第94回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和2年1月8日(水)13:00~15:00

場所

厚生労働省共用第8会議室(11階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 

○阿部部会長 定刻より前ですが、御出席予定の委員の皆様おそろいですので、ただいまから「第94回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の玄田委員が御欠席となっております。
 それでは、議事に入ります。議題1「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について」です。昨年12月25日に当部会において取りまとめました、雇用対策基本問題部会報告については、12月25日の職業安定分科会に報告され、同日付けで厚生労働大臣に建議されたところです。資料1の法律案要綱は、その建議などに沿って事務局で作成したもので、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問がなされているところです。12月25日の職業安定分科会において、当部会において審議することとされたことから、本日御議論いただきたいと思っております。それでは、まず事務局から、法律案要綱について説明を頂いて、その後、議論に移りたいと思います。では、事務局からよろしくお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の野村と申します。資料に基づき御説明いたします。2番目の資料、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱(諮問文)」をお開きください。1枚目には諮問文が付いておりますが、2枚目以降、別紙という形で要綱を付けております。タイトルとしては雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱ということで、本日御説明する高年法あるいは中途採用に係る総合施策推進法以外にも、雇用保険法と束ねて改正するという形で要綱を出しています。
 別紙の8ページに進んでください。第四、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正ということです。次のページです。ここから読み上げさせていただきます。一、高年齢者就業確保措置。1、定年(65歳以上70歳未満のものに限る。以下同じ。)の定めをしている事業主等は、次に掲げる措置のいずれかを講ずることにより、現に雇用している高年齢者等の65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう努めなければならないものとすること。ただし、当該事業主が、創業支援等措置を講ずることにより、当該高年齢者の65歳から70歳までの安定した就業の機会を確保する場合にはこの限りでないものとすること。
 (一)当該定年の引上げ。(二)65歳以上継続雇用制度(現に雇用している高年齢者等が希望するときは、当該高年齢者をその定年後等に引き続いて雇用する制度をいう。(3及び4において同じ。)の導入。(三)当該定年の定めの廃止。
 2、1に規定する創業支援等措置は、次に掲げる制度であって労働者の過半数を代表する者等の同意を厚生労働省令で定めるところにより得た上で導入されるものをいうものとすること。
 (一)現に雇用している高年齢者等が希望するときは、当該高年齢者が定年後等に引き続いて新たに事業を開始する場合等に、事業主が、当該高年齢者等との間で、当該事業に係る委託契約等(労働契約を除き、当該委託契約に基づき当該事業主が当該高年齢者等に金銭を支払うものに限る。)を締結する制度。
 (二)現に雇用している高年齢者等が希望するときは、当該高年齢者等が定年後等に引き続いて次に掲げる事業(当該事業を実施する者と当該高年齢者が、当該事業に係る委託契約等(労働契約を除き、当該委託契約に基づき当該事業を実施する者が当該高年齢者に金銭を支払うものに限る。)を締結するものに限る。)であって不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とするものに係る業務に従事できる制度。ただし、ロ又はハの事業に係る業務に従事できる制度については、事業主と当該事業を実施する者との間で、当該者が、当該高年齢者が当該業務に従事する機会を提供する契約を締結するものに限る。イ、事業主が実施する事業、ロ、事業主が団体に委託する事業、ハ、事業主が事業の円滑な実施に必要な資金の提供その他の援助を行う団体が実施する当該事業。
 3、65歳以上継続雇用制度には、事業主が他の事業主との間で、当該事業主が現に雇用している高年齢者等であって定年後等に雇用されることを希望するものを、定年後等に当該他の事業主が引き続いて雇用することを約する契約を締結し、当該契約に基づき当該高年齢者の雇用を確保する制度が含まれるものとすること。
 4、厚生労働大臣は、1に掲げる措置及び創業支援等措置(5において「高年齢者就業確保措置」という。)の実施及び運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の65歳以上継続雇用制度及び創業支援等措置における取扱いを含む。)に関する指針を定めるものとすること。
 5、厚生労働大臣は、高年齢者等職業安定対策基本方針に照らして、高年齢者の65歳から70歳までの安定した雇用の確保その他就業機会の確保のため必要があると認めるとき等に、事業主に対し、高年齢者就業確保措置の実施について必要な指導及び助言をすること並びに高年齢者就業確保措置の実施に関する計画の作成を勧告すること等ができることとすること。
 6、事業主による厚生労働大臣への報告事項に、創業支援等措置等に関する状況を加えるものとすること。
 二、その他。その他所要の改正を行うこと。
 少し飛びますが、15ページ、第七、施行期日等と書いています。今の第四の部分につきましては、3の所にあります。3、第一の六、第二の三、第四及び第五につきましては、令和3年4月1日としております。
 16ページの三、経過措置及び関係法律の整備。この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の規定整備を行うこと。以上が、高年法に係る部分の説明です。

○弓雇用政策課長 雇用政策課長です。私から中途採用の関係につきまして、該当部分を読み上げさせていただきます。12ページ、第五、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正。一、国の施策。国が総合的に取り組まなければならない事項として、次に掲げるものを規定するものとすること。1、労働者の職業選択に資するよう、職場に関する事項又は職業に関する事項の情報の提供のために必要な施策を充実すること。2、高年齢者の職業の安定を図るため、高年齢者雇用確保措置等の円滑な実施の促進のために必要な施策を充実すること。
 二、中途採用に関する情報の公表を促進するための措置等。1、常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、雇い入れた通常の労働者等に占める中途採用により雇い入れられた者の割合を定期的に公表しなければならないものとすること。2、国は、1の割合その他の中途採用に関する情報の自主的な公表が促進されるよう、必要な支援を講ずるものとすること。
 三、その他。その他所要の改正を行うこと。
 こちらにつきましても、15ページを御覧いただきますと、施行期日についての記載があります。第七、施行期日等の3の第五が該当箇所になりまして、令和3年4月1日としているところです。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。まず、9ページの高年齢者就業確保措置、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正についての箇所で、御質問、御意見がありましたら、御発言をお願いをしたいと思います。

○桑村委員 諮問文の9ページにあります、非雇用型の就業支援措置の手続規定となっている、「労働者の過半数を代表する者等の同意」という所の意味についてです。現在の労働関係法規における過半数代表制というのは、過半数組合がある場合には、そちらが合意主体となり、そのような組合がない場合に初めて過半数代表者が労使協定等の合意主体となるという定めになっております。この点で、この諮問文にある「労働者の過半数を代表する者等」の意味について、これは過半数組合が存在しない場合にのみ過半数代表者が同意の主体になるという内容、そのような意味であると理解してよろしいでしょうか。

○阿部部会長 では、事務局お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 御意見ありがとうございました。お見込みのとおりでございまして、建議等につきましては、過半数労働組合という記述もさせていただいておりまして、過半数労働組合がない場合において過半数代表とするものといった形で、建議のほうにも書かせていただいています。今後、法律案作成に当たっては、その点に留意をして、作成してまいりたいと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○仁平委員 これまでも申し上げてきたことなのですけれども、1点意見を申し上げたいと思います。雇用によらない選択肢については、抽象的な内容もいまだ多く含まれていると認識しております。省令や指針策定の段階では、踏み込んだ議論を是非行っていただきたいということを、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、また何か御意見がありましたら、最後にお聞きしたいと思います。もう1つの労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正の部分について、12ページからですが、何か御質問、御意見がありますでしょうか。

○仁平委員 中途採用についても、これまで申し上げてきたことの繰り返しになる部分もありますが、我々働く者にとってはやはり、やりがいを持って働き続けられる職場なのか見極めることができるということが、この法律の趣旨も含めて大事だろうと思っております。その点、中途採用割合という1つの情報だけでは、その受け止め方が様々ではないかということは、これまでも委員の皆さんから意見があったところだと思っております。年末に建議された報告書の支援策の中にもあるとおり、「中途採用に関する情報公表のみならず、職場情報の見える化の推進やハローワーク等におけるマッチング機能の充実、人材確保支援等」と、これらについても記載されておりますので、具現化に向けて今後しっかりと取り組んでいただきたいことを申し上げておきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。御意見として承ります。その他いかがでしょうか。特にないようでしたら、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱については、おおむね妥当と認める結論に達した旨を、職業安定分科会へ報告したいと思いますが、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、事務局から職業安定分科会への報告文案をお配りしてください。

(報告文案配布)

○阿部部会長 ただいまお配りいただきました案のとおり、職業安定分科会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。議題2が「その他」となっております。事務局から何かございますでしょうか。

○野村高齢者雇用対策課長 特にございません。

○阿部部会長 それでは、最後に小林職業安定局長より御挨拶を頂きたいと思います。

○小林職業安定局長 ありがとうございます。12月25日に報告を取りまとめいただきまして、本日改めて法律案要綱という形でお諮り申し上げたわけでございますが、御了承いただきましたことに厚く御礼申し上げます。この後、職業安定分科会にお諮りするという手続がございますが、そこで御了承いただけましたら、政府内の所要の手続を経て、次の国会に法律案として提出をさせていただきたいと考えております。法律案は国会で御審議いただくわけでございますが、実際の施行ということになりますと、省令の策定あるいは先ほど御指摘いただきましたような指針の策定といったようなことがございます。これからも適時、適切にお諮りしながら進めてまいりたいと思いますので、引き続き御指導賜りますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○阿部部会長 ありがとうございました。本日予定されている議題は、以上で終了いたしました。本日の部会はこれで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、お二人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の小林正和委員と使用者代表の渡辺委員にお願いしたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。