第91回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和元年10月25日(金)13:00~15:00

場所

厚生労働省共用第6会議室

議事

○阿部分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第91回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。初めに、本年10月15日付けで委員の改選があり、障害者雇用分科会の委員に新たに就任された方を御紹介いたします。一言御挨拶をお願いいたします。労働者代表委員について、村上陽子委員が退任されたことに伴い、日本労働組合総連合会総合政策推進局長、仁平章委員に新たに御就任いただきました。また、本日は御欠席になりますが、本年10月25日付けで使用者代表委員、三輪高嶺委員が退任されたことに伴い、株式会社日立製作所人財統括本部人事勤労本部トータルリワード部長、松永恭興委員に新たに御就任いただいております。どうぞ、よろしくお願いします。
それでは、仁平委員、一言お願いします。
○仁平委員 皆さん、こんにちは。村上と交替いたしました、連合の仁平と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 よろしくお願いします。なお、本日は倉知委員、中川委員、門﨑委員、松永委員が御欠席です。また、武石委員におかれましては、用務のため14時半頃に御退席とお聞きしております。
それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。本日の議題ですが、(1)障害者雇用対策基本方針の改正について、(2)障害者活躍推進計画作成指針について、(3)中小事業主の認定基準について、(4)その他となっております。
それでは議題1、障害者雇用対策基本方針の改正について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、資料1に基づきまして説明申し上げます。基本方針につきましては、これまで幾つも意見を頂いております。あわせて前回日視連から意見書を頂戴しておりますので、これらも踏まえて見直しを図っております。今回見直しを図って追記あるいは修正した部分については、グレーの網掛けがかかっていますので、主にその部分について説明申し上げたいと思います。
まず、この基本方針については、当然、官民含む我が国全体の方針ではあるものの、昨年の事案もありましたので、明確に公務部門の位置付けをするべきという指摘が日視連からありましたので、国の機関及び地方公共団体の機関ということで、公務部門という文言を随所に追記しております。あわせて、1ページの下のほうに、公務部門の雇用率についても追記しております。2ページの真ん中辺のグレーの部分になりますけれども、特に障害者雇用に係る政府方針について明記すべきという指摘がありましたので、一億総活躍プラン、それから働き方改革実行計画を含めて追記しています。昨年の事案につきまして、なぜこうした事態が生じたのかを明確に記載すべきという指摘がありましたので、これについても検証委員会での報告書を踏まえて、グレーの真ん中辺にありますが、「国の行政機関における」から書き始まっている部分を追記しております。雇用率の達成に向けての取組についても明確に言い続けるべきということで、最後のほうの後段になりますが、「障害者の活躍の場の拡大を図るため」と、「及び法定雇用率の達成はもとより」ということで追記しております。次のページも、おおむね公務部門についての明確化ということです。
10ページ、一番下のほうについても、視覚障害者の現状と課題を正確に表記すべきという指摘がありましたので、「あはき業」における就労に「大きく依存せざるを得ない」という書きぶりを、「占める割合が大きい」と客観的に書いているのと、事務職を主に念頭に置いておりますが、ICT等の技術革新の進展状況を踏まえ、職域の更なる拡大にも努めるということで記載しております。
11ページのヘの部分に、研修機関等と書き加えております。特に中途障害者については、休職期間の確保だけではなく、復職に当たっての研修なども当然必要だろうということで研修機関等と追記したのと、また以下の部分にありますが、特に現場での産業医、医療機関との連携、職業訓練の必要性など、中途障害についての丁寧な書きぶりを追記しております。
15ページです。14ページの4に事業主に対する援助・指導の充実等とありまして、この部分に中小企業の認定制度の創設の部分を書いてありましたが、ここは明確に中小企業に対しての取扱いということで記述を分けまして、新たに5と項を設けて、中小事業主の認定制度の普及・実施ということで、書きぶりについては前回同様で、特出しをしたということです。主な修正点、説明は以上です。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら、視覚・聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくよう、お願いいたします。それでは、どなたからでも結構です。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。私たちの意見を受け止めていただいて、ありがとうございました。その上で2、3追加で意見を述べたいと思います。1つ目は、除外率の問題で、3ページ11行目と13ページ22行目に関連するわけですが、書きぶりそのものがこれで十分かどうかに対しての問題です。15年間、残念ながら廃止の方向で決定された確認が、大きく遅れていることを踏まえた場合に、今後どのようにして除外率制度の見直し、あるいは縮小に向けた道筋を作っていくのかを、もう少し分かりやすく、あるいは、確実にそれが実施されるような書きぶりにする必要があるのではないかというのが1点目です。
2点目ですけれども、10ページの下から2行目辺ですかね。特別養護老人ホームという施設名を特定しているのですが、この部分は不正確ではないかと思うわけです。現実に就労しているのは、特別養護老人ホームもありますけれども、それ以外に、デイサービス施設とか介護保険事業所での就労実績が前提になっているかと思いますので、この部分は特別養護老人ホームという限定ではなく、介護保険サービス事業所となるのではないかと思います。これが2点目です。
3点目に財源の問題だろうと思うのですけれども、ジョブコーチの養成ということと、さらに合理的配慮の実現というときに、財源に関する規定がどこにも見えてこない、すなわち、それらを実施するための財源がどのようにして確保されていくのかについて、基本方針の中できちんと明確にさせておくべきではないかと思うわけです。以上です。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目の除外率についてですが、研究会報告書、当分科会意見書の中でも継続検討とされている部分でありますし、法案審議においても廃止に向けて速やかに検討ということになっていますので、当然年明けからまた議論をしていく話になってくるかと思います。あわせて、そのために除外率を適用している職種分野において、障害者の雇用がどのような状況になっているかの実態把握をしなければならないと思っております。この辺は、JEEDに依頼して調査をしていくこととしております。
2つ目は、御指摘のとおりですので、修正したいと思います。3点目の財源論について、ここにどこまで書くかは位置付けとしてなかなか難しいと思っておりまして、おおむね公的部門の話かと思いますが、財源の話で対応が十分になされていないということにならないように、別途ほかの部分でしっかりとした対応を書き込めるかどうか検討したいと思います。以上です。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 分かりました。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 連合の仁平と申します。私も前回までの審議を余り承知していないものですから、とんちんかんなことを申し上げるかもしれませんが、2ページ目の所で修正いただいた、一方でという書き出しの所です。率先して障害者を雇用すべき立場にある公務部門と書いてありまして、その2行下、グレーになっていますが、国の行政機関におけるという書き分けがあるように見えます。この辺は先ほど説明があったように、報告書の記載がこうなっているからということかもしれませんが、そもそもの範囲が違うのか同じなのか、その辺りを教えていただけると理解が深まるかと思うものですから、よろしくお願いします。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘のとおりで、事案全体については公務部門、国及び地方公共団体を含めて見受けられたものですが、なぜそれが起きたのかという検証については国の行政機関を中心にやっておりまして、正に報告書自体の書きぶりが国の行政機関となっております。そういう意味では、ここは書き分けさせていただければと思います。
○阿部分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。確認ですが、先ほど11ページのヘで、中途障害者という言葉が出てきましたけれども、この中途障害者というのは、ある意味仕事をしていて、勤めていて障害になった人を指すものなのか。それとも、人生の途中で中途障害になったということで中途障害者という言葉も使いますけれども、私は11ページしか見ていないのですけれども、多分、その前に定義か何かあるのでしょうかということの確認です。また、ここだけ取り出すと、そこが分からなくならないかという心配も申し添えます。
○阿部分科会長 事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 今の御質問ですけれども、基本的には雇用されている方を前提に書いております。働いていて途中で障害をということです。
○阿部委員 分かりました。でも、私たちは一般的に、人生の途中で障害になった人を中途障害者と呼ぶことのほうが多いので、そのことについて紛らわせないようになるといいなと思いました。
○阿部分科会長 では、何か工夫をお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 何度もすみません。先ほどの質問に対する答えは、それで結構です。その上で、落ちていた点が2点あります。1点は6ページ6行目ですが、私たちのこういう書きぶりが必要ではないかという、そのままでなくてもいいのですが、地域間格差が生じていること自身は、客観的な事実として認識は共通していると思うのですよね。都市部におけるリハビリ、あるいは職業訓練が受けやすいことに対して、地方では本当に数えるほどしか存在しません。そうすると、例えば視覚障害者でいいますと、視覚障害者の職業訓練をやってくれる学校というのは、非常に限定された地域で数校しかないわけです。そうすると、設置校の近い所に住んでいない人は、利用できないという現実があります。そういう場合に、最近、遠隔地での研修の受け方を考えるのか、逆に旅費と宿泊費を含んだ何らかの支援で対応するのか、そういう流れを少し意識していただくことが、改善のためには必要ではないかというのが1点目です。
もう1点は、どこに入れるのか分からなかったのですけれども、これらの各種の基本方針に基づいた制度が進んでいくときに、それらの支援制度をスムーズに利用できないという場面が非常に多いわけです。なぜそういうことが生じるのかというと、障害者自身にそのことが周知されていない場合もあるでしょうし、もっと大事なのは、事業主さんに対して制度の周知がされていない。そのために、例えば障害者自身が支援を求めても、事業主さんにおいて、その制度の理解がないために利用にたどり着けなかった事例を聞いております。そういう意味では制度の周知、あるいは利用しやすい流れを作っていただくような書きぶりを、どこかに入れていただくことができないだろうかというお願いです。以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。1点目の地域間格差の部分については、前回にも御議論いただいたかと思います。ITのいろいろな活用も含めて、イーラーニングもありますし、何らかの形で地域間格差を是正するような取組が可能かどうか、少し書きぶりも含めて検討したいと思います。それと支援制度自体の情報が届いていないことによって利用できないというのは、非常に重要な問題指摘かと思います。これも、どの辺りに位置付けたらいいのかも含めて検討したいと思います。
○竹下委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、この辺りでよろしいですか。それでは、ただいま幾つか御意見もありましたので、事務局において、本日の議論を踏まえて再度資料の精査をしていただきますよう、お願いいたします。
続きまして議題2、障害者活躍推進計画作成指針について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、資料2に基づいて御説明いたします。主に修正点について御説明いたします。第一に追記しております。ここは、正に今回の事案をしっかりと踏まえた上でということで、「このような事態は今後あってはならない」という厳しい認識を書き加えているのが1つです。真ん中辺りの赤字部分は、前回、記載の順番や何か説明がいるのではないかという御指摘を頂いた部分です。現時点においては、例えば、障害者基本計画や障害者権利条約、あるいはバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱等既存のものから、説明書き等あるいは順番等について留意し書き直しております。一旦、このような形で整理をさせていただき、当然、告示ですので、今後、法令チェックなども受けながら、更に精査を図っていきたいと考えております。
その次の○は、新規に追加しております。この場において何度も御指摘を頂いておりますが、障害者の活躍を持続的に推進するために、労働、福祉、教育等ということで、様々な制度が、あるいは、関係者が連携していくことが重要だということを認識として書き加えております。
次の第三に関わる部分で、1~2ページにまたがっておりますが、追記しているのは2ページで、計画の作成の体制についてです。障害者職員の参画だけではなく、この場においては職員団体から御提示がありましたので、アンケート等による職員の意見の聴取・反映は、前々から別の推進体制の所に書いてありましたが、それと併せて計画の作成自体は障害者当事者の参画と、職員等に対しての意見聴取、併せて障害者団体又は職員団体から意見を聴取するという、この3つの形を取らせていただきます。
これを併せて、3ページの第五にあります計画の推進体制にも同様に位置付けたいと考えております。ですので、作成の体制をそのまま、計画の推進体制についても、計画作成における検討・意見聴取の枠組みと同様に整備と書いてあります。
少し戻り、3ページの真ん中辺りの三の部分です。この部分は合理的な配慮のみならず、公務ですので率先してということで、積極的なという文言を追記しております。計画の推進体制については、先ほど申し上げたとおりです。
次の4ページは人材面の部分についての記載です。1つ目の○は、一番最後の○を1つ付け加えたことで修正を加えているのですが、まず、5番目に新規で付け加えた部分は、この場で御指摘を頂いた、支援者側だけでなく一緒に働く同僚や上司に対しての意識啓発が必要ではないかという御指摘がありましたので、それに関しての研修の実施について書いております。ということで1つ目の○に戻り、こちらの、その他支援者・同僚等に対してという所が、同じような形で読めてしまいますので、いわゆる、意識啓発等ではなく、障害者を支援するための研修であるということで書き分けてあります。
その下の三の(1)の4つ目の○で、その他の適切な方法と記載しておりますのが、定期的な面談だけでなく、その他の適切な方法がいろいろあるだろうということで、柔軟な対応が必要ということで、関係府省から意見がありましたので、定期的な面談の後に、その他適切な方法と書き加えております。
5ページの一番上です。これも前回に御意見を頂いた部分で、本人が希望する場合は、就労支援機関等と障害特性等についての情報を共有し、適切な支援や配慮を講じていくことが重要と、いわゆる「就労パスポート」についての記載です。まだ、就労パスポートという文言が、公表・確定されておりませんので、ここについては、それを意味する表記としており、最終的に、これを告示する段階で「就労パスポート」ということになっていれば、また修正したいと思っております。
その下の(4)キャリア形成の部分です。ここも、もともと非常勤から常勤への転換について書かれておりましたが、そもそも、常勤職員の採用があるだろうという御指摘がありましたので、「常勤職員の採用はもとより」と追記しております。
(5)の部分は、中途障害者についてです。その職場復帰に当たって、当然、職業リハビリテーションも必要になってくるであろうし、復帰後も通院への配慮が必要であろうということで、中途障害者に対しての配慮について更に丁寧に書き加えております。
最後の部分はその他です。もともとの原案では優先調達推進法に基づく障害者就労施設等への発注について記載しておりましたが、それに加えて法定雇用率以上の雇用をしている企業に対して、国及び地方公共団体の公共調達の参加資格に含めることが望ましいという記載を追記しています。あわせて、認定制度がスタートしますので、認定を受けた事業所について、地方公共団体の公共調達に対して加点することが望ましいという形で書き加えております。これは、更に国として後押しが必要という御意見を踏まえて追記いたしました。説明は以上です。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問や御意見がありましたら必ず挙手していただき、私が指名した後に、お名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。それでは、どなたからでも結構です。佐渡委員どうぞ。
○佐渡委員 愛媛県ビル管理協同組合の佐渡です。数点、意見を申し上げます。まず、1点目は、障害者の雇用推進における考え方についてです。キャリアアップに対する認識ですが、障害者にとってキャリアアップは、まず、働くこと、働く時間が増えること、働き続けること、そうした段階で評価するような仕掛けや制度としていただけると、中小企業側の雇用のレベルアップも図りやすいと思います。
また、働き続けるという意味では、同業他社や異業種への転職をキャリアアップの1つとして捉えていただき、そこに組合等の、ある一定の枠組みを活用していただくのはいかがかと考えます。
2点目は、中小事業主の認定制度についてです。基本方針改正案の15ページ、中小事業主の認定制度の普及・実施について記載されておりますが、私はかねてより認定制度を推進普及していく中で、認定を取った事業主に対して、地方公共団体の公共調達における評価について、加点、優先発注とインセンティブが少しでも可能になるように主張してきたところであります。
その上で、障害者活躍推進計画作成指針の5ページ目の四、その他の一番下の○の箇所につきまして、中小事業主の認定制度が2020年4月から開始することとされている中で、中小事業主における障害者の活躍の促進に資するため、事業主の規模を踏まえ、「地方公共団体の公共調達において、認定された中小事業主の評価を加点することが望ましい」と記載されておりますが、中小事業主の認定制度による加点の措置は、地方公共団体だけのものではないため、次のように加筆していただければ幸いです。中小事業主の認定制度が2020年4月から開始することとされている中で、中小事業主における障害者の活躍の促進に資するため、事業主の規模を踏まえ、「国や地方公共団体等の公共調達において、優先発注や中小事業の補助事業、優先採択、認定された中小事業主の評価を加点することが望ましい」併せて、対象が認定された中小事業主とされているため、団体が一法人としての対象となることは、理解しているものではありますが、あくまでも団体は中小企業そのものではないため、議場に上がっている基準ではクリアしづらい面は多くあると思います。
そこで、例えば、「団体構成員のうち、中小事業認定制度の対象となる企業の半数以上が認定を取っている団体」といった、基準を超えた団体を評価するような制度を加えていただけると幸いです。また、中小事業主である一定の基準を超えた数の中小事業主が所属する団体とした表現にしていただくことが可能であればお願いしたいと思います。なお、その前提となる団体がどのような団体で、全国にどれだけあるかという点については、お手元に資料をお配りしております。中小企業団体中央会さんが毎年出されている「中小企業組合ガイドブック」に書かれておりますので、お時間があるときにでも見ていただけたらと思っております。
次に、認定基準についてです。基準については、昨今、政策の上でも経営の面からもテーマとして話題になっているSDGsについても、例えば、地方自治体から推薦などで担保する形でも評価基準に入れていただくのはいかがでしょうか。この点についても、神奈川県の中小企業でも、SDGsに対するガイドブックの中にも横浜の組合の事例を配布しておりますので、見ていただいて相乗効果として誘導していく面からも活用できることが良いのではないかと思っております。
また、職場環境の項目については、現状の書きぶりでは、設備、施設のハードルが高い印象があるので、もっとソフト面で大丈夫というような項目作りをしていただけると中小企業の取り組みやすさも上がると考えております。
次に、中小事業主の認定制度のスキームについてです。認定について0から1も大変重要であるものの、認定後の中小企業へのフォローやレベルアップなども重要だと考えております。公的機関が窓口となって認定する仕組みだと、そこをやりきれない可能性があると思います。そこで、社労士などの支援し続ける可能性がある所を認定窓口とし、かつ、単なる社労士であればできるということではなく、ある一定の講習会を受けるなどを工夫して、支援側も育てる仕組みにされると良いかと考えます。
中小事業主の認定制度の啓発活動についてです。そもそも認定については、とにかく啓発活動が必須になると考えております。そうした意味では、先ほど御説明した事業協同組合の業界団体や商工会、商工会議所、中央会などの中小企業支援機関を積極的に活用し、セミナー等を実施していただくと効果的だと思います。
また、地方公共団体の公共調達の評価導入については、経済産業省が所管している中小企業に関する国等の契約の基本方針の項目を、達成度チェックなどを参考に、毎年の地方公共団体へのアンケートなどでフォローしていただくことが効果的だと考えております。
最後に、就労パスポートの活用についてです。計画作成指針の4ページ目、(2)人材面についての5つ目の○に「職場の同僚・上司に対し、障害に関する理解促進・啓発のための研修等の実施も重要」と記載されております。職場の同僚・上司に対し障害に関する理解促進・啓発のためには研修等の実施も重要とあります。障害に関する理解促進・啓発のために現在、「精神障害者等の就労パスポートの作成に関する検討会」で、協議・検討が進められておりますが、是非、就労パスポートの有効活用を図る観点からも、就労パスポートを文面に加えたらいかがかと考えております。以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。多岐にわたり、ありがとうございました。中小事業主の認定制度は、次の議題のところでお答えする部分もあったかと思いますので、今は、活躍推進計画作成指針に関わる部分だけお答え申し上げたいと思います。
まず、2点目になるかと思います。四のその他において、今回の中小事業主の認定制度の認定を受けた事業所に対して、地方公共団体の公共調達における加点については記載しているけれども、経済産業省の施策かと思いますが、国の優先発注や中小企業の補助事業、これについての追加をという御意見だったかと思います。これについては、大変恐縮ですが、関係府省、あるいは省内、関係部局とも様々な調整が必要となってまいりますので、少し調整を図るためにお時間を頂戴したいと思います。
それから、7点あったうちの一番最後の7点目かと思いますが、就労パスポートについてです。今回、私どもで募集・採用の所に就労パスポートについての記載をしておりますが、研修、あるいは、理解促進の部分においても記載してはという御指摘がありました。これについては、この指針に基づいて、これから実際に策定していく手引に具体的に記載を図っていきたいと思っております。ただ、就労パスポートについては、先ほど申し上げたように、位置付けとしては、募集・採用の所で明記していくことで対応させていただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 では、認定制度の部分は後ほどということでお願いいたします。ほかに、小出委員どうぞ。
○小出委員 全国手をつなぐ育成会連合会の小出です。前回も申し上げましたが、その間、ずっと引っ掛かっている所があります。指針の4ページで、三の障害者の活躍を推進するための環境整備・人事管理の(2)募集・採用の一番下段の○で、知的障害者、精神障害者及び重度障害者の積極的な採用に努め、障害特性に配慮した選考方法や職務の選定を工夫することが重要であると。
指針としては、そのとおりであり、ほかの項目にない次ページの○で、以下のような不適切な取扱いを行わないことが必要であるということで、具体的な事例を黒ポツで幾つか挙げております。その中で、特定の障害を排除しないという項目の中で、ある所の採用、年度の途中での採用ということで、特定の方というような部門でということがあると思うのですが、例えば、身体障害者の方を採用したいという募集項目がありました。その場合は、身体障害者以外の人は、ここにある特定の障害を排除すると、文言では出て来ませんが、そのように受け取られます。そのような書きぶりが指針の中で示されることは、拡大解釈になりますが、いかがなものかということを、ずっと気になったものですから、再度、御質問いたします。
○阿部分科会長 もう一度、小出委員、私も少し最後の辺りが。
○小出委員 分かりました。特定の障害を排除という文言ですが、例えば、身体障害の方だけを採用しますという書きぶり、それはいかがなものかと私どもは考えています。そうすると、それ以外の障害の人を排除することになりませんかということ、その点です。
○阿部分科会長 募集広告に身体障害者を採用と書いてあると、それ以外の障害の方は排除されることになるのでということですね。はい、分かりました。では、事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。この特定の障害を排除ということ自体が、不適切な取扱いという意味でここに列挙されていますので、おっしゃっていただいたような身体障害者だけを採用するというものについても、当然、不適切ということになります。この書きぶりが少し分かりにくいという。
○小出委員 小出です。このように、指針の中に個別の項目を書くというのは、非常に難しいことになりますが、そのようなことで書きぶりとしては、どのように書いたらいいのかというのは少しあります。今、ある所ではそれが問題になっているということで。
○阿部分科会長 では、事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。これは地方公共団体も含めて公務部門に対して示すものになり、昨年来からの採用を進める中で、特定の障害種別だけを採用するという求人が実際に出ていて、正に問題事案として、繰り返し各機関に対して是正のお願いをしてきたところです。分かりにくさがあれば、もう少し文言は工夫したいと思いますが、これまでにも繰り返し申し上げているので、趣旨としてはしっかりと伝えることができるかなと。また、手引でも具体的な事例も引用しながら書いていきたいと思います。いずれにしても、こういった不適切な取扱いというのは事実あって、それについて指針上に書いていくのは1つ必要なことかと思っております。
○小出委員 お願いします。
○阿部分科会長 それでは、ほかにいかがですか。竹下委員からお願いします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。1点だけお願いします。4ページの、第五の(1)の最後の○の部分に「内容に応じた多様な相談先の確保が必要」とあります。これはそのとおりですが、ただ、この後ろに、例えば私なりの書きぶりですと「必要であり、そうした配置が各当事者に周知されること」というふうに入れていただけないかなと思います。といいますのは、この間、新規で公務員になった方々の声を聞いてると、自分たちの職場で抱えている問題を、どこに相談していいか分からない、ということで行き詰まっている人がおられることが分かりました。
しかし、現在でも、そのような相談先があるはずなので、その相談先に配置されている人、具体的には、例えば、この健康管理の人であるとか、障害者職業生活相談員という、この人たちがきちんと配置されてるよと。どこにどんな人が配置されているかということが、当該、障害労働者に分からないと駄目だと思います。そういう意味で、せっかく相談先の確保としておきながら、それが利用されないということがあってはならないと思いますので、それらの周知徹底、十分な広報によって相談先が当事者に分かるようにしていただきたいというのを、書きぶりとして付け加えていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 では、事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘も大変重要な御指摘だと思います。先ほどの御指摘と通じる部分ですが、支援措置を措置しても、それが当事者に届いていないと活用されませんので、おっしゃるような御指摘を踏まえて、記載・追記を検討したいと思います。
○阿部分科会長 では、眞壁委員お願いします。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。3ページの第四の三、○の4つ目に「障害特性に配慮した取組を積極的に進めることが必要」と書いていただき、本当にありがとうございます。日々、障害特性に配慮して取り組むことは、毎日、毎日、支援しなければならない、1回や2回言ったからといって「どうして、そんなにできないの」みたいな言葉は、障害者にとっては大変なパワハラになると思いますので、是非、今、パワハラの改正法が成立して、具体的な運営指針を検討していると思いますが、そのことも踏まえて現場で取り組んでいってほしいと思います。以上です。
○阿部分科会長 御意見として承っておきます。ほかにいかがですか。高橋委員どうぞ。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。3点あります。まず、1点目は1ページです。再三、私からも連携の大事さを言わせていただいた中で、労働、福祉、教育との連携という記載を新たに書いていただいたことに、まず、ありがとうございますというのが1点目です。
2点目、3点目は、先ほど佐渡委員が意見を言われた所に、かなり重複するところもあるのですが、まず、第一の障害者活躍推進計画の意義・背景から、今回の国、地方公共団体の大きな課題を整理を受けて、5ページの第五の四のその他の意見を言わせていただきたいと思います。
こちらは、佐渡委員も言われていましたが、「中小事業主の認定制度が2020年4月から開始することとされている中で、中小事業主における障害者の活躍の促進に資するため、事業主の規模を踏まえ、地方公共団体の公共調達において、認定された中小事業主の評価を加点することが望ましい」という記載がありますが、こちらの意義・背景の整理からすると、先ほど、課長から望ましいと書き加えましたという御説明がありましたが、より強い意思を示すためにも、重要という表現に変えていただくことを検討していただきたいと思っております。
また、この後に議論する中小事業主の認定制度においては、これまでの背景から、国や地方公共団体が更に率先してやっていただく必要があると思っております。せめて、所管である厚生労働省、障害者雇用促進をしている部・課に限らず、厚生労働省全体の公共調達物件などへの具体的なインセンティブなども、是非、具体的に検討していただきたいと、これが2点目です。
3点目は、これも佐渡委員が発言されておりましたが、国・地方公共団体に対する指針ですから、やはり、PDCAを回す定期的なフォローや調査からの公表などを実施することで、国や地方公共団体等が各自行う障害者雇用促進の本気度を、しっかり社会全体で見守っていく必要があります。そのことによって、国・地方公共団体等がモチベーションアップし、実効性を促進できるような流れを、是非、作っていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 では、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。2つ目に御指摘いただきました中小事業主の認定制度に基づく加点の部分については、重要という、もう一歩踏み込んだ表現をということですので、前向きに検討させていただきたいと思います。併せて、省内全体の調達にというところについては、省内においてどこまで調整が進むか分かりませんが、継続的にやらせていただきたいと思います。
それと、3つ目のPDCAを回して、正に形骸化せずに実効あるものにしていくというのは、非常に重要な視点かと思います。どういった形でフォローや調査をするのか、あるいは、好事例を収集して横展開するなど、皆さんにそれを見習ってやっていただくという形もありますし、どのような形でできるかということも踏まえて、実効が上がる形で運用していけるようなものを検討していきたいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、この件についても、ただいま頂いた委員の御意見を踏まえて、資料を精査していただいて、次回での議論に資するようにしていただければと思います。よろしくお願いいたいします。
続いて、議題3に移りたいと思います。議題3は中小事業主の認定基準についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、資料3に基づいて御説明申し上げます。1ページは前回お出ししたものであり、今回、評価基準等を含めて具体的にお示ししております。まず、2ページにある四角囲みで前提となる条件について整理しております。評価基準に基づいて得点を加算していき、全体で25点(特例子会社については45点)以上をもって認定というふうに考えています。併せて、それぞれの取組をバランスよく取り組んでいただくという視点から、アウトプットの部分については5点以上、成果についてはよりウエイトを掛けて6点以上、情報開示については2点以上と、それぞれについての下限点を設けております。
実雇用率が法定雇用率を下回るものでないことという意味は、雇用不足数が0であるということをもって申請可能としたいと考えております。A型事業所についての取扱いについてかなり御意見を頂いたところですが、今回の案としては障害者を1人以上雇用していることというのを前提条件に掛けた上で、A型事業所の場合には利用者は含まないとさせていただければと思っております。また、障害者雇用促進法、それから関係法令について重大な違反がないことを条件にしたいと考えております。その上で下の得点評価点を御覧いただくと、成果についてだけが3段階で、少し得点のウエイトも上げている形で、取組よりも成果を重点的に見ていきたいと考えています。
3ページ以降、評価要素について少し細かく整理しております。まず組織面については、右側にあるようにリーダーシップ、部署横断体制、当事者参画、支援担当者の配置、PDCAサイクルという5つの観点で、それぞれ1~2要素該当すれば「優良」、3つ以上該当すれば「特に優良」ということで、1点若しくは2点というように加算していくことになります。人材面については専門的な外部研修・セミナー、社内での研修、あるいは理解促進・啓発に対しての取組といったことを評価したいと。
4ページですが、仕事づくりの部分については3項目あります。事業創出の部分は過去2~4年間のいずれかということで、経常利益が黒字あるいは売上高対経常利益が5%以上ということを軸にしております。もう1つ、「特に優良」のほうには、過去10年間に、障害者雇用により新事業を創出できたということを載せております。これについては、夏頃に中小企業等をヒアリングした際に、大変先進的なものにはなりますが、障害者を雇い入れてその方の障害特性をいかした上で、何か新商品ができたとか新事業ができたというような取組もあったということと、それも1つ事例として収集していって、中小企業の皆さんにお示ししていくというのも大事な観点かなということで入れています。
職務の選定・創出については、まず選定・創出という観点、併せて選定・創出した上で障害者とのマッチングに対しての取組。それと、その際に支援機関等との連携その他適切な方法により行ったというところを評価したいと考えております。5点目は障害者就労施設等への発注ということで、やはり、かなり規模が大きくないと難しいのではないかという御意見もあったところではありますが、全体としてこれを推進していこうという流れにありますので、項目として1つ設けております。
5ページに移ります。環境づくりということで、まず職務環境です。1つ目は作業施設・設備等について、併せて、御本人が仕事をしやすいようなマニュアルのカスタマイズや作業手順の簡素化といった点です。募集・採用については職場実習生の受入れ、あるいは他の企業への見学、他の企業からの見学の受入れということ、こういったノウハウをいかして募集・採用に当たっていただくという取組を評価したいと。働き方についてはテレワーク、フレックスタイム等様々な制度がありますが、それらの制度自体を整備したこと、あるいはそれに基づいて実績があること、それぞれを区分して評価していくというように考えています。
6ページのキャリア形成については、それぞれの障害者の方にキャリアプラン(支援計画)のようなものを作って、それに基づいて育成しフィードバックをしているということ、あるいは社内での研修とか、社外での御自身の資格取得等自己啓発への取組の推進といった観点。それと、例えばここまでできるとリーダーになって、リーダーになるとこういう手当が付くといった、障害者である社員自体が何らかのキャリアアップをし、それが評価されるような基準が整備されていて、かつ公開されているということ。その他の雇用管理としては、日報により業務管理、体調把握を行っているということ、あるいは職場介助、通勤配慮に対しての何らかの取組というような要素で評価したいと考えています。
7ページですが、それぞれについての数的側面の評価ということで、まず雇用状況については実雇用率、除外率適用前の実雇用率という2つの側面で見ております。定着状況については定着率、勤続年数ということで見ております。定着率については、一般のハローワークにおける障害者求人に対して採用された障害者の6か月後の定着率が約80%、1年後の定着率が約70%という水準に、プラス10%ぐらいでどうかと考えています。併せて勤続年数については、15年は長いという御指摘もあったところですが、例えば身体障害者で見ると平均が大体10年ぐらいに上っているということ、一般の労働者で見ると12、13年というようなこともありますので、それらを踏まえて、「特に優良」あるいは「優良」に当たっては15年ということで考えています。
8ページは満足度・エンゲージメントということで、まずこういったことの調査を行っていただいて、8割ということを一定のラインに置いております。若しくは、次の段階としては6割以上ということで、それぞれ継続的な取組と単発、3年間の中でのいずれかという軸で評価しております。キャリア形成については、障害者自身がリーダーになっているということとか、給与面で障害者が最低賃金に張り付いているというような実情もありますので、能力アップをしていただき、キャリアアップしていただいて賃金が上がっていくということを1つの観点として、給与という側面から評価しております。
9ページですが、それぞれに対しての情報開示について評価したいと考えております。併せて9ページの、注)の所に書いてありますように、連携先の就労支援機関等に認定基準に該当する旨を証していただくことをもって、その場合にはいずれについても、それぞれの該当において「優良」の1点若しくは「良」の2点という形で評価していきたいと考えております。
10ページは認定後の状況把握についてということで、まず雇用率、実雇用率自体が法定雇用率を一時的に下回るような状況が起きた場合にあっても、直ちに取消しをするということではなくて、その後の改善に向けた取組を若干視野に入れつつ、法定雇用率の未達成状態が1年を超えて続いた場合、若しくは雇入れ計画の作成命令が発出された場合において、認定を取り消すという形で考えてはどうかと思っております。認定基準については以上です。
○阿部分科会長 それでは、質疑応答に移ります。御質問や御意見がありましたら必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。先ほど佐渡委員からのがありましたので、先にお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、先ほど佐渡委員から頂いたものについて御説明いたします。まず1点目について、中小企業の雇用のレベルアップを図るという意味でいうと、同業他社からあるいは異業種への転職ということも、キャリアアップの1つに捉えてはどうかという御意見がありました。これについては、現状においては先ほど申し上げたような、リーダーになるとか賃金で評価するとかということで側面としては見ておりますが、確かにこういった形というのはあり得るかなと思います。ただ、これ自体をいきなりこの評価要素に入れるというよりは、正にこういった先進的な取組については、先ほど来申し上げている支援機関なり、あるいは支援機関等の所で、例えば中央会さんのような団体で推薦いただいて評価していくといったことも考えられるのかなと思っておりますので、そういったことで対応させていただいたらどうかと考えております。
3点目に御指摘いただいた事業協同組合などの団体としての評価というような御指摘があって、これは何度か御説明しているように、まずは個々の事業において評価させていただいて、その後、例えばそういった認定を受けた事業所の割合がどれだけ以上であったら、それを団体として認めていくというようなことも、次の段階として検討の視野には入れていきたいと思っておりますが、現状においてはまず、個々の中小事業主について評価する取組でスタートさせていただきたいと考えております。
4点目のSDGsについてですが、確かにSDGsについても当然ダイバーシティとの関連でいえば、この中の1つに障害者も要素としては入っていたりしますし、そういったことも将来的には考え得るかなとは思います。総理府等でもモデル事業を行い率先して進めているといったこともありますが、まず現時点において、まだまだ自治体なりそれぞれの企業の登録の状況なり、全国的にもばらつきがある状況と思っていますので、認定制度自体の運用状況、それからSDGs自体の取組も含めて、それぞれの状況を注視しながら最終的に両者の連携を図っていくということも、段階的な対応としては考え得るかなと思っております。現状については、まず足下のこの認定制度について運用を図らせていただきたいと考えております。
5点目ですが、認定窓口について、例えば社労士の活用というような御指摘だったかと思います。この制度についてはハローワーク、労働局において申請を受け付けて認定していくという枠組みで考えております。ただ、認定に当たっての側面的な支援とか、認定された事業主に対しての更なる様々な取組への支援といったことを是非とも社労士会、社労士を通じて御支援いただければと思いますし、6点目にあったような商工会議所とか業界団体等を含めての啓発活動についても、是非ともいろいろな意味で連携を図らせていただきながら共同セミナー等も開催できればなと思っております。
6点目ですが、中小企業事業主に対する国等の契約基本方針の項目の達成度チェック等を参考にして、フォローアップをしてはどうかということでした。これについても、公共調達の進み具合についてどういった形でフォローしていけるか、この辺りも引き続き検討課題とさせていただきたいと思っております。以上が御指摘いただいた部分かと思います。
○阿部分科会長 佐渡委員、何か追加的によろしいですか。それでは、ほかにどなたか御意見、御質問がありましたらお願いいたします。小出委員、お願いします。
○小出委員 育成会の小出です。ページでいうと6ページに、キャリア形成ということがこの認定企業の条件になっていると思いますが、実は知的障害というのは、今、現状もこういうことがあります。知的障害者を雇ってくれる会社は多くあります。例えば、社員の中の4分の1は知的障害であるというような所もあります。そこで、知的障害者の特性というのは、長く同じ職場で通常の人と一緒に採用されてその職場にいてということ。例えば5年、10年たった後にその方がキャリアを積んで係長、課長、部長というような職に就けるかというと、そういう方はほとんどおりません。ですから、同じ採用された通常の方がキャリアを積んでどんどん昇級するということなのですが、年齢的には同じなのですけれども10年たっても同じ職場、同じような仕事をしているという、そういう方が知的障害者の場合は多いのです。ですから、キャリアを積むということは、一般の方とはちょっと違うということを知的障害の場合は認識していただきたいと。
その場合に、ここの分科会の前の委員であった松爲先生などがよく教えてくださるのですが、どういうことかというと、そういう方々は横展開をしていくと。いろいろな技能を身に付けて、いろいろなことができるようになってという、でも人の上に立つというような立場にはなかなかなりにくいということです。キャリアというと一律で一般的な判断でということではなくて、障害特性に特化したような特性があるものですから、ここに書いてあるような障害特性に配慮したということはそういうことですので、その辺のところも加味していただけたらなと思います。以上です。
○阿部分科会長 事務局、何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘も大変重要でして、評価要素の中に一つ一つの障害特性に応じて障害種別に書き分けるということはしておりませんが、今の御指摘も踏まえて、当然この申請の手引の中で、いろいろ御配慮いただく部分を含めて具体的に記載していきたいと思っております。ただ、今おっしゃっていただいたような、どんどん役職がアップしていくとかということだけではなく、様々な技能を身に付けていっていただくという意味でも、例えばお一人お一人にキャリアプランというか、次はこのような仕事をしてみましょう、次はこのような仕事にというような、知的障害者なら知的障害者なりのキャリアプランなり、あるいは社内での研修といったことも考えられるかなと思いますので、そういった視点はやはり重要かなと思います。その上で、知的障害の場合はどういったことがなじみやすいのか、求められるのかということは、また実態も踏まえながら、手引のほうで少し具体的に記載していきたいと思います。
○小出委員 お願いします。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか。では正木委員、お願いします。
○正木委員 経団連の正木です。前回会合で公共調達での加点等があるということであれば、基準が少し高くてもいいから特例子会社も認定の対象に入れていただきたいという発言をいたしました。それを踏まえたお答えを頂きまして、どうもありがとうございます。
事前に資料を頂き、しっかりした調査をする時間はなかったのですが、私が立派だと思う幾つかの特例子会社の方に、ざっと見て何点ぐらい取れそうかと聞いてみたところ、結果は非常に厳しいものでした。特例子会社は、今45点となっておりますが、例えば成果(アウトカム)の所は、「特に優良」を全部取って満点が50点です。逆に言うと、「特に優良」が「優良」になってしまうだけでも45点は取れなくなってしまうということです。この後、評価項目を1項目ずつ幾つかの項目について申し上げますが、そういう部分の見直しと合わせたとしても、総合点がもう少し、40~35点か何かその辺を、これからいろいろ詰めていった上で、フィージブルかどうか是非御検討いただき、これぐらいの会社は入ってもいいのではないかというところに落としていただければと思っております。
そういった総合点のことを踏まえた上で、幾つか申し上げたいと思います。資料の3ページからが評価要素なのですが、そこにある小項目に番号が付いていますので、それで申し上げていきます。1組織面なのですが、リーダーシップという所で、特例子会社の場合は親会社の役員が社長に就いているという要素があります。親会社の役員ということは、非常勤の方が特例子会社の社長になるということになってしまい、かえってリーダーシップはどうなのだろうというところがあります。親会社との連携をちゃんと取っているかということであれば、次の部署横断体制にも近い話なのですが、例えば親会社の関係部署の部長等の管理者が役員を兼務しているとか、逆に特例子会社の役員が親会社の管理者を兼務するとか、そういったところで見ていただいたらどうかという意見を頂いており、私もそうかなと思っています。
4ページの仕事づくりの中の4職務選定・創出なのですが、特例子会社の場合、例えば本体というか、親会社で職務整理票等を活用して業務分析をして選定して、特例子会社の仕事にしたといった場合に、特例子会社の要素に追加できるのかどうかということです。特例子会社の中で業務を選定するというよりも企業グループの中で考えているので、この場合、点数はどうなるのだろうかということです。親のほうで選定して、こういう仕事ならこういう方にできるのではないかというものを見つけた上で、特例会社にやってもらうという形にした場合には、要素になってもいいのではないかという気がいたします。
先ほどの話題の12定着状況です。例えば、「優良」の所だと、定着率の過去2年間、3年間の話と勤続年数の話と2つ取らないと「特に優良」にならないのですが、立派だなと思う特例子会社でも、なかなか15年続いている所はたくさんはございません。長期雇用を評価するということ自体は、我々としても、雇用の質が大事だと言っておりますので、評価されること自体は有り難いのですけれども、こういう部分で先ほどの総合点の所で取り切れない人がいるので、そこを考えていただきたいなと思います。それから、合併した会社など、承継前の会社から通算という考えでいいかというところは、これを細かくした手引等で可能かどうかを示すのかもしれませんが、考えていただければと思います。
13満足度・エンゲージメントです。伺ってみると、例えば意見をヒアリングするというか面談するというのが先ほど公務員の計画の中でもありました。そうしたヒアリングする等のレベルのことは実施しているのですが、例えば一般の従業員と同様に、会社のエンゲージメント調査をWebで実施するとなると、そういうものに全部の人が同じように答えられるわけではないだろうということです。特例会社ではなくても中小の場合でもそうだと思うのですが、いろいろな障害の方へ同じような満足度調査というのをできるのだろうか。その上で、同じように調査結果で何割というのができるだろうかということがありました。ポジティブな答えだったら面談での応答であろうがWebでの回答であろうが大体OKだということにするのか、少しこれは工夫する必要があるだろうということです。御本人が満足しているかを把握すること自体は大事だと皆さん思っていらっしゃるのですが、「調査」と言われても、という反応がありました。そして、開示についてもエンゲージメントの状況17の満足度で測って開示することにしているのですが、調査項目が統一されていない中でどうやって開示するかというところが、ちょっと詰まってしまうところでした。
それから、これは特例子会社もそうですし、中小企業一般もそうなのですが、必ずしも自社のホームページが充実しているわけではない、ちゃんと持っていて開示ページがしっかりあってというわけでもないという状況です。その場合は、例えば厚労省さんにWebサイトを用意してもらって、情報を送るとそこに開示してもらえるとか、そういうインフラの面での補助というか、インフラ面での整備もないと、開示の所もこれのためにホームページを作っていかなければならないのは、中小企業さんもなかなか大変だなという話でしたので、その辺を御配慮いただければと思います。塩野委員や高橋委員も自分でやってみたということなので、私の足らざるをちょっと補っていただければと思います。お願いいたします。
○阿部分科会長 どうしますか。では塩野委員、どうぞ。
○塩野委員 使用者側の塩野です。私からは1点質問と、その後意見を述べさせていただきたいと思います。
まず質問ですが、今回示された認定基準は、先ほどから話題になっていますが、特例子会社は45点とかなり高い数字です。この45点になった経緯のようなものがあれば、是非教えていただきたいと思います。ここからは意見です。正木委員からもありましたが、弊社は特例子会社になるので、ざっくり今回の内容でやってみました。正直、かなりハードルは高いと感じました。ただ、一般的な中小企業を対象にしている質問文で、特例子会社特有のところもあるので、判断が難しい項目もありました。
後は、1項目でも該当しない項目があると、大半が特に優良を取れたとしても、45点はかなり厳しいと思いました。例えば、仕事作りの中の5で、障害者就労施設等への発注とありますが、今現在、弊社では行っていません。私の知っている範囲では、行っている特例子会社もありますが、大半は多分行っていないと思われます。特例子会社の場合、特に弊社の場合、最近の法定雇用率の引上げに伴って、かなり採用することが期待されています。採用するとその分の業務を何とか切り出してこなくてはいけないため、とても外に発注する余裕がないというのが現状だと思っています。
先ほど満足度調査の話もありましたが、弊社の場合、グループ全体で満足度調査を実施していますが、基本的には、社員が各自パソコンを持っているので、自分のパソコンで入力して結果を出すというやり方を取っています。一方、弊社の場合は、大半が知的障害の方なのでパソコンを持っていません。そのため、グループ全体の枠組みでは対応できず、自社独自でやるにはなかなか難しいといった個別の事情もあります。
このようにカウントしていくと、なかなか45点というのは難しいと思っている状況です。今回の認定制度は、広く認定して、障害者雇用の底上げを行う施策だと思っています。そうであれば特例子会社についても広く認定されるよう、認定基準はもう少し下げていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは、正木委員からの御意見と塩野委員の御意見を併せて。御質問も含めて事務局にお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長小野寺です。まず、この45点と25点というところですが、確たる根拠があって45点にしようということではなく、基本的に、特例子会社でこのぐらいの取組をきちんと進めていただきたいというような形で加点をしていって、比較的ハードルを高く設定したかなというところはあります。正に正木委員からもありましたように、実際に私たちも、幾つか特例子会社に感触を探ったりはしていますが、更に、今頂いたような御指摘と、特例子会社のみならずヒアリングなどでも御協力いただいた中小企業もあるので、そのようなところも含めて、この45点、25点については少し精査を引き続きさせていただきたいと思っているところです。
併せて、主に正木委員から特例子会社の特性に基づいて、幾つかの御指摘を頂いたので、この辺についても大変有り難い御指摘であった部分もありますし、そこも含めて、もう1度きちんと精査していきたいと思っています。ただ、最後の情報開示の部分で、厚労省で、すぐさまそのようなものが用意できるかというと難しい部分であるので、開示の方法については少し柔軟な形を取りたいと。それと、全体に対して共通でいえるのは、評価要素としてこのような形で項目を整理はしておりますが、この範囲において、例えば職務整理表でなければ駄目なのかとか、そのやり方がこれでなければ駄目なのかとか、この中で読める部分での具体的な取組は各企業において様々なので、その辺は運用に応じてきちんと拾えるように手引のほうで、具体例なおかつ上がってきた申請から更にその手引自体も更に具体化していくということを、順次進めながら行っていきたいと思います。省令上は、ここまで細かく評価要素の部分を書いたりしないので、その辺りは引き続き検討もしていき、かつ最終的には手引のほうでも対応していきたいと考えています。
○阿部分科会長 では、武石委員、高橋委員でお願いします。
○武石委員 公益の武石です。この後、出なければいけないので。1つ確認なのですが、要素といっているその要素の数え方です。1、2というのが要素、1番最初の所、体制づくりの組織面でいうと1~5までありますが、要はリーダーシップというのはその下に2つありますが、どちらかにチェックが入ればリーダーシップに○が付く。5までのうちの3要素に○が付いていれば3要素以上と考えればいいですか。そうすると、細かいのですが○がないものが、例えば仕事づくりの事業創出の特に優良の所に3つ要素がありますが、これは1、2、3としなければいけないのかどうかとか、全体の要素の所の考え方が整理されていないのかなという気がしたので、そこを整理していただきたいということが形式的なことです。
2点目ですが、今、特例子会社で御議論がありましたが、何点にするかというのは結構重要だと思うのです。何が正しいということはないと思うので、少しいろいろな企業に、ここなら取れるよねという所に予備的にやっていただいて、フィージビリティーを御検討いただけるのがいいかなと思います。
3点目ですが、障害者の中に正社員と非正規の方も含まれたりすると思います。その場合に、例えば働き方の所に制度が幾つか出てきたりしますが、障害者には非正規しかいないけれども、このような制度は正社員しか使えないということになると、障害者の方にとっての制度にはなっていないような気がします。細かいのですが正規、非正規問題というのは出てくるかなと感じました。
あと1点なのですが、この表とは関係ないのですが、先ほども佐渡委員から認定制度の有効性についての周知をというお話があったかと思います。やはり「えるぼし」とか「くるみん」と違って、障害者の認定制度というのが一般の方から見ると、例えば就活をする学生から見たときに、この認定を取っているからこの会社に行こうとか、余り考えにくい認定の仕組みかと思うのです。ただ実は、このような障害者をきちんと雇用しているということは働きやすかったり、ダイバーシティについてきちんと取り組んでいる事業所だと思うので、是非広報の中で、認定制度を広報する中で、障害者に熱心に取り組む企業というのは本質的にこのような企業なのだということを、きちんと広報していただきたいというお願いです。以上です。
○阿部分科会長 では、事務局、何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御指摘のあった評価要素の捉え方というか、カウントの仕方で1や2が振っていない所については、基本的には矢印の中で1つという形、つまり1しか存在していないということになります。
2つ目、御指摘どおり、正木委員からもありましたように、基本的にフィージビリティをこれから高めていく上で、様々な企業にお聞きして、更に詰めていきたいということと。3点目も非正規雇用の障害者の方しかいない場合に使えない制度であった場合には、それ自体はここでカウントはできないと認識していますので、そこはきちんと手引上でもそのようなことを排除できるようにしていきたいと思います。
最後の御指摘も大変重要で、この認定を受けた事業所がどのような事業所なのかについては、就活される方を含めて、世の中に対しても分かりやすいように広報に当たって留意していきたいと考えています。
○阿部分科会長 では、高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。まず、最初に1問質問をさせていただいてから、意見を言わせてください。質問ですが、先ほど正木委員はじめ、委員の方々から指摘のあった定着状況の勤続年数について、10年、15年と計算された根拠を教えてください。
○阿部分科会長 では、事務局お願いします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。今の御質問については、身体障害者の平均が10年2か月、知的障害者の平均が7年6か月、精神障害者が3年2か月といったデータがあり、その中で我が国の労働者全体の平均勤続年数が12.4年という調査も踏まえつつ、優良以上は15年、良は10年と設定したところです。
○阿部分科会長 では、高橋委員どうぞ。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。ありがとうございます。それを踏まえて、幾つか意見を伝えさせていただきたいと思います。今回、今までやっていなかった方たちも含めて障害者雇用を促進させていくことについて、何を大前提で考えたらいいかなという私なりの整理をしましたというところから入らせていただきたいと思います。
初めに、障害者基本法などで、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享受するかけがえのない個人として尊重されるという理念からの障害者自立、社会参加の大事さを決めていると思います。その上で、雇用の前の段階の福祉、例えば障害者総合支援法の理念は、社会参加の機会の確保、そのような連動からなる障害者雇用促進法では、能力に適合する職業に就くこと等を通じて、その職業生活においての自立することを促進すること、基本的理念では、障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとするという整理がされているかと思います。全文は読めないのでポイントだけですが、その中で障害者雇用促進というのは、障害がある方が社会参加の機会の確保から、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮することを実現することを大事にしたいというような前提に立って、中小企業でかつ45.5人よりも少ない規模という場合に、企業規模による仕事量に伴う仕事細分化の可能性、仕事の種類、サポートスタッフの配置数、法定雇用率からなる障害者雇用数、45.5人未満の企業にとっての障害者雇用のモチベーションなどということも考えて、この中小事業主の認定制度を考えていく必要があると思っています。
実際、先ほど正木委員からも御紹介いただきましたが、私どもも実際にやってみましたし、周りにいる団体等の仲間にも一緒にやってみてもらいましたが、9月27日に説明のあった中小事業主の認定制度のグランドデザインイメージを考えると、やはり皆さんが言われているように、少しハードルが高いかなというところを踏まえ、具体的な項目に対する御意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、4ページの仕事づくりですが、「5障害者就労施設等への発注」は、先ほど塩野委員からも説明がありましたが、これから障害者雇用を促進する上では、例えば小規模の企業、初めて障害者雇用をする中小企業、少数の障害者雇用をしている企業等にとっては、現実とはかけ離れている部分があると思っています。追加の評価項目として、福祉的就労等から雇用等につながった方に関しては、障害者総合支援法の基本理念で大事にしている地域共生の実現、キャリアアップの実現と同時に、付随する効果として、福祉的財源の削減、すなわち、同財源が真に必要なほかの人に活用されることにつながるため、このような福祉から雇用へステップアップというような方たちの評価というのを、是非検討していただきたいです。それが難しければ、先に述べたような、企業等が認定制度の対象となるような現実的な評価項目を、この部分で追加していただきたいと思います。
次に、5ページの先ほどから出ている(障害特性に配慮した)環境づくり、8働き方ですが、この項目がかなり限定的であるので、最後の所に、もしかしたら私たちが余り想像ができないようなすばらしい工夫した働き方があるかもしれませんので、「障害者個々人の状態に合わせた多様な働き方に対した制度や取組がある」というようなことも、追加の評価として取り入れていただきたいです。
6ページ、9キャリア形成、こちらも同様な考え方です。評価要素2の教育訓練ですが、こちらも限定的な列挙になっているので、より幅広に、同様の項目がある場合は評価するということを追加いただきたいです。10その他の雇用管理のうち、特に評価要素2、3に関してですが、私の見る限り、身体障害のある方への配慮に重きを置かれているように見えるので、他の障害のある方への雇用管理の要素を追加していただきたいです。また、この項目の趣旨は、私なりの解釈は、企業努力から雇用管理の工夫をすることだと認識しているので、私たちが想像できないより良い工夫などがある可能性がこの項目にも当てはまると思っています。よって、ここも柔軟に評価できる項目を追加をしていただきたいです。
7ページの数的側面のうち、「12定着状況」の勤続年数10年、15年要件の根拠を先ほど御質問させていただきましたが、一番最初に議論した基本方針改正案の2ページの下段から3ページの上段にあるとおり、障害者の雇用環境が改善する中で、依然として雇用義務のある企業の約3割が1人も障害者を雇用していない状況であり、中小事業主を中心に、経営トップを含む社内理解や作業内容の改善等にも課題が残されていることから、この課題解決のために、週20時間未満の障害者雇用を促進をしていこうという整理をされているので、勤続年数の長さは、評価のハードルを高めているので、ここは改善を頂きたいです。
8ページ、質的側面。14のキャリア形成ですが、中小企業自体の成長、事業継続・発展があって雇用が促進すると思います。そのために、評価要素に最低賃金をかなり盛り込んでいますが、最低賃金を中心とした評価ではなく、自社の過去と現在を比較するなど、自社の成長と社員の成長が連動した評価とか、中小企業独自の雇用管理方法等の工夫で成長につなげるということを評価するのがとても重要だと認識しています。この項目の再精査をしていただき、今発言した趣旨を踏まえ、評価要素に追加または変更していただきたいです。
また、先ほど最初に佐渡委員や小出委員、様々な委員の方がおっしゃっていましたが、キャリアアップというのはいろいろな考え方があり、様々な障害のある方のキャリアアップというのは、様々な観点から考えられるという前提で、先ほど佐渡委員は0から1にと表現されましたが、例えば全く働いていない人が雇用につながるという評価、つまり経済社会において、1度も働くことができなかった方が、労働時間に関係なく働くことができたりすることは、障害のある方にとっても社会にとっても、とても意義が深いと思います。そのような評価の追加を是非していただきたいです。さらに、「仕事づくり」の際に述べましたが、福祉的就労から雇用につながった方に関しては、先ほどお伝えしたように、障害者総合支援法の基本理念で大事にしている「地域共生」の実現、キャリアアップの実現と同時に、付随する効果として、福祉的財源の削減につながることから、こちらの評価要素にも追加して頂きたいです。
私ども就労支援を行っている会社としては、特例子会社さんにて既に雇用されている方について、特に知的障害の方などがとても高齢化が進んでいる会社も非常に増えていると最近よく聞いています。そうすると、例えば特例子会社で週40時間など様々なお仕事をされてきた方が、ハッピーリタイアという長期的なライフプランを考えていきたいという御意見を頂いたときに、これまでの、そのような大きな会社さんでの経験をいかして、地域での活躍の場、中小企業がそのような場を受け入れることが可能な可能性があると思います。
すなわち、特例子会社で週40時間働いていた人が、年齢とともに仕事量を減らすというほうが、ハッピーリタイア、キャリアアップという考え方があるので、逆に言えば、同様の仕事が中小企業で20時間であれば働くことが可能ということも考えられます。これらもライフステージに応じた大事なキャリアアップだと思いますし、ひいては、国が進めている一億総活躍社会につながると思いますので、このような視点も是非キャリアアップと捉えていただき、14キャリア形成の評価要素としてを頂きたいです。障害者の、長期的なバックグラウンドを大事にしたライフプランからなる雇用促進とキャリアアップは、時間や勤続年数だけではなかなか図りにくい側面があります。そのため、本人の意思決定を大事にするのと同時に、シームレスな客観的なアセスメントなども重要であって、これをサポートする支援者の育成、これは恐らく佐渡委員が御発言されていましたが、このようなことも重要であると私も考えています。
また、次の意見も佐渡委員に重複しますが、課長のほうでは次の段階でということでしたが、団体への評価に関しての意見を言わせてください。団体内でのキャリアアップを是非評価に入れていただきたいです。私もその意見を持っています。具体的には、先ほど佐渡委員もお伝えいただいていますが、団体の構成員のうち、例えば中小事業主の認定制度の対象となる企業の半数以上が認定を取っている団体などを評価することです。地域にたくさん中小企業がいるので、団体への評価促進をすることは実効性があると考えます。また、私どもも所属している中小企業が所属する団体の可能性については、例えば商工会議所は、主に市を単位に全国に515か所設置されています。そして、125万の事業者等の会員を抱えています。また、市以外の町村部においても、全国に1,660の商工会が設置されていて、81万の会員を抱えています。合わせれば200万を超えている会員事業者を抱えています。いずれの団体も会員の大半は中小企業です。業種別に組織された中小企業団体中央会さんと合わせて、日々地域の中小、小規模事業所のきめ細かい支援を行っていけると考えています。
また、先ほどの中小企業団体中央会さんでは、既に事業協同組合等算定特例を積極的に取られて雇用促進を進めているので、このような側面も是非団体の価値として捉えていただきたいです。更に、例えば全国の中小企業家同友会などでは、「人間尊重の経営」「人を生かす経営」を軸にする理念より、算定外企業が多いですが、約50年前から障害者雇用促進のための委員会が設置されていて、全国交流会も実施されています。既に43都道府県に同委員会が設置されていて、1社1人の障害者雇用を目指した動きをしているという事例も私どもは認識しています。このように、様々な団体がかなり自主的に既に頑張っています。団体への価値というのは非常に可能性があるので、これまでのネットワークや活動実績から中小企業の障害者雇用促進がより一層広がる可能性があるため、このような地域や中小企業団体を含む様々な組織の取組に積極的に関与している団体等を評価する仕組みを是非入れていただきたいです。
最後になりますが、障害者雇用促進を含めた取組であるる、先ほどから出ているSDGsなども次の段階でとおっしゃっていましたが、先ほど武石委員もおっしゃっていましたが、やはり横断的な国の取組というのを評価いただくことで、より雇用促進がつながると思います。SDGsは、特に「誰一人も取り残さない」という考え方の下で実施されていますし、また、経済産業省が進めるダイバーシティ促進事業の表彰なども、非常に積極的で前向きな取組になるので、このような要素も具体的に取り入れることで、厚生労働省だけが中心になるのではなく、国全体が一緒になって障害者雇用を促進するというムーブメントにもなると思いますので、是非もう一度ここに関しては、評価に入れることを検討いただきたいです。長くなりましたが、以上よろしくお願いします。
○阿部分科会長 それでは事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 多岐にわたる御指摘を頂きました。一つ一つお答えするのは難しいかと思いますが、主だったところだけお答え申し上げたいと思います。
まず、多く御指摘がありました評価要素について、例えば原案だと限定列挙になっているとか、柔軟に評価ができないのではないかというような御指摘がありました。例えば、多様な働き方に対する制度の部分とか教育訓練の部分、あるいは障害者への雇用管理の配慮のところが特定の障害種別に偏っているのではないかという御指摘があったかと思います。この辺りは、再度精査をする中で具体的に付け加えていくべきものなのか、あるいは先ほども申し上げましたが、あくまでも代表例としてその評価要素に書いておりまして、評価要素の中で読み込める部分については、当然同等のものとして申請マニュアルなどの手引の中において、組み取れるような形で措置をしていくというのも1つかなと思いますし、この申請で上がってきた個別の、私たちが想定もしていないようなユニークな取組も含めて、そこをまたマニュアルに列挙していく。更にブラッシュアップしていきたいと考えております。
もう1つ、特に質的側面、キャリアアップの部分におきまして、例えば賃金というところの視点が非常に強く打ち出されてしまっています。短時間から段階的に労働時間を重ねていく、延伸していくというようなキャリアアップもあれば、非正規雇用の労働者の方が正規になっていくというキャリアアップもあったり、そういった労働時間だったり雇用形態だったり、賃金以外にもいろいろな着眼点は御指摘の通りあろうかと思います。この辺りは引き続き検討して、反映をしていくような形を考えてみたいと思います。
逆に、佐渡委員からもありましたように、団体内での転職を通じて、例えばハッピーリタイアに向けてのキャリアダウンとか、これも本当に重要な視点だなと思いますし、高齢者になっても長く働いていただくために、1つの対応としては非常に先進的だしユニークなものかと思います。
これも含めて、今、高橋委員からもあったような、例えば福祉から雇用への評価といったこともあろうかと思います。この辺りは、今すぐに評価要素の中に埋め込んでいくというよりは、やはりトップランナー的な先行的な事例として、先ほど来御説明したような就労支援機関や、あるいは商工会、中央会等の中小企業支援機関などから積極的に事例として挙げていただく、推奨していただくということで、更に各中小企業への取組を推進していきたいと考えております。
併せて、最後にあった団体に対する評価、それから、SDGsとの連携については繰り返しで大変恐縮ですが、まず個別の企業に対しての認定制度を走らせさせていただいて、SDGsについてもその上での連携ということで視野に入れさせていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 では仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 事務局から御提案というか、説明のありました成果を重視するというのは非常にいいのではないかというように思っております。何人かの委員の方も言われておりますが、8ページ、13ですけれども、満足度・エンゲージメント、ここも6点と高いものですから、現状がどういうようになっていて、実効性ある評価軸とするにはどうすればいいのか、何点か御質問させていただけないかと思っております。ここで書いてあるのは満足度又はエンゲージメントに関する過去3回という記述になっております。満足度のほうは何となく分かるのですが、エンゲージメントのほう、どういう級に対する評価軸なのかを、現状でイメージなどあれば教えていただけないかというのが1つです。
あと、過去3回とありますが、ここも中小事業主に対する認定制度、特例子会社だとやっている場合もあるのではないかとは思うのですが、中小事業主が認定基準だということを考えると、現状でどれぐらい行われているものなのか。やっていないとすると新たにやるということになるかと思うので、この辺の現状も分かれば教えていただきたいなと思います。
あと、少し飛びますが9ページの注)の所、就労支援機関等の認定ということに関わる話、ここの理解をどうするのかということですが、同一の支援機関が同一の企業を何年も評価し続けてもそれも良しという理解でよいのかを確認したいです。
○阿部分科会長 御質問ですので事務局、お願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。まず前半の部分の質問にお答えさせていただいて、後半を小野寺課長につなぎたいと思います。
エンゲージメントについてですけれども、いろいろな概念がある中で、これから具体化していく中ではありますが、おおむね組織に対する自発的な貢献意欲や、主体的に仕事に取り組んでいる心理的状態を合わせたものと考えております。どのような項目かということで、文字通りではあったりするのですが、例えば職務についてやり甲斐を感じられているかとか、あるいは達成感を得られているかとか、あるいは健康や人間関係、様々な観点があると思います。その辺りをどのように評価していくかというところも含めて、公務のほうでの取組にも関連しますし、具体化していきたいと考えています。
中小企業においてどれぐらいかというと、実は、ストレスチェックみたいな取組も最近進んでいる中で一定程度認識はされていると思いますが、夏にヒアリングをしている感じでいうと、一般の中小企業において殊更調査をしているというケースは少ないように見受けられました。ただ、日々の経営活動の中でヒアリングなどもしていたり、障害者本人のいわゆる満足度・エンゲージメントについて配慮しているというのは散見され、その点は身近な連携先の就労支援機関などがよく把握をしていて、そこが証するということも視野に入れて考えていたところです。以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の答えと併せまして、満足度調査を含め、エンゲージメント調査等について、どういった聞き取りをするべきなのかとか、実施方法を含めてある程度また手引の中において、標準的な形みたいなものはお示しをしていきたいと思います。就労支援機関につきましては特段、何年やっていないととか、あるいは何年やっていては駄目ということではなく、正に事業所なりを支援しているということであれば、それを認めていきたいと考えております。
○阿部分科会長 よろしいですか、はい。では内田委員、どうぞ。
○内田委員 労働者側の内田です。仁平委員の発言に関連してですが、先ほどの8ページ目にあります満足度・エンゲージメントについて、基本は御本人かと思いますが、障害を抱える労働者の御家族の意見というものを含めるかどうかについて、もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。
また、9ページ目の情報開示についてですが、インターネットでの開示を要素としておりますが、極めて機械的というか、自動的に評価ができる内容であるかと思いますが。あえて連携先の支援機関の評価対象とした理由をお知らせいただければと思ます。注)の所に連携先の就労機関等が認定基準に該当する旨を証することを可能とするとあるかと思います。以上です。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。家族の意見を含めるかどうかについても検討したのですが、家族との関連性を余り強めてしまうと、障害者本人の自立、あるいは会社で個人として働いていくというところに支障が出る面もあるという指摘もあったので一旦外していたところです。ただ、それについても、家族との関係が重要だというようにおっしゃっていた企業も多々ありますし、この認定基準の中でどう評価していくかというのは、是非御意見を頂きたいと思っていたので御指摘ありがとうございます。
情報開示についてということで、この資料の体裁の問題かもしれませんが、就労支援機関等が証するというのは情報開示以外の部分も全体に通じるところですので、その点は御安心ください。
○阿部分科会長 どうぞ。
○小野寺障害者雇用対策課長 すみません、追加で。障害者雇用対策課長の小野寺です。御家族に対してのアンケート調査についてですが、家族だけやるということは多分余りないのかなと思われますが、御本人に対しての調査に加えて加点はなされませんけれども、やっていただくことは構わないと思われます。また、そういった取組が、よく上がってくるようでしたら、そういったことも含めて加点していくことも、今後検討はしたいと思います。まずはちょっと状況を見ていきたいと思います。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。それでは森口委員、小原委員の順番でお願いします。
○森口委員 労働者側の森口です。私からは制度運用について1点質問、1点意見をさせていただきたいと思います。
まず質問ですが、今、制度の中身を議論していますが、この制度を変更する場合の対応について質問させていただきたいと思います。先ほども議論がありましたが、各評価基準の評価要素が一番右側にあると思います。この中身については、現場の運用状況などを見ながら良い例・悪い例いろいろあると思いますが、そのような状況を勘案して柔軟に対応できるように今回設計されているというように認識をしております。しかし、そのほかの、例えば評価方法であったり評価点の配分とかあると思いますが、それ自体を変更する場合も同様の認識でいいのか、あるいはこういう場、審議会の場で確認をするようなプロセスを考えているのか、この点についてまず確認をさせてください。これが1点目の質問になります。
意見ですが、この制度が企業にとってより取り組みやすくなる、そんな観点で1点意見です。今回、新たな制度ということで入っていくのですが、最初の導入のときは、やはりすぐ取り組みやすいという点でいくと、なかなか取り組みにくい部分もあったり、あと企業の横の状況を見たり、様子を見たりするところもあるのではないかということが想定としていえます。今回、企業がより取り組みやすくなる観点からいいますと、やはり先ほどいろいろ使用者側の委員から言われていたのですが、実際、企業に点数を当てはめてみて、どれぐらいの評価や点数になるのかみたいなところを、サンプルとして提示してあげた方がやはり制度だけではなくイメージがよりしやすくなるのではないでしょうか。そういうイメージを見ることで「こういうやり方をしているのか」だったり「このような点数になっているのか」とイメージしやすくなるので、より取組の加速につながるのではないかと考えております。今後、検討に当たっては、より取り組みやすくなる観点として、意見として伝えたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 事務局、お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 1点目の御質問についてお答え申し上げます。評価要素の部分、例えばページでいうと3ページ、体制作りから始まっておりまして、評価要素にリーダーシップ、部署横断体制など書いてございます。基本的に省令上、例えば組織面についてはリーダーシップ、部署横断体制などを評価して、評価点何点以上で優良となるとか、何点以上で特に優良となるということになりますので、点数及び小項目等の変更については、当審議会の方で御議論いただくものになってまいります。おっしゃっていただいたように、運用上、要素の中での細かい部分で、何を具体的な例示として取り扱っていくのかという部分については、運用上の取扱いになりますので順次改善をしていくことになろうかと思います。
○阿部分科会長 では小原委員、どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原でございます、2点あります。資料を頂いてから、ずっと満足度とエンゲージメントの所をずっと考えていたのですが、最初から言われていたことですが、すごく評価が難しいところだと思っています。
これから形を作るということですので、4点考えなければいけないと思っていることがあるのでそれだけ挙げておきます。1つ目は先ほどから出ている対象になる人がどうやって答えるかという問題、今回、障害を持っている人ということですけれども、知的障害者だけでなくて、例えば精神障害者に朝聞くか、夕方聞くかで、多分、満足度など回答は大きく変わってくると思います。そういう点をどうするかといった問題とか、いわゆる障害の話だけでもなくて、回答が難しいというところをどうするかというところを、1つ目に考えなければいけない。
2つ目は聞く内容、エンゲージメントというのはどうやって取るのかということ。私も企業で従業員の調査をやる時に一番難しいところなのですが、先ほど池田さんから挙がっていたような項目を聞くのですが、大体8項目ぐらい聞いて、その後に「この会社で何年ぐらい働きたいですか」とか聞いて、どの辺が一番エンゲージメントを取るのだろうと思って、一生懸命頭を悩ませるのです。社長とその結果をシェアすると、社長に「私が知りたいのはこういうものじゃないんだけど」などと言われてしまう、とても難しいところなのです。
普通に考えても、例えばエンゲージメントを自主的にできているだとか、そういう点が例えば5項目あったとして、ポイントがバラバラに出てくると思います。主体的には働けていないけれども上司に言われたことは一生懸命できているとか、そういうのを、肯定的な回答が8割以上として、どれが肯定的なのか。こちらは最低ポイントが付いてこちらは最高ポイントが付いたときに、1つでも肯定的になっていればいいかという結果の捉え方をする人もいるかもしれない。そうなると、意外に8割が簡単に出てくるのではないかと思ったり。そういう聞き方の難しさを指定してあげないと、会社を任せるというのは本当に難しいのではないかと思います。
3点目は今、間に入ってしまいましたが、それを評価するときにどのようにウエイトを付けるか。バラバラに出てきた回答を1個だけでも良かったらいいとするか、肯定的だとするかというような評価の仕方を考えないといけないところです。
最後、一番頭を悩ませるところなのですが、企業にやらせて大丈夫ですかと言ったら申し訳ないのですが、何を言っているかというと、私、このようなことをやってみました。阿部先生、もと御専門なのであれなのですが、同じ企業で小原が調査をしていますと名前を前面に出して、大阪大学の小原という研究室が取っていますと。会社は全然からんでいませんと。小原の所に直接回答が返ってきて、解析するだけなので気にしないでくださいとやったケースと、同じ会社で社長を通じて調査票を配ってもらったケースでは、全然回答が違ってくるのです、全然とは言わないのですが、やはり大きく違ってきて。働いている人ですから、社長から配られたら、人事から配られたら悪くは言いにくいというところがあると思うのです。聞く人を誰にするかというのは結構大きな問題だと思うのです。その4点です。そこをこれから、箱を作る時に考えなければいけないかと思います。
もう1つ大きいところは客観的な数的側面、例えば先ほどから出ている雇用率の話とか定着率の話なのですが、10年、15年とか難しくて、90%というのも、どの水準からの90%かで全然違いますよね。9人いたら1人辞めてしまったらもう達成できないので、そういう話が出てきてしまうと思います。
こういう可能性はないのですかという点を1つ。同様の任務に就く障害者以外の人と比較して大きな差がないかとか、そういう点では客観的には測れないのでしょうか。別に今、答えていただかなくていいのですが、アイディアとしては。もちろん障害者でないところで、もう最悪な雇用をしているところと変わらないというのはあるかもしれないですが、IT産業などでいくと、もう会社自体の長さが平均10年とかいわれている時代に、雇用10年というのは本当に厳しい状況になってしまうのではないか。産業によっては10年の意味が全然違うような気がするので、同じ会社の中でいわゆる差別的な雇用がされていないかという、相対的な軸が入ってもいいのではないかと思いました。以上です。
○阿部分科会長 御意見として承っておきます、ほかにいかがでしょうか。阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。中小企業の中には社会福祉法人も入ると思うのですが、社会福祉法人はいろいろな地域にありますので、障害者雇用ということではとても大きな資源だと思っています。是非、この認定制度についても社会福祉法人にも周知するようにしていただいて、社会福祉法人の中での障害者雇用が進むことを期待いたします。以上です。
○阿部分科会長 ほかにいかがですか、よろしいですか。
皆さんの御意見をお聞きしまして、私からも再度御意見をお願いしたいと思うのですが、まず1つ、この中小事業主の制度がもともと何のためにあるのかというのは、よく考えて、評価要素は考えたほうがいいのかなというのが、皆さんの御意見をお聞きしながら思ったところです。例えば、中小事業主と同列に特例子会社の評価要素を入れていいかどうかも含めて考えていただきたいと思います。多分、私の理解では、中小事業主の中でいわゆる0雇用が多いので、これを何とかしたいということで認定をしていこうということですよね。ところが、特例子会社というのは0雇用というのはあり得ない。だからちょっと違うなと。そうだとすると評価要素を少し変えて、特例子会社用の評価というのも、もしかしたらあってもいいのではないか。ちょっと手間にはなる、複雑にはなるかもしれませんが、それも含めてお考えいただきたいと思います。
それから、これはそもそも中小事業主の認定基準なので、中小事業主さんを認定するという大前提はそれはそれでいいと思うのですが、ただ佐渡委員や高橋委員がおっしゃったように、団体ですとか、あるいは地域の重要性というものも鑑みますと、例えば中小事業主の認定制度とは別途、佐渡委員がおっしゃったように、団体の中で半分ぐらいの事業主がもう認定されていますというのであれば、そういった団体というのは何かうまいこと情報の流通があったりとか、どうやったらうまく障害者雇用を伸ばしていけるのかという、横のつながりみたいなものがもしかしたらあるかもしれません。そういったところを、別途、表彰するとか認証することによって、そうした動きを、ほかの団体あるいはほかの地域にも浸透させていくという、そういうことも考えられるのではないかと、佐渡委員や高橋委員の御意見を伺って思いました。
ですので、中小事業主の認定基準はこれで、事業主を対象でいいと思うのですが、そうした団体ですとか地域など、そういった取組をもう少し増やしていくような表彰制度とか認定、分からないですけれども、そういうことを少し考えてみてもいいのかなと、個人的には思いましたので、少しお考えいただければと思います。
今日頂いた多岐にわたる御意見がございましたので、これも事務局で整理していただいて、次回の議論に資するよう資料の精査をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。その他、特に準備はしておりませんが皆様から何かございますでしょうか。それでは、本日の議論は終了とさせていただきたいと思います。最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。
○池田障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の池田です。次回の日程については11月に開催を予定しております。詳細は追って事務局より御連絡いたします。以上です。
○阿部分科会長 本日の会議に関する議事録の署名でございますが、労働者代表は森口委員に、使用者代表は佐渡委員に、障害者代表は阿部委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中ありがとうございました。