2019年度第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

日時

令和2年1月21日(火)13:28~14:50

場所

中央合同庁舎第5号館18階 専用第22会議室

議題

  1. マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置に関する報告書(案)について
  2. その他

議事

 
○米倉環境改善室長補佐 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻より若干早いですけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまから2019年度第3回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。
  まず、委員の出席状況でございますけれども、本日は、中明委員より御欠席との御連絡をいただいております。本日は、特別参集者といたしまして、圓藤委員、小嶋委員、櫻井委員、清水委員に出席をいただいております。また、議題(1)のマンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置の検討についてに関連いたしまして、溶接ヒュームに含まれるマンガンのばく露実態調査を担当された中央労働災害防止協会から労働衛生調査分析センター副所長、山室様に御出席をいただいております。
  それでは、座長の小野先生に、以下の議事進行をお願いいたします。
○小野座長 労働安全衛生総合研究所の小野でございます。本日もよろしくお願いいたします。
  では、まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○米倉環境改善室長補佐 配付資料の確認をさせていただきます。
  厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日の検討会もペーパーレスで実施をさせていただいております。お手元にはタブレットを配付しております。使用方法につきましては、操作説明書を机上に配付しております。御不明な点がございましたら、近くにいる職員にお声がけをください。
  資料のほうを確認させていただきます。配付資料でございますけれども、議事次第、資料一覧が一つ目でございます。資料1、令和元年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書(案)(マンガン及びその化合物並びに溶接ヒューム)、資料1-1、報告書(案)別紙1マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを含む)による健康影響等に関する文献について、資料1-2、報告書(案)別紙2マンガン及びその化合物のばく露限度値に関する測定対象の粒径に関する文献等について、資料1-3、報告書(案)別紙3マンガンのばく露限度値に関するACGIHとECの提案理由の比較について、資料1-4、報告書(案)別紙4フェロマンガン合金製造等における空気中マンガンの粒径分布に関する文献等について、資料1-5、報告書(案)別紙5金属アーク溶接における溶接ヒュームに係るばく露低減対策に関する文献等について、資料1-6、報告書(案)別紙6個人サンプリングによる測定の方法に関する文献等について、資料1-7、報告書(案)別紙7呼吸用保護具の指定防護係数に関する文献等について。参考資料としまして、参考1、化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会開催要綱・名簿でございます。
  資料の不足がございましたら、タブレットを交換させていただきます。資料のほう、よろしいでしょうか。
  それでは、小野先生、お願いします。
○小野座長 資料の確認が済みましたので、本日の議題に入ります。
  本日の議題は、一つ目、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに係る健康障害防止措置に関する報告書(案)について。二つ目として、その他となっております。
  では、資料1、令和元年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書(案)(マンガン及びその化合物並びに溶接ヒューム)の審議に入りたいと思います。
  目次を見ていただければ、おわかりになると思いますが、検討の結果が複数に分かれております。それですので、それぞれについて、審議を行っていきたいと思います。審議はそれぞれ第1、第2、第3、第4について行いますけれども、事務局のほうから、Ⅰ、開催要項及び参集者、Ⅱ、検討の経緯、Ⅲ、検討結果、第1、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームへの健康障害防止対策の基本的考え方、さらに、第2としまして、マンガン及びその化合物の管理濃度等について、以上の4件について、まず説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、資料1につきまして、御説明をさせていただきます。
  目次の次からローマ数字のⅠで、開催要項及び参集者となっております。こちらにつきましては、開催要綱をそのまま張りつけているというところですので、説明は省略をさせていただきます。4ページ目の参集者及び特別参集者につきましても、同様ですので、省略をさせていただきます。
  5ページ目のⅡの検討の経緯ですけれども、もともと管理濃度検討会という形で、平成28年の8月30日から検討を行っておりまして、平成30年の3月12日には、管理濃度検討会とこの措置検討会が同時開催という形になっておりまして、以降は、この措置検討会で検討しているという経緯です。ですので、合計で9回になりますが、実質的には、8回の検討を行ったというところです。
  続きまして、Ⅲの検討結果ということで、6ページ目です。こちらにつきましては、前回御説明しました骨子案から変更のあった部分につきまして、青いマーカーをつけているということです。本日の説明は、この青いマーカーをつけているところを重点的に行っていく予定です。
  まず、第1のマンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームへの健康障害防止の対策の基本的考え方です。
  1に報告の趣旨等を入れてございます。こちらにつきましては、経緯をまとめている形になりますが、マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)は、特定化学物質に指定されて、その管理濃度は、マンガンとして0.2mg/m3(総粉じん)であると。ここで、ACGHIとECで、粒径別のマンガン及びその化合物のばく露限度が勧告されたことを踏まえて、平成28年8月から、管理濃度等検討会において、その管理濃度の見直しを行い、平成30年8月から、本検討会において、マンガン及びその化合物並びに溶接ヒュームに関する管理濃度及び健康障害防止対策の検討を行った。さらに、関係団体からの意見聴取及び溶接ヒュームのばく露実態調査を実施したと。本報告書は、これらの検討結果を取りまとめたものであるとしてございます。
  ※をつけてございますが、この欧州委員会の科学委員会の勧告は2011年に出たものですが、2017年に、これに基づいて、EU委員会指令という形で強制力のある形で公布されておりますので、現時点においては、この数字が各国の措置義務として課されているという状況です。
  2番目の塩基性酸化マンガンの有害性ということです。(1)ですが、文献によれば、溶接ヒューム及び溶解フェロマンガン・ヒュームのいずれにも、塩基性酸化マンガンが含まれていると。それから、同じく文献によると、塩基性酸化マンガンを含む溶接ヒューム及び溶解フェロマンガン・ヒュームへのばく露による神経機能障害が多数報告され、その多くには、ばく露量-作用関係が認められたと。また、塩基性酸化マンガンに関する特殊健康診断において、一定の有所見者(2.4%)が認められると書いてございます。
  以上から、従来の第2類特定化学物質である「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」から、「(塩基性酸化マンガンを除く。)」という文言を削除して、「マンガン及びその化合物」と位置づけることが妥当であるということです。
  3ですが、溶接ヒュームの特定化学物質としての位置づけについてということです。(1)は、溶接ヒュームのばく露による有害性につきましては、マンガンによる神経機能障害のほか、溶接に関わる方々の肺がんのリスクが有意に上昇していることが報告され、そのうちの幾つかには、ばく露量-作用関係も確認されたということです。このように、溶接ヒュームとマンガン及びその化合物は、毒性や健康影響の異なる可能性があるということですので、「溶接ヒューム」を独立した特定化学物質(管理第2類物質)として位置づけることが妥当であるとしております。
  また、(3)ですが、発がん性に伴う特別管理物質への位置づけについては、溶接ヒュームは、疫学研究によって発がん性があるということは報告があるわけですが、原因物質が特定されたような文献は今のところなく、じん肺を機序とする原発性肺がんとの区別もついていないという状況です。このため、当面、特別管理物質としては位置づけず、発がんの原因物質などの知見が明らかになった段階で、再度検討を行うことにしたいということです。
  4でが、溶接ヒュームの特殊健康診断の項目ということです。こちらにつきましては、溶接ヒュームに含まれるマンガンばく露による神経機能障害に対する特殊健康診断といたしましては、現行の「マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)」の項目と同様とすることが妥当であるということですが、こちらにつきましては、現状と同じく、特殊健康診断の対象となるのは、溶接ヒュームにばく露される作業に常時従事する者とすべきであるということです。
  (2)ですが、肺がんにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、じん肺を機序とする原発性肺がんとの区別がついていないことから、現時点では、金属アーク溶接作業従事者に対するじん肺健康診断のうち、結核以外の合併症にかかっているおそれがある者に対する肺がん検査等で対応するということが妥当だと考えています。今後、溶接ヒュームに含まれる物質の毒性や発がん性が明らかになった場合には、再度検討するということです。
  続きまして、次のページですが、第2です。マンガン及びその化合物の管理濃度等ということです。1番に検討内容ということを挿入しておりまして、こちらのACGIH及びECの提案文書に引用されている文献などをレビューして、マンガン及びその化合物に係る作業環境測定の対象粒子及び管理濃度を検討したという形にしています。
  2番が作業環境測定の対象粒子ですけれども、こちらは、ACGIHの提案理由書及びそれに引用されている文献等をレビューした結果及び作業環境測定の趣旨などを踏まえて、作業環境測定の対象粒子は、レスピラブル粒子とすべきであるとしています。
  また、3番のマンガン及びその化合物の管理濃度についてということですが、こちらもACGIH及びECの提案理由書及びそれに引用されている文献等をレビューした結果を踏まえて、マンガン及びその化合物の管理濃度は、マンガンとして0.05mg/ m3(レスピラブル粒子)とすべきであるとしています。
  別紙のほうに行きたいと思います。まず、別紙1です。資料でいうと、1-1になりますが、こちらにつきましては、まず、1番については、マンガン及びその化合物の化学的特性及び溶接ヒュームの化学組成等を説明していますが、若干、修正がありまして、1の(2)ですけれども、ここの上から3行目から4行目に、なお、一般的に、酸化マンガンのⅡとⅢというふうにある、その後ろにMnO2と書いてありますけど、これはMnOの間違いです。2を消していただきたいと思います。
  あと、幾つか、二酸化マンガン(MnO2)と書いてあったり、酸化マンガン(Ⅳ)(MnO2)と書いてあるものもありまして、表記がばらついております。こちらは、もともとの文献がこうなっていたので、そういう引用をしてございますが、平仄をそろえるということで、二酸化マンガンにつきましては、酸化マンガン(Ⅳ)という形で統一をさせていただきたいと考えています。
  それから、飛ばしまして、6ページを見ていただきたいと思いますが、こちらの青い色を6ページの6の(2)につけてございます。こちらにつきましては、単にレスピラブル、粒径が書いていなかったので、レスピラブルを入れたという変更をしたというだけのことでして、あとのは変更はありません。
  続きまして、別紙2につきましては、修正がありませんでしたので、説明を省略いたしまして、資料1-3について御説明をさせていただきます。
  1ページ目の2の(1)ですね、の下の2行に青い色をつけていますけども、こちらにつきましては、論文の中にNOAELというのが明確に書いていたわけではなかったので、神経機能作用を検出しなかったNOAELのことも明示的に記載している。そういった形に若干、文言を修正しています。
  続きまして、次のページも同じような趣旨でして、このGibbsらの報告の中には、NOAELという言葉自体が出てきません。ただ、もちろん、この濃度で健康障害が認められなかったということは、もちろん報告があるわけですが、これにつきまして、Gibbsらの報告から0.04mg/m3(レスピラブル粒子)をNOAELとして重視してというような形で、それに整合する形で書き加えております。(3)につきましても、同様の修正をしたということです。
  資料1-4につきましても、特段の変更はしておりませんので、説明は省略させていただきます。
  事務局の説明は以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
  では、先ほど申し上げましたように、検討結果の第1ですね。ページで申し上げますと、報告書(案)の6ページ目と7ページ目、ここにつきまして、皆様から御質問、御意見いただけますよう、お願いいたします。いかがでしょうか。
  大前委員、お願いします。
○大前委員 数字として、ACGIHもしくはEC、0.02と0.05ですけども、これは、どちらをとっても構わないと思います。ただ、Gibbsらの論文、これは非常にいい論文ということで、ばく露に関しては、多分、NIOSHかOSHAか、どっちかがウオッチしているような会社だったということなので、問題ないと思うんですけども。この神経影響をはかっているのは、クロス・セクショナルではかっているような論文だったと思います。その論文の中には、Survival effectなことは、あまり書いていなかったので、それが若干気になっているところですけれども。0.05、ECの数字0.05でも全然構わないと思っております。
○小野座長 ありがとうございます。
  ほかにはいかがでしょうか。
  ここで関連する別紙についても、御意見がある場合にはお受けして構わないかと思うんですけれども。
○大前委員 すみません。今、別紙の3の話でした。
○小野座長 別紙の3。そうですね。
  すみません。ただいまの御意見は、第1ではなくて、第2の検討項目についての御意見。要するに、0.05という数値についての御意見ということになります。
  第1については、皆様、御意見はございませんでしょうか。
  特に御意見がないようでしたら、第2のマンガン及びその化合物の管理濃度等につきまして、管理濃度の数値につきまして、ほかに御意見ございましたら、お願いいたします。
  では、第1と第2については、健康障害防止対策の基本的考え方と管理濃度につきましては、皆様から特に、大前委員以外からの御意見は上がっておりませんが、先に進ませていただきます。
  次、第3に入りますが、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 それでは、資料1の9ページから御説明をさせていただきます。
  まず、第3、溶接ヒュームばく露防止対策等ということですが、1番を挿入し、検討内容といたしまして、溶接作業等における溶接ヒュームばく露対策として、工学的対策等、呼吸用保護具の選択及び使用、作業管理等について検討した、検討に当たっては、溶接作業における溶接ヒュームのばく露についての実態調査を行ったということを入れています。
  2の(1)です。現行法令ですが、粉じん障害防止規則においては、金属をアーク溶接する作業及び屋内等において、アークを用いて金属を溶断し、またはガウジングする作業につきましては、呼吸用保護具の使用が義務づけられております。ただし、局所排気の設置等及び作業環境測定が求められる特定粉じん作業には該当しないという整理になっています。特定粉じん作業は、有効な発散源対策が可能な作業、原則として、固定した設備を使用して行う作業が列挙されているということです。このため、金属アーク溶接等作業は、一般的には、粉じん発散源の場所が一定しないことから特定粉じん作業から除外されていると考えられるということです。
  (2)ですが、ガスアーク溶接では、溶接不良を避けるために、溶接点での風速が0.5m毎秒以下となるように管理する必要があると。実態調査でのB測定値が0.2mg/m3以上という高い濃度の単位作業場所が4割を占めていること、第3管理区分に相当する作業場所が6割程度を占めることを踏まえると、仮に、局所排気装置等の設置が可能である場合であっても、全ての事業場において、局所排気装置等の設置措置のみによって、マンガン濃度を0.05mg/m3(レスピラブル粒子)まで一律に低減させることは困難と見込まれると。
  (3)ですが、一方で、実態調査の結果、25%程度の事業場は、現状で第1管理区分となっていることから、全体換気等の措置によって、第1管理区分を実現することが可能である事業場は、一定程度存在することが見込まれるということです。
  以上を踏まえまして、従来の作業環境測定の実施及びその結果に基づく管理区分の決定を義務づけないこととすると。しかし、現状を悪化させることなく、事業場の状況に応じた対策を促すために、次に掲げる段階的な措置を設けるべきであるということにしています。①ですが、まず、事業者は、金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場につきましては、当該作業にかかる溶接ヒュームを減少させるために、全体換気装置による換気の実施、または、これと同等以上の措置を講ずるということです。後ほど、この※は御説明いたします。②ですが、事業者は、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場について、金属アーク溶接等を新たに採用し、または変更するときに、個人サンプリングによる空気中の溶接ヒューム濃度を測定するということです。こちらも変更した点でして、まず、継続して行う作業場というのを9ページの一番下に青マーカーがありますけれども、こちらは、個人サンプリングによる空気中の溶接ヒュームの濃度の測定は、屋内作業場において行う作業環境改善のために行う測定ですので、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に限定して義務づけるということを明確にしいます。具体的には、建設業のように、建設工事中に一時的にというか1回だけ測定をして、二度とそこに帰ってこないという溶接もたくさんありますので、そういうところの作業管理に役立てるための測定には全くならないので、こういった点につきましては、義務付けないということを明確にしたということです。
  それから、金属アーク溶接等を新たに採用し、または変更するという点につきましては、その点を明確にしていただきたいという御指摘がありましたので、10ページの一番下のところに、※3というのを入れています。こちらの「アーク溶接等作業を変更する」場合には、溶接作業が変更された場合、溶接材料、母材や溶接作業場所の変更が溶接ヒュームの濃度に大きな影響を与える場合を含むということでして、溶接方法が変更されれば、当然、大きく変わりますので、今まで被覆溶接だったのがマグ溶接に変わるとか、そういうのは、当然変更にあたります。また、溶接材料が大幅に変わるような場合、それから、あとは母材ですね、母材も、ただ単に炭素鋼の種類が変わるという程度ではなくて、今までアルミだったのが炭素鋼になるとか、炭素鋼だったのがステンレスに変わるとか、そういった内容になりますと、当然、マンガン濃度も劇的に変わりますので、そういった大幅な変更があった場合については、変更があるというふうにみなすということです。細かなマイナーチェンジですね、溶接材料の型番がちょっと変わったとか、炭素材の規格の番号が若干変わったとか、そういった場合について、変更と考える必要はないということを書いたということです。
  それから、③ですが、この②による空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講ずると。
  ④ですが、この③による措置を講じたときには、その効果を確認するため、再度、個人サンプリングによる空気中の溶接ヒュームの濃度を測定するということです。
  ⑤ですが、事業者は、金属アーク溶接等作業に労働者を従事させるときは、作業場所が屋内、屋外にかかわらず、有効な呼吸用保護具を当該労働者に使用させるということです。こちらは、従来から粉じん則のほうで義務づけられているということです。さらに、金属アーク溶接等の作業を継続して行う屋内作業については、④の測定による溶接ヒュームの空気中の濃度が基準値を超える場合は、当該作業場について、空気中の溶接ヒュームの濃度の測定の結果に応じて、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるという措置を2段階に分けてかけるということを制定しているということです。
  それから、⑥ですが、溶接ヒュームの空気中濃度の基準値といたしましては、先ほど御説明いたしましたマンガン及びその化合物の管理濃度と同じ値(マンガンとして0.05mg/m3(レスピラブル粒子))とすべきであるということです。
  (5)ですが、(4)の措置に加えまして、次に掲げる規定も設けるということでして、①につきましては、記録の保存ということです。こちらにつきましては、測定結果の評価を行ったときは、その都度、必要な事項を記録して保存するということですが、こちらの変更をしていまして、測定対象作業を継続している間及び当該作業を終了した後3年間と変えています。前回の資料では、3年間保存ということにしてございましたが、溶接の方法を変更しないまま3年以上たってしまうと、記録を捨ててしまうということになってしまいまして、そうすると、何を根拠にマスクを決めてあるかがわからないということになると、非常に困るということですので、測定対象作業を継続している間は持っておいていただいて、その作業が終了した後に、3年間ということに変更させていただいてます。
  ②ですが、金属アーク溶接等の作業に労働者を従事させるときは、粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上掃除するということです。
  ちょっと説明を飛ばしましたが、※1というのが、その下にですけれども、まず、全体換気と「同等以上の措置」というのには、プッシュプル型換気装置が含まれるということです。それから、屋内作業場に類似する場所、むしろより厳しい密閉的な状態、通風が不十分な船舶の内部、タンク等の内部において、シールドガスを用いたアーク溶接等作業を行う場合は、シールドガスによる酸欠のおそれがあることから、全体換気装置等によって酸素濃度を18%以上に保つか、労働者に空気呼吸器等を使用させなければならないということが、酸欠則21条に規定されています。この措置は、アーク溶接等によって発生する一酸化炭素による中毒等の防止のためにも重要ということです。一応、こちらは注意書きということで入れています。法令の改正はいたしませんが、こういう規定がありますよということです。
  続きまして、11ページですが、3番の個人サンプリングによる溶接ヒュームの濃度測定の方法ということです。こちらは、全部青くなっておりますけれども、実際は、別紙に参考資料に落ちてあったのをこちらに引き上げたという形になっておりますので、本文の部分について、特に変更はしていません。
  まず、(1)ですけども、測定における試料空気の採取等は、作業に従事する者の身体に適切な箇所に装着する試料採取機器等を用いるということです。こちらにつきましては、下のほうに※1というのをつけてありますが、従来、JISの番号を引用してございましたが、JISの内容も変わったということですので、試料採取機器の吸気口は、労働者の呼吸域に装着すると。その際、吸気口が溶接面体の内側となるように留意することということを入れてございます。
  それから、(2)ですが、試料空気の採取等の対象者数、時間等につきましては、以下のとおりとすることとしておりまして、①で、試料採取機器等の装着は、労働者にばく露される溶接ヒュームの量がほぼ均一であると見込まれる作業、これは均等ばく露作業ということです、ごとに、それぞれ適切な数の労働者に対して行うと。ただし、測定の精度を担保する観点から、その数はそれぞれ2人、2人を下回ってはならないということです。
  それぞれ注意書きを入れてありまして、まず、※2ですね。均等ばく露作業というのは、何ぞやということですが、溶接方法は同一であって、溶接材料、母材や溶接作業場所の違いが溶接ヒュームの濃度に大きな影響を与えないことが見込まれる作業ということです。それから、※3ですが、これは適切な数の労働者って何人ですかということですが、原則として、均等ばく露作業に従事する全ての労働者が望ましいわけですが、そういったことが困難である場合は、作業内容等の調査を踏まえて、均等ばく露作業におけるばく露状況の代表性を確保できる抽出方法、ランダムであるとか、あるいは、作業時間が長い人から順番に選ぶとか、そういった形で、対象労働者を抽出することができる。ただし、2人を下回ってはならないということです。それから、※4ですけども、均等ばく露作業に従事する労働者の数が1人になる場合につきましては、当該者に対する測定を2作業日について行うということです。
  続きまして、(2)の②に戻りますが、試料空気の採取等の時間は、①の労働者が一の作業日において金属アーク溶接作業等に従事する全時間とし、短縮を認めないこということです。このこっちの※5番と入れておりまして、溶接作業の準備作業、溶接の合間に行われる研磨作業など、溶接後の片づけなどの関連作業は一連の溶接作業として測定の対象にすると。ただし、組立や塗装作業等、溶接と関係のない作業というのは、測定時間に含めないということです。測定値につきましては、この測定時間に対する時間加重平均値として計算をするということですので、8時間のうち溶接作業が3時間しかなければ、3時間測定して、3時間の時間加重平均でやる。そういったことが入ってございます。
  それから、(2)の③ですが、要求防護係数を算定するという観点から、均等ばく露作業における測定値のうち最大のものを評価値とするということです。
  (3)ですが、試料採取方法及び分析方法は、マンガン及びその化合物に係る測定基準に定める方法と同様の方法とするということです。
  続きまして、12ページになります。4番ですが、呼吸用保護具の選定及び使用ということです。こちらは、先ほど変更いたしました金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場における規定というような形で定める予定です。
  (1)ですが、要求防護係数の算定につきましては、事業者は、測定されたマンガンの濃度を基準値で割って、0.05ですね、mg/m3で割っていただくと、その基準値の何倍というのが出ますので、その数字が要求防護係数となるということです。
  (2)ですが、この要求防護係数を上回る指定防護係数を有する呼吸用保護具を選定し、労働者にそれを使用させるということです。米印の※2ですけれども、指定防護係数とは、訓練された着用者が、正常に機能する呼吸用保護具を正しく着用した場合に、少なくとも得られるであろうと期待される防護係数ということで、こちらにつきましては、ろ過式の半面マスクであれば、例えば10とかですね、そういう型式、形式ごとに決まってございますので、そういったものを踏まえて決定をしていただくということになります。
  それから、説明を飛ばしました※1ですね、※1につきましては、屋内作業場に加えて、屋内作業場に類似する場所、通風が不十分な船舶の内部、タンク等の内部において、アーク溶接等作業を行う場合は、これら場所のうち代表的な場所における空気中マンガン濃度を個人サンプリングにより測定し、屋内作業場の要求防護係数で対応可能であることを確認する必要があるということです。こちらは、義務づけということには、厳密に言うと、なりませんが、実際は屋内作業場と同じマスクを使う形になると思いますので、それで大丈夫かどうかというのは、検証していただきたいという趣旨です。
  それから、(3)ですけども、呼吸用保護具の使用方法ということですが、事業者は、選定された呼吸用保護具を労働者が適切に使用できるよう、当該労働者に初めて呼吸用保護具を使用させるとき及びその後1年以内ごとに1回、定期的に当該労働者における当該呼吸用保護具の防護係数等を適切な方法、これは定量的フィットテストと申しますけども、により確認し、その結果が防護係数の基準値を下回らないようにすることということです。
  こちらにつきましては、※3ですが、定量的フィットテストの方法は、JISのT8150で定める方法を含むと書いてございますが、二つ方法がございますが、一つは、そのフィットテスターというものを使って、マスクがない場合の差をはかるもの。あとは、マスクみたいなのをかぶっていただいて、においとか味を感じるかどうかというようなやり方もございます。
  それから、※4の防護係数の基準値というのは、いわゆる諸外国でいうところのフィットファクターになるわけですが、こちらにつきましては、米国のOSHA規則でありますと、半面系の呼吸保護具について100、全面系の呼吸保護具について500という記載がございます。ISOは、また概念が違いますけれども、こういったものを踏まえて、JIS8150の規定との整合性を踏まえて、告示で定めたいということです。
  それから、5番の特定化学物質(管理第2類)としての作業管理等ということです。こちらは、管理第2類に分類されると、自動的に適用になる特化則の条文が列記されてございます。(1)から全部で(10)まですが、ほとんど現状で満たされていると思いますが、この(4)の特定化学物質作業主任者の選任につきましては、溶接において、こういった方が選任されているケースはほとんどないと思いますので、こちらにつきましては、新たな選任が必要になるということです。
  これにつきましては、米印をつけておりまして、特化物作業主任者には技能講習の修了者を選任する必要がございますけれども、溶接の資格ではないため、金属アーク溶接作業等に従事する者全員がこの技能講習を修了する必要はありません。また、建設作業や設備の補修等において、毎回異なる場所で短時間の金属アーク溶接等作業を実施する場合であっても、その作業には作業主任者の選任が必要であるということを留意していただきたいということです。
  それから、6番ですが、作業管理等の実施の留意事項ということです。こちらは、通達で定めることを考えてございますけれども、特化物主任者の職務のうち、「作業方法の決定」については、先ほど御説明しました測定をして、換気を見直すという措置を含むと。それから、「保護具の使用状況の監視」につきましては、先ほど御説明しました保護具の選択及びその使用というのを含むということにしたいと考えてございます。
  (2)ですが、呼吸用保護具の適切な選択及び使用を図るため、雇入れ時教育等で、「保護具の性能及びこれらの取り扱い方法」がございますけども、その中について、要求防護係数を満たす呼吸用保護具の選択及び使用に関する事項も含めていただきたいということです。
  それから、個人サンプリングに係る試料採取及び試料の分析につきましては、その内容に応じまして、十分な知識及び経験を有する者、例えば、作業環境測定士に実施させるか、十分な能力を持つ機関、作業環境測定機関などに委託するということにしていただきたいということです。
  説明は以上です。
  失礼いたしました。別紙です。資料1-5ですね。まず、別紙5というのがございます。こちらにつきましては、2ページ目と3ページ目に青いマーカーが出てきますが、こちらは、前回お配りしたときは、0.02と0.05をパラで記載して、それぞれに記載してございましたが、今回、0.05ということに決まったということですので、その管理濃度の分布等々につきましては、全部0.05だけに絞ったということで、実質的に何ら変更したところはありません。
  4ページ目につきましても同じような形で、全部0.05に合わせた形で、パーセンテージの変更などを行ったということです。
  続きまして、資料1-6です。こちらにつきましては、前回、御指摘がありまして、JISのZ3950の案が大分変わっているということでございましたので、現時点における最新のJISの3950の案に差し替えたということです。
  それから、資料1-7につきましては、特段変更しておりませんので、説明は省略させていただきます。
  説明は以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
  それでは、質疑に入りたいと思いますが、かなり内容的にも多く、長くなっておりますので、御意見いただくときに、どこについて御意見をいただいているかというのを明確にしてお話しいただけるとよろしいかと思います。お手数ですが、そのようにお願いいたします。
  では、ばく露防止措置等につきまして、御意見頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
○名古屋委員 よろしいでしょうか。
○小野座長 名古屋委員、お願いします。
○名古屋委員 ちょっと聞きたいのですけど、例えば9ページになるのんですが。「事業者は」というところからずっといくという流れ、確かに、これは、マンガンしか扱ってないところだったら、環境をよくし、かつ、それに応じて測定していって、測定結果に対応した環境改善していって、そして、最終的には適切なマスクをしなさいよという流れは合っていると思う。
  でも、それ以前にやっておかなくちゃいけないことで、ここで抜けているのは、⑤に書かれている溶接ヒュームの粉じん則では、溶接作業者は95%クラスのマスクを使用しなさいと書かれて(注:粉じん則では無く、平成17年基発第0270006号「防じんマスクの選択、使用等について」一部改正 に記載)いるわけで。ということは、マスクを選定するための測定が一番最初に来るべきなんですよ。要するに、ここで働く作業者は対策する前に95%クラスのマスクをしているよということなんです。だから、そうすると、②のところの中の事業者は、金属アーク溶接作業を継続して行う作業については、個人サンプリングによる空気中の溶接ヒューム濃度を測定しなさいと。それで、⑤に来て、当該作業において、②によって、空気中の溶接ヒューム濃度を測定した結果に基ついて、労働者に有効なマスクをしましょうよという流れになるんだと。要するに、何もしなくても最初から95%クラスのマスクは装着しているわけですよ。
  本来マスク選定のための測定をしますと。要するに溶接では95%に決められているけど、マンガンについては、もしかしたら、95%クラスのマスクでもだめかもしれない。そうしたら、それより上のクラスのマスクを選びなさいよ。でも、95%のクラスより下のクラスのマスクはいいでしょうとなったら、当然、今まで通りの95%のマスクで大丈夫なので、何もしなくていいわけですよ。
  だから、要するに、ここのところというのは、あくまでも95%クラスのマスクでは対応できない作業に対して、どのクラスのマスクをしますかということになるんだと思う。それと同時に、もう一つあるとしたら、先ほどあったように、作業工程を変えたりとか、変更したりするときに、当然、発生する濃度は変わってきます。そうしたら、95%で合っているかどうかということがあるので、その時は測定をして、結果に合ったマスクを選定することになんですよ。もしかして、例えばここにあるように改善しましょうとなったときには、改善することはいいことだと思います。ただ、それは何をするかというと、それは95%クラスのマスクではだめだよ。だから、電動ファンしなさいという形になるかもしれない。そうしたら、逆に言ったら、電動ファンを採用するのは経済的につらいね。じゃあ、改善していって、改善後に、もう一度測定したら電動ファンじゃなくて、要するに、95%クラスの防じんマスクでいいよという形になりますという流れにするべきなんで、初めから、全体換気装置による換気の実施。さらに測定をして、その結果に応じた換気装置の風量の増加などの改善というふうに段階的にやるのではなくて、あくまでも、ここの作業場には95%クラスのマスクした人たちがいる。そういった作業場なんですよということがあるので、②から、そのまま⑤に行って、そこでマスクの選定をさせるというのが筋じゃないかなと思うんです。段階的に経るのは、確かにいいことなのです。じゃあ、このとおりに実施した時、マンガンの濃度測定結果からマンガン濃度が低いため95%クラスのマスクはしなくてもいいよ、80%クラスのマスクでいいよとなった場合。じゃあ、その作業場では80%クラスのマスクができるかといったらできないわけで、平成17年基発第0270006号で95%クラスのマスクしなさいとなっているわけ。要するにマンガンは良くても粉じんがだめなのでマスクのクラスを下げることはできないわけですよ。だったら、やっぱり、これはあくまでもマンガンに対して95%のマスクが使えるか使えないかの判定をし、かつ、使えなかったら、じゃあ、どのクラスのマスクを選定するかというシナリオにしなかったらおかしな流れになっちゃうんじゃないかなと思うんですけど、それはどうなんでしょう。
○安井環境改善室長 コメントありがとうございました。まず、事実関係ですが、粉じん則では、95%というのは特に義務づけておりませんで、有効な呼吸用保護具ということです。選択、使用通達で95%が望ましいとはしておりますけども。
○名古屋委員 書いてある、書いてありますね。
○安井環境改善室長 95%は別に決まっているわけではないということで、有効な呼吸用保護具というのは、事業者が何らかの根拠で選ぶという形になっております。今回の措置は、あくまで、工学的対策ということで、もともと、本来であれば作業環境測定を義務づけるという流れの中で、それが難しいということで、その代替措置を検討したということですので、このような流れになっています。従来も管理濃度3、管理区分3になったときにはマスクをつけなさいということになっておりますので、まずは一般的な労働衛生対策の基本として、まず、工学的対策を十分やった上でマスクの選定をするということですので、順番としては、このような形で、まず測定をして、それに合わせるということで。
○名古屋委員 例えば、要するにマンガンはそうなんだけど、じゃあ、従来通り溶接ヒュームを粉じんとして測定して、溶接ヒューム濃度から防護係数を求めたときに、80%クラスのマスクを使っていいとなった場合に。要するに、今までは95%クラスのマスクを使いなさいという平成17年に基発第0270006号が出ているのを80%クラスのマスクに変えてもいい。それか、あるいは取り替え式マスクに変えていいということに変えることが出来るのですか。そこをちょっと聞きたいのですけど。マンガンについてはそうなんです。粉じんについては、要するに、それに応じて通達を変えて、それができるんですかという話を聞いているんです、私は。そうしないと整合性が合わないでしょう。
○安井環境改善室長 粉じん則につきましては、従来から屋内外を問わずマスクを使うということになっておりますので、こちらにつきましては、従来どおり、有効な呼吸用防護具を使っていただくと。今回の措置につきましては、継続的に溶接を行う屋内作業について限定する措置として規定してございますので、対象範囲が違います。マスクについては、屋内外は問わない、とにかく溶接の場合は必ずつけなさい。こちらについては、屋内につきましては、より高いリスクになるわけですから、それについての措置というのは、別途定めるという整理にしてございます。
○名古屋委員 でも、要するに、マンガンで、80%クラスのマスクで良いという結果でオーケーだよと。でも、同じ作業場で粉じんで見たら、溶接ヒューム濃度に関係なく平成17年の基発第0270006号に従って95%クラスのマスクすることになっている。こうした現場があったときにはどちらを優先しますかといったら、マンガン優先しなくて、粉じんを優先するわけでしょう。それは違うんですか。そういう法律にはならないんですか。
○安井環境改善室長 すみません、今回の実態調査を踏まえるとき、80とか95のマスクでは、全然もたないと思います。
○名古屋委員 それはそうです。
○安井環境改善室長 もともと、マンガンのほうが圧倒的に厳しい管理濃度になりますので、マンガンの管理濃度が結果的には決定的なファクターになると考えております。
○名古屋委員 でも、そうじゃない作業もあるかもしれないじゃないですか。でも、やっぱり、そういう整合性は要らないんですか。
○安井環境改善室長 整合性という意味が理解できないんですけど、粉じん則においては、マスクの程度は決めておりませんので、整合性という議論は発生しないと。
○名古屋委員 ああ、そうなんだ。ということは、要するに、溶接作業では95%クラスのマスクをしなさいと平成17年の基発第0270006号で言っているけど、別段、80%クラスのマスクしようが取り替え式にしようがいいということですね。そういう解釈をしていいということですか。
○安井環境改善室長 法令上は95%を使いなさいというのは義務づけてはおりません。ただ、もちろん、95%が望ましいという。
○名古屋委員 そうですか、望ましいと書いてあるんですよね。
○安井環境改善室長 はい。
○名古屋委員 じゃあ、今まで溶接の人はどうなんですか。
○小野座長 保利委員、お願いいたします。
○保利委員 別の話ですがいいですか。
○小野座長 はい。あ、すみません、今の件についてはほかにございませんか。
  松村委員、お願いいたします。
○松村委 私も同じく⑤のところですけれども、ここで、有効な呼吸用保護具というのは、やはりマンガンの濃度だけを根拠にして決めるような印象なので、当然、防じん機能のみを対象にして選ぶことになっているのかなと思うのですけれども、金属アーク溶接でもシールドガスを使うようなところでは、間欠的ではあっても、1,000 ppm程度の一酸化炭素も出ますし、種類によってはオゾンも出ます。それで、そういうことも含めて有効な呼吸用保護具というふうに考えてもよろしいのでしょうか。
○安井環境改善室長 現状は、まず粉じん則につきましては、じん肺を予防するための規則ですので、そういったガスとか、オゾンとかについては、粉じん則においては規制の対象となっておりませんので、それを踏まえた有効な呼吸用保護具ということにはなってないと思います。今回、義務づけるものにつきましては、溶接ヒュームの濃度についてやるということですので、オゾンであるとか、そういったものについて、有効なものまで求めるという改正にはなっておりません。
  ちなみに、オゾンにつきましては、もともと特化物ではなく、リスクアセスメントが必要な物質にはなってございますので、リスクアセスメントをした上で、オゾン濃度が非常に高いということであれば、別途の改善方法について、検討するということです。
○松村委員 そうしますと、その防じん機能、PAPRにしろ、吸気式にしても、防じん機能だけがここで対象になっているというわけではないと考えていいわけですか。
○安井環境改善室長 今回の規制は、溶接ヒュームを対象にいたしますので、一義的には防じん機能というか、一応、マンガンをもちろん規制するんですけど、マンガンにガスという形はないものですから、事実上、粉じん規制ということになります。
○松村委員 ありがとうございました。
○小野座長 ガスのことにつきましては、先ほど※の幾つかでしたか、その辺で状況によっては空気呼吸器が有効になるという参考意見のようなものは記載されておりましたけれども、あくまでも、ここで定めている保護具というのは、防じん機能について、どう評価していくかという理解でよろしいということですね。
○安井環境改善室長 はい、そうですね。10ページ目の※の1のところに酸欠の話は書いてございますが、酸欠則は別途ございますので、シールドガスによる酸欠につきましては、別途の対応をしてございます。これで、空気呼吸器等を使用させることになれば、自動的なほかの一酸化炭素などの防止にもなるということになりますが、この規定は、規制の対象を、通風が不十分な船舶の内部やタンク等の内部とかで限定されておりますので、今回の改正の対象とは、必ずしも合わないというのもあります。
○小野座長 今の関係でしょうか。
  では、小西委員、お願いいたします。
○小西委員 ちょっと私の理解が悪いのかもしれないんですけど、今ここで議論されているところの溶接ヒューム濃度と書いていますけども、これは、溶接ヒューム濃度というと粉じん全体の濃度というふうなイメージなんですよね。ですから、例えば、粉じん則との関係というのは書いてあるんですけど、ここで言っているのは、結局、溶接ヒューム中のマンガンの濃度をはかるという、粉じん濃度としてははからないけども、マンガンの濃度をはかるという捉え方でいいんでしょうか。
○安井環境改善室長 基準値としては、マンガンとして0.05mg/m3
○小西委員 ということは、とったヒュームそのものを分析して、マンガンの濃度が基準値に対してどうかということを議論するということでいいんですね。
○安井環境改善室長 そういうことです。
○小西委員 ということは、粉じんの濃度をはかる必要はないということ。
○安井環境改善室長 はかる必要はありません。
○小西委員 それで、マンガンの濃度をはかって、それで要求される防護係数のマスクを使いなさいと。
○安井環境改善室長 はい。
○小西委員 ここで言っている屋内の作業所については。
○安井環境改善室長 そうですね、はい。
○小西委員 ということは、ヒュームそのものをはかるんじゃなくて、ヒューム中のマンガン濃度をはかるということでいいんですね。これ「溶接ヒューム濃度」と書いてあるものですから、溶接ヒューム濃度というと、粉じんも全部ひっくるめた濃度と捉えられちゃうんじゃないかなという気がするんで、もし書くのであれば、「溶接ヒューム中のマンガン濃度」と書いたほうがいいような気がするんですよね。
○安井環境改善室長 管理濃度といいますか、今回、基準値という言い方をしますけど、基準値自体は、マンガンとしてということになりますので、結局、測定値として出てくるのは、マンガンになります。
○小西委員 そうですね。
○安井環境改善室長 ただ、測定対象の物質としては、溶接ヒュームということです。例えば粉じんの濃度という名前ではかりますけど、実際は、遊離けい酸含有率を考慮してやるとか、そういったものもございます。例えばコールタールであっても、コールタールをはかるんですけれども、管理濃度はベンゼンとしての濃度だったりとか、そういったのもございますので、測定対象物質と、その基準の値となる物質が必ずしも一致しないというのは、作業環境測定の考え方になっています。そういった……。
○小西委員 何で、これをこだわるかというと、溶接ヒュームの濃度測定自体は、粉じん則で、別表3ですから、測定の、かかってないわけですよね、測定の義務はかかってない。そこで、溶接ヒューム濃度の測定と出てくるものですからね、そこのところが、言葉としてわかりにくいんじゃないかなという気がしたんですよ。それだったら、その中のマンガン濃度というふうに記載されたほうがわかりやすい、区別しやすいんじゃないかなという気がしました。基準値は、最後まで読めばわかるんですけどね。何かそういうふうに受け取られるんじゃないかということをちょっと心配しました。
  以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
  報告書のこの案のところで、そこが明確になるように、マンガンを測定するということをくどいかもしれませんけれども、少し追加していただくとよいかもしれません。粉じんと聞くと、粉じんの質量濃度というふうに、皆さんお考えになる可能性がありますので、そこは明確にしておいていただけるとよろしいかと思います。
○安井環境改善室長 はい。既に資料で書いておりまして、例えば10ページの(4)の⑥ですね、真ん中になりますけれども、10ページの。溶接ヒュームの空気中濃度の基準値については、マンガンとしてやりますということが書いてあり、11ページの3の(3)に試料採取方法及び分析方法は、マンガン及びその化合物に係る測定基準に定める方法と同様の方法とするとか、一応、既にちりばめられております。法令用語上、作業環境測定の対象物として、特化物については、特化物としてのお名前を書くというしきたりがございます。例えばコールタールであれば、コールタールを測定すると。ただし、実際の基準値はベンゼンですと、そういった、作法がありまして、こちらにつきましても、溶接ヒュームを測定するけれども、基準値はマンガンというふうな形で整理をしているところです。
○小野座長 はい、名古屋委員。
○名古屋委員 もう一回、ちょっと確認させてほしいんですけど、マンガンでいいのです。この案通りですとマスクの選定まで2回測定させることになるのですが、溶接現場で2回させるのが、多分ハードルが高いと思うんです。それはそれで、まあしようがないということは言わないんだけども、じゃあ、マンガンを測定したときに、しつこいですが、80%のマスクでいいでしょうという、結果が出ますよね。じゃあ、平成17年の基発第0270006号で溶接を考えたときに、今までは、大体95%のマスクを推薦したのだけど、80%のマスクをしたときには、それはオーケーですよという話になるんですか。それは、ちゃんと明記してくれないと、要するに現場が困るんじゃないですか。今まで、溶接でずっと使っていて、95%を推奨していたのかもわからんけど、マンガンを測定してみたら、95%ではなくて80%のマスクでマンガンがよくなった。じゃあ、うちは、マンガンの測定結果に従い80%の防じんマスク使うよということがいいということをちゃんと通達でもいいですから明記してくれなかったら現場が困るんじゃないですか。なぜ、今までが95%を推奨しているのに、今度は80%でいいのかなということの整合性がとれないと、まずいのではないかと思っているのです。
○安井環境改善室長 具体的な御説明をさせていただきますと、まず、資料の1-5ですね、文献がありまして、こちらで、個人ばく露測定によって、どれぐらいの要求防護係数が必要かというのを3ページの(7)に表がございます。こちらにつきましては、要求防護係数が1を超えているというのが、ほとんどになってくるわけです。また飛びますけれども、資料の1-7というのがございますが、こちらの4ページに、表の1というのがございます。こちらは、ろ過式のマスクの指定防護係数を定める形で書いてございますけれども、例えば溶接防護用具に使われているのは、半面マスクですが、これは、99.9%のフィルターで、やっと防護係数10にしかならないんですね。95%にしたら6.7に落ちてしまうということなので、80%にすると、もっと、さらに低くなってくるわけなので、80%で現実使えるような溶接現場というのは、ないんじゃないかと考えております。
  現実問題としては、この99.9%のマスクじゃないともたないという会社も多くて、むしろ、99.9%より厳しい結果に、多分なると考えております。この場合はPAPRです。もともと、PAPRじゃないともたない現場も、かなりございますので、そういった今御指摘のような個別の事案は、多分ないのではないかと思います。
○名古屋委員 でも、しつこくて申し訳ないんだけども、本当に、溶接現場の現状を把握するための溶接ヒュームの測定をしていって、改善していって、もう一つ改善の確認のための測定をして、その結果に対してマスクを選定する。本当に中小・零細では、この手順に従って2回測定することは、確かに、健康を考えたら、それは一番理想的なことなのだけども、本当に、この測定を2回必ずやらないといけないというのはかわいそうだなと思うのです。だったら、1回目の測定のところは抜かして、せめて、マスクの、要するに④のところの測定をしていって、そこでマスクの判定をさせるとか、緩くしてあげるという措置はできないのですか。要するに労働者の健康を確保するために、一番最初の測定がなくても、4番目の測定でマスクを選定できるわけだから、労働者にとって、健康は確保できるわけですよね。要するに、結構、お金かかると思うんです、測定を2回やらせるという形、今まで溶接現場で余りなかった測定を2回やらせるという、中小・零細の中で、現状把握のためのを測定させて改善しなさいよと。改善確認のための測定をもう一回やりますよ。それに応じて、マスクを選定させましょうという、あまりにも酷じゃないかなと思う。だったら、せめて、2番目の測定はなくして、3番目、4番目の測定だけでマスクがちゃんと合っているかどうかを見てあげるというような優しさがあってもいいんじゃないかなと思うんですよね。作業にあった合ったマスクが選定され健康影響の無いことが担保した中で緩くすることもあっていいんじゃないかなと、私は思うんですが、これは逆に皆さんに聞いてほしいんですよね。私だけの意見じゃないと。私だけの意見だった場合は、これはしようがないから取り下げますけども、委員の皆さんだって、それぞれ意見を持っていると思います。ちゃんと聞いてもらって。やっぱり測定は2回しなければいけないという意見が多かったら、それはしようがないなと、私は思いますよ。
○小野座長 すみません、私の理解では、要するに、工学的対策のための測定はないのではないかという理解なんですけれども。要するに工学的対策は望ましいけれども、それが難しそうだからマスクにするということで、工学的対策のための、いわゆる一般的な粉じん則や何かのときに、測定をして、その結果に合うように工学的対策をとるという手段を要求しないためにマスクのための個人ばく露測定をするという理解をしていました。実際、どうなるのかというのを改めて御説明いただけますとありがたいと思います。
○安井環境改善室長 今回のものにつきましては、いわゆる管理区分をして、第3管理区分になれば、それは第2管理区分に引き下げろと、そういった画一的な規制はしないということは申し上げたとおりですが、作業環境改善は一切しないでいいというところまでは考えていないということです。
○小野座長 しないでいいのではなくて、そのための測定及び評価が必要かどうかということ。改善は、できればしていただくのはいいと思うんですけれども、一般的には、作業環境評価をしてから、それに従って対策をとりますよね。ですから、その対策をとらないのに環境濃度を測定し、マスクをするために個人ばく露も測定しという、両方することを要求するのか、ということですよね。そこのところが、皆さん、気になるところだと思うんですけれども。評価はしないけれども、測定だけはしてくれということでしょうか、第1段階のほうは。
○安井環境改善室長 どう説明していいのか、まず第1点として、作業環境測定法に基づく作業環境は、作業測定は行いません。それが、まず第1点です。それですので……。
○小野座長 いわゆる作業環境測定は行わない。
○安井環境改善室長 管理区分は行わないと。
○小野座長 はい。
○安井環境改善室長 もう一つの御質問の点ですけども、まず、個人サンプリングによる測定は行いますけれども、その結果を踏まえた環境改善というのは、一応、求める予定にしております。
  ただし、それが現状のような、例えば第3管理区分であれば、第2管理区分に必ずしなきゃいけないというような厳しいものではなくて、できる限りの改善をしてくださいということを、まず、この先ほどでいうと、10ページの③ですね、空気中の溶接ヒュームの濃度の測定結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置は講じていただく、これは全体換気ですけども、やっていただくと。
  それをやっても、十分な改善ができないと思われる事業所が7割ぐらいなんですけども、そういった場合については、やむを得ないのでマスクで担保するということで、もう一回測定していただいた結果で、マスクの等級を決めていただくと、そういった形になっています。ハイブリッドのような形になっています。
  このやり方は、実はトンネル粉じん作業でやっているものと同じでして、トンネルも、一応測定して、その結果を踏まえて、換気装置などを直していただいて、もう一回はかってくださいというのは、現在もやっておりまして、それで、だめな場合はマスクに頼るしかないので、マスクでやりますということになっております。そういった従来の作業環境管理の管理区分1、2、3というものに、どうしてもはまらないものについて、できるだけの環境改善を図りつつ、どうしようもない場合はマスクで担保するというような形のものを、今回も踏襲したという形です。
○名古屋委員 いいですか。もう一点聞くと、インジウムのときは違いますよね。改善するのではなくて、測定して、その測定結果に応じたマスクを選定しなさいとなっていますよね、インジウムのときは。改善するわけじゃなくて。インジウムと溶接とで何が違うのですか。改善しようとも何も書いてないと思うのです。溶接だけ改善した結果に応じてマスクを選びなさい。要するに、インジウムと溶接と何が違って、こういう結果をしなくちゃいけないのかという理由がよくわからない。
○安井環境改善室長 よろしいでしょうか。
  また、先ほど、資料の1-5に戻っていくわけですが、資料1-5の2ページ目に、実際に管理濃度を、管理区分を仮にしてみたらどうなのかというのがございます。図の3-2ですね、2ページ目の(2)の図の3-2ですが、非常に大きな割合で管理区分3となってしまうわけですが、一定の割合で管理1がございます。つまり、作業環境改善は可能な溶接はございます。インジウムの場合は、もともと管理濃度が定められないぐらい非常に低いので、インジウムとの違いはこういった点がございます。
○小野座長 個人ばく露測定で作業環境評価ができるようになりますよね、今後。そうした場合には、個人ばく露測定の数値、全く同じ時間帯でのサンプリングではないと思いますけれども、それを活用して作業環境の測定と、マスクのための測定を兼用するということは可能でしょうか。
○安井環境改善室長 測定を兼用するというのは、いわゆるサンプリング技術としては可能だと思いますけども、ただ、その後の結果の評価が全然違いますので、もし作業環境測定ということで、測定値で多分、5点以上とっていただいて、統計処理についてすることになると思いますので、全く、現状のやり方……。
○小野座長 いや、ですから、その5点以上の測定というのをここで求めているんですか。
○安井環境改善室長 求めておりません。
○小野座長 ですよね。
○安井環境改善室長 はい。ですので、作業環境測定はできないということになります。評価ができない。
○小野座長 評価は、だから、評価できないもののために一生懸命はかるということの意義を、もう一度ご説明いただけますか。
○安井環境改善室長 作業環境測定という枠組みと、いわゆる一般的な作業環境の管理を分けていただきたいと思います。作業環境測定というのはものすごくリジットな、がちっとした形、管理区分1、2、3という形になりますが、今回の規制では、それはやらないということです。今回の作業環境の管理は、一定程度できるだけ頑張ろうと。先ほど言ったように、第1管理区分もあるわけですから、そういったもので、個人サンプリングという測定を使って、その値を使って、作業環境の改善にも生かそうというような意図でやっております。
○小野座長 それは妨げないということですか。それとも義務ですか。
○安井環境改善室長 そうです。できるだけやって、表現上は測定結果に応じて、換気風量の設定等の改善を行わなければならないとなっておりますけども、基準を意味示しておりませんで、例えば第2管理区分にしなさいとかですね。このため、事実上、できるだけ範囲でやってくださいということにはなりますが、一応、表現上は「なければならない」という義務規定になっています。
○小野座長 はい。
○名古屋委 いや、申し訳ないのだけど、第1管理区分がありますよ、これだけありますよ。溶接作業というのは、よく見てくれるとわかるのだけども、作業によって、何もしなくたって、第1管理区分はあるんですよ、それは幾らでも。だから、第2管理区分の現場があって、それを対策したら第1管理区分になった事業所があるのだったら、それは理解できるのだけども、第2管理区分が幾つあるから、対策をとると、第1管理区分に移りますよという理由にはならないんですよ。
  知りたいのは、第2管理区分のところをどう対策したら、第1管理区分になって、それが何%あるかでいいんですよ。そのためのデータが何も出てないと、私は思っているわけです。
○安井環境改善室長 資料の1-5の(2)ですけども、これは、業種別に分かれておりまして、例えば、機械部品製造とか建設機械部品、それから造船、合計で、大分数字が違うというのは、おわかりいただけると思います。例えば、造船所のものは、まず天井が高いというのもあるのですけども、かなりポータブルファンなどを使って、作業環境管理をしているから低いという認識をしております。機械部品製造などはなぜ高いかというと、どうしても、これは狭いところでやっているケースがあったりとか、作業環境改善が難しいからというふうに認識をしております。造船は、いわゆるでっかい扇風機などを使えば、確実に濃度が下がりますので、環境改善が不可能だという認識はしておりません。
○小野座長 申し訳ございません。ちょっと時間が押しておりますので、こういう議論があったということと、運用上でどういう形にするか、説明会等、これからもあるかと思いますので、そういうときに御対応いただけるのかなと思います。保利委員から関連する内容だと思いますけれども。
○保利委員 局排で改善ができないということですが、できるところは、確かにあります。実際、溶接作業で局排を設置しているところもあるんです。だから、局排が全くできないということを最初から決めてしまうのは、どうかなというふうに思って。それで、資料1の9ページですか、(4)の①で、最初から全体換気装置のことが書かれているんですけれど、以前私が調査した作業場で局排を設置していたところがあり、そこは、非常に環境が良かったです.そのようなところが実際にあります。
  ですから、最初から局排は設置できないというふうに判断してしまうんじゃなくて、選択肢として入れるべきだと思います、局排を設置する場合、捕捉面をどこにとるかということが重要になりますが、溶接面に直接影響がないところに捕捉面をとることができれば、局排が可能なところはあるんですね。作業環境改善をしっかりするのが大事だと思いますので、局排が全くこれ抜けていますけど、作業環境対策の中に入れてもらったほうがいいんじゃないかと思うんですね。実際にできるかどうかは別として、できるところは、そういう対策も可能だというふうに思います。
○小野座長 櫻井委員、お願いいたします。
○櫻井委員 全く同じことなんですけど、資料1の10ページの※1のところ、「『同等以上の措置』には、プッシュプル型換気装置が含まれる」と書いてあるんですけど、局所排気装置及びプッシュプル型換気装置が含まれるという意味なのかどうなのか、ちょっとわかりにくいです。多分、これ意識としては、局排はあえて除いているのでしょうか。
○保利委員 多分、ブッシュブルは風速が0.2 m/sでいいのでということがあって、局排だと制御風速が1 m/s以上必要なので、風速を0.5 m/s未満にするのは無理だからということがあると思うんですね。だけど、最初から、そう決めてしまう必要もないのかなと思うんですけど。
○安井環境改善室長 御指摘のとおりですので、プッシュプル型をあえて入れたのは、先ほど、まさに御説明があったとおり、風速が小さいものですから、これは、確実にできるという思いがあったので入れましたが、御指摘のとおり、局排ができる場合もあると思いますので、こちらは解釈通達の中で、局排も入れるようにしたいと思います。
○小野座長 ありがとうございます。
  ほかに御意見いかがですか。
  田中委員、お願いいたします。
○田中委員 先ほど、名古屋先生から、インジウムの事例が発表されましたけども、インジウムも、まさしく、先ほどの許容すべき濃度というのを先に決めたというか、基準値を決めました、大変低い数値を決めました。それに見合った形の中で、その防護係数を踏まえた形でマスクを選定する基準を決めていきました。
  でも、作業現場、今の現状から許容すべき濃度まで下げるというのは、到底難しいという形の中では、今、保利委員あるいは櫻井委員、名古屋先生、環境改善していかなきゃ対応できないんですよ。我々、定期的に測定をやってきましたけども。そういう意味では、測定をどこか一つに決めた形の中で、それで保護具を選定していくという形になる。その中に、やっぱり、環境改善を必ずやっていかないと対応できないんだという、その意味づけの中で、何とか指導の内容ができるというふうに思っているんですけども。
○小野座長 はい、ありがとうございます。
  藤間委員、お願いします。
○藤間委員 現実の場面からすると、やはり、測定はやるべきことをやってから、一回測定するということになるんじゃないかと思うんですね。そういう意味では、まず改善、あるべきところまで持っていけるところまでいって、それで測定して、あとは防護係数を決めるという流れに、こう書いてあっても、多分、現実はなると思いますので、あまり問題にはならないんじゃないかというふうに考えています。
○小野座長 ありがとうございます。
  ほかにはいかがでしょうか。
(なし)
○小野座長 では、少し時間が押しておりますけれども、では、次の議題に移りたいと思います。
  続きまして、検討結果の第4、今後のスケジュール等について、説明をお願いいたします。
○安井環境改善室長 資料1の14ページです。第4、今後のスケジュールということですが、まず、法令改正のスケジュールです。
  まず、政令です。この溶接ヒュームを特化物にする、あるいは塩基性酸化マンガンを特化物にすることは政令改正です。省令につきましては、先ほどの個人サンプリングなどをやって、ちゃんとマスクを選んでくださいねというのは省令になります。
  それから、マンガンの管理濃度の引き下げにつきましては、作業環境評価基準改正ということになりますが、この一連のものにつきましては、令和2年4月から5月、今年の4月から5月に公布や告示を目処に手続を進めたいと考えてございます。
  (2)の個人サンプリングの測定及び保護具の選定に関連する大臣告示につきましては、フィットファクターをどうするかとか、あるいは指定防護係数をどうするかということにつきまして、JISを定めておりますので、その改正の検討状況を踏まえるということで、若干遅れて7月ごろの告示を目処に手続を進めたいと考えてございます。
  それから、2番の施行・適用期日ですけれども、いずれも令和3年4月1日を予定してございます。
  ただし、3番の経過措置を設ける予定でして、まず、(1)改正政令につきましては、作業主任者に関する改正規定につきましては、施行後1年程度猶予するという予定にしてございます。こちらの溶接を行っている事業所が1万程度あるということがございますので、相当な数の作業主任者の養成が必要ということですので、1年間猶予を予定にしてございます。
  それから、溶接ヒュームの空気中濃度の測定及びその結果に基づく保護具の選択につきましても1年程度猶予するという予定です。こちらにつきましても、個人サンプリングの測定できる測定士などの養成を今行っているところですので、それを踏まえて、1年間程度の猶予をしたいというふうに考えてございます。
  また、施行日における適用につきましては、若干の必要な経過措置を設ける予定です。
  説明は以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
  今のスケジュールについての御説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。
(なし)
○小野座長 ないようですので、これで本日の議論を終了ということにしたいと思います。どうも御議論ありがとうございました。
  一応、御意見は出そろったというふうに考えまして、今日の御意見を踏まえまして、事務局のほうから報告書(案)の改訂版をつくっていただくことになると思います。その後、委員の皆様にも御覧いただきますが、最終的なものにつきましては、座長のほうで確認をさせていただき、それで一任ということで進めさせていただいて、構いませんでしょうか。
(異議なし)
○小野座長 では、皆さんの御意見も、もちろん頂戴いたしますけれども、最終的には、私が確認して報告書を、最終版を作成するということになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。報告書が調整できましたら、早い時期に公表していただくということになると思います。それでよろしいでしょうか。
(はい)
○小野座長 では、そろそろ時間が参りましたので、本日の検討会は、この辺りで閉会させていただきたいと思います。
  最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○安井環境改善室長 各委員におかれましては、精力的な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
  今後の予定ですけれども、本日御議論いただきました報告書(案)につきまして、いただいた御意見を踏まえて、調整の上、もう一度お配りさせていただきますけれども、その上で早い時期に報告書という形で公表したいと考えております。
  また、次回検討会の日程ですが、2月25日を仮押さえということでさせていただいておりますが、こちらにつきましては、リリースさせていただきます。
  また、次回開催につきましては、別途調整をさせていただきたいということで、よろしくお願いいたします。
  以上で、本日の措置検討会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。