうか。
それから、本日欠席の中野委員からも御意見を頂いていると伺っています。事務局から御紹介していただけますか。
○田村予防接種室長補佐 私から読み上げさせていただきます。
中野委員から、ロタウイルスワクチンについてということで、まず接種後に吐き出した場合の対応については、ワクチンによる予防の基本的な考え方は、完結する1シリーズによって疾患を予防することである。また、承認前の海外データと推測するが、「用量に満たない量を投与した場合」でも一定の予防効果が認められている。加えて、予防接種制度は簡潔で分かりやすいことが何より大切であり、定期接種化に向けた今後の対応として接種後に吐き出した場合でも再投与は行わないというほう針に賛同する。
同時に私たち医療者は、子どもたちに最も負担が少なく有益な予防接種の実践に心がけることを忘れてはならず、最終哺乳から接種までの時間や、接種後哺乳までの間隔などに配慮するよう現場で心がけたいというのが1点目です。
2点目は、異なる製剤を使用する場合の考えほうについて、ロタウイルスワクチンは世界的にも比較的新しいワクチンであり、DPT、B型肝炎、Hibワクチンと比較すると、異なる製剤の互換性に関するエビデンスや経験は限られている。したがって、基本的にロタリックス又はロタテックのいずれか一方の製剤で接種を完了することが原則であることを広く推奨すべきであると考える。
ただし、何らかの止むを得ない事情がある場合に限り、接種機会の公平な確保という観点から異なる製剤を組み合わせた接種を認めることについては、海外におけるこれまでのエビデンスや実践から許容できると考えるというのが、ロタウイルスワクチンについての御意見でございます。
続きまして、予防接種の接種間隔に関しても御意見を頂いております。第18回の基本方針部会において、異なるワクチンの接種間隔に関するヒアリングが行われました。また、日本小児科学会から「注射生ワクチン同士の接種は、お互いの干渉作用を避けるため、同時接種以外の場合は27日以上の間隔をあけることとするが、それ以外のワクチン接種においては特に接種間隔を設けないよう改訂すること」の要望書が提出されている。
今回、経口投与のロタウイルスワクチンの定期接種化に向けて、異なるワクチンの接種間隔についてもルールを整理しておくことが確実な接種機会の確保という観点からも有用と考える。海外でのエビデンスやこれまでの実践を総合的に考慮して、事務局提案の下記改定案に賛同する。ロタウイルスワクチンについて、他のワクチン接種との接種間隔に対する制限は設けない。不活化ワクチンについて他のワクチンとの接種間隔に対する現状の制限を見直し、接種間隔の制限を設けないこととする。また、注射生ワクチンについては、引き続きこれまでと同様に、次の注射生ワクチン接種までの間隔は27日以上あける。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。皆様の意見をいただきました。原則、おおむね事務局の御提案のままで進めるということであったと思いますけれども、周知に関しては丁寧にするべきだという御意見があったと思います。
ワクチンの接種間隔の変更につきましては、適正使用の実施要領の変更が必要であるということですが、こちらの改正の時には通常、パブリックコメントは必要ないとされているわけです。ただ、ワクチンの現在の接種間隔についてはかなり広く定着しているということだと思いますので、11ページの事務局案にもありますように、更にパブリックコメントを実施して意見を募集してはどうかということです。パブリックコメントを募集し、寄せられた意見をまた部会で検討して、その上で結論を出すという形にしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのように進めて参りたいと思います。
続きまして議題3、こちらも以前から議論しておりますけれども、予防接種施策についてということで、本日は予防接種を実施する側の立場ということで、豊中市の松岡参考人に来ていただいています。資料3の御説明を、松岡参考人、よろしくお願いいたします。
○松岡参考人 豊中市の松岡でございます。座ったまま失礼いたします。今日はこのような機会を頂きまして本当にありがとうございました。市町村の立場からとお聞きしておりますが、特に中核市の立場にやや重きを置いたお話になるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。約10分間ということでお聞きしておりますので、よろしくお願いいたします。
資料3をお開き願います。スライド2ですが、豊中市の紹介ということで、豊中市は平成24年から中核市に移行しておりまして、現在、8年目を迎えております。大阪市の北隣、人口約40万人ということで、本当かどうか確かめてはおりませんが、中核市の中で一番人口密度が高い市であると聞いております。中核市と言いますが、実はもう既に西隣に県を跨ぎますが尼崎市、その先には西宮市ということで、もう既に中核市が3つ横に並んでおりまして、来年度は反対側の東隣の吹田市が中核市になるということで、府県を跨ぎますが中核市が4つ横に並ぶということで、中核ということの意味合いを問いたくなるような事態になってきているということです。豊中市は大阪府の中では3番目の中核市ということで、現在まで6つの市が大阪府内では中核市になっています。
スライド3を見ていただきますと、これはちょっと余計かなと思いましたが、私の自己紹介ということで、小児科医でございました。小児科出身の所長というのはそんなに珍しくないということが、最近分かってきましたが、3.を見ていただくと、市立豊中病院で小児科の臨床を15年ほどしてから、そのまま豊中市保健所に移行したということで、豊中市の職員としては20年以上のキャリアがあるということです。同じ自治体の病院から保健所に来た所長というのは、恐らくほかに例がないのではないかと思っております。あと、病院時代から虐待にはかなり一生懸命取り組んできたと思っております。
スライド4を御覧ください。これは私がいろいろな所で中核市保健所の立場を御説明するときに使っている私が勝手に作ったスライドですが、都道府県の役割と市町村の役割という、その左右の役割を、平成9年の地域保健法が規定したと私は理解していて、赤で書いていますが、都道府県の役割を保健所、市町村の役割を保健センターということで、今日の予防接種に関しては、右の市町村の役割の保健センターに位置している。私が強調したいのは、医師が常勤しているかどうかです。都道府県のほうには、ほぼ正職員の医師が所長としている。ところが、保健センターのほうは原則、常勤医は不在という中で予防接種行政が行われているということです。かぎ括弧付きの「怖い行政」「優しい行政」というのは私の勝手な言い方ですので、またお叱りいただけたら有り難いと思います。
中核市の役割はその下にありますが、この2つの役割のハイブリッドを目指すべきだと私は勝手に考えています。ただ、実態として、いろいろな中核市においては、この保健センター業務を完全に切り離している所とか、保健所長の管轄に非ずという機構にしている所も多くあると聞いていますが、せっかく中核市になった以上、この2つの業務をハイブリッドにすべきであろうと私は考えています。
スライド5を御覧ください。豊中市が考えている現在の予防接種の課題ということです。上のほうは主に担当事務職から聞いてきたことですが、「予防接種事業の委託」に多くの艱難辛苦が伴うとあります。この艱難辛苦は、だいぶ言葉を考えましたが、やはり艱難辛苦が一番いいのではないかと思って書いています。かなり事務職はしんどい、辛い、悲しい思いをしていると聞いております。あとは細かいことですが、新しい定期予防接種の導入に時間的余裕がなく、予算も付き難い場合がある。ワクチンの在庫状況や偏在状況が市町村では確認できないにもかかわらず、住民からの文句は全て市町村が聞くというところがあるかと思います。
次に、主に医療職からということで、接種率などは市町村において事業評価するときに非常に重要な指標になると思っていますが、この算定がなかなか難しい。特に分母をどう設定するかが難しいということで、医療職としては困っているところです。誤接種の報告基準が曖昧であるということ。恐らく豊中市は非常に厳しくやっていると思いますが、厳しくやればやるほど非常に劣悪な自治体であるという言い方をされることになってきています。特にA類の複雑な接種スケジュールをいかに周知するか。これが市町村の大きなテーマですけれども、なかなか答えが出ないところがございます。
特に1.で申し上げました「予防接種事業の委託」につきましては、スライド6に書きましたように、受託先と言っておきますが、受託先との力関係で苦しんでいるということです。2)に書いていますとおり、これは私の意見ですが、何よりも委託料算定の根拠が曖昧であって、住民あるいは議会での説明が困難な状況です。もちろん、手技料とかワクチン料などを足していって算定はしているのですが、どうしても最後に、よく分からないプラスアルファが付くところは非常に説明が難しいと思っています。担当者は、とにかく受託先の御意向、受託先の顔色伺い、あとは周辺の市町村といかに乖離せずにやるかにエネルギーを使っている、そういうような状況かなと思います。あとは、団体に属さない受託医療機関があることも事務的なところを煩雑にしています。ということで、医療機関への委託料を全国共通にできないものでしょうか。少なくとも算定指針のようなものが提示していただけないでしょうかというところが、特に事務担当者からの切実なお願いです。
それと、予防接種をしたという実績が医療機関から上がってくるのに、かなりタイムギャップがあり、ひどい場合は半年ぐらい後に報告してくる医療機関があります。そういうことでいくと、委託料のお支払いにはあまり大きな支障はないですけれども、住民からワクチン接種歴等々の問合せを頂いて市町村がお答えするときに、そのタイムギャップのせいで誤った情報をお渡しすることもあり得るということで非常に苦労しているところです。
それ以外の課題としては、スライド7を御覧いただくと、繰り返しになりますが、新しい定期予防接種の導入で、時間的余裕がない。予算が確保できない。在庫状況や偏在状況は、市では分からない。ただし、市民からの問い合わせは入る。
スライド8に行っていただきますと、接種率の算定です。科学的に厳密にやるのは難しいと思いますが、これでやれというような御指示を頂けると非常に有り難いと思っています。誤接種報告に関しても、判断基準が市町村で異なりますので真面目にせっせと報告する所ほど、「良くないね」となる。私ども豊中市は恐らく大阪府全体の1割以上の誤接種の報告をしていると思いますが、人口割合から考えますと、とてつもなく多いということになると思います。
スライド9を御覧ください。6.市民への啓発という所です。何とか市町村の数々のメリットを生かしてやっていこうということで、私どもは「保健所公式ツイッター」をフルに利活用したりしています。また中核市のメリットかなと思いますけれども、同じ市役所内の教育委員会あるいは児童福祉部門に対して情報提供や指導を行うことは非常に容易ですので、それも有効に行われているのかなと考えています。
3)の予防接種台帳ですが、これは豊中市としては非常に自慢していいのかなと思っています。母子保健部門で住民基本台帳と連動した独自の情報管理システムを設けています。そこに予防接種歴も加えて打ち込むように今はしていますので、少なくとも母子保健部門と予防接種担当部門がその情報を共有できるということになっています。今のところ予防接種の中では、MRの2期の未接種の方に接種を勧奨するとか、そのような形で利用させていただいているということです。
特にA類の複雑な接種スケジュールの周知に課題を感じているというところで、先ほど少し言及がありましたけれども同時接種がなかなか普及していません。豊中市だけの事情かもしれませんが、先生によって同時接種をする、しないに温度差があるように私は感じていますので、その辺も保護者等の御負担になっているのかなと考えています。
10ページに、予防接種の可能性と書きましたが、予防接種で何ができるか。1つは「子育て支援」という視点をもう少し入れていければと思います。1)に書きましたが、乳幼時期に繰り返し同じ先生の所を受診するということですから、「かかりつけ医」にとどまらず、接種医には子育て支援の観点から参画を期待したい。特に、後で虐待事例等々ということが分かって受診歴を拝見しに行ったときに、ワクチンだからほとんどカルテがないとか、あっても体重も何も一切測らず予防接種だけをしているとか、そういうようなカルテも目にすることがございますので、できればそのような観点を持ちながら予防接種もしていただければ有り難いと考えるところです。
2)で、先ほど少し申し上げましたが、予防接種台帳を、うちは母子保健部門と共有しています。ワクチン接種歴がないことを自動的にピックアップして考えるということはまだできていませんが、少なくとも虐待が疑われる御家庭に関してはワクチン接種歴も確認して、ここに書いていますけれども「傍証」とさせていただくこともあります。この辺は母子保健部門と予防接種部門の情報共有が非常に有効かなと思っているところです。
最後に、11ページを御覧ください。中核市の視点ということです。これは一般の市町村とは少し違うかもわかりませんが、保健所に常勤医師がいるということで、もともとは保健センターの業務ではありましたけれども、医師である所長等の関与をもっとしていくべきかなと考えています。2)に書きましたが、私どもの保健所では私の判断で3年ぐらい前でしたか、予防接種部門を感染症部門の横に持って来まして、感染症にいた保健師を予防接種のほうに付ける等々をしました。いわゆる私どものほうで、府の業務であった感染症と市の業務であった予防接種を連動して行うシステムに変えました。その結果、麻しん等の流行時とか様々な局面で有効なことができていると思っているところです。誤接種等々の報告も、程度によりますが、かなり程度が重いものに関しては保健所に呼出すということをさせていただき、併せて医療安全担当のほうからも、少しそういう御案内をさせていただくようにしているところです。
3)に書いていますように、保健センター時代ということで母子保健と予防接種の連動はどこでもできていると思いますが、感染症部門との連動あるいは医療安全部門との連動も、今後、やっていきたいというところです。最後のスライド12に書きましたように、今日のお話の趣旨とは少し異なるかもしれませんが、同じ予防接種事業でも保健所を持つ中核市は、少し他の市町村とできることが違うのではないかと考えて今後も務めていきたいと思っています。以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 松岡参考人、御説明ありがとうございました。中核市の現場からの現状と言いますか様々な悩み、それと中核市ならではのメリットも最後に御紹介いただいたところかと思いますが、委員の皆様から御質問等がございましたらお願いしたいと思います。まず私のほうから、お話を伺っていますと、委託先の医療機関によっては、かなり意識が異なっている所があると感じるわけですけれども、例えば同時接種をなるべくやっていただいたほうが受ける側にとってはメリットがあるわけで、そういった医師への周知と言いますか、セミナーとか教育といったところで、ある程度意識を均てん化していく取組というのは、いかがなのでしょうか。
○松岡参考人 ありがとうございます。それは、もちろんやらせていただいています。保健所と医師会の共催の形で年に数回、いろいろなテーマで研修会、勉強会を行っていますので、その機会を利用して予防接種に関しても、特に誤接種の報告とかをさせていただいています。ただ、一番課題に感じていることは、そういう研修会、勉強会をさせていただきましても、一番来ていただきたい先生方は来られないところがあって、何事もそうですけれども悩みかなと思っています。
○脇田部会長 ありがとうございます。それから費用と言いますか予算と言いますか、そちらのほうの悩みがかなり深いのかなという感じがしましたけれども、その辺りで、事務局から何かありますか。
○林予防接種室長 6ページの関係は、なかなかどう申し上げていいかということがございます。全国で共通にできないのかという御指摘がありましたけれども、独占禁止法という法律があることもありますし、自由な価格形成が行われているものについて、国が法的根拠なしに一定の指導をすることはできないという中で、それぞれの市町村と委託先の間で協議していただいて決まっているというのが、今の実情だということかと思います。
○脇田部会長 一方で、受託先の御意向を聞きながらとか、周辺の自治体の状況も横並びで見ながらみたいな状況もあるということなので、この辺、自治体によってはかなり悩みが深いのかなという印象を今日受けたということですが、その部分も、かなり本日は訴えたかったところかなという気がしますが、いかがですか。
○松岡参考人 ありがとうございます。ここが一番言ってきてくれと言われているところですけれども、私の目で見ても、どうしてこの金額になるんですかというところが説明できないのです。先ほど申し上げましたように、一応、保険点数と見比べながら点数を手技料等々で足していくのですが、その最後に、あまり大きな声で言えないかもしれませんが、プラスアルファのところが入っており、そこが各方面からあまり深い追及はないのですが、私どもが市議会等々の様子も見ていますと、今後、追及があってもおかしくないですし、その際には説明がなかなか難しいなと思っているところです。ですから、何かこの範囲だけでもいいので、この一点張りでなくこの範囲でどうでしょうとか、こういうふうに算定しなさいとか、何かそういう指針めいたものを示していただけたら非常に有り難いなと思っているところです。
○脇田部会長 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市は政令指定都市ですから、多分、豊中市と同じ課題を抱えているというのはよく分かります。1点、価格の問題とか委託の問題に関しては、多分、どこの市町村も共通の課題を抱えているというのは私どもも十分認識していております。一応、私からは、御存じのように介護保険は市町村ごとの保険料が全て公開になり、どの市町村が幾ら保険料を取っているかは公開になっています。そこは首長さんの力量で安くするのか、高くするのかと思います。高くするならどういうサービスを付けるか。その辺はいろいろやり方があると思います。この予防接種のお金も、それぞれの自治体の市町村業務なので価格統一というのはかなり難しい部分があると思いますが、国のほうで市町村が幾らでやっているかという価格公表は私はできるのではないかと思います。そうすると、いろいろ参考になる事例も出てくるのかなと思っています。意見書として、その辺をやっていただけませんかというお願いはしています。政令指定都市は政令指定都市間で価格の内訳をお互いに参照して、その辺はしっかりやっているのかなと思います。
それから、在庫の問題に関して確かに難しい点は、一人一人の委託しているお医者さんと問屋さんの独自購入というシステムだと在庫が管理できないところがあって、川崎市では市で一括購入という形で問屋さんと在庫管理まで含めてやっています。それで、市が一括購入したものを、いわゆる接種医の先生に配達するという形を取っています。40万人の人口があれば、そういうやり方をすれば、ある程度在庫管理もできるし偏在もなく、やり取りができるのではないかと思います。私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それから接種率の算定の問題とか、誤接種の報告基準というところがありましたけれども、こちらは多屋委員、何かございますか。
○多屋委員 MRワクチンについては、もう2008年からずっと同じ分母、分子の考え方で接種率を算定していますので、ほかのワクチンもそのように分母をどうするかという決めを作ることはできるのではないかと思います。例えばMRの1期ですと、10月1日現在の1歳児人口を分母にする。第2期ですと4月1日現在の対象者人口を分母にするという決めを作ってずっと見ているので、そういうものを他のワクチンにも導入することができれば一定の実施率を出すことができると思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。そのほか、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 松岡参考人が豊中で大変御苦労いただいていることは、よく分かりました。私も小児科医で地元の医師会の会長をやっていましたので、その辺りの経験も踏まえて申し上げますと、私の地元も中核市になって40万人弱の人口ですが、保健所長さんと医師会がしっかり話をして、保健所長さんがお困りのことに対して地域の医師会に何ができるのかを常に考え、御相談しながらやっていく必要があるだろうと思います。
価格の点も御苦労いただいていることがよく分かりました。全国でなかなか公表されていない部分もありますけれども、可能な範囲で私どもが把握している接種委託料を見ると、規模の小さな自治体は高い価格をとても設定できないということがあります。国から参考として出されているものとして、地方交付税の算定根拠としての積算がありますが、規模の小さな自治体では、とてもそこまでの金額は予算化できないので、低い価格でも実施に協力してほしいという所もあるわけです。中核市の人口規模を持っている所は御苦労の多い中ではありますが、それなりに財政基盤がしっかりしているので、今日お話しいただいたような対応も、ある程度可能かと思いますが、なかなかそこまでできない所が多いというのが私どもの認識です。
それから、委託を受けるほうと委託をなさるほうの相談については、交渉事ですからいろいろやりとりがおありになると思いますけれども、根拠を示さずに納得してほしいということは私の経験ではとても言えないと思います。根拠にもとづかない価格設定というのは持続可能性がないと私はお話を聞いていて感じました。
在庫管理の件は、隣に坂元委員がおられますけれども、私の承知している範囲で川崎のようにできている所は少ないです。私の地元でも自治体がワクチンを一括購入してもらえばそのほうが遥かに有り難いので、ここは随分お願いをしたのですが無理でした。これは県内のいろいろな自治体もみんな無理で、その点はやむを得ないということで個々に卸から求めています。ですから、その点についてはなかなか在庫管理が難しいのですけれども、発注が、卸に頼んで医療機関が持って来てもらったという情報は、ほぼリアルタイムで卸と販売会社にはちゃんと届きます。一方、医療機関が発注に応じて納品されず足りないと感じたときに、その情報を集めるシステムは日本医師会のほうで作りましたから、もちろん豊中からも情報を頂けるという状況です。
今後の課題としては、卸を介してメーカーが集めた情報、医療機関にどれだけ納入したかという情報を国で一括で把握できるようにすることは、手続というより技術的に難しいところがあると聞いています。それは今後の課題で、そういうこともできるようになっていけば状況が瞬時に、ほぼリアルタイムに把握できるようになるのではないかと感じています。
○脇田部会長 ありがとうございました。坂元委員、お願いします。
○坂元委員 一括購入で、私の言い方に誤解があるといけないのですが、川崎市は薬剤師会に委託して薬剤師会に一括購入してもらっています。以前のように直に行政が一括購入すると、入札のときにワクチンの種類が限られてしまいます。そうすると、実際の接種医の先生がA社のものを使いたいと言ったときに対応できないことがあるので、今は薬剤師会に委託して薬剤師会が全ての製品が使えるような形で一括購入し、それから接種医の先生に随時、問屋から配達させているという管理です。訂正させていただきます。
○脇田部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 大変貴重な話をありがとうございました。もともと医療保険と予防ということが馴染んでいないので、こういうふうに分かれているんだと思っているのですが、ただ、医療機関において予防接種記録が診療録に入ってこないのは、先生と同じように問題だと思っています。今後、予防接種記録が診療録に入ってくると、サーベイランスも含めて随分楽になるのではないかと思っています。そういった取組を先生の所でおやりになられた経験はないでしょうか。
○松岡参考人 まだ、できておりません。その辺もやっていきたいなと思っていますが、手が付けられていない状況です。
○伊藤委員 ありがとうございました。もともと健康保険と予防接種は主体が違うのですが、例えば生活保護にしても、あれは福祉事務所が取扱っていますが、健康保険と見てくれ上はほとんど変わりがない。それと同じように予防接種も医療機関で接種をするので、中の仕組みは変わっても、表現系として同じ形にして情報の一元化ができると随分違うのかなと思っています。自分の持論ではあるのですが、そういったことができるといいなと思っています。以上です。
○脇田部会長 貴重な意見をありがとうございました。時間の関係もございますので、松岡参考人から頂きました御意見に対する議論は、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。次回も参考人をお招きしまして、また異なる立場から御意見、御要望を伺いたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。同じく議題(3)ですけれども、予防接種施策につきまして、事務局から資料4-1~4-4に関して説明をお願いいたします。
○田村予防接種室長補佐 事務局です。資料4-1を御覧ください。こちらは8月に出させていただいたもので、今後の進め方についての資料です。本日の議題としては、一番下の太字になっている「その他(情報提供、接種記録等)」について御審議いただければと思います。なお、「第1ラウンドとして、年内を目途に行い」となっていますが、まだカバーしきれていない議論もあるのですが、引き続き御審議に御協力いただければと思います。
具体的な内容については、4-2から説明させていただきます。資料4-2は、「予防接種におけるコミュニケーションについて」ということで資料を準備させていただいています。最初の2、3ページ目については、基本計画のコミュニケーションに関する規定を整理させていただいています。基本的には、それぞれの主体において、どういった役割が期待されているかということを書き起こしたものです。4ページは、各関係者の主な取組ということで、国、市町村、医療機関がそれぞれ、今どのような方法でコミュニケーションを実施しているかというものを目出ししています。
5ページ以降には、実施している主な取組として事例を取り上げていて、5ページ目はQ&Aなどを用いた正確な情報の公表です。6ページ目には、分かりやすい広報資材の作成ということでリーフレットやポスター、また動画も配信するとしています。7ページ目には、3つ目の取組としてwebサイトの作成です。なるべく見やすく分かりやすいwebサイトになるように工夫をしています。この辺りが7、8ページ目です。
加えまして、9ページ目に関連機関と連携した情報提供ということで、国立感染症研究所と協力しながら、下線の入っている具体例で情報提供を行っています。また、予防接種リサーチセンターとも協力しながら、コミュニケーションに関する対応を行っています。
10ページ、予防接種センター機能推進事業ということで、国民への予防接種に関する正しい知識、あるいは相談の受付などを行っています。
11ページですが、ワクチンに関するコミュニケーションのあり方というものが、日本だけではなくグローバルに重要な課題になっているのではないかということで、WHOが発表した「世界的な健康に対する脅威」になるといったリストのうち、「Vaccine Hesitancy」というものが挙げられていて、それに対する対応の1つとしてコミュニケーションのあり方が重視されているといったことを示しています。12ページは、現在の定期接種の実施率を表しています。
13ページ、こういったワクチンの施策に関連したコミュニケーションのあり方を進めるに当たって重要な点として、WHOのワーキンググループでは積極的なコミュニケーションを取るという姿勢を持っていること、双方向性を持たせること、その知識というものも重要なのですが、それだけではなくてその行動変容を意識した内容であること、また種々のコミュニケーションツールはあるので、それをうまくきちんと活用すること、こういったことが大事なのではないかと報告されています。
14ページ、これまでの審議会における議論です。分科会、あるいは個々の部会において、先生方から、あるいはヒアリングを行った専門家の方々から、これまでもコミュニケーションのあり方について記載されているような御意見を頂いて、進めさせていただいているところです。
15ページ、こちらも議論の例ですが、HPVワクチンについて、こちらではリーフレットを作って、それに対して理解や反応などの調査を実施して、その調査の結果をもって更に検討を行ってというような形で実施し、調査や検討等のプロセスを経て少しずつ改善していくということを行っています。
16ページですが、こういったことでコミュニケーションに関連する対応はしているのですが、そのワクチンの特性として、接種率が上がって普及していくと、逆に感染症自体が減ってきてしまうのでメリットが見えにくくなってしまう。メリットが見えにくくなってしまうと、逆に何かあったときに副反応などの安全性に関する懸念のほうが強く表に出やすいという特性があるので、特にそういったことからコミュニケーションが重要になってくるのだろうと言われています。
17ページ、コミュニケーションが重要なシーンの例として、そういった事例に対してどういった情報を伝えるべきか、伝える上でどういった課題があるのかということを例示として挙げています。
18ページは、今、国民がどんな方法で情報を入手しているのか、テレビなのか新聞なのか、あるいはネットやSNSなのか、そういったことをアンケートを取っているので、そういったものを踏まえて、きちんと伝わるような形でやらないといけないのだろうと。
19ページですが、情報を提供するということは、アメリカを例にしていますが、Vaccine Information Statementというものを提供することを法律で義務付けていて、それによって拘束力を持たせている。こういった方法もあるということで御紹介させていただいています。
20ページですが、これまでこういった検討については、それぞれの部会において必要に応じて検討が行われていて、どこかの部会1つで行っているというわけではなかったといったことを記しています。
21ページ、こういったことを踏まえて、右側になりますが、検討としては表現や伝え方について医学や行政に関する正確な情報を分かりやすく伝える表現や伝え方をどのように向上させていくべきか、また伝えるに当たっての媒体や方法について、国民が情報を得る手段の現状を踏まえて、どのような媒体を用いて情報を伝えるべきか。最後、体制についてということで、予防接種に関するコミュニケーションの改善や充実を図るため、コミュニケーションの内容を検討する体制について、どう考えるかということで、3つの論点を出させていただいています。
資料4-3になりますが、こちらは接種記録について資料を準備させていただきました。2ページが予防接種記録についての全体像を示したもので、自治体、被接種者と医療機関がどういったフローになっているのかを示しています。
3ページ目は、第二次提言、あるいは予防接種基本計画における接種記録に関する記載をまとめたものです。
4ページ目、市町村長が有する接種記録(予防接種台帳)ですが、基本的には予防接種台帳を保有し、5年間保存することになっています。5ページ目、そういった予防接種台帳は記載されているとおり、多くの自治体において紙ベースから電子ベースの保存に変わってきています。多くの所は手動登録している自治体もあるようですが、ほとんどの所(95%以上)で電子データで保存されています。そういった市町村が持つデータに加えて、6ページですが、本人が持つ予防接種記録として予防接種済証、あるいは母子健康手帳があります。
7ページですが、そういった個人が保有する情報についてはマイナンバー制度が動き始めていて、その自治体間の情報のやり取り、あるいはマイナポータルでの接種歴、お知らせ通知の確認などが可能な仕組みが整ってきています。8ページ、予防接種分野における情報連携についてですが、マイナンバーを活用した接種歴の自治体間のやり取りが、こういった仕組みを通して可能となっています。9ページは、マイナポータル利用についてです。個人の過去の予防接種歴を確認したり、あるいは自治体から個々人に予防接種の案内を送るなど、マイナポータルというサービスを使ってできますということです。
10ページは具体的にイメージをしやすいように、どういったことができるようになるのかという図です。現在、できる前ですと、母子健康手帳をなくしてしまって接種歴が分かりませんといったときに役所で確認してきてくださいと言われていたところ、こういったものを活用すれば電子的に保存されているので、わざわざ確認しなくても接種歴が分かります。そういったことができるように、少しずつ進んでいるといったことかと思います。
11ページですが、「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」も立ち上がっていて検討が進められているといった状況が示されています。
12ページ、データを集めることもそうですが、集めたものをどの程度保存するのかといったことも議論になります。今のところは、先ほど説明させていただいたとおり、5年間保存しなければならないとされていますが、予防接種の接種記録以外のデータも含めて、保存期間は下に示してある表のとおりに規定されているということを示しています。
そうした中、13ページに、現状のまとめと検討の視点ということでまとめています。予防接種記録については、市町村が有する接種台帳、被接種者又は保護者が有する母子健康手帳の記録・予防接種済証があるけれども、市町村が有する接種台帳については、電子化が進んできています。また、マイナンバー制度によって接種歴の自治体間のやり取りや、マイナポータルでの接種歴の確認ができるようになってきています。基本的な保存期間については5年間となっています。こういったことにより、以下のことが実現されていると考えられます。例えば、予防接種台帳を利用した再勧奨、あるいは接種記録を使用した予防接種の有効性・安全性評価などを行うことが可能になってきているのではないかと考えていますが、具体的な活用目的・活用方法を想定しながら、接種記録の保存期間等のあり方を検討してはどうかということで、ここまでで1つ、その記録のあり方について論点を提示しています。
14ページ以降に記録データをどのように活用していくのかについて、資料を出しています。14ページは、それぞれの自治体、本人、医療機関、研究機関がどのような形で、そういったデータを活用できるのかということを目出ししています。
15ページになりますが、最初の活用例として接種歴、接種スケジュールの確認です。かなり複雑になっているので、そういったものを分かりやすいような形で確認できるようになるのではないかということです。また、16ページですが、こちらは活用例の2つ目として、予防接種記録を活用した再勧奨です。接種記録が電子化されて、より把握できるようになるということだと思いますので、そういったときに未接種者への再勧奨を、そういったことを活用しながらできるのではないかということです。
17ページは、MR2期の未接種者に対しての再勧奨を行った事例です。そういったことを行って接種率の向上が認められた自治体もあるということで紹介をさせていただいています。18、19ページは、筑波市ですが、ほかの自治体でも接種率の向上に向けて個別の案内、あるいは学校を通じた勧奨、そういった取組を行っているということで、事例を挙げています。18、19ページは筑波市で、その後、20、21ページは神戸市での取組を紹介させていただいています。
22ページは、乳幼児健診等の機会を捉えた接種の促進等ができないかということで紹介させていただいています。現在、接種率の向上のためには定期的な健診の機会を利用し、接種の状況を把握、あるいは未接種者に対する再勧奨を行うことというのが実施要領で記載をしています。また麻疹、風疹については、特出しをして接種勧奨を行う旨が規定されていますが、そういったことを踏まえて、それ以外も含めた健診などのあらゆる機会を活用して勧奨をするということをどう考えるのか。
23ページ、こちらは(参考)としていますが、乳幼児健診等の機会を捉えた児童の虐待や予防、乳幼児健診という機会を利用して児童虐待の予防や早期発見という観点から、こういった取組をしているということもあるということを紹介させていただいています。
24ページ、活用例➃ということで提示していますが、予防接種の有効性や安全性の評価等のための利用ということで、いわゆる医療データ、レセプトデータと予防接種の接種歴のデータ、どちらも電子的に管理されていれば、技術的には両方を突合させれば迅速な有効性や安全性の評価ができるようになるということで、そういった取組を進めていってはどうかということで出させていただいています。
また、25ページも同じように同時接種の状況を、そういったことを踏まえながら検討を行ったという事例を紹介させていただいています。
26ページですが、活用と検討の視点ということでまとめています。予防接種台帳については、電子化が進展しつつあることから紙媒体と比較して活用が容易になってきていると考えられます。また、そういった記録の活用については、通知等で未接種者への再勧奨に関する規定が置かれています。諸々、活用方法が考えられます。実際に未接種者への再勧奨を実施している自治体もあり、予防接種事業において予防接種の有効性・安全性の評価を実施している事例もあります。そういったことを踏まえて、記録の活用を促す方策について検討してはどうかということです。それぞれ予防接種の記録の保存のあり方、また保存した記録の活用のあり方について、2点の論点を提示させていただいています。
資料4-4ですが、災害時の対応についてということで、資料を準備させていただいています。2ページを御覧ください。こちらに定期接種の接種時期等についてということで、基本的に接種時期というのも施行令において、個々のワクチンごとに決められています。他方、例外として長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった場合には、やむを得ないということで長期療養特例として一部、逸したものに対して接種する機会を与えるような規定があります。
そういったものが基本的な枠組みになっていますが、少し飛んでいただいて5ページを御覧ください。こちらは東日本大震災のときの対応ということで、施行令と実施規則の改正を行っています。具体的には、対象年齢を過ぎてしまったものについて、一定期間は定期の予防接種を受けられるようになること、また一定の間隔をおいて接種回数が必要な場合について、その間隔を守れなかった場合に期限を過ぎてもできますということを、政令又は実施規則を改正してできるように対応を行っています。
7ページです。大規模災害等により、定期の予防接種の機会を逸したものに対する対応についてどのように考えるのか。また、大規模災害が生じた場合等に備えた対応として、あらかじめ規定を設けることにより災害が発生した後、速やかに対応できるようなことについて、どのように考えるのかということで、2つの論点を提示しています。説明については以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。かなり論点が幅広くあります。資料4-1から4-4ということですが、最初の4-1は今後の進め方ですが、第1ラウンド、第2ラウンドの説明が初めのほうにありましたが、第1ラウンドを年内にと言っていましたが、年明けの後しばらくはやりますということかと思いますので、よろしくお願いします。
ポイントは、まず最初にコミュニケーションですね。予防接種におけるコミュニケーション、その後、予防接種記録について、そして災害時の対応ということで、それぞれ資料の中で論点、検討事項等について事務局から提示をしていただいていますが、本日全てを議論することはなかなか難しいかもしれませんが、ここで御意見を頂きまして、さらに御意見等、委員の皆様に検討していただいて、事務局にもお伝えいただければと考えていますのでよろしくお願いします。ここで、委員の皆様から御意見を頂いておきたいと思います。
○多屋委員 資料4-3の接種記録についてですが、この資料を拝見すると、ほとんどの自治体で電子媒体、電子データで管理されているということです。5年という区切りでは、多くの人が接種歴が分からなくなるのは5年経ってからですので、そこは、5年という区切りを、こういう調査も踏まえて外していただき、自分の予防接種歴は少なくとも住んでいる所では分かるというふうにしていただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○脇田部会長 それでは坂元委員お願いします。
○坂元委員 電子媒体の場合は5年以前のものをわざわざ消す操作のほうが、保存したままによりもお金がかかる場合があると思います。自治体としてはそれを電子媒体にそのまま置いておくということは、それほど不都合はないと思うのです。これは逆に、市民の立場からすると、自治体が個人情報をいつまで持っていていいのかということについて、きちんと決まったものがないということです。5年は保管しなければいけない、それをずっと保管していてもいいのかとかということです。例えば、がん登録の場合は100年と、その情報の保管を区切っているのですが、その辺のミニマムな規定はあるのですが、それ以上の規定がないということです。こういう情報は、市民の理解が得られれば一定の長期間は保存して、市民にもこれだけの年数は保管しますということをしっかりアナウンスしたほうがいいのかなと私自身は思っています。
もう一点は、予防接種法の中で、予防接種が済んだら5年は保管しなければいけないという捉え方なのですが、予防接種によっていろいろな間隔であったときに、例えば、1期が済んで5年たったらなるのか、その辺の解釈の問題があって、例えばここをもう少し具体的にその人の個人のシリーズが終わってから5年だったらかなり延びるかとは思います。今のところ、接種ごとにとなっているので、細かく解釈してしまうと、1回の接種ごとに5年なのか、そこの問題があるかと思っています。ただ長期間保存というのは市民の理解が得られれば、私はデメリットよりもメリットのほうが多いのではないかと思っております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。医学的に考えても、長期間に予防接種記録を保管しておくメリットは非常に重要だと思いますので、そこの点は自治体が保管するのか、それともマイナポータルを活用して個人がきちんと保管をするのか、そういった在り方も検討していく必要があると思います。
一方で、やはり予防接種記録と医療診療録の紐付けという論点は先ほど伊藤委員からもありましたが、そういったところに関しても議論を進めていくべきかなとは考えております。伊藤委員、何か更にありますか。
○伊藤委員 ありがとうございます。理想的には、皆さんがマイナポータルに登録ができて、そこが健康保険の番号と一致すれば、いずれにしても全部が集まるというのは将来構想だと思います。
一方で、報道なのでよく分かりませんが、マイナンバーカードを持たれている方が10数パーセントとかで非常に少ない状態ですが、これから生まれてくる、今、1歳、2歳のお子さんでも、皆さんマイナポータルとか、マイナンバーカードが実際に使われている状態で、こういうポンチ絵を作成されているのかどうかを教えていただけますか。
○脇田部会長 お願いします。
○田村予防接種室長補佐 現時点で正確な普及率が分かっているわけではないのですが、実際どれぐらい使われているかと言われますと、まだ運用は始まったばかりなので、それほど多くはないというのが多分、現状だとは思っています。
○伊藤委員 具体的に今生まれている予防接種を打たれている人の予防接種記録をマイナンバーの所に移管するというのは、多分、自治体がおやりになることだと思います。ただその辺のところは既に生まれているお子さんは既にマイナンバーを持っていて、自治体としては処理ができる状況という認識なのでしょうか。
○林予防接種室長 基本的にそういう自治体は多いという認識をしております。5年余り前に予防接種の議論をしたときとは大きくそこが違っているという認識で、この辺りについては数年前の議論を引き継ぐのではなくて、これからどうしていくかということで御議論いただけたらと思います。数年前には電子化されていなかった予防接種記録が電子化されている所がほとんどになりましたし、更にマイナンバーとの連携という意味でも自治体としてのシステムとしてはできている所が相当多いということです。それは利用者側がカードを持っていて、しかもカードリーダーを持っていて読めるところまで普及していますかという御質問については、まだ普及率はそれほどでもないということかと思います。
○伊藤委員 分かりました。
○脇田部会長 ありがとうございます。釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 今のところに関連して、私の理解が間違っていたら事務局に教えていただきたいのですが、マイナンバーカードを使ったマイナポータルというのは、自身に関するいろいろな部署が持っているデータをマイナンバーカードと紐付けることによって本人が確認できるという仕組みであって、マイナンバーあるいはカードでもいいですが、マイナポータルに新たなデータをそこに持ってくるということではないと思うのです。ですから、自治体のほうで予防接種台帳が廃棄されてしまえば、成人になった後で見ようと思っても見られないという認識ですが、それでよかったでしょうか。
○脇田部会長 事務局、お願いします。
○林予防接種室長 おっしゃるとおりです。
○脇田部会長 そうしますと、幾らマイナポータルで紐付けてあっても自治体のほうで廃棄してしまえば見られなくなるということですね。今、接種記録の御意見をいろいろ頂いておりますが、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 接種記録の所で申しますと、今日松岡参考人がお話くださった豊中の事例は大変優れていると思います。是非、そういう形で、母子保健と予防接種の両方の記録を連結して利用できるようにするというのは大変大事なことだと思います。本来は予防接種が完了しているはずの時期に、まだ接種が完了していない人に対する通知というのは技術的には、少しお金が掛かるかもしれませんがそれは可能になってくると思いますので、それを是非、進めていただきたい。そして、先ほど松岡参考人は、「傍証」とおっしゃいましたが、そのデータは非常に大事なことで、子供たちを守る上でそういうデータが利用できるということは非常に大事だと思います。全く予防接種を受けていないという方については、予防接種に対する躊躇というのも今、話題に出てきていますが、そのことについてはしっかりと把握して親御さんの意思確認等も含めてきちんと対応しなければいけないと思います。予防接種記録を利用した再勧奨の仕組みを、就学前の健診の前にそのデータがしっかり利用できるということには、まず早急に取り組んでいただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。この電子化による接種記録の保存が以前よりは良くなるということですが、予防接種記録の保存をして、どのように利用、活用していくのかというところをはっきりさせて、それによって保存の必要性を明確化させていくということかと思いました。いかがでしょうか。この接種記録については更に議論を進めていくということになります。
それから、予防接種におけるコミュニケーションについても、それぞれの立場で広報活動を充実していくということになっておりますが、そのあり方についての表現方法や、体制をどのようにしていくのかというところは、まだまだ議論の余地があろうかと考えますが、何か御意見等ありましたらこの場でしたいと思います。
○釜萢委員 たびたびで申し訳ないのですが、コミュニケーションのほうのスライド18ページを御覧いただきたいのですが、国民が情報を入手している方法としては、「いつも接している」と「ときどき接している」を足し合わせた所で見ますと、やはり、テレビ・ラジオ、新聞、インターネットがとてもよく利用されていることが分かります。その次に、かかりつけの医師というのも、両方足し合わせると6割ぐらいは役に立っているという評価ですので、マスコミ、あるいはインターネットの情報、そして受診した折に、かかりつけの医師から予防接種に関する情報を入手するということを是非、今後も更に進めていかなければいけないと感じました。
○脇田部会長 ありがとうございます。私のほうから少し申し上げますと、予防接種に関する教育は大学や、病院という自分が診療を受けた所でお話をいろいろ伺うということはもちろんありますが、小中高で義務教育のときから予防接種に関する教育を広く進めておくということで国民の予防接種に対する理解を深めることが基本的には非常に重要だろうと考えております。この点に関してはよろしいですか。
それでは災害時の対応について、大規模災害等によって定期接種の機会を逃がした者に対する対応についてどのように考えるかと。もちろん機会を持ってもらうということは非常に重要ですので、そういうことが発生したときに規定をあらかじめ設けておくということで対応をなるべく早くできるようにしておくという論点かと思います。ここは余り反対がないのかなと思います。ですので、こういうことができるような仕組みを作っておいていただくということが非常に重要だと、我々としては考えているということだと思います。
主に3つのポイントですが、予防接種記録、コミュニケーション、災害時の対応について、更に何か御意見がありましたらお願いします。多屋委員、お願いします。
○多屋委員 災害時の対応については、資料4-4に示されたのは、もっともだと思いますが、それに関連して、先ほどから意見が随分出たように、接種記録が5年と制限されずに、きちんと残っているということが関連付けて大事なのかなと思いました。
それから、コミュニケーションについては、いろいろな部会が所掌しているということですが、どこかの部会で比較的中心的に、これに関わる部会があったほうがいいのではないかと思いました。以上です。
○脇田部会長 それはもちろん部会の担当もそうですが、どこかがそういったコミュニケーションの指令塔のような機能を持つということも考えるということですか。
○多屋委員 そうです。これを中心になって考える所はやはり必要ではないかと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。それでは時間の関係もありますので、議論はこの程度とさせていただきまして、次回も、残る課題について部会で議論を進めてまいりたいと思います。また、論点はかなり幅広になっておりますので、委員の皆様から御意見がありましたら事務局のほうに、お寄せいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。議題はこれで終わりになります。報告事項の風しんの追加的対策について、及び長期療養特例の実施状況について、事務局から説明をお願いします。
○加藤結核感染症課長補佐 結核感染症課の加藤と申します。それでは資料5の風しんの追加対策の今後の実施方法について御説明します。
こちらは11月28日に開催された感染症部会で了承された令和2年度の実施方法です。
2ページに、風しんの概要について御説明しております。大事なポイントとしては、先天性風しん症候群(CRS)という妊娠初期の女性が感染した場合に、出生時に様々な障害が引き起こされるということです。2019年は現在のところ4例の報告が上がっております。3ページ、11月20日現在での風しんの報告数の暫定値として2,263例が報告されております。4ページ、都道府県別の累積報告数です。関東地方、近畿地方、東海地方、福岡といった大都市圏に発生しているところです。そのほかの県も含めてほとんど全ての県で発生している状況です。5ページ、性別、年齢、階級別でのグラフです。最も感染者数が多い部分が男性の41歳~45歳です。
6ページに、その理由の1つとして考えられるものを記載しています。1962年4月2日以降1979年4月までに生まれた男性に関しては、公的な予防接種の機会が1度もなかった世代です。この世代の男性に対して予防接種法に基づく定期接種の対象として原則3年間無料で全国で定期接種を実施できるという体制を今年度から実施しております。そのためのワクチンの利用の活用のためにはまず抗体検査を受けていただくことと、その抗体検査もできれば事業所の健診の機会で受けられるように等、夜間・休日の実施など対策の整備に努めてきています。7、8ページに、その追加的対策の実績があります。これまでのところ、抗体検査は約87万件、予防接種は約17万件の実施があります。
9ページは、これらの状況を踏まえた来年度の実施方法です。これは部会で出した資料ですので(案)が付いておりますが、これは了承されましたので(案)は取れているのが現状です。まず状況としては、2020年3月までの今年度は、1972年4月2日から1979年4月1日の間に生まれた男性、現在40歳~47歳の方にクーポン券を配布しました。これまで検査そのものの供給不足や医療機関への駆け込み等は生じておらず、どちらかというと当初見込みでいた数よりも大幅に下回っているのが現状です。
今後の実施方法として、2020年7月までに抗体検査約480万人・予防接種100万人、最終的に2022年3月までに抗体検査920万人・予防接種190万人の目標を前提とした場合、この対策の目標達成に向けて、より多くの検査の受検を促進する必要があるというのが現状ですので、そのために以下2つの方針を決定しております。まず1つ目は、今年度のクーポン券を送付済みの方のうち、未使用の方に対しては、抗体検査の受検等を再勧奨していただくとともに、今年度末で使用期限を迎えるクーポン券を来年度以降でも使用できるように期限を延長していただきたいと思っています。もう1つが、追加的対策の2年目(来年度)分として、少なくとも約570万人にクーポン券を配布すること。ただし、市区町村の希望に応じて、送付対象を拡大することも可能ということです。また大体、健診は春に多いので、次年度当初から企業の健診で抗体検査を実施していただけるように来年度分のクーポン券については、できる限り早い段階で、可能な限り今年度内に送付していただけるように市区町村に依頼をしているところです。その模式図が下にありますが、この方法で御了解いただいております。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。続けてお願いします。
○田村予防接種室長補佐 続けて、長期療養特令について資料6になります。2ページ、長期療養特の概要ということで、基本的に長期にわたり療養が必要とする疾病等にかかった場合に、そういった事由が消滅してから2年以内であれば定期接種として接種を受けられますという規定です。それについて実施した状況がどのようになっているのかということを報告させていただいております。
3ページが、平成30年4月から平成31年3月まで(平成30年度)の実績を集計したものになります。1年間で、全体で1,873件が対象として報告されました。疾病の内訳としては、悪性新生物、神経・筋疾患、慢性心疾患、膠原病等が多かったと報告されております。また接種するワクチン別で見ますと、MR、BCG、水痘、B型肝炎などが多かったです。
4ページ、これまでの年度ごとの推移をまとめたものです。全体の報告数は増えておりますが、その内訳としては大きくは変わっていないかと思います。報告としては以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。ただいま2件について御報告いただきましたが、委員の皆様から御意見、御質問を承りたいと思いますが、いかがですか。まず、風しんのほうです。こちらは幸い流行状況は治まってきているということですが、次の流行を起こさないために、抗体保有率を引き上げると。特に40歳から57歳の男性の抗体保有率を上げるという目標を設定しているということで進めておりますが、なかなかその目標よりも接種数は上がっていないことになりますので、対策を幾つか打つということです。
○多屋委員 半年間でクーポン券が送られた方の今13%ぐらいが抗体検査を受けて、そのうち予防接種は2.数パーセントの方が受けておられるという数字が出ているかと思います。抗体検査で低かった場合はワクチンを受けるというところはうまくいっているのかなと思いますが、抗体検査を受ける人が1割というのは非常に低いので、例えばもう少し40代、最近男性に会ったら「何年生まれですか」と聞くようにもしているのですが、自分が対象であることがまだ伝わっていないのかなという気がするのと、クーポン券を持っていないと受けられないというのもあるので、例えば、クーポン券を写メか何かで撮って持って行ってもいいとか、何かもう少し10%の実施率を、せめて8、9割に上げられるような、あと4か月あるので実施できればと思うのが1つです。
あと、もう1つはクーポン券の送付が昭和37年から昭和41年生まれの人には来年度は市町村が実施すれば送っていただけるということですが、これはなぜ制限が付いたのかというのと、実施してくださりそうな市町村はどれぐらいあるのかを教えてください。
○脇田部会長 事務局、いかがですか。
○加藤結核感染症課長補佐 先生御指摘のとおり、普及・啓発また受診に至るまでのハードルを下げるというのは大変重要なことかと思います。写メというのは実際の事務作業ではなかなか難しいことかと思いますが、できるだけそういった方向に何かできないかというものは考えていきたいと思います。
あと御指摘のありました年齢が昭和41年~昭和37年の方については、こちらは様々な鑑定官の皆様との相談の上、少なくとも昭和41年度までは送ってくださいということにはなりましたが、できるだけ多くの自治体の方に送付いただけるよう我々のほうでも個別にお伺いしてお話をしているところですし、多くの自治体には前向きに御検討いただいていると聞いております。
○多屋委員 よろしくお願いします。
○脇田部会長 よろしくお願いします。ほかはいかがですか。私のほうから1つ、風しんの対策で、目標の対象世代の男性の抗体保有率を上げるというところがありますが、こちらは通常の流行予測調査事業の中で調査をしていくということでしょうか。
○加藤結核感染症課長補佐 そのとおりです。なるべくこれを拡大して、より精度の高い形でできるように検討しているところです。
○脇田部会長 承知しました。2020年7月までにという結果はいつ頃分かってくるものですか。
○加藤結核感染症課長補佐 すみません、2020年7月のものがすぐには上がってこないとは思いますが、時期については確認をしないといけないのですが、なるべく早めに御紹介できるように努力したいと思います。
○脇田部会長 よろしくお願いします。そのほかにいかがですか。よろしいですか。それではありがとうございました。本日の議事は以上となります。そのほか何か事務局からありますか。
○元村予防接種室長補佐 特にありません。本日は長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございます。次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上です。
○脇田部会長 それでは、本日の会議をこれで終了させていただきます。活発な御議論をありがとうございました。