2019年12月16日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和元年12月16日(月)10:00~

 

場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)
 

出席者

出席委員(7名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(4名)

行政機関出席者

 森和彦(大臣官房審議官)
 江野英夫(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
 橋本隆志(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官) 他


 

議事

○薬物取締調整官 定刻となりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。委員の先生方には師走の大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は、青山先生、桐井先生、成瀬先生、松本先生の4名から御欠席の連絡を頂いております。関野先生が少し遅れているようですけれども、当部会の委員合計11名のうち6名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 更に、厚生労働省全体の取組としまして従前どおり審議会のペーパーレス化を進めております。本日もペーパーレスでの部会開催とさせていただきますので、部会資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。操作等で不明点がございましたら、適宜事務局でサポートいたしますのでお伝えください。よろしくお願いいたします。それでは、以後の議事進行を鈴木部会長にお願いいたします。鈴木先生どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料の確認をさせていただきます。タブレットを操作しながら資料の確認をお願いいたします。部会資料については、資料1、資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料3を格納しております。
 文献については、文献1~文献21を格納しております。
 参考資料については、参考資料1、参考資料2、参考資料3を格納しております。委員名簿、座席表については、当部会の委員名簿と座席表を格納しておりますので御参照ください。資料についての説明は以上です。資料や操作等について御不明な点がありましたら事務局までお申し付けください。
○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 資料1は各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について中枢神経系への影響を中心にまとめたものです。
 それでは、ケタミン系物質である審議物質1について御説明いたします。初めに資料2-1について御説明いたします。資料2-1についてはケタミン系の審議物質1、3-HO-PCE及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、NMDA受容体に対する影響、中枢神経系の作用等をまとめております。審議物質1はNMDA受容体に対するアンタゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続いて資料3について御説明いたします。資料3の1ページを御覧ください。審議物質1の通称名3-HO-PCEは、麻薬であるケタミンや指定薬物である3-MeO-PCEに構造が類似する化合物です。続いて1ページの(1)の構造及び中枢・自律神経症状の観察についてです。1~2ページを御覧ください。マウスに3-HO-PCEを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、洗顔運動の抑制、立ち上がり動作の抑制、眼裂の拡大が確認されたとの報告を受けております。20mg/kgの投与群では、反復動作の亢進、洗顔運動の抑制、痛反応の抑制、時々飛び跳ねる異常歩行、懸垂力の低下、瞳孔の散大、眼裂の拡大などが認められたとの報告を受けております。100mg/kgの投与群では、消極性の抑制、痛反応の抑制、不安定な姿勢の異常姿勢、眼球の突出、瞳孔の散大、皮膚の白化等が確認されたと報告を受けております。
 続きまして、2~3ページの表の1~3を御覧ください。3-HO-PCEに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また観察された特徴的な症状を示した写真を4ページに載せております。ここで4ページの写真と併せまして、実際の動画も御確認いただきたいと思います。4ページの写真の上から順に、前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
(動画説明)
○事務局 これは20mg/kg投与群の投与後約17分経過後のマウスですが、激しい飛び跳ね、転倒を繰り返す異常行動が確認されました。
 こちらは投与後約2時間経過後の別のマウスですが、腰高の異常歩行、忙しい動き、頭部の震え、眼裂の拡大が確認されました。
 こちらは100mg/kg投与群の投与後約7分経過後のマウスですが、腹這い歩行、横倒れ、挙尾反応、頭部の震え、眼裂の拡大、激しい飛び跳ねから横倒れの繰り返しが確認されました。
 こちらは投与後約1時間56分経過後の別のマウスですが、寄り掛かり立ち、横倒れ、後方へ倒れる異常行動、頭部の震え、伏臥位姿勢で静止状態、頭部の震えが確認されました。動画については以上です。
 続いて5ページの(2)について御説明いたします。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧ください。自発運動における運動量の測定について、マウスに3-HO-PCEを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分毎の自発運動量を測定しております。3-HO-PCE投与群、対照として、蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離は、投与後10~20分、90~100分、120~130分及び180分で有意な差(危険率5%)が見られ、その他の時間帯については、投与直後から測定時間を通して対照群と比べて多い傾向があったとの報告を受けております。立ち上がり回数については、投与後40分で有意な減少(危険率5%)が見られ、130分及び180分で有意な増加が見られたとの報告を受けております。また、その他の時間帯については投与直後から60分まで対照群と比べて少ない傾向があり、100分以降は対照群と比べて多い傾向があったとの報告を受けております。
 続きまして、6ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せています。下のFig2も併せて御覧いただければと思います。コントロール群の水投与群に対する3-HO-PCE約20mg/kg経口投与群の、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、Fig2のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。
 続きまして7ページ(4)には、3-HO-PCEとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。7ページの表と8ページのFig3も併せて御覧いただければと思います。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、3-HO-PCEが6.7×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約11倍であり、ドパミントランスポーターについては、3-HO-PCEが2.7×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約17倍であり、セロトニントランスポーターについては、3-HO-PCEが5.4×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約19倍であることが確認されたとの報告を受けております。
 続きまして9ページ(5)には、オピオイド受容体(κ及びμ受容体)に対するアゴニスト活性を測定した結果を載せております。3-HO-PCE塩酸塩のκ受容体のアゴニスト活性は、EC50が1×10-mol/Lを上回り、μ受容体のアゴニスト活性はEC50が6.96×10-mol/Lと報告されております。
 続いて(6)には、3-HO-PCE塩酸塩のグルタミン酸NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性を測定した結果を載せております。下の表を御覧ください。左から1番目、2番目、4番目のagoinst site、glycine site、polyamine siteについては、IC50が1×10-mol/Lを上回るとの結果が報告されており、ケタミンが強く作用すると言われている3番目のphencyclidine siteについては、IC50が9.26×10-mol/Lとアンタゴニスト活性を示す結果が報告されております。
 以上のことから、3-HO-PCEについては行動・症状観察において、洗顔運動及び痛反応の抑制、異常姿勢、異常歩行、眼裂の拡大といった異常な行動や症状が確認されていること、マイクロダイアリシス試験において、モノアミンの有意な上昇が見られたこと、NMDA受容体のphencyclidine siteに対するアンタゴニスト活性が確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。
 したがって、3-HO-PCEは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて9ページの(7)海外での流通状況ですが、2017年にスイス、スウェーデン、チリにおいて、2019年にオーストリア、フランスにおいて流通が確認されております。
 最後に、(8)海外での規制状況について、アメリカのバーモント州、イギリス、カナダ、スウェーデン、チリ、フィンランドで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に、流通実態について、○○委員、お願いいたします。
○○○委員 本化合物につきまして、○○○○での検出例がございます。令和元年7月におきまして、白色粉末として2例検出されました。以上です。
○鈴木部会長 それでは委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○○○委員 指定薬物に指定することに関して、今回の実験結果及び規制状況、あと実際に流通もあることで、全くそのとおりだと思うのですけれども、今更ですが資料の記載で、6ページのマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の記述ですが、このモノアミンの増加率を見られているマウスの生体試料の部位の記載がどこにもないのです。文献1には、大脳基底核の線条体の部分をマイクロダイアリシス試験で見ておられると思うので、その記載はあったほうがいいのではないかと。中枢神経系に対する作用を見られているのは分かるのですけれども、実験条件として記載が必要だと思います。
 あと、9ページの(5)のオピオイド受容体に対する受容体機能評価試験につきましても、これはヒトの受容体で見ていますので、「ヒトオピオイド受容体に対する」というような記述にしたほうがいいのではないかと思いました。
○事務局 御指摘ありがとうございます。次回から修正いたします。
○鈴木部会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。意見が尽きたようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、カチノン系物質である審議物質2について御説明いたします。はじめに資料2-2を御覧ください。カチノン系の審議物質2の4-Chloro-N-butylcathinone並びにこれらに構造が類似する麻薬や指定薬物について、自発運動への影響、マイクロダイアリシスのデータ、セロトニン受容体に対する親和性などをまとめております。審議物質2については、マイクロダイアリシス試験では、モノアミンを有意に増加させており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 続きまして、資料3について御説明いたします。資料3の10ページを御覧ください。審議物質2の通称名4-Chloro-N-butylcathinoneですが、麻薬であるα-PVP、指定薬物である2-Methoxy-4,5-methylenedioxymethcathinoneに構造が類似する化合物です。
 まず(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察についてです。10~11ページを御覧ください。マウスに4-Chloro-N-butylcathinoneを、2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、行動及び中枢・自律神経症状についてはいずれの項目も影響が認められなかったとの報告を受けております。
 20mg/kgの投与群では、洗顔運動の亢進、その後の抑制、立ち上がり動作の亢進、自発運動の抑制、瞳孔の散大、立毛、皮膚の赤化などが確認されたと報告を受けております。
 100mg/kgの投与群では、攻撃性の亢進、触反応の亢進、自発運動の抑制、挙尾反応の亢進、震え、瞳孔の散大、立毛などが確認されたと報告を受けております。
 続いて、11~12ページの表1~3を御覧ください。4-Chloro-N-butylcathinoneに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を13ページに載せております。ここで13ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。13ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
(動画説明)
○事務局 これは100mg/kg投与群の投与後約8分経過後のマウスですが、弱い挙尾反応、眼裂の拡大が確認されました。
 これは投与後約26分経過後の別のマウスですが、動きが鈍く、眼裂の拡大が確認されました。
 これは投与後約1時間56分経過後の別のマウスですが、自発運動の若干の亢進、眼裂の拡大が確認されました。
 こちらは投与後約1時間57分経過後の別のマウスですが、挙尾反応、忙しい行動、眼裂の拡大が確認されました。動画については以上です。
 続きまして、14ページの(2)について御説明いたします。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧いただければと思います。自発運動における運動量の測定について、マウスに4-Chloro-N-butylcathinoneを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。4-Chloro-N-butylcathinone投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について、Wilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離については、投与直後から測定期間を通して対照群と比べて有意な差は見られなかったとの報告を受けております。立ち上がり回数は、投与後70分では有意に減少したが、それ以外には投与直後から測定期間を通して対照群と比べて有意な差は見られなかったとの報告を受けております。
 続いて、15ページの(3)を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。コントロールの水投与群に対する4-Chloro-N-butylcathinone約22mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、下のFig2のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれにおいても有意な増加が確認されたとの報告を受けております。
 続いて、16ページ(4)には、4-Chloro-N-butylcathinoneとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。下の表と17ページのFig3も併せて御覧いただければと思います。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ドパミントランスポーターについては、4-Chloro-N-butylcathinoneが2.1×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の21倍であり、ノルアドレナリン、セロトニントランスポーターについては求めることができなかったとの報告を受けております。
 続きまして、18ページ(5)は、セロトニン受容体(5-HT2A及び5-HT2C)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。4-Chloro-N-butylcathinoneのヒトセロトニン5-HT2A受容体及びセロトニン5-HT2C受容体に対するアゴニスト活性は、いずれもEC50が1×10-mol/Lを上回ると報告されております。
 次の(6)(7)(8)につきましては後ほど説明いたします。ここで机上に配布しております文献11の17ページ以降を御覧ください。文献11の17ページ以降に過去に指定した3,4-Dimethoxymethcathinoneの指定時の結果を載せておりますので併せて御覧ください。文献11の過去に指定した3,4-Dimethoxymethcathinoneの試験結果では、セロトニントランスポーターへの阻害作用とマイクロダイアリシス試験におけるセロトニンの有意な増加が報告されております。文献11の26、27ページになります。今回の4-Chloro-N-butylcathinoneでは、運動量の測定結果について有意差は認められておらず、セロトニン受容体のアゴニスト活性についてもほとんど認められておりません。しかしながら、4-Chloro-N-butylcathinoneについては、行動・症状観察において、洗顔運動の亢進、立ち上がり動作の亢進、自発運動の抑制、瞳孔の散大、立毛といった異常な行動や症状が確認されていること、ドパミントランスポーターへの阻害作用が認められたこと、マイクロダイアリシス試験において、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの有意な上昇が見られたことから、過去に指定した指定薬物と同等又はそれ以上の中枢神経系の作用を有すると考えております。
 以上のことから、4-Chloro-N-butylcathinoneについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経型の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続きまして、資料3の18ページの(6)海外での流通状況についてですが、2015年、2016年にオランダ、2017年にオーストラリア、オランダ、2018年にチェコにおいて流通が確認されております。
 また(7)海外での規制状況については、チェコ、ブラジルで規制されていることが確認されております。
 最後に、(8)については東京都における試買調査において、国内流通が2例確認されており、国内での乱用実態が疑われる事例が報告されております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について○○委員からお願いいたします。
○○○委員 本化合物について○○○○での検出例はありませんでした。
○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○○○委員 結局、作用機序は分からないということになるのでしょうか。アフィニティーの高い作用点は分からないけれども、以前に指定されているものと同様なので、指定するべきではないかということでしょうか。
○鈴木部会長 よろしいでしょうか。
○事務局 お尋ねの点ですが、本日の資料の16ページの所を御覧いただくと、(4)のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価では、ドパミントランスポーターに対する弱い阻害作用が認められておりますので、作用点としては試験で示されているのはここではないかと考えております。
○鈴木部会長 マイクロダイアリシスとバインディングの結果から遊離を促進するのではないかと考察できると思うのですが。
○○○委員 ダイアリシスの結果を見ると、セロトニンの放出が著しく上がっていると思います。ただ、セロトニントランスポーターには全く作用していないということで、あとはセロトニン5-HT2A、5-HT2Cに関しても作用がないということです。セロトニン5-HT1Aに関して、もしアンタゴニストの効果があればこのように出てもおかしくないかなと思いますけれども、そこは特に調べていらっしゃらないということでしょうか。
○鈴木部会長 これは事務局からよろしいですか。
○事務局 セロトニン5-HT1Aに関するデータはありません。
○鈴木部会長 ということでよろしいですか。
○○○委員 はい。
○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。
○○○委員 規制の審議に影響することではないと思いますが、1点、コメントさせていただきます。動画を拝見させていただいたところ、マウスの行動で首振りが見られるように私はちょっとそのように見えております。評価項目を拝見すると、規制薬物等々で起こる首振りというのは研究者によってそれを反復動作、ステレオタイピー(Stereotypy)に入れるかどうか随分意見は分かれておりますが、表1-3では反復動作が全ての用量でゼロとなっていますので、入れていない様子です。ただ、全ての用量、2mg、20mg、100mgで拝見したところ、初期の段階で首を縦に振る、ヘッドボビング(Head-bobbing)があったように見受けられます。
 これは先ほどのお話でもありますけれども、セロトニン神経を介しているという疑いがあって、ヒトの場合では幻覚と強く関連しているげっ歯類の行動ではないかという話があります。これもかなり意見は分かれていますが、1つの指標になるという話もありますので、評価項目としては首を縦に振るか、ボビングするか、あるいは横に振るか、トゥイッチング(Twitching)するかによってトランスミッターが何を介しているかというのは、ある程度推測することも可能かと思いますので、先ほどのお話と一緒に御考慮いただければ作用点についてはもうちょっと明確になる可能性もあるのではないかと思います。以上です。
○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、これについてもご意見ありませんか。よろしいでしょうか。セロトニン系の薬物の評価が大変難しいので、ビデオを導入して評価する方法も、今後、加えていきたいと事務局のほうでは考えておりますので、加えさせていただきます。それ以外はいかがでしょうか。せっかくですので、カチノン系について今まで2回包括指定を行っていますが、構造的に、その辺をよろしければ御説明いただければと思います。2回の包括指定で1,500ぐらいの物質を指定していると思います。
○事務局 包括指定の骨格については今回の構造を見ると、クロルの部分と、アミンの左隣の炭素にメチルが付いていると思いますが、それについては包括の範囲になっています。しかしながら、アミンのNにブチル基が付いていると思いますが、ブチル基については包括の範囲から外れますので、今回は包括の範囲から外れる構造となっております。Nの部分の官能基の包括の範囲については、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、1ピロリジニル基の6種が包括の範囲になっていますので、今回ブチルアミノ基になっていますので、これは包括から外れるということになっております。
○鈴木部会長 ありがとうございます。私からで申し訳ありませんが、自発運動のところで、有意差がないと言われていたのが気になります。統計の方法ですが、何でもtテストというのは、いかがなものかなと思います。この場合、二元配置の分散分析が適当と思いますし、これは確実に有意差があると思います。
○事務局 こちらは御指摘も踏まえましてどういった分析ができるかというのを、相談しながら進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 私はこのように思いますが、委員の先生方はいかがでしょうか。
○○○委員 私は統計は専門ではないのですが、こういうタイムコースにおいては鈴木部会長からお話がありましたように、2ウェイアノーバーの、特に最近では検定はかなり厳しく言われております。修正ボンフェローニのテストがいいという指摘を私は受けたことがありますので、コメントさせていただきたいと思います。
○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかに委員の先生方から御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、御意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、引き続き事務局より説明をお願いします。
○事務局 続いて、カンナビノイド系物質である審議物質3について御説明いたします。始めに資料を説明いたしますので、資料2-3を御覧ください。
 資料2-3は、カンナビノイド系の審議物質3のMPHP-2201及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物についてカンナビノイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめております。審議物質3はカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。
 資料3の19ページを御覧ください。資料3の19ページには、審議物質3の通称名MPHP-2201は、指定薬物であるNM2201、MMB2201に構造が類似する化合物です。
 続いて、19ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察についてです。19、20ページを御覧ください。マウスにMPHP-2201、S体とR体を等量混合したもの15mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状を観察しております。MPHP-2201をばく露したマウスは、コントロール群のマーシュマローリーフばく露群と比較して自発運動の抑制、少し傾く異常姿勢、瞳孔の散大などが確認されたとの報告を受けております。
 続いて、20、21ページの表1から3を御覧ください。MPHP-2201に関する行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を22ページに載せております。
 ここで22ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。22ページの写真の上から順に、前のスクリーンの動画とともに御確認ください。
(動画説明)
○事務局 これは、燃焼終了後約10分経過のマウスです。ケージ壁にもたれ掛かり静止状態、眼裂の縮小が確認されました。
 こちらは燃焼終了後約56分経過の別のマウスですが、自発運動の少なさが確認されました。
 こちらは燃焼終了後約1時間11分経過の別のマウスですが、自発運動や立ち上がり動作が少なく、動きの鈍さが確認されました。動画については以上です。
 続いて23ページの(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験については、いずれの観察時においても5匹全て陰性であったと報告されております。
 続いて、(3)を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB及びCB受容体)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。CB受容体のS体については1.03×10-mol/L、R体は1.52×10-mol/L、CB受容体のS体は2.07×10-10mol/L、R体は1×10-mol/Lを上回るとの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されております。以上のことからMPHP-2201については、行動・症状観察において自発運動の抑制、異常歩行、異常姿勢、瞳孔の散大といった異常な行動や症状観察されていること、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有していることが確認されたことより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、MPHP-2201は中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、23ページの(4)海外での流通状況については、2018年に中国、ニュージーランドにおいて流通が確認されています。
 最後に(5)海外での規制状況については、スウェーデンで規制されていることが確認されています。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について○○委員からお願いいたします。
○○○委員 本化合物について○○○○での検出例はありませんでした。
○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか。よろしいでしょうか。
○監視指導室長 ほんの興味的な話ですけれども、S体、R体を等量混合した、ラセミ体で今回やっているのですが、最後のCB、CB活性についてはR体はほとんどない、CBへのEC50についても10の3乗ぐらい大きいといった状況ですけれども、結局、総体としてS体、R体を区別しない形での規制が今回こちらから御提案させていただいているものではあるのですが、これは合成だと思いますけれども、S体とR体を分けて作るというのは結構簡単なのかどうなのか、参考までに教えていただけると。
○鈴木部会長 これは、○○先生にお願いします。
○○○委員 恐らく今回のものはアミノ酸ソースとしてフェニルアラニンを使って製造していると思いますが、一般的にフェニルアラニンはS体のものが天然に多く存在しますので、流通実態がどちらかというとS体として流通されているものが多いのかなというのがケミストリーの観点から見た意見です。
○鈴木部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○監視指導室長 はい。
○鈴木部会長 それでは、まとめさせていただきます。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、事務局から今後の手続について説明をお願いします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については今のところ確認されておりません。いずれにしても可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○鈴木部会長 以上で、本日の議題は全て終了しました。事務局から次回の予定について連絡をお願いします。
○事務局 次回の部会日程については決まり次第、御連絡いたします。以上です。
○鈴木部会長 それでは、以上をもちまして、令和元年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
(了)
 
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西(2779)