2019年11月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和元年11月29日(金)15:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(15名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人4名

欠席委員(6名)

行政機関出席者

 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 森和彦(大臣官房審議官)
 山本史(医薬品審査管理課長)
 関野秀人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 宇津忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他

 


 

議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。

 本日の委員の御出席の状況ですが、赤羽委員、飯島委員、大賀委員、川上委員、佐藤委員、武田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、少し御到着が遅れておられる先生もおられますが、現時点で当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 また本日は、審議議題1、議題9、その他の事項の中の報告案件につきまして、それぞれ、参考人の先生をお呼びしております。審議議題1につきましては、公益社団法人日本産婦人科医会から石渡勇先生、日本産科婦人科学会より田中博明先生にお越しいただいております。また審議議題9につきましては、国立大学法人岡山大学病院、荒木元朗先生にお越しいただいております。また報告案件につきまして、浜松医科大学、渡邉裕司先生にお越しいただいております。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。会議の開催の都度、先生方には書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、以降の進行を杉部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 それでは本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 まず、配布資料の確認を順番にさせていただきます。

 本日、机上に議事次第と座席表、座席表の裏面に部会の委員名簿を配布してございます。議事次第に記載されております資料1-1から資料12-4をあらかじめお送りさせていただいているところです。会議のペーパーレス化に向けた取組といたしまして、本日の部会では、あらかじめお送りさせていただいている紙資料と同様の内容の電子ファイルをこちらのタブレットに格納して閲覧していただけるようにするとともに、机上配布資料を審議品目に係る諮問書、審査報告書及び添付文書とさせていただいております。このほか、資料13の審議品目の薬事分科会における取扱等の案を机上に配布させていただいております。またタブレット内には、資料14として各審議品目に係る専門協議の専門委員リスト、資料15として競合品目・競合企業リストを格納しております。タブレットの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。タブレットの資料15をお開きください。

 こちら、1ページですが、プロウペス腟用剤10mgです。本品目は妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤としてこちらに記載の品目を競合品目として選定させていただいております。

 続きまして、2ページですがボトックス注用50単位及び同注用100単位です。神経因性膀胱のほうが2ページ、3ページのほうに過活動膀胱についてリストを記載させていただいておりますが、どちらの品目も同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。

 続いて、4ページですがアネレム静注用50mgです。本品目は全身麻酔の導入及び維持を予定効能・効果としておりまして、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。

 続きまして、5ページですがフィコンパ細粒1%他2規格です。本品目はてんかん患者の部分発作を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を選定しております。

 続きまして6ページ、デエビゴ錠2.5mg他2規格です。本品目は不眠症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。

 続きまして7ページ、献血ベニロンです。本品目は視神経炎の急性期を予定効能・効果とさせていただいておりまして、競合品目はなしとしております。

 8ページですが、ユリス錠0.5mg他2規格です。本品目は痛風と高尿酸血症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を選定させていただいております。

 9ページがチラーヂンS静注用200μgです。本品目は粘液水腫性昏睡、甲状腺機能低下症を予定効能・効果としておりまして、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。

 続いて10ページですが、献血ヴェノグロブリンになります。本品目は抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。

 最後に11ページですが、オルケディア錠1mg他1規格です。本品目は、副甲状腺癌及び副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を選定しております。以上です。

○杉部会長 どうもありがとうございました。今の事務局からの説明に何か特段の御意見等はございますでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては先生方の了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。

 まず議題1プロウペスは、退室委員、議決に参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題2ボトックスについても同様に、退室委員、議決に参加しない委員、いらっしゃいません。議題3アネレムにつきましては、退室委員がなし、議決には参加しない委員として大森委員。議題4フィコンパについては、退室委員がなし、議決に参加しない委員として大森委員。議題5デエビゴについては、退室委員がなし、議決に参加しない委員として大森委員、代田委員。議題6ベニロンについては、退室委員、議決には参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題7ユリスにつきましては、退室委員がなし、議決には参加しない委員として代田委員。議題8チラーヂンについては、退室委員、議決に参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題9ヴェノグロブリンにつきましても同様に、退室委員、議決に参加しない委員、共にいらっしゃいません。最後に議題10オルケディアにつきましては、退室委員なし、議決に参加しない委員、大森委員です。以上です。

○杉部会長 どうもありがとうございました。今の事務局からの説明に何か特段の御意見はございますでしょうか。よろしければ、これを皆さんに御確認いただいたものといたします。

 本日は今のお話のように、審議事項10議題、報告事項2議題となっております。審議事項に入る前に事務局より報告案件があると聞いております。では、先にこれの御説明をお願いいたします。

○医薬品審査管理課長 それではまず、私から報告案件につきまして簡単に説明を始めさせていただきたいと思います。お手元のタブレットの中では、フォルダの一番上に◆で「その他事項(報告案件)」とあります。その中に幾つか資料を入れております。

 報告する内容といたしまして、実は本年6月にエーザイによって国内で実施されておりました健康成人を対象とする臨床試験、いわゆるフェーズIの試験ですが、そこで被験者の方1名が死亡される事案が発生いたしました。これを受けまして厚生労働省では機構と協力しまして、当該事案の発生の状況、あるいは企業や医療機関における治験の実施状況、管理状況がどうであったのかといったところ、また、GCPに照らして問題がなかったのかといった詳細調査を実施してきました。

 具体的には、機構に詳細な調査をお願いして、この度、機構での調査の結果が取りまとまりましたので、本日、本部会で御報告させていただきたいと思っております。また後ほど御説明させていただきますが、厚生労働省といたしましては、この調査結果を本日夕方めどで公表する予定にしております。また、この調査結果、そして、本日先生方より頂く御意見も踏まえながら、今後、関係する企業と医療機関に対して必要な改善を求めていきたいと考えておりますし、また、治験に関係する業界全体にも、治験の管理徹底あるいは注意喚起を行いたいと考えております。そういう意味で、是非、調査結果を御報告させていただき、御意見を頂ければと考えております。つきましては、まずは機構から調査結果を説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 調査結果について機構より御説明いたします。タブレットのその他事項のフォルダを開き、調査報告書のファイルをお開きください。また、本調査の専門委員として同じくその他事項のフォルダの4.専門委員リストに記載されている8名の委員を指名しております。まず、調査報告書2ページ冒頭を御覧ください。

 E2082(以下、「本薬」と略させていただきます)は、エーザイ株式会社により創製された薬剤であり、平成28年3月に本邦において抗てんかん薬として承認されたペランパネル水和物(以下、「ペランパネル」と略させていただきます)と類似した作用機序を有する薬剤です。健康成人被験者(以下、「本被験者」と略させていただきます)が死亡した臨床試験は健康成人を対象とし、単回又は反復経口投与したときの安全性、忍容性、薬物動態を検討するために計画され、平成291017日に初めてヒトに本薬を投与する臨床試験として初回治験計画届出が提出されました。機構は、本治験に関して提出された資料を調査するとともに、治験依頼者及び治験実施医療機関に対し、厚生労働省とともに立入検査及び質問(以下、「立入検査」と略させていただきます)を行い、専門協議の結果も踏まえて本報告書を取りまとめました。

 本被験者の経過について、まず、調査報告書14ページ、表11を御覧ください。本被験者は、本年6月11日に入院下で本剤15mg/日の投与が開始され、10日間の反復投与が終了した後、Day14に規定どおり退院しました。しかしながら、退院当日の午後に被験者が自主的に来院し(以下、これを「規定外来院」とさせていただきます)、入院期間中のDay12から幻聴、幻視、Day13から不眠が発現していたこと、規定外来院時までそれらの事象が継続していたことを治験責任医師の診察時に訴えました。治験責任医師は、本被験者の言動に異常が認められないことを確認の上、本被験者を帰宅させました。その翌日に本被験者は飛び降りにより死亡しました。

 続いて、因果関係について調査報告書24ページ、3.1有害事象の因果関係についての項を御覧ください。本被験者は精神科既往歴を含む既往歴は特になく、投与開始前に自殺念慮や自殺のリスクは認められなかったこと、類薬であるペランパネルにおいて精神症状について注意喚起されていること、本被験者で認められた症状や治験薬投与との時間的関係等を踏まえると、治験薬と異常行動との因果関係は否定できないと機構は考えております。

 次に、治験実施医療機関及び治験依頼者の対応について、調査報告書24ページ、3.2治験実施医療機関及び治験依頼者の対応についての項を御覧ください。治験実施医療機関は、被験者に対して治験の概要や予測される副作用について情報提供していた他、緊急時に適切な医療を提供するための措置を講じていました。また治験依頼者は、治験実施医療機関等の選定にあたり、当該医療機関及び治験責任医師となる者の第I相試験を含めた治験の実績や緊急時の対応手順等を考慮していました。その他、全般的な治験実施体制等に医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(以下、「GCP」と略させていただきます)の規定からの重大な逸脱に該当する所見は認められませんでした。しかしながら、健康成人を対象とした試験における被験者の死亡という転帰の重大性を考慮すると、GCPの理念に従い、より配慮を要すると考えられる以下の事項が認められました。

 治験実施医療機関の対応について、調査報告書15ページ、上から9行目、「Day14の退院以降の経緯は以下のとおりであった」から始まる段落を御覧ください。本被験者は退院後の規定外来院の際に幻聴、幻視及び不眠の症状を訴えたことから、治験責任医師は、本被験者に心療内科の受診を勧めましたが、被験者本人が心療内科の受診を希望しなかったこと、入院等によるストレスが症状の要因になっている可能性があると考え、症状が続く場合は心療内科の受診を検討することを本被験者に伝達しました。その上で、治験責任医師は、本被験者の言動に異常は認められず、有害事象の程度や状況に鑑みても入院を要する程度ではないと判断し、翌日に医療従事者が連絡することを伝達して、本被験者を帰宅させました。

 次に、調査報告書26ページ、3.2.3治験実施医療機関の治験実施体制についての項を御覧ください。GCPには、治験実施医療機関の要件として緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができることが規定されております。本薬は中枢神経症状の発現に特に注意を要する薬剤であり、本治験においては、治験実施医療機関には精神科・神経内科等を専門とする医師はおらず、治験実施医療機関は被験者の症状に応じて専門的な対応が可能な医療機関を選択し、治験責任医師又は治験分担医師の同行の上で対応する体制を取っていましたが、本被験者の死亡を防ぐことができませんでした。機構は、本被験者のように、治験担当医師にとって専門外の有害事象が認められた場合は、より慎重に判断することが適切であったと考えております。

 次に、治験依頼者の対応について、同じく調査報告書26ページ、3.2.4治験依頼者の治験管理体制についての項を御覧ください。GCPには、当該治験を適切に実施する上で求められる要件を満たした治験実施医療機関及び治験責任医師を選定することが規定されております。本治験においては、治験依頼者は中枢神経領域の第I相試験の実績があること等を踏まえて治験実施医療機関を選定しました。治験実施医療機関には精神科を専門とする医師はおらず、治験実施医療機関では対応できないような有害事象が発現した際の対応について、治験実施医療機関で緊急時の対応が定められていることを確認していましたが、本被験者の死亡を防ぐことができませんでした。機構は、治験依頼者は、本薬のリスクを踏まえた要件を満たす治験実施医療機関又は治験責任医師・治験分担医師を選定する、あるいは治験実施医療機関が対応困難な有害事象が発現した場合の専門の医師との具体的な連携について確認しておくことが適切であったと考えております。

 以上の調査結果及び専門委員より示された意見を踏まえ、今後の治験、特に医薬品の忍容性等を評価するための開発初期の臨床試験を実施する際には以下の対応が必要と考えております。

 治験依頼者に対する対応については、調査報告書27ページ、3.3.1治験依頼者における対応についての項を御覧ください。今から申し上げる4点の対応が必要と考えております。

 1点目、被験薬のリスクを十分に勘案した上で治験実施医療機関及び治験責任医師・治験分担医師を選定すること。2点目、重大な転帰につながる可能性のある事象については、治験実施医療機関に対して十分な説明を行い、被験者に文書を用いて適切に情報提供を行うこと。3点目、重大な転帰につながる可能性のある事象に対して対応できる治験責任医師・治験分担医師が参加可能であるか確認し、治験責任医師、治験分担医師が含まれない場合は、即時の対応が可能となる体制が構築されていることを確認すること。4点目、特に幻覚・妄想等により被験者が病識がない状態に至る可能性のある薬剤については、精神科医や神経内科医の診察が施設内で可能な治験実施医療機関に依頼をする、若しくは、治験責任医師・治験分担医師に精神科医や神経内科医を含め、家族等の保護者の関与も事前に検討すること。

 続いて、治験実施医療機関に対する対応については、同じく調査報告書27ページ、3.3.2治験実施医療機関における対応についての項を御覧ください。今から申し上げる4点の対応が必要と考えております。

 1点目、重大な転帰等につながる可能性のある事象については、被験者に文書を用いて十分に情報提供を行い、心身の変調が生じたら速やかに申告する必要があることを伝達すること。2点目、重篤な事象が発現した場合は、治験責任医師の判断により、入院期間の延長等の被験者保護に必要な措置を行う可能性があること、特に中枢神経症状を伴う重大な転帰につながる可能性がある場合は、精神保健指定医の診察への協力を依頼する可能性があり、そのために家族等に連絡する可能性があることを、文書を用いて被験者に十分な説明を行い、同意を得ること。3点目、中枢神経系に作用する薬剤では、治験薬投与終了後にも有害事象が発現する可能性があることを治験実施医療機関の担当者が十分に理解し、投与終了後も医療関係者において被験者の状態を詳しく観察し、有害事象の発現の有無について記録すること。4点目、重大な転帰につながる可能性のある事象が発現した際は、速やかに専門の医師の意見を参照する等、適切な連携体制を整備すること。説明は以上です。

○医薬品審査管理課長 今、機構より御報告いただきましたが、厚生労働省といたしましては、繰り返しになりますが、この調査結果を踏まえ、また本日頂く先生方からの御意見も踏まえまして、今後、関係する企業と医療機関に対して改善を求めていきたいと考えております。具体的には、報告書の後段、3.3等に今後、必要な対応ということで挙げられている所について改善計画を求めていくことを考えております。併せまして、業界に対しても、通知を発出して管理徹底、注意喚起を求めていきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。また、本件に関しましては参考人にお越しいただいております。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。本事項につきましては、先ほど御紹介がありました浜松医科大学の渡邉先生においでいただいております。本議題について先生から御発言いただけるとうれしいのですが。どうぞよろしくお願いいたします。

○渡邉参考人 専門協議に加わった専門委員の1人としてコメントさせていただきます。浜松医大の渡邉と申します。まず、本事例は臨床薬理試験、特にファースト・イン・ヒューマン試験で健常人の方が亡くなられたという極めて重大な事例と認識しております。皆さん御存じの事と思いますが、医薬品が最終的に患者さんの元に届けられるまでの治験のステップは3つあります。臨床薬理試験、探索的試験、検証試験ですが、本試験は臨床薬理試験といって、医薬品の安全性、忍容性の推測、薬物動態の解析、可能ならば薬力学的評価、バイオマーカーを使って薬効評価を行うということを目的としており、多くの場合、対象は健常人の方の御参加をお願いしています。そして、今回の場合は、初めて人に投与するファースト・イン・ヒューマン試験と呼ばれる試験でした。ファースト・イン・ヒューマン試験の中でも少しずつ用量を増加して投与していく単回投与試験、そしてその後、反復投与試験というものがあります。本事例は反復投与試験でも最大用量で生じており、この臨床薬理試験の中では最後の段階に至ったときに起きた事例でした。

 このような臨床薬理試験は、フェーズワン施設と呼ばれる施設で実施されています。アカデミアでは、現在は臨床研究中核病院と呼ばれる医療機関にフェーズワンの機能が備えられるようになりましたが、以前は私が所属する浜松医大でありますとか愛媛大学、大分大学、昭和大学、北里大学など一部の大学でのみ行われており、多くの場合は民間のフェーズワン施設で臨床薬理の専門家が治験責任医師となって実施されておりました。したがって、これまでこのような民間施設が日本の医薬品開発に果たしてきた貢献は非常に大きいと思っています。

 この事例はリスクが高い医薬品を対象にしていたことから、最初の同意説明の在り方、高いリスクが想定されるならば、それを被験者の方々、本件は健常者となりますが、その方たちにしっかり伝えていくことが重要であり、また治験中は投薬が終了後であっても丁寧に被験者の状況を観察し、そしてそれを記録することが必要である思います。また、被験者の方々が何か症状があるときに、率直にその症状を治験の担当医師に伝えられるような環境の整備が重要だと思いました。その意味で、この報告書によって、治験体制の管理の在り方、あるいは注意喚起を促すということは今後の被験者保護の上でとても重要だと思います。

 ただ一方で、対象薬のリスクに応じての対応ということがとても重要で、いろいろな医薬品全ての領域で、その領域の専門家が診療科として施設に存在していないと、フェーズワンの治験が実施できない、あるいは治験の分担医師として、領域の専門家が入っていなければならないということになると非常に臨床薬理試験を実施するハードルを上げることにつながり、今後の日本での医薬品開発に与える影響は少なくないと思います。その対象薬の持つリスクに応じていろいろな対応を御検討いただきたいということを付け加えさせていただきます。以上です。

○杉部会長 どうもありがとうございました。渡邉先生からは、主に試験の在り方の第I相の点、そして、その薬に対する注意喚起を頂きました。先生方のほうから何か御質問、御意見はございますでしょうか。

○長島委員 治験にせっかく参加していただけた方が亡くなってしまったということは極めて重いことであり、再発防止に関してしっかり対応しなければならないと思っております。まず、1つの問題としては治験ということで、その作用とか副作用だけに注目するのではなくて、どんな薬剤であっても一人の人間としてしっかり診察対応していただく、これが大原則ということかと思います。したがいまして今回、もしかすると因果関係はないかもしれませんけれども、わざわざ受診していただいて様々な訴えがありましたから、それをきちんと受け止めると。それは別に副作用として想定されていようがされていまいが関係なく、しっかり医師としてやるべきだなと思っております。

 次に、治験を中止することをためらうような圧力が働いては絶対にいけないということです。したがってこれは治験実施医療機関においても被験者の方においても中止をためらうようなことは絶対にいけないと。あるいは中止につながるかもしれないということで、訴えを抑えてしまうというようなことが絶対にあってはならないということで、ここは中止になっても何か不利益が起こるというようなことは絶対、環境を作るということが重要だと思います。これは安全性を保つ意味でも、治験の正しいデータを集めるというのは極めて重要だと思っています。

 それから、全ての医療機関で安全に十分な対策を整えていくことは無理かと思いますので、やはりサポート体制をしっかり作っておく。それで何かあったら、すぐ専門の方に相談できるような体制をあらかじめ作っておくということ。そもそもの計画と、あとは重要なのは中止基準、ここのところで専門でない方が担当しても、それに従っていれば安全に中止できるという計画とか中止基準を作っておく、そこのところをきちんと厚労省として確認していくということが重要ではないかと思っております。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。ごもっともな御意見で、このことは皆さんも感じているところだろうと思っております。厚労省のほうから特にございませんか。

○医薬品審査管理課長 今、頂いた御意見は、座長がおっしゃったとおりごもっともなところばかりだと思っております。サポート体制もしかりですし、治験中止については、きちんと判断をしていただかないと被験者保護の大原則が実現できませんので、おっしゃるとおりだと思います。また、医師の方々お一人一人をというところも、そのとおりかと思っております。

○杉部会長 ありがとうございました。堀委員、どうぞ。

○堀委員 一般委員の立場から質問させていただきます。今ここで先ほどの調査結果報告書を拝見していましたときに、3.3.1の治験医療者における対応についての中で、一番最後の所に、また当該薬剤においては、「家族等の保護者の関与も事前に検討すること」とありました。また、3.3.2の中でも、「家族等に連絡する可能性があることを、文章を用いて」と、今後検討すべき文言がありました。ここで「家族」という言葉が書いてあるのですが、従来の治験の場合、もちろん当該の治験者の同意は必須ではあると思うのですけれど、その御家族に対しての説明は、必ずしなければならないものと規定されているのでしょうか。それとも御本人だけなのでしょうか。

○杉部会長 では、渡邉先生どうぞ。

○渡邉参考人 規定はされておりません。ただ、本事例は抗てんかん薬を目指した薬でありましたけれども、幻視・幻聴といったような症状が被験者に起きた。可能なら、この患者さんを説得して、再度入院していただいて、厳格な監視下に置き、専門医の診察を依頼するのが適切な対応だったと思います。ただし、専門協議では被験者の方がそれを自らの意思として拒んだら、入院させるということは、非常に困難になる、という精神科の専門の先生方の御意見がありました。そのような状況では、家族の同意の下に初めて入院が可能になるということで、あくまでも特殊な場合ではありますが、あらかじめそのような状況が想定される場合には、家族の方の同意も得るということを付記してはどうかという御意見だったと思います。

○堀委員 ありがとうございます。一般委員の立場から考えますと、自分がもしこういう薬を飲んだときに、精神的に不安定になったら、本人自身が分かる、不安定さの程度を、多分どれぐらい自分自身で分かるのだろう?という事が、私自身その時に、明確には言えないと思うのです。だからこそ、一番その違いを分かっているのは、その人間をずっと見ていた家族だったり、又は一緒に住んでいる御家族がいらっしゃらない場合はヘルパーさんといった方たちが、気づいてくれるかと、思います。例えば自宅に戻ってきたときや退院をされたそのときに、その方の印象が今までと違うな?とか、言動とか、それこそ食事のこととかでも、一番周りの人が「あれ?」と思うのではないかと、すみません、知識はないのですけれども、そう思うのです。だから、やはりこういう形で、精神的に何かしら影響を与えるような治験の場合は、御本人自身も不安定な状態を分からないままで継続していることとかも、多分あるのではないかと思うのです。そのときには、第三者という者が、やはりチェッカーとして、その方が治験者の状態に対して、ウォーニングを出すというようなシステムを、今まではないのかもしれないのですけれども、これから必要になってくるのではないかと思いました。以上です。

○杉部会長 ありがとうございました。非常に貴重な御意見を頂きまして、今後役立てたいと思っております。特にほかにはございませんか。

○大森委員 私は精神科医なものですから、非常に大変残念な事件だなと思いますが、対応としては十分練れているのかなと基本的には思いました。ちょっと細かいことなのですが、最後のほうに精神症状がある場合、精神保健指定医の見立ての協力を依頼する可能性ということがあるのですけれども、現在、精神科専門医というものもございますので、診察能力を担保する資格としては、個人的な意見かもしれませんけれども、むしろ精神科専門医のほうが精神科の知識・技能、診察能力を担保すると思っています。精神保健指定医というのは法律にのっとって入院・退院等を運用するということなので、この文脈で言うと、どちらかと言うと精神科専門医のほうが望ましいような気がいたします。

 ただ、先ほどの議論の中に出てきたように、本人は入院したくないけれども、どうしても入院させたいというような場合には、この精神保健指定医の資格が必要になってくるのですけれども、この場合、そこの治験施設に病棟がなければ、その資格はほとんど意味がないことになるので、やはりこの文脈で言うと、どちらかと言うと専門医としていただくのが現状に当っているかなというのが私の意見なのですが、いかがでしょうか。その点は御検討されたのかどうか。

○杉部会長 ありがとうございました。その点で事務局のほう、どうぞ。

○事務局 医薬品審査管理課です。大森先生の御指摘のとおり、今般の精神保健指定医という記載につきましては、正に医療上の措置としての対応が必要な際のことを踏まえての専門委員からの御指摘によって記載されたものと承知しております。もちろん専門の医師をきちんと治験において対応できるようにするべきことというのは、この報告書の中でも記載させていただいておりましたところですので、また今般の御意見につきましては、今後私どもが治験依頼者や治験実施医療機関、あるいは業界等への通知等を発出する際に、適切に反映させていただければと考えております。御指摘ありがとうございました。

○杉部会長 どうもありがとうございました。そのほか、特にございませんか。ただいま貴重な意見を伺いました。本当にありがとうございました。

 それでは本件につきましては、厚生労働省において被験者の保護が大前提であるということに留意しながら、今回の関係者に対する指導と医薬業界全体に対する注意喚起について、しっかりと対応いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。渡邉先生、本日はどうもありがとうございました。

(渡邉参考人退席)

○杉部会長 それでは議題1に移りたいと思います。審議事項の議題1について、これも今回は参考人の石渡先生、田中先生においでいただいております。それでは、議題1につきまして、機構から資料の概要について説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、プロウペス腟用剤10mgについて機構より御説明いたします。タブレットの資料1-1~1-5のフォルダをお開きいただき、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書の通し番号3ページの1、起原又は発見の経緯及び外国における使用状況の項を御覧ください。本剤は、一定の速度でプロスタグランジンE2(以下、PGE)を持続的に放出する腟内留置用製剤です。分娩の進行に必要な子宮頸管の熟化が生じずに外子宮口が十分開大されない状態を子宮頸管熟化不全と言います。分娩誘発が必要と判断された際に、子宮頸管熟化不全であった場合には、本邦では主として器械的方法で熟化を促進させますが、欧米では本剤を含むプロスタグランジンの経腟製剤が標準的に選択されており、本剤は66か国以上の国又は地域で承認されております。今般、フェリング・ファーマ株式会社より、国内臨床試験成績等に基づき、本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。本剤の審査に関し、専門委員として資料14に記載されております委員を指名いたしました。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について御説明いたします。審査報告書の通し番号31ページを御覧ください。国内第III相試験は、妊娠週数別に、妊娠41週の患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(以下、262試験)及び妊娠37週以上41週未満の患者を対象とした非盲検非対照試験(以下、261試験)の2試験が実施されました。両試験について、有効性の評価の規定に適切とは言い難い部分があったことから、より適切な評価の規定に基づいた解析を行った結果、主要評価項目である治験薬投与開始12時間以内に子宮頸管熟化に成功した被験者の割合は、262試験では表31に示したとおり本剤群のプラセボ群に対する優越性が、また、261試験では表32に示したとおり、事前に設定した評価基準の達成が、それぞれ確認され、本剤の有効性は示されていると判断いたしました。

 安全性について御説明いたします。審査報告書の通し番号35ページ、7.R.2.1.1の過強陣痛に関する有害事象についての項を御覧ください。過強陣痛は、本剤による子宮収縮作用により発現する可能性がある事象です。国内第III相試験では過強陣痛に関連する有害事象として子宮収縮異常が1例認められましたが、母児の予後は良好でした。海外臨床試験では国内第III相試験と同様の発現状況でしたが、海外市販後には子宮破裂に至った症例、死亡や後遺症が認められた症例もいること等から、本剤投与にあたっては国内第III相試験並に、分娩管理に十分な知識及び経験を持つ医師の下で、投与の適否の慎重な判断に加え、分娩監視装置による連続的なモニタリングや、過強陣痛が生じる兆候が認められた場合等の本剤の速やかな抜去等の対応が徹底される必要があると判断いたしました。

 審査報告書の通し番号39ページ、7.R.2.1.2の胎児機能不全に関連する有害事象についての項を御覧ください。胎児機能不全は、本剤による子宮収縮が過剰又は長時間となることでも生じる可能性がある事象であり、国内第III相試験では重度の副作用が2例に認められましたが、児の予後は良好でした。海外臨床試験では、国内第III相試験と同様の発現状況でしたが、海外市販後には児の死亡や後遺症が認められた症例もいること等から、国内第III相試験並の管理下で投与される必要があると判断いたしました。これらの他、国内第III相試験で発現した有害事象について、本剤の臨床使用において大きな問題となるような事象等は検出されていないと判断いたしました。

 審査報告書の通し番号44ページ、7.R.2.3.1の常位胎盤早期剥離についての項を御覧ください。海外市販後では、PGE投与後に発現した常位胎盤早期剥離が副作用として報告されております。しかしながら、これらの症例はPGE投与後に発現したこと以上の情報が限られており、常位胎盤早期剥離は妊娠又は分娩の経過で生じる事象であること、疫学研究では子宮収縮作用を有する薬剤の使用により、発生リスクの増加は見られていない等、PGE投与による発現頻度の増加等を示唆する文献は現時点でないことを踏まえると、常位胎盤早期剥離を本剤の副作用とは結論付けられないと判断いたしました。

 以上の安全性の検討を踏まえ、本剤は分娩管理についての十分な知識、経験及び本剤の安全性についての十分な知識を持つ医師の下で、本剤の使用に先立ち、患者に本剤を用いた頸管熟化の必要性及び危険性を十分に説明し、同意を得た上で使用を開始されることが必要であり、それが遵守されるのであれば、本剤により得られる有効性を考慮すると、本剤の安全性は臨床的に許容可能と判断いたしました。

 ファイルが変わりますが、資料1-1の1.8の添付文書()のファイルをお開きください。4ページの赤枠の警告の欄があります。その中の1.1.1、1.1.4の項を御覧ください。申請時点の添付文書()では、患者に文書を用いて同意を得てから本剤を使用する旨が記載されておりました。当該規定について専門委員より、一般的に使用薬剤を含む医療行為の説明と同意の手順は全ての医療機関や患者で一律ではなく、それぞれ状況と目的に応じて整備等をされていることを考慮すると、本剤による子宮頸管熟化の処置に際しても患者が適切な説明を受けた上で同意に至ることができるよう医療機関等の状況に応じて最適化のための工夫がなされるべきと考えることから、添付文書に画一的に文書を用いて同意を得るということのみを規定することは本質ではない旨の意見が示されました。

 また、分娩監視装置での観察方法について、「連続モニタリング」と表記しておりましたが、診療ガイドラインでは、トイレ歩行時等、医師が必要と認めた場合には短時間のモニタリングの一時中断は認められていること等から、一時的な中断が許容されないとの誤解を招きかねない表現は妥当とは言えない旨の意見が示されました。機構は、以上の内容を踏まえた添付文書の記載を行うよう申請者に求め、申請者は、ただいまお示ししています案を提示し、機構は申請者の対応は妥当と判断いたしました。

 審査報告書を御覧ください。通し番号53ページ、1.2の効能・効果及び臨床的位置付けについての項を御覧ください。専門協議において、国内第III相試験の対象とされなかった妊娠37週未満の患者も本剤の必要性は高いが、妊娠37週以降の患者と同様の有効性及び安全性が得られるのか懸念があり、効能・効果は具体的な根拠から本剤を推奨できる集団を明確化することが適切との意見が示されました。そこで、限られた例数の検討ですが、海外臨床試験では、本剤投与開始12時間以内に子宮頸管熟化に成功した被験者の割合が、妊娠37週以降と比較して妊娠36週で低かったということを踏まえ、機構は、本剤の効能・効果を、「妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進」とすることが妥当と判断いたしました。

 以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本品目は、新投与経路医薬品としての申請であることから再審査期間は6年が妥当と判断しております。また、本剤は、生物由来成分及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○事務局 続けて、事務局から御説明させていただきます。先ほど機構からの説明にもありました添付文書における「同意を得てから」という所の書きぶり、あるいは「連続的なモニタリング」といった所の書きぶりについては、今回、御審議いただいておりますプロウペスについてどうかという点と、さらに、既に承認されている子宮収縮薬、今回の子宮頸管熟化剤よりも後ろのフェーズで使われる薬ですが、同じ有効成分のものもありますが、その既承認の子宮収縮薬での取扱いが適切であるかどうかという点について、資料としては1-5に依頼状というものがありますが、こういった形で厚生労働省から日本産婦人科医会、あるいは日本産科婦人科学会に対して、この点をどう考えるかということで御意見の提出を依頼しております。

 その結果、資料1-4の意見書というものを御覧いただければと思いますが、それぞれ医会、学会から意見書を御提出いただいております。本日は、医会から石渡先生、学会から田中先生をそれぞれ参考人としてお招きしておりますので、資料1-4の意見書の御紹介を含め、この点について御意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○杉部会長 分かりました。それでは、まず石渡先生から本議題について御発言いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○石渡参考人 石渡です。日本産婦人科医会からまいりました。私たちは、医療安全の観点と、実際の臨床現場での使用状況等について勘案した結果、本薬剤については頸管熟化の必要性、そして、これはベネフィットですが、リスク等を十分に患者に説明した上で、同意を得た上で実施するということに決めました。文書による同意というのは、警告の中にありますと、臨床現場では時間的な経過の中で即応できないという部分もありますので、臨床現場の医師の状況の判断等から考えていくと、文書という固い縛りではなくて、きちんと説明して同意を得るという、そういうような流れが臨床現場としては一番即しているのではないかということで、このような判断をいたしました。以上です。

○杉部会長 どうもありがとうございました。田中先生からいかがでしょうか。

○田中参考人 日本産婦人科学会担当幹事の田中と申します。審議は周産期委員会と、周産期の専門家の集団で一度検討してきまして、意見書を記載いたしました。警告に関しては、最終的な「警告」に関しては特に異議はございません。2点ほどコメントを付けました。コメントとしては、安全性の観点から使用に先立った同意は必要ですが、診療を進めていく上で文書というものに関しては現場に即さないと判断して、そちらは削除をお願いするようにいたしました。

 2つ目は、妊娠中のこういった子宮収縮剤の使用に関しては、予定外の過度な子宮収縮が起こるということ、そして、一定の確率で起きますが、その予測は困難であるということから、胎児の連続的なモニタリングが必要であるということを追記するように意見といたしました。また、既存の子宮収縮剤に関しても、プロウペス同様、過度な子宮収縮の発生、それと予測が困難な発生ですので、連続的なモニタリングを追記するということを意見といたしました。以上です。

○石渡参考人 2番目の連続モニタリングのことについても言及するということで、実際に連続モニタリングというのは、臨床現場では全く必要なことであって、というのは、ある一点だけ、胎児心拍だけを見てこれは正常、異常という判断はできないわけです。連続の流れの中で判断していくのですが、そのときに、例えばトイレに行くとき、あるいは長く同じ姿勢を取っていると血栓ができやすかったりいろいろしますから、ある程度の運動というのが必要になってきますので、そういう医師が判断して必要だということを除いたときというのは、連続モニタリングをすることは必要ではないかと、こういう判断です。

 もう1つの子宮収縮薬についてもこの熟化剤と同様の判断で、これも口頭による十分な説明と同意を得るということで、文書までは言及しなくていいのではないかと、そういう判断でした。

○杉部会長 どうもありがとうございました。お二人の先生とも文書まではということ、よりしっかり説明するということと、連続モニタリングをするということでよろしいでしょうか。先生方から何か御意見、御質問はありますか。

○堀委員 今の警告1-1の患者に十分に説明して同意を得てから使用を開始することですが、私も出産をした経験があるので、その妊産婦の経験から言いますと、医師より説明をしていただき、今後どういうことがあるかをお伺いしながら同意を得るということは、すごく妊婦にとって、精神的に安定します。特に、出産のときというのは非常に精神的に不安で、お腹も大きいですし、体調にもかなり不安を抱えている妊婦さんは多いと思います。是非この同意を得てからということを行っていただきたいと思います。

 もう1つ、モニタリングに関してです。私も陣痛促進剤を打ってトイレに行ったのですが、やはりそのときに不安がすごくあり、戻ってきてから看護師さんに排泄をしても大丈夫かどうか?と言った記憶があります。是非この2つは、このまま修正案の記載につなげていただけたらと思います。

 あともう1つ、質問があります。製状についてお尋ねいたします。添付を拝見しますと、7.1の所に腟内留置用製剤の形とどうやって挿入するかという説明が書かれていると思います。取り出し用ひもが出ているかと思うのですが、自分自身の記憶の中で、37週以降の妊婦さんですと、かなりお腹が大きいと思います。その7.1中でこの薬を挿入されて、12時間以上は除去すべき、ということは用法の注意として書いてあったのですが、12時間この腟中に入っている間に、必ず排便や排尿があると思うのです。お腹が大きい場合、どうしても妊婦が自分のお尻を拭くという作業がかなり大変だったと記憶しております。そのときに取り出し用ひもが引っ掛かるような、そういう懸念はないのでしょうか。教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。臨床試験の中で、本剤が脱落してしまったという症例はありました。その方なのですが、トイレでの歩行時等に脱落が生じていたということでした。引っ掛かるということに関しては、本剤をお使いいただく際に、必要に応じてひもを短く切ることは可能というように、情報提供がなされます。そういたしますと、余計に長い部分は少なくともなくなりますので、引っ掛かりづらくはなると考えております。

○医薬品医療機器総合機構 補足いたしますと、取り出し用のひもですので、ある程度の長さはないといけないのですが、そういう行為の中で間違って引っ掛からないように、余分な部分を腟内にちょっとしまっておくような処置を先生方にお願いしようと考えております。この点については、使用方法の情報提供を徹底していきたいと考えております。

○堀委員 先ほども申し上げたように、どうしても陣痛促進剤等を打った後の排便とか排尿に関しては、かなり不安を持っている妊婦さんはいらっしゃると思いますので、そこを丁寧に説明していただければ幸いです。ありがとうございました。

○杉部会長 そのほか、先生方から何か御意見はございますか。なければこの議題について、ここで議決に入りたいと思います。この議案について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。この承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。石渡先生、田中先生、本日はどうもありがとうございました。御退室をお願いいたします。

(石渡参考人、田中参考人退席)

○杉部会長 それでは、議事次第と順番をここでちょっと入れ替えまして、議題9に移ります。最後のほうです。よろしいでしょうか。議題9について、この件で参考人の荒木先生をお呼びしています。

(荒木参考人入室)

○杉部会長 御着席ください。それでは、よろしくお願いいたします。議題9について、機構から概要を説明してください。よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題9(資料9)、医薬品献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5/10mL他の製造販売承認事項一部変更承認等の可否について、機構より御説明申し上げます。タブレットを御覧になる際は、資料9のフォルダを開き、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 末期腎不全患者に対する根治治療は、腎移植のみです。レシピエントが輸血、過去の移植、妊娠等により他人の抗原に感作され、抗ドナー抗体が陽性である場合には、腎移植後に急性拒絶反応を起こし、移植腎の廃絶に至ります。したがって、抗ドナー抗体陽性レシピエントにおいては、脱感作させた上で移植が実施されています。

 現在、本邦では、抗ドナー抗体陽性レシピエントに対する脱感作療法として、二重ろ過血漿交換療法のみが保険適用されています。米国では、臨床試験において、抗ドナー抗体陽性レシピエントに対して、高用量の静注用人免疫グロブリン(以下、「IVIG」)を投与することにより、プラセボと比較して抗体価が有意に低下したこと及び移植実施率が向上したことから、抗ドナー抗体陽性レシピエントの脱感作療法として高用量のIVIGが使用されています。

 今般、申請者は、抗ドナー抗体陽性レシピエントを対象とした国内臨床試験成績、一般社団法人日本移植学会による抗ドナー抗体陽性レシピエントに対する脱感作療法における高用量のIVIGの使用実態調査の結果、公表文献等から、抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に対する本剤の有効性及び安全性に係る資料をまとめることにより、本剤の承認申請に至りました。

 なお、本剤は抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作を予定される効能・効果として、平成31年3月4日付けで希少疾病用医薬品に指定されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示した専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性、安全性について、国内臨床試験成績及び使用実態調査結果を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書に青字で表記しております通し番号9ページの表5を御覧ください。国内臨床試験において、主要評価項目である「治験薬4回目投与翌日又は中止時におけるFlow cytometry crossmatch法によるT細胞(FCXM-)の陰性化率」は47.1%であり、事前に設定した目標陰性化率30%を上回り、本剤投与によって抗ドナー抗体が低減することが示されました。脱感作療法後の腎移植の実施の状況については、国内使用実態調査の二次調査から検討いたしました。審査報告書の通し番号12ページ、7.2.2項のマル4を御覧ください。2014年から2016年の3年間に、抗ドナー抗体陽性腎移植の脱感作情報にIVIGを用いた59例のうち50例で腎移植が実施されました。そのうち20例の患者に拒絶反応が認められましたが、移植後2年における生存率は98%であり、死亡例は拒絶反応を原因としない1例のみでした。この死亡例1例を除く49例の移植後2年における生着率は100%であったことから、移植後の拒絶反応を完全に防ぐことはできないものの生存率及び生着率は高く、良好な予後が期待されました。また、公表文献及び国内外の成書等において、抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作療法に対して有用である旨の記載がなされていることを確認いたしました。以上より機構は、本剤の有効性は期待できると考えました。

 安全性について、審査報告書の通し番号14ページ、7.R.2項を御覧ください。国内臨床試験及び国内使用実態調査において認められた事象はいずれも、本剤の既承認の効能・効果において、添付文書で既に注意喚起されている事象であり、既承認効能・効果と比べ、抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に対する本剤の安全性プロファイルが大きく異なる傾向が認められていないことを確認いたしました。ただし、抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作の対象となる患者は透析施行中の患者が多く、心機能が低下している可能性が高いことが想定されること等から、本剤投与による循環負荷を考慮し水分管理に関する注意喚起が必要と考えました。その上で、腎移植患者の管理に精通している医師又はその指導の下で、既承認の効能・効果に対する使用時に準じて注意しながら投与されるのであれば、安全性は許容可能であると考えました。

 また、国内臨床試験における症例数は極めて限られていること等から、製造販売後、全症例を対象に使用成績調査を実施し、本薬投与時の安全性情報等を早期に収集する必要があると考えました。

 以上の審査の結果、抗ドナー抗体陽性腎移植に対する術前脱感作に対する有効性は期待でき、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は、追加される効能・効果が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年間とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 事務局より追加で御紹介させていただきます。本議題では、参考人として荒木先生にお越しいただいております。

○杉部会長 それでは荒木先生、安全性も含めて解説をお願いいたします。

○荒木参考人 岡山大学の荒木と申します。基本的には治験になった方々は、crossmatchのTのFlowが陽性ということで、ほとんどの人たちが移植を諦める、リスクが高いという症例です。その中で、47.1%が移植ができるであろう検査結果に変わった、すなわちTフローのcrossmatchが陰性になったということで、これは非常に画期的な結果だと思います。治験では、移植にどれだけ至ってその後がというフォローは詳細にはされておられませんが、その次のアンケートで50例の症例を見ますと、2年の生着率がほぼ100%ということで、これまた移植できたけれども、その後、こういう方々というのは拒絶反応が起きやすいのですけれども、生着率も非常に高いと。これによって死亡された方は、治験ではおられないということですので、非常に良いお薬ですし、是非とも認めていただきたいと思っております。

○杉部会長 ありがとうございました。この件について、先生方から何か御質問はございますか。専門の荒木先生からは、非常に有効で安全性も高いというお話でした。いかがでしょうか。特にございませんか。それでは、ここで議決に入ります。本議題に関して、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。荒木先生、どうもありがとうございました。御退席ください。

(荒木参考人退席)

○杉部会長 それでは元に戻りまして、議題2に移ります。機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、ボトックス注用50単位、同注用100単位について機構より御説明します。タブレットの資料2のフォルダをお開きいただき、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書の通し番号7ページ、1起原又は発見の経緯及び外国における使用状況の項を御覧ください。本剤は、A型ボツリヌス毒素を有効成分とする注射剤であり、本邦では199610月に眼瞼痙攣の効能・効果で承認されて以降、種々の効能・効果で承認されております。過活動膀胱(以下、「OAB」)は、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を主な症状とした症状症候群です。神経因性排尿筋過活動(以下、「NDO」)は、脊髄損傷や多発性硬化症等に起因する排尿筋の過活動であり、尿失禁を生じ得る疾患です。2019年8月現在、本剤は、欧米を含む90か国以上でOAB及びNDOに係る適応で承認されております。本邦では、日本排尿機能学会より要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと判断、開発要請がなされ、今般、グラクソ・スミスクライン株式会社により医薬品承認事項一部変更承認申請がなされました。本剤の審査に関し、専門委員として資料14に記載されております委員を指名しました。本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。

 OABの有効性について御説明します。審査報告書の通し番号13ページをご覧ください。第III相試験(204947試験、以下、「47試験」)が、抗コリン薬、又はβアドレナリン受容体作動薬で十分に管理できない尿失禁を有する日本人OAB患者を対象として実施され、表4のとおり、主要評価項目である「治験薬投与後12週時における1日あたりの尿失禁回数のベースラインからの変化量」は、本剤群とプラセボ群との間に有意差が認められました。次の通し番号14ページ表5のとおり、副次評価項目である尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁でも良好な結果が得られたことから、本剤100単位はOAB患者において有効性を示すと判断しました。

 次に、NDOの有効性について御説明します。日本人NDO患者を対象とした国内第III相試験(204948試験)は、実施可能性の問題で症例数が限られていたことから、本剤の薬物動態や排尿筋投与時の反応性等の民族的要因の類似性を踏まえ、国内第III相試験と同様の試験デザインで実施された海外第III相試験の結果も利用して評価をしました。審査報告書の通し番号20ページ、表13は、抗コリン薬で十分に管理できない尿失禁を有するNDO患者を対象として実施された海外第III相臨床試験(515試験)の主要評価項目の結果です。治験薬投与後6週時における1週間あたりの尿失禁回数のベースラインからの変化量は本剤200単位群とプラセボ群との間に有意差が認められました。本剤200単位を用いた国内第III相試験の主要評価項目は審査報告書の通し番号18ページの表9にお示ししております。プラセボ群との差の絶対値の大きさは海外第III相試験を下回りませんでした。以上を踏まえ、海外承認用量の本剤200単位は日本人NDO患者においても有効性を示すと判断しました。

 安全性について御説明します。本剤を排尿筋内投与した際によく認められ、特に注意をすべき事象は、尿閉及び尿路感染でした。これらの事象の発現状況はOABとNDOで同様であったことから、OABの成績に基づき御説明します。審査報告書の通し番号35ページ、7.1.R.3.2尿閉についての項を御覧ください。47試験では、尿閉、残尿量増加の発現割合、尿閉又は残尿量増加のために清潔間欠自己導尿(以下、「CIC」)が実施された患者の割合は、プラセボ群と比較して本剤群で高値でしたが、いずれも軽度又は中等度であること、他の治療選択肢である仙骨神経刺激療法等の侵襲性が高いことを考慮すると、47試験で実施された残尿量の定期的な測定と適切なタイミングでのCICが行われ、また本剤投与によりCICが必要となる可能性を患者が十分に理解した上で投与されるのであれば、本剤を医療現場に提供することを妨げるほどの問題とはならないと判断しました。また、本剤による尿閉等に続き尿路感染のリスクが高まることが想定され、47試験での尿路感染の発現割合はプラセボ群と比較して本剤群で高値でしたが、いずれも中等度又は軽度であったこと等から、患者への初期症状の周知を含む47試験と同様の対策が講じられるのであれば管理可能と判断しました。

 審査報告書の通し番号55ページ、7.2.R.4.4自律神経異常反射についての項を御覧ください。高位脊髄損傷等によるNDO患者では本剤投与時の膀胱を拡張させる手技に関連した自律神経異常反射を発現する可能性があり、国内外の臨床試験でも発現が認められました。したがいまして、自律神経異常反射を来しやすい背景を有するNDO患者への投与は、緊急時に十分な対応ができ、全身麻酔や血圧モニタリングを実施できる環境下で行われる必要があると判断しました。

 これらを含めた本剤の安全性は、本剤に精通した医師が適正使用すれば、本剤により得られる有効性とのバランスにおいて臨床的に許容可能と判断しました。以上の有効性及び安全性の検討を踏まえ、本剤の効能・効果は審査報告書の通し番号71ページにお示ししておりますようにすることが適切と判断しました。

 OABの効能・効果について、本剤の投与対象は、薬剤のみでなく行動療法等も含めた既存治療で管理できないOAB患者であると判断されたことから、本剤の効能・効果を「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」とすることが適切と判断しました。NDOの効能・効果についても、本剤の投与対象は、行動療法等も含めた既存治療で管理できないNDO患者と判断されたことに加え、臨床試験で有効性が確認された症状を明示することが適切であることから、本剤の効能・効果を「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」とすることが適切と判断しました。なお、申請効能・効果では、「神経因性排尿筋過活動」とされておりましたが、医療現場での混乱を避けるために、対象疾患が本剤と同一の抗コリン薬の効能・効果で用いられています「神経因性膀胱」とすることが現時点では妥当と判断しました。

 以上の審査の結果、審査報告書の通し番号71ページにお示ししております承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。再審査期間は6年が妥当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。機構の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明で、何か先生方から御意見、御質問ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

○堀委員 すみません、今回、用法及び用量の眼瞼痙攣の所で、2か月以内の再投与は避けるという文言を投与間隔を8週以上とするということに書き換えがなされていました。また、ほかのものも同様に全部書き換えられているのはなぜなのでしょうか。教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。今回、既承認の効能についても再投与の間隔の変更をしております。こちらは、もともと、例えば3か月以内の再投与は避けるというところを、12週以上間隔を空けるという形で、月の表現から週の表現に変更させていただいている状況です。

○事務局 事務局から補足いたします。報告事項で今回、ボトックスというのが議事次第で上げられております。報告事項の内容にはなるのですが、今まで月単位になっていたものですと、月が28日なのか30日かみたいなところで若干紛れがあったので、週単位にさせていただいて、紛れのないようにさせていただいたところです。

○杉部会長 よろしゅうございますか。そのほか、先生方から何かございますでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは、この議題の議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしゅうございますでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題3に移りたいと思います。議題3については、機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品アネレム静注用50mgの製造販売承認の可否等について機構より説明します。紙資料は、資料3の審査報告書を御覧ください。タブレットは、資料3のフォルダを開いていただいて、★の付いている審査報告書ファイルをお開きください。審査報告書の一番下、5ページ、1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。

 本剤は、短時間作用型のベンゾジアゼピン系麻酔・鎮静薬です。本剤の臨床試験は2010年3月から開始され、今般、全身麻酔の導入及び維持に係る有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認申請がなされました。なお、現時点におきまして、外国で本剤が承認されている国又は地域はございません。本品目の審査に関して、専門委員として、資料14に記載されている11名の委員を指名しました。本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明します。

 通し番号40ページ、7.1.6 国内第II/III相試験の項を御覧ください。本剤の有効性及び安全性を検討する目的で、全身麻酔を施行する手術患者を対象に、現在広く用いられている全身麻酔薬の1つであるプロポフォールを対照とした無作為化単盲検並行群間比較試験が実施されました。有効性の結果について、42ページの一番上、1段落目を御覧ください。本試験の主要評価項目は全身麻酔薬としての機能が有効であった被験者割合とされ、具体的には、同ページの一番下の脚注56にお示しした、術中覚醒・記憶の有無、鎮静作用に対する救済措置の有無、体動の有無の3指標の全てが「無」に該当する被験者を有効と判定した際の有効率と設定されました。その結果、本剤群及び対照薬であるプロポフォール群の有効率はいずれも100%であったことから、本剤群のプロポフォール群に対する非劣性が検証されました。以上から、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 次に安全性について、同ページ、表37を御覧ください。因果関係が否定されなかった主な有害事象として、本剤群で血圧低下、嘔吐、悪心が比較的高頻度で認められましたが、対照薬であるプロポフォール群と比較すると、その発現割合は特段高くなく、また重篤な事象等も認められませんでした。以上の点等を踏まえると、本剤の安全性は許容可能と判断しました。以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原薬は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、審査報告書に誤記載がありましたので訂正させていただきます。審査報告書44ページの表40を御覧ください。こちらの表の評価例数の欄に、いずれも「150」と記載されていますが、正しくはいずれも「31」ですので、修正させていただきます。なお、同表内の各有害事象の発現割合等に誤りはなく、本修正について審査への影響はありません。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○杉部会長 どうもありがとうございました。ただいまの説明に関して、何か先生方から御質問、御意見ございますでしょうか。麻酔薬ですが、いかがでしょうか、大丈夫でしょうか。それでは議決に入りたいと思います。大森先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題4に移りたいと思います。機構からの説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品フィコンパ細粒1%他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。紙資料は資料4の審査報告書を御覧ください。タブレットは、資料4のフォルダを開き、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 本剤は、AMPA型グルタミン酸受容体拮抗作用を有する抗てんかん薬であり、本邦では、2016年3月に、成人及び12歳以上の小児における二次性全般化発作を含む部分発作及び強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法に係る効能・効果で本薬錠剤が承認されております。なお、以降、二次性全般化発作を含む部分発作は、単に部分発作と略させていただきます。今般、部分発作の適応について、成人及び12歳以上の小児における単剤療法、並びに4歳以上12歳未満の小児における単剤及び併用療法に対する有効性及び安全性が確認されたとして、本剤の製造販売承認事項一部変更申請がなされました。なお、2019年1月現在、海外では、成人及び12歳以上の小児部分発作における単剤療法に係る適応は、米国、フィリピン及び台湾で、4歳以上12歳未満の小児部分発作における単剤療法及び併用療法に係る適応は米国で承認されております。本申請の専門委員として、資料14に記載されている5名の委員を指名しております。

 それでは、審査の内容について、臨床成績を中心に説明します。まず、成人及び12歳以上の小児部分発作における単剤療法の有効性及び安全性について御説明します。

 有効性について、審査報告書の一番下、通し番号で11ページの表6を御覧ください。成人及び12歳以上の小児で部分発作を有する未治療のてんかん患者を対象に、本剤単剤療法の有効性及び安全性を検討する目的で、非盲検非対照試験である国際共同第III相試験(342試験)が実施されました。主要評価項目であるmITT集団での4mg治療維持期における部分発作の完全発作消失割合について、95%信頼区間の下限値は50.9%であり、事前に規定した閾値である40%を上回ったことから、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性について、審査報告書22ページの表20を御覧ください。単剤療法の342試験と、過去に実施された併用療法の335試験における有害事象の発現状況を示しておりますが、両試験の比較から、本剤単剤療法と併用療法の安全性プロファイルが大きく異なる可能性は低いと判断しました。

 次に、用法・用量について漸増方法を中心に御説明します。審査報告書31ページの表28を御覧ください。単剤療法の342試験及び併用療法の335試験の漸増期における有害事象の発現状況を示しております。漸増間隔は、335試験の1週間隔に対し、342試験では抗てんかん薬で未治療の患者における忍容性を考慮し原則2週間隔とされ、その結果、両試験で漸増期における安全性に大きな差異は認められませんでした。以上より、単剤療法における漸増間隔を、既承認の併用療法よりも長い、2週間以上とすることに問題はないと考えております。

 続いて、4歳以上12歳未満の小児部分発作に対する有効性及び安全性について御説明します。有効性について、ページを戻し、審査報告書14ページの表9を御覧ください。既存の抗てんかん薬で十分な効果が認められず、3剤以内の抗てんかん薬を併用している4歳以上12歳未満の部分発作を有する小児てんかん患者を対象に、本剤併用療法の有効性及び安全性を検討する目的で、非盲検非対照試験である国際共同第III相試験(311試験)が実施され、日本人集団では有効性を評価するための判定基準(閾値)が設定されました。表の一番右の上から3つ目の欄の下2行を御覧ください。日本人集団のFASでの治療期における発作頻度変化率とその95%信頼区間を示しておりますが、95%信頼区間の上限値は-25.48%であり、事前に規定した閾値である-10.5%を下回ったことから、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性について、審査報告書23ページの表21を御覧ください。4歳以上12歳未満の小児を対象とした311試験と、過去に実施された成人及び12歳以上の小児を対象とした335試験における有害事象の発現状況を示しておりますが、両試験の比較から、4歳以上12歳未満の小児と、成人及び12歳以上の小児で、本剤併用療法の全体的な安全性プロファイルが大きく異なる傾向は認められませんでした。以上より、12歳以上の小児に対して行っている注意喚起と同様の注意喚起を4歳以上12歳未満の小児に対しても行うことが適切と考えております。

 次に、用法・用量について漸増方法を中心に御説明します。審査報告書35ページの表32を御覧ください。4歳以上12歳未満の小児を対象とした311試験及び成人及び12歳以上の小児を対象とした335試験の漸増期における有害事象の発現状況を示しております。漸増間隔は、311試験では、低年齢の小児であることを考慮し、本剤の用量により1~2週間隔とされ、その結果、335試験に比べて311試験で有害事象の発現割合がやや高い傾向にありました。当該試験成績を踏まえ、申請用法では、傾眠等の発現を軽減するため、本剤の用量によらず、投与開始時から2週間以上の漸増間隔で増量する用法が設定されており、当該用法を設定することに問題はないと考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、新効能・新用量医薬品としての申請であり、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は、残余期間(令和6年3月27日まで)と設定することが適切と判断しております。また、フィコンパ細粒1%は、剤形追加に係る医薬品としても承認申請されており、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、審査報告書に誤記載がありましたので訂正いたします。審査報告書22ページ、脚注30を御覧ください。総累計推定曝露が1,800万人・年と記載されておりますが、正しくは1,800万人・日ですので訂正いたします。なお、本訂正について、審査への影響はありません。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○杉部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対して、何か先生方から御意見ございますか。

○長島委員 添付文書案の2ページの8、重要な基本的注意の8.1と8.2に、「自殺企図」という表現がありますが、本医薬品は、本会議の一番最初の報告であった治験の際に自殺の可能性も考えられる方がいるのと同様の作用機序を持つ医薬品であります。先ほど、最初のお話でやはり、医師、それから患者御本人、御家族に十分このような情報を持っていただいて、なおかつ分かりやすく伝えることが極めて重要という観点からすると、この書き方でいいのだろうか。もっとはっきり注意喚起するような書き方にすべきではないか。それから、医師、患者、御家族にきちんと伝わるような資材を提供すべきではないかと思います。

○杉部会長 ありがとうございます。この点について、機構のほうはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。まず、審査報告書の26ページの上から5行目、「申請者は」から始まる段落を御覧ください。4歳以上12歳未満の小児を対象とした311試験において認められた自殺関連の有害事象は、自殺念慮の1例のみで、発現割合は0.6%であり、軽度の事象でした。また、初回承認申請時に実施されました成人及び12歳以上の小児を対象とした335試験における自殺関連の有害事象の発現割合は4.1%でした。一方、データは御提示しておりませんが、成人及び12歳以上の小児を対象とした海外試験も含めた本剤のプラセボに対する自殺関連の有害事象の発現のリスクは、FDAが実施した11種類の抗てんかん薬に関するメタ解析における抗てんかん薬のプラセボに対するリスクを上回らなかったことを初回承認申請時に確認しております。したがって、現時点において添付文書における注意喚起は、12歳以上と12歳未満で同様の注意喚起を行うことが適当と判断しております。また、医療従事者向け資材及び患者向け資材においても、自殺関連の事象に注意すべきということは既に注意喚起を行っておりますが、現在、安全対策部も含めて記載の適切性については検討しておりますので、類薬で認められた事象も含めて、引き続き検討させていただければと思います。

○長島委員 よろしいですか。

○杉部会長 どうぞ。

○長島委員 一番最初に、これの最初の自殺者が出たことを重く受け止めなければいけないと申しましたが、そのことはどうお考えですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。先生御指摘のとおり、類薬であるE2082で死亡者が出たということは十分重く受け止めなければならないと考えております。一方、本剤については、同様の作用機序を有しますが、今、担当から申し上げましたとおり、これまでの臨床試験成績や市販後安全性情報を審査の中で確認しておりますが、現時点では注意喚起のレベルを引き上げるほどの事象は認められていない状況と理解しております。ただし、先生御指摘のとおり、類薬でそのような事象が認められたことは重く受け止めなければなりませんので、安全の部門とも協議した上で、現在の添付文書の注意喚起は適切であるか、あるいは資材の記載が十分であるかは、今後、速やかに検討させていただきたいと考えております。

○長島委員 検討ではなくてしっかり対応していただきたいと強く要望します。

○杉部会長 ありがとうございます。では課長から。

○医薬安全対策課長 市販後を扱っていますのでコメントさせていただきます。医薬安全対策課長です。現行の添付文書あるいは資材も、医療関係者向けと患者向けそれぞれあるのですが、今回、今日の最初の議題での類薬ということで、このフィコンパに関しても、これまで約2年半ぐらいですか、販売されてから経過しておりますが、その間で我々も副作用のほうを把握しておりまして、なかなか情報が十分でない症例もあるものですから、因果関係が評価できるところまでは至ってないのですが、ただ現に、症例としては自殺既遂を含めて報告はございますので、この辺りに対して、現行の添付文書あるいは資材についてどのような対応ができるか、今の御意見も含めて検討させていただきたいと思います。

○杉部会長 是非、よろしくお願い申し上げます。追加は大丈夫ですね。

○堀委員 今の資材に関連なのですが、今回、4歳から服用が可能になるということで、多分、4歳というと幼稚園のような年代だと思います。その4歳、5歳の子は、自分がてんかんだということの認識はまだ薄いのではないかと思うのです。そのときに、これを飲んだときに、めまいとか浮動性めまいとかそういう副作用がでたとしても、果たしてこれがめまいなのだということを小児が分かって、それを母親や医師に伝えられるのかどうかという事を、子を持つ母親から考えるとかなり不安なのですが、その点はいかがでしょうか。

○杉部会長 機構からよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。小児、特に低年齢ということで、確かに保護者、家族の方が十分に薬の副作用などを把握することは重要だと思っております。そのような観点から、患者向け資材については、平易な言葉で分かりやすく記載させていただいておりますが、適切な注意喚起となるように申請者に対応を求めたいと思います。

○堀委員 お願いします。特に医師からの説明というもの、特に小さい子に関しては言われても全く分からないので、やはりその説明は保護者だと思います。その保護者に対してきちっと副作用に関して説明をしていただくよう、是非、資材に関しても、また説明に関しても徹底していただきたいとお願いします。

○杉部会長 ありがとうございます。それは先ほどの先生のお話のとおり、周りの家族、保護者の注意と言いますか、よく観察していることが大事ということになりますね。ありがとうございました。そのほかは、どうぞ、大森先生。

○大森委員 添付文書の5ページの臨床成績の紹介の所なのですが、全く形式的なことなのです。今回、17..2と17..4が追加になったのだと思うのですが、ここです、事の順序から言うと、単剤療法に関する情報が先にあったほうが分かりやすいのではないかと思うのです。適応のほうも単剤のほうを先に、用法・用量のほうも単剤療法から入るようになりましたので、どちらかと言うと、この臨床成績の情報もそういう順序にしていただいたほうが読む者が分かりやすいかという気がします。これは形式的なことで内容とは関わりはないのですが、御検討いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答します。貴重な御意見ありがとうございます。頂いた御意見を踏まえまして、分かりやすい記載になるように修正を含めて検討させていただきます。

○杉部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。それでは、先ほどの御意見のありました注意喚起をするということで、議決に入りたいと思います。大森先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題5に移りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品デエビゴ錠2.5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料5のファイルをお開きいただき、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 本剤の有効成分であるレンボレキサントは、オレキシン受容体1及び2に対する拮抗作用を有する不眠症薬です。今般、不眠症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認が行われました。本剤は201812月に米国にて承認申請が行われておりますが、2019年9月現在、まだ承認はなされておりません。なお、本邦では不眠症を効能・効果とするオレキシン受容体拮抗薬として、スボレキサントが平成26年9月に承認されております。本申請の専門委員としては資料14に記載されている9名の委員を指名しております。以下、臨床試験成績を中心に審査の内容を説明いたします。

 まず、有効性について審査報告書の一番下、通し番号で37ページの表38を御覧ください。不眠症患者を対象とした国際共同第III相試験において、表38にお示ししましたように、主要評価項目である投与6か月時の主観的入眠潜時のベースラインからの変化について、本剤5mg/日群と10mg/日群(以下、5mg群と10mg群と略します)のいずれにおいてもプラセボ群との間にそれぞれ統計学的な有意差が認められました。また、審査報告書の通し番号の38ページの表39に示しましたように、投与6か月時の主観的睡眠効率及び主観的中途覚醒時間のベースラインからの変化量についても、プラセボ群と比較して本剤5mg群と10mg群で改善が認められました。

 次に安全性についてです。審査報告書の通し番号の54ページから63ページの「7.R.3 安全性について」の項に示しましたように、臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、中枢神経系の事象、持ち越し効果のリスク等の個別の事象について検討した結果、類薬の状況も踏まえた適切な注意喚起等がなされれば、本剤の安全性は許容可能と考えております。

 用法・用量については、審査報告書の64ページの下から1行目の「申請者は~」から始まる段落から次の審査報告書65ページの上段を御覧ください。先ほど有効性の説明でも述べましたが、国際共同第III相試験において、本剤5mg群と10mg群のいずれにおいても、プラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。安全性について、本剤10mg群では傾眠等の発現割合がプラセボ群又は本剤5mg群と比較して高かったものの、非重篤であり、全有害事象の発現状況及び重篤な有害事象の発現状況に大きな違いはなかったこと、一般に患者の反応性には個人差があり、不眠症の症状も様々であるため、本剤5mgの投与で効果が不十分な患者においても、本剤10mgの増量時に有効性が示される可能性があると考えています。以上より、本剤の通常用量は1日1回5mgとし、5mgで効果不十分でやむを得ず増量する場合は、傾眠等の副作用が増加することがあるため、患者の状態を十分に観察しながら慎重に行うこととし、症状の改善に伴って減量に努める旨を添付文書において注意喚起しております。

 以上の審査を踏まえて、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。なお、本剤は新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 眠剤についてです。どうぞ、大谷先生。

○大谷委員 薬物動態の観点から質問がございます。こちらの薬ですが、眠剤にしては割と半減期が長い薬になると思います。添付文書()を見ていただきますと、半減期が50時間程度ということです。その後、食事の影響、併用薬、特殊な病態等の影響について、審査報告書等でもいろいろと議論がされて、持ち越し等も関係した議論がなされていると思います。

 ただ、薬物動態のほうの情報を見ると、CmaxとAUC、特にAUCで、すなわち血中濃度時間曲線下面積での評価が中心となっておりまして、実際にこういった併用試験が行われたり、若しくは食事があったとき、食事がなかったときで、消失半減期がどのように動くのかという情報が載っておりません。

 実際に、翌日への薬の持ち越しということを考えた場合は、当然AUCではなくて、消失半減期というのが非常に重要な要素になってくると思うのですが、これを添付文書や様々な情報媒体に明確に載せる必要はありませんでしょうか。単独投与時しか載っていないということで、特に併用試験で、例えばイトラコナゾールと併用したときにどれぐらい半減期が延びているのかということについては、実際のデータがあるはずですし、また、Simcyp等を使ってシミュレーションもしておりますので、様々な条件において最大どのぐらいの半減期になり得るのかということは十分に予想できることであり、それがまた臨床的に非常に重要な情報になり得るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきましてありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、添付文書において、反復投与したときのデータから、半減期は50時間程度である旨を記載しております。御指摘のとおり、本剤とCYP3Aを阻害する薬剤を併用したときに曝露量が上昇すること、また食事の影響としてCmaxが低下している傾向があるとの結果が得られております。御指摘の点も踏まえて、そのような併用薬あるいは食事により半減期がどの程度変化があったのかの情報についても資材等で情報提供するように、検討させていただきます。

○大谷委員 それに関して、持ち越しの効果についても、審査報告書ですと、「ばく露量が上がった際の持ち越し効果は不明である」というような書き方をされておりますので、もちろん血中濃度で全てが説明できるとは思いませんが、実際問題としてかなり蓄積係数が上がっていくと思います。特に、こういった連続投与する薬において併用が長いこと続くと、この薬においてはAUCのみならず、Cのトラフ値、最低血中濃度がかなり高くなって、持ち越しがひどくなることが予想されます。それに関して、併用薬を併用したときの推奨用法・用量を、用法・用量に関する使用上の注意の中に、CYP3Aを阻害する薬剤を併用した場合は2.5mgでよいということがありますが、これはあくまでもAUCの議論から出てきた2.5mgという値です。

 繰り返しになりますが、大事なのはAUCではなくて、持ち越しの場合はCトラフ値、最低血中濃度がどこまで上がるかが怖いのであって、この点も踏まえて用法・用量に関連する使用上の注意で2.5mgを連続投与して、イトラコナゾール併用で連続投与したときの予測をSimcypでできるはずですし、これはやっていますので、本当に大丈夫か。この辺りについても、再度確認をしていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 少し補足させていただきます。添付文書案の3ページの薬物動態の項、1の血中濃度という所に、本剤10mg投与時の投与後の14日目におけるCmaxを載せております。その後、投与3時間後及び8時間後の濃度も記載しております。

 8時間後には、血漿中濃度がCmaxの30%程度ぐらいにまで低下していますので、後ろにだらだらと延びていることになるかと思います。

 ただ、御指摘のとおり、持ち越し効果の部分については十分に注意していきたいと考えております。

○大谷委員 3時間から8時間は恐らく分布層ですので、実際の消失を見ているわけではありませんから、その後ろの所が一番Cトラフ値に関係してきますので、是非そこは十分に検討していただいて、場合によってはCYP3A4の阻害剤を併用した場合は、持ち越しがひどくなるので併用しないようにというような形で書かれるほうが、私は計算したわけではないので分かりませんが、そういう可能性も含めて、ここだけは再度御検討いただいて、本当に交通事故等、様々な眠剤を連用している場合に、御本人若しくは社会的にも大きな問題になりますので、是非御注意いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、CYP3A阻害薬との併用についてはAUCをもとに、用量等を考慮して2.5mgとし、添付文書に用量を2.5mgとすることを記載しております。添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意の4の項において、先ほど先生から御指摘いただいた箇所かと思いますが、曝露が上昇することから、CYP3Aを中程度、あるいは強く阻害する薬剤と併用する場合は、患者の状態を慎重に観察した上で、本当に投与が必要なのか、慎重にその投与の可否を判断することと注意喚起させていただいております。

 御指摘のとおり、トラフ値などのようなデータも踏まえて、2.5mgの用量の妥当性を別途確認することも場合によってはあると思います。

○大谷委員 是非蓄積係数とか、T-HALFとか、そういった情報がないと現場は判断できませんので、添付文書の書き方もそうなのですが、それを判断する医師、薬剤師が本当にそれを併用していいかどうか判断するときの材料として、T-HALFとか蓄積係数といったものは必要になってくると考えています。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。

○杉部会長 ありがとうございました。非常に重要な点だったと思います。

○柴田委員 今の点に関連して、審査報告2の中でも今の話は結構丁寧に議論されていると思うのですが、ここまで議論されている一方で、審査報告書の69ページに出てきます表の67の医薬品リスク管理計画の中では、そういう話というのは余り出てこないのですが、これは検討すべき事項として挙げるべき課題なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今の御質問については、持ち越し効果のことでしょうか。

○柴田委員 そのことです。

○医薬品医療機器総合機構 持ち越し効果につきましては、重要な特定されたリスクの傾眠を中心に、記載させていただいており、使用成績調査で検討される予定です。

○柴田委員 傾眠という切り口で見られるのは当然だと思うのですが、今御指摘のあったような話を議論する上できちんとデータに基づいて議論しないといけないという点がこれだけでは見落とされてしまうと思いますので、そこのところはこういう議論があったということを踏まえて、傾眠をキーに分析していただくということが、しっかりと申請者にも伝わるようにしていただく必要があると思います。

 また、先ほど資材において消失半減期の話などを提供されるとおっしゃいましたが、そこまで御指摘があるような内容を、計算すれば出せるものを添付文書に載せないというのは、どうしてなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 持ち越し効果について、使用成績調査の中で併用薬の情報も収集される予定ですので、そのような情報も加味して、特にCYP3Aを阻害する薬剤との併用時にどうであったのかは、市販後に確認させていただきたいと考えております。

 また、半減期についても、添付文書も含めて、どこまで記載できるかということも、こちらで検討させていただきたいと考えております。

○大森委員 この情報を提供していただいたのは主に6か月後のデータが出ていたのですが、世の中には眠剤を飲む人はすごく多いけれども、6か月続けて使う人というのは少数派になるのではないかと思っています。この6か月続けてという治験のデザインを組んだのは、何か意図があるのですか。安全性を確かめたいということだったのか。それが1つです。

 もう1つは、6か月後ではなくて、最初の1回目の効果というのはどうだったのか。最初の1日目、2日目の辺りの効果はどうだったのかということも知りたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 国際共同治験のデザインについて、投与期間に関しての御質問かと思います。審査報告書の通し番号42ページに記載しております。平成23年に睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドラインが発出されておりますが、それに不眠症治療薬の検証的試験において、投与期間が2週間から4週間のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験で試験を行うことが適切と記載されております。これは投与後初期のデータを検討することと理解しております。その次に、慢性化し、治療が長期に及ぶことがあるため、長期投与試験での投与期間は原則として6か月以上と設定することが必要とされているということが記載されております。

 そういった点も踏まえまして、国際共同治験では6か月の試験、さらにその後に続く12か月の延長試験が実施されております。

 審査報告書43ページの表45には、投与して1日後のデータではありませんが、1週間後のデータを記載しております。投与後初期においてもプラセボと比較して本剤群で改善が認められていることを確認しております。

○大森委員 もう1つあります。今と全く別のことなのですが、添付文書の3ページの一番上の所に「過量投与」というのがあります。こういう情報は、たくさんの人が眠剤を飲みますから、大事な情報だと思うのですが、ちょっと引っ掛かるのは「投与」という言葉です。投与というのは医師が投与して、薬剤師が調剤するという意味だと思うのです。医療者側が行うことが投与なので、もし投与したら、これは過失になるのではないかと思うのです。なので、ここで実際に意味することは、過量摂取で、患者側が故意に(または誤って)たくさん飲んでしまうということなので、言葉としては「過量投与」というのは不適切で、「過剰摂取」にするのが正しいのではないかと思います。1つ前の薬も「過剰投与」となっているので、そのような習慣になっているのかもしれませんが、本当は違うのではないかと思います。

○医薬安全対策課長 いつも大森先生には記載について細かい御丁寧なアドバイスを頂いていると思っているのですが、過量投与に関しましては、通知のほうで、基本的に添付文書の作りとして、項目名として「過量投与」という言葉を使っています。最近、また改めて新しい記載要領を設けた中でも、同じような言葉を踏襲していまして、これが従来から使われてきているという実態がある中で、今の御意見がございますので、実際に添付文書をお使いになられる医師あるいは薬剤師の先生たちと相談を、できるだけ多くの意見を聴いてみたいと思いますので、ちょっとお時間がかかるかもしれませんが、お預かりさせていただくような形でよろしいでしょうか。

○杉部会長 御指摘ありがとうございます。そのほか、何かございますでしょうか。なければ、これまでの注意点を加味して議決に入りたいと思います。大森先生、代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくということにいたしたいと思います。本議題につきまして、いろいろな注意喚起を催して、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、承認を可としまして薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題6に移ります。機構からの説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品献血ベニロン-I静注用500mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。タブレットの資料6のフォルダを開き、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 本剤はスルホ化人免疫グロブリンGを有効成分とする注射剤であり、本邦において1979年5月に「低又は無ガンマグロブリン血症」及び「重症感染症における抗生物質との併用」を効能・効果として承認されて以降、川崎病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎等の効能・効果で承認されております。

 今回の開発対象である視神経炎は、視神経を構成する細胞が炎症による障害を受けて起こる脱髄性の視機能障害であり、視力低下に加えて、視野異常、色覚異常などが認められ、失明に至る可能性もあります。本邦における視神経炎の年間発症患者は約4,000人と報告されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。

 今般、ステロイド剤が効果不十分な視神経炎に対する有効性及び安全性が確認されたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本邦では同様の効能・効果を有する薬剤はなく、海外では本剤の開発は行われておりません。なお、2018年6月に「ステロイド剤が効果不十分な視神経炎」の効能追加に関する要望書が神経眼科学会から提出されております。本申請の専門委員として、資料14に記載されている5名の委員を指名しております。臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。

 まず有効性ですが、審査報告書の一番下、通し番号の8ページの表1を御覧ください。ステロイドパルス療法で十分な効果が得られない視神経炎患者を対象とした国内第III相試験において、主要評価項目である投与開始前から投与開始2週間後の最小分離閾の視角の対数値(以下、「logMAR値」と略させていただきます)の変化量について、本剤群において、ステロイドパルス群と比較して改善傾向が認められましたが、統計学的な有意差は認められませんでした。この理由について、審査報告書の通し番号の14ページの表2を御覧ください。視神経炎の病態への関与が明らかとなっている抗アクアポリン4抗体(以下、「抗AQP4抗体」と略させていただきます)の陽性、陰性別のlogMAR値の変化量を検討しました。その結果、抗AQP4抗体陽性患者では、抗AQP4抗体陰性患者と比較して、本剤群の改善が大きく、また本剤群とステロイドパルス群の群間差は、抗AQP4抗体陽性患者では-0.605と事前に想定していた群間差である-0.6と大きく異なりませんでしたが、抗AQP4抗体陰性患者では、本剤群の効果が事前の想定より小さくなっており、抗AQP4抗体陰性患者の結果が影響したものと考えられます。また、審査報告書の通し番号14ページの表4を御覧ください。臨床的に意義があると考えられる投与開始前からlogMAR値が0.3以上改善した被験者の割合については、全体集団において、本剤群でステロイドパルス群より高く、抗AQP4抗体陽性患者と陰性患者に分けた場合でも、本剤群でステロイドパルス群より改善例の割合が高い結果でした。

 次に、効能・効果について、審査報告書の通し番号25ページの1.1有効性及び効能・効果についてを御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目において、ステロイドパルス群に対する本剤の優越性は示されませんでしたが、抗AQP4抗体陽性患者については先ほど述べましたとおり、事前の想定と大きく異ならない結果が得られています。一方、抗AQP4抗体陰性患者について、多様な病態を含み、本剤の有効性の明確な説明は困難であるものの、前に述べた有効性の説明に加えて、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていること、ステロイド剤が効果不十分な視神経炎に対する治療法は限られており、失明に至る可能性がある重篤な疾患であることから、本剤の医療上の必要性を考慮し、抗AQP4抗体陰性患者も含めて、本剤を医療現場に提供することに意義があると判断いたしました。

 この点について、審査報告書の通し番号26ページの中程の<効能・効果に関連する使用上の注意>を御覧ください。添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項に、原則として抗AQP4抗体陽性患者へ投与すること、抗AQP4抗体陰性患者については自己免疫性の病態が疑われ、他の治療で改善が認められない又は他の治療が困難な場合にのみ投与を検討することを注意喚起する必要があると判断いたしました。

 最後に、安全性については、審査報告書の通し番号16ページの表6を御覧ください。既承認効能・効果と視神経炎患者で臨床上問題となるような作用は認められていないことから、添付文書において、既承認効能・効果と同様の注意喚起をすることが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ただいまの説明に何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。昔からあるベニロンで視神経炎に対する効能・効果を申請してきているものです。

○山田委員 今、御説明にあったAQP4抗体陰性の方にも投与していいのだという最終的な判断だったと思いますが、この表で見る限り明確な効果がないように思うのですが、もう一度、AQP4抗体陰性の方に投与してもよいという判断に至った理由を御説明いただけますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず臨床試験の成績も含めて御説明させていただければと思います。まず、審査報告書の14ページの表3を御覧ください。抗AQP4抗体陰性の患者というのは、試験全体でステロイドパルス群4例、本剤群5例ということで、極めて少ない中で、ステロイドパルス群のほうで1例、-1.7とほかの患者より大きく改善が認められた患者が存在した結果、本剤群ではステロイドパルス群と比較して改善傾向が認められなかった可能性があると考えています。

 続いて、審査報告書の15ページの一番上の段落について、冒頭でも申し上げましたが、投与開始2週後において、臨床的意義のある改善であるlogMAR値が0.3以上改善した被験者数の割合は、少数例の結果ではあるのですが、抗AQP4抗体陰性の患者で、本剤群で5例中2例の40%、ステロイドパルス群で4例中1例の25%という結果が得られており、有効性が明確ではないと考えておりますが、明確に否定される状況ではないと考えております。

 続いて、視神経炎の原因疾患の1つである多発性硬化症や視神経脊髄炎スペクトラム障害などの疾患でも、急性期治療において、本剤を含むIVIGの投与を強く推奨しているような記載はありませんが、経験的に使用されているということは複数のガイドライン等に記載されています。また、専門委員からも、投与対象から完全に除外しないことに意義はあるだろうということで、抗AQP4抗体陽性とは異なる位置付けとした上で、投与対象から除外しないことには意義があるのではないかと判断いたしました。

○山田委員 非常にサンプル数が少ないということで、市販後調査で十分に調査を継続するということで承知しました。ありがとうございました。

○杉部会長 そのほかにございますか。

○石川委員 追加で、今の先生の御質問についてですが、私は神経内科なのでこういう症例の患者を拝見するのですが、最初からAQP4抗体が陽性か陰性かを分かっていないで急性の視神経障害がきて、そしてステロイドを使うけれどもよくならなくて、それでどうするかというときに、まだ抗体の情報が出ていないことがあるので、私もここにお書きになった判断でいいのではないかなと。先生がおっしゃったとおり、追跡してこの薬の効果を見ていくということでいいのではないかなと感じておりました。

○杉部会長 機構のほうは、それでよろしいですね。今後とも観察を行うということでよろしくお願いします。そのほかは特にございませんでしょうか。では、特に御意見がなければ議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは議題7に移りたいと思います。議題7について、機構から概要を説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題7、資料7-1及び7-2、医薬品ユリス錠0.5mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明申し上げます。タブレットの資料7-1及び7-2のフォルダを開いていただき、審査報告書のファイルをお開きください。

 本剤は、新規尿酸排泄促進薬であるドチヌラドを有効成分とする痛風、高尿酸血症治療薬です。本剤は腎臓の近位尿細管の管腔側に発現する尿酸再吸収に寄与するトランスポーターであるURAT1を阻害することにより、尿酸の尿中排泄を促進することで血清尿酸値を低下させます。本剤は、201910月現在、海外においては開発されておりません。本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。

 本剤の有効成分、安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず、有効性については、審査報告書の40ページの表45を御覧ください。痛風、高尿酸血症患者を対象とし、本剤と同様に尿酸排泄促進作用を有する既承認薬であるベンズブロマロンを対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。その結果、主要評価項目である血清尿酸値低下率について、本剤群とベンズブロマロン群の群間差に95%信頼区間の下限値が事前に設定した非劣性マージンである-10%を上回ったことから、本剤群のベンズブロマロン群に対する非劣性が示されました。

 次に、安全性について、表47を御覧ください。ベンズブロマロンを対照とした臨床試験において、有害事象の発現状況は、ベンズブロマロン群と本剤群で類似した結果が得られました。なお、ベンズブロマロンについては、劇症肝炎等の重篤な肝障害の発現が報告されていることから、本剤投与による肝障害のリスクについても検討いたしました。審査報告書の53ページの表67を御覧ください。臨床試験における本剤及び対照薬投与時の肝関連の有害事象の発現状況を検討した結果、認められた事象はほぼ肝機能検査値異常のみであり、発現割合も対照群と大きな違いはなく、本剤投与による薬剤性肝障害のリスクが懸念される結果は得られておりません。ただし、薬剤性肝障害については、現時点でその発症機序は明らかではなく、本リスクを検討するための非臨床試験系も確立していないこと、また、劇症肝炎等の重篤な肝障害の発現頻度の低さを考慮すると、現時点で得られている情報から薬剤性肝障害のリスクの有無を判断することにも限界があります。したがって、類薬と同様に肝機能検査の定期的な実施等に関する注意喚起を本剤でも行うこととし、また、製造販売後データベース調査を用いて、本剤の製造販売後も引き続き肝障害の発現状況について類薬と比較して検討する予定です。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤の再審査期間は8年とすることが適切であり、原体及び製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○杉部会長 ありがとうございました。今の説明に関して、御質問、御意見はありますか。

○堀委員 添付文書の併用注意の項目について、質問があります。添付文書の2ページの1010.2、併用注意の所を御覧ください。そこにサリチル酸製剤、アスピリンなどとあります。アスピリンというのは、市販薬にもたくさん使われています。一般市民においてもイメージするのが、解熱鎮痛剤をイメージするかと思います。でも、同じく消炎の鎮痛剤の貼り薬にも、やはり入っている可能性、サリチル酸製剤が入っているものもあるかと思うのですが、この場合は貼り薬も併用注意部分に該当するのでしょうか、教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 投与経路にかかわらず、サリチル酸を含む製剤については併用注意と考えています。

○堀委員 それでは、貼り薬に関してもやはり併用は注意しなくてはいけないということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、御指摘のとおりです。

○堀委員 一般の方を私も見ていると、貼り薬の副作用というのを余り意識していらっしゃらない方がすごく見受けられます。特に今回、痛風ではすごく痛いので体中に8枚、10枚と貼っていらっしゃる方を見かけることがあるので、是非、これを使う場合の医師から患者への資材に関し、この貼り薬に関しても特に配慮をするよう伝えていただけるよう加えていただくことをお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘いただいた点に関しては、申請者とも相談して情報提供の方策について検討させて頂きます。

○長島委員 審査報告書の55ページ、効能・効果で、上から7、8行目で治療ガイドラインでは尿酸排泄低下型と尿酸産生過剰型の病型分類に応じた薬剤選択をすることが基本原則。実際に尿酸産生過剰型を除いた患者でやっているということで、その後のほかの少数のものでも有効性と安全性が認められたことで、その縛りをなくしているのですが、その下に2018年の最新のガイドラインでは、この病型分類に沿って治療薬を選択する考え方が、今後、流動的となる可能性がある。これはかなり薄い根拠だと思いますが、書いてある。ほかの薬剤も多分、病型に縛ってやっていないので添付文書の効能・効果で縛らないのはいいと思いますが、資材としてはきちんと尿酸産生過剰型を除いた患者を主にやって、そこで安全性と効果を見ているということを、きちんと伝わるように書かれたほうがいいと思います。

 現在のガイドラインには書いてないけれども、そこに今後、流動的となる可能性があるという程度のことを果たして根拠としていいのかということは、ちょっと考えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただき、ありがとうございます。病型に関しては審査時にも論点となりました。御指摘いただいたとおり、少数例での検討ではありますが、病型によらず有効性に関して大きな問題はないだろうと考えています。ガイドラインに関しては、病型に関して規定を設けないとする強い根拠とまでは考えておらず、病型により厳格に対象患者を選択して治療がなされているわけではない医療現場の実態も考慮すると、添付文書上ではそれほど強い規定を設ける必要まではないのではないかと判断しています。

 ただし、病型も含めて投与の可否を検討することが適切と考え、添付文書上でも注意喚起していますので、資材に関しては、ご指摘の点も含めて申請者と協議します。

○杉部会長 よろしいでしょうか。そのほか、御質問はありますか。よろしいですか。では、この議案について議決に入りたいと思います。代田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 議題の8に移りたいと思います。機構から説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、医薬品チラーヂンS静注液、200μgの製造販売承認の可否等について、機構より説明申し上げます。タブレットの資料8のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。

 本剤は、レボチロキシンナトリウム水和物を有効成分とする注射剤です。投与後には、甲状腺から分泌される内因性の甲状腺ホルモンであるTと同じ生理作用を示すことから、レボチロキシンナトリウム製剤は、甲状腺機能が低下している患者への甲状腺ホルモンの補充に広く用いられています。本邦では経口製剤が既に承認されています。

 本剤の適用対象である粘液水腫性昏睡は、甲状腺機能低下症が基礎にあり、重度で長期に亘る甲状腺ホルモンの欠乏に由来する、あるいは更に何らかの誘因により惹起された低体温・呼吸不全・循環不全などが中枢神経系の機能障害を来す病態であり、適切な治療が行われないと生命に関わるとされています。粘液水腫性昏睡の治療においては甲状腺ホルモンの投与が必須であり、欧米では腸管運動低下や浮腫による経口薬の吸収不良を考慮し、甲状腺ホルモン製剤の静脈内投与が標準的になされています。また、甲状腺機能低下症ではレボチロキシンナトリウム製剤の経口投与を行ったにもかかわらず、血中の甲状腺ホルモン濃度が上昇せず、甲状腺機能低下症の症状が改善しない患者が存在し、経口投与による治療が奏効しない患者や、経口投与が困難な患者において、レボチロキシンナトリウム製剤を静脈内投与することにより、改善が得られたとの報告がなされています。

 海外において本剤は、粘液水腫性昏睡、嚥下障害を伴う甲状腺機能低下症等を効能・効果としてフランスで承認されており、米国等においても静脈内投与が可能なレボチロキシンナトリウム製剤が承認されています。

 以上の背景から、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと判断され、申請者に開発要請がなされました。本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。

 以下、本剤の有効性、安全性について説明させていただきます。有効性については、審査報告書の18ページの中段から19ページを御覧ください。粘液水腫性昏睡に関する海外の成書及びガイドラインでは、レボチロキシンナトリウムの静脈内投与が標準的治療として記載されています。また、国内外の公表文献から粘液水腫性昏睡に対して有効であった報告に加えて、吸収不良・経口投与困難等により、レボチロキシンナトリウム製剤の経口投与による治療が奏効しない甲状腺機能低下症患者においても、レボチロキシンナトリウム製剤の静脈内投与により、甲状腺ホルモンであるT及びTの血中濃度の上昇、血中甲状腺刺激ホルモンの低下や臨床症状の改善が認められたことが報告されています。

 以上の国内外の成書、ガイドライン、公表文献等から、本剤の静脈内投与による有効性が確認できること、さらに、本剤の静脈内投与の薬物動態において、日本人と外国人との間に臨床的に問題となるような違いがないことが確認されたことから、粘液水腫性昏睡及びレボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない甲状腺機能低下症に対する本剤の有効性は、期待できると判断しました。

 安全性については、審査報告書20ページの中段、「機構は」から始まる段落を御覧ください。本剤の安全性に関する症例報告は限られているものの、公表文献等において既承認のレボチロキシンナトリウム経口製剤と比べて、新たな安全性の懸念は特段認められていないことを確認しました。一方で、本剤は静脈内投与されることから、既承認の経口製剤と比較して血中濃度の上昇が早くなることで、効果が速やかに現れることが予測され、狭心症等の心血管障害の病態の悪化、副腎クリーゼの誘発等がより懸念されます。したがって、当該事象等に関する適切な注意喚起は必要と考えますが、これらの注意喚起が適切になされることを前提とすれば、安全性は許容可能と判断しました。

 本剤の用法・用量については、審査報告書の23ページの下段の「機構は」から始まる段落を御覧ください。粘液水腫性昏睡の初回用量について、海外の成書、ガイドライン、国内外の公表文献等を踏まえると、年齢、症状等の患者の状態に応じて必要量が異なると考えられ、個別に決定する必要があると考えました。したがって、海外の用法・用量も考慮し、投与1日目は通常50400μgを緩徐に静脈内投与とした上で、患者の年齢、合併症、症状等の患者の状態に応じて、適宜増減することが適切と判断しました。

 また、報告書26ページの冒頭にあります「機構は」から始まる段落を御覧ください。レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない甲状腺機能低下症の維持用量については、フランスにおける本剤の用法・用量、国内外の症例報告、既承認のレボチロキシンナトリウム製剤の用法・用量等を踏まえ、通常50150μgを1日1回緩徐に静脈内投与とした上で、患者の状態に応じて適宜増減することが適切と判断しました。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、製剤は劇薬に該当し生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 ただいまの説明に何か御質問、御意見はありますか。

○大谷委員 大した質問ではないのですが、こちらは海外でも使われていると思うのですが、海外でも1アンプル、200μgなのでしょうか。維持用量は大体100μg以下になっていますので、規格として200μgを出すというのは、どこまで必要なのかと、初回だけアンプルで入れれば1アンプル100μgなどでもすんでしまうのであれば、管理上も無駄な薬を捨てないという観点からもいいような気がするのですが、いかがでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりご説明いたします。海外で承認されている製剤は各国で異なりますため、海外で承認されている全ての製剤が1アンプル200μgというわけではありませんが、今回、申請者が導入したフランスで承認されている製剤は、1アンプル200μgの規格のみのため、同様の規格となっています。

○大谷委員 分かりました。

○杉部会長 ということは、半分捨てるという形で使うのですね。添付文書にも使用は100μgと書いてありますが、それでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。アンプル1本を、生理食塩水100mlに溶かしていただいて、必要量を取って投与いただくことになります。

○杉部会長 そのほかはいかがでしょうか。

○平石委員 粘液水腫性昏睡と甲状腺薬などによって反応しない甲状腺機能低下症が適応ということですが、実臨床として経口の甲状腺薬で反応を示さないような患者さんの割合はどれくらいかという資料があれば教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構からお答えさせていただきます。とても少ないという数字にはなっているのですが、すみません、具体的にどのぐらいの割合というようなきちんとした数字は手元にはありませんが、きわめて小さい数字だろうと考えます。施設によっても違うと思いますが、甲状腺機能低下症の患者を多く、例えば100人を超す規模で御覧になっている施設でも、数年にお一人出るとか出ないとか、そういう類の数字である可能性があると思います。

○杉部会長 そのほかはいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは、本議題について議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 議題10に移りたいと思います。機構から御説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題10、資料10、医薬品オルケディア錠1mg、同錠2mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。タブレットを御覧になる際には、資料10のフォルダを開いていただき、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。

 原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺の過形成等により副甲状腺ホルモンが過剰分泌されることにより、血清カルシウム濃度が上昇し、様々な症状を来す疾患です。治療の第一選択は、副甲状腺摘出術ですが、手術が困難な場合や術後の再発等があり、このような場合は高カルシウム血症の治療薬として、カルシウム受容体作動薬であるシナカルセト塩酸塩が国内外で使用されています。

 本剤は既承認のシナカルセト塩酸塩と同様のカルシウム受容体作動薬であり、本邦では昨年3月に「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の効能・効果で承認されています。今般、副甲状腺癌等における高カルシウム血症患者を対象として臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお2019年9月時点において、本剤は海外において承認されていません。また、本剤は、「副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症」を予定される効能・効果として、当部会で御審議いただき、希少疾病用医薬品に指定されています。

 本品目の専門協議には、本日の添付資料14に示します専門委員を指名しています。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書通し番号の9ページを御覧ください。副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を対象とした国内試験において、主要評価項目である評価期の血清カルシウム濃度が10.3mg/dl以下に2週間維持された被験者割合は、77.8%であり、95%信頼区管の下限値が事前に規定した閾値である11%を上回りました。また、試験計画時に想定した主要評価項目の達成割合である70%と同程度の結果が得られています。以上より、機構はこれらの患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性に関しては、審査報告書の通し番号8ページの表6を御覧ください。2例以上に認められた有害事象は、いずれも軽度又は中等度でした。重篤な有害事象は、腸炎、尿路感染及び子宮癌が各1例に認められましたが、いずれも本薬との因果関係は否定され、転帰は回復と軽快でした。

 審査報告書の通し番号14ページの表11を御覧ください。本剤の既承認効能である維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者における安全性プロファイルと比べ、高カルシウム血症患者で臨床上問題となるような差異は認められませんでした。以上より、今般実施した臨床試験において有害事象の発現状況に臨床上大きな問題は認められなかったことから、機構は、副甲状腺癌等における高カルシウム血症に対する本剤の安全性は、既承認の効能と同様の安全対策を講じることで許容可能と判断しました。ただし、臨床試験における検討例数は極めて限られていること等から、製造販売後調査において全例を対象とした調査を実施し、引き続き情報収集し検討する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症に対する本剤の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件及び一定数の症例データが集積されるまで、全症例を対象とした製造販売後調査を行う旨の承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本申請に係る再審査期間は、追加される効能・効果が希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年間と設定することが適切と判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○杉部会長 ただいまの説明に何か御質問、御意見はありますか。高カルシウム血症の治療薬についてよろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。大森先生におかれましては、利益相反に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくということにします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項に移りたいと思います。

○事務局 報告事項の説明をさせていただきます。まず議題1ですが、医薬品ボトックス注用50単位及び同注用100単位の製造販売承認事項一部変更承認についてです。資料は、フォルダ資料11から12-4の報告事項をお開きください。本剤はA型ボツリヌス毒素を有効成分とする注射剤です。現在、上肢痙縮等の効能・効果で承認されています。先ほども少し説明させていただきましたが、今回、用法・用量の記載整備や上肢痙縮の用法・用量を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされています。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断がされています。

 続きまして、報告事項の議題2、医療用医薬品の再審査結果について報告させていただきます。資料番号12-1~12-4の4品目になります。資料番号12-1ですが、有効成分名タクロリムス水和物、販売名がプログラフカプセル0.5mg及び同カプセル1mg。資料12-2が、有効成分名クロザピン、販売名がクロザリル錠25mg及び同錠100mg。資料12-3が、サプロプテリン塩酸塩、販売名がビオプテン顆粒2.5%及び同顆粒10%。資料12-4が、有効成分名がパリペリドン、販売名がインヴェガ錠3mg、同錠6mg及び9mgになります。これらの4品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判定をさせていただいています。報告事項については以上です。

○杉部会長 ただいまの報告について、何か御意見、御質問はありますか。それでは御意見もないようですから、この報告事項については承認を頂いたということで、確認を頂いたことにしたいと思います。議題は以上のとおりですが、何かそのほかにありますか。

○事務局 御議論ありがとうございました。次回の部会ですが、来年1月27日月曜日の午後5時から開催させていただく予定ですので、来年もまたよろしくお願いいたします。

○杉部会長 それでは、審議いただきありがとうございました。これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)