2019年度第4回化学物質のリスク評価検討会(ばく露評価小検討会)議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

日時

令和2年1月15日(水)13:27~15:17

場所

中央合同庁舎第5号館17階 専用第20会議室

議題

  1. リスク評価対象物質のばく露評価について【非公開】
    1. エチレンクロロヒドリン
    2. クロロメタン(別名塩化メチル)
    3. アセトニトリル
    4. 塩化アリル
    5. アクリル酸メチル
    6. りん化水素
  2. 今後のばく露実態調査の進め方について【公開】

議事

 
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、今年度、2019年度の第4回になりました、ばく露評価小検討会を開催させていただきたいと思います。
委員の方々については、内山委員、鷹屋委員、原委員、この3名から所用により欠席と御連絡をいただいているところです。
本日は、ばく露実態調査の委託事業の受託者である中央労働災害防止協会から、山室様、東久保様、島田様に御出席いただいているところでございます。
なお、すみません、本日は途中で化学物質対策課長が離席させていただきますので、あらかじめ申し上げておきます。
そうしましたら座長の名古屋先生に、以下、議事進行をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○名古屋座長 少人数ですけども、いつも通りよろしくお願いいたします。
まず、事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。本日、委員の方々にはタブレットの形で資料をお配りしてございます。Web上にも載せているところはございますけれども、公開と非公開の部分がございますので、ちょっとその辺、補足させていただきながら御紹介させていただきたいと思います。
資料としましては、まず一つ目、資料1として、1-1から1-5まで5物質分、こちらは非公開の議論になりますけれども、これまでのばく露実態調査等の進捗等について御説明させていただくような場を設けさせていただきたいと思っております。また、その取りまとめ版というような形で資料1-6をお配りしてございます。その他、公開の部分につきまして、資料2-1ということで、「ばく露実態調査の実施に課題がある物質」という資料と、資料2-2としてリスク評価の実施状況、それから、資料2-1に関連して資料3-1、3-2としてエリオナイトという物質の測定分析の手法に関するもろもろをご用意しているところでございます。その他、参考としては、毎度の検討会の開催要綱ですとか、進捗ですとか、あと、これは中身の方で冒頭に御説明させていただきますけれども、これまで検討しているリスク評価の実施要領、それからばく露評価ガイドラインの現時点の改訂版をご用意しているところでございます。
主なところは以上です。
○名古屋座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。
議事次第上、課題1、リスク評価対象物質のばく露評価についてとなっていますが、本日は議題2、今後のばく露実態調査の進め方の中で、ばく露実態調査の実施が困難な物質について検討します。第1は非公開となっております。途中で傍聴者の方々に御退席をお願いする都合上、公開の範囲で、課題2について先に議論したいと思いますので、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、まず、ちょっとすみません、順番が前後するような形で恐縮なんですけれども、参考3-2を御覧いただければと思います。ばく露評価ガイドラインについてですね、前回までもろもろ、合同検討会でもご報告させていただきましたが、改訂版の議論をさせていただきました。その現時点での改定版を、一旦、ほぼセットという形で載せさせていただいております。こちらについては、一部だけ、実施要領の本体の方で、有害性評価部分の議論が済んでからご確認いただくプロセスを踏まないと微妙かなと思っているところがございまして。具体的には、PDFで言うと5ページ目、冒頭のところですね。初期リスク評価、詳細リスク評価とかのスキームの図がありまして、こちらの図は、ちょっと微妙に、こう手を入れなきゃいけないところがあるかなと思っております。打ち切りの取扱いとかをもう少し明確にさせていただくところとかについて整理が必要かなと思っておるんですけれども。
ちょっとすみません、見えますかね、一応、参考3-2ですね、はい。
○名古屋座長 3-2です、改訂版ですね。
○圓藤委員 わかりました。
○阿部中央労働衛生専門官 今、画面の方にも出力しましたが、ここの図は、ちょっと書き直す必要があるだろうなと。なので、ここだけちょっと、ある意味、ペンディング的な形にさせていただいておりますけれども、その他の部分につきましては、これまでの修正を反映しまして、改訂版という形にさせていただきました。これ、一応、この図のところだけちょっとペンディング扱いではありますけれども、今回のこのご報告をもって、令和2年1月版を仮セットという形にさせていただきたいと思っております。間違えてしまいました。これを踏まえまして。実は、今回ご相談させていただきたいのは、まさにこの図の中でちゃんと書いてないところ、これから反映しなきゃいけないかなと思っているところなんですけれども。今回の改定で、ばく露実態調査とかを進めていく中で調査に課題が出てきているものですとか、あるいは、そもそも作業報告が出てきてないものについては、打ち切りも含めて処遇を検討するというような文言を入れさせていただいております。そこで、それに即して、今回、今後のばく露実態調査の実施に課題がある物質について、処遇を御相談させていただきたいというものでございます。
資料のナンバリングとしては、資料2-1、「ばく露実態調査の実施に課題がある物質」というのをお開きいただければと思います。いま、画面の方にも出力しましたが、こんな感じの表です。
端的に申し上げると、それぞれの実態調査の状況として、あまり進みが芳しくないものがいくつかございまして。ばく露作業報告で報告をいただいた後に実態調査を進めておるんですけれども、その中で、調査がなかなか進められないものが出てきているということで、今回、御相談させていただきたいというものでございます。
一つ目、例えばウレタンですね。遡ること大分前の話なのですが。初回の報告自体、大分前ですし、再告示をやってからもかなり時間がたってしまっているんですけれども。こちら、ウレタンにつきましては、備考のところにも書きましたけれども、初回3件報告がありましたが、どうにも全件誤報告だったということでして、しようがないので再告示をやりました。そうしたら2件出てきたんですね。ですが、1件誤報告、1件取り扱いなしということでして。実態調査を進めるに当たっては事前調査をやらせていただいておりまして、その中で、ばく露作業報告をいただいたときに、これを使っているのでウレタン含まれていますよと、その事業場さんで想定されていた製品のSDSを御確認いただいたということなんですけれども、その製品についてはウレタンの含有が認められなかったと。結論、対象物質が入っていなかったということですので、再告示で作業報告2件いただいてはいたんですが、結局、その2件とも取扱いなしというような状況になってございます。
その次の4・4’-ジアミノジフェニルスルフィドにつきましては、初回の報告のとき0件で、再告示をやったら2件出てきたと。そのうち1件は取り扱い中止になっておりまして、もう1件は極めて少量なんですが、一応、取り扱いがないわけではないと。とは言え、実際の取り扱い量を備考に書きましたが、1年に1日だけ1 kg使っているような状況とのことで、調査がなかなか進められていない、かなり厳しい状況だというふうに伺っております。
その他の物質についても、同様に備考のところにそれぞれステータスを書かせていただきました。読んでいただければ、それぞれおわかりになるかなと思いますけれども、ちょっと補足的に概要を申し上げると、55番、2-メチル-4-(2-トリルアゾ)アニリンに関しては、先ほどの30番の4・4’-ジアミノジフェニルスルフィドと同様、再告示して1件出てきていたんですけれども、こちらもかなり少量だったと。その他、全件誤報告の93番ですとか、あるいは、107番については、一応、初回は1事業場出てきていたんですけれども、現状、対象物質はその事業場のネズミ駆除で清掃業者が使っているだけだということで、当該事業場での実態調査がちょっと困難であると。そういった状況が115番、117番、140番と、以降、それぞれ同様に生じているところでございます。
こういった状況に対しまして、冒頭、ちょっと触れさせていただきましたばく露評価ガイドラインの改定を踏まえますと、一応、ばく露作業報告を再告示までやって調査が進まんものは、もうしようがない、打ち切りにさせていただくと。その状況を合同検討会、企画検討会、それぞれのほうに御報告しまして、申し訳ありませんけれども、どうにも進められませんので、というところで御了解いただけるようにする流れで調整させていただくのかなと思っております。今回状況報告させていただいたものの中ですと、30番、55番につきましては、全く無いわけではないので、調査できないことはないということで大丈夫ですかね。一応、中災防さんに状況をお聞きしたいんですけど、これは測れるんですかね。
○中災防/山室氏 作業があればということだと思います。大分時間もたっているので、確認しないと分かりませんが。
○阿部中央労働衛生専門官 じゃあ、実際に測定が可能かどうかについては、ちょっと対象の事業場さんの方に確認いただいて……という感じではあるわけですね。
○中災防/山室氏 はい。
○阿部中央労働衛生専門官 と、以上、こういう状況になっているというお話です。
○名古屋座長 そうすると、これ、報告書があった場合を言っているのですよね。普通、こんな少量で報告するってことはないよね、だって報告するのは500 kg以上だから、普通は出てこない。
○中災防/山室氏 500 kg未満は報告義務がないんですけれども。
○名古屋座長 ないでしょうね。あれだけ出しているから、出したんだ。
○中災防/山室氏 ないけれども報告されているところがあるということです。
○阿部中央労働衛生専門官 実際に事前調査してみたら、そういうような結果だったので、どうしようかという。
○名古屋座長 珍しいですよね。
○中災防/山室氏 ちょっと、なかなか出てこないところがある。
○中災防/東久保氏 あと、製品となったときに500 kg以上だからと誤解しておられる事業場もあったりしています。
○名古屋座長 そうか、そうか、そういうところもあったりして、解釈の違いね。
○中災防/東久保氏 事前調査にお伺いして実際に取り扱っているのはどれだけですかというと、実は、原料としてはこれだけで500Kgに達していないということが結構あります。
○名古屋座長 これで見るとやっぱりウレタンと、それから、44のパラ、これとデカボランって、二次、再告示をしてもだめなところは、もうね、やる、やれないんですよね、実質ね。
○阿部中央労働衛生専門官 まあ、率直に申し上げると、状況としてはそうかなと。
○圓藤委員 この誤報告というのは。
○阿部中央労働衛生専門官 いや、なにぶん事情はそれぞれ違うとは思うんですが、結論としては、我々が聞きに行くと、『え、あれ、そんな報告なんてしていましたっけ。そんな物質、うちでは使っていませんけど』みたいな反応が返ってくる、そういうようなお話ですよね。
○中災防/東久保氏 例えばウレタンなんかだと、似たような名前のものがたくさんあるんです。ウレタンをつくっているから、ウレタンだと思っていらっしゃる方がたくさんおられて、実際にウレタンのCASナンバーを確認すると、その製品はCAS番号が違うので、全然もう別なものということがあります。
○圓藤委員 デカボランなんかでもそうなんですか。
○中災防/東久保氏 デカボランは、デカボラン自体を取り扱っているところはなかったです。
○圓藤委員 全件で。
○中災防/東久保氏 はい。ホウ素化合物を取り扱っているというので、デカボランも多分そこで発生するであろうみたいなところがありました。
○圓藤委員 で、発生はしてないということなんですか。
○中災防/東久保氏 そうです。
○阿部中央労働衛生専門官 ばく露作業報告は、当然その取り扱っているところには出していただくという義務を課す制度ではございますけれども、当然、対象外の事業場から誤って報告があったとしても、手続上、排除できるわけじゃないので、出していただいたものを、そうなんだと思って、とりあえず受けとめるしかないんですが、いざ実態調査をしようと思って見に行ったら違ったと。
○名古屋座長 リスク、自分のところは取り扱ってないだろうと思って出さなかったんだけど、でも、リスク対象になって事業場を測定してみたら、以外にばく露が高く、全部の作業に規制がかかったというのはよくあるけど、こういうのはあまりないね、逆に。
○阿部中央労働衛生専門官 特に今回は、もともと報告数自体もそんなに無い物質ですので。
○名古屋座長 ないですよね。
○阿部中央労働衛生専門官 流石に、どんな場合でも誤報告が多いというわけじゃないんだと思うんですけれども、現状、どうしてもそういう形になってしまっておりますので、今、すみません、名古屋先生からもおっしゃっていただきましたように、18番ウレタン、44番パラ-フェニルアゾアニリン、93番デカボラン、この辺りについては、もうちょっとどうしようもないかなと。
○名古屋座長 再告示までちゃんとしているから。
○阿部中央労働衛生専門官 はい、もう、しようがないかなと。。
○名古屋座長 できないんだから、そこは。
○阿部中央労働衛生専門官 ですので、よろしければ、この辺りは打ち切りの方向性にさせていただければと思っております。で、30番とかについては、一応……。
○名古屋座長 できると言われたから。
○阿部中央労働衛生専門官 そうですね、いけるようであれば、いってもらって。
○名古屋座長 できないと言われたら同じにしようかと思ったけど、できると言われたら、やっぱり。1社でもあればね。
○中災防/山室氏 もう一度、確認しないとわからないところではありますけれども。
○名古屋座長 なかなかピンポイントで行くのは難しいですよね。
○中災防/山室氏 はい。
○名古屋座長 これだけ少ないとね。
○中災防/山室氏 非常に難しいです。
○阿部中央労働衛生専門官 そうしましたら、そこは実際もう一度、本件を踏まえて対象の事業場さんに当たっていただいた上で、他でもなかなか進捗できないものというのはどうしても出てくるようなので、年に1回ぐらい、今回のようなちょっとした棚卸しの場を設けて、報告させていただきつつ、どう進めるか検討ですかね。
○名古屋座長 継続はするけれども、結果的にはドンぴしゃで合わなかった、できなかった、再告示してもだめだったんだという話になる可能性がありますので、一応トライだけしてみるという形にしておきましょう、この二つは。
○阿部中央労働衛生専門官 はい、ありがとうございます。
で、この93番までは、一応、再告示までやっている案件ということで、残りの107番以降なんですけれども。こちらは初回の報告数がもともと少なかったというのもあるんですが、結果として報告いただいた事業場でも取り扱いを中止していたりする状況ですので、すみません、初回の報告からちょっと時間が経ってしまっておるんですけれども、これらにつきましては、基本的には、ばく露評価ガイドラインの改定のラインを踏まえまして、再告示を検討させていただくということなのかなと。この辺の進捗を合同検討会、企画検討会のほうに御報告した上で、来年度、ばく露作業報告の対象物質の検討を企画検討会のほうで行う際に、候補案件として取り上げる形になろうかなと思っております。
○名古屋座長 それがいいと思います。
○阿部中央労働衛生専門官 はい。
○名古屋座長 しておかないと、これで終わっちゃうと、少ないからと言われて、さっき、再告示してもだめなんだとなると、ちょっと違いますので、やっぱりルールはちゃんと守ってやっていましたよということを問われたときに、ちゃんと回答できるようにしておいたほうがいいので、それはやっぱり再告示という形でやられたほうが良いかと思いますけれども。
○阿部中央労働衛生専門官 ありがとうございます。
そこで、そのうちの一つ、No.148のエリオナイトという物質についてなんですけれども、その測定分析手法について、標準物質の調達が困難という表現をさせていただいておりますが、この備考欄の記述についての中身を御説明させていただきたいと思っております。他のものは多分そんなに課題はないので、再告示方針で粛々と検討を進めればいいかなと思っておるんですが、これだけちょっと特殊でございまして。
具体的には、資料3-1、3-2というのをそれぞれご用意してございますので、そちらを横目に見ていただきながらになるんですけれども。まずは、細かい報告書の中身に触れるよりは、ざっくり問題の概要を御説明すると、どうも、このエリオナイトの標準物質が世の中に──世の中にというか国内に存在しないのだと伺っておりまして。石綿なんかだと、標準物質として繊維のサンプルみたいなものを用意しまして、それとサンプリングしてきたものを突き合わせながら顕微鏡を見ていく、みたいな形で対象物質の本数を数える作業があるわけなんですけれども、このエリオナイトも同様の繊維状の物質だということなんですが、どうも、その標準物質が現状、入手できないということだと伺っております。
今回配付資料とさせていただいた資料3-1、3-2に当たる報告書は、もともと中災防さんの方でつくっていただいていたものなんですけれども、これを検討していただくときにはあれなんですよね、有識者の先生に御協力いただいて。
○名古屋座長 うちの山崎先生、彼しかできないから。
○阿部中央労働衛生専門官 何とかやりくりして入手していただいたということなんですが、その入手方法もかなり変則的だったと伺っています。中災防さんの方でちょっと補足をお願いしてもいいですか。
○中災防/東久保氏 九州のとある地方に、その鉱脈がございまして、そこに行って、実際に試料を採取してきて、それを御自分で調製されてとったという形になっています。市販されていないものですから、結局はそういうことをしないと入手できないということがあります。
○圓藤委員 そうなんですか。
○名古屋座長 エリオナイトが企画検討会に出たときに私は言ったんですよ、これ、取り上げてもだめだよと。なぜかというと、カッパドキアで起こっている事例で、アスベストと同じ状態って言うにはカッパドキアしかないんですよ。日本にあるのは、もうちょっと工業用製品だから、繊維じゃなくて球形をしているんです。だからリスク評価対象物質にしてもしようがないよと言ったんだけれども、その意味がなかなか伝わらなくて、もともとアスベストと同じ繊維であることからエリオナイトが問題になったので、カッパドキアと同じことが起こるといけないのでということで、じゃあリスク評価対象物質にしましょうという話になってきて、で、山崎先生に言ったら、日本には繊維状のエリオナオトはないよ、これ、どう測定するのと言うから、あなたが請けたんだからやりなさいよという話です。
○阿部中央労働衛生専門官 一応そこの経緯を資料3-2のほうにまとめていただいておりますので、御覧いただければと思います。資料名として「標準物質の入手及び検量線の作成」という括弧をつけております資料3-2の一番最後のページ、「まとめ」というところがございます。『カッパドキア産のエリオナイト鉱山が既に閉鎖されている』と、今、名古屋先生のおっしゃっていただいたところですね、そもそもこの物質自体がどんどん世の中から消えていっているということなんです。
こういう状況があるものですから、結論として、最後のところ、「発がん性を有するエリオナイトの検出、分離、定量評価には、十分な注意と検証が必要であると考えられる」と。この資料3-1、3-2の組み合わせで、エリオナイトの測定自体ができないわけではないというふうにも言えるんだとは思うんですけれども、それを実際に適用して測定するのがなかなか難しいというところがあるようでして、率直に申し上げると、こういう状況のものを再告示までしてやるのか、もう明らかに使われていないだろうと思われるものを再告示までするのか……というのは、正直ちょっと悩ましいなと思っています。
まあこれにしても、結論としては、企画検討会のほうに御報告して御判断いただくような形になるかとは思うんですけれども、現時点で、他にも測定のやり方はあるんじゃないのとか、リスク評価だけは何とかなるんじゃないのとか、何かそういったところがもしございましたら、こういうやり方であればできるとか、そういった補足をつけて企画検討会のほうにお諮りする形もあり得るかなと思っておりまして、その辺りの方針について御相談させていただければと思っていました。
ただ、すみません、何か今、当方からの御説明の前に名古屋先生から当時の経緯まで補足していただいてしまったので、そこに上乗せして何かという話は特にないんですが。
○名古屋座長 要するに、扱っているのが、工業製品として扱っているので、形状としては粒形なんですよ。要するにX線で仮に定量分析が出来たとしても、その生体影響は繊維状のエリオナイトとは全然違います。もともと繊維状でアスベストのような形で、角閃石系のアスベストのような生体影響があるのですが、評価を行うための許容濃度も出てないし、だから、やっても無理ですよという話。要するに日本では、確かに九州地区は時々そういうのが極まれに出てくるのはわかっているのですけれども、でも、だからといって球状のエリオナイトを取扱う事業場での健康影響はどうなんだろうというのがあって、じゃあ工業用のエリオナイトをどの様に評価するのですかと言われたときに、X線回折定量法でやるけれども、じゃあX線で定量が出来たとしても、その濃度はどうするのって、評価に用いる濃度が無い状態ですから、きついのではないかと思うのです。
○圓藤委員 初回では1件誤報告で、1件取り扱い中止ですから、ないということですよね。
○名古屋座長 そう。
○阿部中央労働衛生専門官 現状、今のところ、はい。
○圓藤委員 だから、再告示して、やはりなかったら、もうやめればいいんじゃないですか。
○阿部中央労働衛生専門官 ということで、一応、再告示は諮る感じですね。
○名古屋座長 結構扱い量としては多いんですよね、鉱物として欲しいから。
○圓藤委員 鉱物としては使って。
○名古屋座長 球形のエリオナイトを使っているのだと思いますけれどもね。
○圓藤委員 だけど、エリオナイトとして使う場合は繊維でないとだめということなんですか。
○名古屋座長 多分違うと思いますよ。成分が必要なのだと思いますが、詳しいことは聞いてみます、今度会ったときに。
○圓藤委員 ああいう形でも、やっぱり発がん性1なんですか。
○名古屋座長 違うと思います。カッパドキアの影響だから、繊維としてね。繊維としての健康影響で、球状としてではないです。蛇紋岩と同じ様な取り扱いだと思います。蛇紋岩は、要するにクリソタイルを含有していますが、蛇紋岩を粉砕するとクリソタイルが飛散するので、繊維だけが問題になりますが、蛇紋岩そのものは塊状ですので大丈夫ですよという取扱いになる。
○圓藤委員 それと同じに。
○名古屋座長 天然鉱物としての繊維状のエリオナイトなら蛇紋岩と同じ取り扱いになっちゃいますが、球状のエリオナイトとですので、確実なことは言えませんが、天然鉱物としての取扱いにはならないと思いますよ。
○圓藤委員 天然鉱物を使っていても、エリオナイトの対象には当てはまらないという、それが誤報告だったんですかね。
○阿部中央労働衛生専門官 ちょっとすみません、具体的な誤報告の中身までは把握してないんですが。
○名古屋座長 そう、ゼオライトはいっぱいある。
○中災防/東久保氏 工業的にゼオライトはすごく使われています。エリアナイトはゼオライトの一種ですので、ゼオライトを取扱う事業場が出てきた可能性はあります。
○名古屋座長 物質的だからね。
○中災防/東久保氏 そうだと思います。ゼオライトを使っているので、エリオナイトもあるでしょうという人もいらっしゃるんですけど、ただ、今、名古屋委員長が言われたように、その場合は繊維状での取り扱いではありません。
○名古屋座長 国内産地からエリオナイトが繊維状形態で工業製品に用いるぐらい大量に産出されることはないんです。
○圓藤委員 ああ。
○名古屋座長 だから、ゼオライト系のレビオナイトとか、いろんな鉱物が共存するんだけれども、みんな粒子でしか出てこないから、生態影響的にはアスベストとは違うかな。そうすると、生態影響を考えたとしても、繊維状形態の濃度が設定できないから、いや、仮に出来たとしても評価はできないんですねという話。そもそも繊維状でないんだから。
○阿部中央労働衛生専門官 ちょっとそういう事情がありまして、どうしようかというのを御相談と思っておったんですけれども、そうしましたら、次の企画検討会で……いえ、次で出来るかは未確定ですが、107番以降の物質については、一通り、再告示の方向で調整させていただくのかなと思います。ただし、エリオナイトにつきましては、こういう事情があるので……という補足だけを恐らくその場でさせていただいて。
○名古屋座長 再告示なくても大丈夫かもしれない。
○阿部中央労働衛生専門官 ええ、場合によっては。企画検討会の方で『もういいよ』と言われるようであれば、そこでちょっと。
○名古屋座長 説明します、企画委員会で。
○阿部中央労働衛生専門官 そこはちょっと企画検討会のほうで御判断いただく形になろうかと思いますので、一旦その方向性で、議論をさせていただければと考えているところでございます。
そうしましたら、ばく露実態調査の実施に課題がある物質についての対処方針については、今、御議論いただいた流れで、今後、進めさせていただきたいと思います。
○名古屋座長 大丈夫ですね。
○阿部中央労働衛生専門官 はい、大丈夫ですかね。ありがとうございます。
○名古屋座長 そうしましたら、そうですね、非公開になりますので、傍聴者の方の退席をお願いします。申し訳ありません。
(公開部分ここまで)