第285回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2019年(令和元年)7月29日(月)10:00~


 

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1・2会議室(12階)
 

出席者

(公益代表委員)
・小野 晶子
・鎌田 耕一(部会長)
・松浦 民恵

(労働者代表委員)
・木住野 徹
・奈良 統一
・村上 陽子

(使用者代表委員)
・佐久間 一浩
・中西 志保美
・正木 義久
・森川 誠
 

議題

(1)労働者派遣制度について(公開)
(2)職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(公開)
(3)成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う個別審査規定の整備について(公開)
(4)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
(5)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)
 

議事

議事内容
○鎌田部会長 委員の皆様もお集まりのようですので、これから「第285回労働力需給制度部会」を開催したいと思います。本日はお暑い中、委員の皆様におかれましてはお集まりいただきありがとうございます。
本日は、公益代表の藤本委員、労働者代表の永井委員が所用により御欠席されると伺っております。
議事に先立ち、事務局の異動で小林職業安定局長と岸本審議官が着任されました。今回が初めてということですので、一言御挨拶をお願いいたします。
 
○小林局長 9日付けの異動で局長に就任いたしました小林でございます。6月から見直し検討を頂いておりますが、引き続き御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 
○岸本審議官 同じく、9日付けの異動で審議官に着任いたしました岸本と申します。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 よろしくお願いいたしたいと思います。小林局長におかれましては、11時少し前に所用のため退席されるということです。あらかじめ御了承いただきたいと思います。
なお、その他にも事務局に人事異動があったとのことですので、御紹介をお願いいたします。
 
○清水補佐 御紹介申し上げます。派遣・請負労働企画官の堀泰雄でございます。
 
○堀企画官 堀でございます。よろしくお願いいたします。
 
○清水補佐 需給調整事業課課長補佐の清水達哉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 どうぞよろしくお願いいたします。さて、本日はお手元の次第にある議題(1)から(3)について公開で御審議いただき、その後、議題(4)及び議題(5)として許可の諮問に係る審査を行います。議題(4)及び(5)の許可の審査については資産の状況等、事業主に関する個別の事項を扱うことから非公開とさせていただきます。その際、傍聴されている方々には退席をお願いいたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
議事に入ります。最初の議題は労働者派遣制度についてです。事務局から御説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 資料1-1を御覧ください。今後の検討の進め方を整理しております。まず7月ですが、「施行状況の把握に関する検討」と書いておりますのは、本日の部会のことでございます。今後、部会の場で派遣制度の施行状況のフォローアップをしていただくに当たり、どのような事項の把握が必要かという観点につきまして、本日御議論を頂きたいということです。
その次、8月から10月までです。「ヒアリング」と書いておりますけれども、この部会の場で、派遣労働者、派遣元事業主、派遣先の関係者や関係団体の方々からのお話を伺い、質疑の場を持ちたいと考えております。
その下に※で「並行して、調査実施事業者の選定・調査実施」とあります。本日の部会での御議論も踏まえ、調査の実施事業者を選定、調査の実施を進めていきたいと考えております。調査の結果は年内を目途に取りまとめまして、年明け以降に、この部会の場で御披露させていただきたいと考えております。
11月以降につきましては、個別の論点について順次検討ということで、まずは施行状況調査の結果がなくても検討ができるような課題から、順次検討を進めたいというように考えております。以上が、今後の検討の進め方についてでございます。
次に、資料1-2を御覧ください。平成24年・27年の労働者派遣法改正法の施行状況の把握について、把握すべき事項について、また調査の方法についてまとめたものです。まず1ページ目の1の実態把握の方法です。大きくは3つの方法で把握を進めていきたいと考えております。1つ目はアンケート調査です。検討事項全般について実態を把握するため、一般的な調査票を関係者に配布して調査をするといったものです。
2つ目がヒアリング調査です。今般の検討事項の1つにもなっている日雇派遣の実態やニーズについて把握をするため、アンケート調査に加え、より突っ込んだ実態を把握するため、併せてヒアリング調査を行いたいというように考えております。
3つ目、既存の調査等の活用です。労働者派遣事業報告や都道府県労働局における指導実績等、既存のデータ等を再度分析集計等をいたしまして、部会での御議論の参考としてお示ししたいと考えております。
このうち、新規に行うアンケート調査とヒアリング調査それぞれの調査対象について、その下の2でまとめております。まず、(1)アンケート調査についてです。派遣元、派遣先、派遣労働者に加えまして、今般の日雇派遣に関する実態やニーズを把握するため、日々又は短期就労者の方、それからその他個人ということで、今は日雇派遣で働いていなくてもそういったニーズがあるかどうかを把握するため、その他個人につきましても、アンケート調査の対象に加えております。また、調査方法ですが、その下の※にあるとおり、派遣先や派遣労働者等への調査は、派遣元を経由せずに直接実施することを考えております。
次に、(2)ヒアリング調査です。派遣元、派遣先、日々又は短期就労者の方々に対しまして、17.5業務以外の業務での日雇派遣の実績があったり又はニーズがあるといった方々に直接お話を伺って、その結果をまとめたレポートを部会の場にお示ししたいと考えております。
一番下に参考と書いておりますが、雇用安定措置及び計画的な教育訓練・相談機会の確保に関する実態につきましては、独立行政法人労働政策研究・研修機構のプロジェクト研究におきまして、別途、派遣元に対する調査を実施するということとしております。
2ページを御覧ください。今般の検討項目、平成24年と27年の改正事項についてですけれども、それぞれの検討項目ごとに、今後把握が必要な事項についてまとめた資料です。右側には、先ほど申し上げましたアンケート調査、ヒアリング調査、既存の調査等、それぞれどの調査でどの項目を把握するのかという所に○を付けて整理しております。
真ん中の欄、今後把握が必要な事項の所を主に御覧ください。まず、日雇派遣の就業実態です。17.5業務以外の業務での就業状況について把握をしようというものです。既存の事業報告の中では、17.5業務の業務別の就業状況、高齢者や学生等といった属性に基づいた日雇派遣での就業派遣での就業状況については把握をしておりますが、17.5業務以外の業務での就業状況につきましても、更に加えて調査が必要というものです。
その下、収入、就労頻度、希望する雇用形態、それから就労に当たって困ったこと、派遣元等の対応ということで、今、日雇派遣で就労されている方の就労実態について詳しく把握をしようというものです。
労働者派遣契約の期間、労働契約の期間につきましては、それぞれの契約期間が一致をしているのか又は一致をしていないのかといった契約期間の長さについて把握をしようというものです。
直前キャンセルの場合の対応につきましては、当日に仕事がなくなったといったような場合に、どのような対応が行われているのかといったことでございます。
日雇派遣の雇用管理の実施状況です。現在も日雇派遣の指針の中で日雇派遣を雇う派遣会社に対応を求めているような事項につきまして、施行状況がどうなっているかということを把握をしようというものでして、就業場所の定期巡回や派遣先、派遣労働者からの就業状況の報告、教育訓練、安全教育の実施状況といったことについて把握をしようというものでございます。
労災事故の発生状況についてです。派遣労働者の労災事故発生状況について、派遣先の事業別・経験年数別に分析をしてお示ししたいというものです。
日雇派遣のニーズについてです。日々又は短期(30日以内)で人材を確保したい派遣先のニーズ、それから働きたいという労働者側のニーズがそれぞれあるのかどうかといった点、更にはそういった短期のニーズがあった場合、それが派遣又は直接雇用のいずれを希望するのか、希望するとお答えになった場合には、その理由につきましても把握をしたいというものです。
日雇派遣以外の日々又は短期就労の状況です。特に、日雇職業紹介につきまして、日雇派遣が原則禁止となった平成24年前後以降の動向がどうなっているのかといったところを把握しようというものです。また、こういった日々又は短期の直接雇用で働かれている方々の就業状況ということで、教育訓練・安全教育の実施状況、就労に当たって困ったこと、求人者等の対応、直前キャンセルの場合の対応といった項目につきまして、日雇派遣と同様に把握をしようというものです。
次に、グループ企業内派遣の8割規制です。まず1つ目として、関係派遣先への派遣を実施している業務、理由について把握をしようというものです。
2つ目につきましては、前回の部会の場で関係派遣先派遣割合報告の中で、8割を超えていると報告している事業主が4%程度あるといったデータをお示しいたしましたが、こういった8割を超えている事案の実態について、より詳しくお示ししたいというものです。
3ページを御覧ください。いわゆるマージン率等の情報提供です。1つ目は、前回の部会の場で事業報告におけるマージン率の情報提供の方法ということで、インターネット、事業所備え付け、その他の3分類で内訳をお示ししましたが、その他が50%程度を占めていたということを踏まえまして、その他の中の詳しい内容について分析し、追ってお示しをしたいというものです。
2つ目、マージン率の内訳ですが、こちらについても前回の部会で日本人材派遣協会による推計値をお示しいたしましたが、この内容につきまして、行政としてもアンケート調査の項目の中に加え、マージン率の内訳の実態をより詳しく把握したいというものです。
3つ目、派遣先、派遣労働者が必要とする情報です。マージン率に限らず、一般に派遣元が情報提供すべき事項として法定されている事項、派遣労働者数や派遣料金の平均額、その他諸々ございますけれども、こういったものにつきまして、派遣先や派遣労働者がどういった情報を必要とされているのかということを、調査の中で質問をしていきたいというものです。
労働契約申込みみなしについてです。労働契約申込みみなしの適用状況につきましては、派遣先と派遣労働者の民事に係る情報でもあり、都道府県労働局で網羅的に把握できるようなスキームにはなっていないというところはありますが、その適用状況の一端を把握するということで、これまでに都道府県労働局での指導や相談を受けた事例が、その後みなしの適用まで進んだのかどうかといったフォローアップをいたしまして、その状況についてお示ししたいというものです。
離職後1年以内の労働者派遣の禁止についてです。該当事案の状況を把握するため、派遣先から派遣元への通知又は通知がなくとも派遣先における受入れができなかった事例といった事例の有無について調査をいたしますとともに、該当事例における派遣労働者の離職前の雇用形態、離職理由、在籍期間といったものについて把握をしようというものです。
許可制についてです。前回の部会で、旧特定労働者派遣事業者に対する切替申請を行っていない理由についてのアンケート調査をお示ししていまして、この項目につきましては、加えて調査をする事項も思い当たらないことから、「-」としております。
初回許可の有効期間についてです。これも前回の部会で御指摘を頂いた点ですが、初回許可の有効期間の3年間の事業所と一度更新を経たそれ以外の事業所におきまして、違反の状況が異なっているのかどうかという御指摘を頂いたことも踏まえ、それぞれの期間における指導の実施状況について追ってお示しをしたいというものです。
雇用安定措置についてです。前回の部会では、平成29年度の労働者派遣事業報告における措置別の実績、それから労働局を経由した派遣元事業主に対する調査として、離職状況や措置別の実績、希望状況、1号措置実施者のその後の状況、1号措置不調の理由といった調査結果についてお示ししたところです。こうした調査結果につきまして、より幅広い派遣元に対してアンケート調査を実施して、より詳細な施行状況を把握していきたいというものです。離職状況、措置別の実績、希望状況、1号措置実施者のその後の状況、1号措置不調の理由、1号措置にかかわらず、雇用安定措置実施者のその後の状況といったところにつきまして、派遣元と派遣労働者の双方に調査をすることを考えております。派遣労働者の制度に対する理解につきまして、派遣労働者への希望聴取や制度に関する説明の状況についても、派遣労働者に対する調査を実施したいというものです。
次に4ページを御覧ください。派遣受入期間の制限についてです。まず、事業所単位の期間制限につきましては、前回の部会で平成29年10月時点の状況ということで、過半数労働組合の有無や過半数代表者の選出状況、過半数労働組合等からの意見聴取の実施状況等の調査結果についてお示ししたところですが、この結果については、平成27年改正の施行日から3年を経過する前の状況だったということもあり、今般、3年経過後の最新の施行状況を把握しようということを考えております。これに加えまして、平成27年の改正法の附帯決議でも指摘されている事項としまして、過半数労働組合等からの反対意見の有無、内容、その際の対応、過半数代表者への不利益取扱いの状況などについても、併せて把握したいというように考えております。
次に、個人単位の期間制限の状況についてです。期限到来に伴う就業場所の異動の状況、就業場所が変わることによる効果や負担を、派遣労働者の方がどのように受け止められているのかといった事項について把握をしたいと考えております。
次に計画的な教育訓練・相談機会の確保についてです。これも前回の部会ではそれぞれの実施件数等について御報告をしたところです。それに加えまして、新たな調査の中では教育訓練、キャリアコンサルティング、それぞれのより具体的な内容や効果、受講しなかった、利用しなかった方に対してはその理由についてもお伺いをしたいというように考えているところです。
特定目的行為の禁止についてです。前回は、指導件数についてお示ししたところですが、より具体的な特定目的行為の状況や具体的内容についても、調査等で把握をし、お示しをしたいと考えております。
法令違反を繰り返す派遣元の公表についてです。これも前回の部会で指導の実施件数や行政処分についてお示ししましたが、更に指導状況等を分析し、複数回指導実施事業所の状況について把握していきたいというように考えております。
最後に、派遣先の団体交渉応諾義務についてです。前回、主な裁判例や中央労働委員会の命令について御紹介いたしました。さらに、今後は都道府県労働委員会における関連事案の対応状況についてもお調べしましてお示ししたいというように考えております。資料の説明につきましては以上です。
 
○鎌田部会長 前回に引き続いての御議論になります。それでは、今、説明のあったことについて、御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 
○佐久間委員 3点ほど質問いたします。まず、1点目は、今回は資料1-2にアンケート調査があって、派遣元、派遣先、派遣労働者、日々又は短期就労者、その他個人とあります。アンケート調査自体は、この5種類の質問項目で同時的にやるという、調査票としては5種類あるという認識でよろしいのでしょうか。
 
○牛島課長 現時点では、佐久間委員が御指摘のとおり、5種類を予定したいと思っております。
 
○佐久間委員 それは、同時並行的に一斉に選定をして出すということでしょうか。
 
○牛島課長 はい。同じタイミングで行えたらと思っております。
 
○佐久間委員 分かりました。2点目は、資料1-2の3ページに、マージン率の情報提供の方法があります。ここで私どもがいつも審査しているマージン率については、労働社会保険料とか、その他、いわゆる賃金以外のものについてはマージン率の算定で見ているわけです。その中で、例えば、基本的に教育訓練やこの辺りの諸経費が掛かるという形のものが入っていますが、その辺りの細かい内訳みたいなものも調査対象にするかどうか。それから、申請のときと現状について、実際にマージン率が動いているかどうかの調査を項目に設けるのかをお伺いしたいと思います。
3点目は、4ページの派遣受入期間の制限の所、労働組合のない過半数代表者への不利益取扱いの状況の所です。労働組合のない職場で過半数代表をうまく見いだせるものかどうかです。こちらのやり方について教えていただければと思っております。以上です。
 
○鎌田部会長 では、事務局から説明をお願いします。
 
○牛島課長 1点目のマージン率の内訳については、これから調査設計を事務局でも進めていきたいと思っております。さすがに賃金と賃金以外だけでは余りに大くくりすぎるので、許可申請の場合には労働社会保険料を既に切り出しておりますが、それ以外にも福利厚生、教育訓練、基本的に想定されるのは有給休暇の引当て、あと、そもそも派遣会社の内勤社員の諸々の経費もありますので、そういうところが考えられるかと思っております。それ以外に、当然、営業利益がどれぐらい出ているのかということがあると思います。
ただ、その辺りについて、調査負担を考えてどの辺りまで内訳を取れるかということは、その派遣関係の業者等にも聞く必要があるかと思っております。ただ、念頭に置いているのは、そういうところをベースにしつつ、可能な限り実態に即して取れるべきものを取っていきたいという考えでいるというところです。
佐久間委員が御指摘されておりましたが、許可申請段階と現状を比べてどうだったのかということについては、許可申請段階でどういう内訳を出しているのかということが書類として残っているのかというところもありますし、当然のことながら、許可申請は見込みの中で出しておりますので、それが実態と照らしてどうだったのかというところを、派遣元事業主に個別に細かく聞くのは限界があるのではないかという考えがあります。私どもとしては、現時点では確認するということまでは考えておりませんが、御指摘等がございましたら頂ければと思っております。
3点目の過半数代表者に対する不利益取扱いの関係です。小さい字で恐縮ですが、資料の4ページの※7です。派遣先を通じて過半数代表者を経験した方にお渡しするということを考えております。要は、派遣の関係の期間制限について、全くの白地で派遣先で過半数代表者をやったことがありますかと聞いても、なかなか捕捉は困難ということもありますので、派遣先において過半数代表の期間制限の延長の関係に関して、過半数代表の経験があった方に調査票をお渡しいただき、その上で、その調査票については、派遣先を介さず調査業者に直送していただくというやり方を取らざるを得ないのではないかと思っております。
派遣先を介して渡すというところに、バイアスが掛かってしまう可能性は全く否定できないわけではないのですが、事務局では、それ以外の方法はなかなか思い当たらないというところもありますので、もし委員の皆様方から、実施方法について御提案があれば是非とも頂きたいと思っておりまして、それがなかなかない中で、そういうやり方を取らざるを得ないということについては御理解を賜ればと考えております。事務局からは、以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいでしょうか。
 
○佐久間委員 はい。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○森川委員 アンケート調査は、それぞれどのように対象を選んでいくのかという辺りと、それぞれどれぐらいの数を実施されようとしているのかについて、お願いいたします。
 
○鎌田部会長 事務局から説明をお願いします。
 
○米岡補佐 アンケート調査の調査対象の選定についてですが、まず、派遣元には許可事業者のリストがありますので、その中から、おおむねの目安ですが1,000事業所程度を無作為に抽出して調査対象とすることを考えております。
それから、派遣先、派遣労働者についてはこういうリストはありませんので、まず、派遣先については、調査業者ともこれからの調整なのですが、一般的には、その企業が派遣を受け入れているかどうかということは分からない部分もありますので、多めに調査票を配布したり、まずは派遣を受け入れているかどうかを確認した上で調査をするといった2段階の方法を取るという手法を、調査会社とも今後調整していきたいと考えております。
それから、派遣労働者については、調査会社で、一般個人のモニターを保有している所に、そのモニターの中で派遣で働いている経験のある方を抽出していただき調査対象とするということを考えております。派遣先と派遣労働者についても、数としては派遣先が1,000事業所程度、派遣労働者については、一般的な派遣労働者が1,000人程度、日々又は短期就労者が、これも要検討ではありますが800人程度、その他個人も1,000人程度という、このくらいのオーダーでのサンプル数を今後検討していきたいと考えております。以上です。
 
○鎌田部会長 よろしいでしょうか。
 
○森川委員 ありがとうございました。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○村上委員 何点かあります。まず、調査対象は、派遣元について1,000事業所程度のサンプル数を抽出するとのお話でした。派遣元の中でもビジネスモデルが有期雇用派遣と無期雇用派遣で異なる部分がありますので、ビジネスモデルの違いも踏まえて、きちんと割り付けて分析もしていただけるようにしておいたほうがよいのではないかと考えています。
2点目は、先ほど佐久間委員からの御質問にあったのですが、派遣先の過半数代表者の調査の件です。派遣先の事業所経由で配布するしかないとなると、バイアスは否定できないとおっしゃいましたけれども、否定できないどころか、そういう配布の仕方をすれば、おのずから結果は見えてきてしまうのではないかと考えております。そこは、もう少し工夫が必要であり、本当に調査をしようと思ったら、派遣に限らず過半数代表者は労使協定の締結相手方として位置付けられているわけですから、ほかの調査の方策もあるのではないかと考えております。
3点目に、日雇派遣については、日雇派遣のニーズのある派遣先にヒアリングをするとなっております。しかし、日雇派遣のニーズがある派遣先にヒアリングをすると、結局、対象業務を増やしてほしいという話しか出てこないのではないでしょうか。それは、ニーズを聞くという目的に沿った結果は出てきますけれども、だからその結果はどうなのだということになるのではないかと思っております。今後、日雇派遣に関して議論していく際の正しいエビデンスとなるのかは疑問です。
最後に、グループ企業内派遣の8割規制についてです。かつて専ら派遣をやっていた企業グループが、8割規制が設けられたから、あるいは人材不足で定着してもらいたいというニーズもあり、グループ内派遣をやめ、直接雇用に切り替えていっているというケースも少なからずあると聞いており、私どもの組織の中でもそういう組織があります。そういったかつてグループ派遣を行っていた企業に対し、なぜ直接雇用化したのか、どのような影響があったのかということについても、既存の調査などはあるのかどうか分からないのですが、把握することが必要ではないかと思っています。その点についても御検討いただければと思います。差し当たり以上です。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。事務局、現段階で何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 今、村上委員から御指摘いただきました1点目の件は、調査設計をする際に調査業者ともきちんと意見交換をしながらやっていきたいと思います。
2点目の過半数代表についてですが、今回の議論は派遣法の平成24年、27年のフォローアップということもあり、その中で過半数代表の範囲を、例えば36の過半数代表も含めて状況を把握するということになると、焦点が少しずれてきてしまう可能性もありますので、対象となるのは、やはり派遣先の期間延長に関しての過半数代表において、何かおかしなことが起こっていないのかというところに重点を置くのがベースではないかという感覚です。
その際に、過半数代表をどのように捕まえてくるのかというところは、先ほど事務局の考えを申し上げましたが、それが唯一のやり方と現時点で確定させているわけではありませんので、もし何か御提案、妙案がありましたら御提示いただければと思います。これからいろいろな調整も随時進めていきたいと思っておりますので、その中でも御提案等を頂ければというところです。
3点目について、日雇いの関係でニーズを把握するということが書いてあります。これは、恐縮ですが、確かに資料にニーズのある派遣先という所がありますけれども、一方で、現在、日雇派遣を受け入れている派遣先で、どういう課題、問題が起こっているのか、若しくは起こっていないのかということも聞いていく必要があると思っておりますので、そういうことも含めて、ニーズのある派遣先等ということが正確なところかもしれませんが、そういうことを拾っていければと考えております。
ただ、日雇いに関しては、今後どういう検討をするのかということを議論する上で、ニーズがあるとすればこういう理由でニーズがあるのだということは深掘りをして確認する必要はあるのではないかというのが事務局としての考えでありますので、その部分については、具体的なやり方は今後検討してまいりますが、確認させていただければと思っております。
グループ8割の部分については、現時点では、今般の資料では特段ヒアリング調査の対象に入れておりませんが、これからの調査、具体的な議論を行うに当たって参考になる材料があれば、そこは並行して確認して、個別の議論に間に合うように材料を提供していきたいと考えているところです。事務局からは以上です。
 
○鎌田部会長 村上委員、それについて何か追加の御質問はございますか。3点目のニーズのある派遣先の対象を限定することに、そもそも疑問があるという御指摘だったように感じています。
 
○村上委員 前回、正木委員から、平成24年、27年改正の施行状況を把握していくに当たって、正木委員の団体として把握しているほかにもニーズがあるのではないかと考えられるため、派遣先にニーズを聞いてほしいというご意見があったことを踏まえて、こういう中身になっているのだろうとは思います。
ただ、そもそもニーズがある先に、ニーズを調査することの意味合いはどういうことなのかということかと思っております。日雇派遣を受け入れていなくても、今後、受け入れたいと思っている事業者のニーズがあれば、17.5業務を広げていくのかどうかということではないのではないかと思います。日雇派遣のあり方は、17.5業務を原則禁止の例外にしている意味合いからしてどうなのかという視点で議論していくべきであり、ニーズがあるから禁止の例外を広げていくという話ではないという、そもそもの疑問から発言をしております。
一定程度のニーズを把握するという目的なのであれば、ニーズのある派遣先に聞いてみるというのは、意味があるかもしれません。ただ、それが今後の議論にどのように役立っていくのかということについては、慎重に取り扱っていく必要があると考えています。
 
○鎌田部会長 4点の御指摘を受けて、3点目のニーズ以外は工夫と言いますか、具体的に何があるかというようなことかと思っております。3点目については、ニーズを調査した結果として、それをどう利用するかということについて、村上委員としては疑問があるということですか。
 
○村上委員 はい。
 
○鎌田部会長 ただ、調査をすること自体に意味がないというわけではないと思うのです。つまり、調査をした上で、そのニーズをどう評価するかを分けて考えたほうがよろしいのではないかと思います。ほかの皆さんは、この点についてどう考えられますか。
 
○正木委員 先生がまとめられたとおりで、例えば、労災事故の発生状況を調査した結果、ニーズはあるけれども労災が発生しやすいという問題があれば、日雇派遣原則禁止の趣旨に照らして難しいという判断もあろうかと思います。現状と課題を総合的に勘案する上で、まずはニーズがある分野、できるならこういう仕事で日雇派遣をお願いしたいという仕事を把握して、そうは言っても難しい面があるという問題点を明らかにすることで、例外業務を広げるべきか検討できると思います。
たくさんニーズがあるので、原則禁止を引っ繰り返して日雇派遣解禁、何でもOKだと申し上げたいわけではございません。むしろ、具体的な場面を想定していくためにもニーズの調査が要るのではないかと思います。
 
○鎌田部会長 何かございますか。
 
○村上委員 繰り返しになりますが、ニーズを把握するという御議論があったので、その御意見を踏まえて調査をすること自体はやぶさかではないと思っております。ただ、ニーズを聞いたら、こういう所もこういうニーズがあるのだという、たくさんの業務が並んできたときに、それをどのように受け止めていくのかというところは、やはり課題があり、慎重に取り扱っていただきたいということです。ニーズのある派遣先にヒアリングしたとしても結局、もっと対象業務を追加してほしいという結果しか出てこないのではないかと思っております。たくさんニーズがあったから拡大するという話ではないということです。
 
○鎌田部会長 その点についての御懸念は、今、私としても御意見として頂いたところですので、今の調査の仕方についての議論は、私が申し上げたようなことでよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○木住野委員 労働契約の申込みみなしと、雇用安定措置に関することについてです。
まず、申込みみなしの適用状況は、「労働局の指導・相談事例」によって把握とあります。それはやってもらったらいいと思いますが、申込みみなしは、まず、当事者がどういう意識でいるかということがかなり重要な問題です。せっかく派遣労働者にアンケートをやるわけですから、そもそも「労働契約申込みみなし制度を御存じでしたか」という問い掛けがアンケートにあれば、それは1つ資料になるのかと感じます。
次に雇用安定措置の実施状況も「労働者派遣事業報告により把握」となっています。これは、個別の労使紛争案件に紛れ込んでいくような話で、例えば、労働契約申込みのところでは、相談事例などで把握していくという方法の例示があるのですから、むしろ、雇用安定措置の部分も相談事例を見ていく必要があるという気がしております。
具体的に、一番想定されるのは期待権の侵害のようなことでして、実際に多く出てくる相談例は「3年経過前に雇止めを一方的に言われてしまった」など、そういう事例が多いと思います。実際にそういう労働相談の事例があるので、雇用安定措置の実施前の雇止めの状況も含めもう少し幅広く具体例で把握することができないだろうかということがもう1つです。
 
○鎌田部会長 よろしいでしょうか。
 
○木住野委員 はい。
 
○鎌田部会長 今の御質問について、事務局からコメントはありますか。
 
○牛島課長 恐縮でございます。御提案ありがとうございました。労働契約申込みみなしのところは、現時点においては既存の都道府県労働局での指導相談事例を基にどういうことが起こっているかという、個別具体的なものをお示しするということを考えておりました。
附帯決議等において、本人が労働契約申込みみなしの対象となっているかどうかを知らせることも論点の1つとして位置付けられているので、その際に、そもそも労働者がそういう制度があるということを知っているのかどうかということは、確かに、調査すべき事項ではないかと、御指摘を踏まえて、私どもとして感じました。もし皆様方から、それはやる必要はないということがありましたら、是非この場で御意見等を賜ればと思いますが、特に御異論がないようでしたら、そういうことは調査対象に加えてもいいのではないかという感覚でおります。
2点目の雇用安定措置の実施状況に関しては、御指摘のとおり、個別の指導事案等も労働局において一定の蓄積があろうかと思いますので、具体的にどういう事例があるのかというところは、当然、プライバシーや個人情報等は伏せる必要がありますが、実際の事例等としてこういうものがあったということについては、個別の議論に間に合うように少し整理を試みたいと思っております。事務局からは以上です。
 
○鎌田部会長 今、木住野委員の御提案を受けて、申込みみなしの労働者側の認識については、事務局としてアンケート項目に追加するという考えですか。
 
○牛島課長 この場で御了承いただけるのであれば、そういう制度があることを知っていますかという質問になろうかと思いますが、それを付け加えてもいいのではないかという回答です。
 
○鎌田部会長 分かりました。これについて何か御意見ございますか。これは派遣労働者に対してということですか。
 
○小野委員 派遣労働者全般に調査するのでしょうか。項目として日雇派遣に関する項目がありますが、日雇派遣以外の人にも調査するのでしょうか。
 
○牛島課長 派遣労働者の方には、全般的に聞いてはいかがかと考えております。
 
○鎌田部会長 よろしいでしょうか。
 
○小野委員 はい。
 
○牛島課長 派遣の方以外に聞いても仕方がないということは、そのとおりだと思いますので。
 
○鎌田部会長 それでは、御異論がないということですので、今のをアンケート項目に追加するということで、事務局は用意してください。よろしいですか。
 
○牛島課長 はい。
 
○鎌田部会長 ほかに何かございますか。
 
○松浦委員 アンケート項目の追加については異論はないのですけれども、出していただいている調査項目案を、今の時点でどの程度までフィックスさせなければならないのかというのは、やはり心配なところがあります。細かいところも含めて、まだかなり調整が必要ではないかと懸念しております。今後調査会社を通じて細部を詰めていかれるということですので、あくまでも現時点の大枠の案ということで理解はしていますが、調査会社を通じて調査を実施する段階で、この項目はこういう聞き方では意味がないとか、この項目とこの項目を組み合わせて聞くほうがいいのではないかとか、いろいろな修正点が出てくると思います。
つまり、この段階のものを完全にこのままやるのはやはり不安なところが幾つかあるというか、今見ているだけでもいろいろ確認すべきところがあります。ですので、この会議体でどこまで、これでいきますという了承を取られる必要があるかというのは、少し確認したいところです。私が申し上げたいのは、調査会社で検討する過程で、多少の変更などの裁量の余地がないと、難しいのではないかということです。
一方、5つの調査をやるというところや調査対象は、やはり予算の都合もあろうかと思いますので、恐らくこの会議体である程度フィックスしておかなくてはいけないのではないかと。
その上で、調査対象について少し気に掛かることがあります。派遣労働者は1,000人ぐらいと想定されているというお話だったかと思いますが、この質問項目の中に、例えば雇用安定措置の実施状況というのがありまして、雇用安定措置の実施状況ということになると、やはり3年目という辺りが1つのターニングポイントになってくるかと思うのです。しかし、フラットに1,000人を対象にしてしまうと、雇用安定措置についてお答えいただける方が非常に少なくなってしまうという懸念もありますので、冒頭におっしゃっていたように、スクリーニングでどこを対象にするかということを、少し練った上で実施される必要があるのではないかと思います。結果として例えば3年目直前の人をターゲットにすることになるのであれば、逆にその人たちに日雇派遣のニーズを聞く意味があるのかということになります。やはり、対象の選定は非常に重要で、それ次第で調査項目も変わってくるので、そこはもうちょっと練られたほうがいいのではないかという気がしております。
また、「その他個人」は労働者全体なのかもしれないのですが、ここの調査項目は日雇派遣のニーズだけになっています。この調査がどういうイメージなのか、気に掛かるところです。フラットに全ての労働者に対して、日雇派遣のニーズがありますかということをどうやって聞くのかという、その聞き方も難しいのですけれども、聞いた結果を見てどう判断するかというのも悩ましいところです。やはり政策評価として調査をする限り、その結果をもってどう評価するかというのは、ある程度視野に入れた上で調査をする必要があるかと思います。この1,000人を対象にした調査の狙いは、もう少しきっちりと固めた上で実施する必要があるのではないかという気がいたします。
長くなりましたが、改めて私が申し上げたいことは、この調査項目についてはある程度、今後の裁量性や柔軟性を担保いただいたほうがいいのではないかということと、あと、調査対象と調査の狙いについては、ここである程度意思を共有しておいたほうがいいのではないかということです。
最後に1点要望です。この5つの調査は、それぞれがかなり込み入った難解な調査になりますので、ご賢察のことと思いますが、調査会社の選定に当たってはこの領域に相当精通していると言いますか、分かってくださっている調査会社を選定いただきますようよろしくお願いします。以上でございます。
 
○鎌田部会長 それでは事務局、コメントをどうぞお願いします。
 
○牛島課長 今般、この場でコンセンサスを得ていただきたいと、事務局として考えているのは、調査の大枠と、対象者をどういうように考えるかといったところです。個別具体の調査票については、この場で示していただいた大枠を踏まえ、調査業者と私どものほうで作成していきたいと思っております。
ただ、その際に、今般の調査については、委託の要件の中に有識者や労使の方も調査設計に関与する委員会的なものを設けていただき、その中でより詳細な個別の質問項目や選択肢を御議論いただいた上で、調査に着手するということを考えております。また、そういったところでの調整も含め、労使のほかに公益の委員の皆様方にも、こういったところですけれどもということで、少し事務局を通じて御相談申し上げることがあるかもしれません。そういったときには御示唆を賜れたらと考えています。
2点目の調査対象の考え方で、「その他個人」についてですけれども、私どもとしては今般の見直しを行うに当たって、日雇いというのが1つの議題と考えておりまして、その際に派遣労働者にしても、日々又は短期の就労にしても、これは実際に働いている方ということになります。一方で、働きたいけれど働けない方というのが、日雇いの部分はこの対象から抜けているのではないかという感覚です。例えば、本人の年収が500万円未満の主たる生計の方とか、世帯年収500万円未満だけれど働きたいと思っている方とか、そういった方について就労ニーズがあるのかないのか、あるとすれば直接雇用を選択するのか、派遣でもというお考えなのか、そういったところが今後議論をするに当たってのニーズ把握という意味で、1つの項目ではないかと考えておりまして、そういった観点から設定しております。ですから逆に言いますと、日雇派遣をやるのはこういう理由で抵抗があるというのも、調査項目として当然あろうかと思いますので、そういったニーズ若しくはネガティブな反応も拾っていくべきかということで、対象として位置付けているといった形で考えております。そこについては御理解を賜れたらと思っています。
3点目の部分は、業者選定の際にはきちんと問題のないような所、きちんとできるような所という点を肝に置いて、設定作業を進めていきたいと考えています。
 
○松浦委員 「その他個人」については、あらゆる労働者に聞くのかと誤解していました。禁止・制限されている人などにターゲット層を絞ったうえで、政策評価をするために聞かれるということであれば、それなりの意味はあると思います。承知しました。ありがとうございます。
 
○鎌田部会長 ほかにありますか。
 
○小野委員 細かいことは今後、委員会などを立ち上げてお話されていくということですので、恐らくこのこともそうなるのであろうと思いますが、アンケート調査の中で、何本か走らせるようですが、これまで私がやった経験からいくと、やり方としてこの中で一番難しいのは派遣先だろうと思っています。元についてはリストがあるので、すぐできるだろうと思いますし、労働者調査についても、基本的にモニターを使われるということですので、スクリーニングの掛け方などが決まれば、比較的早期にデータが出てくると思います。
ただ、先です。まず、派遣労働者がいるかどうかというのを探さなければいけないということになります。これを闇雲に事業者に対して送るとなると、1,000サンプル集めるのはかなり至難の業になります。昨今の調査の回収率を考えると、恐らく15%いったらいいぐらいです。そう考えると、1万撒いて派遣労働者を雇用している企業から1,000サンプル返ってくるかどうか微妙です。その中で日雇いを雇った企業がどれだけいるのかかなり微妙ですし。という話になってくると、そもそも調査の分析に至る前の時点で、調査自体が破綻してしまうことになりかねないです。
しかも1,000集めて、先ほど村上委員などがおっしゃっていたニーズ調査をするとなったときに、返ってきた1,000の業種が、ものすごく偏る可能性があります。そうなったときに、例えば今、17.5業務の中に入っていない業務、選挙であったり試験監督であったりというものがヒットしてくるかというのは、かなり微妙で、その数値をもって物事を判断するというのは、私はかなり厳しいなという感覚でいます。選挙や試験監督のニーズが多いという話がありますけれども、アンケートではこういうものがゼロ回答で返ってくる可能性もあるわけです。
恐らく、そこら辺も含めてヒアリング調査を重ね合わせて、いろいろと全体の状況を把握していかれるということを想定されているのだろうとは思うのですが。意見になりますが、派遣先の調査が一番難しいということを考えていただいて、12月までの調査期間を持っていらっしゃると思いますけれども、まず派遣先に大量の調査票をまかれるよりも、最初にプレ調査ではがきをまくなどして一旦かませると。その中で派遣労働者がいる事業所を選定し、それが1,000人に足りるかどうか、その中で日雇いをやっている事業者がどのぐらいいるか、あるいは労働者の過半数代表者の選定をどうしているかということも含めて聞いて、過半数代表には別送付するというような、調査手順を工夫されてやったほうがいいと思います。そうなってくると、ちょっと時期が派遣先については後ろに行ってしまうかもしれないので、その辺を御検討いただけたらいいかと思っております。
 
○鎌田部会長 御提案もありましたけれども、これについて事務局として、何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 小野委員の御指摘は正論だと思っておりますので、いずれにしても委員会等々も踏まえながら、きちんと追跡をしていきたいと思っております。当然のことながら、前回の部会では事務局として、相当急ぎ目の調査という形で御提案と言いますか、お話を申し上げたところ、委員の皆様方からは、もう少し慎重にやるべしという総意であったと認識しておりますので、無理のない形でやれればと思っております。
今の時点では、これでも少し早いかもしれませんけれども、実際にこの場で調査の大枠のコンセンサスが得られたら、調査業者の選定等々の手続をいろいろとしていきまして、実際の調査票を配布してアンケートにお答えいただくのは、10月ないし11月ぐらいかという感覚を持っておりますので、その時期も念頭に置きつつ、極力スケジュールどおりに進めたいと思っております。状況の変化等がありましたら、そこはまた部会のほうにお戻しして、きちんと適切にできるように、随時御相談をさせていただければと思っております。
 
○松浦委員 先ほどのやり取りの中で、念のために確認します。先ほどおっしゃっていた対象者数というか、サンプル数というのは、回収ベースで想定されているということですよね。
 
○牛島課長 1,000のサンプルを集めるということですので、回収ベースという形です。
 
○松浦委員 分かりました。
 
○鎌田部会長 よろしいですね。ほかにありますか。
 
○村上委員 中身の話で、もう1点あります。資料1-2の4ページの最後に、派遣先の団体交渉応諾義務については、「労働委員会関係命令・裁判例データベースにより把握する」とあります。これはこれで結構ですが、これだけで十分に状況が把握できるのかと言うと、不十分であると思っておりますので、工夫をお願いしたいと思います。
私どもが日常的に受けている労働相談でも、「派遣元にトラブルの解決を求めたけれども、結局はそれは派遣先の問題だからと言って、解決してもらえない」という相談が多数寄せられております。ハラスメント・嫌がらせ関係は、その最たるものです。そのほかにも、例えば「年休を消化したい、取りたいと言って、派遣元はいいよと言ってくれているけれども、派遣先の現場が駄目だと言っている」「もともと決まった業務で派遣されているけれども、現場ではほかに追加して、この業務も、この業務もというように言われてしまう。派遣元は『断ればいい、派遣先に言ってほしい』というようなことしか言わなくて、結局、現場ではやらざるを得なくなってしまっている」などの御相談もあります。
そういう状況の中で、先ほどアンケート調査項目も多数あるので難しいという話ではありましたが、例えば派遣労働者が派遣先に苦情相談をした経験の有無とか、派遣先に相談した結果解決したのか、解決できなかったのかといったことも、把握できないか。類似の相談は都道府県労働局の総合労働相談コーナーにも、多数寄せられているのではないかと思っておりまして、そういった中から、何か事案を分析することはできないのか。これは是非、工夫を頂きたいと思います。
 
○鎌田部会長 関連して。
 
○木住野委員 派遣先の問題では労働組合が絡むケースは少ないと思いますので、個別労使紛争事案に関わってくることが多いと思うのです。直接雇用の場合だったら、使用者責任が明確ですから、紛争処理方法としては労働審判も含め解決の手立てがあるのですけれども、派遣で派遣元と派遣先のどちらに使用者責任があるかが微妙なものが出てきた場合に、当事者にとってどこにどう持っていくのか、という非常に難しい問題が出てくるのではないかという気がしています。
派遣というのは、使用者責任とか指揮命令権で見ると、かなり特殊なケースが出てきてしまうので、そこをどういうように捕捉していくか、課題認識としてはそういうことがあるのではないかということで、意見として述べさせていただきます。
 
○鎌田部会長 この点については、団交応諾義務のデータの取り方という御提案だと思います。事務局として、今の段階で何かコメントはありますか。
 
○牛島課長 1点目の木住野委員の御指摘についてですが、派遣労働者に苦情がある場合は、派遣先、当然、雇用主である派遣元もきちんと対応するというのは、一般的に雇用者責任としてあるかと思います。一方で派遣法では、派遣先も苦情を受けた場合は、派遣元と連携をして、その解決に向けて適切かつ迅速な処理を行いなさいという義務が掛かっておりますので、そこは協力して対応していくというのがベースです。ですから派遣労働者にすれば、それは派遣元に言ってもいいし、派遣先に言ってもいいし、どちらでもOKという形になっておりますから、そこは補足的にコメントさせていただきたいと思います。
村上委員からあった派遣先の苦情の関係、団交応諾の絡みでは、私どもとしては当面、まず労働組合等々との関係であれば、都道府県労働委員会にそういったものがあるのではないかというところで、そこに調査をしていきたいと思っております。仮に、それ以外の所でもあり得るということであれば、例えば総合労働コーナーもありますし、それ以外の所もあるかと思いますが、そういった所については、いろいろと関係部局にも確認をした上で拾っていければと思っております。アンケート項目に付け加えるか否かについては、全体のバランス等々もありますので、現時点においてはなかなか難しいのではないかという感覚です。ただ、部会でお決めいただくところでもありますので、もしそういった御要望がありましたら、御審議を頂ければと思っています。
 
○鎌田部会長 よろしいですか。今、多数いろいろな御意見や御提案がありました。出来ることと出来ないこと、これから調査を実施するに当たって、この部会としてどの程度までフィックスさせていくべきか、いろいろ考えることはあるかと思いますが、皆さんの御意見を踏まえて、私と事務局で考え、場合によっては御意見を伺いながら決めたいと思います。今後の進め方も含め、御一任いただいてよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。それでは議題2について、事務局より説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 御説明申し上げます。資料2-1を御覧ください。本年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられる予定となっております。これに伴いまして、職業紹介手数料の上限額を見直そうとするものです。御覧いただいている資料のとおり、本日付けで労働政策審議会会長宛てに諮問をさせていただいておりまして、次のページ以降が省令案の要綱となっております。具体的な内容については、資料2-2を用いて御説明を申し上げたいと思います。
資料2-2を御覧ください。改正の概要です。消費税の引き上げに伴いまして、上限制手数料を採用している有料職業紹介事業者において、消費税負担が増える分、求人者や求職者へのサービスの低下や紹介機能への影響が生じないようにするために、手数料の最高額の見直しを行おうとするものです。
具体的な金額の算出方法については、消費税が5%から8%に引き上げられたときと同様の考え方です。課税事業者と免税事業者(消費税法上課税売上高が1,000万円以下の事業者)とありますが、この2つに別れていますのは、免税事業者については、自ら消費税を納付する必要はないものの、事業運営に必要な物品等の仕入れについては消費税増税分の負担が増えることから、その点を考慮して見直しを行うものです。
具体的な仕入れ負担については、免税事業者に対する課税仕入れ割合の調査を行いまして、その結果を踏まえて、見直し後の金額を算出しております。ただし、従来と同様、10円未満の端数等は四捨五入をしておりますので、金額に変更のないものもあります。計算の結果として、受付手数料については、課税事業者は690円から710円に、免税事業者は660円で現行どおりです。紹介手数料については、課税事業者は10.8%から11.0%に、免税事業者は10.3%で現行どおりです。紹介手数料の臨時賃金等を除く場合については、課税事業者は14.5%から14.8%に、免税事業者は13.8%から13.9%に見直そうとするものです。
施行期日については、消費税引き上げと同日の令和元年10月1日を予定しております。なお、建設業務有料職業紹介事業者が徴収できる手数料の最高額についても、併せて同様の見直しを行うこととしております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。この件について御質問、御意見ございましたらお願いいたします。よろしいですか。御質問、御意見がないようであれば、職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について、当部会としては妥当と認めることとして、その旨を職業安定分科会長に報告したいと思いますが、いかがでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。
 
(報告文案配布)
 
○鎌田部会長 それでは、お手元の案のとおり職業安定分科会に報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。職業安定分科会へはこのとおり報告させていただきたいと思います。
続いて、事務局より議題3の説明をお願いいたします。
 
○米岡補佐 御説明申し上げます。資料3を御覧ください。平成30年2月の需給部会で一度御報告をした案件ですが、本年6月7日、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律が成立いたしました。同法においては、成年被後見人等を資格や営業許可等の対象から一律に排除する欠格条項を設けている各制度、全部で180程度の法律になりますが、これらを束ねて改正いたしまして、適格性を個別的かつ実質的に審査し、各事業に必要な能力の有無を判断することとされております。こうした中で、職業安定法と労働者派遣法についても改正をされまして、真ん中の囲みにあるとおり、職業紹介事業と労働者派遣事業の許可の欠格事由、職業紹介責任者と派遣元責任者の欠格事由について、心身の故障により有料の職業紹介事業等を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるものなどと改正されたところです。今回は、この省令に委任された事項の具体的な内容について、御報告をさせていただくものです。
2の省令案の概要です。基本的な考え方としては、各資格等の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断、意思疎通という3つの要素で判断をするということが、ほかの制度も含めての共通の考え方となっております。こうした考え方を踏まえまして、具体的な省令の内容を、2ページ目の(1)の囲みにありますとおり、精神の機能の障害により有料の職業紹介事業等を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者を、許可の欠格事由として定めようと考えているものです。また、(2)のとおり、職業紹介責任者等の欠格事由についても、同様に定めようとするものです。
それから、(3)ですが、こうした欠格事由に該当するかどうかを判断するための方法として、欠格事由に該当するおそれがある場合には、医師の診断書の提出を求められることを省令に規定することとしております。実際の運用としては、その下の3にありますとおり、申請者本人に欠格事由に該当しないことを誓約させることを基本としつつ、申請者とのやり取り等の中で、欠格事由に該当するおそれがあると考えられる場合には医師の診断書の提出を求めるというように運用をすることを考えております。施行期日については、法律の施行と同日の令和元年9月14日としております。以上です。よろしくお願いいたします。
 
○鎌田部会長 ありがとうございます。この件について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいですか。特に御質問、御意見がないということでありますので、このように進めたいと思います。
公開の審議については以上とさせていただきます。議事録の署名は中西委員、木住野委員にお願いいたします。事務局から連絡事項はありますか。
 
○清水補佐 傍聴者の方々に御連絡いたします。これより許可諮問の審議となりますので、委員の随行の方が退席した後に、事務局の誘導に従って御退席ください。
 
(傍聴者退席)