令和元年度第2回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

日時

令和元年11月28日(木)10:00~12:21

場所

厚生労働省 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館 11階)
 

議題

(1) 実地調査・アンケート調査の結果について
(2) 報告書骨子(案)について
(3) その他

 

議事

○米倉改善室長補佐 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから令和元年度第2回トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会を開催いたします。
 委員の出席状況ですが、佐藤委員、諏訪委員が欠席となっております。
また、委員の交替がございましたので御紹介いたします。全国トンネルじん肺根絶原告団の事務局長の石田委員です。
○石田委員 石田と言います。お世話になります。私は特にトンネル労働者、出稼ぎ労働者の救済の活動をしていまして、1996年からトンネルじん肺の裁判などに携わっています。2000年12月に、トンネル工事で初めてガイドラインができまして、それに基づいて、翌年に和解ということで、そういう点ではいろいろな活動を通じて、今後この検討会としてもしっかりと進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
○米倉改善室長補佐 また、本日はオブザーバーとして、トンネル建設工事の実務に詳しい方として、飛島建設株式会社土木事業本部の築地土木技術部長兼土木デジタルトランスフォーメーション推進部長にも御出席いただいております。また、本検討会の議論を踏まえまして調査を行いました独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所から、作業環境研究グループの中村主任研究員にも御出席いただいております。また、関係省庁として、経済産業省産業保安グループから村田石炭保安室長補佐にも御出席いただいております。なお、国土交通省につきましては、急な公務により本日は欠席となっております。事務局に異動がありましたので、御紹介いたします。安全衛生部長の村山です。
 続いて、配布資料の確認をいたします。厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取組を推進しておりまして、本日の検討会もペーパーレスで実施させていただきます。お手元にはタブレットを配布しております。使用方法については、操作説明書を机上に配布しております。御不明の点がございましたら、近くにいる職員にお声掛けください。
 タブレットを見ていただきまして、上のほうから順に資料が入っております。議事次第、座席表が入っています。資料1「トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度調査結果速報値(現場F~H)」、こちらは委員のみの配布です。資料2「トンネル建設工事における粉じん濃度換気能力等に係るアンケート調査の分析結果(暫定版)」、資料3「骨子案①測定の基本的事項について」、資料4「骨子案②測定の詳細事項等について」、資料4-1「ずい道建設工事中の質量濃度換算係数(K値)に関する文献等について」、資料4-2「浮遊粉じん中の遊離けい酸含有率に関する文献等について」、資料5「骨子案③粉じん濃度測定結果に基づく措置について」、資料5-1「トンネル工事における粉じん測定及び換気等に関する文献等について」、資料5-2「結晶質シリカのばく露限度等の設定に関する文献等について」、資料5-3「定点測定と個別測定の測定値の比較について」、資料5-4「電動ファン付き呼吸用保護具の防護係数に関する文献等について」、資料6「骨子案④工学的対策等及び実施管理について」、参考資料1「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会開催要綱及び参集者名簿」、参考資料2「トンネル建設工事の切羽付近における粉じん濃度測定に関する研究報告書」、こちらは平成30年度第1回検討会の資料4-3と同じです。それと委員のみの配布となっていますが、熊谷委員から資料の提出がありましたので配布しております。これらの資料が格納されていることを御確認ください。もし資料の不足等がございましたら、タブレットを交換いたしますので、事務局までお申し付けください。
 それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力お願いいたします。これから議事に入らせていただきます。以降の進行につきましては、小山座長にお願いいたします。
○小山座長 おはようございます。議事を進行させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。今日の議題については、議事次第にあるように、1つ目が「実地調査・アンケート調査の結果について」2つ目が「報告書骨子(案)について」、3つ目に「その他」ということになっています。それでは、最初に「実地調査・アンケート調査の結果について」ですが、これについてはまとめて御説明をお願いいたします。
○オブザーバー(中村主任研究員) まず、実地調査について安衛研の中村が報告させていただきます。机上配布の資料1を御覧ください。一昨年度からの継続ということで、現場は3か所に行ったのですが、現場Fから現場Hとさせていただいております。資料の順番と変わってしまうのですが、机上配布資料1の21ページの現場Hから説明いたします。現場Hが一番計画どおりに調査ができましたので、まずこの現場を紹介して、全体の調査はどのようなことをしたかということを御説明しまして、その後に現場F、現場Gという3つの現場について御説明いたします。
 22ページに測定の概要が書いてあります。まず、今回の調査では、大きく3つの目的がありました。1つが、K値(質量濃度変換係数)の決定のためのデータを収集するということで、今回、これまでと違う新しい測定方法を導入することになりましたので、それに合わせた形のK値の収集。また、粉じん計に分粒装置を付けることが今回の検討会で意見として出されて、そういう方向で進んでいますので、K値を新たに分粒装置の付いた粉じん計として取るということです。また、これまでK値が決められていなかったLD-6N2という新しい粉じん計が出ていますので、そのK値を取るということで、1つの目的としてK値の収集があります。
 もう1つの目的として、遊離けい酸含有率の推定方法の検証があるのですが、前回の調査では余り遊離けい酸のデータが集まりませんでしたので、今回は遊離けい酸のデータがしっかりと取れるようにということで、そのための測定を行いました。そして、3つ目が、定点測定と個人サンプラーの測定による結果の比較ということです。この3つが、今回の調査の主な目的となっています。
 そのために実施した内容についてです。まず、定点測定については、切羽から10mから50mの距離の間に基本的に6点、壁際に左右に3点ずつの6点の定点測定の点を置きました。また、個人サンプラーにについては、掘削・ずり出し作業時に切羽の近くで作業される方に付けていただいております。これを各トンネルで2サイクル分実施しております。3か所行っていますので、合計6サイクル分のデータが取れたということになります。ここまでが、全体を通しての概要で、各現場ともこのような形でやっております。
 ここから、現場Hの具体的なお話をしていきます。23ページに表がありますので、併せて見ていただきたいと思います。現場Hという所は、発破掘削の現場で、送気・集じんの方式をしています。配置に関しては下の図のとおりで、このような形です。切羽に一番近い点で30m離れた所で、そこから10mずつの計6点で取っています。実施した測定機器についてはその下に書いてありますが、6点ある定点のうち、一番切羽に近い1と2の点については、測定する機械を増やして、ここを重点的に取る形でやっております。相対濃度での管理に関してはK値が必要であるので、K値が必要である2台の粉じん計として、どちらも分粒装置が付いているLD-5R型とLD-6N2型を使っています。
 質量濃度に関しては、個人サンプラーのほうと整合性を取るために、NWPS-254という分粒装置の付いたLD-6N2型の粉じん計の後ろにフィルターを付けられますので、そちらで取ったものを使っています。また、遊離けい酸含有率の分析には粉じん量が多くあったほうがよいということで、大型のポンプを使うNW-354というサンプラーであったり、また、ラスカルサイクロンサンプラーというものも定点1と定点2には設置していて、これで粉じん量を稼ぐような測定をしております。それ以降の3、4、5、6という点については、粉じんの相対濃度として、LD-5R型という粉じん計を使って、質量濃度に関してはNWPS-254型というサンプラーを使って測定しております。
 また、個人については吸入性粉じんのサンプラーとして、NWPS-254型を付けています。個人サンプラーを付けていただいた作業者ですが、現場の方に掘削・ずり出し、この場合は発破後なので、ずり出しの作業になりますが、そのときに切羽の付近にいる作業者の方ということで挙げていただいたところ、サイドダンプの方、ブレイカーの方がいるということで、2名の方に付けていただいております。このような形で現場の調査を実施しているということで、全体として、ほかの現場も、基本的にこういう原則で測定をしています。
 ただ、この現場に関して言いますと、三脚で定点に粉じん計などを設置することが、スペースと安全上の問題でできないということで、24ページにあるように、コンクリートを吹き付けていた所に穴をあけていただいて、そこに鉄筋を2本刺して、その上に測定機器を入れた箱を乗せていただくという形で、写真にあるように、特に右側が設置した図ですが、こういった形で、大型のポンプは地面に置かせていただいているのですが、機器は鉄筋の上に置くという形で設置しました。
 この現場の結果については、25ページから表にしてあります。25ページが、掘削・ずり出し作業時の粉じん濃度です。表の上のほうが1サイクル目で、下のほうが2サイクル目ということで、両方とも掘削・ずり出し作業のデータになります。まず、粉じん濃度を見ていただきますと、定点の1から6までほぼ同じような濃度であることが分かります。それに対して個人サンプラーによる測定値は少し高いという結果になりました。これは、1サイクル目も2サイクル目も同じような傾向があることが分かりました。K値に関しては、掘削・ずり出し作業へ通じて、全ての点で0.002を下回るような値となっています。
 26ページが、今度はコンクリート吹付け・ロックボルト打設の作業になります。実際には、ロックボルト打設の途中で次の測定の準備のために少し撤収を始めている部分もあるので、ロックボルトの最後まで測っていないのですが、ロックボルト作業は余り粉じんが立たないということで、余り濃度には影響がないかと考えております。こちらは定点測定だけなのですが、こちらも余り位置による濃度の差はないということで、切羽に近い定点1、定点2が高いようにも見えますが、2サイクル目で言うと定点2のほうが低いので、全体として、ある程度ばらつきながら、この程度のばらつきで定点1から定点6までの間の濃度が分布しているという結果が得られています。K値に関しては、こちらは先ほどの掘削・ずり出し作業よりも少し高い0.002前後であるという結果が得られました。これらを足し合わせて計算したものが、27ページになりますが、1サイクルの粉じんの濃度及びK値という形で、こちらに示してあります。傾向としては、今御紹介した掘削・ずり出し、吹付けのときと同様の傾向です。
 これらの作業のときの粉じん濃度の推移を粉じん計で取ったデータの時系列で表しているものが、28ページの図2です。下がトンネルの切羽に向かって左側の定点1、定点3、定点5という点で、上が右側の定点2、定点4、定点6という点になります。先ほどの結果と同じように、ほぼ同じような濃度で同じような挙動をしているという結果が得られています。
 最後に29ページは、遊離けい酸含有率の結果です。こちらは、今回は先ほど言ったように、NW-354、ラスカルサンプラーという2つのサンプラーを使って取ったサンプルについて、分析をしました。この現場では、計8つのデータが得られています。その8つの算術平均として遊離けい酸が19.1%という結果を得ております。下に示した図は、その分析をしたときの結果の1例となりまして、こういう形でピークが表れているということになります。以上のような形で、各現場でデータを取っています。
 前に戻りまして、現場Fの状況について説明いたします。2ページ目からが現場Fについてですので、御覧ください。こちらは、現場調査の段階で進行が早くなって、我々が調査する日程のときには、もう掘り終わってしまうと言われたので、少し前倒しするような関係がありまして、我々の研究所からは通常5、6名で行く予定だったのですが、3名しか行けなかったもので、測定の定点の設置数などを絞っています。
 具体的には、ずり出し作業のときは切羽に一番近い2点のみで、吹付け・ロックボルトのときに後方に2点置いて、4点にするという形で、先ほどの現場Hよりは定点の数が減っております。具体的に表や図で示したのが4ページです。この現場も発破掘削で、送気・集じん方式の現場でした。切羽に一番近いのが35m、その10m後方の45mの所に2点という形の4点の定点を設置しました。このうち、後方の2点は吹付け作業のみとなります。測定機器に関しても、定点2のNW-354などを削らせていただいておりますが、この表にあるような形で、定点1に重点的に物を置いてデータを取るという形で取っています。個人サンプラーに関しては、こちらでも2名の方に付けていただいております。この現場では三脚に乗せていいという許可を得ましたので、5ページにある写真のように、三脚にサンプラー等を乗せて、ちょっと大きなポンプなどは箱に入れて下に置いているという形で、ここは横に側溝が掘ってあったのですが、そこにパレットを置いていただいて、そこの上に乗せる形で設置しました。
 結果ですが、こちらは定点と個人サンプラーで比較すると、数が少ないので比較しづらいのですが、個人のほうが少し高めに出ているかなということがあります。こちらで注意点と言うか、個人サンプラーと定点の開始時刻が少しずれているということがありまして、数分ではあるのですが、発破直後ですので、この数分の粉じん濃度はかなり高いということが想定されます。そのため、若干個人が高くなっている可能性があります。もう1つ、2サイクル目のほうの個人2というほうなのですが、ここが2.79ということで一番高いのですが、この測定のみ、ほかの測定点よりも30分ぐらい早く終了しているのですが、これは作業が終わったということで早く終わらせているのですが、その分、粉じんの濃度が高い部分のみでデータを取っている可能性があって、そのために高くなっているということが想定されます。
 続いて7ページにコンクリート吹付けの結果があります。こちらに関しては、余り濃度に変化はないような結果を得ています。これらを足し合わせたのが8ページ目に、1サイクルのデータとして載せております。また、粉じん計のデータによる時系列を9ページに示してあります。これも定点測定の結果ですが、全ての定点は同じような挙動を示しているということです。10ページに遊離けい酸のデータがありますが、このデータでは6つのサンプルが採れましたので、それの平均として19.9%という遊離けい酸含有率を得ています。
 最後に現場Gについて御紹介いたします。現場Gについては、14ページの表で見ていただくと、ここが今回唯一の機械掘削の現場になります。ここは、切羽に一番近い点として18mの所に置かせていただけたので、今回の調査の中では一番切羽に近い所でデータが取れています。ほかの現場と少し違うところとして、もう一点あります。NW-354の設置ができませんでしたので、ここは遊離けい酸に関してはラスカルサイクロンサンプラーのみとなっています。設置方法に関しては15ページの写真1のように、支保工にアングルを溶接していただいて、そこに機器の入った箱をぶら下げる形で、測定を行いました。結果については16ページからです。粉じん濃度は低い現場で、掘削・ずり出しに関しては個人と定点でもほぼ差がないという結果になりました。吹付けに関しては粉じん濃度は高かったのですが、ここで1つほかの現場と違うというところは、切羽に一番近い1と2の点が、一番粉じん濃度が低いという結果を得ています。18ページに1サイクルのデータがあって、19ページに粉じん計のデータがあります。20ページですが、遊離けい酸含有率としては、4つのサンプルが採れましたので、その平均として16.0%という結果を得ています。
 以上、3か所の現場調査で、機械掘削が1か所、発破掘削が2か所で、K値、遊離けい酸含含有率、定点と個人サンプラーのデータを得ることができました。現場の報告としては以上です。
○米倉改善室長補佐 続きまして資料2を説明いたします。資料2は、トンネル建設工事における粉じん濃度、換気能力等に係るアンケート調査の分析結果の暫定版です。この資料における集計は、主な項目のみを集計したものなので暫定版としています。1ページの真ん中ぐらいの(2)調査方法等です。実施期間は令和元年9月から10月にかけて行っています。対象事業場としては、トンネル建設工事を請け負っている元請け事業場、いわゆる本社ですが28社、及び当該事業場が実施又は直前まで実施していた現場ということで、1社につき3現場についてアンケート調査を依頼しています。
 現場については、各社3現場を抽出し、各現場ごとに回答を依頼しており、施工中の現場が3現場以下の場合は全てを選んでいただき、3現場を超える場合については大断面トンネルということで40m2以上、中小断面トンネルということで40m2未満を最低1現場ずつ選んでいただいています。中小断面がない場合については大断面のみとなっています。また、原則としてトンネル延長が長いものから順番に選出していただいています。元請け、いわゆる本社にはA票を、現場にはB票を送付し、アンケート調査を実施したものです。それぞれの回収状況ですが、A票については28社全てから回答を頂き、B票については66現場の回答を頂いています。
 2ページからが分析結果(A票)についてで、本社からの回答をまとめたものです。(a)粉じん発生源対策の本社の関与ですが、粉じん発生源対策について、本社の関与は情報の提供等にとどまり、本社自らが対策を選定する社は4%に過ぎない状況でした。(b)コンクリート吹き付け時の粉じん低減対策として採用している対策ですが、液体急結剤が75.0%、粉じん低減剤が70.8%など、コンクリート吹付剤の対策の採用率は5割を超えている状況でした。また、一方で、ダクトレス、エアレス吹きつけの採用率はいずれも8.3%にとどまっています。換気設備の強化については、伸縮風管の採用率が83.3%、局所集じん装置が50.0%でした。3ページ、(c)採用した粉じん対策の低減率ですが、対策の効果は対策によって異なりますが、おおむね8割程度が10%以上の低減率となっていました。対策によっては50%を超える低減率を達成したものもありました。(d)粉じん対策不採用の理由ですが、不採用の理由としてはコスト(価格・効率)が33~75%となっていました。技術的な課題の0~25%、品質の0~25%に比べ、コストを理由としているものが割合として高かったところです。
 4ページ、(2)の(a)呼吸用保護具選定の際の本社の関与ですが、本社の関与は情報の提供等にとどまり、本社自ら選定する社は7%に過ぎない状況でした。(b)保護具の選定に当たって重視している主な項目ですが、フィルターの捕集効率の等級が39%、重量・使いやすさが33%と重視する傾向が高く、価格の重視については5%に過ぎない状況でした。(3)の(a)ですが、現在、粉じん濃度目標レベルは3mg/m3となっていますが、その粉じん濃度目標レベルの引下げについて可能か不可能かを聞いたところ、可能・不可能が同数でした。5ページ(b)引き下げが可能な粉じん濃度レベルを聞いたところ、引下げ可能レベルは1.5<~≦2.0mg/m3の範囲が43%で最も高い状況でした。
 B票ですが、こちらは施工現場に対するアンケートです。(a)工事概要ですが、標準掘削断面積としては、大断面トンネル(40m2以上)が90%で、60~80m2が最も多い状況です。(b)の掘削方法ですが、施工方法は発破が最も多く62.7%で、機械掘削が23.9%、発破機械併用が13.4%でした。
 6ページ、(2)の粉じん発生源対策ですが、(a)粉じん発生源対策の選定方針は、本社からの情報等を参考に作業所で決定しているものが67%でした。(b)コンクリート吹き付け時の粉じん低減対策として採用している対策ですが、各粉じん対策の採用率については、液体急結剤が35%、粉じん低減剤が26%など、5種類のコンクリートへの低粉じん化対策の採用率が、いずれも本社調査と比較して3割程度低い状況でした。これは、本社調査が幾つかの現場があるうちの1つの現場でも採用していたら採用していると回答しているのに対し、こちらについては各現場で採用しているかどうかということで回答を頂いているためと考えられます。その他の対策として、ダクトレスが2%でした。換気設備の強化については、伸縮風管の採用率が47%、局所粉じん装置が18%でした。
 7ページ、(3)粉じん濃度の測定ですが、実際にどのような測定をしているか確認したところです。(a)測定位置ですが、切羽からの距離については、94%が現行のガイドラインどおり、切羽から50mの地点で測定しています。(b)の質量濃度変換係数ですが、63%が現行のガイドラインで掲げるK値を使用しているところでした。
 8ページ、(c)粉じん濃度測定結果に実際に測定した結果を書いていただきましたが、各現場の粉じん濃度の平均率は2mg/m3前後であったとする現場が最も多く、2mg/m3以下が過半数の55%を占めていたところです。(4)粉じん濃度目標レベル3mg/m3を引下げ可能かどうかを聞いたところ、(a)ですが、4割が引き下げ可能と回答しています。(b)引き下げ可能な粉じん濃度レベルについて聞いたところ、引下げ可能な粉じん濃度は2<~≦2.5mg/m3の範囲が65%を占めたところでした。以上です。
○小山座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御質問、御意見があれば頂きたいと思います。
○熊谷委員 測定の結果なのですが、25ページを見ると、説明があったかもしれませんが、Hの現場では個人ばく露のほうが定点測定よりも高いのです。この理由はさっき説明していただいたのですかね。
○オブザーバー(中村主任研究員) すみません、直接的な理由が明らかであるわけではないので、さっきはそこには触れていないのですが、1つあるとすると、この現場ですと定点の一番近いところが30mなので、作業者の方はより切羽に近い所にいたというのは1つあるかとは思います。それ以外に、実は我々、今回の現場の多くで作業測定中にトンネルの中にいたわけではなく、一旦トンネルから退避して、測定が終わった頃にまた入ってという形が多かったので、作業内容まできちんと把握できていない部分もあるのですが、そのようなことが1つ、距離ということはあるかなと思います。
○熊谷委員 作業者の方が定点よりも切羽に近いということは、ほかの現場でも同じことですが、ここだけ何かがあったかはよく分からないと。
○オブザーバー(中村主任研究員) 現場によって状況が違うかなというところもあるので、換気方法とかも違うので、一概に言えないかなとは思うのですが、ここで個人と定点で差がある可能性としては、距離が30mということは1つあるかと思います。あとは発破なので、最初の頃に粉じん濃度が高い時間帯があります。そのように、タイミングや位置の問題で、濃度の高い所にいたということもあり得るかもしれません。
○熊谷委員 それは個人の方が。
○オブザーバー(中村主任研究員) そうですね。現場Gは機械掘削なのですが、そこは個人と余り差がなかったりもする。もしかしたらそのようなことも影響があるのかなと思いますが、確証はないというか明らかではないです。
○熊谷委員 分かりました。引き続き質問ですが、連続測定をずっと見ていると、発破が終わった後、非常に高い段階があり、その後10分ぐらいで急速に落ちてきますよね。あれはその間、入らないで待っていたらいいのですが、皆さん入るのですか。
○オブザーバー(中村主任研究員) これも一応落ち着いてから入るということになっている。
○熊谷委員 そうですよね。
○オブザーバー(中村主任研究員) ただ、我々は今回、作業を止めないために、なるべく早く設置するということで、発破があった直後に我々が入って定点設置していただいた部分もあります。その分、我々は発破がドンと鳴って、急いで前に行って設置させているので、そのようなものが引っ掛かっているのもあるので。
○熊谷委員 分かりました。
○オブザーバー(中村主任研究員) この時間帯、実は作業者の方が我々より前にいたわけではなくて、実は後ろで機械に乗って待機がされていたりするのですが、後方でもそれなりに高いかなという見た目で、やはり発破後はトンネルの中がすごく粉じんが舞っているような、大きな粉じんはまた見た目とは違うかもしれません。そのようなこともあるので、このデータでは、最初高いというのは我々が入ったということも含まれていますので。
○熊谷委員 分かりました。
○オブザーバー(中村主任研究員) 実際、作業者の方が入るタイミングより早めに入っているということは言っておきたいかなと思います。
○熊谷委員 ただ、ほんの10分待ったらすぐ下がるのですよね。
○オブザーバー(中村主任研究員) そうですね。ここをしっかり待っていただくと、粉じん濃度としては下がるのかなということはありますが。
○熊谷委員 それは重要なことですよね。
○オブザーバー(中村主任研究員) そこはこれまでも粉じんが落ち着いてから入っていただくということにはなっていますが、このようなデータも示して、そのような情報提供をしていけば、より皆さんが気を遣っていただけるかなと思います。
○熊谷委員 分かりました。それと、もう1つだけなのですが、粉じんの測定で分粒装置に254と354というものを使っていて、354のほうは遊離けい酸を測定するためにということですが、そちらでは粉じん濃度は測定されていないのですか。というのは、それが同じぐらいだったのかどうかなと思って。
○オブザーバー(中村主任研究員) 濃度は出せますし、多少はやはり違うので、今回は載せていませんが、そちらの濃度を出すこともできます。
○熊谷委員 出されてはいないのですね。
○オブザーバー(中村主任研究員) すみません、今、全部がぱっとは出てこないのですが。
○熊谷委員 大幅に違うというわけではない。
○オブザーバー(中村主任研究員) 大幅に違うということではないですね。若干サンプラーによって癖があるのかなというところではあるのですが、大幅に違う、倍違うとかそのようなことではないです。
○熊谷委員 分かりました。いや、少し心配したのは、デジタル粉じん計の後ろにフィルターを付けてやっていて、例えばデジタル粉じん計の中にくっ付いたものとかがないのかなと思って、少しそれが心配だったのですが。
○オブザーバー(中村主任研究員) 多少は正直あるのですが、その影響が濃度を大きく変えるほどの影響はないと考えています。
○熊谷委員 ないですか。できたら354のほうもデータとして示していただけたらなと思います、粉じん濃度として。
○オブザーバー(中村主任研究員) ただ、今回は全部同じもので比較したほうがいいかということで、全部NWPSの濃度を示しております。
○熊谷委員 分かりました。以上です。
○小山座長 ほかに何かございますか。
○小西委員 今のGの作業場のLD-5RのK値がほかより少し高めです。これは、測定点がほかよりも多少切羽に近いからなのか、また、ほかの現場に対して、サイクロンの入口の汚れ具合はどのようなものだったのか教えていただければと思います。
 もう一点は、測定点の図面を見せていただくと、送気ダクトと集じんの設備は、全ての所が同じ側という理解でよろしいのでしょうか。
○オブザーバー(中村主任研究員) 2つ目から申し上げます。今回の現場は集じん機と同じ側にありましたので、図もそれを反映させた形で書いております。
 現場GのK値に関してです。サイクロンの入口の汚れに関しては、特に顕著に汚れているということではなかったと感じております。ここだけ機械掘削であり、ほかとはK値の様相が違うのかということと、これは余り明確ではないのですが、粉じん濃度が高いとK値が高い傾向があるので粉じん濃度が高かったという、これは直接の影響というよりは、どちらかというと同じような理由で、粉じん濃度が高い状況下で、例えば、粒度分布が違うのでK値が異なるということなのかもしれません。粉じん濃度が一番高い所はK値も一番高く、粉じん濃度が次に高い所はK値も次に高いという形なので、もしかしたら、因果関係ではないですが、何かあるのかと考えております。
○小西委員 それに関連してです。今のは送気ダクトが入っているのですが、F、G、Hの送気量は差が相当あるのでしょうか、それとも、大体同じぐらいの送気だったのでしょうか。
○オブザーバー(中村主任研究員) そこに関して、数値までは確認していなかったので、その差は分かりません。
○小西委員 分かりました。
○小山座長 ほかに何かございますか。
○熊谷委員 このアンケート調査についてです。2ページの図の2です。SECはどのようなものなのかということと、局所集じんはどのようにしてやられているのでしょうか。
○安井環境改善室長 まず、SECは分割練り混ぜということで、水を入れて何回かに分けて練るというやり方です。詳しくは事業者に。コンクリートの粘性とかその辺りを十分に向上させるというやり方です。
○熊谷委員 粘性を増すのでしょうか。
○安井環境改善室長 粘性を増すというか、粉じんを低減させる効果があります。
○熊谷委員 あと、トンネルの掘削では、どのような局所排気装置があるのでしょうか。
○安井環境改善室長 局所排気装置は、現場によって違うと思いますが、一般的には切羽の近くにフィルターが付いた状態の装置を置くと聞いております。
○熊谷委員 分かりました。
○小山座長 ほかに何かございますか。
○小西委員 今の局所排気装置は名前が局所排気装置になっていますが、先ほど質問した送気風管の下にある大型の固定の集じん機ではないかと思います。
○安井環境改善室長 はい。フィルターが付いて、法令でいう局所排気装置みたいに外に排出するものではなくてフィルターで取るという。
○小西委員 労働環境でいっているような局所排気装置というイメージではなくて、もっと大型の。
○熊谷委員 そうではなくて、送気。
○小西委員 送気風管の下の所に、切羽から何メートルかの所に大きな大型の集じん機を付けているということだと思います。
○安井環境改善室長 何か補足があれば。
○オブザーバー(築地土木技術部長) そのとおりです。
○漆原委員 次のページの低減率についてです。局所集じんは10~20%がほとんどなのですが、急に70~80という所があります。なぜ低減率にこれだけの違いが出るのかということについて、もし分かれば教えていただければと思います。
○安井環境改善室長 アンケート調査で機械的に数字が書いてあり、詳しい情報を書く欄がないので分からないのですが、やはり設置されている状況が違うのではないかと思います。申し訳ないのですが、こういう理由で高かったというのは現時点では分からないです。
○小山座長 よろしいでしょうか。それでは、議題2に移らせていただきたいと思います。議題2は報告書の骨子案について①から④まで分かれておりますので、議論は別々に行いたいと思いますが、説明は最初に骨子案①と骨子案②を説明いただきたいと思います。
○安井環境改善室長 それでは、資料3から御説明させていただきます。資料3は1ページからになります。前回の検討会の御意見ということですが、6点の測定点というのはトンネル両壁面に設けるということで、従来行っているトンネル中央の測定はやらないということ。それから、測定については1サイクル連続測定という趣旨でありますので、6台の測定器が同時、かつ連続で測定するということです。それから、新たな測定によって従来の測定で行っていた換気機能の確認も行うということです。(4)の測定結果については、安全衛生委員会で説明すると、労働者への周知をすることということです。
 こういった御意見がありまして、前回と余り大きな変更はしておりませんが、骨子案①として示しております。まず、1ですが、報告書の趣旨ということです。こちらは単純に、いわゆる山岳トンネルのNATM工法を対象にしていることが書いてあります。
 2番は、粉じん濃度測定の試料空気の採取についてです。前回、御説明したところから変わったところはありませんが、(1)で定点測定ということで、こちらは10m以上50m以下の範囲において、その範囲の両端と中間におけるトンネルの両側、計6点に試料採取機器又は相対濃度計を置いて測定をします。ただし、機械掘削・ずり出しの作業中は危険ですので、切羽から20m以内の場所に測定器は設置しないということです。③は、測定器を壁面から1m離すというのが従来になっておりましたが、そういうことは今回こだわらずにできるだけ切羽に近付けること。現状のガイドラインは測定器の高さを規定していまして、これは50~150cmからの範囲内ということですが、こちらは今まできちんと御議論いただいておりませんが、現状のガイドラインどおりに、一応入れております。
 (2)は、個人サンプリングによる測定ですが、これは切羽において作業に従事する者の身体に装着する測定器等を用いて行うということで、こちらについても御議論がなかったのですが、何人の人間に最低限付けるかという議論があります。さすがに1人というのはないかと思いますが、切羽にずっといる人数がいないということなので、研究所の御意見では2人がいいのではないかという御意見でした。これは後ほど御議論いただければと思います。(3)は、車両系機械の運転台への設置についてです。切羽で使用する車両系機械についてはトラックは除きます。トラックは当然坑口までずいを運びますので、測定のポイントとしては望ましくないということです。また、落下物の損傷を避けるために天蓋のある運転台等に設置することが望ましいといったことが書いてあります。こちらも最低限複数ということで2台以上、安研では最低2台以上付けておりますので、それは必要であるということで書いてあります。(4)は、複数の測定を組み合わせるということも認められています。
 3ですが、測定対象粉じんの粒径と分粒装置の使用については、いわゆるレスピラブル粒子を測定する。分粒装置を使うということです。
 4番、粉じん濃度の試料採取等の時間については(1)に書いてありますが、基本的には作業工程1サイクルを原則とします。ただし、発破の場合は、発破により待避している時間は測定を停止する。これは当然現場に皆さんおられませんので、そこは測らないことになります。ただし書きがありまして、これが著しく困難な場合は粉じん発生量が最も高いと認められる作業時間を測るということです。この多くの場合はコンクリートの吹付けになると思います。(2)は、個人サンプリングによる試料空気の採取の時間は作業工程の1サイクル、全時間ということです。こちらについても当然発破により待避している時間は除くということです。
 粉じん濃度の測定の頻度についても、前回御説明したとおりですが、現状の粉じん則に準じて半月に1回ということです。また複数の測定方法を用いる場合は、2の(1)から(3)に掲げるいずれかが半月に1回、定期に行われていればいいということです。
 6番は、新しく付け加えておりますが、現状によるガイドラインについては換気装置がきちんと動いているかどうか確認することになっておりますので、風速、換気装置等の風量、気流の方向については半月に1回を定期に測定ということを付け加えております。
 骨子案②の資料4です。こちらはK値と遊離けい酸含有率についての資料ですが、前回の御意見は、K値というのは粒径に依存するので、分粒装置を使用した測定結果に基づいたK値とすべきであるという御意見と、それから、過去の標準K値は測定されたK値の平均で決めていて、平成30年度に実施された安衛研の測定におけるK値のばらつきが小さかったことを踏まえると、新たな測定のK値も同様の方法で決めてよいということですが、念のため、今年度の測定結果も見ましょうということでした。
 遊離けい酸含有率については、文献では、採石プラントとトンネル工事での遊離けい酸含有率にかなり差があるけれども、理由ははっきりしませんが、きちんとトンネルの測定結果に基づいて地質に応じた遊離けい酸含有率の推定値を設定すべきだという御意見と、トンネル掘削の場所の地質については、実工事前にボーリング調査等によって把握できるということでした。
 こういったことを踏まえて骨子案②としてお示ししています。1つ目、粉じん濃度の測定方法ですが、まず測定方法としては質量濃度法、いわゆる分粒装置を用いるろ過式捕集方法と重量分析方法でやるのが原則です。ただ、それが難しい場合については相対濃度指示方法、こちらも分粒装置を備えた、いわゆるデジタル粉じん計とK値を用いた方法のいずれかということです。(2)でK値を使う場合については、質量濃度方法と相対濃度指示方法の併行測定による算定をするのが原則ですが、文献等から統計的に決定した標準K値を使用することも認めるということです。標準K値については、LD-5RとLD-6N2について、それぞれ数字を定めることにしております。
 2の遊離けい酸含有率の測定方法については、これもエックス線回折分析方法によって求めるのが本来ですが、簡易な方法として(1)にありように、遊離けい酸含有率を工事前のボーリング調査による工事区間の主たる岩石の種類に応じて、岩石の種類別に定められた標準的な遊離けい酸含有率により決定するということもできるということです。ただ、なお書きがありまして、二酸化ケイ素を含む変成岩である珪岩にはこの方法は適用できない。ほとんど100%遊離けい酸ですので、こういうのは使わないこととしています。
 標準的な遊離けい酸含有率は文献等に基づいて3グループに分けることにしておりまして、第1グループの火成岩のうち酸性岩、それと堆積岩と変成岩、これは珪岩は除く。第2グループは、火成岩のうち中性岩、第3グループは、火成岩のうち塩基性岩又は超塩基性岩に限ります。
 続いて、バックデータとなっている資料4-1について御説明させていただきます。こちらは、前回御説明した資料を付け加える形で改定しております。改定した部分で申しますと、まず、4ページの下のほうに青いマーカーが付いている所です。労働安全衛生総合研究所が実施した追加的な調査では、前年度実施した測定結果と矛盾のない結果が出ておりまして、5ページの図Aで示しておりますように、距離に応じてK値が大きく変動するようなことは見られないということで、ほぼ距離にかかわらず安定したK値が出ていることが1点です。それから、同一測定点でLD-6NとLD-5Rを併行測定した結果を図Bに示しておりますが、非常にきれいな直線関係が見られ、LD-6Nのほうが8%ほど小さいという結果が出ましたので、LD-5Nの数字があれば、それに92%を掛ければ数字が出るのではないかということが分かりました。
 6ページ、3の考察の復習ですが、(3)にあるように過去のガイドラインというのは実測されたK値の平均値に近い標準K値を採用しています。それを踏まえて今年度も検討を行いまして、7ページの(6)にあるように、昨年度の数字でもK値は計算できたけれども、念のために今年度に追加調査を行ったことが(6)に書いてあります。
 (7)が新しく付け加えた所です。昨年と今年の安衛研の調査によれば、分粒装置を用いたK値の測定値のうち1サイクル測定を行った測定点については、各サイクルの平均値を算出した結果ということですが、これによると、0.0021になったということです。参考までに、切羽からの距離を50mを超えるものを含めましたけれども、含めて計算しても同じ値でした。これにLD-6Nとの近似直線の傾きである0.9173を乗じると、0.0019となります。この数字に従来の考え方、つまり、有効数字の2桁目を四捨五入して有効数字を1桁で示すという考え方によると、LD-5R、LD-6N2のいずれでも0.002となるということです。
 たまたま現状のガイドラインの数字と同じですけれども、3ページに戻っていただくと、下に図12がありまして、こちらが昨年実施された結果です。分粒装置付きのものと分粒装置無しのものの分布を見ているわけですが、直線関係で見ると分粒装置のほうが上に出ていますけれども、横軸の分粒装置が付いていないK値を見ていただくと分かるように、0.002を上回っているものは1個もないということで、今までのK値よりも低めに出ております。分粒装置付きのK値は、その低めの数字よりも高めに出ておりまして、結果として0.002にはなりましたけれども、ガイドラインの数字に合わせたとかそういうことではなくて、きちんと根拠のある数字を使って、今回は定めたということです。
 続いて、資料4-2です。遊離けい酸含有率の推定をどのようにするかということです。こちらについては、3ページに新しく今年度に測定した結果を青いマーカーで入れております。(6)は、3つのトンネル掘削工事における浮遊粉じんにおける遊離けい酸含有率を、エックス線回折分析方法で分析した結果、岩石の種類別で安山岩について19.9%、花崗閃緑岩が19.1%、細粒砂岩が16.0%という結論が出ております。
 これを踏まえまして、考察で4ページ目、(7)ですが、前回の復習ですけれども、各グループ別のトンネルの坑内の遊離けい酸含有率の定量的な評価を過去の文献によって推定しております。それによると、第1グループの岩石による標準的な遊離けい酸含有率は10~20%程度だろうという推定をしておりまして、更に第2、第3グループの遊離けい酸含有率は、第1グループのそれぞれ3分の2、3分の1程度ではないかという予測を立てた上で、それを検証するために今年度は調査を行ったということです。(8)は、本年度実施された追加調査によると、酸性岩に属する花崗閃緑岩については遊離けい酸含有率は19.1%、同じく第1グループの堆積岩に属する細粒砂岩の遊離けい酸含有率は16.0%であったので、見込みどおりだったということです。ただ一方、中性岩に属する安山岩の遊離けい酸含有率は19.9%ということで、これは過去の文献の測定結果である5.8%と比べて、大幅に高かったということで、予想を超える数字が出たということです。こちらについては、安山岩は種類によって石英安山岩のように、明らかに名前からして遊離けい酸含有率が高い安山岩もあるということで、今回はどの安山岩だったかというのは分からなかったのですが、結果的にはそういった安山岩を測ってしまったのではないかと考えられております。
 以上の結果を踏まえると、第1グループについては予想どおりだということですので、標準的な遊離けい酸含有率としては20%、安全側を見てというのが妥当ではないかということで考えております。
 一方、第2グループは、それの3分の2ぐらいという予測を立てていたわけですが、今回、測定した安山岩が19.9%であったということ、それから、過去の文献から、安山岩は種類によっては酸性岩と同程度の遊離けい酸含有率を持つ岩石であるということを踏まえると、安全側に第1グループと同様に20%にするということが妥当ではないかと考えております。
 一方、第3グループについては、塩基性岩、超塩基性岩ですが、こちらは過去の文献から、明らかに第1グループ、第2グループと比較して低くなるということは容易に想定できるわけですが、過去の文献でトンネル坑内の実績値がなかったということと、今年度の追加調査でも測定値は得ることができませんでした。このことは、第3グループのこの岩石を主たる岩石とするトンネルの掘削というのはまれだということを示していることでもありますので、現時点の限られた情報によってあえて標準的な遊離けい酸値を、含有率を定める必要はないのではないかと考えております。ただ、仮に、第3グループに当たるようなトンネルがあった場合に、安全側の推定値として、第2グループの20%というのを使用するのは差し支えないのではないかと考えております。
 (10)は、今まで議論してきた20%というのは掘削・ずり出し作業中のものです。一方、コンクリート吹付け時の遊離けい酸含有率というのは1%ということですので、20%はそのまま1サイクル平均値に掛けると過大評価になるということです。こちらについて検討を行っておりまして、労働安全衛生総合研究所の測定結果によると、1サイクルの総粉じん量に占める掘削・ずり出しの粉じん量の占める割合というのが、発破工法で56から24%、機械掘削で70から11%と非常に大きくばらついております。このため、もともとこの比率はコンクリート吹付けでの粉じん量に依存するわけですが、当然これは岩盤の状況によって吹付けコンクリートの厚さが変わりますし、あるいは吹付けコンクリートの種類、あるいは低粉じん材を使うかどうかというので大きくばらつくということで、標準的な比率というのは定めることは困難だということです。
 一方、掘削の占める割合が最大で発破工法で56%、機械掘削で70%ということで、20%という標準の数字をそのまま1サイクル粉じん濃度に乗じても、安全マージンとして必ずしも過大とは言えないということです。このため、1サイクル平均に20%を掛けるというやり方は妥当ではないかと考えております。もちろん過大評価であるのは間違いありませんので、そういった場合は1サイクル平均のサンプルを採っていただいて、それをエックス線回折分析方法で出していただければ、正しい遊離けい酸含有率が出ますので、過大評価が困るという現場においては、きちんと分析していただければいいと考えております。説明は以上でございます。
○小山座長 それでは、ただいまの骨子案①と骨子案②をまとめて説明いただきましたが、最初に骨子案①について御質問、御意見を頂きたいと思います。
○小西委員 全体的にお話を申し上げまして、大体この案でいいと思いますが、2ページの③の所ですが、「測定器等の高さは床上から50から150cmの範囲内で」と書いてあるのですが、実際にやるのは測定器の高さというよりも、「測定器のサンプリング口の高さ」にしたほうがいいと思います。例えば、何かを置いてチューブを使ったりするような場面も出てくると思いますので、サンプリング口の高さをある高さにしておいたほうがいいのではないかという意見です。
 (2)の「個人サンプリングによる測定」と書いてあるのですが、これは、今、作業環境測定でやっているとおりで、「個人サンプラーによる測定」に変えられたほうがいいのではないかという気がしますが、使う道具にしていただいたほうがいいかという気がいたします。
 3ページの(2)の所に「個人サンプリングを受ける試料空気の採取時間」と書いてありますが、これはこのとおりでいいと思いますが、ここにその前の所に書いてあるとおりで、1サイクルのことを括弧で書いてありますけれども、発破工法の場合は発破後から装薬前までを1サイクルとすることはすごく大事なことで、例えば個人サンプラーを使うときに、実際に装薬とか、発破のときはサンプラーは付けられないと思うので、これと同じことをここにも記載しておいていただいたほうがいいかと、前と同じように。昔、建災防のマニュアルを作ったときも、個人サンプラーのときは発破の待避場で、必ず皆さんも来るので、そこで個人サンプラーを取り替えるというのが一番合理的ではないかという議論が昔はあったのですが、それと同じように考えれば、定点と同じように、ここに書いてあるとおりで、発破後から装薬前までの1サイクルと同じようなサイクルで、個人サンプラーを使った測定をされたらいいのではないかと思います。取りあえず、以上です。
○安井環境改善室長 機器の高さではなくサンプリング口の高さとすべきというのは、そのように修正させていただきます。あとは「サンプリング」ではなく「サンプラー」のほうがいいということですが、こちらは法令で審査を受けた結果、「サンプリング」のほうが正しいということですので、そちらのほうに統一させていただいております。
○小西委員 分かりました。
○安井環境改善室長 採取時間についてはこちらに書いてあるとおり装薬前までということですので、その辺りはもうちょっと分かりやすい表現にできるかどうか工夫したいと思います。
○鷹屋委員 細かい話になりますが、2ページの一番下の発破工法の定点測定は、「発破による待避している間は測定を停止(ポンプを停止)」とありますが、現実に私どもが測定したときは、装置そのものも発破待避所まで置いて、発破が終わったら持って行きました。現実に現場の方に壊れていいのなら置いておいてもいいと言っていただいた場合もあるのですが、それは、やはり置きっ放しは装置そのものが壊れるとか、あるいは電気機器なので、迷走電流による間違った発破の事故とかの観点からもあって、やはり原則は発破待避所に待避していることは必要だと思います。前半の議論でも個人ばく露と定点の差のところでも議論がありましたけれども、どうしても定点の展開のほうが遅れるということは発破工法では避けられないので、これは無理にポンプを停止するとかということではなく、発破の定点の設置そのものも発破後、展開するという形にしていただいたほうが安全面ではいいと思います。
○安井環境改善室長 ポンプを停止というのは削除したいと思います。
○小山座長 ほかにいかがでしょうか。
○橋本委員 測定法が定点測定と個人サンプリング、車両系機械の運転台での測定、どれでも選べるという進め方になっています。例えば先ほどの安衛研での実測値を見ると、個人サンプラーのほうが、やや高いという結果もあります。過去にもそのようなデータがあったかと思います。総合的に個人サンプラーの結果のほうが、やや高いという可能性もありますけれども、そこを一律に扱うところの説明を伺いたいと思います。
○安井環境改善室長 個人と定点の測定の比較については、後ほどの資料5-3にありますので。
○橋本委員 まだあるのですか。
○安井環境改善室長 資料5-3にあります。そちらで御説明いたします。
○橋本委員 運転台は以前、データが若干あったかと思いますが、その辺はいかがですか。
○安井環境改善室長 運転台についても、前回の安研の調査にもありますとおり、大きな差はなかったということで、全般的に3つについては大きな差がなかったというので、一応、結論が出ておりまして、それに基づいて記載しました。
○橋本委員 分かりました。
○熊谷委員 今の関連ですが、車両に付けるものですけれども、1つは、天蓋のある運転台に設置することでいいのですが、例えば運転台が完全に囲われているような場合は、その中に入れてしまうと実際の外の環境を反映していないので、その辺、何か外部と切り離されていない空間という、何かそういう限定が要ると思います。それが1つと。
 それから、複数に設置をすることが望ましいというと、1点でもOKということですが、やはりほかの測定が6点とか、先ほど個人サンプラーは2人ということであれば、ここも何点以上というのは要るのかなと思ったのですが、そこはどうでしょうか。
○安井環境改善室長 第1点目については、車両で囲われている所がないというのは、注意書きか何かを追加していきたいと思います。トラックには普通キャビンはあるのですが、ほかは、実はキャビンはほとんどないので、現実はないのですが、一応、そういう注意書きは入れたいと思います。
 複数の点については、そういう御意見であれば、2点以上というように書くのはやぶさかではないのですが、その辺り、研究所のほうはいかがでしょうか。
○オブザーバー(中村主任研究員) まず、測定点については、車両系機械の数がありますので、例えば1つのサイドダンプに2個付けるとかということが、果たして意味があるのかというところがありまして、そうすると、機械の台数という形にならざるを得ないのかなと。そうなると、例えば掘削なら掘削用の機械が1台、横にずり出し用の機械が1台ぐらいが切羽で展開できる数としてはどうしても限られてしまう。
 また、先ほどのキャビンの話とも関連するのですが、吹付けなどですと、動いていない機械で、その場合は作業者の方は運転台にいるわけではなくて、運転台の外で、車両の横とかに立ったりするのですが、そういう場合は、例えば車両の両サイドにとると、作業者が右へ行ったり左へ行ったりすることを反映して車両の両サイドに置く、これは機械に取り付けるとは言っても、外側に付けるという形になります。運転台とはまた別のそういった形で、1つの重機に複数付けるということも、数が必要であれば可能性としてはあるかなと。
○熊谷委員 そのほうがいいかと私は思いましたけれども。
○安井環境改善室長 検討させていただきます。
○熊谷委員 もう1つは、私は意見書を出しているのですが、意見書を出した後に事務局とやり取りして、一部、修正とかもありました。一応、説明しておきますと、私の意見書の中で、資料3と書いてあって、2点目ですが、私自身は、個人ばく露測定のほうが表現としていいのではないかという意見を出させていただきました。今もそのような考えもあるのですが、個人ばく露測定の場合だと、許容濃度と比較するという観点で比較するのですが、実際問題、トンネルの中で許容濃度と比較すると、いつも超えるというのが現状ということもあって、結果的には目標濃度値になっているということで、そういうことであれば、個人ばく露測定という表現もまずいのかなという、事務局からそういう意見があったので、個人サンプリングによる測定ということでやむなしかなというように私自身は、今、考えています。
 これと関係ないのですが、労安法の65条のほうは、個人ばく露測定にすべきだと今でも考えています。許容濃度と比較すべきだと考えています。それは私の追加です。
 それと、個人サンプリングのほうが2人ということで、例えば65条のほうで、今回5人、5点以上というのが出てきました。本当は個人サンプリングも5人とかしたほうがいいとは思いますが、この測定自体は2週間に1回ということなので、そこまでする必要はないかなということで、事務局が2人ということであれば、それでいいかなと私は考えています。
○小山座長 骨子案①について、ほかはいかがでしょうか。
○外山委員 1サイクル連続測定ということが前提になっているようですが、その辺りどうなのかなと実は思っています。というのは、1サイクルの中で発破・ずり出しという作業と吹付けという作業が主にあって、遊離けい酸含有率は全く違うということで、吹付け作業のほうは1%以下ということで、ずり出しのほうは、多分、今回でも全体で20%だから、遊離けい酸含有率が20%を大きく超えてきていると思います。そうすると、まず、仮に遊離けい酸含有率が0%のときの管理濃度は3mg/m3ですし、20%になってくると0.23ということで、10倍ぐらい違ってくるわけです。これを一緒にしてしまうというのは、ちょっと乱暴ではないのかなという感じがします。前々回でヒアリングの際も、吹付けのときにすごい粉じんだという話を作業者の方が言われていたと思いますが、実は発破・ずり出しのときのほうが遊離けい酸含有率が非常に高くて、それほど多くの粉じんではないけれども、実は危険リスクとしては非常に高いことがあり得るということなので、そういう意味で現場のミスリードにもつながってしまうのではないかという危険があるので、ここはどうなのでしょう、技術的にやむを得ないということならしようがないかもしれませんが、2つ分けて測定をするということが可能でしたら、やったほうがいいのかなと思います。いかがでしょうか。
○安井環境改善室長 まず、資料4-2の5ページ目を見ていただきたいと思いますが、今回の20%は掘削のときの濃度です。掘削のときの粉じん量で計算している値で、コンクリートのときのサンプルは使っていないのです。だから、そういう意味では、むしろ過大評価ですので、本来はもっと低いはずなのですが、20%を使うのは過大評価になっています、というのが第1点です。
 2つ分けるかどうかということですが、後ほど出てきますけれども、工学的対策をするときになると、やはり1サイクル通じた対策をするわけですので、1つ代表的な値を取るという意味においては、やはり1サイクル平均というのは望ましいのではないかと思います。もちろん、より丁寧に2つサンプルを分けるというのも望ましいとは思いますが、一応、作業の基準としては1サイクルがいいのではないかと考えております。
○外山委員 熊谷さん、いかがでしょうか。
○熊谷委員 今回の測定は、後の議論でも出てきますけれども、最終的にマスクをしたときに、ACGIHの遊離けい酸、0.025 mg/m3と比較するということもあるので、そういう意味では1サイクルでもいいのかと私は考えています。
○小山座長 ほかはよろしいでしょうか。
○熊谷委員 では、もう1つ、個人サンプリングのほうですが、遊離けい酸が高いずり出し労働者を入れてほしいと思います。私の意見書にも書いてありますが、切羽の労働者を入れるということで、必ずそれは入ることになりますか。
○安井環境改善室長 骨子案①の4の(2)ですが、3ページになりますけれども、個人サンプリングにおける試料空気の採取等の時間を、1サイクル全時間ということにしますので、必ず切羽で働いている人間を選んでやっていただくことになります。
○熊谷委員 そのときに、切羽で掘削をやっている人間が必ず入るのですか。つまり、遊離けい酸が高い労働者は必ず入りますか。例えば、吹付けとか分かれていなかったでしたか。作業分担のようなのは。
○安井環境改善室長 作業分担が分かれている可能性もありますけれども、必ず掘削のときには掘削をする人しかいませんので、要は、掘削の時間に切羽にいる人というのは掘削の作業をしている人しか基本的にいませんので、その人に付けるということ。
○熊谷委員 ただ、その人も1サイクルなので、その時間以外も付けるわけですか。
○安井環境改善室長 そうです。基本的にはずっと1サイクル、要するに、多能工ですから、いろいろな仕事をする人を選ぶのが理想ですし、どうしてもそういう人がいないということになると、サンプルを付け替える可能性も出てくるとは思います。
○熊谷委員 例えば吹付けをやって、掘削をやらない労働者というのはいないのですか。
○安井環境改善室長 それはいるとは思いますが、先ほど申し上げましたように、掘削の時間帯も必ずサンプリングにしますので、掘削の時間帯には必ず掘削している人間にサンプラーは付けていただきます。そのときに、掘削しているときに、掘削に従事していない方というのは切羽にいないのです。
○熊谷委員 そうです。
○安井環境改善室長 だから、必ず切羽で作業する方というのは掘削している方だということです。
○熊谷委員 分かりました。
○小西委員 今の話ですが、大体、普通切羽前で作業をやっている人たち、例えば私が昔にやっていた頃は、大体4、5人が1チームで、そのチームで動いているのだと思います。その中の誰かだけが抜けてしまうとか、そういう形で作業はしていないと思います。だから全体の、私のときは4、5人の人たちがそれぞれ掘削をやったり、吹付けをやったりという形で分担しながらチームとして動いているということですから、その中で、今、2人というのはいいかどうか分かりませんが、2人と書いてしまうと2人でよろしいになってしまうので、できるだけ、本当は2人以上で可能な人は、みんなやったほうがいいような気もしますが、そのような動き方だと思います。
○熊谷委員 はい、分かりました。
○小山座長 よろしいでしょうか。それでは、骨子案②について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○熊谷委員 K値を改めて計算したら0.002になったということで、それはそれでいいのですが、これまでも0.002であったので、分粒装置を付けると、同じ環境であれば、切羽から50mの所で言えば、同じ環境であれば必ず濃度は低く出てくるのです。今回は50mだけではなくて、ほかの所も含めた平均としてのK値を出されているので、これまでのK値とは意味が違うのだということではありますが、そうであれば、今、目標値は3というのを2にするとかということも必要ではないかと。2に下げるということが、別にきつくしているわけではなくて、これまでのことを考えると、分粒装置を付けるほうが1.5倍ぐらい低くなるので、1.5倍ぐらい低くして、2にしてもおかしいのではないかなと、そこは正確な議論にはなっていないので、後ほど工学的対策のことも進めていくというのも含めて考えると、少なくとも2にする必要があるのではないかと私は考えています。
○安井環境改善室長 まず前半部分ですが、先ほどの御説明のとおり、分粒装置を付けるとK値は一般的に粒度分布が小さくなりますので上がりますけれども、昨年度に実施した安研の調査で分粒装置を付けていない者のK値の平均は0.0016なので、それと比べて今回は0.0021になっていますので、分粒装置を付けたら上がっているというのは上がっているということで、学術的には自然な結果になっております。
 では、なぜ違うのかということですけれども、まず測定の位置が違います。今までは50m、ピンポイントで、今回は平均を取っていることがあるのですが、もう1つ大きいのは、聞いたところの、前回の測定は30分測定を前提にしていますので、一番濃度の高いコンクリート吹付け時に基本的に測っていた。要するに、1サイクル平均ではなかったようです。当然すごく高い、1サイクル平均よりも高めの数字が出ているので、濃度の高さが影響した可能性はあるのではないかというお話もありました。簡単に言うと、測定の場所も違いますし、測定の時間、長さも違いますし、測定の対象の作業も違って、同列に語るのはちょっと難しいのではないかなと考えております。何か補足があればお願いします。
○オブザーバー(中村主任研究員) 今ありましたように、平成20年とか、その頃に私はトンネルに行っていましたけれども、その頃とは目的が違って、この作業は一番高い作業でのK値をまず取ろうということで、その作業の中で完結するような、だから今回、我々は1サイクルをトータルでも出せるようにということで、途切れなくやっていますけれども、当時、我々が採っていたときは、吹付けなら吹付けが始まって濃度が上がってきて、スタートさせて、その間、30分なら30分と一番高いところを採っておりましたので、やはり採り方は違うということ。
 先ほどもありましたけれども、ほかのデータで見ても、粉じん濃度が高いとき、特に10mg/m3とかになるようなときは、やはりK値も高く出ていると。粉じん計の性能的には、上限は、実は10mg/m³ということが書いてあったりしますので、そういう所で採っているデータだということもあったのかもしれないなと、今、思うとありますので、今回とは採り方も違いますので、今回、また新たに現場で採ったというデータから出して、計算したらこうなったということかなと思います。
○熊谷委員 分かるのですけれども、現実問題として、今、ガイドラインがあって、3という目標値が決まっていて、それで0.002でやっているのが、今回、少なくとも50mの所は濃度は下がるのですよね、現実問題として。3という目標値が、例えば人の健康を考える目標値であれば、これで安全だということで変更する必要がないので、今回やったことで正確なデータが出るということでいいのですが、目標値の3というのは、あくまでも目標値であって、本当はもっと下げたいけれども困難なので、とりあえずここまで何とか下げてほしいという、そういう目標値だと思うのです。そういう意味で、これまでのガイドラインよりも低く出る可能性があるのだったら、目標値も下げるべきではないかというのが私の考え方です。
○安井環境改善室長 一旦、測定の話と目標値の話は切り離して考えるべきだと考えておりまして、今回のものは先ほど申し上げましたように測っている環境が違うので、K値は当然違います。もっと言い方を変えると、今までのK値を分粒装置なしで今回の1サイクル平均に使うと、過大評価になっているということだろうと思います。ですから、そこは分粒装置を使わないのであれば、0.0016を使うべきだということになると思いますし、分粒装置を付けるのなら0.002になるということだろうと思います。私が申し上げたいのは、とにかく今までの測定とは、測定の時間も方法も違いますので、たまたまK値が0.002にそろったからといって、同じ値をそのまま使っているということではなくて、その測定した環境に合わせて最適なK値を選びましょうという議論をしているだけですので、それと目標値の値の話とは、また別のことではないかと考えております。
○熊谷委員 最後の工学的対策の促進も含めて、また最後に議論したいと思います。
○小西委員 今のK値の話ですけれども、ここに過去の文献でいろいろ出されて、今おっしゃったとおりで、過去は、粉じん計そのものは吸入性粉じんを測定しているわけではないのです。ですから、前回の議論で、やはり吸入性粉じんできちんとやるべきだということで、粉じん計自体にも、いわゆる分粒機構をもたせると。それでK値を出すということであれば、K値そのものは比較的に過去のK値よりも安定してくるはずなのです。ある粒径でそろえて、もので取りますから。ですからそういう意味では、過去のものはあくまで参考で、今回のやり方の新しい方式でやっていくということで決められればいいのではないかという気がいたします。
 もう一点は、気になっているのは、吸入性粉じんを測定できる粉じん計を使うということになると、過去にいろいろな測定器に関して、厚生労働省からもK値が出ていたのですが、その中で、ほとんどのものが使えなくなるわけです。というのは、分粒機構をもつということは、吸引ポンプ内蔵の粉じん計でなければ使えないということになるわけです。そういう形で、今、LD-5Rとか何とかと、委員の案なので、このように出ていますけれども、本文として書かれるときは、分粒機構を備えるためには、内部で吸引ポンプ内蔵の粉じん計という形で記載されたほうがいいのではないかなと。そうしないと、どちらにしても、分粒機構はもてませんので、そのようにされたらいいかという気がします。
 先ほどいろいろ説明があった、LD-5とLD-5Rというのは、これは基本的には原理は同じ機械ですから、ほとんど同じような数値になって出てくるのだろうとは思いますけれども、こういう形でK値を新しく吸入性粉じんで得られたK値を基にして、1サイクル分のK値として標準K値を出されるということに対しては私は賛成します。
○小山座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。骨子案②について議論をこの辺にさせていただいて、続いて骨子案③と④について、まとめて御説明いただきたいと思います。
○安井環境改善室長 それでは、骨子案の③、資料5になります。こちらにつきましては、粉じん濃度測定結果に基づく措置をどうするかということです。前回の検討会では、粉じん測定結果の評価については、現状の作業環境評価基準における粉じんの管理濃度をトンネル掘削において工学的管理の指標とするのは現実的ではないと。しかし、呼吸用保護具を着用せずに作業した場合に、どれぐらい危険な現場なのかを労働者に分かりやすい形で評価することは必要であるという御意見。それから、工学的対策で下げても十分下がらない場合は、保護具を使うという考え方は妥当であろうと。それから、遊離けい酸濃度によって、同じ粉じん濃度であってもリスクが違うので、リスクアセスメントの結果に応じて、必要な防護係数を有する呼吸用保護具を使用させることが重要であるということ。また、基準値としては、粉じんの管理濃度もありますし、ACGIHの示した0.025mg/m3というばく露基準限界値もあるのではないかということでした。定点測定と個人測定の違いにつきましては、個人測定のほうが高いのではないかということでしたが、こちらにつきましては、本年度もう一回測定を行って、再評価しようということになっております。
 骨子案の③の1ですが、粉じん濃度測定に基づく措置につきましては、(1)に発散源対策と換気装置等の工学的対策が適切かを判定する際の指標である粉じん濃度目標レベルを設定して、それと比較して評価します。評価値の計算としては、各測定濃度の算術平均と、②にありますように、測定結果の評価については、評価値と目標レベルを比較して超えるかどうかで判断する。(2)ですが、粉じん濃度の目標レベルにつきましては、その現状に応じてできるだけ低いほうがいいというのがもともとのガイドラインにも書いてありましたので、今回はアンケートで行った実態調査を踏まえて、決定をしていただきたいと思います。それから、掘削断面積が小さいトンネルにつきましては、大きな風管を入れられないなどの制約がありますので、従来のガイドラインにもありましたように、仮に目標レベルを決めても、それが達成できない場合には、それにできるだけ近付けるというただし書きを入れたいと考えております。(3)ですが、測定結果に基づく措置ということですが、これは従来どおり、評価値が目標レベルを超える場合については、設備や作業方法の点検等を行って、粉じん濃度を下げる工学的対策をする。その結果、再度測定をするということが書いてあります。
 2ですが、遊離けい酸濃度の測定結果に基づく措置です。こちらについては、遊離けい酸ばく露による健康障害を防止するために、1に定める工学的措置に加えて、遊離けい酸濃度の基準値を定めて、それを超えるばく露が発生しないようにすべきだと。その方法については、工学的対策のみならず、作業管理対策もするべきだということです。遊離けい酸濃度の算定方法につきましては、1で測定された粉じん濃度の評価値に遊離けい酸含有率を乗ずることで計算するということです。標準の数字を使うことにつきましては、骨子案②で御説明したとおりです。(2)ですが、要求防護係数の算定というのがございます。こちらは、1で算定した遊離けい酸濃度を遊離けい酸ばく露の基準値で除していただいて、要するに基準値の何倍あるかで要求防護係数を出していただくということになります。(3)ですが、基準値としては、ACGIHで提案されている結晶シリカのばく露限界値である0.025を採用すべきではないかということで、事務局として提案しております。(4)ですが、防護係数に基づく有効な呼吸用保護具の使用ですが、要求防護係数等で上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を選定して、労働者にそれを使用させるということです。これによって、ばく露を防止するということです。
 3の粉じん濃度の記録で、(1)ですが、従来どおり、粉じん則等を踏まえて、7年間保存とさせていただいております。(2)は新しく付け加えておりまして、粉じん濃度測定値を行うごとに、朝礼等において粉じん濃度測定の結果、要求の防護係数について関係の労働者にきちんと説明して、マスクをしなければ危ない現場であることをきちんと認識していただくことを考えております。
 こちらについてのバックデータが、資料5-1です。こちらについても、前回で御説明したもののアップデートになっておりますので、2ページ目のアップデートされた部分だけ御説明申し上げますと、まず、ヨーロッパ各国の基準値について、最新のデータを入手いたしましたので、それに修正しております。これによりますと、0.025mg/m3というACGIHの数字を使っているのは、1か国だけで、一番多いのは0.1 mg/m3で、日本が現在採っている数字よりも大分諸外国のほうが緩いことが分かります。
 3ページ目の(4)で、今年度安衛研で測定いたしました定点測定の結果ですけれども、それぞれの粉じん濃度の分布については、この図Aにありますように、切羽と粉じんの濃度に大きな関連性は見られない。むしろ切羽から離れたほうが濃度が高いようなところもございまして、そういった形になっておりますし、また、数字としても2mg/m3を超えている現場は1サイクル平均ではありませんでした。
 今年度実施いたしましたアンケート調査の結果が7ページからございます。トンネル工事を行っている28社の本社の回収率100%、66現場の回収率は78.6%から、現状のトンネル工事における粉じん濃度等の状況を提出いただいたということです。そちらの調査結果につきましては、先ほど御説明したとおりですので、かいつまんで申し上げますと、各粉じん対策の採用率はいずれも5割を超えています。ただ、ダストレス、エアレス吹付けの採用率は8%ということで、低いと。それから、伸縮風管の採用率は80%、局所集じん装置が50%ということです。それから、採用した対策による粉じん濃度の低減率は、おおむね8割以上で、10%以上の低減があると。場合によっては50%を超える低減率もあったと。それから、対策を採用しなかった理由としては、コストが高いという回答多かったということです。
 (3)ですけれども、現場調査の結果ですと、こちらについては、発破工法のトンネルが63%ということで一番多かったです。対策の実施率がいずれも本社調査と比べて3割程度低いという結果でした。こちらにつきましては、本社調査は当然1つの現場でも採用されていれば採用するとしますので、現場の数字が恐らく現実を表していると考えております。そういう意味では、場合によっては、3割、4割ぐらいの採用率しかないものも多いということですので、まだまだ改善の余地があるということです。それから、8ページですが、測定につきましては、93.9%が現状のガイドラインどおりに切羽から50mの地点での測定を行っておりますけれども、その結果を図15にお示ししておりますが、中央値で言うと2mg/m3で、3 mg/m3を超えている現場はほとんどないということです。
 続きまして、9ページで、(5)ということで、こちらは考察で新しく付け加えた所です。遊離けい酸による健康障害防止のためには、作業者の遊離けい酸のばく露を十分に低減する必要がありますので、呼吸用保護具の選択が必要になるわけですが、アメリカの安全衛生庁、あるいはISOでは、測定されたばく露の濃度をばく露の基準値で除した値を要求防護係数と評価して、それを上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を使用することが、国際的に広く行われている方法です。それから、ばく露濃度の基準値につきましては、それぞれの物質ごとに決定されるということですけれども、この値につきましては、国際的に見ても、最も厳しい基準値であるACGIHで提案されている結晶シリカのばく露濃度である0.025mg/m3を採用することがいいのではないかと事務局としては考えております。また、一般的な粉じんに対するばく露基準値は3 mg/m3ですので、それよりはるかに厳しい値に対して十分な防護を有する保護具を使用すれば、それに対しても十分なものということですので、管理濃度のような複雑な計算式は不要ではないかと考えております。
 (7)ですけれども、一般的な作業環境の濃度分布というのは、発生源から距離に応じて減少するわけですが、今回の測定結果は、そのような形になっておりませんので、単純に算術平均でよろしいのではないかと書いております。
 それから9ですが、新たな粉じん濃度の目標レベルをどうするかということです。9の括弧に付け加えてあります今年の結果ですが、8つのトンネルで測った結果は全て2mg/m3を下回っているということを入れてあります。これを踏まえて、(5)ですが、トンネル現場の約半数の粉じん濃度は2mg/m3以下ということです。また、半数の粉じんで、過去2005年当時は、3 mg/m3がちょうど約半数の中央値だったわけですので、15年間で現場の御努力によって、粉じんの濃度は約3分の2まで減少したことが明らかになったということです。さらに粉じん濃度を下げることが可能とお答えいただいたのは5割ぐらいあったわけですが、その方の回答で、どこまで下げられますかとお聞きしたところ、1.5~2.0mg/m3ぐらいが一番回答としては大きかったという方もございます。こういったことを踏まえると、大きな効果があると確認された粉じん低減化技術、換気技術の導入を更に進めることができれば、目標レベルを現状の3mg/m3から2mg/m3まで引き下げることは十分に達成可能ではないかと考えております。また、こういった技術を採用しない最大の理由はコストですので、これら新技術の必要経費に係る発注条件における積算については、発注機関に対して、ガイドラインなどを定めた上で、厚生労働省としてもお願いしていきたいと考えているところです。
 続きまして、資料5-2です。こちらは結晶質シリカのばく露限度の設定に関する文献ということで、新しい文献ですので、ごく簡単に説明させていただきます。まず、先ほどのACGIHのTLVの根拠はなぜ0.025 mg/m3なのかということですが、まず、基本的なスタンスとして、珪肺を防止して、肺がんの増加を防止しようと。文献によるエビデンスとしては、0.065mg/m3で有意に肺がんが上昇したことを踏まえると、現状の0.005 mg/m3ではちょっと十分ではないということで、0.025 mg/m3を提案していると。ただ、これは疫学調査の不確実性に基づいて、安全係数的に見て下げていますということが書いてあります。それから、産業衛生学会につきましては、リスクの計算をしておりまして、ばく露期間25年、勤属年数40年でじん肺2型を5%以下に抑えるという許容濃度として計算をしております。ただ、その計算のやり方が過去の文献の量反応関係を使っているわけですが、そこで使う係数を最も保守的なものにしておりますので、この数字も非常に保守的な数字となっております。
 それから、欧州諸国の基準につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、0.025 mg/m3を使っているのは1か国だけで、13か国は0.1を使っているということです。考察ですが、ACGIH、日本産業衛生学会いずれも、珪肺を防止すれば、肺がんを防止できるというスタンスで数字を決めておりますが、これらの限度基準値は、この値を超えると直ちにじん肺を発症するという性質ではなくて、ばく露量が多くなることに応じて、じん肺の発症する確率が上がるという性質のものです。こういったことを踏まえて、国際的にはばく露した粉じんの濃度が基準値の何倍であるかということを評価して、対策を実施しているということですので、対策としては、国際的にはそのような形が行われているということです。(3)に書いてあるのは、非常に保守的な計算のデータを使って評価しているものですので、0.025 mg/m3というのは欧米の最新基準に照らしても一定の安全上の余裕があると言えることが書いてあります。
 続きまして、資料5-3です。こちらにつきましては、先ほど御議論がありました定点測定と個人測定の測定値の比較ということで、資料としては全面的に書き換えております。今年度と昨年度のデータを分析しておりまして、健康リスクの高い遊離けい算ばく露のある作業として、掘削・ずり出し作業について測定を追加しております。いずれの測定も、作業員が測定器を装着しておりまして、定点測定は全部50m以内ということで、今考えている測定方法で全部やっております。
 追加調査の結果と、昨年度の結果から、調査員の測定値を除いたものを併せたものを図Dということで示しておりますが、こちらは見ていただくと分かると分かりますが、この線より点が低い場合は、定点測定の方が測定値が大きく、この線より上になっている場合は、個人測定の方が測定値が大きいということです。こちらを見ていただくと分かりますように、ばらつきは大きいのですが、現場によって個人測定のほうが大きい場合もあれば、小さい場合もありまして、系統立ててどちらが高いということがはっきり分かる結果にはなっていないということです。
 あと、個別の話ですが、現場Fというのが少し高めに出ておりますが、こちらの個別測定者の方の1人が30分早く仕事を切り上げたことが確認されておりまして、仕事の時間の前半のほうが濃度が高いので、切り上げてしまうと個人ばく露の数字はちょっと高めに出ることがあります。あるいは、現場Fも同じように発破工法ですが、定点測定のポンプが停止中に個人測定の測定者が切羽作業で作業を開始したというようなことがありまして、粉じん濃度が高い時間帯の定点の測定値が個人測定より短かったということで、そういう意味で、現場Fはちょっと個人測定が過大に出ているのではないかということがあります。
 以上から、現場ごとの個別の事情により、定点測定や個人測定の測定条件が異なっておりますので、表Dから定点測定と個人測定の違いによって、系統的な測定値に違いがあるとは言えないのではないかと考えております。むしろ正確な定点測定のために、発破工法においては、作業員が切羽に立ち入る前に定点測定の測定を再開するとか、そういったことをガイドライン等で明確化することが望ましいのではないかと考えております。
 資料5-4です。こちらは前回お出ししたものから全く変わっておりませんが、復習ですが、3ページの表(2)というのがあります。これは、電動のマスクを使ったときに、どれぐらいの指定防護係数が出るのかが書いてあります。こちらにつきましては、全面形については一番性能の高いマスクを使えば1,000という数字が出るわけです。90.9、19.6%ということになります。半面形につきましては、最大値で50と決まっておりまして、それにマスクに応じて33.3、14.3ということになってくるわけですので、濃度を実際に測っていただいて、要求防護係数という数字が出ますので、それに見合った形でマスクを選んでいただく形になるということです。現場で使われているのは、恐らくほとんど半面形ですので、多分一番いいフィルターを使っていただくことは今後必要になってくるのではないかということです。説明は以上です。
○小山座長 ありがとうございました。まだ、もう1つありますね。
○安井環境改善室長 もう1つ資料があるのを忘れていました。資料6です。申し訳ありません。骨子案④です。工学的対策及びその管理についてということで、前回検討会は測定の実施及び管理について、作業主任者のような資格者をきちんと設けるか、安全衛生教育推進者に教育を行うなどの措置が必要ではないか、あるいは簡易測定器を使用する測定について一般の労働者でよいけれども、それ以外は、何らかの資格者が必要ではないか、簡易測定器を使用する測定以外の測定の実施に当たっては、作業環境測定士などの活用も図るべきだと、そういう御議論がありました。こういったことを踏まえまして、工学的対策と管理体制についての骨子案を追加しています。
 骨子案④の1ですが、粉じん対策に係る計画の策定ということです。これは従来のガイドラインでも同じような記載があり、工学的対策、作業環境管理対策についての計画を策定する。2ですが、粉じん発生源に係る措置です。現状のガイドラインが粉じんの発生源を防止するための措置が列記されているわけですが、それに加えて、今回効果があると認められるという措置について列記しています。具体的にはコンクリート吹付け時の粉じん濃度を低減させるために、吹付けコンクリートへの粉体急結剤、液体急結剤、分割ねり混ぜなどの導入。新たな吹付け機械としてのエアレス吹付け機械の導入を図ること。より本質的な対策として、遠隔吹付け技術の導入を図ること。また、設計段階において、より粉じん量の少ないTBM工法などについても検討することということを入れております。
 3番は、換気装置についても従来の換気装置の基準に加えて、より効果的な換気方法である吸引捕集方式の導入。新たな換気設備として、局所集じん機、伸縮風管、トラベルカーテン等の導入を図るということを入れています。こういったことをガイドラインに入れることによって、必要な措置ということで、発注者の方に御認識いただいて、それを積算などに反映していただくということを意図しているものです。
 4番、労働衛生教育の実施については従来、既に法定で特定粉じん作業に対する特別教育がありますので、そちらについてはきちんと当然やる。それに加えまして、今回の要求防護係数を満たす呼吸用保護具の選択等が入りましたので、そちらについてはガイドラインに基づく教育として行うということです。
 実施管理体制ですが、(1)にありますように、粉じん測定及びその結果に基づく措置を適切に実施するため、ずい道等の掘削作業主任者の職務等を以下のとおり改めるということで、粉じん測定とその結果に基づく作業の方法の決定、呼吸用保護具の点検等、呼吸用保護具の使用状況の監視に関する事項を盛り込む。それに伴って、講習時間を1、2時間程度延長するということを考えています。
 (2)ですが、粉じん濃度測定を適切にするために、次に掲げる措置をガイドラインに盛り込むということです。事業者は粉じん測定を実施する際には、作業主任者自らが測定機器を設置するか、又は労働者が装着するか、指揮の下に労働者に行わせる。相対濃度指示方法以外の方法による採取試料の分析については、十分な知識及び経験を有する者、これは第1種作業環境測定士など、あるいは作業環境測定機関に委託するということです。
 6番の元方事業者が実施する事項については、こちらも現行のガイドラインに定めたとおり、粉じん対策に対する計画の調整、教育に対する指導・援助、清掃日の統一、関係請負人に対する技術上の指導等を行うということを定める予定です。説明は以上です。
○小山座長 ありがとうございます。それでは骨子案③について、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○井上委員 目標レベルですが、資料5-1を見ると、3ページですが、昨年実施した5つの山岳トンネルのデータを見ると、全体的には0.8~2mg/m3を超えた所はないということで、しかも、よく見ると1.5mgを下回っている所が半数以上になっているというのがこれで分かると思います。アンケート調査を先ほど御説明いただきましたが、1.5~2mgというのが一番多くて42.9ですが、更に見ると、0~1.5まで下げられるというように回答した所も21%ぐらいあるということを考えると、しかもこれなら絶対安全という許容濃度ではなくて、改善をしていくための目標数値ということで考えると、私としては1.5mg/m3とするのがいいのではないかというように思います。
○熊谷委員 先ほどのK値の問題にもちょっと絡んでいるのですが、先ほど私の意見としては、少なくとも2にはできる、現状と変わらないで2になるのだろうということを考えています。工学的対策を更に進めるという意味で今提案があった1.5というのは非常にいいと思います。そのときに、コストが問題であるという意見がたくさんあったので、この事務局の資料にも書いてありますが、発注者はほとんど国なので、国のほうで低減対策のためのコストも含めて発注するという、そういうことをすることで、これを達成できるのではないかと考えます。以上です。
○安井改善室長 建設業の方、何か御発言いただけないでしょうか。
○オブザーバー(築地土木技術部長) アンケートにもあるのですが、本社のレベルでかなり高い目標を、今後は実現可能ということで、これは今後の技術開発も含めて実現可能かなということでアンケートに答えているのです。現場のレベルでは2.5~3ぐらいが妥当という意見もまだ多いということですので、ここら辺りの実情も加味して目標値を設定していただければなと思います。
○熊谷委員 ちょっと追加しますと、3から1.5というのは半分になるので厳しいかなというような見方もあるのですが、先ほど私が言いましたように、分粒装置を付けるということで、多分3と、前の3が2ぐらいに当たるのではないかと想像するのです。そういう意味ではそんなに低減しているということではないのですが。
○安井改善室長 データをちょっともう一回復習させていただきますと、まず、今回の測定方法で行った測定結果が、この資料の5-1の図の15です。見ていただくと分かるように、中央値は2.0ということですので、これは今回の測定値でこうだったということですので、これが一番現状を表しているのだろうと考えております。一方で、過去のデータを見ていただくと、3ページに図1ということで2005年のデータがあります。こちらは今までの方法です。50mの地点で分粒装置なしでサンプリングしている結果ではありますが、一応見ていただくと分かるように3mg/m3を中心とはしていますが、この時点でガイドラインが定められた当時は、やはり50%ぐらいのところにあったわけです。中央値で設定したというのが現実的にはあるということですので、そういったものを踏まえますと、今回の図の15を踏まえると、やはり2mgというのが現実的というか、要するに50%が実現できている、残り半分は頑張ってくださいという意味において、前回のガイドラインを定めた状況と、パラレルになるものとしては2mgかなと考えています。
○本山委員 この目標値の考えですが、将来に向かってこれにしましょうねということなのか、それとも個別の現場で、例えば2mgにしてくださいという指導を受けるものなのか、その辺はどうなのでしょうか。
○安井環境改善室長 ガイドラインですので、基本的に2mgと書かれれば、行政指導ではもちろんありますが、2mgにしてくださいという指導を受けますので、半分の現場については何らかの対応を迫られるという、かなり厳しい値ではあると考えています。
○土屋委員 今回の測定した現場はかなり良い現場だと思います。私もずっとトンネル現場を回って粉じん濃度を見ているのですが、2mgを超える所はまだかなりありますね。換気もしてしっかりやっている所はやはり2を切る所もありますので、一概に今言われたように2mgを切っていないと指導されるというと、ちょっとつらい面があるかと思います。
○井上委員 技術開発によってどんどん粉じん濃度は下げていくことは可能だと思うのです。ですから、この目標値もある一定の期間を過ぎた段階で見直しをしていかなければいけないと思うのですが、その辺について、将来見直しをするというのをきちんと決めておくということは考えているのでしょうか。
○安井環境改善室長 もともとガイドラインの現状の案も、定められたときには実情に合わせて考えていくべきだという記載がありますので、そういった意味で今回はこのように決めますが、何年後というのはきちんと決められませんが、前回と比べると15年は既にたっているのですが、そういった形で当然見直すというのはあり得ると思います。
○外山委員 私も井上委員の意見の1.5mg/m3は支持したいと思います。それと別にもう一点お聞きしたいのですが、今、ずい道工事は建設工事の届出を出すことが義務付けられていると思うのですが、例えばその中にこういった測定ですとか、粉じんの防止の対策というのは、現状でどの程度入っているのかという、その辺りは改正というか、新たな義務付けのようなものは考えていないのかという辺りをお聞きしたいと思います。
○安井環境改善室長 一定のレベルの長さを超えるトンネルは大臣審査なのでやりますが、例えば具体的に、大臣審査についてはこのガイドラインに基づいて指導はしています。
○小山座長 特に御発言がなければ。
○明星委員 今回測ったものというのは、典型的なトンネルだろうとは思うのですが、断面がより小さいものとか、そういうものがこのガイドラインの骨子でできるのか、例えば6点測定は、そういう問題等を要するにどの範囲までやるか。60m2とか70m2断面だと割と換気はやりやすくて、割と達成しやすいと思うのです。それより細い断面のトンネルも結構あるし、そのときにこれをこのとおりできるのかというところから始めて、では除外するなら除外するなり、その辺の範囲はどのようにお考えでしょうか。対象とする全てを書きますか。
○安井環境改善室長 まずは測定については狭いトンネルでも、測定器を両壁面に置くだけですので、できると考えています。ただ、工学的対策については小さいトンネルというのはやりにくいのは当然ですので、資料5の骨子案の③の(2)の粉じん目標レベルの所にも掘削断面が小さい所については、目標レベルにできるだけ近付けるということで、要するに一定の緩和措置は従来から設けておりますし、今回も設ける予定です。
○明星委員 その辺の定義等ですが、どれくらいが小さいのかとか、そういう話になってくると思うので御見解は。
○安井環境改善室長 小ささについては、掘削断面は一般的に40m2というのがいわゆる区切りになっていますので、40m2を下回るものについては、そういったただし書きを使えるようにしたいと思います。
○明星委員 今回の測定ではそれはやりましたか。
○オブザーバー(中村主任研究員) 今回の測定では一番小さくても60m2なので、測定はしていません。過去にK値を決めたときにはそういう断面でやっている結果もあると思うので、これまでのものにもあったのですが、今回我々が行った所は先ほどありましたが、良い現場を選んでいただいたというか、引き受けていただける所が、やらせていただける所が、小さい所はやはりより危なくなると重機の動く範囲が狭まりますので、ということもありましたので、ちょっとそういう現場には入らせていただけなかったということになります。
○小山座長 よろしいですか。
○明星委員 ありがとうございます。
○土屋委員 よろしいですか、今回の現場で、トンネルは全部国交省の現場ですか。
○オブザーバー(中村主任研究員) 全て国交省ということはないです。国交省のものもあります。
○土屋委員 国交省ならいいのですが、こういう技術的な対応は補助していただければいいのですが、やはり電力もあるしJRTTもあるので、そういう面にもきちんとやっていただいて、その数値目標を決めたら、それに準じてきちんと機械的にも金額的にも補助していっていただければいいかなとは思います。
○吉川委員 今の意見に賛成で、目標レベルを下げるのはいいかとは思うのですが、それに見合った換気量も必要になりますし、それによって電力もかかります。測定装置も今までよりも増えますので、それらにかかわる投資ができるのかということと、加えて施工サイクルに測定と対策も含めた形で入れ込んでもらえるのか。厚生労働省のほうで測定と対策に係わるガイドラインなどを今後発出した後、発注者のほうで積算基準などがきちんと改定されるのかどうかというところも気になります。そういった適切な経費と時間を発注者側から配慮してもらえるのかどうかということを含めて、どの程度が最適なのかということを考慮しつつ目標レベルは決めていったほうがいいのではないかと思います。
○安井環境改善室長 いろいろ御意見を頂いてありがとうございました。様々な御意見を伺って、建設業界の方からもかなり2mgでも厳しいという御意見もありましたし、1.5まで下げるべきだという御意見も承ったところです。総体して申し上げますと、やはり規制という、完全な規制ではなくてガイドラインによる規制ですが、実現可能性というのは十分に配慮するということを考えますと、7割、8割ぐらいの現場が実現できていない数字を取るというのが難しいというのが現実であろうかと思いますので、先ほど申し上げましたとおり、前回ガイドラインで定めたときに、大体3mgが50%ぐらいであったということを考えると、現状のデータを見れば、2mgというものを中心に行政としては考えざるを得ないのではないかと考えています。ただ、井上委員からもありましたように、それはあくまでも現状の数字を基にした数字なので、当然今後、見直していくと。要するに今はどんどん下げていくのだということは、十分に担保した上で、2mgという形で進めていくのが今日の御意見を伺ったところでは、そういうところではないかなと考えています。もう一回、次回に御議論はさせていただきますが、そういったところが基本的な考え方ではないかなと考えています。
○小山座長 時間が大分過ぎていますが、骨子案③について、特に御発言がなければ、骨子案④について御質問、御意見を頂きたいと思います。
○小西委員 意見というより要望なのですが、骨子案の5の所に「測定及びその結果に基づく措置の実施管理」と書いてある中で、(2)の②の所については、外部の測定機関内の測定士を使いなさい、適切な測定をするためにと書いてあるのですが、実際に事業者のほうで測定をするときに、もう1つ、ここに是非入れていただきたいのは、相対濃度指示方法の場合には、必ずこれは1年以内に1回、きちんと較正を受けた機械を使ってほしいということは、どこかに入れておいていただければと。そうしませんと、K値を与えても、測定器自体の性能がきちんと担保できていないと、それはいきませんので、そのことをどこかに加わえていただければと思います。
○安井環境改善室長 それはガイドラインに、報告書の中に追加いたします。
○鷹屋委員 今の小西先生のお話で、それそのものはいいと思うのですが、多分、今、分級装置を付けた状態で較正をできる機関がないと思いますので、それも合わせて少し体制の整備もお願いしないといけないのではないかと思います。
○小山座長 ほか、いかがですか。よろしいでしょうか。
○漆原委員 労働衛生の教育ですとか、多分その下の5の所にも関連すると思うのですが、以前、現場で働いている方のヒアリングをした際に、連絡をする、声を掛けるために保護具を外すタイミングがあるという話があったと思います。そういったところからすると、そういった保護具の使い方ですとか、そういったものの教育の中にそういった話が入ってくるのか、あるいは何らかの機器によって、そういう連絡をうまくさせるようなことを図っていくのかというところについては、この教育の所に入るのか、あるいはまた別の所にそういった機械的なものを考えるのかというところというのは、どういう落とし込みになっているのでしょうか。というのをお聞きしたいと思います。
○安井環境改善室長 そういった声があるのは一応承知しておりまして、メーカーのほうでも声が通りやすい電動ファン付きマスクというのはかなり開発されていますので、そういうのをやっていただきたいと思います。行政としては、そこは外すなとしか言えなくて、そうでないと仕事ができないような状況というのはまず改善するということだとは思いますので、そこは技術開発ということになると思いますが、引き続き検討したいと思います。
○小山座長 ほか、よろしいでしょうか。それでは骨子案④についての御議論はここまでとさせていただきたいと思います。一応御議論いただく議題はここで終わりだと思います。
○安井環境改善室長 骨子案④は。
○小山座長 いまはこれでよろしいですね。
○安井環境改善室長 よろしいです。分かりました。
○小山座長 いいですね。骨子案④までいったと思いますので、よろしいでしょうか。一応、あと議題としてはその他ということなのですが、何か事務局から連絡事項があればお願いしたいと思います。
○安井環境改善室長 各委員におかれましては本日は精力的な御意見、御議論を頂きましてありがとうございました。今後の予定ですが、本日御議論頂きました骨子案について、本日頂いた御意見を踏まえて、次回は報告書の案という形でお示しをして、御審議を頂きたいと考えております。日時については来年の1月15日14時から16時に開催したいということです。よろしくお願いいたします。
○熊谷委員 1ついいですか。この資料1なのですが、机上配付ということで、ここでしか出ていないのです。個別の現場のデータが出ているので、多分このままでは出せないということだと思いますが、個別の現場のデータではなくてまとめたもので、何か出してもらわないと何となくゆっくり見られないのですが、前回はまとめたものを出されていますよね。2018年、前回の調査については。ということで、ちょっと考えていただけないでしょうか。
○安井環境改善室長 今回は、時間がなくてまとめられなかったということですので、次回には公開可能な形でお出しする予定です。
○熊谷委員 分かりました。
○小山座長 よろしいでしょうか。特になければ本日の検討会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。