2019年11月13日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和元年11月13日(水)15:00~

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

出席委員(11名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 
 
欠席委員(6名)五十音順
行政機関出席者
  
 樽見英樹(医薬・生活衛生局長)
 中井清人(医療機器審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 森口裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 鈴木章記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 

議事

○医療機器審査管理課長 少し時間は早いのですが、皆様、御出席いただきましたので始めさせていただきたいと思います。ただいまから薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催させていただきます。現時点で、17名中11名の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。

 それから委員の変更がありました。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の動物衛生研究部門長を務めていらっしゃいました小倉弘明先生が当部会委員を退任されました。後任として、同国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門長の筒井俊之先生が、新しく本部会の委員に御就任されております。御紹介させていただきます。では、一言よろしいですか。

○筒井委員 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門長の筒井です。私は主に動物の病気を研究しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。それから、前回2月の開催でしたので少し時間がたっておりまして、今回、7月から人事異動で樽見が医薬・生活衛生局長に就任しておりますけれども、現在、薬機法の審議が衆議院で審議中でありまして、本日は恐らく間に合わないかと思われますが、御報告申し上げたいと思います。

 それから、議事に先立ちまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。第11条におかれては、委員、臨時委員又は専門委員は在任中薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合は辞任するということになっております。今回、全ての先生方より、規程第11条に適合している旨の御申告をいただいておりますので、御報告させていただきます。毎度のことながら、その都度書面で御提出を頂いておりまして、御面倒ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○事務局 続いて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題は再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。

 それでは、以降の進行については、奥田部会長、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長 それでは、最初に事務局から配布資料の確認と、審議事項に関与された委員の利益相反に関する申出状況について報告をお願いします。

○事務局 まず、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせしましたとおり、本日はペーパーレスで会議を進めたく、お手元には議事次第、座席表及びタブレットの使い方の資料のみ紙でお配りしております。タブレットの操作について御不明点等がありましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。

 次に、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御説明させていただきます。タブレット資料5「競合品目・競合企業リスト一覧」をお開きください。「NSR-REP1」ですが、コロイデレミアを対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページ、「bb2121」ですが、再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を選定しております。

 3ページ、「HLCM051」ですが、急性呼吸窮迫症候群を対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を選定しております。

○奥田部会長 ただいまの3点の事務局の説明について、特段の御意見、コメントはありますでしょうか。特段ないようでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の先生方の御了承を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1から議題3のいずれの議題についても、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。

○奥田部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見、コメントはありますでしょうか。それでは、皆さんにこの件について御確認いただいたものといたします。

 本日は、議題1から議題3が審議事項、議題4が報告事項になっております。まず、議題1、NSR-REP1を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否についての審議を開始したいと思います。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題1、資料番号1、NSR-REP1を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。

 資料1の2ページ目を御覧ください。PMDAからの事前評価報告書があります。本品の名称はNSR-REP1、予定される効能・効果又は性能はコロイデレミア(以下、「CHM」)と呼びます。申請者は、Nightstar Therapeutics plc.です。

 CHMは、Rab escort protein-1をコードする遺伝子の異常に起因する進行性の網膜及び脈絡膜の変性を特徴とするX連鎖性の遺伝子疾患であり、指定難病である網膜色素変性症の類縁疾患に分類されます。本品は、網膜に○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○REP1遺伝子を導入し、正常なREP1タンパク質を発現させることで、網膜及び脈絡膜の変性の進行を抑制することが期待されています。

 希少疾病用再生医療等製品の指定要件の該当性について、順に御説明いたします。まず、「対象者数について」は、2017年医療受給者証保持者数厚生労働省患者調査によると、網膜色素変性症の患者数が2万6,245人と報告されており、CHMの患者数は網膜色素変性症の患者数の約1.6%と推定されると報告されているので、本邦におけるCHMの患者数が420人程度と算出されます。

 以上より、本邦における対象患者数は、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人以下であり、条件を満たしています。

 次ページ、2.の「医療上の必要性について」、説明いたします。CHM患者は、幼少期より夜盲を自覚することが多く、進行性の視野障害、視力障害を呈し、失明に至る場合もありますが、CHMに対する抜本的な治療は確立しておらず、治療法の開発が望まれています。本品を用いてCHM患者の網膜に正常なREP1タンパク質を発現させることで、網膜及び脈絡膜の変性の進行を抑制することが期待されます。以上のことから、本品の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後、2ページ目の下段の3.の「開発の可能性について」、御説明いたします。本品については、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。

 また、現在、第Ⅱ相試験と第Ⅲ相試験及び長期フォローアップ試験が実施されております。本邦においては○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○が予定されております。

 以上の結果より、CHMに対する本品の開発の可能性はあるというように考えております。

 以上の説明から、希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると判断していますので、本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○奥田部会長 ただいまの説明に関して、委員の先生方から御質問、御意見等はありますか。眼科領域のお薬ということですが、これは実際は網膜に注射をするという形で使うのですか。要するに、局所に入れていくということですか。

○事務局 網膜に注射をすることによって使用します。

○奥田部会長 よろしいでしょうか。今、第Ⅲ相試験までが海外で行われていて、日本では○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という開発の予定が組まれているということですが、特段の御意見が先生方からないようでしたら議決を行いたいと思います。NSR-REP1について、本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定することの御異議がないようでしたら、そのように議決とさせていただきたいと思います。この結果については、薬事分科会において報告することとします。

 次の議題2に移ります。議題2は、bb2121を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否についての審議です。まずは事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題2のbb2121を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料2をお開きください。

 こちらも同じく、資料2の2ページからPMDAの事前評価報告書がありますので、こちらに沿って御説明させていただきます。まずはページ中段に記載されていますが、本品の名称は「bb2121」、予定される効能・効果又は性能は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」、申請者はセルジーン株式会社となっております。多発性骨髄腫は、Bリンパ球から分化した形質細胞の腫瘍で、血清中あるいは尿中の単クローン性免疫グロブリンの異常産生や、貧血を主とする造血障害、腎臓障害、溶骨性病変等の多彩な臨床症状により特徴付けられる疾患となっております。

 本品は、患者の末梢血単核球にレンチウイルスベクターを用いた遺伝子導入によって、ヒトB細胞成熟抗原を標的とするキメラ抗原受容体を発現させた、ヒト(自己)特異的遺伝子改変T細胞(CAR T)製品となっています。本品が骨髄腫細胞の表面に発現したBCMAタンパク質を認識することにより、T細胞の活性化やINF-γの放出等が起こり、抗腫瘍効果を示すと考えられています。

 希少疾病用再生医療等製品の指定要件への該当性について順に御説明いたします。

 1ページ目、下段の1.の対象患者数についてです。平成26年人口動態統計・患者調査による多発性骨髄腫の総患者数は約1万8,000人と報告されています。また、本品の対象となる患者は、再発又は難治性の多発性骨髄腫であることから、更に限定されることが考えられます。

 以上より、本邦における対象患者数は、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人以下であり、条件を満たしていると考えております。

 次に、1ページ目の一番下から2ページ目にかけて、2.の医療上の必要性について御説明いたします。再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する治療は、ボルテゾミブ、レナリドミド水和物等を含む多剤併用化学療法が中心となっております。しかしながら、いずれの治療法によっても根治に至らず、予後不良であることから、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療の開発が望まれており、本品の医療上の必要性は高いというように考えております。

 最後に、3ページ目の下段の3.の開発の可能性について、御説明いたします。本品は、海外においてボルテゾミブ及びレナリドミド等を含む3レジメン以上の化学療法の治療歴がある、又はプロテアソーム阻害薬及び免疫調節薬に難治性の多発性骨髄腫患者を対象として実施された第Ⅰ相試験が行われており、その結果、本品は150×10450×10個を投与をした患者で48例ありまして、その奏効率が○○%となって、高い奏効率を示す予備的な成績が得られております。

 また、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、本品を先ほどと同じ量を投与した、更に有効性及び安全性を検討することを目的とした国際共同第Ⅱ相試験が実施中でして、本邦の患者も参加しております。以上から、本品の開発の可能性は高いというように考えております。

 したがって、以上の説明より、希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると判断しておりますので、本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○奥田部会長 委員の先生方から御意見、コメントをお願いいたします。

○長島委員 希少疾病用として指定することの可否と関係ないのですが、今後のこととしてCAR T製品が将来的に、もし保険収載されると、極めて高額になるということも想定される。その場合、医療経済的な影響は極めて大きいので、対象患者がどれぐらいいたというのは、かなり重要になってきます。ですので、今後、もし開発を進める中で、もう少し対象患者がどれぐらいかということを精緻に検討していただければ有り難いと思います。以上です。

○奥田部会長 どうもありがとうございます。審査管理課長、どうぞ。

○医療機器審査管理課長 今回、オーファン指定ですので、一応、条件が5万人以下ということになります。一方、先生の御指摘は、今後、これが仮に申請した時にどのようになるのかと言うことだと思います。もちろん、患者数については、薬価収載の時には推定患者数というのは明確に出さなければいけないので、そういう議論の中で我々としても調べていきたいと思います。

○奥田部会長 貴重な御指摘です。CAR Tの製品が次々に開発が進んでいるようですので、よろしくお願いいたします。永井委員、どうぞ。

○永井委員 オーファン指定の要件は、著しい有効性又は安全性なので、前者の要件充足としていいと思います。安全性について、サイトカインストームが散見されていますが、これはキムリアと比較するのがいいのか、既存の治療法と比較するのがいいのかよく分かりませんが、また死亡例とサイトカインストームの関係が読み切れなかったのですが、この辺の安全性についてどのように捉えたらいいか、コメントを頂けると有り難いです。

○事務局 御質問ありがとうございます。事務局より回答いたします。サイトカインストームについては、既存のCAR T製品であるキムリアでも現れておりまして、この剤の比較でどちらが多い少ないというのは今の時点で論じることは難しいと思っておりますが、キムリアについては、治療薬も併せて承認して管理可能という形になっております。この剤についても、今後、臨床試験が実施されますので、その結果を踏まえて申請された段階でサイトカイン症候群が管理可能かどうかということも含めて審査をしてまいりたいと考えております。

○永井委員 ありがとうございます。

○奥田部会長 ほかの先生方はよろしいでしょうか。今のポイントも今後の審査の過程で検討して、それも含めて最終的に承認の可否が決まるというように私は理解いたしました。ほかに御意見等はよろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。bb2121については、本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定するということで議決させていただきたいと思います。この審議結果についても、次の薬事分科会において報告することといたします。

 次の議題3に移ります。議題3はHLCM051を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否についての審議です。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題3、資料番号3、「HLCM051」を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。

 資料3の2ページからPMDAの事前評価報告書がありますので、こちらを御覧いただければと思います。本品の名称はHLCM051、予定される効能・効果又は性能は急性呼吸窮迫症候群(以下、「ARDS」と省略します)の予定となっております。申請者は株式会社ヘリオスです。ARDSは先行する基礎疾患又は外傷を有する患者に急性に発症した高度の低酸素血症であり、胸部X線検査で両側性の肺浸潤影を認めることに加えまして、原因が心不全、腎不全又は血管内水分過剰のみでは説明できない病態の総称となっております。

 本品については、現行製品の骨髄から得られた接着性幹細胞を培養した再生医療等製品で、炎症の軽減や免疫系機能の調節等により、ARDSに対する有効性は発揮すると想定されているものです。

 希少疾病用再生医療等製品の指定要件での該当性について順に御説明させていただきます。まず、対象疾患の患者数ですが、本邦での正確なARDSの患者数は把握されておりませんけれども、集中治療室24施設を対象にした調査を基にした想定患者数は2,040/年と推定されております。また、日本呼吸器学会認定施設の296施設を対象とした調査を基にして推定した患者数は、2万7,943人とされております。

 以上より、本邦における患者数は、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満であると考えております。

 続いて、医療上の必要性です。ARDSの原因は、肺に集積した好中球を主体としました非特異性の過剰炎症反応による広範な急性の肺損傷であり、ARDSの生命予後の改善を示した薬剤は存在しておりません。また、改善効果が示された資料として低容量換気、また、重症のARDS患者に対する腹臥位換気がありますけれども、それらを含む集学的治療によってもARDSの死亡率は3058%と高いことから、新たな治療法の開発が望まれております。これらのことから、本品の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、3.の開発の可能性です。海外で実施された第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果、プラセボに対する本品の有効性を比較したコホートスタディにおいて、投与28日後の死亡率は本品群で25%、プラセボ群で40%、また、投与から28日後までのうち人工呼吸器が外されていた日数は本品群で12.9日、プラセボ群で9.2日、投与から28日後までのうち集中治療室(ICU)の管理が不要であった日数は本品群で10.3日、プラセボ群で8.1日でした。また、本邦において肺炎を原因とするARDSの患者を対象とした第Ⅱ相試験が実施中です。

 以上のことから、本品の開発の可能性は高いと考えておりまして、希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると判断しております。本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○奥田部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますでしょうか。これはどのようなメカニズムで効果を発揮するかということについて何か現時点で治験はあるのですか。

○事務局 今のところ、炎症の軽減や、免疫系の調節の機能があるという実験結果が得られているというところで、それがこの治療の効果、役割を果たしていると言われておりますけれども、詳しい機序については、承認審査の中で審査することになるかと思います。

○奥田部会長 どうもありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員 対象患者数について、2つの報告で10倍の差がありますが、ARDSの診断基準といったものはどこかの学会で公のものがあるのでしょうか。

○事務局 アメリカの呼吸器外科学会の方で診断基準があって、そちらを基にしております。

○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。

○奥田部会長 ほかによろしいでしょうか。御意見は尽きているようでしたら議決を行いたいと思います。HLCM051について本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定することでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、では、そのように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することといたします。これで議題3を終了します。

 それでは、議事に従って、今度は議題4「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題4について事務局から御報告いたします。資料4をお開きください。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を治験等を目的として、特段の拡散防止措置を取らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を執った閉鎖系で使用する必要があります。

 まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について御報告いたします。2ページ目の一覧を御覧ください。前回の部会での報告以降で、平成31年2月から令和元年10月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの3品目となります。PMDAでの評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないか判断したものです。

 続いて、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。3ページ目の一覧を御覧ください。平成31年2月から令和元年10月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの17品目となります。これらにつきましても、PMDAでの評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれも遺伝子組換え生物等についても執られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。

 引き続き農林水産省からの報告をいたします。

○農林水産省 農林水産省です。引き続き、資料4の5ページ目以降を御覧ください。事前に事務局からお送りしたものから一部修正していますので、タブレットの資料に基づいて御説明申し上げます。カルタヘナ法に基づく申請ですが、人用の方ではPMDAの方で審査をするというお話があったのですが、動物用医薬品の分野では、本部会の傘下にあります動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で御審議を頂いた上で、農林水産大臣が第一種使用規程の承認若しくは第二種使用等の拡散防止措置の確認を行っています。

 5ページを御覧ください。こちらが第一種使用規程の承認を行った品目で、1品目です。こちらは遺伝子組換え技術を用いて、牛ウイルス性下痢ウイルスの一部遺伝子を欠損させたもので、牛用の遺伝子組換え生ワクチンの製造用株になります。

 続いて、6ページを御覧ください。こちらが第二種使用等をする間に執る拡散防止措置の確認を農林水産大臣が行った品目です。調査会で御審議いただいた4品目について、大臣確認を行っています。これらは動物用医薬品の有効成分の製造用の微生物若しくは海外で承認されている遺伝子組換え生ワクチンの第二種使用等に該当します。以上です。

○奥田部会長 委員の先生方から御質問、コメントをお願いいたします。よろしいですか。これは御確認を頂くということだと思いますので、特段コメントがなければ御確認を頂いたということにしたいと思います。これで議題4を終了いたします。当初の議題はこれで終了しておりますが。

○医療機器審査管理課長 それでは、本日、この場をお借りいたしまして、審議中であります薬機法について御説明申し上げたいと思います。当日配布資料の「薬機法改正に関する資料」をお開きください。本部会に関連する部分だけに、ポイントを絞って御説明いたします。

 スライドの1枚目で、縦軸に見て、開発から市販後までの規制の合理化、薬剤師・薬局の在り方やみなし、過去の違法行為等への対応ということで、この3本軸で薬機法改正を検討しています。

 2枚目にいきまして、改正の概要ということで、1つ目が先ほど言った、医薬品医療機器をより安全に効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善です。2つ目が、住み慣れた地域で医薬品を使うことができるような薬剤師と薬局の在り方の直しです。3つ目が、信頼確保のための法令遵守体制です。4つ目は、その他となっています。これらについて、説明させていただきます。

 スライドの3枚目を御覧ください。先駆け審査指定制度の法制化等です。1つ目の○にありますが、先駆的医薬品等として制度を法制化するということで、今までの先駆け審査は通知でやっていたものを法律に規定して制度の安定化を図るということです。それから、小児用量の医薬品や、医療ニーズが著しく充足されていない医薬品についての特定用途医薬品というものを法制化するということです。これは、下の方の図にありますが、現行にオーファンというものがありますが、オーファン以外にも今回、真ん中の方にいって、先駆的医薬品と特定用途医薬品というものを新たに設けるということになります。特定用途医薬品は、恐らく小児が対象になるもので、医薬品であればAMRのようなものも対象になるのだと思っていますが、そういったものについて優遇措置を講じるということで開発を促進するということです。

 スライドの4枚目と5枚目が、条件付き早期承認制度の法制化、医薬品と医療機器を対象です。これは、再生医療は期限条件付き承認制度が法制度化されておりますが、再生医療は均一性が取れないということで安全性の確認と有効性の推定で承認を付与する期限条件付き承認制度というものになります。一方、今回の法制度化は、もともと通知でやっていた医薬品、医療機器の条件付き早期承認制度であります。大きく違うのが、再生医療製品は1度条件で承認した後、再度申請していただいて本承認になるというルールがございますが、今回、医薬品と医療機器については、医薬品で見ると探索的試験、検証的試験というものの後者を市販後の充実強化ということで賄っていくということで、なるべく早期に患者数が少ない医薬品などを承認して、医療に提供するという制度です。これは、先ほどの先駆けと同じように通知を法制化して、制度が安定化していくことを目標にしています。

 スライドの7枚目は変更計画、PACMPによる承認事項の変更手続の見直しということです。ICHで規定されているものですが、医薬品について、再生医療もPACMPというものを同じように導入いたします。真ん中の方に書いてありますが、通常であれば変更計画を策定して、データを集めて変更申請するというのが上の方の図にありますが、変更計画を事前に確認していれば、その確認の範囲の中であれば、届出で製法などを一部変更できるということで、より計画的に一部変更ができるという制度になっています。恐らく、再生医療等製品もこういったことをやっていけば、より製法の変更などは的確にできるということです。

 スライドの8枚目が、GMP/GCTP調査の見直しということで、端的に言いますと、左下の方に改正後ということで、今までは承認品目ごとであったのを製造所の製造工程の区分ごとということで、そういったものを選べるというような制度を設けるということです。ただし、製造工程の区分ごとにした場合については、3年ごとということで少し時間が短くなっているということが特徴です。スライドの9枚目が、QMS調査の見直しということです。これは省略させていただきます。

 スライドの10枚目です。先ほどは医薬品と再生医療製品のPACMPですが、医療機器も同じように、医療機器は改善・改良を絶えず行うという特徴を持っていますので、通常であれば上の図ですが、承認を取った後にデータを集めて一変申請するのですが、それを承認時に変更計画を出していただいて、それに従ってデータを集めていただければ、簡単な変更、若しくは届出で何日以内に、何も言われなければそのまま変更して構わないということを想定しています。

 例示としては、厳密には第三者認証製品ですので実例はないかと思いますが、わかりやすい例として、例えばMRIやCTなど、2次元のものは最初に作ってから、当然3次元にするわけでして、そういったものが作りやすくなると。また、AIなども市販後にどんどん変わっていくというのを、こういうものできちんと受けられるようにしたいというように思っています。

 11ページ目が、添付文書の電子的な方法による提供ということです。今まで紙だったものを電子を基本にして提供するということです。12枚目が、医薬品医療機器へのバーコードの表示ということで、GS1コードを義務化するということを想定しております。スライドの13枚目以降は、薬局・薬剤師関係でして、これは省略させていただきます。

 スライドの20枚目以降ですが、20枚目と21枚目が過去の違反事例になります。20枚目はディオバン事件です。下の方は化血研の事案です。あとは、21枚目の下の方がハーボニーの偽造医薬品の流通事件です。そういったことを踏まえまして、スライドの22枚目にありますが、法令遵守体制の整備ということで、1つ目の○で、薬事に関する責任を有する役員を法律上に位置付けるということと、それに関して遵守事項として、必要な能力、経験を有する総括販売制度責任者、製造会社を選任するということと、責任者からの意見を尊重して措置を講じるということを明確にするということで、法律上規定するというものです。

 スライドの22枚目は医薬品の製造販売業者のことですが、23枚目は薬局についても同じように、同様の規程を見直すということです。

 スライドの25枚目が、虚偽・誇大広告についての課徴金制度を設けるということで、課徴金制度を、誇大広告について4.5%の課徴金を設けるということです。

 それから、細かいのですが、個人輸入については、現行は通知で薬監証明というのをやっているのですが、法制化すると。あと、覚醒剤原料で医薬品で使われるものがありますが、それについても個人的な輸入の許可を認めるということです。

 スライドの28枚目が、医薬品等行政評価・監視委員会ということで、これは薬害肝炎の時に色々と議論があったものですが、いわゆる薬事行政について第三者的に監視するような委員会を設置するということがスライドの29枚目に載っています。あとは血液法については、研究用の血液の採血を認めるというような改正を行うということです。

 衆議院で、先週は3時間、本日は6時間の審議中です。私からは以上です。御質問がありましたら、お受けいたします。

○長島委員 今まで行っていた、医薬品等を安全、迅速、効率的に提供するための制度が法制化されるということなのですが、これに対して、恐らく安全という面から科学雑誌の『Nature』が批判的な論説を掲載しているのですが、これは『Nature』だけの意見で、極めて特殊なもので、一般的な意見ではないというように捉えてよろしいでしょうか。

○医療機器審査管理課長 『Nature』については、正確に言いますと再生医療等製品の制度についての批判でして、今回のものは医薬品医療機器の制度ですが、もともと5年前に導入した制度について批判が出てきているということです。『Nature』の批判について、私どもの医薬局長から反論の文書を載せていただいたのですが、向こうの言い分は何かと言うと、プラセボ比較をしないのはおかしいのではないかということです。それから、今回の日本の制度をほかの国がどんどん導入してきているので、日本は野心的に世界の薬事規制を日本のルールにしたがっているのではないかということです。

 一方、我々の立場からすると、プラセボ対照の比較対照臨床試験というのはベースはベースなのですが、できないものもあるということなので、それについては我々としては厳格に審査をしているということで、反論しているという状況です。また、我が国の薬事規制を他国に導入しようとしていると言うことについては、結果的にそうなっている状況があるということで、特段、我々の方から、このような形のルールを導入して欲しいとかそういったことはありません。

 先生の御指摘の、それ以外にあるのかと言われれば、誉める人もあれば批判する人もあるので、それはあるのだと思うのですが、『Nature』のDavidという方が執拗に批判を展開しているという状況であるということです。

○奥田部会長 ほかにございますか。

○佐藤委員 3ページ目の先駆け審査制度の法制化のところなのですが、先駆け審査指定制度というのは、「先駆け」というのは世界的に使われる言葉になってきているのですが、法制化して名前は変わると考えてよろしいのでしょうか。「先駆的医薬品等」と呼び直すことになるのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 そこは、法的には先駆的医薬品になっていると思うのですが、その辺りはニックネームを付けるわけにもいかないと思いまして、何とも言えないのですが。

○佐藤委員 まだ検討中ということですね。

○医療機器審査管理課長 はい。そこはまだ。

○奥田部会長 確かに、今まで「サキガケ」と片仮名で書かれていたものと、これとが基本的には同じような内容だということは、きちんと知っていただくことは必要かなとは思います。ほかによろしいでしょうか。

○荒戸委員 条件付き承認制度の点で確認させていただきたいのですが、医薬品と医療機器は期限のない条件付き承認であって、再生医療の場合だけ期限条件付きということでよろしいでしょうか。

○医療機器審査管理課長 そのとおりになります。医薬品の場合は、再審査の中に中間的評価を入れていると図に描いてあります。一方、医療機器の方は、もともと再審査という制度がないので、それについては市販後のリスク管理計画でやっていくということになっています。

○奥田部会長 私からですが、医療機器の承認後の変更管理をスムーズにというのは分かるのですが、その中にAIというキーワードが入っていて、AIが導入された医療機器の市販後の変更管理というのは、非常に難しい問題だと思うので、これから色々な所で、その同等性をどのように保つかという研究がされていくと思うのですが、その辺についてはどのように考えるのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 AIについて言いますと、私どもの認識でいきますと、AIで市販後に勝手にどんどん頭がよくなっていく、むしろ悪くなっていくということに関して言うと、私の知っている範囲ではありますが企業も今のところ、そういうようなものを開発するところは存じ上げておりません。つまり、医療機関で勝手にどんどん変わっていくというものを販売するというのは、なかなか企業側としても、品質、有効性・安全性確保に耐えられないということなので、基本はバージョンアップのような形でやっていくのだと思うのです。ただ、バージョンアップというのは頻度が早いので、今回の制度を導入することによって、その頻度に追いつけるような形というのを想定しているということになります。

○奥田部会長 想定している範囲が分かりました。

○小野寺委員 確認したいのですが、変更計画の話というのは、再生医療等製品も含まれるのですか。

○医療機器審査管理課長 これは医療機器と体外診断薬でありまして、むしろPACMP、スライドの7枚目の所が再生医療等製品になっています。

○小野寺委員 この確認というのは、PMDAが確認という意味ですか。

○医療機器審査管理課長 そういうことになります。

○小野寺委員 結局、PMDAが確認されれば、その変更計画は承認されれば、このような形で継続的に使えるという考え方になりますか。

○医療機器審査管理課長 そういうことです。

○楠岡委員 細かい話ですが、条件付き早期承認制度と従来の制度で比べた場合、従来の、いわゆる第Ⅲ相試験の部分が市販後試験に移行する形になるかと思います。その場合、現在、保険外併用療養費制度が第Ⅲ相の場合は使えるのですが、市販後になってくると使えないという話になってきます。すると今まで患者には第Ⅲ相試験に協力することによって若干の医療費の軽減措置があったのが、市販後の場合はそれはないということで、その辺りについては今後調整があるのでしょうか。それとも承認後なので、全く自由と言うか。ただ、市販後臨床試験は必ずしも義務付けられるわけではないので、メーカー側の自由意思で行うので、そこはもう自由にするというような考え方なのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 これは、いわゆるオーファンの医薬品や医療機器と同じで、承認された後に保険適用されるわけですが、保険適用された後に市販後調査をやっていくことと、ほぼ同じことになるのだと思っています。

 そういう意味でいくと、いわゆる先進医療とか、そういうものではなくて、完全に医療保険の中でやっていただくと。それプラス、企業側が市販後調査の費用を医療機関に払うとか、そういうことになるのだろうと思っています。

○荒戸委員 先ほどのPACMPの話なのですが、再生医療の場合、原材料に不均質性があって、製造条件などの影響も非常に受けやすい上になかなか製造数も少ない中で承認されることが多いという現状を踏まえると、この変更計画がどのぐらい適用できるのか、あるいはどういう工程等についてできそうなのか、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 それに関して言いますと、基本的にPACMPというのはICH合意されているので、ケミカルな医薬品が多いのだと思います。そういう意味でいくと、今回、再生医療製品についても、PACMPの対象に入れていますが、今のところ、業界からこういうのを入れてくれとか、要望があったわけではないということです。御指摘のとおり、当初は数は多くないのかもしれません。

○奥田部会長 ありがとうございました。先生方、よろしいでしょうか。特段にないようでしたら、この議題についても、ここで閉じたいと思います。それでは、本日の議題は以上で終了いたしました。事務局から、追加で連絡事項などはございますでしょうか。

○医療機器審査管理課長 どうもありがとうございました。次回については、またメールにて連絡させていただきます。以上です。

○奥田部会長 これをもって、本日の再生医療等製品生物由来技術部会を閉会いたします。どうも御協力ありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室

再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)