第82回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第82回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和元年12月10日(火) 10:00~10:48
 
2.場所 厚生労働省 共用第6会議室
           (東京都千代田区霞が関1-2-2  中央合同庁舎5号館3階)
 
3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶応義塾大学名誉教授 大前 和幸
○慶応義塾大学大学院法務研究科教授 森戸 英幸

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○ 日本化学エネルギー産業労働組合連合会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員 黒島 巖
○UAゼンセン政策・労働条件局部長 髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 総務・労働部専任部長 北 隆司
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社 人事部主務 久保田 祥子
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社 人事労政部部長 山内 幸治
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 輪島 忍  

4.議題
(1)複数就業者への労災給付の在り方について
 
 
5.議 事
○荒木部会長 定刻ですので、第82回労災保険部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の中野委員、水島委員、宮智委員が欠席です。また、御都合により、使用者代表の砂原委員におかれましては11時15分頃に御退室の予定と伺っております。なお、労働者代表の仁平委員からは遅れての御出席と連絡を受けているところです。そうしますと、出席者は15名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数は満たされていることを御報告いたします。
本日の労災保険部会は、タブレットによるペーパーレス開催となります。事務局から必要な説明をお願いいたします。
○労災管理課長補佐(企画) それでは、タブレットの操作方法について御説明いたします。お手元にはタブレット、スタイラスペン、操作説明書を配布しております。いずれについても、部会終了後に事務局で回収いたしますので、机上に置いたまま御退室をお願いいたします。タブレットについては、前回の労災部会で使用したものと同じです。使用方法については、操作説明書も、適宜、御参照いただきながら、御不明な点等がありましたら、近くに職員がおりますのでお声掛けいただければと思います。傍聴される方々については、事前に御案内いたしましたとおり、御自身のタブレット等で資料の閲覧をお願いいたします。以上です。
○荒木部会長 それでは、カメラ撮り等はここまでということでお願いします。
本日の議題に入ります。議題は「複数就業者への労災保険給付の在り方について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 労災管理課長の田中です。恐縮ですが、座って御説明いたします。それでは、ファイルの01、資料1を御覧ください。「複数就業者に係る労災保険給付について(これまでの論点整理について)(案)」というものです。これまで、昨年6月からですが、当労災保険部会において、主に複数就業者の労災保険制度に係る問題点として、いわゆる額の合算、負荷の合算について御議論いただいてきたところです。今回の資料は、これまで御議論いただいた論点について、一覧にしたものです。それでは、順次御説明いたします。
資料1は、これまでの論点整理についてです。目的の所に書いてありますが、今回の大きな目的としては、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業されている方が増えているといった実状を踏まえて、セーフティネットとしての機能を果たしている労災保険制度の見直しを行う。そして、複数就業者が安心して働くことができるような環境を整備する。こういった目的で御議論をしていただいたと思っております。
なお、前後しますが、上に「※【】内の数字は」という説明書きがあります。今後、論点の横に、例えば77や80-1-4など数字が打ってありますが、これは、いつの労災保険部会の議論で主に御議論いただいたかということ、そのときの論点番号を書いております。
2は各論ということになりますが「複数就業者が被災した場合の給付額の見直し」、いわゆる額の合算についてということです。これはどのような場合かを少し限定するために、(※事故による負傷等又は一の就業先の負荷に起因する疾病等の場合)と記載しており、どこで災害が発生したかがはっきりしているケースだということです。
論点1は、見直しの方向についてです。これは、今年の6月27日の第77回の部会で、中間的にそのときの検討状況をまとめていただいた際に、主に御議論いただいたものです。見直しの方向は、労災保険法の目的である、被災労働者の稼得能力や遺族の被扶養利益の喪失の填補を図る観点から、複数就業者の休業保償給付等については、非災害発生事業場の賃金額も加味して、給付額を決定することが適当ということです。これはいわゆる額の合算ということで、適当であるということでまとめております。
論点2は、その際の労働基準法上の災害補償責任をどうするかです。これについても第77回で御議論いただいております。非災害発生事業場の事業主が、労働基準法に基づく災害補償責任を負うことは不適当ではないかということです。それから、災害発生事業場の事業主が、非災害発生事業場での賃金を基礎とした給付分まで労働基準法に基づく災害補償責任を負うのも、使用者責任を著しく拡大するものであり不適当ということでまとめております。
論点3は、その際の保険料負担についてです。これは第77回、11月15日の第80回に御議論いただきました。災害発生事業場の属する業種の保険料率の算定に当たっては、現行と同様、災害発生事業場の賃金に基づく保険給付額のみについて、災害発生事業場の属する業種の保険料率及び当該事業場のメリット収支率の算定の基礎とすべきとまとめております。2点目は、非災害発生事業場の属する業種の保険料率の算定です。これについては、非災害発生事業場の賃金に基づく保険給付額について、非災害発生事業場の属する業種の保険料率及び当該事業場のメリット収支率の算定の基礎とはすべきではないとまとめております。3点目ですが、非災害発生事業場での賃金を基礎とした保険給付分は、全業種一律の負担とすべきとまとめております。
論点4は、11月15日の第80回の部会でも御議論いただきましたが、通勤災害の場合も同様の問題があるのではないかということで御議論いただきました。通勤は労務の提供と密接な関連をもった行為であり、業務災害に準じて保護すべきものであるということですので、複数就業先に勤務されている場合で、何か通勤で事故があった場合には、複数就業先の賃金を総合して給付額を算定することが適当とまとめております。額の合算の論点については以上です。
続いて、3のいわゆる負荷の合算についての論点です。「複数就業者の認定の基礎となる負荷について」という標題になっております。※として、どういった場合かというのを書いておりますが、それぞれの就業先の負荷のみでは業務と疾病等の間に因果関係が見られない場合ということです。
論点1は、見直しの方向についてです。これは、10月1日の第79回で主に御議論いただきました。複数就業者について、それぞれの就業先の負荷のみでは、業務と疾病等の間に因果関係は見られないものの、複数就業先での業務上の負荷を総合・合算して評価することにより、疾病等との間に因果関係が認められる場合、新たに労災保険給付を行うことは適当とまとめております。
論点2は、その際の認定方法についてです。これは、第79回、第80回と2回御議論いただいております。まず、1点目は認定方法です。複数就業先の業務上の負荷を総合・合算して評価して労災認定する場合についても、そもそも、その現行の認定基準の枠組みが労働者への過重負荷について定めていることを踏まえ、現行の枠組みにより対応することが適当だということでまとめております。これも、いろいろと御意見があったところですが、ただし、脳・心臓疾患、精神障害等の認定基準については、一度は医学等の専門家の意見を聴いて運用を開始すべきだということを付け加えております。2点目は、調査方法です。現行の脳・心臓疾患、精神障害等の労災認定に当たっては、複数就業先での過重負荷あるいは心理的負荷があったことの申立てがあった場合、労働基準監督署がそれぞれの就業先の労働時間や具体的出来事の調査をしております。そういう意味では、現在でも複数就業先で過重負荷があったという申立てがあれば、両方調べているという現状があります。このため、それぞれの就業先での業務上の負荷を総合・合算して労災認定するとなった場合でも、この調査のプロセスは維持すべきだと書いております。
論点3は、いわゆる負荷の合算の場合の労働基準法上の災害補償責任についてです。これは第79回で御議論いただきました。それぞれの就業先の負荷のみでは業務と疾病等との間に因果関係は見られないということですので。いずれの就業先も災害補償責任を負わないものと整理することが適当とまとめております。なお書きは念のためということですが、一の就業先における業務上の負荷において労災認定できる場合は、現在でも当然、労災認定されているわけですが、現行と同様、当該就業先における労働災害と整理することとし、当該就業先に災害補償責任があり、ほかの就業先には災害補償責任はないとすべきであるとまとめております。
論点4は、負荷の合算の給付額についてです。一の就業先における業務上の負荷によって労災認定できる場合に、非災害発生事業場の賃金額も加味して給付額を決めることとするのであれば、これは額の合算をするのであればという意味ですが、当然、この負荷の合算においても、基本的には複数事業場の賃金額を合算して算定すべきということで御異論はなかったと思いますので、このようにまとめております。
論点5は、この負荷の合算の場合の保険料負担についてです。これは、額の合算の場合の非災害発生事業場と同様の考え方ということです。業務上の負荷を総合・合算し評価して労災認定する場合、当該給付に係る保険料負担については、いずれの事業場の属する業種の保険料率の算定の基礎とするのも不適切で、通勤災害と同様に、全業種一律で負担すべきということです。2点目は、メリット収支率の関係です。これも、いずれの事業場の収支率の算定の基礎とすることも不適切とまとめております。
4は「共通事項」です。これは主に、前回、御議論いただいているところです。まず、論点1は、複数就業の範囲です。複数就業者とは、通常であれば労働者・労働者ですが、労災保険の場合は、特別加入制度があるということです。したがって、パターンとしては、同時期に複数の事業と労働契約関係にある方のみならず、一以上の事業と労働契約関係にあり、かつ他の就業について特別加入している方、それから、複数就業について、それぞれ特別加入している方も、複数就業者と考えてよいと書いております。被災(疾病の発症も含む)した際に、これらの状態になっている場合を、基本的には複数就業者と考えるべきだろうとしております。「ただし」の所で、これも前回、御議論いただきましたが、脳・心臓疾患、精神障害等の疾病等で、要するに、原因と発症の時期がずれてしまっている場合には、発症時にいずれかの就業先を辞めている、あるいは両方とも辞めてしまっている場合も考えられますので、この場合については、いろいろと御議論があったかと思いますが、別途の取扱いが必要ではないか、必ずしも1つ目の○のような原則でなくてもいいのではないかということを書いております。
論点2は、特別加入者の取扱いについてです。これは第79回で御議論いただきました。特別加入者の取扱いですが、労働基準法上の労働者でない方についても、業務の実態、災害の発生状況等からみて、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい方について特別加入を認めているという趣旨から考えますと、一以上の就業先において特別加入している場合についても、複数就業先で労働者である場合と同様に考えるべきではないかと書いております。「一方」という所で、特別加入をしておらず、労働者以外の働き方を選択している場合については、同様の取扱いをするのは労災保険制度の中では無理ではないかと書いております。これも御異論はなかったかと思います。
論点3は、給付基礎日額の最高・最低限度額等についてです。これは、いわゆる負荷の合算や額の合算をした場合の給付額の前提となる給付基礎日額等の取扱いで、第80回と第81回で御議論いただいております。○が4つありますが、上の2つが限度額の話です。まず給付基礎日額の最低ラインを定めている自動変更対象額、あるいは年金等で年齢階層別に最高・最低限度額を定めております。これについては、その趣旨を考えますと、非災害発生事業場の賃金額を加味した場合も取扱いを変える必要はないのではないかということです。2点目は、負荷の合算をした場合の給付額についても、同様に、取扱いを変える必要はないのではないかということでまとめております。
それから、3、4点目は、一部休業等についてです。これは前回、御議論いただいたものです。複数就業者が一の就業先で被災した場合、いずれかの就業先で有給休暇を取得した場合、要するに、賃金が払われているから休業給付の対象に全くならないということではなく、他の就業先の休業については、仮にお休みになっているということであれば、休業補償給付の対象とすべきということです。4点目は、部分休業の際の計算方法です。これも現行の取扱いに準じて支給すべきということで、現行の取扱いを変えなくてもいいのではないかと書いております。
論点4は、特別支給金の取扱いです。これは第80回に御議論いただいたものです。特別支給金は、いわゆる本体給付と対になって給付されているものです。特別支給金についても、賃金額やボーナス等特別給与の金額により算定しているものがありますが、その制度趣旨から考えますと、非災害発生事業場の賃金額や特別給与の金額も加味して給付額を算定すべきと、いわゆる額の合算をするのであれば、こちらも合算するのであろうというのが1つ目の○です。「また」の所で、特別支給金の場合も上限額などでありますが、これについても、先ほどの本体給付と同様に、取扱いを変える必要はないとまとめております。
論点5は、前回御議論いただいたものですが、新たな制度の円滑な実施を図るための準備についてです。新たな制度を実施するためには、関係政省令を整備する必要があり、その際には、労災保険部会において議論する必要があります。また、関係告示や通達等の整備や周知も必要です。我々施行する第一線の機関についても、施行できるように、しっかり指導していくことが必要だということです。そういった意味で、施行まで一定の期間を設けるべきと書いております。
5は「その他運用に関する留意点」ということでまとめております。論点1は、第77回、前回の第81回で御議論いただきました申請手続についてです。これについては、非災害発生事業場における賃金額等の把握の手続に係る労使の負担軽減が必要だということですが、できる限り現在の災害発生事業場の証明事項を活用し非災害発生事業場における証明事項を必要最低限にとどめる等の負担軽減策を取るべきだということです。
論点2は、前回、前々回と御議論いただきました、労災保険率が極力引き上がらないようにするための方策です。方策ですが、労働災害を減少させるため、災害防止努力を促すことは必要とまず書いております。「また」の所で、社会復帰促進等事業や事務費については、保険給付に付加的なものであることにかんがみて、社会復帰促進等事業については、PDCAサイクルで不断のチェックを行い、その事業評価の結果に基づき、毎年、予算を精査するとともに、事業の必要性について徹底した精査を行うとしております。これは、従前からやっているわけですが、更に徹底するということです。事務費については、効率性の観点から不断の見直しを行います。こういったことにより、できる限り抑制する、今般の見直しによる給付増分を可能な限り吸収できるようにすべきとしております。これらの災害防止の促進や社会復帰促進等事業や事務費の抑制などにより、今般の制度見直しに伴い労災保険率が極力引き上がらないようにするべきとまとめております。
論点3は、特別加入制度の在り方です。特別加入の場合の労働者の今回の見直しにおける取扱いについて、先ほど論点にプラスして、このような論点があるのではないかということで書いております。これは前々回に御議いただいております。現在は、働き方が多様化し、複数就業者数が増加するとともに、労働者以外の働き方で副業している方も一定数存在するという状態です。また、特別加入制度創設時にはなかった新たな仕事が創設されたり、あるいは様々な技術の成果が生活の中に急速に浸透しているということで、IT化など、大分、環境が変わっているという状況です。このような社会経済情勢の変化を踏まえて、特別加入の対象範囲あるいは運用方法等について、適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要があるということで、今後の課題としてお示ししております。以上、これまでの議論を論点の整理としてまとめております。よろしくお願いいたします。
○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、何か御質問、御意見があればお願いします。
○輪島委員 これまで積み重ねてきた議論を整理していただいたと考えており、おおむねこの方向性でよろしいのではないかと考えているところです。1点だけ質問ですが、資料1の2ページ、負荷の合算の論点1の2~3行目、「総合・合算して評価をする」ということで、「総合」という言葉が付いておりますが、私どもの中でも議論していると、「負荷の合算」というのはよく分かりにくいということなので、むしろ「総合的に評価する」ということのほうが、私どもとしても分かりやすいのかとは思っております。

○荒木部会長 ありがとうございました。その点は前回も議論になり、負荷の合算というのは額の合算とは違うので、双方を総合的に考慮するという趣旨ではないかということで、従来「合算」と書いてあった所に「総合」という言葉を付け加えた。従来「合算」と言ってきましたので、それは残して、「総合」を付け加えたところですが、最終的にはむしろ「合算」を取ったほうが分かりやすいということであれば、それもよいと思いますが、皆様いかがでいしょうか。
○本多委員 私も今の部会長、それから御発言の内容と全く同感でして、負荷の場合には、合算というのは足して算出するという意味合いだと思いますので、それが馴染まないと思っています。これまでもいろいろな議論がありましたように、「合算」という言葉よりも「負荷の総合」ということで統一したほうがいいのかとは私も思っています。
○仁平委員 意味合いは変わらないと思いますので、労側としても賛成します。
○荒木部会長 公益の皆さんはいかがですか。よろしいですか。それでは、より分かりやすくするということで、「複数就業先での業務上の負荷を総合して評価する」という表現で改めたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがですか。
○山内委員 非常に事務的なところで恐縮です。今も算定になりますと、事務手続のところの非災害事業場の負荷について、簡便な手続を取るという案は、前々回お示しいただいたところであり、有り難いと思っています。今回新たな仕組みを導入するということなのですが、枠組みとしては従来のものを使って、極力、効率よく処理するという考え方でよろしいのではないかと思います。ただ、その上で新たな取組でもありますので、例えば実は複数就業でも片方から給料が出ていたとか、そうした事務漏れが逆にないような仕組みでの政省令の整理も必要だと思いますので、その観点でも御検討を引き続きよろしくお願いしたいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
○田久委員 方向をまとめていただいたということで、この方向でいいとは思います。1つ、5ページの新たな制度の円滑な実施を図るための準備で、ここにも書いてありますように、労働局や基準監督官における事務が円滑に進むように、制度を熟知させるということですが、この間、私たちの組合の中でも少し懸念されているのは、事務官が減ってきていて、労災認定に対し、瞬時に作業をしていただけなくなってきている、そのような声も挙がってきたものですから、そういった点ではきっちり。今後そういった部分も、結構、特に負荷の総合判断とかでは、事務的にもなかなか難しくなってくると思うので、そういったところに対する周知というか、学習も含めたところ、そういったところをきちっとやっていただけるよう、要望は加えておいて、ここに書くとか、そういうことではなくて、加えておいていただければと思っています。
現場の声でいきますと、杓子定規の対応もされてしまうという、労災認定のことで言われてしまうので、しっかり対応はしていただいているとは思うのですが、できる限りそういったところでは、先ほど言った総合判断とかになりますと余計に難しくなってくると思うので、労働局や基準局、ましてや労働保険事務組合に対する日々のそういった学習なども、改めて是非お願いをしたいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
○北委員 同様の論点の所で、田久委員のおっしゃるとおりだと思います。言葉は、特に一労働者に企業側としても兼業・副業促進に当たっては、いろいろ説明をしなくてはいけないというところからすると、合算とかと言われてしまうと、労働者はそれでしか捉えられないので、足し算してくれるのだというややもすると誤った認識で捉えられる可能性があります。いろいろ施行までに一定の期間を設けていただくということですが、これに合わせて、企業側にも従業員とか労働者側に説明する時間も含めていただいて、しっかり時間を取って周知していただきたいと考えています。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。先ほど本多委員、手が挙がっていましたか。
○本多委員 全般的には皆様の御意見と全く同じで、おおむね妥当だと思いますし、特段の異論はございませんが、やはり運用面について、これまでとちょっと繰り返しになったりする部分もありますけれども、1、2点だけ申し述べたいと思います。1点目は、5ページの申請手続の所です。先ほど山口委員からも話がございましたけれども、今後、実務に落としていったときに、災害発生事業場、あるいは非災害発生事業場の負担が大きくなることが懸念されますので、非災害発生事業場については、証明に応じるのは、あくまでも自主的な判断で、証明行為というのは任意であることが何らかの形で担保されたほうがいいのではないかと思っている次第です。と申しますのは、厚労省が公表されていますモデル就業規則の中にも、服務規律の維持とか職務専念義務担保等の理由によって、兼業・副業に関する禁止、制限規定を設けることは重要な意味があると書かれておりますので、そういう意味もありまして、非災害発生事業場の証明については申し述べたとおりです。それから、災害発生事業場につきましても、自らが把握済みの範囲で証明を行えば足りるということを何らかの形で明確にしていただくと、若干、懸念は払拭できる次第です。
それから、これに関しては前回も申し述べたのですが、非災害発生事業場が賃金額を証明する様式についてです。恐らくこれについては、告示に列記されている様式に加えられることも考えられるでしょうけれども、そうなりますと、証明義務が課せられたような効果を来しかねないので、やはり既存の様式を活用することを、ちょっと先走ったあれですけれども、検討いただければ有り難いと思っている次第でございます。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○砂原委員 今回の資料の内容、今までの議論については、こういう形で進めていくのかと、おおむね了解しております。その上で、1点、事務局に確認なのですが、事務の効率化ということを進めていくことは今後、必要だという話を言っていますが、何か現在想定されているものがあれば、教えていただきたいと思っております。それによって、どのぐらい削減効果を見込める可能性があるかなどというところを、もし想定されているものがあるのであれば、教えていただければと思います。
○荒木部会長 事務局からいかがでしょうか。
○労災管理課長 お答えいたします。事務の効率化につきましては、もちろん毎年計画的にやってはおりますが、今回これで新たにというもので、これですというのを御提示するのは、今はちょっと難しいところではあります。これまでも進めております電子化ですとか、あるいは一定の事務を少し集約して処理をするとか、そういった様々な手法を含めまして、今回の事務を含めてですけれども、労災保険関係の事務を効率化していこうと思っております。また、こういうことを今考えていますというのは、機会があればお示ししていきたいと思っております。
○輪島委員 先ほど来出ている事務の効率化ですけれども、やはり大きいのは電子申請なのではないかと思っています。それで、全体に今、36協定とか就業規則の届出についても、基本的にはできるはずですけれども、まだ基本的な普及が進んでいない状況ではないかと思います。その点で言うと、やはり電子申請をどれぐらいこれから普及をしていくのかということと、監督署も電子申請で就業規則や36協定を持っていれば監督もしやすくなるということで、先ほど田久委員がおっしゃった、人員は確かに減っているのですが、事務の効率化、いわゆる生産性の向上を図っていただくことが大事なのではないか。
もう一方、基本的に労災事故がない、予防、そういう全体の啓発をする。特に非製造業又は高齢者の災害が増えているわけですから、そこが一向に減っていない状況なので、それが結局いろいろなもので大きな影響が出てくる状況にならないように、まず予防の啓発をしっかりしていく。13次防があるわけなので、それを使って今後もきちんと周知、啓発に努めていただくことをお願いしておきたいと思います。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○久保田委員 私も全般の議論につきまして、おおむね同意をさせていただきますが、2点ほど意見を述べさせていただきます。資料では、保険料の負担について、通勤災害の考え方、全業種負担の方針を準用している箇所があるかと思います。具体的に言いますと、2ページ目の2つ目の○の所と、3ページ目の論点5、保険料負担についてという所かと思いますが、今後、兼業・副業が本格化をしていきますと、同一業種の方が多いといったような偏りとか、一部の業種への人数比の偏りがあることも想定されますので、状況を見て、この保険料負担については再度、全業種負担で本当にいいのかという見直しの議論をすることも、今時点から想定しておくべきではないかと思料いたします。
2点目ですが、資料6ページの最後の特別加入の所ですけれども、特別加入の対象範囲や運用について、フリーランス等の人々のニーズを把握しながら検討を進めるべきであると思料いたします。また、これを機に、加入者増加のための周知を行うことも検討されてはいかがかと思っております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○北委員 ありがとうございます。資料の5ページ、5のその他運用に関する留意点の論点2、労災保険率が極力引き上がらないようにするための方策についてですけれども、ここに「労働災害を減少させるため、災害防止努力を促すことが必要」とあり、これについては企業側も全く異論のないところですが、当然ながら、事業主の災害防止努力によって給付が減った部分については、できる限り本来の料率の引上げに反映されるような仕組みというか、そのようにしていただきたいと思っております。これは先ほど出た事務の効率化も合わせてだと思いますけれども、いろいろな取組によって、事業主の負担の軽減につながるような取組を是非お願いしたいと思います。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○本多委員 今の事項に関連して、5、6ページにかけて、社会復帰促進等事業について予算を毎年精査するということで記述いただいておりまして、正にこのとおりやっていただければ有り難いと思っている次第ですけれども、繰り返して申し上げますと、早速次々年度の要求に当たっては、今年度の予算をベースに、そこからの削減について精査することも是非お願いしたいと思っております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○田久委員 最後の6ページ、特別加入制度の在り方の検討を進めるということで、前回もお話をさせていただいたように、本来あるべき、雇用されるべき人が排除されるような拡大というのではない形、本当に何度も言わせていただきますが、そういったことではない形で、受けていない人が制度として受けていくようなことでの対象範囲の拡大や運用などを含めて、検討は是非していただきたい。お願いも含めてですが、改めて言わせていただきたいと思っています。
○荒木部会長 ありがとうございます。
○仁平委員 これまで長い間課題とされてきた複数就業者への労災保険の給付の在り方について、ここまでたどり着けたということは、非常に良かったことではないかと思っております。改めて労側の立場としては、副業・兼業について政府として旗を振って進めるべきとは思っておりませんが、一方で、生活のために複数の事業所で働かざるを得ない労働者を、労災保険というセーフティネットの観点から保護していくことは、やはり非常に重要で、それが前進することは、非常に画期的なことなのではないかと思っております。今日も何人かからお話がありましたが、事務手続などの負担を最小限に抑えつつ、合算を可能とする今回の論点整理を是非、報告書として取りまとめていただいて、世に出していただきたいと思っております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。1点、書く位置の点についてなのですが、4ページの論点2の2つ目の○ですけれども、これは特別加入の中で議論されておりますが、複数就業は何かという論点1の中で書いてあったほうが分かりやすいのかなと思いました。論点2の特別加入の扱いの中で、「労働者として就業しつつ、労働者以外の働き方を選択している場合(特別加入している場合を除く)」については、複数就業に係る保険対象とはしないという話ですけれども、これは複数就業とは何かという中で論じたほうが、分かりやすいかなと思います。それに特別加入を応用するとどうなるかという議論があってもいいのですが、まずは論点1の中で書かれたほうがいいかなと思いましたが、いかがでしょうか。特に異論がないということでしたら、書く場所の問題ですので、そこも整理させていただきたいと考えております。ほかに。
○砂原委員 最後に確認させてください。一応、法改正に必要な論点が、これでまとめられたと認識しておりますが、一方で、これで運用まで含めて論点が出尽しているわけではないのかなと感じました。そういう部分については、どこかで整理をして、明確にしておいていただけると有り難いかと思います。例えば複数就業で負荷の合算による労災の認定をされた場合の保険料の扱いをどうするのかとか、議論が余りされていない部分もあるかと思うので、そういうところは整理して、今後も少し詰めないといけない部分について、明確にしていただけると有り難いと思ったので、申し上げます。以上です。
○荒木部会長 はい。今の点について、事務局から何か補足はありますか。
○労災管理課長 事務局からですが、負荷の合算の場合の保険料負担の在り方については、3ページの真ん中辺りなのですが、論点5という所で、一定程度はお示しはさせていただいているかとは思っています。業務上の負荷を総合して評価する場合には、いずれの事業場の属する業種の保険料率の算定の基礎とするのも不適切、要するにしない、通勤災害と同様に全業種一律とするということ。それから、メリット制については、特にどちらの事業場にも入れませんというところで、一定の取りまとめはさせていただいているかと思っています。ただ、おっしゃったように、これで100%全て網羅しているかというと確かにそこはありますので、運用に当たっていろいろ詰めなければいけないような論点はあろうかと思いますので、そこは少し留保といいますか、今後、運用に当たって議論をしなければいけないということを明記させていただくことはあり得るのかと思っています。
○荒木部会長 ありがとうございました。
○輪島委員 今の点で、法律改正事項としての整理はいいとは思うのですが、その後の省令、指針、分かりやすいパンフレットをどのように作るか、その運用のところで使用者側として気になるところがまだまだたくさんあると思いますので、その点は詰めて分かりやすいものにしていただきたいと、そういうお願いだと理解をしております。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。そうすると、大筋としては、今回お示しさせていただいたものについて御異論がないということだったと思いますので、次回は、これまでの議論を踏まえて、当部会の報告書をまとめるということにさせていただきたいと考えております。事務局におかれましては、本日の論点整理(案)をベースとして、今日の議論も踏まえて、部会報告書の作成をお願いいたします。この後、特段御意見がなければ本日は以上といたしますが、よろしゅうございますか。それでは、本日の部会は以上で終了といたします。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の髙橋委員、使用者代表の本多委員にお願いいたします。どうもありがとうございました。