第94回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年12月16日(月)15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E

議事

○中川分科会長代理 それでは定刻となりましたので、ただいまから第94回障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は阿部分科会長が欠席でございますので、代理として議事の進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。なお、本日は阿部分科会長、倉知委員、武石委員、長谷川委員、塩野委員、阿部一彦委員が欠席です。
それでは議事に入ります。本日の議題は1、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について(諮問)。2、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)。3、障害者の雇用促進等に関する法律施行規則第16条の2第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める特例給付金の額等を定める件案要綱について(諮問)。4、その他となっております。
それでは、議題1「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは御説明申し上げます。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。資料の1になります。諮問文の次のページを御覧いただければと思います。今回、前回御議論いただきました除外職員の規定について、政令案をお示ししております。第1にありますように、令和6年12月31日までの間、在外交官(政府代表部を除く)に勤務する外務公務員を除外職員として、規定に加えることとしております。説明は以上です。よろしくお願い申し上げます。
○中川分科会長代理 ありがとうございました。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱についての諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行った結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは質疑に移ります。御質問や御意見がありましたら、視覚、聴覚障害者の方々への情報保障の観点より、必ず挙手していただき、私が指名した後にお名前を名乗って御発言いただきますようお願いします。特にございませんでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○中川分科会長代理 それでは報告文案の配布をお願いいたします。
(報告文案配布)
○中川分科会長代理 よろしいでしょうか。読み上げます。令和元年12月16日、労働政策審議会会長鎌田耕一殿。障害者雇用分科会分科会長阿部正浩。「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱」について。令和元年12月16日付け厚生労働省発職1216第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。
お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○中川分科会長代理 それでは、そのように報告いたします。今後、労働政策審議会会長宛てに報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することになります。
続いて、議題2の「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは引き続きまして、資料2を御覧いただければと思います。省令案要綱についてお示ししております。第1として、特定短時間労働者に係る特例給付金についてです。本特例給付金の対象障害者であります特定短時間労働者を雇用する事業主に給付金を支給するものといたしまして、2にあるように、特定短時間労働者の労働時間については、10時間以上20時間未満とすることとしております。また、その額、その他必要な事項については、厚生労働大臣の定めるところによるということとさせていただき、4ですが、特例給付金の支給時期は、告示において、各年度の11月から12月31日までとすると、後ほどまたお諮りをいたしますが、させていただいております。この件については、事業主の負担の軽減と支給の円滑化等の観点から、調整金の支給についても、現行の10月1日から同月31日までとしている取扱いについて、各年度の10月1日から12月31日までの間に行うこととして、変更する規定を4に置いております。
第2です。中小事業主認定制度に関する基準についてです。基準に適合する事業主の認定等ということです。1として、本認定を受けようとする事業主は、大臣の定める様式による申請書に、基準に適合するものであることを明らかにする書類を添えて、都道府県労働局長に提出しなければならないとしております。
2が認定の基準です。1として、障害者の雇用の促進及び安定に関する取組として、A型事業所の利用者に対する取組は除きますが、取組に対して、(1)体制づくり、(2)仕事づくり、(3)環境づくりと、それぞれの取組の区分に応じて、表に挙げておりますように、評価と点数がありますが、その付した点数の合計が5点以上であることということで下限を規定しております。
4ページです。2として、同様に取組の成果についてですが、(1)数的側面、(2)量的側面それぞれの評価区分、それに応じた評価点の合計が6点以上であることとするとして、下限を規定しております。
6ページです。3として、情報開示に係りまして、同様に(1)取組、(2)成果、それぞれについての評価点、点数を足し上げ合計したものが2点以上であるということを下限として規定しております。
7ページの4です。各取組に関する合計点数それぞれで20点以上、特例子会社にあっては35点以上であることをもって、認定の基準とすることを定めております。
その他、これまでに御議論いただきました評価要素等については、別途申請手引きマニュアルにおいて明らかにしていくこととしております。
5です。まず(1)として、法定雇用障害者数以上の対象障害者を雇用していること。特例子会社にありましては、みなしグループ算定が適応されている場合には、そのグループ全体として法定雇用障害者数以上の対象障害者を雇用していること。併せて、A型事業所サービス利用者を除く対象障害者を1人以上雇用していることにも該当していることを基準としております。
6です。8ページになりますが、認定の取消しを受けて3年を経過していない者、また暴力団員等、あるいは風俗営業等、その他国の助成金、補助金又は給付金の不正受給等により、支給要件を満たさなくなった者。その他関係法令に係る重大な違反事実がある者に該当しない者であることを基準として規定をしております。
3です。認定を受けた事業主が大臣の定める表示を付すことができる者として定めております。9ページです。(1)商品、(2)役務の提供の用に供するもの、(3)商品、役務又は事業主の広告、(4)商品又は役務の取引に用いる書類又は電磁的記録ということで、(7)まで規定しております。名刺あるいはその封筒などは、(4)商品又は役務の取引に用いる書類に含まれます。
この認定のマークについては、今後公募をし、定めていくこととしております。
4以下ですが、認定についての辞退の申出をすることができること、あるいは認定及びその取消しに係る厚生労働大臣の権限を労働局長に委任をしていること、その他所要の規定について整備を行うことを規定しております。この省令については、令和2年4月1日から施行することとしております。以上です。よろしくお願い申し上げます。
○中川分科会長代理 ありがとうございました。本件について、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」の諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行った結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは、質疑応答に移ります。御質問や御意見がございましたら、挙手していただき、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いします。特にございませんでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○中川分科会長代理 それでは報告文案の配布をお願いいたします。
(報告文案配布)
○中川分科会長代理 よろしいでしょうか。それでは読み上げます。令和元年12月16日、労働政策審議会会長鎌田耕一殿。障害者雇用分科会分科会長阿部正浩。「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、令和元年12月16日付け厚生労働省発職1216第2号をもって労働政策審議会諮問のあった標記については、本分科会は下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。
お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとして、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○中川分科会長代理 それでは、そのように報告させていただきます。今後、労働政策審議会会長宛てに報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することになります。
次に、議題3の「障害者の雇用促進等に関する法律施行規則第16条の2第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める特例給付金の額等を定める件」について、事務局から御説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは資料3です。1ページ、先ほど御説明した省令で、特例給付金の額、その他必要な事項については大臣が定めるとしておりまして、その厚生労働大臣が定める特例給付金の額等についてです。
第1として、特例給付金の額については各年度ごと、それぞれ1及び2に掲げる事業主の区分に応じ、それぞれ1及び2に定める額としております。各月ごとにその初日におけるその雇用する特定短時間労働者の数の合計額を乗じて得た額とするとして、常時雇用する労働者の数が常時100人を超える事業主については7,000円、100人以下である事業主については5,000円と、それぞれ額を規定しております。
2ページ、第2として、申請期間についての規定です。各年度ごとに100人超の事業主については翌年度の初日、納付金の申告、調整金の申請と同時に実施ということです。初日から45日以内です。100人以下の事業主については、報酬金の申請がある場合、同時に実施ということで、翌年度の7月31日までと規定しております。
第3、事業主の申請についてです。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の定める様式による申請書に機構の定める様式による報告書を添付した上で、機構に提出していただくこととしております。3ページ、2として、申請書の提出についてです。100人超の事業主については、納付金に係る申告書及び調整金に係る申請書の提出と同時に、100人以下の事業主については、報酬金に係る申請書の提出と同時に行わなければならないこととしております。
第4として、支給時期です。各年度の10月1日から12月31日までの間に行うものとすることとしております。その他必要な事項については、機構が定めることとしております。本告示については令和2年4月から適用することとしております。以上です。よろしくお願いします。
○中川分科会長代理 ありがとうございました。本件について、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第16条の2第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める特例給付金の額等を定める件について諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行った結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは、質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら挙手していただき、御発言いただきたいと思います。いかがですか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告を申し上げたいと思いますが、よろしいですか。それでは、報告文案の配布をお願いします。
(報告文案配布)
○中川分科会長代理 読み上げます。令和元年12月16日、労働政策審議会会長鎌田耕一殿。障害者雇用分科会分科会長阿部正浩。「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第16条の2第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める特例給付金の額等を定める件案要綱」について。令和元年12月16日付け厚生労働省発職1216第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は下記のとおり報告する。記、厚生労働省案は妥当と認める。
お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとして、よろしいですか。それでは、そのように報告させていただきます。今後、労働政策審議会会長宛てに報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することになります。
最後に、議題5、その他として、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。参考資料4に基づきまして御報告を申し上げます。通勤や職場等における支援の在り方についてということです。前回の分科会におきましても御報告を申し上げた件です。それ以降、追加をしている部分について、本日追加的に御報告を申し上げます。
2ページ、「現時点の主な検討内容」と左側にブルーの帯が入っている資料です。前回の資料に追加で赤字を記入しております。2つ目の論点を御覧ください。通勤や職場等における支援を検討するに当たって、具体的にどのような目的で、どのようなことを行うものであるか、その中身、性格等を整理した上で、その提供の責任の所在と負担について整理すべきという論点について、その後またPT等で議論を重ねる中で、提供の責任等を整理するに当たりましては、雇用なのか自営なのか、あるいは民間なのか公務なのかなど、障害者の働き方も踏まえる必要があるということを追記しております。
次の実態把握の必要性について、前回も御紹介したとおり、障害部のほうで実態調査を進めておりました。この件は取りまとまっておりますので、後ほど御説明します。
それから、スピード感を持って検討を重ねていくということですが、前回の分科会以降3回ほどPTを開催しておりまして、障害者団体の代表、労使それぞれからヒアリング等を行ってきたわけです。これまでの検討等も踏まえて、重度の障害がある方の通勤や職場等における支援について、雇用施策と福祉施策が連携して制度の谷間に対応していくということで、令和2年度から意欲的な企業や自治体において取組を実施してはどうかと。取組の視点としては、障害者雇用納付金制度に基づく助成金の拡充を図るとともに、自治体が必要と認める場合には、地域生活支援事業の新事業、これは予算事業になりますが、これにより各自治体が支援を行うというような新たな取組を実施してはどうかと考えております。
本取組については、まず当面の対応ということで、モデル的に試行的に実施した上で、その利活用状況等も踏まえて必要に応じて改善について検討するとともに、当然、今後の当分科会でも御議論を頂くような、本質議論に向けての素材にもなってくるかと思います。
3ページ、これが調査研究についての概要ということです。アンケートの調査結果速報値として追加しております。今回、重度訪問介護事業所を対象とした全数調査をした結果、重度訪問介護サービスを利用している方の中の就労率は6.0%、また就労希望率は5.4%ということで取りまとめております。私のほうからの御説明は以上です。
○中川分科会長代理 ありがとうございました。それでは、ただいまの報告案件について、御質問や御意見がありましたら、挙手をしていただきお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
○竹下委員 竹下です。ありがとうございます。通勤と職場介助、職場支援というものを一体として考えることの必要性ないしは問題点についてです。これを通勤と職場を常に1つのものとして捉えることが可能なのか、そのことはあえてよけい混乱を招くのかという整理の問題です。私自身、まだ十分に分析できているわけではありませんが、私としては分けるべきではないかと考えております。通勤と職場介助を一体と考えることには無理が幾つかあると思っているからです。通勤における支援というのは、本質的に通勤者あるいは就労者の本人支援でしか考えられないと思っているからです。すなわち、事業主支援を通して通勤支援を行うことに不可能ではないにしても、無理があるのではないかと思うのです。その理由は幾つかあるわけですが、例えば、通勤中の事故を考えても、当の障害者自身が通勤中に仮に事故に、交通事故も含めて遭遇したときには、通勤労災の適用があるわけです。その場合に、介助した人が事業主に雇われている人という形で一体化をもってやるとすれば、その方にも通勤労災の適用があるかと思いますが、逆に、障害福祉サービス、移動支援事業所から派遣されている介助者が付き添っている場合の事故は、この方の事故時の補償は別途に対応すべきではないかと思うからです。
先ほど申したように、事業主に雇用されている労働者として延長線で考えれば、通勤労災の適用は可能でしょうが、それが非常に怖いなと思うのは、そうなってくると、1人の介助者が家を出てから職場内、職場から今度は家へ帰るまでを、時間にして8時間どころか10数時間にわたって介助することは想定できないからです。1つの事業所から派遣されている人間を、どこかで時間帯あるいは場面ごとで切断していくなら可能でしょうが、1人あるいは継続した就労というものは想定できないから、事業主が雇った介助者が通勤と職場内を一体的に支援するというのは、相当無理があるのではないかと思っているのが1点目です。
もう1つは、サービス内容が本質的に違うのではないかと思っております。移動における支援というのは、移動における障害に応じた、特性に応じた介助のノウハウが当然あるわけで、そのための移動支援従事者の訓練も行われているわけです。それは重訪であろうが、行動援護であろうが、同行援護であろうが、当然それに即した障害の特性に応じた安全かつ本人の快適な移動のスキルを身に付けた従事者がやっているわけです。その支援と、職場における就労時の支援は、どう考えても本質は違うだろうし、サービス内容も違うと思います。その両方を身に付けた従事者を確保することが、そう簡単にイメージできるのだろうかと思うわけです。その点からも、従事者のサービス内容が本質的に違うものを1つのサービスにまとめてしまうことに、非常に大きな不安ないしは疑問があるからです。これが一体とすることの疑問点です。無理があるのではないかということです。
2つ目の意見は、職場内における介助についてです。職場内の介助というのは、これまで職場介助者として雇用納付金による助成金によって実現してきている制度があるわけですが、この場合には、事業主に雇用されている従業員を配置する場合であろうと、その介助者の委嘱をする場合であろうと、その双方は事業主支援として行われていると思いますが、それに対して当たり前のことでしょうが、福祉サービスなり介護サービスでそれをやろうとすると、当然それは本人支援ですから、形式論だけではなくて本人の指示の受け方や、本人との結び付きが根本的に違うのではないかと思うわけです。
少なくとも、例えば移動支援の従事者が、そのまま今度は何か形式を変えて、職場に入った瞬間から事業主の委嘱を受けた従事者に形を変えることに仮にするとしても、その方がその瞬間から本人支援ではなくて、事業主支援としての委嘱者になるという、そんな変なことが成り立つのだろうかと思うわけです。そうではないのだったら、福祉サービスの延長線で考えるというと、本人支援としての従事者が職場内で当該労働者の支援介助をしていくということになると、片方では事業主支援としての介助と本人支援としての介助というのは、区別の付けようがなくなってくるというのか、そんな区別が可能なのだろうかという矛盾が出てくるということを、どこかで克服してほしいと思うわけです。
私はこれまでにもずっとお願いしてきたことがありまして、現在の職場介助者というのは、事業主支援のために当の視覚障害者が例えば職場介助の配置をお願いしたいということを事業主にお願いしても、事業主がその必要性はないと言ってしまえば、当該視覚障害労働者は職場介助者の配置をしてもらえないわけです。すなわち、あくまでも事業主支援であるために、当該労働者が視覚障害労働者が配置を希望しても、その配置が希望どおり実現する形を取ってこなかったわけです。私はこの際だから、この議論の中でそこを克服してもらう制度作りというものができるのかどうか検討していただきたいのです。すなわち、福祉サービスで考える限りは本人支援ですから、本人の希望と本人の求めるサービスを提供するということでなければならない。そういうことを前提とした職場介助者の再構築と言いますか、仕組み作りを是非行っていただくということを、今回の議論を通じてお願いしたいというのが2点目です。
最後に、これまでの事業の在り方で、常に職場介助者は雇用納付金制度でやってきましたから、枠組みが狭いと理解しております。すなわち、労使関係というか、雇用契約の下で雇用されている障害者に対する支援としての雇用納付金は、事業主支援があったとしても、それ以外は一切駄目だったわけです。例えば、自営で就労するパターン、あるいは公務員として働くパターンの場合は、雇用納付金は使えません。この壁をなくしてほしいわけです。それをなくすためにどうするかという話は、私はこの辺は余り、制度論というのは不勉強で申し訳ないのですが、雇用納付金制度そのものを法律で変更しなければならないのか、その雇用納付金の中に一般財源を入れればその壁が破れるのか、その辺は私は理解できていませんが、いずれにしても、雇用納付金制度が自営という場面でも、就労している障害者の支援ができる、介助ができるような制度にし、あるいは公務員が就労する場面での介助者にも使えるようにするということをしていかないと、この間広がりつつある国家公務員を含めた公務員の障害就労者への支援が、形としてきちんと介助者が実現していかないということを懸念していますので、この辺の解決も併せてお願いしたいと思います。以上です。
○中川分科会長代理 御意見ということで、事務局いかがですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺です。今回の当面の支援としては、まずもって重度訪問介護サービス利用者等を主な対象としてという意味で言えば、そのサービスを受けている方のニーズは、正に通勤、職場、それぞれ一体的に御自身が使われているサービスをシームレスでお使いになりたいという、このニーズがあって、今回何ができるかということを検討してきているという意味で、竹下委員がおっしゃった通勤職場支援を一体として考えることの課題等、幾つかの御指摘を頂きました。それぞれの専門性、スキルが違うのではないかとか、1人のヘルパーがそれぞれ全てをやるのかとか、あるいは事業主との関係はどうなるのかといったような御指摘なども踏まえながら、今後の検討の中で課題解決を図っていきたいと考えております。
併せて、仕組み作りとしては、今は正に助成金という枠組みですので、事業主がそれを措置するかどうかが前提にあり、その上で事業主が措置したものについて助成金をお支払いするという支援の枠組みについては、今回はそういった形で対応するということになりますが、本人の御希望を踏まえ、できる限りその事業主の皆さんが取組を進めていただけるように、例えば現行の枠組みで御負担感も踏まえた上での助成率を高めていくようなことも視野に入れながら検討してまいりたいと思います。
一番最後に納付金制度についての取扱いの御要望等がありました。もちろん御指摘のとおり、現時点においては、納付金というのは雇用をされている事業主の共同連帯としての仕組みになっておりますので、自営や公務については使えないというのは当然のことです。今回も、先ほど論点追加のところで申し上げたように、例えば雇用か自営か、民間か公務かも踏まえる必要があるという指摘の意味は、言ってみれば納付金制度においては雇用についての部分を御支援申し上げますが、自営や公務については対応はしないといったことで、そこは障害部の対応になってくるということです。ただ、自営は対応するということで聞いておりますが、公務については今回は対応しないと聞いております。そういった議論も併せて行われているということです。
最後にそれらを含め、そういった支援があれば働けるといった重度の障害者の方たちに対しての支援について、本質的にどう考えていくのかというのは正に今後の議論であります。今回のモデル事業も通じて、その実施状況、あるいはニーズのきめ細かな把握も踏まえて、本質議論と併せて、本来どうあるべきなのかということは、今後引き続き検討させていただきたいということになるかと思います。以上です。
○中川分科会長代理 よろしいですか。
○竹下委員 はい。
○中川分科会長代理 正木委員、どうぞ。
○正木委員 使用者側の正木です。言うタイミングもなかったので、まず議題2と議題3について、民間の取組についての施策について、今回答申が出たということで、今後これが省令等になったときには、周知等を行い有効に活用していきたいと思っております。
その上で、その他の案件として出てきたもので、まず、竹下委員が御指摘の通勤と職場支援を区別すべきではないかというところについては、私どもも、通勤については雇用ではない、労働時間とは別の扱いになっている時間ということで、働く障害者の時間の観点からしても別のものであるとは思います。ただ一方で、一体にとおっしゃっている意味が、シームレスと言いますか、切れ目がない支援という意味であれば、正にそのとおりでありまして、どちらかのみを支援して、働くことができても働きに来ることができない、あるいは通勤ができても働けない、といったことでは困りますので、これを福祉と雇用と両方の力を合わせて働くことができるようにするという意味での「一体」という趣旨では、連携をうまく図れるようにしたほうがいいかなと思っております。
その上でお伺いしたいのが、最後の助成金のところです。今、自営業は対応されるとおっしゃった点について、福祉のほうで対応されるというのは何を対応されるのか分かりませんでした。
それから、障害者雇用納付金制度については、小野寺課長の御指摘のとおり、正に納付することと助成することが保険制度のような感じで成り立っているということだと思います。今回、もしこういう予算措置をするということがあれば、具体的に財政状況はどうなっているのか、新しい制度を作ってもうまく回っていく見込みがあるのか、その辺の御説明がないと、予算として助成金をどんどん出しますと言っても財源がないということになってしまいますので、その辺の御説明をお願いします。
○中川分科会長代理 御意見と御質問ということで、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それではお答え申し上げます。障害者雇用対策課長の小野寺です。まず1点目の自営についてです。大変、言葉不足で申し訳ありませんでした。今回の措置については、公務については一旦見送るということになりまして、自営については当然非雇用ですので、この部分は障害福祉部のほうで措置される予算事業として対応していくということです。
残りの民間部門、雇用者についてが納付金制度の中と、それでは十分ではない部分については、当然職場の介助等という理解では成り立たない部分もありますので、生活介助に係る部分については併せて障害福祉部のほうで措置される予算事業で、正にここは持ち寄りで対応していくという形になっております。
それから、財政状況についてです。今、納付金制度は200億円ぐらいの剰余金があります。それをもちろん見込んではおりますが、今回の助成金は当面の対応という位置付けですので、現行、経過措置も含めて、年間の実績が約7億ですので、当面の対応自体はこの年間7億を超えるようなことは見込めないと考えております。その上で、最長4、5年、もし運用したとしても、財政状況としては安定的と言いますか、財政運営が見込めるということで計画を立てていきたいと考えております。以上です。
○中川分科会長代理 よろしいですか。
○正木委員 後段は分かりましたが、前段の自営の方の通勤はしないから、就業場所の支援をする、それを合わせ技というか、どういうことですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。追加的に御説明します。合わせ技と申し上げたのは雇用の部分です。雇用の部分については、例えば4時間勤務するうちの大体どのぐらいがいわゆる職場介助として事業主が措置すべき部分なのかといったことについては、当然事前にサービス事業者なり御本人、雇用される企業側で調整がなされるかなと思います。
そういう意味で言いますと、例えばそのうちの1時間分を事業主として措置をするとなると、措置した1時間分について助成金が出るわけです。残りの3時間については、自治体と国でいわゆる予算事業として担保していくような形ですので、財源を持ち寄って両者が措置をしていくということです。これは雇用者についての職場、通勤についても一定期間ということで整理を付けるのかなと現状は考えております。
自営のほうは丸々、もちろん通勤という概念があり得るということであれば、そこも含めて全て、障害部の予算事業で対応していくということになります。
○中川分科会長代理 よろしいですか。ほかにありませんか。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 御説明ありがとうございました。ダンウェイの高橋です。意見として述べさせていただきます。今後の体制整備に関する部分が中心になりますが、前回の会議で、正木委員からも話がありましたが、雇用施策と福祉施策の本格的な一体的展開の推進を審議できる体制を速やかに整備する際、労使、障害者団体の参画をお願いしますという意見がありましたが、これは本格的な議論という点になった場合には、多面的、多角的な視点、そして、今色々意見が飛び交っていますが、将来の運営を見据え、現場の視点を吸い上げてより良い形を作っていくためにも、是非お願いしたいと思います。
今の通勤という点においては、おおむね骨格は決まっていますが、10時間以上の特例給付金の在り方とか、その背景、または中小企業認定制度を検討してきたことから考えると、地域共生という点に、もう少し身近な所で皆さんが働くという視点を持ってもいいのかなと思います。身近で働く場合というのが少し抜けている部分があるかなと思いましたので意見をさせていただきます。
例えば、超短時間とか短時間の、障害のある方の選択肢が増えてきているという点においては、雇用促進と障害者総合支援法からなるサービスがかなり近付いてきたというところを考えますと、前回までの分科会でも言っておりますが、ある制度をより活用するという点においては、もう一回障害者総合支援法からなるサービスを見てみるといいかなと思っています。
例えば通勤というのは、総合支援法から見ますと、雇用決定後のフォローアップというので、例えば定着支援事業というのがあります。ここにある意味期待されているのは、生活自立という点もカバーしてねということを、定着支援事業又は障害者就労支援センターなどに期待されているところでもあるかと思います。そうしますと、通勤というのはその辺りにも入ってくる、生活自立エリアにも入ってくるのではないかという場合においては、定着支援、もう少し寛容に見ますと自立訓練、機能訓練又は生活訓練の辺りにも、地域で働くと考えたときには、そこに選択肢が出てくるのではないかと思います。実際に、既に雇用された方が自立訓練を併用して活用できる事例は出ていますので、そういうことも実態として捉えるためにも、是非中小企業も含めた労使障害者団体の参画から制度を考えていくのは、前向きに検討いただきたいと思います。以上です。
○中川分科会長代理 御意見ということでよろしいですか。何か事務局からありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。議論の場の持ち方については、前回も正木委員からも御指摘を頂きまして、私ども障害者雇用分科会、障害福祉サービスということで言えば、社会保障審議会の中の障害者部会、この2つが関連する審議会になろうかと思いますが、ここの2つの合同会議という在り方も1つの選択肢かなとも思います。いずれにしても、今、高橋委員からの御指摘があったような、多面的な視点による制度設計、実態もしっかり踏まえた上で、また更に総合支援法によるサービスなどの資源もいろいろ活かしながらということも御指摘としてありましたので、これらの御意見も踏まえて、今後の検討に当たっては、場の設定も含めて留意してまいりたいと考えます。
○中川分科会長代理 よろしいですか。ほかにありますか。
○仁平委員 連合の仁平です。私のほうも議題に戻るようですが、無事諮問に至ることができまして、6月の法改正以降、基本方針計画作成、中小の認定制度などの議論をしてきてここまで至ったことは、非常に評価できるのではないかと思っているのが1つです。
通勤をめぐって厚労省内のPTでも意見を述べさせていただいたところですが、今の実態も含めて、使用者が講じているところもあるわけですが、過度に使用者だけに負担ということにもならないでしょうし、この辺はもう一度考え方も整理してよく検討しながらまとめていく、議論を進めていく必要があるのではないかと思っております。いずれにしても、労働側としても更なる障害者雇用の推進、障害の種類とか程度にかかわりなく、全ての人が安定的にディーセントな環境で働き続けられるような社会とか、職場の構築ということについては積極的に議論に関わっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。
○中川分科会長代理 御意見ということでよろしいですか。何か事務局からありますか。特にありませんか。ほかにありませんか。
○小出委員 育成会の小出です。私ども当事者として、今、制度の中でなかなか連携が取れないというのが医療関係です。医療の中に福祉の支援が入れないのです。要は、病院の中にヘルパーとかが入れませんので、その壁があるわけです。
もう1つ、雇用の場合においても、同じようなことが今まで言われております。職場の中に福祉のサービスが入れ切れないということがありまして、だんだん定着支援等で働いている人たちの支援をするということで入れるようになりましたが、一歩踏み込んで、この辺のところを今回のような障害者雇用納付金制度、あるいは自治体が必要と認める場合には地域生活支援事業ということで、これは障害福祉のサービスでして、それによって自治体が支援を行うということはあります。
雇用率が実は2%から2.2%になって、今こういう現象が起こっております。今まで就労継続A、Bの所から、あるいは就労移行支援から企業のほうに就労しようとして、企業の面接を受けたり何かしても、企業側から今までは断わられていたのです。雇用率が2.2%になったということで、逆に今まで就労できないようなレベルの人も欲しいということで、今は企業側としては人材難ということが起こっていますよと。ということは、今度は企業側の職場の中を見ますと、福祉的な支援がもう少し必要ではないかという人が増えているという、今までAとかBとかいう、いわゆる福祉就労の場で働いていた人たちが、実際の企業の現場で働くという状況も起こっているということです。そういうことを考えますと、新たな職場内での支援の在り方の見直しが必要ではないか。私ども当事者としては、そういうふうなことを危惧しておりますので、今後ともこの議論はそういう面でも深めて、今後また雇用率がアップされますので、ますます障害のある人たちが現場で働くことが増えますので、その支援の在り方を積極的にお願いしたいという希望です。
○中川分科会長代理 ありがとうございました。事務局から特にありませんか。ほかにありませんか。特にないようでしたら、以上で本日の議論は終了となりますので、障害者雇用分科会は終了とさせていただきます。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 次回の日程については、分科会長と御相談の上、皆様に御連絡させていただきます。以上です。
○中川分科会長代理 本日の会議に関する議事録の署名については、労働者代表は内田委員、使用者代表は高橋委員、障害者代表は眞壁委員にお願いします。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。