令和元年12月27日 第174回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和元年12月27日(金) 10:30~12:00

場所

ベルサール九段 3階ホール

出席者

委員 ※五十音順

議題

1.令和元年度介護事業経営概況調査の結果について
2.令和2年度介護事業経営実態調査の実施について
3.その他

議事録

 
○眞鍋老人保健課長 それでは、定刻になりましたので、第174回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、年末の大変御多忙のところ御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
本日の委員の出席状況でございますけれども、井上委員、大西委員、尾﨑委員、河村委員より、御欠席の連絡をいただいております。
また、亀井委員は、おくれて到着の御予定ということでございます。
以上により、本日は、21名の委員が御出席予定ということでございますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○眞鍋老人保健課長 以降の進行は、田中分科会長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。
本日は「令和元年度介護事業経営概況調査の結果について」及び「令和2年度介護事業経営実態調査の実施について」などについて議論いただきます。
初めに、事務局より資料の確認をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 それでは、お手元の資料に基づき説明いたします。
厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取り組みを推進しております。本日もタブレットを使用しまして、資料をごらんいただければと思います。
それでは、資料をごらんください。
まず、議事次第と委員名簿がございます。
資料1「令和元年度介護事業経営概況調査結果の概要(案)」
資料2「令和元年度介護事業経営概況調査結果(案)」。
資料3「令和2年度介護事業経営実態調査の実施について(案)」。
資料4-1から資料4-6までございますけれども、こちらの調査票の(案)がございます。
資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
早速、議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題1「令和元年度介護事業経営概況調査の結果について」と議題2「令和2年度介護事業経営実態調査の実施について」は関連いたしますので、一括して取り上げます。
事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 それでは、御説明させていただきます。
まず、資料1でございます。
具体的な中身に入ります前に、本日、この分科会の前に、本日9時から隣の会議室におきまして、経営調査委員会が行われたということを御報告させていただきます。
後で御報告申し上げますけれども、その中で幾つか御指摘をいただいてございますが、調査委員会といたしましては、この原案のとおり御承認いただきまして、本日、ここの分科会で御報告を申し上げ、また、御審議をいただくという運びになっておりますことを御報告申し上げます。
それでは、資料1についてでございます。
まず、議題1につきましては、資料1と資料2を用意させていただいておりますので、これをごらんいただければと思います。
今回の令和元年度の経営概況調査の概要ということでございます。
まず、1ページ目の「調査の目的」にございますけれども、本調査の目的は、ここにありますとおりで、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得ること。
そして、調査時期は、今年の5月だったということでございます。
また、調査内容は、平成29年度決算及び平成30年度決算を調査、これを同一の事業所に聞いてございますので、改定の影響を見ることが主な目的になってございます。
調査対象でございますけれども、ここにございますとおりで、全ての介護保険サービス22種類を対象としてございまして、抽出方法といたしましては、サービスごとに層化無作為抽出方法で抽出を行ってございます。
客体数でございますが、1万5000施設・事業所余りのところに対しまして調査を行いまして、有効回答数は7,330施設・事業所ということでございまして、有効回答率は48.2%ということでございました。
調査項目は、その下にありますとおりでございます。
次でございますけれども、各サービスの調査客体数ですとか、あるいは有効回答数、有効回答率につきましては、資料1の3ページをごらんいただけますでしょうか。
3ページにございますとおりで、上から1、2、3、4、5と並んでございますが、介護老人福祉施設、介護老人保健施設となっておりまして、その横に太い黒枠で囲っておりますのが、令和元年度の、今回御説明申し上げます概況調査の、それぞれの客体数、有効回答数、そして有効回答率ということでございます。
有効回答率の傾向を申し上げますと、幾つかのサービスを除きまして、全体的には向上しているということでございます。
また、その結果といたしまして、前回、同様の調査を行いました、平成28年度の概況調査と比べまして、全体の有効回答率は1%ほど向上しているということでございます。
次に、1ページにお戻りいただきまして、収支差について御説明をさせていただきます。
ここでは、平成30年度の介護報酬を行いましたけれども、その前の29年度決算と、改定後の30年度決算の収支差率を比較しております。
施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービス、全サービス平均で区分をしております。それぞれ色分けをしております。
各サービスの収支差率の増減を見ていきますと、施設サービスでは、介護老人福祉施設は、収支差率がプラスになり、介護老人保健施設と介護療養型医療施設では、低下をしているということでございました。
居宅サービスについて申し上げますと、特定施設入居者生活介護、居宅介護支援を除きまして、収支差率が低下している状況でございました。
地域密着型サービスにつきましては、5つのサービスで収支差率がふえまして、4つのサービスでは低下しているという状況でございました。
以上のサービスごとの収支差率をもとに、全サービス平均の収支差率を算出した結果、平成29年度の収支差率が3.9%、平成30年度の収支差率が3.1%となってございまして、29年度から0.8%のマイナスということでございます。1ページの下のオレンジというか黄色の網掛けをしている部分でございます。
この収支差率が平成30年度に低下している要因につきましては、引き続き精査をしていきたいと考えてございますけれども、これは、後ほど資料2でも御説明申し上げますが、この内容を見ていきますと、29年度から30年度にかけて、多くのサービスで収入が増加している中、給与費、そして、その他の費用も増加をいたしまして、それらの割合の上昇が見られるところでございます。
ですから、収入が増加している中でも、それを上回るコストの増があったのではないかと、全体的には捉えられるというところでございます。
主な要因としましては、介護人材の確保が課題となる中、人件費が増加していることに加えまして、介護サービスの運営に要するその他の経費も上昇していることなどが考えられているということでございます。
続いて、2ページをごらんください。
各サービスの収支差率とともに、収入に対する給与費の割合を計算しているところでございます。
29年度と30年度の各サービスの給与費の割合の増減を見ていきますと、これも施設サービス、居宅サービス、地域密着型となっておりますけれども、例えば、この介護老人福祉施設を見ていただきますと、令和元年度概況調査の29年度決算で、人件費の割合、収入に対する給与費の割合が63.8%であったところ、30年度決算では、63.6ということでございまして、割合で見ると、ここは△0.2というようになっているところでございます。
一方で、介護老人保健施設、その下の行でございますが、29年度では59.8%だったところが、30年度では60.5%になっているということで上昇していると、0.7%のプラスであったということでございます。
居宅サービスでは、居宅介護支援で給与費の割合が低下したと出てございます。訪問看護と特定施設入居者生活介護は、プラスマイナス0%、その他のサービスは、上昇しているところでございます。
このように0%あるいは△が立っていましても、資料2のほうで、それぞれの給与費を見ると、額自体は上がっているということでございます。
次に、地域密着型サービスにつきましては、5つのサービスで給与費の割合が上昇し、他の4つのサービスで低下ということでございました。
続いて、1ページ飛ばしまして4ページをごらんいただければと思います。
ここでは、各サービスの利用者1人当たり収入、利用者1人当たり支出、収入に対する給与費の割合、収支差率を整理した表を掲載しております。
サービスによりまして、訪問1回当たりですとか、実利用者1人当たり、1カ月当たりなどの単位が違うところがございますので御留意いただければと思います。
次の5ページでございますけれども、こちらは、今回の調査と前回の調査を比較したものでございます。御参照いただければと思います。
続きまして、資料2に移らせていただきたいと思います。
資料2は、調査結果の概況でございますけれども、詳細に、それぞれのサービスごとに、結果表を分析しておまとめしたものでございます。
まず、1ページ目でございますけれども、調査の概要でございまして、ここは先ほどの御説明と重複いたしますので、割愛をさせていただきます。
3ページ以降が、サービスごとの収入、支出の内訳などを掲載している集計表になります。
3ページの介護老人福祉施設の集計表を用いまして、この構成を御説明させていただきたいと思います。
上に表がございますけれども、集計表でございます。上から順に介護事業収益、そして介護事業費用、介護事業外収益、介護事業外費用、特別損失となってございます。
その下に総収入、総支出、差引の順で掲載をしているところでございます。
これは1施設あるいは1事業者当たりの月額でございまして、1,000円単位で表示をしているところでございます。
そして、上に4列数字が並んでいるところございますけれども、ちょうどその真ん中に、令和元年度概況調査ということで、平成29年度決算、平成30年度決算というものを比較して、これが今回の調査結果でございます。
また、参考といたしまして、その左側に、平成29年度実態調査の結果、そして、一番右側の列に、27年度決算を計算してございますが、この両端の2つの列に関しましては、調査対象施設が違いますので、誤差率などを用いまして一定の比較はできると思いますけれども、直接の比較をすることに関しては留意が必要だということでございます。
次に、金額がそれぞれございますけれども、その右隣に記載されているパーセンテージが、これは13行目と、左側の縦に番号を打っておりますけれども、収入というところがあります。
13番目に、マル1=I+IIIとございますが、収入です。それに対する割合ということになります。
先ほど資料1で御説明申し上げました収支差率でございますが、これは、この表で申し上げますと、15行目、差引マル3=マル1-マル2と書いてございますけれども、この差引が該当いたしまして、法人税等を考慮する前の収支差率となっているところでございます。
先ほども御確認いただいたところでございますが、平成30年度決算で1.8%となっていることが御確認いただけるかと思います。
また、収入に対する給与費の割合でございますが、これは先ほどの行の番号で申し上げますと、5行目でございまして、この給与費が該当いたしまして、30年度決算では63.6%となっているところが御確認いただけるかと思います。
19行目から21行目に関しましては、長期借入金の返済状況等についてでございます。
それから、計算方法と計算結果は21行目に記載してございますけれども、17行目の税引き後収支差額と、6行目の減価償却費と、7行目の国庫補助金等特別積立金取崩額の合計と、19行目、20行目の支出の合計を比較することになります。
今回の調査結果によりますと、介護老人福祉施設におきましては、この差額は、30年度決算で71万5000円のプラスということになっているところでございます。
次に22行目以降が、こちらは定員数、利用者数、給与費等を計算しているところでございます。
これが、この表の見方でございまして、次の4ページですと、介護老人保健施設となってございまして、以下、サービスごとに同じ表が続いてございますけれども、同様の構成になってございます。
収支差率や給与費の割合が、御説明申し上げるとおりでございますので、ごらんいただければと思います。
なお、参考といたしまして、25ページ、最後のほうのページでございますが、介護医療院について掲載をしているところでございます。
介護医療院は、平成30年度に創設された新しい施設類型でございますので、30年度決算のみを参考として掲載してございます。ただ、有効回答数が28ということでございますので、なかなか全体を語るには、まだ数が少ないかなと考えているところでございます。
経営概況調査の資料についての御説明は、以上のとおりでございますけれども、こういうことでございます。
議題1についての説明は、以上でございます。
それでは、引き続き議題2の令和2年度介護事業経営実態調査の実施について説明いたします。
議題2につきましては、資料3、そして、資料4-1から連番で1から6まで用意をさせていただいてございます。
資料4は、お手元のタブレットでは、フォルダの中に入っておるかと思いますので、ごらんいただければと思います。
まず、資料3でございます。
1ページをごらんいただきまして、調査の目的は、先ほどの概況調査に準じますので割愛させていただき「2 調査時期及び公表時期」でありますけれども、調査の実施時期は来年5月を予定しているところでございます。
この経営実態調査では、報酬改定後の2年目の収支状況等を調査することとしております。ですので、今回は令和元年度、今年度の決算額を調査するということにしてございまして、公表時期は来年10月を考えております。
「3 調査対象等」でございますけれども、今回新たに介護医療院を対象に加えるということとしてございます。
抽出方法は、これまでの調査同様、層化無作為抽出、そして抽出率は別表に記載してございますが、7ページをごらんいただければと思います。
7ページをごらんいただきますと、抽出率を変更したところは下線を引いてございますとともに、介護医療院に関しましては、悉皆、1分の1という抽出率で考えているところでございます。
続きまして、2ページをごらんください。
こちらは「4 調査の基本方針」ということでございます。
調査票でございますけれども、各サービスの収支を漏れなく取得するということでございまして、各サービスの経営状況を詳細に把握するための項目を追加すると記載がございます。
1つ目でございますけれども、施設サービスにつきまして、建物の償却方法等に関する項目を追加することとしてございます。
こちらは、2019年の介護報酬改定に関する審議報告をいただきましたけれども、その中の指摘を踏まえまして、平均的な居住費を構成する主要な部分であります減価償却費を精緻に把握するための項目を追加するものということでございます。
これは、後ほど調査票を用いまして御説明させていただきます。
2つ目でございますけれども、特定処遇改善加算に関しまして、新しい経済政策パッケージに記載されている勤続年数10年以上の介護福祉士の人数を把握するための項目を追加いたします。
「(2)回収率及び有効回答率の確保策」ということでございます。
やはり回収率が上がったほうが、精緻な、そして、また確度が高い情報となりますので、私どもとしては有効回答率の確保、そして向上に努めていきたいと思ってございますけれども、このため、介護保険総合データベースの活用ですとか、オンライン調査の積極的な活用に加えまして、5月中ということが、法人決算の時期に当たるということで、回答することは難しいという声もあることを踏まえまして、従来、設定しておりました調査期間を拡大いたしまして、回答期限を6月中旬に設定するということを、今、考えているところでございます。
また、資料には記載がございませんけれども、老人保健健康増進等事業を活用いたしまして、調査票の記入方法をわかりやすく解説するための動画なども今年度中に作成する、
こういった取り組みも進めているところでございます。
3ページにまいりまして「(3)抽出率の見直し」に関しましては、先ほど御説明させていただきました。
3ページ以降が、具体的な調査項目の説明になります。これが6ページまで続くということで、具体的には、後ほど資料4を用いまして御説明させていただこうと思います。
7ページに飛んでいただきまして、先ほど抽出率を御説明した表の下にございますけれども、細かい字で恐縮でございます、アスタリスクがございます。
この統計調査でございますけれども、政府統計として実施いたします。
そして、きょう、分科会の場で御承認をいただけましたら、その後、総務大臣の審査・承認を受ける必要がございます。
その過程で変更があり得ることは、あらかじめ御了承いただければと思います。
以上が資料3の御説明でございまして、続きまして、資料4の御説明をさせていただきたいと思います。
フォルダをお開けいただけますでしょうか。
資料4-1から6まで並んでいるところでございますけれども、資料4-5と4-6は、調査票に調査対象サービスと書かれているだけで、具体的な名前が入っておりませんけれども、ここに関しましては、実際に調査を行うときには、訪問介護ですとか、通所介護といった具体的なサービス名が印刷されて送付するということになります。
それでは、調査票の内容につきまして、ポイントを絞って御説明させていただきたいと思いますが、資料4-1をごらんください。
これは、介護老人福祉施設に対する調査票の案でございます。
先ほどの議題1で申し上げました、令和元年度経営概況調査で用いた調査票と大きく変わるところはありませんが、順番に御説明をさせていただきたいと思います。
1ページをお開けください。
1ページは、こちらは施設の概要についてということで、開設年月日などをお聞きするものでございます。
2ページ目でございますけれども、こちらは会計の区分状況についてお伺いする項目になります。
サービスごとに単独の会計でやっていらっしゃるのか、一体会計で記入いただけているのかを選んでいただくということでございます。
3ページ目でございますけれども、調査対象サービスの利用実績を記入いただくものでございまして、実利用者数、延べ利用者数等を御記入いただいてございます。
4ページ目が、調査対象サービスと一体的に会計を行っている併設サービスの状況を記入していただくページでございます。
そして、5ページ目、6ページ目に、今回新しく追加した項目がございます。
5ページ目をごらんいただければと思いますけれども、ここは、基本的には建物の状況などを御記入いただくページでございますけれども、建築年月、それから保有形態につきまして、黄色で新しく調査する項目をお示してございます。
例えば、その保有形態の中で、自己所有、そして矢印がありまして、建物の償却方法で、定額法、定率法ということを選んでいただくことになってございまして、これは、これまでの分科会の御議論を踏まえた形の調査項目でございます。
次に、6ページ目でございます。
6ページ目は、職員の給与等を記入していただくページとなります。
この中に、黄色で着色した部分がございます。
こちらは今回追加いたします、勤続年数10年以上の介護福祉士の数を把握するための項目でございます。
それで、資料4-2から4-4までは施設サービスの調査票になりますので、こちらにも同じような項目が追加されているところでございます。
また、資料4-1の6ページ目で御説明申し上げました、勤続年数10年以上の介護福祉士の数を把握するための項目につきましては、全ての調査票に追加しているところでございます。
そのほかは同様の構成となってございますので、説明は割愛させていただきます。
こういうことを、先ほどの経営調査委員会で御説明させていただきました。
先ほどの経営調査委員会でいただいた御議論を御紹介させていただきますと、収支差率について御説明申し上げましたけれども、収支差の水準も重要であるという御指摘もございました。
また、今回の調査で考えておりますけれども、5月の調査実施時期というのは、法人の決算の時期に当たるということが多いので、非常に事業者にとっては厳しい時期であると。
ですから、さまざまな回答しやすいような工夫をさらに進めてほしいという意見もあったところでございます。
それから、ほかに、この概況調査もサンプル数を増やしたほうがいいのではないかという御意見もあったところでございます。
それに関するというか、同じ方向性の御意見だと思いますけれども、介護報酬改定自体は3年間のインターバルで行っております。
そうすると、3年間のパネルデータをとれるような体制をとることも将来的には検討してみてはどうかという御意見をいただいたところでございます。ですから、同じ事業所を継続して3年継続して、御協力いただくというようなことも検討できないかという御指摘もいただいたところでございました。
事務局からの御説明は、以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
では、ただいま説明のあった事項について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
先ほどの御説明の中にもございましたけれども、回収率の確保策というのは大変重要だと思っております。
今回のような調査をベースに、施策の検討を行っていることを考えると、やはり回収率が50%を切っているという状況が続いているということは、本当に業界全体を代表している調査であるのかという疑義を呼びかねない部分もあると思います。資料にもオンライン調査の促進とか、回答期限の延伸とか、対策を書いていただいておりますけれども、負担軽減という意味でも、特にオンライン調査の促進というのを、図っていただけたらなと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
岡島委員、お願いします。
○岡島委員 ありがとうございます。
私のほうから、資料2について意見を述べさせていただきます。
平成28年の調査と今回の調査の対象では、サンプルが異なるという御説明がありましたけれども、給与費のところを見ますと、看護師の常勤換算1人当たりの給与費が、施設系サービスにおいて下がっているという現状がございます。
医療機関で働く看護師と比べますと、介護施設などで働く看護師は、平均年齢が高いにもかかわらず給与水準が低いという処遇の差がございます。
今回の介護現場で就労する人材の処遇改善については、看護に関しても取り組みが始まったところでございますけれども、今後、医療ニーズや、施設内の看取りなどに対応していく上でも、一層の改善を図っていく必要があると考えておりまして、今後の議論に御配慮をいただきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
武久委員、お願いします。
○武久委員 資料1の収支差率をサービスごとにあらわしてありますけれども、これを先ほど見ておりまして、特徴的なのは、居宅介護支援事業が全てマイナス、赤字なのです。全サービスの平均が三コンマ何パーセントの黒字ということで、結構目立つのですけれども、これは、担当部局としては居宅介護支援事業所というか、こういう業務は赤字でよいと思っていらっしゃるのか、我々の経験で見ておりますと、一生懸命やっているところほど赤字になっているというのが目立つのですけれども、ここについて担当部局の方は、今後どういうふうに考えていらっしゃるのかということと、現状分析、1割負担を、今回はやめるとかいうことでしたけれども、次の改定もございますし、そのあたりのことを、居宅介護支援事業に対するスタンスについて、教えていただければありがたいと思います。
○田中分科会長 振興課長、お答えください。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
御質問、御指摘ありがとうございました。
居宅介護支援につきましても、我々、在宅サービスを中心にしっかりやっていただくためには、大切なサービスだと思ってございます。
確かに収支差につきましては、今回、マイナス0.1ということでございますが、資料2の15ページを見ていただきますと、経年で収支差を見ることができると思います。そちらの経年の収支差を見ていただきますと、27年度決算がマイナスの1.8、28年度決算がマイナスの1.4、29年度決算がマイナスの0.2、そして今回マイナスの0.1と、少しずつでございますが改善をしてきているところでございます。
前回の改定の際も、収支差を踏まえて点数のほうの引き上げなどをさせていただいているところでございまして、引き続き、ほかのサービスとのバランスなどを見なければなりませんが、このサービスがしっかりと運営できるように、点数のほうについても、いろいろと検討していきたいと思ってございます。
あと、収支につきましては、細かな分析がもう少し必要かと思いますけれども、前回の調査ですと、少し規模の大きいところは、収支はプラスになっているところでございますし、加算がしっかり取れているところについては、恐らくプラスになられているのだと思います。
そういったところも分析をしながら、どのような点数を構築していくのがいいのか、まさに、この場で御議論をいただきながら、我々としてもしっかり考えたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 濱田委員、お願いします。
○濱田委員 関連いたしまして、発言させていただきます。
収支差も何とか回復基調に乗ってまいりまして、ここまでやっときたなということで、本当に感謝を申し上げたいと思っております。
しかし、まだ収支差がマイナスということもございますので、引き続き、この改善が図られるような歩みでいければということを考えておりますので、お願いしたいということでございます。とまた、他のサービスと同様に、やはり公正中立ということ図らないといけないということもございますので、そのプラスにするということと、事業単体で再生産を図っていくためにはプラスマイナスゼロではなく、他のサービスと同様に一定のプラスの収支差も必要でありますので、この基調が継続することを期待したいと思います。
御意見でございます。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
小泉お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。
先ほど発言されました、武久委員、そして、濱田委員と、まさに同意見でございますけれども、前回まで居宅介護支援の管理者の資質向上について協議がされたところでございますが、居宅介護支援は依然として経営状態が悪く、0.1%改善されてマイナス0.1%となっております。
給与費の割合は83.4%であり、ほとんどが人件費となっております。
介護支援専門員には、特定処遇改善加算も処遇改善加算も支給されない状況にあり、いろいろな面で運営、経営が困難であり、改善の必要があると思われます。
今後、2021年の報酬改定に向けて、前向きな協議が必ず必要であると思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
意見でございます。
もう一件、30年4月の報酬改定は、プラスの0.54であったにもかかわらず、今回の概況調査の結果を見ますと、全体でマイナスの0.8%となっておりまして、介護業界全体として厳しい状況がうかがわれます。
こうした状況の中で、マイナス改定は考えにくく、今後の方向性としてプラス改定を目指していくべきと考えます。
特に、特養の収支差率は、他のサービスと比較しても著しく低く、質の高いサービスを提供していく観点からも、適切に収支差率を高めていくことが肝要と考えます。
よろしく御検討いただければと思います。
意見でございます。
○田中分科会長 御意見を頂戴しました。
鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 ありがとうございます。
まず、資料1の19年度の介護の概況調査の結果ですけれども、1ページの各介護サービスにおける収支差率ですけれども、17年度と18年度の決算を比較すると、在宅サービスは、特定施設の入居者生活介護と居宅介護支援を除いて、ホームヘルプサービスなど6つのサービスが減収になっています。
地域密着型サービスでは、定期巡回サービスとか夜間訪問介護サービスとか、地域密着型特養、看多機を除いて、地域密着型のデイなど、4つのサービスが減収になっています。
この理解で、まずはよろしいでしょうかということでの確認をさせていただきたいのと、減収ということであれば、なぜ収益が下がっているのか、減っているのか、介護報酬の改定との関連で御説明いただける原因があれば、この場でなくても教えていただきたいと思います。
質問の2つ目ですけれども、資料の1の2ページに、各サービスの収入に対する給与費の割合について、17年度と18年度を比較した資料があります。
給与費の割合がマイナスになっているのはケアマネジメント、定期巡回、認知症デイとか地域密着型特養、看多機です。
1ページにある収支差率と、給与費割合に関連があるかどうかを教えてください。
また、関連がないとしても、給与費の割合が下がるというのは、人材確保を強化しなければならないと言われている中、どのような原因があるかを教えていただきたいと思います。
最後ですけれども、資料3の2ページのところで、次年度の調査のところで、方針として、環境のよい事業所として、勤続10年の項目を新たに挙げられていますけれども、私たちは、認知症の方は、やはりなじみの職員というのが、ずっといていただけるというのがありがたいので、それ以外に配置されている職員それぞれの勤続年数という記載も調査をしていただきたいし、あと、先ほど御説明があったように、派遣の職員さんが非常にふえているので、その数がどこでわかるのか、お教え願いたいと思います。
あと委員会で、環境のよい事業所というところでの調査項目、今後どういうものを出していこうとされているのか、教えを願いたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 では、老人保健課長、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 3点御質問をいただきました。
まず、
29年度決算、30年度決算、こちらの増減がございます。それで、改定率の関連についてというお尋ねでございました。
資料1の下の収支差率の中で、収支差率につきまして3.9から3.1、そして全体としてはマイナス0.8であったと御説明をしたところでございます。
こちらにつきまして、改定率の関係でございますけれども、先ほどケアマネのところでも振興課長から御説明ありましたけれども、前回改定におきまして、各サービスごとに、それぞれ改定率は若干濃淡がございます。そこは、政策的に、ここは厚めに、そして、また、効率化を求めるというようなことがあったと承知をしてございまして、その影響につきましては、まだ子細には、こちらでも分析ができておらないところでございまして、今後の分科会の中で、必要であればお示しをさせていただきたいと思います。
一方で、改定率自体が収支差に直結するというところもありますけれども、事業所が改定を受けて、例えば多くの方にサービスを提供するようになったり、あるいはより要介護度の高い方を受け入れるようになったりという場合には、収入がふえる、コストもふえる部分はございますけれども、そういう要因もあるということですので、一概に改定率と、この収支差率をダイレクトに結びつけるということよりも、もう少し別の要素も考えるべきかと、今のところ思っているところでございます。
2つ目でございます。
2ページの比較した表でございますけれども、これの関連がわかるかということでございますけれども、これを見ていただきますと、先ほどの経営調査委員会でもあったところでございますけれども、収入に対する給与費の割合というものの増減を、対29年増減で、一番右の列にお示ししているところでございます。
それから、これと収支差率の増減というのは、実は左2つ目の列、一番上の介護老人福祉施設で申し上げますと、例えば一番右にマイナス0.2とございまして、これは給与費の割合が対29年度でマイナス0.2であったということでございます。
2つ目のカラムが対29年度増減ということで、プラス0.1だったということでございます。
先ほどの経営調査委員会でも御議論があったところですが、人件費率で、全体を眺めて22のうち、人件費割合、給与費の割合が増加しているものに関しては、収支差率で△が立っているところが大宗ではないかと、そういう大まかな傾向についてのコメントがあったところでございます。
次に勤続10年以上でございますけれども、これに関して勤続年数の調査に関しましては、ほかの調査も含めて今のところとってはいないところでございます。
あとは、職種別に関しての勤続年数であれば、これは賃金構造実態調査のほうで把握が可能でございますので、そちらのほうを参考に、今後お示しするようなことも検討してみたいと思います。
また、派遣の方の内容というのも、なかなか調査設計上なかなか難しいところがございまして、こちらの案には、今、入れていないところでございます。
それから、処遇改善の中で、環境のよい、あるいは職場環境のよい、労働関係のよいところに関する、それがどのような影響を与えているかのような調査に関しましては、これは当分科会でも御指摘いただいておりますので、老健事業等々を通じまして、別途調査を行う予定としてございます。
御回答は、以上でございます。
○田中分科会長 よろしいですか。
藤野委員、東委員、お願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。意見を述べさせていただきます。
今回、特定処遇改善加算に関連して、勤続年数10年以上の介護福祉士の人数を追加されましたけれども、もう一つの要件であります、経験・技能というところをどう推しはかるのかというところも、とても大切なことだと思いますので、今後、特定処遇に関する調査の際には、その部分についても明らかにする工夫が必要であると考えております。
以上です。
○田中分科会長 御意見ですね、ありがとうございます。
東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。
まずはじめに、資料1の3ページ「有効回答数及び有効回答率の状況」でございますが、私ども介護老人保健施設の有効回答率が、平成28年度に比べてかなり下がっております。
これに関しましては、おわびを申し上げますとともに、次の介護事業経営実態調査におきましては、有効回答率を上げる努力を協会としてもしっかりしてまいりたいと思います。
次に資料1の1ページ「各介護サービスにおける収支差率」のことでございます。前回の介護報酬改定は全体でプラス0.54%でありました。にもかかわらず、今回の介護事業経営概況調査では、全体がマイナス0.8%という大変厳しい数字が出ていることは、しっかりと留意をしなくてはいけないと考えております。
この原因は、恐らく次のページの「各介護サービスの収支差率及び給与費割合」にもございますように、給与費が軒並み上がっていることが原因のひとつでもあると思います。また、この給与費にあらわれないものも原因に上げられるのではないかと考えています。例えば現場では人材難で大変苦しんでいますが、これは介護人材だけではなくて、看護職の人材確保も大変でございます。その人材を確保するために、いわゆる派遣業者、それから人材紹介業者に支払っているお金というのが、これは大変ばかにならない額でございます。それは恐らくこの給与費には入らないと思いますが、そういうものも収支差のマイナスに影響しているのではないかと考えます。
それから、私ども老健施設で言いますと、本体の施設サービスでマイナス0.3%、それから老健施設のほとんどが通所リハビリテーションを併設しておりますが、今回この通所リハビリテーションの収支差がマイナス2.6%と、ほかのサービスの中でも、断トツに悪い数字が出ております。一方通所介護はマイナス2.2%でございます。前回の介護報酬改定で、通所リハビリテーションよりも通所介護のほうが、本体報酬のマイナス幅が大きかったことを考えますと、今回の介護事業経営概況調査の結果で、通所介護よりも通所リハビリテーションのほうが、マイナス幅が大きかったというのは、しっかりと分析をしなくてはいけないと思います。
私は、その大きな1つの原因が、大規模減算であると考えています。
大規模の収支につきましては、通所介護に比べて通所リハビリテーションは大規模になると、収支差が逆に悪くなるというデータがあります。
これをもとに平成27年度の介護報酬改定では、大規模減算の減算率を通所リハビリテーションは緩和されたところでございますが、平成30年度の介護報酬改定におきましては、この大規模減算の減算率がもとに戻っております。そういうところが大きく影響しているのではないかと考えております。
給与費を見みましても、通所リハビリテーションではプラス1.9%増と大変大きい数字が出ております。通所リハビリテーションに関しましては、次の介護報酬改定で、きちんと評価をしていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
伊藤委員、どうぞ。
〇伊藤委員 まず、収支差を見てみますと、施設、居宅系両方を通じて、かなり収支差が下がっている一方で給与費の割合が上がっているというサービスが多く見うけられます。処遇改善加算のような政策的な収入以上に、収益を賃金等に配分しているのだろうと思われます。
そのことについては望ましく思いますが、有効求人倍率が11月に発表されましたけれども、現状、依然として人材確保は非常に厳しい状況が続いており、介護分野に限らず、労働力需給が逼迫しているので、給与費が上がって収支差が下がっているということが、特筆する問題なのかというのは、もう少し丁寧に見ていく必要があるのではないかと思います。
先ほど、ほかの委員からも発言がありましたが、私も収支差と給与費の関係というのをもう少し丁寧に見ないといけないのではないかと思います。居宅介護支援などは、この間、すごく悪かった経営状態が徐々に改善していく中で、給与費の改善がまだ追いついていないという見方もできるのかもしれません。けれども、29年度に対してプラス0.1%、決算上は収支差が改善しているにもかかわらず、給与費のほうは、依然として下がっていることについては、ほかのサービス類型において、給与費を上げた結果、収支差が下がっているように見て取れるのとは、少し状況が違うように見えます。処遇改善が追いついていないと見るのか、収益の配分が適切でないと見るのかというところも丁寧に分析していく必要があると思っています。
また、居宅介護支援については、以前より公正中立なケアマネジメントという観点から、ほかのサービスの収益に依存して経営しているという実情などもあるわけなので、依存せずに経営できるような報酬というようなことも考えていく必要があると思っています。
1つ質問なのですけれども、調査票のほうで、1つどれかを例にしないといけないので介護老人福祉施設の資料4-1を見せてもらいますと、9ページの支出の書き方というのは、社会福祉法人会計基準と指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針のどちらに従っているかで、事業者ごとに9ページ、10ページで答えるか、11ページ、12ページで答えるかを選択しているということなのでしょうかというのが1つ。
そうだとすると、9ページの社福会計のほうだと、派遣社員は人件費の中に含んでいて、一方、指定介護老人福祉施設等会計に沿って答えると、11ページの⑬で委託費の中に派遣委託費というのがあって、人件費には含まれないということだと思います。とすれば結果として、きょう示された概況調査などでも、人件費に派遣が入っているところと入っていないところというのがあるという理解でよろしいのでしょうか。
つまり、この概況調査とか実調などでは、派遣費用というのは、人件費には100%載っていないというように見るべきなのかというところを教えてください。
○田中分科会長 老人保健課長。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
まず、資料4-1の9、10のページと11ページ、12ページに関するお尋ねでございますけれども、それぞれの会計基準のどちらによるかに関しましては、これは事業所の御判断と、どちらを用いているかということに沿って、御回答をいただければいいということでございます。
また、規則あるいはこちらの指針でございますが、会計の規則、そして指針は、それぞれこのような項目で御記入をいただくというようになってございます。
確かに、今、伊藤委員が御指摘のとおりで、派遣に関する費用が人件費に入っている、あるいは委託のほうに入っているということ、これは会計規則上の違いでございますけれども、先ほど御説明申し上げた統計表の中では、私どもとしては委託費の中に、ここは私どものほうで操作をいたしまして、そこに計上するようにしているところでございます。
御説明は、以上です。
○田中分科会長 どうぞ。
〇伊藤委員 ということですと、資料2の概況調査結果で言うところの、それぞれのサービスの中の、IIの介護事業費用の中の(4)その他の中にある、うち委託費というところに、派遣費用はここに計上していると、人件費というように答えたところも抜いて、どんな事業所についてもこっちに入れていると、そういうことなのですね。
○眞鍋老人保健課長 はい、そのとおりでございます。
〇伊藤委員 わかりました。そうであれば、先ほども委託費用がふえているというお話がありましたし、人件費、給与費というところと、派遣費用というところを抜き出すような感じで、人件費の中身がどうなっているのかというのも、今後の検討では見させていただく必要があるかなと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
江澤委員、お願いします。
〇江澤委員 ありがとうございます。
資料1の1ページの一覧表ですけれども、毎回これをお示しいただいているところでございますけれども、介護報酬という公定価格の中で、適正利益が、いかにあるべきか、あるいはそれに伴う報酬の価格設定をいかに考えるかということを毎回考えさせられるものだと理解をしています。
平成27年の介護報酬改定で、マイナス2.27%という極めて大きなマイナス改定があって、そこで、明確に起こったことは、老人福祉事業者の倒産件数が、過去最高を記録したり、多くなっているということです。
したがいまして、報酬改定によって、かなり影響を受ける脆弱な事業の業界であるということが示されていると思っています。
資料2の、いろんな度数分布表、各サービスを見ましても、償却前利益で借入金を返済する、いわゆるキャッシュフローが回っているのかどうか。かなりマイナスに振れている事業者も多々ございまして、そのあたりが非常に気になるところでございます。
ちなみに、今年の上半期も、2000年以降、倒産件数は過去最高を記録しておりまして、特に資本金1000万円未満が9割、従業員10人未満が8割、設立5年以内が3割ということで、非常に過小な事業所あるいは零細事業所の淘汰がずっと起きていると感じます。
これは診療報酬も介護報酬も同様ですけれども、かなり経営上はスケールメリットがききますので、このあたりは非常に重要ではないかと思っています。
先ほど東委員もおっしゃられましたけれども、例えば、増減で見ますと、通所リハビリテーションがマイナス2.6%と非常に目立っておりますけれども、特に先ほど申しました通所リハビリテーションには、質のよしあしを問うことなく、規模の大きさによって大規模減算という仕組みが入っています。本来であれば、大規模化をして、経営を安定化して、質の高いサービス提供につなげるというのが、一番求めていくことではないかと思っておりますけれども、例えば、通所リハビリテーションには、質の評価を問う物差しとして、既に加算のほうで、いろいろ仕組みが設けられておりますので、規模の違いによってどういうふうになっているのか、ケアマネ加算あるいは多機能的なサービス提供ができているのかどうか、あるいは、ADLに対してどうなのかということで、また、今後、検討していくべきではないかと思っております。
それから、居宅介護支援事業所は、以前からずっと全体の平均値で収支差のマイナスが続いています。
これ自体は、非常に異常なことでございまして、よくこれでケアプランができているなというところを感じますけれども、ということは、恐らく、報酬の価格設定自体に、大きな考え方を踏まえて見直すべきかどうか、今後の検討課題ではないかと思っています。
全体的には、30年度決算で、収支差が平均値3.1%、税引き後2.8%ということでございますけれども、これについて、どう考えるかということが、今後の重要な課題だと思っています。
理想的には、働いている職員の方が、希望すれば定年まで適切な賃金ベースアップのもとで働ける職場環境とならなければいけないと思っておりますけれども、現状を申しますと、一定程度の離職があって、そして、若い職員の方が、一定割合で、また職についたり、やめたり、巡回をしているという環境下にあって、どうにか、この経営が回っていて、収支差が3%という状況であります。
一方で、介護報酬の大半は、人件費に消費されております。今の学生さんとか、若い人たちが、この表を見てどう思われるかというのが、非常に気になるところでございますけれども、一方で、財源は大変限られていますので、限られた財源の中で、当然経営者は、過剰投資は厳に慎むべきだと思いますし、一方で、データに基づいた経営マネジメントは、これから必須、不可欠となりますので、今後、これから団塊の世代の方がふえてくるに当たって、今一度介護事業所の経営モデルを再構築あるいはどうあるべきか、いろいろもう少し考えていく必要があるのではないかと考えております。
したがいまして、いろんな経営モデルという視点で、今後、いろいろ検討していただければありがたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 今後の検討課題について、たくさん指摘をいただきました。ありがとうございます。
安藤委員、どうぞ。
〇安藤委員 ありがとうございます。
ただいまの江澤委員の御提案なのですけれども、非常に大事な視点と思いました。
今回いろいろな調査結果を出していただいて非常にありがたいなと思うのですけれども、本当に処遇改善のお金が介護施設で働いている職員に配分されているのかという視点では、今回の資料では十分ではないかなという感じがしております。
また、先ほど来、いろいろな委員の方たちからもお話がありますように、資料2の介護事業費用の中の、その他の委託費の中身のうち、職員を確保するために派遣業者にお支払いをしている費用が、どのぐらい占めているのかというところも、明らかにしていただく必要があります。その辺の費用がかからないようにするということが処遇改善の意味の一つだと思いますので、その辺も含めて検討する必要があるのかなと思っています。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
では、石田委員、それから、今井委員の順でお願いいたします。
〇石田委員 ありがとうございます。
まず、資料2を拝見いたしまして、今回もいろいろな業種の方々の給与の平均というのが大体全部見渡せて、把握できたところです。この中でも地域密着型サービス、小規模多機能等のサービスというのは在宅の生活を支える上で、より重要性のあるものと思うのですけれども、そういったところに従事する方々の給与というのが相対的に低いということがわかります。
利用者の在宅生活を支えていくこれらのサービスが継続されていくような支援の方法というのは、これから考えていく必要があるのかなということで、この資料については、そのように感じました。
もう一つなのですけれども、資料4-1から4までです。この問3のところで、職員の給与が尋ねられております。
先ほどあったように、介護福祉士で勤務年数10年以上という方の人数というのは記入するようになっていますけれども、給料の内容のところは全部消されております。これの計算の仕方とか、ここは難しいのだと思うのですけれども、ただ、本当は一番ここが知りたいわけです。つまり、10年以上の方々の給料が、大体平均でどのぐらいになって、どのぐらい上がっているのかというところについては、しっかり把握したいと思いますので、この辺のところがどのように調査されるのか、どうなっているかというところをお尋ねしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 今の点をお答えください。
○眞鍋老人保健課長 こちらのお尋ねに関しましては、資料4-1から4までですけれども、施設系のこちらの調整の中の6ページ、問3の中で、勤続年数10年以上の介護福祉士の給与がないところ、欄がバーになっているところに関するお尋ねでございました。
今回の経営実態調査では、まずは人数を把握するということが目的でございまして、その中で、例えば、今年の10月の処遇改善状況がどうだったかというものは、別途、処遇状況等調査を立てることとしてございまして、そこで詳細に把握をする予定にしてございます。
○田中分科会長 よろしいですか。
では、今井委員、お願いします。
〇今井委員 ありがとうございます。
1点だけ要望をさせていただければと思います。
先ほどの江澤委員のほうからも、いろいろと御意見がありましたけれども、私ども事業者側としては、かなり厳しい状況であることは間違いない。
しかしながら、一番の課題は、今後もサービスを継続していく中でいくと、人材確保というようなところが一番課題になっているということになろうかと思います。
従いまして、今後の議論だとは思いますけれども、さらなる処遇改善と報酬改定での配慮をお願いできればということで、要望をさせていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 小泉委員、お願いします。
〇小泉委員 ありがとうございます。
令和2年度の経営実態調査の実施についてですが、資料3の2ページの「4 調査の基本方針」(1)というものがございますが、この中に、基準費用額について、居住費について検討を加えるというようなことが書かれていますが、基準費用額の食費の実態についても、ぜひ現実を把握していただきたいと思います。調査の1つに加えていただきたく思いますので、御検討をいただければと思います。
意見といいますか、要望でございます。
○田中分科会長 御要望ですね。
事務局は答えますか、よろしいですか。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
きちんと把握することになってございますので、そのように御理解いただければと思います。
○田中分科会長 調べられるようです。御指摘ありがとうございました。
岡島委員、どうぞ。
〇岡島委員 ありがとうございます。
今さらながら基本的なことで恐縮なのですが、確認をさせていただきたい事項がございます。事務局に質問です。
来年行う経営実調も同様かと思いますが、今回お示しいただいた概況調査に当たって層化無作為抽出法を選択されているということでしたが、具体的にどのように階層化をされているのかということと、各階層ごとに母集団には偏りがある可能性がございまして、その際に、例えば比例配分などの重みづけをされているのかどうか、確認させていただきたいと思います。
また、分析に当たっては、回答率が低いとさらに偏りが出てくる可能性がございますが、それへの配慮がなされているのかどうか。1つの事業所ごとにサービスを提供する対象者の数ですとか、あるいは従業員数なども、業種別にはかなり開きがございますので、ただ、パーセンテージだけで比較しますと、1%あたりの数字に大きな開きが出てくるということもございます。
今後、丁寧に数字を見ていく上で、読み解き方について、数字の比較について配慮すべき点があれば、さらに教えていただきたいということでございます。
以上です。
○田中分科会長 老人保健課長お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
層化無作為抽出でございますけれども、一つ一つのサービスは、それぞれ違ってございますので、基本的な考え方を申し上げますと、例えば、級地区分ですとか、あるいは、事業規模別に、一定程度の層化を行いまして、それぞれごとにどのぐらいの事業所があるか、その中でどのぐらいのところを抽出するかというようなことで、まず抽出範囲を設定してございます。
また、当然、その回収率に応じて、層化したごとに割り戻すというか、逆にそこまで復元させるような、つまり回収率が低い分は、その分、重みづけを重くするようなことをして、全国の代表性が持てるような形で調査設計を行っているところでございます。その中で、誤差率が一定の範囲内に収まるようにとしているところでございます。
ですので、調査方法といたしましては、一応全国の状況を代表できるような形としてやっているということは、御説明をさせていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 鎌田委員、お願いします。
〇鎌田委員 ありがとうございます。
調査の方法のところですけれども、資料3の7ページのところに、2020年度の調査に当たって、調査の対象になる事業所の抽出率が示されているのですけれども、基本的なことかもしれませんが、施設サービスは4分の1となっていて、ホームヘルプとかデイサービスとかは10分の1、ケアマネジメントは20分の1とか、12分の1とかになっていまして、同じ在宅のサービスとか地域密着サービスであっても、抽出率に差があるというのは、有効回答率が低いサービスと抽出率に関係があるのか、その辺を教えていただきたい。
あと、無作為に年度ごとに事業所を選んでいかれるわけなのですけれども、1つの事業所が経年的にどういう形で経営自体が変わっているのかというのも、報酬を改定するに当たっては重要なデータだと思うのですけれども、その辺、どうお考えになっているか、教え願います。
○田中分科会長 どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
まず、資料3の7ページに関するお尋ねでございました。
抽出率は、確かに、施設は基本4分の1、介護療養型施設が5分の4ということでございます。介護医療院が1、そして、また、ほかの居宅系サービス、地域密着に関しては、それぞれは異なっていると。これは、まさに委員がおっしゃっていただいたとおりで、それぞれのサービス類型の有効回答率の現状ですとかを反映いたしまして、一定程度、結果的には、それぞれサービスごとの収支差に関する誤差率が一定の範囲に収まるような形で、数学的に計算をすると、この収支差でよいとなって、これは、ある意味機械的に出てくるものでございます。
一方で、調査対象となった事業者の負担も減らさなくてはいけないということですので、なるべく抽出率は、一定の質が担保される中では、低くという考え方で設定をしてございます。
2つ目のお尋ねでございますけれども、1つの事業所の経営状況を追っていくというようなことでございますが、まさに、これは、私が、先ほどの経営調査委員会の報告で申し上げた内容とまさに同じだと思いますけれども、将来的にはパネル調査のような、定点的に1つの事業所を追っていくというようなことも検討すべきではないかという御意見をいただいたところでございまして、これに関しましては、事務局で受けとめて検討したいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 一当たりよろしゅうございますか。
御議論を伺って議題1及び2については、さまざまな質問や今後のあり方についての御提言がございましたが、具体的な議題については、本日提示された内容で当分科会としては了承し、調査票については、提示された内容で進めていく扱いでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中分科会長 ありがとうございます。
そのほか、何かございますか。
よろしいですか。
それでは、御議論ありがとうございました。本日の審議はここまでといたします。
最後に、次回の分科会の日程等について、事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 次回の日程は、追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 午後は部会もあるようですが、分科会は今年最後です。
皆様、よいお年をお迎えください。