第126回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和元年12月25日(水) 10:00~12:00

場所

専用第22会議室(合同庁舎第5号館18階)

出席者

【公益代表委員】
    城内博(分科会長)、高田礼子、三柴丈典、水島郁子、山口直人
【労働者代表委員】
    漆原肇、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、中村恭士
【使用者代表委員】
    砂原和仁、中澤善美、増田将史、最川隆由、矢内美雪、輪島忍
(※五十音順、敬称略)
【事務局】
    村山誠(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、毛利正(安全課長)、井内努(労働衛生課長)、塚本勝利(化学物質対策課長)、
    安井省侍郎(環境改善室長)、内田真司(化学物質評価室長)
    黒澤朗(労働条件政策課長)

議題

(1)作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)新規化学物質の有害性の調査結果について
(3)平成30年じん肺健康管理実施状況について
(4)副業・兼業の場合の健康確保措置について

 

議事

 

○城内分科会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第126回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日の出席状況ですが、公益代表委員は砂金委員、熊崎委員、労働者代表委員は佐藤委員、門崎委員、使用者代表委員は中村委員が欠席されております。次に傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。
 議事に入ります。議題(1)「作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」に関し、事務局から資料の説明をお願いします。
 
○安井環境改善室長 こちらについては、資料1-2を使いまして説明をします。1ページめくっていただきますと、こちらの現行の作業環境測定と申しますのは、A測定、B測定と言われておりまして、6メートルのメッシュで切ってそれぞれに固定点で測定をする、そういったやり方を定めております。こちらについて、個人サンプリング、つまり労働者個人にサンプラーを着けて、言ってみれば移動サンプラーのような形で作業環境測定をできないかということについて、専門家検討会で検討を行ったというところです。具体的に申しますと、気中への発散の変動が大きいときや、作業者の移動が大きく場の測定のデザインが困難なときなどでは、作業環境測定の従来のやり方では正しい測定結果とはならないのではないか、そういった点について御検討いただきまして、平成30年11月6日に報告書が出たところです。
 次のページをめくっていただきますと、報告書の概要です。こちらの検討会の報告書は一言で申しますと、一部の先行導入作業について、選択的に導入すべきであるという結論です。具体的には、こちらにありますような図1の先行導入事業マル1にありますように発散源とともに作業者が移動するような作業(吹付け塗装作業等)、こういうものについてまず導入すべきではないかと。
 マル2ですが、作業者の動きによって呼吸域付近の評価結果がその他の作業と比べて相対的に大きく変動すると考えられる作業です。具体的には、非常に管理濃度は低いような物質を使うような作業について、導入すべきではないかという提言でした。
 具体的なやり方については、図2にありますが、従来の作業環境測定であれば、1つの部屋についてメッシュを切ってやるわけですが、個人サンプリングの場合は、複数の部屋を行ったり来たりすることもありますので、そういった複数の部屋を1つの単位作業場所と捉えて測定を行うというのが1点目です。これについては、作業を行っている時間中ずっとサンプリングするということを想定しております。
 もう1つ高い濃度の測定については、この場合で言いますと、上のほうにある、右側のほうに高濃度の発散源がある想定ですが、そちらに測定対象物質の濃度が最も高くなる作業者を選んで、その方に15分間測定を行っていただいて、もっとも高い濃度を測定するということです。これは従来で言うところのB測定に当たるものです。
 次のページですが、この先行導入作業マル2の対象となる物質で、管理濃度が0.05mg/m3(相当)以下の物質で、13物質あります。こちらについては、15分間程度の測定ですと、定量下限値が管理濃度の1/10を上回ってしまうようなもの、こういうものについては除いておりまして、この13物質については、個人サンプリングを行っても適切な測定ができるということが確認できているものです。
 5ページ目ですが、以上の内容を今回作業環境測定法施行規則というものに盛り込むということです。この改正内容については、一言で申しますと、先行導入事業について選択的導入を図るということでして、この選択的導入と申しますのは、事業者も個人サンプリングをするかどうかを選択できると。それから作業環境測定機関についても、個人サンプリングを行うということ、登録するということを選ぶことができるという二重の選択ができる制度を予定しております。
 1番目に書いておりますのは、個人サンプリング法によって作業環境測定を行う場合は、個人サンプリング法について登録を受けている作業環境測定士に実施させるということを事業者に義務付けております。
 2番目については、委託する場合は、個人サンプリング法について登録を受けている作業環境測定機関などに委託することを事業者に義務付けております。
 3番目ですが、委託を受けた作業環境測定機関は、個人サンプリング法について登録を受けた作業環境測定士に測定を実施させることを義務付けることです。
 次のページです。4番ですが、作業環境測定士又は作業環境測定機関の登録事項について、個人サンプリング法に関する科目に係る講習を修了した者について、個人サンプリング法をできるということを登録します。それから作業環境測定機関については、同じく個人サンプリング法について登録を受けている作業環境測定士が置かれているということを登録基準に定めることです。
 6番目ですが、作業環境測定機関については、個人サンプリング法に関する事項を業務規定に追加しなければいけないということを規定するということです。
 7番目については、準備行為及び経過措置です。こちらについては、施行された瞬間に一定の数の登録された作業環境測定機関が存在する必要がありますので、施行までの間の準備行為について定めております。(1)については、この省令の施行の日までに特例講習を修了した場合は、この省令の施行前においても、登録者の書換えの申請を行うことができるということです。
 (2)にありますのは、作業環境測定機関については、当該測定機関に属する作業環境測定機関が特例講習を終了した場合は、業務規定の変更の申請を行うことができるということを規定しております。
 (3)は経過措置です。作業環境測定法施行規則第5条第1項第2号若しくは第3号、こちらについては、産業医科大学などのように一定のコースを卒業すると、第2種で作業環境測定士の資格を有することができる制度がありますが、これについて、従来の制度ですと講習を受ける義務がありません。そうすると、未来永劫個人サンプリングの登録ができないことになりますので、今回特例的に、先ほど御説明した講習を受けた場合は登録証の書換えができるという措置を経過措置で設けるということです。
 次のページです。公布日については令和2年1月下旬を予定しておりまして、施行期日としては令和3年4月1日を予定しているということです。
 続いて9ページです。こちら諮問事項ではありませんで、参考として説明いたしますが、個人サンプリング法の具体的な方法については、作業環境測定基準等の一部を改正する告示案というところで定めているところです。まず1つ目が作業環境測定基準の改正です。(1)で規定しているのは先ほどの先行導入事業についての詳細な定義をおいてあります。(2)については、個人サンプリング法に係る試料空気の採取等の対象人数、時間等を規定しております。マル1に書いておりますのは、労働者の身体に試料採取機器を装着することを規定しておりまして、マル2については、対象者、単位作業場所において、労働者にばく露される測定対象物質の量がほぼ均一であると見込まれる作業ごとに、適切な数の労働者にサンプラーを着けていただくと。ただしその数がそれぞれ5人を下回ってはならないという規定を置いております。
 次のページマル3ですが、試料空気の採取等の時間は、単位作業場所において作業に従事する全時間ということです。ただし、作業時間が2時間を超える場合があって、同一の作業を反復するような場合については、2時間を下回らない範囲で時間を短縮することができるという規定です。
 マル4については、労働者の数が5人を下回る場合については、作業に従事する時間を分割して、サンプルを5つ以上採ってくださいということを規定しております。
 マル5、マル6については、高濃度の測定について規定しておりまして、空気中の測定対象物質の濃度が最も高くなる時間に測定を行うと。その測定の時間は15分間であることを規定しております。
 11ページですが、作業環境評価基準の改正です。こちらについては、従来A測定、B測定で行っておりました評価の方法をそのまま引き継ぐということを規定しておりまして、具体的にはC測定の値をA測定の値に置き換え、D測定の値をB測定の値に置き換えてそれぞれ統計、計算等々を行って管理区分を行うということです。こちらについては、従来どおりのやり方を採ることを規定しております。
 最後のページですが、作業環境測定士規程です。こちらについては講習の内容を規定しておりまして、今回、個人サンプリング法に関する講習を追加するということでして、8時間の講習を追加しております。経過措置を設けておりまして、この告示の際に現に試験に合格している方については、その試験の中に関係法令の中に個人サンプリング法が入っておりませんので、そういった方については、この範囲に「関係法令」を加えて、時間を「9時間」という形で講習を実施していただくということを経過措置として定めるということです。
 告示日については、令和2年1月下旬を予定しておりまして、適用期日については、個人サンプリング法に係る部分について、省令と同じく令和3年4月1日を予定しております。説明は以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただいた内容につきまして、質問等発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○輪島委員 ありがとうございます。8ページ、施行ですけれども、公布から1年ちょっとで施行ということですが、1年の準備期間が適切な範囲という理解でよろしいのかどうかだけ、確認をさせていただければと思います。
 
○安井環境改善室長 現在の委託の事業で、講習に使うテキストなどを開発しておりまして、それは今年度中に出来上がる予定にしています。また、トライアルなども今年度中に行う予定にしていまして、来年度早々から、特例講習が実施できる体制は作れるようになっております。その後、登録講習機関の方に実施していただく予定でございまして、1年間で一定の需要を満たせる人数については、養成が可能であると考えております。
 
○城内分科会長 そのほかございませんでしょうか。
 
○増田委員 今回の変更は、作業管理の手法で作業環境管理を行うという、なかなか大きな変化になると思われるのですが、その点について検討会でどのような議論がなされたか確認させていただきたいというのが1点です。
 それともう1つが、今後B測定は実施しないという方向で進んでいくことになるのかどうか。今は選択できるということのようですが、今後、B測定はやらなくて、個人サンプリングで統一していくことになるのかどうか、その方向性について教えていただければと思います。
 
○安井環境改善室長 1点目ですが、作業管理か作業環境管理かということですが、今回の改正はあくまで作業環境管理として行っております。個人サンプリングと申しますのは、いわゆるサンプリングの方法であり、作業管理に使うかどうか、あるいは作業管理になるかどうかにつきましては、その評価の方法に関わります。今回の場合は、あくまで測定された値を管理濃度と比較して、事業場の管理区分を行って、それに基づいていわゆる環境改善の措置を行うことを義務付けておりますので、これは作業環境管理であると考えております。仮に個人ばく露のやり方を取るという場合になりますと、測定した値の統計処理などを行うこともなく、そのまま、ばく露限度と比較していくわけですが、そういった体系につきましては先ほど御説明したとおり、作業環境評価基準では取っておりませんので、今回の設定はあくまで作業環境管理として行うということです。
 2つ目につきましては、B測定がなくなってD測定になっていくのかということですが、こちらは事業場の選択ということもありまして、その個人サンプリング法がどこまで普及していくかということにつきましては、今後の状況を踏まえて判断していくのかなと考えております。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 私から1点確認なのですが、今、御説明があったように、作業環境管理の一部としてというお話でした。作業環境測定に関しては、今まで屋内の測定と屋外の測定というのがかなり議論されてきていると思いますが、この方法については、検討会でどういう議論があったのでしょうか。屋内作業と屋外作業での測定の位置付けといいますか。
 
○安井環境改善室長 今回の検討会で議論があったのは、あくまで作業環境測定が義務付けられている所ということですので、基本的に屋内作業、あるいはそれに準ずるような場所、いわゆるタンクの中とか、ピットの中とか坑内と一部限られております。そういった中において、個人サンプリング法を導入しようという議論です。現在、作業環境測定を行うべき作業場の範囲を変更するとか、拡大するということについて、その検討会では議論しておりません。
 
○城内分科会長 ということは、何年か前に、個人サンプリングを導入した件については今回のものは、触れないというか、競合しないというか、そういう理解でいいですね。

○安井環境改善室長 そうですね。今回の検討会はあくまで現在、作業環境測定が義務付けられている作業場において、個人サンプリングを導入するということでございます。
 
○城内分科会長 分かりました。ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令案要綱について、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題(2)「新規科学物質の有害性の調査結果について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○内田化学物質評価室長 化学物質評価室長です。御説明をさせていただきます。議題2としては、報告事項ですが、新規化学物質の有害性の調査結果についてということで、例年この時期に御報告をさせていただいているものです。資料2、それから参考資料として1-1~1-4をお付けしておりますが、資料2に基づき御説明をさせていただきます。
 まず、上の枠ですが、制度の概要ということで、1.新規化学物質を製造あるいは輸入する事業者は、労働者の健康に与える影響についての調査として、有害性調査と呼んでいますが、これを実施していただきまして、厚労大臣に届け出ていただくという形になっています。厚労大臣は、新規届出があった物質について、名称を公表するということに併せ、有害性調査結果について学識経験者の意見を聴いて、必要に応じて、届出事業者に対して健康障害防止措置を講ずべきことを勧告することができるという制度になっています。
 この有害性調査結果の学識経験者の意見につきまして、下の枠にありますが、意見を聞いたときには、その内容を官報公表後1年以内に審議会に報告するということで、今回はその下にあります、昨年の12月から今年の9月までに官報に名称が公表された新規化学物質として、学識経験者に意見を求めましたのは、773物質ありました。その意見としてマル1~マル3にありますが、マル1届出事業者に対して、健康障害防止措置の勧告が必要なものについては、該当なしということでした。マル2変異原性が認められると判定された物質は30物質ありました。こちらについては、参考資料1-3に名称等のリストをお示ししております。
 マル3ですが、こうした変異原性が認められると判定された物質につきましては、指針に基づく措置を実施することが妥当ということで、指針が下に小さい字で書いていますが、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」、具体的な内容については、参考資料の1-4にお付けしています。これに基づく措置ということで、その下に書いています、変異原性が認められた化学物質を製造し、又は取り扱う作業に関して、事業者が、マル1作業環境管理・作業管理、マル2作業環境測定、マル3労働衛生教育、マル4危険有害性等の表示等を講ずるように規定をしています。こうした措置を実施すべきということで、具体的には私ども11月に変異原性が認められる物質を届け出た事業者、それから、関係団体に通知を発出いたしまして、この指針に基づく適切な措置を講ずるように要請をしているといった状況です。以上、簡単ではありますが、報告とさせていただきます。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。報告ということでしたが、本件について質問等、御発言のある方は挙手をお願いいたします。ありがとうございます。
 次に、議題(3)「平成30年じん肺健康管理実施状況について」に関し、事務局から説明をお願いいたします。
 
○井内労働衛生課長 それでは、資料3に基づいて、「平成30年じん肺健康管理実施状況について」御説明します。資料としましては、資料3のほか、参考資料2「じん肺健康管理状況」を準備しております。資料3を用いて御説明します。
 1ページ、「平成30年じん肺健康管理実施状況に関する調査について」です。本件については、毎年御報告をしているところですが、この数字の一部について修正が必要になったということで御報告させていただきます。同じ御報告を、12月17日に開催されましたじん肺部会でもしております。このじん肺健康管理実施状況ですが、じん肺法施行規則第37条に基づき事業者からの報告を集計しているものです。この集計では、主としてOCR帳票を用いて報告をされております。厚生労働省のホームページで公表されておりますのが、じん肺に関しては(1)~(6)です。この(1)~(5)についてOCR帳票を用いたデータを基に集計しております。
 2ページ、先ほどの(1)~(5)をどのように集計しているかというものです。事業者から「じん肺健康管理実施状況報告」を提出いただき、労働基準監督署で労働基準行政システムに入力します。その入力したデータについて、本省においてこれを一括的に管理し、業務統計として集計して御報告をしているものです。
 3ページ、それぞれの項目がどのような定義付けでやられているかの御説明です。4ページ、平成30年の修正前後のデータの比較です。この公表データ(4月3日)の部分ですが、適用事業場数47,429から新規有所見労働者数246までのところが、現在厚生労働省のホームページで公表されているデータです。新規有所見労働者数の246という数字が前年度と比較しておおむね2倍の数字になっているということから、この数字がどのような理由で246という数字になったかということで調査を始めたところです。次に、修正前データ(9月2日)についてです。まず、労働基準行政システムに入力されたデータはその都度修正をすることが可能なものでして、4月3日からその都度、事業所からの修正が入ったり、また、追加の報告があればデータをその上に重ねていくというものです。
 修正前データ(9月2日)のところを見ていただくと、まず、9月2日の時点で、この労働基準行政システムから同じようにデータを切り出してそれぞれの項目の数字を出したものです。適用事業所数は48,322、新規有所見労働者数191ということで、追加の御報告、修正等が反映されたものです。
 この9月2日のデータに関して、今回、新規有所見労働者数の数値の精査をしていたところ、システムに入力されている数値に修正が必要なものが幾つか見つかったということで、全ての帳票のチェックを行ったというものです。この9月2日のデータに基づいて、全ての監督署において、事業者から提出いただいた帳票とシステムに入っているデータの数値を突合して再確認を行ったのが修正後データです。9月27日のところです。適用事業所数は48,489、新規有所見労働者数が91ということでした。これがこの時点で一番正しいと思われる数字です。
 5ページ、今回、修正が必要になった理由についてです。これは先ほどの修正前データと修正後データの違いの理由です。修正した理由としては大きくは2つあります。1つ目は、「OCRの読み取り」というところで、具体的理由としては、報告書(原票)に記入されている数値と異なる数値がシステムに入力されているのが8件ありました。具体的な例としては、一つ目は、報告書(原票)に「0」と記入されているのに、システムには「1、4、6、7」という数字が入っていた。これを監督署においてチェック出来ていなかったというものです。二つ目は、報告書(原票)では空欄となっているものがシステムでは数値として入力されているというものです。三つ目は、報告書(原票)に記入されている数値がシステムに入力されていないということで、「0」であったものが空欄となっていたり、「2」となったものが空欄、つまり「0」としてカウントされていたものがありました。
 四つ目、その他ということで、これは事業者のほうでホームページ等で帳票を出していただいて記入を頂くのですが、紙が薄い等の理由で裏面の映り込みがあったというもの。また、黒枠内の文字の読み込みということで、古い形式の報告を頂いて、黒枠内の文字で「何人」とかいうのが、外にあるべきものが中に入っていてそれを読み取ったというもの。あと、訂正と訂正印というのが押されているものが間違ったもの。あと、文字が不明瞭であったものです。これについて、先ほどの修正前データ、修正後データで新規有所見労働者数について、100名修正が必要となっているのですが、そのうちの61名がこの原因でした。
 2つ目は「事業者による数値の修正」ということで、今般、この修正を各監督署にお願いをしたことを契機として、監督署の中で、報告書(原票)の数値の精査を行い、精査した結果、数値の修正が必要というもので、報告書(原票)には「1、3、4、8、18」と記入をされていたのですが、これは、事業者から報告をされる際に数字が誤っていたということで、本来は「0」ということで、事業者に確認を取った上で0に直しています。この修正により39名に影響がでました。
 6ページ、再発防止策です。このようなことが今後起きないためにということで、我々としては、まず労働基準監督署において報告原票を受理する際の数値の確認に併せ、OCR入力の際の読込内容について、確認を徹底するよう注意喚起を行う通知を発出する予定としております。また、システム改修を検討しており、令和2年4月から運用開始予定ということで、喫緊にできる対応として、まず報告を頂く中で、分母・分子の数値で整合性が取れなかった場合にフラグが立つというもの。また、監督署にしっかりとチェックをしていただきたいところとして、新規有所見労働者数等で実数が入った場合にフラグが立つというもの。さらに、一度、仮集計を行い、各監督署において前年の統計数値と比較し、数値の大幅な増減があるかを再確認すること。加えて、読込誤りの原因となる手書き記載を減らすため、報告をインターネット上で電子的に作成可能とするという対応を行いたいと考えております。
 また、中長期的な展望として、今後、システムが改修される際に合わせて、OCRについて、例えば識字率の精度向上を行うことであったり、電子的に作成された報告書が電子申請という形で登録ができるということについて検討を行っていきたいと考えております。
 7ページ、再集計作業の追加についてです。今回、じん肺健康管理実施状況報告について修正が必要になったということを踏まえて、同様の集計を行っているものについても再集計をさせていただきたいと思っております。まずじん肺健康管理実施状況報告ですが、報告原票が平成28年、29年分についてもまだ文書保管期限内ということですので、これについても再集計を行いたいと考えております。次に、じん肺健康管理実施状況報告と同様の仕組みで調査を行っております定期健康診断実施結果報告等11報告についても同様の仕組みでデータを集めていることから、平成28年~30年分について再集計を行うことを考えております。また、じん肺健康管理実施状況報告及び定期健康診断実施結果報告等、全て合わせて12の報告について、令和元年分についても、既に大部分のデータが同様の形で入力されているということで、修正が必要となる可能性が高いことから、これについても再集計をさせていただきたいと思っております。
 調査方法・スケジュールですが、確認作業を分割し、委託をする部分は委託をし、監督署で確認する部分は確認をし、作業をしていただくということで、再確認、再集計をさせていただきたい。これについては1年半程度を掛けて粛々と正しいと思われる数字を出していきたいと考えております。我々からの御報告としては以上です。
 
○城内分科会長 本件について、質問等御発言のある方は挙手をお願いします。漆原委員お願いします。
 
○漆原委員 御説明ありがとうございます。まず、質問が1点と意見が1点です。このじん肺もそうですが、最後のページにあります同様の読み取りで実施している11項目の報告書等の数値の影響についてです。これも含めて労働者の健康管理上に何か影響があるのかどうなのかというのが1点と、誤って集計した数字が、例えばどこかほかの統計に使われるなど、それ以外のところで使われているのがあるのかどうなのかというところをお聞きしたいという点です。意見のほうは、再発防止策にありましたように、どうしてもヒューマンエラーは防げないと思います。そこで、できるだけ電子的に作成できるような対応を急いでいただきたいということです。以上です。
 
○城内分科会長 労働衛生課長、お願いします。
 
○井内労働衛生課長 まず個人への影響ですが、このじん肺に関しても、基本的には、管理区分等の認定についてはこの流れの中ではなく、別途行っておりますので、そういったことにはまずは影響しないということです。二次利用についても、このデータを使って何らかの補償等には使われていないということです。これはあくまで、いわゆる労働衛生部門の大きな方向性を決めていくための基本的なデータという位置付けと考えております。我々としましても、しっかりと正しいデータを出さなければいけないと認識しております。
 また、電子的に入力できるような方向での検討ということで御示唆を頂きましたが、我々としても、今後、このようなことが起きないようにどのような方策が取れるかの御意見を、本日賜ったものを踏まえ、検討を進めていきたいと考えております。
 
○城内分科会長 そのほかございますでしょうか。輪島委員、お願いします。
 
○輪島委員 ありがとうございます。今、漆原さんがおっしゃったとおりで、まず再発防止、そのことは大事だと思います。6ページに書かれている再発防止策をしっかりやっていただきたいと思います。ただ、(1)も(2)も、結局、監督署での作業が増えるということで、そういう意味では負荷が増えるだけで根本的な解決になるのかどうか。その点で言うと、(3)のOCRの識字率の精度を向上すると、向上すればするほど余計なものを読むのではないかという気もするので、当面の再発防止策をきちっと推進していただきたいと思いますが、やはりやるべきは、これも漆原さんがおっしゃったとおり、電子申請を基準局全体で、どうやって進めていくのかということだと思います。
 厚生労働省のホームページを見ますと、特定法人について来年4月から電子申請が義務化されるということで、この中では労働保険と雇用保険については全部義務化ということです。それから石綿則もこれから非常に大きな改正があって、それも現場でいうと、恐らくスマホでちゃんと写真を撮って住所などを入力して、監督署に申請するような仕組みを作っていかないと、あの件数からすると非常に大変なことになるのではないかという意味合いではやはり電子化だと思います。
 それから、労働条件政策課長か監督課長なのか分かりませんが、労働基準法が改正されて、36協定についても厳格な入力が必要になったと思いますので、そうなると、36協定や就業規則も含めて、電子申請で届出をすれば監督署で一括で受けて、監督するときも就業規則を見せてくださいとかということにならないように、基準局全体での電子化、電子申請に取り組む必要が今後あるのではないか。安全衛生部門だけのことではないと思いますが、是非、受け止めていただいて、全体でなるべく早い電子化、e-Govの中に入れるのか別の仕組みに入れるのかは、ちょっとそこのところはシステム的には難しい気もしますが、少なくともそういうシステム開発をしていく。そこで予防も含めて、ちゃんと申請しないと申請ができない、受理しないとか、それを電子的にもやることは十分可能だと思いますので御検討いただきたいと思います。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。安全衛生部長、お願いします。
 
○村山安全衛生部長 労使それぞれの委員から今般の事案へのお叱りとともに、今後に向けた大変貴重な御指摘を頂戴したと思っております。輪島委員から、安全衛生部門だけではなくて労働基準行政全体の電子化、あるいはまた電子申請対応が遅れているのではないか、そこのところについてしっかり取り組むようにというお話を頂きました。私どもも全くそのとおりだと考えているところです。
 そこで、労働基準行政のシステムの全体について概括的に申しますと、基本となります監督・安全衛生、労災、それぞれについて、先ほど御説明した労働基準行政システムにたくさんの個人情報や個別の事業場情報も入っており、保秘の観点から閉じたシステムとして本省の関係課室、都道府県労働局、労働基準監督署に端末を設置して、それぞれがサブシステムのような形で内部ネットワークとなっております。
 一方、政策的な要請があって、先ほど輪島委員から御指摘がありましたように、現在検討されている石綿則の改正に伴う新しいシステムの構築が必要となった場合などは、まずは外付けのシステムとして構築して、それで運用が安定していったら、またその親のシステムの中に取り込むことを考えております。こうしたことをこれまでもやってきているところです。
 そうした中で、全般的に、電子申請対応が私どもの行政分野で遅れていることの1つの要因として、例えば、安全衛生分野で一番たくさん提出される労働安全衛生法の第88条に基づく計画届を思い浮かべていただければと思います。届の本体は確かに一定の分量ですが、そこに添付する図面などが多数あり、ときにはパイプファイルの形で出されるという分量でありまして、これまではどうしても、私どもが、紙での申請をベースに考えてきたことが、長年にわたる対応の遅れの1つの要因になっているかと思っております。
 それから、先ほど輪島委員から例として挙げていただきました36協定に関しても、上限規制の導入に伴いまして、省令で定める様式も原則2枚の中に従来の特別条項の部分も含めて入る形になって、今後、電子申請対応に向けての条件が整ったかと思いますが、これまで長年にわたり、基本的な協定の様式は省令で定めてきた事項ですが、特別条項の部分に関しては様式が定まってなかった。それを、今回の上限規制の施行と合わせて見直し、皆様方の御理解を頂きながら一定の様式の中に取り込むことができたということです。
 ただ、その一方で、これも長年の事業場の慣行もあるので、必ずこの様式ということではなくて、これが標準様式だけれど別様式も認めるという形での省令上の運用になっております。そうした様々な経緯や実情がありますが、今後、ヒューマンエラーの予防という観点からも、事業場の労使の御負担を減らしていく観点からも、また行政の効率的な執行という観点からも、できるだけ電子化という方向で取り組んでいかなくてはいけないということで、局内に労働基準行政システムの見直しに関するプロジェクトチームを設け、現在、一線の機関の職員の意見や要望も聞きながら、では、どこから具体的にやっていけるのかについて検討しているところです。
 特に、従来の労働基準行政システムのシステム更改は、5年に1回どんと変えるというやり方でやってきていたわけですが、どうも率直に言って、5年後までの行政需要とか法制度の改正が全部見通せるわけでもありませんし、一方で今、国税の窓口などでAI-OCRを使って、来所された方に確認や補正等していただきながら文書を受け付けるやり方が導入され、他の行政機関でも広まっているところですので、そうしたほかの行政分野に学びながら、また一線での状況についてもよく目配せをしながら、今後しっかり検討していきたいと考えております。以上です。
 
○城内分科会長 そのほか御発言等ございますでしょうか。山口委員、お願いします。
 
○山口委員 より正確にということで、いろいろな対策を取ることについて御説明はよく分かりました。ただ、2ページの図を再度拝見しますと、結局のところ、最初は事業者が報告するわけですから、その事業者の報告の精度に結構依存しているところがあって、我々は、この何十万とかいう数字を見るときには、ある程度の誤差はあるなと思いながら多分見ていて、1とか10のところまで正確だなどと思っていないのです。本当は正確のほうがいいに違いないのです。ただそういう、ある程度の幅をもって数字を見るようにしていると思います。ただ、今回問題になった新規有所見労働者数というのは、事業所当たり0とか1とか2とかという、非常に僅かな数字がポコポコ出てくるところなので、その誤差が非常に大きく貯まったのだと思うのです。ですから、そういう今回の新規有所見労働者数みたいに、8ページの調査を拝見して、ちょっと詳細は分からないですが、これほど何て言うか、0、1、2がポコポコ出てくるような数字は余りないと思うのです。そういうところは特に注意して、それはAIとか何とかというレベル以前の問題で、多分、事業所がきちっと数字を出してくるところからやらないといい数値にならないと思うし、新規有所見労働者数は特に数字の意味も大きいですよね、これは。ですから、そういう意味で、こういうところ、ほかはどうでもいいとは言いませんが、特に注意していただくところが多分、幾つかあるのではないかと思いますので、ちょっと注力の仕方の濃淡も多少あるかと思いましたので発言させていただきました。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。労働衛生課長どうぞ。
 
○井内労働衛生課長 御指摘のとおりだと思っております。6ページの再発防止策において、システム改修として、「新規有所見労働者数で実数が入った場合」というところにフラグを立てるというのは、正に今、御指摘いただいた意味のとおりです。それについても、ほかの追加で再集計を行う調査についても、同等の意義付けがあるというものについては同じような対応を当面はしていきたいと考えております。
 
○城内分科会長 そのほか、御発言ありませんでしょうか。ありがとうございました。
 では次に、議題(4)「副業・兼業の場合の健康確保措置について」に関し、事務局から説明をお願いします。
 
○小宅計画課長 それでは、計画課長の私のほうから御説明いたします。資料4-1です。2ページに、前々回の分科会での御指摘事項の要約ということで、前回お出しして修正したものを付けております。2つ目の項目ですが、発言内容とニュアンスが違うのではないかということで、訂正してほしいというお話がありましたので、関係する委員にもお諮りし、このように訂正しております。
 次の3ページ目ですが、前回での議論を事務局でまとめたものです。これも各委員にお諮りしてまとめたものです。簡単に内容をおさらいします。1項目目が時間を掛けてじっくりと議論すべきだということ。それから2項目目から6項目目については、まとめて言うと、今回の議論の対象者、副業・兼業の範囲についてどう考えるかという御発言だったかと思います。2項目目は、誰に対して促進して、誰を保護するのかと。3番目は、定義が必要ではないかといった御発言でした。
 それから7項目目以降については、主にまとめて言うと、措置内容についての御発言だったかと思います。7項目目は、労働者50人未満の事業所に産業医の選任義務がないわけですが、そういったことについてどう考えるかと。それから8番目は、中小企業への負担についても配慮をすべきではないかと。それから9番目は、形式について、例えば法改正ありきではなくて、議論を重ねた上で必要に応じて対応をしていくものではないかといった御発言がありました。
 そういった御発言を踏まえて、前回の最後に分科会長のコメントといたしまして、今後の検討の中でデータのようなものを、ある程度しっかりと踏まえていく必要があるのではないかと。その調査というか、把握の仕方についても検討するようにというおまとめがあったかと思います。
 それを踏まえて、4ページ目を御覧ください。「当面のスケジュール(案)」としておりますが、どのように実態を把握していくかということを簡単にまとめております。まず実態を把握して、その実態を踏まえて健康確保措置の在り方を検討する流れでいかがかと。実態の把握の中身ですが、1ポツ目、企業における副業・兼業実施者に対する健康確保措置の実施状況の把握ということです。
 次の5ページを御覧ください。事業所と労働者に対して、それぞれ事業所でどのような健康確保措置を行っているか。それから労働者の方に対して、兼業・副業をやっているかという状況、それから健康状況について聞いてはどうかということです。事業所のほうでは、労働者の方が兼業・副業をやっているかどうかはっきり分かるか、という問題もありますので、実際に把握するという段になると、短時間労働者についてというような切り口での聞き方にならざるを得ないのかと思っておりますが、こういったものを聞いてはどうかと。
 一方、労働者の方は、自分のことですので兼業・副業をやっているかということが分かるので、ある程度はっきりと兼業・副業の状況ということも併せてお聞きすることができるのではないかと思っております。
 4ページにお戻りください。矢印横の2ポツ目ですが、副業・兼業を行う労働者の健康状況等に関する論文について、把握とあります。兼業・副業というものに特化しての健康状況の調査というものは余りないようですが、若干あるようで、既にある論文をもう一度精査してみて、どのようなことが分かるかということも併せて把握してみてはどうかということです。その上で、そういったものの内容の調査が一度にまとまるか、段階的にできたものからという形になるかはちょっと分からないのですが、できるだけできたものから早く、こちらの場にもお出しして御議論いただき、在り方の検討へと移っていければと考えております。
 ※が付いておりますが、そういったデータを踏まえ検討いただき、対策について、一定の方向性がまとまったものから、順次実施するような形にしていってはどうかと考えております。
 5ページにお戻りください。先ほど申し上げたような項目について、今、検討しているわけですが、2つ目のマルにあるように、できれば過去の健康確保状況の調査からの変化が分かるようなものであれば検討もしやすいと思うので、6ページにあるような健康状況調査において、今、問題になっているような短時間の方への健診の実施状況等について調査したものもあるので、そういったものとの比較もしつつ、調査をしていければと考えております。本日お諮りいたしますのは、この調査をこういった項目でやっていくことについて、いかがかということです。
 それから1つだけ、前回の宿題ですが、自動車運転者の改善基準告示について、非雇用で働く部分も含めてのインターバル規制になっているのかということですが、これを担当に確認したところ、改善基準告示は、あくまで雇用されて働く部分についてのものであって、インターバル期間中は自由利用となるので、非雇用のところを含めてのインターバルは求めていないということです。以上です。
 
○城内分科会長 本件について、質問等御発言のある方は挙手をお願いいたします。
 
○中村委員 この実態の把握の調査についてですけれども、前回の分科会でも労働者のほうから発言させてもらいました。やはり副業・兼業の定義が確定しないまま調査をすると、その調査結果の信頼性というものが影響しかねないのではないかというのが1つであります。副業・兼業をしている労働者自身も何が本業で何が副業なのか、労働時間の長い短いですとか、収入の多い少ない、そもそも定義がないと釈然としない人もいるのではないかと思います。
 やはり企業なり個人が、副業・兼業について統一的なイメージを描けるよう、調査において何かしら例示しておく必要があるのではないかと思います。例えば、健康への影響を大きく勘案しなくてもいいようなもの、株取引ですとかオークションの出品といったものは、その定義から除外するといった具体的な説明書きみたいなものが、やはりそのイメージとして必要なのではないかなと思います。先ほど非雇用の関係もお話されましたけれども、いずれにしても労働者側として調査の中で、非雇用の副業・兼業について質問項目を用意することは必要ではないかと思っていますので、意見として申し出たいと思います。以上です。
 
○城内分科会長 ありがとうございました。
 
○中澤委員 決まっていないという今のお話にもつながることだと思うのですけれども、そもそも非雇用の形態を副業・兼業に含めた上で物事を考えていけばいいのかどうかということをお伺いしたいと思います。その上で、片方は雇用で片方は非雇用、また、その非雇用というのはどういう形態か、様々なものがあるかと思いますけれども、非雇用のところから発生した要因の影響で、いわゆる雇用者が健康を害するというところまで、そもそも安全衛生法の中で事業者が措置しなければならないものなのかどうかという疑問を持っております。
 労働安全衛生法に基づく事業者に課せられた措置というのは、事業者側から見れば事業活動に支障を来さないための健全な労働力の維持ということが背景にあると思います。それを非雇用の形態で、事業外で何らかの形で就業されることにより維持できなくなることに対してまで事業者はリスクを負う義務があるのか疑問を持っております。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。関連の御質問で何か。
 
○袈裟丸委員 今、非雇用の話が出ているので、前々回の第124回の参考資料として、副業・兼業の場合の労働時間管理のあり方に関する検討会の報告書を頂きましたけれども、「副業・兼業先の労働時間の把握方法について」という中の19ページの中に、「上記のいずれの場合でも生じる課題」の2つ目として、労働者・使用者の双方にとって、雇用か非雇用かの判断が難しい場合もあり、誤分類してしまうことや、非雇用の場合には、労働時間が通算されないことを理由に、雇用を非雇用として活用しがちになる可能性があるということが指摘されております。労働側としては、労働者の健康管理を考える上では、この指摘をしっかり留意し、非雇用の副業・兼業についても対応できる議論をすべきではないかなと考えているところです。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。そのほか。
 
○輪島委員 事務局にもう一度お伺いしますが、4ページの上のポツの「企業における副業・兼業実施者」というところについて、今、労側もどうなのかなと思いますが、雇用+雇用、それから雇用+非雇用も含めて、この実施状況を把握するということなのか。調査項目として全部を、どの程度まで把握するのか。基本は、まずは雇用+雇用だと思いますけれども、その点、まず確認をさせていただければと思います。
 
○城内分科会長 では、ここまでで、計画課長のほうからお願いします。
 
○小宅計画課長 まず、定義のない中で調査をすると信頼性にかかるということで、例えば株取引やオークションなどは、違うというようなことを注記に入れてはというお話については、検討してまいりたいと思います。
 それから、非雇用の働き方を副業として含めるのかということですが、今回の検討のそもそもの流れの中で、複数事業所において働くということが様々なプラスの効果があると。ただ一方で、企業のほうで認めない傾向が多いといった流れの中での議論だったかと思います。
 それから、先ほども出ました検討会の報告も、そういった流れを踏まえまして、複数の事業所で働く場合の問題点について整理するということでできているものかと思います。また今回も、基本的には安全衛生法というものについての議論かと思っておりますので、その意味では、副業についての雇用というタイプについての検討というのが、これまでの流れからすると、基本的に念頭にあるものかなと思っております。
 ただ一方で、非雇用の働き方が、雇用されて働く所にも影響が出ているのではないかというような御指摘も実際にされているところですので、そういったものの関わり具合というのがあるのかということは、この場で御議論いただければよろしいのではないかと思っております。
 次の中澤委員の2点目の、非雇用で働いた所の健康影響というのを、本業の所の雇用主がどこまで責任を負うのかという点ですけれども、これは実際の個別の働かせ方のようなところも影響して、個別の所もあるのかと思うのですけれども、基本的には使用者が働かせた作業内容などによる影響というのが基本的なのかと思います。
 ただ、安全配慮義務という中で、どこまで配慮するのかと。個人の体調とかいろいろなものも配慮すべき事項の中にあるでしょうし、そこは一律にはなかなか言えない部分があるのではないかと思います。ただ、基本的には使用者が働かせたと、どういう作業をさせたかとかいうのが、基本的には念頭にあるのかなと思っておりますけれども、影響する部分が全くないではないというところもあるのかなと思います。安全配慮義務の範囲というものが、判例上も確立しているわけでもないようですので、そこはまた、どこまで行くかという議論もある部分なのかと思います。
 それから、検討会報告の中で、非雇用についても含めて対応しなければ、それまで規制のない状態であれば雇用されていた者が、非雇用という形に寄せられてしまうのではないかというような御懸念も示されておりまして、そういったことも検討会報告で触れられておりますので、この場で御議論いただければと思っております。
 それから、最後の、調査に当たって兼業・副業について、どの範囲を明示するのかと、雇用・雇用型なのか、雇用・非雇用型も含むのかということですが、今回、まず1点目にありましたように株取引などはちょっと違うのではないかというのは例示するといたしまして、その他の非雇用型についても実態把握の話ですし、労働者委員からもいろいろ御指摘いただいているところもありますので、必ずしも非雇用型を排除するような、カチッとした聞き方までしなくてもいいのかなと思っております。以上です。
 
○城内分科会長 御質問された委員の方、どうぞ。輪島委員、お願いします。
 
○輪島委員 今、私どもに企業から寄せられる質問ですけれども、兼業・副業についてということで、ある会社からお問合せいただいたのは、自分は非雇用でデザイナーの仕事を請負でしていて、日々毎日、仕事が終わると6時間から7時間、自宅でイラストを描いていると。それは完全にデザイナーとしての仕事ですけれども、会社は副業ということで認めてもらっていいですかという問合せが来て、どうしましょうかと。やはり6時間から7時間で、収入も本業よりも大分いい収入になっていて、どちらが本業なのか逆転している状況です。
 ただ、会社として、自由時間とはいえ、6時間、7時間自宅で違うことをしている。恐らく睡眠とかいろいろなものには影響があるとして、それを許可するというようなことでは非常に悩ましい状況なので、実態としては非雇用の所も含むのですが、では株取引は非雇用で外すけれど、イラストレーターはどうなるのだとか、いろいろな話がなかなか難しいなというのが実態だろうなと思うので、そういう意味では基本的には雇用+雇用の実態を把握するということを、まず中心にしていただきたいと思います。
 それから、今、事務局からの御説明で、そうなのかなと思いますが、私どもの理解としては、今度の兼業・副業の議論の論点は3つで、労働基準法の観点から見る労働時間の通算をどのようにするのかという点と、それから安全衛生法から見る健康管理をどうするのかという点と、それから実際として事故が起こった場合にどうするのかという労災保険の観点で、労災保険については、先日建議をまとめて、次の通常国会で法律改正を目指すということです。それは実態として事故が起こったということであれば、やはり労働者保護に欠ける実態もあるわけですから、それは先行して法律改正でカバーをするということだろうなということで議論してきたつもりです。
 この安全衛生分科会で言うと、健康管理のところを中心に、むしろ労働基準法上の労働時間の通算というよりは、まずは健康管理が大事なので、実態を踏まえて、何が健康管理の目でできるのかという議論をこの分科会でするというのがミッションではないかと、私どもとしては整理しているところなので、そこと違うのかどうかも含めて、今後どういう議論になるのか分かりませんが、整理をして議論していきたいと思っています。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。事務局からよろしいでしょうか。
 
○小宅計画課長 前回も申し上げましたけれども、健康確保措置として労働者側からは、決して政府が兼業・副業の旗を振るものではないのだろうと。ただ、とは言っても現に多くの方が兼業・副業をやっていらっしゃると。現にやっていらっしゃる以上はその保護というのは大事だということですので、そこが一番先に取り組むべき課題なのだろうと思っています。その意味ではおっしゃったように、実態を踏まえて、今、できる所からやっていくと。その上でいろいろな関連する論点があるのかもしれませんけれども、できるところをまずやるということかなとは思っておりますが、ただ、あくまでこの場での御議論ですので、事務局でそう決め打ちするわけではありませんが、そういうイメージかなと思っております。
 
○勝野委員 今回の実態調査の対象者の件ですけれども、私は本業と副業のある者は全体をしっかりと対象にすべきだと考えています。実態調査ですから、まずは副業・兼業の実態について全体像をしっかりとつかむということが1つと、もう1つは非雇用の実態について、本当にそれが雇用でない事業なのか、請負なのかというところが明確でない副業・兼業も当然やはりあるわけですから、そういうことを考え合わせると、現行の資料4-2の2のところに限定するということではなくて、1の本業と副業のある者全体を、まずはしっかりと対象にして実態を把握していくということが必要だと思っています。
 
○漆原委員 今、正に使用者側からも話のあった、例えばデザイナーをやられている方の話ですけれども、そこは正に「何が本業で何が副業なのか」というような話にもつながるところではないかなと思います。例えば短時間の雇用だけを見た場合でも、10時間・10時間・10時間でいえば、どれが本業でどれが副業かというところが明確でなければ、どちらかに寄せて、そこで健康管理措置を仮にやるとしても、そこがやはり難しい話に今後なっていってしまうので、何を本業で何を副業なのかという定義の話というのは、やはり重要なのかなとちょっと思ったところです。
 あと、中澤委員からお話がありました、確かに副業として非雇用でやられているときに、では、本業としてどこまで健康管理措置をやるのかというところにつきましては、それは今の10時間・10時間・10時間の雇用で3つ掛け持たれている方も、ほかの2つの所では、雇用されているからといって、最初の10時間の事業場はどこまで持つのかというところにも通じるところがありますので、雇用・非雇用の健康管理などの課題については、それほど違いはないのかなと思っているところです。意見です。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。
 
○輪島委員 別に私は雇用+雇用に限定しろと言っているわけではないです。まず、雇用+雇用の実態が中心ではないかということなので、雇用+非雇用が不要だと言っているわけではありません。実態は全体でつかんでいただく必要はあると思っています。ただ、中澤委員のおっしゃった点は、やはり雇用+雇用であれば、雇用契約に基づく事業主と労働者の関係は明確なので、それで事業主としての責任も明確、法令上も明確ですから、その義務の範囲内で何をするのかということも明確ということだと思います。
 ですから10時間・10時間・10時間であれば、10時間の責任はあるし、労働者も責任があるということはクリアだと思うのですが、非雇用でデザイナーで働いている10時間は、本業の会社として知りませんでしたという所も実態としてはあって、そこはやはり本当に企業の責任ですかというのが素朴な疑問なので、これから議論なのでしょうけれども、大分そこは労側とは違うのだろうなというのは意識しております。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。いろいろ御意見を頂きましたが、今日は実態把握の方針で、こういう調査をしたいということですので、皆さんの御意見をお伺いすると、実態把握はいいでしょうと。ただ、その聞き方をどうしようかというお話だと思うのですが、それは後で案が出てくるという理解でよろしいのでしょうか。こういう聞き方をしますというような。
 
○小宅計画課長 なるべくこの調査は早く着手したほうが良いと思いますので、どのぐらいのタイミングまで、時間をかけられるかというところはあり、基本的に今日の御意見を踏まえまして、あとは事務的に御相談させていただくような形でもよければ、そういった形で進めさせていただければと思います。検討の時間も取ったほうがいいかと思いますので、可能であればそういう形がいいかと思うのですが。
 
○城内分科会長 一番肝心な定義等に関わるところは、実はとても難しいので、その定義まで結び付くような聞き方ができれば一番いいと思うのですが、その辺の聞き方に関しては、労使の御意見をお伺いしながら調査をするということになると思います。調査そのものについては、皆さん、進めていいという方向でよろしいでしょうか。

(異議なし)
 
○城内分科会長 ありがとうございます。では、具体的になりましたら、またここに相談していただくということで、調査は進めるということでお願いしたいと思いますが、そのほか御発言ございますでしょうか。
 
○中澤委員 先ほどの雇用・雇用の話は、輪島委員が言われたように、雇用・雇用であれば、それぞれの事業者が責任を持って安全確保の措置を取ればいいという理解をいたしております。それから、実態把握の件で、御意見を申し上げたいと思うのですが、先ほど株取引等はうんぬんというようなお話がありました。要するに非雇用の中でも、いわゆるちょっと違いがあるというような課長からのお話がありましたけれども、そういう意味からいくと、書面調査以外に、何らかの方法で対象となっておられる就業者の方にヒアリングを行っていていただければと思います。同じように企業のほうに対しても、この場でヒアリングということではなくて結構ですので、事務局として何らかの形でヒアリングをしていただいて、書面上の結果を補足していただければ有り難いと思っております。
 
○城内分科会長 ありがとうございます。そのほか調査方法等に関して御発言ございませんでしょうか。
 
○最川委員 調査の内容で兼業と副業があった場合には、それぞれの労働時間がどのぐらいだったかというところは必ず確認していただきたい。それがどのぐらい残業時間をオーバーしているかというところが分からないと、健康確保措置ができないと思いますので。
 それと、この議論の中で先ほどから非雇用者の話が出ているのですが、非雇用しかやっていない人は全く対象ではないという認識はよろしいですよね。雇用されていない人は、この議論の中に入っていないというところはよろしいのですよね。それだけちょっとお尋ねさせてください。 
 
○城内分科会長 それについて、いかがでしょうか。計画課長、お願いします。
 
○小宅計画課長 今ありました非雇用のみ対象外というのは、考え方としてはそういうことかと思います。それから、企業へのヒアリングというものについても、やり方はいろいろ工夫しますが、例えば相談事業の相談窓口などで相談を受けているというものもありますので、そういったところでのお話しをまとめるとか、いろいろ工夫してやっていきたいと思います。
 
○城内分科会長 そのほか御発言ございませんでしょうか。
 
○高田委員 調査のほうで、労働者に対して健康状況をということで書かれておりますけれども、具体的に何か想定されているものはございますでしょうか。やはり兼業・副業等によって睡眠による休養というものが十分取れているかというところは、国のほかの調査と比較可能なのかなと思いますので、検討に入れていただければと思います。以上です。
 
○城内分科会長 そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。これで全ての議題を終了しました。本日も長時間にわたり熱心に御議論いただきありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。
 
○小宅計画課長 次回の分科会につきまして、日時は改めて御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○城内分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表委員は中村委員、使用者代表委員は矢内委員にお願いしたいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。