第92回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年11月15日(金)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第21会議室

議事

○分科会長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから「第92回障害者雇用分科会」を開催します。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところを御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日の出欠状況ですが倉知委員、武石委員、中川正俊委員、長谷川委員、森口委員、それから門﨑委員が御欠席と連絡を頂いております。
議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、まず障害者雇用対策基本方針の改正について、2つ目に障害者活躍推進計画作成指針について、3つ目としてその他となっております。
それでは、議題1の障害者雇用対策基本方針の改正について事務局から説明をお願いします。
○小野寺課長 資料1に基づきまして御説明します。これまで様々な御意見を頂戴しておりまして、それを反映しまして、本日、前回の案から修正がある部分につきましてはグレーの網掛けがなされております。その部分をポイントとして御説明申し上げます。
まず6ページになります。第2の「職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項」の部分の総括的な記載の所に追記をしております。御指摘としては、様々な施策を用意しても、それが当事者あるいは事業主の皆様方に情報が届いていない、活用がなされていないという御指摘がありましたので、「また」として、こうした施策については障害者及び事業主その他関係機関への周知を図るものとするというように追記をしました。
次の7ページ、職業能力開発の推進の部分の一番最後の部分になりますけれども、訓練の資源が乏しい地域がある、その地域間格差についての御指摘がございまして、それを補うような形での修正をしております。在宅等での訓練の受講機会の確保や職業訓練機会の乏しい地域における対応のため、インターネットを活用し職業機会の充実に努めるとしております。
少し飛びますけれども11ページ、この部分は視覚障害者の部分の記載です。機能訓練指導員の活躍領域として、原案では特別養護老人ホームというように限定的に書かれておりましたが、その他の領域についても記載をすべきという御指摘を踏まえまして、その他活用領域として数の多いところから幾つか具体的に例示をさせていただいております。通所介護事業所、短期入所生活介護事業所等ということで追記をしました。
同じページの中ほどにありますけれども、中途障害者につきまして括弧書きで定義付けを明確化しております。在職中に疾病・事故等により障害者となった者をいうということで、いわゆる入職後の障害・疾病につきまして捉えているということを明確化しました。
14ページになります。赤字部分にいわゆる就労パスポートのことを説明しておりましたが、本日、実はこの就労パスポートについてプレスリリースをして確定しますので、括弧書きで就労パスポートということに明示をしました。前回からの修正部分は以上です。よろしくお願いします。
○分科会長 ありがとうございました。前回、皆様からの御意見を踏まえまして、事務局に加筆修正をしていただきましたけれども、これに関しまして何か御質問・御意見がございましたら御発言をお願いします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。ありがとうございました。最後に御説明のあった就労パスポートですが、障害のある方の理解、雇用促進に非常に重要であるという点を理解しつつ、未来のことですので「就労パスポートなど」ということで入れておいていただけるといいかと思います。限定列挙というよりはこれを活用、運用していく中でプラスアルファのことが想定されたりする可能性もあるので、可能であれば「など」というように入れていただきたいと思います。以上です。
○分科会長 事務局、何かありますか。
○小野寺課長 御指摘を踏まえまして修正させていただきます。
○分科会長 ほかにいかがですか。
○竹下委員 竹下です。修正ではないのですが、地域格差の所で明記していただいたことは重要かと思っています。その解消のために、在宅でのリハビリもそうなのですが、この方法論の中に書き込むことまで必要かどうかは分かりませんが、宿泊を伴う形で訓練所のある所まで宿泊費を援助するなどした形での訓練が受けられる要素も含んでいるということで理解していいのかどうかについて要望を述べておきたいと思います。以上です。
○分科会長 事務局、お願いします。
○小野寺課長 障害者雇用対策課長、小野寺でございます。今の御指摘も含めまして、在宅等の「等」で対応させていただくというようにお考えいただければと思います。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか、特断よろしいですか。はい、ありがとうございます。それでは、本日、高橋委員と竹下委員から御指摘もありますので、お二人の意見も踏まえまして、次回の分科会において諮問していただければと思いますのでよろしくお願いします。
続きまして議題2、障害者活躍推進計画作成指針について事務局から説明をお願いします。
○小野寺課長 資料2に基づきまして前回からの修正を御意見を踏まえましてしておりますので、そこを中心に御説明申し上げます。
まず1ページ目の赤い部分ですが、作成の手続の部分につきまして障害者団体又は職員団体から意見を聴取することも考えられるということで、考えられるというところの趣旨を明確化しまして、「必要に応じて」というように記載しております。
それから3ページ、前回、様々な相談体制を整備するのはいいけれども、その相談先が当事者に伝わっていないと相談ができないのではないかという御指摘を頂きましたので、第五の一の一番最後の○の部分、相談先を確保するとともに、それらの相談先を障害者に周知することというように追記をしております。
4ページ、募集・採用に当たっての部分で5つ目の○を削除しております。これは就労パスポートのことでございまして、必ずしも募集・採用のみならず、全般的な雇用管理等にも御活用いただくことを前提に記載箇所をその他の人事管理のほうに移しております。後ほど御説明しますが、一旦、こちらの記述については削除をしました。
次の○の部分、不適切な取扱いの部分について特定の障害を排除という、裏返しになりますが、特定の障害に限定ということを追記して、より分かりやすくしております。
最後のページになります。先ほど申し上げた就労パスポートの活用等について、その他の人事管理ということで、全般について活用いただくという想定でこちらのほうに移しております。合わせまして、就労パスポートというように明記をしました。
最後、これも御意見として頂いておりましたが、地公体等の公共調達においての過程について、「望ましい」という記載につきまして、一歩踏み込みまして「重要」というように修正をしました。修正部分は以上です。よろしくお願いします。
○分科会長 ありがとうございました。それでは、修正部分も含めまして何か御質問や御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。先ほど、私、失念しておりましたが、御質問や御意見がおありの方は必ず挙手をしていただき、私が指名したあとにお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いします。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。1ページの第三、赤字の所、「必要に応じて」の所で意見を述べたいと思います。必要に応じて、障害者団体又は職員団体から意見を聴取することも考えられるという内容ですけれども、ほかの○の所はみんな、参画を求めることが必要とか反映も重要とか書いてあるのに、なぜそこは「考えられる」になっているのかが非常に引っ掛かりました。
必要に応じてというのは厚労省でとか、各自治体で計画を立てる人たちが考えることなのです。でも、やはり、当事者の意見を聞くというのは当然のことですし、ここは私はできたら計画の作成段階の委員会なり会議の中に入れていただきたいし、もしそれができなければ必ず意見を聴取して、反映させるというようなことを入れていただきたいなと思います。以上です。
○分科会長 それでは事務局、お願いします。
○小野寺課長 障害者雇用課長の小野寺でございます。まず、障害者である当事者の皆さんには、必ずその作成の段階で参画をしていただく、これを必須にしており、そこで一定の担保がなされていると。アンケートにつきましても追加でやっていただくことを重要としている。
今回、一番最初の原案では障害者団体、職員団体につきましては記載がなかったものを更に一歩踏み込んで、明確に国としてそういった選択肢を明示をさせていただいております。これは各地域において様々な関係者がいらっしゃる中で、意見を聴取することについての各機関における、逆にしなかったことについてもですけれども、説明責任が生じるということで、まずはここに記載をさせていただいて、その上で各機関における御判断というのは一定の余地を残しておきたいということでございます。ただ、その時に一度、こういった形での指針でお示しをすることで、地域での合意形成が徐々になされていくのではないかと考えております。
○分科会長 眞壁委員、いかがですか。
○眞壁委員 はい、ちょっと国としてそういう当事者参画ということを強調していただきたいなと私は思います。以上です。
○分科会長 それでは、少し検討させていただきたいと思います。私の記憶が間違っていなければ、多分、その上の○の「アンケート等による職員の意見の聴取・反映も重要」といったところで、更に次の○の障害者団体又は職員団体から意見を聴取することも大事というか、そういったこともやるべきではないかという御意見もあったように思います。多分、○でこういうようになっているので、項目として挙がっているように見えますけれども、場合によってはというか、もしかしたらその上の○の「アンケート等による」の部分に付加するような形の文言ということでもいいのかなという感じには今、議論をお聞きしながら感じました。それから、そもそも、以前御意見を頂いたところでもそのように考えてもいいのかなと個人的には思っていますので、少し、その辺を再度調整させていただければと思います。それでよろしいですか。
○眞壁委員 はい。
○分科会長 これは事務局と相談させていただきます。ほかにいかがでしょうか。
○竹下委員 竹下です。文章の訂正ではありません。場所的には第五の三の(2)、「募集・採用」の所になると思います。この指針自身は各省庁とかに対するものですから、当然ここには入ってこないのかもしれませんが、元来、障害者活躍推進というのは内閣において言わば閣議決定したところからスタートしていると思います。そうであれば、国としての障害者雇用というものは、その根本においてどういう形で位置付けられているのかということが問われるかと思います。
その点で、人事院によるこの2年間実施されました障害者採用試験が今後どうなるかということが重要かと思っております。すなわち、この間の2年間の障害者採用試験において約4,000人の障害者が採用されたと聞いていますが、これは大きな前進であり、高く評価したいと思うわけです。ただ、これで終わりだとすれば、紛れもなくそれは数合わせでしかないわけです。あくまでもそうではなくて、今回の水増し問題を契機として、障害者雇用を推進するというのであれば、4,000人を採用したからそれでおしまいではなくて、今後に向けても人事院による障害者採用選考試験と言うのでしょうか、これを継続することを強くお願いしておきたいと思います。以上です。
○分科会長 それでは、ただいまのは御意見として承りたいと思います。
○竹下委員 はい。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。5ページ、今説明がありました第五の四でございますが、前回私のほうで、これまでの背景や今後目指すべきことを踏まえて、より強い意思を示していただきたいという観点から、「望ましい」から「重要」という表現に修正していただきたい旨の御意見を言わせていただきました。今回、「重要」という文言を記載頂いたということで、その強い意思を確認できましたので、まずはありがとうございますということで感謝の意をお伝えしたいと思います。以上です。
○分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。
特段なければ、本日の御意見を踏まえまして、内容の修正の検討や調整をした上で次回の分科会において諮問をしていただきますよう、よろしくお願いします。
議題3の「その他」に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○澤口室長 地域就労支援室長の澤口と申します。よろしくお願いします。本日、机上配布ということで、お手元にプレスリリースの資料を置かせていただいております。ただいま、お話にも出ました就労パスポートの関係でございます。就労パスポートについては、就職や職場定着の支援ツールとして作成をしていこうということで検討会議で議論しまして、この度中身も含めて正式に確定をしましたので、本日プレス発表させていただきました。
お手元の資料に就労パスポートの中身そのもの、様式も付けておりますけれども、作成主体は障害のある方御本人ということですが、働く上での自分の特徴、障害特性を含めた自分の特徴であるとか希望する配慮について地域の就労支援機関とともに整理を頂いて、それを事業主に提示をしていただく。これを通じて、こういった支援・配慮があればきちんと仕事ができるということを理解していただこうということで作成をしたツールでございます。
ただいま、高橋委員からも「など」ということで御意見がありましたけれども、いろいろ地域の就労支援機関で既存ツールということで支援ツールを使われていると思います。この就労パスポートの特徴としましては、就職・職場定着ということで雇用の場面に着目をしているということ、それから今申し上げたように企業・事業所にアウトプットしていくことで支援につなげていくというコンセプトがあるということです。また、就職時点に限らず職場定着を進めるということでありますので、就職後も継続して使っていただくことを想定しているものであります。そういったところがこの就労パスポートの特徴かなと思っております。
今後、我々としても労働局やハローワーク、現場を通じて周知宣伝活動を広くやっていこうということで、広く活用を進めたいと思っております。また、各委員の皆様からも是非、周知宣伝等お願いできればと思っております。以上です。
○分科会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして質問や御意見がございましたら御発言いただきたいと思います。必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いします。いかがでしょうか。正木委員、どうぞ。
○正木委員 ありがとうございます。就労パスポートにつきまして、経団連でも是非こういうものを作っていただきたいというようにお願いしておりまして、ようやく始まったとことを嬉しく受けとめております。
ただ今の御説明にもありましたけれども、採用だけでなく、定着・支援という意味でもそれぞれの方、障害を抱えた方が「自分に今何ができるか」とか「どういうことをしたいか」ということを表現していただき、この就労パスポートをツールとしてキャリアアップにもつなげるということのために是非有効活用していきたいと思っています。経済界の皆さんにも推薦していきたいと思いますので、作成される障害のある方、御本人にも是非前向きに活用いただければと思っております。以上です。
○分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか、特段よろしいでしょうか。それでは、特段なければ、以上で本日の議論は終了とさせていただきたいと思います。何か御発言のある方、いらっしゃいましたらこの機会にお願いしたいと思いますが、特段なければ本日の「障害者雇用分科会」はこれで終了とさせていただきたいと思います。
最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いしたいと思います。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。次回の日程については11月下旬の開催を予定しております。詳細は追って事務局より御連絡します。以上です。
○分科会長 ありがとうございました。本日の会議に関する議事録の署名についてですが、労働者代表は仁平委員に、使用者代表は松永委員、障害者代表は小出委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。