2019年12月5日 第55回中央最低賃金審議会 議事録

日時

令和元年12月5日(木)15:00~15:20

場所

厚生労働省専用第22会議室

出席者

公益代表委員
 藤村会長、戎野委員、鹿住委員、中窪委員、権丈委員
労働者代表委員
 小原委員、冨田委員、平野委員、永井委員
使用者代表委員
 佐久間委員、高原委員、中西委員、橋本委員、正木委員、堀内委員
事務局
 坂口労働基準局長、吉永審議官、五百旗頭賃金課長、瀧ヶ平主任中央賃金指導官、水島副主任中央賃金指導官、松本賃金課長補佐、手計賃金課長補佐

議題

賃金改定状況調査の見直しについて

議事

○松本賃金課長補佐
 報道各社の皆様に申し上げます。頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、カメラをお持ちの方は御退室のほど、よろしくお願いします。

○藤村会長
 ただいまから「第55回中央最低賃金審議会」を開催いたします。本日は松浦委員、伊藤委員、新沼委員が御欠席でございます。
 本日の議題は、「賃金改定状況調査の見直しについて」です。議題について事務局から説明をお願いいたします。

○五百旗頭賃金課長
 賃金課長の五百旗頭でございます、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1について御説明を差し上げます。本審議会での最低賃金の目安の議論に当たって参考資料として提出しています賃金改定状況調査は、統計法上の一般統計調査に該当いたします。令和元年の調査に当たっては、本年5月の本審議会で御説明したとおり、総務省から1年限りの調査計画として承認を受けて実施いたしました。そのため、令和2年以降の調査については、改めて総務省の計画承認が必要になりますが、これまでの間、総務省や統計委員会から受けた指摘を踏まえ、調査設計の見直しの検討が必要になっております。
 1ページ目を御覧ください。まず、調査の見直しに当たっての基本的な考え方ですが、調査の目的や基本的な考え方は踏襲しつつ、以下に示される一般統計としての性格を踏まえた指摘に対して、必要な見直しを行いたいと考えております。
 具体的には、本年6月20日の総務省点検検証部会においては、調査設計に係る部分で2点の指摘事項がございました。1つ目は、「集計する産業比率と母集団の産業比率には大きな違いがあって問題があるのではないか」、2つ目は、「郵送調査であれば県庁所在地に限る理由がなく、調査地域も見直すべき」というものでございます。このほかに、統計法に従った調査結果のホームページ等での公開の徹底、事務のアウトソーシングの検討などの指摘がございました。前者につきましては、一般統計として利用者の利便性の向上を図るものであり、また後者については、非常にタイトなスケジュールで調査を行っている事務局の負担軽減等を図る観点から頂いた指摘と認識しております。このような調査設計に関わらない調査事務運営に係る指摘については、事務局で適切に対応させていただきたいと考えております。
 2ページ目を御覧ください。調査の目的の確認になります。本調査は、「中央最低賃金審議会の審議に資すること」、過去の目安制度の在り方に関する全員協議会でも触れられていますが、「本調査は、賃金額の実態を把握することを目的とするものではなく、賃金の改定状況の実態を把握することを目的とするものである」ことでございます。こうした理解の下、基本的な考え方としては、「調査対象は従前のものを基本とする」こと、また「ランク別の賃金上昇率が一定の精度で得られるような調査対象とする」こととし、これらを踏まえつつ、統計理論に基づく精度担保の技術的対応を行うことと整理させていただいております。
 3ページ目を御覧ください、具体的な見直しは3点です。まず産業別ですが、令和元年までは、「製造業」、「卸売業, 小売業」、「宿泊業, 飲食サービス業」、「医療, 福祉」、「その他サービス業」の事業所比率が6:3:1:1:2となっていました。これを令和2年の調査では、母集団の比率に合わせ、製造業以下、各産業大分類別に1.3:4.1:1.2:1:0.5:0.7:1.2としたいと考えています。なお、ここに記載のある比率は、平成28年経済センサス-活動調査に基づくものですが、各年の調査においては、総務省の事業所母集団データベースを利用し、最新の母集団比率に基づき、調査対象事業所を抽出していくことになります。
 次に都市規模別です。令和元年までは、県庁所在都市については調査対象産業全てを対象とし、地方小都市は製造業のみを対象として、県庁所在都市の製造業と1:1の割合で抽出していました。対象範囲は昭和54年以降変更しておらず、このような扱いとした考え方について現時点で明確に確認できるものはございませんが、推察するに、過去においては本調査が調査員によって実施されていたことから、調査実務の観点からこのような扱いになっていたのではないかと考えております。現在は郵送による調査としていますので、県内全域において、調査対象産業全てを対象として抽出する形にしたいと考えています。
 次に事業所規模別になります。これは総務省や統計委員会から明示的な指摘を受けた事項ではございませんが、先ほどの2点同様に、母集団における比率に合わせた抽出となるように見直しを行いたいと考えております。具体的には、この調査は30人未満の事業所を対象にしていますが、抽出に際しては現在、1~9人の事業所と10~29人の事業所数の比率が製造業は2:1、それ以外の調査対象産業は3:1となるように設計をしております。これを、令和2年の欄に記載しているように、母集団事業所数の比率に合わせた抽出にしたいと考えております。
 以上を踏まえまして、4ページ目は調査設計の新旧を整理したものになります。説明は重複するため省略させていただきます。
 最後に、この見直しによる調査結果への影響について御説明をいたします。本見直しにより、産業別比率、都市規模別比率、事業所規模別比率のいずれも、実際の母集団事業所数と同じ比率で抽出することになりますので、見直し後の調査結果の精度を改善する効果があると考えております。なお、見直し後の結果と従前の結果は、統計上いずれも母集団に復元推計した数値となりますので、比較可能な数値とお考えいただいて問題はございません。説明は以上になります。

○藤村会長
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題について御議論いただきたいと思います。今、事務局から御説明がありました賃金改定状況調査の見直しについて、何か御意見、御質問があればお出しいただきたいと思います。いかがでしょうか、よろしいですか。冨田委員。

○冨田委員
 ありがとうございます。改めての確認になるのですが、今回の調査の見直しについては、総務省からの指摘に基づく精度担保の技術的対応であると、先ほど御説明を頂いたかと思います。その上で、私どもとして改めてお尋ねしたいのが、精度を向上させるためとはいえ、復元前のそもそもの集計の母集団を大幅に入れ替えることになりますので、その意味において調査結果の継続性が担保されるのか。その点は統計理論上問題ないかという観点に関しまして、改めてもう一度確認をしておきたいと思いますので、御説明いただければと思います。以上です。

○藤村会長
 いかがでしょうか。

○五百旗頭賃金課長
 ありがとうございます。御懸念の点についてですが、この調査につきましては従前より復元集計をしておるものでございます。ですので、今回の見直しによりまして、復元をする際の精度が改善されるものというように私どもとしては考えております。したがいまして、見直し後の結果というのは、従前の結果と統計上、同じ母集団に復元集計した数値になりますので、これらのデータについて比較可能な数値というようにお受け止めいただければ、大変有り難いところでございます。

○藤村会長
 冨田委員、よろしいですか。

○冨田委員
 ありがとうございました。統計理論上の話については今の御説明のとおりだと思います。ただ、現実に実際どうなるかというのは、調査の中身を変えている年でありますので、来年の調査実施の際には改めてそこのところが確認できるような工夫もあらかじめお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

○藤村会長
 そのような要望があったということでよろしいですか。

○五百旗頭賃金課長
 はい、承知いたしました。

○藤村会長
 そのほか、御質問、御意見はございませんでしょうか。

○戎野委員
 今回の見直しは、やはり現状をより正確に把握する、それを基に検討を行うということで、非常に重要な意義を持っていると思います。結果を見ましても、かなり産業比率も変更していますし、またより広域から情報を収集できるという意味で、大変意義があるのではないかと思いました。
 ただ、今、冨田委員からの御懸念もありましたように、時系列的に改定前と改定後をしっかりと見極めるということは重要で、これまでもそうでしたがデータを見るときには注意していくべきだと思いますしかしながら、今回の改定に対する意義は大変あるということは確認しておいていいのではないかと思いました。以上です。

○藤村会長
 ありがとうございます。そのほかございますでしょうか。

○鹿住委員
 今回の改定の意義は戎野委員がおっしゃったとおりだと思います。もう一点、「その他サービス業」が今回、「学術研究, 専門・技術サービス業」と、「生活関連サービス業, 娯楽業」と、「サービス業(他に分類されないもの)」というように細分化されているわけです。経済センサスもそうなのですが、サービス業というのは毎回調査するたびに新しいサービス業がどんどん増えていって、日本標準産業分類も5年ごとに改定されていますが、毎回毎回、他に分類されないものが更に細分化されて、新しい細分類が増えていくという状況になっております。ですので、こちらのサービス業の分類のほうも、どういったサービス業に対して調査を掛けるかという点、次回のタイミングで結構ですので、こちらも現実に即して見直していく必要があるかと思っております。

○藤村会長
 その点よろしいでしょうか。

○五百旗頭賃金課長
 御指摘、留意しながら調査の実施等、行っていきたいと思います。

○藤村会長
 そのほかございますか。もしなければこれで終わるのですが。

○正木委員
 本件に直接関係なくてもよろしいですか。

○藤村会長
 どういうことでしょうか。

○正木委員
 調査をするとなると日程が問題になると思いましたので、そのことです。内容ではないです。よろしいですか。

○藤村会長
 はい。

○正木委員
 今年7月の第1回目安小委で発言して、事務局に検討をお願いした件です。なぜその議事録がいまだに公開されていないのか全く分かりませんが、今年行われる最低賃金審議会の日程についてどうお考えか、事務局に確認させていただきたいと思います。オリンピックの組織委員会からは企業・団体に対して、7月24日の開会式前、要人が多数来日する7月20日から8月10日までと、パラリンピックの開会式がある8月25日から9月4日までの期間、交通対策が特に必要な期間ということで、時差ビズやテレワーク、夏期休暇の取得を呼び掛けられております。私もポスターを貼ってくれと言われて会社に貼るのですが、「2020年夏は、すぐにやってくる」ということです。
 仮に、この中央最低賃金審議会について、この期間、この調査が終わって何とかオリンピックの期間を避けられた、あるいは東京で行う必要もないので東京エリアでの開催を避けるとしても、東京都の地賃などに大きな影響があると思うのですが、この点、東京都などと協議をされておられるのか、そのお考えなどをお聞かせいただければと思います。

○藤村会長
 現状で分かっている範囲でお答えいただければと思います。

○五百旗頭賃金課長
 東京オリンピック・パラリンピックの会期に先立ちまして、今おっしゃっていただいているような様々な配慮を求められているというところは、事務局としても承知をいたしているところでございます。そのような中で、この賃金改定状況調査については、6月時点の事業所の状況を調査をしてまとめるというスケジュールから、例年、7月の上旬まで取りまとめの作業が掛かっているところでございます。したがいまして、日程につきましては、もちろん委員の皆様方の御都合をお伺いした上での調整ということではあるのですが、この調査結果が取りまとめられる7月の上旬というところが1つのメルクマールになろうかと思っております。その後、オリンピックの開会式等の各日程と委員の皆様方の御都合などを総合的に調整をさせていただいた上で開催の日程、場所につきましても、日程をお伺いする際に各委員の皆様方の御意向なども踏まえつつ、事務局として検討をさせていただきたいというように考えております。

○藤村会長
 どうぞ。

○正木委員
 いずれにせよ、来年度の目安審議は、先ほどの鹿住委員の御指摘のような、今後の制度なりの議論もあり、目安審議の日程などについては地域にも影響があるということですので、こういった場で審議をするのであれば早めにお願いできればと思います。

○藤村会長
 よろしいですか。

○五百旗頭賃金課長
 はい、承知いたしました。

○藤村会長
 冨田委員、どうぞ。

○冨田委員
 今ほどの来年の審議日程のことにつきまして、労働側からも一言要望を申し上げたいと思います。何年に一度という、大変に大きなオリンピック・パラリンピックの期間と重なるというのは重々承知をしておりますが、最低賃金そのものの目的と意義を考えれば、やはり地方の審議会において、各県において改定される地賃が10月1日に発効されるというスケジュール感、ここをしっかりと念頭に置いた上で全体の審議日程を協議していくべきだと私どもは思っております。御調整いただく際にはこの点を十分に御理解頂いた上で、御配慮も頂戴できればと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○五百旗頭賃金課長
 今の点につきましても承知いたしました。

○藤村会長
 賃金改定状況調査の結果が出る前に決めるわけにいかないので、これを前倒しでできるかというとそれもちょっと難しい。ですから、この賃金改定状況調査の結果が出次第、できるだけ速やかに議論していって、東京オリンピックに伴ういろいろな要請がありますから、その前に何とか、その辺りが我々が目指すべき着地点かなと思います。来年度に具体的には日程、それから場所も含めて決めていくというのが事務局の案でございますので、それを御了承いただきたいと思います。よろしいですか。
 それでは、今日の議題であります資料1、賃金改定状況調査の見直しについて、このとおり了承するということにしたいと思いますが、いかがでしょうか、よろしいですか。ありがとうございます。それではそのようにさせていただきたいと思います。
 本日の議題については以上です。事務局から何かありますでしょうか。

○五百旗頭賃金課長
 ありがとうございます。それでは、今回御了承いただきました内容を踏まえまして、総務省への調査計画の変更申請を続けてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○藤村会長
 それでは、これをもちまして「第55回中央最低賃金審議会」を終了いたします。本日の議事録の署名は冨田委員と佐久間委員にお願いをしたいと思います。
 本日はお疲れ様でした。ありがとうございました。