第124回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年1月31日(金)16:00~17:37

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.医療保険制度改革について
  2. 2.その他

議事

議事内容

○宮崎課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第124回「医療保険部会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
特に、新型コロナウイルスの関連で対応されている委員の方もいらっしゃると思います。お時間を割いて御出席いただいている方もいらっしゃるかと思いますけれども、誠にありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いします。
まず、委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。尾崎正直委員が退任され、新たに、全国知事会社会保障常任委員会委員長、鳥取県知事・平井伸治委員が就任されております。本日は御欠席となります。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、一瀬委員、原委員、平井委員、前葉委員より御欠席の御連絡を頂いております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○宮崎課長 それでは、以降の議事運営は遠藤部会長によろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りしたいと思います。原委員の代理としまして中野参考人、前葉委員の代理としまして松下参考人の出席につき御承諾いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「医療保険制度改革について」「その他」の2つを議題といたします。
初めに「医療保険制度の改革について」を議題といたします。事務局から関連の資料が出ておりますので、その説明をお願いしたいと思います。
○宮崎課長 保険局総務課でございます。
資料1-1、お手元のタブレットで言いますと資料番号4の「医療保険制度改革に向けた議論の進め方」をお開きいただければと思います。
まず、1ページでございます。医療保険制度改革に関しましては、これまでに閣議決定等でスケジュールに関わる記載がございます。
マルイチとして「骨太の方針2019」の中で「骨太方針2018及び改革工程表の内容に沿って、総合的な検討を進め、骨太方針2020において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる」とされているところでございます。「骨太方針2020」ということでございますので、例年で言いますと6月頃に閣議決定されておりますので、今年の6月頃、夏頃に「骨太方針2020」において取り組むべき施策を取りまとめることとされているわけでございます。
また、マルニでございますが、昨年、12月19日に「全世代型社会保障検討会議中間報告」が取りまとめられております。この中では、後期高齢者の自己負担割合の在り方や、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について「来年夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる」とされているところでございます。
こうした閣議決定等を踏まえまして、医療保険部会の今後の議論の進め方につきまして、事務局としての案をまとめたものが2枚目でございます。本日、1月31日のこの医療保険部会をキックオフといたしまして議論を進めていってはどうかということでございます。スケジュールといたしましては、月1~2回程度開催させていただきまして、全世代型社会保障検討会議中間報告を踏まえて議論する項目、また改革工程表を踏まえて議論する項目、それ以外の項目といった、かなり広範な対象になりますけれども、こうした項目について議論を進めていってはどうかということです。
一通り議論を進めていく中で、論点等、あるいはさらに必要なデータ等が明らかになってくると思いますので、上記の議論の内容を踏まえまして、さらに議論を重ねまして、その上で取りまとめに向けた議論を行い、令和2年の夏、今年の夏までに取りまとめを行う、このような進め方でいかがかというものでございます。
議論の対象は、先ほど申し上げたように3分類ございますけれども、全世代型社会保障検討会議中間報告を踏まえて議論する項目の2点のほかに、改革工程表の中で、ここに掲げておりますような給付と負担の見直しの関連で5項目を掲げられておりますので、こうした項目も議論の対象としていただければと考えております。それ以外の項目でも、既にこれまでの医療保険部会の議論の中で、例えばこういうことを次期医療保険制度改革に向けて議論していくべきではないかと御意見のあったような項目もありますし、今後の議論の中でそのような御提案もあろうかと思います。そうした項目も含めまして議論の対象としていただいてはどうかということでございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ただいま事務局から今後の議論のスケジュールと議論の内容についての案が出されましたけれども、何か御意見等があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 今回は、昨年までの政府の検討も踏まえた上で新しいスタートと捉えていますので、これまで申し上げてきたことも含めて網羅的にコメントさせていただきたいと思います。
まず、全世代型社会保障検討会議を踏まえた議論については3点申し上げたいと思います。
1点目は、安倍総理は施政方針演説の中でも、2022年には、いわゆる団塊の世代が75歳以上の高齢者となる中で、現役世代の負担上昇に歯止めをかけることは待ったなしの課題というふうに言及されております。それを踏まえますと、後期高齢者の自己負担割合、2割負担の対象範囲については、やはり現役世代の負担軽減が目に見える形になるように設定すべきだと考えております。
健保連としては、現役世代の負担軽減のためにも低所得者への配慮はもちろん必要ですけれども、原則2割負担ということを主張してきたところでございますが、財政影響についてもきちんと見ながら、現役世代の負担上昇に歯止めがかかるのかどうか、この辺も検証して対象範囲の議論を進めるべきだと考えております。
2点目は、大病院受診時の定額負担の問題でございますけれども、これについてもやはり対象範囲の拡大及び負担額の増額、またその増額分を公的医療保険の負担軽減に充てるということについては賛成でございますので、対象病院の範囲を狭めることなく確実に実施していただきたいと思っております。
これに関連する項目事項として、以前、本部会のほうにも資料提示があったのですが、後期高齢者医療制度の中の保険料額の伸びと、現役世代の1人当たりの支援金負担額の伸びには大きな差が生じております。そういう意味で、後期高齢者の負担率の在り方についても見直しが必要なのではないかと思います。また、後期高齢者の支援金が増えることによって前期高齢者納付金が増えるという問題がございますので、そういう点も含めて、前期高齢者の納付金の計算式や計算方法についても見直しを検討するべきだと考えております。
2つ目の改革工程表を踏まえ議論する項目について4点コメントしたいと思います。
順不同になりますが、まず、金融資産等の反映については、年齢にかかわらず負担能力に応じた負担を求めるという観点からの見直しが必要だと思っております。後期高齢者については、金融資産、非課税年金の評価も含めた高額療養費の所得区分の設定を検討すべきだろうと思っております。
それから、後期高齢者の現役並みの所得者の給付についても公費を投入していただきたい。これも前から申し上げておりますけれども、お願いしたいと思います。少なくとも現役並み所得の基準を見直す場合においては現役世代の負担増とならないようにしていただきたいと思いますし、また現役世代に対する財政支援を行うことも検討していただきたいと思います。
薬剤の給付については、市販品類似薬の保険給付範囲からの除外や償還率の変更についても検討すべきだと思っております。
もう一点、今回の診療報酬改定では見送られておりますが、生活習慣病治療薬の適正な処方を推進するという観点から、診療報酬制度に生活習慣病治療薬のフォーミュラリーを盛り込むことについても引き続き検討すべきと思っております。
その他について1点です。被用者は被用者保険に加入すべきという考えの下に、短時間労働者の適用がさらに拡大されようとしておりますが、これまでも再三申し上げておりますけれども、この中では任継制度、資格喪失後の傷病手当金の見直し、こういったことも検討していただきたいと思っています。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 何度も同じことを申し上げて恐縮なのですが、団塊の世代全てが75歳以上になるのは2025年でございます。75歳に到達し始める2022年から高齢者医療費が急増するなど問題が顕在化し始めることを考えますと、医療保険制度改革のために残された時間はほとんどないと考えております。
医療保険部会におきましては、改革工程表や全世代型社会保障検討会議の中間報告に記載された内容にとどまらず、専門家集団としての責任と自覚を持ち、国民の健康を守りつつ、国民皆保険制度を維持するための様々な問題につきまして、しっかりと議論ができるように、事務局におかれましては、今後、積極的に論点を御提示いただくようお願いしたいと思います。その上で、本日は、各論としまして、7点の意見を申し上げさせていただきます。
1点目は、予防・健康づくりの推進についてでございます。ここ数年「日本健康会議」が立ち上がるなど、企業の健康経営に対する意識の高まりを受け、事業主と保険者によるコラボヘルスの取組が少しずつ浸透してまいりました。こうした取組を一過性のものとはせず、さらに大きなうねりとしていくために、事業主と保険者が手を携え、働く方の健康を守るという基本的な考え方や、具体的な連携の在り方を関連する法体系の中にしっかりと位置づけるなど、関係者が一丸となって取り組めるよう、確固たる土台づくりを進める必要があると考えております。
2点目は、後期高齢者の窓口負担についてです。2割負担の対象範囲につきましては、負担能力に応じた負担とすることを基本的な考え方としつつ、現役世代の負担軽減につながる仕組みにすべきと考えておりますので、複数のパターンをお示しいただくとともに、それぞれ対象となる方の数や医療保険財政に与える影響等も明らかにしていただくなど、議論に資するデータの準備をよろしくお願いしたいと思います。
3点目は、大病院受診時の定額負担についてでございます。この議論を行うに当たりましては、外来機能の分化や、かかりつけ医機能の在り方などについて十分に議論され、整理されていることが大前提であると考えております。医療部会や医療計画の見直し検討会における検討状況も踏まえつつ、最終的にはこの医療保険部会においてしっかりと議論を行っていただくようお願いしたいと思います。
4点目は、医療保険給付の適正化についてでございます。昨今、重複投薬やポリファーマシーの問題が指摘されておりますが、健康保険を運営する保険者の立場から見ましても、明らかな重複頻回受診や重複多剤投薬等が認められるようなケースが発生しておりますので、医療資源の無駄遣いと健康被害の防止を図る観点からも、医療機関や薬局、そして我々保険者などの関係者が連携して取り組むための体制づくりなどを今後一層進めていく必要があると考えております。
5点目は、薬剤給付の範囲についてでございます。OTC化された医薬品や市販品類似薬につきまして、保険償還率の変更あるいは保険適用の除外を行うなど、大胆な見直しを行うべきであると考えております。
6点目は、ジェネリック医薬品の使用促進についてです。本年9月に80%という政府目標の達成やその先も見据え、更なる使用促進に向けた仕掛けづくりや、新たな目標について考えていく必要があると思っております。
7点目は、医薬品のフォーミュラリーについてでございます。フォーミュラリーは、経済性の観点だけではなく、甚だ僭越ではございますが、医師の負担軽減や病院経営の効率化にもつながるものであると考えており、協会けんぽとしても、個別の病院や地域における取組が全国的に拡大していくことを期待しております。一方で、診療報酬での評価を検討するにはまだまだ時期尚早であり、まずは厚生労働省におきまして、実施体制や実施方法等の実態把握や分析を行った上で、標準的な実施方法のガイドラインを作成するなど、普及に向けた取組を早急に開始していただきたいと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 私は、全国後期高齢者医療広域連合協議会の代表として、また首長という立場でもございますので、医療保険の実態あるいは地方自治体の現場のことを踏まえて意見を申し上げたいと思います。
今、御提示された今後の在り方についてでございますが、その前に総論としていつも感じていることは、社会保障制度の持続可能性をしっかりと守っていくという議論をしなければいけないと常日頃考えています。そういったことも踏まえて、前回も申し上げましたが、特に後期高齢者医療制度に関する自己負担割合の在り方については、負担能力に応じた負担をしながら、全員が社会保障制度を支え合うということが大事だと思っています。これは、後期高齢者のみならず、全ての国民という意味です。働き盛りの世代も、仕事をリタイアされたシニアの世代も、そして人生100年時代を謳歌することができると言われている後期高齢者の方々も負担能力に応じて、負担するということをベースにすべきだろうと思っています。そういった理解をしているところでございます。
また、これから後期高齢者になった人、なろうとしている人が感じている意見を実際、私も聞いているところです。そういった意味で、応分の負担をするというのは当然必要なことだろうと思っています。それが一つ感じていることです。
2つ目に、応分の負担について感じることですが、どこかで境界を設けなければならないと思います。そのときに、境界にすれすれの部分というか、ニア、クロスの部分はどんな細則になるのか、大変気になるところで、そこは事務局で慎重にいろんなシミュレーションをしながら、分析、検討して可能性の案をつくっていただく必要があるのではないかと思っています。より細部にまで気を使った丁寧なルールになっていくべきだろうと思います。
さらに、そのことに関して3点目に思うのは、以前も申し上げましたが、北欧系のオランダ、デンマーク、スウェーデンの方々と話をすると、消費税率3割ぐらいでも平気で支払いますし、所得税が高くても納得して払っています。隣の人と顔を見合わせて、それでお互いハッピーだよねと言われるシーンに何度も遭っています。
理由をよく聞くと、みんなが負担して、みんなの出生から天寿全うまでの医療、健康、福祉、教育を支えている。大学に行きたい人は大学、大学院までほぼ無償で行けるということがありますので、そういったトータルな社会構造をみんなで支えるということをしているわけです。そのためにみんなが財政負担をするという理解があるからなのですね。
日本はそこまでの認識にはまだ至っていないと思いますが、国民の皆さんも、自分が投じた、自分が参加した、自分が納めた税金や様々な負担金が納得できる社会改善に使われていれば、理解して納めてくださると思います。そういった意味では、財政状況や様々な詳しい状況のデータの公表がとても大事ですし、それをきちんと広報して、より理解を得ることも、厚生労働省のみならず、政府を挙げてやっていただくと、保険者に関する負担の改善もいろいろしやすくなるのではないかと思いますので、応分の負担をし、持続可能性を図りながら、そういった細部の調整と、いろんな意味でデータを公表して理解を得るということを思っているところです。
次に、大規模病院に関する、かかりつけ医機能の強化を図るための負担の拡大ということですが、これも必要性があると感じるところです。それでも中規模病院、大規模病院へ行きたい人は多く、後を絶たないと思います。となると、ここで肝腎なのは、その行為が、仮に軽度な疾患の場合はもっと重い症状や状態の人たちを待たせることになることもあり得ますので、そういうことも含め、啓発が必要だと思います。その辺をどうするかが一つあります。
もう一つは、病院でトリアージ機能みたいなのはできないのかと思います。例えば「あなたはこれぐらいだから大きい病院に来なくても大丈夫とか、こういう病院がありますよ、クリニックがありますよ」といった情報がないものですから、知っている中規模病院、大規模病院へ罹患した方が行く傾向があるとも言えますので、社会としてトリアージ機能みたいなのができないのかなと感じているところがございます。いずれにしろ、こういった改善を図ることが大事だろうと思います。
大きく2点目の改革工程表を踏まえた議論ですが、冒頭にあります金融資産を含めた反映の在り方については必要なことだろうと思っています。キャッシュフローでの経済的余裕を持っている方のみならず、ストックにおいても経済的余裕がある方もあるわけですので、ある意味で財政負担が可能なものの幾つかの側面と理解することができます。そうすると、そこをどうするかということについては、これもほかの方の御意見がありましたが、様々なことを踏まえたA案、B案、C案とか、細部のことを事務局でぜひ検討いただいて、今後の制度設計やルールの構築を目指すべきではないかと感じています。
また、幾つか下にあります現役並みの所得の判断基準の見直しについても当然必要なことだと思います。今の金融資産とも関係しますが、応分の負担をする能力のある人はそれに応じた負担をして、みんなで支えるということは基本ベースだと冒頭に申し上げましたので、そういった理念を基に、よりよい持続可能な社会保障制度をつくっていくことをぜひ関係省庁も踏まえてやっていただきたいと思っています。
このことについても、どのような見直しをするかという案がなければ、なかなかマスコミの方もあるいは一般の国民の方も理解がいきとどきませんので、ぜひそこは、事務局は大変ではございますが、頑張っていただきたいと思うところです。
そして、このチャートでは③がございまして、その他の項目です。何も書いてありませんが、次の3点をぜひお伝えしたいと思います。
このようにルールをつくっていくのですが、地方の医療現場はどうなっているかというと、医師不足が大変顕著な問題として全国で話題になっています。一方では、病院の統廃合すべき施設というリストが出たように、そのことで動揺する地方もございます。ですから、医師の確保、そして地域医療の確保を重要なこととして、直接、医療保険部会のテーマではないとしても、そのことをどう担保するかということは極めて大事なことですので、ぜひそのことも、厚生労働省で所管いただいていますので、検討いただきたいと思います。
併せて、そのリストに出ているように、統廃合促進と出たところの地域や医療機関があります。今後、努力していくところもあると思います。ぜひそういったところには何がしかの配慮をして、財政支援、制度支援、考えていらっしゃると思いますが、それをひとつお願いして、要は、医師の確保、医療の確保をお願いしたいというのが1点目です。
2点目は、そのときによく考えれば、その局面、局面の医療財政の問題の解決の解を求めるのではなくて、人が誕生して天寿全うまでという人生を考えていくと、その人生のトータルでどのようなヘルスケア、メディカルケアが本当に大事なのか、そのときにどんな負担をして、みんなで支え合うにはどうしたらいいのかということも、厚生労働省で恐らくじっくり考えていらっしゃる部門があるのではないかと思いますが、そういったことも深く検討いただいて、必要なときに適宜、国民の前に提案されたり議論の素材を出していただいたりして、新しい時代の社会保障制度を構築できるようにお力を尽くしていただくようお願いしたいというのが2点目です。
最後、3点目ですが、そうやって考えていきますと、かねても申し上げているのですが、健康経営という言葉が出ています。先ほども紹介がございましたが、企業のみならず自治体もそうあるべきだと思います。
一方で、もう一つ大事なのが、若い人たち、特に子供たちや青少年を含めて、健康人生経営ということをちゃんと教育項目に入れて教えるとか、啓発の中に入れるとか早くしたほうがいいのではないかと思います。
そのためにも以前から申し上げているように、厚生労働大臣と文部科学大臣が並んで記者会見し、若い時からの健康管理の重要性を広く呼び掛けてほしいのです。知識がないままに暴飲暴食や、自分の体の免疫性が落ちても平気で何かやるといったことは一番危ないことですし、そんなときにウイルスなどに罹患するととんでもないことになるわけです。食事、健康ケア、日々のことが本当に大事だということを、やはり日々の健康管理、育むことの大切さを広く国民の皆さんに知っていただく。大人は、例えて言うと、チコちゃんが来て「ぼうっとしている」と言われる場合が多いのですが、子供たちはしっかり学んで身について、テストには出なくても覚えていきます。そのおかげで、以前も紹介したように、釜石では子供たちが全員無事に避難できた。そういったことも、文部科学省との連携になりますが、ぜひ検討いただいて、持続可能な制度とともに、国民の持続可能な暮らしができるように力を尽くしていただくようお願いしたいと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 かなり個別具体的な議論に展開しております。事務局からこの議論を展開する内容についても求められましたので、それでお話しされているのだと思いますが、資料1-2にかなりいろいろな関連した情報もあるようなので、ここで資料1―2をまた説明していただきまして、先ほどの話にまた戻ったほうがよさそうです。進め方がまずくてすみません。では、事務局、お願いします。
○宮崎課長 失礼しました。私どもの資料の準備の仕方が不十分だったのかもしれません。資料1-2として、今、各委員から御指摘のあった中の背景となりますような医療保険制度を取り巻く厳しい状況や、給付と負担、今なぜそういうものが求められているのかというような資料も用意しております。恐らく医療保険制度改革に向けてのいろいろな問題意識というのはそれぞれの委員からまた御発言があると思いますので、まず基礎資料としてお配りした資料について簡単に御紹介させていただければと思います。
資料1-2でございます。目次として挙げていますのは、医療保険制度の概要、特に人口と医療費の動向等についての統計資料、そして関連する閣議決定等を御紹介した上で、既に昨年6月以降、この医療保険部会の場でも議論を行ってきておりますので、簡単に経緯をまとめた資料を用意しております。
お開きいただいて医療保険制度の概要でございます。3ページ、4ページは、医療保険制度の体系図ということで、今このような仕組みで我が国の医療保険制度は成り立っていることを示しているものでございます。説明は省略させていただきます。
5ページにつきましては、各保険者における近年の被保険者数の推移を示しております。国民健康保険につきましては、被保険者数が減少傾向にある中で、一方、被用者保険につきましては、横ばいないしは増加傾向にあるということでございます。また、後期高齢者医療制度につきましても、増加傾向にあるということでございます。
6ページ、7ページ、8ページにつきましては、医療費の一部負担(自己負担)に関する基礎的な資料を入れております。
6ページは、年齢階級ごとに窓口負担の基本的な構造を書いております。先ほど御紹介した全世代型社会保障検討会議等におきまして、特に焦点が当たっておりましたのが、75歳以上の一般・低所得者の方、現在、1割負担とされているところにつきましての議論でございます。
7ページは、こうした中で後期高齢者の窓口負担割合に関してですが、1割ないしは3割の負担割合を課すとともに、高額療養費制度におきまして、自己負担の限度額を設けて負担に配慮しているという仕組みでございます。
8ページにつきましては、医療保険制度の患者一部負担につきまして、これまで累次の改正を行ってきておりますが、昭和48年1月以降、直近では平成20年4月の後期高齢者医療制度のスタートに関わります負担割合の変更等につきまして、これまでの改正をまとめたものでございます。詳しい内容は省略させていただきます。
次に、医療保険制度を取り巻く現状といたしまして、人口の推移についてまとめたものが10ページ以降でございます。
10ページですが、御案内のとおり、日本の人口は、近年、減少局面を迎えておりまして、2065年には総人口が9000万人を割り込むような状況でございます。
11ページでございますが、高齢者増加の中で近年の顕著な動きとして言われておりますのが、団塊世代が後期高齢者入りする2022年以降の数年間は、75歳以上の増加率が急激に高まるという状況がございます。赤のグラフですが、4.1%、4.2%、3.9%ということで、団塊世代が75歳以上に到達するこの時期は増加率が非常に高まるという状況です。先ほどの各委員からの御発言の中でも2022年に向けてという御議論もございました。あるいは全世代型社会保障検討会議の中間報告の中でもそうした点に触れておりますのもこうした背景があるということでございます。
12ページでございます。年々少子高齢化が進む中で、1985年以降の医療費の動向を示しておりますが、1985年当時、国民医療費の対国民所得比6.1%でございましたけれども、近年は10%台で推移しているということでございます。中でも後期高齢者の医療費につきましては、増加傾向にあるということでございます。
医療費の伸び率を要因分解したものが13ページでございます。これも既に御案内のことと思いますが、医療費の伸び率といたしましては、人口増、高齢化、診療報酬改定、それ以外にも医療の高度化などによる影響等がございまして、結果としてこのような医療費の伸び率となっているということでございます。
医療費に関しまして、14ページ以降、これまでの資料、あるいは全世代型社会保障検討会議の中でも議論の素材として使われた資料などを紹介させていただいております。
14ページは、年齢階級別の1人当たり医療費でございます。1人当たり医療費は高齢になるにつれて増加するという、当たり前でございますが、傾向がございます。
医療保険制度別に1人当たり医療費を見たものが15ページでございます。緑色の後期高齢者の1人当たり医療費はこのような形で推移してきているということでございます。
それを伸び率で見たものが16ページでございます。
一方、そうした医療費の背景にあります年間外来受診回数を示したものが17ページでございます。1人当たりの年間外来受診回数につきましては、高齢者ほど増加する傾向がございます。
18ページは、年齢階級別の1人当たり窓口負担額を示しております。70歳から74歳につきましては原則2割負担、75歳以上の方については原則1割負担という仕組みの下での窓口負担額でございますが、医療費そのものが高齢になるにつれて増加する傾向がございますので、70歳から74歳の1人当たり窓口平均額7.2万円に比しまして、75歳から79歳、6.4万円です。70歳から74歳、2割負担で7.2万円、75歳から79歳につきましては、原則1割負担になりますが、6.4万円、80歳以上になると7.5万円、8.4万円と上がっていくということでございます。
高額療養費の推移を19ページに挙げております。医療費全体として医療の高度化等も含めまして上がっていく中で、高額療養費の仕組みが効果的に効いている中で、高額療養費の額も増えております。支給総額で申しますと、2011年度が2兆円ちょっとだったところでございますが、2017年度では2.6兆円弱までなっているということでございます。
こうした高額療養費が機能していることで、20ページでは、実効給付率、保険から給付されている率ということでございますが、平成29年度の後期高齢者の実効給付率は92%でございます。裏を返しますと8%を御本人が負担いただいているという仕組みでございます。若人につきましては、このグラフの中では一番下の青いグラフでございますが、80.33%の給付率、窓口負担を約20%弱していただいているという仕組みでございます。
こうした仕組みの下で、21ページは、年齢階級別の1人当たり医療費あるいは自己負担額、保険料を比較したものでございます。
参考として22ページに、年齢階級別の負担の基盤となります平均収入につきましての資料を挙げております。
24ページ以降は、関連する閣議決定でございます。
24ページは、先ほども御紹介いたしましたが、「骨太2019」での記載でございます。
25ページ以降は、全世代型社会保障検討会議の中間報告ということで、29ページまで記載がございます。これについては前回も御紹介させていただきましたので、説明は省略させていただきます。
30ページ、31ページにつきましては、改革工程表の中で給付と負担の見直しに関わる項目を抜粋しております。これ以外にも、改革工程表の中ではサービス改革ということで項目が挙げられておりますが、それらにつきましては、参考資料のほうに置いておりますので、必要があれば御参照いただければと思います。
32ページ、33ページにつきましては、令和元年5月に厚生労働省社会保障・働き方改革本部において「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」を目指して、健康寿命の延伸あるいは医療・福祉サービス改革などに取り組むとともに、給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保についても引き続き取り組んでいくということで、施策を取りまとめております。こうした内容を御参照いただければと思います。
最後に、昨年6月以降の議論の経緯ということで35ページ以降に簡単にまとめております。
35ページでございます。令和元年6月に「骨太2019」の閣議決定がございましたが、その後、元年9月に全世代型社会保障検討会議が設置されました。こうした動きと並行いたしまして、当医療保険部会におきましては、医療保険制度をめぐる状況について御紹介して御議論いただき、また全世代型社会保障検討会議での議論の状況を御報告もさせていただきました。
また、12月19日の中間報告を受けまして、12月25日には、この中間報告の内容、改革工程表の内容につきまして、報告させていただいたところでございます。
直近の令和元年12月25日開催の医療保険部会の中では、36ページ、37ページにありますような、各委員から関連するテーマにつきましての御議論も既に頂いたところでございます。
36ページには、後期高齢者の自己負担割合の在り方につきまして、慎重な議論が必要ではないかという御意見や、あるいは対象をどの程度絞るかによっては持続可能性を高める効果が限定的になることが懸念されるのではないかという御意見などもございました。いずれにせよ、生活実態の調査あるいはシミュレーションなども行いながら丁寧な検討が必要ではないかという御意見なども頂いているところでございまして、今後の議論の中でこうした御意見も踏まえまして、必要なデータ等を出していきたいと考えております。
37ページは、大病院の患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について、頂いた御意見を記載しております。選定療養の仕組みで行うということで、公的医療保険の負担を軽減するようにという記載もございますが、これについてはしっかり議論する必要があるという御意見がございました。あるいは紹介状なし大病院受診時定額負担の範囲は、既に進めておりますが、制度導入後のきちんとした検証が必要ではないかという御意見、あるいはこうした取組とともに、信頼関係のある身近な開業医を受診する大切さを啓発しなければいけないといった御指摘なども頂いているところでございます。
そのほか、予防・健康づくり等に関する御意見なども頂いているところでございます。
以上、医療保険制度をめぐる昨今の状況あるいはこれまでの議論をサマライズしたものを御紹介させていただきましたが、資料といたしましては、そのほかに参考資料として各制度の現状について、タブレットの番号で8番としてつけておりますので、こちらもまた御参考いただければと思います。
順番が前後して恐縮でございますが、私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
当然、個別の議論もまた今後それぞれの時期にしますが、このような背景、事情、あるいは情報、データの下で今後議論されるということです。先ほどの議論の進め方に戻って、あるいは今、説明があった内容について個別の御意見でも結構でございますので、議論を再開したいと思います。いかがでございましょうか。藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 今回、全世代型社会保障検討会議での検討スケジュールを踏まえ、本部会での議論の進め方が示されたのは、大変結構なことだと思います。ただ一方で、この部会では、全世代型社会保障検討会議で想定される検討事項にとどまらない、さらに踏み込んだ議論を先行して行っていただき、制度の持続性を確保していただきたいと思います。
例えば、全ての医療機関で外来受診した患者から一律で少額の定額負担を求める、いわゆる‟ワンコイン型“の受診時定額負担の導入や、小さなリスクには自助で対応していくという考えの下、薬剤の保険給付範囲を見直すということなどについても、しっかり議論していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
いかがでございますか。それでは、藤原委員、それから松原委員の順番でお願いします。
○藤原委員 私からはまず議論の進め方に関して総論的なコメントをさせていただいた後、各論2点についてコメントさせていただきます。
全世代型社会保障検討会議中間報告について御紹介いただきましたが、今後の改革の視点ということで、「現役世代の負担上昇の抑制」と「全ての世代が公平に支える社会保障」という2つの考え方が紹介されています。今回、医療保険部会において制度改革の議論を行うに当たっては、この2つのポイントというのがやはり基軸になって議論されてしかるべきかと思っております。
その上で、資料1-1の2ページ目に記載していただいている「①中間報告を踏まえ議論する項目」というのがありました。これに関して、真の意味で制度の持続可能性の確保につなげる観点からは、改革の効果が最大限出る方向で見直しを行うことが重要でございまして、そのためには、いずれも見直しの対象を極力広げる必要があると考えております。そうした形で議論が行えればと思います。
また、「②改革工程表を踏まえ議論する項目」につきましては、皆様からも御指摘がありましたとおり、2022年に団塊の世代が後期高齢者入りする中で、いずれも改革の実現が待ったなしの項目です。これらに関して相当程度踏み込んだ議論ができるように進めていただければと思います。
続いて、各論的な話になりますが、「②改革工程表を踏まえ議論する項目」の中の4つ目で書かれている高齢者の「現役並み所得の判断基準の見直し」でございます。これにつきましては、今の仕組みのままでは現役並み所得となった段階で公費が投入されなくなります。したがって、その分、現役世代の保険料負担が増加する事態を招く形になります。したがいまして、冒頭申し上げました、これ以上現役世代の保険料負担が増加しないという観点を推し進める上では、本件の見直しを進めるに当たっては、公費投入の在り方もセットで見直すように、ここは強く求めたいところでございます。
最後に、改革工程表にかかわらず、医療費の地域差等、地域の課題を解決するためには、引き続き地方自治体の役割が非常に重要となります。こうした観点についてもぜひこの医療保険部会できちんと検討していただきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。松原委員、どうぞ。
○松原委員 御説明いただきまして、大変いろいろ問題があるということ、また、これから高齢社会を迎えるにおいて十分な準備をしなければいけないことはよく分かるところです。
ただ、そのやり方として、あまり乱暴にやり過ぎるのを私ども非常に心配しています。例えば、ワンコイン負担がいいと言われますが、それはやはり若い人たちの負担もさらに増やすわけです。どうももう一つしっくりこない。さらに、軽い病気は給付の対象としないとか、薬剤費を多く負担してもらうとか言われますけれども、そうしますと大きな病気をしない若い世代にとっては一方的に給料から天引きされるだけで、何のメリットもない。つまり、お年寄りの人たちのためだけに自分たちは給料から天引きされているとなると、当然他の私的保険でやるべきだという意見が出てまいります。
今、日本の国がうまくいっているのは、医療機関と十分に話をしながら、非営利の保険者が余計な収入を得て株式配当するようなことなくできるということが一番大きな要素であります。海外を見ますと、アメリカでは保険者は営利の保険者であり、株式配当しなければなりませんし、ドイツも半分は私的保険を組み込んでいます。そういった中で、日本は医療を十分に受けられて、しかも全員で全員を支えるという仕組みがうまくいっています。大きな費用にならないようにしながら、うまく運営してきたからだと思います。実際のところ、アメリカの医療費は、率で比べますと日本に比べて何倍も費用がかかっています。ヨーロッパでも同じような現象がございます。やはり皆さんで協議しながら、妥協しながらやっていくという今の日本の仕組みは大変すばらしいものであると私は思っています。
もう一つは、お年寄りの人たち、年金生活に入られた方々からあまり一部負担金を取りますと、お年寄りの方々も、それまで人生設計をしていて大変です。自己負担が1割から2割となり、差は10%でたいしたことはないというのは、これは何度も申しましたが、払う人たちにとっては医療費が1割から2割ではなくて2倍になる、3割だったら3倍になるということです。年金生活で、やりくりして将来を計算していろいろと頑張っている人たちに対して、費用が2倍になると言われますと、恐らく大きな政治問題になると思います。
原則1割で、収入に応じて現役並みの収入のある人、あるいは資産のある人というように分けて考えることにおいては賛成でありますが、原則2割となると、今、1割しか払っていない方も、将来2割になるのだったら、もっと貯蓄しなければならないとか、もっと費用を節約しなければならないという話になります。このような話になると、政治問題になる事を危惧しているところであります。
少し話を変えますと、大病院受診時の定額負担はかなり前から議論して、何年か前に、選定療養で行うと決まりました。過度に大病院に集中して、本来、大病院に行かなくてもいい患者さんが来ている状態を改善しなければ、大病院で働いている先生方の負担も大きくなり過ぎる。また、大病院に行って、MRI、CT、その他の検査をとにかく受けたいということでそのままの方もいらっしゃいます。検査するほうは異常がなければそれでいいとして、説明もせずに結局検査しましょうで終わると、その分、本来は、ほかで使うべき医療費を使ってしまうことになります。
そういったことで、この社保審で十分に議論して、どうしても大病院に行きたい方はその分の費用を5000円ぐらい選定療養として払っていただくということで始めたわけであります。これは純粋に一定の金額を保険負担の一部として払うという仕組みではございません。かかりつけ医から紹介状を持っていっていただいて、負担を誰も払わなくていいようにするということが目標であります。そこのところの費用があるから、保険資源に入れる、入れないという議論が起こること自体、もともとの発想からずれているように思います。多くの病院で不要な検査をしなくていいようにする仕組み、また働いている先生方が過剰に働かなくていいような仕組みのためのものであります。そこの原点に戻って考えていただきたく思います。
最後に、今回、資料にはありませんけれども、委員の2人がおっしゃったフォーミュラリーの話であります。いろんなことを決めて、経済的な要素を決めて、薬の使い方を決めるというような方法を考える。社会学から考えたり法学から考えたり、あるいは経済学から考えたら当然ですが、残念ながら、患者さんは様々ばらばらであります。
例えば、薬が効くかどうかを見るときにどういう事をするかというと、健康な元気な若い人たちを集めてテストした上での結果であります。実際に投薬してみますと、様々な現象、副作用が起きたりします。そういったことも含めて、副作用がなるべく起きないように、その方の薬が重ならないように、肝臓で代謝されるのか、腎臓で代謝されるのか、それも考えて、その方がどういう仕事で、どのように忙しくて、家族がどのようにサポートできるのか、食事は誰が作っているのか、そういったことまで考えた上で、薬の飲み方、1回にするか、2回にするか、3回にするか、あるいはどの薬が一番適切であるか考えています。上で決めて下まで下ろして、それでいいですよという話に決してなりません。個々の人で体重も違います。年齢も違います。病歴も違います。家族歴も違います。そういったことを考えた上でルールをつくらなければいけません。
学会の出されているルールは、これを参考にして現場に合わせて考えてくださいというものであり、お金の支払いに関与する中医協で議論してフォーミュラリーを入れるということ自体が筋違いなのではないかと思います。そこのところはほかの世界とは違う。医学というのは、私ども分かっているようでも、今回のコロナウイルスでも経験しているように、まだまだ分からないことが多々あって、私たちが分かっていることというのは本当にごく僅かであります。
その中で、純粋にいろんなデータを集めるわけですけれども、先ほど申しましたように、そのデータは純粋化されたデータでありますので、思いもしなかったことが自然科学の中では起こってまいります。そういったことも十分に考慮していただき、経済的な面を十分に考えていかなければならないことは私たちも十分理解しておりますし、薬においても信頼できる薬であれば、後発品であろうと先発品であろうと、効いて安心できればそれで十分だと考えております。
そこのところをがんじがらめにされますと、結局、今までうまくいっていた医療の世界は、うまくいかなくなります。十分なことが患者さんにできるからこそ私たちも安心してこの社会保障の制度を支持していけるのでありまして、先ほど申しました非営利の保険者と実際に投薬している医療機関が十分話をしながら進めていくという、世界の中で日本は冠たる制度を持っております。そこが大事であることを御理解いただき、考えていただければ幸いであります。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
また、それぞれの議題のときに細かな御意見を頂ければと思います。本日は時間の制約もありますので、細かな議論はそのときにということで、本日は大まかなところで結構だと思いますが、ほかにいかがでしょうか。林委員、どうぞ。
○林委員 持続可能な社会保障の議論に関しましては、健康な人間が増えて、結果として社会活動、消費活動が進んで経済が活性化し、税収も増える。これが一番の基本方針だと思っております。これを中心に据えてという意味で、歯科では歯科健診の充実や口腔機能管理の徹底、医科歯科連携の推進、歯周病予防の推進など、健康な国民が増えて、支え手・働き手が増えていくということを目指して貢献していきたいと思っております。
その上で、75歳以上の窓口負担の問題でございますが、かつて70歳から74歳の窓口負担を2割にしていくという際にも、本当に多くの時間をかけて丁寧に議論していただいたと記憶しております。より年齢が上の世代の方々に関しましては、もちろん応能負担の議論は重要だと心得ておりますが、より慎重に丁寧にしていっていただきたいと思っております。高齢者の一部負担による受診抑制によりまして、結果として重症化につながるということは、逆に医療費、介護の費用を増幅させることにつながりますので、その辺りをよろしく御配慮いただきたいと思っております。
もう一つ、ワンコインについてございます。これは疾病やけがを持つ、既に健康弱者である方々、特に受診機会の多い高齢者を中心に、さらなる負担を求めるということでございます。社会全体で支えるという公的医療保険の制度の根本理念に相入れないものではないかと思っておりますので、我々は賛成しかねるというところでございます。
いずれにいたしましても、負担感以上に得られる納得感が社会保障では重要だと思っておりますので、その辺を御配慮いただいて御議論いただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに、兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 私ども高齢者、老人クラブですけれども、1月に全国の代表者会議があって、あまりそういう意見が出ることはないのですが、昨年、年末から、首相の施政方針演説を含めて、後期高齢者の2割負担の議論が出てきていることに対する懸念の発言が幾つかあったということですので、やはり危機感を感じているのではないかと思います。
今日頂いた基礎資料の中で、6ページは、ある意味では非常に分かりやすいと思うのですが、75歳以上のところだけが1割負担、ここにどんなふうに書かれていくのか、もし2割の部分が入ってくると、図式的に見ると1割負担というのはほとんど残らないような状況になってきている。そんなことが会議の中でも危機感として出たのではないかと思います。
4ページを御覧いただくとよく分かると思いますが、各保険者の比較の中で負担の問題がいろいろ出されています。市町村国保は加入者1人当たり平均所得が86万円です。後期高齢者医療制度の平均所得が84万円です。市町村国保の保険料負担率が10.2%、後期高齢者医療制度で8.4%です。協会けんぽ、組合健保、共済組合は、簡単に言えば1人当たりの平均所得が高くなるほど保険料負担率は基本的に低くなっている。この辺をやはりよく見ていただきたいと思います。持続可能性を大切にする、応能負担ということについて、考え方としてよく分かるのですが、どういう形で持続可能性なのか。先ほど松原先生から非営利の保険者、私の言い方で言うと公的な保険者、社会保障としての保険ですので、その役割をきちっと確保して持続可能性ということで議論いただかないとまずいのではないかと思います。
応能負担の問題ですが、何をもって応能負担というのか。基本的に今のいろんな議論というのは、保険財政がどうなっていくのか、保険財政だけではない問題も含むわけですが、そうなると窓口負担というのは保険の仕組みの第2段階の問題ですね。第2段階という言葉が適切かどうかですが、保険そのものをどう支えていくかということで言えば、こちらのほうで応能負担ということをはっきり組み込んでいかなければまずいのではないかと思います。今の医療保険制度、各種の社会保障として設けられている保険制度を全体として見れば、低所得者ほど保険料の負担率が高いと思っています。高額所得者になるほど、上限が決まっていますので、限りなくゼロに近づくような負担です。こういった中で適切な保険財政が支えられるのかどうかということで疑問があります。そういう意味で、応能負担をどこで使うのか。
窓口負担の問題ですけれども、窓口負担が、4ページで御覧いただければ分かると思いますが、2割負担となった場合、86万円の平均所得の人たちに2割の負担というのは、多分、市町村国保や後期高齢者医療制度のかなりの人たちが窓口で医療から遠ざけられる、そういうことになっていくのだと思います。ですから、窓口負担のところでの応能負担という議論は社会保障の検討ということではふさわしくないのではないかと思っていますので、そういうことも含めた議論をお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 私から、外来機能について御意見申し上げたいと思います。先ほどの資料にございました全世代型社会保障検討会議中間報告を踏まえて、今後、外来機能の明確化に向けた議論が行われていくものと承知しております。現在、在院日数の短縮化に伴いまして、これまで入院で行われていたいろんな医療、手術や化学療法、全身麻酔下で行う侵襲性のある治療や検査といったものが、どんどん外来でも行われるようになってきています。一方、看護師の配置基準は以前と変わらない状況でして、患者さんの医療安全が入院並みに担保されるような体制が十分ではないと感じています。
もう一点、高齢化に伴いまして、様々な生活背景を持った患者さんが複数の疾患を抱えて来られる。そういう中で画一的な生活指導ではなく、看護師が一人一人の患者さんの生活背景に合わせた、個別的な生活指導を丁寧に看護外来を通して行うことで、重症化の予防、再入院の予防等に成果を上げているところですので、今後の外来機能の明確化についての議論の中では、より一層外来機能を充実して患者さんの安全も担保しつつ、また看護師等による看護外来も拡張していく視点も含めて議論していただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
池端委員、どうぞ。
○池端委員 池端です。
今日は序章ということで、各論的なあまり細かいことをお話しせずに少し大きな話を最初にさせていただきたいと思います。
今、各委員の御意見をいろいろ伺って、この部会というのは、保険者側、保険を受ける側、サービスを提供する側、それぞれの立場で意見が分かれることは当然だと思いますが、一点だけ共有できるとすれば持続可能な社会保障制度を守ろうということと、それに対して給付と負担の割合をどう考えていくかという論点、これは多分皆さんで共有できることであり、そこが落としどころだと思います。
そういう意味で言うと、基礎資料の20ページ、これは明確な資料だと思いますが、実効給付率はここ10年、(各年代で)きちんとそろっているのですね。後期高齢者は10%弱の負担、一方、若人は約20%の負担、現役並みの所得者については15%の負担、この負担の割合をどうしていこうかというところがこれからの議論になっていくのだろうと思います。
そういう意味で、さっき横尾委員もおっしゃったように、この委員の中で決めるのではなく、国民がどう考えているかということをもっと落とし込んでいって、そこの情報を得ながらここで議論していかなければいけないのではないか。今日、マスコミの方がたくさんいらっしゃいますので、これを面白おかしくではなくて真剣な議論として提供していただいて、盛り上げていただいて、国民がどう選択するかという流れをつかみながら議論していかなければいけない。簡単には言えないかもしれませんが、高福祉高負担を選ぶのか、中福祉を選ぶのかという議論に近いかもしれませんけれども、そういったところを考えながら議論していかなければいけないのではないかと思っています。
一方で、各論の話を少しさせていただきますと、定額負担して大病院受診を控えるという件ですが、実は大病院の先生方も外来をやりたくないのです。国も(そのように)持っていきたい。開業医の先生も外来で診ると言っているのだけれども、なかなか(連携が)進まない。これだけ負担しても進まない。国民がステータスを求めて大病院に行きたいということなのかもしれませんが、やはりここを変えない限り幾ら小手先でやっても難しいと思います。
では、大病院はどうなのか。大学病院クラスの大病院というのは、私の母校の病院は毎日何千人という外来患者を診ていますが、これがなくなったら病院経営は成り立ちません。今は、大病院ですら外来の収入がなくなったら成り立たない制度なのです。ここをもう少し切り込んでいかなければいけない。大学病院クラスの大病院は専門の外来のみで、あとは入院医療で働き方改革もできるような収入体系にすれば、恐らく大学病院はどんどん外来の手を放すでしょう。こういう構造も実際あるのだと思います。この辺のもう少し突っ込んだ議論を各論でぜひやっていただきたいという気がしています。
一方で、ワンコインあるいは軽い疾患の保険適用を外すということは、(医療費削減の観点からは)一見よさそうですけれども、私はこの部会の中で恐らく唯一、現場で毎日、入院も外来も往診もしている現場医師です。今、費用を払うのが苦しくて外来にかからなくなってしまっている患者さんが、糖尿病が悪化して、結局入院してしまい何をやっているのか分からないことをよく経験します。そうして、莫大な入院費用を払わなければいけなくなる患者が何人もいらっしゃる。このようにフリーアクセスが制限されてしまうと後でえらいことになるのではないかということで、私はこれには反対させていただきます。
もう一つ、各論で言わせていただくと、予防に対して政府もかなり力を入れて予算も倍増していると聞いていますが、予防が本当に医療費を抑制する効果があるかどうか、この議論もやっていかなければいけない。私が知っている限り、どんな論文を読んでもあまり明確な効果はないと思います。予防は大事ですし、予防することは絶対いいことだと思いますが、それが医療費を抑制するかどうかというのはまた別の議論ではないかと知りながら、予防を進めなければいけないという気がします。あまり予防を進めて、軽いものでもあぶり出して全部そこで薬を投与していったら、逆に医療費は上がる可能性だってあるので、それもぜひ考えていただきたいと思います。
それから、フォーミュラリーに関しては、これもパターン化することがかえって医療費を上げることになる。先ほど松原委員もおっしゃったように、現場でいくと、いろんな学会の説がありますが、そこにのっとってやろうと思っても、特に高齢者の場合は薬をゼロという選択だってある。そういう選択を毎日やらなければいけない。そういうパターン化では外れることがどんどん増えてくるのに、フォーミュラリーが独り歩きしてしまうと、結局それが新規のフォーミュラリーになっていけばパターン化するのが当たり前になってくる。それが逆説的に患者さんにとっても不利益を与えてしまうかもしれないし、医療資源としてもひょっとしたら無駄な医療を提供してしまう可能性もあるのではないか。そういう逆説的なことがあるということも知りながら、フォーミュラリーに関してはもっと慎重な議論、慎重な調査をやった上で保険に載せるかどうか考えないといけないということで、私もまだまだ慎重な議論や調査が必要だと考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、樋口委員、森委員の順番でお願いいたします。
○樋口委員 基礎資料の32ページにございます健康寿命の延伸等について述べさせていただきます。健康寿命の延伸といったら誰も反対する人はいなくて、私ども後期高齢者にとっては最大のテーマなのですけれども、健康寿命がこれだけ言葉として人口に膾炙してまいりましたら、健康寿命についての情報を出していただけないだろうかと願っております。
伺いましたら、調査方法は健診のときに問診して自己申告の結果の統計だと承りました。男性の健康寿命は平均寿命と9年の差でしかないのに、女性の健康寿命と平均寿命の差は12年もあるのがなぜだろうと、とても不思議に思っていたのですが、自己申告だとすると、男のほうが元気に言いたがるからそうなるのではあるまいかとか、そうかどうかは知りませんけれども、この統計が自己申告を基にしているということが、10年近くこの言葉をこっちも使っていながら、やっと分かったような次第でございます。この辺の御研究を一般の人々にも共有させていただきたいということが一つです。
それから、健康寿命の延伸は誰も反対する人はいないと言いましたけれども、そうすると、平均寿命という枠があって、その下に健康寿命というのがあって、男は9年、女は12年、その間の健康というのはどうしたらいいのか。動けなくなってしまうのか、外へ出られなくなるのか。その時期も認知症になってしまうこともあれば、いろんなこともあると思いますが、にもかかわらず、やはりその時期を生きる。私などはまさにその年齢だと思いますが、80になりましても、80代半ばを超えましても、今までの連続的な人生の上で、要するに連続的に一続きの人生として生きていきたい。不健康にならないように、健康寿命の延伸は結構なのですが、その後が10年前後もあるわけですね。そこにおける健康対策というのはどういうものなのだろうか。それなりの社会的参加も必要だろうし、デイサービス、買い物支援、そういうのはもっと健康と結びついた力を持ってくるだろうと思いますけれども、この9年、12年を何という言葉で言ったらいいのですか。フレイルと言ってしまっていいのですか。そうばかりでもないかと思いますが、人生100年の中の10分の1にもあたるその時間のそれなりの健康な過ごし方というのは何なのだろうか。ぜひ専門の先生方で御討議いただきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
森委員、どうぞ。
○森委員 時間の関係もありますので、今日は2点です。
1点は、後期高齢者の自己負担を1割から2割ということですが、負担金として考えるとこれまで窓口で薬代として3000円支払っていた人が6000円支払うことになります。そう考えると、負担感が大分大きくなるのではないかと思います。受診抑制という話がありましたけれども、私が経験した事例ですが、患者さんの来局間隔が投与日数より長いので心配していろいろ聞いていったら、負担金を気にして1日3回飲むお薬を1日2回で飲んでいたという事例がありました。受診抑制以外にそのようなことも考えられます。負担増については慎重に検討していく必要があるのではないかと思っています。
もう一点はジェネリックです。全世代型社会保障検討会議中間報告の中に、ジェネリック、後発品ということが入ってなかったように思います。ポスト80%時代をどうするのかということを考えていかなければならないと思います。これまではジェネリックを推進するということで来たのですが、ポスト80%時代は環境が変わると思います。後発品の使用が当たり前になって、先発品が市場を後発品に明け渡す時代になっていきます。そうした中で、使用促進という観点のみならず、ポスト80%時代の体制をどうするのか、そして、その体制をどう維持していくのかというのは大きな課題だと思います。このことに関しては新たな視点での検討をすることが必要だと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
まだ御意見はあるかと思いますけれども、大体、基本的なお考えは承りましたので、後は個別の議論のときにまた御意見を頂戴したいと思います。本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
一応、確認でございますけれども、事務局が提案されました進め方、スケジュールと基本的なアジェンダについて、いろいろな御意見が出ました。また、その他のところで議論はさせていただくということでありますが、基本的にはこの事務局原案で進めさせていただくということでよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤部会長 では、またそのときに御発言いただきたいと思います。事務局といたしましては、いろいろな御意見が出ましたので、それを踏まえまして、適切な対応をお願いしたいと思います。何かございますか。
○宮崎課長 御指摘いただいた中で、今日、補足して御説明しておいたほうがいいだろうという点がありますので、私と高齢者医療課長から御説明させていただきます。
まず、定額負担に関しての御議論がございました。定額負担に関わる部分につきましては、「改革工程表2019」、お手元の資料で言いますと基礎資料の31ページにございますが、全世代型社会保障検討会議におきましては、定額負担に関わる部分について、いわゆるワンコインのような御指摘も含めて議論した上で、今、中間報告に盛り込まれましたような大病院の外来受診時の定額負担の拡大という方向性が打ち出されているところでございます。
また、それを受けまして、経済財政諮問会議の「改革工程表2019」の中でも、31ページの一番上でございますが、外来受診時等の定額負担の導入を検討するという取組事項に関しましては、2020年度の実施事項といたしまして、全世代型社会保障検討会議の中間報告において示された方向性に基づき検討を進めるとなっているところでございます。ですので、この定額負担に関わる部分につきまして、全ての外来受診に一律負担を求めるような定額制度について改めてここで議論をお願いするという考え方は、私どもでは持っていないところでございます。
一方で、薬剤に関わる議論につきましては、この改革工程表の中でも、薬剤負担に関する議論などにつきまして項目として入っているところでございまして、全世代型社会保障検討会議につきましては、触れられておりませんけれども、今後の議論の対象になってくると考えているところでございます。
進め方に関わる部分でございましたので、補足させていただきました。あと、データについて。
○遠藤部会長 お願いします。
○込山課長 恐れ入りますが、高齢者医療課長でございます。資料の説明について若干補足させていただきます。
先ほど兼子委員から御指摘いただきました基礎資料の4ページの各保険者の比較の表でございます。先ほど保険料の負担率について御指摘がございました。この数字について補足を申し上げます。ここに「平均所得」とございますけれども、下に小さい字で注がついていて恐縮ですが、例えば高齢者の方であれば、公的年金控除を充てた後の、いわゆる所得になっています。同様に、協会けんぽなどの方で言えば、給与所得を適用した上でのこういった所得になっております。後期高齢者の方で言えば84万円と書いておりますが、これを実収入に変換いたしますと204万円ぐらいの金額になります。この204万円に対して平均保険料が7万円ということでございますので、こうしたことを踏まえて表を見ていただければと思います。説明不足で恐縮でございますが、そういった形で見ていただければと思います。
加えて申し上げれば、これは平均的な数字を掲げておりますので、御案内のとおり後期高齢者の方には7割軽減、現状、8割軽減もございます。2割、5割軽減等々ございます。そういった軽減対策も講じております。それを当てはめますと、今、計算ができていませんけれども、この負担率というのはかなり小さい数字になろうかと思いますので、そういったところも御理解いただければありがたいと思います。
それと、先ほど樋口委員から健康寿命の件で御指摘がございましたけれども、若干補足します。クリニックなどでの問診というよりは、国民生活基礎調査の統計をとるときに「あなたは日常生活に支障がありますか、ないですか」という御質問をお願いして、それの回答を集積して分析していると伺っております。そういう意味では、確かに御本人の主観的な回答から得ているデータであることは間違いないと思います。補足でございます。失礼いたしました。
○遠藤部会長 ほかに事務局、よろしいですか。
今後の議論の中で非常に重要な御指摘をされておりますので、非常に有益な情報だと思います。
関連ですか。堀委員、どうぞ。
○堀委員 時間もないので、個別の意見ではなくて、議論の進め方についての確認だけさせてください。資料の①、②に記載事項が今後の検討事項であるということは理解しましたが、③のその他の検討事項の中には、全世代型社会保障検討会議で挙げられてないもの、あるいは改革工程表に挙げられていないものも含まれるのでしょうか。また、全世代型社会保障検討会議の中に医療保険関係では、保険者努力支援制度と地域医療構想等の推進についての項目があったと思いますが、そこも含まれるのか、教えていただけますか。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○宮崎課長 含まれ得ると考えております。
○遠藤部会長 よろしいですか。
それでは、そういうことでこの議論はこれまでにさせていただきたいと思います。今後、具体的な議論になりましたら、ぜひまたよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題「その他」でございますが、事務局から2つの資料が出ております。「被保険者番号履歴を活用した医療等情報の連結の仕組みの具体化について」と「被保険者記号・番号の告知要求制限について」でございます。それぞれについて事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2「被保険者番号履歴を活用した医療等情報の連結の仕組みの具体化について」につきまして、説明させていただきたいと思います。
資料2のスライド3枚目「被保険者番号履歴を活用した『同一人物性の回答』」というところをお開きいただきたいと思います。これは、昨年11月の当部会において説明したところでありますが、おさらいがてら、どういう仕組みか、御説明したいと思います。
レセプトの情報は、たくさん集まって、結果的に、NDBと言っておりますが、そういったものができ上がります。今までは被用者保険や国保であれば世帯単位になっているのですが、個人単位の被保険者番号になった後の話で聞いていただきたいと思います。例えば、私、山下護という名前で、生年月日があって、男性ですが、今、厚生労働省の共済組合です。個人単位の番号としてその番号が振られています。例えば、私が退職して中小企業に入りましたというと、今度は協会けんぽで新たに山下護ということと、その生年月日、男性ということで新たに番号が振られる。そして、退職したら、今度は国保で同じように振られる。さらに75歳になると後期高齢者ということで番号がそれぞれ振られるということになります。
それぞれの保険者で受診したレセプトについてひもづけようとすると、山下護、生年月日、男性ということで結びつけるのですが、もしかすると途中で私が名前を変えたり、同じ名前で同じ生年月日の人がいると、このレセプトが本当に一緒になるかどうか分からない。
一方で、番号でひもづけようとすると、実は厚生労働省の共済組合で番号があり、協会けんぽで番号があり、国保で番号があって、後期高齢者で番号があり、それぞれで番号が振られていますので、ひもづかないということになってしまいます。
それに対して、右側を見ていただきたいのですが、オンライン資格確認を通していくことによって、各保険者で番号が振られた後、その番号を持っている人はこの人ですということを登録していただくことになりますので、保険者が変わったとしても、その変わった保険者でそれぞれ番号が振られたとしても、オンライン資格確認の基盤で山下護がどんな番号で履歴がどうなってくるのかということが一元的に管理されます。これは支払基金と国保中央会、国保連合会のほうで一元的に管理されることになります。
そうすると、左側にあるナショナルデータベースでいろんなレセプトがあって、それぞれ加入している保険者での番号であったとしても、それをオンライン資格確認の基盤であるところででき上がる被保険者番号の履歴を持っているところに照会すると、山下護が実は国保に入っていたとしても、昔をたどっていくと厚生労働省の共済組合の個人番号が振られている。たとえ後期高齢者医療制度に行ったとしても、ずっとたどっていくと厚生労働省の共済組合の番号に行くという履歴がありますので、このレセプトは、たとえ国保であり、たとえ後期高齢者医療制度であったとしても、最後の最後までたどると厚生労働省の共済組合の番号になって、それが山下護の番号ということが分かり、これは同一人物というふうに回答します。その仕組みができ上がるというのがこの被保険者番号履歴の活用による医療情報の連結の仕組みというものでございます。
これが前回の復習になるのですが、今回、2つの点について明確になりましたので、お伝えしたいと思います。
最初は、NDBに関する事務です。ナショナルデータベースは厚生労働大臣が持っているのですが、厚生労働大臣が持っているナショナルデータベースについて様々なレセプトが集まります。集まったレセプトの同一人物の可能性の照会をするという事務については、厚生労働大臣でやるよりも、支払基金や国保連合会がレセプトをためていますし、さらにそこで番号の管理をしていますので、そこに委託して実施していこうと考えております。これが1つ目の論点でございます。
もう一つは、右側に移っていただいて、管理・運営主体、これは支払基金、国保連、国保中央会の番号の履歴を管理している人たちなのですが、それぞれの番号で照会があった場合、この照会のあった番号の履歴をずっとたどって、最初の被保険者番号はこの番号という形で返すというふうに前回はしていました。ところが、それだと最初の被保険者番号で、やりとりすることになってしまいますので、それはどうかということでありまして、最初の被保険者番号が照会のたびに行き来するということではなくて、最初の被保険者番号をハッシュ化ということで、ランダム化して被保険者番号ではない形にしてやりとりするというふうにしたいと考えております。
一方で、ランダムになってしまうと、本来は同じ番号にもかかわらず、ハッシュ化後にそれぞれで変わってしまうのではないかという御心配がありますが、同じ番号であれば、ランダムといっても同じ記号にハッシュ化するということになりますので、たとえいろんなところで照会があったとしても、最初の被保険者番号が同じであればハッシュ化したら同じ記号が出てくるような仕組みにしていきます。ハッシュ化された後であっても、その人が違うレセプトでも同じ番号であればハッシュ化されたものも同じになりますので、ひもづけることができるという形にして対応することになります。
小難しい話を口頭で補った形になったかもしれませんが、こういった形で具体化していくということでございます。事務局からの説明は以上です。
○姫野課長 それでは、続きまして、資料3について説明させていただきたいと思います。
「被保険者記号・番号の告知要求制限について」でございます。3ページ構成になっておりますけれども、後ろ2ページが参考でございますので、最初の1ページで御説明したいと思います。
昨年5月、医療保険の関連法を改正いたしまして、その中で、今、資料2でもありましたけれども、被保険者記号・番号が個人単位化されました。これに伴いまして、プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外にはこういった番号の告知を要求することを制限するという規定も設けられております。今般、これを具体化して下位法令に定めていくに当たりまして、どのような範囲で告知を求めてもいいか、また求めてはいけない場合にどのような取扱いをしなければいけないのか、そういった方針についてお諮りしたいと思っています。
まず、1点目、記号・番号の告知等が可能なケースを具体的にどのように定めるかということでございます。基本的には、健康保険事業またはその事業に関連する事務の遂行に必要である場合には、こういった番号を要求すること、あるいはデータベースを構成することが可能になるかと思っております。
このため、マルイチでございますけれども、医療保険各法及びその下位法令に基づく事務を実施するため、保険者、保険医療機関等が記号・番号の告知を求めるのは当然認められるということで、これは法律にもそのように書かれております。
マルニですが、マルイチ以外の場合に具体的にどのようなケースで求めることが可能になるのかということです。基本的には、医療保険各法の理念に照らして整合的である場合には認められるということで、具体的なケースを以下、掲げております。
例えば、がん登録データベース、難病・小慢データベース、NDBといった公的な医療情報のデータベースに活用する場合、大学等の疾病の原因等の研究のための活用、地域医療情報連携ネットワークにおける活用、また、健診実施機関等が保険者から委託を受けて特定健診などを行う場合の活用、自治体の公費負担医療での活用、社会保険労務士が社会保険労務士法に基づき健康保険に関する申請書等を作成するための活用、被保険者本人の同意または委託を受けて、例えば具体的に想定されるのは労災給付と健康保険の給付の併給調整をする場合のやりとり、あるいは被保険者の資格が誤っていた場合に資格を保険者間で調整する際の請求、そういったものを被保険者に代わって行うような場合に活用するケース、介護保険法の規定に基づいて要介護認定の申請等に活用する場合、そういった場合には認められるのではないかと考えております。
2点目ですが、本人確認のために、被保険者証が市町村の窓口や金融機関の口座開設の手続などで現に使われているケースがあるかと思います。今後、告知要求制限との関係でどういったことをしてはならないのかということも幅広く周知する必要があると考えております。
具体的には、本人確認書類として被保険者証の提示を受けた場合に、その記号・番号を書き写したり、あるいは写しをとる場合には、記号・番号を復元できない程度にマスキングを施して写しをとることが必要になってくるということを考えております。
こういった方向で具体的な省令以下の規定を定めていきたいと考えておりますので、この対応方針について御意見いただければ幸いでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 非常に分かりやすい説明をありがとうございました。
それでは、ただいまの2件について御意見、御質問があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 資料3の部分ですけれども、保険証は本人確認書類として幅広く使われていますので、当たり前のことではありますけれども、全ての事業者に国としてしっかりと周知していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
それでは、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 御説明いただいてありがとうございました。
健康・医療に関する情報の連携によるいろんな新しい国民へのケアということだと思いますが、ぜひ考えていただきたいのは、出生後、赤ちゃんは母子医療を受けます。続いて学童の保険医療や診察を受けます。それぞれデータは別で、法が変わっているかどうか私も確認まではしていないのですが、それぞれ別にデータを集められていまして、つながってはいないようなことも一部聞いています。つながっていたら問題ないのですけれども、誕生から天寿全うまで、個人の健康・医療についてのデータは最初から最後まで見られるようにしてほしいのです。
これは一部、医療を専門に研究されている研究者の方が努力をされていると聞いています。現場で頑張っている保健師に話を聞いていても、お世話する対象者の若いときの健康データが欲しい、あるいは家族としての全体の健康に関することも知りたい、そして家族として健康ケアや長寿命化、そういう健康づくりをしていきたいということですので、そういったことは別の省庁、文科省との連携などあると思いますが、ぜひやっていただきたいと思います。
ちなみに、聞いた話ですけれども、学校保健法に基づく健康のデータは法規約上5年の保存期間だと思いますが、実は学校の金庫の中に眠っているはずです。生データは残っているのです。それをデータベース化すれば、若いときの健康などもつながって、個人のケアができるようになりますので、事務レベルでもいいですから情報交換して検討いただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。松原委員、どうぞ。
○松原委員 健康情報というのは、やはり個人にとっては大変重たいものであります。また、遺伝子分析ができるようになれば、自分の子供や兄弟にも影響があることがあると思います。その方のために、健康にとって必要なことについて御利用いただくのは結構だと思いますが、そうでない場合には十分な制限をもって行ってほしいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。大体、御意見は出尽くしたと思います。事務局におかれましては、ただいまの御意見を踏まえまして、適切な対応をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議論はこれまでにさせていただきたいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
これをもちまして、本日は終了したいと思います。御多用の折、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。