第7回 社会保障審議会年金記録訂正分科会 議事録

日時

令和元年12月24日(火)15:00~16:10
 

場所

厚生労働省11階 共用第8会議室
 

出席者

白波瀬分科会長 瀨川委員 池田委員 石倉委員 大西委員 加倉井委員 神津委員 鈴木委員 南委員 山口委員

議題

年金記録の訂正に関する事業状況(平成30年度事業状況及び令和元年度上期概況)

議事

 
議事内容
○中嶋年金記録審査室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催させていただきます。
年金記録審査室の中嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、年末の御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日、全員御出席と御連絡をいただいておりますが、神津委員は所用がございまして、若干遅れるとの連絡をいただきましたので、恐縮でございますが、開催させていただきます。出席委員は3分の1の定足数を超えておりますので、会議は有効に成立していることを御報告申し上げさせていただきます。
それでは、審議に入ります前に、分科会の委員の異動について御報告させていただきます。本年1月に大山委員と児島委員が退任されております。そこで、新たに2名の方に委員に御就任いただいておりますので、御紹介さていただきます。
まず、大阪府社会保険労務士会副会長の大西宗明委員でございます。

○大西委員 大西でございます。よろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 引き続きまして、東京都年金委員会連合会監事、加倉井覚委員でございます。

○加倉井委員 加倉井でございます。よろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 引き続きまして、昨年12月開催の分科会以降、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
年金管理審議官の日原でございます。

○日原年金管理審議官 日原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○中嶋年金記録審査室長 続きまして、事業管理課長の駒木でございます。

○駒木事業管理課長 駒木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 続きまして、日本年金機構の紹介をさせていただきます。
瀧波年金記録企画部長でございます。

○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 瀧波でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 小崎国民年金部長でございます。

○小崎日本年金機構国民年金部長 小崎でございます。よろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 入澤厚生年金保険部長でございます。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 入澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 それでは、以後の進行につきまして、白波瀬分科会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○白波瀬分科会長 よろしくお願いします。
それでは、議事に入りたいと思います。説明の前に、資料の確認をさせていただきます。事務局からよろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 本日は、お手元にタブレットがございますとおり、ペーパーレスの開催ということでございますので、机上にタブレットと操作説明書もございますので、ご覧いただければと存じます。
資料の確認でございます。タブレットの画面をご覧いただきますと、議事次第と座席図、「年金記録訂正に関する事業状況(平成30年度事業状況及び令和元年度上期概況)」がございます。
もし、何か不具合がございましたら、事務局までお申しつけください。また、会議中タブレットの不具合等がございましたら、近くの職員までお申しつけください。
何かお手元に無いようなものはございますか。
それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。

○白波瀬分科会長 それでは、議事次第に沿って進めてまいります。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
本日の議題は、「年金記録の訂正に関する事業状況(平成30年度事業状況及び令和元年度上期概況)」でございます。
御存じのとおり、年金記録の訂正請求は、平成27年2月に当分科会で議論した内容を踏まえまして、厚生労働大臣が示した訂正に関する方針に基づき、平成27年3月から年金事務所での受付を開始いたしまして、平成27年4月から地方厚生局などにおいて訂正請求に関する事務処理を行ってきております。前回、平成30年12月の分科会では、事務局から平成29年度及び平成30年度上期の事業状況の報告を受けまして御議論をいただいたところでございますけれども、本日の分科会では、平成30年度及び令和元年度上期の事業状況について事務局から説明いただきまして、委員の皆様に御意見等をいただきたいと考えております。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 それでは、お手元の「年金記録の訂正に関する事業状況」という表紙の資料に基づきまして、順次御説明をさせていただきます。
1ページは、平成30年度の受付状況でございます。平成30年度の訂正請求の受付総件数は3,425件でございまして、平成29年度より減少傾向が見てとれます。受付件数の推移につきましては、総務省に設置されていた第三者委員会に確認・申立てを行っていた期間を含めて、平成22年度以降減少傾向が続いておりますが、この傾向の一環という状況の数字を示しております。
受付件数の制度別の割合としては、厚生年金が全体の9割ということで、これは平成29年度の傾向と大体同じでございます。
マル2としまして、令和元年度上期の受付状況でございますが、令和元年度は若干対前年度同期に比べると増加しておりますが、これも現時点の傾向でございます。
2ページは受付件数でございますが、今御説明したことで訂正請求制度が始まりました平成27年度から減少傾向ということで、平成27年度の8,516件を皮切りに、平成30年度は3,425件でございます。
3ページが、処理件数はどうかということでございます。これは平成30年度の合計と書いたところをご覧いただきますと、地方厚生局の処理事案は1,119件で、日本年金機構が処理した事案は2,144件、合わせて3,263件処理したということでございます。なお、この詳細につきましては、後ろのページで図やグラフによって説明させていただきます。
4ページは、第三者委員会の過去の経緯の数字でございます。平成21年度、平成22年度当時は、年間受付件数6万件に及んでおりましたが、その後の減少傾向で現在のような状況に至っております。
5ページをご覧いただきますと、今回の処理状況につきまして棒グラフにしたものでございます。右側の今回の処理件数のうち平成30年度をご覧いただきますと、日本年金機構の処理が大体全体の約3分の2、地方厚生局に送られて審議会の審議を経て処理しているものが約3分の1という構成になっております。
6ページは、平成30年度の処理件数を訂正されたものと不訂正のものを円グラフにしたものでございます。傾向的には、厚生年金は訂正決定が多いのですが、国民年金、脱退手当金は不訂正決定が多いという平成29年度同様の傾向でございます。
7ページは、第三者委員会以来の記録訂正の傾向でございます。第三者委員会の下半期、後期と申しますか、大体平成24年度以降くらいから7割台、8割台の記録訂正率になっております。若干の数字の変動はございますけれども、平成30年度においても80.9%という状況になっております。
8ページは取下げでございます。取下件数が平成30年度も262件あったということで、大体全体の数パーセントの取下げが行われたということでございます。
これらの結果を受けまして9ページに入らせていただきますと、処理中事案件数ということで、平成30年度末現在、平成31年3月31日においてどれだけ処理して、翌年度に繰越したものは何件かということでございます。合計欄を見ていただきますと、2万1,854件の受付累計に対して、マル2、マル3のような処理が行われた結果、年度末で翌年に繰り越されたものは863件ということでございます。94%は平成30年度末までに処理が終わっているということでございます。平成29年度末と比較しますと、年度末の翌年度への繰り越しの処理中事案件数が960件から863件へと減っております。
10ページにつきましては、いわゆる処理期間、事案の処理にかかる時間でございます。標準処理期間143日となっておりますが、事案の処理が進む一方で、中にはどうしても複雑で時間のかかる事案も最近は散見されますので、そうした影響もありまして全制度平均では158.1日ということになっております。
(1)は地方厚生局でございます。
(2)は、いわゆる証拠があって資料もあることで日本年金機構段階で回復されるものですが、これは今、平均して74.8日で処理が終わっているということでございます。
11ページをご覧いただきますと、請求者の状況ということで、訂正請求は御本人だけではなくて、遺族年金、未支給年金など、一定の給付を受けられる御遺族の方も訂正請求が可能でございますが、第三者委員会当時と同様に御本人の請求が圧倒的に多いという状況になっております。
12ページが年齢階層でございます。年齢階層でいきますと、60歳台以上が5割を超えてはおりますが、第三者委員会当時、6割が60歳台以上の方だったのに比べますと、どんどん現役世代の方が増えてきている状況でございます。
13ページをご覧いただきますと、かつて第三者委員会の最後の頃でも裁定済み者が6割いらっしゃったのですが、現在をご覧いただきますと、いわゆる年金受給者(裁定済み者)は4割ということで、だんだん現役世代の方の比重が高まっている昨年来の傾向は引き続いていると思っております。
14ページは、住所地別で、大都市を抱える都道府県がどうしても順位が高くなっております。
14ページまでは、事案の件数でございますが、15ページからは数字の性格が若干変わりますので御説明を加えさせていただきます。14ページまでは、請求者が1回に出される事案を1件で数えておりましたが、15ページからは、1件の事案の中に普通は請求期間1件、例えば、平成30年4月から平成30年9月までといった形で、1つの請求期間があるケースが多いのですが、事案によりましては例えば賞与などでも、私は平成16年8月と12月、平成17年5月とか、1人で請求期間を複数、多い方では10ないし20、請求される方もいらっしゃいます。しかも、1つの事案の中でいろいろなタイプ、例えば賞与についての請求と、被保険者期間の請求といった違う性格の請求をする方もいらっしゃいますので、どうしても細かな事案の分析となりますと、地方厚生局の審議会が審議している、一件一件の単位である請求期間ごとに事案をばらして検討する必要があるということで、第三者委員会当時こうした検討が行われておりますので、私どもも踏襲しております。
従いまして、平成30年度2,191件と書いてありますが、これは1つの事案の中に含まれている請求期間にばらしたものでございますので、3ページでありました地方厚生局処理事案1,119件の事案をばらした請求期間が2,191件でございます。従って、大体処理事案1件当たり平均すると請求期間が2件以上は含まれているものが多いということかと思います。
説明を戻させていただきまして、請求期間の分類をご覧いただきますと、平成30年度は厚生年金で特色がございます。15ページの標準賞与額に係る訂正請求が、平成29度は2,064件ありましたのが、平成30年度は半分以下になって849件ということで、標準賞与額の件数が非常に減っている。ただ、一方で、標準報酬月額に係る訂正請求は247件から248件と横ばいであると。従いまして、標準報酬月額事案の比重が高まったということになります。この標準報酬月額では各月の標準報酬を吟味するものなので、なかなか手間がかかるもので、処理にも時間がかかるものでございます。そういった事案が増えているというか、比重が重くなったというのが、今回の平成30年度処理事案の特徴でございます。
16ページが請求期間、いつの時点を問題にしているのかということでとらえたものでございます。平成15年4月以降が圧倒的に多くなっておりますのは、賞与から保険料を徴収ようになった制度が導入されたのが平成15年4月以降なので、これ以降が多いと。ただ、右側の棒グラフをご覧いただきますと、青の縦縞が平成29年度のケース、下の青色が平成30年度のケースでございますが、平成15年4月から平成19年3月という、標準賞与が導入された頃の事案が、平成29年度は1,053件あったのが平成30年度は207件ということで、これを見ますと古いものの処理件数が、結果としてかなり減ってきているということでございます。
17ページは、請求期間の月数別でございます。賞与は第三者委員会以来1カ月にカウントしておりますので、1カ月が圧倒的に多いのは標準賞与事案を示しているものでございます。
18ページは、今回の請求期間を訂正されたものと不訂正のものに分類したものでございます。これをご覧いただきますと、処理件数が多い厚生年金に若干特徴がございまして、標準賞与額についての訂正請求は件数が減っております。平成29年度訂正決定1,844件だったものが、平成30年度は765件ということですが、ただ、賞与に関しては右側の棒グラフをご覧いただきますと、訂正決定率、訂正請求されたもののうちどのくらい訂正されたかというと、9割方は訂正されるという傾向は平成29年度と変わっておりません。
一方で、標準報酬月額をご覧いただきますと、標準報酬月額につきましては件数はほとんど変わっていないのですが、不訂正の割合が増えております。不訂正の割合が増えるということは全期間訂正が減っているということもありまして、平成29年度は標準報酬月額は7割訂正決定されたものが、平成30年度は55%ということでございます。
私どもは第三者委員会以来、申立人の事情を汲み取り幅広く資料を集めてという姿勢で行っておりますので、例えば、こういう不訂正の場合はいろいろ資料を調べて、いろいろ検討したけれども、やはり訂正に結び付かなかったということになりますので、不訂正が多いということは事務方としては処理・調査に時間もかなり要しているのではないかと、この数字からは思われるところでございます。
もう一点でございますが、19ページをご覧いただきますと、請求件数に対してどのくらいの月数があるのかということでございます。これも厚生年金をご覧いただきますと、標準賞与は全て1カ月ということになって、何年何月ということなので、第三者委員会当時から1カ月にカウントしておりますが、厚生年金のマル3をご覧いただきますと、訂正決定、不訂正決定の平均月数でございますが、例えば、標準報酬月額の訂正請求は、訂正決定されたもので平均月数で30月、不訂正に至りますと平均で35.1月で、標準報酬月額につきましては平均でも大体2年半、かなり時間がかかるケースになっております。この辺が今回はどうも賞与が減った分、標準報酬月額の比重が高まって、こういった傾向が表れているところでございます。
20ページは、先ほども出ました請求期間別でございますが、平成15年4月以降の件数が多いのは、先ほど御案内のとおり、標準賞与事案が含まれているからでございます。
21ページは、月数にしますと1カ月を上回るものより1カ月、これは賞与が1カ月ということなので、どうしても1カ月が多いということでございます。
続きまして22ページは、厚生年金の訂正決定に至る適用法、理由となった法律でございます。これは平成29年度と同様の傾向でございます。給与から保険料が天引きされているけれども記録が無い、いわゆる事業主の届出漏れによる訂正を認めた厚生年金特例法の対象が圧倒的に多いということでございます。また、訂正された事案の中でも標準賞与に基づくものが非常に多い傾向が示されております。
ここまでが、請求件数に係る数字でございます。
23ページからは、総務省の第三者委員会以来、1つの事案を、例えば標準賞与事案がありますと、私は平成15年12月にボーナス50万円から保険料を引かれたという申立てがあると、例えば給与明細があるとか、事業主から確かに保険料を引いていたという供述があれば、プラスに働くものは積極的事情と言い、例えば、この人にはボーナスを払っていないという証言が出れば消極的事情と申しており、その総合的判断で決定していたのですが、その辺の状況を第三者委員会の考え方を引き継いだ地方厚生局の審議においても、適切に行っているということを数字化したものでございまして、中身的には訂正決定されたものは積極的事情が多くて、不訂正のものは消極的事情が多いという傾向になっております。
大変恐縮でございますが時間の都合もございますので、23ページは全体像で、24ページと25ページは1件当たりの平均でございます。26ページ、27ページは、今の話を具体的な事項を列挙したものでございます。
続きまして、28ページは、日本年金機構が記録を訂正したものの件数でございます。今まで地方厚生局の処理事案に関しては、請求期間でばらしたものだったのですが、28ページは日本年金機構の事案件数を挙げております。
ただ、ここでお断りいたしますのは、先ほど3ページでは日本年金機構の平成30年度の処理事案件数は2,144件と申しておりましたが、この資料の注にございますが、2,144件は全期間について日本年金機構が訂正したもので、一部訂正したものが45件あります。従いまして2,144件に45件を足しまして、またさらに、1つの事案の中に複数の、例えば賞与と転勤というものにまたがっているものが10件ありますので、45件と10件を合わせた55件を足しまして、ここで言う処理件数は2,199件となっております。
2,199件の内訳ですが、うち95.5%は標準賞与事案になっております。日本年金機構で処理できるものは資料が揃っているものですので、直接的な資料があるもの、証拠があるものを記録訂正するのが日本年金機構の役割になっておりますので、賞与が圧倒的に多いということでございます。
29ページはその説明でございまして、30ページと31ページは、地方厚生局で事案を処理するに当たっての地方年金記録訂正審議会の状況を挙げております。件数は減ってきておりますが、精力的に御審議いただいている状況でございます。
続きまして、32ページからは今までと若干話が変わるのですが、今までは地方厚生局が行っていた処分についてですが、32ページは私ども年金記録審査室が行っております審査請求、地方厚生局の処分に不服のある方が申し立てた審査請求の説明でございます。
令和元年度上期、令和元年9月末現在でございますが、受付総数が531件ございまして、そのうち裁決なり取下げをすることで処理されたものが448件で、84%は処理が終わっております。途中で制度の変更等もございまして、行政不服審査法の改正で審理員の導入なども行われましたが、最近は順調に推移しておりまして大体8割方処理は済んでおります。
33ページでございますが、審査請求の平成30年度の78件でございますが、審査請求につきましては、先ほどの地方厚生局の処分とはちょっと様相を異にしまして、裁定済み者(受給者)が多いと。これを見ますと裁定済み者が71.8%を占め、60歳台以上の方が大体4分の3を上回るという傾向が出ております。
34ページは、今申し上げました申立てがあった78件の事案を、その事案に含まれる請求期間ごとに分解したものです。ですので、78件に相当するものは135件なのですが、こういった傾向を示しております。やはり国民年金に関する申立てがかなり多い傾向が見てとれます。
35ページは、訴訟の状況でございます。令和元年9月末までに訴訟の総件数40件となっておりますが、(3)の下を見ていただきますと、そのうち判決が確定したもの22件、取下げ2件で、令和元年9月末の時点で裁判が続行しているのが16件になっております。これらの裁判におきましては、私どもの認定基準要領を合理的と評価いただいておりまして、私どもの訂正請求の基本的枠組みに対しては何ら変更を加えるようなことはない内容になっております。
36ページ、37ページは、私どもの事務実施体制の説明でございまして、38ページ以降は参考資料で、制度のあらまし、また、最近の平成30年度、令和元年度の各月ごとの細かな数字を載せております。
大変恐縮でございますが、以上で御説明にかえさせていただきます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問・御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
山口先生、よろしくお願いいたします。

○山口委員 御説明ありがとうございます。
件数の推移について、これまでの件数の推移を御説明いただきまして、これまでとの傾向の違いとして15ページで御説明いただきました、標準賞与額に係る訂正請求の件数が減り、標準報酬月額に係る訂正請求は横ばいであるけれども比重が高まっているということでした。これまでは、どちらかというと件数の多さで見ておりまして、標準賞与額の訂正に関するものが多かったので、そこに着目していたわけです。その部分が件数としては減ってきたということですが、一方で、その中で困難事例が見えてきて、古く遡るものや請求期間が複数あるものの対応は、なかなか訂正に結び付かないところも含めて困難事例という位置付けになるのかと思います。最近はいろいろな形で情報が確認できるようになってきていることの表れとも言えると思いますが、正確であることがまず第一なのですけれども、この手続によらないでも対応が可能であるとすれば、そちらをしっかりやっていただきたい。また、困難事例というのは年々対応が難しくなっていくことが想定されますので、むしろこの手続によらないと訂正の可能性がなかなか見出せないものということでいえば、この手続においては対応の精度を上げて、今後もこの手続を行っていただくようにお願いしたいと思います。以上です。

○白波瀬分科会長 今、御要望に近いものがあったと思うのですが、何かありますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 日本年金機構でございます。
今、標準報酬月額の相違の案件が横ばい傾向にあるというところで、それをなるべく解消していくようにという御意見をいただきました。ありがとうございました。
御案内のことかと思うのですが、標準報酬月額の決定につきましては、入社したときや毎年1回4月、5月、6月の算定基礎、昇給したときに3カ月の平均をとって決めるという月額変更などの複雑な決め方をしているところが、事業主様にまだ浸透し切れていない部分もあるのかなとは思ってございます。各広報誌媒体等を通じまして、また算定基礎届の頃には説明会等も行いまして、そういう制度については説明しているところでございますが、100%きれいな届出が必ず出てくるという形ではないのが現状でございます。また、決め方が難しいというところで、御本人はもう少しもらっていたはずなのにということで、よくよく調べると法律どおりでしたというケースもあるのかなとは思ってございます。
日本年金機構といたしましては、届出が適切に行えるような啓蒙活動は当然やっているところでございますが、また事業主等々の事業所調査のところで届出が適正に行われているかというところもしっかり見る形の取組を行っておりまして、先ほど委員からおっしゃっていただいたとおり、手間のかかる訂正手続を経ずに記録がしっかり直っていくように取り組んでいるところでございます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございます。
今、事業主という話が出たのですけれども、事業主さんももう亡くなっている、その事業そのものが無いという事例、要するに期間がどんどん長くなっているというのがここでも見てとれまして、複雑化しているということが明らかなのですけれども、そのあたりのマニュアルはありますか。期間が長くなればなるほど御本人も高齢なのですけれども、事業も閉めてしまうということもあると思いますが、そのあたりはどうですか。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 先ほど申し上げた啓蒙活動であるとか、事業所調査というのは今存在している事業主に対してということになりますので、ねんきん定期便等で御本人に記録を確認していただいて、これはおかしいなというときには申立てをしていただいて訂正請求というように話が流れてくるかと思います。そのときどうしても会社が存在しないと調べ切れないケースも出てきますので、私どもとしてはなるべく早く正しい手続をしていただいて、事業所が存在する間にお話を申し上げさせていただいて、なるべく早く回復させていただくというのが本来の仕事の進め方だと思っていますので、事業所調査につきましても、件数が多くなってきていますので、毎年全ての事業所にはなかなか手が回らない状況ではございますが、手続漏れがありそうなところを見極めながら取り組んでいるところでございます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。石倉委員どうぞ。

○石倉委員 3点ほど御質問させていただきます。
1つは、日本年金機構のホームページで確認してきたのですけれども「年金記録問題への取組状況について」という速報ベースも含めた記録が年次で分かれて出ています。この分科会を含め、その前の第三者委員会も歴史的な経緯から言えば、いわゆる5,000万件の年金記録の問題から始まっているものですので、平成30年1月の速報ベースだと1,938万1,000件の統合が終わりましたということになると、残っている件数もまだあるのかなというところで今どのような状況になっているのかと、今後の方針、予定について教えていただきたいというのが1点目です。
2点目につきましては、今回の御報告の中でありましたけれども、いわゆる賞与事案は落ち着いてきているということと、もう一方で見えてきているのが標準報酬月額の変更訂正、この部分が割合として増えたという形になっていますが、今後の流れの中で日本年金機構もいわゆる電子申請、Gビズを利用したID・パスワード方式の電子申請を推進するという流れが出ておりますね。そのときに、先ほども事業所調査等というのがございましたけれども、申請書類の確度、申請者の属性確認の部分でのセキュリティ的なレベルを高めていかないと、申請書類の確度が上がっていかないところが見えてくるだろうと思われます。その辺で我々も若干不安を感じておりますけれども、どのようなお考えをお持ちなのか、もしくは対策を練るおつもりなのか、あればお聞きしたいということです。
3番目に、我々社会保険労務士としては年金相談の現場にもいますし、街角の年金相談センターから運営委託を受けて実際、裁定請求書等々をお預かりする業務もお手伝いさせていただいておりますけれども、今、方針としては予約相談という形が出ています。その中で、年金事務所がいわゆる予約相談で予約が無いと相談を受けられない、予約がいっぱいだ、今日は取れないという方も出ておりまして、その方々が我々の年金相談センターに流れてきているような事象も見えています。担当者のマニュアルの中では、予約が無いことを理由に断ることのないよう適切な御案内をすることという方針も出ているのですが、実際はこぼれているケースもあります。私の地元の大宮年金相談センターでは、年金事務所から回ってくるのが約7%です。いわゆる断られた、予約が取れないということです。
なぜこういうことを申し上げるかというと、これからの社会を考えていったときに、もちろん老齢の裁定請求はありますけれども、遺族年金の裁定請求であるとか、障害年金の裁定請求も増えていくことが予想される。そのときに御本人だけではなくて、御家族・御遺族が御本人に代わって申請に来られるときには、会社を休んで有給休暇を取って来るようなケースもあるわけです。そんな方々に対して、今日は予約がいっぱいだから相談を受けられませんというような事象も実は見えてきているのが現実です。その辺についての対策は考えていらっしゃるはずなのですけれども、そこはぜひ取組を強化していただきたいと。3番目は要望ということでお願いします。

○白波瀬分科会長 ありがとうございました。
では、日本年金機構さん、最初2つあったかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 まず、1点目の5,000万件の現状についてですけれども、5,000万件のうち現在未解明、これから解明しなければならないものについては約1,800万件となっております。これにつきましては、これまで過去に、これはあなたの記録ですかということでねんきん特別便等の各種のお知らせをしてまいりました。このお知らせに未回答の方について、もう一度お尋ねするということを平成30年度から行っております。
その他、送り先が分からない記録もございますので、それにつきましては一般的な広報になってしまうのですけれども、ねんきん定期便に漏れや誤りはありませんかということを記載したり、あとは受給者の方向けの統合通知書に同じように年金記録に漏れや誤りはありませんかという一文を載せまして、心当たりがある方については、お手数ですけれども年金事務所に来ていただいて、そこでもう一度調べさせてくださいという取り組みを行っております。

○白波瀬分科会長 あと、2点目の電子申請はどうでしょうか。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 電子申請の件につきまして回答させていただきたいと思います。
今、委員からお話しいただいたとおり、日本年金機構といたしましては、電子申請での手続を促進していくべく勧奨も行っておりまして、さらに拡大していきたいと思ってございます。電子申請の場合は、お手続が24時間受け付けできるというメリットもございますし、また、日本年金機構側としても事業主様から入力したデータをそのまま記録に反映させることができるということで、パンチ上の入力ミスも無くなる仕掛けということでは推し進めていくべき事業と考えてございます。
おっしゃっていただいた届出の正確性・確度の向上をどう維持していくかというところでございますが、日本年金機構で考えてございますのは、今持っている年金記録と届いてきた届出書の内容が余りにも等級が離れているとか、月が遡って手続が出てきているという、大丈夫かなという届出に関しては、事業所調査などを取り組むなどして、届出に間違いはないのかを確認しながら処理していくという施策を打ってございますので、事業所調査とリンクして届出書の正確性を担保・確保していくという取り組みで考えてございます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございます。
あとセキュリティの話もちょっと出たのですけれども、その対策、その他は何かございますか。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 担当部署でないので細かいところまではわからないのですが、GビズIDでのID・パスワードでの届出も令和2年4月から始まる予定ですので、その辺も含めていただいた届出が相手様に間違いないかの確認の方法も含めて検討していると聞いてございます。

○白波瀬分科会長 あと、予約相談につきまして御要望ということなのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

○瀧波日本年金機構年金記録企画部長 予約相談で、予約していない方に長時間お待ちいただいているケースが有ることは確かに私どもも承知しております。その辺につきましては、担当部署にこういった御意見がこの場からも出ましたということをお伝えさせていただきます。

○白波瀬分科会長 石倉委員、よろしいですか。
あと、いかがでしょうか。神津委員どうぞ。

○神津委員 いろいろと報告を聞いて、平成19年から去年、今年の推移を聞いていると隔世の感があるというか、すばらしい進捗状況だと本当に評価させていただきたいと思います。特に標準賞与額に係る訂正請求が、平成29年度と平成30年度の比較ですけれども2,064件から849件に減ったということで、まず、その理由をお伺いしたいと思います。去年も私はこの席に出て、賞与については、悪質な間違いではなくて事業主の認識不足が非常に多いのではないかということでしたけれども、減った原因の分析もお願いしたいと思う次第でございます。15ページの資料によりますと、平成30年度の請求件数の合計が、平成29年度の3,755件から約1,500件、減っていますが、そのほとんどが標準賞与だということでございますので、その理由が知りたいなということでございます。
それから、35ページに訴訟に至った経緯の数値が出ておりますけれども、いわゆる国側・原告側の勝ち負けというか、どちらの判決が下ったかの資料がもしあおりになればお示しいただけると幸いです。
以上でございます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。お願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 1点目につきましては、私どもの記録の今回の訂正の数字上からの御説明ですけれども、先ほど16ページでも若干説明させていただいたのですが、今回、請求件数が減ったことの過去の訂正請求を見た限りでは、平成15年4月から平成19年3月が大体800件くらい前の年より件数が減って、次の平成19年4月から平成25年3月までが大体400~500件減っているというのがありましたので、私ども訂正請求の数字を管理している方から見ると、平成19年から始まった第三者委員会でも賞与については年間何万件と後半でかなり処理しているので、結局平成15年4月頃というと、制度の導入でまだいろいろ御理解いただけなかった頃の届出漏れも多いと思いますので、古いものが減ってきたのは、さばけてきたのかなというのが1点でございます。ただ、これは私どもの過去の記録だけの話なので、それを説明とさせていただければと思っております。
もう一点でございます訴訟の件につきましては、実際私どもの事案の中で、訴訟の中で判決が下りました22件のうち2件は、国側の申立てが一部認められずに一部原処分取消しというものがございました。ただ、1点は、実は裁判の段階になって新たな証言なり供述が登場してしまいましたので、もしそれがもっと早く出ていれば、それこそ原処分も変わったかなと。もう1点は、中身は雇用関係が有るか無いかに関わる問題だったのですが、事業主側は、この人はいわゆる請負で雇用関係は無いと言っておりましたので、当時、審議会でも事業主の供述を重く受け止めたのですが、その方の明細書がありまして、裁判所が一部の期間はこの明細書からすると雇用関係有りではないかという御判断をされたものがございました。
ですので、この2件ともかなり個別の事案でございまして、1件は新たな事情が法廷で出てきたために回復に結び付いたものなので、いずれの裁判におきましても、私どもの訂正請求の基準そのものについては何ら問題無いけれども、認定基準要領でもここは訂正できるのではないかと裁判所で一部判断いただいたものでございます。あとは全て私どもの主張が認められたものでございます。
簡単で恐縮でございますが、以上です。

○白波瀬分科会長 1点目の質問なのですけれども、標準賞与訂正がこれだけ減ってきたということに対しては御努力だと思うのですが、自然に少なくなってきた背景は何ですかというのが神津委員の御質問だったように思うのですけれども、どうぞよろしくお願いします。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 日本年金機構から回答させていただきます。
賞与の届出につきましては、御案内のとおり事業主様にしっかり制度を理解していただいて届出していただくのが基本であります。その制度広報、制度周知はやっておりますけれども、なかなか全てが解消できない部分はありますので、手順としましては、賞与予定月をあらかじめ届けていただいて、その前月には紙やCD媒体でのターンアラウンドの用紙をお送りさせていただいて届け出ていただく。翌々月になっても届出がない場合には、勧奨はがきを送ったり、それでも出てこなければ事業所調査ということで取り組ませていただいていますので、そういう仕掛けがしっかりついてきているのかなというのが1点目と、後は、この分科会の中でも賞与の届出漏れというのは、記録訂正請求では手間のかかる手続を踏まずに何とかすることができないかという御議論を毎年いただいてございましたので、事業所調査の際には当然のことながら直近2年間の中で賞与が出ていないかどうか、漏れが無いかどうかを確認させていただきますし、制度の説明をして、さらに過去のものについても、もしあれば手続をしていただき訂正請求できることをアナウンスしているところでございます。
繰り返しになりますが、先ほどの届出の勧奨ですとか、事業所調査での説明というところがだんだんついてきているのかなとは考えているところでございます。

○白波瀬分科会長 ありがとうございました。
他の委員、いかがでしょうか。お願いいたします。

○瀬川委員 先ほどの審査請求及びその後の訴訟の中で、残念ながら国側の主張ではなくて新たな証拠が提出された結果として、裁決の取消しがされたという案件が出てきたということだと思いますが、結果論から見れば、たまたま訴訟になったら新たな証拠が出てきたという現象なのだろうと思いますけれども、訴訟でそれが出てくるのであれば、どうして調査の段階で、あるいは審査の段階でもうちょっと御調査をするなり、あるいはそういったものの提出を求めるなり御努力をいただくといったことがなかったのだろうかといったところが、かつて第三者委員会でそういうことを必死になって行っていた立場上ちょっとそれを感じます。従って、その辺についての具体的な今後の対応、場合によってはそれぞれが審査される審査機関、地方の審議会あるいは日本年金機構での窓口対応の要素の中に、今回経験されたような、実はこんなことが後から出てきたんだよね、後から出てきたということはあったということですから、それを何とか探究できるような方法をみんなで考えていって、それをマニュアル化、ルーティン化していくようなことをなされば、多分そういったことは起こらなかったのではないかと思うのですが、その辺については何かお考えというのはおありでしょうか。

○白波瀬分科会長 いかがでしょうか。

○中嶋年金記録審査室長 ただいまの件ですが、委員からも御指摘ございますとおり、なぜ訴訟になるまで資料が集められなかったのか。確かにおっしゃる問題に関しまして、担当する全国の地方厚生局に年金審査課がございますが、不定期ではありますけれども、そういう訴訟についてのいろいろな話や、諸々の担当者の会議がありますが、そういう場でこういう事例につきましても説明いたしております。
委員が御懸念なさるのは、例えば第三者委員会の先例が有るものだったら、第三者委員会の資料をある程度活用、そちらに目をとられてという事例ももしかしたらあるかなと。そういうことにつきましては今回おっしゃったようなことがありましたので、個人情報にも当たるので細かいことは差し控えさせていただきますが、実は、今回、訴訟で処分の一部取消の判決が出た事案は、第三者委員会で過去数回非あっせんになった事例でございました。そういう事例は御案内のとおり判断基準は変わっておりませんので、第三者委員会が非あっせんにしているものは基本的に私どもとしても訂正はできないと。ただ、反省していますのは、そういう先入観があって、場合によってはもう一歩踏み込んで証言や供述を取る努力がもしかすると足りなかったのかなということもございましたので、そういう研修の場で具体的にこういう事例も有るので、そこはよく取るようにということを説明することとしております。
従いまして、そういうものをもう少し整理して、私どもとしても事例を周知して、瀬川委員には第三者委員会でもいろいろ御指導賜りましたが、調査が私どもの要でございますので、そういう調査に活用できるように、もう少し研修の場などでの資料をいろいろ整理してやっていきたいとは考えております。

○瀬川委員 実は、その第三者委員会のときに深く掘り下げていろいろ資料を収集できたのは、それなりのマンパワーがあったことを痛感しているんです。第三者委員会制度が完全にすり替わる形になった状態のときに、現状の中で記録訂正に関する窓口対応、日本年金機構においても地方の審議会においても、どの程度の窓口対応と、それに対する調査に当たる方々のマンパワーがどの程度にどうなっているのかといったところが見えていないものですから、参考までにどんな体制で、どの程度の人員で、どのような仕組みになっているか、もしお教えいただければと思いますが、いかがでしょうか。突然の御質問で済みません。

○白波瀬分科会長 いかがでしょうか。日本年金機構さんからどうぞ。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 今の御質問ですが、数字が今手元に無いのですけれども、基本的にはお客様窓口は年金相談室で年金受給者のことであるとか請求の関係を承っております。お話の中で記録の訂正についてということで御相談があったときには、厚生年金の記録であれば厚生年金担当の部署の者が同席して、国民年金であれば国民年金担当の部署の者が同席してお話をお伺いさせていただいて、手続を御案内させていただくという体制でやってございますので、特に専門的な記録訂正の担当者は決めてはございませんが、お客様窓口の中で連携しながら取り組んでいるのが現状でございます。

○瀬川委員 窓口数というのは従前に比べて増えているのでしょうか、減っているのでしょうか、そこはいかがですか。細かい数字でなくていいのですが、この分科会をやっている途中で、ある段階から窓口がいろいろな形で統合されていった、整理していったと言えばそういうことなのだろうと思いますが、ある意味では窓口を集約化していっているというお話を伺ったことがあるものですから、それに対応されるマンパワーがどうなっているのだろうかと。結局そこが足りないと、調べろといっても重労働であることは重々承知しておりますので、過剰な負担になってしまうのかなという気もしますから、全体としてどんな体制で、あるいはそれを増やしていく傾向にあるのか、やや整理していく傾向にあるのか、その辺はいかがなのでしょうか。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 全体的なお話で申し上げさせていただきますと、日本年金機構として取り組んでいる事業としまして、事務処理に関しては事務センターに集約していくという流れになっております。事務センターで集約されて生まれてくる人材につきましては、年金事務所などに転換させていただいて、対策系やお客様の相談系であるとか、そういう事業に当てていこうという大きな方針がございますので、相談を縮小していく方向があるということではないです。

○中嶋年金記録審査室長 地方厚生局の体制でございますが、第三者委員会の最終段階の平成26年に調査員の方が抱えていた事案数を目安にして、調査員の確保はしております。件数が平成26年の最終段階でも9,200件くらいございましたので、今はその当時と比べますと半分以下になっておりますので、そういう点でいうと調査員の数は減っておりますが、こなした件数が処理できる見合いの調査員を確保しております。

○白波瀬分科会長 よろしいですか。今の点は私はすごく重要だと思っておりまして、頭割りというわけにはいかないと思っていて、それはこういう形で丁寧に毎年出していただく数字の中でも残っている案件がかなり複雑なわけですね。本来であれば、こういうことはあるべきことではないけれどもというところがあると思うのですが、予約につきましてはものすごく大変なことで、全て断らないという言葉は美しいわけですけれども、現場の方からするとかなり厳しい。その中でサステーナブルで今後どうかということは、ゼロにならないとだめというところを限りなく追求するのか、1人5件であっても内容がかなり複雑になっておりまして、アナログで分からないことも多いときに1人の調査員が抱えなくてはいけないという状況は、若干本末転倒のようなところもあります。あと、少し気になっているのは、上司と横のつながり、これは担当ではないからということでは済まされない案件であると思います、特に複雑になっていますし。記録やデータにつきましても、ビッグデータ、その他が日進月歩でデータサイエンスがある一方で、セキュリティも日進月歩でかなり複雑化しています。このあたりは、この分科会は非常に地味だと思うのですけれども、ある意味で集約されている部分がございますので、そこはしっかり明確に大きな声で言っていただく必要があるのではないかと個人的には考えておりまして、窓口など現場の状況がわかるような情報は、部長レベルでももう少し持っていただきたいなというのが私の個人的な意見でございます。
あと、委員の皆様、いかがでしょうか。鈴木委員、何かありますか。

○鈴木委員 今のお話と関連しまして。今の定員を確保されているというお話なのですが、事案が複雑化しているということを加味して作っておられるのですか。

○中嶋年金記録審査室長 今の件ですが、我々としても調査員の方についても困難ケースもありますので、そういうものも踏まえて確保している次第でございます。そこは地方厚生局の年金審査課の実情を踏まえてやっているのが1点。
あと、これは行政処分でございますから、調査員だけではなくて職員が中心になって対応するべき一面もございますので、そこは私どもも連携の輪に入って、例えば問題があればいろいろ疑義照会なりを通じて、情報を共有してバックアップするような体制もしているつもりでございます。決して全て各地方厚生局任せにしているわけではないことを御理解いただければと思います。

○白波瀬分科会長 あとはいかがでしょうか。
池田委員、何かありますか。

○池田委員 年金記録訂正分科会というところなので、ここに固執するのはと思いながら、先ほど石倉委員が聞いていただいた予約の問題です。予約が無くても門前払いにはしませんよと言っていただいていますが、やはりお客様ファースト的な感覚を日本年金機構というところで、特に窓口でもっと重要視していただきたいなと思います。私の方もちょっと聞こえてくるところがありまして、予約が望ましいという原則は徹底しつつも、いらしてくださった方には次の予約を改めて御案内するとか、来ていただいたことが無駄にならないような対応は改めて徹底していただきたいと常々思っているので、これは年金記録訂正分科会でわざわざしつこく言うことではないと思いますけれども、改めてお願いさせていただきたいと思います。

○白波瀬分科会長 ありがとうございます。これは周知という点ではどうなのでしょうか。正直申し上げて二面性があると思います。窓口に立って一応言っているのに、それでもたくさんお待ちの方がいて、それに対する対応は絶対にやらなければいけないのかという議論もあるし、お休みをとって来ているのに門前払いというのもすごく難しい現場があるような気もするのですけれども、どちらもいいようにというのは難しいと思いますが、少し時間の話や人数を増やしてもらうとか、そのあたりはどうでしょうか。

○入澤日本年金機構厚生年金保険部長 今、分科会長からお話しいただいたように、年金事務所の窓口では決して予約がなければ、今日はできませんという対応はしないことになっています。お客様がいらして、今日は予約が無いのですがと来た場合に、もう少しお待ちいただけるのか、もう一回予約を取って出直していただくことが可能なのかをお伺いさせていただいた上で、御本人の希望で待ってもいいから今日対応してほしいということであれば、その日のうちに対応させていただいているところでございます。ケース・バイ・ケースもあるかと思いますが、基本的にはお客様の意向を確認した上で、ご予約を取り直していただくのか、もう少しお待ちいただいて相談させていただくのかを御案内させていただいております。

○白波瀬分科会長 ありがとうございます。
大西委員、よろしいですか。

○大西委員 はい、大丈夫です。

○白波瀬分科会長 南委員、いかがですか、よろしいですか。

○南委員 はい。

○白波瀬分科会長 ありがとうございました。やはり基本的に行き着くところは現場の話で、一人一人いろいろな思いがあって現場に行くということがございますけれども、一応議論は尽くしたということで、コメントや質問、要望もありましたので、御検討いただいて御対応いただければと思います。
本日の議題等はこれで全て終了いたしました。次の日程について、事務局から説明をお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 本日は、いろいろ御指摘いただきまして、ありがとうございました。
次回の日程につきましては、また後日改めて日程調整の御連絡を差し上げたいと考えております。
本日は、大変ありがとうございました。

○白波瀬分科会長 どうもありがとうございました。