第288回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(令和元年)10月16日(水)9:30~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
専用第21会議室(17階

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵

(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 永井 幸子
  • 仁平 章

(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 正木 義久
  • 森川 誠

議題

  1. (1)労働者団体からのヒアリング(公開)
  2. (2)派遣先企業からのヒアリング(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第288回労働力需給制度部会」を開催いたします。
本日は、公益代表の藤本委員と労働者代表の奈良委員が、所用により御欠席されております。議事に先立ち、お手元に配布しております委員名簿のとおり、村上委員が退任され、労働者代表委員として仁平委員が就任されました。仁平委員に御挨拶をお願いいたします。
 
○仁平委員 おはようございます。先週の定期大会で村上と交代いたしました仁平と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 どうぞよろしくお願いいたします。村上委員におかれましては、平成27年10月に着任され、その後4年足らず、この需給部会において非常にいろいろな御意見を頂き御協力していただきました。この場を借りて私から感謝申し上げたいと思います。
本日は、労働者団体からのヒアリング、派遣先企業からのヒアリングを行います。このうち労働者団体からのヒアリングについては公開で実施いたしますが、派遣先企業からのヒアリングについては、公開することにより不利益を及ぼすおそれがあるため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方々には、労働者団体からのヒアリング終了後に御退席いただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。
それでは議事に入ります。議題(1)「労働者団体からのヒアリング」について、資料の確認と併せて、御出席いただいている方の紹介を事務局よりお願いいたします。
 
○清水補佐 労働者団体として、連合ユニオン東京から書記長の今野衛様にお越しいただいております。資料は資料2となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ただいま事務局から御紹介いただきました連合ユニオン東京の今野書記長におかれましては、大変御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。今野書記長からは、労働者団体の立場から派遣制度について御意見を述べていただければと思いますので、まずは15分程度御説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。今野書記長よろしくお願いいたします。
 
○連合ユニオン東京今野書記長 よろしくお願いいたします。連合東京内に個人でも加入できる労働組合があり、私はそこの書記長をやっております。基本的に連合東京の職員は、労働相談を受け団体交渉をするというのが基本的な業務の1つとされておりますので、私自身こういう相談を受けて団体交渉をするのは、もう27年間ずっと続けてきております。連合東京の中でも今、常時4人ぐらいのスタッフがいて、常に皆さんからの相談を受け、場合によっては会社側と団体交渉をしております。年間でおおむね2,000件ぐらいの相談があります。これは延べ人数ではなく、個人の積上げの人数になります。行政では、何度も何度も来た数をカウントして何万というようになりますが、私どもの場合はそういうカウントはせず、来た個人数でカウントしておりまして、おおむね2,000件。そのうち年間で15組合ぐらいは労働組合を設立してその団体交渉に当たることもあります。個人で言うと、おおむね150名ぐらいの組合員に入ってもらい団体交渉するということを毎年行っているところです。
今回、このヒアリングに当たり、派遣労働者からの相談件数は何件か、少し時間を掛けてカウントしたら、おおむね130~140件ぐらいでした。これは全体の相談者数からすれば7~8%ぐらいで推移しているということです。ただ、人材派遣協会の資料によると、雇用者数全体に占める派遣労働者数は2~3%で推移していることからしても、やはり派遣労働に関するトラブル比率はやや高いということを常に感じてきたところです。相談内容ですが、一番多いのは雇止めの件です。契約打切り、契約更新なしといった内容で、40%前後。契約の中途解除35%、ハラスメントが25%、契約の相違20%という流れになっております。それぞれの特徴的な相談事例についても、報告していきたいと思っております。
2の派遣先の団体交渉の応諾義務について、事例を出していきたいと思っております。私どもでも派遣先への団体交渉申込みというのはよくやっています。実際我々の感覚でいうと、派遣先に団体交渉を応諾していただいているというのが実態であります。なぜ応諾されるのかというと、基本的にここで起きている問題はハラスメントなのです。ハラスメントの証拠が明確にある場合、これは派遣先の企業にもほぼ応じていただけます。基本的には、ハラスメントが発生して、その相談者がその企業で働き続けたいという場合に、我々は派遣先に団体交渉を申し入れるわけです。そういう場合でいうと、ほとんどのケースで会社側に団体交渉に応じていただいて、円満にそのまま働き続けられる環境を得ているというところです。
事例の1つ目、御紹介いたします。パワハラの相談事例でした。私自身もこの4月以降2件、団体交渉を会社側にしていますので、その事例を紹介したいと思います。1件目は男性派遣社員です。4月に相談に来ました。派遣先で激しく叱責を受けた事例です。上司が非常に気性が荒くて、常に部下に当たり散らす方でした。ですが、営業成績がその方はトップクラスなものですから、誰も諫めようとしなかったということです。
派遣社員は3か月ぐらいたったところで、ちょっとしたミスをしてしまったのですが、それ以降激しく叱責、怒声で叱責するような形でした。携帯電話で全て録音していたのです。このときにあったのが、「お前の頭は中学生並だな」、「親の顔を見てみたい」、「俺の酒飲めないのか」、「俺は絶対的君主だから、お前は命令に従え」みたいな怒鳴り声が、録音されておりました。普通にこれをやられれば鬱になってしまうと思ったのですが、母親が息子のケアをしていて、比較的大丈夫だったということです。
この相談者、上司との関係はそのように最悪だったのですが、それ以外の方との関係は非常に円満で、自分自身もスキルアップにつなげていきたい、この会社で働き続けたいという話でしたので、団体交渉を派遣先のほうに行いました。このようなケースで派遣元に相談しても、どうしても歴然とした力関係があるものですから、ハラスメントの問題はほとんど解決しません。我々も何度か団体交渉をしていますが、どうしても「別な職場に行ってください」という話になり、別の所に行かれるような形が多いです。そのまま今度は新しい別の社員が行って、同じ上司からハラスメントを受けるという悪循環になってしまうものですから、我々は、そこで派遣先に職場環境改善の申入れを行いました。
すぐに顧問弁護士から電話が掛かってきました。パワハラの実態をその場でお話をして、音声もあるのです、このようなことがあったのです、至急職場改善をお願いしたいのです、私どもは、ただそれだけなのですという話を派遣先にしたら、やはり団体交渉に応じますという話になりまして、そこで実態の話をしました。会社側もまずかったというところはすぐ認め、その上司は譴責処分で別の部門へ異動となり、本人は今現在では新しい温厚な上司に付いて、うまく仕事を続けているところです。
2点目のセクハラの事例は今年の6月ぐらいにあったのですが、これもかなりひどい案件でした。派遣社員の女性が派遣先に行ったら、部長からセクハラを受けたという事例です。この会社は販売会社であり、もともと入ったのは販売営業で入ったのですが、ほかの仕事を一部やらせていただいて、その上で仕事がどんどん楽しくなっていったというところです。しかし、部長が彼女をすぐに気に入って、得意先回りなどに連れて行くようになりました。しつこく食事などにも誘うようになったのですが、彼女は嫌で嫌でたまらなかったということです。
様々な理由をつけて断っていたのですが、何度も何度も誘われ、それを断り続けるのも非常にまずいものですから、ほかの女性の上司が入ったときに、一緒にお食事をお付合いしますということで行ったそうです。食事に行ったところ、食事が終わる寸前でその女性の上司が急に職場に帰られて、二人きりになってしまって、無理矢理タクシーに乗せられてラブホテル街に連れ込まれそうになったと。彼女は、本当にお願いですから帰してくださいと懇願したそうです。それであきらめてもらい、その後、タクシーで駅まで送られたそうですが、そのときに無理矢理、体を触られたということでした。これをきっかけに彼女は食事が食べられなくなって、眠れなくなって、私の所に来たときには激痩せしていました。ずっと食事が食べられないとのことでした。
彼女に、今後どうしていきたいか、話を聞いたら、仕事自体には非常にやりがいを感じているため、会社は辞めたくない、ただ、このセクハラ上司との関係は断絶したいということでした。このケースも恐らく派遣元に言っても全然埒が明かず、別の会社を紹介されるのではないかと思い、派遣先に団体交渉を申し入れました。
すぐに弁護士から電話が掛かってきて、そのセクハラの実態を御報告しました。そしたら、団交だとは言わないのですね、お話を聞かせていただきますという話でした。話し合いの結果、もともと痩せていた方ですが6キロも痩せてしまって食事も食べられないので、1か月休養として、有給休暇をもらいました。その上で、上長は処分が下されて自分から退職していきました。彼女は1か月後に元気に復帰して、今でも働いているというところです。
これらの事例を踏まえた上で、私たちは、派遣先が団体交渉に応諾すべきだと思います。セクハラ、パワハラといったハラスメントは派遣先で起きているわけです。力関係がはっきりしている派遣元では解決ができないというのが実感です。加えて派遣先に団体交渉をすることによって、円満に解決できる糸口が見えてくるのではないかと思っています。今日は時間がないので報告はしませんが、法廷闘争に行って、解決の糸口が見えなくなるケースも非常に多いです。訴訟となると派遣労働者は派遣先、派遣元両方とも訴えますので、最後まで派遣先がその裁判に付き合わされるという実態もあります。やはり団体交渉で解決できるものであれば、したほうがいいのではないかと思っています。
3の派遣者の特定目的行為については、詳細は控えますが、短期間の雇用にもかかわらず調査会社によるバックグラウンドチェックを行われた、長時間にわたる事前面接が実施された等といった相談事例がありました。現在、特定目的行為に関する罰則規定はありませんが、整備が必要ではないかと考えているところです。
最後に、生活保護受給者と派遣労働についてお話したいと思います。よくこれはネットなどで、生活保護を受けるのが得か、派遣労働で働いたほうが得かの議論があります。ネット上で、派遣社員をやるぐらいなら生活保護を受給したほうがましだというような意見は非常に多いです。ですが、私が現場で見ていると、生活保護の方たちは自立していく過程の中で、派遣労働、派遣会社に頼っているのです。これを通じて自立していくというケースが非常に多いのです。我々もそれはサポートしております。ですので、この生活保護から自立していく過程の中で、派遣会社は大きな社会的価値というか、大きな高い価値があると私自身は非常に思っております。
実際派遣で働き始めた人が、自立していく過程、生活保護受給を打ち止めにして自分で生活をしていく過程というのは私どもも何度も見ています。アルバイトではキャリアアップにならないから、正社員になれないのですね。生活保護受給者が正社員になるところが、多分自立の最終過程なのかとは思うのですが、そういう意味では本当に我々も応援しております。
生活保護受給者は社会的に孤立している人が多いです。友達とお酒を飲みに行くことや、旅行に出掛けることもやはり自制している人が多いのです。派遣労働で働き始めて、いろいろな人に出会って、経済的な要素だけではなくて社会的な要素を持ちながら回復していく姿は私どももしばしば見ているところで、失った自信を取り戻していく過程をたくさん見ているのですね。最終的に言えば、福祉政策と労働政策を融合させて、そこで適切な仕組みができないかと常に思っているところです。生活保護受給者を自立させるための支援活動をやっていますが、派遣労働を使って自立していく人たちが多いものですから、何となくその枠組みができないかと思っているところです。
その上で、重要な2点だけは指摘しておきたいです。これは生活保護受給者だけにとどまらないのですが、契約の途中解除は、やはり生活の基盤を一気に崩壊させるものです。今、理不尽な契約解除が非常に増えているように私どもも思います。例えば能力不足や協調性に問題があることを理由に、「あなたは契約解除です」と言われ、路頭に迷う方たちが非常に多いです。この点については派遣先や企業への厳罰化は求めていきたいと思います。一方で、派遣元でも、契約を打ち切るといっても残余期間があります。残余期間のところ、今まで1,500円で働いていたのに、あとの残余期間働かせてくれというと時給1,000円ぐらいしか払いませんという対応も見られます。この残余期間のところで言えば、現行契約の賃金は保障していただきたいと思います。
2点目は、実効性ある雇用安定措置の強化が必要です。派遣先への直接雇用の依頼がうまくいけば、無期雇用契約が成立した場合、多くの生活保護受給者が自立できると思います。何度も何度もそういう人たちから我々の所に電話が掛かってくるのですが、一定の生活を取り戻せると、本当に見違えるような生活や顔になっていくものです。是非こういったところをやっていただければと思っているところです。以上、私からの報告とさせていただきました。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、これから皆様の質問を受けたいと思います。自由に御発言ください。木住野委員、どうぞ。
 
○木住野委員 今日はありがとうございました。今日は実態ということで大変貴重なお話だったと受け止めました。質問が2点あります。パワハラ・セクハラの問題では派遣元の団交応諾のケースが多いというお話を伺いましたが、この団交応諾の権利義務関係というのは派遣の場合は、すんなりいかない部分があるというのは承知していますけれども、これを法制度としてもう少し踏み込んだ整備を行うとすれば、具体的にはどういうことがあるか、ひとつお聞かせいただきたいというのが1点です。
もう1点は、最後の生活保護受給者の就労促進についてです。派遣形態というのは非常に有効ではないかという御指摘を頂いて大変興味深く伺いました。これについて制度的に具体化というのはまだ難しいのかもしれないですが、もし、何か具体的にお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。以上です。
 
○今野書記長 派遣先の団体応諾義務については、結構、私も悩んでいるところがあります。通常の団交拒否で言えば労働委員会を使った救済申立てをするという形になると思います。恐らく最終的な命令がなくても、その後の審議の経過の中で、お互いが和解案を見いだす方法はあるのではないかと思っています。ただ、現実的に言うと救済申立てをしてから、労働委員会の1回目の審問まで最低でも1か月かかる話です。派遣労働者の場合で言えば緊急性があるわけです。ほかの労働者と比べて緊急性があるという中では、法律上の応諾義務というのを明記し、そこで団体交渉に応じることが必要と思っています。具体的に言いますと、派遣法の枠組みで派遣先への団交応諾義務を明記していくべきと思っています。恐らく、労組法の使用者性を見直していくのは時間がかかると思いますので、早い方法で言うと派遣法の中で対応するのが一番いいのではないかと思っています。
2点目に、生活保護受給者の部分について、様々な就労支援対策が講じられているのは聞いていますが、なかなかうまくいかないところがあると思います。とにかく働きたい、生活保護から抜け出したいという人はかなり多いと私は思っていて、そこを派遣会社の人たちも積極的に応援できる枠組みを、社会全体で考えていくべきではないかと思っていたところです。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。松浦委員、どうぞ。
 
○松浦委員 今日は貴重なお話をありがとうございました。御質問させていただきます。1つが今のお話に関連することで、もう1つは別の質問で、2つあります。1つ目の質問は、生活保護からの自立プロセスの中で、派遣システムが非常に重要な役割を果たしているというお話がありましたが、恐らく短期の派遣から、いずれは希望があれば無期雇用までキャリアアップにつなげていくことが、非常に重要だというお考えかと思います。そういう中で、現在、日雇い派遣が原則として禁止されていて、生活保護からの自立プロセスの中で日雇い派遣を活用することが難しい状況になっていると思います。この生活保護からの自立プロセスという観点から、日雇い派遣をどういうふうに捉えていらっしゃるかについて、御意見をお聞かせ頂けないかというのが1つ目の質問です。
もう1つの質問は、派遣契約の理不尽な中途解約が見られるということですが、これに対する具体的な対処として、どういうことが有効だと思っていらっしゃるかについて、もし御意見があればお伺いしたいです。一般に、派遣契約の中で中途解約した場合は、違約金が発生する等何らかの対処ができるような文言が入っているのではないかと思うのですが、そういう中でも悪質な中途解約が発生しているのか。そこら辺の具体的な状況や対処について御意見があればお伺いしたいというのが2つ目の質問です。
 
○今野書記長 生活保護の方で、私どもに相談に来る方というのは圧倒的に女性の方が多いです。例えば雑貨屋さんなどで販売員という形から派遣労働を始めていく方たちが多いのではないかと思います。そんな中で日雇い派遣という形では、最終的な無期雇用での働き方につながらないと私は思います。こういう所で半年働きました、次はこういう現場で働きましたというキャリアがあると、新しく販売員募集などがあって申込みをしたときに割と採用されやすいところがあります。しかし、日雇い派遣でのキャリアはカウントされず、さらに生活の不安定さを増してくるのではないかと思います。そこは原則的に長めの契約で働くことが重要ではないかと思っているところです。
あと、中途解約については、正直、理由がよく分からないのです。それは派遣先と派遣元の関係になってくるものですから、一応、派遣元にはそれっぽい理由は言われますけれども、よくよく聞いてみると、そうでないのではないかという話が労働者のほうにはあって、これが訴訟に移行するのです。訴訟にいってしまうと、結局、派遣元、派遣先の両方を訴えるというケースが非常に多いです。これが併合審理になって一緒にされます。「もともとは派遣先のほうがそう言ったから、こういうふうになったのでしょう」とお互いが喧嘩し始めるようなところもあります。先ほどの話に戻りますけれども、労働組合の団交で中途解除の理由をもう少し明確にしないと、その先に進めないと私は思っています。ここは本当にブラックボックスで、我々にとっては中途解除の理由は本当に見えないです。ですから、見えるようにしていかないといけないのではないかと思っています。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。小野委員、どうぞ。
 
○小野委員 今日はとても分かりやすいお話、ありがとうございました。今の松浦委員の話と似ている部分があるのですが、中途解除だけでなく雇止めもですけれども、雇用安定措置に関してそろそろどういう動きが出てくるか分かり始めていると思います。それに関連して何か相談があったとか、その相談に関して派遣元や派遣先と何か交渉した事例があったら教えていただきたいのですけれども。
 
○今野書記長 その点は難しいですね。雇止めのところについては、争点は期待権が発生しているかどうかというところでしか、今のところ対応できないと思っていますので、事情は聞きます。契約に杜撰な所があったり、あるいは本当に期待を削るようなことを言ったか言わないかぐらいでしか、対応できないです。実際上、雇用安定措置がやられているかというと、やっている所は極めて少ないというのが実態ですよね。我々としても雇用安定措置を求めていきたいと思っています。
 
○小野委員 続けてですが、私のほうでいろいろ周りの派遣会社であったり労働者の方にお話を聞くと、雇用安定措置で例えば直接雇用であったり、逆に派遣元での無期雇用を希望するかという話になったときに、そのまま派遣のほうがいいという方も結構いらっしゃるのですが、その辺の感触とかはおありでしょうか。
 
○今野書記長 それはいらっしゃると思います。そういう働き方を選ぶ方たちもいらっしゃると思いますが、そもそもの話で言うと職場で困っている方たちがこちらに相談に来ているわけです。それなりの仕事を求めますとか、そういう時給で満足していますという方は我々の所に来ないと思いますので、そこのところは正確に我々が意見を言えているのかというと、生活に困っている人たちの声は言えると思いますが、それが全体の意見かというと少し違うかもしれません。
 
○小野委員 なるほど。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 ほかに、正木委員、どうぞ。
 
○正木委員 どうもありがとうございました。特定目的行為について、短期間の雇用にもかかわらず調査会社によるバックグラウンドチェックの実施等、そのコストをかけているほうが信じられなくて異常な事例のような気もします。一方でミスマッチをなくすために、働き手側がこういう職場だと思っていた、こういう職場だと分かっていれば就業しなかったなど、事前に派遣先の会社について知ることができたらよかったという趣旨の御相談があれば教えてください。
もう1点が、就職氷河期対策などで引きこもりの方が自立していくことは重要だという話の中で、先ほど松浦先生がおっしゃったように、まずお試しで働くとか少し短期間で働くとか、そういうステップも必要ではないかと思います。そういう意味で年収500万円という日雇いの要件について、どう思われますか。この要件を外せば、まず働きに出てみるということができるのではないかと、先ほどの松浦先生の質問を聞いて私は思ったのですが、その点についてどうお考えか教えてください。以上、2点です。
 
○今野書記長 引きこもりの方たちからの相談は私どもの所に来ないですね。ですから、お試し期間というのは正直、私どもはよく分からないです。離婚などを経て子供がいて、そこで生活困窮に陥り、生活保護受給していた方たちの支援というのは非常に多いですが、引きこもりの方たちがここに相談に来るという形はなく、その点については私も専門家でないので何とも言えないですね。申し訳ないです。
それと、事前面接についてはそういう意見もあるのですが、ただ、制度の基本的なことを言えば、派遣元でスキルを把握した上で派遣するのが、派遣制度だと思います。本当に実態からすると、もしかしたらそういうところもあるのかなと思いますが、特定目的行為をやってしまうとバックグラウンドチェックや、事前面接に長時間かけるといった、こんなの派遣ではないと言われるところまで制度が崩れてしまうと思いますので、そこは原則に戻った中での運用というところが重要なのではないかと私は思っています。
 
○鎌田部会長 いいですか。ほかにございますか。佐久間委員、どうぞ。
 
○佐久間委員 佐久間と申します。よろしくお願いします。今日はありがとうございます。2点ほどお伺いしたいと思います。派遣労働者の方について先ほどセクハラとかパワハラの関係のお話を頂いたところですが、年間で延べ2,000人もというお話で、もちろん、その中で同じ職場にいたいという方もいると思います。実際、パワハラ・セクハラの要因と、雇止めのようにそのまま居たいという方の要件は違うと思います。一番多い形というのは、私どもは中小企業が多いものですから、事業所と言っても職場が狭い所で、ちょっと異動されても隣にいたりとか、そういうことになると、先ほどのようにセクハラ・パワハラになれば損害賠償を求めて他の会社に行ってしまう。そういう所はまた派遣してほしいという依頼が多いのかなと思うのですが、実際の話、どちらのほうが多いのか。もう1回、派遣元に戻って、違う会社を紹介してほしいという依頼が多いのではないかと考えたのですが、その辺の感触を教えていただきたいと思います。
それから、ユニオンですと個人で加入する形になります。派遣労働者は初めはどこの労働組合にも加入していないですが、ユニオンの存在を知って加入していこうと考えると思います。そこの中で雇止めか何かで正社員になってしまったら、その会社に労働組合があればそちらに加入していくのか。二重加入の問題はあるかもしれませんが、そこに入った後、または残った後にユニオンのほうに加入し続けていく例が多いのか。それとも会社に労働組合があって加入資格があれば入って、ユニオンのほうは脱退していくのか。その傾向というか感触について教えていただきたいと思います。お願いします。
 
○今野書記長 1点目の話はおっしゃったとおりです。多くの方たちは、セクハラ・パワハラがあれば別な会社に行きたいという気持ちが圧倒的に多いことは事実です。ただ、一方でそこの会社に居続けたいという人がいるのも事実なので、その場合は団体交渉を派遣先と行うというところです。別の職場に移りたいと言った場合は派遣元に対応を求めます。これ以上、彼がこちらで働き続けることは無理ですと派遣元に言って、そういった場合は、できるだけ同じ条件で本人が就業できるような形の所を用意してください、派遣会社には抗議してくださいという話で終ると思います。こちらのほうが実態的にはかなり多いと思います。パワハラ・セクハラを受けた所にいたくないという人のほうが圧倒的に多いと思いますが、一部には先ほど御紹介したとおり自分のスキルを失いたくないという人がいて、ハラスメントの対象者が1人だけであり、対処できるという場合は派遣先に団体交渉に行くというところです。
また、ユニオンの関係で言いますと、多くの方たちは問題が解決すると辞めていってしまう人が非常に多いです。ただ、我々は社会的な役割として組合活動をしているので、他に労働組合があるのであればそちらに移行してもらいますし、そのまま我々の所に残って、日常的にアドバイスを受けたいということであれば残ってもらってという形ですが、あまり強制はしていません。あまり強制はせず、「困ったときや何かあれば来てください、そのときはいろいろアドバイスしますからね」というところで対応しています。そのようにして、社会全体の労働の枠組みが健全化していくのではないかと考えて活動しています。
 
○佐久間委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 いいですか。それでは、次のヒアリングもございますので今野書記長に対する御質問はここまでにしたいと思います。非常に貴重なお話を伺って、派遣労働が生活保護受給者の自立の1つのツールになるというお話がありましたが、それが私にとっては新しい視点を頂いたなと思っています。確認ですが、生活保護受給者というお話でしたけれども、これは生活困窮者という視点にも広げて考えることができるのですか。終わりになって質問して申し訳ないですけれども。
 
○今野書記長 広げて捉えたほうがいいと思います。
 
○鎌田部会長 相談のときに生活困窮者の方も御相談に来られているということ。
 
○今野書記長 来ます、来ます。
 
○鎌田部会長 そうすると派遣労働というのは、場合によっては自立化の1つのツールということで位置付けている。
 
○今野書記長 そうですね。そこからみんな始めているのではないでしょうか。自分がどういう業種でやっていきたいかというのは、多分、派遣元の人たちのほうがよく分かっていらっしゃると思います。その人たちのキャリアを付けていくというところで少しずつスキルが上がっていき、いつか無期雇用にいくという人たちが多いと思っています。
 
○鎌田部会長 分かりました。ありがとうございます。今野書記長におかれましては貴重な御意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。引き続き、労働者団体からのヒアリングを行いたいと思いますので、お席の移動をお願いいたします。
 
            (連合ユニオン東京退席、人材サービスゼネラルユニオン着席)
 
○鎌田部会長 それでは、準備が整ったようですので、事務局より御紹介をお願いします。
 
○清水補佐 労働者団体として、UAゼンセン人材サービスゼネラルユニオンから事務局長の柴田弘樹様にお越しいただいております。資料は資料3です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ただいま事務局から御紹介いただいたUAゼンセン人材サービスゼネラルユニオンの柴田事務局長におかれましては、大変御多忙のところ、本部会に御出席いただき誠にありがとうございます。柴田事務局長からは、労働者団体の立場から派遣制度について御意見を述べていただければと思います。まず、15分程度御説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。それでは、柴田事務局長、よろしくお願いいたします。
 
○UAゼンセン人材サービスゼネラルユニオン柴田事務局長 皆さん、こんにちは。JSGUの柴田でございます。本日は、貴重なお時間を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。私からは資料3に沿って説明を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、JSGUは企業の枠を越えて集い連帯するゼネラルユニオンです。1つ目に、組織構成としては2019年4月現在の組合員数は2万5,108名、雇用の内訳は無期雇用は1万6,677名、有期雇用は8,431名です。構成する派遣会社の内訳としては、サービス業派遣は3社で4,359名、製造系派遣は1社で2,390名、技術系派遣は3社で1万8,081名、その他の3社は278名となっており、ユニオン・ショップは9社、オープン・ショップは1社、以上、人材サービス企業が合計10社で働く派遣社員などで組織されております。
2つ目に、取組概要です。結成背景としては、UIゼンセン同盟、現UAゼンセンですが、また、連合東京の相談窓口に派遣請負スタッフから様々な悩みが多数寄せられたため、2004年5月に結成いたしました。私も当時は、建設施工管理の技術者として派遣会社で働いておりました。当時のことなので皆さんの御想像どおりだと思うのですが、会社の環境が非常に劣悪で、仲間同士で集うたびにどうにかならないかと、打破するには労働組合を作るしかないのではないかという話も出ていたのですが、直接、連合やゼンセンに相談に行くということは思い付かずにそのまま話は過ぎておりました。しかし、今、説明差し上げたとおり、私たちの所属する派遣会社も組織化され、労働組合ができ仲間内で非常に喜んだのを昨日のことのように覚えております。
話が逸れましたが、説明を続けます。先に説明のとおり、10社の人材サービス企業を横断的に組織し、集団的労使関係を築いている国内で唯一の単一労働組合、ゼネラルユニオンとして運営しております。企業横断的に組織し運営しておりますが、企業ごとにユニオン・ショップ協定を結び、企業ごとの集団的労使関係をベースに、長期的で全体的な労働環境の整備や労働条件の継続的改善に努めております。
活動内容に関してです。経営対策と労働条件対策を最も重視しており、経営対策については「労使関係の一層の強化・発展」を図ることによる派遣業界の健全な発展を通じての雇用拡大を基本的な考えとして、組合員の雇用確保、労働条件の維持・向上のため企業の存続・発展に協力、その成果としての企業利益の分配に対しては、組合員にとっての正当分配を要求し、交渉によって獲得を目指しております。したがって、企業業績の確保・向上に資する活動を現場の実情や組合員の声を踏まえた上で行っているところです。特に企業のコンプライアンスの徹底は基盤を支える重要なテーマと捉え、実態のチェックと課題把握を行い、労使協議等を通じて改善・是正を働き掛けることが当労組としての重要な役割であると認識しております。
次に、労働条件対策です。「組合員の雇用安定・確保、労働条件の向上」を目指し、日常活動では現場組合員の苦情処理、個別オルグ等や各種集会・会議での意見集約で問題点を拾い上げ、適宜改善を図っております。また、毎年春に行われる賃金闘争では、上部団体であるUAゼンセンの方針を基に、賃金・一時金、労働条件の向上についての要求案を組み立て、JSGU加盟の各企業と団体交渉を行いますが、JSGUの統一的な要求については、毎年2月にJSGU加盟企業の経営者を一同に集めた「合同労使フォーラム」を開催し、JSGUの考え方を説明しております。派遣法の改正時にはコンプライアンスの徹底を促進するなど、賃金・一時金はもとより法改正に沿った要求も行っております。
また、JSGUの重視している活動の中には、組合員が孤立しないように、組合員が所属する会社単位で組織する分会活動(タテのつながり)と、地域で組織する支部活動(ヨコのつながり)があります。「分会」は、「組合員の声」を集め、労働条件の向上や職場環境の改善を目指した、団体交渉、労使協議会のほか、異なる派遣先で働く同じ会社の仲間が職場集会や交流会に集い、交流を深め、情報交換などを行う場となっております。一方、「支部」は全国を8支部に分け、同じ地域に住む仲間が分会や会社の枠を越えて家族も参加できる交流会の実施、また、労働組合や共済制度の知識を深めるための勉強会を行っており、ともに各地域支部にて年に数回行い「ヨコのつながり」を深めております。
JSGUとしては、「派遣という働き方を否定するのではなく、働き方の1つとして認めた上で、派遣の持つ問題点を改善してほしい」、また、「派遣はダメ、規制すべしといった単純な見方ではなく、派遣就労は、現状の正社員や直接雇用の従業員としては働けない事情を抱える人たちの就労の機会・働き方の選択肢でもあるということを分かってほしい」という考えが派遣労働に対する一貫した主張です。
では、ここからヒアリング事項に対するJSGUとしての考え方を述べさせていただきます。ヒアリング事項の項目に沿って説明いたします。まず、(1)日雇い派遣についてです。原則禁止された日雇い派遣については、派遣労働者の雇用の安定及び安全衛生の管理が担保されないのであれば、いわゆる17.5業務と呼ばれる業務以外に、禁止の例外を広げるべきではないと考えます。
続いて、(2)雇用安定措置についてです。雇用安定措置が定められる以前より、派遣現場の実態としては、絶対数は少ないにしろ派遣先での直接雇用は行われていました。また、当該改正や労働契約法の改正に伴い、派遣元に義務が発生する前に派遣労働者として派遣元における無期雇用化も進められております。1号措置が実施された者の派遣先での雇用形態を見たとき、派遣先での直接雇用になってはいるものの無期雇用は5人に1人の割合であることから、当該措置において雇用の安定が確実に図られているとまでは言えないのではないかと考えております。
続いて、(3)派遣期間制限についてです。個人単位及び事業所単位の期間制限となったことにより、派遣先・派遣元はもとより派遣労働者自身においても分かりやすい制度となり、運用がしやすくなったとの声が多く聞かれております。派遣元において無期雇用となれば、派遣期間の制限を受けず同一の組織において長期就業が可能になるなど、雇用の安定が図られるように見えるが、実態としては働く場所を選べなくなるなど、派遣労働者の働き方の自由度が奪われることから無期雇用を望まない派遣労働者も少なくありません。
(5)その他の検討事項に対するJSGUとしての意見です。1つ目は、グループ企業内派遣の8割規制。厚生労働省「関係派遣先派遣割合報告書」にあるように、8割を超える派遣実態は年々減少しておりますが、引き続き厳しく指導を行っていただきたい。続いて、許可制です。厚生労働省の指導状況から無許可派遣に対する指導数が伸び、反面、偽装請負に対する指導件数が減っているが、届出制から許可制へ移行していない派遣元に対しては、派遣の実態が残っていないか、また、請負に変わっている場合には、適正な請負となっているのか引き続き実態の確認と指導を行っていただきたい。また、従来より許可を有して労働者派遣事業を行っている派遣元事業主であって、許可申請されていない事業所で派遣事業が行われている疑いがある。実際に許可を有さない事業所において派遣事業が行われているのであれば、厳しく指導を行っていただきたい。続いて、法令違反を繰り返す派遣元の公表。現在、法違反を犯した派遣元は、人材サービス総合サイトにおいて改善命令から許可取消命令までの範囲で公表されているが、より厳しく派遣事業の適正運営を求めるのであれば、同一条項違反に限り、都道府県労働局長からの是正指導が複数回にわたって行われた場合には、その事実を公表することで法違反に対する抑制力があるのではないかと考えます。
4ポツです。その他、JSGUからの要望です。今回のヒアリング事項にはありませんが、平成29年9月10日に行われた第10回同一労働同一賃金部会において、当労組会長の梅田が労働側の意見として発言した、派遣元事業主の労働保険・社会保険未加入問題があります。本件は、派遣元事業主の必要経費を抑え、その分、派遣労働者の時間給に上乗せする、若しくは派遣料金額を低く設定するなど、派遣労働者及び派遣先事業主に対して利益があるように見えますが、そもそも法違反であり、なおかつ、派遣労働者が労働災害に被災する等の不測の事態が起きた場合、派遣元が雇用者として課せられる補償が履行されないことなどが考えられますので、労働者のためにも引き続き指導の強化を要望します。なお、このような派遣元事業主が存在することは、当該派遣元を離職しJSGU加盟組合の派遣元に入社、組合員になった時点で当該労働者より前職の情報として寄せられるケースから実態があると認識しております。
本件に加えてのお願いとなりますが、このような違法行為を行っている派遣元事業主から派遣労働者の労務提供を受けている派遣先事業主に対し、派遣元の法違反が是正されるまで取引を行わないよう何らかの抑制施策を検討していただけないでしょうか。以上です。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございました。それでは、このお話に関して御質問をお願いいたします。
 
○仁平委員 柴田事務局長、貴重なお話をどうもありがとうございました。雇用安定措置の所で書かれておりますが、1号措置が実施されたもののうち無期雇用は5人に1人の割合、その当該措置において雇用の安定が確実に図られているとまでは言えないのではないかと御説明いただいております。2つ質問いたします。
1つ目は、5人に1人の割合ということについて何らかの傾向があるのか、人によるのか、会社によって違いが生じるのかという感覚の話で結構なのですが、1つお聞かせいただけないかということです。2つ目は、雇用の安定が確実に図られるとまでは言えないということで、具体的にここを改善するにはどのような方策があるのか、もしお考えがあれば聞かせていただければということです。
 
○柴田事務局長 ありがとうございます。まず、1つ目の5人に1人の内訳についてです。こちらは厚労省の資料を見ている中で出てきた数字です。私どもJSGUの中としては内容が違うものですから、具体的な部分に関して述べることはできないということで御理解いただければと思います。
2つ目の雇用安定措置についての具体的な、というところです。派遣労働者の派遣先による直接雇用については改正法の施行以前より進められており、しかし、その実態としては派遣元の待遇よりも悪化する、また、有期雇用により雇用が不安定などの声が多く寄せられているのは、皆さんも御存じかと思っております。こういう実態を踏まえて、1号措置においても、直接雇用されていながらも無期雇用が5人に1人ということであれば、雇用の安定が確実に図られていないのではないかと考えているところです。
では、JSGUとしてはどのように考えるのかですが、来年の2020年4月に施行される同一労働同一賃金を鑑みた場合、派遣先に雇用される同種の業務に従事する一般労働者の多くが無期雇用であると考えられておりますので、当該一般労働者との均衡を図った労働契約にするのが妥当ではないかと考えております。一言で言えば、無期雇用で雇っていただきたいというところです。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
 
○小野委員 とても分かりやすいお話をありがとうございました。一番最後の所に、当該派遣元を離職してJSGU加盟組合に入社された方のお話から、こういう実態があるということを認識されていますということが書かれています。例えば、前のページの(5)のその他の検討事項の所ですが、グループ企業派遣、許可制、法令違反を繰り返す派遣元の公表ということについても、以前ほかの所にいらっしゃった方から得た情報と認識してよろしいでしょうか。どういうソースからここを書かれたのかということを教えていただければと思います。
 
○柴田事務局長 まず、派遣元の保険の未加入に関しては、ここに記載のとおり、前職を離職して私どもの加盟する組合に入ったときに、当然、以前の職場はどうであったか、環境はどうであったかなど様々なヒアリングをしますし、組合の役員が多々おりますので、その中で上げられてくる情報と認識しております。
また、違った意味の御質問として無許可派遣等々の話です。先ほども説明しましたが、厚生労働省の人材サービスの総合サイトがあります。こちらでは派遣事業所の一覧を検索できるサービスがありますので、どこの会社がどういう所で派遣事業を行っているかという実態を確認できるのですが、実際、派遣元が出している自社のホームページを見ると、様々な所で事業活動をやっており採用活動や面接等をやっています。それを突合すると、許可のない所で派遣事業が行われているのではないか疑わしいという形でお話をさせていただいたということです。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○正木委員 どうもありがとうございました。ヒアリング事項に関する考え方の1つ目の日雇い派遣に関し、派遣労働者の雇用の安定及び安全衛生の管理が担保されないのであれば、17.5業務を増やすべきではないというご指摘についてです。今、考えているのは、例えば、保育や介護、看護の資格を持っている方が日雇いの形で1日働くとか、イベントのときの場内整理や軽作業など、要するに、安全衛生上問題のないような場所での日雇派遣についてです。そういうものであれば許容されるとお考えか、担保するためにはどういうものが必要なのか、もう少しお考えをお聞かせください。
 
○柴田事務局長 様々な施策をいろいろお考えになられていると思うのですが、やはり労働者の安全や健康が一番と考えております。一般の労働者でも、雇用時には安衛法で決められた教育をしなければいけない等、様々あると思います。やはり、労働者の健康管理や安全がきちんと担保されていない現状を踏まえると、原則禁止の例外を拡大すべきではないと思います。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○小野委員 日雇い派遣のことだったのでお話をお聞きします。JSGUさんは組合員の中の3分の2が無期雇用で、3分の1が有期雇用でいらっしゃいます。例えば、ユニオン・ショップ制の9社、全部で10社ですよね。そちらで日雇い派遣が解禁になった場合、もし日雇い派遣の方が入っていらっしゃった場合に組合に加入するということになるのでしょうか。
具体的に、日雇い派遣について禁止の例外を広げるべきでないと書かれているのは、具体的な情報を得たり相談があり、やらないほうがいいと考えているのかということについて、もしあれば教えてください。
 
○柴田事務局長 JSGUの歴史も古くあり、以前にはそのような形態の会社もあったと認識しております。その実態を考えると、やはり時代が変わったとはいえ、日々きちんと管理していけるかというと、今まで見てきた実態を考えるとまだまだ厳しいのではないかというところから、こちらに関しては現状維持がよろしいのではないかというのがJSGUとしての考えです。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○佐久間委員 今日はありがとうございます。2点ほど質問いたします。資料は非常に分かりやすく、また、要点などが非常によく記載されておりました。ありがとうございます。
その中で、3ページの(5)にある、その他の検討事項に対するJSGUとしての意見の中の、グループ企業内派遣の8割規制の関係です。8割を超える派遣自体は年々減少しておりますが、引き続き厳しく指導を行っていただきたいとあります。今、柴田局長様の所では、10社の中でこれだけの人数を抱えているということで、非常に大きい組織だと思います。グループ企業の方々が人材派遣会社をされていて、また、派遣先になっていて、8割を超えるという実態と言うか、少なくなっているといっても、派遣労働者として8割以上になると影響がかなり出やすいということが考えられるのかどうか、その辺りを教えていただきたいということがあります。
あと、10社の組織体なのですが、派遣労働者についてはこちらのほうで入っていらっしゃると思うのですけれども、派遣会社で事務をやっている職員等も加入資格があると考えてよろしいのでしょうか。2点ほどよろしくお願いいたします。
 
○柴田事務局長 まず、8割規制のお話に関しては、当然、私どもJSGUに加盟する企業は対象ではございませんので、あくまで一般論という形で、規制しているのであればゼロにするのが妥当ではないかということで記載いたしました。
2つ目の御質問です。加盟する10社の組合員の資格に関しては、派遣で働く方だけではなく、当然、内勤のスタッフ等も含めて組合員資格は有しておりますので、各会社によって、役職によって、組合員とそうではない線引きの違いはありますが、平たく考えると、そこの会社の従業員であれば、社会保険や労働時間の関係もあるのですが、一般的には組合員の資格を有すると考えていただいてよろしいと思います。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。この後、派遣先からのヒアリングもありますので、柴田事務局長に対する御質問はここまでとしたいと思います。柴田事務局長におかれましては、貴重な御意見をお聞かせいただき本当にありがとうございました。
 
○柴田事務局長 どうもありがとうございました。
 
○鎌田部会長 なお、公開の議題についてはここまでとさせていただきます。議事録の署名は、仁平委員と佐久間委員にお願いいたします。冒頭に申し上げたとおり、傍聴の方々については、ここで御退席いただきますようお願いいたします。
 
                      (傍聴者退席後、ヒアリング対象者入場)