2020年1月10日 第159回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和2年1月10日(金) 16:00~18:00

場所

労働委員会会館講堂(労働委員会会館7階)

出席者

【公益代表委員】
    荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、藤村委員
【労働者代表委員】
    北野委員、津村委員、仁平委員、八野委員、世永委員
【使用者代表委員】
    齋藤委員、早乙女委員、佐久間委員、鳥澤委員、輪島委員
【講師】
    公益社団法人日本医師会副会長 今村聡様、全日本自治団体労働組合総合労働局長 森本正宏様、保健医療福祉労働組合協議会事務局次長 工藤豊様
【事務局】
    坂口労働基準局長、吉永審議官、久知良総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、長良労働関係法課長、安里医療労働企画官

議題

(1)「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について(諮問)
(2)医師の働き方改革について

議事

 
○荒木会長 それでは、ほぼ定刻ですが、皆様おそろいということですので、ただいまより第159回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の平野委員、水島委員、両角委員、労働者代表の櫻田委員、川野委員、森口委員、使用者代表の池田委員、佐藤委員、松永委員と承っております。
議事に入ります前に事務局より定足数の報告をお願いいたします。
○労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○荒木会長 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
(報道関係者退室)
○荒木会長 本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題の「(1)『労働基準法の一部を改正する法律案要綱』について」につきまして、昨年12月27日に開催しました前回の分科会において「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」の報告を取りまとめ、厚生労働大臣宛てに建議を行いました。本日は、建議を踏まえ、厚生労働大臣から「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」が諮問されております。内容について事務局より説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 労働関係法課長でございます。議題(1)につきまして、私のほうから御説明させていただきます。
先ほど分科会長からお話がございました「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」の建議でございますが、参考資料No.1につけております。
建議を踏まえまして、資料No.1ですが、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」につきまして、本日お諮りするものでございます。資料No.1に沿って順次御説明いたします。
1枚おめくりいただきまして、別紙「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」でございます。第一から順次読み上げてまいります。
第一 労働者名簿等の書類の保存期間の延長
労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(以下「労働者名簿等」という。)の保存期間について、五年間に延長することとすること。
第二 付加金の請求を行うことができる期間の延長
付加金の請求を行うことができる期間について、違反があった時から五年に延長することとすること。
第三 賃金請求権の消滅時効期間の見直し等
賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間を五年間に延長するとともに、消滅時効の起算点について、請求権を行使することができる時であることを明確化することとすること。
第四 経過措置
第一から第三までによる改正後の労働基準法第百九条、第百十四条及び第百十五条の規定の適用について、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことができる期間及び賃金(退職手当を除く。)の請求権の消滅時効期間は、当分の間、三年間とすることとすること。
以上、建議におきまして、賃金請求権の消滅時効期間を5年としつつ、当分の間の経過措置という形で、当分の間、3年間とするということで、賃金請求権の消滅時効期間、付加金の請求、書類の保存期間、それぞれについて整理したものでございます。
第五 施行期日等
一 施行期日
この法律は、民法の一部を改正する法律の施行の日(令和二年四月一日)から施行すること。
二 経過措置
この法律の施行前に労働基準法第百十四条に規定する違反があった場合の付加金の請求期間及び賃金(退職手当を除く。)の支払期日が到来した場合の当該賃金の請求権の消滅時効期間については、なお従前の例によることとすること。
二について少し補足を申し上げますと、参考資料No.1「建議」の4ページをごらんいただければと思います。4ページの「加えて」という段落からの部分でございますが、そこの2行目でございます。「施行期日以後に賃金の支払期日が到来した賃金請求権の消滅時効期間について改正法を適用することとし、付加金の請求期間についても同様の取扱いとすべきである」という建議をいただいております。これを法律上起こしまして、要綱上は旧法の適用関係について書いておりますが、意味内容としては同じでございます。要綱上の経過措置は、この法律の施行前に賃金の支払期日が到来した場合は旧法の適用となるということでございますので、裏から書いているという形で御理解いただければと思います。
三 検討
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問、御意見があればお願いいたします。仁平委員。
○仁平委員 建議を踏まえた法案要綱を取りまとめいただいて、ありがとうございました。提案いただいた法案要綱の内容で了解したいと思います。また、この間の取りまとめに向けた御尽力に対して改めてこの場で感謝申し上げます。
労働側として、労基法の改正については、改正民法が施行されることしの4月に同時に施行されることが非常に大事だと思っております。法案の成立に向けて国会における審議に全力を尽くしていただきたいと思いますし、我々としても、労働者保護の観点から、法案の早期成立と4月の着実な施行が重要である旨、改めてこの場でも訴えておきたいと思っております。
また、法案が成立した場合において、4月施行まで間がないため、十分な周知をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。輪島委員。
○輪島委員 ありがとうございます。使用者側といたしましても、今、事務局から御説明があったものは、昨年末にこの分科会で取りまとめをした建議の内容を踏まえたものだと理解しておりますので、妥当だと考えております。
私からは以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかには御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、内容については特段異論が述べられませんでしたので、当分科会といたしましては、ただいま説明のあった法律案要綱につきまして、おおむね妥当と認め、労働政策審議会宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒木会長 ありがとうございました。そのように進めることといたします。
それでは、事務局から答申の案文と報告のかがみの配付をお願いいたします。
(答申案文、報告かがみ配付)
○荒木会長 お手元の答申と報告の案について御確認いただきたいと思います。
労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定により「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」こととされております。
そこで、お配りしたかがみ文のとおり、労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛て答申を行うこととしたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒木会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの内容をもって厚生労働大臣宛てに答申を行いたいと思います。
それでは、ここで坂口労働基準局長から御挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
○局長 それでは、一言、御礼の御挨拶を申し上げさせていただきます。
ただいま、お諮りしました労働基準法の一部を改正する法律案要綱につきまして、御了承いただきました。委員の皆様方におかれましては、昨年末、12月27日の建議、そして本日の答申に至るまで、非常に真摯な御議論をいただきました。御協力に対して心より感謝申し上げます。
私どもといたしまして、本要綱に基づき、早急に法律案を作成して、この1月に開催される予定の通常国会に法案を提出させていただきたいと考えております。また、これまでに、前回並びに本日も委員の皆様から御意見を御頂戴しておりますけれども、法案の早期成立、そして4月1日の施行に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。委員の皆様におかれましても、引き続きの御指導と御協力についてどうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
○荒木会長 ありがとうございました。
大変難しい案件でございましたけれども、三者の委員の皆さんの御協力を得まして、今般、答申をまとめることができました。分科会長として改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
(講師着席)
○荒木会長 それでは、続きまして、第2の議題に移ることといたします。議題「(2)医師の働き方改革について」であります。事務局からまず説明をお願いいたします。
○医療労働企画官 事務局でございます。労働基準局で医療労働企画官をしております安里でございます。
医師の働き方改革については、昨年7月に一度、検討状況の御報告を差し上げておりますが、そこから時間もたちましたので、今の検討状況について改めて御報告いたします。
資料は資料No.2と参考資料No.2、No.3、3種類御用意しております。資料No.2と参考資料No.3を参照いただきながら御説明させていただければと思っております。
それでは、早速ですが、資料No.2、大きく「医師の働き方改革に関する検討状況について」と横に書かれたものをごらんいただければと思います。
1ページ目、おめくりいただきまして、まず、大枠の確認をさせていただきます。こちらは働き方改革実行計画でございますが、平成29年に決定されたものでございます。赤枠で囲っている部分でございますが、医師については時間外労働規制の対象としますけれども、医療法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であるとされまして、具体的なこととしては、改正法の施行期日の5年後をめどに規制を適用、5年間適用を猶予しようということと、もう一点、医療界の参画のもとで検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指して、2年後、この2年後というのは実行計画が決定されたときの2年後でございまして、2019年3月末でございましたけれども、そちらをめどに規制の具体的なあり方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得るとされました。
続きまして、2ページ目を御参照いただければと思います。そちらを受けまして、働き方改革推進法の中でも医師については適用を5年間猶予されることとされまして、適用期間終了時点においても、労働基準法に基づく厚生労働省令で特例を設けよう、そういう枠組みが法改正によってつくられております。
その枠組みの中身につきまして、昨年度末まで「医師の働き方改革に関する検討会」で検討いたしまして、昨年7月の御報告はこの検討結果の内容の御報告でございました。そちらの検討結果は、報告書の中には幾つか引き続き検討されるという事項がございましたので、ことし7月から新しく「医師の働き改革の推進に関する検討会」を設けて検討を行ってまいりまして、きょうはその検討状況の御報告を差し上げたいと思っております。
このような形で医師の働き方改革の総合的な検討を進めておりますが、具体的な上限の時間数については労働基準法に基づく厚生労働省令で定めることとされておりますので、検討会で検討を重ね、枠組みが見えてきました後に、本審議会のほうで御議論いただくことが予定されております。
続きまして、3ページ目以降は、おさらいになりますけれども、昨年度末に定まりました「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書の内容の御説明差し上げたいと思います。この検討会は24名の構成員の方にお入りいただきまして、22回にわたって議論いただいて、おまとめいただいたものでございます。
その内容は4ページ目以降にまとめております。まず、4ページ目、報告書の概要の1枚目でございます。医師の働き方改革の大きな話としまして、まず基本認識の確認をしております。基本認識とされているところの上から3つ目、この検討会でまとめた大きな方向性としまして、医師の長時間労働の背景には、個々の医療機関における業務・組織のマネジメントの課題のみならず、医師の需給や偏在、医師の養成のあり方、地域医療提供体制における機能分化・連携が不十分な地域の存在、さらには国民の医療のかかり方など、さまざまな課題が存在しているということが確認されております。そうしたことも踏まえて、規制の内容を決めるだけではなくて、内容を遵守できる条件整備も進めていくことが必要であるということがうたわれております。
それを受けまして、今後目指していく医療提供の姿としまして、1点目としては、もちろん労働時間管理の適正化が必要ということがうたわれておりますが、2点目、3点目で、先ほど申し上げたような総合的な取り組みをしっかり進めていこうということ、それから、個々の医療機関に対するノウハウの提供も含めた実効的な支援策、第三者の立場からの助言等が重要であること、かかり方のことも重要であるといったことを御提言いただいております。
こうした総合的な取り組みを進めながら、では上限規制としてはどういう内容を行うのかでございますが、そちらの説明が5ページ目以降なされております。
資料としては7ページ目をごらんいただければと思います。A、B、Cという積み木のようなものがあるページでございますが、こちらを使って予定している規制の内容の御説明をさせていただきます。医師については、2024年4月から上限規制の適用が開始される予定でございますが、検討会の報告書といたしましては、その際にA、B、Cの3種類の上限水準の設定をしたほうがよいのではないかという御提案をいただいております。
まず、基本となるのがAの水準でございます。医師は地域医療を支えるためにやむなく長時間労働をしていただいている方が非常に多いと指摘されておりますが、医師であっても原則的には一般の方と同じような水準で働くことを基本とするべきだろうという発想のもとに、Aの水準といたしまして、休日労働も含めた時間数でございますが、年に960時間以下、月にした場合には100時間未満を原則としようということが提案されております。
ただ、医師については需給の関係で、2024年4月の段階で全ての医師がAの水準で働くと仮に仮定いたしますと、数が1万人足りないことが確認されております。医師の養成には10年ほどかかると言われておりまして、1万人足りないところは変えようがございませんので、医師の養成数が十分満たされまして、また医師には偏在の問題がございますので、その偏在の問題が解消するまでの当分の間は、地域医療を確保するための暫定的な、特例的な水準としてBの水準、年の時間数は1860時間以下、月については同じように原則として100時間未満を考えておりますが、そうした水準が必要だろうという御提案をいただいております。
年の1860時間という時間数は一般の方に比べて非常に高いものとなっておりますが、当然、医師がこの時間働くからといって過労死など招いてしまってはいけませんので、あわせてBの水準の対象になる医師については、このポンチ絵でいきますと下の部分に「追加的健康確保措置」と書いておりますが、連続勤務時間制限を28時間、勤務間インターバルとして24時間につき9時間を義務付けようという話を検討しております。ただ、医師の場合は、緊急オペ等、これが守り切れない場合も大いに想定されるだろうということで、28時間連続勤務時間制限や勤務間インターバル9時間を守っていただくのが当然ですが、どうしても守れない場合には、守れなかった分を代償休息として与える、この3つをセットで義務付けしてはどうかということを御提案いただいております。
地域医療の確保と医師の健康確保の調整は、A水準とB水準が設定されていればそれで済むように思えますが、医療については非常に高度で専門的であるという要素がございます。非常に高度な医療を身につけたい医師の意欲をそがないような、しっかり集中的に技能向上を図っていけるような枠組みも必要だろうという御指摘をいただきまして、提案といたしましては、Cの水準、集中的技能向上水準として、時間数としてはBと同じですが、年1860時間までを認めるという枠組みが必要ではないかという御提案をいただいております。Cの水準の適用対象医師についても同じように追加的健康確保措置をかけようという話をしております。
BやCですが、全ての医師が該当するわけではございません。例えばBについては、地域医療の確保のための医療機関という限定をかけますので、医療機関を特定して都道府県が指定することを考えております。
指定の要件としましては、いろいろございますが、基本となる医療機能としては、5ページ目に戻らせていただきまして、網かけの部分の三次救急医療機関や二次救急医療機関で、かつ救急車の受け入れ台数、要件を細々と書いておりますけれども、地域で必要とされる医療機能を果たしている医療機関であって、やむを得ず960時間のAの水準を超えるような働き方をしなければならないようなところを都道府県が指定しまして、なおかつ指定に係る業務に従事している医師にBの水準を適用するという構成を考えております。
同じようにCのところも限定がかかりますが、Cの水準はC―1とC―2、2種類に分かれております。C―1は、いわゆる若手の医師になりますが、初期・後期研修の方、専門医の取得を目指されている方などを対象にしております。こうした研修につきましては、プログラムをつくって応募して入っていただく形になりますが、そのプログラムとして960時間を超えているようなところを対象にいたします。医療機関も同じように指定いたしまして、しっかり健康確保措置などが実施されていくことを確保していこうと考えております。
C―2としましては、いわゆる若手の時期を過ぎましても、専門的なところ、高度な技能を学びたい方がいらっしゃいますので、そうした方に対応したものとして、こちらはさらに御本人に申請を上げていただきまして、医療機関の指定と御本人の特定もして、かけていくということを検討しております。
追加的健康確保措置として、一点、先ほど説明が漏れてしまいましたが、月の時間数の上限は、A、B、C、どの水準の適用の場合でも100時間未満を原則としておりますけれども、医師の勤務実態を見ますと、Aの水準レベルで働いている方、年960時間ぐらいで働けている方であっても、月ごとに見ますと100時間を超える月があったりいたします。緊急オペの対応等でそういう場合も柔軟に対応できる必要があるだろうということで、このポンチ絵でいきますと真ん中に帯のように描かれておりますが、月の上限を超える場合の面接指導の体制、就業上の措置を必要に応じてかけられるようにする。そういう体制をしっかり築いていただいて運用していただく。こういう要件を満たしている場合に月の100時間未満の例外を認めるという構成を検討しております。
この形で2024年4月、スタートすることが予定されていますけれども、将来としましては、先ほど言いましたように、医師の養成が足りまして、偏在問題が解ければ、Bの水準は不要になります。厚生労働省としては、2036年までに医師の偏在の是正を図りたいという思いで取り組んでおりますので、Bの水準は2035年度末には終了いたしまして、将来的にはAとCの2種類の水準規制になるということを検討会の報告としていただいております。
以上のようなことが大枠として示されておりますが、9ページ目へ進んでいただければと思います。こうした枠の御提案をいただきましたが、報告書の中に幾つかさらに検討が必要とされているものがございました。それを受けまして、この7月から「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を立ち上げまして引き続き検討を続けております。9ページ目の右に「本検討会の検討事項」というところがございます。引き続き検討している中身といたしましては、例えばBやCの水準の適用対象になる医療機関は特定するということにしておりましたけれども、具体的にどのように実務も含めて回していくのか。それから、追加的健康確保措置は非常に重要なことでございますが、これらの義務化をどのように図り、履行確保をどう進めていくのか。それから、BやCの高い水準が適用される医療機関であってもしっかり時短を進めていかなければいけないと思いますが、それをどう支援していくかということで、960時間を超えるような働き方をする医師がいる医療機関には医師労働時間短縮計画を義務付けたほうがいいのではないかということも先の検討会で言われておりまして、この計画の中身をどうするのか。それから、概要の資料で御紹介しましたが、アドバイス的に、労働時間の短縮に取り組む医療機関に対して第三者として評価して助言するような機能も必要だろうと言われていますけれども、この評価機能をどういうふうに組んでいくのかということなど、議論を続けております。
(2)の医師の時間外労働の実態把握といたしましても、1860時間などを定めるに当たって、当然、実態の把握をした調査をもとにしておりますが、直近の状況もしっかり確認させていただいて、そちらで時短が思うように進んでいないという実態がありましたら、行政の支援策の見直しも必要だろうと思っておりますので、昨年9月に医師本人に時間数を書いていただくような調査をしております。その調査結果もこちらの検討会に御報告いたしまして、また議論していただくという予定になっております。
実はこの調査の取りまとめがおくれておりまして、この検討会を立ち上げた当初は年内にも一定の取りまとめをしようという話をしておりましたが、調査結果の取りまとめも年内に間に合わないという状況もございまして、年明け以降もまたさまざまな課題も確認されておりますので、引き続きしっかり議論していこうという話をしております。
続きまして、議論の状況でございますが、参考資料No.3に移らせていただきます。以上のような大枠で議論しておりますが、昨年、推進検討会を年末に開催した際に、これまでの議論のまとめということを一旦しております。そちらの資料を用いながら、かいつまんで御説明したいと思います。
1ページ目、おめくりいただきますと、まず(1)ですが、B・C医療機関の特定の仕組みでございます。これまで議論したことをまとめておりまして、この資料中にところどころ赤枠で囲んだ部分がございますが、赤枠で囲んだ部分は今後さらに検討していこうというところになっております。
中間的なまとめでして完全にまとまっているものではありませんが、今まで出てきた議論の御紹介をいたしますと、例えば1ページ目、B、Cの指定をどうするかでございます。都道府県が指定するのだろうということとあわせまして、無期限ではなくて有効期間を設けるのではないかということで、有効期間3年とするのがいいのではないかということが言われております。
それから、Bの医療機関の指定の要件ですが、先ほど地域医療の観点から必要とされる機能については網かけの部分という形で御紹介いたしましたけれども、それ以外に、時短計画をしっかり策定していただくこと、評価を受審していただくことなどが必要なのではないかといったことが議論されております。
5ページ目に飛んでいただきまして、追加的健康確保措置についてもさまざま議論いただいておりまして、例えば履行確保の仕組みでございますが、医療法の中で立入検査を毎年度行おうという話になっておりますので、そこの範囲に合わせて健康確保措置の確認をしていこうということなどが言われております。
6ページ目には、複数医療機関に勤務する場合の追加的健康確保措置をどうするのかという議論の状況を書いております。
8ページ目以降に、時短計画、評価機能の枠組みの話などを書いております。例えば時短計画の策定方法につきまして、1年単位でしっかりPDCAサイクルを回していこうということや、医師を含む各職種が参加する形で議論すること、対象医師に対してもしっかり内容を説明して意見交換をする、そういうことが言われております。
評価機能の関係は、9ページ目、10ページ目に書かれております。
11ページ目でございます。時間の実態調査のことは先ほど申しましたようにデータがまとまっておりませんので、今後の話になりますが、その他としましても、例えば時短を進めるに当たって地域医療への影響を懸念する声など聞かれておりますので、そうした影響をしっかり把握した対応をどのようにやっていくのか、議論として残っております。
12ページ目以降は、今、御説明したようなことを図示しているものがついておりますので、御参照いただければと思います。
このような議論をまだまだ続けておりますが、参考資料No.3で御説明した内容は、医事法制・医療政策の中で対応しようと思っている部分でございます。医師の働き方改革は、医事法制・医療政策の取り組みと基準法制の取り組みとをあわせて実施することで実効性が増すものと考えておりますので、タイミングを見て検討状況の御報告を差し上げながら進めてまいりたいと思います。
私のほうからは以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
医師の働き方改革については今後さらに議論を進めていくとのことですけれども、本日は医師の働き方改革についての理解を深めることを目的としまして、3名の有識者の方を当分科会にお招きし、それぞれのお立場から御意見を聴取させていただくこととしております。
順に御紹介させていただきます。
公益社団法人日本医師会副会長、今村聡様でございます。
お二人目、全日本自治団体労働組合総合労働局長、森本正宏様でございます。
お三方目、保健医療福祉労働組合協議会事務局次長、工藤豊様でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、この順番で、まず今村様から御説明をよろしくお願いいたします。
○今村様 御紹介いただきました日本医師会で副会長を務めております今村聡と申します。本日は貴重な機会をつくっていただきまして、感謝申し上げます。
先ほど事務局からの説明にございましたように、医師の働き方改革は大変大きな改革であり、労働法制の問題もそうですが、医療のあり方が大転換するような大変大きなお話です。その中で、本日は、特に副業・兼業について労働政策審議会労働条件分科会で御議論されているということなので、医療の実態についてお話を申し上げ、今後の議論の参考にしていただければと思っています。
パワーポイントの資料を使って説明させていただきます。そもそも日本医師会が意外と知られていないので簡単に御説明しますと、医師個人の資格で参加する任意団体です。今、17万3000人ほど会員がおりますが、50%を超えて勤務医、50%弱が、いわゆる開業医という団体です。
2ページをごらんください。2008年(平成20年)ごろ、勤務医が過酷な労働をしているということで、日本医師会では勤務医の健康確保が重要という認識を持って、ここに掲げておりますように、勤務医の健康支援のための委員会を設置しました。
1万人を超える勤務医のアンケート調査をして、その中で、勤務医を守る病院はいかなる病院なのかというリーフレット作成、あるいは医師個人が自分が健康で働くことが国民に良質な医療を提供できるということで「医師が元気に働くための7カ条」というリーフレット作成、職場環境の改善ワークショップを全国展開、あるいは勤務医の労務管理に関する分析・改善ツールをつくって、病院でこれを活用していただくようにとしました。またこの改善ツールにつきましては、厚生労働省の資料としても使用していただいているところです。また、医療法の中で医療勤務環境改善支援センターの設置について日本医師会も積極的に応援させていただいた経緯もございます。
3ページをごらんいただくと、この勤務医の労務管理に関する分析・改善ツールが改正医療法で定められた指針に取り上げられたということがございます。
さて、先ほどの厚生労働省からの資料にもございましたが、働き方の観点から見た医師の特性として、公共性、不確実性、技術革新・水準向上、高度の専門性などあります。もちろんこれについては一般の業種の方々でもそれぞれに当てはまるところがありますが、ここに掲げているように、国民の求める、国民皆保険のもとで行っている、応召の義務等も含めまして、非常に職業倫理が強く働くこと、生命に直結するという問題もございますので、医師の特性はあろうかと考えているところです。
次のページをごらんいただきますと、日本医師会の医師の働き方改革の基本理念は、先ほど申し上げたような医師の健康への配慮がまず一番、一方、地域医療の継続性も国民にとって非常に重要なので、今まで極めてぎりぎりの世界の中で医療を提供してきたものが、何かを変えることによって国民にとって不利な条件が生じてもいけないので、これをどのようにバランスさせるかということに大変苦慮してまいりました。
次のページからは本日の本題になります。医師の副業・兼業について、まず8ページです。これは中小企業庁の事業で副業・兼業のお話です。一般の企業ですが、副業・兼業を容認しているところが14.7%、しかしながら副業・兼業を認めていないところは85.3%ということで、大部分の企業は従来は副業・兼業を禁じてきました。国の政策の中で副業・兼業を一定のルールを設けて推進していこうというのが、今後の一般の企業、事業者の方たちの考え方だと思っています。
10ページをごらんいただきますと、これは医療機関側で見た勤務形態です。昨年12月1日現在で、5人から9人の常勤医師がいる医療機関が29.3%、一方、20人から49人の非常勤医師、つまり、よその病院に所属して副業・兼業でこちらの病院に来られる方が20人から49人もいらっしゃる病院が28.1%でした。
11ページをごらんいただきますと、医療機関の勤務形態は、専ら医師を派遣という言葉が書いてありますが、行っていただく病院というのが4%、いわゆる大学病院や大きな中核病院です。専ら医師を受け入れている病院が83.9%、つまり日本の大部分を占める民間病院は当直や救急というところであり、こういった医師で地域医療を提供しているということになります。
12ページをごらんいただきますと、副業・兼業に関する取り扱いを病院等はどのような扱いにしているかということで、日本医師会の調査で3549施設よりお答えいただいていますが、「病院長が許可した場合のみ認めている」が半分ほど、「特段の規定はなく、各医師の自由意思に任せている」が35%弱、10%ぐらいは認めていないところがございます。先ほどの一般の事業者とまるで逆の数字になっているということがございます。
13ページは、勤務医師の副業・兼業の実態です。これはさまざまなパターンがあり、地域医療で宿日直や外来の診療応援や、研さんのために行っている方もいますし、収入確保が目的になっている方もいらっしゃいます。日本の医療提供体制の中で大学病院等で働く医師は給料が低い。それだけの収入を保証することが診療報酬上なかなかできなくて、非常に安い給料なので、生活のために収入確保が目的で出ていかれる方たちもいらっしゃいます。
業務内容は、決まった仕事だけではなくて災害対応等の突発的なこともございますし、勤務地は遠方に行くことも多く、また、同一都道府県内とは限らないということも多数ございます。診療科によっては同じ日に幾つもの医療機関をかけ持ちする医師もいます。
14ページからは、現在、副業・兼業がどのような取り扱いを受けるかということについて理解されていない、まだ決まっていない中で、現場が不安感を持っていまして、今後、どういうルールになるかによって変わってくるわけですが、現場がこのように不安を持っていることだけは知っていただきたいという資料です。
まず、宿日直体制が維持困難であると思っている方が80%、これは後ほどお示しするように、医療法第16条の規定で、医師をちゃんと配置しておかなければいけないというルールが法律上ございます。あるいは63%の方々は、さまざまな施設基準の中で医師の人員配置基準を満たせなくなるという危惧を持っておられます。そのほか、数は少ないのですが、救急医療から撤退しなければならないとか、手術件数を減らさなければいけないという危惧を持っておられるということです。
次のページをごらんいただきますと、今申し上げた医療法第16条では「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」。常勤の医師がそんなに多くない中で非常勤の医師に頼ってこういった宿日直を賄っているというのが今の医療の現状であると思っています。
また、2つ目にございますように、さまざまな施設基準の中で医師の人員配置基準が決められている。医療法の第21条の中、あるいは公定価格である診療報酬の要件の中に医師の配置基準がさまざまに設定されているということです。
その他の自由記載、これは回答者の理解度もそれぞれ違っておりますので、様々な必要以上の不安を持っておられる方たちも多数いらっしゃるというのが事実ですが、こういった不安を抱えながら取り組んでいるということだけは御理解いただければということで、お時間のあるときに自由記述は見ていただければと思います。
最後に、20ページをごらんください。まとめとして、今回、6つ丸を書いております。制度を変えた場合の影響が非常に多岐にわたるということで、予測が困難な部分が非常に大きいと思っております。国民に良質で安全な医療を提供することが我々の使命でありますので、思わぬことが起こってしまった後では取り返しがつかないと思っております。予見を持って対応する必要があるわけですが、予見性が非常に難しいということで、混乱が起こってからの回復は困難ということでございます。
医師の働き方は先ほど申し上げたようにさまざまなパターンがあって、一般の労働者の方々の副業・兼業をこれから広げていきましょうというルールと単純に同じようにできるのかどうかという危惧も正直、持っているところですので、今後様々なルールを決めていかれる中で、ぜひともその点も御配慮いただきながら、日本の医療に大きな混乱が起こらないようにしていただければと思っております。
私からは以上です。御清聴どうもありがとうございました。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、工藤様と森本様から、お二人続けて御説明をお願いしたいと存じます。
○工藤様 本日は、発言の場をいただきまして、ありがとうございます。ヘルスケア労協事務局次長の工藤と申します。
私自身、森本構成員とともに「医師の働き方改革に関する検討会」に参加しました。そこでは、医師は患者のためという使命感を抱きながら長時間労働を行っており、その是正は喫緊の課題であるという総意のもとに、先ほどありました報告書をまとめた次第です。
「時間外労働の上限規制と追加的健康確保措置の実効性ある推進を」ということについてですけれども、現在「医師の働き方改革の推進に関する検討会」において、制度の詳細についての議論が続けられています。時間外労働の上限規制と医事法制による追加的健康確保措置によって長時間労働の是正が実効性を持って進められ、医師が安心して働くことができる環境が整えられるよう、丁寧に議論を行うことが大切であると考えています。
さらに、「暫定特例水準の終了に向けた、医師労働時間短縮計画や評価の着実な実施が重要」ということについては、時間外労働の上限規制については地域の医療提供体制の確保等医療行政の観点から年1860時間という特例を設けられました。この時間数は一般則を大きく上回るもので、医師の勤務実態を踏まえて設けられたものと理解しています。地域医療の提供体制を確保するための暫定特例水準というものは経過措置で設けられたものであり、2035年度末を目標に終了するとされていますが、その間に医師の労働時間短縮計画や医療機関の取り組みなどの評価が着実に実行される必要がありますし、早期に労働時間短縮に努めることが必要であると考えています。
次に、さまざまな職種との連携と労使の話し合いに基づいた具体的取り組みが大切と考えておりますが、医療現場はさまざまな職種で成り立っており、医師の働き方改革はコメディカルの理解と協力が必要であります。また、医療機関に働く全ての職種・職員に影響するものです。各医療機関において医師はもとより、さまざまな職種を含めた労使で十分に話し合い、三六協定などが適切に締結されるようにするなど、具体的な取り組みを円滑に進めていくことが大切であると考えています。
医師の地域や診療科偏在対策をはじめとする総合的な取り組みも必要と考えています。医師の長時間労働は、医師の健康だけでなく患者にとっても大きく影響するものです。一般的に長時間労働は判断力の低下や精神疾患などを引き起こすことになります。そのため、長時間労働が容認されるような労働環境を変えなければ、地域医療を担う医師や専門性を高めようとする医師を確保することもできないという状態になるかと思います。また、医師の長時間労働を是正するためには、時間外労働規制だけではなくて、医師の地域や診療科の偏在対策や、他職種へのタスク・シフティング、国民の意識改革を進めていくことも大切です。厚生労働省をはじめとする関係者には、医師の働き方改革が実効性を上げ、地域医療を担う医師が増加するよう、総合的な取り組みをお願いしたいと思います。
現在、医師は時間をはじめ、私生活を犠牲にすることが多い働き方をしています。地域医療を担う医師を確保するためには、個々人のさまざまな理由で労働時間に制限を設けなければ働けない医師も就業できるよう、もしくは就業を継続できるよう、そのことで不利益を受けない労働環境を整備する取り組みも検討する必要があると考えています。
最後になりますが、社会的責任を果たすために業務を行っている医師が、副業・兼業を含めた労働時間管理が適切に行われないために、長時間労働を行うようであれば、医師の健康を守ることや、医師が社会的な役割を果たすことができず、さらに健康でない状況下では期待される成果を上げることができないことにもなります。今後も健康に働き続けられる環境が地域医療の確保に必要との観点からの御議論をぜひお願いします。
私からは以上です。
○森本様 続けさせていただきます。きょうは、貴重な時間をいただいて、ありがとうございます。私、全日本自治団体労働組合の森本と申します。
全日本自治団体労働組合というのは、御承知のとおり、全国の自治体あるいは病院関係でいうと自治体病院等で働く職員で構成する労働組合と理解いただきたいと思います。私の立場から何点か意見を話させていただきたいと思います。
まず、先ほど日本医師会の今村副会長から医師の副業あるいは兼業の状況についてお話があったと思います。現在、まさしくそのとおりの状況でございまして、特に地域医療に関しては、副業・兼業と医師個人の長時間労働があって初めて成り立っているのが現状だろうと思っています。
今回、医師の働き方改革あるいは副業・兼業の取り扱いなどをめぐって、大学病院等から医師が派遣されている状況があるわけですけれども、この派遣される医師の引き揚げなどが起こるのではないかといった不安の声が地方で上がっていることも事実だろうと考えております。この不安を払拭する意味からも、しっかりとした、あるいは早急な議論が求められていると考えております。
現在、医師の働き方あるいは労働時間のあり方など、さまざまな課題が複雑に入り組んでいるという状況にありまして、医療界の長年の構造的な問題であるということは承知しておりますし、これの改善には時間がかかることについては理解しているつもりでございます。しかしながら、労働時間管理をきちんと行うことは働く人の健康を守る上では欠かせないことでありまして、働いた分の賃金がきちんと支払われることも、これまた当たり前のことであると考えております。
地域医療の継続性と医師の健康の確保については、地域医療を守るためにどちらか一つを選ぶというものではないと考えております。現在、先ほど申し上げましたが、地域医療は医師の長時間労働など、医師の高い倫理観あるいは使命感に基づく、過酷とも言えるような労働条件の中で維持されていると言っても過言ではない状況にあるのではないかと考えています。
そのような中であるからこそ、まずは医師の健康を守ることが不可欠であるという観点から、医師の働き方改革の中では議論することが必要だと考えていますし、現在の医療供給体制が長時間労働によって成り立っているとするならば、それは改めていくべきだという考え方のもとで議論をしております。
医師の働き方改革ですけれども、先ほど事務局等から検討状況について話がございました。医師の時間外労働の上限については、いわゆる過労死基準あるいは一般則として超えることができない上限に相当する年960時間以下という時間数を、全ての医師が目指すべき水準とした上で、地域医療あるいは医療の質の確保などの観点から、客観的にその水準を超えざるを得ない医療機関に時間外勤務の着実な削減などを前提として、医療機関を指定し、追加的健康確保措置を講じるなど、医師の健康確保をすることを前提として、月平均として155時間という時間外労働が毎月続く計算となる1860時間を制度開始時の上限とするなどといった内容で検討を進めているところでございまして、現在、検討会の中では、具体的な医療機関の指定の方法あるいは追加的健康確保措置について検討が行われていると承知しております。
追加的健康確保措置ですけれども、過労死のリスクを無視することのできない水準の時間外労働に関しての検討でございまして、単独の業務であろうが、副業・兼業であろうが、日本の医療のために働くことが求められている医師の健康を確保するという観点から検討していくことが、まず第一に必要だと考えております。
次に、医師が複数の医療機関で働くことによって地域医療が支えられているのが現状であるからこそ、地域医療を継続的に確保するという観点からも、医師の健康確保と着実な労働時間の削減に向けて、今、かじを切っていくことが求められているのだろうと考えています。
医療界として医師の副業・兼業の労働時間を積極的に把握・管理していくことも考えられるのではないかと思っていまして、さまざまな実態を踏まえた議論が進められ、必要な取り組みが行われていくことを期待しておりますし、労働時間削減あるいは具体的な労働時間管理の方法等についても、私たちも知恵を出し合っていきたいと思っております。
その上で、現在、当分科会において副業・兼業の場合の労働時間管理に関する議論が進められておりますが、その結論が得られましたら、その内容を速やかに周知していただきたいと思いますし、議論状況などについても随時意見交換させていただきながら、その状況も踏まえて、医師の働き方改革の検討会の議論も進めてまいりたいと考えております。
また、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の中においても、現在の実際の医師の労働時間について兼業も副業も含めた実態がつまびらかにされている状況にはないと考えております。現在、実態調査についても実施されているということですから、これらの結果をしっかりと報告していただき、それらの結果も踏まえて、地域医療の崩壊につながらないような形での結論を求めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
雑駁でございましたけれども、以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお三方の有識者の御説明に対して何か御意見、御質問等があればお願いいたします。川田委員。
○川田委員 本日は非常に貴重なお話をどうもありがとうございました。私が伺いたいのは、医師の兼業や副業の具体的なあり方に関するお話で、お三方とも関連するお話をいただいたと思いますので、どなたか特定の方に向けてということではございません。
何となく私が持っているイメージとして、一般的な企業における副業・兼業というといろいろで、労働者は自分の判断で本業以外のところで働くというケースも少なくないと思うわけですが、医師の場合には、先ほどの資料の中にも出てきた、例えば大学病院のようなところにいて、そこにほかの病院から要請があって、それに応じて副業・兼業先に行ってもらうというような形も少なくないのではないかと思います。そうだとすると、例えば大学病院においては、少なくとも誰がどこに行っているという状況に関しては把握することができるのではないかなど、そのあたりの実態に何か特殊性があるとすると、それを考慮した検討をする必要があると思いますので、そのあたり、今述べたような実態以外に医師が副業・兼業を行うパターンとしてどういうものがあるのか、もし補足的に御説明いただけるのであればお願いしたいと思います。
○今村様 私のほうから御説明したいと思います。今お話がございましたように、地域医療の確保に関しては、地域の病院で、先ほど私もお話ししたように、例えば当直する医師を出してほしいとしても、医局の出身者の病院だから、あるいはそういうことと関係なく、この地域で医療をやっていく上で医師が不足する場合、どこかにお願いしなければいけない。例えば、私も日本医師会の仕事などしているため、午後の時間に、本当は自分の医療機関で診療をしなければいけないのに、そこを全部やめるわけです。それは地域の住民にとって不利益があるので、かわりの先生をお願いする。どうやってお願いするかというと、さまざまなつてをたどり、大学にお願いすることもあれば、民間病院にお願いすることもあれば、日本医師会のドクターバンクといったところにお願いして頼むとかして、1週間の診療時間を辛うじて確保して地域の診療所を維持しているという状況にあります。
このような場合、病院側から依頼することもあるのですが、実は若い先生たちは自分たちのネットワークの中で、あの病院の当直に行こうといって自主的に行くケースも結構あります。そうなると、依頼する病院側では把握できないということにもなります。一律にどういう形があり得るのかというように、一つのパターンには入れられないのが実情かと思います。
そして、副業・兼業に関する調査も厳密に調べたデータは多分なくて、先ほどのような日本医師会で病院に対し、どのようにしておられますかと問い合わせをしても、半分ぐらいは病院から出しているけれども、残りはよくわからないというような回答もあります。ここはもうすこし精緻に調べていく必要があろうかとは思いますが、現状では色々なパターンがあるということしか現時点では申し上げられないかと思っております。
○森本様 私からも少し話させていただきたいと思います。副業・兼業の実態については、今、今村副会長が言われたとおりだと思っているわけですけれども、では大学病院等でこれまで副業・兼業に関して個人から申告があったかというと、申告があって、それを管理していた、こういう状況にほとんどないのではないかと思います。各病院が具体的にどのようにすれば勤務時間管理ができるのか、こういったことについてまず戸惑いがあるのだろうと思いますので、そういったものについても具体例などがわかるような、あるいは検討できるようなものがあると医療界でも検討しやすいのだろう、それぞれの病院がこういう状況になっていると感じております。
以上です。
○工藤様 確かにさまざまなパターンがあって、一概にこれということは言えないかと思いますけれども、ただ、今お二方が言われたようなことも関連するかもしれませんが、わからないからということではなくて、やはり労働時間管理をするということでいけば、それをどうやって表に出すかということがこれから必要になってくるだろうと考えますから、そのやり方もさまざまなところで考えていく、検討していくことが必要なのだろうと考えます。
○今村様 多少、つけ加えさせていただきます。先ほど森本委員からもお話があった大学病院等で、この議論がまだはっきり決まっていないのだが、自分たちの大学でぎりぎり働いているのだから外には出さないように引き揚げようといった議論が起こっていることも間違いない事実です。確かに複数医療機関で働いている医師が何時間働いているか誰も管理していないというのは、まさしくそのとおりで、きちんと大学なりが管理すべきであると私も思っております。しかし、この議論がしっかりとどういう方向に行くかわからないうちに、大学病院が不安感だけで自分の大学だけの時間でもかなり限界が来ているのだからさっさと引き揚げる体制をつくろうというようなことが起こると、本当に地域医療が崩壊してしまうということが起こり得るので、何が起こるかという予見性を持つことは非常に難しいですが、相当の慎重な議論をお願いしたいということだけは繰り返し申し上げておきます。
○荒木会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 今日はどうもありがとうございました。私の質問はどちらかというと事務局にお答えいただいたほうがいいのかもしれませんが、先ほど御説明いただきました参考資料No.3の中で、地域医療の拠点としてBとCの指定にかかわるというところがあります。BとCの医療機関をまず指定する、特定するという記載がありますが、こちらは基本的には大きな病院になりますから、ダブるということで、それは同時に指定ということで考えていけばいいのでしょうか。それによって対象となる医師の皆さん方の人数など、どのぐらいが対象になるかということがある程度把握できると思います。指定する拠点の機関数が大体どのぐらい、例えば全国で1500カ所とかあると思いますが、今どのぐらいを見ていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
○医療労働企画官 事務局からお答えいたします。Bの医療機関の指定数については、先の検討会で推計しておりまして、大体1500ぐらいだろうと出しております。先ほど網かけで御紹介しました医療機能を満たしている病院と960時間超えの医師がいる割合を当時のデータをもとに分析しております。Cについては、恐らくBとCの指定がかぶるところが多いのではないかと思っておりまして、それ以上の推計は今はしておりません。
○佐久間委員 そうすると、基本的に重複して指定されるところもあるかもしれないけれども、Cだけ、またはBだけの単独ということもあるということですね。こういうふうに考えていくと、BとCは重複するところが結構多いのでしょうか。
○医療労働企画官 医療機関の皆さんが2024年に向けて時短を進めておりますので、時短の結果、手を挙げる必要がないところも出てくるかもしれませんので、確実なことは申し上げられないのですけれども、恐らく症例が集中するような医療機関のほうに医師も研さんを積みたい、勤務したいとなるでしょうから、事務局の読みとしては重なりは大分大きいのではないかと思っております。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。輪島委員。
○輪島委員 本日は貴重な機会を頂戴いたしまして、また、非常に複雑な実態についても御紹介いただきまして、感謝申し上げたいと思います。質問ということではなくて感想で恐縮でございますけれども、きょうの議事次第では、(2)「医師の働き方改革について」として議題の設定がされ、資料No.2と参考資料No.2で事務局から御説明いただいたように、医師の働き方改革全体については、必要な議論、慎重な議論、それから、それを踏まえての適切な対応があるだろうと思いますので、法定整備も含めてどのようにするのか、私どもとしても慎重な議論が必要なのだろうと思っているところでございます。
もう一つ、きょう御意見をいただいた兼業・副業の関係でございます。労働条件分科会で兼業・副業の議論というのは、ある意味では一般的な兼業・副業の議論をするということでございますので、その点で、御紹介いただいた医療界の兼業・副業の議論というのは、今、お聞きするだけでも大変複雑な状況ですので、それをあわせて議論できるのかどうかということになると非常に難しい議論だなという感想を持った次第です。
今村先生の御提示の資料の6ページ目がまさに医師の働き方改革の基本理念ということで、地域医療の継続性と医師の健康への配慮、これが2本柱だということはおっしゃるとおりだと思います。この点を踏まえてどういうふうに議論するのかということなのではないかと思います。
もう一点、そういう切り口で言うと、医師の兼業・副業というアジェンダ設定が、お聞きする印象で言うと、地域医療をどうやって支えるのか、セーフティーネットをどういうふうにつくり上げるのか、セーフティーネットが切れてはいけないわけなので、それについてどういうふうにするのか、そしてそれは、何回かお話があった需要と供給、いわゆる需給調整をどういうふうに行い、セーフティーネットが切れないようにするのか、どういうふうに現状を改善していくのかということであって、兼業・副業というアジェンダにして、そこにスポットを当てて議論することが適切なのかどうかということは、今、お話を伺った感じでは難しいのかなと思いました。
以上でございます。
○荒木会長 ありがとうございました。
今村様、どうぞ。
○今村様 ありがとうございました。ただいま輪島様から御指摘いただいた、私が兼業・副業に限ってお話を申し上げたことについての御感想でしたが、まさしく日本の医療提供体制をどうしていくのかという大きな転換点は、専門的な言葉になりますが、地域医療構想という全国の病院の機能を、これからの人口減少社会の中で今まで地域の中で病院として経営されていたものを変えていかなければいけない、機能を変えていかなければいけない、まずそういう問題が一つあります。
それから、医師の偏在、これは地域の偏在と診療科の偏在があって、今のところ、日本の医師は自分の思いでどこで医療をするのか、何科を選択するのかというのは自由に任されていますので、医師不足だからといって医師をどんどん養成しても、結局、都市部に集まるとか、あるいはやりたい診療科に集まっていく。これはなかなか防げないので、そのことを何とかしなければいけないということで、厚生労働省の医政局を中心として議論してまいりました。
その中で、突然、2024年に働き方改革で時間外労働の上限規制がかかったということで、結局、そこが一番の律速因子になってしまい、さらにその中で兼業・副業の話があります。医師の兼業・副業は今まで本来あるべき姿だと私は全然思っておらず、大学病院なら大学病院で働いたら、そこで適正な賃金が支払われて、わざわざ外に行って収入を得なくても生活できるようにするのが当たり前だと思いますが、そうではなくて日本の医療は今まで現場の医師の努力に任されてきたということがあります。兼業・副業の話に一番現場が不安感を持っているので、あえてここでお話をさせていただいたという経緯がございます。
全てのことを一体的に取り組んでいかなければいけないというハードルが高い話で、我々の気持ちからすると今までずっと放置されていたものをいきなり全部直しなさいというような話になっているものですから、そうはいっても医師の健康を守っていかなければいけないし、地域医療も守っていかなければいけないという非常に大きな問題なので、その点、現状をよく理解いただいて議論していただきたいということだけ、お願いを申し上げているところです。
○荒木会長 森本様、どうぞ。
○森本様 私のほうからもですが、医療界の長時間労働の問題は、今あったように医師の偏在なども含めてさまざまな要素が入り組んでいるということは事実だろうと思っています。一つの問題を設定すれば全てが解決するというものでもなく、総合的にさまざまな対策を進めていく必要があると考えております。
しかしながら、特に先ほどお話があったB水準、C水準というのは、通常の労働をした上で時間外労働1860時間までが上限、月155時間を毎月超える、こういうことです。これを兼業・副業であってカウントしないから、さらに大幅に上回る時間外労働を行うというのは、御承知のとおり、過労死を含めたリスクを大幅に増大させることになると思っています。現に医師の過労死なども多くの職場で発生しているという点からも、長時間労働を強いられているからこそ、きちっとした労働時間管理をしていく必要があると考えているということだけ言わせていただきたいと思います。
以上です。
○荒木会長 ありがとうございました。
工藤様。
○工藤様 森本委員と一緒ですけれども、兼業・副業がどうのこうのということよりも、労働時間管理をきちんとしないとやはり長時間労働は減らないだろうと思います。検討会でも、長時間労働の要素というのは何なのか、それを減らしていこうというときに、では兼業なり副業なりを、どう労働時間として把握するかというところが出たものですから、やはりそこのところはきちんとしていかなければならない。先ほど来、出ているように、これまで労働時間に関しては、使用者も、医師を派遣してもらうほうも特に考えていなかった。そういう実態があるという認識のもとに、そこのところはきちんとしなければならないだろうということでしたので、あくまでも、兼業・副業をどうするかということよりも、長時間労働をいかになくすか、医師の健康をどう守っていくかということが主体だったかと思います。その点、ぜひ御理解願いたいと思います。
○荒木会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、藤村委員。
○藤村委員 きょうはどうもありがとうございました。医師の働き方というところで、労働時間がとても長くなっている。その労働時間の質という点が大事だと思います。例えば当直で、ある病院に派遣されて、一晩そこで待機した。非常に重篤な方は誰も来なくて楽だったという日もあれば、重篤な方が続いて大変だったという日もある。1日12時間という時間の中で労働の質というか、強度というか、日によって相当違うだろうと思います。それも含めて把握できれば恐らく一番いいのだろうと思いますが、その辺の議論というのはどのようになっているのでしょうか。お願いします。
○今村様 御質問ありがとうございました。おっしゃるとおり、もともと所属している医療機関の中ではどういう働き方をしているか、例えば、ある意味、時間にはなっているが、これは無駄な時間で、もうちょっと効率よく働いたらこの時間は短くできるといった労働の質については把握できるわけです。外の病院に行く場合、例えば自分で自主申告で、きょう、3時間この病院に行ってきますと言ったときに、私自身、もともと麻酔科という科にいましたので、麻酔科では3時間の手術の予定で行ったら、手術がこじれて6時間かかりましたみたいなことはよくあります。そうすると、それを事後に、きょうは行ったら6時間になっていましたみたいなことを、大学病院だったら何百人も医師がいる中で全てどうやって把握するかという技術的な問題はあろうかと思います。
それから、当直についても、寝当直とよく言いますけれども、法律の中で病院には当直の医師を置かなければいけないということになっているので、その間、何もなくても医師を一人張りつける場合もありますし、御指摘のように、結構、通常の業務と同じような仕事をされるケースもあるということなので、その辺の質と時間の関係をどうやって整理するかというのは非常に難しいと思っています。
国の検討会の中で、単なる時間の問題だけではなくて、その方の健康をどのように客観的に把握するのか、今の様々なイノベーションの技術を使えば、ウエアラブルの端末でその方の血圧あるいは睡眠の状況といったさまざまな健康情報を第三者的に把握する方法もあるのではないかという議論もしております。これからの医療のあり方を変えていく上では、従来のアナログ的な、帳簿に何時間というような話だけではなくて、いろんなアプリも多分出てくると思いますし、そういうものを活用しながら時間を把握していくということについての重要性は我々も認識しておりますので、今後、そういう方向に行くのだろうと思っています。
ただ、質を見るのは難しいので、その方の体の状況、例えば40歳のドクターといっても、もともと基礎疾患を持っている医師と健康上何の問題もない医師が同じ労働時間働いたらどういう影響が出るかなどは全然違うわけですから、本人の健康状態を単に労働安全衛生法の中の健診だけでいいのかという問題は当然起こってくるので、そういうものもこれから議論していくことになろうと思っているところです。
○荒木会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。森本様。
○森本様 労働の質、強度ということですけれども、医師の当直・宿直あるいは自己研さんなども含めて、当直・宿直に関しても、言われるとおり強度が非常に強い、ふだんの外来等の業務と全く同じような状態というのもありますし、そうではなくて、先ほど言われたような寝当直であるとか、さまざまあるというのが実態だろうと思っています。そのことが逆に勤務時間の管理の不徹底あるいは長時間労働を招いているという状態です。それから、低賃金などさまざまな状況を発生させている要因の一つでもあるというのも確かなのだろうと思っています。その問題に関しても、昨年でしたか、厚労省のほうからも改めて通達なども出されていますので、各病院において適正化に向けた取り組みが今、進められている最中だと考えております。
以上です。
○荒木会長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○黒田委員 きょうは大変貴重な御意見をありがとうございました。お三方のお話をお聞きしていて、医師の人数も足りないということもさることながら、大変問題になっているのが地域間や診療科間の偏在だということを改めて理解した次第です。
これは事務局に質問になるのですが、労働時間規制に関しての先ほどの御説明ですと、2035年度末にはB水準は終了するということだったかと思います。医師の偏在をこの時点までに解消する予定というような内容の御説明をいただいたと理解しておりますが、先ほど今村先生がおっしゃっていた地域医療構想の検討を経て、あと15年すれば今の問題は解消されるという理解でよろしいでしょうか。
というのは、ここでいろいろと話をお聞きしていると、15年頑張れば偏在が解消されるのかということが今後の検討の際に非常に重要になってくるのかと思います。例えば、臨床の研修医のマッチングのプログラムなどの数字を見ていますと、先ほど今村先生がおっしゃったように、現在は医師が自由に選べるという中で充足率が満たない病院もかなりあるようなデータも見えてきているところです。地域の偏在だけではなく、診療科の偏在もある中で、どういうスケジュールとどういう枠組みで解消していく計画なのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。
○医療労働企画官 事務局からお答えいたします。厚生労働省では、2036年までに医師偏在を解消するという目標を掲げており、Bの水準は2035年度末を目標に終了年限としようとしております。偏在問題は、非常に難しい課題であるということも認識しております。
本日の資料にはございませんが、医師偏在については医療行政において法改正も行いまして、今、さまざまな取り組みを進めているところでございます。医師少数県などを見える化しましたり、専門医については、専門医機構の取り組みですけれども、専門医にシーリングをかけるというようなこともしております。都道府県の中に地域医療支援センターを置きまして、地域の中の医師の調整をしようという取り組みも始めております。
都道府県における医師偏在の対策の実施体制の強化としまして、これまで地域ごとの医療計画をつくっておりましたが、そこに医師確保計画もあわせてつくる取り組みを始め、また、外来機能の不足・偏在等への対応についても、外来情報の可視化に取り組んでおります。こうした取り組みも当然、状況を踏まえながら、PDCAサイクルを回しながら進めていきたいと思っております。
以上のような形で医療行政としても、働き方と、先ほど話題に出ていました地域の医療構想と偏在の問題、この3つを三位一体という言い方もしておりますが、一緒になって推進していく、これをしなければ地域の医療は確保できないという認識のもとで進めております。
○荒木会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今村様、森本様、工藤様におかれましては、本日は大変御多忙の中、時間を頂戴しまして、ありがとうございました。それぞれのお立場から大変有意義なお話を伺うことができたと思います。改めて感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
(講師退席)
○荒木会長 本日の議題は以上で終了ということになります。
最後に、次回の日程等について事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木会長 それでは、以上をもちまして、第159回「労働条件分科会」は終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の北野委員、使用者代表の輪島委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。