第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和元年11月29日(金)15:30~17:30

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 

○阿部部会長 ただいまから、第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。議事に先立ちまして、雇用対策基本問題部会の委員に交代があり、労働者代表の小倉委員が退任されました。退任された小倉委員におかれましては大変お世話になりました。部会を代表して感謝申し上げたいと思います。続いて、新たに就任された方を御紹介いたしますので、一言、御挨拶をお願いいたします。全国建設労働組合総連合技術対策部長の小林正和委員でございます。

○小林(正)委員 皆さん、こんにちは。御紹介いただきました全建総連の小林と申します。先ほど部会長からお話がありました前任の小倉に代わりまして、参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部部会長 よろしくお願いいたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の桑村委員、勇上委員、使用者代表の吉村委員、志賀委員が御欠席となっております。志賀委員の代理として、日本・東京商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、議事に入りたいと思います。議題1「高齢者の雇用・就業機会の確保について」です。事務局より資料の説明をお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長の野村と申します。次第に沿いまして資料の御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。雇用対策基本問題部会における主な意見ということで、1回目、2回目、3回目の議論をまとめています。今回につきましても前回の意見を中心に紹介させていただきますが、前回の意見につきましては下線付きの箇所を御覧いただければと存じます。
 3ページ目です。ここは全体としては70歳までの就業機会の確保について、基本的な考え方についての御意見です。1点目は(e)~(g)の選択肢に関して、これは雇用によらない選択肢という所ですが、労使双方が納得して制度が導入されることを担保するという仕組みとしては、労使合意を得ることが適当ではないかという御意見を頂きました。次の点ですが、ここにつきましては前回の御説明の中で、70歳までの就業機会の確保の責任は基本的に60歳まで雇用した事業主が負うという説明をしたところです。それについて異論はないが、特殊関係事業主で雇用された労働者が65歳になった時点で、60歳まで働いていた企業に再び戻ることについては心理的な面や環境の変化に十分配慮する必要がある。こういう御意見を頂きました。そこに関連して次の点ですが、60歳時点において、65歳以降の取扱いについて、あらかじめ確認しておくべきと読めるが、その際にどのような内容が想定できるのか、現実的なものとなるよう考える必要がある。こういう御意見を頂きました。次の点は、これも親会社と子会社が協定などを締結する。契約を結んだ上で再就職の措置を講じることを考えていますが、親会社の責任と担保措置をより明確にすることが必要ではないかと考える。こういう御意見を頂きました。次の点は、制度の対象者の限定という所ですが、これが努力義務の新設の段階でも必要と考える。こういう御意見を頂きました。その次の点、対象者の限定についてですが、それ自体を全く否定するものではないという前提において、60歳代前半と後半では健康状態あるいは介護など、置かれている状況が変わる。こういったことも踏まえて、60代以降を一括りにしていいのか。また、それを踏まえて、柔軟な工夫ができるような制度設計が望ましい。こういう御意見を頂きました。
 4ページ目です。上の所から、60歳代後半になるといろいろな事情があって多様性も増すので、労使で協議して制度対象者の限定ということもあるべきと考える。次の点、今回の施策は企業の人事制度全般に影響しかねないため、十分な労使協議を行う制度設計が重要である。次の点、具体案、例を示しながら議論していければよい。次の点ですが、全ての企業に同じように措置を講じていく必要がある。こういう御意見を頂きました。
 5ページは新たな意見はございません。6ページ目をお開きください。1点目の所は、フリーランス契約・起業について、対象となる事業は事業主が導入する制度の中で定めることができると資料の中で書いていましたが、それについて、現実的かつ合理的な案だと考えるという御意見を頂きました。次からの4つは、フリーランス契約・起業について懸念とか留意事項の御意見を頂きました。1点目は、フリーランス契約・起業について継続的な委託があるということを念頭に置いた制度と捉えているが、その点をより具現化してほしいという御意見がありました。2点目は、フリーランス契約・起業について、当事者が自立性を持って行うという一般的な認識があるが、今回の就業機会の確保の選択肢とされている中では、他の選択肢と均衡が取れたものを目指していく必要がある。3点目、フリーランス契約・起業について、事業主が導入する制度の中で定めるとあるけれども、全て事業主が決めることに関しては制度趣旨が損なわれるのではないか。4点目、フリーランス契約・起業について、特定の事業主からのみの業務委託となる場合は、実質的には主従関係があるようにも見える。そういった点も踏まえて、労働者保護のあり方も検討していくことも必要ではないか。こういう御意見を頂きました。
 次の点ですが、いくつかの選択肢が70歳まで並列するということが想定される。その中で、例えば(d)の選択肢で2年とか3年の期間雇うことが可能という場合に、残った2年、3年の期間は別の選択肢でつなぐという形で、複数を組み合わせるというやり方もあるのではないか。こういう御意見を頂きました。次の点ですが、(e)~(g)の選択肢に係る措置として事業主が実施する内容は、具体的に考え得る方向なので、さらに詳細を次回以降提示してほしい。こういう御意見を頂きました。また、今回提示している7つの選択肢について、後段になればなるほど労使とも対応したことのない世界であるため、現実的にどうできるか、できれば示してほしい。こういう御意見を頂きました。
 7ページ目です。ここについても今回提示している選択肢について、努力義務の範囲や時期について、段階的にやることを考えてもよいのではないか。こういう御意見を頂きました。次の点ですが、フリーランスについてということで、今までのスキルを活用して今までの職場に貢献できるので、労使双方にとって良い関係になり得るのではないか。こういった御意見も頂きました。併せて、可能ならばフリーランスとして働く高齢者の事例を示してほしいという御意見も頂きました。次の所、(e)~(g)について、雇用によらない働き方について、雇用から逃げる選択肢というようなネガティブな選択肢ではなく、個人のキャリアを広げるため、あるいは労働者の新たな選択肢を広げるものとして、国はアピールすることが必要ではないか。また、社会貢献活動についてイメージを狭めず、広げるようなイメージの枠組みを提示していけたらよいと考える。こういう御意見を頂きました。次は行政措置に関してですが、行政措置について、その発動要件についてはしっかり議論して、努力義務という意味合いを十分に踏まえた内容にしてほしい。こういう御意見がございました。次は事業主による措置の導入に伴って生じる対応について、再就職援助措置あるいは多数離職届出ですが、再就職援助措置については努力義務、多数離職届出については義務と、そういう方向での検討でいいかという確認の御質問がございました。
 8ページ目です。新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間について、4点ほど御意見を頂いています。全て十分な期間を設けてほしい、あるいは2点目の所で申しますと、中小企業は時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、改正女活法、パワハラ防止法など労働法制の施行が続き、現場負担がこれまでになく高まっている。こういった事情への配慮をお願いしたい。こういう御意見を頂きました。
 少し飛びまして10ページ、ここについては2点です。環境整備の所ですが、必要な支援について、産業雇用安定センターやハローワークの生涯現役支援窓口といったマッチングの強化に資する施策についても強化・拡充を検討してほしい。また、次の点も共通していますが、好事例を横展開してほしい。こういった御意見がございました。資料1の御説明は以上です。
 続きまして、資料2です。「高齢者の雇用・就業機会の確保に関する主な検討課題と対応イメージ」という資料を提示しています。前回、提示した内容に、記述を付加して提示しています。追加した部分を中心に御説明申し上げたいと考えています。1ページ目については変更はありません。2ページ目をお開きください。2ページ目は各措置の均衡ということで書き足しています。選択肢の均衡を図る上では、「70歳までの就業継続の可能性」と「就業時の待遇の確保」が重要であり、65歳までの雇用確保措置では、労働法規制によりこれらが担保されている。70歳までの就業確保措置については、「雇用」の選択肢((a)~(d))ですが、65歳までの雇用確保措置と同様、労働法規制によりこれらが担保されており、それが就業規則で明確化されているという前提がございます。これに対して、雇用によらない選択肢((e)~(g))では、これに対応するため、雇用によらない選択肢のみを講じる場合には、労使合意を得ることとしてはどうかとして、※の所は労使合意の具体的な方法です。(1)は、事業主は制度の内容を明示(制度の実施に関する計画を作成)する。(2)は、計画の内容について労使合意を得るよう努める。(3)は、合意した制度の内容(計画)を労働者に周知する。こういったことを通じて担保していってはどうかということで検討の方向性を書いています。
 3ページ目です。ここは○の所で、個々の労働者に多様な特性やニーズがあることと、それらに対する事業主としての対応可能性に鑑み、どのような仕組みが適切か。いわゆる制度対象者の限定の部分です。ここにつきまして、1点目、2点目は前回も書いていますが、現行の雇用確保措置は、希望する高年齢者全員を対象とした制度を導入することが事業主の義務とされている。一方で、今回検討いただいている70歳までの就業確保措置では、閣議決定された成長戦略実行計画において、第二段階の法整備、いわゆる義務化の段階において適用除外、制度対象者の限定について検討することとされています。こういったことを踏まえると、その前段階の努力義務新設の段階においては、対象者を限定した制度を導入することを可能とすることとしてはどうか。こういったことを方向性として書いています。「対象者を限定した制度を導入する場合」とありますが、その基準については労使が合意することが望ましい旨を、指針等で規定することが考えられるとして方向性を書いています。
 その下の所、労使の話合いについての論点です。1つ目、労使での話合いの趣旨としては、ここに書いてありますように3つの局面が考えられるとして書き分けています。1点目は、どのような選択肢を用意するか労使で十分に話し合い、双方納得した選択肢を用意することが重要であると書いています。マル2の所を書き足しています。先ほどの計画につながる所ですが、(e)~(g)の制度のみを導入する場合については、雇用によらない働き方であり、労働関係法令による様々な労働者保護が基本的に適用されないこと等も踏まえて、これを担保するために、制度の内容について労使で合意した内容とする必要がある。このように趣旨を書いています。
 それを踏まえて4ページですが、そういったことの3つの話合いを、どのようにして規定するかということで対応の方向性を示しています。マル1は、どの選択肢を用意するかについての話合いです。これにつきまして、65歳までの雇用確保措置では、「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」において、労使で十分に協議するという趣旨を規定しています。これを踏まえて、70歳までの就業確保措置についても指針で規定することとしてはどうかという方向性を書いています。協議の相手方としては過半数労働組合や過半数代表と話合いを行うことを想定してはどうかと書いています。マル2の雇用によらない選択肢の(e)~(g)の制度のみを導入する場合についての話合いですが、規定形式としては制度の内容について労使で合意することを法律で規定してはどうか。努力義務として規定してはどうかと書いています。協議の相手方としては、過半数労働組合や過半数代表と話合いを行うことを想定してはどうかということです。マル3は複数制度を導入した場合に個人にどの制度を適用するかについての話合いです。法令上、事業主はいずれか1つの措置を講ずることを努力義務として規定するため、複数制度の導入を前提とする話合いは、指針で規定してはどうかと書いています。これは個人への適用ですので、個人の希望を聴取することを指針で明確にしてはどうかという方向性を書いています。
 5ページ目です。ここについては追記した所を申しますと、3つめの点の「個人とのフリーランス契約への資金提供」の部分の四角の中です。1つは、定年後又は65歳までの継続雇用終了後に創業する者との間で、70歳まで継続的にということを付記しています。併せて、その下の所ですが、対象となる事業については、どのような事業を制度の対象とするか、事業主が導入する制度の中で定めることができることとしてはどうかと書いています。その中で括弧書きとして、退職した高年齢者がどのような事業を開始した場合でも、事業主が支援を行わなければならないものではないと付記しています。
 下の所、「個人の社会貢献活動参加への資金提供」の部分です。ここにつきましても5ページ目の一番下の所から、70歳まで継続的に従事できる制度という部分を付記しています。加えて、事業主が委託、出資する団体が行う事業の所の※の所にも、70歳まで引き続いてという部分を付記しています。その上で、社会貢献活動に含まれる「事業」の範囲として考え方を提示しています。どのような事業を制度の対象とするかは、以下の事業の中から事業主が導入する制度の中で定めることとしてはどうかと方向性を示しています。その上で、括弧の中では先ほどと同様、退職した高年齢者がどのような事業に従事した場合でも、事業主が支援を行わなければならないものではないとしています。これは事業主が制度の中で定めることとしてはどうかということの帰結として書いています。マル1は事業主が実施する事業、これは事業主が自ら実施する事業について高年齢退職者が従事し、報酬を得るものとしてはどうか。マル2が事業主が委託する事業ということで、これにも同様に従事し、報酬を得るものとしてはどうかと書いています。マル3が事業主が出資(資金提供)する団体が実施する事業として、事業主の出資(資金提供)により、高年齢者が参加する事業が継続されるよう、ここについては事業の円滑な実施に必要な資金を要件とすることとしてはどうかと書いています。
 2の「高年齢者の就業形態」の所ですが、これにつきましては雇用の選択肢との均衡の観点から、制度の対象となる事業は有償のものとしてはどうかと書いています。3の事業主と事業実施団体、他団体が実施する場合での契約締結の内容ですが、事業主と事業実施団体が締結する契約には、労使が合意して作成する計画に基づき、事業実施団体が退職した高年齢者に対して、70歳まで社会貢献活動に従事する機会を提供する旨を明示することとしてはどうかと書いています。
 7ページの上の部分です。前回の議論で組合せの議論が出ましたので、そこも論点として書いています。多様で柔軟な働き方を踏まえて複数の選択肢を組み合わせて、70歳までの就業機会を確保をすることについてどのように考えるか。1つの選択肢により、70歳までの就業機会を確保することだけでなく、複数の選択肢を組み合わせることにより、70歳までの就業機会を確保することも、努力義務を満たす措置を講じるものであると解することが適当でないかということで方向性を示しています。事業主の履行確保を図るための仕組みについては変更はございません。
 8ページで、事業主による措置の導入に伴って生じる対応についての所も変更はございません。
 9ページです。(4)新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間について、ここはこれまでに義務を新設した段階の記述を追加しています。四角の中の2つ目のポツですが、義務を新設した際等は、改正法の公布後7か月~1年10か月での施行となっています。努力義務段階では4か月~5か月、義務段階では7か月~1年10か月、こういったことを踏まえて施行の必要な準備期間を定めることが必要ではないかと考えています。
 10ページ~11ページにかけては、高齢者の活躍を促進するために必要な支援についてです。ここは初めて提示しています。参考となる資料については参考資料1としてそれぞれ既存の施策等を加えていますので、後ほどご参照いただければと存じます。支援策として、企業による雇用・就業確保に関する支援、再就職・キャリア形成に関する支援、地域における多様な雇用・就業機会の確保に関する支援と大きく3つの柱に分けて書いています。
 1点目の企業による雇用・就業確保に関する支援の所で、ここは3つのことを書いています。1つ目の点ですが、70歳までの就業機会を確保する制度を導入する事業主を支援する助成措置、これは現在でも65歳を超える雇用確保措置を導入する事業主に対する支援等を行っていますが、今回の措置の導入に伴って、こういったものを充実していくことが必要ではないかということ。もう1点は、相談体制などの充実ということで、これは現在でもJEEDにおいてプランナーを派遣し、各個別企業の雇用確保措置の導入への相談業務をやっています。そういったところを充実してはどうかということ。3点目が、他社への再就職の措置に関する事業主間のマッチングを促進するための受入れ企業の開拓確保ということで、今回、新たに(d)という選択肢である他社への再就職が設けられています。こういった他社を事業主が見つけようとする場合に、そのノウハウがない事業主等について、それを支援する措置が取れないかという検討の方向性を書いています。
 2点目ですが、これは評価・報酬体系を構築する事業主に対する助成や相談・援助等を実施する必要があるのではないかということで、現在も助成金を設けていますが、それを更に引き続き行っていく必要があるのではないかと書いています。
 次の安全・衛生の観点ですが、加齢による身体機能の低下等を踏まえ、労働災害防止や健康確保の観点から対策を講じ、高齢者が安心して安全に働ける職場環境の構築を支援することが必要ではないかということで、新たなガイドラインの策定、あるいは新たな補助金等で支援していくこととしてはどうかと書いています。
 11ページ、再就職・キャリア形成に関する支援で、1つ目の点は、生涯現役支援窓口や産業雇用安定センターによるマッチング機能の更なる強化を図ることが必要ではないか。2つ目の点は、いわゆるキャリア形成支援・リカレント教育支援ということで、企業の実情に応じた中高年齢層向けの訓練の実施等に取り組むことが必要ではないか。こういった施策の充実についても書いています。
 地域における多様な雇用・就業機会の確保に関する支援ですが、1つ目は生涯現役促進地域連携事業を現在実施していますが、これを更に拡充していくという方向で、地方公共団体を中心とした協議会による取組を引き続き推進すること。2つ目は、シルバー人材センターにおいて、特に地域の様々な課題解決を図るための取組を強化していくことが必要ではないかとして、施策の方向性を書いています。資料2については以上ですが、今の特に(5)の支援策の所については、参考資料1としてそれぞれの取組についての詳細な資料を付けていますので、後ほど参考にしていただければと思います。
 最後に、参考資料2をお開きください。これは御報告ですが、令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果を示しています。先週の金曜日に発表したものですが、1ページ目の表を見ていただくと4つの項目を掲げています。高年齢者雇用確保措置の実施状況、これは65歳までの措置ですが、これについては99.8%で、前年と同じパーセンテージの企業に実施していただいているところです。左下は65歳定年企業の状況で、これにつきましては17.2%、1.1ポイント増加、となっています。右側の66歳以上働ける制度のある企業の状況で、内訳はグラフに付けていますが、全体で30.8%、3.2ポイント増加、です。併せて右下ですが、70歳以上働ける制度のある企業の状況は28.9%、これも前年度と比べて3.1ポイント増加している状況です。
 長くなりましたが、事務局からの説明は以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、本件について、主に資料2の「高齢者の雇用・就業機会の確保に関する主な検討課題と対応イメージ」の内容に沿いまして、順に御議論いただければと思っております。そこで、まず1ページ~7ページ目にかけての検討課題1、それから検討課題2の(1)に関して御質問、御意見がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○境田委員 1点、意見を述べさせていただきたいと思います。具体的には、2ページの基本的な考え方についての四角の中の「各措置の均衡」とありますが、その3ポツ目の後段で、「雇用によらない選択肢のみを講じる場合には、労使合意を得ることとしてはどうか」と記載されております。それを受けて、4ページの話合いの規定のマル2の箇所で、こうした規定を設けていただいていると認識しています。労働関係法令の適用外となる点からも、(e)~(g)を選択する場合は労使合意をその要件とするということについては賛同を申し上げたいのですが、その上で、逆説的に捉えますと、(a)~(d)を1つでも選択しておけば、労使合意不要になるかと思います。
 例えば、今回、新たに設けることとなる(d)などの選択肢と、(e)~(g)のいずれかを組合せれば労使合意が不要となりますけれども、労使合意を避けるがために、形式上(d)などを設定して、実際(e)~(g)のいずれかしか活用できないという事態が生じることも、想定できなくはないということがあるのではないかなと思います。
 (a)~(c)については、65歳までの雇用継続措置でも労使合意まで求められていないということもありますので、そうした均衡を踏まえるという考えも理解できなくはないのですが、今般、(e)~(g)というのが新たに導入が想定されるというのにもかかわらず、何ら労使の合意無きままに進むという道を、果たして残してよいものなのかと考えます。もちろん均衡の観点も踏まえる必要があるとは思いますが、別途、何らかの手当を検討していく必要があるのではないかということを意見として申し上げさせていただきます。以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 御意見ありがとうございます。先ほどおっしゃったような事例について、まず、今回の選択肢を導入するに当たっては話合いというものを重視した制度設計をさせていただいております。その中で、例えば(d)という選択肢を設ける場合にも、労使でしっかり話し合っていただくということを1つの話合いの場面として設けることを考えております。その上で(d)についても事業主間の契約を結んで雇用の継続性等が担保されるという措置を講じることとしております。
 その上で、今おっしゃったような、実質的に活用されない雇用の措置である(d)と、労使合意が無い(e)~(g)が選択肢となるということについては、まず、1つは現在、65歳までの高齢者の雇用確保措置について、措置の実施及び運用に関する指針ということにおいても、例えば継続雇用者の希望の割合が選択肢として非常に低くなっていると、実際に使われているケースも低いということになれば、労働者のニーズを適切に踏まえてその制度の見直しを図るということも指針に書いてありますので、1つはそういった指針を設けるということも検討したいと考えています。
 先ほどおっしゃったようなケースは、かなりレアなケースかと思いますが、そういった場合については措置があるけれども、実際的に措置が講じられていないようなケースというものがあるのであれば、行政としても当然指導の対象としていくことも考えられると思います。そういったことも含めて、今、御意見を頂いたようなところがどのような形で担保できるのか、引き続き検討していきたいと考えております。

○阿部部会長 では、ほかにいかがでしょうか。

○春川委員 私からも、(1)の中に労使での話合いについて幾つか記載されている点について質問と意見をさせていただきたいと思います。まず、今回の(e)、(f)、(g)についてです。個人の事業とフリーランスとを分けているのは、個人の起業支援については、例えば税務署との関係でいえば、届出を行い個人事業主になっているということを前提にしているものと、そうではないフリーランスのものと、2つ実在することを想定して一くくりで議論しているということでよろしいでしょうかという質問です。

○阿部部会長 では、質問ですので、事務局にお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 そこについてはフリーランスと企業支援ということで閣議決定上、2つ書いてありますが、今回の御説明の中で、1つは事業主の業務を委託していくというところで、個人の場合にはフリーランスということになりますし、そうではなくて、起業されている場合、起業された場合については起業という枠組みに入っていくものと思われます。いずれにしても業務委託という枠組みの中で検討していきたいということで方向性を示させていただいております。

○春川委員 今の御回答を踏まえた上で5ページの下から2つ目の箱について、前回の部会の中でもあったとおり、新たな枠組みを事業主が導入する制度の中で定めることができるとしつつも、そこで労使合意を図ることだということも理解しております。事業主の提示した制度について労使で話合いをすると。その制度の中身の「事業の内容」そのものについて、例えば範囲を限定するかどうかとか、その辺りについてはどうお考えなのでしょうか。

○阿部部会長 では、事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 その辺りも労使の話合いの枠組みということになろうかと思いますが、御質問の趣旨が業務委託をするものについて、例えばどういった業を出していくとか、その内容について、特定していくのかということについては、基本的にはどのような事業について業務委託を行うかということについては、労使で合意する計画の中に定めていただくのが適当ではないかと考えております。今おっしゃったような業務の中身というものは労使合意の中に入ってくるものと考えております。

○春川委員 その上で(1)の前段の話合いの枠組みのところの具体的な方法について、2ページの真ん中の※の所に記載されています。その※の(2)、計画の内容について「労使合意を得るよう努める」という表現のところは、できましたら、合意するという文言に変更できないかということを労働側の意見として申し述べたいと思います。
 措置として対応するか否かということそのものが今回努力義務ということですので、その中で(e)、(f)、(g)の選択をしていくということにおいては労使合意を図るということを「努める」というのではなくて、しっかり「合意を図っていく」ということを入れていただきたいという意見を申し上げたいと思います。

○阿部部会長 では、御意見として賜ります。ほかにいかがですか。

○穂岐山委員 資料2の3ページですが、ここに既に記載があるとおり中小企業の現場の状況とか、高齢者の体力・健康・能力に個人差が大きいこと等に鑑みて、ここに書いてありますとおり、今般の努力義務を新設の段階でも対象者を限定した制度を導入することを、是非、可能としていただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 ありがとうございます。

○渡辺委員 資料2の5ページですが、下から2つ目の四角の中で、個人とのフリーランス契約についての3行目の「70歳まで継続的に」という表現があります。ここで言っている「継続的」は、カテゴリーでいくと(c)の「継続雇用制度導入」でいっている「継続」とちょっと意味合いが違うはずですね。この「継続的」という言葉の意味については、資料1の中でも、例えば5、6ページ辺りにもありますが、つまり業務委託において継続的ということは、どういうことかというのが非常に悩ましい問題だと思いますが、同じ言葉が使ってあると使用者側にとっては、ずっと何年間も絶え間なくフリーランス契約をしなければいけないのか、業務委託をしなければいけないのかと取れなくもないので、ちょっと混乱が生ずることを懸念しまして、できれば5ページで「70歳まで継続的に」ということを、少し違う言葉を使うとか、もし使うのであればどういう意味合いかというのを資料1にあるような議論を基に、少しクリアにしていただければ有り難いというお願いでございます。以上です。

○阿部部会長 この点、何か事務局はありますか。

○野村高齢者雇用対策課長 ここで継続的にと書かせていただいている趣旨は、(a)~(g)の7つの選択肢について、70歳までの就業機会の確保ということで、基本は70歳まで継続するという内容で選択肢を設ける必要があるということで考えております。そういったことを労使で合意した内容において、具体の業務委託の個別の契約をどうしていくかというのは労使合意を踏まえた上で個別に結んでいくものですが、制度としては、70歳まで継続的に、という趣旨は含めておく必要はあるのではないかと考えております。

○阿部部会長 よろしいですか。

○渡辺委員 了解しました。

○阿部部会長 では、ほかにいかがですか。

○杉崎氏(志賀委員代理) 資料2に記載の主な検討課題と対応のイメージについては、今後、詳細を詰めていく必要はあるものの、全体的に見ると、バランスがとれている内容であり、現実性、かつ納得性もある内容ではないかと感じています。その上で、前回からの追加、修正箇所を中心に、個別の論点に関する意見を申し上げます。
 資料の2ページ目の各措置間の均衡については、非雇用の選択肢(e)~(g)のみを講じる場合には労使合意を得るとされておりますが、経営資源や業務の幅、また、人事労務上の課題は各社各様でありますので、労使が話し合い、労使合意を得るという事務局(案)は現実的かと考えております。
 次に、適用除外規定については、高齢者は健康や体力、意欲の面で個人差が大きいという課題がありますので、実効性のある政策とするためには、資料に記載のとおり努力義務の段階でも導入することを可能としていただきたいと考えております。
 次に、労使の話合いの仕組みや仕方については、資料に記載の内容はおおむね適当であると考えております。なお、話合いに関する指針については、企業の実体を十分に踏まえたものにしていただきたいと思います。
 次に、5ページに記載の、マル2 措置として事業主が実施する内容についてです。資料に記載の内容はおおむね適当であると思いますが、フリーランスや起業支援の場合であれば、例えば成果物の質が著しく低い場合などは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結しないということがあり得る旨も、明確にしておく必要があるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。事務局は何かありますか。

○野村高齢者雇用対策課長 今後、具体的な労使合意の項目等について検討する際、ご意見を踏まえて検討していきたいと思います。

○阿部部会長 分かりました。では、ほかにいかがですか。

○紺谷委員 先ほど対象者を限定とした制度の導入のお話が出てきましたので、その辺について労働側からの意見を申し上げたいと思います。対象者を限定した制度を導入する場合は、労使合意することが望ましい旨を指針に規定すると記載されています。3ページ目の上から2番目の四角囲みの3つ目のポツですが、その辺に関しては、現行の65歳までの高齢者雇用確保措置については、継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることができるのは改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで、平成25年3月31日に労使協定を締結した場合に限定されております。これが2025年4月までに段階的に引き上げるということを踏まえれば、対象者を限定することはあくまでも経過的な措置であると、私としては考えておりまして、65歳以上の就業機会の確保については、第一段階は努力義務という措置、言わば企業の自主性に委ねられているわけでありまして、労使合意が望ましいという指針での明記のみにとどまれば、その効力は極めて弱いものとなるのではないかなと思います。つまり、努力義務の中で対応しているのであるから、労使合意まで必要ないと考える企業も多くなることを懸念しております。
 努力義務段階で対象者を限定した制度として導入すること自体は反対しませんけれども、やはり努力義務で導入するのだという方向に舵を切るのであれば、この段階で労使合意を必要とすると。望ましいのではなくて、労使合意を要件とする方向でいってはいかがでしょうかという意見です。

○阿部部会長 では、御意見として承ります。

○仁平委員 労使の選択肢にも関わるものですから、資料のほうが飛んでしまって恐縮ですが、参考資料2について触れさせていただきます。6月1日の報告の中身ですが、右上にある2の66歳以上働ける制度のある企業の状況について、全体としては規模計で30.8%がとなっていますが、中身を見ますと、「マル4 基準該当者66歳以上まで継続雇用」や「マル5 その他の制度で66歳以上まで雇用」についてはどういう方を対象としている制度なのか。その結果としてどれぐらいの方が選んでいるのかというのは、恐らく様々な実態にあるのだろうと思っております。
 今回の法整備を行う際には、次のステップも視野に入れて実際に各企業がどの制度を選択して、その結果どうなっているのかという実態をきちんと把握できるようなことを前提に進めていくべきではないかと思います。仮に選択肢の(a)~(g)というのを取った場合、その結果について、どこがどういう制度を導入し、その結果どうであったのかということを把握できるような仕組みとしていただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 御指摘ありがとうございます。資料2でご説明しますと、9ページの1つ目の○の所に書いてありますが、今、御指摘いただいた令和元年の報告に見合うものを、今後、新たな選択肢が導入された場合には、この調査の中でその導入の状況について把握していく必要があると考えております。今、雇用の部分では、例えば定年退職された方が何人、そのうち継続雇用に乗られた方がどれぐらいのボリュームかという数字は取らせていただいております。こういったことも踏まえまして、今後、6/1報告に新たな選択肢の項目は追加したいと考えておりますが、頂いた御意見も踏まえながらどのような情報を把握することとするか、施行に向けてしっかりと検討していきたいと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○小林(妙)委員 私から、3点ほど意見と質問をしたいと思います。1点目は、資料6ページ目の社会貢献活動の事業についてです。こちらは範囲が3点示されておりますが、内容が少しまだ抽象的であって、受ける側によっては取り方が異なる可能性もあると思っております。ですので、この部会の委員の間でこのイメージを合わせた上で、議論をしていくというのが必要だと思っていますので、できれば具体例を出していただければと思っております。
 2点目は、6ページ目の1ポツの「マル2 事業主が委託する事業」と「マル3 事業主が出資する団体が実施する事業」に関して、事業主と締結した労使合意の効力とその適用範囲についてお伺いしたいと思います。労使合意に基づいて事業主が委託・出資する団体と契約を締結すると理解しているのですが、仮にですけれども、委託・出資する団体が、元従業員に対して労使合意の内容と異なる条件を提示した場合などのトラブルも想定されます。そういう場合については、元従業員と労働組合、若しくは事業主を通じて解決を図ることになるとは思われますが、それでも解決できなかった場合について何らか行政が介入する手段があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
 3点目は、マル3 事業主が出資する団体が実施する事業については、事業主が団体に対して出資するという理解でよろしいでしょうか。
 併せて意見ですが、社会貢献活動の中でも3点の選択肢があって、選択肢ごとの均等・均衡をどのように図っていくのかが重要だと思っております。その点、マル3 事業主が出資する団体が実施する事業に従事する高齢者が労務の提供の対価として、マル1とマル2の事業に従事する場合と遜色ないような報酬が得られるような契約内容にすべきと思っております。以上でございます。

○阿部部会長 ありがとうございます。御質問もありましたので、事務局にお願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 1点目の具体的なイメージということは、今後、施行に向けても具体的なイメージが共有できるように、更に研究していきたいと考えております。
 2点目は、御意見あるいは御質問ということでしたが、労使合意の内容、ここでしっかりと団体を含めてどういったことをやっていくかというのを明示していただくと。それで労使合意をして、事業主が他団体である場合には、その団体との間で契約を結んでいただくということを想定しておりますが、それが実際に聞いていた内容と違う、決まっていた内容と違うという場合も考えられます。そういった場合については、行政措置の中、あるいは労働局やハローワーク等において事業主に対して助言するということも、今後、考えられるのではないかと思います。
 3点目の御質問は、事業主がその団体に対して出資をし、資金提供すると御理解いただければと思います。その上で、活動の内容等については労使で計画を作っていただいて、その中でしっかりと決めていただいて、それに基づいて事業主間で契約を結び、それに基づいて活動いただけるような環境を整えていくことが必要ではないかと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。小野委員、どうぞ。

○小野委員 主に社会貢献活動について、発言させていただきたいと思います。社会貢献活動参加への資金提供の枠組みについては、私は評価できると思っております。これからの社会貢献活動の社会的な広がりを持たせる意味で、大きな流れを作るきっかけになろうかと期待もしております。ただ、書かれている2つの内容については、検討を要する部分があると思っております。
 1点目が、労働者性についてどう考えるかというのをお伺いしたいと思います。それは報酬を渡すというように書かれている部分です。具体的に言うと、6ページの1ポツのマル1などです。事業主が直接的に社会貢献活動を実施して、それに元退職者を従事させ、報酬を支払うといったときに、社会貢献活動ではあるけれども、過去にそこで働いていた人が、会社のやる事業に従事するということになります。それで報酬も出ると。使用従属性の問題などを考えたときに、果たして自由意思で行う「ボランティア」と言える活動になり得るかというのが、1つ疑問です。
 例えば、ダブルでお仕事をされているような場合です。雇用継続もあって社会貢献活動もやるといったときに、この人は4時ぐらいまでの雇用形態で働いているけれども、その後、同じ会社内で社会貢献活動という事業に取り組んだときに、報酬は一体どういうようにするのかという問題とか、種々いろいろややこしいことが起こり得るというのは、何となく想定がつきます。そこの労働者性の問題についてどう考えるかということです。70歳まで継続的にこの事業に従事させるという部分についても、かなり強制感のようなものがあって、これも使用従属性に影響を与えるのではないでしょうか。ボランティアというのは、自由意思に基づくものですので、ここについてどう考えるかというところが、1つ感じた部分です。
 続いて2点目です。この1ポツのマル1マル2マル3、特にマル2とマル3については第三者の機関というか、NPOであったり、社会貢献活動をやっている非営利団体が受け手側になるというように想定されるわけです。しかし、これほどの大企業の大勢の定年の退職者を受け入れられるキャパが、果たして彼らにあるだろうかと考えたときの実行性を、私はかなり不安視しております。
 受け入れるキャパの問題だけでなく、受け手側も誰でもいいというわけではないですよね。非営利セクターは何かミッションを持って事業をやるために存在して活動しているので、そこに受皿的な要素を押し付けたときに、拒否反応を示される可能性もある。ニーズをちゃんと把握した上で下ろさないと、拒否される可能性があるという気がしております。
 そして、やはり労働者当事者の意見ですね。彼らは企業が提示する団体でいいのか、自分の自由意思で自分の行きたい、活動したい団体でやりたいのではないか。その辺で本当に実行可能性があるのだろうかというのが素直なところです。今後、それぞれそういうスキームをしっかり検討して、作っていく必要があるのだろうと思います。そこはよく考えていただきたいと思います。2番目は意見です。

○阿部部会長 では、御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 2ついただきましたが、まず1点目の報酬を出すことに伴う労働者性のところです。ここは今後検討していかないといけないと思っております。その上で、70歳まで継続的にという点については、他の選択肢も70歳まで継続的にということですので、この選択肢についても同様に必要だと考えています。
 その上で報酬を渡すというところについては、NPOなどの活動に参画する場合、特に有償の場合にどういった契約なりをしているのかという点も含め、整理していく必要があるのではないかと思っております。もともとの使用従属の関係というか、使用者と従業者の関係というところで御意見がありましたが、基本的にはそれとは離れた形での社会貢献活動、あるいは特定の事業への参画ということで考えております。参画する人と事業主の間の関係、あるいは他団体に委託している場合には、他団体と従事する方の関係というのがどういった契約形態になっていくのか、参画形態になっていくのかというのは、様々な活動の事例も勉強しながら、整理していきたいと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○清家委員 今日、事務局から説明があった内容について、おおむねこういう方向でよろしいのではないかと思います。ただ、他の委員からも発言がありますように、労使での話合いが非常に重要な仕組みです。実務上考えていきますと、特に(e)~(g)については、今までの雇用確保措置とは全く次元の違う話でもあります。労使で話し合って計画をということが求められていますが、その計画に盛り込む話と、その制度に乗ってくる人との間の個別の契約の中身の話は、うまく整理をしていただきたいと思います。新たな選択肢を設けたのであれば、できるだけ活用していただくことが望ましいと思います。この点はこれから議論をしっかり積み重ねていく必要があるのではないかという認識を持っております。

○阿部部会長 では、御意見として承りたいと思います。ほかにいかがですか。もし今の段階でなければ、次のところに行って何かあれば、最後のところで御発言を頂きたいと思います。それでは7ページの検討課題2の(2)、「事業主の履行確保を図るための仕組みについて」から最後までに関して、御質問、御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。

○川上委員 資料の9ページの(4)、「新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間」について、意見を申し上げたいと思います。私どもの企業は1998年と、かなり早い段階で65歳定年ということで、定年の引上げを実施しております。そういった観点を踏まえ、法律の施行時期について意見を述べさせていただきたいと思います。今回の70歳までの就業機会の確保措置については、実務上、相当な準備期間が必要だと認識しております。これまでも各委員の皆様から御指摘があったと思いますけれども、65歳までと異なる選択肢が含まれていることとか、あとは労使での話合いですね。先ほども、非常に重要だという御意見が出ておりました。これらを踏まえますと、努力義務の段階と言えども、十分な周知期間が企業側としては非常に大切ですし、必要であるというように認識しておりますので、意見として一言述べさせていただきたいと思います。

○阿部部会長 では、御意見として承ります。ほかにいかがですか。

○杉崎氏(志賀委員代理) 同じく施行時期についてです。非雇用の選択肢(e)~(g)を含む措置の導入については、企業の人事戦略や処遇体系に大きな影響を及ぼすとともに、労使の話合いには相応の時間を要すると思います。また、非常に深刻な人手不足の中で、労働政策による中小企業の現場負担は、これまでになく高まっておりますので、施行時期についてはこうした事情への配慮を、是非お願いしたいと思います。
 また、10ページに記載の(5)「必要な支援」については、資料に記載の支援策を是非お願いしたいと思います。中小企業の多くは専任の人事労務担当者がいないことから、評価・報酬体系の構築や、高齢者の安全・健康の確保など、職場環境の改善等に関する無料のコンサル支援に加え、働き方改革と一体で高齢者の就業に関する社内制度を検討する企業もあるかと思いますので、働き方改革推進支援センターを、雇用労働分野に関するワンストップ相談センターにするなど、中小企業に対する相談支援に力を入れていただきたいと思います。あと、努力義務内容の丁寧な周知や、企業に対する幅広い調査を実施することで、非雇用の選択肢(e)~(g)の措置を導入した企業の好事例をしっかりと把握し、横展開を通じて各企業に具体的なイメージを持ってもらうことも大事だと思います。厚生労働省におかれましては是非、対応をお願いしたいと思います。

○阿部部会長 御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○境田委員 (5)の「必要な支援」について、2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。1点目は、10ページの一番下段に当たると思いますけれども、安全衛生対策についてです。これまではどちらかと言うと製造業を中心とした安全対策だったと思いますけれども、最近、労災は第三次産業やオフィスで働いている労働者にも増えておりますので、この辺りもスコープに入れていただきたいと思います。加えて、(a)~(d)の雇用環境下にある高齢者は、対策が十分講じられていくのではないかと思いますけれども、(e)~(g)を選択した高齢者に対しても、例えば企業が提供する福利厚生サービスを利用可能にするなど、一定の対策を講じていく必要があるのではないかという点が1点目です。
 2点目は、全般的に提示いただいている支援策についてです。現時点で何か違和感がある所はありませんけれども、今、論議している(e)~(g)の選択肢などは新たに導入されるということなので、こちらに記載されている支援策が本当に実効性のある支援策になるのか、これらの予算措置に限った話ではないと思いますけれども、きちんと費用対効果を検証しながら、場合によっては真に必要な支援の見直しを、柔軟に図っていくことも必要ではないかということを、あらかじめ申し添えさせていただきたいと思います。

○阿部部会長 では、御意見として承っておきます。ほかにいかがですか。

○穂岐山委員 (4)の「新たな制度の円滑な施行を図るために必要な準備期間」については、繰り返しの意見となりますが、新たな制度導入に関しては様々な対応が必要となるため、努力義務とはいえ、施行まで可能な限り十分な準備期間を取っていただきたいと思います。
 それから、(5)の「高齢者の活躍を促進するために必要な支援」について、2点ほどお願いしたいと思います。1点目の事業主に対する助成措置については、手続の簡素化など、中小企業の活用促進につながるような工夫が必要だと考えます。また、制度導入に当たっては、参考資料1の2ページにあるような、例えば専門家による支援、特に企業への直接訪問が効果的な手法であるとは考えますが、個々の企業への直接訪問は時間や労力という面からも、より広範囲に実施することがなかなか難しいのではないかと思われます。このため、例えば各地方労働局が業界団体ごとなどに、出張相談会とか出張説明会を開催するなど、裾野の広い中小企業への制度浸透に努めていただきたいと考えます。

○阿部部会長 では、御意見として承ります。ほかにいかがですか。

○小野委員 (5)の「必要な支援」についてです。最後の「地域における多様な雇用・就業機会の確保に関する支援」というところに入れていただきたいのです。上の再就職やキャリア形成に関する支援については、再教育、リカレント教育というのが入っておりますが、社会貢献活動やNPOで活動するに当たっては、やはり一般の企業の働き方から少し異なるマインドが必要になってくると思いますので、そちらについての研修を受けていただけるようなものを作っていただきたいです。特に介護というセクターに行かれる場合、企業で働いていらっしゃった男性の場合難しいかもしれないです。介護の現場は生活者支援ですから、例えば調理であったり、掃除であったり、通院される方の付き添いであったりということで、家事全般に慣れてなければ、すぐにできるものではない。どちらかと言ったら、女性のほうが得意かもしれない。企業を退職された企業人の男性が、そういうことがすぐにできるかといったら、多くはできない。
 一方で地方など高齢者の多い地域では、そういう方が非常に求められているところもあります。企業を退職された男性でまだ体力も力もある方が、いろいろな生活者支援に回っていただくというのは、私は理想的だと思っておりますので、この辺の研修の在り方をもうちょっと考えていただいて、中に取り込んでいただければと思っております。

○阿部部会長 では事務局、お願いします。

○野村高齢者雇用対策課長 御指摘、ありがとうございます。地域では今おっしゃったような、これまでとは違った形で就業される方への支援とか、研修とか、セミナーが非常に重要だと考えております。今実施している事業の中でも、例えば生涯現役促進地域連携事業として、地域に戻られたサラリーマンを退職された方に対して、いろいろな取組を行い、いろいろな仕事があるということを御説明させていただいております。また、ちょっと観点が違うかもしれませんが、シルバー人材センターでもいろいろな体験の場を設けて、次の就職あるいは就業につなげていただく場面も出ておりますから、今いただいた御指摘も踏まえ、引き続き検討したいと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。

○清家委員 今日、御提示のあった(5)の「必要な支援」というのは、是非進めていただきたいと思っています。高齢者の方々が様々な場面で活躍できる環境を整えるということは、非常に重要なことだと思っています。その中で、再就職キャリア形成に関する支援について、参考資料1で1点御質問をさせてください。6ページのキャリアサポートセンター(仮称)については、既存の事業を再編・統合するということで考えられているそうですが、大体どれぐらいの規模感、拠点を整備して、どれぐらいの人数で対応していくのか。今後、こういったニーズはますます増えていくかと思います。その辺りの見通しがどうなっているのか、教えていただければと思います。

○阿部部会長 では事務局、お願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 私のほうで答えられる範囲ですが、全体的な数をどれぐらいにするかということは、まだ決まっていません。趣旨としてはより身近にそういったサポートが受けられる拠点を設けるということなので、全国でカバーできるような形で、体制も含めて拠点を設けていきたいと考えております。

○阿部部会長 ほかにいかがですか。特段なければ、全体でまた何か御質問、御意見がありましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○酒井委員 全体に関わることというか、先ほどから既に出ている意見とほぼ同じです。特に、先ほどの仁平委員から出た意見と完全に重なるところです。今回の措置が実現した場合に、どういうことが起きるのか分からないという部分があるかと思います。特に(e)~(g)の選択肢というのが、やや未知の領域に踏み込む部分があるかと思います。やはり実施された後に、どうしてもモニターが必要かと考えます。
 先ほど事務局から、新しい選択肢に関する調査を行うといったお答えがありましたが、形式的にどういう選択肢が取られているかと同時に、本当に実態としてどういうことが起きているのかというところが、すごく重要になってくるかと思います。先ほども出ましたけれども、業務委託に関しても継続的というのが実態としてどのぐらい継続的なのか、どのくらい頻繁に業務委託がなされているかといったところが重要かと思います。今後のモニターに関しては是非、踏み込んだ調査を行っていければと思います。1点意見です。

○阿部部会長 では、御意見として承りたいと思います。ほかによろしいでしょうか。もし特段ないようでしたら、議題1についてはこれで終了とさせていただきたいと思います。本日も各委員から御意見を頂戴しましたので、本日の意見も含め、これまでの議論を整理した上で、議論の取りまとめに向けて資料等を準備していただければと思います。事務局におかれましては、よろしくお願いしたいと思います。
 続いて議題2の「その他」に入りたいと思います。事務局から何かありますか。

○野村高齢者雇用対策課長 特にありません。

○阿部部会長 それでは、本日こちらで準備した議題は以上で終了ですが、皆様のほうから何かありますか。よろしいですか。それでは最後に事務局から、次回の日程についてお願いいたします。

○野村高齢者雇用対策課長 次回の日程については部会長とも御相談し、個別に委員の皆様に御連絡させていただきたいと存じます。

○阿部部会長 予定されている議題が以上で終了いたしましたので、本日の部会はこれで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、部会長のほか、お2人の委員に署名を頂くこととなっております。つきましては労働者代表の境田委員、使用者代表の川上委員にお願いしたいと思います。本日もどうもありがとうございました。