第125回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年2月27日(木)10:00~11:34

 

場所

全国都市会館

議題

1.医療保険制度改革について

議事

 

○荻原推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第125回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は一瀬委員、菊池委員、藤原委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○荻原推進官 それでは、以降の議事運営は、遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 皆さん、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、議事に先立ちまして、まず欠席委員の代わりに出席をされる方についてお諮りをいたします。
本日は藤原委員の代理としまして、酒向参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に移ります。
本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
具体的には、全世代型社会保障検討会議で検討事項とされました「後期高齢者の自己負担割合の在り方等について」、これを議題としたいと思います。
それでは、事務局から説明をいただいた上、御議論をいただければと思いますので、説明をお願いします。
○込山課長 おはようございます。高齢者医療課長でございます。
早速でございますが、タブレットの資料4をお開きいただきたいと思います。
後期高齢者の自己負担割合に関連する現状や現行制度の資料をまとめさせていただいてございます。ただいま部会長からお話がございましたように、中間報告で指摘されました方向性に沿って検討するに当たりまして、その視点などについてさらに御検討いただければありがたいと存じます。
早速でございますけれども、目次以降をお開きいただきたいと思います。
まず2ページでございますが、繰り返しで恐縮ですが、この全世代型社会保障検討会議の中間報告について、もう一度おさらいをさせていただきたいと思います。
3ページからになります。3ページには、中間報告におきます今後の改革の視点などが掲げられております。具体的には(4)でございますが、今後の改革の視点といたしまして、現役世代の負担上昇の抑制といった視点。その上で、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する必要があるといった御指摘がございます。
4ページ、各分野の具体的な方向性でございます。本日の議題でございますが、後期高齢者の自己負担割合の在り方ということでございまして、下の下線を引いているところでございますが、具体的な方向性が提示されてございます。本年の夏までに成案を得るというスケジューリングの中で、後期高齢者の方であっても一定所得以上の方につきましては、窓口負担割合を2割とするといった旨が記載されてございます。その検討に当たりましては、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、丁寧な検討を行う。また、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の生活に与える影響を見極め、適切な配慮について検討を行うといったことも記載されているところでございます。こういったことを踏まえまして、さらにどういった視点で検討していくかといったことにつきまして、御議論を頂戴したいと思います。
6ページでございます。こうした全世代型社会保障検討会議中間報告を受けまして、改革工程表上のスケジューリングもこうした形にリバイスされてございます。内容的には同じ内容になってございます。
7ページ、8ページでございますが、当医療保険部会におきましていただいた御意見をまとめてございます。具体的には昨年末12月25日と前回1月31日に開催された部会での御意見を掲げてございます。
簡単に概略を御紹介申し上げますと、まず12月25日、123回のほうでございますが、医療の負担が2倍になるといったことから慎重な議論が必要といった御意見であったり、また、対象者をどの程度絞るかによって制度の持続性に関わってくるといったようなことであったり、一方で、各被保険者さんの保険料負担率が高いといった問題にもきちんと目を向けるべきではないかといったようなこと。また、その所得基準の在り方につきましては、生活への影響など、シミュレーションも行いながら、丁寧な検討が必要。次のご意見も同様の内容だと思います。また下から2番目でございますが、負担能力のある方に負担していただいて、全体の社会保障制度を支えるというのが大事であろうといったこと、一番最後ですが、そういった見直しについて、国民に丁寧に説明をする必要があるといった御意見がございました。
8ページ、前回の部会での御意見です。若干重なるような御意見もございますけれども、御紹介申し上げますと、まず最初に、現役世代の負担軽減が目に見えるような形での設定が必要ではないか、そういったことで複数のパターン等を示す必要があるといったようなこと。また、金融資産への着目といった御意見もございました。また、窓口負担とちょっと離れますが、現役世代と高齢者の方の保険料の伸びといったもの、伸びの違いといったことについても着目すべきといった御意見がございました。
4点目でございますけれども、現役並み所得者の問題です。現状は3割負担をお願いしておりますが、そういった現役並み所得者の給付において、公費が投入されていない部分についての問題提起といったこともございました。少なくとも今回現役並みの所得の基準を見直す場合においても現役世代の負担増とならないようにし、現役世代に対する財政支援を行うことも検討する必要があるといった御意見でございました。
5点目以降は窓口負担、2割負担等に戻るお話ですが、負担能力に応じた応分の負担といったようなこと、それを検討するに当たっては、繰り返しですが、シミュレーション等が必要になってくるのではないかといった御意見がございました。下から4つ目でございますけれども、そういった見直しの中で、受診抑制等をできる限り招かないようにするといった観点も必要だといった御意見でございました。下から3つ目ですが、こちらも先ほどございましたけれども、保険料負担の問題、そういったところへの着目も必要ではないかといったお話がございました。一番下でございますけれども、現状の実効給付率の世代ごとの違いがある中で、これをどう考えるかというのが、国民の皆様方の選択ではないかといったお話がございました。
次からはデータ編でございます。まず最初に、人口の動向について御紹介申し上げます。
10ページでございますが、何度も申し上げている御案内のことで恐縮でございますが、2022年から団塊の世代が後期高齢者にお入りになってきます。そして、2025年には団塊の世代全員の方が後期高齢者になるということでございます。改めてで恐縮でございますが、2022年の段階で後期高齢者の方の人口が2000万の直前に達するような形になります。2025年には2200万人弱程度という形になりまして、また、人口のウエートで見ますと、2025年には18.1%、その先の2029年、2030年手前になりますと、ほぼ20%に近づいてくるといったようなウエートになります。
11ページでございますが、一方、人口の増加率という観点でまとめたグラフでございます。これまた御案内のとおりでございますが、2022年から2024年にかけて、この75歳以上の方の増加率が顕著に高くなっているということが示されてございます。
12ページ以降、窓口負担の現状等についての資料でございます。
中間報告にもございましたように、一定所得以上の方には2割負担をお願いできないかという方向性が示されていますが、そういった見直しの内容を13ページの自己負担区分表でございますが、ここにどう当てはめていくのかという問題だと思います。現状の自己負担割合の内容につきましては、こちらに掲げさせていただいているとおりです。御案内のことで恐縮ですが、御紹介申し上げますが、後期高齢者の方の自己負担につきましては、1割負担をお願いしている方と3割負担をお願いしている方がございます。3割負担の方は、先ほども申し上げました現役並み所得ということでございまして、判定基準が、まず課税所得145万円以上の方でございます。加えて、収入要件も併せて設定されておりまして、単身の方でいえば、こちらに書いてございます約383万円以上の方、この基準をクリアされた、上回る方につきまして、3割負担をお願いしている状況です。
一方、その基準以下の方ですが、それぞれ一般の区分、低所得の区分でございます。一般と低所得につきましては、窓口負担は1割と同じでございますが、高額療養費の自己負担限度額に違いがございます。その線引きの部分でございますけれども、一般の方は、いわゆる課税対象の方、低所得の方は住民税非課税の方という形で、非課税、課税でラインが引かれているところでございます。それぞれの上限額についてはこの表に掲げてあるとおりでございます。
14ページ、窓口負担のこれまでの制度の変遷、推移でございます。昭和58年、老人保健法に基づきまして窓口負担が導入され、こちらに書いてあるような定額負担という形で導入されました。13年から定率1割負担を導入させていただきまして、14年からはその1割負担を徹底し、さらに、その中で現役並み所得の方に2割負担をお願いするということが14年10月から導入されました。加えて、平成18年10月から、現役並み2割の部分を、現役並みの方に3割の御負担をお願いするという形で制度改正されたところでございます。さらに、後期高齢者医療制度が発足いたしまして、平成20年からは1割負担、同様に現役並み所得の方は3割負担、さらに70歳から74歳の方につきましては、実際には御案内のとおり、26年4月以降に70歳になられる方ですが、こういった方について2割負担をお願いするという変遷でございました。
続きまして、15ページ以降でございます。中間報告の中でも高齢者の方の疾病であったり、生活状況を踏まえてといった御指摘がございました。それに関連する資料でございます。
15ページ、窓口負担額の世代別の状況でございます。このリード文にも書いてございますけれども、後期高齢者の方は窓口負担割合は1割ではございますけれども、そもそもの医療費がどうしても高くなるということから、窓口負担額も高くなるという状況でございます。具体的に申し上げますと、後期高齢者にお入りになられた75歳から79歳にかけてのこの年代層につきましては、窓口負担が1人当たり6.4万円でございますけれども、80代を超えるに当たって、むしろ70歳から74歳だったり、そういった世代の方よりも窓口負担が高くなるという状況がございます。
16ページですが、その背景でございます。繰り返しですが、高齢になるにつれて1人当たりの医療費が高くなる状況がございます。その裏返しとしての、先ほど申し上げた窓口負担の状況がございます。
続きまして、17ページです。これもいつも御覧いただく医療費分析でございますが、改めての御紹介でございます。高齢者の方の医療費がどうしても高くなる状況がございますが、その大きな要因は、一つは受診率が現役世代、若人の方に比べて高いというところがございます。逆に言えば、その1件当たりの日数であったり、1日当たりの診療費といった部分につきましては、それほど大きな違いはないのですが、受診率の違いが全体としての医療費の大きさを伸ばしているというところがございます。
18ページです。そういったことで、お年寄りになられますとどうしても受診の機会が増えるといったことがございますので、18ページにありますように、例えば年間外来受診回数というのは、世代の状況で見ますとこういった形になっていって、80代の方の回数が多くなっているということでございます。
19ページでございますけれども、こちらは東京都の広域連合さんや東京都の健康長寿医療センターのほうで分析していただいたデータでございます。27年度に報告書が出ているものですので、失礼ですが、若干古いのでございますが、御紹介申し上げます。
まず一つは疾患別の患者さんの割合ということでございまして、慢性疾患等の代表例をピックアップいたしまして、その疾患の治療中である方がどのぐらいいるかといったことが左の上のグラフでございます。それぞれの疾患において対象となる方の割合でございます。こちらにございますように、例えば高血圧症ですと、こういったかなりの方が疾患を持たれているといったことが分かります。その左の下も同様でございますが、これを年代別に見たものでございます。有病率を年代別に見たものです。
右側ですけれども、受診回数などにも関連するお話でございますが、高齢者の方は慢性疾患を複数抱える方が非常に多くなってきます。特に80歳代の方ですね。そういった方が、こういった複数疾患を抱えるケースが多くなっています。ちなみに、この報告書の中でピックアップした対象は、一番下の注にもございますように、レセプトの中で、レセプトの病名がついていて、かつ医薬品の処方がある方をこういった形でピックアップしてございますので、説明文によりますと、90代以降はむしろ処方が少なくなるという傾向もあって、その反映で80歳代が複数疾患の割合が高いという結果が出ているという御紹介もございました。
表の右の下でございますが、これは複数疾患におけるそれぞれの疾病の併存関係の割合の違いといったものを示したものです。赤い丸が大きいのは疾患率が高いもの、線が太いものは関連性が強いというか、複数持たれているコンビが多いといったことを表しているものでございます。
次に20ページからでございますが、所得等の状況でございます。
21ページ、年齢階級別の平均収入を示したものです。こちらは国民生活基礎調査に基づくものでございます。50歳代の方の1人当たり平均収入がやはり一番多くて、高齢になられますと、当然でございますが、収入が少なくなってくる状況が見てとれます。
22ページでございます。一方、医療費とそれに対する自己負担、保険料の状況をまとめたものがこの22ページでございます。先ほど来、申し上げているとおり、青い部分の医療費は当然世代が上がるごとにつれて多くなってくる、高くなってくるところでございます。一方で、下の負担の部分ですけれども、緑色の保険料負担につきましては、例えば後期高齢者の支援金といった制度を通じて世代を超えて財政負担をしていただいておりますので、現役世代層に保険料といった形での御負担をお願いしている部分もございます。斜め線の赤いものは先ほど来紹介している自己負担の部分でございますので、お年を召すに従って自己負担額もふえているというところは見てとれるものでございます。
そういった中で、そういった保険料等々を通じてこの制度を支えていただいているわけですが、その財政状況、財政の構造について改めて御紹介します。
24ページでございますが、こちらは令和2年度の予算案ベースでの数字でございます。対象となる加入者、被保険者の方が1800万人でございます。左側の数字です。そのうち、医療費で18.1兆円、うち、患者負担を除いた給付費が16.6兆円ということになってございます。右側の図に目を移していただきたいのですが、そういった後期高齢者の給付費のうち、約5割が公費で賄われてございます。残り5割を支援金と保険料でそれぞれ保険料1、支援金4という形で負担していただいている。それぞれの数字はこういったとおりでございます。
25ページでございますが、支援金という形で御負担いただいているわけでございますが、その支援金の推移が掲げられてございます。29年度までの数字がいわゆる確定賦課ベースで、30年、令和元年度の数字が概算の数字でございますが、そういった違いはございますけれども、全体的な推移としてはここに掲げられているとおりでございます。
26ページ、27ページでございます。今申し上げた支援金をはじめといたしまして、前期高齢者の納付金も含めいろいろ御負担いただいているわけですが、義務的経費に占めるそれらの拠出金負担割合というものが26ページ、健保組合さんの場合は47%になっているといったようなこと、また27ページ、協会けんぽさんでいいますと、4割弱になっているといったことがこちらで示されております。
28ページ以降でございます。こちらは窓口負担のうち、冒頭に申し上げました3割負担をお願いしている現役並み所得の方についてのお話でございます。その現役並み所得とされる判定基準について御紹介を申し上げます。
29ページ、この点につきましては改革工程表で御指摘をいただいております。現役世代との均衡の視点から、何が現役並みになるのかといったこの判定基準についても検討すべきではないかといった宿題でございます。
30ページです。同じ資料の繰り返しで恐縮でございますが、もう一度申し上げますと、この3割に該当するか否かの基準につきましては、課税所得が145万円以上かどうかがまず一つの要件で、加えてその世帯での年収ですね。生収入というのですか。その年収が単身の世帯でいらっしゃいますと約383万円以上というこの両者の要件を満たすことによって、3割負担をお願いする形になっています。ちなみに、年収要件につきましては、複数世帯の場合、御夫婦でいらっしゃる場合につきましては、下のほうに注の3がついていますが、520万円という要件がついてございます。
同じ話で恐縮です。31ページにそういった基準を改めてまとめてございます。この現役並み所得の方に1割負担に加えて御負担をお願いするというのが、平成14年から導入されています。このときは2割負担をお願いしてございます。そのときの基準の設定の仕方を現在も踏襲しているわけでございますが、その点につきまして若干御説明申し上げます。
まず、何をもって現役並みなのかということを見るということに尽きるわけでございますが、平成18年8月からのところを見ていただきますと、現役世代の平均的な収入がどのくらいかというのをまず調べます。こちらは当時の政管健保、今の協会けんぽさんですが、その加入者の中で、いわゆる平均給与、平均報酬を把握させていただきました。そのデータが18年の数字でいいますと386万円ということになります。この386万円の給与収入を得られている方の課税所得がどうなるかを計算します。もろもろの給与所得控除であったり、配偶者控除、そういったものを引いた上で、こういった収入の方であれば課税所得は145万円ということが計算されます。この145万円を共通の物差しとして、この145万円を高齢者の方でも超えている方につきましては、現役並み相当として3割負担をお願いするということになってございます。
ただ、何度も申し上げていますが、この課税所得要件に加えて、収入要件というのも設定してございます。それが下の欄でございます。繰り返しですが、単身の場合は383万、夫婦お2人の場合には520万となってございますが、この計算の仕方でございます。先ほど申し上げたように共通の物差しとして課税所得145万円を設定させていただいておりますが、この145万円が、逆に高齢者の方の場合には生収入に換算するとどうなるのかを計算しています。下から上がっていく形になりますが、課税所得145万に加えて、高齢者の方であれば受けるであろう一種モデルケースを前提にしていますが、その税金上の控除額を足し上げていきます。そうしますと、単身の方の場合には諸控除が237万円ということになりますので、いわゆる収入ベースでいうと、繰り返しですが、単身の方は383万円というようなことになるわけでございます。
ただ、その前提といたしまして、こういった現役並みの高齢者の方は年金所得、年金収入と加えて給与収入があることが前提になってございますので、そういったことを踏まえたモデルを設定して、こういった足し上げの計算で収入要件が出てきているということでございます。
32ページ、ちょっとくどい話で恐縮ですが、先ほどの改革工程表での御指摘もあったわけなのですが、この課税所得要件と、かつ年収要件、この両者の要件を用いておるわけですが、この年収要件というものを何でわざわざつくっているのだろうかという背景についての御説明でございます。
32ページの下の図の左側のほうを見ていただきたいわけでございますが、課税所得要件だけを物差しにした場合には、所得の稼得形態の違いによって、人それぞれ控除が違うということが起きます。具体的に申し上げますと、例えば同じ収入だとしても人によってその控除が違うことによって、出てくる課税所得が違ってくるということ。そこへの配慮が必要ではないかというのが問題意識でございます。
具体的に申し上げます。現行の3割負担の基準が383万円でございますので、その手前の方で382万円という方を設定します。同じ収入、382万円です。ただ、①のケースの方は比較的年金収入が多い。このケースでいいますと、モデル年金を設定しておりますが、当時のモデル年金201万円、残りを給与収入という当てはめで見てみますと、もろもろの控除の結果、この方は課税所得が144万円になります。144万円ですから、1割負担ということになります。一方で、年金収入が少なくて給与収入が多いという②のケースですが、この方の控除額を合わせて引き算をしますと、この方は課税所得が150万円になります。同一の収入ですが、片や144、片や150、さらに申し上げれば、片や1割、片や3割ということになりますので、こういった不公平感というか、そういったものを是正するために、配慮するために、右側にございますように、年収要件も加えて、同一年収であれば同じ1割にするといった形で設定させていただいてございます。要するに、前提とするモデルケースの結果出てくる収入、その収入額も要件として設定をしているというものでございます。
現状の制度の仕組みについての御紹介でございました。
33ページでございますけれども、こちらは繰り返しですが、後期高齢者医療制度の財政の概要でございます。先ほども申し上げましたが、公費5割ということで入っているわけでございますが、今、長々と御説明しました現役世代の方についてですが、こちらは健保連さんなどからも御指摘いただいていますけれども、現役並み所得を有する方の医療費につきましては、この箱の右側の公費が入っていない。こちらは支援金で御負担をお願いするという構造になっていますので、このページの一番下にございますけれども、こういった現役並みの方については公費負担がなく支援金負担となっているので、厳密に見ますと公費負担割合は47%になっているというものでございます。
窓口負担に関連する資料を御紹介いたしました。こういったことを含めまして、今後のとりわけ所得基準の在り方等につきまして、その視点について御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見、御質問等をいただければと思います。
平井委員、お願いいたします。
○平井委員 ありがとうございます。
遠藤部会長をはじめ、皆様の大変な御尽力で議論がいろいろと進展していること、感謝を申し上げたいと思いますし、濵谷局長をはじめ、厚労省のほうでも今日の資料を用意していただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
私は前の高知県知事の尾崎さんから引き継ぎまして、知事会のほうで社会保障の担当をさせていただいております。今、新型コロナなどの新しい問題も浮上していまして、皆様の御協力をいただきながら職務を進めているところでございます。
今、お話がいろいろとございましたけれども、基本的には令和4年からいよいよ後期高齢者の中に団塊の世代の方々が入ってくるということでありまして、大きな節目を迎えようとしているわけでありますから、大まかな議論の流れとしては肯定できる内容なのだろうなと感じるところであります。ただ、やはり慎重に、国民のコンセンサスを得ながら進めていかないといけないと考えておりまして、その辺はよく留意しながら、議論を理解していただく必要があるのではないかと思います。
特に今、新型コロナが問題となっていますが、今は80代とか70代、そういう方の中でどうしてもお亡くなりになる方が出始めているということであります。ですから、こうしたことが不必要な受診抑制等につながらないように、きちんとそういうものではないのだと。それから、いざというときは、例えば措置入院的なケアのやり方もあるとか、いろいろなセーフティーネットの話も含めてやっていかないと、今、我々が立ち向かうべき新型コロナ対策等もございますので、慎重な、そして丁寧なプロセスを考え、また、ほかの制度との組合せもいろいろと提示しながら考えていく必要があるのではないかと思います。
また、本日は、横尾市長、前葉市長がお見えでございますけれども、例えば所得基準のことなど、市町村の手続や窓口判定のことなどもあろうかと思います。ですから、そうした実務のことにも配慮しながら、いろいろと議論を詰めていただく必要があるのではないかと思います。また、先ほどもちょっとお話がありましたが、現役並み所得の基準のところをいじろうということになりますと、現役世代への影響ということもあるかもしれません。その辺も全体像を、現役世代対策のことも含めてよく考える必要があるのではないかと思います。
多分、この議論は大きな議論でありまして、厚労省さんの一つの普通の資料づくりのポイントがこうなのだろうといつも思うわけでありますが、とにかく医療費がかかってくるので負担を上げるのだという議論だけでもないと思うのです。持続可能な社会をつくっていくために、例えば医療もありますけれども、福祉の制度、そうした他制度との組合せの中で、人間の地域社会の生きていく手だてというのは考えるわけでございまして、そういうところを全部含めて、トータルでこれが持続可能であり、また、十分なサービスが提供できる、そういう方策だということを、よくよく国民の皆様にも語りかけていく必要があるのではないかと思います。そんなことにぜひ配慮していただきながら進めていただければと思います。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
以前も申し上げましたとおり、商工会議所としましては、今回の中間報告に一定所得以上は2割と記載されたことについては一歩前進と考えておりますが、その対象をどの程度まで絞るかによって、制度の持続性を高める効果が限定的になってしまうのではないかということを懸念しております。
加えて、新たに所得区分を設定すると制度がより複雑化してしまうことや、低所得者に配慮して既に高額療養費制度が講じられていることなどを踏まえれば、後期高齢者の自己負担割合は、原則として2割とすることが必要ではないかと思います。
また、薬剤の投与につきましても、まさに今、高額な医薬品の導入が話題になっておりますが、特に軽微な疾病につきましては、セルフメディケーション税制の対象薬剤をスイッチOTC薬以外にも拡大したり、OTC類似薬薬効群については投与を控えるなどの啓発が必要なのではないでしょうか。
以上であります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
冒頭、新型コロナウイルス対応につきましては、厚労省をはじめ関係者の皆さんの御尽力に感謝を申し上げたいと思います。健保連としても感染拡大の防止に向けて情報提供等で御協力をしていきたいと考えております。
それでは、本題でございますけれども、この後期高齢者の窓口負担、自己負担割合の在り方については、健保連としての考え方はこれまでも原則2割ということも含めて、前回も申し上げております。また、資料にも記載されておりますので、今日は今後の議論の進め方を中心にコメントをさせていただきたいと思います。
まず、資料の13ページ、まさにこの一般区分のところをどうするのかが議論の中心になると思われるのですけれども、現役世代の負担軽減につながるかどうかが大変重要なポイントだと思います。そういう意味では、この基準の設定によって財政影響はどうなるか等の試算もきちんと示していただいた上で議論を行うべきであろうと思っております。
また、その際には、2割負担を導入しても、この13ページの右側にありますけれども、現状、高額療養費制度には自己負担限度額がございますので、必ずしも自己負担額が2倍になるわけではないということも明確にした上で、正しい理解を得られるような形でもって議論を進めていただきたいと思います。
また、年齢ではなく負担能力に応じた負担を考えていくためには、課税所得のみならず、金融資産ですとか、非課税年金ですとか、そういったことも含めて検討を行うべきではないかと思っております。少なくとも幅広い議論を行うためには、資産面も含めて後期高齢者の負担能力の状況が分かる資料、これを提示していただきたいと思います。
また、先ほども大変御丁寧な説明がありましたが、資料の最後のほうで31ページから32ページですけれども、まさに課税所得計算に当たっての控除のところについては、ある種、現役世代との比較において二重控除の問題であったり、また、特に公的年金等控除の金額、控除の水準の問題などはあると思いますので、本来はこの各種控除の在り方についても、負担能力の評価というためには検討が必要ではないかと考えております。
資料は戻りますけれども、15ページです。こちらに年齢階級別の1人当たり窓口負担額という記載があって、高齢者になるほど自己負担額が大きくなるというデータがございますけれども、この窓口負担の額の大小だけの比較では正確ではないだろうと思います。資料22ページに保険料負担も含めた表が載っておりますけれども、保険料負担も併せた形でもって、これも含めた様々な視点でもって検討していくべきであろうと思っています。
最後ですけれども、現役並み所得の関係です。最後の33ページでございますけれども、これは何度も申し上げておりますが、本来、後期高齢者の医療費の財源は公費が50%となっていますけれども、この資料にありますとおり、現状、現役並み所得者には公費が入っていないということで、公費部分は47%ということになっています。単純計算でありますけれども、16.6兆円の3%、約5000億円が、本来公費で持つものが現役世代の負担増加につながっていると思っております。そういう意味で、現役並み所得の対象、基準を見直すときには、この公費負担の減少分が現役世代の負担増にならないようにするのは当然だと思いますし、少なくとも支援金を負担する現役世代への財政支援を含めた配慮、これを重ねてお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。石上委員、どうぞ。
○石上委員 この間も発言をしてきているわけですが、後期高齢者の自己負担割合の在り方については、引き上げることで生活の維持に困難を来しては困ると思いますので、その所得水準の設定については、生活への影響を含めてシミュレーションを丁寧に行って検討する必要があると考えています。
その一方で、資料の11ページで示されている、2022年からの後期高齢者の増加が現役世代の保険料負担にどういった影響を与えるのかという視点も必要だと思います。医療費全体が上がっていく中で、当然保険料負担が増え続けるのですけれども、高齢世代が増加していくことによる影響が保険料にどういったインパクトを与えるのかといった視点も当然必要だと思いますので、そういった議論もお願いしたいと思います。
また、資料の21ページでは年齢階層別の平均収入が示されているのですけれども、同じ年齢階層でも収入の大きい小さいというのは当然あるのだろうと思いますので、できれば年齢階級ごとの収入の分布なども資料が必要なのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
安藤委員、お待たせしました。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず、医療保険制度に関しまして、今までも同じことをずっと言ってきているのですが、後期高齢者の窓口負担2割につきましては、負担能力に応じた負担とすることを基本的な考え方としつつ、現役世代の負担軽減につながる仕組みとするようにすべきであると考えております。
具体的な判断基準につきましては、所得に応じて1割、2割、3割負担となっている介護保険なども参考にしつつ、複数のパターンで対象者数であるとか医療保険財政に与える影響等を算出していただき、資料として御準備いただくとよいのではないかと考えております。
また、新たに2割負担となる後期高齢者の方々の理解、そして、納得を得ることも非常に重要であると考えております。医療保険制度を持続可能なものとするためには、医療費の適正化を図ってもなお負担能力のある方に、追加の負担をお願いする必要があるということを説明する必要があると思っております。
そのためには、薬剤給付の在り方など、医療保険の給付範囲の見直しは避けて通れない課題だと思います。医療保険制度全体としてどのような方向で改革を行っていくのか、全体像を共有しながら議論を行うことで各論の議論もしやすくなるのではないかと思いますので、事務局におかれましては、そのような議論に資する資料の準備、議論の進め方をお願いしたいと思います。
もう一点、その他なのですけれども、新型コロナウイルスにつきましては、現在、医療現場では院内感染のリスクを不安視する声があると聞いております。医療機関におかれましては、様々な形で院内感染対策に取り組んでいただいており、本当に頭が下がる思いでございます。懸念されることは、高齢者や基礎疾患のある患者さんが、定期的な通院のため医療機関にかかって、新型コロナウイルスに感染してしまうことです。一昨日に政府が策定しました基本方針の中でも、今後の対策として電話での診療による処方箋の発行などを検討されているようですが、こういった有事の際には、ますますオンライン診療が必要となっているのではないかと考えております。オンライン診療につきましては、来年度の診療報酬改定におきまして若干の要件見直しが行われておりますが、現在の情勢に鑑み、オンライン診療の柔軟な活用を検討すべきではないかと考えております。
私どもの加入者は4,000万人を超えております。その4,000万人の加入者の方たちの健康を守るためには、現在持病を持った方たちが、病院に行った際にコロナウイルスに感染してしまうのではないかと思って、医療機関にかからない方、そして逆に、自分が病気を持っていて、なおかつ若干の発熱や症状が出ている方につきましては、逆に今までかかっている医療機関にて、検査をしてもらえないことで、違う医療機関にかかるといったこともあると思います。その方が仮に陽性であれば、ますます感染を拡大してしまうことになると思いますので、その辺を踏まえ、御検討いただければと思います。
そして、感染診断のためのPCR検査なのでございますが、今、いろいろな報道で保険適用すべきであるとの声がかなり出ているように思っております。私は専門家ではありませんが、対策を進めていく上で、早期に感染者の把握を行うことは当然のことであると考えます。PCR検査そのものは、既に各種の病気の診断において行われ、その病気ごとにPCR検査の点数も異なっておりますが、新型コロナウイルスについてのPCR検査の保険適用について早期に行うべきかとも考えておりますが、事務局のほうの御意見はいかがでございましょうか。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、事務局、お願いいたします。
○樋口室長 保険医療企画調査室長です。
新型コロナウイルス対策に関するPCR検査につきまして、御質問、御指摘をいただきました。現在、厚生労働省におきましてPCR検査の体制整備を着実に進めているところでございますけれども、このPCR検査につきましては、感染拡大防止を目的とした公衆衛生施策として行政において実施することとなっておりまして、現在費用は公費負担とされております。
しかしながら、今後患者数がさらに増加いたしまして、検査の主たる目的がおのおのの患者の診療に移っていく場合に備えまして、必要な作業を進めまして、保険適用が必要になった場合にはすぐに対応できるように準備してまいりたいと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 安藤委員、よろしいですか。
○安藤委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 ほかにいかがでございましょう。
池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
まず質問と、あとは意見なのですけれども、まず、この現役並み所得に対するいろいろな細かい対応をしながら、この20年4月からスタートするということで、以前にも説明があったかもしれませんけれども、これが実施されてどれくらいの財源が生み出されるか、もし試算があればお聞かせいただきたい。現状のやり方でスタートさせて、どれぐらいの財源が生まれるかをお聞かせいただきたいということが質問です。
もう一点は、18ページの年間外来受診回数が、当然年齢が上がるごとに多くなっている。ただ、これは一番ピークが、80歳から84歳が35.8ということと、月3回の平均ということになります。イメージとしては、1医療機関にかかっていれば毎月3回かかることはほとんどないので、これは恐らく多数の医療機関にかかっていった合計の回数となりますと、むしろどれくらいの医療機関をかかっているか。この医療機関の数も非常に重要になってくる。というのは、かかりつけ医がある程度の生活習慣病等をしっかり一元化して管理していく体制ができれば、この回数は減らせる可能性があるということを考えて、今後に生かしていけるのではないかと思います。
一方で、85歳以上が減っている。これはひょっとしたら、外来に通えなくなった方が訪問診療、往診等で対応する、ここも外来と同じような対応をする場合が出てくるのではないか。この辺の数も知りたいなということを感じましたので、その辺の資料がもし次回以降でそろえられることがあれば、ぜひお示しいただければと思います。
最後ですけれども、前回もお話ししましたように、この議論はここの大事な保険部会の議論プラス、国民がどう考えるか、両方の双方向でやりとりしながら落としどころを見つけていかなければならないということ、先ほど平井委員がおっしゃったとおりだと思いますので、私からも付け加えさせていただきます。
以上、質問1点と意見でした。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、事務局、コメントはございますか。
○込山課長 恐れ入ります。
現役並み所得者の方の給付への影響という御質問だったと思いますが、今、手元にないものでございますので、次回なりに御用意したいと思います。恐れ入ります。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでございましょう。
横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。
最初から詳しい説明をいただいて、誠にありがとうございました。全世代型社会保障検討会議の概要が分かりましたし、団塊の世代が後期高齢者になる経過も分かるし、財政状況や財政の構造的なことも最後に触れていただいたと思っています。それぞれのページを繰りながら、感じたこと、気づいていることをコメントさせていただきたいと思います。
4ページにありますように、全世代型社会保障検討会議の中間報告、ちょうどこのページの中段にあるように「具体的には」以降のアンダーラインがあるところが今回のテーマで、特に2点、後期高齢者に関する一定所得以上の方に関する負担を2割とすべきということ、そして、その際には様々なそこに書かれているような検討を十分にすべき、これが一つのポイントだと私自身も思っています。要するに、窓口負担の在り方、そして、佐野委員もかねておっしゃっているように、若い世代の皆さんの負担を今後どうすべきかがいつも関連して出てくると思っています。そこで、この窓口負担については、前回も申し上げましたけれども、ここの4ページの記述にもあることをベースとして、ある程度の一定所得以上の方については、お互いに負担能力に応じて負担するというのが原則だろうと思っています。
ただ、ポイントは13ページにもございますように、どこで線を引いて基準とするかというのは、十分な慎重な議論や検討が必要だと思っています。また、突然その基準から少し上がると一気に負担率が上がりますので、そこら辺のちょうど端境のような境目はどのように配慮をすべきなのかは慎重な議論も必要なのかなと感じています。そうしなければ、5万円か10万円違っただけでいきなり上がってしまいますので、そこら辺は十分な検討をお願いしたいと思うところです。
2点目は、15ページから16ページのところに、1人当たりの医療費のことや窓口負担のことが書かれています。私はこういった統計等を見るときにいつも気になるのが、平均値のトリックということです。例は医療についてではありませんが、過去の例でいいますと、何歳ぐらいで一般の方が結婚をされているかという年齢を調べたデータがあります。そのときはたしか27~28歳と出ているのですけれども、でも、実際に調べてみると結婚年齢は2つの山があって、ラクダでいうと2つのこぶがあるのです。24~25歳の頃、そして、30歳前後です。ところが、全体を平均してしまうと真ん中の27~28歳と出てくるのです。28歳をベースに議論していると、実は実態とは違う議論になってしまうのです。ですから、ここは1人当たり全国平均ということだと思いますけれども、所得階層や様々な事情で、多分具体例は違ってくると思うのです。
端的な例を申し上げますと、元気な健康な活動をされている年配の方はおられますけれども、この方々はあまり医療費がかかっていないわけです。でも、片方ではたくさん医療費を必要とする、医療を必要とする方もおられます。平均が今出ている数字で、90万円から100万円と後期高齢者の場合は出ているのですけれども、そこを少し精査いただいて、どういったケースの方、どういった場合にはどうなっているのかを十分に踏まえていただきたいと思っています。これはそれこそが一人一人に寄り添う厚生行政の基本だと思いますので、そういった細かい作業になるかもしれませんけれども、ぜひお願いしたいと思います。以前ならばこんなことは全くできなかったと思いますが、現在はデータベース並びにデジタルツールがございますので、いろいろ可能ではないかと期待を寄せておりますので、よろしくお願いしたいと思っています。
次に、説明がありました32ページにある収入要件のことですけれども、こういった配慮はとても大切なことで、今回はこうやって図示し、また、チャート化して数字も出していただいていることはいいなと思っています。ともすると、こういったことを軽んじてしまうと不公平感や不公正感が残ってしまいますので、こういった配慮はぜひしていただきながら、議論を前に進めるのが大切だろうと思っているところです。
そして、33ページには全体の構造図が出ています。今回の議論に皆さんからの意見は出ていないのですけれども、ただ、若者負担のこと、佐野委員がおっしゃるようなことを考えると、一つは、今回出ている2割の負担は個々人がどうするかという負担率ですけれども、これは一定所得に応じてということで可能だと思いますが、構造的にこの財政構造、財政の仕組みをどう変えていくか。すなわち、それぞれの負担について、この色分けされているものの負担比率をどうするかも議論が本当は必要かもしれませんけれども、その辺については、もう少し時間と細かい作業をした上での検討が必要ではないかと思っています。もし同時にこれを扱ってしまうと、大変大きな世論的にも議論になってしまうし、大きな課題かと思っています。でも、行く行くはそういったことも検討しなければなりませんので、ぜひ厚生労働省におかれましては、中長期的な観点を踏まえた上で、省外に出すかどうかは次の段階だと思いますけれども、ぜひ本質的な議論もしっかりしていただいて、必要なときに適宜こういった改善ができるのではないだろうかということも提起いただくことも、とても重要なことだろうと考えているところでございます。
それに関連しますけれども、25ページには高齢者への支援金、26ページから27ページには高齢者へのそれぞれの拠出負担のことが出ていまして、健保組合並びに協会けんぽのことのそれぞれの時系列の変化なども出ています。実は保険制度を考えていくと、不思議なことに、いつも思っているのですけれども、共済組合というのが片方であるわけです。国家公務員や地方公務員の皆さんです。そういった方々も財政的には負担されるわけなので、可能だったらそういったこともシミュレーションしていただくとかということも、より多くの国民の皆さんの理解のためにも必要ではないかということを感じたところです。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。
森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
これまでの繰り返しになる部分がありますけれども、意見を述べさせていただきます。最初に、事務局から受診率の違いが医療費に影響があるというお話がありました。まさに高齢者の特徴として、複数の疾患に罹患して内科にかかり、整形にかかり、眼科にかかり、そうした複数の診療科を長期に受診している患者さんも少なくありません。これは19ページにも慢性疾患の保有状況ということで書いてありますけれども、そうした方のほとんどが受診のみならず、各診療科で出されたお薬を服用しています。また、高齢者は若い人に比べてどうしても容体が変化しやすいということもあって、受診回数も増えているのが現状ではないかと思います。
そうしたことから、17ページにありますけれども、若い人に比べて1人当たりの医療費がどうしても高くなっています。そうした中、窓口負担が、前回もお話ししましたように10%増えるのではなくて、負担として考えると倍になってしまいます。16ページに85歳以上の方の1人当たりの医療費、年間110万となっていますけれども、1割負担で11万円だった方が2割になると22万円の負担となります。月当たりに考えますと1万円弱の負担増になります。今後、一定所得以上の方を2割ということで考えていくことになると思いますが、課税所得の区分を変えると保険料にも影響してくることも考えられます。そうしたことを考えると、高齢者の特徴を踏まえて、長期に複数の診療科を受診しているケースや所得区分を変えることによって自己負担と保険料が変わるなど。そういう様々なケースを想定して慎重に検討していく必要があるのでないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
確かに財政が大変な状態において、何とかしなければならないのは事実です。ただ、1割を2割にしたら、患者さんの受診が半分に減るということではありません。つまり、かつて無料であったときから有料にしたときにかなり効果が出たのは事実ですが、負担を増やせば増やすほど財政的によいのではなく、逆に受診抑制が起きて、本来であれば高血圧の薬を飲まなければいけなかった人が飲まなくなり、糖尿病の治療をしなくなったりすると、最終的に脳梗塞で倒れたら、寝たきりの期間が長引くだけで大きな費用がかかってしまいます。そういったことを考えますと、単純に1割を2割にすると財政的にいいかというと、私は簡単な話ではないと思います。むしろ原則1割にして、その中で働いて、余裕がある人に負担を求めるという考え方については賛同できますが、やはり1割というのは大事な話だと思います。
というのは、お年を召した方の中には、これまでの条件で年金の計画を立ててきた方もいらっしゃるでしょう。老後の計画を皆さん立てて、1割で医療費はそれほど高くなくて、暮らしていけると思っている方に、突然倍の費用がかかるというのは少し乱暴過ぎるのではないでしょうか。そういったことから考えれば、やはり段階的な対応をすべきであり、十分な議論をしなければならないことだと思います。
先ほど、安藤委員からオンラインを進めるべきというお話を聞きましたけれども、今回、コロナウイルスというのは本当に緊急問題で、お年寄りの人も体が弱い人も含めて、医療機関に殺到して感染しまうことのないようにということであります。私どもは電話再診をきちんと利用すれば対応できると思います。オンラインでなければそれができないわけではありません。津々浦々に普及している電話を用いた再診が、保険上、非常に使いやすい形になり、その結果として処方でき、その効果によって、乗り切れるような形にすればいいと思います。
御存じのように、コロナウイルスというのは4種類、現在もあります。その後、SARSが増え、MERSが増え、そして、今回は新型のコロナウイルスが増えたわけです。コロナウイルスというのはもともと2月ぐらいの寒い時期がピークであります。そういった時期を、つまり、2月、3月を超えるために自粛するというのは、非常に自然科学的に正しいやり方です。この時期を乗り切るというのは大変大事なことでありますから、電話再診をうまく利用して、大きな変化のない方はそれで済むような形に中医協で十分に議論していただき、対応していただきたいと思っているところであります。
もう一点、PCRの話がされました。PCRを保険適用にすれば全て解決するというわけではありません。現在、コロナウイルスのPCRの保険点数はございませんけれども、今なぜ困っているかというと、PCRが十分にできないからです。はっきり申し上げますと、医療機関から保健所にPCRをお願いしたいといって断られる、あるいは連絡がつかないという声が次々と各医療機関から上がってきています。つまり、そのような状態で幾ら保険適用にしても関係ないわけです。多くの方々がコロナウイルスに感染し安定してきた時期には、速やかに中医協で議論してPCRの点数を決めねばならないと思いますが、現在困っているのは、医師が判断しても、PCRの検査ができないということであります。
PCRには2つ問題がございます。一つは、PCRの機器の問題です。もう一点は、PCRのための検体をを取るためには、採取するために完全防護服で対応しなければなりません。インフルエンザのように、診療の合間ではできません。そういったことも考えれば、今の段階では、医師の判断のもとに、帰国者・接触者外来できちんと防御して検体を取るようにすれば、安全性は高められます。また、普通の診療所に行って検査するより、帰国者・接触者外来でまとめて検査されたほうが、安全性は高いと思います。また、待合室で感染する事も防止できます。厚生労働省の医政局が中心となると思いますけれども、速やかに努力していただかないと、検査をせずにそのまま外へ出てうつしているという現象が起きたら、ますます大変なことになります。本質をもう一度見定めていただきたいと思います。
PCRの機器というのは、ほかのウイルスのチェックにも使います。かなりの台数がございます。そして、プライマーを設定すれば、今回の新型ウイルスにも簡単に対応できるものです。他の国で大量にできて、なぜ日本の国でできないのか。他の国からおかしいのではないかということを言われています。そこのところを整理していただいて、速やかにPCR検査ができ、そして、適切な治療ができるように対応していただきたいと思います。
RNAウイルスを抑制できるインフルエンザ用のアビガンが効くか分かりませんけれども、日本はアビガンを備蓄するという大変よい施策を打っています。この薬が効けば、PCRで検査して治療ができれば、速やかにこの事態は収束されると思います。ぜひ厚生労働省の皆さんには頑張っていただきたいと思っているところでございますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
兼子委員、お待たせしました。
○兼子委員 ありがとうございます。
私は高齢者の立場なのですが、先ほど少しやり取りのあったことと重なるのかもしれませんが、一つは、窓口負担を上げていくということが医療費の抑制とどう関連するのかということは、ぜひ丁寧にやっていただきたいと思うのですが、今日の資料の14ページに患者一部負担の推移というものが出ています。昭和48年から入って、私が社会人になって間もなく保険料の負担部分、高齢者の部分ですね。公費負担ということで始まって、年齢を重ねるごとに窓口負担がだんだん増えていく。そのような経過をたどってきたわけですけれども、できましたら、この全体を含めて一部負担によって医療費全体がどうであったのか。私はそれを振り返っていただく必要があるのではないかと思います。
この流れを見ていきますと、先ほど何人かの方から御発言がありましたけれども、原則2割の方向に持っていくべきだという考え方もあるわけです。それは社会的にも結構そういう考えの方も多いのではないかと思いますが、今回、一部2割について導入されれば、長期的に見ていくと、これは全体2割の方向ということに一歩進める形になるのではないかと思います。私が懸念するのは、高齢者全体の平均というよりは、高齢者の年金生活の方が今、半数ぐらいでしょうか。その中でも基礎年金の収入に頼っている人も結構多いわけです。ですから、経済的に所得が低い方々にとっては、この窓口負担の強化は非常に大きな影響を与えると思うのです。
私は専門家ではありませんけれども、やはり医療というのは早期発見、早期治療、それによって重篤化を防いでいく。これは医療にとってもプラスになると思いますし、社会全体としても、例えば私たちの世代でも、早いうちに健康を回復すれば、それは社会的な様々な活動にもつながるわけです。今、介護保険との関連では、高齢者が集う場が必要なのだと。人とのつながり、あるいは、その人とのつながりによって様々な情報が得られる。こういったところに早期発見、早期治療でやっていけば早く復帰できるわけですし、社会的に活躍する力のある方は様々な地域の活動、あるいは就労のほうでまた復帰する方も中には出てくるのだと思います。そういった点で、私は窓口負担の強化はやるべきではないと考えております。
それから、医療のリスクというのは何なのかということを、今回のコロナウイルスの件で考えたのですけれども、これはある意味では交通事故とか、そういった社会的なことから起きてくるリスクのほうが私は大きいのだと思うのです。今日の資料の19ページで後期高齢者の疾患保有状況というものが出ていますけれども、例えば高血圧症が非常に高いとか、こういうものが出ています。高血圧症にしても、確かに中には個人的な嗜好で塩分が多いものを取るとかという方もあるのかもしれませんけれども、医療に対する知識ということでいえば、先ほど言いましたように、所得の低い人たちのことを考えますと、そういう教育の機会、あるいは社会生活の中でまた改めて教育を受ける機会、情報を受ける機会、そういったこととの関連でも、所得が低いことによってこういった知識から遠ざかる。あるいは様々な社会的なストレス、そういったことでの医療のリスクということですので、そのことを考えると、個人の方の窓口負担の強化で対応すべきものなのかどうなのかということでも疑問を持っております。
それから、特に資料は持っておりませんけれども、しばしば新聞、雑誌等で見ますが、幾つかの自治体で後期高齢者の医療費の公費負担をしているところもあるわけですが、そういったところでどういう結果が得られているのか、あるいは財政的にどうなっているのか、こういったことについても資料を提供いただきながら検討していただく必要があるのではないかと私は思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
前葉委員、どうぞ。
○前葉委員 ありがとうございます。
市長の立場ですから、当然、後期高齢者医療保険の保険者の立場もございますし、国保の保険者として後期高齢者への支援をどうするかということもありますが、これはまた別の機会とさせていただいて、今日は高齢者の方の生活というか、もっと言えば家計、お財布ですね。それをどう考えるのか。フローで収入、支出をどう見るかというところについて、ぜひ具体的に見える化をしていただければこの議論が進むのではないかという立場で発言をさせていただきます。
介護保険の負担あるいは給付、そして、年金がどうなっているかということ。それから、所得については、言わば金融資産のお話もございましたが、むしろフローベースで考えると、不動産をお持ちの方が不動産家賃収入をどう得ているのか、あるいは株式や投資信託をお持ちの方が配当をどう得ておられるのかということなど、高齢者の方々のお財布の状況をぜひモデル的に早期にお示しをいただいて、それを基に、2割負担となる具体的な高齢者の姿をイメージできるようにするとよろしいのではないかと思っております。
そうしないと、後期高齢者の方に2割をお願いしていくに当たって納得感、もちろん2割は嫌だという声も大きいとは思いますが、一方、自分の所得だったら、同世代に比較して自分の所得は恵まれているので、これは2割負担してもいいよねと、現役並みで3割御負担いただいている方と同じような納得感を醸成していく。あるいは後の世代、これは世代を超えてなのですけれども、次の世代のためにも自分たちがあまり支援ばかりしてもらうのではなくて、進んで負担すべきだという、そういう気持ちも出てくる。その辺りの納得感を得られるようにするには、かなり説得力のある姿が見えないと、なかなかそれは難しいのではないかと思っています。様々な世代の市民の生活がございますので、それぞれの立場でうまく皆さんがそうだよね、この辺りだよねという感じになるような、そういう議論が進むことを期待させていただいております。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
後期高齢者の窓口負担や保険料を上げるというときにいつも思うのですが、意外と後期高齢者自身、今の後期高齢者制度の財政上の負担について、かなり知識のある方でも知らない方がいらっしゃる。要するに、これだけ公費が負担し、しかも、必ずしも財政が豊かでない医療保険の団体を含めて、現役世代からこれだけ支援してもらっているということを知らない。費用負担の上昇だけ認識されているところがございます。
私はこの負担割合を見ると、こういうところへ来ましても本当に身が縮む思いでございまして、若い人にこれだけ負担してもらっているのだよなということを、ぜひこういう議論が起こるたびに原点に立ち返って、国民全体に知らしめていただきたいなと思っております。そして、ありがたいと思っております。
だからといって、今、ほとんどの人が年を取る社会でございます。大部分の人が75歳以上まで生きます。ですから、高齢者が小さくなる必要もこれまたないのでございまして、今度のような70歳以上が2割に上げたとばかり思っていたら、そして、75歳になれば1割に戻るのだからしようがないわと思ってこの該当年齢の方は受け入れたと思うのですけれども、それが何年もしないうちに、せっかく75になったのに全然1割にならないで2割のままだったという、この世代の方にどのように丁寧に説明するかが一つ課題だろうと思っております。
それと、この全体資料の13ページを見ましても、一般という方、900万人、後期高齢者医療制度加入者の過半数を占める方々、高齢者といっても非常に幅がございますから、丁寧な区分、丁寧な説明資料を出していただきたいと思っております。例えばこの一般の900万人の中に年収155万から383万という、※がついて説明がございますけれども、単身世帯を前提としてモデル的に計算されたものとありますが、説明を聞くと余計に分からなくなってしまうのですが、155万から383万というと2倍半の格差がございます。この辺を一くくりにしてしまって議論していいのかどうか。
メディアなどでもいろいろな工夫をして、こういうときに様々な家計のモデルをつくって説明したりしております。なかなか標準化が難しいということはよく分かっておりますけれども、ぜひこの問題もせーのドンではなくて、丁寧に議論したということを皆様に分かっていただくためにも、できますればこの155万から383万という書き方ではなくて、もう少し分かりやすく例示できないものでしょうか。高齢者の家計の標準モデルなどというのは、これはまた別な方面からたくさん政府関係でも出ていると思います。それらの家計のモデルに沿って、2割負担になる人がどれだけ、どこで線を引くのか。くれぐれも低所得者の方には配慮をしつつ、そんなモデルを、国民に分かりやすいような資料ができないものだろうかということを御検討いただければ幸せだと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、堀委員、それから、菅原委員の順番でお願いします。
○堀委員 これまでもお伝えしてきましたが、一定の配慮が必要であることは理解しますが、原則2割とすることが現役世代の負担を過度に上げないという意味で重要だと考えます。10ページの資料にありますが、平成28年度は、後期高齢者数は約1700万人。この数値は、13ページの資料の後期高齢者の窓口負担及び高額療養費自己負担限度額のデータの年次の合計数とほぼ同じだと思います。平成28年度に1700万人が、令和4年度には1962万、そして、2178万、つまり、平成29年度に比べますと400万人以上増えます。コロナウイルスという緊急的なものも非常に重大な問題です。しかし、2割以上後期高齢者が短期間にこれだけ増えるということも別の意味で非常に喫緊かつ重大な社会的な課題です。今ここに上げられている多くのデータが現状のデータを基に上げられていますが、団塊の世代が後期高齢者になった後の時代を想定したデータはほとんどないように感じます。団塊世代が後期高齢者になった後の時代の医療保険の持続可能性、財政的な持続可能性をどう確保するかを真っ先に優先するべきではないかと思います。
なお、区分の線引きについて今後議論をするということが出てくるかと思うのですが、その際には、現役並み所得がそもそも課税所得145万以上でいいのか、あるいは、先ほど控除の話も出てきましたが、年金控除も含めた所得控除の話も含めてこれで本当にいいのかというのを改めて議論すべきであると思います。
また、以前指摘したことに関係するのかと思いますが、13ページの図表に高額療養費の自己負担限度額とセットで示してくださっているので、これは非常に感謝いたします。だだ、現役並み所得の3割のところも、実はこれは省略されているのだと思うのですが、高額療養費制度は3区分がございますので、そことの整合性がどうなのか。制度はシンプルでないと分かりにくくなりますし、医療保険で個人的に得をするためどうすればよいかを考えて行動するというような悪インセンティブが生まれる可能性もあります。社会保険としての医療保険は、個人の損得勘定を超える連帯によるもの、つまり、社会的リスクの分散するものですから、みんなが納得して負担をわかちあうためにも、分かりやすさが重要だと思いますので、高額療養費との区分の見直しを含めて考えていく必要があると思います。
また、繰り返しお話ししていますが、制度の持続可能性と納得性を高めるためにも、丁寧に国民に説明をすべきで、特に現在1割から2割になる人と、2割のまま負担維持の人では説明の仕方にも工夫が必要です。2022年から後期高齢者となる団塊世代については仮に2割の対象となったとしても今と同じで負担増にはなりません。一方、現在、1割から2割の人には丁寧に説明すべきで、先ほど2倍になるというお話もありましたが、単純に負担が2倍ということではないことを理解してもらうべきです。高額療養費制度もありますし、実効給付率を見ましても、2倍になるということはないと。
また、先ほどのオンライン診療であるとか、複数疾患を見ることが可能なかかりつけ医の普及であるとか、そういうことが進めば、窓口の負担が増えることもなくなりますし、受診回数が減ったとしても、後期高齢者にとっても生活の質が上がるということがあると思います。
それから、15ページの図表の年齢階級別1人当たり窓口負担額につきましても、これも多分ミスリーディングが起きると思うのです。恐らく外来だけではなく入院も含まれているのではないか、外来だけか分からないのですが、やはり中身を細かく見ていかないと、この数値だけだとミスリーディングをするのではないかと思います。
もう一度繰り返しますが、国民全体が納得をして制度的な持続性を確保するためには、丁寧な説明が必要であると思いますので、そこのところを繰り返しお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
15ページについて、1人当たり窓口負担について、これは外来だけではないのかという御指摘だったのですが、事務局、これは説明をお願いします。
○仲津留課長 調査課長でございます。
これは外来だけではなくて、入院と外来、また調剤等に関しての自己負担が入っております。
○堀委員 そうだとすると、高額療養費制度で最初から現物給付という形で、窓口負担として平均的に8万円払っているということではないですよね。
○仲津留課長 そのとおりでございます。窓口で払ったものから、最近は高額療養費も現物化している部分が多いですけれども、後で償還払いで返ってくる部分を差し引いた数字になっております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。補足の説明をいただきました。
菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。
まず最初に、既に数名の委員からもお話があったところですので簡単にいきますけれども、15ページ目、16ページ目、18ページ目、21ページ目の資料に関しましては、丁寧な議論を進める上で、平均値的なデータだけを出されてもなかなかきちんとした議論ができませんので、各年齢階層別に負担や医療費のかかり方について、分布がどうなっているかはきちんと出していただきたいと思います。
ほかの委員のお話もありましたけれども、これは高齢者の負担能力に関する本質的な議論をしなければいけないので、高齢者の家計の状況ですね。支出だとか収入のもう少し詳しい状況が分からないといけませんので、厚生労働省内のデータではないかもしれませんけれども、家計調査や生活実態調査等々のその他の調査もきちんと見ていただいて、高齢者の生活実態がより分かるようなデータが準備されるとよりいいかと思います。
それを踏まえて、今回の後期高齢者の自己負担の在り方のことについて、私なりの考え方を述べさせていただきます。恐らく後期高齢者の自己負担の問題というのは、本質的に2つの公平性に関する議論が含まれているのだろうと私自身は考えています。一つは、全世代型社会保障検討会議の中間報告にあるように、現役世代の負担の上昇を抑制することが前提になっていますので、これは恐らく世代間の負担の公平性を担保したいといった問題です。
もう一方で、75歳以上の高齢者内部において現在の負担割合を変えるという話になりますから、これは75歳以上の高齢者の中の世代内での負担の公平性をいかに考えていくかという問題を同時に含んでいるわけです。まず、世代間の負担の公平性の観点から考えると、これは皆さん御周知のとおり、今後の急激な人口構造の変化だとか、生産年齢人口の急減といった事態を我々は迎えるわけですから、我が国の人口構造の最大のマスである団塊の世代が後期高齢者を迎える局面においては、現在以上のある一定程度の御負担をお願いしていくことは、非常に遺憾ではありますけれども、ある程度はやむを得ないのでないかと。この点については国民の理解を得ていくことが大事だと考えています。
一方で、高齢者の所得格差は若年世代に比べても大きいということが自明ですので、この格差の状況を鑑みて、低所得者に対する配慮は当然不可欠であります。ただ、前期高齢者の原則2割負担をそのまま後期高齢者の移行時に継続していくことは、実質的には大きな負担増を実感されることなく、懸念される受診抑制の効果を考えても、それを最小限にとどめる、そういうタイミングではないかと考えております。
次に、75歳以上高齢者内部の、先ほど申し上げた世代内での負担の公平性について考えますと、現行の1割から2割負担への水準範囲を議論するのでありますと、要は、1割から2割に変わる層が当然出てくるわけですから、引上げ対象となる方々の負担の集中の緩和等を図る必要があるかと思います。ですから、負担割合変更に伴う75歳高齢者内部の負担の公平性もきちんと考える必要があります。
ですから、この議論をするに当たっては、今、3割になっている現役並み所得と判定をされている75歳以上高齢者ということがあるわけですけれども、この方々に対しての適用の範囲ですね。基準についても同時に議論をして、75歳以上の高齢者の方々の中での公平性をきちんと考える必要がある。それが議論としては整合性があるのではないかと考えております。
一方、この話をしてしまいますと、このような議論の過程において、現役並み所得の者を増加させることになりますから、直接的にはこれが現行制度上では、現役世代の負担増につながってしまうという問題があります。先ほど、佐野委員からもお話がありましたけれども、この点については冒頭の全世代型社会保障検討会議の中で言われている世代間の負担の平準化、公平性を図る観点から、当該変更に伴う負担増分については、当然、現役世代の支援措置を別途検討する必要があると考えております。
とりあえず、以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 再度の発言で申し訳ありませんが、私は前にも発言しているのですけれども、所得に応じて負担するという応能負担という考え方は、それはそれでいいのだと思うのですが、負担の問題は窓口負担の問題と保険料負担の問題、こういったところもよく見ながら議論していただかないと、窓口負担のところだけの議論がかなり今の議論の場になっているように思うのですけれども、保険料負担のところで見ますと、世代間の不均衡というよりは所得格差の不均衡のほうが私は大きいと思うのです。やみくもに保険料を上げるということではないのですけれども、公的な負担の部分、それから、現在は被用者保険の場合は基本的に事業主の負担があるわけですが、そういったものも見ながら、私は今の保険料の負担でいえば、最高負担額が100万弱のところでとどまっているわけですが、こういったことも緩やかな形で見直すことによって別の財源ということが出てくると思うのです。
この議論は今の保険の在り方の基本的な問題になるかと思うのですけれども、例えば大まかに言うと4つの保険の制度があるわけですが、こういったことも含めて、その間の公平性の様々な問題も抱えていますので、私は長期的な観点からいけば、この保険料のところ、要するに、保険財政の根本のところをどうするかを議論していかないと、窓口負担のところでは解決し得ない問題が出てくるのではないかと思います。
高齢者、老人クラブの団体、全国で大分減りまして、500万ぐらいしか今はおりませんけれども、多分多くの人たちは、こういう窮状を訴えられたときに、高齢者の気持ちとしては、協力したいのだという気持ちは大変強いのです。それだけに、私はその人たちの判断の材料として、窓口の問題だけではなくて保険料の問題とか、そういったことも含めてきちんと情報提供しないと、この高齢者の今の国の窮状に対して何とかしたいという気持ちが、どこかでそこが正しく反映されない結果になるのではないかと思いますので、先ほどの発言に補足させていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
酒向参考人、どうぞ。
○酒向参考人 まず、13ページの後期高齢者の自己負担割合の見直しに関わりまして、意見を申し上げます。全世代型社会保障検討会議の中間報告では、現役世代の負担上昇の抑制という視点が盛り込まれたところでございます。こうした視点に従いまして、改革の効果がしっかり最大限に出るような改革を行っていただきたいと考えているところでございます。その観点から、2割負担の対象の線引きの在り方につきましては、住民税非課税世帯の方々はともかくといたしまして、対象を極力広げるような考え方でお願いできればと思っております。具体の線引きの在り方につきましては、樋口委員から先ほど御指摘がありましたように、もう少し資料を丁寧に作成いただけると大変ありがたいと思っております。例えば15ページ、16ページは、平均値だけではなく、ボリュームゾーンなどに関する資料も今後御用意をいただけるとありがたいと思っております。
また、別の視点でございますが、14ページにこれまでの負担増の推移といったものの紹介があったところでございますが、これまでの医療保険の窓口負担の上昇に伴いまして、特に御高齢の方々の健康状況が施策の変化に伴って非常に悪くなった、受診抑制に伴って健康状態が悪くなったという研究があるようであれば、御紹介いただければと思っております。
もう一点でございますが、後期高齢者の窓口負担を1割から2割に上昇させても、必ずしも負担は2倍にならないといった点については、きちんと併せて御説明いただくことが重要であると考えております。
続きまして、現役世代の負担でございますが、現役並み所得の対象者が増えると現役世代の後期高齢者支援金が増加するということについて、きちんと公費等の在り方も含めた改革が必要であると考えております。
最後でございますが、制度の持続可能性を高めるという観点から、給付と負担の改革と併せて医療費そのものの改革と適正化ということも大変重要でございまして、こちらは全世代型社会保障検討会議の中間報告の第3章に書かれているということで、今回の資料の5ページ目に御紹介があるところでございますが、いろいろな改革を組み合わせていくことが大事になると思っております。今回、後期高齢者の自己負担割合の見直しということになりますと、高齢者の医療の確保に関する法律、高確法の改正がされると理解しておりますが、特に高確法におきまして、医療費適正化を都道府県が中心になって頑張っていこうというコンセプトが書かれているところでございます。この実効性を高めるような改革も併せて、ぜひこの部会で御議論いただければと考えております。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますか。
どうもありがとうございます。大体御意見は頂戴したと思います。積極的な御意見、ありがとうございました。
それでは、本題についてはこれぐらいにさせていただきたいと思いますけれども、いろいろと御意見をいただきましたので、事務局においてはそれを整理しまして、今後さらに議論を深めていけるように、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、特段何か御意見がなければ本日はこれにて終了したいと思いますが、よろしゅうございますか。
それでは、次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡をさせていただきます。
それでは、本日は御多忙の折、御参集をいただきまして、ありがとうございました。