第287回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(令和元年)9月27日(金)9:30~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1・2会議室(12階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 鎌田 耕一(部会長)
  • 松浦 民恵

(労働者代表委員)
  • 木住野 徹
  • 奈良 統一
  • 村上 陽子

(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 中西 志保美
  • 正木 義久
  • 森川 誠

議題

  1. (1)労働者団体からのヒアリング(公開)
  2. (2)派遣労働者からのヒアリング(非公開)
  3. (3)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  4. (4)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○鎌田部会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから、第287回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、公益代表の藤本委員と労働者代表の永井委員が、所用により御欠席されると聞いております。なお、佐久間委員、小野委員におかれましては、少し遅れるということです。
さて、本日は労働者団体からのヒアリング、派遣労働者からのヒアリングの後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、労働者団体からのヒアリングについては公開で実施いたしますが、派遣労働者からのヒアリング及び許可の諮問に係る審査については、公開することにより不利益を及ぼすおそれ等があるため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方につきましては、労働者団体からのヒアリング終了後に御退席いただくことになりますので、あらかじめ御了承ください。
本日の議事に移ります前に、部会長代理を指名させていただきたいと思います。部会長代理の指名は、労働政策審議会令第7条第6項におきまして、公益委員の中から部会長が指名させていただくことになっておりますが、今日まで指名をしておりませんでした。当部会におきましては、松浦委員にお願いしたいと思います。松浦委員、よろしくお願いいたします。
それでは、資料の確認と併せて、御出席いただいている方の紹介を、事務局からお願いいたします。
 
○清水補佐 労働者団体として、全国コミュニティ・ユニオン連合会から事務局長の関口達矢様にお越しいただいております。資料は、資料1となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。それでは、議事に入ります。先ほど事務局から御紹介いただきましたが、最初に労働者団体からのヒアリングということで、全国コミュニティ・ユニオン連合会の関口事務局長に御出席いただいております。大変御多忙のところ、本部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。部会委員を代表いたしまして、私から御礼申し上げます。関口事務局長からは、労働者団体の立場から派遣制度について御意見を述べていただければと思いますので、まずは15分程度御説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。それでは関口事務局長、よろしくお願いいたします。
 
○関口事務局長 よろしくお願いいたします。全国ユニオンの事務局長をやっております関口といいます。資料の冒頭で、全国ユニオンとは、と書かせていただきました。全国ユニオンというのは、個人加盟の労働組合の連合体として作られていまして、産業別組織という形での位置付けになっています。全国で12組織あり、そのうちの1つがオブザーバー加盟ということなのですが、約2,800人が加入しているという状況になっています。
組合の活動として、どこの組織もそうですが、日常的に労働相談を受けて、いろいろなトラブルを抱えて相談に来る方に、個別的に対応していくケースもありますけれども、職場の中で何人かで相談に訪れて、そこから組合を作っていくということも日常的にやっております。ただ、入口が広いものですから、組合に入っている方の仕事内容や会社の規模などは本当に千差万別で、なかなか一くくりにできないような状況です。総じて中小企業がやはり多いというのと、相談の割合としては比較的非正規の方からの相談が多いという印象です。地域によってもいろいろ特徴がありまして、東海地方では外国出身の方が非常に多く加入している所もあります。こういう形で、日常的にいろいろな方から相談を受けてというのが活動の一番大きな柱になっていますが、全国ユニオン全体としての集計はなかなか取りにくい状況になっています。
今日は、1の相談の傾向として、私が所属している東京ユニオンに寄せられた相談を御紹介させていただいております。派遣・請負の方からの相談が、全体の相談の大体1割ぐらいで推移しています。1ページの裏面に、2015年からの相談の傾向と構成を出させていただいています。ここ数年やや減少気味なのですが、大体1,000~1,500件ぐらい、その中で1割ぐらいが派遣・請負の方からの相談という印象です。年齢構成ですが、相談の全体ではおおむね男性が55%、女性が45%で、若干男性が多いかなというところですが、これがいわゆる派遣・請負ということになると、比率が逆転して、男性が45%、女性が55%というような状況になっています。
相談者全体の年齢層としては40代半ばですが、派遣労働者からの相談の場合は、かつては40代前半と書きましたけれども、かつてといってもそんなに昔ではなく、2015年からの傾向で、下の表2を見ていただくと分かるように、派遣の方の年齢が上がってきていて、勤続年数が比較的下がっている傾向があります。2019年は平均勤続年数が3.3年となっていますが、これは委託で働いていて長い方が1件混ざったので、平均が長くなっていまして、その方を除くと大体1.9年ですので、ここ数年の全体的な傾向とほぼ同じような状況になると思っています。そういう意味でいうと、年齢層が上がって勤続年数が短くなってきているというのが、ここ数年、2015年以降の派遣の方の傾向と捉えていいと思っています。
もう1つ、具体的な中身として、今回の2015年改正で見ていくと、雇用安定措置が、昨年、改正派遣法の施行から3年目ということで、全国ユニオンとNPOの派遣労働ネットワークとで、2日間のホットラインをやりました。こちらの集計結果が何ページか後の参考資料としてありますが、「一律3年雇止めに泣寝入、『雇用安定措置』に実効性を」ということで、インターネットでも公開されているものですが、こういう形で集計しました。2日間で243件、人数にして145人から相談が寄せられました。去年のホットラインの傾向としては、非常に長く同じ派遣元・派遣先で働いていた方が、結局この3年の区切りの所で雇止めになって、次の仕事も紹介されずに失職状態になったということが非常に多かったという印象です。
参考資料の3ページを見ていただきたいのですが、事例の4番以降等は特にそういう傾向です。10年以上同じ派遣元・派遣先で働いていたけれども、結局この3年で雇止めになった方や、10年・11年など非常に長く同じ派遣先で働いていたけれども、昨年の雇用安定措置によって、事実上、雇止めになって失職した方が非常に多くなったという印象を持っています。
改正法施行後、どうような対応がされているかということですが、やはりなかなか難しくて、最初の資料の2の雇用安定措置についての「さらに」という所を御覧ください。3年直前で派遣会社と交渉した際に、派遣先に直接雇用の依頼をしたけれども断られてしまったのです。「うちはそんなに大きな派遣会社ではないから、そんなにたくさん無期になんかできない、そんな余裕はない」といった理由で直接雇用を断られています。また、「同じような派遣先を探したが、就業先は確保できなかった。だから、仕方なく雇止めになって、どこも手当できない」「法律は満たしているではないですか、何が悪いのですか」というようなことを派遣元から言われるなど、交渉の中でそういう対応をされるケースもあります。ですから、雇用安定措置といえども、実際はなかなか雇用の安定につながっていないという印象です。
実際に、派遣で働く入口の段階から、派遣会社から「派遣はもう3年以上は働けない」「3年以上はない」と言われて、結果的に2年半ぐらいで雇止めになるということを言われている派遣の方も非常に多いという印象です。なので、派遣の方自身も、雇用安定措置の内容等を全く分からない状態の中で、もう私は3年以上は同じ派遣先で働けないのだなという認識でスタートしている傾向もあるのではないかと思います。
雇用安定措置の内容も、これだけではやはり不十分であるという思いです。例えば、行ったり来たりして申し訳ないですが、事例で表形式にしている雇用安定措置に係る相談というページの上から5番目の方ですが、この方は、この3月末で雇止めになったというケースでして、勤続年数としては2年少々です。派遣会社は、「就業先は探しました」ということでしたが、紹介しようと思っていた派遣先に断られたものの、他の1、2件は本人にも紹介はあったようなのです。この方はシングルマザーでして、家庭の事情もいろいろあり、通勤などにもどうしても制約が出てきたりします。通常であればその派遣先で問題なかったかもしれませんが、そういった家庭の事情の中でなかなか請けられない、それが雇用の安定につながらない紹介ということもあるので、雇用安定措置は、派遣労働者のいろいろな事情によって非常に多様になってくるということにもなります。
また、本当にこの雇用安定措置だけで派遣労働者の雇用が守られるのかというと、逆に雇用安定措置を設けたことで、派遣先・派遣元が「やっているのだから、違法ではないのだからいいのではないか」という言い訳に使われている印象も非常に持っています。
3つ目が、日雇い派遣の問題です。先般、データを見せていただいて、平均時給が非常に高かったという印象でしたが、これはボジティブリストの専門業務のみのようだったので、日雇い派遣の実態を反映しておらず、実態と乖離している状況であると、今手元にデータがないのですが、そのように見ているところです。実際に日雇い派遣で働いている方たちの多くは、やはり倉庫などでのピッキングや工場内での雑務です。ラインの中に入る仕事もあるようですが、やはり日雇い派遣という形だと雑務等が多いのではないかという印象です。最近、相談を受けたケースでは、コンビニで週3日~4日アルバイトをしていて、それだけでは生活できないので日雇い派遣に登録したら、やはり同じ系列のコンビニに派遣されたというケースの方もいました。
そういう意味でいうと、ある種、法律に抵触しないでこのような働かせ方ができてしまうことが、果たして良いことなのか、日常的に相談を受けながら思っているところです。やはり違法・脱法というのもかなり浮かび上がってきていて、1つ目の黒ポツの所ですが、登録の際に、「契約は31日ですが、就業は1日だけです」と明言されてしまうとか、工場内での危険な機械があるような所での安全教育ということで、何か説明してくれるのかなと思ったら、「自分の身は自分で守るように。以上」と言って終わってしまったとかで、そのような雑以下というか、雑が非常に良いぐらいなくらいの説明であったり、「収入証明は口頭で構いません」と言われたケースもあります。「収入は幾らですか、幾らですよね、じゃあ、それでいいです」という感じで終わってしまっているケースを相談の中で聞くこともあるので、現場の中でも違法・脱法が非常に蔓延している印象を持っています。
やはり、多くのケースが、雇止めうんぬんの問題も含めて派遣先で発生しているのですが、私たちのような組合に加入してもらって、派遣先に対して団体交渉を申し入れたとしても、派遣先がそれに応じてくることは、ほとんどないです。雇止めなどの原因が、「もうお前は要らない」というようなことを派遣先から言われたということで、派遣先に対して団体交渉の申入れをしたとしても、派遣先が応じてくるということは、ほとんどなくなっているという現状です。ただ、最近、ハラスメントに絡むようなケースですと、派遣先のほうで団体交渉に応じていただけるようなケースも出てきたという印象を持っています。なので、この辺は1つ整理をしていただいて、ハラスメントは別の部会で議論があると思いますが、団体交渉については是非もっと明確にしていただきたいと思っています。
最後にと書きましたが、働く側にも日雇い派遣のニーズがあると言う方もいますけれども、先ほどのコンビニの方で紹介したように、少しでも収入を増やして生活を楽にしたいという思いからのニーズです。そういう意味でいうと、安定した雇用で安定した収入が得られていれば、果たして同じように日雇いのニーズがそこにあるかというと、私はそんなにないのではないかと思っています。
日々の相談の中で、本当に嫌な思いをしたという方で、先ほど1,000何件と御紹介しましたが、その全てが組合に加入するわけではなく、むしろほとんどが相談だけで終わっています。その中で、職場であった嫌なことについて延々としゃべるような方がやはり何人かいて、その方たちというのは総じて非正規雇用で、取り分け派遣の方に多いのではないかという印象を持っています。派遣の方は、「私もどうせ派遣先がすぐ変わってしまうのだから、この職場からいなくなるからどうでもいい」「この職場の中で、人間関係も含めてどうでもいい」「周りの派遣の人も、すぐいなくなる。そんなやつらと仲良くしたってしようがない」ということを言っています。こういう働き方をしていて、果たして生産性が良くなるのだろうかということは、やはり考えていただきたいと思います。細切れの雇用の中で職場の人間関係が形成できずに、周囲から分断されているというケースが非常に増えているのではないかと思います。
インターネット上の週刊誌の記事で、今、中年層ぐらいの孤独死が非常に増えているという記事を読みました。40代半ばぐらいの方でも、こういう派遣のような働き方をしていると、社会との関係性が断たれてしまっている状態なので、死亡してから何箇月も放置された状態になり、しばらくたってから、「そういえばあの人どうしたのだっけ」と、大家さんなどが部屋に入ってみたら、ほとんど白骨状態になっていたという話がありました。週刊誌なので、ややセンセーショナルに書く傾向もあると思いますが、この派遣の方のコメントと照らし合わせると、労働市場の中で40代は通常であれば一番働き盛りの頃なのに、社会との関係が断たれている人たちが非常に増えつつあるのかなという危惧も持っています。
来年4月から均等・均衡待遇も始まりますが、日雇い派遣の方の均等待遇はどのように実現するのかというところです。均等待遇の議論の中で、日雇い派遣の方について均等待遇を担保する方法などは正直ほとんど見えていません。そういう意味でいうと、日雇い派遣の方については、いろいろなことから除外されているというか、埒外になっているという印象です。それにもかかわらず、ニーズがあるから拡大してもいいというのは、余りにも乱暴という印象です。しかも、そのニーズというのは、低収入の中で何とか少しでも収入を増やして、生活を楽にしたいという思いが根底にあるニーズです。そのニーズに合わせるために、こういう働かせ方を拡大していくということが、果たして労働市場全体にどのような影響を与えるか、審議会の中でもきちんと議論していただきたいと思っています。
日雇い派遣は原則禁止のはずですが、原則が全然守られていないのではないかと思っています。世帯収入の要件もありますが、これ自体が非常に差別的な基準だと思いますし、やはり原則禁止ということを主軸に置いてきちんとした対応を、原則禁止を貫く形で制度設計なりをしていただきたいと思っているところです。雑駁ですが、私の報告は以上です。
 
○鎌田部会長 どうもありがとうございました。それでは、今、御説明いただいたことについての質問、御感想などがあれば、何でも結構ですので、委員の皆様よろしくお願いいたします。自由にどうぞ。
 
○正木委員 御説明ありがとうございました。いろいろ勉強になりました。少し分かりにくかった雇用安定措置についてお尋ねします。問題点があるのはおっしゃるとおりだと思うのですが、今後どのようにしたらいいのでしょうか。関口さんが相談を受けられている立場からして、現行の3年を、例えば5年、10年に延ばすなどしたほうがいいというお考えなのでしょうか。今後のあり方について、どのようにしたらいいとお考えなのかを教えていただけますか。
 
○関口事務局長 2015年の改正そのものが問題だったのではないかというのは、私の個人的な意見も含めてそう思っています。やはり派遣労働を拡大しすぎてしまったというのは非常に思っていて、そもそも労働市場の中で、賃金を含めて、ある程度の賃金の決定ができる、均衡が取れるということで、業種を限定して解禁したはずの派遣労働が、どんどん変わっていくことで、ある種何でも派遣ができるようになってしまったということに根本的な原因があると思います。雇用安定措置を講じたら、派遣労働者の雇用が安定するかということよりも、もっと抜本的なところを何とかしないと、当初の形に戻すかどうかというのは、また別の議論になると思いますが、今の状況では、どのようにすると改善できるか、かなり難しいところになると思います。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○正木委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○木住野委員 どうもありがとうございました。資料にも記載がありますが、団交に応じるケースが増えてきたという御紹介があり、しかもそのテーマとしてはハラスメントだということです。確かに、派遣労働者に対するハラスメントが増えているという印象を私も持っています。非常に対象になりやすい存在になっているというケースはよくあるのではないかと感じます。そのときに、使用者側が団交を受ける場合、受けざるを得ないというか、受けたほうがいいと思っている使用者側の事情をお感じになることはありますか。
 
○関口事務局長 そうですね。私どもは、労働組合として団体行動権も含めて対応するということにしていますので、そのようなことが嫌というのは当然あると思います。争議権を含めて行使されるのは、派遣先として嫌だと思っているのではないかというところはあります。それと、昨今の傾向、ハラスメントに対して敏感になってきているという傾向も、もちろんあると思います。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。ほかに。
 
○松浦委員 御説明ありがとうございました。非正規社員の課題に焦点に当てて活動されているということで御苦労も多いかと思いますが、貴重なお話を頂き、大変勉強になりました。
その上で2点質問です。1点目は、先ほどの御議論の中でも出てきたところで、重要な点なので、スタンスというかお考えを確認しておきたいのですが、派遣という働き方を広げ過ぎではないかという御指摘があった一方で、雇用安定措置については、必ずしも直接雇用だけではなく、派遣という働き方のままで継続するということも選択肢として入っています。雇用安定措置を強化すべきというときに、直接雇用以外の選択肢は排除すべきというお考えなのか、現状においては派遣として働きたいと思っていらっしゃる方の意向を踏まえて、派遣として雇用安定していくことも現実的な選択肢と思っておられるのか、そのスタンスを確認したいというのが1つ目の質問です。
もう1つは、日々相談を受けておられるお立場ということでお伺いしたいのですが、昨年度雇止めの相談が増えたというお話があったと思います。昨年度については、ちょうど労働契約法の5年間通算で無期転換できるという年に当たっていたということがあって、必ずしも派遣法ではなく、労働契約法によって有期の労働者の無期転換を企業が回避しようとして雇止めをしたというケースもあったのではないかと思いますが、雇止めをされた方からすると、それが派遣法によるものなのか、労働契約法の影響なのかが、もしかしたらよく分からないかもしれません。ただ、相談を受ける側の方々はそこをよく御存じだと思うので、労働契約法と派遣法と、雇止めの相談との関係をどのように捉えているか教えていただいてもよろしいですか。
 
○関口事務局長 まず、1つ目について、直接雇用がいいのか派遣のままがいいのかということですが、そこの派遣先で直接雇用されるということを必ずしも希望しない派遣の方もいると思います。ですから、その点は実際に働いている方のニーズによるだろうと思います。ただ、やはり派遣労働は、基本的に臨時、一時的な働き方であるということは法律上も確認されているはずなので、それが3年を超えて4年、5年となっていくとすると、法律上矛盾は発生すると思います。ですので、どこかの段階で直接雇用をするかどうかということは、今の法律の仕組の中ではそのようになっているし、基本的には維持すべきだろうと私も思います。
労働契約法と派遣法の関係についてですが、おっしゃるよう去年の段階だと、既に5年を超えて派遣で働いている方もたくさんいらっしゃいましたが、そのような意味でいうと、年度替わりに、無期転換逃れのための雇止めが非常に多かったという印象があります。それと同時に、去年の場合だと、4月の年度替わりに、直接雇用の有期の方も含めて雇止めが多かったことと、今度は10月の直前になってくると、派遣法の影響と思われる雇止めが増えてきていたという印象です。
 
○松浦委員 ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ほかにございますか。
 
○村上委員 御説明ありがとうございます。2点質問します。1点目ですが、資料の最後に、「派遣労働者のため、規制を強化すべき点は強化した法改正を実現していただくことを強く求めます」とありますが、具体的にどのような改正が必要だと思われているのか、特に強く今回求めたいことがあれば教えていただきたいです。
2点目は、先ほどの木住野委員の質問と近い話ですが、派先が団交に応じるケースが出てきたということで、具体的にはどのようなケースなのか、そのことによってどのような解決ができたのかについて、少し具体的に教えていただければと思います。
 
○関口事務局長 まず、規制強化すべき点ですが、例えば、先ほど2015年改正がという話をしましたが、法改正となるとかなり大掛かりになってしまうので、そこまではすぐにいかないと思います。例えば、日雇い派遣は原則禁止ですから、今の状況、少なくともこちらに書かせていただいたように、年収要件は口頭で済ませるとか、安全教育は三言で終わるなどということは、少なくとも改善していく必要はあると思います。実際に、「契約期間は31日だけど、1日2日だけだよ」というようなことを、日雇いの登録をする段階で言われている状況が蔓延している実態については、早急に改善していき、日雇い派遣は原則禁止ということをベースにした上で、原則禁止を守らせる規制強化は絶対必要であると思います。
雇用安定措置については、改正法施行から3年後に雇止めが大量に発生するのではないかと危惧されていて、実際に大量に発生してしまったわけですよね。ですから、そこは政策として同じようなことを繰り返さないという意味で、どのように整理していくのか、今の法律の中でどのようにしていくかというのは難しいのですが、派遣先の直接雇用を義務付ける、あるいは派遣先、派遣元に対しての雇用を義務付けることも必要だと思います。ただ、先ほど口頭で説明できなかったのですが、3年を超えて派遣できるようになったとするので、派遣元で直接雇用しましたとなった瞬間に、今度改めて交通費払うので、交通費に充当する分で時給100円下げますといったようなケースが、実は結構発生しています。しかも、大手の派遣会社がこのようなことをやっているのです。均等処遇が来年から始まるので、そのようなところも含めて、きちんと制度設計をし直すということも考えたほうがいいのではないかという気がします。
次に、派遣先に対する団体交渉に関してです。先ほどの雇用安定措置に係る相談で御紹介したことですが、ある大学が作っている大学の業務を請け負う会社と派遣会社を作っていて、その派遣会社から業務を請け負う会社に派遣されていたという方なのですが、この場合は、元になっている大学側が団体交渉を受けてくれました。大学全体の人員構成の中で、どれぐらい派遣の人にするか、業務請負にするかを決めていく中で、今回雇止めになったという説明をされて、だったらきちんと全体として雇用を確保してくださいという話はして、就業先をいろいろと探してもらったのです。先ほど言ったように、この方はシングルマザーで、就業場所などにも制約がどうしてもあるので、残念ながら最終的には金銭での和解にならざるを得なかったものの、それなりにいろいろ手を尽して探してはくれました。そのように、派遣先が働き掛けて動いてくれることで、今回は雇用確保はできなかったのですが、動きは出てきたという印象でした。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。
 
○小野委員 1点、日雇いについてなのですが、いろいろな非正規の方々の御相談に乗られていて、日々御苦労されていると思いますが、日雇い派遣については私も慎重に考えていかなければいけない問題だと思っています。ただ、この日雇い派遣というのは、派遣という形態と、もともと日雇いという全般的な問題を抱えている労働があるので、分けて考えなければいけないなという部分もあると思っています。たくさんの非正規雇用の方から総合的にお話を聞かれて、特に日雇い派遣という形で問題だなと思われるのはどのようなところですか。
 
○関口事務局長 そうですね。教育や安全教育などがかなり雑になって、雑というと申し訳ないぐらいにほとんど行われていなかったり、日雇い派遣の方もそうなのでしょうが、ある種、人ならいいよという感じで派遣されていくわけです。そのような中で、日々働いて、尊厳が奪われていくという傾向があります。これは日々紹介の方もそうだろうと思うのですが、日雇い派遣は特にそのような傾向が強いのではないかと思っています。
今、お話にありましたが、日々紹介のような形で働いている方もいらっしゃいます。この方の別の問題として、紹介先も人数が必要なときは少し多めに発注するわけです。みんな来てしまうと定員オーバーしてしまうので、結局帰っていいよという話になったときに、どこにもその日の休業補償のようなものを求めることができなくなってしまうという状況です。要するに、日々紹介を行っている会社は、「うちは紹介しただけだから」と、紹介される先も、いや、「うちはまだ雇っていない」ということになって、結局は労働者が無駄足になってしまいます。1日何の補償もされずに交通費だけ無駄になっていくというようなこともあるので、正直どっちもどっちという感じです。
 
○小野委員 まず、日雇いという全般的な問題があって、その中の一部として日雇い派遣の問題があるという考えなのか、また全く別にあるのか、内包されているのか、どのような感じですか。
 
○関口事務局長 そのような意味だと、日々紹介の問題は、本当に多様だと思います。工事現場なども大分少なくなっているようですが、例えば、いまだに結構多いのは配膳の方などです。同じ日々紹介なのですが何年も働いているような方もいたりします。そのような意味で言うと、内包と言っていいのかどうかというぐらいの、ある種のそれぞれの持っている問題点があるいう印象です。広い意味で言うと内包なのかな、日々雇用という中での内包なのかなという印象はあります。ただ、それぞれの持っている問題は結構別というか、個別性があるということです。
 
○小野委員 ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。私、事実確認でごく簡単に聞きたいのですが、先ほどから日雇い派遣に関しては、契約は31日ですが就業は1日だけですというようなことが広がっているということですが、この意味は、契約は31日だけど、就業は31日の間に1日だけという意味ではなく、1日単位で、例えば何日に来てくださいという、本当に1日だけというわけではなく、1日単位で呼び出しが掛かるという、そのような感じなのですか。
 
○関口事務局長 いや、1日だけです。働くのが1日だけということです。
 
○鎌田部会長 31日であっても。
 
○関口事務局長 はい。
 
○鎌田部会長 そうすると、契約を31日にするという意味というのはどういうことですか。
 
○関口事務局長 要は、契約上は日雇いではなくしたい、見せかけたい、ということなのだと思います。
 
○鎌田部会長 なるほど、そうですか。
 
○関口事務局長 だから、実際の31日の契約の中で、実際働くのは1日だけ、2日だけですが、契約自体は31日未満にしてしまうと日雇いの契約になってしまい、年収要件など原則禁止の例外の要件は満たしていますかという話になってしまうので、契約自体を31日にするやり方をしているということです。
 
○鎌田部会長 なるほど、分かりました。もう一つ、さっきの休業補償の話ですが、例えば日雇い派遣で直前キャンセルというのはあるのでしょうか。もしあるとすれば、その場合に、どこかでお金を払いますよというような、そのような慣行はあるのでしょうか。
 
○関口事務局長 日雇い派遣の場合だと、派遣会社が比較的払っています。最近払ってくれないケースもあるようですが、法律上、派遣会社が払わなければいけないことなので、原則的に派遣会社が払います。
 
○鎌田部会長 例えば、日雇いだと前日くらいにここに来てくださいというような話があって、現地まで、集合場所に行ってキャンセルだったらお金を払うけど、その前のキャンセルだったらお金を払わないとか、そのような細かなものというのはあるのですか。
 
○関口事務局長 ありますね。前日とか出発前だと払わないなど、そのような派遣会社独自のルールを作っているような所もあるようです。
 
○鎌田部会長 場合によっては、現場に行ったが今日はごめんねというので終わりになるということもあるのですか。
 
○関口事務局長 そうですね。現場に行っても払われなかった等、そのような相談などが来ると、いろいろ対応して派遣会社に払わせるということもあるのですが、前日キャンセルとなると、なかなか派遣会社も出し渋るというケースがあるかもしれません。
 
○鎌田部会長 分かりました。どうもありがとうございます。よろしいですか。では、どうも本当にありがとうございました。参考にさせていただきます。関口事務局長におかれましては、本当にお忙しいところ、貴重な御意見を頂きありがとうございました。
続きまして、派遣労働者からのヒアリングに移りたいと思います。議事録の署名は、森川委員と奈良委員にお願いいたします。冒頭申し上げましたとおり、傍聴の方々につきましては、ここで御退席いただきますようお願いいたします。なお、派遣労働者からのヒアリングの付き添いの方は、残っていただいても構いません。
 
                         (傍聴者、関口事務局長退席)