第5回社会福祉法人会計基準検討会 議事録

日時

令和2年1月28日(火) 18:00~20:00

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール3A(3階)

出席者

構成員(敬称略・五十音順)

 ・秋山(あきやま) (しゅう)一郎(いちろう)  日本公認会計士協会常務理事
 ・(おか) (しょう)()    岡庄吾公認会計士事務所代表
 ・亀岡かめおか) 保夫(やすお)    大光監査法人理事長
 ・(しば)  (たけし)    日本公認会計士協会前常務理事
 ・中村(なかむら) (あつし)     日本公認会計士協会福祉専門委員会委員
 ・松前(まつまえ) ()里子(りこ)   日本公認会計士協会研究員

議題

(1)社会福祉法人における組織再編に関する会計処理について
(2)その他

議事

 
○高坂課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「社会福祉法人会計基準検討会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、また、本日は大変お足元の悪い中、お集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、構成員の交代について御紹介いたします。
林光行構成員が御退任され、岡庄吾公認会計士事務所代表の岡庄吾構成員に御就任いただきましたので、御紹介いたします。
○岡構成員 初めまして、岡でございます。
林先生のかわりということで非常に責任を感じておりますけれども、何とか務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○高坂福祉基盤課長補佐 ありがとうございます。
本日は、馬場構成員及び宮内構成員から御欠席の連絡をいただいております。
また、谷内社会・援護局長は公務のため途中退席いたしますほか、高橋総務課長が公務のために欠席となっております。
続きまして、資料の確認でございます。
本日は、ペーパーレスで実施することとしており、お手元のタブレットにて、資料の御説明をさせていただきます。
それでは、ここからの議事運営について、柴座長にお願いしたいと存じます。
カメラの方々は、これで御退室ください。
(冒頭カメラ撮り終了)
○柴座長 それでは、早速ですが議題に入ります。
初めに、社会福祉法人における事業譲渡に関する会計処理について、別途、調査研究事業で検討している「制度上の論点」とあわせて、事務局より説明をお願いいたします。
○成瀬福祉基盤課長補佐 それでは、事務局より御説明いたします。
まず、「制度上の論点」ということで、参考資料1をご覧ください。
現在、みずほ情報総研株式会社で国庫補助事業を活用しまして調査研究を実施しています。参考資料1のタイトルにありますように「社会福祉法人の事業展開等に関する調査研究事業」ということで、現在検討を進めているところです。
この調査研究では、2つの成果物をつくるということで、1ページ目にありますのが「社会福祉法人の事業展開にかかるガイドライン(仮称)」、これは経営者向けに。2ページ目が「合併、事業譲渡等におけるマニュアル(仮称)」ということで、これは実務担当者向けに合併、事業譲渡等の参考となるものをつくるということで、アウトラインということで項目をお示ししています。
1ページで申し上げますと、社会福祉法人を取り巻く現状、2040年の将来的な課題といったものに対して、3番目にあります法人の事業展開のいろいろな類型、それとこの調査研究の中でアンケート調査を実施していますので、その中から意識調査の集計結果を御紹介していく。そして事業展開の意義と効果、これは法人や利用者、職員などさまざまな視点から事業譲渡、合併等の効果、注意すべき点は何かというものをまとめていく。最後に合併・事業譲渡等の検討の視点と留意点ということで、検討に当たっての留意点等も多々ありますので、それらを整理していく。
2ページ目については、構図としては似たような形になりますが、2番目に検討のポイント、これは目的の明確化であったり、事業譲渡等を行う場合の相手法人の評価、財務諸表の分析等々です。3番目で、こちらも同じようにアンケート調査の集計結果なども入れ込みながら、4番目が合併の手引きと留意事項、5番目が事業譲渡等の手引きと留意事項という構成にしています。
こちらの実務担当者向けについては、少し細かく記載をしていくことになろうかと思います。4番目に小さな※で書いていますが、事前協議、理事会等でどのように進めていくか、また合併協議会といったものから所轄庁への申請や債権者保護手続等、細かい部分でそれぞれ記載をしていければと思っております。
3ページ、4ページ目がそれぞれガイドライン、マニュアルの中で書いていこうとしている留意点を整理しているものです。
例えば、3ページの一番上ですと行政への相談ということで、これは当然のことですが、検討段階から社会福祉法人制度の所轄庁、さらには現在実施している事業の所管課にも予め相談をしていくというものです。
合併時における財産の取り扱いということで、土地でありますと寄附にかかる非課税承認といったもの、租税特別措置法の適用を受けているような場合、また、建物ですと、国庫補助金で建てている場合が多くあろうかと思います。そのような場合の財産所分の手続。
法人外流出ということで、実例で挙げておりますが営利法人でいうところのいわゆる合併交付金といったものはできませんと。また、廃止される法人の役員報酬方針に関する手続をしっかりしていくということも盛り込んでいく。
あとは、利用者への事前説明であったり、職員への事前説明、さらには地域住民への事前説明。
また、それ以外の各種手続、各法の手続であったり社会福祉法上の手続といったものがさまざまありますので、これらを整理していく。
4ページ目については、事業譲渡等の留意点です。同じような内容になっていますが、2つ目の○で、譲り渡しということになりますので、今、行っている事業を誰に譲渡するかです。事業をそのまま引き継いで、継続していくことが大事ですので、相手先の法人がその事業を行えるかどうかは当然事前に確認をする必要がある。社会福祉事業については事業によって経営主体が定められていますので、その事業の所管課に事前に相談する。
例示を書いていますが、御承知のとおり第一種社会福祉事業については国・地方公共団体、そして社会福祉法人しかできない。第二種社会福祉事業については、社会福祉法人以外にもNPOや株式会社なども実施することが可能となっていますので、現在の事業を相手先が実施できるかどうかをしっかり確認をしていく必要がある。
また、その下の○ですが、法人外流出の防止ということで、実際、譲渡の際の価格が法人外流出ととられないように、客観的に説明できる必要があるのではないかというご意見があります。
その下、一番下の手続のところも合併と同じように、各法で定める例えば廃止の手続であったり、あとは新規に開設する場合になりますので、このような各種の手続を漏れなくやっていく。その際の留意点をまとめていくという形になっています。
このガイドライン、マニュアルについては、以前御紹介したかと思いますが、平成20年度に「社会福祉法人における合併・事業譲渡・法人間連携の手引き」というものがつくられております。その間、社会福祉法人制度改革等もありましたので、そういった時代の変化を取り込みながら、新しい形にしていければということで、現在、調査研究が行われているところです。
こちらの検討会が先週22日に行われまして、この資料に基づいて、委員の皆様で御議論いただいたところです。いろいろな御意見がある中で、利用者の視点から、事業を継続していくことが一番大事ということで、先ほども御紹介しましたが、各事業については実施主体が各法でしっかり定められていること。また、社会福祉法人の公益性、非営利性を損なうことのないようにといった御意見がございまして、事業譲渡自体が制度的に行えないというところまでは、御意見としてはありませんでした。
今、御紹介しました参考資料ですが、先週の検討会の場で出されたもので、今、御紹介しました意見のほかにもいろいろ御意見がありましたので、今後、みずほ情報総研株式会社で意見等を踏まえながら修正の上、検討会の場で諮っていくという流れになっています。
○横溝専門官 専門官の横溝でございます。
それでは、資料1の説明に移らせていただきます。
資料1ですが、事業の譲り渡し側の会計上の個別論点をスライド1枚にまとめております。
課題が記載されておりますけれども、上のほうが譲り渡しの資産と負債の純額と受け取り対価の差額という課題でありまして、もう一つが基本金の処理と、大きく2つあります。
上の段の受け取り対価の差額は、固定資産や有価証券と同様に、差額について売却損益で処理するというのが基本の路線であろうと考えております。
具体例で、有償譲渡と無償譲渡で分けておりますけれども、有償譲渡の場合は基本的に国庫補助金が精算されるということで分けておりまして、無償譲渡のほうは、法人外流出に該当しないと判断されるためには、合理的な説明が必要です。無償でありますので、当然説明が必要になってくる。ただ、こちらは有償譲渡でありましても、同じように対価については説明が必要であると考えられます。
下の段の基本金の処理でございますが、拠点に基本金が計上されている場合、その処遇が問題になるということでございます。こちら会計処理の案としては、基本金を取り崩すという案を提案させていただきます。
基本金の取り扱いについては、局長通知に社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱いの「12 基本金の取崩しについて」に記載がありまして、取り崩す場合の要件でございますが「社会福祉法人が事業の一部又は全部を廃止し、かつ基本金組み入れの対象となった基本財産又はその他の固定資産が廃棄され、又は売却された場合」と書いています。事業の譲り渡しの場合には、まさにこの事業の一部の廃止と資産の売却がセットで行われていると考えられますので、基本金取り崩しの要件に該当すると考えられまして、基本金を取り崩すべきであるというような考えで提案させていただいております。
資料1については以上でございます。
○柴座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について質問あるいは御意見のある方は、挙手の上、発言をお願いします。
岡構成員、よろしくお願いします。
○岡構成員 岡でございます。
ちょっと確認というか、私の認識不足かもしれないのですけれども、確かに基本金を取り崩す必要はあると思います。理屈はこのとおりだと思うのですけれども、基本金は基本的に事業というか基本財産にひもづいているのがほとんどだと思うのです。でも、基本金は拠点単位で計上されている。そのときに、譲渡する事業というのが拠点丸々そのまま譲渡であれば、当然基本金を全部取り崩すということでいいと思うのですが、その拠点でやっている事業のうちの一部ということがもしあったならば、その場合、基本金のどの部分が譲渡に対応する部分なのかというのは、どうやって計算というか取り崩す金額を考えればいいのかなというのは、私の中にはイメージがないのですけれども、どうすべきなのですか。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 例えば、基本金を計上したときの組み入れの対処となった基本財産というのは、基本金の台帳かなにかで管理されている。そこは前提として考えておりまして、その上で実質的に判断していくしかないのだろうとは考えております。
事業がなくなった場合に、基本金だけ残り続けるというのも非常に問題であるという認識があります。
例えば、実際にその事業が別の場所に移転して実施されている、その事業が継続しているということであれば、基本金は残り続けるのかなとは思いますけれども、今回事業の譲渡ということで、組織がそのままどこか別の法人に移転するということになりますので、一部のときには少し慎重な判断が必要なのですけれども、そのようなイメージでございます。
○柴座長 よろしいですか。
○岡構成員 はい。
○柴座長 ほかの方。
松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 今の基本金のことで教えていただきたいのですが、事業譲渡の対象となった資産と基本金が明確である場合に対象になるのか、そうでないのかというのは、目安とかなにかあるのでしょうか。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 取り崩しの要件が決まっておりますので、そこのところについては法人の中で記録を残しておくというのが前提にはなっておるはずですけれども、かなり古い話であったり、また平成12年に特例で計算されたものもありますので、そこはつかまえにくいというのは事実かなと思います。指導監査でも、そこの対応関係は明確に、簡単に説明できる法人ばかりとは限らないというのは認識しておるところです。
基本金については、各法人でどこの事業なのか、どこの資産なのかという記録は絶対に必要になってくると認識しておりますので、そこを前提にして、わからないというパターンですと、基本金の会計処理にそもそも対応できていないという状況になっているのかなと考えます。
○柴座長 よろしいですか。
○松前構成員 はい。
○柴座長 ほかに。
亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ありがとうございました。
先ほど横溝さんのおっしゃった内容で私はいいかと思っておりますけれども、平成12年に旧会計基準や指導指針等の新しい会計処理方法が示されたときに、新しい会計処理方法に移行する手続きの段階で基本金の金額とそれに対応する固定資産の金額が確定されたと思います。
先ほどおっしゃった新しい会計処理方法に移行する手続きにおいて課長通知で示された簡便的な特例の方法も含めて、基本金の金額及びそれに対応する固定資産の金額が確定されたと思います。そのうえでその時点から固定資産については減価償却が開始されて毎年、償却費相当額の固定資産が減額になっていくのですが、基本金は設定時の金額のままで計上されていますので、純資産の部では減価償却費累計額相当額だけ次期繰越活動増減差額が減額されています。基本金はどの固定資産に対応しているかは判りますので譲渡した固定資産に対応する基本金相当額を取崩せばよいと思います。そのことにより、相当額の次期繰越活動増減差額の減額部分が解消されることになると思います。
基本金があるかないかによって、資産の側の金額に影響はありませんが、純資産の側の金額に影響がありますので、結果的に、先ほどおっしゃったようなやり方でよろしいのかなと思います。
○柴座長 中村構成員、どうぞ。
○中村構成員 私も基本的にその考え方で同じなのですが、最初に岡構成員がおっしゃったこともあり得ると思いまして、具体的には、介護施設でショート、デイ、あるいはホームヘルプをやっている場合に、ホームヘルプだけを譲渡した、あるいは逆に本体のショート、デイを譲渡して、ホームヘルプだけは別の場所で残すとかいうケースが考えられます。
そういう場合は、確かに基本金を一括して計算している可能性があるので、すぐには算出できない可能性はありますが、それは今、亀岡構成員がおっしゃったように、少なくとも12年以降、あるいは12年より前でも、12年では一回けりをつけているはずですから、それをもとに、あとは資産金額でもう一度割り戻すとか、補助金を除いた資産総額で割り戻すといった方法で、何らかの合理的な方法はできるのではないかと思います。
○柴座長 よろしいですか。
私から御質問させていただきたいのですけれども、会計処理については特にないのですが、調査事業のほうなのですけれども、これはどういった構成員のメンバーで構成されているのかというのと、いつごろできるのかということと、成果物は通知とかなにかいろいろなたてつけがあると思うのですが、どういった形でお出しする予定なのかということを教えていただけると助かります。
といいますのも、我々の会計検討会はかなりこれに寄るところが大きいので、その辺を明確にしていただければと思います。
お願いします。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
調査研究事業でございますので、先ほど事務局から説明させていただきましたとおり、民間のシンクタンク、具体的にはみずほ情報総研が主体となってやっていらっしゃる事業、こちらのほうは補助を出しているということなので、あちらが主体の形になっています。
その形の中で今、調査研究をやっておりまして、参考資料1の説明がほぼこれで行くような形であったように思うのですが、これはあくまでもそのときに出した資料でして、これについては、かなりかんかんがくがくの御意見がございました。そういうことで、必ずしもこのとおりになるとは限らないということなので、一応、今の検討の資料として、こういう形のものについてきょうはお示しした形になります。きょうの説明のポイントは、事業譲渡ということについて絶対にだめだとか、法律的に難しいとか、そういう御意見がこの研究事業では特段なかったということでございます。
構成員は、調査研究事業ですので、実際の研究の有識者の方々が集まっていらっしゃいますけれども、具体的には弁護士の先生、公認会計士の先生、あとは実際に現場でやっていらっしゃる経営の方々にも御参加いただいています。経営の中には、種別を超えてやっていらっしゃる方もいらっしゃいますし、いわゆる障害や高齢、保育などそれぞれの代表の方、あとは、実際に所轄で合併、事業譲渡を含めて法人監査をやっていただいている自治体の方々にも入っていただいています。そういった方々に入っていただいて、今、有識者というかいろいろな識見をもとに、御意見をいただいている形になっております。
今年度の調査研究事業ですので、今年度中にまとめていただきたいと思っております。それを踏まえまして、できれば我々としましては、その合併、事業譲渡のようなガイドラインを今年度中につくるというように閣議決定でなっておりますので、それを踏まえまして、この調査研究事業のアウトプットを活用して、通知等の形になるかどうかは今後の検討ですが、何かしらこういう形でオーソライズさせていただきたいと思っております。
いずれにしても、今年度中の研究事業で、お示ししたこのガイドライン、マニュアルの案はあくまでもその当時の資料で、これに対してかなり厳しい御意見があったものですから、このとおりになるかどうかは今後、調査研究の進展によるかと思います。
以上です。
○柴座長 ありがとうございます。
それでは、次に進めさせていただきます。
前回の検討会で事務局から提出された社福の組織再編に関する会計処理について、前回の議論を踏まえた再提出版についての御説明をお願いいたします。
○横溝専門官 資料2につきまして、説明をさせていただきます。
資料2と参考資料2という形で、資料が2つに分かれておりますけれども、資料2は前回の第4回に出した資料の修正版という形になっておりまして、資料の並びもそのとおりに並んでおります。
参考資料2というのが、取得における個別論点以降のものを、償却について含めて、組みかえてつくられたものでございまして、説明の中でスライドが重複するものでございますから、資料2の14ページから参考資料2の説明に移らせていただきたいと思います。
修正された部分を中心に説明をさせていただきたいと思います。
まず、5ページ目は、事業の譲り渡し等の前提の事項でございますが、中身につきまして、事業の譲り受けの部分だけの前提の部分がございましたので、項目は変わっておりませんけれども、カテゴリーの追加と組みかえを行っております。
7ページ目は、事業の譲り受けのところでございますが、理事者という表現をとっておりましたけれども、こちらは経営者に変更させていただいております。
9ページ目は、修正持分プーリング法と持分プーリング法についてのスライドになります。第4回目までの資料につきまして、上の段に会計処理と整合する経済的実態という部分がございましたけれども、こちらはカットしまして、結合組織の会計処理、被結合組織の会計処理ということで、そこにフォーカスした形に表を修正しております。
また、表現につきまして見直しをしておるところでございまして、前回、修正持分プーリング法と持分プーリング法の定義ということで御指摘いただきましたので、こちらについて説明させていただきます。
まず、持分プーリング法の定義につきまして、結合の時点という時点についてなのですけれども、平成15年10月31日に公表されております企業結合に係る会計基準において、「3 持分の結合の会計処理」のところに持分プーリング法の内容が記述されております。その中で、企業結合年度の連結財務諸表についての項目において、「企業結合年度においては、期首に企業結合が行われたとみなして連結財務諸表を作成する」と記載されています。
また、測定につきまして、同じく企業結合に係る会計基準の「3 持分の結合の会計処理」、持分プーリング法の中の「資産、負債及び資本の引継ぎ」の項目に「会計処理方法の統一及び企業結合前の取引等の消去に伴う修正を行う場合を除き、すべての結合当事企業の資産、負債及び資本の適正な帳簿価額を引継がなければならない」と記載されています。これらの結合の時点と測定の記載をあわせまして、資料2における持分プーリング法の定義を、被結合組織の資産及び負債について、期首の適正な帳簿価額を引き継ぐ、と表現しております。
一方、修正持分プーリング法の定義でございます。修正持分プーリング法というのは、国際公会計基準(IPSAS)の40号、公的部門の結合における15項に、英語でですけれども「modified pooling of interests method of accounting」という言葉がありまして、こちらを訳したものでございます。
修正持分プーリング法という言葉は、日本公認会計士協会の公表物にも使用されているところでございます。
修正持分プーリング法の結合の時点については、IPSAS40号の19~21項に、結合日であることが規定されています。また、測定については、同じく40号の26~30項に、結合日時点の帳簿価額と規定されておるところでございます。
しかし、修正持分プーリング法の内容というのは、IPSAS40号の15~57項まで幅広く詳細に記載されておりまして、そのまま定義として採用すると難解で、記述量も非常に多くなると考えました。そこで、修正持分プーリング法の定義としまして、資料2の持分プーリング法の定義を参考にしたほうがよいのではないかと考えたところでございます。
以上の理由から、資料2における修正持分プーリング法の定義を、被結合組織の資産及び負債について、結合時の適正な帳簿価額を引き継ぐという表現にしておる次第でございます。
9ページの説明については以上でございます。
11ページ目は、統合における会計上の個別論点になります。こちらは確認中ということでペンディングになってございましたけれども、国庫補助金等特別積立金の引き継ぎになります。
基本的に合併が想定されますので、存続法人または新設法人が事業を引き継ぐ場合には、国庫補助金の精算がございませんので、そのまま引き継ぐ処理がよろしいのではないかと考えております。
また、下段のところ、存続法人または新設法人が事業を引き継がない場合、合併で丸ごと引き継いだけれども、一部の事業について、施設について閉鎖しましょうという判断になった場合には、当然引き受けた法人が返済するということになろうかと考えております。
こちらは会計処理というより、国庫補助金の処理に従ってたんたんと引き継ぐか精算されるかという状況ではないかと考えております。
13ページ目は、取得における原則的な会計処理の案でございます。修正持分プーリング法のほうは先ほどの表現に合わせております。パーチェス法のほうですが、被結合組織の資産及び負債について、結合時の公正な評価額を付すということでございます。
こちらも修正持分プーリング法と同様に公正な評価額を付すと、どの評価額を付すという形の表現をとっておりまして、企業会計のように取得原価を配分するとかそのようなアプローチではなくて、どの金額を付すのだという形の表現にしております。
14ページ目以降ですけれども、参考資料のほうで説明させていただきます。参考資料2をごらんください。左上に「修正後」と書いてあるものが第4回の資料でございまして、「新規」と書いてあるものが新しく追加されたスライドでございます。
1ページ目は、取得における会計上の個別論点でございますが、これも国庫補助金の話でございまして、無償の譲り受けが行われた場合に、精算がない場合がありますよということです。こちらも国庫補助金の取り扱いに従って、精算がなければ帳簿価額で引き継ぐということで提案させていただきます。
2ページ目は前回の資料でございますが、仮置きという形ではありましたけれども、支払った額と受け入れた資産の差額についてのれんという形で表現させていただきました。のれんという表現についても、一応論点ということでございまして、支払い超過差額と表現を直させていただいています。
3ページ目をごらんください。のれんのところを支払い超過差額として表現しておりますけれども、その性質は何だと。会計処理の案ということで3つありましたけれども、➀原則として無形資産とする。こちらはのれんとするというよりも資産に計上して、将来入ってくる収益と対応させるべきではないかという、そこが本質的なところと考えますので、無形資産と表現しております。
注で書いておりましたが、同じ社会福祉事業を実施している営利法人と同じ会計処理になるというメリットについては、本体の表のほうに入れております。
また、3番の発生時の費用とするところでございますが、前回、会計処理が簡便とだけ書いておりましたけれども、将来の収益の獲得または費用の削減に貢献しない支出であるとか、法人外に資金が流出しているなど、外観的には問題がありそうだと見えるかなということで、デメリットも追加しております。
4ページ目は新規のスライドになりまして、仮に無形資産とした場合に、この論点があるだろうということで3点挙げさせていただいています。
無形資産の名称でございますが、案としてはのれんを提案させていただきます。営利法人において「超過収益力」という説明がよく行われるかと思うのですけれども、非営利法人には合わないという御意見もあります。
一方で、のれんというのは一般的な表現でございまして、IPSASにおいてものれんが採用されておりますので、非営利法人に合った説明や定義づけができれば、のれんという表現でも十分よいのかなと考えておるところです。
2つ目ですが、無形資産の費用処理方法でございます。自己創設のれんの実質的な資産計上を防ぐため、規則的な償却を行う方法には一定の合理性があるのではないかと考えております。
期間については、限度を設けるべきではないかと考えます。50年とかになってしまうと超長期になりますので、それは問題があるかなと考えております。
一応、企業会計を参考に20年以内というように会計処理の案を出させていただいておりますけれども、この期間については御意見があるかなと考えております。
最後に、無形資産の減損処理になります。のれんというと、一般的な企業でいうとのれんの減損というすごく重要な論点になるのですが、非営利法人、社会福祉法人、公益法人などで、著しい時価の下落があった場合に減損するという処理が非営利法人においてはよく行われている。社会福祉法人も同様の状況でございます。有形固定資産の減損処理に合わせて考えると、無形資産には時価がございませんので、減損不要としてはどうかと考えております。
5ページ目は新規の表になりますが、会計処理のイメージを書かせていただいております。将来に入ってくるサービス活動に合わせて、費用を配分するというのが減価償却の考え方でございまして、それと同じ形になります。
例えば、建物を400で取得したら、耐用年数4年であれば100ずつ配分していきますと。今回、事業の価値も含めて600払ったということで、年間の償却費150が配分されるということで、減価償却と似たような性質であると考えられます。
また新しいスライドになりますが、6ページ目以降、取得時に支払いが下回る差額が生じる場合ということでございます。
不動産の時価等を計算すると、純額で500のものである施設を300で取得したようなケースでございます。この場合、貸し方側に差額が200出る。これをどうするかという論点が出てきます。
7ページ目、その論点の会計処理の案でございます。こちらは、前回のときは支払い超過のほうと合わせて➀から➂まで並べておりましたけれども、➀と➂は想定している会計処理の結果は同じになりますので、それを合わせて➀とさせていただいております。
会計処理の案としては、発生時の収益としてはどうかということでございます。
将来の事業の採算性や将来のリスクを加味した低廉の譲り受けの結果であると捉えられる。こちらは無形資産の場合と余り変わらない。それがプラスに生じたかマイナスに生じたかという事業の将来性と考えられると思います。
しかし、負債の定義というものがあると思いますけれども、債務額であったり、合理的な見積もり額を負債の額として計上するということになっておりまして、そういった性質ではございませんので、発生時の収益としてはどうか。こちらは企業会計でも同様の処理になっておりまして、発生時の収益として提案させていただいております。
8ページ目は、先ほどの無形資産の場合と同様で、図になりますけれども、こちらは特に収益を配分するということはしないということで、発生時に全額収益を認識するという図になっています。
資料の説明は以上でございます。
○宇野福祉基盤課長 補足ですけれども、専門官からの説明の関係で、資料2と参考資料2をなぜわざわざ分けて説明しているかというところが十分説明できていなかったと思うのですが、資料2は前回の修正ですので、そのときの修正を踏まえて直したものでございます。いろいろ御意見のある中で、のれんというものについて、社会福祉法人について認めていいのかどうかという御意見がございました。
そういう意味では、仮にのれんというものを考えた場合、償却と考えた場合の今回参考資料という形で御提示させていただいていますけれども、参考資料のほうはそういう前提の資料であるということで、御議論いただければと思っております。
以上です。
○柴座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御質問、御意見がありましたらよろしくお願いします。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 初めての参加なので、既に過去に議論していただいているのかもしれないのですけれども、1つ目は資料2の7ページ、論点2で、今回、理事者を経営者に変えていただいたという御説明をいただいたのですが、譲り受けのほうは経営者が変更されるためという表現になっているのですけれども、この表現でいくと吸収合併とか合併の場合は経営者は変わらないですか。経営者はかわると私は思うのですが、そことの整合がとれるのかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 おっしゃるとおり、事業の経営者ということで、かわる可能性はあるケースは当然想定されると考えております。その場合に、合併のほうも取得と判断していくのかという話は当然議論としてあるのかなと考えております。
原則としてつけるかつけないかというところにつながってくるのかなとは考えておりますけれども、そちらのほうを御議論いただければと考えております。
○柴座長 宇野課長、どうぞ。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございました。
ここのあたりについて、前回、理事者というのが会計学上の用語であるということで、理事者という言葉は本当に法令上とかこういうところで使えますかという話があったものですから、そこの言葉をより使いやすいようにしたのです。今、岡構成員から御指摘いただいたとおり、確かに合併のほうの経営者とのバランスがございますので、そこは工夫させていただいて、修正すべき点があれば検討させていただきたいと思っております。
○柴座長 基本的には、合併のほうは持分がないということが前提で、支払いの額とかはないのですよということと、事業譲渡はそれとちょっと違った考え方をしているので、おっしゃるとおり不整合が出ているのかなと思います。検討をお願いします。
ほかに。
亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 13ページ目の論点4-1は取得ですので事業譲渡の場合だと思うのですが、これはパーチェス法を採用してはどうかということで、この前提として第二種社会福祉事業のことを想定されていて、いわゆる社会福祉法人が社会福祉法人に事業譲渡するだけでは、場合によっては財団法人や株式会社という社会福祉法人以外の法人格に対して事業譲渡をすることも可能だから企業会計で適用されているパーチェス法を適用するとの御説明があったかと思います。
しかしながら、当然、社会福祉法人が社会福祉法人に事業譲渡することもあると思うのです。もちろんパーチェス法を基本に置きながらも、例えば社会福祉法人で共に老人施設と保育施設を経営しているA法人とB法人が、A法人が老人施設を、B法人が保育施設を、各々相手方に事業譲渡する、バーターすることにより、A法人は保育事業に特化して、B法人は高齢者事業に特化することができます。そうなると、形式的には当然A法人とB法人の事業が入れ替わるようには見えますけれども、やっている事業自体は継続するし、なおかつ両者にとって非常に合理的で無駄がなく、経営上もやりやすく本来目的を達成しやすい環境となることを考えたときに、社会福祉法人としての事業形態並びに事業の実態が変わらないで継続する場合には、パーチェス法というよりも、修正持分のプーリング法の方が会計上も実態を適切に表しているのではないのでしょうか。
パーチェス法というのが、例えば以前の検討会のときに事例説明があったような社会福祉法人の事業を医療法人に事業譲渡する場合や、実際にあるかどうかはわかりませんが、理論的にはあり得る株式会社に事業譲渡するというようなときには、受け入れる側の会計処理としてパーチェス法の適用はあると思うのですけれども、今、言ったような社会福祉法人同士の中でも、今後、統合ということも含めて、相互譲渡などもあると思うのです。むしろ社会福祉法人同士のほうがやりやすい部分もあり得ると思いますので、私はそういう場合においては、修正持分プーリング法も適用が可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○柴座長 課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 私のほうから考え方をお話しして、もしそごがあれば、また専門官から話をさせていただきます。
今、先生がおっしゃったようなことも含めての事業譲渡というか、そういう場合の考え方について、ふれがあるというところを考慮されたのが資料でいうところの7ページで、原則、合併のところは統合と判断するということに対して、事業譲渡は原則としてが入った。ですから、後ろのページでいうところの取得というのはどうしますかと言われたら、それはパーチェスですねと。統合と言ったら修正持分プーリングなのだけれども、では事情譲渡のときに取得なのか統合なのか、あとは取得なのかといったときに、前回ここで御議論いただいて、原則としてが必要ですよねという話があったという理解だったものですから、その原則としてがどこまでの範囲なのかどうかというのは、今の私の理解でよろしいのか、亀岡先生の御指摘の範囲なのか、それは余りにも緩過ぎるという話はあるかもしれませんけれども、恐らくここの判定基準のところでのふれなのかなとは理解しているところです。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
私もそれに近いのですけれども、なぜ今のようなお話をしたかというと、社会福祉法人であるA法人とB法人間で相互に事業譲渡する場合に、両法人全体で見た場合には事業内容、事業規模自体は何ら変化なく利用者や職員もそのままで継続されているにもかかわらず、事業譲渡はパーチェス法だからということで、時価評価に変えていくことを繰り返すと、場合によっては資産・負債のほとんどが簿価から時価に評価替えされていくことになります。それは本来の適切な資産・負債の評価といえるのでしょうか。少し違うのかなと思います。
相互譲渡を繰り返すうちに、場合によっては、ほとんど合併と変わらないような状況にまでなることもあると思います。合併自体は社会福祉法人同士だけということですから修正持分プーリング法を適用して簿価で引き継ぎ、事業譲渡は社会福祉法人以外の法人格とも可能なためにパーチェス法を適用して時価で引き継ぐ、場合によっては超過収益力等も検討するとすると、社会福祉法人同士で相互譲渡を繰り返すうちに、実質的に実態として相互譲渡の繰り返しと合併が同じ状況になっても評価方法が異なることになりかねませんので、ぜひその辺も考慮していただければと思います。
○柴座長 ほかに。
松前構成員、どうぞ。
○松前構成員 原則としてというところでございますけれども、今、亀岡構成員がおっしゃっていたような事例というのは、社会福祉法人同士に限定されたわけで、事業のバーターというようなことはあり得るのだろうなと納得したところでございます。
ただ、そういったところについては、確かに修正持分プーリングという手法はあり得るのかなと思うのですけれども、原則として取得と判断すると書いてあると、そういうケースだけではなくて、これは明らかにパーチェスでやらなければいけないようなものも入ってきてしまうのではないかというところが懸念されるところですので、むしろそういった持分プーリングでやっていいよというところを限定して書いていくとか、そういったことが必要なのではないか。原則としてと書くこととあわせて、列挙しておくというか、こういう場合が考えられるとか、入れてはどうかなと思います。
○柴座長 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ここで、再度確認をさせていただきたいことがあります。
社会福祉法人の立場に立って考えてみますと、例えば、社会福祉事業を認可されて事業を行っている時に当該事業を他の法人に事業譲渡しようと考えるとその譲渡先には、株式会社というよりもやはり社会福祉法人を先に考えると思うのです。
株式会社に事業譲渡ができないという意味ではありませんが、社会福祉法人の方は福祉の思いでずっと事業を続けてこられたのですから、社会の事業譲渡全体で見ると社会福祉法人への事業譲渡はその一部にはなりますが、社会福祉法人に焦点を当ててみると事業譲渡先が社会福祉法人というのは実際には結構あるのではないでしょうか。
○柴座長 ほかに御意見はございますか。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 私も、これは事前に見させていただいて、可能かどうかは別にして検討してみてもいいのかなと思ったのは、今、亀岡構成員もおっしゃったように、社会福祉法人同士の事業譲渡と、それ以外の場合を分けて基準を決めるというのは難しいのかなということを考えていました。ベースが全然違うのではないかという気がしていまして、ただ、事業譲渡を修正持分プーリングでやるときの一つのネックになるのは、13ページのデメリットにもありますけれども、先方の適切な帳簿価額が本当にわかるのかという問題も確かにあるかなということで、どこを解決するかという課題はあるのですけれども。
そういうふうにケースに分けて、社福同士ならばこうですよ、そうでなかったらこっちですよとなったら、今、松前構成員がおっしゃったこともある程度解消するのかなという気が今の私の頭の中にある。
もう一つ気になっているのが、今、想定しているのは恐らく社会福祉事業なのでしょうけれども、収益事業の事業譲渡というのは考えなくていいのですか。同じ社会福祉事業の事業譲渡と収益事業の事業譲渡を同じに考えていいのかなというのも、ちょっとひっかかっているのです。
疑問だらけで済みません。
○柴座長 事務局、ありますか。
○宇野福祉基盤課長 ありがとうございます。
今、お話を伺っていまして、まず一つは、みずほの研究事業でも同じような議論なのですが、例えばこういうケースはこう、こういうケースはこうという場合分けがきれいにできればいいのですけれども、本当に場合分けが可能なのかどうなのか。文章にしてしまうとそこはある程度、文言として既成事実化されてきますので、そういった部分について本当に可能かどうかというのはまた御意見をいただきたいなと思ったのが1点。
その中で、例えば公益性という意味では、確かに社会福祉法人は非常に公益性が高いし、かつ社会福祉事業になってくると、社会福祉法人しかできない事業もございますので、そういったものとの関係もあるのですが、社会福祉事業の中には、私どもの説明が悪いせいか、つい株式会社というイメージもお持ちかもしれませんけれども、実態としては、株式会社というよりは、例えば同じ非営利法人の中の公益財団法人や公益社団法人、一般財団法人、一般社団法人、あと学校法人といったものがあるかと思います。
そうすると、今、社会福祉法人がこういうふうな検討をしていただいている中で、ほかの非営利法人がどうなっているのか。あと、ほかの非営利法人との関係でどこまで書けるのか、書けないのかというのは、これも御意見というか、今の検討状況を協会の方々も含めてお伺いしたいなと。我々もそういうところを見ながら、実際にどうやって書いていくかというのが必要ではないかと思っております。
あと、岡構成員がおっしゃるとおり、収益事業と社会福祉事業というのは当然変わってくるかと思いますけれども、これは法人の会計基準として、両方包含をして、より一般的な原則を書くのが基本なのかなと。その中で、例外的なものをどのように表現していくのかというところだと思うのですが、そこもぜひお知恵をいただければと思っております。
以上です。
○柴座長 ありがとうございます。
協会の動きについて、松前構成員のほうからお願いします。
○松前構成員 協会では特に結合の会計について、過去公表物としては、論点整理という形で、その中で取り扱いを結合の会計ということで整理しているところでございまして、そこでは合併を中心に議論をされた結果ということで書いているところでございます。
ただ、別に事業譲渡のことを書いていないということではないのですけれども、合併を議論の中心に想定して支配の概念を定めて、それによって統合なのか取得なのかという2つの選択があるねという書き方になっておりまして、統合の場合は修正持分プーリング、取得の場合はパーチェスという見解を示させていただいております。
一般的に修正持分プーリング法というのはこういうものだという形で書いてございまして、それは結合日に適正な簿価でという結論でございます。
協会ではそういったお示しをさせていただいておりまして、ただ、支配という概念については割と広目にとっておりまして、対価の支払いだけではなくて、役員の異動であったり、さまざまな事象を考慮して支配があるかないかということを決めているので、その点については、こちらの支配というのと、多少差があるのかなという感じはございます。
ただ、合併についても、両方の方法があるということはお示ししているところでございますので、そこも社会福祉法人の制度の中で、社外流出がないとかいろいろな要件があるので、それとの兼ね合いの中では理由がつく範囲ではないかという感じで考えております。
○柴座長 秋山構成員、お願いします。
○秋山構成員 この会は、社会福祉法人の会計基準を検討している会ですので、当然、社会福祉法人の特殊性を考慮しなければいけないというのは重々理解しております。ただ、まず会計基準を定めようとするに当たっては、経済実態が変わらなければ、相手が誰であろうが会計処理は変わらないわけで、そういった前提をまず覆してはいけないのかなと思っています。
ですので、事業譲り受けの場合は原則として取得とするとか、統合もあり得るのではないかという話、これは譲り受け側の話ですので、譲り渡し側が企業だろうが社福だろうが、まず基本的にはこういう処理があるべきだという議論をした上で、例えば、さっき亀岡構成員がおっしゃったように、相手も社会福祉法人で、簿価同士でクロスしたほうが、経済実態をあらわすケースもあり得るのだ等と限定した上で、例外的な処理を規定していくのがいいのかなと思っております。
会計士協会も、松前構成員がおっしゃったように、非営利法人の合併の場合とか、事業譲り受け、譲り渡しの場合の判断基準等を議論した経緯はございますが、まだ確たるものとして深掘りしたということはございませんで、今後やらなければいけないテーマであると認識しております。この社会福祉法人の検討が進められていますので、協会のほうでも、その検討を進めていかなければならないとなった状況でございますので、そちらの結論は時間がかかる可能性があるかもしれないと認識しておりますが、まずここで決めなければいけない部分、当然いつまでに決めなければいけないとかいろいろ制限がある中では、私が先ほど申し上げたとおり、原則的な考え方を示した上で、例外的なものを、時間をかけてと言ったら語弊がありますが、社会福祉法人特有の部分については手当てをしていくといったプロセスでよろしいのではないかと考えております。
○柴座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
大体今の秋山構成員の考え方で行くしかないのかなという状況だとは思っておりますが、協会もやる気があるということを言っていただけましたので、よろしくお願いしたいと思います。
課長、お願いします。
○宇野福祉基盤課長 事務局として1点確認なのですが、今、秋山構成員から御指摘いただいた件ですと、原則的なものはある程度、決めていく中で、例外的なものの手当ては時間をかけてとおっしゃったように聞こえたのですけれども、例えば例外的な手当てを今回のこの中である程度、書くのがいいのか、それとも、書けないのであれば、そこは逆に例外的な手当ても含めて引き続き検討のほうがよろしいのか、全体の会計士協会の検討ともある程度、波長を合わせながらのほうがいいのか、その辺のところ、例外部分についてどこまでというのは、もし御意見があれば、秋山構成員以外の方も含めて、今回射程の中でどこまですればいいのか御教示いただければと思います。
○柴座長 秋山構成員、どうぞ。
○秋山構成員 決して時間をかければ出てくるものでもないとは思いますので、ある程度、決めの問題もあろうかと思います。企業会計の企業結合の会計基準も、取得を前提としてパーチェス法を採用するなど決めで規定された部分もございますので、ある程度はそんなに時間をかけないで、決められる部分は早目に決めておいて、会計基準のほうは事細かく規定する必要はないのかなと思っています。今、社会福祉法人会計基準の運用としては、局長通知と課長通知がその下にあると認識しておりますので、細かい事例が出て会計基準的に手当てする必要が生じてきたらそこで手当てするし、実務上の手続のほうで考慮すべき新しいものが出てきたら、マニュアルのほうを改定するとか、そういった対応をとっていくしかないのかなと考えております。
○柴座長 ほかにございますか。
亀岡構成員、お願いします。
○亀岡構成員 ありがとうございます。
いわゆる株式会社をはじめとする営利法人は持分があり、利益分配等がありますので、そのために利益を追求するのが主たる目的ですから結合、事業譲渡について時価評価つまり、パーチェス法という概念が馴染みやすいと思いますが、社会福祉法人とか、公益法人は、非営利法人ですので持分や利益分配等はありません。つまり外部に利益等を流出する、配当にするとか、役員報酬にするとかそういう概念がそもそもないわけです。利益を追求することを目的とせず社会福祉事業を実施することが主たる目的ですので、事業実態に変更なく継続している社会福祉法人同士の結合の場合では修正持分プーリング法という概念で簿価で引き継ぐという考え方が出てきたのだと思います。これらを勘案すると、なぜ、事業実態に変更なく継続しているのに時価で引き継がなければいけないのか、時価に置き直さなければならないのかという疑問・議論が出るわけです。つまり、評価益や評価損を計上する必要があるのか、そこで時価評価する必然性が結合の場合にあるのかという議論が出てきたと思います。
また、今、行政側としても進められている社会福祉法人の経営基盤の強化のための施策の一つとして、社会福祉法人は小規模な法人が多いですから、今、言われている合併と事業譲渡というだけではなくて、法人間の連携・協同化があります。それは、合併や事業譲渡が困難な場合でも、何か一緒に連携したり共同する等の第三の道も今は考えられていると思いますので、そういう第三の道まであるということは何を意味しているかというと、今の社会福祉法人の個々の置かれた環境の中で、経営をより効率的に、より改善していこうということが大きな目的だと思います。そこで、社会福祉法人には持分がない、つまり、配当や残余財産の分配がないという前提を考えたときに、私は先ほど秋山構成員が言われたパーチェス法、つまり事業譲渡はパーチェス法だということだとしても、社会福祉法人同士において事業譲渡を通して経営の効率化、経営基盤の強化の方法があるので、その場合の会計処理については修正持分プーリング法もありうると思いますので、そのことについても、言及された方がいいと思いますがいかがでしょうか。
その方法としては局長通知もしくは課長通知が良いのか、さらにほかの方法が良いのかわかりませんが、社会福祉法人の方に明示してあげることが親切ではないでしょうか。
○柴座長 事務局、お願いします。
○横溝専門官 局長通知と課長通知については、原則的な会計処理が結構書いてありまして、具体的な事例が書いてあるというところまではないのかなと認識をしております。平成23年の基準から更新されていないのですけれども、Q&Aもございますので、示し方はいろいろな方法があるかなとは考えております。
○柴座長 ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議論はここまでということで、次回以降につきまして、事務局のほうから御説明をお願いします。
○宇野福祉基盤課長 私のほうからよろしいですか。
きょうは本当にありがとうございました。
後ほど、次回以降のことはありますけれども、きょうの資料の修正と御意見を踏まえまして、次回、できれば省令案とか局長通知案というものについて、こちらのほうとしては案をつくって、御提示させていただきたいと思っています。その際に、きょうの御意見を踏まえた形で、我々としては知恵を絞ってやっていきたいと思いますので、また御検討いただければと思っております。
以上です。
○高坂福祉基盤課長補佐 次回の開催日等、事務的な連絡事項につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○柴座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議論は終了させていただきたいと思います。
ありがとうございました。

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